以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しつつ詳説する。なお、理解を容易にするために、操縦者から見て、前方を前側、後方を後側、右手側を右側、左手側を左側として便宜的に方向を示して説明しているが、これらにより構成が限定されるものではない。
コンバインは、図1,2に示すように、機体フレーム1の下方には土壌面を走行するための左右一対のクローラからなる走行装置2が設けられ、機体フレーム1の上方左側には脱穀・選別を行う脱穀装置3が設けられ、脱穀装置3の前方には圃場の穀桿を収穫する刈取装置4が設けられている。脱穀装置3で脱穀・選別された穀粒は脱穀装置3の右側に設けられたグレンタンク5に貯留され、貯留された穀粒は排出筒7により外部へ排出される。また、機体フレーム1の上方右側には操縦者が搭乗する操縦席6が設けられ、操縦席6の下側にはエンジン62を搭載するエンジンルーム8が設けられている。
<刈取装置>
刈取装置4は、刈取後フレーム28と、刈取後フレーム28の先端部に左右方向に横設された刈取伝動ケース29と、刈取伝動ケース29から上下方向に立設された連結フレーム29Aによって形成された主枠となる刈取フレーム30に取付けられている。刈取後フレーム28の基部は、機体フレーム1の立設された左右一対の懸架台35,35の上部に回動可能に軸支された横伝動筒36の右側に偏倚した部位に取付けられている。
刈取装置4は、前側下部に設けられた植立穀稈を分草する分草杆31と、分草杆31の後方に設けられた倒伏した植立穀稈を引き起こす引起装置32と、引起装置32の後方の下部に設けられた植立穀稈の株元を切断する刈刃装置33と、引起装置32と刈刃装置33の後方に設けられた刈取穀稈を脱穀装置3の一側に設けられた脱穀部搬送装置12へ向けて搬送する搬送装置34とを備えている。搬送装置34は、刈取穀稈の株元側を搬送する株元搬送装置34Aと、穂先側を搬送する穂先搬送装置34Bから構成されており、また、この搬送装置34から脱穀部搬送装置12へ引継ぐ際の穀桿の落下を防止するために、脱穀部搬送装置12の前端部の右側部には、搬送装置34の後端部から扱室50の前端部に亘って、支持体37が設けられている。
刈取装置4のフレーム4Aの後端部には、図15に示すように、前側補助挟扼杆を取付けるブラケット38Cと、前側補助挟扼杆の変形量を検出する穀桿センサ34Cを取付けるブラケット38Dが設けられている。なお、フレーム4Aの前端部は、刈取りフレーム30の刈取伝動ケース29の左側に立設された連結フレーム29Aに装着され、前部から後部に向かって後上がり傾斜し、後端部は、フィードチェン12Bの前側上方に臨んでいる。
前側補助挟扼杆は、バネ板等からなる上側補助挟扼杆と下側補助挟扼杆を有して構成されている。上側補助挟扼杆の前端部は、フレーム4Aの終端部に装着されたブラケット38Cにボルト等の締結部材によって取付けられており、後端部は、フィードチェン12Bの始端部に延設している。また、下側補助挟扼杆の前端部は、下側から上側補助挟扼杆を覆うようにフレーム4Aの終端部に装着されたブラケット38Cにボルト等の締結部材によって取付けられており、後端部は、挟持杆12Cの前側まで延設している。
なお、上側補助挟扼杆と下側補助挟扼杆の左右方向の幅は、フィードチェン12Bの左右方向の幅よりも幅狭に形成されており、下側補助挟扼杆は、フィードチェン12Bの左右の外プレートの間に上載されている。
穀桿センサ34Cは、フレーム4Aの終部に装着されたブラケット38Dにボルト等の締結部材によって取付けられている。なお、穀桿センサ34Cは、図15に示すように、ブラケット38Dに前後方向に2個の穀桿センサ34C,34Cを並設するのが好適である。
前側に配置された穀桿センサ34Cは、搬送装置34からフィードチェン12Bに引継がれる穀桿が有無を検知する。すなわち、搬送装置34からフィードチェン12Bに引継がれる穀桿が有る場合には、上側補助挟扼杆の後端部が上方に向かって移動し、上側補助挟扼杆の後端部が前側に配置された穀桿センサ34Cを押圧する。一方、穀桿が無い場合には、上側補助挟扼杆の後端部は、フィードチェン12Bの始端部に延設した状態を維持する。
後側に配置された穀桿センサ34Cは、搬送装置34からフィードチェン12Bに引継がれる穀桿の詰まりを検知する。すなわち、搬送装置34からフィードチェン12Bに引継がれる穀桿がフィードチェン12Bの前側に詰まった場合には、下側補助挟扼杆の後端部が上方に向かって移動し、下側補助挟扼杆の中間部が後側に配置された穀桿センサ34Cを押圧する。一方、穀桿の詰まりが無い場合には、下側補助挟扼杆の後端部は、フィードチェン12Bの上側に載置した状態を維持する。なお、特に、後側に配置された穀桿センサ34Cの出力値に応じてフィードチェン12Bの搬送速度を切り換えるのが好適である。
(第1規制手段)
フレーム4Aの終端部には、図15,16に示すように、搬送装置34からフィードチェン12Bに搬送された穀桿をフィードチェン12Bと挟持する後側補助挟扼杆43と、後述する扱胴カバー50Dに配置されたモードスイッチ6Bに替えて通常の刈取脱穀作業と手扱ぎ作業の切換えを行なうモードスイッチ46を操作する手扱ぎ規制部材40を備えた第1規制手段100が設けられている。
バネ板等からなる後側補助挟扼杆43の前端部は、フレーム4Aの終端に装着されたブラケット44に左右方向に延設して取付けられた軸44Aに回動自在に支持され、後端部は、挟扼杆12Cの下側に沿って後方に向かって延設して挟扼杆12Cの前端部よりも後側まで延設している。後側補助挟扼杆43の左右方向の幅は、フィードチェン12Bの左右方向の幅よりも幅狭に形成されており、後側補助挟扼杆43は、フィードチェン12Bの左右の外プレートの間に上載されている。また、軸44Aは、フィードチェン12Bを駆動する駆動軸68Dや張設輪17Bの支軸と平行に配置されている。
なお、後側補助挟扼杆43は、フィードチェン12B等の保守・点検作業時には、扱胴カバー50Dを開放して挟扼杆12Cを上方に移動した後に、広い保守・点検作業空間を確保するために、軸44Aを中心として機体の左側視において反時計方向に回動させることができる。
手扱ぎ規制部材40は、断面が略コの字状に形成されたチャンネル材からなる前側プレート41と、前側プレート41の後端部に装着された左右方向に延設する軸41Bに前端部が回動自在に支持された断面が略Iの字状に形成されたからなる後側プレート42を有して構成されている。
前側プレート41の前端部は、後側補助挟扼杆43の前端部を支持する軸44Aに回動自在に支持され、前端部の左側板の外面には、ブラケット44の軸44Aの前側の下方に取付けられたモードスイッチ46を押圧する略半円弧状の作動部41Aが装着されている。また、前側プレート41の後端部の両側板の間には、後側プレート42の前端部を回動自在に支持する左右方向に延設する軸41Bが装着されている。なお、本形態にあっては、前側プレート41と後側補助挟扼杆43を同一の軸44Aに支持しているが別軸に支持することもできる。
作動部41Aは、図17〜19に示すように、前側に向かって半円弧状(図17に示す状態において6時の位置から12時の位置に向う円弧状)に形成され、該半円弧状の中心は、軸44Aの軸芯から偏倚して(図17に示す状態において軸44Aに対して前側上方に偏倚して)位置している。なお、作動部41Aは、図17に示すように、手扱ぎ規制部材40が規制状態に位置する場合には、作動部41Aの下側部とモードスイッチ46の端子部46Aが接触しないように、作動部41Aの下側部とモードスイッチ46の端子部46Aの間に一定の間隔を持たせて配置し、図18に示すように、手扱ぎ規制部材40が非規制状態に位置する場合には、作動部41Aの上側部とモードスイッチ46の端子部46Aが接触して、作動部41Aの上側部がモードスイッチ46の端子部46Aを押圧するように配置されている。
また、手扱ぎ規制部材40が反時計方向に回動するに伴って、作動部41Aの上側部とモードスイッチ46の端子部46Aの間隔が狭まり、作動部41Aの上側部がモードスイッチ46の端子部46Aをより強く押圧する。
なお、作動部41Aの形状は、上記の形状に限定されることなく、前側に向かって1/4円弧状(9時から12時に円弧状)に形成して該1/4円弧状の中心を軸44Aの軸芯よりも前側に偏倚させた形状、前側に向かって1/4円弧状(9時から12時に円弧状)と円弧下端部から後下がり傾斜した直線部に形成して該1/4円弧状の中心を軸44Aの軸芯よりも前側に偏倚させた形状等にすることもできる。
これにより、前側プレート41を軸44Aを中心として、機体の左側視において反時計方向に回動させて通常の刈取脱穀作業から手扱ぎ作業への切換えを行なう場合に、走行装置2の走行による振動等が前側プレート41に伝播された場合にあっても、前側プレート41を軸44Aを中心として反時計方向に回動させるに伴ってモードスイッチ46の端子部46Aと前側プレート41の作動部41Aの間隔が狭くなり、確実にモードスイッチ46の端子部46Aを押圧してON状態を維持することができる。
一方、前側プレート41を軸44Aを中心として機体の左側視において時計方向に回動させて、手扱ぎ作業から通常の刈取脱穀作業への切換えを行なう場合には、モードスイッチ46の検知状態をON状態からOFF状態に緩やかに変更ことができる。
なお、通常の刈取脱穀作業から手扱ぎ作業への切換えた場合には、補助作業者の安全性を維持するために、操縦席6の前面に配置されたモニター等によって操縦者に警告を行なう。
モードスイッチ46としては、モードスイッチ46の端子部46Aと前側プレート41の作動部41Aの接触によって、通常の刈取脱穀作業から手扱ぎ作業モード等への切換えを検出する検出センサを使用することもできる。しかし、走行装置2の走行等によって発生する振動により検出状態(ON/OFF状態)が不安定になるのを防止するために、モードスイッチ46の端子部46Aが一定以上の変位した場合、一定以上の押圧が加わった場合に、通常の刈取脱穀作業から手扱ぎ作業モード等への切換えを検出する変位センサ、感圧センサを使用することが好適である。
モードスイッチ46として変位センサを使用した場合には、作動部41Aによって押圧されて端子部46Aが変位した変位量に応じた出力値を出力することができる。
このように、モードスイッチ46として変位センサを使用した場合には、予め制御装置85に通常の刈取脱穀作業から手扱ぎ作業への切換えを行なう前側プレート41の回動位置に対応するモードスイッチ46の端子部46Aの変位量(閾値A)と、手扱ぎ作業から通常の刈取脱穀作業への切換えを行なう前側プレート41の回動位置に対応するモードスイッチ46の端子部46Aの変位量(閾値B)を設定することにより、土壌面により走行装置2の走行による振動等が著しく変化した場合にあっても、閾値A、Bを変更することによって作業の切換えを容易に変更でき、安定して作業の切換えを行なうことができる。
後側プレート42の前端部は、前側プレート41の後端部に装着された軸41Bに回動自在に支持されており、前側プレート41の内側に挿入された前側部42Aは、断面が略Iの字状に形成され、前側プレート41の後端から後方に向かって延設する後側部42Bも断面が略Iの字状に形成されている。
通常の刈取脱穀作業時には、手扱ぎ規制部材40は、軸44Aを中心として時計方向に回動されてフレーム4Aの後端部と挟持杆12Aの前端部の間に形成される後側補助挟扼杆43の上方の空間を覆う規制状態とされ、手扱ぎ作業時には、手扱ぎ規制部材40は、軸44Aを中心として反時計方向に回動されてフレーム4Aの後端部と挟扼杆12Cの前端部の間に形成される後側補助挟扼杆43の上方の空間を開放する非規制状態とされる。
すなわち、手扱ぎ規制部材40が下方向に回動し、この手扱ぎ規制部材40の後部と挟持杆12Aの前部との間隔が縮小して、フィードチェン12Bへの手扱ぎ穀稈の供給が規制される規制状態と、手扱ぎ規制部材40が上方向に回動し、手扱ぎ規制部材40の後部と挟持杆12Aの前部との間隔が拡大して、フィードチェン12Bへの手扱ぎ穀稈の供給が許容される非規制状態とに切り換わる構成である。
規制状態の場合、平面視において、前側プレート41は、軸44Aから後方に向かって延設してフィードチェン12Bの始端部上を覆い、後側プレート42は、前側プレート41から後方に向かって延設して挟扼杆12Cの前端部の後方に至り、フィードチェン12Bにおける左側に配置されている。また、側面視において、前側プレート41は、軸44Aから後方に向かって緩やかに後上がり傾斜して配置され、後側プレート42は、前側プレート41から後方に向かって緩やかに後上がり傾斜して配置され、挟扼杆12Cの前端部の後方に至っている。
前側プレート41は、その中間部に設けられた下側ストッパ41Cが後側補助挟扼杆43の基部に設けられた支持部材43Aの上縁に当接することによって規制状態の姿勢を維持し、後側プレート42は、後側プレート42の前端部を前側プレート41の後部に当接することによって規制状態の姿勢を維持している。なお、補助作業者の安全を高めるために、前側プレート41の前端部は、フィードチェン12Bの前端部よりも前側に配置するのが好適であり、粉塵等の飛散を防止する搬送装置34の上側に配置された前側防塵カバー49Aの後端よりも後側に配置するのが好適である。
また、機体からの張出しを防止するために、前側プレート41の右側面を搬送装置34の上側に配置された後側防塵カバー49Bの左側面よりも内側に配置するのが好適である。なお、図17に示すように、後側プレート42は、前側プレート41の後端部の軸41Bを中心として回動可能であるので、後側防塵カバー49Bを取外すことなく、手扱ぎプレート40を上下方向に回動させることができる。
非規制状態の場合、側面視において、前側プレート41は、軸44Aから前方に向かって前上がり傾斜して延設され、後側プレート42は、前側プレート41の軸41Bから前方に向かって略水平に延設されている。前側プレート41は、前側プレート41の上面をブラケット44に立設された上側ストッパ44Cに当接することによって非規制状態の姿勢を維持し、後側プレート42は、後側プレート42の後側部42Bの上面を前側プレート41の後部に当接することによって非規制状態の姿勢を維持している。なお、振動等の伝播により前側プレート41の規制状態姿勢、非規制状態姿勢の変動を防止し、前側プレート41の回動を容易に行なうために、搬送装置34の後部と前側プレート41の左面を軸44Aを跨ってスプリング状のバネ等の付勢手段で連結して前側プレート41を規制状態姿勢、非規制状態姿勢に付勢するのが好適である。
(第2規制手段)
次に、第2規制手段110について説明する。なお、第1規制手段100と同一部材には同一符号を付して重複した記載を省略する。
フレーム4Aの終端部には、図21〜23に示すように、搬送装置34からフィードチェン12Bに搬送された穀桿をフィードチェン12Bと挟持する後側補助挟扼杆143と、扱胴カバー50Dに配置されたモードスイッチ6Bに替えて通常の刈取脱穀作業と手扱ぎ作業の切換えを行なうモードスイッチ146を操作する手扱ぎ規制部材140を備えた第2規制手段110が設けられている。
フレーム4Aの終端部には、第1ブラケット144が装着されている。第1ブラケット144の下側部には、モードスイッチ146を取り付けるスイッチ支持部144Aが形成されており、第1ブラケット144の上側部には、後側補助挟扼杆143と手扱ぎ規制部材140等を回動自在に支持する左右方向に延在する軸147を軸支する回転支持部144Bが形成され、第1ブラケット144の未刈取側である左側には、モードスイッチ146と外部との衝突を防止し、走行時に発生する振動によって手扱ぎ規制部材140の規制状態あるいは非規制状態の変動を抑制するスプリング状のバネ等の付勢手段152の前部を取り付ける付勢手段支持部144Cが形成されている。なお、後側補助挟扼杆143、モードスイッチ146等の交換等の保守・点検作業を容易に行うために、第1ブラケット144は、フレーム4Aの先端部に固着されたプレート4Bのウエルドナット4Cにボルト4Dにより着脱自在に取り付けられている。
バネ板等からなる後側補助挟扼杆143は、第2ブラケット145を介して第1ブラケット144の回転支持部144Bに支持された軸147に対して回動自在に装着されている。
第2ブラケット145は、底板145Aと底板145Aの左右両側に上側に向かって延出する側板145B,145Bを備えて形成されている。底板145Aの左右方向の中心部には、前後方向に並列した2個のウエルドボルト145Cが固着されている。また、側板145B,145Bの間に第1ブラケット144の回転支持部144Bを嵌合させるために、側板145B,145Bの左右方向の間隔は、第1ブラケット144の回転支持部144Bの左右方向の幅よりも広く形成され、側板145B,145Bの前部には、軸147を挿通する円弧状の開口部145Dが開孔され、側板145B,145Bの上端部は、後下がりに形成されている。なお、規制状態時において、左右の側板145B,145Bの上端部は、第3ブラケット148の上板148Aの内面に接当する。
後側補助挟扼杆143の前部の左右方向の中心部には、前後方向に並列した2個の開口部143Aが開孔されている。後側補助挟扼杆143の交換等の保守・点検作業を容易に行うために、後側補助挟扼杆143は、後側補助挟扼杆143の開口部143Aを第2ブラケット145のウエルドボルト145Cに挿入した後にナット145Eにより着脱自在に取り付けられている。
後側補助挟扼杆143の後部は、図21に示すように、フィードチェン12Bに沿って後側に向かって延出して挟扼杆12Cの後端部よりも後方に延出している。後側補助挟扼杆143の左右方向の幅は、図22に示すように、フィードチェン12Bの左右方向の幅よりも幅狭に形成されており、後側補助挟扼杆143は、フィードチェン12Bの左右の外プレートの間に上載されている。また、軸147は、フィードチェン12Bを駆動する駆動軸68Dや張設輪17Bの支軸と平行に配置され、第3ブラケット148の開口部148D等に挿通された後に、他側から軸147にワッシャー147Aを挿入して、止めピン147Bにより第1ブラケット144の回転支持部144Bに着脱自在に取り付けられている。
なお、後側補助挟扼杆143は、フィードチェン12B等の保守・点検作業時には、扱胴カバー50Dを半開き等して挟扼杆12Cを上方に移動した後に、広い保守・点検作業空間を確保するために、機体の左側視において第2ブラケット145を介して軸147を中心として反時計方向に回動させることができる。また、多量の穀桿がフィードチェン12Bに供給された場合には、第2ブラケット145の側板145B,145Bの上面と第3ブラケット148の上板148Aの内側面が接等しているので、後側補助挟扼杆143と手扱ぎ規制部材140は所定の間隔を維持して上方に移動する。
丸棒等からなる手扱ぎ規制部材140は、第3ブラケット148を介して第1ブラケット144の回転支持部144Bに支持された軸147に対して回動自在に装着されている。
第3ブラケット148は、上板148Aと上板148Aの左右両側に下側に向かって延出する側板148B,148Bを備えて形成されている。第3ブラケット148は、第2ブラケット145を上側から覆い、第1ブラケット144の回転支持部144Bに支持された軸147に取り付けるために、第3ブラケット148の側板148B,148Bの左右方向の間隔は、第2ブラケット145の側板145B,145Bの間隔よりも広く形成され、側板148B,148Bの前部には、軸147を挿通する円弧状の開口部148Dが開孔されている。
第3ブラケット148の上板148Aの後部内面と左側の側板148Bの内面には、手扱ぎ規制部材140の前部がそれぞれ固着されている。また、左側の側板148Bの開口部148Dの近傍の外側部位には、手扱ぎ規制部材140を規制状態から非規制状態に回動させた状態において、モードスイッチ146によって検知される作動部150が形成され、作動部150の後部には、走行時に発生する振動によって手扱ぎ規制部材140の規制状態あるいは非規制状態の変動を抑制する付勢手段152の後部を取り付ける付勢手段支持部151が形成されている。
手扱ぎ規制部材140は、図21に示すように、後側に向かって延出する前側規制プレート140Aと、前側規制プレート140Aの後端部から後上がり傾斜する後側規制プレート140Bから形成され、補助作業者による手扱ぎ規制部材140の回動操作を容易にするために、後側規制プレート140Bの後部には、操作方向を明記した樹脂製等のグリップ140Cが取り付けられている。また、補助作業者による手扱ぎ規制部材140の回動操作中に補助作業者とフィードチェン12Bの接触を防止するために、図22に示すように、手扱ぎ規制部材140の前側規制プレート140Aは、後側に向かって延出し、後側規制プレート140Bは、前側規制プレート140Aの後端部から外側に向かって延出した後に、その後部をフィードチェン12Bと略平行になるように後方に向かって延出して形成している。なお、第2規制手段においては、グリップ140Cを後側規制プレート140Bの後端部に取り付けているが、後側規制プレート140Bの前後方向の中間部に取り付けることもできる。なお、図22中の円弧状の矢印は、手扱ぎ規制部材140の規制状態から非規制状態及び非規制状態から規制状態への回動を示している。
また、補助作業者によって非規制状態時の手扱ぎ規制部材140の上面に上載された手刈取穀桿の滞留を防止するために、側面視において非規制状態時の前側規制プレート140Aの前部の上面部に、非規制状態時の後側規制プレート140Bの後下がり傾斜角度と略同一角度の後下がり傾斜に切欠部140Dを形成し、非規制状態時の前側規制プレート140Aと後側規制プレート140Bの上面部には突起部を設けないのが好適である。
作動部150は、図23に示すように、左側の側板148Bの開口部148Dの前後方向の中心部に対向する部位から後方に向かって延出する前側作動部150Aと、前側作動部150Aの後端部から後下がり傾斜する後側作動部150Bから形成されている。
手扱ぎ規制部材140が規制状態にある場合には、モードスイッチ146により前側作動部150A及び後側作動部150Bは検出されない場所に配置されている。また、手扱ぎ規制部材140が規制状態から非規制状態に左側面視において反時計方向に回動開始時には、先ず、モードスイッチ146により前側作動部150Aが検出され、これにより、制御装置85は、通常作業モードから手扱ぎ作業モードにモードが変更されたと判断する。次に、手扱ぎ規制部材140が非規制状態になった場合には、モードスイッチ146により後側作動部150Bが検出され、これにより、制御装置85は、手扱ぎ作業モードが継続状態にあると判断する。なお、第2規制手段110の作動部150に替えて第1規制手段100の作動部41Aを使用することもできる。
付勢手段支持部151は、左側の側板148Bから未刈取側である左側に向かって延出し後側作動部150Bの後端部の下側に位置する左右延出部151Aと、左右延出部151Aの左側端部から前方に向かって延出する前後延出部151Bから形成され、前後延出部151Bの前後方向及び上下方向の中心部には、付勢手段152の後部を係合させる開口部151Cが開孔されている。
不要な捩れ力等の作用により付勢手段152の耐久性の低下を防止し、付勢手段152の付勢手段を効率良く手扱ぎ規制部材140に作用させるために、前後延出部151Bは、図22に示すように、第1ブラケット144の付勢手段支持部144Cの後方延長線上に配置されている。
付勢手段152より手扱ぎ規制部材140の規制状態及び非規制状態を安定的に維持するために、図23に示すように、付勢手段152の前部を係合させる付勢手段支持部144Cの下部に開孔された開口部144Dは、回転支持部144Bに挿通される軸147よりも前方の下側に位置し、前後延出部151Bの開口部151Cは、軸147よりも後方の下側に位置させている。これにより、手扱ぎ規制部材140が規制状態から非規制状態に左側面視において反時計方向に回動した場合には、側面視において付勢手段152が軸147の下方から上方に移動し、一方、非規制状態から規制状態に左側面視において時計方向に回動した場合には、付勢手段152が軸147の上方から下方に移動する、いわゆる支点超えをする。
また、振動等により手扱ぎ規制部材140の非規制状態から規制状態への回動を防止するために、規制状態時に付勢手段152が発生する張力よりも非規制状態時に付勢手段152が発生する張力を大きくするのが好適である。
なお、外部との接触による付勢手段152の破損を防止するために、付勢手段支持部144Cを第1ブラケット144の未刈取穀桿側と反対側である機体内側に設け、付勢手段支持部151を手扱ぎ規制部材140の機体内側に設けることもできる。
第1ブラケット144のスイッチ支持部144Aには、モードスイッチ146が取り付けられている。モードスイッチ146としては、接触センサ、変位センサ、感圧センサを使用することできる。
モードスイッチ146は、スイッチ支持部144Aとプレート149に挟持されている。すなわち、スイッチ支持部144Aの左右方向の両側に開孔された開口部144aと、モードスイッチ146の左右方向の両側に形成された開口部146Aと、プレート149の左右方向の両側に形成された雌ネジ149Aに、スイッチ支持部144Aの上方から取付ネジ149Bを挿進して、モードスイッチ146をスイッチ支持部144Aとプレート149の間に挟持して取り付けている。なお、取付ネジ149Bが緩みによりプレート149が脱落し、モードスイッチ146が脱落するのを防止するために、フレーム4Aの後端部は、プレート149の下方に延出してプレート149の下面をフレーム4Aの後端部の上面で押し上げている。
搬送装置34からフィードチェン12Bに搬送される穀桿の搬送障害になることを防止し、穀桿との接触によるモードスイッチ146の破損を防止するために、モードスイッチ146は、図21,22に示すように、搬送装置34からフィードチェン12Bへの穀桿の搬送経路よりも上方であって、挟持杆12Aよりも前方に取付けられている。
通常の刈取脱穀作業時には、手扱ぎ規制部材140は、軸147を中心として時計方向に回動されてフレーム4Aの後端部と挟持杆12Aの前端部の間に形成される後側補助挟扼杆143の上方の空間を覆う規制状態とされ、手扱ぎ作業時には、手扱ぎ規制部材140は、軸147を中心として反時計方向に回動されてフレーム4Aの後端部と挟扼杆12Cの前端部の間に形成される後側補助挟扼杆143の上方の空間を開放する非規制状態とされる。
すなわち、手扱ぎ規制部材140が下方向に回動し、この手扱ぎ規制部材140の後部と挟持杆12Aの前部との間隔が縮小して、フィードチェン12Bへの手扱ぎ穀稈の供給が規制される規制状態と、手扱ぎ規制部材140が上方向に回動し、手扱ぎ規制部材140の後部と挟持杆12Aの前部との間隔が拡大して、フィードチェン12Bへの手扱ぎ穀稈の供給が許容される非規制状態とに切り換わる構成である。
搬送装置34から脱穀部搬送装置12に引継がれる穀桿の姿勢を良好に維持するために、穂先搬送装置34Bに対向する支持体37の上面または下面の右側に偏倚した部位に、補助搬送装置を配置することもできる。
補助搬送装置には、穂先搬送装置34Bから引継がれた穀桿の穂先をフィードチェン12Bに搬送するために、前側から後側に移動するラグ付きベルト、突付きベルトが備えられている。また、補助搬送装置には、後述するカウンタ軸71の回転を、フィードチェン用油圧式無段変速装置10の出力軸10Bを介して伝動することによって、ラグ付きベルト等の移動速度をフィードチェン12Bの移動速度と同一速度にすることが好適である。なお、フィードチェン用油圧式無段変速装置10に代えて、静油圧式無段変速機と遊星歯車とを組み合わせて構成した油圧機械式無段変速機を用いてもよい。
図3〜5に示すように、左側の懸架台35は、機体フレーム1に立設したベース35Aの上側に取付けられている。懸架台35の左側の前部には、横伝動筒36の左側部を軸支する横伝動フレーム35Cの基部を回転可能に支持する上下方向に延設したフィードチェン回動軸35Bが設けられている。また、横伝動筒36をフィードチェン回動軸35Bを中心として回動して刈取装置4の分草杆31、引起装置32等の装置の保守・点検作業を容易に行なうために、横伝動フレーム35Cは、正面視において基部から先端部に下方向に凸部を有する円弧状に形成されている。なお、後述するように、穀桿を搬送する脱穀部搬送装置12もフィードチェン回動軸35Bを中心として回動する。
右側の懸架台35は、機体フレーム1に立設したベース35Aの上側に取付けられている。該懸架台35の上端部には、横伝動筒36の右側部を軸支する支持部材35Dが取付けられている。支持部材35Dは、略半円弧状に分割された前側支持部材と、後側支持部材とで構成されている。横伝動筒36の右側部を軸支する場合には、前後側支持部材を係合し、刈取装置4又はトランスミッション65のメンテナンスを行うために、横伝動筒36をフィードチェン回動軸35Bを中心として回動させて、刈取装置4を左側方へ移動させる場合には、前後側支持部材の係合を外して横伝動筒36を前方に引き出す。また、左右の懸架台35,35の変形等に対する剛性を高めるために、左右の懸架台35,35の上下方向の中間部には連結フレーム35Eが架設されている。
エンジン62の回転は、走行用油圧式無段変速装置66の入力軸に支持されたプーリ66Bを介して走行用油圧式無段変速装置66に伝動され、走行用油圧式無段変速装置66に伝動された回転は、走行用油圧式無段変速装置66の出力軸に支持されたプーリ(図示省略)を介して、横伝動筒36に内装された横伝動軸36Aの右端部に支持されたプーリ36Aに伝動され、横伝動筒36と、横伝動軸36Aを回転させる。なお、横伝動軸36Aに伝動された回転は、フレーム27,28に内装された伝動軸(図示省略)を介して、刈取装置4の引起装置32、刈刃装置33、搬送装置34等に伝動される。
また、エンジン62の回転は、走行用油圧式無段変速装置66の入力軸に支持されたプーリ66Bを介して走行用油圧式無段変速装置66に伝動され、走行用油圧式無段変速装置66に伝動された回転は、トランスミッション65を介して、走行装置2の左右のクローラに伝動される。
<脱穀装置>
脱穀装置3は、図4に示すように、前側の上部に穀稈の脱穀を行う扱室50を備え、扱室50の下側に脱穀された穀粒の選別を行なう選別室51を備えている。
扱室50には、複数の扱歯を有する扱胴55が前後壁50A,50Cに軸支された扱胴軸に支持されている。そして、扱室50の前壁50Aの左側下部には穀稈供給口26Aが開孔され、左壁50Bの下部には扱胴55に沿って扱ぎ口26Bが開孔され、後壁50Cの左側下部には排藁口26Cが開孔されている。また、扱室50の左側には扱ぎ口26Bに沿って穀桿の株元を挟持して後方に搬送する脱穀部搬送装置12が並設され、脱穀部搬送装置12によって搬送された脱穀が完了した排藁穀桿は、脱穀部搬送装置12の後方に設けられた排藁搬送装置58に引き継がれてさらに後方に搬送された後、一対の排藁カッタ59によって裁断され外部に排出される。
選別室51の上部には、揺動選別装置52が設けられ、選別室51の下部には揺動選別装置52の前部のシーブに空気を送風する第一唐箕53Aと、揺動選別装置から漏下する穀粒を回収する一番受樋53Bと、揺動選別装置の後部のシーブに空気を送風する第二唐箕53Cと、揺動選別装置から漏下する枝梗等が付着した穀粒である二番物を回収する二番受樋53Dとが前側から順に設置されている。一番受樋53Bで回収された穀粒は、一番受樋53Bに内装された一番移送螺旋53bによってグレンタンク5に移送され、二番受樋53Dで回収された穀粒等は、二番受樋53Dに内装された二番移送螺旋53dによって二番処理室に移送される。
扱室50の右側の後部は、排塵処理室に連通し、排塵処理室の内部には、外周面にスクリュー羽根体を備える排塵処理胴57が前後方向に軸支され、排塵処理室の前側には、二番物を処理して還元するための二番処理室が設けられている。二番処理室の内部には外周面に間欠螺旋羽根を備える二番処理胴56が軸支されている。また、揺動選別棚の後方上側には、脱穀・選別時に発生する藁屑等を吸引し機外に排出する排塵ファン48が配置されている。
<脱穀部搬送装置>
脱穀部搬送装置12は、図3,6等に示すように、上側に位置する挟持杆12Aと、下側に位置するフィードチェン12Bを備えている。挟持杆12Aは、扱室50の扱胴カバー50Dに対してスプリング等の付勢手段14によってフィードチェン12B側に付勢されている。フィードチェン12Bは、上側チェンレール18Aの前後端部にそれぞれ回転自在に支持された張設輪17B,17Bと、張設輪17B,17Bの間に設けられた駆動スプロケット17Aに巻回されて駆動される無端のチェンである。上側チェンレール18Aに上載された作用側のフィードチェン12Bは、前側から後方に向かって移動する過程で挟持杆12Aと穀稈の株元を挟持する。なお、搬送される穀桿のフィードチェン12Bの終端部等への巻付きを防止するために、後側の張設輪17Bは両側部に巻付防止プレート17Dが設けられたアイドルスプロケットを使用するのが好適である。
扱胴カバー50Dの側面には、手扱ぎ作業を行なっている補助作業者が手扱ぎ作業中のフィードチェン12Bの速度VF1の速度調整を容易に行って作業性を高めるために、調速ダイヤル6Aが設けられている。また、手扱ぎ穀桿量に応じてフィードチェン12Bの速度VFの速度調整を効率的に行なうために、調速ダイヤル6Aを手扱ぎ穀桿を上載する後側補助挟扼杆43の周辺に配置したり、操縦席6に着座する操縦者が不慣れな補助作業者を効率的に補助するためには、調速ダイヤル6Aを操縦席6のサイドパネルに配置することもできる。
なお、調速ダイヤル6Aと共に、あるいは調速ダイヤル6Aに替えて、脱穀装置3の前方の機体フレーム1に手扱ぎ作業中のフィードチェン12Bの速度VFの速度調整を行なう調速ペダル45を設けることもできる。
側面視において、挟持杆12Aは、扱室50の穀稈供給口26Aから排藁口26Cまで扱ぎ口26Bに沿って後上がり傾斜に設けられている。作用側のフィードチェン12Bを上載する上側チェンレール18Aは、横軸伝動筒36の前方の前端から後上がり傾斜した後、緩やかに後上がり傾斜して扱室50の穀稈供給口26Aの前方に至った後、挟持杆12Aと対向して扱室50の穀稈供給口26Aから排藁口26Cまで扱ぎ口26Bに沿って後上がり傾斜する。その後、排藁口26Cから後方に水平に延在した後、後下がり傾斜して穂先搬送装置34Aの前端部の後方の後端に至る。なお、刈取装置4の刈取り条数の変更に伴う脱穀部搬送装置12の前後方向長さの変更を容易に行なうために、上側チェンレール18Aは前後方向に分割できる分割構造にするのが好適である。
非作用側のフィードチェン12Bを上載する下側チェンレール18Bは、駆動スプロケット17Aにエンジン62の回転を伝動するカウンタ軸71の上方の前端から後上がり傾斜して後端に至っている。なお、下側チェンレール18Bの後端は、後側の張設輪17Bの前方であって排藁口26Cの下方に設けられている。
下側チェンレール18Bの前端部には、非作用側のフィードチェン12Bを下側チェンレール18Bの前端部よりも下方に設けられた駆動スプロケット17Aに誘導するガイド18Dが着脱自在に取付けられている。ガイド18Dは、カウンタ軸71の上方に設けられ、略1/4円形状に形成されている。なお、ガイド18Dの上方に油等の落下によってカウンタ軸71等の汚れを防止するためにカバー(図示省略)を設けることが好適である。
下側チェンレール18Bの下側には、レール連結プレート18Cによって上側チェンレール18Aと、下側チェンレール18Bを支持する支持フレーム19が設けられている。すなわち、フィードチェン12Bは支持フレーム19によって支持されている。また、上側チェンレール18Aと、下側チェンレール18Bに連結される連結プレート18Eには、穀稈搬送中のフィードチェン12Bから落下する藁屑が前記選別室51の駆動部に落下することを防止するための藁屑ガイド板(図示省略)が取り付けられている。
支持フレーム19の前端部は、図3,5に示すように、ブラケット19Bにボルト等によって取付けられたプレート19Aに取付けられ、ブラケット19Bは、左側の懸架台35に設けられたフィードチェン回動軸35Bの上下端部に回転自在に取付けられている。なお、フィードチェン回動軸35Bを中心としてフィードチェン12Bの回動時に、フィードチェン12Bの先端部の機体内側への入り込みを低減するために、フィードチェン回動軸35Bをフィードチェン12Bを巻回する前側の張設輪17Bの後側近傍に立設されている。
支持フレーム19は、フィードチェン用油圧式無段変速装置10等との干渉を防止するために、側面視において、前端部からフィードチェン用油圧式無段変速装置10の入力軸10Aとギヤボックス68の出力軸68Bの間を後方に向かって延在した後、第1変速モータ10Cの前方で略90度湾曲して上方に向かって延在する。そして、カウンタ軸71の前方を上方に向かって延在した後、ガイド18Dの下側から下側チェンレール18Bの下側に沿って後上がり傾斜して、略下側チェンレール18Bの前後方向の中央部に至っている。
これによって、フィードチェン12B、フィードチェン用油圧式無段変速装置10等の保守・点検を行なう場合には、支持フレーム19をフィードチェン回動軸35Bを中心にして回動させて、フィードチェン12Bの後部を脱穀装置3の本体から離間させることにより容易に行なうことができる。なお、フィードチェン用油圧式無段変速装置10の保守・点検を容易に行なうために、フィードチェン回動軸35Bをフィードチェン用油圧式無段変速装置10の前部よりも前側に立設されている。
側面視において、前側の張設輪17Bは、図3に示すように、刈取装置4にエンジン62の回転を伝動する横軸伝動筒36の前方近傍に設けられ、後側の張設輪17Bは穂先搬送装置34Aの前端部の後方近傍に設けられている。駆動スプロケット17Aは、前後方向にあっては前後側の張設輪17B,17Bの間であって前側の張設輪17B側に偏倚して配置されており、横軸伝動筒36とフィードチェン12Bにエンジン62の回転を伝動するカウンタ軸71の略中央に位置する。また、上下方向にあってはカウンタ軸71と下側チェンレール18B等を支持する後方に向かって延在する支持フレーム19の略中央に位置する。また、前側の張設輪17Bと駆動スプロケット17Aの間には、後述する駆動軸68Dに基部が支持されたテンションスプロケット17Cに設けられている。
これにより、フィードチェン12Bは、駆動スプロケット17Aから上方に向かって移動した後、テンションスプロケット17Cに沿って移動して前側の張設輪17Bに至り、前側の張設輪17Bから上側チェンレール18Aの上側を後側の張設輪17Bに向かって移動する。その後、フィードチェン12Bは、後側の張設輪17Bから前方の下側チェンレール18Bに向かって移動した後、下側チェンレール18Bの後端から下側チェンレール18Bの上側を前側のガイド18Dに移動した後、ガイド18Dに沿って移動して駆動スプロケット17Aに至っている。
エンジン62の回転は、図6に示すように、カウンタ軸71を介してフィードチェン用油圧式無段変速装置10に伝動され、キヤボックス68で増減速された後に、脱穀部搬送装置12の駆動スプロケット17Aと接続される出力軸68Bに伝動される。
カウンタ軸71の両側部は、脱穀装置3の前壁50Aの上下方向の中央部に前方に向かって立設した一対の支持部材80に軸支されている。エンジン62の回転は、カウンタ軸71の右端部に支持されたプーリ71Aを介してカウンタ軸71に伝動される。
カウンタ軸71に伝動された回転は、プーリ71Aの左側に支持されたプーリ71C、ベルト92を介して扱胴55に伝動されると共に、カウンタ軸71の左端部に支持されたプーリ71Eの右側に支持されたプーリ71D、ベルト93等を介してフィードチェン用油圧式無段変速装置10の入力軸10Aに伝動される。フィードチェン用油圧式無段変速装置10の入力軸10Aに伝動された回転は、図8に示すように、出力軸10Bを介してギヤボックス68に伝動されて、ギヤボックス68のギヤによって増減速されて出力軸68Bに伝動される。出力軸68Bに伝動された回転は、カップリング68Cを介してフィードチェン12Aの駆動スプロケット17Aに伝動される。なお、駆動スプロケット17Aは駆動軸68Dに回転自在に支持されている。
駆動軸68Dは、支持フレーム19の右側に取付けられたプレート19Cに支持され、支持フレーム19をフィードチェン回動軸35Bに対して回動させた場合、カップリング68Cによる出力軸68Bと駆動スプロケット17Aの連結が解除され、エンジン62の回転は駆動スプロケット17Aに伝動されずフィードチェン12B、ガイド18D等の交換を安全に行なうことができる。なお、出力軸68Bと駆動軸68Dを連結するカップリング68Cに替えて、対向する出力軸68Bと駆動軸68Dの端部にかみ合いクラッチ、爪クラッチを設けることもできる。
ギヤボックス68は、図7に示すように、脱穀装置3の前壁50Aの上下方向の下側に偏倚した部位に前方に向かって立設した後側プレート11Bの右側面に取付けられている。また、脱穀装置3の前側の空間を有効に活用するために、キヤボックス68の左側面には、フィードチェン用油圧式無段変速装置10が取り付けれ、さらに、フィードチェン用油圧式無段変速装置10の後側には、フィードチェン用油圧式無段変速装置10のトラニオン軸10Fを回転させる第1変速モータ10Cが取付けられている。
また、図20に示すように、フィードチェン用油圧式無段変速装置10の後側に、フィードチェン用油圧式無段変速装置10のトラニオン軸10Fを回転させる第1変速モータ10Cと、第1変速モータ10Cよりも出力等が大きくトラニオン軸10Fを高速で回転させる第2変速モータ10Fが並設して取付けることもできる。
トラニオン軸10Fに基端部が支持されている扇形ギヤ10Gの先端部に、機体フレーム1に取付けられた第1変速モータ10Cのギヤ10cと、第2変速モータ10Fのギヤ10eが係合している。後述する制御装置85によって、通常の刈取りモード時には第1変速モータ10Cを駆動させトラニオン軸10Fを回転させ、手扱ぎモード時には第2変速モータ10Fを駆動させトラニオン軸10Fを回転させる。なお、刈取りモード時には
第2変速モータ10Fは自由回転し、手扱ぎモード時には第1変速モータ10Cが自由回転する。
フィードチェン用油圧式無段変速装置10、キヤボックス68を機体フレーム1に取付けることもでき、キヤボックス68に第1変速モータ10C、第2変速モータ10Fを取付けることもでき、入力軸10Aを備えるポンプ部と出力軸10Bを備えるモータ部が一体構造とされたフィードチェン用油圧式無段変速装置10に替えてポンプ部とモータ部が分割構造とされたフィードチェン用油圧式無段変速装置を使用することもできる。
また、第1変速モータ10Cは、刈取装置4の駆動速度に連動してフィードチェン用油圧式無段変速装置10を変速する。具体的には、走行用油圧式無段変速装置66から出力され、刈取装置4へ伝達される回転の速度を検出し、この回転速度に応じて第1変速モータ10Cを作動させるのが好適である。
後側プレート11Bの前端部と、左右の懸架台35,35の連結フレーム35Eに備えられた前側プレート11Aの後端部は、振動を低減するために、緩挿されたピンによって接続されている。なお、後側プレート11Bの後部は、カウンタ軸71側のブラケットとボルト等の締結手段により連結されている。また、横伝動軸36Aの下側には、刈取後フレーム28の上下方向の回転位置を検知する刈取位置センサ36Sが設けられている。
右側のベース35Aの左側には、図6に示すように、油圧系路を短くするために、フィードチェン用油圧式無段変速装置10、走行用油圧式無段変速装置66等の油圧系路の開閉を制御するコントロールバルブ9Aが設けられ、コントロールバルブ9Aの右側には、フィードチェン用油圧式無段変速装置10、走行用油圧式無段変速装置66等に油を供給するオイルタンク9Bが設けられている。
脱穀装置3の前方下側の空間を有効活用し、フィードチェン12の回動時にフィードチェン12B、ベルト93等の干渉を防止するために、フィードチェン用油圧式無段変速装置10の入力軸10Aと出力軸10B及びギヤボックス68の出力軸68Bが上下に垂直になるように設けられている。
油圧の圧力損失を防止するために、フィードチェン用油圧式無段変速装置10のポンプ部の入力軸10を出力軸10Bよりも下側に設け、フィードチェン用油圧式無段変速装置10とコントロールバルブ9Aと油圧経路を短くしている。
フィードチェン12Bの巻回を容易にするために、ギヤボックス68の出力軸68Bをフィードチェン用油圧式無段変速装置10の出力軸10Bよりも上側に設け、フィードチェン12Bの長さを短くしている。
<ナローガイド>
コンバインの左側である未刈取側には側部に沿って、図2に示すように、コンバインの外側に張り出す張出姿勢と、内側に収納される収納姿勢に切替え可能なナローガイド20が設けられている。
ナローガイド20は、間接状態に連結された前側部20Aと後側部20Bからなり、前側部20Aの前端部は、最左側の分草体31の後側の分草フレームの前端部に回動自在に枢支され、後側部20Bの後端部は、機体フレーム1の左側の側部に設けた支持部材によって前後方向に移動自在に支持されている。また、ナローガイド20は、リンク構造を備える切替手段(図示省略)によって張出姿勢と収納姿勢に切替えられる。
なお、モードスイッチ6Bが接続されて通常の刈取りモードから手扱ぎモード時には、手扱ぎ作業を行なう補助作業者とナローガイド20の接触を防止するために、ナローガイド20は収納姿勢に維持される。
<伝動機構>
次に、本実施形態の伝動機構について説明する。エンジン62の回転は、図9に示すように、フィードチェン用油圧式無段変速装置10に伝動される第1経路Aと、走行用油圧式無段変速装置66に伝動される第2経路Bと、グレンタンク5の前方のギヤボックス39に伝動される第3経路Cに分岐して伝動される。
フィードチェン用油圧式無段変速装置10に伝動される第1経路Aでは、エンジン62の回転は、クランク軸70に支持されたプーリ70Aと、ベルト90と、カウンタ軸71に支持されたプーリ71Aを介してカウンタ軸71に伝動される。なお、第1経路Aには、ベルト90よりも伝動下流側への伝動を接続及び遮断する脱穀クラッチ90Aが設けられている。
カウンタ軸71の回転は、プーリ71Bと、ベルト91等を介して二番処理胴56と排塵処理胴57に伝動され、プーリ71Cと、ベルト92等を介して扱胴55と排藁搬送装置58に伝動される。また、カウンタ軸71の回転は、プーリ71Dと、ベルト93と、フィードチェン用油圧式無段変速装置10の入力軸10Aに支持されたプーリ10Dを介して入力軸10Aに伝動される。さらに、カウンタ軸71の回転は、プーリ71Dの左側に支持されたプーリ71E、ベルト94を介して、第一唐箕53A、一番移送螺旋53b、第二唐箕53C、二番移送螺旋53d、排塵ファン48、揺動選別装置52、排藁カッタ59に伝動される。
入力軸10Aの回転は、出力軸10Bを介してギヤボックス68に伝動され、ギヤボックス68に内装された複数のギヤ68Aによって増減速された後に、ギヤボックス68に軸支された出力軸68Bに伝動される。
なお、ギヤボックス68には、フィードチェン用油圧式無段変速装置10の出力軸10Bに備えるギヤ68Aの回転速度を測定するフィードチェン速度センサ10Sが設けられている。
出力軸68Bの回転は、カップリング68Cを介して駆動軸68Dに伝動され、駆動軸68Dの左端に軸支された駆動スプロケット17Aを介してフィードチェン12Bに伝動される。なお、フィードチェン12Bを左側の懸架台35に立設されたフィードチェン回動軸35Bを中心として容易に回動するために、図5に示すように、フィードチェン12Bの中心よりも機体内側にフィードチェン回動軸35Bの中心を設け、フィードチェン回動軸35Bを上下方向に垂直に延設し、図6に示すように、出力軸68Bの左端は、カウンタ軸71の左端よりも左側に延設し、駆動スプロケット17Aもプーリ71Eよりも左側に支持されている。
操縦席6の左側には、走行用油圧式無段変速装置66を遠隔操作する主変速レバー16が設けられ、主変速レバー16の後側には植立穀桿の倒伏状態に応じてトランスミッション65内の伝動機構に備えた有段式の副変速装置を切換操作する副変速レバー15が設けられている。主変速レバー16には、フィードチェン用油圧式無段変速装置10を遠隔操作する増速スイッチ16Aと、減速スイッチ16Bが設けられている。増速スイッチ16Aを約2秒以上長押しすると、フィードチェン用油圧式無段変速装置10の出力軸10Bの回転を最高回転速度に変更することができ、増速スイッチ16Aを約1秒短押しすると、出力軸10Bの回転を段階的に高速にすることができる。同様に、減速スイッチ16Bを約2秒以上長押しすると、フィードチェン用油圧式無段変速装置10の出力軸10Bの回転を最低回転速度に変更することができ、減速スイッチ16Bを約1秒短押しすると、出力軸10Bの回転を段階的に低速にすることができる。上記増速スイッチ16Aおよび減速スイッチ16Bを、変速スイッチSと総称する。また、主変速レバー16の下部には、主変速レバー16の変移位置を測定する主変速レバー位置センサ16S設けられ、副変速レバー15の下部には、副変速レバー15の変移位置を測定する副変速レバー位置センサ15S設けられている。
走行用油圧式無段変速装置66に伝動される第2経路Bでは、エンジン62の回転は、クランク軸70に支持されたプーリ70Bと、ベルト96と、走行用油圧式無段変速装置66の入力軸に支持されたプーリ66Bを介してこの走行用油圧式無段変速装置66に入力される。
走行用油圧式無段変速装置66の入力軸の回転は、走行用油圧式無段変速装置66の出力軸を介してトランスミッション65に伝動され、トランスミッション65に内装された複数のギヤによって増減速された後に、トランスミッション65に軸支された左右の車軸65Aおよびこの車軸65Aの先端部に固定した駆動輪65Bを介して走行装置2に伝動される。また、走行用油圧式無段変速装置66の出力軸の回転は、トランスミッション65内の伝動経路における上記副変速装置よりも上手側の部位から出力する出力軸65Cから、この出力軸65Cの先端部に取り付けた出力プーリ65Dと伝動ベルト65Eを介して横伝動軸36Aの右端に支持されたプーリ36Bに伝動される。上記伝動ベルト65Eにはテンションローラを付勢する構成として、刈取クラッチ65Fを構成する。
すなわち、走行用油圧式無段変速装置66の入力軸に伝動されたエンジン62の回転を走行用油圧式無段変速装置66で増減速した後に分岐して、一方をトランスミッション65に軸支された左右の車軸65Aを介して走行装置2のクローラに伝動し、他方を横伝動軸36Aを介して刈取装置4の引起装置32、搬送装置34等に伝動しているので、走行装置2の走行速度Vと、刈取装置4の引起装置32の引起し速度及び搬送装置34の搬送速度VHは一定の関係を持って決定される。例えば、走行装置2の走行速度Vを高速にした場合には刈取装置4の引起装置32の引起し速度及び搬送装置34の搬送速度VHも高速となり、走行装置2の走行速度Vを低速にした場合には刈取装置4の引起装置32の引起し速度及び搬送装置34の搬送速度VHも低速となる。なお、車軸65A、横伝動軸36Aには、回転速度を測定する走行速度センサ66S、搬送速度センサ34Sがそれぞれ設けられている。
また、トランスミッション65内の伝動経路において、副変速装置よりも下手側の部位に設けたセンターギヤ65Gの左右両側部には、左右のサイドクラッチギヤ65Hを係合および離脱自在に軸支している。このセンターギヤ65Gと左右のサイドクラッチギヤ65Hの間には、爪クラッチ式の左右のサイドクラッチ65Iをそれぞれ形成している。この左右のサイドクラッチ65Iには、左右の車軸65Aの基部に取り付けた左右の車軸ギヤを噛み合わせている。
上記の左右のサイドクラッチ65Iは、操縦席6の前方に配置した操向レバーの左右傾動操作によって作動するシフタ(図示省略)によってサイドクラッチギヤ65Hを左右方向に摺動して、センターギヤ65Gから離脱させることで伝動遮断状態となる。
また、左右のサイドクラッチ65Iは、操縦席6の前下方のステップ上に配置した掻込ペダル22の踏込み操作に連動しており、掻込ペダル22が踏み込まれた場合には、左右のサイドクラッチ65Iを介してセンターギヤ65Gとサイドクラッチギヤ65Hが離脱してエンジン62の回転は車軸65Aに伝動されない。一方、掻込ペダル22の踏み込みが解除された場合には、左右のサイドクラッチ65Iを介してセンターギヤ65Gとサイドクラッチギヤ65Hが係合してエンジン62の回転が車軸65Aに伝動される。
圃場の一辺を畦際まで刈り進んだ場合には、主変速レバー16を中立位置へ操作して停車し、掻込ペダル22を踏み込んでサイドクラッチ65Iを介してセンターギヤ65Gとサイドクラッチギヤ65Hの係合を解除して車軸65Aの回転を停止する。
コンバインを停止させた状態で、主変速レバー16を再度前進側へ操作すると、走行用油圧式無段変速装置66の出力によって出力軸65Cが駆動し、刈取クラッチ65Fを介して刈取装置4が駆動される。この際、左右のサイドクラッチ65Iが遮断されているために、走行装置2は前進駆動されず、停車状態を維持する。この構成によって、畦際まで刈り進んで停車した状態で、刈取装置4に入ったままの植立穀稈を、掻込ペダル22と主変速レバー16の操作によって刈り取ることができる。
なお、掻込ペダル22の踏込み操作に刈取クラッチ65Fを連動させることもできる。
すなわち、掻込ペダル22が踏込み込まれた場合には、刈取クラッチ65Fを介してトランスミッション65の出力軸65Cと刈取装置4の横伝動軸36Aが接続されて刈取装置4が駆動する。一方、掻込ペダル22の踏込みが解除された場合には、刈取クラッチ65Fを介してトランスミッション65の出力軸65Cと刈取装置4の横伝動軸36Aの接続を解除して刈取装置4の駆動を停止する。
圃場の一辺を畦際まで刈り進んだ場合には、主変速レバー16を中立位置へ操作して車体を停車させる。コンバインを停止させた状態で、掻込ペダル22が踏込み込むと刈取装置4が駆動する。この際、主変速レバー16が中立位置に移動しているために、走行装置2は前進駆動されず、停車状態を維持する。
グレンタンク5の排出螺旋39Aに伝動される第3経路Cでは、エンジン62の回転は、クランク軸70に支持されたプーリ70Cと、ベルト97、ギヤボックス39等を介して、グレンタンク5の下部に設けられた排出螺旋39Aに伝動される。また、排出螺旋39Aの回転は、グレンタンク5の後方に設けられた排出筒7に内装されたオーガー螺旋39Bに伝動される。なお、第3経路Cには、ベルト97よりも伝動下流側への伝動を接続及び遮断する排出クラッチ97Aが設けられている。
<フィードチェンの駆動・停止方法>
次に、本実施形態のフィードチェン12Bの駆動・停止方法について説明する。操縦席6に設けられた制御装置85の入力側には、図10に示すように、走行装置2の速度Vを検出するする走行速度センサ66Sと、刈取装置4の搬送装置34の速度VHを検出するする搬送速度センサ34Sと、脱穀部搬送装置12のフィードチェン12Bの速度VFを検出するするフィードチェン速度センサ10Sと、副変速レバー15のレバー位置を検出する副変速レバー位置センサ15Sと、主変速レバー16に設けられたフィードチェン12Bの速度VFの増減速を行なう増減速スイッチ16A,16Bと、扱胴カバー50Dの側面に設けられているフィードチェン12Bの速度VFの増減を行なう調速ダイヤル6Aと、手扱モードへの切り換えを行なうモードスイッチ6Bと、フィードチェン12Bを後側から前側に向かって逆回転させる逆転スイッチ6Cと、フィードチェン12B上の搬送される穀桿の有無を検知する穀桿センサ34Cと、扱胴カバー50Dの側面に設けられているフィードチェン12Bの駆動を緊急停止する停止スイッチ6Dが所定の入力インターフェース回路を介して接続されている。一方、出力側には、通常の刈取りモード時にフィードチェン用油圧式無段変速装置10のトラニオン軸10Fを駆動する第1変速モータ10Cと、手扱ぎモード時にフィードチェン用油圧式無段変速装置10のトラニオン軸10Fを駆動する第2変速モータ10Eが所定の出力インターフェース回路を介して接続されている。
なお、モードスイッチ6Bは、作業者が手動で操作するスイッチに限定されるものではない。すなわち、刈取装置4の搬送装置34の終端部からフィードチェン12Bの始端部に引継がれる穀桿の姿勢の乱れを防止するために、搬送装置34の終端部には、上下方向に回動する手扱ぎ規制部材40と、手扱ぎ規制部材40の下側に後側補助挟扼杆43が設けられている。手扱モードへの切り換え時には、手扱ぎ穀桿を後側補助挟扼杆43及びフィードチェン12B上に上載するために、手扱ぎ規制部材40を軸44Aを中心として上側に回動させることで、規制状態から非規制状態へ切替える。手扱ぎ規制部材40を回動させる操作に連動して、ON/OFFするモードスイッチ46を設け、モードスイッチ46をモードスイッチ6Bとして利用することもできる。
(フィードチェンの第1駆動方法)
図11には、フィードチェン12Bの速度VFの第1駆動方法が図示されている。横軸は走行速度センサ66Sで検出された走行装置2の走行速度Vを示し、V1,2は走行速度Vの第1,2設定値である。左側の縦軸はフィードチェン速度センサ10Sで検出されたフィードチェン12Bの速度VFを示し、VF1,2はフィードチェン12Bの速度VFの第1,2設定値であり、右側の縦軸は搬送速度センサ34Sで検出された搬送装置34の速度VHを示し、VH1,2は搬送速度VHの第1,2設定値であり、VH1,2は走行装置2の走行速度Vが第1,2設定値V1,2時の速度に対応する。
また、実線はフィードチェン12Bの速度VFを示し、破線は搬送装置34の速度VHを示している。
先ず、制御装置85は、モードスイッチ6Bの入力があったか否か判断し、モードスイッチ6Bの入力が無いと判断された場合には、制御装置85は、搬送装置34の速度VH(搬送速度センサ34Sからの入力値)が第1設定値VH1よりも低速か否か判断する。
搬送装置34の速度VHが第1設定値VH1よりも低速と判断された場合には、第1状態に示すように、フィードチェン12Bの速度VFを下式1で演算される速度に制御する。なお、副変速レバー15により設定される変速段位により、走行装置2の走行速度Vに対する搬送装置34の搬送速度VHは変化する。
式1 VF=K×V
但し K=VH1/V1
一方、搬送装置34の速度VHが第1設定値VF1よりも等速以上と判断された場合には、第2状態に示すように、フィードチェン12Bの速度VFを下式2で演算される速度に制御する。
式2 VF=VF1+1.5〜2.5×K×(V―V1)
但し K=(VH2―VH1)/(V2―V1)
次に、制御装置85は、フィードチェン12Bの速度VF(フィードチェン速度センサ10Sの入力値)が搬送装置34の第2設定値VH2よりも低速か否か判断する。
フィードチェン12Bの速度VFが搬送装置34の第2設定値VH2よりも低速と判断された場合には、第2状態に示すように、フィードチェン12Bの速度VFを式2で演算される速度に制御する。
一方、フィードチェン12Bの速度VFが搬送装置34の第2設定値VH2と等速以上と判断された場合には、第3状態に示すように、フィードチェン12Bの速度VFを第2設定値VF2に維持する。
なお、走行速度センサ66Sで検出された走行装置2の走行速度Vが所定時間に亘って最大速度V2を超える場合には、操縦席6の前面に配置されたモニター等によって操縦者に警告を行なのが好適である。
(フィードチェンの第2駆動方法)
図12には、フィードチェン12Bの速度VFの第2駆動方法が図示されている。実線はフィードチェン12Bの速度VFを示し、破線は搬送装置34の速度VHを示し、第1駆動方法と同一部材には同一符号を付して重複した記載を省略する。
先ず、制御装置85は、モードスイッチ6Bの入力があったか否か判断し、モードスイッチ6Bの入力が無いと判断された場合には、前述した第1〜3状態のフィードチェン12Bの速度VFを維持する。
一方、モードスイッチ6Bの入力があったと判断された場合、フィードチェン12Bの速度VFを下式3で演算される速度に制御する。なお、フィードチェン12Bの速度VFは調速ダイヤル6Aによって10〜20%の範囲で増減速することができ、手扱ぎ作業によって穀桿をフィードチェン12Bに上載せた場合には、調速ダイヤル6Aを操作してフィードチェン12BVFを増速するのが好適である。
式3 VF=0.25〜0.5×VH1
(フィードチェンの第1停止方法)
図13には、第1駆動方法によって駆動されているフィードチェン12Bの第1停止方法が図示されている。
図13の上側から第1段には停止スイッチ6Dの操作状況が図示され、第2段にはフィードチェン12Bに伝動される回転速度の増減速を行なうフィードチェン用油圧式無段変速装置10のトラニオン軸10Fの位置状況が図示され、第3段にはフィードチェン12Bの速度VFが図示されている。また、図13の第4段にはエンジン62の駆動状況が図示され、最下段には走行装置2と連動して駆動する刈取装置3に設けられた搬送装置34の速度VHが図示されている。
先ず、制御装置85は、停止スイッチ6Dの入力があったか否か判断し、停止スイッチ6Dの入力が無いと判断された場合は、第1駆動方法によってフィードチェン12Bを駆動する。
一方、停止スイッチ6Dの入力があったと判断された場合、フィードチェン用油圧式無段変速装置10のトラニオン軸10Fに接続された第1変速モータ10Cを駆動して、トラニオン軸10Fの回転位置が中立位置となるように回転させて、フィードチェン用油圧式無段変速装置10の出力軸10Bの回転を停止させる。これによって、フィードチェン12Bへの駆動力が遮断され、フィードチェン12Bの回転は停止する。
また、停止スイッチ6Dの入力があったと判断された場合、エンジン62を停止させて走行用油圧式無段変速装置66に伝動される回転を遮断して、走行装置2、刈取装置4に設けられた搬送装置34の回転を停止する。
フィードチェン12Bをより速やかに停止させるために、トラニオン軸10Fを中立位置を超えて若干逆転側の位置まで回転させるのが好適である。
(フィードチェンの第2停止方法)
図14には、第2駆動方法によって駆動されているフィードチェン12Bの第2停止方法が図示されている。なお、第1停止方法と同一部材には同一符号を付して重複した記載を省略する。
先ず、制御装置85は、停止スイッチ6Dの入力があったか否か判断し、停止スイッチ6Dの入力が無いと判断された場合は、第2駆動方法によってフィードチェン12Bを駆動する。
一方、停止スイッチ6Dの入力があったと判断された場合、フィードチェン用油圧式無段変速装置10のトラニオン軸10Fに接続された第2変速モータ10Eで駆動して、トラニオン軸10Fの回転位置が中立位置となるように回転させて、フィードチェン用油圧式無段変速装置10の出力軸10Bの回転を停止させる。これによって、フィードチェン12Bへの駆動力が遮断され、フィードチェン12Bの回転は停止する。
また、停止スイッチ6Dの入力があったと判断された場合、エンジン62を停止させて走行用油圧式無段変速装置66に伝動される回転を遮断して、走行装置2、刈取装置4に設けられた搬送装置34の回転を停止する。
フィードチェン12Bを緊急停止するために、第2変速モータ10Eは、第1停止方法で使用される第1変速モータ10Cよりも減速比等を大きく設定し、第1変速モータ10Cでトラニオン軸10Fを回動させる場合と比べて、トラニオン軸10Fを高速で回転させることができる。また、フィードチェン12Bをより速やかに停止させるために、トラニオン軸10Fを中立位置を超えて若干逆転側位置となるまで回転させ、回転センサ68Gによって出力軸10Bの回転が停止し、再度出力軸10Bの回転が検出された後に、または、再度出力軸10Bの回転が検出され1〜2秒経過後にトラニオン軸10Fを逆転側位置から中立位置に回転させるのが好適である。
フィードチェン12Bと挟扼杆12Cの間に詰まった穀桿等を除去するために、逆転スイッチ6Cを操作してフィードチェン12Bの回転方向を切換えることができる。この場合に、不用意なフィードチェン12Bの逆転を防止して補助作業者の安全を高めるために、逆転スイッチ6Cが操作されている場合にのみフィードチェン12Bを逆転駆動させたり、補助作業者がコンバインから離れる時間を確保するために、逆転スイッチ6Cが操作され1〜2秒経過した後にフィードチェン12Bを逆転駆動させたり、周囲の共同作業者にフィードチェン12Bの逆転状態を告知するために、フィードチェン12Bの逆転時にホーンを鳴らすのが好適である。
また、停止スイッチ6Dが操作され、フィードチェン12B、エンジン62等が停止した後に、再びエンジン62を起動するためには、モードスイッチ6Bが解除され通常の刈取りモードに切り換える必要がある。