JP5958405B2 - エンジンの制御装置 - Google Patents
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Description
このようなエンジンでは、吸気がインタークーラにより冷却されることにより、吸気中に含まれる水分が凝縮し、吸気通路中に凝縮水が溜まってしまう。この凝縮水を放置すると、吸気系の部品に錆や腐食が発生しやすくなる。特に最近の自動車においては、客室スペース増大のため、エンジンルームスペースを小さくする傾向があり、その結果、インタークーラからエンジン本体までの吸気通路レイアウトに制約を受け、インタークーラで発生した凝縮水が吸気通路内壁の最低部位に溜まって、気筒内にまでスムーズに導くことができないケースが多くなっている。
吸気通路中に溜まった凝縮水を排出するものとして、例えば特許文献1のようなものがある。この特許文献1においては、吸気通路に備えられたサージタンク内に溜まる凝縮水を、スロットルバルブが閉弁されることでスロットルバルブ下流の負圧が大きくなる減速運転時に、スロットルバルブの上流と下流の圧力差を利用してサージタンク内の凝縮水を気筒内に排出するものである。
ところで、エンジンの運転領域が低負荷運転領域にある時は、燃料供給量を減少させるために気筒内での発熱量が低減し、エンジン温度や排気温度が低下することになる。
特に、ディーゼルエンジンでは燃料供給量のみで負荷制御することが可能なため、低負荷運転領域であっても、吸気量を制御しないタイプのものでは、気筒内に導入される新気の量が多いために、エンジン温度や排気温度が低下しやすくなる。
そこで特許文献2においては、吸気通路にスロットルバルブを設けるとともに、排気ポート下流と吸気通路とを連通し、EGRバルブで開閉制御される排気ガス還流装置を備え、低負荷運転領域である減速運転時に、スロットルバルブを閉弁するとともに、EGRバルブを開弁することで、気筒内への新気の導入を減少させている。
特許文献2のように、減速運転時に燃費を向上させるために燃料供給を停止するようにしたエンジンでは、気筒内で燃焼することなく新気がエンジンの吸排気通路を通過し、エンジンの温度や排気温度の低下が顕著になるため、減速運転時に上記スロットルバルブを閉弁するとともに、EGRバルブを開弁することは有効な方法であり、排気通路に備えられた排気ガス浄化装置の温度低下も防止できる。
そのため、特許文献1のようにスロットルバルブの上流と下流との圧力差によって凝縮水を排出しようとしても、エンジンの温度低下を防止するために高圧EGRバルブが開弁すると、凝縮水を排出できない結果となってしまう。
このように、減速運転時における凝縮水の排出と、エンジン温度の維持はトレードオフの関係にある。
よって、本発明の目的とするところは、エンジンの温度や排気温度の低下を防止し、吸気通路に溜まる凝縮水を効果的に排出することである。
つまり、排気ガス浄化装置の温度が低い時は、高圧EGRバルブを強制的に閉弁する所定期間を短くして、エンジンの温度低下を防止している。そして、排気ガス浄化装置の温度が高い時は、高圧EGRバルブの閉弁期間を長くして、凝縮水を完全に排出するようにしている。
よって、急加速などによりスロットルバルブがすぐに開弁されたとしても、確実にインタークーラにより発生した凝縮水を排出することができる。
上記凝縮水導出通路は、上記インタークーラ下流の吸気通路と、上記スロットルバルブ上流の吸気通路とを連通する吸気連通路と、上記吸気連通路の途中に設けられたベンチュリ部と、上記ベンチュリ部と上記インタークーラの上記凝縮水残留部とを接続する排出通路とからなることを特徴とするエンジンの制御装置である。
少なくともエンジンの低負荷運転領域で、上記スロットルバルブを閉弁して吸気量を制限するスロットルバルブコントロール手段と、
少なくとも上記低負荷運転領域でのスロットルバルブの閉弁と重なる運転領域で、高圧EGRバルブを開弁して排気通路から吸気通路に排気の一部を還流する高圧EGRバルブコントロール手段が備えられたエンジンの制御装置であって、
上記インタークーラで発生する吸気中水分の凝縮水が残留する上記インタークーラ内の凝縮水残留部の凝縮水を上記スロットルバルブ下流の吸気負圧を利用して上記インタークーラ下流の上記吸気通路に導出する凝縮水導出通路を設けるとともに、
上記低負荷運転領域でのスロットルバルブの閉弁と重なって上記高圧EGRバルブを開弁する運転領域をスロットルバルブの閉弁する運転領域よりも小さく設定し、上記低負荷運転領域でのスロットルバルブの閉弁と重なって上記高圧EGRバルブを閉弁する運転領域を設けたことを特徴とするエンジンの制御装置である。
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本実施形態に適用されるディーゼルエンジンの全体構成図を示すものである。図1において、エンジン1は、車両に搭載されると共に、軽油を主成分とした燃料が供給されるディーゼルエンジンであって、複数の気筒11a(1つのみ図示)が設けられたシリンダブロック11と、このシリンダブロック11上に配設されたシリンダヘッド12と、シリンダブロック11の下側に配設され、潤滑油が貯溜されたオイルパン13とを有している。エンジン1は、例えば4つの気筒11aが、クランクシャフト15に沿うように(つまり、図1の紙面に直交する方向に)一列に配置された直列4気筒エンジンであり、図示を省略するエンジンルーム内において、横置きに配置される。各気筒11a内には、ピストン14が往復動可能にそれぞれ嵌挿されていて、ピストン14は、コンロッド14bを介してクランクシャフト15と連結されている。
そして、上記排気ガス還流通路50、高圧EGRバルブ51a、及び後述する高圧EGRバルブコントロール手段203によって高圧EGRシステムを構成している。
この吸気連通路71には、前記インタークーラ35に溜まった凝縮水を排出するための排出通路72が接続されている。
そして、吸気連通路71と排出通路72との接続部においては、吸気連通路71内における流速を増加させて、ベンチュリ効果により低圧部分を発生させるベンチュリ部73が配設されている。このベンチュリ部73により発生する低圧部分によりインタークーラ35内に溜まった凝縮水を吸い出すことができる。
上記吸気連通路71、排出通路72、ベンチュリ部73により、インタークーラによって溜まる凝縮水をスロットルバルブ下流の吸気通路に排出する凝縮水導出通路74が構成されている。
ECU100が有する具体的な機能について説明すると、ECU100は、スロットルバルブコントロール手段201、燃料噴射弁コントロール手段202、高圧EGRバルブコントロール手段203、高圧EGRバルブ補助コントロール手段204、高圧EGRバルブ補助コントロール制限手段205、および減速時燃料噴射停止手段206とを有している。
次に、本実施形態の詳細な制御について、図3のフローチャートと図4のタイムチャートを参照して具体的に説明する。
ステップS3では、アクセル開度センサによるエンジン1への要求トルクに合わせて高圧EGRバルブ51aを開閉制御するための出力信号を演算(高圧EGRバルブ制御マップから読込)する。このステップS3で高圧EGRバルブコントロール手段203を構成する
そして、ステップS4では、排気ガス浄化装置温度センサ102によって検出した排気ガス浄化装置41の温度から、高圧EGRバルブ51aを閉弁してインタークーラ35内の凝縮水を排出するための目標強制閉弁期間Δt[sec]を演算しステップS5へ進む。このステップS4で高圧EGRバルブ補助コントロール制限手段204を構成する。
つまり、排気ガス浄化装置41の温度が低い時は上記目標強制閉弁期間Δt[sec]を短くして、エンジン、又は排気ガス浄化装置の温度が低下しないようにする。
そして、排気ガス浄化装置41の温度が高い時は上記目標強制閉弁期間Δt[sec]を長くして、インタークーラ35内の凝縮水を排出する。
減速運転時に燃料噴射を停止することで、燃費の向上を図り、さらに、凝縮水が排出されたとしても筒内での燃焼に影響を与えることなく凝縮水の排出を行うことができる。
また、高圧EGRバルブ51aを強制閉弁期間T[sec]の間閉弁した後は、高圧EGRバルブ51a開弁するので、吸排気通路に新気が導かれることが防止され、エンジン1、さらには排気ガス浄化装置41の温度が低下することを防ぐことが出来る。
このステップS11では、高圧EGRバルブコントロール手段204を構成しており、高圧EGRバルブを所定期間だけ強制閉弁する。
また、ステップS6において現在の運転状態が減速運転でないと判定された場合と、ステップS8で排気ガス浄化装置の温度が所定温度よりも高いと判定された場合も、NOとなり、ステップS10へ進み、高圧EGRバルブ51aの開閉を強制的に閉弁することなく、通常の開閉制御を行ないリターンする。
t1のタイミングでアクセル開度が小さくなり、上記ステップS6における減速運転状態であると判定されると、燃料噴射量が0となり、スロットルバルブ開度も閉弁とされる。
そして、上記ステップS4で演算した高圧EGRバルブの目標強制閉弁期間Δt[sec]の間、高圧EGRバルブ51aを閉弁することで、スロットルバルブ下流の吸気通路を負圧にして、インタークーラ35により発生した凝縮水を排出することができる。
また、高圧EGRバルブ51aをΔt[sec]閉弁した後に、t2のタイミングで高圧EGRバルブ51aを開弁しているので、排気ガス浄化装置41の温度が低下することを防止することができる。
スロットルバルブ36の制御については、ノーロードラインより上側では開弁し、下側では閉弁するようになっている。そして高圧EGRバルブ51aの制御については、ノーロードラインより上側で閉弁し、下側で開弁するようになっているが、特定の運転領域では閉弁することで、スロットルバルブ36と高圧EGRバルブ51aが同時に閉弁されて凝縮水が排出されるようになっている。
よって、図6に示すようなアクセル開度とエンジン回転のマップにより予め凝縮水を排出する領域を設定することで、第1実施例のような複雑な制御を省略できる。
つまり、予め、減速運転領域においてスロットルバルブ36が閉弁されるとともに、高圧EGRバルブ51aも閉弁される領域を、スロットルバルブ36と高圧EGRバルブ51aの制御マップに設定して、特定の運転領域では凝縮水が排出されるようにしている。
また、図7は、本発明の第3実施例である。図7に示すようにインタークーラ35がスロットルバルブ上流に備えられた場合は、吸気連通路を直接インタークーラ35に接続するようにしても良い。これは、インタークーラがスロットルバルブ上流に備えられていれば、スロットルバルブ下流とインタークーラ35との間でスロットルバルブ36を閉弁することで圧力差を発生させることができるためである。
その他、本発明を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
30 吸気通路
36 スロットルバルブ
40 排気通路
41 排気浄化装置
50 高圧EGR通路
51a 高圧EGRバルブ
54 低圧EGR通路
54a 低圧EGRバルブ
71 吸気連通路
72 排出通路
73 ベンチュリ部
74 凝縮水導出通路
Claims (8)
- 吸気通路に吸気を冷却するインタークーラと、吸気量を制御するスロットルバルブとを
備える一方、排気通路の排気浄化装置よりも上流側から分岐し、上記スロットルバルブ下流の吸気通路とを連通する高圧EGR通路と、
アクセル開度を検出するためのアクセル開度検出手段と、
上記高圧EGR通路を開閉して排気還流量を制御する高圧EGRバルブと、が備えられ、
少なくともエンジンの低負荷運転領域で、上記スロットルバルブを閉弁して吸気量を制
限するスロットルバルブコントロール手段と、
上記低負荷運転領域でのスロットルバルブの閉弁と重なる運転領域で、少なくとも上記アクセル開度に基づいて決定される第1の排気還流量を確保すべく高圧EGRバルブを開弁して排気通路から吸気通路に排気の一部を還流する高圧EGRバルブコントロール手段と、が備えられたエンジンの制御装置であって、
上記インタークーラで発生する吸気中の水分が凝縮して残留する上記インタークーラ内
の凝縮水残留部の凝縮水を上記スロットルバルブ上下流の吸気圧力差を利用して上記インタークーラ下流の上記吸気通路に導出する凝縮水導出通路を設けるとともに、
上記低負荷運転領域が、スロットルバルブが閉弁する減速運転領域であって、かつ上記高圧EGRバルブを開弁する運転領域である時に、上記第1の排気還流量を確保するように該高圧EGRバルブを開弁制御する期間と、上記高圧EGRバルブの開度を上記凝縮水残留部の凝縮水を上記吸気通路に導出すべく上記第1の排気還流量よりも少なく設定された第2の排気還流量となるように該高圧EGRバルブの開度を制御する期間と、を有するように上記高圧EGRバルブを制御することを特徴とするエンジンの制御装置。 - 請求項1に記載のエンジンの制御装置であって、上記排気通路には排気ガス中の有害成分を高温下で浄化する排気ガス浄化装置と、当該排気ガス浄化装置の温度を検知するセンサとが備えられ、排気ガス浄化装置の温度が所定温度よりも低い時は、上記高圧EGRバルブ補助コントロール手段により上記高圧EGRバルブが強制的に所定期間閉弁される制御を制限する高圧EGRバルブ補助コントロール制限手段を設けたことを特徴とするエンジンの制御装置。
- 請求項1又は2に記載のエンジンの制御装置であって、上記高圧EGRバルブ補助コントロール手段による上記高圧EGRバルブの強制的な閉弁の所定期間を、上記低負荷運転領域でのスロットルバルブの閉弁と重なって上記高圧EGRバルブを開弁する運転領域の初期に設定したことを特徴とするエンジンの制御装置。
- 請求項1乃至3のいずれか1項に記載のエンジンの制御装置であって、上記インタークーラは上記スロットルバルブ下流の吸気通路に設けられるとともに、
上記凝縮水導出通路は、上記インタークーラ下流の吸気通路と、上記スロットルバルブ上流の吸気通路とを連通する吸気連通路と、上記吸気連通路の途中に設けられたベンチュリ部と、上記ベンチュリ部と上記インタークーラの上記凝縮水残留部とを接続する排出通路とからなることを特徴とするエンジンの制御装置。 - 請求項1乃至4のいずれか1項に記載のエンジンの制御装置であって、上記スロットルバルブを閉弁して吸気量を制限する低負荷運転領域はエンジンの減速運転領域であり、上記減速運転領域ではエンジンの気筒内に燃料を供給すべく設けられた燃料供給手段から上記気筒への燃料供給を停止する減速時燃料噴射停止手段を設けたことを特徴とするエンジンの制御装置。
- 請求項1乃至5のいずれか1項に記載のエンジンの制御装置であって、上記吸気通路の上記スロットルバルブ上流には排気ターボ過給器のコンプレッサが備えられ、上記排気通路の上記高圧EGR通路の開口部下流には上記排気ターボ過給器のコンプレッサに連結したタービンが備えられ、上記タービンの下流の排気通路に排気浄化装置が備えられ、
上記吸気通路のコンプレッサ上流と、上記排気通路の上記排気浄化装置下流とを連通する低圧EGR通路を設けたことを特徴とするエンジンの制御装置。 - 吸気通路に吸気を冷却するインタークーラと、吸気量を制御するスロットルバルブとを備える一方、排気通路と上記スロットルバルブ下流の吸気通路とを連通する高圧EGR通路と、上記高圧EGR通路を開閉して排気還流量を制御する高圧EGRバルブとが備えられ、
少なくともエンジンの低負荷運転領域で、上記スロットルバルブを閉弁して吸気量を制限するスロットルバルブコントロール手段と、
少なくとも上記低負荷運転領域でのスロットルバルブの閉弁と重なる運転領域で、高圧EGRバルブを開弁して排気通路から吸気通路に排気の一部を還流する高圧EGRバルブコントロール手段が備えられたエンジンの制御装置であって、
上記インタークーラで発生する吸気中水分の凝縮水が残留する上記インタークーラ内の凝縮水残留部の凝縮水を上記スロットルバルブ下流の吸気負圧を利用して上記インタークーラ下流の上記吸気通路に導出する凝縮水導出通路を設けるとともに、
上記低負荷運転領域でのスロットルバルブの閉弁と重なって上記高圧EGRバルブを開弁する運転領域をスロットルバルブの閉弁する運転領域よりも小さく設定し、上記低負荷運転領域でのスロットルバルブの閉弁と重なって上記高圧EGRバルブを閉弁する運転領域を設けたことを特徴とするエンジンの制御装置。 - 請求項7に記載のエンジンの制御装置であって、上記低負荷運転領域でのスロットルバルブの閉弁と重なって上記高圧EGRバルブを閉弁する運転領域を、上記低負荷運転領域でのスロットルバルブの閉弁と重なって上記高圧EGRバルブを開弁する運転領域よりも、エンジンの高回転側で、且つエンジンの減速運転領域に設けたことを特徴とするエンジンの制御装置。
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