図1は、本発明の発光ダイオード素子の一実施形態の断面図を示す。
図1において、この発光ダイオード素子20は、蛍光体層17と、蛍光体層17の上面(厚み方向一方面)に形成される光半導体層3と、光半導体層3の上面(厚み方向一方面)に形成される電極部4と、光半導体層3を封止する封止樹脂層14とを備えている。発光ダイオード素子20は、後述する図2(a)〜図4(f)の製造工程において製造された後、後述する図5(g)の製造工程が参照されるように、上下反転され(裏返され)て、ベース基板16(後述)にフリップ実装される。
図1に示すように、蛍光体層17は、シート状に形成されており、具体的には、発光ダイオード素子20の外形形状に対応するように形成されている。
蛍光体層17は、例えば、蛍光体を含有する蛍光体組成物から形成されている。
蛍光体組成物は、好ましくは、蛍光体および樹脂を含有している。
蛍光体としては、例えば、青色光を黄色光に変換することのできる黄色蛍光体が挙げられる。そのような蛍光体としては、例えば、複合金属酸化物や金属硫化物などに、例えば、セリウム(Ce)やユウロピウム(Eu)などの金属原子がドープされた蛍光体が挙げられる。
具体的には、蛍光体としては、例えば、Y3Al5O12:Ce(YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット):Ce)、(Y,Gd)3Al5O12:Ce、Tb3Al3O12:Ce、Ca3Sc2Si3O12:Ce、Lu2CaMg2(Si,Ge)3O12:Ceなどのガーネット型結晶構造を有するガーネット型蛍光体、例えば、(Sr,Ba)2SiO4:Eu、Ca3SiO4Cl2:Eu、Sr3SiO5:Eu、Li2SrSiO4:Eu、Ca3Si2O7:Euなどのシリケート蛍光体、例えば、CaAl12O19:Mn、SrAl2O4:Euなどのアルミネート蛍光体、例えば、ZnS:Cu,Al、CaS:Eu、CaGa2S4:Eu、SrGa2S4:Euなどの硫化物蛍光体、例えば、CaSi2O2N2:Eu、SrSi2O2N2:Eu、BaSi2O2N2:Eu、Ca−α−SiAlONなどの酸窒化物蛍光体、例えば、CaAlSiN3:Eu、CaSi5N8:Euなどの窒化物蛍光体、例えば、K2SiF6:Mn、K2TiF6:Mnなどのフッ化物系蛍光体などが挙げられる。好ましくは、ガーネット型蛍光体、さらに好ましくは、Y3Al5O12:Ce(YAG)が挙げられる。
また、上記した蛍光体は、例えば、粒子状をなし、平均粒子径が、例えば、0.1〜30μm、好ましくは、0.2〜10μmである。蛍光体(蛍光体粒子)の平均粒子径は、粒度分布測定装置により測定される。
蛍光体は、単独使用または2種以上併用することができる。
蛍光体の配合割合は、例えば、蛍光体組成物に対して、例えば、1〜50質量%、好ましくは、5〜30質量%である。また、樹脂100質量部に対する蛍光体の配合割合は、例えば、1〜100質量部、好ましくは、5〜40質量部である。
樹脂は、蛍光体を分散させるマトリックスであって、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などの透明樹脂などが挙げられる。好ましくは、耐久性の観点から、シリコーン樹脂が挙げられる。
シリコーン樹脂は、主として、シロキサン結合(−Si−O−Si−)からなる主鎖と、主鎖の硅素原子(Si)に結合する、アルキル基(例えば、メチル基など)またはアルコキシル基(例えば、メトキシ基)などの有機基からなる側鎖とを分子内に有している。
具体的には、シリコーン樹脂としては、例えば、脱水縮合型シリコーンレジン、付加反応型シリコーンレジン、過酸化物硬化型シリコーンレジン、湿気硬化型シリコーンレジン、硬化型シリコーンレジンなどが挙げられる。好ましくは、付加反応型シリコーンレジンなどが挙げられる。
シリコーン樹脂の25℃における動粘度は、例えば、10〜30mm2/sである。
樹脂は、単独使用または2種以上併用することができる。
樹脂の配合割合は、蛍光体組成物に対して、例えば、50〜99質量%、好ましくは、70〜95質量%である。
蛍光体組成物は、蛍光体および樹脂を上記した配合割合で配合し、攪拌混合することにより調製される。
蛍光体層17の厚みは、例えば、20〜500μm、好ましくは、50〜300μmである。
光半導体層3は、蛍光体層17の上面における面方向(厚み方向に直交する方向、つまり、図1における紙面左右方向および紙面奥行き方向)中央部において所定パターンに形成されている。
光半導体層3は、緩衝層6、その上に形成されるN形半導体層7、その上に形成される発光層8、および、その上に形成されるP形半導体層9を備えている。
緩衝層6は、光半導体層3の外形形状に対応するように形成されている。
緩衝層6は、次に説明するN形半導体層7の格子定数の不正を緩衝する。
緩衝層6を形成する緩衝材料としては、例えば、元素半導体(単元素半導体)、酸化物半導体、化合物半導体(酸化物半導体を除く)などの半導体が挙げられる。
元素半導体としては、例えば、Si、Ge、Snなどの4B元素(長周期型周期表における4B元素、以下同様)が挙げられる。
酸化物半導体としては、例えば、Al2O3、ZnO、SnO2などの典型元素の酸化物、例えば、TiO2、V2O5、Cr2O3、MnO2、Fe2O3、NiO、Cu2Oなどの遷移元素の酸化物などが挙げられる。これらは、単独使用または併用することができる。
化合物半導体は、Oを除く複数の元素が結合する化合物であって、例えば、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb、AlGaN、InGaN、AlInN、AlGaInNなどの3B元素と5B元素との化合物、例えば、ZnS、SnSe、ZnTeなどの2B元素と6B元素との化合物などが挙げられる。好ましくは、3B元素と5B元素との化合物が挙げられる。
上記した半導体のうち、好ましくは、化合物半導体が挙げられる。
緩衝層6の厚みは、例えば、0.5〜200nm、好ましくは、1〜100nmである。
N形半導体層7は、緩衝層6の上面全面に形成されている。N形半導体層7を形成するN形半導体としては、特に限定されず、公知のN形半導体が挙げられ、上記した半導体に、例えば、5B元素、または、4B元素などの不純物が微量ドープ(添加)された不純物半導体が挙げられる。
N形半導体層7の厚みは、特に限定されず、例えば、10nm〜10μmである。
発光層8は、N形半導体層7の上面に、面方向一方側(図1における左側)端部において所定パターンに形成されている。つまり、発光層8は、面方向他方側端部(図1における右側)において、N形半導体層7の上面を露出している。
発光層8を形成する発光材料としては、上記した緩衝層6で例示した半導体と同様の半導体が挙げられ、好ましくは、化合物半導体が挙げられる。
発光層8の厚みは、例えば、20〜300nm、好ましくは、30〜200nmである。
P形半導体層9は、発光層8の上面全面に、発光層8と同一パターンに形成されている。P形半導体層9を形成するP形半導体としては、特に限定されず、公知のP形半導体が挙げられ、例えば、上記した半導体に、3B元素、2A元素などの不純物が微量ドープ(添加)された不純物半導体が挙げられる。2A元素としては、例えば、Be、Mgなどのアルカリ土類金属が挙げられる。
P形半導体層9の厚みは、特に限定されず、例えば、10nm〜10μmである。
電極部4は、光半導体層3と電気的に接続されており、アノード電極10およびカソード電極11を備えている。
アノード電極10は、P形半導体層9の上に、透明電極12を挟むように形成されており、透明電極12を介してP形半導体層9と電気的に接続されている。
透明電極12は、P形半導体層9の上面に形成され、厚み方向に投影したときに、P形半導体層9に含まれるように、配置されている。透明電極12を形成する電極材料としては、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化錫(SnO2)などの金属酸化物が挙げられ、その厚みは、例えば、10〜300nm、好ましくは、20〜200nmである。
アノード電極10は、厚み方向に投影したときに、透明電極12に含まれるパターンに形成されている。
アノード電極10を形成する電極材料としては、例えば、金、アルミニウムなどが挙げられる。好ましくは、金が挙げられる。アノード電極10の厚みは、例えば、10〜300nm、好ましくは、20〜200nmである。
カソード電極11は、N形半導体層7の上に形成され、具体的には、P形半導体層9および発光層8から露出するN形半導体層7の上面に形成されている。カソード電極11は、N形半導体層7と電気的に接続されている。
カソード電極11を形成する電極材料としては、例えば、金、アルミニウムなどが挙げられる。好ましくは、金が挙げられる。カソード電極11の厚みは、例えば、10〜300nm、好ましくは、20〜200nmである。
また、この電極部4には、バンプ13が設けられている。
バンプ13は、アノード電極10の上面と、カソード電極11の上面とに形成されている。各バンプ13は、それぞれ、平面視において、アノード電極10およびカソード電極11に含まれるパターンに形成されている。また、バンプ13は、ベース基板16の端子15(後述、図5(g))と実質的に同一パターンに形成されている。
バンプ13を形成する材料としては、例えば、金、銀、鉛、錫、それらの合金(具体的には、はんだなど)などの導体が挙げられる。
各バンプ13の厚みは、ベース基板16へのフリップチップ実装前においては、アノード電極10の上面に形成されるバンプ13の上面と、カソード電極11の上面に形成されるバンプ13の上面とが同じ高さとなるように、調整されている。すなわち、各バンプ13の厚みは、面方向に投影したときに、それらが同じ位置(厚み方向位置)となるように、調整されている。
封止樹脂層14は、光反射成分を含有しており、具体的には、封止樹脂層14は、封止材料と、光反射成分とを含有する封止樹脂組成物から形成されている。
封止材料としては、例えば、熱硬化性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、熱硬化性ウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂が挙げられ、好ましくは、熱硬化性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂が挙げられる。
光反射成分は、例えば、白色の化合物であって、そのような白色の化合物としては、具体的には、白色顔料が挙げられる。
白色顔料としては、例えば、白色無機顔料が挙げられ、そのような白色無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウムなどの酸化物、例えば、鉛白(炭酸亜鉛)、炭酸カルシウムなどの炭酸塩、例えば、カオリン(カオリナイト)などの粘土鉱物などが挙げられる。
白色無機顔料として、好ましくは、酸化物、さらに好ましくは、酸化チタンが挙げられる。
酸化チタンであれば、高い白色度、高い光反射性、優れた隠蔽性(隠蔽力)、優れた着色性(着色力)、高い分散性、優れた耐候性、高い化学的安定性などの特性を得ることができる。
そのような酸化チタンは、具体的には、TiO2、(酸化チタン(IV)、二酸化チタン)である。
酸化チタンの結晶構造は、特に限定されず、例えば、ルチル、ブルッカイト(板チタン石)、アナターゼ(鋭錐石)などであり、好ましくは、ルチルである。
また、酸化チタンの結晶系は、特に限定されず、例えば、正方晶系、斜方晶系などであり、好ましくは、正方晶系である。
酸化チタンの結晶構造および結晶系が、ルチルおよび正方晶系であれば、封止樹脂層14が長期間高温に曝される場合でも、光(具体的には、可視光、とりわけ、波長450nm付近の光)に対する反射率が低下することを有効に防止することができる。
光反射成分は、粒子状であり、その形状は限定されず、例えば、球状、板状、針状などが挙げられる。光反射成分の最大長さの平均値(球状である場合には、その平均粒子径)は、例えば、1〜1000nmである。最大長さの平均値は、レーザー回折散乱式粒度分布計を用いて測定される。
光反射成分の配合割合は、封止材料100質量部に対して、例えば、0.5〜90質量部、好ましくは、着色性、光反射性および封止樹脂組成物のハンドリング性の観点から、1.5〜70質量部である。
上記した光反射成分は、封止材料中に均一に分散混合される。
また、封止樹脂組成物には、さらに、充填剤を添加することもできる。つまり、充填剤を、光反射成分(具体的には、白色顔料)と併用することができる。
充填剤は、上記した白色顔料を除く、公知の充填剤が挙げられ、具体的には、無機質充填剤が挙げられ、そのような無機質充填剤としては、例えば、シリカ粉末、タルク粉末、アルミナ粉末、窒化アルミニウム粉末、窒化ケイ素粉末などが挙げられる。
充填剤として、好ましくは、封止樹脂層14の線膨張率を低減する観点から、シリカ粉末が挙げられる。
シリカ粉末としては、例えば、溶融シリカ粉末、結晶シリカ粉末などが挙げられ、好ましくは、溶融シリカ粉末(すなわち、石英ガラス粉末)が挙げられる。
充填剤の形状としては、例えば、球状、板状、針状などが挙げられる。好ましくは、優れた充填性および流動性の観点から、球状が挙げられる。
従って、シリカ粉末として、好ましくは、球状溶融シリカ粉末が挙げられる。
充填剤の最大長さの平均値(球状である場合には、平均粒子径)は、例えば、5〜60μm、好ましくは、15〜45μmである。最大長さの平均値は、レーザー回折散乱式粒度分布計を用いて測定される。
充填剤の添加割合は、充填剤および光反射成分の総量が、例えば、封止樹脂100質量部に対して、10〜80質量部となるように、調整され、線膨張率の低減および流動性の確保の観点から、封止樹脂100質量部に対して、好ましくは、25〜75質量部、さらに好ましくは、40〜60質量部となるように、調整される。
封止樹脂組成物は、上記した封止材料と、光反射成分と、必要により添加される充填剤とを配合して、均一混合することにより調製される。
封止樹脂層14は、蛍光体層17の上において、光半導体層3および電極部4の側面を被覆し、かつ、電極部4の上面(厚み方向一方面)を露出するように、形成されている。
詳しくは、封止樹脂層14によって、アノード電極10に対応するバンプ13の側面と、かかるバンプ13から露出するアノード電極10の上面および側面と、アノード電極10から露出する透明電極12の上面および側面と、透明電極12から露出するP形半導体層9の上面および側面と、発光層8の側面と、N形半導体層7の側面と、緩衝層6の側面とが被覆されている。また、アノード電極10に対応するバンプ13の上面は、封止樹脂層14から露出している。
また、封止樹脂層14によって、カソード電極11に対応するバンプ13の側面と、かかるバンプ13から露出するカソード電極11の上面および側面とが被覆されている。また、カソード電極11に対応するバンプ13の上面は、封止樹脂層14から露出している。
さらに、封止樹脂層14によって、N形半導体層7の上面(発光層8およびカソード電極11から露出するN形半導体層7の上面)も被覆されている。
さらにまた、封止樹脂層14によって、光半導体層3から露出する蛍光体層17の上面が被覆されている。
このようにして、光半導体層3は、封止樹脂層14によって封止されている。
図2〜図5は、本発明の発光ダイオード装置の製造方法の一実施形態を説明する工程図を示す。
次に、上記した発光ダイオード素子20を形成し、続いて、その発光ダイオード素子20をベース基板16に実装することによって、発光ダイオード装置21を製造する方法について、図2〜図5を参照して説明する。
この方法では、図2(a)に示すように、まず、シート状に形成された蛍光体層17を用意する。
蛍光体層17を用意するには、例えば、上記した蛍光体組成物を、仮想線で示す離型基材18の表面に塗布して、シート状の蛍光体皮膜(図示せず)を形成する。
離型基材18は、シート状をなし、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂材料から形成されている。離型基材18の厚みは、例えば、10〜1000μmである。
その後、蛍光体皮膜を、例えば、50〜150℃に、加熱して乾燥することにより、上記したパターンのシート状に形成する。
これによって、シート状の蛍光体層17を用意する。
次いで、この方法では、図2(b)に示すように、光半導体層3を蛍光体層17の上面(厚み方向一方面)に形成する。
光半導体層3は、蛍光体層17の上面において、面方向に互いに間隔を隔てて複数形成する。
具体的には、各光半導体層3を、例えば、蛍光体層17の上面に積層する。
次いで、この方法では、図3(c)に示すように、電極部4を、光半導体層3の上面(厚み方向一方面)に、光半導体層3と接続されるように、公知のパターンニング法によって形成する。電極部4は、各光半導体層3に対応して複数設ける。
次いで、この方法では、図3(d)に示すように、封止樹脂層14を、蛍光体層17の上に、複数の光半導体層3および複数の電極部4を被覆するように、形成する。
封止樹脂層14を形成するには、上記した封止樹脂組成物を、光半導体層3および電極部4を含む蛍光体層17の上に、例えば、ラミネータやアプリケータを用いた塗布方法により塗布して、封止皮膜を形成する。その後、封止材料が熱硬化性樹脂である場合には、封止皮膜を、加熱により硬化させる。
また、封止樹脂組成物が、シート状に予め形成されている場合には、かかる封止樹脂組成物を、蛍光体層17の上に、光半導体層3および電極部4を埋設するように載置し、加熱により硬化させることによって、封止樹脂層14を成形することもできる。
さらには、封止樹脂組成物が、粉末状の熱硬化性樹脂を含有している場合には、封止樹脂組成物を、圧縮成形機によって、加熱しながら圧縮成形することによって、硬化させて、封止樹脂層14を成形することもできる。
これによって、封止樹脂層14を形成する。
このようにして形成される封止樹脂層14は、その上面が、電極部4の上面(つまり、バンプ13の上面)よりも、上側に形成される。
封止樹脂層14の上面と、バンプ13の上面との間の長さLは、例えば、2000μm以下、好ましくは、10〜1000μmである。
これによって、光半導体層3および電極部4が、封止樹脂層14によって封止される。
次いで、図4(e)に示すように、封止樹脂層14を、電極部4の上面(厚み方向一方面)が露出されるように、部分的に除去する。
具体的には、封止樹脂層14において、バンプ13の上面より上側にある上側部を除去する。
封止樹脂層14の上側部の除去には、例えば、上記したエッチング、機械加工(具体的には、グラインド加工など)などが採用される。
上側部が除去された封止樹脂層14は、バンプ13の上面を露出する。これによって、封止樹脂層14において、バンプ13の周囲の上面が、バンプ13の上面と面一に形成される。
これにより、蛍光体層17と、封止樹脂層14により封止される各光半導体層3と、側面が封止樹脂層14に被覆され、かつ、バンプ13の上面が封止樹脂層14から露出する各電極部4とを備える複数の発光ダイオード素子20が一体的に形成される。
その後、図4(f)の1点破線で示すように、各発光ダイオード素子20間の封止樹脂層14(および離型基材18)と蛍光体層17とを切断加工(ダイシング)する。
つまり、蛍光体層17および封止樹脂層14をダイシングして、複数の発光ダイオード素子20に切り分ける。すなわち、発光ダイオード素子20を個別化(個片化)する。
具体的には、光半導体層3および電極部4の周囲の蛍光体層17および封止樹脂層14を、図4(f)の1点破線で示す厚み方向に沿って、ダイシングする。
これにより、図1に示す発光ダイオード素子20を得ることができる。
その後、図5(g)に示すように、得られた発光ダイオード素子20を上下反転させ(裏返し)て、ベース基板16と厚み方向に対向配置させる。
ベース基板16は、略平板状をなし、具体的には、絶縁基板の上に、導体層が回路パターンとして積層された積層板から形成されている。絶縁基板は、例えば、シリコン基板、セラミックス基板、ポリイミド樹脂基板などからなり、好ましくは、セラミックス基板、具体的には、サファイア(Al2O3)基板からなる。導体層は、例えば、金、銅、銀、ニッケルなどの導体から形成されている。これら導体は、単独使用または併用することができる。
また、導体層は、端子15を含んでいる。
端子15は、絶縁基板の表面において、面方向に間隔を隔てて形成されており、上記したバンプ13に対応するパターンに形成されている。なお、端子15は、図示しないが、導体層を介して電力供給部と電気的に接続されている。
続いて、図5(h)に示すように、バンプ13と端子15とを電気的に接続して、発光ダイオード素子20をベース基板16にフリップチップ実装する。
フリップチップ実装では、発光ダイオード素子20を、ベース基板16の上に、バンプ13と端子15とが厚み方向に隣接するように載置した後、バンプ13を、例えば、加熱または超音波などによって、リフローさせる。これにより、バンプ13が端子15と厚み方向に接触する。
その後、必要により、図5(h)の仮想線の矢印で示すように、離型基材18を、蛍光体層17から引き剥がす。
これにより、ベース基板16と、ベース基板16にフリップ実装される発光ダイオード素子20とを備える発光ダイオード装置21を得ることができる。
そして、上記した発光ダイオード素子20を用いる上記した発光ダイオード装置21の製造方法では、シート状に形成された蛍光体層17を用意するので、均一な蛍光体層17を確実に形成することができる。そのため、蛍光体層17において均一な波長変換を達成することができる。その結果、上記した発光ダイオード装置21は、均一な白色光を発光することができる。
また、上記した発光ダイオード装置21の製造方法では、シート状に形成された蛍光体層17を予め用意するので、蛍光体層17を、短時間、かつ、簡便に形成することができる。そのため、製造コストの上昇を抑制することができる。
さらに、上記した発光ダイオード装置21の製造方法では、光反射成分を含有する封止樹脂層14を、光半導体層3を被覆するように形成するので、光半導体層3から発光される光は、他の部材によって吸収される前に、封止樹脂層14の光反射成分によって反射される。そのため、光の取出効率を向上させることができる。
さらにまた、上記した発光ダイオード装置21では、蛍光体層17が、光半導体層3の上面に形成されているので、光半導体層3の熱を、蛍光体層17を介して、上側に放熱することができる。そのため、光半導体層3の発光効率の低下を防止することができる。
また、上記した発光ダイオード装置21の製造方法では、発光ダイオード素子20をベース基板16にフリップチップ実装するので、輝度の向上を図って、取出効率のさらなる向上を図ることができる。
なお、図5(h)の仮想線の矢印の実施形態では、離型基材18を、ベース基板16へのフリップ実装の後に、蛍光体層17から引き剥がしているが、離型基材18の引き剥がしの時期はこれに限定されない。例えば、図2(a)が参照されるように、蛍光体層17の用意の後、また、図2(b)が参照されるように、光半導体層3の形成の後、また、図3(c)が参照されるように、電極部4の形成の後、また、図3(d)が参照されるように、封止樹脂層14の形成の後、また、図4(e)が参照されるように、封止樹脂層14の上側部の除去の後、また、図4(f)が参照されるように、封止樹脂層14および蛍光体層17のダイシングの後に、離型基材18を蛍光体層17から引き剥がすこともできる。
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、実施例に限定されない。
実施例1
シート状に形成された厚み75μmの蛍光体層を用意した(図2(a)参照)。
すなわち、Y3Al5O12:Ceからなる蛍光体粒子(球形状、平均粒子径8μm)26質量部、および、シリコーン樹脂(付加反応型シリコーンレジン、動粘度(25℃)20mm2/s、旭化成ワッカーシリコーン社製)74質量部を配合して、均一攪拌することにより、蛍光体組成物を調製した。
次いで、調製した蛍光体組成物を、ポリエチレンテレフタレートからなる厚み50μmの離型基材の表面に塗布して、シート状の蛍光体皮膜を形成した。その後、形成した蛍光体皮膜を、100℃で乾燥させて、上記したパターンのシート状の蛍光体層を形成した。
次いで、光半導体層を蛍光体層の上面に形成した(図2(b)参照)。
すなわち、蛍光体層の上に、GaNからなる厚み30nmの緩衝層、SiがドープされたN形GaN(n−GaN:Si、以下同様に示す)からなる厚み5μmのN形半導体層、InGaNからなる厚み120nmの発光層、および、p−GaN:Mgからなる厚み50nmのP形半導体層を、上記したパターンで順次配置した。
次いで、電極部を、光半導体層の上面に、パターンニング法によって、光半導体層と接続されるように形成した(図3(c)参照)。
すなわち、ITOからなる厚み50nmの透明電極を、P形半導体層の上に形成し、続いて、透明電極の上に、金からなる厚み50nmのアノード電極を形成した。同時に、金からなる厚み50nmのカソード電極を、N形半導体層の上に形成した。
続いて、金からなるバンプを、アノード電極およびカソード電極の上に、それぞれ、形成した。
詳しくは、アノード電極の上のバンプの厚みと、カソード電極の上のバンプの厚みとを、それらバンプの上面が、面方向に投影した時に、同じ高さとなるように、調整した。
次いで、封止樹脂層を、蛍光体層の上に、光半導体層および電極部を被覆するように形成した(図3(d)参照)。
具体的には、まず、熱硬化性シリコーン樹脂100質量部、および、球状で、平均粒子径300nmの酸化チタン(TiO2、:ルチルの正方晶系)粒子20質量部を均一に混合することにより、ペースト状の封止樹脂組成物を調製した。続いて、調製した封止樹脂組成物を、光半導体層および電極部を含む蛍光体層の上に塗布し、半硬化状態(Bステージ状態)の封止皮膜を形成した。その後、封止皮膜を、加熱により硬化させた。
これにより、封止樹脂層により、光半導体層および電極部を封止した(図4(e)参照)。
なお、封止樹脂層の上面を、バンプの上面よりも、30μm(L)、上側に形成した。
その後、封止樹脂層の上側部(厚み30μm)を、電極部の上面が露出されるように、グラインド加工によって、除去した(図4(f)参照)。なお、封止樹脂層の上側部を、電極部の上面とその周囲の封止樹脂層の上面とが面一となるように、除去した。
これにより、蛍光体層と、封止樹脂層により封止される各光半導体層と、側面が封止樹脂層に被覆され、かつ、バンプの上面が封止樹脂層から露出する各電極部とを備える複数の発光ダイオード素子を一体的に形成した。
その後、各発光ダイオード素子間の蛍光体層および封止樹脂層をダイシングして、複数の発光ダイオード素子に切り分けた(図4(f)の1点破線参照)。つまり、発光ダイオード素子を個片化した。
その後、発光ダイオード素子を裏返した。続いて、サファイア(Al2O3)からなる絶縁基板の表面に、銅、ニッケルおよび金からなる端子を含む導体層が積層された、厚み1mmのベース基板を用意して、発光ダイオード素子とベース基板とを対向配置させた(図5(g)参照)。
その後、バンプを、加熱によりリフローさせて、バンプと端子とを接触させて、それらを電気的に直接接続して、発光ダイオード素子をベース基板にフリップチップ実装した(図5(g)参照)。その後、離型基材を蛍光体層から引き剥がした(図5(g)仮想線の矢印参照)。
これにより、ベース基板と、ベース基板に実装される発光ダイオード素子とを備える発光ダイオード装置を製造した。