JP5956915B2 - 噴射計測装置及び体積弾性係数計測装置 - Google Patents
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そして、このために、上述のように単純に密閉容器内の燃料の温度を測定すると共に測定した温度に応じて燃料の体積弾性係数を補正するのみでは、必ずしも正しく燃料の体積弾性係数を補正することができず、結果、精度の良い計測が行えない。
また、上述の密閉容器に既知の体積変化を与えると共に当該体積変化に伴う圧力変化から燃料の体積弾性係数を算出する技術によれば、同様に、密閉容器内の燃料の温度の不均一さが存在すると、各温度における体積弾性係数を精度良く算出することができない。
そこで、本発明は、密閉容器内の燃料の温度の不均一さに起因する、燃料の噴射量や噴射率の計測誤差や、体積弾性係数の算出誤差の発生を抑制することを課題とする。
また、このような噴射計測装置において、前記インジェクションノズルを、当該インジェクションノズルの燃料噴射口側先端が、前記内部空間内に突出するように配置するようにしてもよい。
また、このような噴射計測装置において、前記インジェクションノズルを、前記燃料が、前記内部空間の壁面に沿って噴射されるように配置することも好ましい。
または、このような噴射計測装置において、前記インジェクションノズルを、前記燃料の噴射方向の中心が、前記内部空間の前記球形状の中心に向かう方向となるように配置することも好ましい。
また、このような噴射計測装置において、前記内部空間の下部に、当該内部空間から前記燃料を排出するための排出路を連結すると共に、当該噴射計測装置に、前記排出路に連結された排出弁と、前記密閉容器内へ燃料を噴射して当該噴射による密閉容器内の燃料の圧力変化を測定する度に、前記排出弁を開いて燃料を、前記密閉容器内の燃料の圧力が所定の圧力となるように排出する背圧制御手段とを設けることも好ましい。
また、このような体積弾性係数計測装置において、前記インジェクションノズルを、当該インジェクションノズルの燃料噴射口側先端が、前記内部空間内に突出するように配置するようにしてもよい。
また、このような体積弾性係数計測装置において、前記インジェクションノズルを、前記燃料が、前記内部空間の壁面に沿って噴射されるように配置することも好ましい。
または、このような体積弾性係数計測装置において、前記インジェクションノズルを、前記燃料の噴射方向の中心が、前記内部空間の前記球形状の中心に向かう方向となるように配置することも好ましい。
また、このような体積弾性係数計測装置において、前記燃料の排出のための排出路は、前記内部空間の下部に連結することも好ましい。
以上のような噴射計測装置や、体積弾性係数計測装置によれば、インジェクションノズルから直接、密閉容器の燃料が充填される内部空間内に燃料を噴射するようにしたので、内部空間の形状を球形状としたこととも相まって、インジェクションノズルから噴射された燃料によって、内部空間内の燃料が効果的に攪拌されるようになり、この結果、密閉容器1内の燃料の温度が空間的に均一化されるようになる。
図1aに本実施形態に係る噴射計測装置の構成を示す。
図示するように、噴射計測装置は、燃料で満たされた密閉容器1、密閉容器1内に燃料を噴射するインジェクションノズル2、インジェクションノズル2に噴射する燃料を供給するインジェクションポンプ3、密閉容器1内の燃料の温度を検出する1つまたは複数の温度センサ4、密閉容器1内の燃料の圧力を検出する1つまたは複数の圧力センサ5、密閉容器1から外部への燃料排出路を開閉する排出バルブ6、排出バルブ6に連結され排出バルブ6が開状態にある期間中、密閉容器1内の燃料の圧力が規定背圧Pとなるまで密閉容器1内の燃料を排出するリリーフバルブ7、リリーフバルブ7によって密閉容器1から外部に排出された燃料量を計測する流量計8、測定制御装置9とを備えている。なお、複数の圧力センサ5を使用する場合は、測定レンジの異なる圧力センサを使用することが好ましい。
ここで、このような噴射計測装置の、燃料の噴射量と噴射率の測定原理について、図1bを用いて示す。
噴射計測装置の測定原理は、Zeuchの方法と呼ばれるものであり、燃料を満たした密閉容器1中に燃料を噴射したときに、その噴射量に比例して容器内圧力が上昇することを利用して噴射量や噴射率を求めるものである。
すなわち、今、図1bのように、容積V0 の容器内に燃料を容積Vだけ噴射したときの密閉容器1内の液体の圧力上昇Pzは、kを液体の体積弾性係数とすると式(i)で表される。
Pz =(kV)/V0 …(i)
よって、噴射量Vは、式(ii)で表わされる。
V=(Pz×V0 )/k …(ii)
また、時間をtとすると、式(ii)を時間微分することにより、燃料噴射率dV/dtが式(iii)で求められる。
dV/dt=(V0 /k)dPz /dt …(iii)
よって、以上の式(ii)、(iii)から、燃料の噴射量と噴射率の両方が求められることになる。
以下、このような噴射計測装置の計測動作について説明する。
いま、予め、体積弾性係数kの関数として、燃料の温度Tと圧力pの所定の関数h(T,p)が既知であるものとする。また、実際の計測においては、校正係数をmとして、k=m×h(T,p)によって校正して体積弾性係数kを用いるものとする。
そして、測定制御装置9のシーケンス制御部91は計測時に各部の以下の動作を制御する。
1(初期化処理):測定部92は、校正係数m=1を設定する。
2(測定処理):
(1)、測定部92は温度センサ4が検出している密閉容器1内の燃料の温度Tと圧力センサ5が検出している密閉容器1内の燃料の圧力pを取得し、m×h(T,p)によって、現在の体積弾性係数kを設定する。
(3)、測定部92は燃料噴射中に取得した圧力変化から、上記式(ii)、(iii)に従って、燃料の噴射量Vと、噴射率dV/dtを算出する。
(4)、排出バルブ6を所定期間開き、密閉容器1内の圧力を規定背圧Pに復帰すると共に、測定部92は密閉容器1内の燃料の温度Tと、流量計8により計測された密閉容器1から外部に排出された燃料量EVと流量計8内を流れる燃料の温度Tfを取得する。
(5)、(2)から(4)をn(nは1以上の整数)回繰り返す。
3(校正処理):2(測定処理)においてn回の(3)で算出した噴射量Vの総量TVと、2(測定処理)においてn回の(4)で算出された燃料量EVの燃料温度Tに換算した総量TEVの誤差が解消されるように体積弾性係数kの校正係数mを設定する。すなわち、例えば、m=TV/TEVによって、体積弾性係数kの校正係数mを設定する。
以上、噴射計測装置の計測動作について説明した。
次に、本実施形態に係る密閉容器1の詳細について説明する。
まず、本実施形態に係る密閉容器1の第1の実施例について説明する。
図2aは、第1実施例に係る密閉容器1の断面を模式的に表した図であり、図示するように、第1実施例に係る密閉容器1は、球形状の内部空間11と、内部空間11に連結する排出流路12とが設けられており、内部空間11、排出流路12には、燃料が満たされている。
また、先端の測定子部分が密閉容器1の内部空間11に突出するように上述した温度センサ4や圧力センサ5が密閉容器1に対して固定されている。
このような第1実施例に係る密閉容器1によれば、インジェクションノズル2から直接、内部空間11内に燃料を噴射するようにしたので、内部空間11の形状を球形状としたこととも相まって、インジェクションノズル2から噴射された燃料によって、内部空間11内の燃料が効果的に攪拌されるようになり、この結果、密閉容器1内の燃料の温度が空間的に均一化されるようになる。
本実験では、図3aのNo.1からNo.17に示す燃料噴射の条件を8分間毎に切り替えながら、インジェクションノズル2から密閉容器1内への燃料の噴射と、密閉容器1内の圧力を規定背圧Pに維持するための燃料の排出を行うと共に、密閉容器1内に配置した13個の温度センサで密閉容器1内の13の位置における各時点の温度を計測した。
また、図3aのNo.1からNo.17に示す燃料噴射の条件における回転速度は、1分間当たりの燃料の噴射回数を表し、噴射圧はインジェクションノズル2に加わっている燃料の噴射圧力を表し、噴射量はインジェクションノズル2からの噴射1回当たりの燃料の噴射量を表す。
また、図3b、cは、13個の温度センサの測定点を示すものであり、図示するように上下左右を定めるものとして、温度の測定点は、密閉容器1の内部空間11の、上、右上、左上、前、後、中心、右、左、前下、後下、右下、左下、下の13点となる。
なお、図3bは、左右方向を法線とする内部空間11の中心を通る面による密閉容器1の断面を表す。また、図3c1からc5の各図は、図3bに示した上下方向高さh1からh5における、上下方向を法線とする面による密閉容器1の断面を表している。
ここで、比較実験は、図2bに示した、内部空間11に連結した導入路102を有する点と、インジェクションノズル2から導入路102を通して燃料を、内部空間11に噴射するようにした点のみが、図2aに示す本第1実施例における密閉容器1の実験と異なり、他の実験条件は図4aの実験と同条件で行った。
また、燃料噴射量401の階段状のグラフの17の段の各々が、時間順に、図3aに示したNo.1からNo.17の噴射の条件の各々に対応している。
そして、400が、13個の温度センサで検出した図3cに示した13の測定点における温度を表すグラフを表している。
図4a、bの比較より明らかなように、図2bの導入路102を設けた密閉容器1に対して行った図4bの比較実験結果によれば、13の測定点における温度には比較的大きなばらつきが見られるのに対して、本第1実施例による密閉容器1によれば、図4aに示されるように13の測定点における温度はほぼ一致している。
以下、本実施形態に係る密閉容器1の第2の実施例について説明する。
図5aは、第2実施例に係る密閉容器1の断面を模式的に表した図であり、図示するように、第2実施例に係る密閉容器1は、球形状の内部空間11と、内部空間11に連結する排出流路12とが設けられており、内部空間11、排出流路12には、燃料が満たされている。
このような第2実施例に係る密閉容器1によれば、内部空間11の形状を球形状とし、燃料を当該球形状の周方向に噴射するので、インジェクションノズル2から噴射された燃料は、密閉容器1の内部空間11の球形状の壁面に沿って内部空間11内を巡ることとなり、これにより内部空間11内の燃料が効果的に攪拌され、密閉容器1内の燃料の温度が空間的に均一化されるようになる。
本実験では、上述した第1実施例に係る密閉容器1に対して行った実験と同様の実験を、本第2実施例に係る密閉容器1に対して行った。
図6aに、当該実験の結果を示す。また、図6bに、比較実験の結果を示す。
ここで、比較実験は、図5bに示した、内部空間11に連結した導入路102を有する点と、インジェクションノズル2から導入路102を通して燃料を、内部空間11に噴射するようにした点のみが、図5aに示す本第2実施例における密閉容器1の実験と異なり、他の実験条件は図6aの実験と同条件で行っている。
また、燃料噴射量601の階段状のグラフの17の段の各々が、時間順に、図3aに示したNo.1からNo.17の条件の各々に対応している。
そして、600が、13個の温度センサで検出した13の温度測定点における温度を表すグラフを表している。
図6a、bの比較より明らかなように、導入路102を設けた密閉容器1に対して行った図6bの比較実験結果によれば、13の測定点における温度には比較的大きなばらつきが見られるのに対して、本第2実施例による密閉容器1によれば、図6aに示されるように13の測定点における温度はほぼ一致している。
以上、本発明の実施形態について説明した。
ここで、以上の実施形態で示した、導入路102を備えずに、インジェクションノズル2から、直接、球形状の内部空間11の内部に燃料を噴射する密閉容器1は、燃料噴射時に内部空間11内に発生するキャビテーションを起振力とする衝撃波による、計測に対する影響を抑制する効果も有する。
図7に、この効果を示す実験結果を示す。
図7aは、比較例であり、密閉容器1を、図2bに示す、球形状を有する内部空間11と導入路102とを備えたものとした場合に計測された燃料噴射率信号を表している。また、図7aのa1はカットオフ周波数2kHzのローパスフィルタで高域成分を除去した後の燃料噴射率信号波形を、a2はカットオフ周波数4kHzのローパスフィルタで高域成分を除去した後の燃料噴射率信号波形を、a3はカットオフ周波数8kHzのローパスフィルタで高域成分を除去した後の燃料噴射率信号波形を表している。
この場合には、上述した3(校正処理)で校正係数mを用いたm×h(T、p)を体積弾性係数kとして計測するようにしてもよいし、上述した式(ii)
V=(Pz×V0 )/k …(ii)
を用いて、以下のように体積弾性係数kを計測するようにしてもよい。
Claims (4)
- 燃料を充填した密閉容器内の温度を測定し、測定した温度に応じて燃料の体積弾性係数を算出すると共に、前記密閉容器内へ燃料をインジェクションノズルより噴射して当該噴射による密閉容器内の燃料の圧力変化を測定し、測定した圧力変化と前記体積弾性係数より、燃料の噴射量と噴射率との少なくとも一方を計測する噴射計測装置であって、
前記密閉容器の前記燃料が充填される内部空間は球形状を有し、
前記インジェクションノズルは、当該インジェクションノズルの燃料噴射口側先端が前記内部空間内に突出し、かつ、前記燃料が、前記内部空間の球形状の壁面に沿って噴射されるように配置されていることを特徴とする噴射計測装置。
特徴とする噴射計測装置。 - 請求項1記載の噴射計測装置であって
前記内部空間の下部には、当該内部空間から前記燃料を排出するための排出路が連結され、
当該噴射計測装置は、
前記排出路に連結された排出弁と、
前記密閉容器内へ燃料を噴射して当該噴射による密閉容器内の燃料の圧力変化を測定する度に、前記排出弁を開いて燃料を、前記密閉容器内の燃料の圧力が所定の圧力となるように排出する背圧制御手段とを有することを特徴とする噴射計測装置。 - 燃料を充填した密閉容器内へ燃料をインジェクションノズルより噴射して当該噴射による密閉容器内の燃料の圧力変化を測定し、前記密閉容器内の燃料の圧力が所定の圧力となるように前記密閉容器から燃料を排出して当該排出した燃料量を計測し、計測した燃料量と測定した圧力変化とに基づいて当該密閉容器内の燃料の体積弾性係数を算定する体積弾性係数計測装置であって、
前記密閉容器の前記燃料が充填される内部空間は球形状を有し、
前記インジェクションノズルは、当該インジェクションノズルの燃料噴射口側先端が前記内部空間内に突出し、かつ、前記燃料が、前記内部空間の球形状の壁面に沿って噴射されるように配置されていることを特徴とする体積弾性係数計測装置。
- 請求項3記載の体積弾性係数計測装置であって
前記内部空間の下部には、前記燃料の排出のための排出路が連結されていることを特徴とする体積弾性係数計測装置。
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