JP5953823B2 - ガラス板、及びガラス戸 - Google Patents

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本発明は、防犯用途などガラス板の破損を検知するのに好適な、ガラス板及びガラス戸に関する。
窓ガラス、展示ケース、ドアガラスなどに用いられるガラス板では、ガラス板の破損を検知できるようにした防犯ガラスが知られている。こうした破損を検知可能としたガラス板として、ガラス基板に導電体からなる網状の導電体層を積層し、破損時の導電体層の断線や抵抗値変化を検知するものが提案されている(特許文献1)。
図14(A)及び図14(B)の平面図、並びに図14(C)の断面図は、透明なガラス基板31の一方の表面に、格子状の網目パターン32Pから成る導電体層32が積層されたガラス板30を、その四方外周部を額縁状の框(かまち)33によって固定したガラス戸40を例示したものである。導電体層32のガラス基板31への積層は、同図の様に導電体層32をガラス基板31に直接形成して積層することもできるし、図示はしないが、間に透明接着剤層を介して導電体層32とガラス基材31とを積層したり、或いは導電体層32を事前に透明樹脂フィルムに積層して積層フィルムとしたりしてから、この積層フィルムをガラス基板31に貼り付けて積層することもできる。
特開2005−338917号公報(図2)
しかしながら、特許文献1で開示されるような格子状の周期的な網目パターン32Pを有する導電体層32を積層したガラス板30、或いはこのガラス板30を用いたガラス戸40は、図14(B)の部分拡大図で示す如く、その網目パターン32Pにより画成される開口部32Aが、図面上下方向の縦方向では繰返周期Tyで配列し、図面左右方向の横方向では繰返周期Txで配列している。このように、従来の網目パターン32Pは、開口部32Aが繰返周期Tx及びTyを持って縦横に配列するため、この網目パターン32Pを有するガラス板30あるいはガラス戸40に、縦方向や横方向などに繰返周期を持った、スダレ(簾)、網戸、鎧戸乃至はブラインド、レース編みのカーテン、目の粗い織布等の周期パターン物が重なった際に、両者の繰返周期が干渉し、モアレ(縞模様)を生じ、目障りとなる。
こうしたモアレを目立たなくするためには、導電体層32の周期的網目パターン32Pについて、周期的網目パターン32Pの周期性を有する方向と周期パターン物の周期性を有する方向とを、互いに傾斜させる、いわゆるバイアス角を調整する対策が有効であることが知られている。
しかし、こうした従来のモアレ防止対策では、モアレを最小化するバイアス角は両方の網目パターンの持つ諸パラメータ、例えば、周期的網目パターン32P繰返周期と周期パターン物の繰返周期との繰返周期比、両網目パターンの線幅比等にも依存する。この為、窓などの不特定多数の建築物に用いられることを想定した場合、レース編みカーテンなどのような使用者の好みに由来する周期パターン物のそれぞれに、モアレを目立たなくするように対応した多品種のガラス板を商品として取り揃えると、生産性の低下、製品ロスの増大、流通や在庫管理の煩雑化などによって、製品コストが高騰してしまい、事実上不可能であった。
そこで、本発明者らは、前記網目パターン32Pについて、モアレが生じない様にする為に、開口部32Aの配列を、非周期性のランダムパターンとすることを試みた。
例えば、画像表示装置分野でプラズマディスプレイパネルの画面に設置する電磁波遮蔽フィルタ用の導電体メッシュに対して提案された、国際公開第2007/114076号のパンフレットが開示するランダムメッシュパターン、或いは特開平11−121974号公報が開示するランダムメッシュパターンなど、各種ランダムメッシュパターンを試みた。
前者の公報で開示されたメッシュパターンは、よりランダム性が高いランダムパターンであり、モアレは完全に解消するが、開口部の大きさ(面積)のバラツキが大きく、透視される風景や展示物などの透視物に濃淡ムラが視認されるという新たな問題が判明した。
一方、後者の公報で開示されたメッシュパターンは、前者より周期性が高いランダムパターンであり、開口部の大きさのバラツキに起因する濃淡ムラは解消するが、モアレが残留するという問題が判明した。
このように、従来は、その開口部の周期的配列によって、網戸等の周期パターン物とのモアレが発生し、また、従来の非周期的なランダムパターンであっても、モアレ防止と濃淡ムラ防止とを、両立させることができなかった。
すなわち、本発明の課題は、ガラス板及びガラス戸について、その網目状の導電体層によって画成される開口部の周期的配列に起因するモアレ発生の防止と共に、モアレ防止の為に開口部の配置を非周期的にしたときの濃淡ムラの発生も防止し、これらモアレ防止と濃淡ムラ防止とを両立させることである。
そこで、本発明では、次の様な構成のガラス板と、ガラス戸とした。
(1)透明ガラス基板と、この透明ガラス基板に積層された網状導電体層とを、有するガラス板であって、
前記網状導電体層を前記透明ガラス基板の板面の法線方向からみたときの平面視形状が、多数の開口部を画成する網目パターンを呈し、
この網目パターンが、二つの分岐点の間を延びて前記開口部を画成する多数の境界線分から形成され、
(a)一つの分岐点から延びる境界線分の数の平均値Nが、3.0≦N<4.0である。
(b)前記開口部の形状が、四角形、五角形、六角形、七角形、八角形及び九角形を含んでなり、前記網目パターン中に含まれる開口部の数は六角形の開口部が最多である。
(c)前記網目パターンを構成する多角形は同一辺数の多角形の形状は一定でない。
(d)前記開口部の大きさDの分布が、前記開口部の大きさDの平均値をD AVG 、前記開口部の大きさDの標準偏差をσとすると、前記開口部の大きさDの分布を
AVG −3σ≦D≦D AVG +3σ
としたときに
3σ=0.1D AVG 〜0.5D AVG
である。
条件を満たす、ガラス板。
(2)前記網目パターンは、更に、
一つの分岐点から延びる境界線分の数の平均値Nが、3.0<N<4.0である。
(1)のガラス板。
(3)前記網目パターンは、更に、
(e)前記開口部の配置に周期性を有する方向が存在しない領域を含んでなるパターンである。
の条件を満たす、前記(1)または(2)のいずれかのガラス板。
(4)前記(1)、(2)または(3)のいずれかのガラス板と、このガラス板の外周部を固定する框とを備える、ガラス戸。
本発明によれば、ガラス板の網状導電体層が呈する網目パターンが、これによって画成される開口部の配置が非周期的配列となるため、モアレ発生を効果的に防止できると共に、開口部の大きさ(面積)の粗密による濃淡ムラ発生も防止でき、モアレ防止と濃淡ムラ防止を両立させることができる。
本発明によるガラス戸の一実施形態を説明する平面図(A)及び(B)と、断面図(C)であり、(A)は全体図、(B)は部分拡大図。 網目パターンの開口部の形状例を説明する平面図。 網目パターンの一例を示す平面図。 網目パターンで画成される開口部の配置に、周期性を有する方向が存在しないことを説明する平面図。 網目パターンを設計する方法において、母点を決定する方法を示す図。 網目パターンを設計する方法において、母点を決定する方法を示す図。 網目パターンを設計する方法において、母点を決定する方法を示す図。 決定された母点群の分散の程度を絶対座標系と相対座標系で説明する図。 決定された母点からボロノイ図を作成して網目パターンを決定する方法を示す図。 本発明による網目パターンを示す平面図。 網戸の網の網目を示す平面図。 図10Aと図10Bとを重ねた状態を示す平面図。 従来の網状の導電体層における周期的網目パターン(正方格子状)を示す平面図。 網戸の網の網目を示す平面図。 図11Aと図11Bとを重ねた状態を示す平面図。 網目パターンがガラス板の寸法の1/3以上の大きさの単位パターン領域として繰り返された一例を示す平面図。 本発明によるガラス板の2形態(透明樹脂フィルム無しと有り)を示す断面図。 従来のガラス板及びガラス戸の網状の導電体層を例示する平面図(A)及び(B)と、断面図(C)。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、図面は概念図であり、説明上の都合に応じて適宜、構成要素の縮尺関係、縦横比等は誇張されていることがある。
《ガラス板及びガラス戸》
先ず、本発明によるガラス板及びガラス戸を、図1に示す一実施形態例を参照して説明する。
図1(A)及び図1(B)の平面図、並びに図1(C)の断面図に示すガラス戸20は、ガラス板10と、このガラス板10の外周部を固定する框3とからなる。図1(C)の断面図は、図1(A)中、C−C線での断面図である。
ガラス板10は、透明ガラス基板1と、この透明ガラス基板1の一方の面上に積層された網状導電体層2とを有する。この網状導電体層2を前記透明ガラス基板1の板面の法線方向から観察したときの平面視形状が網目パターン2Pを呈する。図1では、前記板面がXY平面に平行であり、前記法線方向がZ軸方向である。網目パターン2Pは、多数の開口部Aを画成し、この開口部Aによって、網状導電体層2自体が金属などからなり不透明であっても、ガラス板10全体として透視性が確保されている。さらに、この網目パターン2Pは、本発明固有の非周期的パターンをしている。
ここで、本発明で用いる主要な用語の定義を説明しておく。
「板面」とは、透明ガラス基板1のガラス面を意味する。「板面」は、通常、透明ガラス基板1の一方の面又は他方の面であり、図1に於いては、XY平面と平行な面となる。凹凸ガラスなど「板面」が凹凸面の場合は、この凹凸面の包絡面を意味し、包絡面はXY平面と平行な面となる。
「平面視形状」とは、板面又は板面に平行な面に於ける形状のことを意味する。言い換えると、「平面視形状」とは、「板面」に立てた法線の方向から見た形状のことを意味する。図1ではZ軸方向が法線方向であった。
図1(B)で示す様に、前記網目パターン2Pは、多数の開口部Aを画成し、二つの分岐点Bの間を延びて前記開口部Aを画成する多数の境界線分Lから構成される。しかも、この網目パターン2Pは、一つの分岐点Bから延びる境界線分Lの数の平均値Nが、3.0≦N<4.0であり、しかも前記開口部Aの形状が、五角形、六角形及び七角形から選ばれた2種以上の多角形を含んでなり、且つ、該網目パターン2P中に含まれる開口部Aの数は六角形の開口部Aが最多となっている。更に本実施形態に於いては、前記開口部Aが一定の繰返周期で並べられている方向が存在しない領域を含んでなるパターンからなる。
このため、開口部Aは従来のような周期的配列ではなく、開口部Aを画成する網目パターン2Pが特定の非周期的パターンであるために、網戸やレース編みカーテン等の周期パターン物と重なった時に、その周期パターンの周期との干渉によるモアレも、配置された開口部Aの大きさのバラツキの粗密による濃淡ムラも生じず、モアレの発生と濃淡ムラの発生とを、極めて効果的に抑制することが可能となる。
以下、構成要素毎に、さらに詳述する。
〔透明ガラス基板1〕
透明ガラス基板1としては、いわゆる、ソーダガラス、石英ガラスなどのガラス板の他に、透明であれば、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、スチレン系樹脂などの樹脂からなる樹脂板でも良い。樹脂板では、湾曲面のガラス板も容易となる。透明ガラス基板1は、透明であれば、着色していてもよい。又、透明ガラス基板1の網状導電体層2の非形成面は、平滑で平坦な平面でも良いし、或いは光拡散性粗面や模様状凹凸面であっても良い。透明ガラス基板1の厚みは、用途に応じ、例えば0.5〜20mm程度である。
〔網状導電体層2〕
網状導電体層2は、平面視形状が本発明固有の網目パターン2Pを呈し、層自体は可視光に対して不透明な導電体層である。こうした網状導電体層2としては、平面視形状こそ異なるが、従来公知のものを適宜採用することができる。例えば、銅、アルミニウム、錫、ニッケルなどの導電性金属からなる金属箔や金属厚膜から、ケミカルエッチング法などによって所定の網目パターン2Pとした網状導電体層2を用いることができる。或いは、網状導電体層2は、(a)銅、銀、アルミニウム等の導電性金属粒子と樹脂バインダを含む導電性組成物(導電ペーストとも言う)の印刷法、(b)パラジウムなどのめっき触媒を含む触媒インキの印刷後、印刷部分に導電性金属めっきを施すめっき法、(c)導電ペーストの印刷後に、さらに印刷部分に導電性金属めっきを施す、印刷法とめっき法とを組み合わせた方法、などによって形成したものでよい。
めっき法と組み合わせる場合も含めて前記印刷法では、本出願人による特許第4436441号公報に開示された所謂「引抜プライマ方式凹版印刷法」を利用すると、高精細にできる点で好ましい。
網状導電体層2は、線幅は例えば10〜100μm程度、厚みは例えば2〜40μm程度である。網状導電体層2が形成された領域の面積に対する、開口部Aの面積割合である開口面積率は、透視性と導電性との兼ね合いから、例えば50〜95%程度である。又、同じ理由から、開口部Aの大きさDの平均値は50〜5000μm程度である。尚、開口部Aの大きさDは後述の如き定義とする。
[網目パターンとこれにより画成される開口部]
網目パターン2Pは、網状導電体層2を、板面の法線方向(図1でZ軸方向)から観察した場合における、網状導電体層2の平面視形状である。以下、この網目パターン2Pについて、図3および図9を主として参照しながら説明する。
網目パターン2Pは、図3に示す如く、二つの分岐点Bの間を延びて開口部Aを画成する多数の境界線分Lから形成され、少なくとも以下の3条件を満たす。
(a)一つの分岐点Bから延びる境界線分Lの数の平均値Nが、3.0≦N<4.0、つまり、3.0以上で4.0未満である。
(b)前記開口部Aの形状は、各開口部Aの周囲を囲繞する境界線分Lの数が5、6、及び7である開口部Aの形状から選ばれた2種以上の形状を含んでなり、且つ、前記網目パターン2P中に含まれる開口部Aは、各開口部Aの周囲を囲繞する境界線分Lの数が6である開口部Aが最多となっている。
尚、ここで周囲を囲繞する境界線分Lの数とは、開口部Aが多角形である場合は、その多角形の角数(或いは辺数)と一致する。即ち、各開口部Aを構成する境界線分Lが全て直線のみからなる場合は、上記条件(b)は、前記開口部Aの形状は、五角形、六角形及び七角形から選ばれた2種以上の多角形を含んでなることを意味する。また、境界線分Lの数が6である開口部Aは、六角形となる。
ここで、図2は、多角形の形状例を示し、図2(A)は五角形、図2(B)は六角形、図2(C)は七角形の形状例を示す。
ちなみに、後述する図10Aの形態で使用した網目パターン2Pについて、合計4631個の開口部A(多角形)について計測したところ、
3角形 0個
4角形 79個
5角形 1141個
6角形 2382個
7角形 927個
8角形 94個
9角形 8個
10角形以上 0個
であり、六角形の開口部Aの数が最多であった。
(c)周囲を囲繞する境界線分Lの数が同一の開口部Aの形状は一定でないパターンとなっている。即ち、網目パターン2Pを構成する開口部Aはすべて同一形状では無く、少なくとも一部は他と異なる形状のものを含む。各開口部Aを構成する境界線分Lが全て直線のみからなる場合は、この条件は、網目パターン2Pを構成する多角形は同一の辺数の多角形の形状は一定でないことを意味する。
尚、特に本実施形態に於いては、以上に加えて更に、
(e)網目パターン2Pは、開口部Aの配置に周期性を有する方向が存在しないパターンとなっている。
の条件も満たす。
尚、開口部Aの配置に周期性を有する方向が存在しないことを、開口部Aが繰返周期を持つ方向が存在しない配列、とも言う。
図3および図9に示すように、網目パターン2Pのライン部Ltは、多数の分岐点Bを含んでいる。網目パターン2Pのライン部Ltは、両端において分岐点Bを形成する多数の境界線分Lから構成されている。すなわち、網目パターン2Pのライン部Ltは、二つの分岐点Bの間を延びる多数の境界線分Lから構成されている。そして、分岐点Bにおいて、境界線分Lが接続されていくことにより、開口部Aが画成されている。言葉を換えて言うと、境界線分Lで囲繞され、区画されて1つの閉領域としての開口部Aが画成されている。
なお、図3および図9に示すように、ライン部Ltが境界線分Lのみから構成されているため、開口部Aの内部に延び入って行き止まりとなるライン部Ltは存在しない。このような態様によれば、網状導電体層2に十分な低抵抗と高い透視性とを同時に付与することを効果的に実現することできる。
網目パターン2Pは、開口部Aの配置に周期性を有する方向が存在しない領域を含んでなるパターンとなって、モアレの発生を防止する効果が充分に発現される為には、その全領域が、周囲を囲繞する境界線分Lの数が同一の開口部Aの形状は一定でないようにすることが好ましい。好ましくは、周囲を囲繞する境界線分Lの数が同一の開口部Aの50%以上が互いにその面積及び形状が異なるようにする。より好ましくは、周囲を囲繞する境界線分Lの数が同一の開口部Aを網目パターン2Pの全域に亙って、全て互いにその面積及び形状が異なるようにする。これは、言い換えると、網目パターン2Pに含まれる開口部Aのうち、周囲を囲繞する境界線分数が同一となる開口部Aの形状及び面積がすべて同一ではなく、少なくとも一部は他と異なるものになると言うことを意味する。
なお、以上に於いて、2つの開口部A同士が互いに合同な図形であって且つその向きが異なる場合も、その2つの開口部Aの形状は互いに異なると見做す。
モアレを確実に解消する為には、網目パターン2Pの全領域がこのような領域のみから構成されていることが好ましい。本実施形態はこの様な構成からなる。本件発明者らは、鋭意研究を重ねた結果として、単に網目パターン2Pのパターンを不規則化するのではなく、網目パターン2Pの開口部Aが、開口部Aの配置に周期性を有する方向が存在せず、また周囲を囲繞する境界線分Lの数が同一の開口部Aの面積及び形状は一定でないように網目パターン2Pのパターンを画成することにより、網目状の導電体層32が周期的パターンである構成の従来のガラス板30と、周期的パターンを有する網戸やレース編みカーテン等の周期パターン物とを重ねた際に生じ得るモアレを、極めて効果的に目立たなくさせることが出来ると判明した。
[繰返周期の不存在]
図4は、網目パターン2Pで画成される多数の開口部Aが、周囲を囲繞する境界線分Lの数が同一の開口部Aの面積及び形状は一定でない。そして、開口部Aが、一定の周期で配置されている領域が存在せず、繰返周期が存在しない、言い換えると、開口部Aの配置に周期性を有する方向が存在しない、ことを説明するXY平面に平行な板面に於ける平面図である。この板面の面内において、同図では、任意の位置で任意の方向を向く一本の仮想的な直線diが選ばれている。
この一本の直線diが、ライン部Ltの境界線分Lと交差し交差点が形成される。この交差点を、図面では図面左下から順に、交差点c1,c2,c3,・・・・・,c9として図示してある。隣接する交差点、例えば、交差点c1と交差点c2との距離が、前記或る一つの開口部Aの直線di上での寸法t1である。次に、寸法t1の開口部Aに対して直線di上で隣接する別の開口部Aについても、同様に、直線di上での寸法t2が定まる。そして、任意位置で任意方向の直線diについて、直線diと交差する境界線分Lとから、任意位置で任意方向の直線diと遭遇する多数の開口部Aについて、該直線di上における寸法として、t1,t2,t3,・・・・・・,t8が定まる。そして、t1,t2,t3,・・・・・・,t8の数値の並びには、周期性が存在しない。
図4では、このt1,t2,t3,・・・・・・,t8は、判り易い様に図面下方に、直線diと共に網目パターン2Pとは分離して描いてある。
この直線diを図4で図示のものから任意の位置で任意の角度回転させて別の方向について各開口部Aの寸法t1,t2,・・を求めると、やはり図4の場合と同様、直線di方向に対して繰返し周期性は見られない。
すなわち、このt1,t2,t3,・・・・・・,t8の数値の並びの様に、境界線分Lで画成された開口部Aには繰返周期を持つ方向が存在しない。
言い換えると、開口部Aの配置において、任意位置を通る任意方向の仮想的線分di上での開口部Aの寸法tiの並びの数列が非周期関数となる。すなわち、t(i)=t(i+M)となるMが存在しない(i,Mはそれぞれ独立な正の整数)。
このように、開口部Aの配置に周期性を有する方向が存在しないことを、開口部Aが一定の繰返周期で並べられている方向が存在しない、と表現する。
さらに、本実施形態によるガラス板10の網状導電体層2が有する網目パターン2Pでは、一つの分岐点Bから延び出す境界線分Lの数の平均値Nが3.0≦N<4.0となっている。このように一つの分岐点Bから延び出す境界線分Lの数の平均値Nが3.0≦N<4.0となっている場合、網目パターン2Pの配列パターンを、図11Aに示された正方格子パターン(N=4.0)から大きく異なるパターンとすることができる。また、一つの分岐点Bから延び出す境界線分Lの数の平均値Nが3.0<N<4.0となっている場合には、ハニカム配列(N=3.0)からも大きく異なるパターンとすることができる。そして、一つの分岐点Bから延び出す境界線分Lの数の平均値Nを3.0≦N<4.0とした上で、開口部Aの配列を不規則化して、開口部Aの配置に周期性を有する方向が安定して存在しないようにすることが可能となり、その結果、モアレを極めて効果的に目立たなくさせることが可能となることが、確認された。
なお、一つの分岐点Bから延び出す境界線分Lの数の平均値Nは、厳密には、網目パターン2P内に含まれる全ての分岐点Bについて、延び出す境界線分Lの数を調べてその平均値を算出することになる。ただし、実際的には、ライン部Ltによって画成された一つ当たりの開口部Aの大きさ等を考慮した上で、一つの分岐点Bから延び出す境界線分Lの数の全体的な傾向を反映し得ると期待される面積を持つ一区画(例えば、後述の寸法例で開口部Aが形成されている網目パターン2Pにおいては、10mm×10mmの部分)に含まれる分岐点Bについて延び出す境界線分Lの数を調べてその平均値を算出し、算出された値を当該網目パターン2Pについての一つの分岐点Bから延び出す境界線分Lの数の平均値Nとして取り扱うようにしてもよい。
実際に、図3に示された網状導電体層2の網目パターン2Pでは、一つの分岐点Bから延び出す境界線分Lの数の平均値Nが3.0<N<4.0となっている。一例を挙げると、図3の網目パターン2Pの場合、合計387個の分岐点Bについて計測したところ、境界線分Lが3本の分岐点Bが373個、境界線分Lが4本の分岐点Bが14個であり(分岐する境界線分Lの数が5個以上の分岐点は0個)、分岐点Bから出る境界線分Lの平均本数(平均分岐数)は3.04個であった。
[網戸の網との干渉によるモアレ発生状況]
図10Cには、図3及び図10Aに示された網目パターン2Pを、図10Bに示された網戸の網6と重ねた状態が示されている。図10Bで示された網戸の網6が有する網目6Pは、縦横の周期が等しい正方格子状パターンをしている。
図10Cからも理解され得るように、図3及び図10A示された網目パターン2Pを実際に作製して網戸の網6に重ね合わせた場合、視認され得る程度の縞状の模様、すなわちモアレ(干渉縞)は発生しなかった。
尚、ここで、図10Aの本実施形態(本発明)による網目パターン2Pは、線幅(太さ)100μm、開口部Aの大きさDの平均値1000μmであり、網戸の網目6Pは線幅300μm、開口部の大きさ1200μm(1辺の長さ1500μm)の正方形からなる正方格子とした。
一方、画成される開口部Aの配置が周期性を有する従来の周期的網目パターン32Pの場合のモアレ発生を例示するのが図11A〜図11Cである。
図11Aは、従来の網目状の導電体層32が呈する正方格子状の周期的網目パターン32Pであり、本発明の網目パターン2Pとは異なるものである。
図11Cには、図11Aに示された周期的網目パターン32Pを、図11Bに示された網戸の網6と重ねた状態が示されている。図11A、図11B及び図11Cからも理解され得るように、周期的網目パターン32Pを有するガラス板が網戸の網6と重ねられると、周期的網目パターン32Pと網戸の網6が呈する網目6Pの周期的パターンとの干渉によって、明暗の筋(図11Cに示された例では、左上から右下及び右上から左下に延びている明暗の筋)が視認されるようになる。
なお、図11Aおよび図11Cに示された例では、周期的網目パターン32Pにより画成される多数の開口部Aの周期性を有する方向が、網戸の網6が呈する網目6Pの周期性を有する方向に対して、5度傾斜している。この傾斜角をバイアス角(度)と呼称する。このような傾斜は、一般的に、モアレを目立たなくさせるものとして広く用いられている手法である。但し、図11Cに縞状模様が視認されることからも理解され得るように、モアレ発生の程度は単にバイアス角のみで決まる訳ではなく、この他、網目6P及び周期的網目パターン32Pの繰返周期比、周期的網目パターン32Pの線幅等の要因にも依存する。周期的網目パターン32Pのバイアス角のみでモアレを解消しようとすると、網戸の網目6Pの大小、レース編みカーテン等の、様々な周期パターン物との重なりを想定すると、それ毎にバイアス角の異なるものを用意する必要が有り現実的ではない。
[網目パターンのパターン形状の作成方法]
ここで、本発明固有の上記網目パターン2Pのパターンを作成する方法の一例を以下に説明する。
ここで説明する方法は、母点を決定する工程と、決定された母点からボロノイ図を作成する工程と、ボロノイ図における一つのボロノイ境界によって結ばれる二つのボロノイ点の間を延びる境界線分Lの経路を決定する工程と、決定された経路の太さ(線幅)を決定して各境界線分Lを画定して網目パターン2P(ライン部Lt)のパターンを決定する工程と、を有している。以下、各工程について順に説明していく。なお、上述した図3に示されたパターンは、実際に以下に説明する方法で決定されたパターンである。
まず、母点を決定する工程について説明する。最初に、図5に示すように、絶対座標系O−X−Y(この座標系O−X−Yは普通の2次元平面であるが、後述の相対座標と区別する為、頭に「絶対」を付記する)の任意の位置に一つ目の母点(以下、「第1の母点」と呼ぶ)BP1を配置する。次に、図6に示すように、第1の母点BP1から距離rだけ離れた任意の位置に第2の母点BP2を配置する。言い換えると、第1の母点BP1を中心として絶対座標系XY上に位置する半径rの円の円周(以下、「第1の円周」と呼ぶ)上の任意の位置に、第2の母点BP2を配置する。次に、図7に示すように、第1の母点BP1から距離rだけ離れ且つ第2の母点BP2から距離r以上離れた任意の位置に、第3の母点BP3を配置する。その後、第1の母点BP1から距離rだけ離れ且つその他の母点BP2,BP3から距離r以上離れた任意の位置に、第4の母点を配置する。
このようにして、次の母点を配置することができなくなるまで、第1の母点BP1から距離rだけ離れ且つその他の母点から距離r以上離れた任意の位置に母点を配置していく。その後、第2の母点BP2を基準にしてこの作業を続けていく。すなわち、第2の母点BP2から距離rだけ離れ且つその他の母点から距離r以上離れた任意の位置に、次の母点を配置する。第2の母点BP2を基準にして、次の母点を配置することができなくなるまで、第2の母点BP2から距離rだけ離れ且つその他の母点から距離r以上離れた任意の位置に母点を配置していく。その後、基準となる母点を順に変更して、同様の手順で母点を形成していく。
以上の手順で、網目パターン2Pが形成されるべき領域内に母点を配置することができなくなるまで、母点を配置していく。網目パターン2Pが形成されるべき領域内に母点を配置することができなくなった際に、母点を作製する工程が終了する。ここまでの処理により、2次元平面(XY平面)に於いて不規則的に配置された母点群が、網目パターン2Pが形成されるべき領域内に一様に分散した状態となる。
このような工程で2次元平面(XY平面)内に分布された母点群BP1、BP2、・・、BP6(図8(A)参照)について、個々の母点間の距離は一定では無く分布を有する。但し、任意の隣接する2母点間の距離Rの分布は完全なランダム分布(一様分布)でも無く、平均値RAVGを挾んで上限値RMAXと下限値RMINとの間の範囲ΔR=RMAX−RMINの中で分布している。なお、ここで、隣接する2母点であるが、母点群BP1、BP2、・・からボロノイ図を作成した後、2つのボロノイ領域XAが隣接していた場合に(図9参照)、その2つのボロノイ領域XAの母点同士が隣接していると定義する。
尚、図8(A)に於いて、これら母点群から得られるボロノイ境界(図9参照)を参考までに破線で図示してある。
即ち、ここで説明した母点群について、各母点を原点とする座標系(相対座標系o−x−yと呼称し、一方、現実の2次元平面を規定する座標系を絶対座標系O−X−Yと呼称する)上に、原点に置いた母点と隣接する全母点をプロットした図8(B)、図8(C)、・・等のグラフを全母点について求める。そして、これら全部の相対座標系上の隣接母点群のグラフを、各相対座標系の原点oを重ね合わせて表示すると、図8(D)の如きグラフが得られる。この相対座標系上での隣接母点群の分布パターンは、母点群を構成する任意の隣接する2母点間の距離が0から無限大迄の一様分布では無く、原点oからの距離がRAVG−ΔRからRAVG+ΔR迄の有限の範囲(半径RMINからRMAX迄のドーナツ形領域)内に分布していることを意味する。
以上の様にして、各母点間の距離を設定することによって、該母点群から以下に説明する方法で得られるボロノイ領域XA、更には、これから得られる開口部Aの大きさ(乃至は開口部Aの面積)の分布についても、一様分布(完全ランダム)では無く、有限の範囲内に分布したものとなる。
なお、図8(D)からわかる様に、任意の1母点BPから見た他の母点BPの方位(角度)分布は等方的(乃至は略等方的)である。このことが、これらの母点(群)BPから生成される網目パターン2Pに於ける開口部Aの方位(角度)分布が等方的(乃至は略等方的)となることに対応する。
この様に構成することにより、ガラス板10を通して見る透視物の濃淡ムラが、より一層、効果的に解消する。
濃淡ムラの防止効果と、モアレの防止効果との両立性の為には、開口部Aの大きさDの分布を、
AVG−3σ≦D≦DAVG+3σ
としたときに(但し、DAVGは大きさDの平均値、σは大きさDの分布の標準偏差)、
3σ=0.1DAVG〜0.5DAVG
とするのが好ましい。
開口部Aの大きさDは、全ての開口部Aについて、以下の定義とする。
(1)或る一つの開口部Aに属する全ての分岐点B(多角形の場合は全頂点)を通る円が描ける場合は、この開口部Aの外接円直径を以って、大きさDとする。
(2)或る一つの開口部Aに属する全ての分岐点B(多角形の場合は全頂点)を通る円が描けない場合は、この開口部Aに属する2分岐点B間の距離の最大値(多角形の場合は最長の対角線長)を以って、大きさDとする。
なお、以上の母点を決定する工程において、距離rの大きさを変化させることにより、一つあたりの開口部Aの大きさDを調節することができる。具体的には、距離rの大きさを小さくすることにより、一つあたりの開口部Aの大きさDを小さくすることができ、逆に距離rの大きさを大きくすることにより、一つあたりの開口部Aの大きさDを大きくすることができる。
次に、図9に示すように、配置された母点を基準にして、ボロノイ図を作成する。図9に示すように、ボロノイ図とは、隣接する2つの母点BP、BP間に垂直二等分線を引き、その各二等分線同士の交点で結ばれた線分で構成される図である。ここで、二等分線の線分をボロノイ境界XBと呼び、ボロノイ境界XBの端部をなすボロノイ境界XB同士の交点をボロノイ点XPと呼び、ボロノイ境界XBに囲まれた領域をボロノイ領域XAと呼ぶ。
図9のように作成されたボロノイ図において、各ボロノイ点XPが、網目パターン2Pの分岐点Bをなすようにする。そして、一つのボロノイ境界XBの端部をなす二つのボロノイ点XPの間に、一つの境界線分Lを設ける。この際、境界線分Lは、図3に示された例のように二つのボロノイ点XPの間を直線状に延びるように決定してもよいし、あるいは、他の境界線分Lと接触しない範囲で二つのボロノイ点XPの間を種々の経路(例えば、円(弧)、楕円(弧)、抛物線、双曲線、正弦曲線、双曲線正弦曲線、楕円函数曲線、ベッセル関数曲線等の曲線状、折れ線状等の経路)で延びるようにしてもよい。なお、境界線分Lは、図3に示された例のように二つのボロノイ点XPの間を直線状に延びるように決定した場合、各ボロノイ境界XBが、境界線分Lを画成するようになる。
各境界線分Lの経路を決定した後、各境界線分Lの線幅(太さ)を決定する。境界線分Lの線幅は、作成された網目パターン2Pで画成される多数の開口部Aの集合体としての開口面積率を勘案して、決定される。以上のようにして、網目パターン2Pのパターンを決定することができる。
以上のような本実施形態によれば、ガラス板10の網状導電体層2が有する網目パターン2Pが、二つの分岐点Bの間を延びて多数の開口部Aを画成する多数の境界線分Lから形成されており、しかも、(a)一つの分岐点Bから延びる境界線分Lの数の平均値Nが3.0≦N<4.0である。(b)前記開口部Aの形状が、五角形、六角形及び七角形から選ばれた2種以上の多角形を含んでなり、前記網目パターン2P中に含まれる開口部Aの数は六角形の開口部Aが最多である。(c)網目パターン2Pを構成する多角形は同一辺数の多角形の形状は一定でない。(d)前記開口部の大きさDの分布が、前記開口部の大きさDの平均値をD AVG 、前記開口部の大きさDの標準偏差をσとすると、前記開口部の大きさDの分布を
AVG −3σ≦D≦D AVG +3σ
としたときに
3σ=0.1D AVG 〜0.5D AVG
である。
(e)且つ、開口部Aの配置に周期性を有する方向が存在しない。と言う条件を満たすようになっている。この結果、周期的パターンを有する、網戸の網、鎧戸、スダレ、ブラインド、レース編みのカーテン、目の粗い織布等の周期パターン物と、このガラス板10乃至はこのガラス板10を用いたガラス戸20とが重なったときに、モアレが視認され得る程度に発生することを効果的に防止することができる。
〔框3〕
框3は、ガラス戸20において、ガラス板10の外周部を固定する部材である。框3としては、従来公知のガラス戸における各種框構造及び材料を適宜採用でき、特に制限はない。図1の実施形態例における框3は、ガラス板10に対して、その縦及び横の外周部の全周囲を囲繞する構造のものであった。
なお、 本発明においては、ガラス板10は、図1(A)に示したように、ガラス戸20のほぼ全面積に設けられた構造の他、ガラス戸20の一部、例えば、上半分の面に、外周部を框3で固定されたガラス板10を有する構造であっても良い。また、框3はガラス板10の外周部の全周囲でなくても良く、例えば、上下の部分のみなどでも良い。框3の位置及び構造は、ガラス板10を組み込むガラス戸20の構造による。
なお、本発明においては、ガラス戸20は、ガラス窓、ガラス扉の両方を意味する。
《変形形態》
本発明のガラス板10及びガラス戸20は、上記した形態以外に様々な形態をとり得る。以下、そのうちの一部を説明する。
〔網状導電体層2が呈する網目パターンの単位パターン領域としての繰返し〕
上述した実施形態では、ガラス板10中の網状導電体層2の全領域において、該網状導電体層2が有する網目パターン2Pによって画成される開口部Aがその配置に周期性を有する方向が存在せず、また周囲を囲繞する境界線分Lの数が同一の開口部Aの面積及び形状は一定でないようになっている例を説明した。
しかしながら、図12の様に、その内部に於いて網状導電体層2が有する網目パターン2Pの全領域が、単位パターン領域Sを複数集合して網目パターン2Pの全領域が構成されるようにして、且つ各単位パターン領域S内に於いては、複数の開口部Aが、所定の繰返周期のないパターンで配列されている領域からなるようにしてもよい。
図12に示された例では、ガラス板10が、同一の形状を有した六つの単位パターン領域Sに分割され、各単位パターン領域S内で、各網状導電体層2が有する網目パターン2Pが同一に構成されている。そして、六つの単位パターン領域Sは、図12の縦方向(図の上下方向)に繰返周期SP1で三つの領域が並ぶとともに、図12の横方向に繰返周期SP2で二つの領域が並ぶように配列されている。
すなわち、この形態に於いては、網目パターン2Pの全領域中に、局所的に見たときに、同一パターンで開口部群が配列されてなる単位パターン領域Sを2箇所以上含むようになる。この場合、特定方向について、一定周期で4箇所以上の繰返しが無ければ、単位パターン領域S同士の繋ぎ目は実質上目立ち難く、無視し得る。もちろん、単位パターン領域S中でモアレも濃淡ムラも生じていない。この例において、一つの単位パターン領域S内における網目パターン2Pのパターンは、例えば、図5〜図9を参照しながら説明したパターン作成方法と同様にして作成することができる。
特に、適用する窓や扉に合わせて大面積となるガラス板10乃至はガラス戸20に対しては、網目パターン2Pが、複数の単位パターン領域Sの配列から構成されていて、且つ各々の単位パターン領域S内に於いては互いに同一のパターンで開口部Aが配列されている構成とした複数の単位パターン領域Sを含む形態とした方が、網目パターン2Pのパターン作成を格段に容易化することが可能となる点において好ましい。
なお、特に一種類の単位パターン領域Sを図12に示す様に縦横に複数配置する例においては、特定方向(図面縦方向と横方向の2方向)で単位パターン領域Sとしての繰返しが存在する。図12の実施形態に於いては、横方向に繰返周期SP2、縦方向に繰返周期SP1を以って単位パターン領域Sが繰り返される。この条件下では、特定方向に於ける単位パターン領域Sの寸法をLsとし、該特定方向に延びる任意の仮想的な直線dj上において単位パターン領域Sが寸法Ls内に開口部AをM個有するとき、直線dj上の或る開口部Aに注目すると、直線dj上では開口部Aの個数がM個分だけ離れた位置には、全く同じ寸法tj及び形状の開口部Aが常に存在するという規則性を有する。すなわち、開口部Aの直線dj上での寸法tjについて、直線dj上で順番に数えてk番目の寸法tj(k)と、そこから更にM番目の(k+M)番目の寸法tj(k+M)とが同じとなる、tj(k)=tj(k+M)の関係が成立する(k,Mはそれぞれ独立な正の整数)。
しかし、この規則性は、単位パターン領域Sとしての繰返周期(前記で言えば寸法Lsがその繰返周期に該当する)に基づくものであり、開口部Aとしての繰返周期(周期性)ではなく、各単位パターン領域S内に於いて開口部Aがその配置に周期性を上記特定方向に持つことではない。また、単位パターン領域Sとしての繰返周期は、網戸などの周期パターン物の周期に対して寸法が例えば10倍以上異なる為に、モアレが発生する様な近い寸法関係にない。
〔両面形態〕
上述の実施形態に於いては、透明ガラス基板1の一方の面(片面)上のみに網状導電体層2を積層していたが、透明ガラス基板1の両方の面(表裏両面)に網状導電体層2を積層することも出来る。尚、上述の如く、本発明特定の網状導電体層2は他の周期パターン物と重ねてもモアレを実質上生じないものであり、勿論、こうした特定網状導電体層2同士を2層重ねた場合に於いても、モアレは発生しない。この為、本変形形態に於いては、他の周期パターン物に対しては勿論、透明ガラス板1の表裏面の網状導電体層2同士に対しても、特にバイアス角等を考慮、調整等することなく、モアレ発生を解消し得る。
〔網状導電体層2への電磁波遮蔽性の付与〕
網状導電体層2は、電磁波遮蔽性を兼ね備えたものとしてもよい。このようにして電磁波遮蔽性を備えたガラス10乃至はガラス戸20は、屋内から屋外に向かって放出される不要な電磁波、或いは、屋外から屋内に向かって侵入する不要な電磁波による電気電子機器への悪影響を解消することができる。
〔網状導電体層2へのアンテナ機能の付与〕
網状導電体層2は、各種電磁波(電波)を送受信するアンテナ(空中線)の機能を兼ね備えたものとしてもよい。アンテナ機能を兼備した網状導電体層2に、送信機乃至受信機、及び必要に応じて、各種信号処理回路、変調回路、復調回路、制御回路等の電気回路、リレー(継電器)やセンサー、電子計算機、画像表示裝置、スピーカ、マイクロフォン、ビデオカメラ、電源、配線等の各種機器乃至附帯設備を接続、組み合わせることが出来る。こうした形態により、ガラス戸の破損、盗人の進入乃至接近の撮影画像等の情報を警備会社や警察署に通報したり、家屋の他の防犯設備乃至システムを連動させて、警報音発生、要所の施錠、照明の点灯、侵入者の撮影、催涙ガスの散布、鉄条網の通電等の機能を発現させたりすることが出来る。
〔透明樹脂フィルムの積層〕
ガラス板10は、図13(A)で示す様に、網状導電体層2が透明ガラス基板1の面に直接形成された形態でも良いが、図13(B)で示す様に、網状導電体層2が透明樹脂フィルム4に形成されて積層フィルム5となり、この積層フィルム5が透明ガラス基板1に積層された形態としても良い。
透明樹脂フィルム4としては、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、スチレン系樹脂などの樹脂からなるフィルムを用いることができる。透明樹脂フィルム4の厚みは、例えば25〜300μm程度である。こうした透明樹脂フィルム4を用いることによって、透明樹脂フィルム4を可撓性の帯状フィルムの形態として、連続的に網状導電体層2が形成された積層フィルム5を効率的に生産できる。
透明樹脂フィルム4と透明ガラス基板1との積層は、透明な接着剤又は粘着剤を用いることができる。例えば、2液硬化型ウレタン樹脂からなる透明接着剤を用いる。なお、図13(B)では、透明樹脂フィルム4と透明ガラス基板1との間の透明接着剤層乃至は透明粘着剤層の図示は省略してある。
《用途》
本発明によるガラス板10乃至はガラス戸20は、各種用途に適用することができる。例えば、住宅、店舗、事務所、病院乃至は医院、等の建築物の窓、扉、間仕切、(透明な)隔壁、商品や美術品の展示ケースなどの用途である。或いは、自動車、鉄道車両等の車両の窓又は扉などの用途である。
1 透明ガラス基板
2 網状導電体層
2P 網目パターン
3 框
4 透明樹脂フィルム
5 積層フィルム
6 網戸の網
6P (網戸の網の)網目
10 ガラス板
20 ガラス戸
30 従来のガラス板
31 ガラス基板
32 網状の導電体層
32P (周期的)網目パターン
40 従来のガラス戸
A 開口部
B 分岐点
BP 母点
L 境界線分
Lt ライン部(境界線分の集合)
S 単位パターン領域

Claims (4)

  1. 透明ガラス基板と、この透明ガラス基板に積層された網状導電体層とを、有するガラス板であって、
    前記網状導電体層を前記透明ガラス基板の板面の法線方向からみたときの平面視形状が、多数の開口部を画成する網目パターンを呈し、
    この網目パターンが、二つの分岐点の間を延びて前記開口部を画成する多数の境界線分から形成され、
    (a)一つの分岐点から延びる境界線分の数の平均値Nが、3.0≦N<4.0である。
    (b)前記開口部の形状が、四角形、五角形、六角形、七角形、八角形及び九角形を含んでなり、前記網目パターン中に含まれる開口部の数は六角形の開口部が最多である。
    (c)前記網目パターンを構成する多角形は同一辺数の多角形の形状は一定でない。
    (d)前記開口部の大きさDの分布が、前記開口部の大きさDの平均値をD AVG 、前記開口部の大きさDの標準偏差をσとすると、前記開口部の大きさDの分布を
    AVG −3σ≦D≦D AVG +3σ
    としたときに
    3σ=0.1D AVG 〜0.5D AVG
    である。
    条件を満たす、ガラス板。
  2. 前記網目パターンは、更に、
    一つの分岐点から延びる境界線分の数の平均値Nが、3.0<N<4.0である。
    請求項1に記載のガラス板。
  3. 前記網目パターンは、更に、
    (e)前記開口部の配置に周期性を有する方向が存在しない領域を含んでなるパターンである、請求項1または2のいずれかに記載のガラス板。
  4. 請求項1、2または3のいずれかに記載のガラス板と、このガラス板の外周部を固定する框とを備える、ガラス戸。
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