JP5957137B2 - 支援ラウドスピーカの可変セットを用いた、オーディオ事前補償コントローラの設計 - Google Patents

支援ラウドスピーカの可変セットを用いた、オーディオ事前補償コントローラの設計 Download PDF

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Description

本発明は、一般に、デジタルオーディオ事前補償に関する。本発明は、特に、音発生システムに対して複数個の信号を生成するデジタルオーディオ事前補償コントローラの設計に関する。これらの信号の生成目的は、あるリスニング環境の関心空間領域内の複数個の測定位置において測定された、補償された音発生システムの動的応答を補正することである。
アンプ、ケーブル、ラウドスピーカ、及び室内音響機器を含んだ音発生又は音再生システムは、その再生音のスペクトル特性、過渡特性、及び空間特性に対して、しばしば望ましからぬ仕方で、常に影響を与えるものである。特に、これらの装置が置かれた室内における音響的残響は、該システムの聴覚オーディオ特性に対して、相当量の且つしばしば有害な効果を及ぼすものである。この残響の効果は、どの周波数領域が指定されているかによって、しばしば異なる形態で記述される。低周波数領域では、該残響は、共振と定立波(即ち、いわゆる室内モード)という形で、しばしば記述される。これらの室内モードは、スペクトルの低周波数端部の個別周波数において鋭いピーク部と深いゼロ部を生成することにより、再生音に影響を及ぼす。一方、高周波数領域では、該残響は、ラウドスピーカ自体からの直接音より少し遅延してリスナーの耳に到達する反響音である、と一般に見なされている。
非常に高品質の音再生は、一般に以下のようにして得られる。即ち、まず、高品質のケーブル、アンプ、ラウドスピーカの互いに整合されたセットを用いる。更に、例えば音響拡散器、ヘルムホルツ共振器、及び音響吸収物質を用いることにより、室内の音響特性を補正する。しかしながら、音質を改善する為のこのような受動的手段は、取り扱いが面倒で、高価で、更に時として実現不可能でさえある。
音再生システムの品質を改善する為の他の手段は、事前補償、均等化、又は脱残響としばしば呼ばれる、デジタルフィルタリングに基づく能動的解決手段を含む。
図1の事前補償フィルタ

は、元々のオーディオ信号ソースとオーディオ装置の間に置かれている。音発生システムの動的特性は、室内の一個又は複数個の測定位置での既知テスト信号に対する該システムの応答を記録することにより、測定してモデル化し得る。該フィルタ

は、次に、計算し実装されて、(図1の

で表示されている)該音発生システムの測定された応答特性を事前に補償する。特に、該事前補償されたシステムの位相及び振幅応答は、全ての測定位置において、(図1の

で表示されている)事前に指定された理想的応答に近似していることが望ましい。換言すれば、事前補償された音再生

は、理想的音再生

にある程度の精度で一致することが必要である。該補償結果の音再生が理想的応答

の音特性を有するように、該事前補償器

により生成された事前歪みは、該システム

による歪みを打ち消す。堅牢で実用性のある事前補償器を構成するためには、該モデル

は実際のシステムの完全な記述でなくてもよく、且つ、該システム応答の記録は例えば背景ノイズによる擾乱を含み得る、という認識が重要である。このような測定及びモデル化誤差は、例えば(図1の

で表示されている)ノイズ信号を該システムに付加することにより表示されて、測定されたシステム出力

を生成する。以下に述べるように、モデル化誤差とシステムの不確実性は、該モデル

内に含まれ得る。その時、該モデル

は、指定された確率分布を有するランダム変数により部分的にパラメータ化される。
従って、非常に高価なオーディオ装置を使用するという高コスト性を必要とせずに、該音発生システムの物理的限界まで、音再生品質の改善を達成することが少なくとも理論的には可能である。このシステムの設計の目的は、例えば、不完全に造られたラウドスピーカキャビネットによって引き起こされる音響的共振及び回折効果を打ち消すことである。他の応用は、リスニングルーム内の異なる場所での室内モード(即ち、低周波数共振のピーク部とゼロ部)の影響を最小化することである。更に他の目的は、快適な音色バランスと詳細な聴覚ステレオ感を実現することである。
現在までに商業市場や科学文献に見られる、オーディオシステムのデジタル事前補償用の確立された方法は、主として、単一チャンネル事前補償方式である(例えば、[17]参照)。該単一チャンネル事前補償方式の原理は、一個のラウドスピーカへの入力信号は、(一個の)単一のフィルタによって処理される、ということである。すると、単一チャンネル事前補償が一個以上のラウドスピーカチャンネルを有する音再生システム(例えば、五個の広帯域チャンネルと、一個のサブウーファを有する5.1ホームシネマシステム)に適用された場合、それは、複数個の異なるラウドスピーカチャンネル用の複数個のフィルタを個別に、互いに独立に決定することになる、ということを意味する。各々の補償されたラウドスピーカが、その特定の理想的目標応答を全ての測定位置においてどの程度実際に達成可能なかは、主として、以下の二つの因子に依存する。
1.ラウドスピーカと室内のインパルス応答が完全には最小位相的性格ではない場合、最小位相ではない歪み成分を補正するために、補償フィルタはいわゆる混合位相型でなくてはならない。ほとんど全てのラウドスピーカ-室内インパルス応答は、非最小位相歪み成分を含む[23]。従って、最小位相フィルタでは、システムが完全に目標応答に到達するようにシステムを補償する為には不充分である。しかしながら、オーディオ用の混合位相フィルタの設計は、最小位相フィルタの設計ほど簡単明瞭ではない。従って、大部分の現存するデジタル事前補償用のフィルタ製品は、最小位相型に限定されている。
2.室内で通常そうであるように、一個のラウドスピーカのインパルス応答が異なる測定位置間で変化する場合には、単一のフィルタでは全ての測定位置において該ラウドスピーカのインパルス応答を補正することは不可能である。この不可能性は、異なる測定位置での対立する必要要件の為である。平均的な意味では、補償されたシステムの応答は、目標応答に近似している。しかしながら、システムの該空間的可変性の為に、各測定位置において常に残存誤差が発生してしまう。更に、混合位相補償器を使用した場合、該補償器が非常に注意深く設計されていない限り、いわゆる「プレベル」の形で誤差が発生し得る[5]。このプレベル誤差は、ポストベル誤差より聴覚的には遥かに不快であることが知られている。なお、全ての測定位置に共通する非最小位相歪みのみを補正することによってプレベル誤差の問題を軽減する混合位相補償器、の設計法が[5、6]において提示されている。
従って、単一チャンネル事前補償方式は、複数個の測定位置を想定した場合には平均的な意味でしかインパルス及び周波数応答を補正できないという意味で、潜在的な限界を持つ。一個のラウドスピーカの元の応答が測定位置間で非常に変化する音響環境においては、この可変性は補償されたラウドスピーカの応答においても残存してしまう。もっとも、補償されたシステムの性能は、平均的には目標性能に近似されているのであるが。更に、唯一個の測定位置に関する補償器の設計は、現実的な選択肢ではない。その理由は、こうした単一点設計は極端に非堅牢なフィルタを構成してしまい、室内の他の全ての測定位置におけるシステムの性能を劣化させる、という事実が良く知られているからである[13、14]。
結論として、単一チャンネル事前補償方式は、関心空間領域上において系統的である劣化、即ち、全ての測定位置に共通する、又はほとんど共通する歪み成分、を補正するには最も有効である。典型的には、このような系統的な劣化は、ラウドスピーカ自体、ラウドスピーカに非常に近接する反響面、又は、その波長が関心空間領域より長い低周波数の室内音響機器、によって引き起こされる。音響環境を含めた音再生システムにおいて、その空間的に変化する歪みがその空間的に共通する歪みを凌駕するような場合、単一チャンネル事前補償方式によって提供される音品質の改善は、残念ながら相当小さいと言わざるを得ない。
上記の説明を考慮して、高性能の事前補償戦略は、例えば、既存の単一チャンネル事前補償方式によって提示されているよりもより柔軟な仕方でラウドスピーカとフィルタ構造を利用することにより得られるのではないか、と思われるかもしれない。実際、従来の単一チャンネルフィルタリングを超えた幾つかの異なる戦略が、音響関連の研究論文において提起されている[2、7、9、10、11、12、18、21、22、24、25、29、33、34]。概括すると、これらの既知方法は、以下の範疇に分類される。
1.第一範疇の方法は、室内音響機器に関する物理的洞察、そして特にラウドスピーカと室内の低周波数共振モード間の音響結合に関する物理的洞察、に基づくものである。ラウドスピーカの注意深く選定された物理的配置と、幾つかのサブウーファの使用は、室内モードの影響を削減する支援になることは良く知られている[34]。
2.他の原理は、音源-流し法[7、8、33]である。この方法においては、室内モードの影響は、室内に一組のサブウーファを対称的に配置することにより削減される。その後、遅延、利得、位相調整が、異なるサブウーファチャンネルに適用される。この方法によれば、室内の前壁に存在するサブウーファは、音源として振る舞う。一方、後壁に存在する、遅延、利得、位相調整されたサブウーファは、流し(即ち、後壁からの低周波数反響を打ち消す音吸収体)として振る舞う。しかしながら、この方法は限定されていて、スペクトルの最低周波数部分(150Hz以下)でしか機能しない。更に、サブウーファ信号に為される該調整の種類は、非常に原始的なものである。
3.第三の重要な方法は、モード等化法[16、21]である。この方法においては、モード共振とそれらの遅延時間は、デジタル事前フィルタによって等化される。この方法は、単一室内モードの中央周波数と遅延時間の明示的な同定を含む。しかしながら、この方法は限定されていて、室内共振が固有的で周波数軸上で充分に分離できる極低周波数帯(典型的には、200Hz以下のみ)でしか機能しない。参考文献[16]において、二つの可能なモード等化アプローチが説明されている、即ち、単一チャンネル等化器であるタイプI、と室内モードを打ち消す為に二個以上のチャンネルを用いるタイプII、である。[16]において、二個以上のチャンネルを用いる場合にはタイプIIのモード等化用のフィルタ設計は簡単明瞭ではない、ことが確認されている。更に、多重チャンネル設計の場合に対する明示的なソリューションは提示されていない。モード等化法は、典型的な室内では一般に成立しない仮定に依拠しているので、全体的には不満足なものである。この仮定というのは、例えば、等化を受ける全てのモードが充分に分離されて、高精度で見積り可能である、といった仮定である。
4.第四範疇の方法は、様々な目的下における多重チャンネルフィルタの設計に基づく方法である。その一つの目的は能動的なノイズ制御で、これは、一個又は幾つかのラウドスピーカからの音を用いて望ましからぬ音響的擾乱を打ち消すものである(例えば、[11]参照)。二番目の目的は、(典型的には人間のリスナーの耳の位置である)少数の空間位置における特定の音圧の正確な再生を図ることである。このアプローチはしばしば、クロストーク解除法、仮想音響画像法、又はトランサウラルステレオ法と呼ばれる[2、22、24、25]。このアプローチの欠陥は、その性能がリスナーの小さな動きにも極端に敏感であり、普通の残響的な室内では特に非堅牢な性質になってしまうことである。三番目のよくある目的は、波動場合成(WFS)及び高次アンビソニクス(HOA)[10、28、30]のような、「ホロフォニックな」オーディオ提供技術に関するものである。このホロフォニックなオーディオ提供技術は、五十個以上のラウドスピーカから成る大規模ラウドスピーカアレイを用いて、二次元又は三次元で広大な領域に渡って任意の音波場を再生することを目的とする。WFS、HOA、及びそれらの関連技術の性能を改善するために、幾つかの多重チャンネルフィルタの設計が提案されている(例えば、[9、12、18、29]参照)。四番目の目的は、いわゆる低音管理を採用した音システムにおける、サブウーファと衛星ラウドスピーカ間の交差周波数領域で発生する破壊的な位相相互作用の最小化、に関するものである[3]。さて、以上に言及したこれらの多重チャンネルフィルタの設計は、一般的なラウドスピーカ事前補償問題のソリューションとしては適切なものではない。その理由は、第一に、これらの設計は単一チャンネル事前補償方式と比較して、その目的が相当に異なる。第二に、提案されている計算方法は、不満足な特性のフィルタを構成してしまう。例えば、大部分のこれらの方法は、因果律のような広帯域フィルタの行動、システム媒介の最大許容遅延、及びプレベル誤差の程度と期間とは無関係な態様で、対応する周波数領域においてフィルタを設計してしまう。
上記先行技術における多重チャンネルフィルタの設計方法のいずれも、現在のステレオ又は多重チャンネルオーディオ再生用のラウドスピーカ設置方式に対する、堅牢で且つ広帯域なラウドスピーカ/室内オーディオ事前補償の提供、という目的に関しては有用ではない。
一般的な目的は、二個以上のラウドスピーカ上でのステレオ又は多重チャンネルオーディオ素材の再生性能を改善する為の、拡大された事前補償戦略、を提供することである。
一つの特定の目的は、連係する音発生システム用のオーディオ事前補償コントローラを決定する為の方法、を提供することである。
他の特定の目的は、連係する音発生システム用のオーディオ事前補償コントローラを決定する為のシステム、を提供することである。
更に他の特定の目的は、連係する音発生システム用のオーディオ事前補償コントローラを決定する為のコンピュータプログラム製品、を提供することである。
又、一つの特定の目的は、改善されたオーディオ事前補償コントローラはもちろん、そのようなオーディオ事前補償コントローラとそのようなオーディオ事前補償コントローラによって生成されたデジタルオーディオ信号を備えるオーディオシステム、を提供することである。
本発明のこれらと他の目的は、添付された特許請求の範囲での定義により明白になるであろう。
本発明の基本思想は、連係する音発生システム用のオーディオ事前補償コントローラを決定することであって、該音発生システムは合計でN≧2個のラウドスピーカを備え、各ラウドスピーカは各々一個のラウドスピーカ入力を有する。該オーディオ事前補償コントローラは、L個のコントローラ入力信号用のL≧1個のコントローラ入力と、N個のコントローラ出力信号用のN個のコントローラ出力を有し、一個の該コントローラ出力が該音発生システムの各ラウドスピーカに対応する。該オーディオ事前補償コントローラは、一般に、調整可能な複数個のフィルタパラメータを有する。該N個のラウドスピーカ入力の少なくともその部分セットの各々一個のラウドスピーカ入力に対して、M≧2個の複数個の測定位置の各々において、該M個の測定位置の各々における音測定に基づいて、各々一個のインパルス応答を見積ることは適切で妥当であり、ここで該M個の測定位置はあるリスニング環境の関心領域内に分布する。又、該L個のコントローラ入力信号の各々に対して、該N個のラウドスピーカのうち選定された一個を基幹ラウドスピーカとして、且つ、該N個のラウドスピーカのうちの少なくとも一個を含む選定されたラウドスピーカの部分セットSを一個の(又は複数個の)支援ラウドスピーカとして指定する、ことも重要であり、ここで該基幹ラウドスピーカはこの部分セットSの要素ではない。基本思想の要点は、基幹ラウドスピーカの各々に対して、該M個の測定位置の各々において、各々一個の目標インパルス応答を指定することであり、ここで該目標インパルス応答は音響的な伝播遅延を有し、該音響的伝播遅延は該基幹ラウドスピーカから該測定位置の各々までの距離に基づいて決定される。すると基本思想は、該L個のコントローラ入力信号の各々に対して、該選定された一個の基幹ラウドスピーカと該選定された一個の(又は複数個の)支援ラウドスピーカに基づき、該オーディオ事前補償コントローラの動的挙動の安定性という拘束条件の下で基準関数が最適化されるように、該オーディオ事前補償コントローラの該複数個のフィルタパラメータを決定する、ということになる。該基準関数は、該M個の測定位置上での補償された該見積られたインパルス応答と該目標インパルス応答間のパワー差の重み付けされた総和、を含むものである。
本発明の異なる態様は、オーディオ事前補償コントローラを決定する為の方法、システム及びコンピュータプログラム、そのように決定されたオーディオ事前補償コントローラ、そのようなオーディオ事前補償コントローラを組み込まれたオーディオシステム、更に、そのようなオーディオ事前補償コントローラによって生成されたデジタルオーディオ信号、を含む。
本発明は、以下の利点を提供する。
・オーディオ事前補償コントローラの改善された設計方式
・二個以上のラウドスピーカ上でのステレオ又は多重チャンネルオーディオ素材の改善された再生
・ラウドスピーカのインパルス応答が空間位置で変化する室内又はリスニング環境におけるより高い性能
・性能改善が低周波数領域に限定されない高度の柔軟性
・因果律及びプレベルアーチファクトのような問題の制御
本発明によって提供される他の利点と特徴は、本発明の実施例に関する以下の記述を読めば理解されるであろう。
本発明は、添付図面と関連して与えられる以下の記述を参照すれば、その更なる目的と利点と共に、より良く理解されるであろう。
図1は、信号w(t)を入力信号として有する単一チャンネル事前補償器Rを示す。該単一チャンネル事前補償器Rは、該音響システムの該安定、線形、動的な単一入力多重出力(SIMO)モデルHへの入力として振る舞う制御信号u(t)、を生成する。該モデルHは、一個の入力とM個の出力を有し、ここで該M個の出力はM個の測定位置を表す。該M個の測定位置における複数個の音響信号は、事前補償された列ベクトルy(t)で表される。y(t)の望ましい動的システム特性は安定なSIMOモデルDで指定され、該SIMOモデルDは一個の入力とM個の出力を有する。該信号w(t)がDへの入力として使用される場合、その出力結果は、(M個の要素を有する)望ましい理想的信号ベクトルyref(t)である。該M次元の信号ベクトルy(t)はy(t)の一回の測定結果を表し、やはりM次元の該信号ベクトルe(t) は存在し得る測定擾乱を表す。 図2は、信号w(t)を入力信号として有する多重チャンネル事前補償器Rを示す。該多重チャンネル事前補償器Rは、該音響システムの該安定、線形、動的な多重入力多重出力(MIMO)モデルHへの入力として振る舞う(N個の要素を有する)多重制御信号u(t)、を生成する。該モデルHは、N個の入力とM個の出力を有し、ここで該N個の入力はN個のラウドスピーカへの入力を表し、該M個の出力はM個の測定位置を表す。該M個の測定位置における複数個の音響信号は、事前補償された列ベクトルy(t)で表される。y(t)の望ましい動的システム特性は安定なSIMOモデルDで指定され、該SIMOモデルDは一個の入力とM個の出力を有する。該信号w(t)がDへの入力として使用される場合、その出力結果は、(M個の要素を有する)望ましい理想的信号ベクトルyref(t)である。該M次元の信号ベクトルy(t)はy(t)の一回の測定結果を表し、やはりM次元の該信号ベクトルe(t)は存在し得る測定擾乱を表す。 図3は、音発生システムとオーディオ事前補償コントローラを含むオーディオシステムの例、を示す概略図である。 図4は、本発明の実装に適したコンピュータベースシステムの例、を示す概略ブロック図である。 図5は、例示実施例によるオーディオ事前補償コントローラを決定する為の方法、を示す概略フロー図である。 図6は、64個の測定位置(灰色の線)において測定された、一個の室内ラウドスピーカの周波数応答と、これらの周波数応答の二乗平均平方根(RMS)平均(黒色の線)である。 図7は、単一チャンネル事前補償フィルタがその入力に適用された後の、図6と同一のラウドスピーカの周波数応答である。図7は、64個の測定位置(灰色の線)において測定された該周波数応答と、これらの周波数応答の二乗平均平方根(RMS)平均(黒色の線)を示す。 図8は、図6のラウドスピーカを基幹ラウドスピーカとして、且つ15個の追加ラウドスピーカを支援ラウドスピーカとして用いた多重チャンネル事前補償、の結果を示す。図8は、64個の測定位置(灰色の線)において測定された該周波数応答と、これらの周波数応答の二乗平均平方根(RMS)平均(黒色の線)を示す。 図9は、事前補償が何ら適用されていない場合の、図6と同一のラウドスピーカの瀑状プロット、即ち、その累積スペクトル減衰を示す。図9に示す曝は、64個の測定位置における該ラウドスピーカのインパルス応答の平均累積スペクトル減衰を示す。 図10は、単一チャンネル事前補償フィルタが適用された場合の、図7と同一のラウドスピーカの瀑状プロット、即ち、その累積スペクトル減衰を示す。図10に示す曝は、64個の測定位置における事前補償された該ラウドスピーカのインパルス応答の平均累積スペクトル減衰を示す。 図11は、多重チャンネル事前補償戦略が適用されて、15個の追加支援ラウドスピーカを用いて該基幹ラウドスピーカを事前補償する場合の、図8と同一のラウドスピーカの瀑状プロット、即ち、その累積スペクトル減衰を示す。図11に示す曝は、64個の測定位置における事前補償された該ラウドスピーカのインパルス応答の平均累積スペクトル減衰を示す。
図面を通じて、同一の参照番号は類似した又は対応する要素に使用する。
提案された技術は、以下の認識に基づく。即ち、動的システムの数学的モデルとデジタル事前補償フィルタのモデルベース最適化は、様々な種類のオーディオ装置への入力信号を補正することによってそれらの性能を改善するフィルタ、を設計する為の強力な道具を提供する。更に、適切なモデルは、あるリスニング環境の関心領域内に分布する複数個の測定位置における複数個の測定により得られる、ことに注意せよ。
前述のように、本発明の基本思想は、連係する音発生システム用のオーディオ事前補償コントローラを決定することである。図3の例に例示されているように、該音発生システムは合計でN≧2個のラウドスピーカを備え、各ラウドスピーカは各々一個のラウドスピーカ入力を有する。該オーディオ事前補償コントローラは、L個のコントローラ入力信号用のL≧1個のコントローラ入力と、N個のコントローラ出力信号用のN個のコントローラ出力を有し、一個の該コントローラ出力が該音発生システムの各ラウドスピーカに対応する。該コントローラ出力信号は該ラウドスピーカ方向を指向している、即ち、該ラウドスピーカの入力経路方向を指向している、ことが理解されるべきである。該コントローラ出力信号は、デジタル-アナログ変換器、アンプ、追加フィルタのような(破線で示されている)選択的回路を介して、該ラウドスピーカ入力に伝達され得る。該選択的回路は、無線リンクを含み得る。
該オーディオ事前補償コントローラは一般に、フィルタの設計方式で決定されるべき、調整可能な複数個のフィルタパラメータを有する。従って、該オーディオ事前補償コントローラは、設計時にN個のコントローラ出力信号を該音発生システムに対して生成すべきである。この出力信号生成の目的は、あるリスニング環境の関心領域内に分布する、M≧2個の複数個の測定位置において測定された、事前補償された該システムの動的応答、を補正することである。
図5は、例示実施例によるオーディオ事前補償コントローラを決定する為の方法、を示す概略フロー図である。段階S1では、該N個のラウドスピーカ入力の少なくともその部分セットの各々一個のラウドスピーカ入力に対して、M≧2個の複数個の測定位置の各々において、該M個の測定位置の各々における音測定に基づいて、各々一個のインパルス応答を見積り、ここで該M個の測定位置はあるリスニング環境の関心領域内に分布する。段階S2では、該L個のコントローラ入力信号の各々に対して、該N個のラウドスピーカのうち選定された一個を基幹ラウドスピーカとして、且つ、該N個のラウドスピーカのうちの少なくとも一個を含む選定されたラウドスピーカの部分セットSを一個の(又は複数個の)支援ラウドスピーカとして選定し、ここで該基幹ラウドスピーカはこの部分セットSの要素ではない。段階S3では、基幹ラウドスピーカの各々に対して、該M個の測定位置の各々において、各々一個の目標インパルス応答を指定し、ここで該目標インパルス応答は音響的な伝播遅延を有し、該音響的伝播遅延は該基幹ラウドスピーカから該測定位置の各々までの距離に基づいて決定される。段階S4では、該L個のコントローラ入力信号の各々に対して、該選定された一個の基幹ラウドスピーカと該選定された一個の(又は複数個の)支援ラウドスピーカに基づき、該オーディオ事前補償コントローラの動的挙動の安定性という拘束条件の下で基準関数が最適化されるように、該オーディオ事前補償コントローラの該複数個のフィルタパラメータを決定する。該基準関数は、該M個の測定位置上での補償された該見積られたインパルス応答と該目標インパルス応答間のパワー差の重み付けされた総和、を含むものである。
異なる表現では、該オーディオ事前補償コントローラは、(P≦L且つP≦Nである)P個の基幹ラウドスピーカの音響応答を、該P個の基幹ラウドスピーカと、各基幹ラウドスピーカ毎の該N個のラウドスピーカのうちの個数が1≦S≦N−1である追加支援ラウドスピーカの組み合わされた使用、により制御するように構成される。
二個以上の入力信号が存在すれば、即ち、L≧2であれば、該方法は又選択的段階S5を含み得て、該選択的段階S5では、該L個の入力信号に対して決定された全ての該複数個のフィルタパラメータを、該オーディオ事前補償コントローラ用のフィルタパラメータの一個の合成セットに合成する。該フィルタパラメータの該合成セットを有する該オーディオ事前補償コントローラは、該L個の入力信号に作用するように構成されて、該N個のコントローラ出力信号を該ラウドスピーカに対して生成して該目標インパルス応答を形成する。
例として、該オーディオ事前補償コントローラが、その調整可能な複数個のフィルタパラメータのある設定の実現の為に、該N個のラウドスピーカのうちの幾つかに対して出力ゼロを生成する能力を持つのは、望ましい事であろう。
好適には、該目標インパルス応答は非ゼロであり、且つ所定の限界内で補正され得る調整可能な複数個のパラメータを含む。例えば、該目標インパルス応答の該調整可能な複数個のパラメータは、該オーディオ事前補償コントローラの該調整可能な複数個のパラメータと同様に、該基準関数を最適化するという目的の為に協同的に調整され得る。
特定の例示実施例において、該オーディオ事前補償コントローラのフィルタパラメータを決定する該段階は、任意の目標動的システムと該音発生システムのある動的モデルに基づく安定、線形、因果的多重可変フィードフォーワードコントローラのパラメータの線形二次ガウシアン(LQG)最適化に基づく。前述のように、該N個のコントローラ出力信号は、選択的回路を介して、該ラウドスピーカ入力に伝達され得る。例えば、該オーディオ事前補償コントローラの該N個のコントローラ出力信号の各々一個は、位相補償成分と遅延成分を含む全域通過フィルタを介して各ラウドスピーカに供給され得て、フィルタされたN個のコントローラ出力信号が生成される。
選択的には、該基準関数はペナルティ項を含む。該ペナルティ項においては、該基準関数を最適化して得られた該オーディオ事前補償コントローラが、制限されたマグニチュードの信号レベルを該オーディオ事前補償コントローラ出力の選定部分セット上で生成して、更に該制限信号レベルを選定ラウドスピーカ入力上で特定周波数帯域用の該N個のラウドスピーカに対して供給する。
該ペナルティ項は、異なった形態で複数回選択され得る。更に、該オーディオ事前補償コントローラのフィルタパラメータを決定する該段階は、該ペナルティ項の各選択毎に反復されて、該オーディオ事前補償コントローラの複数個の事例をもたらす。該事例の各々は、個別に制限されたマグニチュードの信号レベルを、特定周波数帯域用の該S個の支援ラウドスピーカに対して生成する。
更なる選択的実施例において、該基準関数は、該見積られたインパルス応答において存在し得る誤差の表示を含む。この誤差表示は、誤差の想定範囲を記述する複数個のモデルの一個のセットとして設計される。この特定実施例において、該基準関数は又、該モデルのセット上での合計、重み付けされた合計、又は統計的期待値であり得る一個の総計操作、を含むものである。
特定例において、該オーディオ事前補償コントローラのフィルタパラメータを決定する該段階は又、該オーディオ事前補償コントローラのフィルタパラメータを調整することに基づく。該フィルタパラメータの該調整は、該M個の測定位置の少なくとも一個の部分セットにおいて、該オーディオ事前補償コントローラを含む該音発生システムの目標マグニチュード周波数応答に到達するように遂行される。
例として、該オーディオ事前補償コントローラのフィルタパラメータを調整する該段階は、該M個の測定位置の少なくとも一個の部分セットにおけるマグニチュード周波数応答を評価し、その後、該オーディオ事前補償コントローラを含む該音発生システムの最小位相モデルを決定する、ことに基づく。
好適には、該N個のラウドスピーカ入力の少なくともその部分セットの各々一個のラウドスピーカ入力に対して、M個の複数個の測定位置の各々において各々一個のインパルス応答を見積る該段階は、該M個の測定位置における該音発生システムの動的応答を記述するモデルに基づく。
当業者には理解されようが、該オーディオ事前補償コントローラは、オーディオフィルタ構造における該フィルタパラメータを実装することによって作製し得る。該オーディオフィルタ構造は、典型的には該音発生システムと共に実装されて、該リスニング環境内の該M個の測定位置における該目標インパルス応答の生成を可能にする。
提案された上記技術は、多くのオーディオ応用において利用し得る。例えば、該音発生システムは自動車オーディオシステム又は移動スタジオオーディオシステムであり得て、該リスニング環境は自動車又は移動スタジオの一部であり得る。該音発生システムの他の例は、映画館オーディオシステム、コンサートホールオーディオシステム、家庭オーディオシステム、又は専門家用オーディオシステムを含む。該専門家用オーディオシステムにおいては、その対応するリスニング環境は、映画館、コンサートホール、家庭、スタジオ、公会堂、又は他の任意の施設の一部である。
提案された上記技術は、限定されない様々な例示実施例に関連して、以下により詳細に説明される。
(線形動的な事前補償による音場制御)
多重入力且つ/又は多重出力を有し得る線形フィルタ、動的システム又はモデルは、以下に述べる伝達関数行列により表されて、例えば

又は単に

と、太字筆記体により表記される。伝達関数行列の特別な場合は、その要素としてFIRフィルタのみを含む行列である。そのような行列は多項式行列と呼ばれ、例えば

又は単に

と、太字イタリック体の大文字により表記される。ここで、q−1は後退シフト作用素であり、信号

に作用した際に

を生成する、即ち、

である。同様に、

である。関係する周波数領域で多項式行列又は有理行列を評価する際には、

を複素変数

即ち

と交換する。FIRフィルタ(多項式行列)

の因果律行列は、時間変数

に関して現在又は過去である入力信号にのみ作用する。従って、該因果律行列は、後退シフト作用素

においてのみ多項式である行列要素を有することになる。同様に、多項式行列

は未来信号と過去信号の双方に作用し、一方、

は未来信号にのみ作用する。例えば

のような上付き添え字(・)は、転置操作を意味する。該転置操作の意味するところは、それがベクトル、有理行列、又は多項式行列に対して使用された際には、転置された行ベクトルが列ベクトルになり、有理行列又は多項式行列のj行が同一行列のj列になる、ということである。同様に、下付き添え字(・)は、複素共役転置操作を意味する。該複素共役転置操作が意味するところは、ベクトル、有理行列、又は多項式行列はまず上述のように転置され、更に、それらの要素の複素共役が取られる、ということである。例えば、複素共役転置された有理行列

は、

と表記される。単位行列は、対角線上に1が複数個並んだ定数行列である。単位行列は

、又は、その次元がN×Nなら

と表記される。例えば

のような他の定数行列は、次元がN×Nのゼロ行列を表す。更に、diag([F1...FN])は、対角線上にF1...FNが並んだ対角行列である。一方、

は、行列

のトレース、即ち、行列

の対角要素の和、を表す。
補正されるべき該音発生又は音再生システムは、図2の線形、時間不変、及び安定、動的なモデル

、により表される。該モデル

は、N個の入力信号の一個のセット

とモデル化されたM個の出力信号の一個のセット

間の、離散時間における関係、を記述するものである:

ここで、

は、離散時間変数(単位標本化時間が仮定されている、例えば

は、時間

から一標本化時間だけ未来を意味する)を表す整数である。該信号

は、該M個の測定位置におけるモデル化された音圧時系列、を表すM次元の出力列ベクトル、である。該作用素

は、伝達関数行列の形態における該音響的な動的応答の一つのモデル、を表している。該作用素

は、その行列要素が例えばFIRフィルタ又はIIRフィルタとして表されている安定、線形、動的な作用素又は変換である、M×N次元の行列である。これらのフィルタは、N次元で時間依存の入力列ベクトル

に対する応答

を決定する。該M×Nモデル

がその要素としてIIRフィルタを含む場合、

は、いわゆる右マトリックス分数記述(右MFD)形式で書くことが可能である。

ここで、

は、それぞれ、M×NとN×N次元の多項式行列である[15]。該右MFD形式は以下の説明において非常に有用であり、該分母行列を該単位行列に設定、即ち、

と置けば、該FIRフィルタ行列を特別な場合として含む。
該伝達関数行列

は、該音発生又は音再生システムの全体又は一部による効果を表している。この効果とは、任意のデジタル補償器、デジタル-アナログ変換器、アナログアンプ、ラウドスピーカ、ケーブル、及び室内音響機器の応答である。換言すれば、該伝達関数行列

は、ある音発生システムの関係部品の動的応答を表している。該音発生システムに対する(N次元の列ベクトルである)該入力信号

は、該音発生システムのN個のアンプ-ラウドスピーカの連鎖の各々に対する入力信号を表している。(「測定」を表す下付き添え字mを有する)該信号

は、該M個の測定位置における真の(即ち、測定された)音時系列を表すM次元の列ベクトルである。該信号

は、背景ノイズ、モデル化され得ない室内反響、不正確なモデル構造の効果、非線形歪み、及び他のモデル化され得ない寄与を表している。該

のM次元の列の各々は、該N個のラウドスピーカ入力の一つと該M個の測定位置間の該M個の伝達関数の各々、を表している。
該モデル

は又、有理行列

で表される、加法的又は乗法的なモデル不確定性、を含む。例えば、このモデル不確定性

がランダム係数を有する多項式行列によりパラメータ化される場合には、適切なモデルは

となるであろう。ここで、

は基本モデルであり、又、ランダム係数により部分的にパラメータ化されている

が該不確定性モデルを構成している。

に対する該マトリックス分数記述を書き下すと、

の分解(3)は、

と展開される。ここで、

である。行列

はM×N次元であるが、行列

はN×N次元である。行列

は該基本モデル

を構成し、

の要素は確率変数を係数とした多項式である。単純化の為に、これらの係数はゼロ平均と単位分散を持つと仮定する。該フィルタ

は、該確率的不確定性モデルのスペクトル分布を整形する為に使用される。該フィルタ

は又、単位元とは異なる該ランダム係数の分散を吸収する為にも使用される。単純化の為に、分母行列

は、結局対角行列だと仮定する。該システムが(3)のように表される場合には、

は複数個のモデルの一個のセットと見なし得て、該システムの測定された応答における存在し得る誤差の範囲を記述する。上記の確率的モデル化の枠組みに関する一般的な入門の為に、読者は[27]とそこの参考文献を参照されたい。不確定性

のモデル化は多くの方法で成し得るものであり、上記の定式化は、該モデル化が系統的にどのように達成され使用されるかに関する単なる一例に過ぎない。
音場制御の一般的な目的は、基準となる動的挙動に対して(1)により表される音発生システムの動的挙動を補正することである。この目的の為に、動的システムの基準行列(即ちこの場合、ある列ベクトル)

を導入する:

ここで、

は、現在の又は記録された音源を表す、又は、該フィルタの設計に使用されるテスト信号を含んだ、人工的に生成されたデジタルオーディオ信号さえも表す、信号である。該信号

は、例えば、デジタル的に記録された音、又は標本化されデジタル化されたアナログ音源を表し得る。(5)において、該行列

は、既知と仮定されている、M×1次元の安定的な伝達関数列ベクトルである。この線形で離散時間の動的システム

は、設計者により指定されるべきものである。該動的システム

は、(1)における該列ベクトル

の基準となる動的挙動(即ち、願望目標の動的挙動)を表す。該事前補償されたシステムにおいて、該信号

は、合計でL個の入力ソース信号の内の一個を表す。該M個の測定位置におけるその望ましい効果は、(5)における

の要素D,...,Dで表される。該システム

は、調整可能な複数個のパラメータの一個のセットを含み得る。代替的に、該システム

は、その仕様を介してそのようなセットによって間接的に影響を及ぼされ得る。
該オーディオ事前補償コントローラは、一般的に

で表される、多重可変で動的な離散時間の事前補償フィルタとして実現されると仮定されている。この事前補償フィルタ

は、該信号

の線形動的処理に基づき、該音再生システム(1)に対して該入力信号ベクトル

を生成する:

このオーディオ事前補償コントローラは、調整可能な複数個のパラメータの一個のセットを含む。これらのパラメータは、コントローラの入力-出力の動的特性を補正するに充分な柔軟性を可能にするものである。例えばこれらのパラメータは、適当なパラメータ設定に対して

の幾つかの成分又は全体がゼロになることを可能にする。しかしながら、

の最適化は、

を入力-出力の安定動的システムに構成するパラメータ設定に限定されるべきである。
我々の設計目的は、N×1次元の安定的な伝達関数行列を構築することである。ここで、この伝達関数行列は、該音再生システム(1)の該事前補償されたモデル出力

が指定された基準に従い該基準ベクトル

に充分に近似するように、該入力信号ベクトル

を該音再生システム(1)に対して生成する。この目的は、

であれば達成されるであろう。
該M個の測定位置における対応するモデルベースの近似誤差は、

と表される。
すると、図2と(1)により、真の測定された誤差ベクトルは、

となる。該近似(7)は、

における限定されたN個のラウドスピーカ、比較的多数のM個の測定位置、及び複雑で広帯域の音響的な動的モデルという条件下では、実際には決して正確にはなり得ない。達成可能な近似特性は、一般には、設定された問題の条件に依存するのである。固定された任意の音響環境においては、ラウドスピーカチャンネルの個数Nを増やせば、近似特性は一般には改善される。又、リスニング領域内での測定位置の数Mを増やせば、近似特性は改善され得る。その理由は、空間の関数としての音場のより高密度でより正確な標本化を与えるからである。反対に、固定されたNに対するリスニング領域の拡大や追加は、一般にはより大きな近似誤差をもたらすであろう。
上記の問題を解決する、正確で適正な近似を計算する方式を、以下に概略的に説明する。
事前補償器を設計する際に考えるべき重要なポイントは、補償されるべき該システムの初期伝播遅延と該願望目標の動的挙動の初期伝播遅延の間の関係である。ある動的システムの初期伝播遅延とは、該システムの入力から出力へある信号が伝播するのに要する時間である。換言すれば、該初期伝播遅延は、該システムのインパルス応答の最初の非ゼロ係数の時間的瞬間によって与えられる。従って、d個の標本分のある初期伝播遅延を有するあるシステム

は、

と書かれ得る。ここで、

の少なくとも一個の要素が、非ゼロ係数で始まるインパルス応答を有する。
例えば図2のシステムを考え、

はある初期伝播遅延dを有し、

はある初期伝播遅延dを有する、とする。ここでもしd>dであれば、該信号

の現在及び過去の値のみしか使用しない因果律補償器

は、充分に機能するとは期待できない。その理由は、時間tで、該基準信号

はk≧0で信号値

に依存するが、一方、該事前補償されたシステムの該出力

はk≧0で信号値

にのみ依存する(即ち、該基準信号は、該システム出力で生成し得るものよりも、より最近のデータに依存する)、からである。該補償器は、該出力

を該基準

に向けて操舵、誘導しようとする。しかしながら、

間の該時間遅延の差の為に、

の出力における該制御信号

は、必要とされるよりも少なくとも(d1−d)個の標本分だけ常に遅れてしまう。該補償器

がそのような場合に充分に機能する為には、

は非因果的である必要があろう、即ち、

は該信号

の少なくとも(d1−d)個の標本分だけ未来の値を予測できる必要があろう。一方、双方の初期伝播遅延の間の関係が逆である場合、即ち、d<dである場合には、該補償器は、相当により良好に機能するであろう。その理由は、

に関する知識により、該補償器は該基準信号の未来値を予測する可能性を有するからである。従って、該補償器は、該出力

が該基準

に向けてより効率的に操舵、誘導されるように、(d−d1)個の標本分だけ先行して

の動的挙動にその作用を開始して良い。
従って一般的に、該目標の動的挙動

の初期伝播遅延dが該システム

の初期伝播遅延dと比較して充分に大きいという条件を確保することにより、補償器の性能を改善することが可能である。この確保は例えば、該目標の動的挙動

に総合的なバルク遅延

を追加するという操作によって得られる。その結果、

となり、ここで、

は元の指定された目標の動的挙動であり、d

の該初期伝播遅延dより大きいかそれに等しい。
しかしながら、オーディオ再生の目的の為には、大きなバルク遅延

を該目標の動的挙動において可能にさせるという操作は、問題を引き起こし得る。一つには、目標の動的挙動における大きなバルク遅延が平均的な再生誤差(例えば、

)を減少させる助けになることは、一般的には確かに真実である。しかしながら他方、目標の動的挙動における大きなバルク遅延は、上記のように該補償器が予測的な仕方で該システムに作用することを可能にさせる。即ち、該出力

は、該基準信号

を構成するデータと比較して「未来における」該データ

に依存し得る。該再生誤差

は必ずしもゼロではないので、該出力のこの予測的挙動は、該事前補償されたシステムにおいてプレベル(pre−ringings)又はプレエコー(pre−echoes)として聴覚される誤差を引き起こし得る。技術的には、これは、該事前補償されたシステムのインパルス応答が該指定されたバルク遅延d以前に到着する音響エネルギーを含む、ことを意味する。特にインパルス的過渡的な形態の音に関しては、このようなプレベル誤差は人間にとり非常に不自然で且つ苛立つ音と聴覚されるので、可能な限り回避されるべきである。上記の例では、該プレベル誤差が起こりえる時間間隔の長さは、

の初期伝播遅延間の差によって決定される。従って、該補償器が適切に機能することを可能にするほど充分に大きいが、しかしながら該補償器が該可聴のプレベル誤差を生じ得るほどには大きくないバルク遅延を使用することには、興味がある。換言すれば、該プレベル効果を最小限にする為には、上記の例で、dがdに可能な限り近い関係d≦dを採用すべきである。
しかしながら、補償されるべき該システムが非最小位相歪みを含む場合には、大きな目標バルク遅延(モデル化遅延又は平滑化遅延とも呼ばれる)が該システムの性能を相当に改善し得る、ことは良く知られている。更に、該単一チャンネル補償方式の場合に対しては、該プレベル誤差を生じさせない、該非最小位相歪みを補償する為の方法、が存在する[4,5,6]。当該方法は、大きな目標バルク遅延

を非因果的な全域通過フィルタ

と結合させた形態で用いる。ここで、該全域通過フィルタ

は、全ての空間位置に共通した該非最小位相歪みを補償するフィルタである。該遅延dが充分に大きい場合には、結合結果の非因果的フィルタ

は、該補償器の固定部品として含まれている因果的FIRフィルタと共に見積もられる。該フィルタ

が設計された後、最適、因果、安定的な補償器

が、(その初期伝播遅延がdである)拡大されたシステム

の為に設計される。該因果的補償器

が設計される時、dのバルク遅延は依然として該目標の動的挙動

において用いられている。この事は、該拡大システム

と該目標の動的挙動

の双方の初期伝播遅延が完全に同一である、ことを意味する。従って、該因果的補償器

は、該システムに如何なるプレベル効果も生じさせることは不可能である。
該プレベル誤差を生じさせない、単一チャンネル補償方式に対する上記の方法は、「事前条件付け」段階として多重チャンネル補償器の設計にも利用し得る。この事前条件付け段階とは、多重チャンネル補償器が設計される以前に、該システムの個々のチャンネルを位相歪みに関連して補正する段階、を指す。このアプローチを拡大して、単一チャンネル位相補償器

j=1,...,Nを、該システムの該N個のラウドスピーカの各々毎に設計する。又、複数個のフィルタの一個のNチャンネル対角ブロックは、該Nチャンネルシステム

と設計されるべき該最適、因果的Nチャンネル補償器の間に配置される。即ち、補償されるべき該システムは、

となり、ここで、

は、

で与えられるN×N次元の対角行列である。
上記の追加遅延値d,...,dNは、該目標システム

の初期伝播遅延と該N個のラウドスピーカチャンネルの初期伝播遅延(即ち、

の列の初期伝播遅延)の間の関係を、最適に調整する為に使用し得る。
(音響モデル化)
N個のラウドスピーカの各々の室内音響インパルス応答は、指定されたリスナー位置の空間領域上に分布したM個の測定位置における音響測定から見積られる。該測定位置の個数Mは、該ラウドスピーカの個数Nより大きいことが推奨される。該動的音響インパルス応答は、一回につき一個の該ラウドスピーカからテスト信号を送り、更に全てのM個の測定位置におけるその結果の音響応答信号を記録することによって、見積られる。白又は色づけノイズ又は緩慢な正弦波が、この目的の為に使用され得る。一個の該ラウドスピーカから該M個の出力への該線形動的応答のモデルは、一個の入力とM個の出力を有するFIRフィルタ又はIIRフィルタの形で見積られ得る。最小二乗法又はフーリエ変換ベース技術のような様々なシステム同定技術が、この目的の為に使用され得る。該測定過程は全てのラウドスピーカに対して繰り返されて、最後に該動的応答モデルのM×N次元行列によって表現される該モデル

を帰結する。該多重入力多重出力(MIMO)モデルは代替的に、状態空間による記述で表現され得る。
音再生システムを表す、非常に一般的ではあるが数学的には便利なMIMOモデルの一例は、以下の、対角分母行列を有する右MFDで書かれた例である。

これは、以下で使用されるタイプのMFDである。該分母行列

が完全多項式行列であり得る場合には、更に一般的なモデルが構築できる。又、そのような構造の使用を禁ずる理由は、原理的には存在しない。しかしながら、(11)で定義される構造は該最適なコントローラのより明快な数学的導出を可能にするので、我々は以下でこの構造に固執することとする。(11)で定義されている

は、例えば(4)で与えられているモデル誤差と不確定性を記述するパラメータ方式を含んで良い、ことに注意せよ。
(基幹及び支援ラウドスピーカの選定)
任意の音再生システムに対して、L個のソース入力信号の音響的再生を少なくとも一個の物理的なラウドスピーカにより改善するという目的の為に、該事前補償コントローラは設計されるべきである。該音響的再生を改善するとは、以下の意味である。即ち、(複数個の測定点で測定された)一個の物理的なラウドスピーカのインパルス応答を、指定された理想的目標応答からのこのインパルス応答の偏差が最小化されるように、該事前補償コントローラにより変更する。
現存の単一チャンネル補償器より更に一般的な補償器を構成する為には、そのフィルタ構造と複数個のラウドスピーカの使用法に関して何であれ限定を可能な限り少なくするという条件下で、現存の設計を実行する必要がある。この一般的な補償器に課される唯一の限定は、その線形性、因果性、及び安定性のみである。該単一チャンネル補償器における該限定は、該L個のソース入力信号の各々は唯一個の単一チャンネルフィルタにより処理され、唯一個のラウドスピーカ入力に伝達される、という限定であった。この限定は、従って、この一般的な補償器においては緩和されることになる。従って、該L個のソース入力信号の各々に連動するこの一般的な補償器は、一個以上のフィルタから構成され得て、少なくとも一個のしかしおそらく数個のラウドスピーカに伝達されるべき、少なくとも一個のしかしおそらく数個の処理された該ソース入力信号を生成する。
該L個のソース入力信号は、ある特別に指定された物理的なラウドスピーカ配置を念頭に置いて生成されたものであるとする。又、この配置は最大でL個のラウドスピーカから構成され、且つ、該L個のソース入力信号の各々は最大で一個のラウドスピーカ入力に供給されるとする。例えば、2チャンネルステレオ(L=2)のような確立されたオーディオソースフォーマットは、リスナーの前に対称的に配置された一対のラウドスピーカを介して再生される。ここで、第一ソースチャンネルは左側のラウドスピーカに供給され、第二ソースチャンネルは右側のラウドスピーカに供給される。他のソースフォーマットは、合計で六個のオーディオチャンネル(L=6)から構成される5.1サラウンドである。ここで、該六個のオーディオチャンネルは、五個のラウドスピーカと一個のサブウーファを介した一対一対応の(即ち、チャンネル間の如何なるクロスミキシングも無い)形態で再生される。該ソース入力信号があるアップミキシングアルゴリズム(例えば、2チャンネルステレオ録音から6チャンネル5.1サラウンド素材を生成するアルゴリズム)の生成結果である場合には、Lをアップミキシングされた素材でのチャンネル数と関連づける(即ち、該ステレオ-5.1サラウンドアップミキシングの例で、L=2よりむしろL=6を用いる)。ダウンミキシングの場合には、即ち、二個以上の該ソース入力信号が同一のラウドスピーカ入力に供給される場合には、L個以下のラウドスピーカを有した指定ラウドスピーカ配置という状況が生ずる。
上記のように、ある音再生システムの該複数個のラウドスピーカをより自由に使用し得る補償器を構成したいわけである。しかしながら、該補償器設計の目的は、元々の該指定ラウドスピーカ配置の再生性能を可能な限り向上させることにある。この目的を達成する為に、該L個のソース入力信号の各々毎に、どのラウドスピーカ(このラウドスピーカを以後、関係ソース入力信号の基幹ラウドスピーカと呼ぶ)が元々の該指定ラウドスピーカ配置における上記の特定のソース入力信号に属しているかということと、どの追加ラウドスピーカ(これらのラウドスピーカを以後、支援ラウドスピーカと呼ぶ)が該基幹ラウドスピーカの性能を改善する為に該補償器により使用されているかということの間に認識上の区別をつける。
L個のソース入力信号と、合計でN個のラウドスピーカの一個の音再生システムを考える。すると、該L個のソース入力信号の各々毎に、それに対応する一個の基幹ラウドスピーカが存在せねばならない。次に、残りの(N−1)個のラウドスピーカの中から、該基幹ラウドスピーカの性能を改善する為に該補償器により使用されるべきS個の支援ラウドスピーカ(ここで、1≦S≦N−1)の一個のセットを選定する。
該音再生システムが例えば(1)におけるような伝達関数行列モデルにより表される場合には、

の各列は、M個の測定位置における一個のラウドスピーカの音響応答を表す、ことを思いだそう。従って、

の複数個の列の一つは該基幹ラウドスピーカの応答を含み、残りの複数個の列は該S個の支援ラウドスピーカの応答を含む。従って、該L個のソース入力の一つに対する補償器の特定設計において、何個の支援ラウドスピーカが上記の特定のソース入力信号に対して選択されたかに応じて、該音響モデル

は(1+S)個の列を含み、設計結果の該補償器は一個の入力と(1+S)個の出力を有する。ここで、(1+S)はN以下でも良い。該補償器が残りの(L−1)個のソース入力に対して設計されている場合、ラウドスピーカの同一のセットを繰り返して使用する必要はないことにも注意せよ。従って、該補償器により使用される該支援ラウドスピーカの個数Sは、該L個のソース入力の全てに対して同一でなくても良い。
(目標音場の定義)
ラウドスピーカ事前補償の目的は、室内において任意の音場を生成することではなくて、現存の物理的ラウドスピーカの音響応答を改善することである。L個のソース入力信号のうちの特定の一個に対して定義される該目標音場は、上記の特定のソース入力信号に属する該基幹ラウドスピーカの特性により高精度に決定される。以下の例は、目標音場が特定の基幹ラウドスピーカに対してどのように指定され得るか、に関する一つの例示である。
当該音システムがM個の位置で測定され、且つ(1)のような伝達関数行列

で表されるとする。更に、

のj列は該考えている基幹ラウドスピーカのインパルス応答を表すとする。すると、目標音場は、(5)のようなM×1次元の伝達関数列ベクトル

で指定され得る。典型例として、該目標音場

は、該基幹ラウドスピーカの測定されたインパルス応答の理想化版として指定されるべきである。該インパルス応答のそのような理想化セットがどのように設計され得るかの一例は、該目標音場

の要素としての遅延した単位パルスを用いることである。該目標音場

の要素としての該遅延した単位パルスとは、

で定義される、以下に与える

である(ここで、

は、

の該初期伝播遅延である)。
(12)の該目標インパルス応答は、該基幹ラウドスピーカのインパルス応答の次のような意味での理想化版である。即ち、該目標インパルス応答は、空間を介した(即ち、該M個の測定位置に渡る)伝播が該基幹ラウドスピーカの音波の伝播と類似している音波を表しているが、時間領域では、この目標音波の形状はパルス状であり室内エコーを含んでいない。該初期伝播遅延Δ,...,ΔMの決定は、

のj列における各インパルス応答の無視し得ないマグニチュードの最初の係数に対応する時間遅延を検出することによってなされる。該追加の共通バルク遅延dは選択的である。しかしながら、(9)、(10)に示唆されているように、該遅延dを有する対角位相補償器が使用される場合には、dは好適には含まれるべきである。
一個以上のソース入力信号が存在する場合、即ち、L>1の場合には、一個の目標音場が、該音システムによって再生される該L個の信号ソースの各々に対して定義される。
該初期伝播遅延Δ,...,ΔMが何らかの理由により適切に検出されず、曖昧で、又とにかく定義困難な場合には、ある制御された可変性が該目標音場

に導入される。例えば、該遅延Δ,...,ΔMは、所定の限界内で調整可能にできる。該目標音場

のこのような柔軟性は、選択された目標音場に対するより良き近似、より良き基準値、及びより良き聴覚オーディオ品質を達成する際の助けになる。このタイプの柔軟性は、該目標音場

のパラメータと該事前補償のパラメータを反復的に調整する形で利用され得る。
(最適化基準の定義)
オーディオ事前補償フィルタを設計する為の解析的手法を得る為には、該調整可能パラメータに関して最適化されるべきあるスカラー基準を導入するのが便利である。適切な該スカラー基準の一例は、該M個の全ての測定点における、該目標信号

と該事前補償された応答信号

間のパワー差の総和又は重み付けされた総和、から構成される。これらの差は、近似誤差又は単に誤差、及び重み付け誤差とそれぞれ呼ばれて、

と表される。
方程式(1)、(5)、(8)を参照せよ。該重み付け誤差

は、M×M次元の多項式行列

によって支配される。ここで、該多項式行列

は、該重み付け誤差がどの周波数範囲において強調されるべきかに応じて、完全行列、対角行列、又は単に定数行列になり得る。

、即ち

が単位行列(対角線上に1が複数個並んだ対角行列)ならば、重み付けは該重み付け誤差に適用されない。選択的に、該N個のオーディオ事前補償器出力信号

((6)参照)の重み付けされたパワーを、該基準に付け加え得る。該重み付けされた事前補償器出力信号は、以後ペナルティ項と呼ばれて、

によって表される。ここで、

はあるN×N次元の多項式行列である。この多項式行列

は、該重み付けされた事前補償器出力信号がどのような仕方で且つどの周波数範囲において該ペナルティを課されるべきかに応じて、完全行列、FIRフィルタを対角線上に有する対角行列、又は単に単位行列になり得る。該ペナルティの重み付けが必要ないならば、

は単に単位行列である。
例えば、

がそれぞれ、

によって表される対角要素を有する対角行列ならば、充分に適切な該基準の一例は、上記のように定義された該重み付け項

を有して、

となるであろう。
ここで、統計期待値Eは該信号

に対して取り、一方、統計期待値



における不確定性モデルパラメータに対して取る。該不確定性モデルパラメータとは、このような不確定性モデル記述が選択されているとして、例えば(4)における

を指す。該基準(15)の最後の式は、ランダム過程の該二乗2ノルム((15)では、該二乗2ノルムは

と表示されている)の、

における不確定性モデルパラメータに対する期待値、を表す。これらの表現は、

が対角行列である限り、全て等価である。該基準(15)の三番目の式は、FIRフィルタを全ての要素に有する行列に一般化できる。
一例として、該FIRフィルタを対角線上に有する対角行列である

を含む該基準(15)を考える

の全ての対角要素が低域通過フィルタならば、それは、低周波数において高精度(小誤差)を優先することを意味する。一方、

の全ての対角要素が高域通過フィルタならば、該オーディオ事前補償フィルタ出力の高周波数内容は低周波数内容よりペナルティを課されるであろう(即ち、該基準値により寄与するであろう)。従って、該基準値を最小化せんと努力を払うオーディオ事前補償フィルタは、低周波数においてその努力を払うことになる。異なる誤差と異なる事前補償信号に対して異なるフィルタを選択することにより、設計者は異なるラウドスピーカ出力間の相互のバランスを取り得る。全ての該FIRフィルタがゼロである特別な場合には、重み付けは遂行されない。従って、同時に事前補償信号パワーを賢明に使用しながら周波数関心範囲において可能な限り誤差を少なくせんとする該設計において、該重み付け多項式行列

は相当の柔軟性を発揮する。

が対角行列ならば、該基準(15)の最初の右辺の総和は、以下の量を表すことは明白である。即ち、

の要素で表される該補償され見積られたインパルス応答と、

の要素で表される該目標インパルス応答間のパワー差の該M個の測定位置上での重み付けされた総和、である。ここで、この重み付けは、該多項式行列

と該信号

のスペクトル特性によって遂行される。該誤差ベクトルε(t)の全ての要素の均等重み付けは、単位行列

が使われて且つ該信号

が白ノイズであれば、得られるであろう。
(最適なコントローラの設計)
該二乗2ノルムを構成する、又は例えば他のノルムに基づく他の基準形態を構成する該基準(15)は、該事前補償器

の該調整可能パラメータに関して幾つかの方法で最適化され得る。又、例えばある固定オーダーのFIRフィルタをその要素として要求するといったような構造的な拘束を該事前補償器に課して、これらの拘束の下で該調整可能パラメータの最適化を遂行することも可能である。このようなタイプの最適化は、適応的手法又はFIRウイーナーフィルタ設計法で遂行され得る。しかしながら、全ての構造的拘束は拘束された解空間をもたらすので、これらの拘束の下で達成可能な性能は、そのような拘束が存在しない場合の定式化による性能と比較して劣ることになる。従って、該事前補償器の因果性と該補償されたシステムの安定性を除いて、好適には該最適化は該事前補償器に対する構造的拘束無しで遂行すべきである。この最適化の問題を上記のように考慮すると、解決すべき問題は、該多重可変フィードフォーワードコントローラ

に対する線形二次ガウシアン(LQG)設計問題となる。
該線形二次ガウシアン理論は、線形システムと二次基準に対して最適な線形コントローラ即ち事前補償器を提供する(例えば、[1,19、20,31]参照)。該システムに包含されている信号がガウシアンならば、該基準(15)の最適化によって得られる該LQG事前補償器は、全ての線形コントローラの間でのみならず全ての非線形コントローラの間においても最適であることが示し得る(例えば、[1]参照)。従って、該事前補償器

の因果性と該補償されたシステム

の安定性という該拘束の下で、該基準(15)を

の該調整可能パラメータに関して最適化することは非常に一般的な操作である。

を安定と見なすと、該補償されたシステム

の安定性、又は誤差伝達演算子

の安定性、は該コントローラ

の安定性と等価である。
方程式(1)-(14)及び該基準(15)によって定義された該問題に対する解として、我々は該最適LQG-事前補償器

を提供する。この解は、多項式行列を用いた伝達演算子又は伝達関数によって与えられる。このような解を導出する手法は、例えば[31]において与えられている。代替的に、このような解は状態空間手法とリッカチ方程式の解によって導出され得る(例えば、[1,20]参照)。
(事前補償器最適化用の多項式行列の設計方程式)
該音再生システムが、(3)及び(4)のようにパラメータ化された

を有する該モデル(1)によって記述されるとする。ここで、該不確定性モデルを使用しないとすると

と設定できて、

を得る。更に、該M個の測定位置における該目標音場が、以下のように

で表せるとする。

ここで、E(q−1)は、1に等しいか又はスカラー最小位相多項式である。
プレベル現象の発生は避けるという該拘束の下で、最大の達成可能な補償器性能を望むならば、該システムに包含されているラウドスピーカの個々の位相補償と時間遅延調整は、好適には該事前補償器の最適化以前に遂行されるべきである。そのような位相補償は、[5,6]に説明されている原理に従って設計し得る。このようにいかなるプレベル現象も生じさせないという該拘束を課しながら最大の達成可能性能を得るためには、該N個のラウドスピーカの各々に対して一個の全域通過位相補償フィルタ

を、該システム

と該コントローラ

間の該N個の信号経路の各々に設置するべきである。すると該目標音場

は、以下のようにd個の標本分の初期伝播遅延を含むべきである。

ここで、多項式行列

の少なくとも一個は、非ゼロの主係数を有する。我々はここで、該全域通過フィルタ

を、該システムの一個の固定部品とみなす選択をなすこととする。
該遅延多項式行列

と該全域通過有理行列

を、各々、以下のように導入する。

ここで、diag(・)は、あるベクトルの要素を対角線上に有する対角行列を表す。(・)は、このベクトルの転置を意味する。一方、

は、

の逆多項式である。即ち、

のゼロは、

のゼロに対して単位円上で鏡像の位置にある。該有理行列

は、該M個の全ての測定位置に対する該N個のラウドスピーカの各々の伝達関数間に共通した余分な位相ゼロから、ここでは構築する。即ち、(4)における

1j,...,BMjは、共通の余分な位相因子

を共有しているとする。
前述のように、(18)のdは、該補償されたシステムの該指定された初期遅延である。一方、d,j=1,...,Nは、異なるラウドスピーカ間の距離的な個々の偏差を吸収する為に使用し得る個々の初期遅延である。

(又はこれと等価であるが、ここで

と記される

の複素共役転置行列

)は、固定され且つ既知である。従って、

は、以下のように表される一個の拡大システム

の因子とみなし得る。

ここで、

は、

間の因子の打ち消し合いにより依然として多項式行列である(即ち、有理行列ではない)。(19)の二番目の式は、

が対角行列なので、成立を許されている((4)、(11)、及び(18)を参照せよ)。
該固定され且つ既知である遅延多項式行列

と全域通過有理行列

を有する該拡大システム

において、該信号

がゼロ平均単位分散白ノイズシークエンスであるとする。すると、該プレベル現象を生じさせず、因果性と安定性という該拘束の下で該基準(15)を最小化する該最適LQG-事前補償器

は、

と与えられる。
ここで、該N│N次元の多項式行列

は、

によって定義される一意的で安定な右スペクトル因子である。又、該多項式行列

は、ある多項式行列

(両方共、N│1次元)と相俟って、包括的次数

を有する以下の相互ディオファントス方程式

の一意解を構成する。
このような右スペクトル因子は、本問題に対しては緩い条件下で存在する。[31]の3.3.節を参照せよ。該右スペクトル因子は、直交行列でも一意的である。
より低次数は、特殊な場合には生じても良い。
上記で導出された該補償器の該最適性と一意性は、[27,31]で与えられている手法を用いて証明され得る。上記で与えた解は、以下の動的モデル

で記述される

を説明する為にも、容易に拡張され得る。
ここで、

はゼロ平均単位分散白ノイズシークエンスである。例えば、PとSを安定多項式として、

ならば、(22)の最右項において



を代入する。

を動的モデルによって記述するのは、

が白ノイズであるという仮定が不適切なある種の応用においては、時として有用であり得る。ここで得られた解は非常に一般的なものであり、該事前補償器の設計において相当の柔軟性を提供するものである。
上記で与えたフィルタ設計は又、重み付け行列

の選定された適切な一個のセットに対して、p個のフィルタ

の一個のセットを設計する為にも使用し得る。そのようにして得られた該p個のフィルタ

の一個のセットは、該S個の支援ラウドスピーカの選定された一個のセットから得られる支援の度合いを、徐々に変化させる為に使用し得る。このようにしてユーザーはほとんどゼロの支援と完全支援の間を切り替えることが出来て、可能な限り最良の聴覚オーディオ特性を得る。
該事前補償器信号

を得る為には、該フィルタリングを異なる段階において遂行しなければならない、ことに注意せよ。従って、最初に再帰フィルタリング

、二番目にFIRフィルタリング

、三番目に再帰フィルタリング

、最後にFIRフィルタリング

、を遂行する。ここで、

がN×1次元なので、該太字信号

はN×1次元である。しかしながら、このようなフィルタリングの手続きは、

の唯一可能な実装ではない。例えば、

の要素の高次FIR近似も使えるであろう。このようなFIR近似は、入力信号として単位パルスδ(t)を用いることにより得られ、該フィルタの該N個の出力における一連の標本を記録する。記録された該N個の出力信号は、

の要素の該インパルス応答を構成し、該FIRフィルタ係数は適切な長さに該出力信号の先端を切り捨てることにより得られる。
該N個のラウドスピーカの各々に対して個別の位相補償がなされないならば、

となる、ことに注意すべきである。他方、該設計において該不確定性モデルを使用しないならば、(21)の右辺第三項は消えて、

となる。最後に、該不確定性モデルも、該N個のラウドスピーカに対する如何なる該個別の位相補償も使用しないならば、

となる。
実用的なコントローラ設計においては、(21)の右辺第三項は、以下の

を見積もることによって容易に得られる([26,27,32]参照)。
さて、

の個々の多項式要素のランダム係数は、ゼロ平均単位分散白ノイズシークエンスとして指定されることを思い起こそう。このことは、

を含意するものである。更に、これらのランダム係数は、

の異なる列間において互いに非相関である、即ち、j≠nに対して

である。この理由は、離れたソースに属する残響場は、一般に空間的に互いに非相関であるからである。従って、第一に、該M│M次元の多項式行列

はその対角線に沿って1を複数個有すること、第二に、i≠jならば

であること、が分かる。更に、該多項式行列

が対角的であれば、以下の

を得る。従って、(21)中の

に対する表現は、以下の

となる。
ここでの重要な洞察は、以下のことである。即ち、(25)に現われている該誤差重み

と該トレース作用素の対角構造の為に、

の非対角要素は該フィルタ設計には寄与しない。これらの非対角要素は、「空間的共分散」

、を構成する。従って、該不確定性モデルにおける空間的共分散は、本件で研究したタイプのフィルタ設計に対しては不必要で余分なものである、と結論する。しかしながら、ゼロとは異なる

の非対角要素を選択することにより、

の非対角要素は、本件のタイプのフィルタ設計に使用し得る。例えば、これらの非対角要素は、該設計における中心測定点に比較した周辺測定点の重要性の評価の格下げを行う為に使用し得る。
(均衡されたマグニチュードスペクトルに対する事後処理)
音再生システムが音楽を再生する場合には、該システムの伝達関数のマグニチュードスペクトルが、リスニング領域内で少なくとも平均して円滑で且つ均衡されていることが、大抵の場合に好適である。仮に該事前補償されたシステムが全ての測定位置において該望ましい目標

を完全に達成するならば、該被事前補償システムの平均マグニチュード応答は該目標

の平均マグニチュード応答と等しくなるであろう。しかしながら、該設計されたコントローラ

は、全ての周波数において該目標応答

に完全に到達するとは期待され得ない。例えば、完全には補償され得ない非常に複雑な室内残響の為に、該被事前補償システムにおいては何かしらの残余の近似誤差が常に存在してしまう。これらの近似誤差は、異なる周波数において異なるマグニチュードを有し、再生音質に影響を与える。こうしたマグニチュード応答の不完全性は、一般には望ましくない。従って、該コントローラ行列は、全目標マグニチュード応答が全てのリスニング領域内で平均して到達されるように、好適に調整されるべきである。
従って、該基準関数の最適化の後で、ある最終設計段階が好適に追加されることになる。ここで、該最終設計段階の追加の目的は、該目標マグニチュード応答が該測定位置において平均して充分に近似されるように、該コントローラ応答を調整することである。この目的の為に、該全システム(即ち、該コントローラ

を含んだ該システム)のマグニチュード応答が、該設計モデル又は新規の測定に基づき、様々なリスニング位置において見積られ得る。最小位相フィルタが、該目標マグニチュード応答が全てのリスニング領域内で(該RMSの意味において)平均して到達されるように、設計され得る。一例として、空間的な応答変動に基づく可変分数オクターブ円滑化が、特定の周波数領域において該システムが補償され過ぎることを防止する為に、採用されても良い。その結果採用される機器は、

の全ての要素をある等量分だけ調整する、スカラー等化フィルタである。
(図解例)
該提起された新規の多重チャンネル事前補償器の設計の性能例と、従来の単一チャンネル事前補償器の設計とのその相違を、図6乃至図11に示す。
・図6と図9は、室内の64個の測定位置において測定された、ATC SCM16スタジオモニターラウドスピーカの周波数応答とその平均累積スペクトル減衰(「瀑状プロット」)を、各々示す。
・図7と図10は、従来の単一チャンネル事前補償器がその入力に適用された後の、図6と図9と同一のラウドスピーカの周波数応答とその平均瀑状プロットを、各々示す。
・図8と図11は、上記新規の多重チャンネル事前補償器の設計方法が適用された場合の、該周波数応答と該平均瀑状プロットを、各々示す。ここでの該多重チャンネル事前補償器の設計目的は、図7と図10の該単一チャンネル事前補償器の設計目的と同一である。即ち、従来の図面における該単一のラウドスピーカを、基幹ラウドスピーカとして使用する。目的は、この基幹ラウドスピーカの応答を可能な限り理想的な目標応答にすることである。該目標応答により良く到達する為に、15個の追加ラウドスピーカを支援ラウドスピーカとして使用する。該支援ラウドスピーカは、該64個の測定位置が取られたリスニング領域を囲んでおり、且つ、様々な高さと該リスニング領域からの様々な距離に配置されている。
(フィルタの実装)
(20)の該結果の事前補償フィルタ

は、状態空間形式又は伝達関数形式において、幾つかの方法で実現され得る。特に、該フィルタ設計が依拠しているモデルにおいて完全オーディオ範囲標本化率が用いられたり、室内音響の動的挙動が考慮される場合には、要求される該フィルタは一般に非常に高次のフィルタである。計算的に実現可能な設計を得る為に、該事前補償器

の計算的複雑性を制限する方法には、興味がある。この制限目的の為の一つの方法を、ここで概観する。この方法は、該コントローラ行列

の要素のコントローラ次数の縮約、特に非常に長いが滑らかな尾部を持つインパルス応答を有する伝達関数の要素のコントローラ次数縮約、に基づく。この方法は、以下のように機能する。
該事前補償器

の関係する事前補償器スカラーインパルス応答要素

は、上記のように、最初に非常に長いFIRフィルタとして表示される。次に、各事前補償器インパルス応答要素

毎に、

は以下のことを遂行する。
1.遅延t1>1を決定する。これ以後、該インパルス応答は近似的に指数関数的に減衰し、滑らかな形を有する。第二の遅延t2>t1を決定する。これ以後、該インパルス応答係数は無視可能である。
2.モデル縮約又はシステム同定手法を用いて、低次再帰IIRフィルタを調整して、遅延間隔[t,t]間で該FIRフィルタ尾部を近似する。
3.該近似されたスカラー事前補償器フィルタを、平行連結

として実現する。ここで、

は、遅延ゼロから遅延t−1の該元のFIRフィルタR(q−1)の該最初のtインパルス応答係数に等しいFIRフィルタである。一方、N(q−1)は、該尾部を近似する該IIRフィルタである。
この手続きの目的は、該FIRフィルタM(q−1)と該IIRフィルタN(q−1)におけるパラメータの個数の総和が、該インパルス応答係数の元々の個数よりずっと小さい該フィルタ、を実現させることである。該インパルス応答の該尾部を近似する為の様々な異なる方法が、使い得る。例えば、ユール-ウォーカー方程式に基づく共分散シークエンスへの自己回帰モデルの調整、という方法を挙げることができる。該結果のIIRフィルタを有限精度の計算で実装する場合、該係数の丸め誤差に対する数値的な敏感性を低く抑える為に、該IIRフィルタをより低次のフィルタの平行連結又は直列連結として実装するのが、好適である。一例として、一次フィルタ要素又は二次IIRフィルタ要素(いわゆる、四次フィルタ)を使用して良い。
(実装面)
典型的には、上記の設計方式はあるコンピュータシステム上で実行されて、該事前補償フィルタの該フィルタパラメータを計算、生成する。次に、該計算、生成されたフィルタパラメータは、通常、あるデジタルフィルタにダウンロードされて、例えばあるデジタル信号処理システム又は類似したコンピュータシステムによって実装される。これらのシステムが、実際のフィルタリングを実行する。
本発明は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、又はそれらの任意の組み合わせによって実装され得る。しかしながら、本発明により提起されている該フィルタの設計方式は、好適には、プログラムモジュール、機能、又はそれらの等価物の形でソフトウェアとして実装される。このソフトウェアは、C,C++、又はデジタル信号プロセッサ(DSPs)用の特殊言語のような、任意のタイプのコンピュータ言語で書いて良い。実践的には、本発明の該関係する段階、機能、及び動作は、あるコンピュータプログラムに写像される。このコンピュータプログラムは、該コンピュータシステムによって実行されて、該事前補償フィルタの設計に関与する該計算を実行する。PCベースのコンピュータシステムの場合には、該オーディオ事前補償フィルタの設計即ち決定用の該コンピュータプログラムは、通常、コンピュータ読み取り可能な媒体上にコード化される。これらのコンピュータ読み取り可能媒体とは、ユーザ/フィルタ設計者へ配布されるDVD、CD、又はそれらの類似媒体である。次に、該ユーザ/フィルタ設計者は、更なる実行の為に該コンピュータプログラムを彼/又は彼女のコンピュータシステムにロードする。該ソフトウェアは、インターネットを介して遠隔サーバからダウンロードされても良い。
従って、以下のシステムとコンピュータプログラム製品が提供される。即ち、連係する音発生システム用のオーディオ事前補償コントローラを決定する為のシステムと対応するコンピュータプログラム製品であって、該音発生システムは合計でN≧2個のラウドスピーカを備え、各ラウドスピーカは各々一個のラウドスピーカ入力を有し、該オーディオ事前補償コントローラは、L個のコントローラ入力信号用のL≧1個のコントローラ入力とN個のコントローラ出力信号用のN個のコントローラ出力を有し、一個の該コントローラ出力が該音発生システムの各ラウドスピーカに対応する。該オーディオ事前補償コントローラは、決定すべき調整可能な複数個のフィルタパラメータを有することを銘記せよ。該システムは、基本的に、該N個のラウドスピーカ入力の少なくともその部分セットの各々一個のラウドスピーカ入力に対して、M≧2個の複数個の測定位置の各々において、該M個の測定位置の各々における音測定に基づいて、各々一個のインパルス応答を見積る手段を備え、該M個の測定位置はあるリスニング環境の関心領域内に分布している。該システムは又、該L個のコントローラ入力信号の各々に対して、該N個のラウドスピーカのうち選定された一個を基幹ラウドスピーカとして、且つ、該N個のラウドスピーカのうちの少なくとも一個を含む選定されたラウドスピーカの部分セットSを一個の(又は複数個の)支援ラウドスピーカとして選定する手段を備え、該基幹ラウドスピーカはこの部分セットSの要素ではない。該システムは更に、該基幹ラウドスピーカの各々に対して、該M個の測定位置の各々において、各々一個の目標インパルス応答を指定する手段を備え、該目標インパルス応答は音響的な伝播遅延を有し、該音響的伝播遅延は該基幹ラウドスピーカから該測定位置の各々までの距離に基づいて決定される。該システムは又、該L個のコントローラ入力信号の各々に対して、該選定された一個の基幹ラウドスピーカと該選定された一個の(又は複数個の)支援ラウドスピーカに基づき、該オーディオ事前補償コントローラの動的挙動の安定性という拘束条件の下で基準関数が最適化されるように、該オーディオ事前補償コントローラの該複数個のフィルタパラメータを決定する手段を備える。該基準関数は、該M個の測定位置上での補償された該見積られたインパルス応答と該目標インパルス応答間のパワー差の重み付けされた総和を含むように定義される。
L≧2の場合に対して、該システムは又、該L個の入力信号に対して決定された全ての該複数個のフィルタパラメータを、該オーディオ事前補償コントローラ用のフィルタパラメータの一個の合成セットに合成する手段を含んで良い。該フィルタパラメータの該合成セットを有する該オーディオ事前補償コントローラは該L個の入力信号に作用するように構成されて、該N個のコントローラ出力信号を該ラウドスピーカに対して生成して該望まし目標インパルス応答を達成する。
特定例において、該オーディオ事前補償コントローラのフィルタパラメータを決定する該手段は、任意の目標動的システムと該音発生システムのある動的モデルに基づく安定、線形、因果的多重可変フィードフォーワードコントローラのパラメータの線形二次ガウシアン(LQG)最適化に基づいて動作するように構成される。
該コンピュータプログラム製品は対応するプログラム手段を備え、コンピュー
タシステム上で動作する場合に該オーディオ事前補償コントローラを決定する
ように構成される。
図4は、本発明によるフィルタ設計アルゴリズムの実装に適したコンピュータシステムの例、を示す概略ブロック図である。該フィルタ設計システム100は、パーソナルコンピュータ(PCs)、メインフレームコンピュータ、多重プロセッサシステム、ネットワークPCs、デジタル信号プロセッサ(DSPs)等を含めた、従来のコンピュータシステムの形で実現して良い。該フィルタ設計システム100は、基本的に、中央処理装置(CPU)又はデジタル信号プロセッサ(DSP)コア10、システムメモリ20、及び様々なシステムコンポーネントを相互に接続しているシステムバス30を備えている。該システムメモリ20は、通常、リードオンリーメモリ(ROM)22とランダムアクセスメモリ(RAM)24を含む。更に、該システム100は、通常、一個以上のドライバ制御周辺メモリ装置40を備えて、データとプログラム情報の非揮発性の格納を可能にしている。ここで、該周辺メモリ装置40とは、ハードディスク、磁気ディスク、光ディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、デジタルビデオディスク、又はメモリカードを指す。各周辺メモリ装置40は、通常、各周辺メモリ装置40と、各周辺メモリ装置40を該システムバス30に接続する(図示しない)ドライブインターフェイスを制御する為のメモリドライブと関係している。本発明による該フィルタ設計アルゴリズムを実装するフィルタ設計プログラムは、他の関係プログラムモジュールと一緒に該周辺メモリ装置40に格納され、該CPU10によるその実行の為に該システムメモリ20の該RAM24上にロードされる。測定のような関係入力データ、入力仕様、及びモデル表示と他の選択的構成が与えられれば、該フィルタ設計プログラムは、該オーディオ事前補償コントローラ/フィルタの該フィルタパラメータを計算する。
次に該決定されたフィルタパラメータは、通常、該システムメモリ20の該RAM24から、該システム100のI/Oインターフェイス70を介してオーディオ事前補償コントローラ200まで転送される。好適には、該オーディオ事前補償コントローラ200の動作は、デジタル信号プロセッサ(DSP)又は類似の中央処理装置(CPU)202と、該フィルタパラメータと必要な遅延信号標本を保持する一個以上のメモリモジュール204に基づく。該メモリモジュール204は、通常、フィルタリングプログラムを含む。該フィルタリングプログラムは、該プロセッサ202によって実行された際に、該フィルタパラメータに基づく実際のフィルタリングを遂行する。
計算された該フィルタパラメータを該インターフェイス70を介して直接該オーディオ事前補償コントローラ200まで転送する代わりに、該オーディオ事前補償コントローラへの以後の配送の為に、該フィルタパラメータを該周辺メモリカード又はメモリディスク40に格納しても良い。ここで、該オーディオ事前補償コントローラは、該フィルタ設計システム100から遠隔な場所に位置していても良いし位置していなくても良い。計算された該フィルタパラメータは、例えばインターネットを介して遠隔場所から好適には暗号化された形態で、ダウンロードされても良い。
考慮中の該オーディオ装置によって発生された音の測定を可能にする為に、任意の従来のマイクロフォン機器又は類似した記録装置を、通常はアナログ-デジタル(A/D)変換器を介して該フィルタ設計システム100に接続して良い。該マイクロフォン機器によって生成された(従来の)オーディオテスト信号の測定に基づき、該システム100は、該システムメモリ20にロードされたアプリケーションプログラムを用いて該オーディオシステムのモデルを形成させ得る。該測定は又、該事前補償フィルタと該オーディオ装置の組み合わせシステムの性能を評価する為に利用しても良い。フィルタ設計者が該設計の結果に満足できない場合には、該設計者は、該設計パラメータの変更されたセットに基づいて、該事前補償フィルタの新しい最適化を開始しても良い。
更に、該システム100は、通常は、該フィルタ設計者とのユーザ相互作用を可能にするユーザインターフェイス50を備える。幾つかの異なるユーザ相互作用のシナリオが可能である。
例えば、該フィルタ設計者は、該オーディオ事前補償コントローラ200の該フィルタパラメータの計算において、該設計パラメータの特定でカスタマイズされたセットの使用を決定しても良い。該フィルタ設計者は、次に、該ユーザインターフェイス50を介して関係する設計パラメータを定義する。
又、異なる事前に構成されたパラメータの一個のセットの中から、パラメータの選択を為すことも、該フィルタ設計者にとり可能である。これらの事前構成パラメータは、異なるオーディオシステム、リスニング環境を構成する為に、且つ/又は該結果の音に特定の特性を導入する為に、設計されたものである。そのような場合には、通常、事前に構成された選択肢が該周辺メモリ装置40に格納されて、該フィルタ設計プログラムの実行中に該システムメモリ20にロードされる。
該フィルタ設計者は又、該ユーザインターフェイス50を用いて一個の基準システムを定義しても良い。又、該マイクロフォン測定に基づき該システムモデルを決定する代わりに、異なる事前構成システムモデルの一個のセットの中から該オーディオシステムの一個のモデルを選択することも、該フィルタ設計者にとり可能である。好適には、そのような選択は、結果の該事前補償フィルタが使用される該特定のオーディオ装置に基づいて遂行される。他の選択肢は、重み付け行列の選定された適切な一個のセットに対して、複数個のフィルタの一個のセットを設計することである。この結果、該支援ラウドスピーカの選定された一個のセットにより提供される支援の度合い、を変化させることができる。
好適には、該オーディオフィルタは、該フィルタによって補償された音の再生を可能にする為に、該音発生システムと一緒に実装される。
一つの代替的な実装において、該フィルタ設計は、ユーザの参加が全く無いか又はほんの僅かしかない状況で、多かれ少なかれ自律的に遂行される。そのようなフィルタ設計構成の一例を、説明する。その例示のシステムは、監視プログラム、システム同定ソフトウェア、及びフィルタ設計ソフトウェアを備える。好適には、最初に該監視プログラムはテスト信号を生成し、次に該オーディオシステムの該結果の音響応答を測定する。該テスト信号と得た測定結果に基づき、該システム同定ソフトウェアは該オーディオシステムのモデルを決定する。次に、該監視プログラムは、必要な設計パラメータを収集且つ/又は生成して、これらの設計パラメータを該フィルタ設計プログラムに転送する。該フィルタ設計プログラムは、該オーディオ事前補償フィルタのフィルタパラメータを計算する。次に、該監視プログラムは、一つの選択肢として、該測定信号に基づく該設計結果の性能を見積り得る。ここでもし必要なら、該監視プログラムは、該フィルタ設計プログラムに対して該設計パラメータの変更されたセットに基づく該フィルタパラメータの新しいセットを決定するように命ずる。この手続きは、満足すべき結果が得られるまで繰り返して良い。次に、該フィルタパラメータの最終セットを、該オーディオ事前補償コントローラにダウンロード/実装する。
又、該フィルタパラメータの固定されたセットを用いる代わりに、該事前補償フィルタの該フィルタパラメータを適応的な形態で調整することも可能である。例えば、あるオーディオシステムにおける該フィルタの使用中に、オーディオ条件が変化するかもしれない。即ち、該リスニング環境における該ラウドスピーカの位置、且つ/又は家具のような物体の位置が変化するかもしれない。これは、翻って、室内音響に影響を及ぼすであろう。且つ/又は、該オーディオシステムにおけるある装置が他の装置に交換されて、全オーディオシステムに異なった特性をもたらすであろう。このような場合には、該オーディオシステムからの音の連続的又は間欠的な測定を、リスニング環境の一個以上の位置において、遂行する。この測定は、多分無線接続されている一個以上のマイクロフォン機器、又は類似した音記録装置を用いて遂行する。次に、該記録された音データは、該フィルタ設計システムに多分無線で供給される。この音データを受けて、該フィルタ設計システムは新しいオーディオシステムモデルを計算する。更に、該フィルタパラメータが新しいオーディオ条件に充分に適応するように、該フィルタパラメータを調整する。
当然ではあるが、本発明は、図4の構成に限定されるものではない。一つの代替的構成として、該事前補償フィルタの設計と現実のその実装は、双方とも、該一個の同一のコンピュータシステム100又は200において遂行されても良い。このことは、該フィルタ設計プログラムと該フィルタリングプログラムは同一のDSP又はマイクロプロセッサシステム上で実装、実行されることを意味する。
該オーディオ事前補償コントローラは、上記のように継続するアンプへのアナログ又はデジタルインターフェイスを有するデジタル信号プロセッサ又はコンピュータ上で、単独型の装置として実現されても良い。代替的には、該オーディオ事前補償コントローラは、音発生を目的とした以下の諸々の装置の構成内に一体化されて組み入れられても良い。即ち、デジタル事前補償器、自動車オーディオシステム、映画館オーディオシステム、コンサートホールオーディオシステム、家庭オーディオシステム、コンピュータゲームコンソール、テレビ、MP3プレーヤ用ドッキングステーション、サウンドバー、及び他の任意の装置又はシステム。又、FPGA又はASICsのようなカスタマイズされた計算ハードウェアを有するよりハードウェア的な形態で、該事前補償フィルタを実現することも可能である。
特定例において、該オーディオ事前補償コントローラは、線形、安定、因果的なフィードフォーワードコントローラとして実装される。
該事前補償は、該音信号の実際の再生場所への配送から分離した形態で遂行されて良い、ことが理解されるべきである。該事前補償フィルタにより生成された該事前補償信号は、該音発生システムに即座に且つ直接的接続で配送されねばならない必要は必ずしも無くて、該音発生システムへの以後の配送の為に、分離した媒体に記録されて良いのである。該事前補償信号は、例えば、特定のオーディオ装置とリスニング環境用に調整されたCD又はDVDディスクに記録された音楽、を表現している。該事前補償信号は又、あるインターネットサーバ上に格納された、事前補償されたオーディオファイルであり得る。ここで、該インターネットサーバは、該オーディオファイルのインターネット上の遠隔場所への継続したダウンロードを可能にしている。
上記の実施例は、本発明の二、三の図解例として理解されるべきである。技術に習熟した人ならば、本発明の範囲から乖離すること無く、様々な変更、組み合わせ、及び変化が該実施例に為し得ることを理解されよう。特に、異なる実施例における異なる部分解は、技術的に可能である限り、他の構成においても組み合わせ得る。しかしながら、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲により定義されるものである。


Claims (28)

  1. 連係する音発生システム用のオーディオ事前補償コントローラを決定する為の方法であって、前記音発生システムは合計でN≧2個のラウドスピーカを備え、各ラウドスピーカは各々一個のラウドスピーカ入力を有し、前記オーディオ事前補償コントローラは、L個のコントローラ入力信号用のL≧1個のコントローラ入力とN個のコントローラ出力信号用のN個のコントローラ出力を有し、一個の前記コントローラ出力が前記音発生システムの各ラウドスピーカに対応し、前記オーディオ事前補償コントローラは調整可能な複数個のフィルタパラメータを有し、
    前記方法は、
    前記N個のラウドスピーカ入力の少なくともその部分セットの各々一個のラウドスピーカ入力に対して、M≧2個の複数個の測定位置の各々において、前記M個の測定位置の各々における音測定に基づいて、各々一個のインパルス応答を見積る段階から成り、前記M個の測定位置はあるリスニング環境の関心領域内に分布し、更に
    前記L個のコントローラ入力信号の各々に対して、前記N個のラウドスピーカのうち選定された一個を基幹ラウドスピーカとして、且つ、前記N個のラウドスピーカのうちの少なくとも一個を含む選定されたラウドスピーカの部分セットSを一個の(又は複数個の)支援ラウドスピーカとして指定する段階から成り、前記基幹ラウドスピーカはこの部分セットSの要素ではなく、更に
    前記基幹ラウドスピーカの各々に対して、前記M個の測定位置の各々において、各々一個の目標インパルス応答を指定する段階から成り、前記目標インパルス応答は音響的な伝播遅延を有し、前記音響的伝播遅延は前記基幹ラウドスピーカから前記測定位置の各々までの距離に基づいて決定され、更に
    前記L個のコントローラ入力信号の各々に対して、前記選定された一個の基幹ラウドスピーカと前記選定された一個の(又は複数個の)支援ラウドスピーカに基づき、前記オーディオ事前補償コントローラの動的挙動の安定性という拘束条件の下で基準関数が最適化されるように、前記オーディオ事前補償コントローラの前記複数個のフィルタパラメータを決定する段階から成り、前記基準関数は、前記M個の測定位置上での補償された前記見積られたインパルス応答と前記目標インパルス応答間のパワー差の重み付けされた総和を含む、ことを特徴とする方法。
  2. L≧2であり、且つ、前記L個の入力信号に対して決定された全ての前記複数個のフィルタパラメータを、前記オーディオ事前補償コントローラ用のフィルタパラメータの一個の合成セットに合成する段階を更に含み、且つ、前記フィルタパラメータの前記合成セットを有する前記オーディオ事前補償コントローラは前記L個の入力信号に作用するように構成されて、前記N個のコントローラ出力信号を前記ラウドスピーカに対して生成して前記目標インパルス応答を形成する、ことを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 前記オーディオ事前補償コントローラは、(P≦L且つP≦Nである)P個の基幹ラウドスピーカの音響応答を、前記P個の基幹ラウドスピーカと、各基幹ラウドスピーカ毎の前記N個のラウドスピーカのうちの個数が1≦S≦N−1である追加支援ラウドスピーカの組み合わされた使用、により制御するように構成される、ことを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
  4. 前記オーディオ事前補償コントローラが、その調整可能な複数個のフィルタパラメータのある設定の実現の為に、前記N個のラウドスピーカのうちの幾つかに対して出力ゼロを生成する能力を持つ、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の方法。
  5. 前記オーディオ事前補償コントローラのフィルタパラメータを決定する前記段階は、任意の目標動的システムと前記音発生システムのある動的モデルに基づく安定、線形、因果的多重可変フィードフォーワードコントローラのパラメータの線形二次ガウシアン(LQG)最適化に基づく、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の方法。
  6. 前記オーディオ事前補償コントローラの前記N個のコントローラ出力信号の各々は、位相補償成分と遅延成分を含む全域通過フィルタを介して各ラウドスピーカに供給されて、フィルタされたN個のコントローラ出力信号が生成される、ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の方法。
  7. 前記基準関数はペナルティ項を含み、前記ペナルティ項においては、前記基準関数を最適化して得られた前記オーディオ事前補償コントローラが、制限されたマグニチュードの信号レベルを前記オーディオ事前補償コントローラ出力の選定部分セット上で生成して、更に前記制限信号レベルを選定ラウドスピーカ入力上で特定周波数帯域用の前記N個のラウドスピーカに対して供給する、ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の方法。
  8. 前記ペナルティ項は異なった形態で複数回選択されて、更に、前記オーディオ事前補償コントローラのフィルタパラメータを決定する前記段階は、前記ペナルティ項の各選択毎に反復されて前記オーディオ事前補償コントローラの複数個の事例をもたらし、更に、前記事例の各々は、個別に制限されたマグニチュードの信号レベルを特定周波数帯域用の前記S個の支援ラウドスピーカに対して生成する、ことを特徴とする請求項7記載の方法。
  9. 前記基準関数は、第一に、前記見積られたインパルス応答において存在し得る誤差の範囲を記述する複数個のモデルの一個のセットを含み、前記基準関数は、第二に、前記モデルのセット上での合計、重み付けされた合計、又は統計的期待値である一個の総計操作を含む、ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の方法。
  10. 前記オーディオ事前補償コントローラのフィルタパラメータを決定する前記段階は又、前記オーディオ事前補償コントローラのフィルタパラメータを調整することに基づき、前記フィルタパラメータの前記調整は、前記M個の測定位置の少なくとも一個の部分セットにおいて、前記オーディオ事前補償コントローラを含む前記音発生システムの目標マグニチュード周波数応答に到達するように遂行される、ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の方法。
  11. 前記オーディオ事前補償コントローラのフィルタパラメータを調整する前記段階は、前記M個の測定位置の少なくとも一個の部分セットにおけるマグニチュード周波数応答を評価し、その後、前記オーディオ事前補償コントローラを含む前記音発生システムの最小位相モデルを決定することに基づく、ことを特徴とする請求項10記載の方法。
  12. 前記目標インパルス応答は非ゼロであり、且つ所定の限界内で補正され得る調整可能な複数個のパラメータを含む、ことを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の方法。
  13. 前記目標インパルス応答の前記調整可能な複数個のパラメータは、前記オーディオ事前補償コントローラの前記調整可能な複数個のパラメータと同様に、前記基準関数を最適化するという目的の為に協同的に調整される、ことを特徴とする請求項12記載の方法。
  14. 前記N個のラウドスピーカ入力の少なくともその部分セットの各々一個のラウドスピーカ入力に対して、M個の複数個の測定位置の各々において各々一個のインパルス応答を見積る前記段階は、前記M個の測定位置における前記音発生システムの動的応答を記述するモデルに基づく、ことを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の方法。
  15. 前記オーディオ事前補償コントローラは、オーディオフィルタ構造における前記フィルタパラメータを実装することによって作製される、ことを特徴とする請求項1記載の方法。
  16. 前記オーディオフィルタ構造は、前記音発生システムと共に実装されて、前記リスニング環境内の前記M個の測定位置における前記目標インパルス応答の生成を可能にする、ことを特徴とする請求項15記載の方法。
  17. 前記音発生システムは、自動車オーディオシステム又は移動スタジオオーディオシステムであり、前記リスニング環境は、自動車又は移動スタジオの一部である、ことを特徴とする請求項1乃至16のいずれかに記載の方法。
  18. 前記音発生システムは、映画館オーディオシステム、コンサートホールオーディオシステム、家庭オーディオシステム、又は専門家用オーディオシステムであり、前記リスニング環境は、映画館、コンサートホール、家庭、スタジオ、公会堂、又は他の任意の施設の一部である、ことを特徴とする請求項1乃至17のいずれかに記載の方法。
  19. 連係する音発生システム用のオーディオ事前補償コントローラを決定する為のシステムであって、前記音発生システムは合計でN≧2個のラウドスピーカを備え、各ラウドスピーカは各々一個のラウドスピーカ入力を有し、前記オーディオ事前補償コントローラは、L個のコントローラ入力信号用のL≧1個のコントローラ入力とN個のコントローラ出力信号用のN個のコントローラ出力を有し、一個の前記コントローラ出力が前記音発生システムの各ラウドスピーカに対応し、前記オーディオ事前補償コントローラは調整可能な複数個のフィルタパラメータを有し、
    前記システムは、
    前記N個のラウドスピーカ入力の少なくともその部分セットの各々一個のラウドスピーカ入力に対して、M≧2個の複数個の測定位置の各々において、前記M個の測定位置の各々における音測定に基づいて、各々一個のインパルス応答を見積る手段を備え、前記M個の測定位置はあるリスニング環境の関心領域内に分布し、更に
    前記L個のコントローラ入力信号の各々に対して、前記N個のラウドスピーカのうち選定された一個を基幹ラウドスピーカとして、且つ、前記N個のラウドスピーカのうちの少なくとも一個を含む選定されたラウドスピーカの部分セットSを一個の(又は複数個の)支援ラウドスピーカとして指定する手段を備え、前記基幹ラウドスピーカはこの部分セットSの要素ではなく、更に
    前記基幹ラウドスピーカの各々に対して、前記M個の測定位置の各々において、各々一個の目標インパルス応答を指定する手段を備え、前記目標インパルス応答は音響的な伝播遅延を有し、前記音響的伝播遅延は前記基幹ラウドスピーカから前記測定位置の各々までの距離に基づいて決定され、更に
    前記L個のコントローラ入力信号の各々に対して、前記選定された一個の基幹ラウドスピーカと前記選定された一個の(又は複数個の)支援ラウドスピーカに基づき、前記オーディオ事前補償コントローラの動的挙動の安定性という拘束条件の下で基準関数が最適化されるように、前記オーディオ事前補償コントローラの前記複数個のフィルタパラメータを決定する手段を備え、前記基準関数は、前記M個の測定位置上での補償された前記見積られたインパルス応答と前記目標インパルス応答間のパワー差の重み付けされた総和を含む、ことを特徴とするシステム。
  20. L≧2であり、且つ、前記L個の入力信号に対して決定された全ての前記複数個のフィルタパラメータを、前記オーディオ事前補償コントローラ用のフィルタパラメータの一個の合成セットに合成する手段を更に備え、且つ、前記フィルタパラメータの前記合成セットを有する前記オーディオ事前補償コントローラは前記L個の入力信号に作用するように構成されて、前記N個のコントローラ出力信号を前記ラウドスピーカに対して生成して前記目標インパルス応答を形成する、ことを特徴とする請求項19記載のシステム。
  21. 前記オーディオ事前補償コントローラのフィルタパラメータを決定する前記手段は、任意の目標動的システムと前記音発生システムのある動的モデルに基づく安定、線形、因果的多重可変フィードフォーワードコントローラのパラメータの線形二次ガウシアン(LQG)最適化に基づいて動作するように構成される、ことを特徴とする請求項19又は20記載のシステム。
  22. 連係する音発生システム用のオーディオ事前補償コントローラをコンピュータシステム上で動作させる場合に決定する為のコンピュータプログラムであって、前記音発生システムは合計でN≧2個のラウドスピーカを備え、各ラウドスピーカは各々一個のラウドスピーカ入力を有し、前記オーディオ事前補償コントローラは、L個のコントローラ入力信号用のL≧1個のコントローラ入力とN個のコントローラ出力信号用のN個のコントローラ出力を有し、一個の前記コントローラ出力が前記音発生システムの各ラウドスピーカに対応し、前記オーディオ事前補償コントローラは調整可能な複数個のフィルタパラメータを有し、
    前記コンピュータプログラムは、
    前記N個のラウドスピーカ入力の少なくともその部分セットの各々一個のラウドスピーカ入力に対して、M≧2個の複数個の測定位置の各々において、前記M個の測定位置の各々における音測定に基づいて、各々一個のインパルス応答を見積るプログラム手段を備え、前記M個の測定位置はあるリスニング環境の関心領域内に分布し、更に
    前記L個のコントローラ入力信号の各々に対して、前記N個のラウドスピーカのうち選定された一個を基幹ラウドスピーカとして、且つ、前記N個のラウドスピーカのうちの少なくとも一個を含む選定されたラウドスピーカの部分セットSを一個の(又は複数個の)支援ラウドスピーカとして指定するプログラム手段を備え、前記基幹ラウドスピーカはこの部分セットSの要素ではなく、更に
    前記基幹ラウドスピーカの各々に対して、前記M個の測定位置の各々において、各々一個の目標インパルス応答を指定するプログラム手段を備え、前記目標インパルス応答は音響的な伝播遅延を有し、前記音響的伝播遅延は前記基幹ラウドスピーカから前記測定位置の各々までの距離に基づいて決定され、更に
    前記L個のコントローラ入力信号の各々に対して、前記選定された一個の基幹ラウドスピーカと前記選定された一個の(又は複数個の)支援ラウドスピーカに基づき、前記オーディオ事前補償コントローラの動的挙動の安定性という拘束条件の下で基準関数が最適化されるように、前記オーディオ事前補償コントローラの前記複数個のフィルタパラメータを決定するプログラム手段を備え、前記基準関数は、前記M個の測定位置上での補償された前記見積られたインパルス応答と前記目標インパルス応答間のパワー差の重み付けされた総和を含む、ことを特徴とするコンピュータプログラム
  23. L≧2であり、且つ、前記L個の入力信号に対して決定された全ての前記複数個のフィルタパラメータを、前記オーディオ事前補償コントローラ用のフィルタパラメータの一個の合成セットに合成するプログラム手段を更に備え、且つ、前記フィルタパラメータの前記合成セットを有する前記オーディオ事前補償コントローラは前記L個の入力信号に作用するように構成されて、前記N個のコントローラ出力信号を前記ラウドスピーカに対して生成して前記目標インパルス応答を形成する、ことを特徴とする請求項22記載のコンピュータプログラム
  24. 前記オーディオ事前補償コントローラのフィルタパラメータを決定する前記手段は、任意の目標動的システムと前記音発生システムのある動的モデルに基づく安定、線形、因果的多重可変フィードフォーワードコントローラのパラメータの線形二次ガウシアン(LQG)最適化に基づいて動作するように構成される、ことを特徴とする請求項22又は23記載のコンピュータプログラム
  25. 請求項1乃至18のいずれかに記載の方法を用いて決定されるオーディオ事前補償コントローラ。
  26. 前記オーディオ事前補償コントローラは線形、安定、因果的フィードフォーワードコントローラである、ことを特徴とする請求項25記載のオーディオ事前補償コントローラ。
  27. 音発生システムと前記音発生システムへの入力経路上に存在するオーディオ事前補償コントローラを備えるオーディオシステムであって、前記オーディオ事前補償コントローラは請求項1乃至18のいずれかに記載の方法を用いて決定される、ことを特徴とするオーディオシステム。
  28. 前記オーディオ事前補償コントローラがデジタルオーディオ信号を生成するように構成されたことを特徴とする請求項25または26に記載のオーディオ事前補償コントローラ
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