以下、添付図面を参照しながら実施例について詳細に説明する。なお、以下の説明では、コミュニケーション支援システムの一態様として、例えば、学校(例えば、大学、専門学校、予備校等を広く含む)を中退する可能性のある学生(中退予兆者)に対して登校を支援する例について説明する。
<コミュニケーション支援システムの概略構成例>
図1は、コミュニケーション支援システムの概略構成例を示す図である。図1に示すコミュニケーション支援システム10は、情報処理装置の一例としてのコミュニケーション支援装置11と、クライアント端末12−1〜12−n(以下、必要に応じて「クライアント端末12」と総称する)とを有する。また、コミュニケーション支援装置11と、クライアント端末12とは、例えばインターネットやLocal Area Network(LAN)等に代表される通信ネットワーク13により各種情報の送受信が可能な状態で接続されている。
コミュニケーション支援装置11は、各ユーザ(学生等)が使用するクライアント端末12のログデータ等を用いて各ユーザの状況や行動等を把握する。また、コミュニケーション支援装置11は、所定の条件に基づく対象者(例えば、中退予兆者)を抽出し、抽出した対象者に対してコミュニケーションの支援等を行う。
具体的には、コミュニケーション支援装置11は、例えばユーザ等が利用するクライアント端末12を用いて、行動情報の一例である学習行動を含むログデータ(以下、「学びログデータ」という)等を分析し、例えば学習行動と成績との相関関係等に基づいて、学生の学習効果を高めることができる。したがって、学びの場としての学校等の付加価値を高めることもできる。
ここで、学びログデータとは、例えば通信ネットワーク13等を介してクライアント端末12から取得されるユーザ毎の講義への出席状況やテストの成績、レポートの提出状況や評価結果、電子掲示板等のソーシャルメディアへの参加(投稿、閲覧等)等である。学びログデータの具体例については、後述する。
つまり、コミュニケーション支援装置11は、例えば上述した学びログデータを活用し、学生の中退の予兆を検知し、検知した学生等に対して登校を促す適切なフォローを行う。なお、フォローの例としては、例えば友人と会わせて講義に出席させるためのコミュニケーション支援等があるが、これに限定されるものではない。
なお、コミュニケーション支援装置11は、例えばPersonal Computer(PC)やサーバ等でもよいが、これに限定されるものではない。
クライアント端末12は、コミュニケーションを支援する対象者(学生等)が使用する装置である。クライアント端末12は、通信ネットワーク13を介してコミュニケーション支援装置11との各種情報の送受信を行う。例えば、クライアント端末12は、学生の講義等の出席状況の入力や、講義のレポート等を、通信ネットワーク13を介してコミュニケーション支援装置11に送信する。
更に、例えば中退予兆者や中退予兆者の友人に対応するクライアント端末12は、コミュニケーション支援装置11から所定のサービスの提供を受けることができる。
なお、クライアント端末12は、例えばスマートフォンや携帯電話、タブレット端末等の携帯端末でもよく、ノート型PC、PC等でもよいが、これに限定されるものではない。また、クライアント端末12は、例えば、学校の各講義室等に設置された専用の端末等であってもよい。
ここで、上述したコミュニケーション支援システム10では、上述した学びログデータを分析し、学生の中退の予兆を検知したとしても、必ずしもその検知が正しいかは分からない。検知の指標としては、例えば必修講義の出席率、教務課からの対応等が考えられる。しかしながら、これらの指標からは、単に不真面目なのか、ある特定の授業だけに興味を失っているのか、本当に退学しようと考えているのか、通学したいのか否か等の学生の意識レベルを知ることはできない。
また、例えば、必修講義の出席率の悪い学生を中退予兆者と判定し、「欠席が続いているようです。何か悩み事がありますか?」といったメールを発信することも考えられるが、その学生が単に不真面目にすぎない場合は、「学校側に目を付けられてマズイ」、「余計なお世話だ」等と悪い印象を持たれ、かえって逆効果になりかねない。
そこで、本実施形態では、必ずしも予兆の検知が正しいとはいえない状況においては、学生に対して、直接的に中退を心配するフォローをするのではなく、まずは間接的に学生が自ら学校(例えば、学食やサークル施設)に来て親しい友人等とコミュニケーションを取るように仕向け、そのまま講義に出席させるといったフォローをするのが好ましい。
つまり、本実施形態におけるコミュニケーション支援システム10の一態様としては、例えば、中退の可能性がある学生(中退予兆者)に対し、学校に来るきっかけを与える登校支援を行う。
<コミュニケーション支援装置11の機能構成例>
次に、上述したコミュニケーション支援システム10におけるコミュニケーション支援装置11の機能構成例について図を用いて説明する。図2は、コミュニケーション支援装置の機能構成の一例を示す図である。図2に示すコミュニケーション支援装置11は、入力手段21と、出力手段22と、記憶手段23と、行動情報取得手段の一例としての学習行動取得手段24と、対象者抽出手段25と、友人情報取得手段26と、サービス提供手段27と、精算手段28と、画面生成手段29と、送受信手段30と、制御手段31とを有する。
入力手段21は、コミュニケーション支援装置11を使用するユーザ(ここでは、管理者)等からの各種指示の開始や終了、設定の入力等の各種入力を受け付ける。具体的には、入力手段21は、例えば本実施形態における学習行動取得指示、対象者抽出指示、友人情報取得指示、サービス提供指示、精算指示、画面生成指示、送受信指示等の各指示を受け付ける。
入力手段21により取得される情報の入力は、例えばキーボードやマウス等の入力インターフェース等による入力でもよく、また画面を用いたタッチパネル形式の入力等でもよい。更に、入力手段21は、例えばマイクロフォン等により音声を入力する音声入力手段を有していてもよい。
出力手段22は、入力手段21により入力された内容や、入力内容に基づいて実行された内容等の出力を行う。なお、出力手段22は、例えば画面表示により出力する場合には、ディスプレイやモニタ等の表示手段を有し、音声により出力する場合には、例えばスピーカ等の音声出力手段を有していてもよい。また、入力手段21と出力手段22とは、例えばタッチパネル等のように入出力が一体型であってもよい。
記憶手段23は、本実施形態において必要となる各種情報を記憶する。具体的には、記憶手段23は、上述した学びログデータや、学習行動、対象者の抽出条件、対象者の抽出結果、学生毎の友人情報、サービス情報(例えば、クーポン情報)、精算結果、画面に表示される内容等を記憶する。
また、記憶手段23は、本実施形態におけるコミュニケーション支援処理が実現可能な各処理を実行するための設定情報等を記憶したり、各種処理の実行経過や結果等を記憶する。また、記憶手段23は、記憶された各種情報を必要に応じて所定のタイミングで読み出したり、書き込んだりすることができる。また、記憶手段23は、上述したような多種の情報の集合物であり、それらの情報を、例えばキーワード等を用いて検索し、抽出することができるように体系的に構成されているデータベースとしての機能を有していてもよい。なお、記憶手段23は、例えばハードディスクやメモリ等からなる。
学習行動取得手段24は、例えば、上述した学びログデータ等に含まれる情報等に基づいて、所定の人物(例えば、学生等)の行動情報(例えば、学習行動等)を取得する。なお、学生の学習行動とは、例えば各講義(授業)への出席状況やテストの成績、レポートの提出状況やレポートの評価、時間の経過に伴う状況の推移等に基づいて、予め設定された指標である。なお、予め設定される学習行動の定義については、後述する。
また、学習行動取得手段24は、予め設定された学習行動の定義から、例えば1又は複数の指標値に基づいて、学生の学習行動を数値(ポイント)として取得する。なお、指標値としては、例えば各講義に対する「積極性」、「計画性」、「継続性」等のうち、少なくとも1つを用いることができるが、これに限定されるものではない。本実施形態では、学習行動を数値化することで、中退予兆者等の対象者を適切に抽出することができる。
なお、学習行動取得手段24において取得される内容は、上述した指標値に限定されるものではなく、例えば学生毎の講義への出席状況(例えば、出席率)等を抽出してもよい。
対象者抽出手段25は、学習行動取得手段24により得られる学習行動から得られる値(例えば、指標値や出席率等)に基づいて、所定の条件を満たす対象者(学生等)を抽出する抽出手段である。例えば、対象者抽出手段25は、学習行動から得られる値と、予め設定された閾値とを比較することで、所定の条件を満たす対象者を抽出する。なお、所定の条件とは、例えば学校等であれば中退者の予兆を検知するための条件等であるが、これに限定されるものではない。
また、対象者抽出手段25は、例えば、学生が受講する全講義を対象にして統計的な評価により対象者を抽出したり、個々の成績等に基づく絶対評価や他の学生との相対評価等に基づいて対象者を抽出することができる。更に、対象者抽出手段25は、上述した各抽出手法を組み合わせて対象者を抽出することもできる。
友人情報取得手段26は、対象者抽出手段25により抽出された対象者(例えば、中退予兆者)の学校内の友人情報を取得する。具体的には、友人情報取得手段26は、学びログデータ等を参照して、対象者(中退予兆者)と近々会う可能性がある1又は複数の友人を抽出する。ここで、対象者の友人情報は、例えば対象者が利用するソーシャルメディアやメール等による他人とのコミュニケーション状況に基づいて取得することができる。ここで、ソーシャルメディアとは、例えば電子掲示板やブログ、ソーシャルブックマーク、ソーシャル・ネットワーキング・サービス、画像や動画の共有サイト、通販サイト等のカスタマーレビュー等であるが、これに限定されるものではない。
友人情報取得手段26は、例えば対象者(中退予兆者)と電子掲示板等を通じてやり取りしている人物やソーシャルメディア上でディスカッションしている人物(例えば、学生)のユーザ情報(個人情報)を取得する。また、友人情報取得手段26は、取得したユーザ情報に基づいて、記憶手段23等に記憶された学びログデータに含まれる学生情報テーブル(個人テーブル)等を参照し、同一のユーザが存在する場合に、学校内の友人であると判断する。
また、近々会う可能性がある友人かどうかは、例えば学びログデータから学生毎の履修情報を参照し、その対象者と同一の履修科目を受講し、その講義が近日中の午前又は午後である学生を近々会う可能性がある友人と判断することができる。なお、近日中とは、例えば今日を含めて3日以内や1週間以内等の所定期間である。近々会う可能性がある友人かどうかの判断については、上述した判断に限定されるものではない。
また、友人情報取得手段26は、上述の処理により得られる複数の友人のうち、学習行動等から成績優秀な友人を選択して取得してもよい。成績優秀な友人は講義への出席率も高いと判断できるため、成績優秀な友人とコミュニケーションを取ることで、中退予兆者を講義に出席しやすくすることができる。
なお、上述したソーシャルメディアやメール等の情報は、例えば通信ネットワーク13を介して接続される外部装置から取得してもよいが、これに限定されるものではない。また、上述の外部装置とは、例えばソーシャルメディアの提供サービスを行っている提供先データベースやメールの送受信を管理するメールサーバ等であるが、これに限定されるものではない。また、本実施形態では、上述したソーシャルメディアやメール等が学校に在籍する学生や先生等しか利用できないように制限された環境で管理することにより、友人情報を容易に取得することができる。
なお、友人情報取得手段26は、上述と同様の手法により、学生の友人だけでなく親しい先生等の情報を取得してもよい。親しい先生とのコミュニケーションを支援することでも適切な登校支援を行うこともできる。
サービス提供手段27は、対象者抽出手段25により得られた中退予兆者と、友人情報取得手段26により得られた1又は複数の友人とが出会うための共通のサービスを提供する。なお、友人は、1人よりも複数人いた方がよい。複数人いることで、中退予兆者の登校意欲を向上させると共に、複数人の友人が講義に出席するよう誘導するため、中退予兆者を講義に出席させやすくすることができる。
本実施形態では、友人情報取得手段26により得られた1又は複数の友人を友人候補とし、サービス提供手段27は、取得した友人候補からサービスを提供する友人を中退予兆者に選択させるために、中退予兆者のクライアント端末12に送信してもよい。その場合、サービス提供手段27は、中退予兆者のクライアント端末12から得られる友人候補から選択された友人に対して所定のサービスを提供してもよい。これにより、中退予兆者が友人を選択することで、サービスを利用する場所(例えば、学校の食堂等)へ中退予兆者を来やすくさせることができる。
ここで、所定のサービスとしては、例えばクーポン情報があるが、これに限定されるものではない。クーポン情報は、例えばメール等により中退予兆者及びその友人のクライアント端末12に送信される。この場合のクライアント端末12とは、例えば中退予兆者やその友人が所持する携帯端末である。これにより、クーポン情報を携帯端末に記憶させて、容易に持ち歩くことができる。なお、これに限定されるものではなく、例えばクーポン情報を紙等の印刷媒体に印刷して利用してもよい。
本実施形態におけるクーポン情報は、中退予兆対象者とその友人とが会うことでコミュニケーションを支援するための情報であることが好ましい。そのため、クーポン情報としては、例えば学校内の学生食堂(以下、「学食」という)の定食等の料金を割引する学食クーポンや、売店の商品の料金を割引する商品クーポン等があるが、これに限定されるものではない。また、本実施形態では、最初に中退予兆者のクライアント端末12にクーポン情報を送信し、送信されたクライアント12から友人宛てにクーポンを発行する形式でもよい。
また、サービス提供手段27は、上述したサービス(第1のサービス)を提供した後、例えば中退予兆者への登校支援に成功した場合に、その友人等に対して第2のサービスを提供することもできる。第2のサービス内容は、第1のサービス内容と同一でもよく、異なっていてもよい。これにより、中退予兆者の登校支援に協力してくれた学生(友人)等に対して結果の有無を問わずにサービスを提供することができる。
なお、サービス提供手段27は、サービスを提供することで、自分が中退予兆者であることや、中退予兆者の友人であることが学生に気付かれることがないようにサービスを提供する。例えば、クーポンの発行等においては、例えば学校側の何らかのキャンペーンの1つであるような演出によってクーポンを発行することが好ましいが、これに限定されるものではない。
精算手段28は、例えば上述したサービス提供手段27により提供されたサービスに対して所定の条件を満たす場合に、サービス内容に基づく精算処理を行う。なお、所定の条件を満たす場合としては、例えば中退予兆者への登校支援が成功した場合等があるが、これに限定されるものではなく、例えば登校支援が成功しなかった場合であっても登校支援に協力してくれたことに対する精算処理を行ってもよい。
また、中退予兆者への登校支援が成功した場合とは、例えばサービスの一例として中退予兆者及びその友人(1又は複数)に発行したそれぞれのクーポンが所定時間内(例えば、5分以内等)に利用された場合に登校支援が成功したと判断することができる。また、これに限定されるものではなく、例えばそれぞれのクーポンが所定時間内に利用されると共に、中退予兆者が所定の講義(例えば、その日の午前中又は午後の講義)に出席していた場合に、所定の条件を満たすものとすることができる。
なお、精算は、例えば中退予兆者やその友人の携帯端末(クライアント端末12)等が有する精算機能(例えば、モバイルSuica(登録商標))等を用いて精算することができる。その場合に、所定時間内にクーポン等のサービスが利用されたか否かについては、例えば学食等における食事の料金を上述した精算機能を用いて精算すると同時にクーポン情報が記録されているか否かを判断する。
なお、上述した学食等における食事の精算は、通常料金での精算を行い、中退予兆者への登校支援が成功した場合に、精算手段28によりクーポンの割引に対応する余分な支払い分が後日キャッシュバックされる。
つまり、精算手段28は、食事の精算時に特定のクーポンIDを検知した後、一定時間内に中退予兆者を含む所定人数の学生の携帯端末(クライアント端末12)から同じクーポンIDを取得して精算が行われた場合に割引対象者と認定する。そして、その学生全員又は一部の学生については、事後的に割引分を還元する。なお、本実施形態において、上述した精算処理と上述したサービス提供手段27による第2のサービス提供とは、どちらか一方を行ってもよく、両方行ってもよい。
これにより、本実施形態では、例えば中退予兆者の精算時刻と、その友人の精算時刻との間が所定時間内である場合に、中退予兆者と友人の少なくとも一方に対して、サービス提供情報に応じたサービスを提供することができる。
画面生成手段29は、学習行動の取得や対象者の抽出、友人情報の取得、サービスの提供、精算処理等の各処理を実行するための各種設定画面や処理結果等を出力手段22に表示する画面を生成する。例えば、画面生成手段29は、クーポン発行時の画面例等を生成する。
送受信手段30は、例えば通信ネットワーク13を介してクライアント端末12等の外部装置と各種情報の送受信を行うための通信手段である。送受信手段30は、外部装置等にすでに記憶されている各種情報等を受信することができ、またコミュニケーション支援装置11で処理された結果を、通信ネットワーク13を介して外部装置等に送信することもできる。
制御手段31は、コミュニケーション支援装置11の各構成部全体の制御を行う。具体的には、制御手段31は、例えば管理者等のユーザによる入力手段21からの指示等に基づいて、コミュニケーション支援に関する各制御を行う。ここで、各制御とは、例えば上述した学習行動取得手段24における学習行動の取得、対象者抽出手段25における中退予兆者の抽出、友人情報取得手段26における学生毎の友人情報の取得や、サービス提供手段27における所定のサービスの提供等がある。また、各制御とは、例えば上述した精算手段28における精算処理、画面生成手段29における画面生成等があるが、これに限定されるものではない。
<コミュニケーション支援装置11のハードウェア構成例>
ここで、上述したコミュニケーション支援装置11においては、各機能をコンピュータに実行させることができる実行プログラム(コミュニケーション支援プログラム)を生成し、例えば汎用のPCやサーバ等にその実行プログラムをインストールすることにより、本実施形態におけるコミュニケーション支援処理を実現することができる。ここで、本実施形態におけるコミュニケーション支援処理が実現可能なコンピュータのハードウェア構成例について図を用いて説明する。
図3は、コミュニケーション支援処理が実現可能なハードウェア構成の一例を示す図である。図3におけるコンピュータ本体には、入力装置41と、出力装置42と、ドライブ装置43と、補助記憶装置44と、主記憶装置45と、各種制御を行うCentral Processing Unit(CPU)46と、ネットワーク接続装置47とを有するよう構成されており、これらはシステムバスBで相互に接続されている。
入力装置41は、管理者等のユーザが操作するキーボード及びマウス等のポインティングデバイスや、マイクロフォン等の音声入力デバイスを有しており、管理者等からのプログラムの実行指示、各種操作情報、ソフトウェア等を起動するための情報等を入力する。
出力装置42は、本実施形態における処理を行うためのコンピュータ本体を操作するのに必要な各種ウィンドウやデータ等を表示するディスプレイを有し、CPU46が有する制御プログラムによりプログラムの実行経過や結果等を表示することができる。また、出力装置42は、上述の処理結果等を紙等の印刷媒体に印刷して、管理者等に提示することができる。
ここで、本実施形態においてコンピュータ本体にインストールされる実行プログラムは、例えば、Universal Serial Bus(USB)メモリやCD−ROM、DVD等の可搬型の記録媒体48等により提供される。プログラムを記録した記録媒体48は、ドライブ装置43にセット可能であり、CPU46からの制御信号に基づき、記録媒体48に含まれる実行プログラムが、記録媒体48からドライブ装置43を介して補助記憶装置44にインストールされる。
補助記憶装置44は、ハードディスク等のストレージ手段であり、CPU46からの制御信号に基づき、本実施形態における実行プログラムや、コンピュータに設けられた制御プログラム等を記憶し、必要に応じて入出力を行うことができる。また、補助記憶装置44は、上述した学びログデータや学習行動、対象者抽出結果、友人情報、サービス情報(例えば、クーポン情報等)、精算結果、画面生成結果等を記憶する。補助記憶装置44は、CPU46からの制御信号等に基づいて、記憶された各情報から必要な情報を読み出したり、書き込むことができる。
主記憶装置45は、CPU46により補助記憶装置44から読み出された実行プログラム等を格納する。なお、主記憶装置45は、Read Only Memory(ROM)やRandom Access Memory(RAM)等からなる。なお、補助記憶装置44及び主記憶装置45は、例えば上述した記憶手段23に対応している。
CPU46は、オペレーティングシステム等の制御プログラム、及び主記憶装置45に格納されている実行プログラムに基づいて、各種演算や各ハードウェア構成部とのデータの入出力等、コンピュータ全体の処理を制御して各処理を実現することができる。なお、プログラムの実行中に必要な各種情報等は、補助記憶装置44から取得することができ、また実行結果等を格納することもできる。
具体的には、CPU46は、例えば入力装置41から得られるプログラムの実行指示等に基づき、補助記憶装置44にインストールされたコミュニケーション支援プログラムを実行させることにより、主記憶装置45上でプログラムに対応する処理を行う。例えば、CPU46は、コミュニケーション支援プログラムを実行させることで、上述した学習行動取得手段24による学習行動の取得、対象者抽出手段25による中退予兆者の抽出、友人情報取得手段26による中退予兆者の友人の抽出等の処理を行う。また、CPU46は、サービス提供手段27によるサービスの提供、精算手段28による精算処理、画面生成手段29による画面の生成等の処理を行う。なお、CPU46における処理内容は、これに限定されるものではない。CPU46により実行された内容は、必要に応じて補助記憶装置44に記憶させることができる。
ネットワーク接続装置47は、CPU46からの制御信号に基づき、通信ネットワーク14等と接続することにより、実行プログラムやソフトウェア、設定情報等を、通信ネットワーク14に接続されている外部装置等から取得する。また、ネットワーク接続装置47は、プログラムを実行することで得られた実行結果又は本実施形態における実行プログラム自体を外部装置等に提供することができる。
上述したようなハードウェア構成により、本実施形態におけるコミュニケーション支援処理を実行することができる。また、プログラムをインストールすることにより、汎用のPCやサーバ等で本実施形態におけるコミュニケーション支援処理を容易に実現することができる。
<コミュニケーション支援処理の例>
ここで、本実施形態におけるコミュニケーション支援処理の一例について、フローチャートを用いて説明する。図4は、本実施形態におけるコミュニケーション支援処理の一例を示すフローチャートである。
図4の例に示すコミュニケーション支援処理は、例えば上述した学校の中退予兆者等の所定の対象者を抽出するために、各人物の行動情報を取得する(S01)。例えば、S01の処理では、例えば学校に通う各学生の学校生活における学習行動等を取得する。なお、学習行動とは、各講義への出席状況、テスト結果、レポートの提出の有無、レポートやテストの結果等でもよいが、これに限定されるものではない。また、学習行動は、時間の経過に伴う履歴情報として取得してもよい。
次に、コミュニケーション支援処理は、S01で取得した行動情報に基づいて、所定の条件を満たす対象者を抽出する(S02)。なお、対象者とは、例えば学校等の中退予兆者等のコミュニケーション支援対象者であるが、これに限定されるものではない。また、コミュニケーション支援処理は、抽出した対象者に対応する1又は複数の友人情報を抽出する(S03)。
また、コミュニケーション支援処理は、中退予兆者やその友人に対して所定のサービスを提供する(S04)。なお、所定のサービスの提供とは、例えば中退予兆者やその友人のクライアント端末12等に所定のクーポン等を発行すること等であるが、これに限定されるものではない。また、所定のクーポンとは、例えば中退予兆者と友人とを会わせるためのコミュニケーション支援に用いられるものであり、例えば共通の学食クーポンであってもよく、また複数名が集まることで何らかのサービスが得られるクーポン(例えば、同時にクーポンを利用する人数が増えるほど割引率アップ等)であることが好ましい。
また、クーポンの発行は、例えば中退予兆者やその友人が所持する携帯端末(クライアント端末12)に対してメール等で送信してもよく、予めクライアント端末12にインストールされた専用のアプリケーション等によりクーポン情報をダウンロードさせてもよい。ダウンロードさせる場合には、例えば予めメール等により、中退予兆者やその友人にダウンロード先のアドレス情報を送信し、そのアドレス情報に基づいて実際のクーポン情報を取得する。
また、コミュニケーション支援処理は、提供されたサービスの利用状況に基づく精算処理を行う(S05)。具体的には、例えば中退予兆者に対する登校支援が成功した場合に、クーポン情報に基づく割引を有効にする。
ここで、コミュニケーション支援処理は、コミュニケーション支援を継続するか否かを判断し(S06)、継続する場合(S06において、YES)、S03の処理に戻る。また、コミュニケーション支援処理は、コミュニケーション支援を継続しない場合(S06において、NO)、処理を終了する。つまり、本実施形態では、上述したコミュニケーション支援を継続して行っていくことで、学生の中退を防止させることができる。また、上述したコミュニケーション支援処理においける実行経過や実行結果等については、例えば上述した学びログデータに含めて記憶手段23等に記憶したり、別のファイルとして記憶手段23に記憶することができる。
<コミュニケーション支援処理の第1実施例>
次に、上述したコミュニケーション支援処理の具体例について、フローチャート等を用いて説明する。図5は、コミュニケーション支援処理の第1実施例を示すフローチャートである。
図5に示す第1実施例は、1又は複数の学生に対して開講中の講義を抽出し(S11)、学生毎に全講義に対する学習行動を計算したか否かを判断する(S12)。なお、対象にする学生は、クラス単位や学部単位、学年等でもよく、全学生を対象にしてもよい。
ここで、全講義に対する学習行動を計算していない場合(S12において、NO)、学習行動を計算していない講義における学習行動の計算を行う(S13)。なお、学習行動の計算の具体例については、後述する。更に、S13の処理から得られる学習行動の結果(例えば、ポイント数等)から、閾値(例えば、3ポイント等)以下の学生を中退予兆者として抽出する(S14)。また、第1実施例は、学習行動を計算していない次の講義へ移動し(S15)、S12の処理に戻る。つまり、S12〜S15の処理では、例えばS11で抽出された全講義に対して中退予兆の学生を抽出する。
また、第1実施例は、S12の処理において、全講義に対して学習行動を計算した場合(S12において、YES)、S14の処理で抽出された中退予兆者毎に、上述した学習行動が閾値以下の講義数を取得する(S16)。また、第1実施例は、S16の処理により抽出された中退予兆のある講義数が所定数(例えば、5講義等)以上か否かを判断し(S17)、所定の講義数以上の場合(S17において、YES)、中退予兆者に対する友人を取得する。
例えば、第1実施例は、ソーシャルメディアやメール等のコミュニケーション状況に基づいて中退予兆者の友人を取得する。具体的には、例えば中退予兆者のソーシャルメディアでのディスカッションに対して返信した返信者を抽出したり(S18)、中退予兆者の掲示板への書き込みに対して返信(閲覧)も含む返信者を抽出するが(S19)、これに限定されるものではない。また、S18、S19の処理等により抽出された人物を友人候補として抽出する(S20)。
なお、友人候補は、所定数(例えば、5人等)になるまで他のソーシャルメディア等も含めて抽出が行われる。友人候補の抽出は、複数の返信者のうち、最近返信した者や返信回数の多い者を優先的に抽出対象とすることができるが、これに限定されるものではない。また、上述したディスカッションや掲示板等のソーシャルメディアへのアクセスを、対象の学校(大学、専門学校、予備校)等に通う学生等に限定することで、容易に友人候補を抽出することができる。また、アクセスが限定されていない場合であっても、例えばユーザ名等により予め設定された学生テーブル(個人テーブル)等を参照して友人候補を抽出することができる。
次に、第1実施例は、中退予兆者のクライアント端末12に、S20の処理で得られた友人候補を示す友人リストをメールで送付する(S21)。中退予兆者が友人リストから選択した少なくとも1人の友人を取得し(S22)、取得した友人のクライアント端末12に対して第1のサービスの一例としての共通の学食クーポンメールを送付する(S23)。ここで、中退予兆者における友人の選択は、クライアント端末12の画面に表示された友人リストの中から少なくとも1人を選択する。また、選択した友人の情報は、通信ネットワーク13を介してコミュニケーション支援装置11に送信される。
また、第1実施例は、S23の処理で送信された学食クーポンを、中退予兆者とその友人とが所定時間内に利用したか否かの利用判定を行う(S24)。また、第1実施例は、中退予兆者の所定の講義の出席判定を行い(S25)、中退予兆者が講義に出席したか否かを判断する(S26)。
第1実施例は、中退予兆者が講義に出席した場合(S26において、YES)、その友人による中退予兆者への登校支援が成功したものと判断し、更に第2のサービスの一例として学食クーポンメールを送付する(S27)。なお、S27の処理では、中退予兆者にも学食クーポンメールを送付してもよい。また、S27の処理では、上述した精算手段28による精算処理(例えば、キャッシュバック)等を行ってもよい。
また、第1実施例は、中退予兆者が講義に出席していない場合(S26において、NO)、そのまま処理を終了する。また、上述したS17の処理において、中退予兆のある講義数が所定数以上でない場合(S17において、NO)、そのまま処理を終了する。
ここで、上述した第1実施例では、開講中の全講義について学習行動の計算を行ったが、これに限定されるものではなく、開講中の必修講義のみを対象にしてもよい。その場合には、上述したS11の処理において、開講中の必修講義のみを抽出し、S12以降の処理では、抽出された全必修講義に対して上述した処理と同様の処理を行う。
<コミュニケーション支援処理の第2実施例>
次に、上述したコミュニケーション支援処理の第2実施例について、フローチャート等を用いて説明する。図6は、コミュニケーション支援処理の第2実施例を示すフローチャートである。第1実施例では、学習行動の計算結果が閾値以下であるか否かで中退予兆者の判断を行ったが、第2実施例では、講義に対する統計的な出席率と閾値との比較により中退予兆者の判断を行う。なお、以下の処理では、主に第1実施例と異なる部分について説明し、それ以外の説明については省略する。
図6に示す第2実施例は、まず1又は複数の学生に対して開講中の講義を抽出し(S31)、全講義に対する出席状況を取得したか否かを判断する(S32)。なお、出席状況は、例えば上述した学びログデータに含まれる情報である。また、対象にする学生は、クラス単位や学部単位、学年等でもよく、全学生を対象にしてもよい。
全講義の対する出席状況を取得していない場合(S32において、NO)、学習行動を取得していない講義の学習行動から出席状況を抽出し(S33)、出席率が閾値(例えば、20%等)以下の学生を中退予兆の学生として抽出する(S34)。また、第2実施例は、出席状況を取得していない次の講義へ移動し(S35)、S32の処理に戻る。つまり、S32〜S35の処理では、例えばS31で抽出された全講義に対して中退予兆の学生を抽出する。
また、第2実施例は、S32の処理において、全講義に対する出席状況を取得した場合(S32において、YES)、S34の処理で抽出された中退予兆者毎に、上述した出席率が閾値以下の講義数を取得する(S36)。また、第1実施例は、S36の処理により抽出された中退予兆のある講義数が所定数(例えば、5講義等)以上か否かを判断し(S37)、所定の講義数以上の場合(S37において、YES)、中退予兆者に対する友人を取得する。
なお、S38〜S47の処理については、上述した第1実施例のS18〜S27の処理と同様の処理を行うため、ここでの具体的な説明は省略する。
上述したように、本実施形態では、学習行動や出席状況等から中退予兆者を適切に抽出することができる。また、抽出された中退予兆者に対して適切なコミュニケーション支援を行うことができる。そのため、中退予兆者の登校を支援し、中退者の減少させることができる。
<学びログデータと学習行動の定義例について>
次に、上述したコミュニケーション支援システム10で用いられる学びログデータと学習行動の定義例について具体的に説明する。図7は、学びログデータと学習行動の定義例を説明するための図である。なお、図7(A)は、学びログデータの具体例を示し、図7(B)は、学習行動の定義例を示している。
学びログデータは、例えば学校に在籍する学生毎の個人情報や講義、授業の出席状況、学内掲示板への投稿(書き込み)の有無、レポート提出やテスト結果等の各種情報がログデータとしてテーブル等で管理される。
学びログデータに含まれるテーブル例としては、例えば学生毎の氏名や学年、連絡先(メールアドレス、携帯番号等)を管理する個人テーブルや、学生が受講している講義に関する資料、教材を管理する資料教材テーブル、資料詳細テーブル等がある。また、その他にも、学生毎に受講している講義数や内容を管理する講義テーブルや、講義毎の授業枠テーブル、学生毎の講義や授業への出席状況を管理する授業出席テーブル、学内掲示板を管理する掲示板テーブル等がある。更に、学生毎に投稿内容を管理する掲示板投稿テーブルや、学生毎の発言内容を管理する発言テーブル、学生同士がディスカッションするテーマやディスカッションされた内容等を管理するテーブル、レポートを作成するときに必要となる教材やレポートの提出期限、提出状況、提出されたレポートの評価情報等を管理するレポート教材テーブル等がある。なお、学びログデータ含まれるテーブルの内容については、これに限定されるものではない。
また、本実施形態では、上述した各テーブル等から、図7(B)に学習行動の定義に対応する項目のデータを抽出する。なお、抽出する項目としては、例えば「資料の提示日」、「資料の公開日」、「資料の参照日」、「出席状況」、「掲示板の投稿情報,閲覧情報,フォロー情報」、「ディスカッションの投稿情報,閲覧情報,レーティング情報」等がある。また、その他にも、例えば「Q&Aの投稿情報,回答情報,閲覧情報」、「FAQの閲覧情報」、「レポート教材の初回参照日時」、「レポートの評価情報,期限」、「テスト教材の初回参照日時」、「テストの評価情報、期限」、「アンケートの回答情報,期限」等があるが、これに限定されるものではない。
また、上述した抽出項目と、図7(B)に示すように予め設定され記憶手段23等に記憶された学習行動の定義とに基づいて、学習行動取得手段24により学習行動を取得する。ここで、学習行動の定義としては、例えば「授業前に公開された資料教材の参照率が高い」や「授業前に公開された資料教材を溜めたいで逐次参照している」等があるがこれに限定されるものではない。なお、本実施形態では、上述した学習行動の定義から所定の指標値に基づき学習行動を数値化(ポイント化)する。
具体的には、講義に対する学生の「積極性」、「計画性」、「継続性」等のうち、少なくとも1つの指標値を用いて絶対評価又は相対評価等により学習行動を数値化する。例えば、図7(B)の例において、「積極性」とは、例えば「授業(講義)前に公開された資料教材の参照率が高い」、「授業での疑問や不明点を投稿している」、「他の学生が投稿した内容を閲覧している」、「各掲示板に対して投稿率が高い」等がある。また、「計画性」としては、例えば「授業前に公開された資料教材を平準的な時間で参照している」、「授業日以降に公開された資料教材を平準的な時間で参照している」等がある。また、「継続性」としては、例えば「授業出席率が高い」、「投稿量が多い」、「閲覧量が多い」等がある。
本実施形態では、上述したような学習行動に対する指標に基づいて数値化を行う。なお、本実施形態において、上述した指標の種類や数、学習行動の定義の内容については、これに限定されるものではない。
<学習行動取得手段24における学習行動の計算例>
次に、学習行動取得手段24における学習行動の計算例について、図を用いて説明する。図8は、学習行動の計算例を示す図である。図8の例では、一例としてある講義「○○講義」に対する学習行動に対して、学生毎にポイントを計算する例を示している。
図8では、積極性の一例である「授業前に公開された資料教材の参照率が高い」、と継続性の一例である「授業出席率が高い」及び「投稿量が多い」という指標に対して、学生(A〜G)に対するポイント合計が示されている。
なお、図8の例では、過去4回の授業又はテーマに対する実績結果に基づいて統計的にポイント合計が計算されている。例えば、図8に示す「授業前に公開された資料教材の参照率が高い」の例では、第1〜4回目の各授業前に公開された資料教材を、公開されてからどの程度の時間の経過後に参照しているかに基づいて参照率を設定している。また、参照率の高い場合(公開されてからすぐに参照している場合)に、高いポイントを設定する。
また、図8に示す「授業出席率が高い」の例では、「○」が出席、「×」が欠席を示しており、第1〜4回目における出席率が8割以上である場合に1Pとし、8割未満である場合に0Pとして設定している。また、図8に示す「投稿量が多い」の例では、テーマ1〜4における合計の投稿量が多い場合に高いポイントを付与している。
更に、本実施形態では、指標毎に統計的に計算された各学生のポイント結果から学生毎の学習行動ポイント(P)を集計する。なお、図8の例による集計結果では、「A君2.5P」、「B君1.5P」、「C君2.0P」、「D君1.0P」、「E君0.0P」、「F君2.5P」、「G君3.0P」となる。
なお、図8の例では、他の学生との相対的な評価を行うための評価関数を予め設定し、その評価関数に基づいて0〜1の範囲でポイントを設定しているが、ポイントの計算については、これに限定されるものではない。例えば、相対評価だけではなく、学習行動に応じた絶対評価によりポイントの計算が行われてもよい。指標値に基づく学習行動の数値化については、例えば成績データと指標値データとの相関係数を算出し、算出した相関係数に基づいて数値化を行ってもよい。
<対象者抽出手段25における中退予兆者の抽出例>
次に、対象者抽出手段25における中退予兆者の抽出例について、図を用いて説明する。図9は、中退予兆者の抽出例を説明するための図である。本実施形態では、対象者抽出手段25において、例えば現在開講中の全講義の学習行動から対象者の一例である中退予兆者を抽出する。
図9の例では、「民法I」と「商法I」に対して各学生(A〜G)の授業回数毎の学習行動ポイントの推移をグラフで示している。対象者抽出手段25は、上述した結果から、例えば、単一講義で学習行動ポイントが予め設定した閾値以下の学生を抽出する。更に、対象者抽出手段25は、例えば、他の複数講義においても学習行動ポイントが閾値以下の学生を抽出する。例えば、図9の例において、E君は、「民法I」、「商法I」の各講義において閾値(例えば、3.0P)以下と判断されるため、中退予兆者と判断することができる。
なお、判断基準は、これに限定されるものではなく、例えば必修講義が「民法I」のみであれば、その必修講義のみを対象にしてもよく、また受講中の全講義を対象に判断してもよい。全講義を対象にする場合には、全体の数%以上の講義が閾値以下である場合や、平均ポイントと基準値とを比較して判断してもよい。
また、図9の例において、F君の学習行動ポイントは、「民法I」では閾値(例えば、3.0P)を下回っているが、「商法I」では閾値以上である。このような場合には、中退予兆者でないと判断することができる。
なお、対象者抽出手段25は、中退予兆の抽出の別パターンとして、例えば、講義を全講義ではなく「必修講義」に絞ってもよく、また関連のある複数の講義をグループ化し、グループ単位で対象者を抽出してもよい。また、対象者抽出手段25は、出席率で抽出してもよい。出席率で抽出する場合、対象者抽出手段25は、例えば1つの講義で5回以上出席が取られている場合で、全講義の出席率が20%以下だった場合等を対象にして対象者を抽出することができる。
更に、本実施形態では、上述学習行動の指標値毎に中退予兆者の抽出を行ってもよい。図10は、学習行動の指標値に基づく中退予兆者の抽出例を説明するための図である。図10の例では、上述した学習行動に対する各指標値(例えば、積極性、計画性、継続性)のポイントを学生(例えば、A〜G君)毎にレーダーチャートで示している。これにより、各指標値の大きさを一見して比較することができ、学生毎に各指標のバランスや特徴を確認することができる。
また、図10の例では、全学生の平均値のレーダーチャートが表示されている。これにより、学生毎に平均値と容易に比較することができ、平均値と比較して各学生の学習行動にどのような傾向があるかを把握することができる。また、図10は、例えば授業クラス単位で表示することで、クラス単位での傾向を把握することができ、授業の内容や進め方等の改善を図ることができる。
ここで、図10の例において、中退予兆者を抽出する場合には、指標値毎に平均値の指標値と比較し、所定数(例えば、2つ)以上の指標値において平均値以下であり、更に平均値からの差が閾値(2.0P)以上である場合に、中退予兆者として抽出する。なお、抽出条件においては、これに限定されるものではなく、例えば、3つの指標値のうち2つが0ポイントの場合には、中退予兆者として抽出してもよい。
なお、上述した図8〜10は、例えば上述した画面生成手段29により生成され、ディスプレイ等の出力手段22に表示されたり、記憶手段23に記憶することができる。図8,図9に示すように、学習行動を可視化することで、点数や評価では見えない、クラスや学生個人の特徴、傾向等を把握することができ、更に学生毎に行動を細かく確認できるため、中退の予兆を早期に抽出することができ、抽出した学生に対して適切なコミュニケーション支援を行うことができる。
<友人情報の取得例>
次に、上述した友人情報取得手段26における友人情報の取得例について、図を用いて説明する。図11〜図13は、友人情報の取得例を示す図(その1〜その3)である。なお、図11は、ソーシャルメディア等におけるディスカッションに関する情報の一例を示し、図12は、ソーシャルメディア等における電子掲示板に関する情報の一例を示し、図13は、友人候補を選択するための優先友人ポイントの一例を示している。なお、図11〜図13については、A君が上述する中退予兆者とであるとし、そのA君の友人情報を取得する例を示す。
図11では、項目として、例えば「講義」、ディスカッションの「タイトル」、「投稿者」、「発言内容」、「返信者」等がある。図11の例では、ディスカッション教材に対するA君の投稿に対して、返信を返している学生が示されている。具体的には、例えば「民法」の講義の「○○について」というタイトルについて、A君が「○○だと思う。」と投稿したものに対して、B君、C君が返信したことを示している。
また、図12では、項目として、例えば「講義」、電子掲示板の「テーマ」、「投稿者」、「発言内容」、「返信者」等がある。図12の例では、電子掲示板でA君の投稿に対して、返信を返している学生が示されて入る。具体的には、例えば「民法」の講義の「○○について」というテーマについて、A君が「○○だと思う。」と投稿したものに対して、B君が返信したことを示している。
また、図13では、項目として、例えば「友人」、「返信回数」、「平均学習行動ポイント」、「優先友人ポイント」等がある。図13の例では、例えばA君のソーシャルメディアでのディスカッション又は電子掲示板に対して返信を行い、更に自己の平均学習行動ポイントが高い学生の上位数名を、学食クーポンを発行する友人候補として抽出する。この場合、返信回数と学習行動ポイントとを乗算した値を優先友人ポイントとして算出し、優先友人ポイントから上位数名(例えば、5名)を友人候補として抽出する。これは、返信が多いのは親しい友人であることと判断でき、また、平均学習ポイントが大きい学生は、講義への意欲がある(優等生)と判断できるからである。
これにより、図13の例では、B君、E君、F君、G君、I君の5名が抽出される。なお、友人候補の取得例についてはこれに限定されるものではなく、例えば所定の閾値(例えば、50ポイント)以上のポイントを有する学生を友人候補として取得してもよい。
<サービス提供手段27におけるクーポン発行例>
次に、サービス提供手段27におけるサービス提供の一例であるクーポン発行例について説明する。サービス提供手段27は、中退予兆者(対象者)とその友人に対してクーポンを発行する。発行するクーポンは、例えば学食クーポンや学校内の売店のクーポン等であるが、これに限定されるものではない。
また、クーポンは、複数人数が揃っていないと有効とならないものが好ましい。これにより、中退予兆者はクーポンを利用するために複数の友人と会う必要が生じるため、友人とのコミュニケーションを取りやすくなる。また、サービス提供手段27は、所定時間内に中退予兆者とその友人とがクーポンを利用した場合には会えたものと判断し、更にクーポンの利用前又は利用後の講義(授業)に中退予兆者が出席していた場合には、クーポンによる割引を有効にしたり、再度クーポンを発行したりすることができる。
ここで、図14は、クーポン発行の一例を示す図である。図14の例では、上述した第2のサービスの提供に対応するクーポンの再発行するときの設定条件を示すものである。なお、図14の例では、A君が中退予兆者であり、B君、C君が第1のサービスの提供によりクーポンが届いた友人である。
このような場合、A君〜C君に再度クーポンを配布する条件として、例えば図14に示すように設定することができる。例えば、A君〜C君が目的とする所定の講義(例えば、午後の講義)に3人とも出席している場合には、3人ともクーポンを利用できるように設定することができる。
また、図14に示すように、A君が出席している場合のみを条件として、A君〜C君の3人とも利用できるように設定してもよく、また出席したA君だけ利用したり、A君ともう一人だけ利用できるように設定してもよい。また、A君ともう一人だけ出席した場合に、3人とも利用できるように設定してもよく、またA君とクーポン利用した学生が出席した場合には、A君ともう一人だけ利用できるように設定してもよい。
このように予めクーポンを発行する条件を複数設定しておくことで、学生毎や講義毎に異なるクーポンの発行を行うことができるため、適切にクーポンを発行することができる。また、精算手段28において、適切にクーポンの精算を行うことができる。なお、クーポンの発行例については、これに限定されるものではない。
<画面生成手段29における画面例>
次に、画面生成手段29における画面例について、図を用いて説明する。図15は、クーポン発行時の画面例を示す図である。
図15(A)の例は、上述した中退予兆者である学生Aのクライアント端末12(例えば、携帯端末)に送られるメール受信画面の例を示している。図15(A)の例では「キャンペーンのお知らせ」としてクーポンを表示し、更にクーポンを共有する友達を選択させるような画面を生成する。つまり、本実施形態では、中退予兆者である学生Aを登校させるため、学食クーポンを発行すると共に、学生Aと友人とでクーポンを共有させる。
なお、友人の選択時には、例えば図15(B)に示すように、中退予兆者である学生Aが、クーポンを共有する友達を選択する画面を生成してクライアント端末12に表示させる。画面に表示される学生は、上述した友人情報取得手段26により取得された友人候補である。具体的には、例えば中退予兆者である学生Aが午前中の授業がある日に、同一の授業を取っている(学食を利用すると思われる)友人である。画面には、友人の顔画像や氏名情報等が表示されるがこれに限定されるものではない。また、本実施形態では、図15(B)に示すように複数の日付に対してクーポンを共有する友人を選択することができる。
中退予兆者は、図15(B)に示す画面から友人を選択する。選択された友人には、選択された旨を示すマークが画面に表示される。図15(B)の例では、選択された友人に「○」が表示されているが、表示形式はこれに限定されるものではない。
選択が完了すると、中退予兆者である学生Aの友人Bのクライアント端末12(例えば、携帯端末)に送信し、友達Bのクライアント端末の画面には、図15(C)に示すメール受信画面が表示される。
これにより、クーポンを利用するために友人Bと学生Aとの会う機会を与えてコミュニケーションを支援することができる。また、コミュニケーションにより、その後の行動を共にする可能性が増えるため同時に講義への出席率を向上させることができる。
なお、中退予兆者が講義に出席した場合、協力した友人に図15(D)に示すように2回目の学食クーポンを発行する。
なお、本実施形態におけるサービスの提供においては、クーポンを中退予兆者やその友人に発行する場合に、メールの内容等から中退予兆者であること、又は中退予兆者のコミュニケーションを支援しているとは気付かれないような文面にするのが好ましい。これにより、学校側に嫌な印象を与えることなく、中退予兆者の登校支援を行うことができる。
上述したように本実施形態によれば、適切なコミュニケーション支援を実現することができる。例えば、本実施形態では、学習行動から中退予兆者の学生を抽出すると、その学生の友人情報を読み出し、学生宛て及びその友人宛てに学内で利用できるサービスを提供する。また、本実施形態では、中退予兆者及びその友人サービスの利用時刻が所定時間内であることを検出すると、中退予兆者及び友人の少なくとも一方に対してサービスの提供を有効にさせることができる。これにより、本実施形態では、学生が登校する動機付けを与えることができ、友人とのコミュニケーションを促進させることができる。
なお、上述した実施形態では、学生の中退予兆を検知して改善させるコミュニケーション支援例について説明したが、これに限定されるものではなく、他のコミュニケーション支援にも広く適用することができる。
以上、各実施例について詳述したが、特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、上記変形例以外にも種々の変形及び変更が可能である。
なお、以上の実施例に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
中退の可能性がある学生を抽出し、抽出した学生の友人情報を取得し、
前記学生及び前記友人情報に対応する友人に対して学生食堂で利用可能なサービス提供情報を送信し、
前記学生食堂における前記学生の精算時刻と前記友人の精算時刻との間が所定時間内である場合に、前記学生及び前記友人のうち、少なくとも1人に前記サービス提供情報に応じたサービスを提供する、処理をコンピュータに実行させるためのコミュニケーション支援プログラム。
(付記2)
前記学生と前記友人との履修情報を参照し、前記学生と同一の履修科目を近日中に受講する学生を前記友人情報として取得することを特徴とする付記1に記載のコミュニケーション支援プログラム。
(付記3)
前記学生の講義に対する学習行動ポイントを算出し、前記学習行動ポイントが予め設定された閾値以下の場合に、前記中退の可能性がある学生として抽出することを特徴とする付記1又は2に記載のコミュニケーション支援プログラム。
(付記4)
前記学習行動ポイントを予め設定された少なくとも1つの指標値に基づいて算出することを特徴とする付記3に記載のコミュニケーション支援プログラム。
(付記5)
前記学習行動ポイントを学生毎が受講する全講義に基づいて、統計的に判断して前記中退の可能性がある学生を抽出することを特徴とする付記3又は4に記載のコミュニケーション支援プログラム。
(付記6)
前記学生と前記友人とが、前記サービスを所定時間内に利用すると共に、所定の講義に出席した場合に、提供された前記サービスに対する精算を行うことを特徴とする付記1乃至5の何れか1項に記載のコミュニケーション支援プログラム。
(付記7)
前記学生と前記友人とが、前記サービスを所定時間内に利用すると共に、所定の講義に出席した場合に、前記学生及び前記友人のうち、少なくとも1人に第2のサービスを提供することを特徴とする付記1乃至6の何れか1項に記載のコミュニケーション支援プログラム。
(付記8)
前記学生が前記友人情報に含まれる友人の中から前記サービスを提供する友人を選択することを特徴とする付記1乃至7の何れか1項に記載のコミュニケーション支援プログラム。
(付記9)
前記サービスを前記学生及び前記友人に所持するクライアント端末に表示させる画面を生成することを特徴とする付記1乃至8の何れか1項に記載のコミュニケーション支援プログラム。
(付記10)
中退の可能性がある学生を抽出する抽出ステップと、
前記抽出ステップにより抽出した学生の友人情報を取得する友人情報取得ステップと、
前記学生及び前記友人情報に対応する友人に対して学生食堂で利用可能なサービス提供情報を送信し、前記学生食堂における前記学生の精算時刻と前記友人の精算時刻との間が所定時間内である場合に、前記学生及び前記友人のうち、少なくとも1人に前記サービス提供情報に応じたサービスを提供するサービス提供ステップとを有することを特徴とするコミュニケーション支援方法。
(付記11)
中退の可能性がある学生を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出した学生の友人情報を取得する友人情報取得手段と、
前記学生及び前記友人情報に対応する友人に対して学生食堂で利用可能なサービス提供情報を送信し、前記学生食堂における前記学生の精算時刻と前記友人の精算時刻との間が所定時間内である場合に、前記学生及び前記友人のうち、少なくとも1人に前記サービス提供情報に応じたサービスを提供するサービス提供手段とを有することを特徴とする情報処理装置。