JP5958035B2 - ピンチロール速度制御装置及びピンチロール速度制御方法 - Google Patents
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Description
一般に、走間シャーで鋼板を切断するタイミングを跨ぐ所定期間では、走間シャーの入側直前に設けたピンチロール(シャー前ピンチロール)で鋼板を挟持する。ここで、シャー前ピンチロールには、切断後の走間シャー手前における鋼板の張力確保と、切断後の鋼板先端部の送り出しのために、鋼板速度に対して所定のリード率を持たせる。
この対策として、シャー前ピンチロールのリード率を下げることが考えられるが、リード率を下げると、特に薄鋼板の場合、切断後の鋼板先端部の巻取機への巻付き性が悪化してしまう。
そこで、本発明は、走間切断時における鋼板の破断を防止すると共に、巻取機への巻付き性を確保することができるピンチロール速度制御装置及びピンチロール速度制御方法を提供することを課題としている。
これにより、走間シャーによる切断に先立ってシャー前ピンチロールを閉じるとき、シャー前ピンチロールを鋼板速度に近い速度で回転させた状態で鋼板に接触させることができる。そのため、シャー前ピンチロールが鋼板に接触した際の張力変動を抑制することができ、過張力による鋼板の破断を確実に防止することができる。
これにより、走間シャーで切断した後の鋼板先端部を適切に巻取機へ送り出し、巻き付けることができる。
これにより、シャー前ピンチロールが閉じるときの鋼板の過張力による破断を防ぎ、また切断後の鋼板先端部の巻取機への巻付け性も同時に確保することができる。
(第1の実施形態)
(構成)
図1は、本実施形態に係るピンチロール速度制御装置を適用した冷間圧延ラインを示す図である。
図中、符号10は鋼板Sを圧延する冷間圧延ラインであり、ここでは、冷間圧延ライン10におけるタンデム冷間圧延機よりも下流側の設備のみを図示している。ここで、鋼板Sは、例えば板厚0.2mm以下の極薄材とする。
この通常の圧延時には、シャー前ピンチロール14は、鋼板Sを挟持していない状態でその回転が停止している。また、走間シャー15も非作動状態となっている。
仮に、走間切断時にシャー前ピンチロール14で鋼板Sを挟持しない場合、圧延時に鋼板Sに付与されていた張力は、走間シャー15による切断で解放される。そのため、鋼板Sが切断されると後行材には最終スタンド11側に戻る力が作用し、後行材を巻取機側へと送り込むことができない。
切断後の鋼板Sの先端部は、シャー前ピンチロール14によってカローゼルリール17に送給され、他方のマンドレル17bに巻き取られる。このとき、鋼板Sの先端部の巻付け性を確保するために、鋼板Sの速度よりもシャー前ピンチロール14の速度を速くする。鋼板速度に対するシャー前ピンチロール速度の比を、リード率αという。
シャー前ピンチロール14の圧下制御及び回転速度制御、並びに走間シャー15の駆動制御は、走間切断制御装置20によって行う。
この状態で、コントローラ21は、駆動装置24に駆動指令を出力して走間シャー15を起動し、鋼板Sを切断する。その後は、シャー前ピンチロール14で切断後の鋼板Sの先端部を送り出し、カローゼルリール17への巻付けが完了したらシャー前ピンチロール14を停止する。
図2は、コントローラ21で実行する走間切断制御処理手順を示すフローチャートである。この走間切断制御処理は、冷間圧延ライン10が作動したときに実行開始する。
先ずステップS1で、コントローラ21は、鋼板Sのシャーカットを行う必要があるか否かを判定する。ここでは、シャーカットを行う位置が予めライン上に定めた所定位置を通過したか否かを判定する。
次にステップS4では、コントローラ21は、前記ステップS3で鋼板Sをシャー前ピンチロール14で挟持してから所定時間Tbが経過したとき、速度制御装置22に対して、シャー前ピンチロール14を第2リード率α2で回転するような速度指令を出力する。ここで、第2リード率α2は、走間シャー15で切断した後の鋼板先端部のカローゼルリール17への巻付き性が確保されるような値(例えば7%)に設定する。これにより、シャー前ピンチロール14は第2リード率α2での回転に切り替わる。
次にステップS6では、コントローラ21は、走間シャー15で切断した鋼板Sの先端部がカローゼルリール17へ巻き付いたか否かを判定する。例えば、走間シャー15で鋼板Sを切断してから所定時間Tcが経過(鋼板Sが所定距離走行)したと判断したとき、カローゼルリール17への巻付きが完了したと判断する。そして、巻付きが完了していないと判断した場合にはそのまま待機し、巻付きが完了したと判断するとステップS7に移行する。
なお、図1の速度制御装置22、ステップS2のステップS2及びS4がリード率制御手段に対応し、図1の圧下装置23、図2のステップS3及びS7がピンチロール駆動手段に対応している。
次に、第1の実施形態の動作について、図3を参照しながら説明する。
図3において、(a)はシャー前ピンチロール14のリード率[%]、(b)はシャー前ピンチロール14の回転速度[mpm]、(c)は走間シャー15の回転位置[°]、(d)は最終スタンド(5std)11出側における鋼板Sの張力[kg/mm2]、(e)はシャー前ピンチロール14の開閉状態を示している。
冷間圧延ラインにおいて、タンデム冷間圧延機で圧延された鋼板Sが、最終スタンド11を通過した後、カローゼルリール17のマンドレル17aで巻き取られているものとする。
切断後の鋼板Sの尾端部は、マンドレル17aに巻き取られ、切断後の鋼板Sの先端部は、シャー前ピンチロール14によって送り出されて他方のマンドレル17bに巻き付けられる。このとき、シャー前ピンチロール14は、第2リード率α2で鋼板速度よりも速く回転しているため、鋼板Sの先端部をマンドレル17bへ適切に送り出し、マンドレル17bに確実に巻き付けることができる。
このように、走間シャー15による切断時に走間シャー15手前における鋼板Sの張力を確保し、更に、切断後の鋼板先端部を効率良く送り出すために、鋼板Sを走間シャー15で切断する時点(時刻t4)を跨ぐ所定期間(時刻t2〜時刻t5)、シャー前ピンチロール14で鋼板Sを挟持する。このとき、シャー前ピンチロール14には、所定のリード率αを持たせる。
図4において、(a)は最終スタンド(5std)出側における鋼板の張力[kg/mm2]であり、(b)はシャー前ピンチロールの開閉状態を示している。また、この図4は、時刻t11でシャー前ピンチロールを閉じ、時刻t12で走間シャーによる切断を行った場合を示している。
上記第1の実施形態では、鋼板を走間シャーで切断する時点を跨ぐ所定期間、シャー前ピンチロールを回転駆動し、当該シャー前ピンチロールで鋼板を挟持するので、走間シャーで鋼板を切断した際の走間シャー手前における鋼板の張力を確保することができる。
また、シャー前ピンチロールのリード率が、シャー前ピンチロールが閉じる時から走間シャーで鋼板を切断する時まで低い値となるように、シャー前ピンチロールの速度を制御するので、シャー前ピンチロールが閉じる時の鋼板の過張力を抑制することができる。
また、走間シャーで鋼板を切断する時点以降は、シャー前ピンチロールのリード率が高い値となるように、シャー前ピンチロールの速度を制御するので、切断後の鋼板先端部を適切に巻取機へ送り出すことができると共に、巻取機への巻付き性を確保することができる。
なお、上記実施形態では、シャー前ピンチロールが閉じるときの第1リード率α1を3%とし、カット後の第2リード率α2を7%とする場合について説明したが、例えば、第1リード率α1を1%とし、第2リード率α2を3%とすることもできる。第1リード率α1及び第2リード率α2は、鋼板速度や板厚、材料に応じて適宜変更することが好ましい。
Claims (4)
- 圧延機出側にシャー前ピンチロールと走間シャーとをこの順に有する圧延ラインを走行する鋼板を、前記走間シャーで切断する際の前記シャー前ピンチロールの速度を制御するピンチロール速度制御装置であって、
前記鋼板を前記走間シャーで切断する時点を跨ぐ所定期間、前記シャー前ピンチロールを回転駆動し、当該シャー前ピンチロールで前記鋼板を挟持するピンチロール駆動手段と、
前記所定期間のうち、前記鋼板を前記走間シャーで切断するまでの期間のピンチロール速度の鋼板速度に対するリード率を、前記鋼板を前記走間シャーで切断する時点以降の前記リード率よりも小さい値とするリード率制御手段を備えることを特徴とするピンチロール速度制御装置。 - 前記リード率制御手段は、前記鋼板を前記走間シャーで切断するまでの間の前記リード率を、前記ピンチロール速度が前記鋼板速度に近い速度となるような1〜3%程度の所定の値に設定することを特徴とする請求項1に記載のピンチロール速度制御装置。
- 前記リード率制御手段は、前記鋼板を前記走間シャーで切断する時点以降の前記リード率を、前記走間シャーで切断した後の鋼板先端部の巻取機への巻付き性が確保される値に設定することを特徴とする請求項1又は2に記載のピンチロール速度制御装置。
- 圧延機出側にシャー前ピンチロールと走間シャーとをこの順に有する圧延ラインを走行する鋼板を、前記走間シャーで切断する際の前記シャー前ピンチロールの速度を制御するピンチロール速度制御方法であって、
前記鋼板を前記走間シャーで切断する時点を跨ぐ所定期間、前記シャー前ピンチロールを回転駆動し、当該シャー前ピンチロールで前記鋼板を挟持するに際し、
前記所定期間のうち、前記鋼板を前記走間シャーで切断するまでの期間のピンチロール速度の鋼板速度に対するリード率を、前記鋼板を前記走間シャーで切断する時点以降の前記リード率よりも小さい値とすることを特徴とするピンチロール速度制御方法。
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