以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しつつ詳説する。なお、理解を容易にするために便宜的に方向を示して説明しているが、これらにより構成が限定されるものではない。
図1,2に示すように、コンバインは、機体フレーム1の下方には土壌面を走行するための左右一対のクローラからなる走行装置2が設けられ、機体フレーム1の上方左側には脱穀・選別を行う脱穀装置3が設けられ、脱穀装置3の前方には圃場の穀桿を収穫する刈取装置4が設けられている。脱穀装置3で脱穀・選別された穀粒は脱穀装置3の右側に設けられたグレンタンク5に貯留され、貯留された穀粒は排出筒7により外部へ排出される。また、機体フレーム1の上方右側には操縦者が搭乗する操縦席6が設けられ、操縦席6の下側にはエンジン62を搭載するエンジンルーム8が設けられている。
<刈取装置>
刈取装置4は、刈取後フレーム28と、刈取後フレーム28の先端部に左右方向に横設された刈取伝動ケース29によって形成された主枠となる刈取フレーム30に取付けられている。刈取後フレーム28の基部は、機体フレーム1の立設された左右一対の懸架台35,35の上部に回動可能に軸支された横伝動筒36の右側に偏倚した部位に取付けられている。
刈取装置4は、前側下部に設けられた植立穀稈を分草する分草杆31と、分草杆31の後方に設けられた倒伏した植立穀稈を引き起こす引起装置32と、引起装置32の後方の下部に設けられた植立穀稈の株元を切断する刈刃装置33と、引起装置32と刈刃装置33の後方に設けられた刈取穀稈を脱穀装置3の一側に設けられた脱穀部搬送装置12へ向けて搬送する搬送装置34とを備えている。搬送装置34は、刈取穀稈の株元側を搬送する株元搬送装置34Aと、穂先側を搬送する穂先搬送装置34Bから構成されており、また、この搬送装置34から脱穀部搬送装置12へ引継ぐ際の穀桿の落下を防止するために、脱穀部搬送装置12の前端部の内側部(右側部)には、搬送装置34の後端部から扱室50の前端部に亘って、支持体37が設けられている。
(刈取り接地測定装置)
図23,24に示すように、分草杆31の土壌面への突っ込みを防止するために、分草杆31の下部には、土壌面に対する分草杆31の高さを検出する接地高さ検出装置75が取付けられている。接地高さ検出装置75は、連結フレーム31Cを介して分草杆31に後下がり傾斜して装着された支軸31Aに左右方向に回転自在に取付けられている。また、支軸31Aには、左右方向に回動した接地高さ検出装置75を、図23(a)に示す通常位置に付勢するためにトルク・スプリング31が設けられている。
連結フレーム31Bの後端部に装着された接地高さ検出装置75は、センサに接続されたケーブル等の損傷を防止するために、センサを内装するケース76と、ケース76に装着された左右方向に延在する回転軸76Cに取付けられた検出体77を備えて構成されている。
なお、ケース76を小型にするために、センサとしては、磁気センサ76Aを使用し、磁気センサ76Aに対面する回転軸67Cの右側端部に取付けられた磁石76Bの回転に伴って発生する磁界の変化を検出するのが好適である。また、ケース76内における回転軸67Cには、図23(b)に示す通常位置に付勢するためにトルク・スプリング76Dが設けられている。
検出体77は、回転軸76Cに前部を固着した連結片77Aと、連結片77Aの後部に左右方向に延在する回転軸77Bと、回転軸77Bの右側端部に固着され土壌面上を移動する接地体77Dを備えて構成されている。
なお、連結片77Aは、分草杆31の左右側部からの張出しを防止するために、前側部は後方に向かって延存し、後側部は右側後方に方向に延在した後に、後方に向かって延在している。また、回転軸77Bには、前後方向に回動した接地体77Dを、図23(b)に示す通常位置に付勢するためにトルク・スプリング76Dが設けられている。
図17,18に示すように、刈取装置4のフレーム(第1フレーム)4Aの後部には、搬送装置34からシンクロチェン13Aに搬送された穀桿をシンクロチェン13Aと挟持する第2補助挟扼杆(補助挟扼杆)41を取付ける左右方向に延設する支軸44が設けられ、第2補助挟扼杆41の下側には、弾性部材からなる穀稈感知体41Bが設けられている。
また、刈取装置4のフレーム4Aの後端部には、シンクロチェン13Aからフィードチェン12Bに引継がれる穀桿をフィードチェン12Bと挟持する第1補助挟扼杆40と、穀稈感知体41Bが穀稈と接触することによる変位量を検出する穀桿センサ34Cと、扱胴カバー50Dに配置されたモードスチッチ6Bに替えて通常の刈取脱穀作業と手扱ぎ作業の切換えを行なうモードスイッチ(スイッチ)46を操作する手扱ぎ規制プレート42を取付ける支持部38Aが装着されている。
なお、第2補助挟扼杆41は、支持部38Aに装着することもでき、フレーム4Aの前端部は、刈取りフレーム30の刈取伝動ケース29の左側に立設された連結フレームに固着され、前部から後部に向かって後上がり傾斜し、後端部は、フィードチェン12Bの前側上方に臨んでいる。
バネ板等からなる第1補助挟扼杆40の後側部は、作用側のフィードチェン12Bの上側に沿って後方に向かって延出し、側面視において後端部は、挟扼杆12Cの後部の下側に入り込んでいる。挟扼杆12Cは、フィードチェン12Bに向けて付勢されているため、この付勢力によって第1補助挟扼杆40がフィードチェン12Bに押し付けられて穀稈を挟持する。
第1補助挟扼杆40の左右方向の幅は、フィードチェン12Bの左右方向の幅よりも幅狭に形成されており、第1補助挟扼杆40の後側部は、フィードチェン12Bの左右の外プレートの間に上載されている。また、軸43は、フィードチェン12Bを駆動する駆動軸68Dや張設輪17Bの支軸と平行に設けられている。
なお、第1補助挟扼杆40は、フィードチェン12B等の保守・点検作業時には、扱胴カバー50Dを開放して挟扼杆12Cを上方に移動した後に、広い保守・点検作業空間を確保するために、軸43を中心として機体の左側から見て反時計方向に回動させることができる。
バネ板等からなる第2補助挟扼杆41の前端部は、支軸44に回動自在に取付けられ、後側部は、作用側のシンクロチェン13Aの上側に沿って後方に向かって延出し、側面視において後端部は、挟扼杆12Cの前部の下側に臨んでいる。また、第2補助挟扼杆41の前側部は、前記穀桿センサ34Cの下側に配置されている。
第2補助挟扼杆41の左右方向の幅は、シンクロチェン13Aの左右方向の幅よりも幅狭に形成されており、第2補助挟扼杆41の後側部は、シンクロチェン13Aの左右の外プレートの間に上載されている。また、支軸44は、シンクロチェン13Aを駆動する駆動スプロケット13Cの支軸や張設輪13Bの支軸と平行に設けられている。
なお、第2補助挟扼杆41は、シンクロチェン13A等の保守・点検作業時には、扱胴カバー50Dを開放した後に、広い保守・点検作業空間を確保するために、支軸44を中心として機体の左側から見て反時計方向に回動させることができる。
穀桿センサ34Cは、支持部38Aにボルト等の締結部材によって取付けられている。穀桿センサ34Cは、搬送装置34からシンクロチェン13Aに搬送される穀桿の有無を検知するセンサである。すなわち、搬送装置34からシンクロチェン13Aに搬送される穀桿が有る場合には、穀稈感知体41Bの後側部が上方に向かって変位することにより穀稈感知体41Bの後側部が穀桿センサ34Cを押圧する。一方、搬送装置34からシンクロチェン13Aに搬送される穀桿が無い場合には、穀稈感知体41Bは上方に向かって変位することはなく、所定の間隔を隔てて穀桿センサ34Cと離隔している。
丸鋼等からなる手扱ぎ規制プレート(手扱ぎ規制部材)42の前端部は、支持部38Aの後部に左右方向に延設された支軸43に回動自在に取付けられ、後側部は、作用側のシンクロチェン13Aに上載された第2補助挟扼杆41に沿って後方に向かって延出し、側面視において後端部は、挟扼杆12Cの前部の下側に臨んでいる。また、規制状態時に、挟扼杆12Cとシンクロチェン13Aの間に、搬送装置34からシンクロチェン13Aに搬送される穀桿の詰まりを防止するために、側面視において作用側のフィードチェン12Bの上面と挟扼杆12Cの下面の間に形成される隙間を塞ぐように、手扱ぎ規制プレート42の後端部は、上方に向かって屈曲する屈曲部42Aが形成され、屈曲部42Aの先端部には、モードスイッチ46の端子部46Aを押圧する操作プレート(プレート)42Dが固着されている。
手扱ぎ規制プレート42の左右方向の幅は、シンクロチェン13Aの左右方向の幅よりも幅狭に形成されており、手扱ぎ規制プレート42の後側部は、シンクロチェン13Aの左右の外プレートの間に上載されている第2補助挟扼杆41の後側部に上載されている。
なお、走行時の振動等により手扱ぎ規制プレート42の規制状態姿勢、非規制状態姿勢の変動を防止し、手扱ぎ規制プレート42の回動を容易に行なうために、支軸43における機体外側端部(左側端部)には、プレート42Eが設けられている。このプレート42Eの先端部には、前端部が支持部38Aの前部に係止されているスプリング等からなる弾性部材42Fの後端部が係止されている。この弾性部材42Fは、手扱ぎ規制プレート42が規制状態姿勢と非規制状態姿勢との一方の姿勢から他方の姿勢に切替えられる過程で、所謂支点越えをする構成とされている。すなわち、弾性部材42Fは、手扱ぎ規制プレート42を規制状態姿勢となる側、及び、非規制状態姿勢となる側に付勢する。
通常の刈取脱穀作業時には、手扱ぎ規制プレート42は、支軸43を中心として時計方向に回動されてフレーム4Aの後端部と挟扼杆12Cの前端部の間に形成された脱穀部シンクロ搬送装置13の上方の空間を覆う規制状態とされ、手扱ぎ作業時には、手扱ぎ規制プレート42は、支軸43を中心として反時計方向に回動されてフレーム4Aの後端と挟扼杆12Cの前端部の間で形成される脱穀部シンクロ搬送装置13の上方の空間を開放する非規制状態とされる。
すなわち、手扱ぎ規制プレート42の後側部が、支軸43を中心として下方向に回動して、手扱ぎ規制プレート42の後端部と挟持杆12Aの前部との間隔が縮小して、フィードチェン12Bへの手扱ぎ穀稈の供給が規制される規制状態と、手扱ぎ規制プレート42の後側部が、支軸43を中心として上方向に回動し、手扱ぎ規制プレート42の後端部と挟持杆12Aの前部との間隔が拡大して、フィードチェン12Bへの手扱ぎ穀稈の供給が許容される非規制状態とに切り換わる構成である。
図17,18に示すように、刈取装置4のフレーム4Aの後部には、前側防塵カバー(防塵カバー)49Aを取付けるフレーム(第2フレーム)4Bの左側下端部が装着されている。なお、フレーム4Bは、左側下端部から上方に向かって延在した後に、右側に向かって湾曲して右側に向かって延在し、その後、下側に向かって湾曲して下方に向かって延在して右側下端部に至っている。
フレーム4Bの右側に向かって湾曲する湾曲部4Cには、後述する扱胴カバー50Dに配置されたモードスチッチ6Bに替えて通常の刈取脱穀作業と手扱ぎ作業の切換えを行なうモードスイッチ46を取付ける支持部(第2支持部)38Bが装着されている。
モードスイッチ46としては、モードスイッチ46の端子部46Aと、手扱ぎ規制プレート42の操作プレート42Dの接触によって、通常の刈取脱穀作業から手扱ぎ作業モード等への切換えを検出する感圧センサ、変位センサ等を使用することができる。また、図21に示すように、降雨、粉塵によるモードスイッチ46の作動不良を防止するために、モードスイッチ46は、前側防塵カバー49Aの内側に配置するのが好適である。
(他の手扱ぎ規制プレート)
図19に示すように、作業者による手扱ぎ規制プレート42の回動作業を容易に行なうために、手扱ぎ規制プレート42の後側部に、作業者が把持する後上がり傾斜する把持プレート(把持部材)42Bを設けるのが好適である。なお、第1把持プレート42Bの前端部は、手扱ぎ規制プレート42の後側部に固着され、後端部は、手扱ぎ規制プレート42の屈曲部42Aの上端部に固着され、手扱ぎ規制プレート42の後側部と、屈曲部42Aと、第1把持プレート42Bにより区画される形状を略三角形状に形成し、操作プレート42は、図示を省略している。
また、図20に示すように、手扱ぎ規制プレート42の後側部に、作業者が把持する後上がり傾斜し、その後、後方に向かって延出する第2把持プレート42Cを設け、第2把持プレート42Cの後端部に操作プレート42Dを固着するのが好適である。なお、この場合、手扱ぎ規制プレート42の重量を軽減するために、手扱ぎ規制プレート42の後端部の屈曲部42Aは形成されておらず、操作プレート42は、図示を省略している。
(補助搬送装置)
搬送装置34から脱穀部搬送装置12に引継がれる穀桿の姿勢を良好に維持するために、穂先搬送装置34Bに対向する支持体37の上面または下面の右側に偏倚した部位に、補助搬送装置を配置することもできる。
補助搬送装置には、穂先搬送装置34Bから引継がれた穀桿の穂先をフィードチェン12Bに搬送するために、前側から後側に移動するラグ付きベルト、突付きベルトが備えられている。また、補助搬送装置には、後述するカウンタ軸71の回転を、フィードチェン用油圧式無段変速装置(油圧式無段変速装置)10の出力軸Bを介して伝動することによって、ラグ付きベルト等の移動速度をフィードチェン12Bの移動速度と同一速度にすることが好適である。なお、フィードチェン用油圧式無段変速装置(油圧式無段変速装置)10に代えて、静油圧式無段変速機と遊星歯車とを組み合わせて構成した油圧機械式無段変速機を用いてもよい。
図3〜5に示すように、左側の懸架台35は、機体フレーム1に立設したベース35Aの上側に取付けられている。懸架台35の左側の前部には、横伝動筒36の左側部を軸支する横伝動フレーム35Cの基部を回転可能に支持する上下方向に延設したフィードチェン回動軸35Bが設けられている。また、横伝動筒36をフィードチェン回動軸35Bを中心として回動して刈取装置4の分草杆31、引起装置32等の装置の保守・点検作業を容易に行なうために、横伝動フレーム35Cは、正面視において基部から先端部に下方向に凸部を有する円弧状に形成されている。なお、後述するように、穀桿を搬送する脱穀部搬送装置12もフィードチェン回動軸35Bを中心として回動する。
右側の懸架台35は、機体フレーム1に立設したベース35Aの上側に取付けられている。該懸架台35の上端部には、横伝動筒36の右側部を軸支する支持部材35Dが取付けられている。支持部材35Dは、略半円弧状に分割された前側支持部材と、後側支持部材とで構成されている。横伝動筒36の右側部を軸支する場合には、前後側支持部材を係合し、刈取装置4又はトランスミッション65のメンテナンスを行うために、横伝動筒36をフィードチェン回動軸35Bを中心として回動させて、刈取装置4を左側方へ移動させる場合には、前後側支持部材の係合を外して横伝動筒36を前方に引き出す。また、左右の懸架台35,35の変形等に対する剛性を高めるために、左右の懸架台35,35の上下方向の中間部には連結フレーム35Eが架設されている。
エンジン62の回転は、走行用油圧式無段変速装置66の入力軸に支持されたプーリ66Bを介して走行用油圧式無段変速装置66に伝動され、走行用油圧式無段変速装置66に伝動された回転は、走行用油圧式無段変速装置66の出力軸に支持されたプーリ(図示省略)を介して、横伝動筒36に内装された横伝動軸36Aの右端部に支持されたプーリ36Aに伝動され、横伝動筒36と、横伝動軸36Aを回転させる。なお、横伝動軸36Aに伝動された回転は、フレーム27,28に内装された伝動軸(図示省略)を介して、刈取装置4の引起装置32、刈刃装置33、搬送装置34等に伝動される。
また、エンジン62の回転は、走行用油圧式無段変速装置66の入力軸に支持されたプーリ66Bを介して走行用油圧式無段変速装置66に伝動され、走行用油圧式無段変速装置66に伝動された回転は、トランスミッション65を介して、走行装置2の左右のクローラに伝動される。
<脱穀装置>
図4に示すように、脱穀装置3は、前側の上部に穀稈の脱穀を行う扱室50を備え、扱室50の下側に脱穀された穀粒の選別を行なう選別室(選別部)51を備えている。
扱室50には、複数の扱歯を有する扱胴55が前後壁50A,50Cに軸支された扱胴軸に支持されている。そして、扱室50の前壁50Aの左側下部には穀稈供給口26Aが開口され、左壁50Bの下部には扱胴55に沿って扱ぎ口26Bが開口され、後壁50Cの左側下部には排藁口26Cが開口されている。また、扱室50の左側には扱ぎ口26Bに沿って穀桿の株元を挟持して後方に搬送する脱穀部搬送装置12が並設され、脱穀部搬送装置12によって搬送された脱穀が完了した排藁穀桿は、脱穀部搬送装置12の後方に設けられた排藁搬送装置58に引き継がれてさらに後方に搬送された後、一対の排藁カッタ59によって裁断され外部に排出される。
選別室51の上部には、揺動選別装置52が設けられ、選別室51の下部には揺動選別装置52の前部のシーブに空気を送風する第一唐箕53Aと、揺動選別装置から漏下する穀粒を回収する一番受樋53Bと、揺動選別装置の後部のシーブに空気を送風する第二唐箕53Cと、揺動選別装置から漏下する枝梗等が付着した穀粒(二番物)を回収する二番受樋53Dとが前側から順に設置されている。一番受樋53Bで回収された穀粒は、一番受樋53Bに内装された一番移送螺旋53bによってグレンタンク5に移送され、二番受樋53Dで回収された穀粒等は、二番受樋53Dに内装された二番移送螺旋53dによって二番処理室に移送される。
扱室50の右側の後部は、排塵処理室に連通し、排塵処理室の内部には、外周面にスクリュー羽根体を備える排塵処理胴57が前後方向に軸支され、排塵処理室の前側には、二番物を処理して還元するための二番処理室が設けられている。二番処理室の内部には外周面に間欠螺旋羽根を備える二番処理胴56が軸支されている。また、揺動選別棚の後方上側には、脱穀・選別時に発生する藁屑等を吸引し機外に排出する排塵ファン48が配置されている。
<脱穀部搬送装置>
図3,6等に示すように、脱穀部搬送装置12は、上側に位置する挟持杆12Aと、下側に位置するフィードチェン12Bを備えている。挟持杆12Aは、扱室50の扱胴カバー50Dに対してスプリング等の付勢手段14によってフィードチェン12B側に付勢された前記挟扼杆12Cを備えている。フィードチェン12Bは、上側チェンレール18Aの前後端部にそれぞれ回転自在に支持された張設輪17B,17Bと、張設輪17B,17Bの間に設けられた駆動スプロケット17Aに巻回されて駆動される無端のチェンである。上側チェンレール18Aに上載された作用側のフィードチェン12Bは、前側から後方に向かって移動する過程で挟持杆12Aと穀稈の株元を挟持する。なお、搬送される穀桿のフィードチェン12Bの終端部等への巻付きを防止するために、後側の張設輪17Bは両側部に巻付防止プレート17Dが設けられたアイドルスプロケットを使用するのが好適である。
扱胴カバー50Dの側面には、手扱ぎ作業を行なっている補助作業者が手扱ぎ作業中のフィードチェン12Bの速度VF1の速度調整を容易に行って作業性を高めるために、調速ダイヤル6Aが設けられている。また、手扱ぎ穀桿量に応じてフィードチェン12Bの速度VFの速度調整を効率的に行なうために、調速ダイヤル6Aを手扱ぎ穀桿を上載する後側補助挟扼杆43の周辺に配置したり、操縦席6に着座する操縦者が不慣れな補助作業者を効率的に補助するためには、調速ダイヤル6Aを操縦席6のサイドパネルに配置することもできる。
なお、調速ダイヤル6Aと共に、あるいは調速ダイヤル6Aに替えて、脱穀装置3の前方の機体フレーム1に手扱ぎ作業中のフィードチェン12Bの速度VFの速度調整を行なう調速ペダル45を設けることもできる。
側面視において、挟持杆12Aは、扱室50の穀稈供給口26Aから排藁口26Cまで扱ぎ口26Bに沿って後上がり傾斜に設けられている。作用側のフィードチェン12Bを上載する上側チェンレール18Aは、横軸伝動筒36の前方の前端から後上がり傾斜した後、緩やかに後上がり傾斜して扱室50の穀稈供給口26Aの前方に至った後、挟持杆12Aと対向して扱室50の穀稈供給口26Aから排藁口26Cまで扱ぎ口26Bに沿って後上がり傾斜する。その後、排藁口26Cから後方に水平に延在した後、後下がり傾斜して穂先搬送装置34Aの前端部の後方の後端に至る。なお、刈取装置4の刈取り条数の変更に伴う脱穀部搬送装置12の前後方向長さの変更を容易に行なうために、上側チェンレール18Aは前後方向に分割できる分割構造にするのが好適である。
非作用側のフィードチェン12Bを上載する下側チェンレール18Bは、駆動スプロケット17Aにエンジン62の回転を伝動するカウンタ軸71の上方の前端から後上がり傾斜して後端に至っている。なお、下側チェンレール18Bの後端は、後側の張設輪17Bの前方であって排藁口26Cの下方に設けられている。
下側チェンレール18Bの前端部には、非作用側のフィードチェン12Bを下側チェンレール18Bの前端部よりも下方に設けられた駆動スプロケット17Aに誘導するガイド18Dが着脱自在に取付けられている。ガイド18Dは、カウンタ軸71の上方に設けられ、略1/4円形状に形成されている。なお、ガイド18Dの上方に油等の落下によってカウンタ軸71等の汚れを防止するためにカバー(図示省略)を設けることが好適である。
下側チェンレール18Bの下側には、レール連結プレート18Cによって上側チェンレール18Aと、下側チェンレール18Bを支持する支持フレーム19が設けられている。すなわち、フィードチェン12Bは支持フレーム19によって支持されている。また、上側チェンレール18Aと、下側チェンレール18Bに連結される連結プレート18Eには、穀稈搬送中のフィードチェン12Bから落下する藁屑が前記選別室51の駆動部に落下することを防止するための藁屑ガイド板(図示省略)が取り付けられている。
図3,5に示すように、支持フレーム19の前端部は、ブラケット19Bにボルト等によって取付けられたプレート19Aに取付けられ、ブラケット19Bは、左側の懸架台35に設けられたフィードチェン回動軸35Bの上下端部に回転自在に取付けられている。なお、フィードチェン回動軸35Bを中心としてフィードチェン12Bの回動時に、フィードチェン12Bの先端部の機体内側への入り込みを低減するために、フィードチェン回動軸35Bをフィードチェン12Bを巻回する前側の張設輪17Bの後側近傍に立設されている。
支持フレーム19は、フィードチェン用油圧式無段変速装置(油圧式無段変速装置)10等との干渉を防止するために、側面視において、前端部からフィードチェン用油圧式無段変速装置10の入力軸10Aとギヤボックス68の出力軸68Bの間を後方に向かって延在した後、第1変速モータ10Cの前方で略90度湾曲して上方に向かって延在する。そして、カウンタ軸71の前方を上方に向かって延在した後、ガイド18Dの下側から下側チェンレール18Bの下側に沿って後上がり傾斜して、略下側チェンレール18Bの前後方向の中央部に至っている。
これによって、フィードチェン12B、フィードチェン用油圧式無段変速装置10等の保守・点検を行なう場合には、支持フレーム19をフィードチェン回動軸35Bを中心にして回動させて、フィードチェン12Bの後部を脱穀装置3の本体から離間させることにより容易に行なうことができる。なお、フィードチェン用油圧式無段変速装置10の保守・点検を容易に行なうために、フィードチェン回動軸35Bをフィードチェン用油圧式無段変速装置10の前部よりも前側に立設されている。
図3に示すように、側面視において、前側の張設輪17Bは、刈取装置4にエンジン62の回転を伝動する横軸伝動筒36の前方近傍に設けられ、後側の張設輪17Bは穂先搬送装置34Aの前端部の後方近傍に設けられている。駆動スプロケット17Aは、前後方向にあっては前後側の張設輪17B,17Bの間であって前側の張設輪17B側に偏倚して配置されており、横軸伝動筒36とフィードチェン12Bにエンジン62の回転を伝動するカウンタ軸71の略中央に位置する。また、上下方向にあってはカウンタ軸71と下側チェンレール18B等を支持する後方に向かって延在する支持フレーム19の略中央に位置する。また、前側の張設輪17Bと駆動スプロケット17Aの間には、後述する駆動軸68Dに基部が支持されたテンションスプロケット17Cに設けられている。
これにより、フィードチェン12Bは、駆動スプロケット17Aから上方に向かって移動した後、テンションスプロケット17Cに沿って移動して前側の張設輪17Bに至り、前側の張設輪17Bから上側チェンレール18Aの上側を後側の張設輪17Bに向かって移動する。その後、フィードチェン12Bは、後側の張設輪17Bから前方の下側チェンレール18Bに向かって移動した後、下側チェンレール18Bの後端から下側チェンレール18Bの上側を前側のガイド18Dに移動した後、ガイド18Dに沿って移動して駆動スプロケット17Aに至っている。
図6に示すように、エンジン62の回転は、カウンタ軸71を介してフィードチェン用油圧式無段変速装置10に伝動され、キヤボックス68で増減速された後に、脱穀部搬送装置12の駆動スプロケット17Aと接続される出力軸68Bに伝動される。
カウンタ軸71の両側部は、脱穀装置3の前壁50Aの上下方向の中央部に前方に向かって立設した一対の支持部材80に軸支されている。エンジン62の回転は、カウンタ軸71の右端部に支持されたプーリ71Aを介してカウンタ軸71に伝動される。
カウンタ軸71に伝動された回転は、プーリ71Aの左側に支持されたプーリ(第1プーリ)71C、ベルト92を介して扱胴55に伝動されると共に、カウンタ軸71の左端部に支持されたプーリ(第2プーリ)71Eの右側に支持されたプーリ(第3プーリ)71D、ベルト93等を介してフィードチェン用油圧式無段変速装置10の入力軸10Aに伝動される。図8に示すように、フィードチェン用油圧式無段変速装置10の入力軸10Aに伝動された回転は、出力軸10Bを介してギヤボックス68に伝動されて、ギヤボックス68のギヤによって増減速されて出力軸68Bに伝動される。出力軸68Bに伝動された回転は、カップリング68Cを介してフィードチェン12Aの駆動スプロケット17Aに伝動される。なお、駆動スプロケット17Aは駆動軸68Dに回転自在に支持されている。
駆動軸68Dは、支持フレーム19の右側に取付けられたプレート19Cに支持され、支持フレーム19をフィードチェン回動軸35Bに対して回動させた場合、カップリング68Cによる出力軸68Bと駆動スプロケット17Aの連結が解除され、エンジン62の回転は駆動スプロケット17Aに伝動されずフィードチェン12B、ガイド18D等の交換を安全に行なうことができる。なお、出力軸68Bと駆動軸68Dを連結するカップリング68Cに替えて、対向する出力軸68Bと駆動軸68Dの端部にかみ合いクラッチ、爪クラッチを設けることもできる。
図7に示すように、キヤボックス68は、脱穀装置3の前壁50Aの上下方向の下側に偏倚した部位に前方に向かって立設した後側プレート11Bの右側面に取付けられている。また、脱穀装置3の前側の空間を有効に活用するために、キヤボックス68の左側面には、フィードチェン用油圧式無段変速装置10が取り付けれ、さらに、フィードチェン用油圧式無段変速装置10の後側には、フィードチェン用油圧式無段変速装置10のトラニオン軸10Fを回転させる第1変速モータ10Cが取付けられている。
また、図22に示すように、フィードチェン用油圧式無段変速装置10の後側に、フィードチェン用油圧式無段変速装置10のトラニオン軸10Fを回転させる第1変速モータ10Cと、第1変速モータ10Cよりも出力等が大きくトラニオン軸10Fを高速で回転させる第2変速モータ10Fが並設して取付けることもできる。
トラニオン軸10Fに基端部が支持されている扇形ギヤ10Gの先端部に、機体フレーム1に取付けられた第1変速モータ10Cのギヤ10cと、第2変速モータ10Fのギヤ10eが係合している。後述する制御装置85によって、通常の刈取りモード時には第1変速モータ10Cを駆動させトラニオン軸10Fを回転させ、手扱ぎモード時には第2変速モータ10Fを駆動させトラニオン軸10Fを回転させる。なお、刈取りモード時には第2変速モータ10Fは自由回転し、手扱ぎモード時には第1変速モータ10Cが自由回転する。
フィードチェン用油圧式無段変速装置10、キヤボックス68を機体フレーム1に取付けることもでき、キヤボックス68に第1変速モータ10C、第2変速モータ10Fを取付けることもでき、入力軸10Aを備えるポンプ部と出力軸10Bを備えるモータ部が一体構造とされたフィードチェン用油圧式無段変速装置10に替えてポンプ部とモータ部が分割構造とされたフィードチェン用油圧式無段変速装置を使用することもできる。
また、第1変速モータ10Cは、刈取装置4の駆動速度に連動してフィードチェン用油圧式無段変速装置10を変速する。具体的には、走行用油圧式無段変速装置66から出力され、刈取装置4へ伝達される回転の速度を検出し、この回転速度に応じて第1変速モータ10Cを作動させるのが好適である。
後側プレート11Bの前端部と、左右の懸架台35,35の連結フレーム35Eに備えられた前側プレート11Aの後端部は、振動を低減するために、緩挿されたピンによって接続されている。なお、後側プレート11Bの後部は、カウンタ軸71側のブラケットとボルト等の締結手段により連結されている。また、横伝動軸36Aの下側には、刈取後フレーム28の上下方向の回転位置を検知する刈取位置センサ36Sが設けられている。
図6に示すように、右側のベース35Aの左側には、油圧系路を短くするために、フィードチェン用油圧式無段変速装置10、走行用油圧式無段変速装置66等の油圧系路の開閉を制御するコントロールバルブ9Aが設けられ、コントロールバルブ9Aの右側には、フィードチェン用油圧式無段変速装置10、走行用油圧式無段変速装置66等に油を供給するオイルタンク9Bが設けられている。
脱穀装置3の前方下側の空間を有効活用し、フィードチェン12の回動時にフィードチェン12B、ベルト93等の干渉を防止するために、フィードチェン用油圧式無段変速装置10の入力軸10Aと出力軸10B及びギヤボックス68の出力軸68Bが上下に垂直になるように設けられている。
油圧の圧力損失を防止するために、フィードチェン用油圧式無段変速装置10のポンプ部の入力軸10を出力軸10Bよりも下側に設け、フィードチェン用油圧式無段変速装置10とコントロールバルブ9Aと油圧経路を短くしている。
フィードチェン12Bの巻回を容易にするために、ギヤボックス68の出力軸68Bをフィードチェン用油圧式無段変速装置10の出力軸10Bよりも上側に設け、フィードチェン12Bの長さを短くしている。
<脱穀部シンクロ搬送装置>
図17,18に示すように、刈取装置4から脱穀装置3に搬送される穀桿の搬送姿勢の乱れを防止するために、脱穀部搬送装置12の前側部の右側には、脱穀部シンクロ搬送装置13が設けられている。
脱穀部シンクロ搬送装置13のシンクロチェン13Aは、上側チェンレールの前後端部にそれぞれ回転自在に支持された張設輪13B,13Bと、張設輪13B,13Bの間に設けられた駆動スプロケット13Cに巻回されて駆動される無端のチェンである。
側面視において、作用側のシンクロチェン13Aの前部は、作用側のフィードチェン12Bの前部よりも上方に位置し、作用側のシンクロチェン13Aの後部は、挟扼杆12Cの前後方向の中間部の下方に臨み、作用側のフィードチェン12Bよりも下方に位置している。
<ナローガイド>
図2に示すように、コンバインの左側(未刈取側)には側部に沿って、コンバインの外側に張り出す張出姿勢と、内側に収納される収納姿勢に切替え可能なナローガイド20が設けられている。
ナローガイド20は、間接状態に連結された前側部20Aと後側部20Bからなり、前側部20Aの前端部は、最左側の分草杆31の後側の分草フレームの前端部に回動自在に枢支され、後側部20Bの後端部は、機体フレーム1の左側の側部に設けた支持部材によって前後方向に移動自在に支持されている。また、ナローガイド20は、リンク構造を備える切替手段(図示省略)によって張出姿勢と収納姿勢に切替えられる。
なお、モードスイッチ6Bが接続されて通常の刈取りモードから手扱ぎモード時には、手扱ぎ作業を行なう補助作業者とナローガイド20の接触を防止するために、ナローガイド20は収納姿勢に維持される。
<伝動機構>
次に、図9に示すように、本実施形態の伝動機構について説明する。エンジン62の回転は、フィードチェン用油圧式無段変速装置10に伝動される第1経路Aと、走行用油圧式無段変速装置66に伝動される第2経路Bと、グレンタンク5の前方のギヤボックス39に伝動される第3経路Cに分岐して伝動される。
フィードチェン用油圧式無段変速装置10に伝動される第1経路Aでは、エンジン62の回転は、クランク軸70に支持されたプーリ70Aと、ベルト90と、カウンタ軸71に支持されたプーリ71Aを介してカウンタ軸71に伝動される。なお、第1経路Aには、ベルト90よりも伝動下流側への伝動を接続及び遮断する脱穀クラッチ90Aが設けられている。
カウンタ軸71の回転は、プーリ71Bと、ベルト91等を介して二番処理胴56と排塵処理胴57に伝動され、プーリ71Cと、ベルト92等を介して扱胴55と排藁搬送装置58に伝動される。また、カウンタ軸71の回転は、プーリ71Dと、ベルト93と、フィードチェン用油圧式無段変速装置10の入力軸10Aに支持されたプーリ10Dを介して入力軸10Aに伝動される。さらに、カウンタ軸71の回転は、プーリ71Dの左側に支持されたプーリ71E、ベルト94を介して、第一唐箕53Aに伝動され、プーリ71Dとプーリ71Eの間に支持されたプーリ71F、ベルト95、回転軸72を介して一番移送螺旋53b、第二唐箕53C、二番移送螺旋53dに伝動される。
回転軸72の回転は、回転軸72の左側に支持されたプーリ72A、ベルト98を介して、排塵ファン48、揺動選別装置52、排藁カッタ59に伝動される。なお、排塵ファン48の回転数を増減するために、排塵ファン48には、変速ギヤボックス120を介して伝動を行なうのが好適である。
入力軸10Aの回転は、出力軸10Bを介してギヤボックス68に伝動され、ギヤボックス68に内装された複数のギヤ68Aによって増減速された後に、ギヤボックス68に軸支された出力軸68Bに伝動される。
なお、ギヤボックス68には、フィードチェン用油圧式無段変速装置10の出力軸10Bに備えるギヤ68Aの回転速度を測定するフィードチェン速度センサ10Sが設けられている。
出力軸68Bの回転は、カップリング68Cを介して駆動軸68Dに伝動され、駆動軸68Dの左端に軸支された駆動スプロケット17Aを介してフィードチェン12Bに伝動される。なお、図5に示すように、フィードチェン12Bを左側の懸架台35に立設されたフィードチェン回動軸35Bを中心として容易に回動するために、フィードチェン12Bの中心よりも機体内側にフィードチェン回動軸35Bの中心を設け、フィードチェン回動軸35Bを上下方向に垂直に延設し、図6に示すように、出力軸68Bの左端は、カウンタ軸71の左端よりも左側に延設し、駆動スプロケット17Aもプーリ71Eよりも左側に支持されている。
操縦席6の左側には、走行用油圧式無段変速装置66を遠隔操作する主変速レバー16が設けられ、主変速レバー16の後側には植立穀桿の倒伏状態に応じてトランスミッション65内の伝動機構に備えた有段式の副変速装置を切換操作する副変速レバー15が設けられている。主変速レバー16には、フィードチェン用油圧式無段変速装置10を遠隔操作する増速スイッチ16Aと、減速スイッチ16Bが設けられている。増速スイッチ16Aを約2秒以上長押しすると、フィードチェン用油圧式無段変速装置10の出力軸10Bの回転を最高回転速度に変更することができ、増速スイッチ16Aを約1秒短押しすると、出力軸10Bの回転を段階的に高速にすることができる。同様に、減速スイッチ16Bを約2秒以上長押しすると、フィードチェン用油圧式無段変速装置10の出力軸10Bの回転を最低回転速度に変更することができ、減速スイッチ16Bを約1秒短押しすると、出力軸10Bの回転を段階的に低速にすることができる。上記増速スイッチ16Aおよび減速スイッチ16Bを、変速スイッチSと総称する。また、主変速レバー16の下部には、主変速レバー16の変移位置を測定する主変速レバー位置センサ16S設けられ、副変速レバー15の下部には、副変速レバー15の変移位置を測定する副変速レバー位置センサ15S設けられている。
走行用油圧式無段変速装置66に伝動される第2経路Bでは、エンジン62の回転は、クランク軸70に支持されたプーリ70Bと、ベルト96と、走行用油圧式無段変速装置66の入力軸に支持されたプーリ66Bを介してこの走行用油圧式無段変速装置66に入力される。
走行用油圧式無段変速装置66の入力軸の回転は、走行用油圧式無段変速装置66の出力軸を介してトランスミッション65に伝動され、トランスミッション65に内装された複数のギヤによって増減速された後に、トランスミッション65に軸支された左右の車軸65Aおよびこの車軸65Aの先端部に固定した駆動輪65Bを介して走行装置2に伝動される。また、走行用油圧式無段変速装置66の出力軸の回転は、トランスミッション65内の伝動経路における上記副変速装置よりも上手側の部位から出力する出力軸65Cから、この出力軸65Cの先端部に取り付けた出力プーリ65Dと伝動ベルト65Eを介して横伝動軸36Aの右端に支持されたプーリ36Bに伝動される。上記伝動ベルト65Eにはテンションローラを付勢する構成として、刈取クラッチ65Fを構成する。
すなわち、走行用油圧式無段変速装置66の入力軸に伝動されたエンジン62の回転を走行用油圧式無段変速装置66で増減速した後に分岐して、一方をトランスミッション65に軸支された左右の車軸65Aを介して走行装置2のクローラに伝動し、他方を横伝動軸36Aを介して刈取装置4の引起装置32、搬送装置34及び脱穀部シンクロ搬送装置13のシンクロチェン13A等に伝動しているので、走行装置2の走行速度Vと、刈取装置4の引起装置32の引起し速度、搬送装置34の搬送速度VH及び脱穀部シンクロ搬送装置13のシンクロチェン13Aの搬送速度は一定の関係を持って決定される。例えば、走行装置2の走行速度Vを高速にした場合には刈取装置4の引起装置32の引起し速度、搬送装置34の搬送速度VH及びシンクロチェン13Aの搬送速度も高速となり、走行装置2の走行速度Vを低速にした場合には刈取装置4の引起装置32の引起し速度、搬送装置34の搬送速度VH及びシンクロチェン13Aの搬送速度も低速となる。なお、車軸65A、横伝動軸36Aには、回転速度を測定する走行速度センサ66S、搬送速度センサ34Sがそれぞれ設けられている。
また、トランスミッション65内の伝動経路において、副変速装置よりも下手側の部位に設けたセンターギヤ65Gの左右両側部には、左右のサイドクラッチギヤ65Hを係合および離脱自在に軸支している。このセンターギヤ65Gと左右のサイドクラッチギヤ65Hの間には、爪クラッチ式の左右のサイドクラッチ65Iをそれぞれ形成している。この左右のサイドクラッチ65Iには、左右の車軸65Aの基部に取り付けた左右の車軸ギヤを噛み合わせている。
上記の左右のサイドクラッチ65Iは、操縦席6の前方に配置した操向レバーの左右傾動操作によって作動するシフタ(図示省略)によってサイドクラッチギヤ65Hを左右方向に摺動して、センターギヤ65Gから離脱させることで伝動遮断状態となる。
また、左右のサイドクラッチ65Iは、操縦席6の前下方のステップ上に配置した掻込ペダル22の踏込み操作に連動しており、掻込ペダル22が踏み込まれた場合には、左右のサイドクラッチ65Iを介してセンターギヤ65Gとサイドクラッチギヤ65Hが離脱してエンジン62の回転は車軸65Aに伝動されない。一方、掻込ペダル22の踏み込みが解除された場合には、左右のサイドクラッチ65Iを介してセンターギヤ65Gとサイドクラッチギヤ65Hが係合してエンジン62の回転が車軸65Aに伝動される。
圃場の一辺を畦際まで刈り進んだ場合には、主変速レバー16を中立位置へ操作して停車し、掻込ペダル22を踏み込んでサイドクラッチ65Iを介してセンターギヤ65Gとサイドクラッチギヤ65Hの係合を解除して車軸65Aの回転を停止する。
コンバインを停止させた状態で、主変速レバー16を再度前進側へ操作すると、走行用油圧式無段変速装置66の出力によって出力軸65Cが駆動し、刈取クラッチ65Fを介して刈取装置4が駆動される。この際、左右のサイドクラッチ65Iが遮断されているために、走行装置2は前進駆動されず、停車状態を維持する。この構成によって、畦際まで刈り進んで停車した状態で、刈取装置4に入ったままの植立穀稈を、掻込ペダル22と主変速レバー16の操作によって刈り取ることができる。
なお、掻込ペダル22の踏込み操作に刈取クラッチ65Fを連動させることもできる。
すなわち、掻込ペダル22が踏込み込まれた場合には、刈取クラッチ65Fを介してトランスミッション65の出力軸65Cと刈取装置4の横伝動軸36Aが接続されて刈取装置4が駆動する。一方、掻込ペダル22の踏込みが解除された場合には、刈取クラッチ65Fを介してトランスミッション65の出力軸65Cと刈取装置4の横伝動軸36Aの接続を解除して刈取装置4の駆動を停止する。
圃場の一辺を畦際まで刈り進んだ場合には、主変速レバー16を中立位置へ操作して車体を停車させる。コンバインを停止させた状態で、掻込ペダル22が踏込み込むと刈取装置4が駆動する。この際、主変速レバー16が中立位置に移動しているために、走行装置2は前進駆動されず、停車状態を維持する。
グレンタンク5の排出螺旋39Aに伝動される第3経路Cでは、エンジン62の回転は、クランク軸70に支持されたプーリ70Cと、ベルト97、ギヤボックス39等を介して、グレンタンク5の下部に設けられた排出螺旋39Aに伝動される。また、排出螺旋39Aの回転は、グレンタンク5の後方に設けられた排出筒7に内装されたオーガー螺旋39Bに伝動される。なお、第3経路Cには、ベルト97よりも伝動下流側への伝動を接続及び遮断する排出クラッチ97Aが設けられている。
<他の伝動機構>
次に、図10に示すように、本実施形態の他の伝動機構について説明する。上述した伝動機構と同一部材には同一符号を付して重複した記載を省略する。
エンジン62の回転は、刈取用油圧式無段変速装置100に伝動される第1経路Aと、走行用油圧式無段変速装置66に伝動される第2経路Bと、グレンタンク5の前方のギヤボックス39に伝動される第3経路Cに分岐して伝動される。
刈取用油圧式無段変速装置100に伝動される第1経路Aでは、カウンタ軸71の回転は、プーリ71Dと、ベルト93と、刈取用油圧式無段変速装置100の入力軸101に支持されたプーリ102を介して入力軸101に伝動される。入力軸101の回転は、ギヤボックス103により増減速された後に、ギヤボックス103の第1出力軸104を介して刈取装置4に伝動され、第2出力軸105を介して刈取装置4、シンクロチェン13Aに伝動される。また、カウンタ軸71の回転は、プーリ71Dの左側に支持されたプーリ71E、ベルト94を介して、第一唐箕53Aに伝動され、プーリ71Dとプーリ71Eの間に支持されたプーリ71F、ベルト95、回転軸72を介して一番移送螺旋53b、第二唐箕53C、二番移送螺旋53dに伝動される。
回転軸72の回転は、回転軸72の左側に支持されたプーリ72A、ベルト98を介して、変速ギヤボックス120、揺動選別装置52、排藁カッタ59に伝動される。また、変速ギヤボックス120の入力軸121に伝動された回転は、ギヤ122、123を介して排塵ファン48に伝動され、ギヤ122、123、124を介して変速カウンタ軸125に伝動される。
変速カウンタ軸125の中間部には、図11に示すように、変速カウンタ軸125の軸芯方向にスライドする左右両面に係合歯が形成されたクラッチシフタ126が装着され、クラッチシフタ126の両側には、変速カウンタ軸125に回転自在にクラッチシフタ126側に係合歯が形成された高速ギヤ127と、クラッチシフタ126側に係合歯が形成された低速ギヤ128が装着されている。
フィードチェン12Bへの手扱ぎ穀稈の供給が規制される規制状態では、クラッチシフタ126は、走行速度センサ66Sの測定値に応じて変速カウンタ軸125の軸芯方向にスライドする。すなわち、走行装置3の走行速度が高速の場合には、クラッチシフタ126は、高速ギヤ127側にスライドし高速ギヤ127と係合して変速カウンタ軸125に伝動された回転を増速する。一方、走行装置3の走行速度が低速の場合には、クラッチシフタ126は、低速ギヤ128側にスライドし低速ギヤ128と係合して変速カウンタ軸125に伝動された回転を減速する。
また、フィードチェン12Bへの手扱ぎ穀稈の供給が許容される非規制状態では、補助作業者の手扱ぎ作業の安全性を高めるために、クラッチシフタ126は、走行速度センサ66Sの測定値に関係なく高速ギヤ127側にスライドが制限され、低速ギヤ128側にスライドし低速ギヤ128と係合して変速カウンタ軸125に伝動された回転を減速する。
クラッチシフタ126と高速ギヤ127の係合によって増速された回転は、ギヤ129を介して出力軸131に伝動され、クラッチシフタ126と低速ギヤ128の係合によって減速された回転は、ギヤ130を介して出力軸131に伝動される。また、出力軸131の回転は、カップリング68Cを介してフィードチェン12Bの駆動軸68Dに伝動され、駆動軸68Dの左端に軸支された駆動スプロケット17Aを介してフィードチェン12Bに伝動される。
走行用油圧式無段変速装置66に伝動される第2経路Bでは、エンジン62の回転は、クランク軸70に支持されたプーリ70Bと、ベルト96と、走行用油圧式無段変速装置66の入力軸に支持されたプーリ66Bを介してこの走行用油圧式無段変速装置66に入力される。
走行用油圧式無段変速装置66の入力軸の回転は、走行用油圧式無段変速装置66の出力軸を介してトランスミッション65に伝動され、トランスミッション65に内装された複数のギヤによって増減速された後に、トランスミッション65に軸支された左右の車軸65Aおよびこの車軸65Aの先端部に固定した駆動輪65Bを介して走行装置2に伝動される。
グレンタンク5の排出螺旋39Aに伝動される第3経路Cでは、エンジン62の回転は、クランク軸70に支持されたプーリ70Cと、ベルト97、ギヤボックス39等を介して、グレンタンク5の下部に設けられた排出螺旋39Aに伝動される。
<フィードチェンの駆動・停止方法>
次に、本実施形態のフィードチェン12Bの駆動・停止方法について説明する。図12に示すように、操縦席6に設けられた制御装置85の入力側には、走行装置2の速度Vを検出するする走行速度センサ66Sと、刈取装置4の搬送装置34の速度VHを検出するする搬送速度センサ34Sと、脱穀部搬送装置12のフィードチェン12Bの速度VFを検出するするフィードチェン速度センサ10Sと、副変速レバー15のレバー位置を検出する副変速レバー位置センサ15Sと、主変速レバー16に設けられたフィードチェン12Bの速度VFの増減速を行なう増減速スイッチ16A,16Bと、扱胴カバー50Dの側面に設けられているフィードチェン12Bの速度VFの増減を行なう調速ダイヤル6Aと、手扱モードへの切り換えを行なうモードスイッチ6Bと、フィードチェン12Bを後側から前側に向かって逆回転させる逆転スイッチ6Cと、フィードチェン12B上の搬送される穀桿の有無を検知する穀桿センサ34Cと、扱胴カバー50Dの側面に設けられているフィードチェン12Bの駆動を緊急停止する停止スイッチ6Dが所定の入力インターフェース回路を介して接続されている。一方、出力側には、通常の刈取りモード時にフィードチェン用油圧式無段変速装置10のトラニオン軸10Fを駆動する第1変速モータ10Cと、手扱ぎモード時にフィードチェン用油圧式無段変速装置10のトラニオン軸10Fを駆動する第2変速モータ10Eが所定の出力インターフェース回路を介して接続されている。
なお、モードスイッチ6Bは、作業者が手動で操作するスイッチに限定されるものではない。すなわち、刈取装置4の搬送装置34の終端部からフィードチェン12Bの始端部に引継がれる穀桿の姿勢の乱れを防止するために、搬送装置34の終端部には、上下方向に揺動する手扱ぎ規制プレート42と、手扱ぎ規制プレート42の下側に後側補助挟扼杆43が設けられている。手扱モードへの切り換え時には、手扱ぎ穀桿を後側補助挟扼杆43及びフィードチェン12B上に上載するために、手扱ぎ規制プレート42を軸44Aを中心として上側に揺動させることで、規制状態から非規制状態へ切替える。手扱ぎ規制プレート42を揺動させる操作に連動して、ON/OFFするモードスイッチ46を設け、モードスイッチ46をモードスイッチ6Bとして利用することもできる。
(フィードチェンの第1駆動方法)
図13には、フィードチェン12Bの速度VFの第1駆動方法が図示されている。横軸は走行速度センサ66Sで検出された走行装置2の走行速度Vを示し、V1,2は走行速度Vの第1,2設定値である。左側の縦軸はフィードチェン速度センサ10Sで検出されたフィードチェン12Bの速度VFを示し、VF1,2はフィードチェン12Bの速度VFの第1,2設定値であり、右側の縦軸は搬送速度センサ34Sで検出された搬送装置34の速度VHを示し、VH1,2は搬送速度VHの第1,2設定値であり、VH1,2は走行装置2の走行速度Vが第1,2設定値V1,2時の速度に対応する。
また、実線はフィードチェン12Bの速度VFを示し、破線は搬送装置34の速度VHを示している。
先ず、制御装置85は、モードスイッチ6Bの入力があったか否か判断し、モードスイッチ6Bの入力が無いと判断された場合には、制御装置85は、搬送装置34の速度VH(搬送速度センサ34Sからの入力値)が第1設定値VH1よりも低速か否か判断する。
搬送装置34の速度VHが第1設定値VH1よりも低速と判断された場合には、第1状態に示すように、フィードチェン12Bの速度VFを下式1で演算される速度に制御する。なお、副変速レバー15により設定される変速段位により、走行装置2の走行速度Vに対する搬送装置34の搬送速度VHは変化する。
式1 VF=K×V
但し K=VH1/V1
一方、搬送装置34の速度VHが第1設定値VF1よりも等速以上と判断された場合には、第2状態に示すように、フィードチェン12Bの速度VFを下式2で演算される速度に制御する。
式2 VF=VF1+1.5〜2.5×K×(V―V1)
但し K=(VH2―VH1)/(V2―V1)
次に、制御装置85は、フィードチェン12Bの速度VF(フィードチェン速度センサ10Sの入力値)が搬送装置34の第2設定値VH2よりも低速か否か判断する。
フィードチェン12Bの速度VFが搬送装置34の第2設定値VH2よりも低速と判断された場合には、第2状態に示すように、フィードチェン12Bの速度VFを式2で演算される速度に制御する。
一方、フィードチェン12Bの速度VFが搬送装置34の第2設定値VH2と等速以上と判断された場合には、第3状態に示すように、フィードチェン12Bの速度VFを第2設定値VF2に維持する。
なお、走行速度センサ66Sで検出された走行装置2の走行速度Vが所定時間に亘って最大速度V2を超える場合には、操縦席6の前面に配置されたモニター等によって操縦者に警告を行なのが好適である。
(フィードチェンの第2駆動方法)
図14には、フィードチェン12Bの速度VFの第2駆動方法が図示されている。実線はフィードチェン12Bの速度VFを示し、破線は搬送装置34の速度VHを示し、第1駆動方法と同一部材には同一符号を付して重複した記載を省略する。
先ず、制御装置85は、モードスイッチ6Bの入力があったか否か判断し、モードスイッチ6Bの入力が無いと判断された場合には、前述した第1〜3状態のフィードチェン12Bの速度VFを維持する。
一方、モードスイッチ6Bの入力があったと判断された場合、フィードチェン12Bの速度VFを下式3で演算される速度に制御する。なお、フィードチェン12Bの速度VFは調速ダイヤル6Aによって10〜20%の範囲で増減速することができ、手扱ぎ作業によって穀桿をフィードチェン12Bに上載せた場合には、調速ダイヤル6Aを操作してフィードチェン12BVFを増速するのが好適である。
式3 VF=0.25〜0.5×VH1
(フィードチェンの第1停止方法)
図15には、第1駆動方法によって駆動されているフィードチェン12Bの第1停止方法が図示されている。
図15の上側から第1段には停止スイッチ6Dの操作状況が図示され、第2段にはフィードチェン12Bに伝動される回転速度の増減速を行なうフィードチェン用油圧式無段変速装置10のトラニオン軸10Fの位置状況が図示され、第3段にはフィードチェン12Bの速度VFが図示されている。また、図15の第4段にはエンジン62の駆動状況が図示され、最下段には走行装置2と連動して駆動する刈取装置3に設けられた搬送装置34の速度VHが図示されている。
先ず、制御装置85は、停止スイッチ6Dの入力があったか否か判断し、停止スイッチ6Dの入力が無いと判断された場合は、第1駆動方法によってフィードチェン12Bを駆動する。
一方、停止スイッチ6Dの入力があったと判断された場合、フィードチェン用油圧式無段変速装置10のトラニオン軸10Fに接続された第1変速モータ10Cを駆動して、トラニオン軸10Fの回転位置が中立位置となるように回転させて、フィードチェン用油圧式無段変速装置10の出力軸10Bの回転を停止させる。これによって、フィードチェン12Bへの駆動力が遮断され、フィードチェン12Bの回転は停止する。
また、停止スイッチ6Dの入力があったと判断された場合、エンジン62を停止させて走行用油圧式無段変速装置66に伝動される回転を遮断して、走行装置2、刈取装置4に設けられた搬送装置34の回転を停止する。
フィードチェン12Bをより速やかに停止させるために、トラニオン軸10Fを中立位置を超えて若干逆転側の位置まで回転させるのが好適である。
(フィードチェンの第2停止方法)
図16には、第2駆動方法によって駆動されているフィードチェン12Bの第2停止方法が図示されている。なお、第1停止方法と同一部材には同一符号を付して重複した記載を省略する。
先ず、制御装置85は、停止スイッチ6Dの入力があったか否か判断し、停止スイッチ6Dの入力が無いと判断された場合は、第2駆動方法によってフィードチェン12Bを駆動する。
一方、停止スイッチ6Dの入力があったと判断された場合、フィードチェン用油圧式無段変速装置10のトラニオン軸10Fに接続された第2変速モータ10Eで駆動して、トラニオン軸10Fの回転位置が中立位置となるように回転させて、フィードチェン用油圧式無段変速装置10の出力軸10Bの回転を停止させる。これによって、フィードチェン12Bへの駆動力が遮断され、フィードチェン12Bの回転は停止する。
また、停止スイッチ6Dの入力があったと判断された場合、エンジン62を停止させて走行用油圧式無段変速装置66に伝動される回転を遮断して、走行装置2、刈取装置4に設けられた搬送装置34の回転を停止する。
フィードチェン12Bを緊急停止するために、第2変速モータ10Eは、第1停止方法で使用される第1変速モータ10Cよりも減速比等を大きく設定し、第1変速モータ10Cでトラニオン軸10Fを回動させる場合と比べて、トラニオン軸10Fを高速で回転させることができる。また、フィードチェン12Bをより速やかに停止させるために、トラニオン軸10Fを中立位置を超えて若干逆転側位置となるまで回転させ、回転センサ68Gによって出力軸10Bの回転が停止し、再度出力軸10Bの回転が検出された後に、または、再度出力軸10Bの回転が検出され1〜2秒経過後にトラニオン軸10Fを逆転側位置から中立位置に回転させるのが好適である。
フィードチェン12Bと挟扼杆12Cの間に詰まった穀桿等を除去するために、逆転スイッチ6Cを操作してフィードチェン12Bの回転方向を切換えることができる。この場合に、不用意なフィードチェン12Bの逆転を防止して補助作業者の安全を高めるために、逆転スイッチ6Cが操作されている場合にのみフィードチェン12Bを逆転駆動させたり、補助作業者がコンバインから離れる時間を確保するために、逆転スイッチ6Cが操作され1〜2秒経過した後にフィードチェン12Bを逆転駆動させたり、周囲の共同作業者にフィードチェン12Bの逆転状態を告知するために、フィードチェン12Bの逆転時にホーンを鳴らすのが好適である。
また、停止スイッチ6Dが操作され、フィードチェン12B、エンジン62等が停止した後に、再びエンジン62を起動するためには、モードスイッチ6Bが解除され通常の刈取りモードに切り換える必要がある。