JP2022538017A - オーディオシステムにおける低音管理 - Google Patents

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Abstract

マルチチャネルオーディオシステムの低音再生特性を制御するための方法が提供され、オーディオシステムは、少なくとも2つのオーディオ入力信号のための入力を有するとともに、少なくとも1つの低音対応ラウドスピーカと少なくとも2つの高域ラウドスピーカとを含む一組をなす複数のラウドスピーカを含み、各ラウドスピーカには、ラウドスピーカチャネルが関連付けられている。方法は、多数の測定位置または制御位置における各ラウドスピーカチャネルのサウンド再生特性を表現するインパルス応答または伝達関数を取得すること(S11)を含む。方法は、また、オーディオシステムが2つ以上の低音対応ラウドスピーカを含む場合には、少なくとも2つの低音対応ラウドスピーカのラウドスピーカチャネルどうしを、それら低音対応ラウドスピーカのインパルス応答どうしの合計が最小の空間的変動を有するように互いに同調させること(S12)、ならびに/または、複数の高域ラウドスピーカチャネルを、クロスオーバー周波数帯域で、互いに同位相であるようにおよび/または1つもしくは複数の低音対応ラウドスピーカチャネルと同位相であるように制御すること(S13)、を含む。

Description

提案する技術は、一般に、オーディオシステムおよびオーディオ処理に関し、より詳細には、オーディオシステムの低音再生特性の制御を可能とするように、オーディオ処理システムを含むオーディオシステムを構成するための方法およびシステム、ならびに、マルチチャネルオーディオシステムの低音再生特性を制御するための方法およびシステム、さらには、オーディオ処理システムおよび対応する全体的オーディオシステム、さらに、コンピュータプログラムおよびコンピュータプログラム製品、に関する。
低音管理とは、入力信号の低音成分を、低周波数の再生に最適なラウドスピーカへと導き、かつ、残りの高周波成分を、それぞれ対応する入力信号に関して本来的に意図されたラウドスピーカに対して導くように、オーディオシステムを構成するためのプロセスを指す。高周波成分および低周波成分への入力信号の分割は、一般に、クロスオーバーフィルタと称される一対をなす相補的なハイパスフィルタおよびローパスフィルタによって行われる。低音管理の目的は、入力チャネルに関係なく、いくつかのラウドスピーカの低周波数能力が不足していても、すべての低周波数成分がリスナーに知覚されることを確保することである。ここで低音として参照される周波数帯域は、典型的には、約20Hz~約80Hzの範囲から構成されている。低音管理が一般的に機能する理由は、この周波数範囲のサウンドが人間のリスナーに対して、特に室内モードが直接音よりも支配的な空間では、指向性情報をほとんどあるいは全く提供しないからである。よって、あるラウドスピーカに関して意図した低音信号を、再生サウンドの知覚方向に著しい影響を与えることなく、他のスピーカへと転送することができる。一般に、低音ラウドスピーカまたは単に低音スピーカとも称される低音対応ラウドスピーカは、メインシステムラウドスピーカの1つまたはいくつかとすることができる、例えば、これら低音対応ラウドスピーカが充分に大きい場合にはメインフロントステレオL/Rペアとすることができる、あるいは、それら低音対応ラウドスピーカは、1つまたはいくつかのサブウーファとすることができる、あるいは、サブウーファと大型メインスピーカとの任意の組合せとすることができる。
リスナーが知覚する可聴の最終結果は、個々のラウドスピーカの能力に依存するだけでなく、ラウドスピーカどうしが互いに音響的に相互作用する態様にも、およびラウドスピーカが部屋に対して音響的に相互作用する態様にも、依存する。一般に、このようなラウドスピーカと部屋との相互作用は、非常に複雑であり、標準的な信号のルート変更では対処し得ない望ましくない干渉現象を引き起こし得る。よって、低音管理の概念を拡張し、そのような干渉現象の悪影響を低減する態様を提供することが望ましい。
一般的な目的は、オーディオシステムおよび低音管理に関して、新規なかつ改良された進展を提供することである。
特定の目的は、オーディオシステムの低音再生特性の制御を可能とするように、オーディオ処理システムを含むオーディオシステムを構成するための方法を提供することである。
他の目的は、オーディオシステムの低音再生特性の制御を可能とするように、オーディオ処理システムを含むオーディオシステムを構成するためのシステムを提供することである。
また、特定の目的は、マルチチャネルオーディオシステムの低音再生特性を制御するための方法を提供することである。
他の目的は、マルチチャネルオーディオシステムの低音再生特性を制御するためのシステムを提供することである。
さらに他の目的は、マルチチャネルオーディオシステムの低音再生特性を制御するためのそのようなシステムを含むオーディオ処理システムを提供することである。
なおも別の目的は、対応する全体的オーディオシステムを提供することである。
また、1つの目的は、対応するコンピュータプログラムおよびコンピュータプログラム製品を提供することである。
これらの目的および他の目的は、提案する技術の実施形態によって満たされる。
提案する技術は、マルチチャネルオーディオシステムの低音再生特性を制御するための、方法およびシステムならびに他の態様を提供する。
第1の態様によれば、オーディオシステムの低音再生特性の制御を可能とするように、オーディオ処理システムを含むオーディオシステムを構成するための方法が提供される。オーディオシステムは、少なくとも2つのオーディオ入力信号のための入力を有するとともに、少なくとも1つの低音対応ラウドスピーカと少なくとも2つの高域ラウドスピーカとを含む一組をなす複数のラウドスピーカを含み、各ラウドスピーカには、ラウドスピーカチャネルが関連付けられている。方法は、a)多数の測定位置または制御位置において各ラウドスピーカチャネルのサウンド再生特性を表現するインパルス応答または伝達関数を取得することと、b)インパルス応答または伝達関数に基づいて、オーディオ処理システム内のオーディオ処理ブロックに関するパラメータを決定することと、を含む。方法は、インパルス応答または伝達関数に基づいてオーディオ処理システム内のオーディオ処理ブロックに関するパラメータを決定するステップが、
i)オーディオシステムが2つ以上の低音対応ラウドスピーカを含む場合には、低音領域における低音対応スピーカの伝達関数どうしの合計に関する周波数応答における空間的変動を測定および/または表現する基準関数を使用することにより、さらに、許容可能なゲインと遅延とフィルタパラメータとに関する探索空間上においてパラメータ探索を実行することにより、低音対応ラウドスピーカに対して接続された信号に対して作用するゲイン係数と遅延とオールパスフィルタとに関するパラメータを決定することと、
ii)クロスオーバー周波数帯域における高域ラウドスピーカの伝達関数どうしの合計の大きさを測定および/または表現する基準関数を使用することにより、さらに、許容可能なフィルタパラメータに関する探索空間上においてパラメータ探索を実行することにより、少なくとも一対の高域ラウドスピーカに対して接続された信号に対して作用するオールパスフィルタに関するパラメータを決定することと、
iii)クロスオーバー周波数帯域における、1つまたは複数の高域ラウドスピーカの伝達関数と、1つまたは複数の低音対応スピーカの低音チャネルの伝達関数と、の合計の大きさを測定および/または表現する基準関数を使用することにより、さらに、許容可能なフィルタパラメータに関する探索空間上においてパラメータ探索を実行することにより、少なくとも1つの高域ラウドスピーカに対して接続された信号に対して作用するならびに1つまたは複数の低音対応ラウドスピーカに対して接続された信号に対して作用するオールパスフィルタに関するパラメータを決定することS2-3と、のうちの少なくとも1つを含むことを、さらに特徴とする。
第2の態様によれば、オーディオシステムの制御された低音再生特性を可能とするように、オーディオ処理システムを含むオーディオシステムを構成するためのシステムが提供される。オーディオシステムは、少なくとも2つのオーディオ入力信号のための入力を有するとともに、少なくとも1つの低音対応ラウドスピーカと少なくとも2つの高域ラウドスピーカとを含む一組をなす複数のラウドスピーカを含み、各ラウドスピーカには、ラウドスピーカチャネルが関連付けられている。オーディオシステムを構成するためのシステムは、a)多数の測定位置または制御位置における各ラウドスピーカチャネルのサウンド再生特性を表現するインパルス応答または伝達関数を取得するように、さらに、b)インパルス応答または伝達関数に基づいて、オーディオ処理システム内のオーディオ処理ブロックに関するパラメータを決定するように、構成され、
オーディオシステムを構成するためのシステムは、
i)オーディオシステムが2つ以上の低音対応ラウドスピーカを含む場合には、低音領域における低音対応スピーカの伝達関数どうしの合計に関する周波数応答における空間的変動を測定および/または表現する基準関数を使用することにより、さらに、許容可能なゲインと遅延とフィルタパラメータとに関する探索空間上においてパラメータ探索を実行することにより、低音対応ラウドスピーカに対して接続された信号に対して作用するゲイン係数と遅延とオールパスフィルタとに関するパラメータを決定することと、
ii)クロスオーバー周波数帯域における高域ラウドスピーカの伝達関数どうしの合計の大きさを測定および/または表現する基準関数を使用することにより、さらに、許容可能なフィルタパラメータに関する探索空間上においてパラメータ探索を実行することにより、少なくとも一対の高域ラウドスピーカに対して接続された信号に対して作用するオールパスフィルタに関するパラメータを決定することと、
iii)クロスオーバー周波数帯域における、1つまたは複数の高域ラウドスピーカの伝達関数と、1つまたは複数の低音対応スピーカの低音チャネルの伝達関数と、の合計の大きさを測定および/または表現する基準関数を使用することにより、さらに、許容可能なフィルタパラメータに関する探索空間上においてパラメータ探索を実行することにより、少なくとも1つの高域ラウドスピーカに対して接続された信号に対して作用するならびに1つまたは複数の低音対応ラウドスピーカに対して接続された信号に対して作用するオールパスフィルタに関するパラメータを決定することと、のうちの少なくとも1つの手順を実行するように、さらに構成されていることを特徴とする。
第3の態様によれば、マルチチャネルオーディオシステムの低音再生特性を制御するための方法が提供される。オーディオシステムは、少なくとも2つのオーディオ入力信号のための入力を有するとともに、少なくとも1つの低音対応ラウドスピーカと少なくとも2つの高域ラウドスピーカとを含む一組をなす複数のラウドスピーカを含み、各ラウドスピーカには、ラウドスピーカチャネルが関連付けられている。方法は、
-多数の測定位置または制御位置における各ラウドスピーカチャネルのサウンド再生特性を表現するインパルス応答または伝達関数を取得することと、
-オーディオシステムが2つ以上の低音対応ラウドスピーカを含む場合には、少なくとも2つの低音対応ラウドスピーカのラウドスピーカチャネルどうしを、それら低音対応ラウドスピーカのインパルス応答どうしの合計が最小の空間的変動を有するように互いに同調させることS12、ならびに/または、複数の高域ラウドスピーカチャネルを、クロスオーバー周波数帯域で、互いに同位相であるようにおよび/または1つもしくは複数の低音対応ラウドスピーカチャネルと同位相であるように制御すること、と、を含む。
第4の態様によれば、関連するマルチチャネルオーディオシステムの低音再生特性を制御するように構成されたシステムが提供される。オーディオシステムは、少なくとも2つのオーディオ入力信号のための入力を有するとともに、少なくとも1つの低音対応ラウドスピーカと少なくとも2つの高域ラウドスピーカとを含む一組をなす複数のラウドスピーカを含み、各ラウドスピーカには、ラウドスピーカチャネルが関連付けられている。低音再生特性を制御するように構成されたシステムは、多数の測定位置または制御位置における各ラウドスピーカチャネルのサウンド再生特性を表現するインパルス応答または伝達関数を取得するように構成されている。また、低音再生特性を制御するように構成されたシステムは、オーディオシステムが2つ以上の低音対応ラウドスピーカを含む場合には、それら低音対応ラウドスピーカのインパルス応答どうしの合計が最小の空間的変動を有するよう、少なくとも2つの低音ラウドスピーカのラウドスピーカチャネルどうしを互いに同調させるように、ならびに/または、複数の高域ラウドスピーカチャネルを、クロスオーバー周波数帯域で、互いに同位相であるようにおよび/または1つもしくは複数の低音対応ラウドスピーカチャネルと同位相であるように制御するように、構成されている。
第5の態様によれば、本明細書において説明するような関連するマルチチャネルオーディオシステムの低音再生特性を制御するように構成されたシステムを含むオーディオ処理システムが提供される。
第6の態様によれば、このようなオーディオ処理システムを含むオーディオシステムが、また、提供される。
第7の態様によれば、コンピュータプログラムが提供され、コンピュータプログラムは、命令を含み、命令は、プロセッサによって実行された時には、プロセッサに、本明細書において説明するいずれかの方法を実行させる。
第8の態様によれば、コンピュータプログラム製品が提供され、コンピュータプログラム製品は、そのようなコンピュータプログラムが内部に格納された非一過性コンピュータ可読媒体を含む。
少し異なる表現を使用すれば、提案する技術は、各ラウドスピーカチャネルの低音領域内における、遅延、ゲイン、および/または位相シフトを自動的に微調整し、その結果、全体的な低音性能を向上させるための、方法およびシステムならびに他の態様を提供する。
例として、本発明の有益な特徴点は、例えばサブウーファなどの2つ以上の低音対応ラウドスピーカを有したシステムにおいて、低周波数における座席どうしの間での伝達関数の変動を最小化するよう努めることである。別の有利な特徴点は、部屋内の選択された測定位置または制御位置からなる部分集合において、クロスオーバー周波数帯域で、複数の高域メインチャネルが、互いに同位相であるように、および/または、1つもしくは複数の低音対応スピーカ(例えば、サブウーファ)と同位相であるように、制御および/または確保し得ることである。
さらに別の興味深い特徴点は、部屋内の多数の測定位置または制御位置における各ラウドスピーカチャネルのサウンド再生特性を表現するインパルス応答または伝達関数を利用し得ることである。例えば、インパルス応答または伝達関数は、部屋内での測定によって、あるいは、部屋のモデルに基づくシミュレーションによって、取得されてもよい。
特定の例では、設計目的は、チャネルに対して適用されるゲイン調整および遅延調整を使用することによりならびに/または低次デジタルフィルタを使用することにより、さらに、ゲインと遅延とフィルタとに関するパラメータを得るための探索アルゴリズムを実行することにより、ラウドスピーカチャネルどうしの間の位相関係を調整することによって対処され得る。
このようにして、オーディオシステムに関する全体的低音性能の向上を提供することができる。
他の利点は、本発明の非限定的な実施形態に関する以下の詳細な説明を読むことにより、理解されるであろう。
実施形態は、その更なる目的および利点とともに、添付図面と一緒に考慮される以下の説明を参照することにより、最良に理解されるであろう。
図1は、オーディオシステムの簡略化された一例を示す概略的なブロック図である。 図2は、部屋内の21箇所の位置で測定されたあるサブウーファの周波数応答(灰色の線)と、それら周波数応答どうしのRMS平均(黒色の線)と、を示している。 図3は、部屋内の21箇所の位置で測定された3つのサブウーファの音響和に関する周波数応答(灰色の線)と、それら周波数応答どうしのRMS平均(黒色の線)と、を示している。 図4は、図2と同じ3つのサブウーファの音響和に関する周波数応答を、それぞれのサブウーファに対して、わずかなレベル調整と2つの2次オールパスフィルタとを適用した後に示している。オールパスフィルタおよびレベル調整は、本発明による方法に従って、30Hz~100Hzの周波数応答における空間的変動を低減させるという基準で同調された。 図5は、部屋内の1つの位置にあるマイクロホンで測定した際の、ステレオペアをなすラウドスピーカの周波数応答を示している。図5(a)は、左スピーカの周波数応答であり、図5(b)は、右スピーカの周波数応答である。 図6は、図5(a)および図5(b)における周波数応答どうしの音響和に関する周波数応答である。図6(a)は、ラウドスピーカ信号に対してオールパスフィルタを適用していない音響和応答である。図6(b)は、本発明による方法に従って設計されたオールパスフィルタがラウドスピーカ信号に対して適用された後における音響和応答である。 図7は、相補的なローパスおよびハイパスのクロスオーバーフィルタを低音チャネルと高域メインチャネルとに対してそれぞれ適用した場合の、低音チャネルおよび高域メインチャネルの周波数応答を示している。この例では、ローパス/ハイパスクロスオーバーのカットオフ周波数は、75Hzに設定されている。 図8は、図7における低域応答および高域応答の音響和に関する2つのバージョンを示している。図8(a)は、スピーカ信号に対して何らの余分な前処理をしない場合の音響和を示している。図8(b)は、スピーカ信号が、本発明による方法に従って設計されたオールパスフィルタによって前処理された場合の音響和を示している。 図9は、左右のメインスピーカペアと3つのサブウーファとを含むステレオシステムの例に関するブロック図を示しており、本発明による方法に従ってパラメータが調整され得る複数のフィルタからなるネットワークを介して、従来的な左右のステレオ入力信号に対して接続されている。点線で示すブロックは、位相、遅延、およびゲインに関してサブウーファを調整することにより、低音における空間的変動を最小化するように設計されている。破線で示すオールパスフィルタブロックは、測定位置または制御位置からなる選択された部分集合において、選択された周波数範囲における左右のスピーカどうしの間の位相整合を最大化するように設計されている。最後のステップでは、灰色のオールパスフィルタブロックは、測定位置または制御位置からなる選択された部分集合において、クロスオーバー周波数の周辺におけるサブウーファおよび高域左右チャネルの位相整合を最大とするように設計されている。 図10は、左右のメインスピーカペアと、中央スピーカと、1つのサブウーファと、を含む3チャネルシステムの例に関する別のブロック図を示しており、本発明による方法に従ってパラメータが調整され得る複数のフィルタからなるネットワークを介して、3つの入力信号に対して接続されている。 図11は、バス構造を介して他のチャネルとの間にわたって信号を送受信し得る1つの汎用オーディオチャネルに関するブロック図を示している。 図12は、本発明によるフィルタ設計アルゴリズムの実装に適したコンピュータシステムの一例を示す概略的なブロック図である。 図13は、一実施形態によるコンピュータ実装の一例を示す概略図である。 図14は、オーディオシステムの低音再生特性の制御を可能とするように、オーディオ処理システムを含むオーディオシステムを構成するための方法に関する一例を示す概略的なフロー図である。 図15は、マルチチャネルオーディオシステムの低音再生特性を制御するための方法に関する一例を示す概略的なフロー図である。
図面全体を通して、同様のまたは対応する構成要素には、同じ参照符号が使用されている。
簡略化してオーディオシステムを示す図1を参照して、オーディオシステムの概要から開始することが有用であり得る。オーディオシステム10は、基本的に、オーディオ処理システム20と、サウンド生成システム30と、を含む。一般に、オーディオ処理システム20は、1つまたは複数のオーディオチャネルに関連し得る1つまたは複数のオーディオ入力信号を処理するように、構成されている。フィルタリングされたオーディオ信号は、音を生成するためにサウンド生成システム30に対して転送される。サウンド生成システム30は、1つもしくは複数の低音対応ラウドスピーカおよび2つ以上の高域ラウドスピーカなどの、一組をなす複数のラウドスピーカを含んでもよい。
背景技術において上述したように、低音管理とは、入力信号の低音成分を、低周波数の再生に最適なラウドスピーカへと導き、かつ、残りの高周波成分を、それぞれ対応する入力信号に関して本来的に意図されたラウドスピーカに対して導くように、オーディオシステムを構成するための方法および/またはプロセスを指してもよい。高周波成分および低周波成分への入力信号の分割は、一般に、クロスオーバーフィルタと称される一対をなす相補的なハイパスフィルタおよびローパスフィルタによって行われる。低音管理の目的は、入力チャネルに関係なく、いくつかのラウドスピーカの低周波数能力が不足していても、すべての低周波数成分がリスナーに知覚されることを確保することである。ここで低音として参照される周波数帯域は、典型的には、約20Hz~約80Hzの範囲から構成されている。低音管理が一般的に機能する理由は、この周波数範囲のサウンドが人間のリスナーに対して、特に室内モードが直接音よりも支配的な空間では、指向性情報をほとんどあるいは全く提供しないからである。よって、あるラウドスピーカに関して意図した低音信号を、再生サウンドの知覚方向に著しい影響を与えることなく、他のスピーカへと転送することができる。一般に、低音対応ラウドスピーカは、メインシステムラウドスピーカの1つまたはいくつかとすることができる、例えば、これら低音対応ラウドスピーカが充分に大きい場合にはメインフロントステレオL/Rペアとすることができる、あるいは、それら低音対応ラウドスピーカは、1つまたはいくつかのサブウーファとすることができる、あるいは、サブウーファと大型メインスピーカとの任意の組合せとすることができる。
上記の説明によれば、低音管理は、様々なラウドスピーカの低音能力を考慮した態様で、入力信号のルート変更を含んでもよい。しかしながら、リスナーが知覚する可聴の最終結果は、個々のラウドスピーカの能力に依存するだけでなく、ラウドスピーカどうしが互いに音響的に相互作用する態様にも、およびラウドスピーカが部屋に対して音響的に相互作用する態様にも、依存する。一般に、このようなラウドスピーカと部屋との相互作用は、非常に複雑であり、標準的な信号のルート変更では対処し得ない望ましくない干渉現象を引き起こし得る。よって、低音管理の概念を拡張し、そのような干渉現象の悪影響を低減する態様を提供することが望ましい。
提案する技術は、マルチチャネルオーディオシステムの低音再生特性を制御するための方法およびシステムならびに他の態様を提供する。マルチチャネルオーディオシステムの低音再生特性を制御するためのシステムは、また、オーディオ処理システムとも称される。提案する技術は、また、低音再生特性の制御を可能とするために、オーディオ処理システムおよびその処理ブロックを含めたそのようなマルチチャネルオーディオシステムを構成するための方法および対応するシステムを提供する。本発明は、また、各ラウドスピーカチャネルの低音領域における遅延とゲインと位相シフトとを自動的に微調整し、これにより全体的な低音性能を向上させるための、方法およびシステムと見なすこともできる。
図14は、オーディオシステムの低音再生特性の制御を可能とするように、オーディオ処理システムを含むオーディオシステムを構成するための方法に関する一例を示す概略的なフロー図である。
第1の態様によれば、オーディオシステムの低音再生特性の制御を可能とするように、オーディオ処理システムを含むオーディオシステムを構成するための方法が提供される。
オーディオシステムは、少なくとも2つのオーディオ入力信号のための入力を有するとともに、少なくとも1つの低音対応ラウドスピーカと少なくとも2つの高域ラウドスピーカとを含む一組をなす複数のラウドスピーカを含み、各ラウドスピーカには、ラウドスピーカチャネルが関連付けられている。
方法は、
a)多数の測定位置または制御位置において各ラウドスピーカチャネルのサウンド再生特性を表現するインパルス応答または伝達関数を取得することS1と、
b)インパルス応答または伝達関数に基づいて、オーディオ処理システム内のオーディオ処理ブロックに関するパラメータを決定することS2と、を含む。
方法は、インパルス応答または伝達関数に基づいてオーディオ処理システム内のオーディオ処理ブロックに関するパラメータを決定するステップS2が、
i)オーディオシステムが2つ以上の低音対応ラウドスピーカを含む場合には、低音領域における低音対応スピーカの伝達関数どうしの合計に関する周波数応答における空間的変動を測定および/または表現する基準関数を使用することにより、さらに、許容可能なゲインと遅延とフィルタパラメータとに関する探索空間上においてパラメータ探索を実行することにより、低音対応ラウドスピーカに対して接続された信号に対して作用するゲイン係数と遅延とオールパスフィルタとに関するパラメータを決定することS2-1と、
ii)クロスオーバー周波数帯域における高域ラウドスピーカの伝達関数どうしの合計の大きさを測定および/または表現する基準関数を使用することにより、さらに、許容可能なフィルタパラメータに関する探索空間上においてパラメータ探索を実行することにより、少なくとも一対の高域ラウドスピーカに対して接続された信号に対して作用するオールパスフィルタに関するパラメータを決定することS2-2と、
iii)クロスオーバー周波数帯域における、1つまたは複数の高域ラウドスピーカの伝達関数と、1つまたは複数の低音対応スピーカの低音チャネルの伝達関数と、の合計の大きさを測定および/または表現する基準関数を使用することにより、さらに、許容可能なフィルタパラメータに関する探索空間上においてパラメータ探索を実行することにより、少なくとも1つの高域ラウドスピーカに対して接続された信号に対して作用するならびに1つまたは複数の低音対応ラウドスピーカに対して接続された信号に対して作用するオールパスフィルタに関するパラメータを決定することS2-3と、のうちの少なくとも1つを含むことを、さらに特徴とする。
例として、パラメータは、オーディオシステムが2つ以上の低音対応ラウドスピーカを含む場合には、選択された測定位置または制御位置からなる部分集合において、それら低音対応ラウドスピーカのインパルス応答どうしの合計が最小の空間的変動を有するよう、少なくとも2つの低音ラウドスピーカのラウドスピーカチャネルどうしを互いに同調させるように制御するように決定される、ならびに/または、複数の高域ラウドスピーカチャネルを、クロスオーバー周波数帯域で、互いに同位相であるようにおよび/または1つもしくは複数の低音対応ラウドスピーカチャネルと同位相であるように制御するように決定される。
任意選択的に、ステップi)は、オーディオシステムが2つ以上の低音対応ラウドスピーカを含む場合に実行され、ステップii)および/またはステップiii)は、高域ラウドスピーカの各ステレオペアに対して実行され、ならびに/または、ステップiii)は、非ペアの高域ラウドスピーカのそれぞれに対して実行される。
例えば、許容可能なゲインおよび/または遅延および/またはフィルタパラメータの少なくとも部分集合は、バイナリ文字列の形態へと符号化され、許容可能なパラメータに関する探索空間上におけるパラメータ探索は、遺伝的探索アルゴリズムを使用して実行される。
一例として、本方法は、決定されたパラメータをオーディオ処理システムのオーディオ処理ブロック内へと実装することを、さらに含む。
特定の例では、本方法は、低音対応ラウドスピーカのためのオーディオ処理ブロックを構成することを含む。
例えば、本方法は、各低音対応ラウドスピーカの信号経路内に、オールパスフィルタ、ゲイン係数、および遅延、を構成することを含む。
特定の例では、本方法は、複数の高域ラウドスピーカからなる各ペアのためのオーディオ処理ブロックを構成することを含む。
例えば、本方法は、考慮対象をなすラウドスピーカペア内の各高域ラウドスピーカの信号経路内に、オールパスフィルタを構成することを含む。
任意選択的に、本方法は、低音対応ラウドスピーカと高域ラウドスピーカとの組合せのためのオーディオ処理ブロックを構成することを含む。
例として、本方法は、選択されたラウドスピーカペア内の各高域ラウドスピーカの信号経路内に、および、低音対応ラウドスピーカチャネルへの入力に関連した信号経路内に、オールパスフィルタを構成することを含む。
特定の例では、クロスオーバー周波数帯域は、低音領域と高域との間のクロスオーバー内の周波数帯域である。
例として、少なくとも1つのラウドスピーカは、200Hz未満の周波数を再生し得るものであって、1つまたは複数の低音対応ラウドスピーカと称され、また、少なくとも1つのラウドスピーカは、200Hz超の周波数を再生し得るものであって、1つまたは複数の高域ラウドスピーカと称される。
例えば、低音領域の周波数帯域は、約20Hz~約80Hzの範囲を含んでもよい。
特定の例では、オーディオ処理システムは、各オーディオ入力信号を低周波数成分と高周波数成分とに分割するための、クロスオーバーフィルタと称される一対の相補的なローパスフィルタおよびハイパスフィルタと、多数の追加的なオーディオ処理ブロックと、に基づいている。
例えば、クロスオーバーフィルタのカットオフ周波数は、75Hz程度であってもよい。
特定の例示的な実施形態では、本方法は、オールパスフィルタと遅延とゲイン係数とが低音対応ラウドスピーカ入力信号に対して適用された時に、変動基準関数によって測定された際には、低音対応ラウドスピーカの伝達関数どうしの合計に関する周波数応答における空間的変動を低減させるパラメータ値を決定することを含む。
一例として、変動基準関数は、複数の項の加重和を含み、各項は、低音領域において選択された周波数帯域内の一組をなす複数の周波数に関して、取得された伝達関数の処理済みバージョンの空間的変動に関する特定の態様を測定する。
例えば、インパルス応答または伝達関数は、部屋または規定された空間内での測定によって、あるいは、部屋または規定された空間のモデルに基づくシミュレーションによって、取得されてもよい。
第2の態様によれば、オーディオシステムの制御された低音再生特性を可能とするように、オーディオ処理システムを含むオーディオシステムを構成するためのシステムが提供される。
オーディオシステムは、少なくとも2つのオーディオ入力信号のための入力を有するとともに、少なくとも1つの低音対応ラウドスピーカと少なくとも2つの高域ラウドスピーカとを含む一組をなす複数のラウドスピーカを含み、各ラウドスピーカには、ラウドスピーカチャネルが関連付けられている。
オーディオシステムを構成するためのシステムは、a)多数の測定位置または制御位置における各ラウドスピーカチャネルのサウンド再生特性を表現するインパルス応答または伝達関数を取得するように、さらに、b)インパルス応答または伝達関数に基づいて、オーディオ処理システム内のオーディオ処理ブロックに関するパラメータを決定するように、構成され、
オーディオシステムを構成するためのシステムは、
i)オーディオシステムが2つ以上の低音対応ラウドスピーカを含む場合には、低音領域における低音対応スピーカの伝達関数どうしの合計に関する周波数応答における空間的変動を測定および/または表現する基準関数を使用することにより、さらに、許容可能なゲインと遅延とフィルタパラメータとに関する探索空間上においてパラメータ探索を実行することにより、低音対応ラウドスピーカに対して接続された信号に対して作用するゲイン係数と遅延とオールパスフィルタとに関するパラメータを決定することと、
ii)クロスオーバー周波数帯域における高域ラウドスピーカの伝達関数どうしの合計の大きさを測定および/または表現する基準関数を使用することにより、さらに、許容可能なフィルタパラメータに関する探索空間上においてパラメータ探索を実行することにより、少なくとも一対の高域ラウドスピーカに対して接続された信号に対して作用するオールパスフィルタに関するパラメータを決定することと、
iii)クロスオーバー周波数帯域における、1つまたは複数の高域ラウドスピーカの伝達関数と、1つまたは複数の低音対応スピーカの低音チャネルの伝達関数と、の合計の大きさを測定および/または表現する基準関数を使用することにより、さらに、許容可能なフィルタパラメータに関する探索空間上においてパラメータ探索を実行することにより、少なくとも1つの高域ラウドスピーカに対して接続された信号に対して作用するならびに1つまたは複数の低音対応ラウドスピーカに対して接続された信号に対して作用するオールパスフィルタに関するパラメータを決定することと、のうちの少なくとも1つの手順を実行するように、さらに構成されていることを特徴とする。
一例として、オーディオシステムを構成するためのシステムは、決定されたパラメータをオーディオ処理システムのオーディオ処理ブロック内へと実装するように構成されてもよい。
特定の例では、オーディオシステムを構成するためのシステムは、少なくとも1つのプロセッサとメモリとを含み、メモリは、命令を含み、命令は、少なくとも1つのプロセッサによって実行された時には、少なくとも1つのプロセッサに、インパルス応答または伝達関数を取得させることと、インパルス応答または伝達関数に基づいてオーディオ処理ブロックに関するパラメータを決定させることと、を実行させる。
図15は、マルチチャネルオーディオシステムの低音再生特性を制御するための方法の一例を示す概略的なフロー図である。
第3の態様によれば、マルチチャネルオーディオシステムの低音再生特性を制御するための方法が提供される。
オーディオシステムは、少なくとも2つのオーディオ入力信号のための入力を有するとともに、少なくとも1つの低音対応ラウドスピーカと少なくとも2つの高域ラウドスピーカとを含む一組をなす複数のラウドスピーカを含み、各ラウドスピーカには、ラウドスピーカチャネルが関連付けられている。
方法は、
-多数の測定位置または制御位置における各ラウドスピーカチャネルのサウンド再生特性を表現するインパルス応答または伝達関数を取得することS11と、
-オーディオシステムが2つ以上の低音対応ラウドスピーカを含む場合には、少なくとも2つの低音対応ラウドスピーカのラウドスピーカチャネルどうしを、それら低音対応ラウドスピーカのインパルス応答どうしの合計が最小の空間的変動を有するように互いに同調させることS12、ならびに/または、複数の高域ラウドスピーカチャネルを、クロスオーバー周波数帯域で、互いに同位相であるようにおよび/または1つもしくは複数の低音対応ラウドスピーカチャネルと同位相であるように制御することS13、と、を含む。
特定の例では、本方法は、ラウドスピーカチャネルに対して適用されるゲイン調整および遅延調整を使用することによりならびに/または低次デジタルフィルタを使用することにより、さらに、ゲインと遅延とフィルタとに関するパラメータを取得するために探索アルゴリズムを実行することにより、ラウドスピーカチャネルどうしの間の位相関係を調整することを含む。
第4の態様によれば、関連するマルチチャネルオーディオシステムの低音再生特性を制御するように構成されたシステムが提供される。
オーディオシステムは、少なくとも2つのオーディオ入力信号のための入力を有するとともに、少なくとも1つの低音対応ラウドスピーカと少なくとも2つの高域ラウドスピーカとを含む一組をなす複数のラウドスピーカを含み、各ラウドスピーカには、ラウドスピーカチャネルが関連付けられている。
低音再生特性を制御するように構成されたシステムは、多数の測定位置または制御位置における各ラウドスピーカチャネルのサウンド再生特性を表現するインパルス応答または伝達関数を取得するように構成されている。
また、低音再生特性を制御するように構成されたシステムは、オーディオシステムが2つ以上の低音対応ラウドスピーカを含む場合には、それら低音対応ラウドスピーカのインパルス応答どうしの合計が最小の空間的変動を有するよう、少なくとも2つの低音ラウドスピーカのラウドスピーカチャネルどうしを互いに同調させるように、ならびに/または、複数の高域ラウドスピーカチャネルを、クロスオーバー周波数帯域で、互いに同位相であるようにおよび/または1つもしくは複数の低音対応ラウドスピーカチャネルと同位相であるように制御するように、構成されている。
特定の例では、低音再生特性を制御するように構成されたシステムは、少なくとも1つのプロセッサとメモリとを含み、メモリは、命令を含み、命令は、少なくとも1つのプロセッサによって実行された時には、少なくとも1つのプロセッサに、インパルス応答または伝達関数を取得させることを実行させるとともに、少なくとも2つの低音ラウドスピーカのラウドスピーカチャネルどうしを互いに同調させること、ならびに/または、複数の高域ラウドスピーカチャネルを、クロスオーバー周波数帯域で、互いに同位相であるようにおよび/または1つもしくは複数の複数の低音対応ラウドスピーカチャネルと同位相であるように制御すること、を実行させる。
第5の態様によれば、本明細書において説明するような関連するマルチチャネルオーディオシステムの低音再生特性を制御するように構成されたシステムを含むオーディオ処理システムが提供される。
第6の態様によれば、このようなオーディオ処理システムを含むオーディオシステムが、また、提供される。
より良好な理解のために、提案する技術について、以下において、非限定的かつ例示的な例を参照して説明する。
例として、ラウドスピーカチャネルの微調整は、相互に関連する問題点を解決しようとする3つの主要な設計ステップのうちの1つまたは複数で実行され得る。
ステップ1:システムが2つ以上の低音対応ラウドスピーカを含む場合には、低音領域における周波数応答の空間的変動を低減させること、
ステップ2:クロスオーバー周波数の周辺の周波数帯域で、左右の高域ラウドスピーカペアのチャネルどうしの間の位相ずれ挙動を低減すること、および/または、
ステップ3:クロスオーバー周波数の周辺の周波数帯域で、低音スピーカと高域チャネルとの間の位相ずれ挙動を低減すること。
例えば、これらの相互に関連する問題点の1つまたは複数を解決するためのいくつかの機能的な主要特徴点は、以下のように要約することができる。
ステップ1:低音領域の空間的変動を測定および/または表現する基準関数を使用することにより、さらに、許容可能なゲインと遅延とフィルタパラメータとに関する探索空間上においてパラメータ探索を実行することにより、低音対応スピーカに対して接続された信号に対して作用するゲイン係数と遅延とオールパスフィルタとに関するパラメータを決定/最適化すること(例えば、以下のステップB1~ステップB7)。
ステップ2:クロスオーバー周波数の周辺における左右のスピーカの伝達関数どうしの合計の大きさを測定および/または表現する基準関数を使用することにより、さらに、許容可能なフィルタパラメータに関する探索空間上においてパラメータ探索を実行することにより、高域の左右のスピーカペアに対して接続された信号に対して作用するオールパスフィルタに関するパラメータを決定/最適化すること(例えば、以下のステップC1~ステップC6)。
ステップ3:高域ラウドスピーカの伝達関数と、1つまたは複数の低音対応スピーカのための(1つもしくは複数の低音対応スピーカへと向かう、および/または、1つもしくは複数の低音対応スピーカによって形成される)低音チャネルの伝達関数と、の合計の大きさを測定および/または表現する基準関数を使用することにより、さらに、許容可能なフィルタパラメータに関する探索空間上におけるパラメータ探索を実行することにより、高域スピーカに対して接続された信号に対して作用するならびに低音対応スピーカに対して接続された信号に対して作用するオールパスフィルタに関するパラメータを決定/最適化すること(例えば、以下のステップD1~ステップD10、または、ステップE1~ステップE8)。
上記のステップ1の利点は、以下の例によって例示することができる。
図2は、部屋内における21箇所の位置において測定されたあるサブウーファの周波数応答を示している。図から明らかなように、平均的な周波数応答(細い黒色の線)は、滑らかで良好な挙動を示しているけれども、それぞれの測定位置または制御位置での応答は、非常に不規則であり、位置どうしの間にわたってのレベル変動は、いくつかの周波数では、20dB~30dBの程度になっている。複数のサブウーファを使用することにより、特にそれらサブウーファが部屋に対しておよび互いに対して最適な態様で相互作用するようにそれらサブウーファの位置と相対的なレベルと位相関係とが注意深く選択された場合には、そのような不規則性を軽減することを補助することができる。図3は、図2の状況に対して2つのサブウーファを追加するとともに、それら3つのサブウーファを同じ入力信号に対して接続した場合の結果を示している。明らかに、空間的変動は、大部分の周波数で低減しているものの、25Hz周辺と60Hz周辺とにおいて、いくらかの変動が残っている。このように、システムに対して追加するサブウーファを単に増やすだけでは、変動の低減を補助するようには思われるものの、変動が残ることから、最終的な結果を、完全には予測し得ない。複数のサブウーファというシナリオを最大限に活用するために、本発明は、空間にわたっての変動が、選択された周波数帯域で最小化されるという基準の下で、個々のサブウーファのレベルと遅延と位相応答との微調整を提供する。図4は、そのような微調整の結果を示しており、各サブウーファの信号経路に対して、ゲイン係数と遅延と2次オールパスフィルタとのカスケードが適用されている。
上記のステップ2の利点は、以下の例によって例示することができる。
図5は、部屋内の1つの位置で測定された左右の広帯域ラウドスピーカペアの周波数応答を示している。図5(a)および図5(b)は、それぞれ左および右の応答を表している。図6(a)は、これら左右の応答の音響和を示している。図6(a)は、左右の両チャネルに対して同じ強さのモノラル信号源を接続した時に、測定位置または制御位置で得られる応答である。明らかに、図6(a)の周波数応答には、約75Hzのところに尖鋭なヌルが存在し、これは、図5(a)および図5(b)の応答における尖鋭なヌルによっては同等に説明することができない。したがって、この尖鋭なヌルの発生は、75Hzにおける左右のチャネルどうしの間の破壊的な音響的干渉によって生じたものでなければならない。低音域におけるこのような破壊的な干渉、すなわち、位相の打ち消し合いは、非対称な環境下に配置されたサウンドシステムにおいて通常は見られる現象であり、低音性能に悪影響を及ぼすこととなる。しかしながら、ステップ2として上述した本発明の態様を利用することにより、そのような左右の打ち消し合いを、効率的に緩和することができる。すなわち、図6(b)は、図5(a)および図5(b)における左右のチャネルが、本発明による方法に従って設計された位相シフトオールパスフィルタによって処理された後の、音響和を示している。
さらに、上記のステップ3の利点は、以下の例によって例示することができる。
左右のメインステレオペアをなすラウドスピーカと3つのサブウーファとを含むサウンドシステムが、上記のステップ1およびステップ2に従って較正され、これにより、その伝達関数が小さな空間的変動を有した低音チャネルを形成するようにして3つのサブウーファが一緒に接続され、さらに、左右ペアのスピーカが低音領域で互いに同位相であると仮定する。低音チャネルとメインの左右チャネルとのそれぞれに対してローパスおよびハイパスのクロスオーバーフィルタを適用した後には、ある測定位置または制御位置における周波数応答は、図7のようになることができ、ここで、灰色の線は、低音チャネルの応答であり、黒色の線は、左の高域メインチャネルの応答である。この例では、ローパス/ハイパスのクロスオーバーのカットオフ周波数は、75Hzに設定された。さて、図7の低音チャネルとメインチャネルとが、所望の全帯域左チャネルを形成するためには、測定位置または制御位置における周波数応答またはそれらの合計が、75Hzの周辺のクロスオーバー周波数帯域にわたって滑らかな移行を示すべきである。図8(a)は、図7の応答の音響和を示している。75Hzのところの深いヌルは、この周波数の周辺で、低音チャネルおよびメインチャネルが互いに位相ずれしていることを示している。しかしながら、ステップ3として上述した本発明の態様を適用すると、図8(b)に表示された合計応答が得られ、ここでは、尖鋭なヌルが除去され、低音チャネルからメインチャネルへの移行は、所望通りに滑らかである。
上記の3つの例で参照したサウンドシステムは、図9に示すようなブロック図の形態で概念的に説明することができる。すなわち、3つのサブウーファは、Sub1、Sub2、Sub3、と名付けられ、メインの左右のラウドスピーカは、それぞれSpk LおよびSpk Rと名付けられた。上述した設計ステップ1に対応した処理ブロックは、ブロック図において点線で示されており、遅延ブロックと、ゲイン係数と、選択可能な次数のオールパスフィルタと、から構成されている。ステップ2に対応した処理ブロックは、破線で示されていて、それぞれ選択可能な次数のオールパスフィルタから構成され、また、ステップ3に対応した処理ブロックは、薄い灰色で示されていて、選択可能な次数のオールパスフィルタから構成されている。LPおよびHPと名付けられたブロックは、クロスオーバーフィルタであり、EQと名付けられたブロックは、例えばイコライゼーションフィルタなどの、任意選択的なラウドスピーカ固有の処理を含む。図9の右端には、各ラウドスピーカに関する伝達関数データを取得するための測定位置または制御位置を表す複数のポイントからなる格子が表示されている。
対象をなすサウンドシステムが、複数ペアをなす左右のラウドスピーカを含む場合には、あるいは、単一スピーカと左右ペアとの組合せを含む場合(例えば、フロントの左右ペアと、サラウンドの左右ペアと、単一の中央スピーカと、を含む5.1サラウンドシステム)には、上記のステップ2~ステップ3を、複数回にわたって実行しなければならないことがあり得ることに、留意されたい。典型的には、ステップ1が1回だけ実行され、これにより、低音スピーカの応答どうしの合計が最小の空間的変動を有するように、低音スピーカどうしが互いに微調整される。その後、ステップ2およびステップ3が、スピーカのステレオペアごとに1回だけ実行され、そして、ステップ3が、各単一スピーカ(例えば、5.1サラウンドシステムの中央スピーカなど)ごとに、1回だけ実行される。
また、低音における空間的変動が、少なくとも2つの独立した低音スピーカどうしの間の遅延とゲインと位相関係とを同調させることによって制御されるため、サウンドシステムが、ただ1つの低音スピーカのみを含む場合には、ステップ1を実行し得ないことに、留意されたい。
図10は、1つのサブウーファと、1つのステレオ左右スピーカペアと、1つの単一中央チャネルと、を有したシステムの一例を示している。図10における様々な処理ブロックを、図9における上記説明と同様に設計ステップ1~設計ステップ3に対して関連付けるならば、ステップ1が、この単一サブウーファに対応したブロックを有していないことは、明らかである。ステップ2(破線で示すブロック)は、Spk L/Spk Rのペアに対して1回だけ実行されるものの、Spk Cに対しては実行されず、ステップ3は、2度にわたって、すなわちSpk L/Spk Rのペアに対して1回、および、Spk Cに対して1回、実行される。
例えば、製品の観点からは、提示する低音管理ソリューションのためのフィルタネットワークが、共通の汎用ランタイム処理構造およびコードベースを使用して、そのすべての様々な構成で実装し得ることが重要であり得る。以下では、必要な構成可能性要件を満たすことを目的としたDSPフィルタリング構造について説明する。フィルタリング構造は、図11においては、バス構造を介して他のチャネルとの間にわたって信号を送受信し得る1つの汎用オーディオチャネルに関するブロック図の形態で示されている。このようなチャネルとバスとのいくつかの実例における適切な相互接続により、任意の特定の低音管理事例(例えば、図9および図10に図示された事例など)に関する所望の処理チェーンを得ることができる。一般的な処理チャネルは、一連をなす複数のフィルタブロックを介して、ラウドスピーカ出力に対して入力信号を接続する「メイン」信号経路を有している。すなわち、1つのハイパスフィルタ(HP)と、2つのオールパスフィルタ(APおよびAP)と、オン/オフスイッチと、任意選択的なラウドスピーカイコライゼーションフィルタ(EQ)と、を有している。メインパスに加えて、汎用チャネルは、入力側に「送信」ブランチを有し、ここで、入力信号は、ゲイン(ゲイン)とオールパスフィルタ(AP)とを介して、1つまたは複数のバスに対して転送することができる。さらに、出力側には、「受信」ブランチが存在し、ここで、1つまたは複数のバス(バス1、...、バスN)からの信号は、ハイパスフィルタ(HPDC)と、オールパスフィルタ(APSub)と、遅延(Z_Delay)と、ゲイン係数(ゲイン)と、を使用して加算して処理され、その後、ラウドスピーカへと向かう信号に対して加算される。バス自体は、すべての送信ブランチ(送信1、...、送信N)の加算と、ローパスフィルタ(LP)と、を含む。中間バス構造を介してチャネルどうしの間にわたって信号を送受信するという概念により、すべての入力信号の低周波数成分を分岐させることができ(「送信」ブランチを使用して)、そして、選択された低音対応ラウドスピーカへとそれを転送することができる(「受信」ブランチを使用して)。必要なバスの数は、システムが使用する異なるクロスオーバー周波数の数に依存する。すべての入力チャネルに対して同じクロスオーバー周波数が使用される場合には、1つのバスだけが必要とされる。例えば、フロント(70Hz)、中央(80Hz)、およびサラウンド(90Hz)に関して異なるクロスオーバーを使用することをユーザが選択する5.1システムでは、3つのバスが必要とされることとなる。
更なる非限定的な例
例として、L≧2個のラウドスピーカを含むサウンドシステムであって、少なくとも1つのラウドスピーカが200Hz未満の周波数を再生可能であり(以下、1つまたは複数の「低音スピーカ」と称す)、かつ、少なくとも1つのラウドスピーカが200Hz超の周波数を再生可能である(以下、「高域スピーカ」と称す)サウンドシステムを考えると、上述した設計ステップ1~ステップ3のうちの1つまたは複数を実現する全体的方法は、以下のように例示することができる(以下のステップA1~ステップA3は、一般的に適用され、ステップB1~ステップB7は、システムが2つ以上の低音スピーカを有する場合に適用され、ステップC1~ステップC6、および、ステップD1~ステップD10は、左右ペアの高域スピーカに関して適用され、そして、ステップE1~ステップE8は、左右ペアではない単一の高域スピーカに関して適用される)。
・A1.L≧2個のラウドスピーカチャネルからM≧2個の測定位置または制御位置へのサウンド伝播を表す一組をなすM×L個のインパルス応答または伝達関数H11、...、HMLを取得する(測定する、および/または、関連データを受信する)。インパルス応答または伝達関数は、テスト信号とマイクロホンとを使用した測定によって、あるいは、ラウドスピーカおよび部屋に関する計算モデルに基づくシミュレーションによって、取得されてもよい。
・A2.すべての高域スピーカに関してクロスオーバー周波数を決定する。システムが2つ以上の高域スピーカを含み、かつ、それら高域スピーカが異なるタイプのものである場合には、複数の異なるクロスオーバー周波数を決定する必要があり得る。
・A3.決定した各クロスオーバー周波数について、相補的ローパス/ハイパスクロスオーバーフィルタのペアLPおよびHPを決定する。クロスオーバーフィルタLPおよびHPは、例えば、決定されたクロスオーバー周波数に等しいカットオフ周波数を有するような、Linkwitz-Riley IIRフィルタまたは線形位相FIRフィルタとすることができる。
・B1.周波数応答の空間的変動を低減させることが所望される低音の周波数帯域をカバーする一組をなすnf個の周波数Feval={f、f、...、fnf-1}を決定する。Feval内の周波数は、フィルタおよびラウドスピーカ伝達関数の評価に関して、ならびに、フィルタおよび伝達関数に関連した基準関数の評価に関して、使用されてもよい。
・B2.低音スピーカどうしの間の相対的な位相の微調整に使用されることとなる、低音スピーカごとの所望数の2次オールパスフィルタ部分を決定するとともに、2次オールパスフィルタに関するQファクタの最小許容値および最大許容値と、2次オールパスフィルタに関する中心周波数の最小許容値および最大許容値を決定する。
・B3.低音スピーカどうしの間の相対的な遅延の微調整に使用されることとなる、低音スピーカに関する遅延の最大許容値を決定する。
・B4.低音スピーカどうしの間の相対的なゲイン係数の微調整に使用されることとなる、低音スピーカに関するゲイン係数の最小許容値および最大許容値を決定する。
・B5.オールパスフィルタの総数によって、および、Qファクタと中心周波数と遅延とゲイン係数との値に関する許容範囲によって、規定されるパラメータ空間内において、オールパスフィルタと遅延とゲイン係数とが低音スピーカ信号に対して適用された時に、変動基準関数によって測定された際の、低音スピーカの伝達関数どうしの合計の周波数応答に関する空間的変動を低減させるパラメータ値を見つける。変動基準関数は、例えば、いくつかの項の加重和とすることができ、各項は、Feval内の周波数について、取得された伝達関数の処理済みバージョンの空間的変動に関する特定の態様を測定する。パラメータ値を見つけるための探索方法は、例えば、遺伝的探索アルゴリズムとすることができ、この場合、低音スピーカのための処理ブロック(例えば、図9において点線で示すブロックなど)の完全な構成を構築するすべてのフィルタパラメータと遅延とゲインとは、バイナリ文字列の形式へと符号化される。
・B6.ステップB5において見つけられたパラメータを使用することにより、各低音スピーカの信号経路内に、オールパスフィルタとゲイン係数と遅延とを構成する(一例として、図9におけるSub1、Sub2、Sub3の信号経路を考慮する)。
・B7.低音スピーカの信号経路を単一入力に対して接続し、これにより、低音スピーカが、空間的変動を低減させることを特徴とする単一の低音チャネルを形成する。
・C1.L個のラウドスピーカの中から、ステップA2およびステップA3において決定されたクロスオーバー周波数fならびに関連するクロスオーバーフィルタLPおよびHPを有する左右の高域ペアを形成する2つのスピーカを選択する。
・C2.クロスオーバー周波数の周辺の周波数帯域をカバーする一組をなすng個の周波数Geval={g、g、...、gng-1}を決定する。
・C3.高域スピーカペアのスピーカどうしの間の相対的な位相の微調整に使用されることとなる、高域スピーカペアのスピーカごとの所望数の2次オールパスフィルタ部分を決定するとともに、2次オールパスフィルタに関するQファクタの最小許容値および最大許容値と、2次オールパスフィルタに関する中心周波数の最小許容値および最大許容値と、を決定する。
・C4.オールパスフィルタの総数によって、および、ステップC3で決定されたQファクタと中心周波数との値に関する許容範囲によって、規定されるパラメータ空間内において、オールパスフィルタが、高域ペアのスピーカに対して適用された時に、大きさ最大化基準関数によって測定された際の、高域ペアをなすスピーカの音響和の伝達関数の大きさを増大させるパラメータ値を見つける。大きさ最大化基準関数は、例えば、いくつかの項の加重和とすることができ、各項は、Geval内の周波数について、測定位置または制御位置からなる部分集合上にわたって、取得した伝達関数の処理済みバージョンの合計の大きさの特定の態様を測定する。パラメータ値を見つけるための探索方法は、例えば、遺伝的探索アルゴリズムとすることができ、この場合、高域スピーカペアのための処理ブロック(例えば、図9における破線で示すブロックなど)の完全な構成を構築するすべてのフィルタパラメータは、バイナリ文字列の形式へと符号化される。
・C5.ステップC4において見つけられたパラメータを使用することにより、選択されたスピーカペア内の各高域スピーカの信号経路内に、オールパスフィルタブロックを構成する(一例として、図9におけるSpk LおよびSpk Rの信号経路を考慮する)。
・C6.対象をなすサウンドシステムのラウドスピーカが、複数の左右の高域スピーカペアへとグループ化されている場合には、ステップC1~ステップC6が、そのような高域スピーカペアごとに繰り返されるべきである。
・D1.L個のラウドスピーカの中から、ステップA2およびステップA3において決定されたクロスオーバー周波数fならびに関連するクロスオーバーフィルタLPおよびHPとを有する左右の高域ペアを形成する2つのスピーカを選択する。
・D2.ステップB1~ステップB7が低音スピーカについて実行された場合には、ステップB5において見つけられた遅延とゲイン係数とオールパスフィルタとを、低音スピーカに関して取得された伝達関数に対して適用するとともに、すべての測定位置または制御位置におけるそれら伝達関数の応答どうしの合計を計算することにより、所望の低音チャネル応答を、すなわちステップB7において得られた低音チャネルに対する伝達関数を、生成する。システムが、1つの低音スピーカのみを含む場合には、低音チャネル応答は、単一の低音スピーカに関して取得された伝達関数から構成されることとなる。
・D3.ステップC1~ステップC5が、選択されたスピーカペアについて実行された場合には、ステップC4において見つけられたオールパスフィルタを、選択されたペア内の各スピーカに関して取得された伝達関数に対して適用する。
・D4.選択された高域スピーカペアに関連したクロスオーバーフィルタLPおよびHPを、低音チャネルの伝達関数および選択された高域スピーカペアの伝達関数のそれぞれ対応するものに対して適用する。
・D5.選択された高域スピーカペアの伝達関数の合計を計算することにより、選択された測定位置または制御位置の部分集合において、高域スピーカの合計応答を生成する。
・D6.選択された高域スピーカペアに関連したクロスオーバー周波数の周辺の周波数帯域をカバーする一組をなすnj個の周波数Jeval={j、j、...,jnj-1}を決定する。
・D7.高域スピーカの合計応答と低音チャネル応答との間の相対的な位相の微調整に使用されることとなる、低音チャネルのための所望数の2次オールパスフィルタ部分と、高域スピーカペア内のスピーカごとの所望数の2次オールパスフィルタ部分と、を決定するとともに、2次オールパスフィルタに関するQファクタの最小許容値および最大許容値と、2次オールパスフィルタに関する中心周波数の最小許容値および最大許容値と、を決定する。
・D8.オールパスフィルタの総数によって、および、ステップD7において決定されたQファクタと中心周波数との値に関する許容範囲によって、規定されるパラメータ空間内において、オールパスフィルタが、低音チャネルに対しておよび高域ペアのスピーカに対して適用された時に、大きさ最大化基準関数によって測定された際の、高域スピーカの合計応答と低音チャネル応答との音響和の伝達関数の大きさを増大させるパラメータ値を見つける。大きさ最大化基準関数は、例えば、いくつかの項の加重和とすることができ、各項は、Jeval内の周波数について、測定位置または制御位置からなる部分集合上にわたって、取得した伝達関数の処理済みバージョンの合計の大きさの特定の態様を測定する。パラメータ値を見つけるための探索方法は、例えば、遺伝的探索アルゴリズムとすることができ、この場合、低音チャネルと高域スピーカペアとの組合せのための処理ブロック(例えば、図9における灰色ブロックAPHiおよびAPLoなど)の完全な構成を構築するすべてのフィルタパラメータは、バイナリ文字列の形式へと符号化される。
・D9.ステップD8において見つけられたパラメータを使用することにより、選択されたスピーカペア内の各高域スピーカの信号経路内に、および、低音チャネルへの入力に関連した信号経路内に、オールパスフィルタブロックを構成する(一例として、図9における灰色ブロックAPHiおよびAPLoを考慮する)。
・D10.対象をなすサウンドシステムのラウドスピーカが、複数の左右の高域スピーカペアへとグループ化されている場合には、ステップD1~ステップD9は、そのような高域スピーカペアごとに繰り返されるべきである。
・E1.L個のラウドスピーカの中から、ステップA2およびステップA3において決定されたクロスオーバー周波数fならびに関連するクロスオーバーフィルタLPおよびHPを有する1個の高域スピーカを選択する。
・E2.ステップB1~ステップB7が、低音スピーカに対して実行された場合には、ステップB5において見つけられた遅延とゲイン係数とオールパスフィルタとを、低音スピーカに関して取得した伝達関数に対して適用するとともに、すべての測定位置または制御位置におけるそれら伝達関数の合計応答を計算することにより、所望の低音チャネル応答を、すなわちステップB7において得られた低音チャネルに関する伝達関数を、生成する。システムが、1つの低音スピーカのみを含む場合には、低音チャネル応答は、単一の低音スピーカに関して取得された伝達関数から構成されることとなる。
・E3.選択された高域スピーカに関連したクロスオーバーフィルタLPおよびHPを、低域チャネルの伝達関数および選択された高域ラウドスピーカの伝達関数のそれぞれ対応するものに対して適用する。
・E4.選択された高域スピーカに対して関連付けられたクロスオーバー周波数の周辺の周波数帯域をカバーする一組をなすnj個の周波数Jeval={j、j、...,jnj-1}を決定する。
・E5.高域スピーカ応答と低域チャネル応答との間の相対的な位相の微調整に使用されることとなる、低域チャネルのための所望数の2次オールパスフィルタ部分と、高域スピーカのための所望数の2次オールパスフィルタ部分と、を決定するとともに、2次オールパスフィルタに関するQファクタの最小許容値および最大許容値と、2次オールパスフィルタに関する中心周波数の最小許容値および最大許容値と、を決定する。
・E6.オールパスフィルタの総数によって、ならびに、ステップE5において決定されたQファクタおよび中心周波数の値に関する許容範囲によって、規定されるパラメータ空間内において、オールパスフィルタが低音チャネルに対しておよび高域スピーカに対して適用された時に、大きさ最大化基準関数によって測定された際の、高域スピーカ応答と低音チャネル応答との音響和の伝達関数の大きさを増大させるパラメータ値を見つける。大きさ最大化基準関数は、例えば、いくつかの項の加重和とすることができ、各項は、Jeval内の周波数について、測定位置または制御位置からなる部分集合上にわたって、取得した伝達関数の処理済みバージョンの合計の大きさの特定の態様を測定する。パラメータ値を見つけるための探索方法は、例えば、遺伝的探索アルゴリズムとすることができ、この場合、低音チャネルと高域スピーカとの組合せのための処理ブロック(例えば、図10における灰色ブロックAP HiおよびAP Loなど)の完全な構成を構築するすべてのフィルタパラメータは、バイナリ文字列の形式へと符号化される。
・E7.ステップE6において見つけられたパラメータを使用することにより、選択された高域スピーカの信号経路内におよび低音チャネルへの入力に関連する信号経路内にオールパスフィルタブロックを構成する(一例として、図10における灰色ブロックAP HiおよびAP Loを考慮する)。
・E8.対象をなすサウンドシステムのラウドスピーカが、左右のスピーカペアの一部ではない複数の高域スピーカを含む場合には、ステップE1~ステップE7は、そのような高域スピーカごとに繰り返されるべきである。
上述したステップのいくつかが、任意選択的であり得ること、また、選択されたステップが、場合によっては、異なる順序で実行され得ることは、理解されるべきである。
上述したフィルタ設計およびシステム構成に関する方法では、2つのタイプの基準関数に言及している。すなわち、1つの基準関数は、多数の測定位置または制御位置における伝達関数の合計に関する空間的変動を測定および/または表現しており、別の基準関数は、伝達関数の音響和の大きさを測定および/または表現している。
第1タイプの基準関数の一例は、以下のように記述することができる。すなわち、X(f)、i=0、...、nf-1、を、ステップB1において規定された一組をなす複数の周波数Feval上で規定された関数であるとすると、周波数fにおけるXは、fにおける伝達関数の大きさの最小値(複数の測定ポイントどうしの間における最小値)を、fにおける伝達関数の大きさの最大値(複数の測定ポイントどうしの間における最大値)によって除算したものとして、計算される。このようにして規定されたXは、0~1の値をとる関数であり、0に近い値は、大きな空間的変動を意味し、1に近い値は、小さな空間的変動を意味する。
さらに、Xを、Xの値の累乗の加重和に基づいて計算された値とする、例えば、X(f)、...、X(fnf-1)という値の2乗平均平方根とする。
さらに、Xを、Xの最小値とし、ここで、最小値は、Feval内のすべてのfを引き受ける。
その場合、一組をなす複数の伝達関数の空間的変動を測定するための基準関数は、値Xおよび値Xの累乗の加重和として形成することができる。
第2タイプの基準関数の一例は、以下のように記述することができる。すなわち、Y(g)、i=0、...、ng-1、を、ステップC2において規定された一組をなす複数の周波数Geval上で規定された関数であるとすると、周波数gにおけるYは、周波数gにおける選択された測定位置または制御位置での多数の伝達関数の合計に関する実際に到達した大きさを、同じ位置および周波数における同じ伝達関数の合計に関する最大に可能な大きさによって除算したものとして、計算される。典型的には、伝達関数の合計に関して実際に得られる大きさは、伝達関数の複素和の大きさを使用して計算され、他方、最大に可能な大きさは、伝達関数の大きさの合計を使用して計算される。このようにして規定されたYは、0~1の値をとる関数であり、0に近い値は、合計応答の大きさが、最大に到達可能な大きさから離間していることを意味し、1に近い値は、最大に到達可能な大きさに近い大きさを意味する。最大に可能な大きさは、合計の各部分を構成する伝達関数の位相が等しい時に、到達される。よって、関数Y(g)は、合計される伝達関数が同位相であるかあるいは位相ずれであるかを示す尺度である。
さらに、Yを、Y1の値の累乗の加重和に基づいて計算された値とする、例えば、Y(g)、...、Y(gng-1)という値の2乗平均平方根とする。
さらに、Yを、Yの最小値とし、ここで、最小値は、Geval内のすべてのgを引き受ける。
その場合、合計伝達関数の大きさを測定するための基準関数は、値Yおよび値Yの累乗の加重和として形成することができる。
本明細書において説明する方法および構成が、様々な態様で、実装され得ること、組み合わされ得ること、および再構成され得ることは、理解されよう。
例として、本明細書において説明する方法を実行するように構成されたシステムまたは装置が提供される。
例えば、実施形態は、ハードウェアで実装されてもよく、また、適切な処理回路による実行のためにソフトウェアで実装されてもよく、あるいは、それらの組合せで実装されてもよい。
本明細書において説明する、ステップ、機能、手順、モジュール、および/またはブロックは、汎用電子回路および特定用途向け回路の両方を含めた、個別回路技術または集積回路技術などの、任意の従来技術を使用して、ハードウェアで実装されてもよい。
代替的に、または補完的に、本明細書において説明する、ステップ、機能、手順、モジュール、および/またはブロックの少なくともいくつかは、1つまたは複数のプロセッサあるいは処理ユニットなどの適切な処理回路による実行のためのコンピュータプログラムなどのソフトウェアで実装されてもよい。
処理回路の例は、1つまたは複数のマイクロプロセッサ、1つまたは複数のデジタル信号プロセッサ(DSPs)、1つまたは複数の中央処理装置(CPUs)、ビデオ加速ハードウェア、ならびに/または、1つもしくは複数のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGAs)または1つもしくは複数のプログラマブルロジックコントローラ(PLCs)などの任意の適切なプログラマブル論理回路、を含むが、これらに限定されるものではない。
また、提案する技術が内部に実装される任意の従来的デバイスまたは従来的ユニットの一般的な処理能力を再利用することが可能であり得ることを、理解されるべきである。また、例えば既存のソフトウェアを再プログラミングすることにより、あるいは、例えば新たなソフトウェア構成要素を追加することにより、既存のソフトウェアを再利用することも可能であり得る。
また、ハードウェアとソフトウェアとの組合せに基づくソリューションを提供することも可能である。実際のハードウェア-ソフトウェアの分割は、処理速度、実装コスト、および他の要件を含めた多くの要因に基づいて、システム設計者が決定することができる。
理解されるべきであるように、本明細書において説明する設計手順は、時に単にフィルタネットワークと称される、分散され得る複数のフィルタからなるネットワークを設計する方法と見なすことができる。
典型的には、本明細書において説明する設計手順は、別のコンピュータシステム上で実装され、考慮されたフィルタネットワークのフィルタパラメータを生成する。その後、計算されたフィルタパラメータは、通常、フィルタへとダウンロードされ、例えば、実際にフィルタリングを実行するデジタル信号処理システムまたは同様のコンピュータシステムによって実現される。例えば、フィルタネットワークは、デジタル信号プロセッサ(DSP)構造として実装されてもよい。
本発明は、ソフトウェアで、ハードウェアで、ファームウェアで、またはこれらの任意の組合せで、実装し得るけれども、本発明が提案する設計方式は、プログラムモジュール、関数、または同等物の形態で、ソフトウェアとして実装されることが好ましい。ソフトウェアは、C、C++、あるいはDSPsのための特殊言語、などの、任意のタイプのコンピュータ言語で記述されてもよい。実際には、本発明に関連する、ステップ、機能、および動作は、コンピュータプログラム内へとマッピングされ、コンピュータシステムによって実行された時には、フィルタネットワークの設計に関連した計算が実施される。PCベースのシステムの場合には、オーディオフィルタネットワークの設計のために使用されるコンピュータプログラムは、通常、ユーザ/フィルタ設計者に対して配布するために、DVD、CD、または同様の構造、などのコンピュータ可読媒体上へと符号化され、その後、ユーザ/フィルタ設計者は、その後の実行のために、プログラムを自身のコンピュータシステム内へとロードしてもよい。ソフトウェアは、インターネットを介してリモートサーバからダウンロードすることさえ可能である。
図12は、本発明によるフィルタ設計アルゴリズムの実装に適したコンピュータシステムの一例を示す概略的なブロック図である。システム100は、パーソナルコンピュータ(PCs)、メインフレームコンピュータ、マルチプロセッサシステム、ネットワークPCs、デジタル信号プロセッサ(DSPs)、および同種のもの、を含めた、任意の従来のコンピュータシステムの形態で実現され得る。いずれにせよ、システム100は、基本的に、中央処理装置(CPU)またはデジタル信号プロセッサ(DSP)コア110と、システムメモリ120と、様々なシステム構成要素どうしを相互接続するシステムバス130と、を含む。システムメモリ120は、典型的には、読み取り専用メモリ(ROM)122と、ランダムアクセスメモリ(RAM)124と、を含む。さらに、システム100は、通常、ハードディスク、磁気ディスク、光ディスク、フロッピーディスク、デジタルビデオディスク、またはメモリカードなどの、1つまたは複数のドライバ制御される周辺メモリデバイス140を含み、これにより、データおよびプログラム情報のための不揮発性ストレージを提供する。各周辺メモリデバイス40は、通常、メモリデバイスを制御するためのメモリドライブに対して、および、メモリデバイス140をシステムバス130に対して接続するためのドライブインターフェース(図示せず)に対して、関連付けられている。本発明による設計アルゴリズムを実装したフィルタ設計プログラムは、場合によっては他の関連するプログラムモジュールと一緒に、周辺メモリ140内に格納され得るとともに、CPU110による実行のためにシステムメモリ120のRAM122内へとロードされてもよい。モデル表現および他の任意選択的な構成などの関連する入力データが与えられると、フィルタ設計プログラムは、フィルタネットワークのフィルタパラメータを計算する。
次に、決定されたフィルタパラメータは、通常、システムメモリ120内のRAM124から、システム100のI/Oインターフェース170を介して、フィルタネットワークシステム200へと、転送される。好ましくは、フィルタネットワークシステム200は、デジタル信号プロセッサ(DSP)または同様の中央処理装置(CPU)202と、フィルタパラメータおよび必要な遅延信号サンプルを保持するための1つまたは複数のメモリモジュール204と、に基づくものである。メモリ204は、通常、フィルタリングプログラムも含み、このフィルタリングプログラムは、プロセッサ202によって実行された時には、フィルタパラメータに基づいて実際のフィルタリングを実行する。
計算されたフィルタパラメータを、I/Oシステム170を介してフィルタネットワークシステム200へと直接的に転送する代わりに、フィルタパラメータは、フィルタネットワークシステムに対してのその後の配布のために、周辺メモリカードまたはメモリディスク140上に格納されてもよく、フィルタネットワークシステムは、フィルタ設計システム100から離れて配置されていてもあるいはそうでなくてもよい。計算されたフィルタパラメータは、また、遠隔地からダウンロードされてもよく、例えばインターネットを介して、好ましくは暗号化された形態で、ダウンロードされてもよい。
オーディオ機器によって生成されて考慮対象となるサウンドの測定を可能とするために、任意の従来の1つもしくは複数のマイクロホンユニットまたは同様の録音機器が、典型的にはアナログ/デジタル(A/D)変換器を介して、コンピュータシステム100に対して接続されてもよい。マイクロホンユニットによって行われたオーディオ測定に基づいて、システム100は、例えばシステムメモリ120内へとロードされたアプリケーションプログラムを使用することにより、適切なフィルタ設計を提供することができる。また、測定を使用することにより、フィルタネットワークとオーディオ機器とを組み合わせたシステムの性能を評価することもできる。設計者が、結果として得られた設計に満足しない場合には、設計者は、設計パラメータの修正済みセットに基づいて、フィルタネットワークの新たな最適化を開始してもよい。
さらに、システム100は、典型的には、フィルタ設計者とのユーザ相互作用を可能とするためのユーザインターフェース150を有している。いくつかの異なるユーザ相互作用シナリオが可能である。
例えば、フィルタ設計者は、フィルタシステム200のフィルタパラメータの計算において、特定のカスタマイズされた一組をなす複数の設計パラメータを使用したいということを決定してもよい。その後、フィルタ設計者は、ユーザインターフェース150を介して、関連する設計パラメータを規定する。
また、フィルタ設計者は、異なるオーディオシステムのために設計され得る、異なるリスニング環境のために設計され得る、および/または、結果として得られるサウンド内へと特別な特性を導入する目的で設計され得る、一組をなす複数の異なる事前構成されたパラメータの中から、選択することも可能である。そのような場合には、事前構成されたオプションは、通常、周辺メモリ140内に格納されており、フィルタ設計プログラムの実行時に、システムメモリ内へとロードされる。また、フィルタ設計者は、ユーザインターフェース150を使用することにより、参照システムを規定してもよい。
好ましくは、結果的に得られるオーディオフィルタは、サウンド生成システムと一緒に具現化され、これにより、フィルタによって影響されたサウンドを生成することができる。
代替可能な実装では、フィルタ設計は、一組をなす複数のフィルタパラメータを生成するに際して、例えばフィルタ設計ソフトウェアと対話する管理プログラムに基づいて、全くユーザが参加することなくあるいはわずかなユーザ参加余地のもとで、多かれ少なかれ自律的に実行される。
最終的な一組をなす複数のフィルタパラメータは、フィルタネットワークシステム内へとダウンロード/実装される。
また、固定された一組をなす複数のフィルタパラメータを使用する代わりに、フィルタネットワークのフィルタパラメータを、適応的に調整することも可能である。オーディオシステムでのフィルタの使用時には、オーディオの条件が変化することがあり得る。例えば、リスニング環境内において、ラウドスピーカの位置は、および/または、家具などの物体の位置は、変化し得るものであり、その結果、室内音響が影響を受けてしまうことがあり得る、ならびに/または、オーディオシステム内のいくつかの機器が、いくつかの他の機器によって交換され、これにより、オーディオシステム全体の特性が変化してしまうことがあり得る。そのような場合、リスニング環境内の1つまたはいくつかの位置におけるオーディオシステムからのサウンドに関しての、連続的または断続的な測定は、1つもしくは複数のマイクロホンユニットによってまたは同様の録音機器によって、実行されてもよい。その後、記録されたサウンドデータは、図12のシステム100などのフィルタ設計システムへと供給されてもよく、これにより、フィルタパラメータは、新たなオーディオ条件に対してより良好に適合するように調整される。
当然のことながら、本発明は、図12の構成に限定されるものではない。代替可能な構成として、フィルタネットワークの設計と、フィルタの実際の実装と、の両方を、1つの同じコンピュータシステム100または200で実行してもよい。このことは、一般に、フィルタ設計プログラムとフィルタリングプログラムとが、同じDSPまたは同じプロセッサシステム上で実装されて実行されることを意味する。
フィルタネットワークシステムは、上述したように、後続の増幅器に対してのアナログインターフェースまたはデジタルインターフェースを有したデジタル信号プロセッサまたはコンピュータ内におけるスタンドアロン機器として実現されてもよい。代替的には、デジタルプリアンプ、コンピュータサウンドカード、カーオーディオシステム、コンパクトステレオシステム、ホームシネマシステム、コンピュータゲームコンソール、テレビ、携帯電話またはスマートフォン、あるいは、サウンドを生成することを目的とした任意の他のデバイスまたはシステム、をなす構造の中に統合されてもよい。また、FPGAsまたはASICsなどのカスタマイズされた計算ハードウェア構造を使用して、よりハードウェア指向で、フィルタネットワークを実現することも可能である。
図13は、実施形態によるコンピュータ実装の一例を示す概略図である。この特定の例では、本明細書において説明する、ステップ、機能、手順、モジュール、および/またはブロックの少なくともいくつかは、コンピュータプログラム325;335内に実装され、1つまたは複数のプロセッサ310を含めた処理回路による実行のために、メモリ320内へとロードされる。1つまたは複数のプロセッサ310とメモリ320とは、通常のソフトウェア実行を可能とするよう、相互に接続されている。任意選択的な入力/出力デバイス340も、また、1つもしくは複数のプロセッサ310に対しておよび/またはメモリ320に対して相互接続されてもよく、これにより、1つもしくは複数の入力パラメータおよび/または1つもしくは複数の結果出力パラメータなどの関連データの入出力を可能とすることができる。
「プロセッサ」という用語は、特定の処理タスク、特定の決定タスク、または特定の計算タスク、を実行するためにプログラムコードまたはコンピュータプログラム命令を実行し得る任意のシステムまたはデバイスとして、一般的な意味で解釈されるべきである。
よって、1つまたは複数のプロセッサ310を含めた処理回路は、コンピュータプログラム325を実行した時には、本明細書において説明するものなどの充分に規定された処理タスクを実行するように構成されている。
処理回路は、上述したステップ、機能、手順、および/またはブロックの実行のみに特化したものである必要はなく、他のタスクを実行してもよい。
特定の実施形態では、コンピュータプログラム325;335は、命令を含み、命令は、プロセッサ310によって実行された時には、プロセッサ310に、本明細書において説明するタスクおよび/または方法を実行させる。
提案する技術は、また、コンピュータプログラムを含むキャリアを提供し、キャリアは、電子信号、光信号、電磁信号、磁気信号、電気信号、無線信号、マイクロ波信号、または、コンピュータ可読ストレージ媒体、のうちの1つである。
例として、ソフトウェアまたはコンピュータプログラム325;335は、コンピュータプログラム製品として実現されてもよく、コンピュータプログラム製品は、通常、非一過性コンピュータ可読媒体320;330上に、特に不揮発性媒体内に、保持または格納される。コンピュータ可読媒体は、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、コンパクトディスク(CD)、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、ブルーレイディスク、ユニバーサルシリアルバス(USB)メモリ、ハードディスクドライブ(HDD)ストレージデバイス、フラッシュメモリ、磁気テープ、または、任意の他の従来的なメモリデバイスを含むがこれらに限定されない、1つもしくは複数の着脱可能なまたは着脱不可能なメモリデバイスを含んでもよい。よって、コンピュータプログラムは、その処理回路による実行のために、コンピュータまたは同等の処理デバイスの動作メモリ内にロードされてもよい。
本明細書において提示する手順フローは、1つまたは複数のプロセッサによって実行された時には、コンピュータフローと見なされてもよい。対応する装置は、機能モジュールからなるグループとして規定されてもよく、その場合、プロセッサによって実行される各ステップは、機能モジュールに対応する。この場合、機能モジュールは、プロセッサ上で実行されるコンピュータプログラムとして実装される。
よって、メモリ内に常駐するコンピュータプログラムは、プロセッサによって実行された時には、本明細書において説明するステップおよび/またはタスクの少なくとも一部を実行するように構成された適切な機能モジュールとして編成されてもよい。
代替的には、機能モジュールを、主にハードウェアモジュールによって実現することができる、あるいは代替的には、機能モジュールを、関連モジュールどうしの間の適切な相互接続を伴って、ハードウェアによって実現することができる。特定の例は、1つまたは複数の適切に構成されたデジタル信号プロセッサと、例えば特殊な機能を実行するために相互接続された複数の離散的な論理ゲートおよび/または上述した特定用途向け集積回路(ASICs)などの、他の公知の電子回路と、を含む。使用可能なハードウェアの他の例は、入力/出力(I/O)回路、および/または、信号を送受信するための回路、を含む。ソフトウェア対ハードウェアの程度は、純粋に、実装の選択である。
上述した実施形態は、単に例として提示したものに過ぎず、提案する技術がこれらに限定されるものではないことは、理解されるべきである。当業者であれば、添付の特許請求の範囲によって規定された本発明の範囲から逸脱することなく、実施形態に対して、様々な改変、組合せ、および変更を行い得ることは、理解されよう。特に、技術的に可能であるならば、異なる実施形態内の異なる部分的ソリューションどうしを、他の構成内において組み合わせることができる。

Claims (30)

  1. オーディオシステム(10)の低音再生特性の制御を可能とするように、オーディオ処理システム(20)を含む前記オーディオシステム(10)を構成するための方法であって、
    前記オーディオシステム(10)は、少なくとも2つのオーディオ入力信号のための入力を有するとともに、少なくとも1つの低音対応ラウドスピーカと少なくとも2つの高域ラウドスピーカとを含む一組をなす複数のラウドスピーカ(30)を含み、各ラウドスピーカには、ラウドスピーカチャネルが関連付けられており、
    前記方法は、a)多数の測定位置または制御位置において各ラウドスピーカチャネルのサウンド再生特性を表現するインパルス応答または伝達関数を取得すること(S1)と、b)前記インパルス応答または前記伝達関数に基づいて、前記オーディオ処理システム内のオーディオ処理ブロックに関するパラメータを決定すること(S2)と、を含み、
    前記方法は、前記インパルス応答または前記伝達関数に基づいて前記オーディオ処理システム内の前記オーディオ処理ブロックに関する前記パラメータを決定する前記ステップ(S2)が、
    i)前記オーディオシステムが2つ以上の前記低音対応ラウドスピーカを含む場合には、低音領域における前記低音対応スピーカの前記伝達関数どうしの合計に関する周波数応答における空間的変動を測定および/または表現する基準関数を使用することにより、さらに、許容可能なゲインと遅延とフィルタパラメータとに関する探索空間上においてパラメータ探索を実行することにより、前記低音対応ラウドスピーカに対して接続された信号に対して作用するゲイン係数と遅延とオールパスフィルタとに関するパラメータを決定すること(S2-1)と、
    ii)クロスオーバー周波数帯域における前記高域ラウドスピーカの前記伝達関数どうしの合計の大きさを測定および/または表現する基準関数を使用することにより、さらに、許容可能なフィルタパラメータに関する探索空間上においてパラメータ探索を実行することにより、少なくとも一対の前記高域ラウドスピーカに対して接続された信号に対して作用するオールパスフィルタに関するパラメータを決定すること(S2-2)と、
    iii)クロスオーバー周波数帯域における、1つまたは複数の前記高域ラウドスピーカの前記伝達関数と、1つまたは複数の前記低音対応スピーカの低音チャネルの前記伝達関数と、の合計の大きさを測定および/または表現する基準関数を使用することにより、さらに、許容可能なフィルタパラメータに関する探索空間上においてパラメータ探索を実行することにより、少なくとも1つの前記高域ラウドスピーカに対して接続された信号に対して作用するならびに1つまたは複数の前記低音対応ラウドスピーカに対して接続された信号に対して作用するオールパスフィルタに関するパラメータを決定すること(S2-3)と、のうちの少なくとも1つを含む、ことを特徴とする、方法。
  2. 前記パラメータは、前記オーディオシステムが2つ以上の前記低音対応ラウドスピーカを含む場合には、選択された前記測定位置または前記制御位置からなる部分集合において、それら低音対応ラウドスピーカの合計インパルス応答が最小の空間的変動を有するよう、少なくとも2つの前記低音ラウドスピーカの前記ラウドスピーカチャネルどうしを互いに同調させるように制御するように決定される、ならびに/または、複数の前記高域ラウドスピーカチャネルを、前記クロスオーバー周波数帯域で、互いに同位相であるようにおよび/または1つもしくは複数の前記低音対応ラウドスピーカチャネルと同位相であるように制御するように決定される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記ステップi)は、前記オーディオシステムが2つ以上の前記低音対応ラウドスピーカを含む場合に実行され、前記ステップii)および/または前記ステップiii)は、前記高域ラウドスピーカの各ステレオペアに対して実行され、ならびに/または、前記ステップiii)は、非ペアの前記高域ラウドスピーカのそれぞれに対して実行される、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記許容可能なゲインおよび/または前記遅延および/または前記フィルタパラメータの少なくとも部分集合は、バイナリ文字列の形態へと符号化され、前記許容可能なパラメータに関する前記探索空間上における前記パラメータ探索は、遺伝的探索アルゴリズムを使用して実行される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記方法は、前記決定されたパラメータを前記オーディオ処理システムの前記オーディオ処理ブロック内へと実装することを、さらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記方法は、前記低音対応ラウドスピーカのためのオーディオ処理ブロックを構成することを含む、請求項5に記載の方法。
  7. 前記方法は、各低音対応ラウドスピーカの前記信号経路内に、オールパスフィルタ、ゲイン係数、および遅延、を構成することを含む、請求項6に記載の方法。
  8. 前記方法は、複数の前記高域ラウドスピーカからなる各ペアのためのオーディオ処理ブロックを構成することを含む、請求項5~7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記方法は、考慮対象をなすラウドスピーカペア内の各高域ラウドスピーカの前記信号経路内に、オールパスフィルタを構成することを含む、請求項8に記載の方法。
  10. 前記方法は、前記低音対応ラウドスピーカと前記高域ラウドスピーカとの組合せのためのオーディオ処理ブロックを構成することを含む、請求項5~9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記方法は、選択されたラウドスピーカペア内の各高域ラウドスピーカの前記信号経路内に、および、前記低音対応ラウドスピーカチャネルへの前記入力に関連した信号経路内に、オールパスフィルタを構成することを含む、請求項10に記載の方法。
  12. 前記クロスオーバー周波数帯域は、前記低音領域と高域との間のクロスオーバー内の周波数帯域である、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 少なくとも1つの前記ラウドスピーカは、200Hz未満の周波数を再生し得るものであって、1つまたは複数の低音対応ラウドスピーカと称され、また、少なくとも1つの前記ラウドスピーカは、200Hz超の周波数を再生し得るものであって、1つまたは複数の高域ラウドスピーカと称される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記低音領域の周波数帯域は、約20Hz~約80Hzの範囲を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記オーディオ処理システムは、各オーディオ入力信号を低周波数成分と高周波数成分とに分割するための、クロスオーバーフィルタと称される一対の相補的なローパスフィルタおよびハイパスフィルタと、多数の追加的なオーディオ処理ブロックと、に基づいている、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記クロスオーバーフィルタのカットオフ周波数は、75Hz程度である、請求項15に記載の方法。
  17. 前記方法は、前記オールパスフィルタと前記遅延と前記ゲイン係数とが前記低音対応ラウドスピーカ入力信号に対して適用された時に、変動基準関数によって測定された際には、前記低音対応ラウドスピーカの前記伝達関数どうしの合計に関する周波数応答における空間的変動を低減させるパラメータ値を決定することを含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記変動基準関数は、複数の項の加重和を含み、各項は、前記低音領域において選択された周波数帯域内の一組をなす複数の周波数に関して、取得された前記伝達関数の処理済みバージョンの空間的変動に関する特定の態様を測定する、請求項17に記載の方法。
  19. 前記インパルス応答または前記伝達関数は、部屋または規定された空間内での測定によって、あるいは、前記部屋または前記規定された空間のモデルに基づくシミュレーションによって、取得される、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
  20. オーディオシステム(10)の制御された低音再生特性を可能とするように、オーディオ処理システム(20)を含む前記オーディオシステム(10)を構成するためのシステム(100;300)であって、
    前記オーディオシステム(10)は、少なくとも2つのオーディオ入力信号のための入力を有するとともに、少なくとも1つの低音対応ラウドスピーカと少なくとも2つの高域ラウドスピーカとを含む一組をなす複数のラウドスピーカ(30)を含み、各ラウドスピーカには、ラウドスピーカチャネルが関連付けられており、
    オーディオシステムを構成するための前記システムは、a)多数の測定位置または制御位置における各ラウドスピーカチャネルのサウンド再生特性を表現するインパルス応答または伝達関数を取得するように、さらに、b)前記インパルス応答または前記伝達関数に基づいて、前記オーディオ処理システム内のオーディオ処理ブロックに関するパラメータを決定するように、構成され、
    オーディオシステムを構成するための前記システムは、
    i)前記オーディオシステムが2つ以上の前記低音対応ラウドスピーカを含む場合には、前記低音領域における前記低音対応スピーカの前記伝達関数どうしの合計に関する周波数応答における空間的変動を測定および/または表現する基準関数を使用することにより、さらに、許容可能なゲインと遅延とフィルタパラメータとに関する探索空間上においてパラメータ探索を実行することにより、前記低音対応ラウドスピーカに対して接続された信号に対して作用するゲイン係数と遅延とオールパスフィルタとに関するパラメータを決定することと、
    ii)クロスオーバー周波数帯域における前記高域ラウドスピーカの前記伝達関数どうしの合計の大きさを測定および/または表現する基準関数を使用することにより、さらに、許容可能なフィルタパラメータに関する探索空間上においてパラメータ探索を実行することにより、少なくとも一対の前記高域ラウドスピーカに対して接続された信号に対して作用するオールパスフィルタに関するパラメータを決定することと、
    iii)クロスオーバー周波数帯域における、1つまたは複数の前記高域ラウドスピーカの前記伝達関数と、1つまたは複数の前記低音対応スピーカの低音チャネルの前記伝達関数と、の合計の大きさを測定および/または表現する基準関数を使用することにより、さらに、許容可能なフィルタパラメータに関する探索空間上においてパラメータ探索を実行することにより、少なくとも1つの前記高域ラウドスピーカに対して接続された信号に対して作用するならびに1つまたは複数の前記低音対応ラウドスピーカに対して接続された信号に対して作用するオールパスフィルタに関するパラメータを決定することと、のうちの少なくとも1つの手順を実行するように、さらに構成されていることを特徴とする、システム。
  21. オーディオシステム(20)を構成するための前記システム(100;300)は、前記決定されたパラメータを前記オーディオ処理システム(20)のオーディオ処理ブロック内へと実装するように構成されている、請求項20に記載のシステム。
  22. オーディオシステムを構成するための前記システム(100;300)は、少なくとも1つのプロセッサ(310)とメモリ(320)とを含み、前記メモリは、命令を含み、前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行された時には、前記少なくとも1つのプロセッサに、前記インパルス応答または前記伝達関数を取得させることと、前記インパルス応答または前記伝達関数に基づいてオーディオ処理ブロックに関するパラメータを決定させることと、を実行させる、請求項20または21に記載のシステム。
  23. マルチチャネルオーディオシステム(10)の低音再生特性を制御するための方法であって、
    前記オーディオシステム(10)は、少なくとも2つのオーディオ入力信号のための入力を有するとともに、少なくとも1つの低音対応ラウドスピーカと少なくとも2つの高域ラウドスピーカとを含む一組をなす複数のラウドスピーカ(30)を含み、各ラウドスピーカには、ラウドスピーカチャネルが関連付けられており、
    前記方法は、
    -多数の測定位置または制御位置における各ラウドスピーカチャネルのサウンド再生特性を表現するインパルス応答または伝達関数を取得すること(S11)と、
    -前記オーディオシステムが2つ以上の前記低音対応ラウドスピーカを含む場合には、少なくとも2つの前記低音対応ラウドスピーカのラウドスピーカチャネルどうしを、それら低音対応ラウドスピーカの前記インパルス応答どうしの合計が最小の空間的変動を有するように互いに同調させること(S12)、ならびに/または、複数の前記高域ラウドスピーカチャネルを、クロスオーバー周波数帯域で、互いに同位相であるようにおよび/または1つもしくは複数の前記低音対応ラウドスピーカチャネルと同位相であるように制御すること(S13)、と、を含む、方法。
  24. 前記方法は、前記ラウドスピーカチャネルに対して適用されるゲイン調整および遅延調整を使用することによりならびに/または低次デジタルフィルタを使用することにより、さらに、前記ゲインと前記遅延と前記フィルタとに関するパラメータを取得するために探索アルゴリズムを実行することにより、前記ラウドスピーカチャネルどうしの間の位相関係を調整することを含む、請求項23に記載の方法。
  25. 関連するマルチチャネルオーディオシステム(10)の低音再生特性を制御するように構成されたシステム(20;200;300)であって、
    前記オーディオシステム(10)は、少なくとも2つのオーディオ入力信号のための入力を有するとともに、少なくとも1つの低音対応ラウドスピーカと少なくとも2つの高域ラウドスピーカとを含む一組をなす複数のラウドスピーカ(30)を含み、各ラウドスピーカには、ラウドスピーカチャネルが関連付けられており、
    低音再生特性を制御するように構成された前記システム(20;200;300)は、多数の測定位置または制御位置における各ラウドスピーカチャネルのサウンド再生特性を表現するインパルス応答または伝達関数を取得するように構成され、
    低音再生特性を制御するように構成された前記システム(20;200;300)は、前記オーディオシステムが2つ以上の前記低音対応ラウドスピーカを含む場合には、それら低音対応ラウドスピーカの前記インパルス応答どうしの合計が最小の空間的変動を有するよう、少なくとも2つの前記低音ラウドスピーカのラウドスピーカチャネルどうしを互いに同調させるように、ならびに/または、複数の前記高域ラウドスピーカチャネルを、クロスオーバー周波数帯域で、互いに同位相であるようにおよび/または1つもしくは複数の前記低音対応ラウドスピーカチャネルと同位相であるように制御するように、構成されている、システム。
  26. 低音再生特性を制御するように構成された前記システム(20;200;300)は、少なくとも1つのプロセッサ(310)とメモリ(320)とを含み、前記メモリは、命令を含み、前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行された時には、少なくとも1つのプロセッサに、前記インパルス応答または前記伝達関数を取得させることを実行させるとともに、少なくとも2つの前記低音ラウドスピーカのラウドスピーカチャネルどうしを互いに同調させること、ならびに/または、複数の前記高域ラウドスピーカチャネルを、クロスオーバー周波数帯域で、互いに同位相であるようにおよび/または1つもしくは複数の複数の前記低音対応ラウドスピーカチャネルと同位相であるように制御すること、を実行させる、請求項25に記載のシステム。
  27. 関連するマルチチャネルオーディオシステムの低音再生特性を制御するように構成された請求項25または26に記載のシステム(20;200;300)を含む、オーディオ処理システム(20)。
  28. 請求項27に記載のオーディオ処理システム(20)を含む、オーディオシステム(10)。
  29. コンピュータプログラム(325;335)であって、
    命令を含み、前記命令は、プロセッサ(310)によって実行された時には、前記プロセッサ(310)に、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法、および/または、請求項23または24に記載の方法、を実行させる、コンピュータプログラム。
  30. コンピュータプログラム製品であって、
    請求項29に記載のコンピュータプログラム(325;335)が内部に格納された非一過性コンピュータ可読媒体(320;330)を含む、コンピュータプログラム製品。
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