以下の実施の形態では、同一の部品には同一の参照番号を付してある。それらの名称及び機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
本発明の実施の形態に係る画像形成装置は、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能、及びファクシミリ(以下、FAXともいう)機能等の複数の機能を備えたデジタル複合機である。図1を参照して、本発明の実施の形態に係る画像形成装置100は通信ネットワーク(以下、単にネットワークともいう)190及び電話回線192に接続されており、外部のコンピュータ又はFAX装置等から受信したデータにしたがって記録紙への画像形成を実行する。
画像形成装置100は、画像形成装置100全体を制御するCPU(Central Processing Unit)102と、プログラム等を記憶するためのROM(Read Only Memory)104と、揮発性の記憶装置であるRAM(Random Access Memory)106と、通電が遮断された場合にもデータを保持する不揮発性記憶装置であるHDD(Hard Disk Drive)108とを備えている。ROM104には、画像形成装置100の動作を制御するのに必要なプログラム及びデータが記憶されている。
画像形成装置100はさらに、NIC(Network Interface Card)110、モデム112、原稿読取部120、画像形成部122、標高検出部124、電力供給部126、記録紙搬送部128、操作部130、及びバス114を備えている。CPU102、ROM104、RAM106、HDD108、NIC110、モデム112、原稿読取部120、画像形成部122、電力供給部126、記録紙搬送部128、及び操作部130は、バス114に接続されている。各部間のデータ(制御情報を含む)交換は、バス114を介して行なわれる。CPU102は、バス114を介してROM104からプログラムをRAM106上に読出して、RAM106の一部を作業領域としてプログラムを実行する。即ち、CPU102は、ROM104に格納されているプログラムにしたがって画像形成装置100を構成する各部の制御を行ない、画像形成装置100の各機能を実現する。
原稿読取部120は、CCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)により原稿を読取って画像データ(デジタル信号)を生成する。画像データはRAM106に一時的に記憶される。画像形成部122は、RAM106上の画像データに基づいて、記録紙搬送部128によって搬送される記録紙上に画像を形成する。
操作部130は、後述するように、タッチパネルディスプレイ及び操作キー部を備えている。タッチパネルディスプレイは、液晶パネル等で構成された表示パネルと、表示パネルの上に配置され、タッチされた位置を検出するタッチパネルとを含む。操作部130のタッチパネルディスプレイ(表示パネル)には、画像形成装置100に指示を行なうための画面が表示される。ユーザは、タッチパネルディスプレイに表示されたキーを、表示パネルに重ねられたタッチパネル上で選択する(タッチパネル上の該当部分にタッチする)ことによって、画像形成装置100の機能設定及び動作指示等を行なうことができる。
NIC110は、ネットワーク190に接続され、画像形成装置100がネットワーク190を介して外部装置と通信するためのインターフェイスである。モデム112は、電話回線192に接続され、FAXデータの送信及び受信を行なう。
標高検出部124は、画像形成部122に含まれる帯電器の放電電圧を検出し、画像形成装置が設置されている場所が標高2000m超であるか否かを判定するための検出信号を出力する。検出信号は、CPU102に直接伝送される。電力供給部126は、CPU102により制御されて、画像形成装置100内部の各部に所定の電圧を供給する。
図2を参照して、画像形成装置100における記録紙の搬送及び記録紙への画像形成に関して具体的に説明する。原稿読取部120は、画像読取装置90及び自動原稿送り装置(ADF:Auto Document Feeder)150を備えている。画像読取装置90は、原稿が載置される透明ガラスからなる原稿載置台92を備え、光源、ミラー、レンズ及びCCD等から構成された縮小光学系の画像読取装置である。原稿載置台92の上には自動原稿送り装置150が取り付けられている。自動原稿送り装置150は、原稿載置台92の上に自動的に原稿を搬送する。自動原稿送り装置150は所定の軸の周りに回動自在に構成され、原稿載置台92の上を開放することにより原稿を手で置くことができるようになっている。
画像形成部122は、光走査装置1、現像器2、感光体ドラム3、クリーナユニット4、帯電器5、中間転写ベルトユニット6、定着部7、給紙トレイ81、手差し給紙トレイ85、及び排紙トレイ91を備えて構成されている。手差し給紙トレイ85は、手差しで記録紙を供給するためのトレイである。
画像形成装置100において扱われる画像データは、ブラック(BLACK、以下「K
とも記載する)、シアン(CYAN、以下「C」とも記載する)、マゼンタ(MAGENTA、以下「M」とも記載する)及びイエロー(YELLOW、以下「Y」とも記載する)の各色を用いたカラー画像データ、即ち、これら4色の成分に分解された画像データである。したがって、現像器2、感光体ドラム3、帯電器5、及びクリーナユニット4は、各色に応じた4種類の潜像を形成するように、それぞれ4個ずつ設けられ、これらによって、ブラック、シアン、マゼンタ、及びイエローを処理する4つの画像ステーションが構成されている。
帯電器5は、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させるための装置である。ここでは、帯電器5は、図3に示すようにコロナ放電方式の帯電器である。帯電器5は、円筒状の感光体ドラム3の中心軸方向(図2において紙面に垂直方向)の長さとほぼ等しい長さを有し、感光体ドラム3に沿って設置されている。帯電器5は、ケース160、放電電極162、グリッド電極164、放電電極保持部168、及びグリッド電極保持部170を備えている。グリッド電極164は、放電電極162と感光体ドラム3との間に配置されている。ケース160、放電電極162、及びグリッド電極164は、導電性部材で形成されている。放電電極保持部168及びグリッド電極保持部170は電気絶縁性部材で形成されている。
ケース160は、断面コ字型である。放電電極162は、例えば鋸歯状に形成されており、鋸歯部分はケース160の開放部に向かって配置されている。グリッド電極164は網目状であり、ケース160の開放面に配置されている。
グリッド電極164及びケース160には、負の所定の直流電圧(以下、グリッドバイアス電圧ともいう)Vg(Vg<0)が印加される。放電電極162には、負の所定の直流電圧(以下、チャージ電圧又は放電電圧ともいう)Vcが印加される(Vc<Vg<0)。チャージ電圧Vc及びグリッドバイアス電圧Vgは、図4に示すように、画像形成部122に装備された放電制御部172及び放電電圧生成部174により生成される。プロセス部176には、感光体ドラム3及び帯電器5等が含まれる。放電制御部172は、CPU102の制御を受けて、所定のタイミングで、放電電圧生成部174に、チャージ電圧Vc及びグリッドバイアス電圧Vgを生成させるための制御信号を入力する。放電電圧生成部174は、入力された制御信号に応じて、チャージ電圧Vc及びグリッドバイアス電圧Vgを生成して、プロセス部176のGB端子及びMC端子にそれぞれ供給する。供給されたチャージ電圧Vc及びグリッドバイアス電圧Vgはそれぞれ、帯電器5の放電電極162、並びにグリッド電極164及びケース160に供給される。
なお、画像形成装置100はカラー印刷可能な装置であるので、図4に示す放電制御部172、放電電圧生成部174、及びプロセス部176は、K、C、M及びYの4色に対応して、合計4組が装備されている。
チャージ電圧Vc及びグリッドバイアス電圧Vgが印加されることにより、ケース160と放電電極162との間に電界が形成され、この電界により空気が電離して放電電極162の周辺に負電荷(マイナスイオン)が発生する。発生した負電荷は、グリッド電極164に引きつけられて移動し、グリッド電極164を通過したマイナスイオンは感光体ドラム3の表面に達する。
感光体ドラム3の表面は、非露光時には半導電性を有し、露光時には導電性を有する部材で形成されている。感光体ドラム3の表面に達したマイナスイオンにより感光体ドラム3の表面が帯電(以下、初期化帯電という)され、感光体ドラム3の表面は、所定の電位(以下、初期化帯電電位という)VOとなる。
光走査装置1は、レーザ出射部及び反射ミラー等を備えたレーザスキャニングユニット(LSU)である。光走査装置1には、レーザビームを走査するポリゴンミラーと、ポリゴンミラーによって反射されたレーザ光を感光体ドラム3に導くためのレンズ及びミラー等の光学要素とが配置されている。光走査装置1は、上記のように帯電された感光体ドラム3を、入力された画像データに応じて露光することにより、その表面に、画像データに応じた静電潜像を形成する。
具体的には、初期化帯電された感光体ドラム3の表面が光走査装置1によって露光されると、その部分(明部)が導電性を有するようになり、負電荷がアースに移動する。負電荷が移動した部分は正電位に変化し、明部電位VEとなる。感光体ドラム3の表面における負電荷が存在する部分と存在しない部分、即ち初期化帯電電位VOの部分と明部電位VEの部分とにより、感光体ドラム3上に静電潜像が形成される。
現像器2は、それぞれの感光体ドラム3上に形成された静電潜像を4色(YMCK)のトナーにより顕像化する。クリーナユニット4は、現像及び画像転写後に感光体ドラム3上の表面に残留したトナーを、除去及び回収する。
感光体ドラム3の上方に配置されている中間転写ベルトユニット6は、中間転写ベルト61、中間転写ベルト駆動ローラ62、中間転写ベルト従動ローラ63、中間転写ローラ64、及び中間転写ベルトクリーニングユニット65を備えている。中間転写ローラ64は、YMCKの各色に対応して4本設けられている。
中間転写ベルト駆動ローラ62、中間転写ベルト従動ローラ63、及び中間転写ローラ64は、中間転写ベルト61を張架して回転駆動させる。各中間転写ローラ64は、対応する感光体ドラム3のトナー像を中間転写ベルト61上に転写するために、後述する転写バイアスを供給する。中間転写ベルト61は、各感光体ドラム3に接触するように設けられている。感光体ドラム3に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト61に順次重ねて転写することによって、中間転写ベルト61上にカラーのトナー像(多色トナー像)が形成される。
感光体ドラム3から中間転写ベルト61へのトナー像の転写は、中間転写ベルト61の裏側に接触している中間転写ローラ64によって行なわれる。中間転写ローラ64には、トナー像を転写するために高電圧の転写バイアス(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加されている。中間転写ローラ64は、その表面が導電性の弾性材により覆われているローラである。この導電性の弾性材により、中間転写ベルト61に対して均一に高電圧を印加することができる。
上述のように各感光体ドラム3上で各色相に応じて顕像化された静電像は中間転写ベルト61上で積層される。このように積層された画像情報(トナーの濃淡分布)は、中間転写ベルト61が回転されて、記録紙と中間転写ベルト61との接触位置に配置される転写ローラ10によって記録紙上に転写される。
このとき、中間転写ベルト61と転写ローラ10とは所定ニップで圧接されると共に、転写ローラ10にはトナーを記録紙に転写させるための電圧が印加される(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)。
転写ローラ10によって記録紙上に転写が行なわれずに中間転写ベルト61上に残存したトナーは、次工程でトナーの混色を発生させる原因となるために、中間転写ベルトクリーニングユニット65によって除去されて回収される。中間転写ベルトクリーニングユニット65には、クリーニング部材として、例えば中間転写ベルト61に接触するクリーニングブレードが配置されており、クリーニングブレードが接触する中間転写ベルト61は、裏側から中間転写ベルト従動ローラ63で支持されている。
給紙トレイ81は、画像形成に使用する記録紙を蓄積しておくためのトレイであり、光走査装置1の下側に設けられている。また手差し給紙トレイ85にも画像形成に使用する記録紙を置くことができる。また、排紙トレイ91は、印刷済みの記録紙をフェイスダウンで、即ち印刷面を下にして集積するためのトレイである。
給紙トレイ81及び手差し給紙トレイ85の記録紙を、転写ローラ10及び定着部7を経由させて排紙トレイ91に送るために、画像形成部122内部には、記録紙搬送路Sが形成されている。給紙トレイ81又は手差し給紙トレイ85から排紙トレイ91までの記録紙搬送路Sの近傍には、ピックアップローラ11a〜11b、搬送ローラ12a〜12d、レジストローラ13、転写ローラ10、及び定着部7等が配置されている。
給紙トレイ81、手差し給紙トレイ85、ピックアップローラ11a〜11b、搬送ローラ12a〜12d、及びレジストローラ13は、図2に示した記録紙搬送部128を構成する。
搬送ローラ12a〜12dは、記録紙の搬送を促進及び補助するための小型のローラであり、記録紙搬送路Sに沿って複数設けられている。ピックアップローラ11aは、給紙トレイ81の端部近傍に配置され、給紙トレイ81から記録紙を1枚ずつピックアップして記録紙搬送路Sに供給する。同様に、ピックアップローラ11bは、手差し給紙トレイ85の端部近傍に配置され、手差し給紙トレイ85から記録紙を1枚ずつピックアップして記録紙搬送路Sに供給する。
レジストローラ13は、記録紙搬送路Sを搬送される記録紙を一旦保持する。そして、感光体ドラム3上のトナー像の先端と記録紙の先端とが一致するタイミングで記録紙を転写ローラ10に搬送する。
定着部7は、ヒートローラ71及び加圧ローラ72を備えている。ヒートローラ71及び加圧ローラ72は、記録紙を挟んで回転する。また、ヒートローラ71は、温度検出器(図示せず)からの信号に基づいて、CPU102によって所定の定着温度に設定されており、加圧ローラ72と共にトナーを記録紙に熱圧着することにより、記録紙に転写された多色トナー像を溶融、混合、及び圧接し、記録紙に対して熱定着させる機能を有している。また、ヒートローラ71を外部から加熱するための外部加熱ベルト73が設けられている。
画像形成装置100が搭載している機能(コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能、及びファクシミリ機能)は、ユーザにより操作部130が操作されて実行される。図5を参照して、操作部130は、タッチパネルディスプレイ132及び操作キー部134を備えている。タッチパネルディスプレイ132は、液晶パネル等で構成された表示パネルと、表示パネルの上に配置され、タッチされた位置を検出するタッチパネルとを含む。図5では、操作部130のタッチパネルディスプレイ132(表示パネル)には、画像形成装置100のホーム画面が表示されている。ホーム画面には、コピー、プリント等の各機能を指示するためのキーが表示されている。
操作キー部134には、ハードウェアキーとして、ホームキー136、画像形成装置100の電源をオン/オフするための電源キー138、及び、電源オンの場合に点灯するLEDランプ142が配置されている。タッチパネルディスプレイ132に表示される画面は、画像形成装置100の状態に応じて種々変化(画面遷移)する。ホームキー136は、タッチパネルディスプレイ132に表示されている画面を、ホーム画面に戻すためのキーである。即ち、ホームキー136が押されると、タッチパネルディスプレイ132にホーム画面が表示される。
操作部130は、ユーザによる画像形成装置100に対する指示等の入力を受付ける。ユーザは、タッチパネルディスプレイ132に表示される画面によって、画像形成装置100の状態及びジョブの処理状況等の確認を行なう。タッチパネルディスプレイ132に表示されたキーを選択することによって、画像形成装置100の機能設定及び動作指示等を行なうことができる。
例えば、コピーキー144がタッチされた場合、CPU102は、タッチパネルディスプレイ132にコピーモードの基本画面を表示する。具体的には、CPU102は、ROM104又はHDD108から所定のグラフィックスデータを読出して、これを基に、例えば図6に示す画面200の画像データを、RAM106上に生成する。生成された画像データは、タッチパネルディスプレイ132に伝送されて表示される。
図6において、画面200のシステム領域210には、左端に、コピーモードであることを表す文字「コピー」が表示され、右端に、ジョブの実行状況を表示させるためのキーが表示されている。機能設定領域220は、コピー機能に関する設定を行なうためのキー(カラーモード、コピー濃度、コピー倍率等を設定するためのキー)が表示されている。一部のキーには、設定されている内容が表示されている。テンキー領域252は、画像形成する部数を設定するための領域である。“0”〜“9”のキーがタッチされると、連続して入力された数値が部数として表示される。“C”キーがタッチされた場合、入力された部数がキャンセルされる。テンキー領域252の下には、画像形成装置100の模式図が表示され、給紙トレイを区別するために“1”〜“2”の数字が表示されている。アクションパネル領域240には、操作についての補助、助言及び提案等についての情報が表示される。例えば、あるユーザが特定の機能を選択すると、その機能に関連する機能が表示される。タスクトリガー領域230には、設定が完了して、画像形成装置100を実際に動作させるためにユーザにより操作されるトリガーキーが表示されている。本実施の形態では、タスクトリガー領域230は、原稿の白黒コピーを開始させる白黒開始キー232と、カラーコピーを開始させるカラー開始キー234と、原稿を一旦スキャンし、画像として画像形成装置100に取込む処理を開始させるスキャンインキー236と、設定を全てクリアするためのクリアオール(CA)キー238とが表示されている。
画像形成装置100が搭載している機能(コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能、及びファクシミリ機能)を実行する各モードについて簡単に説明する。
(コピーモード)
画像形成装置100を複写機として利用する場合には、原稿読取部120によって読取られた原稿の画像データが、画像形成部122から印刷物として出力される。
原稿読取部120に装備された画像読取装置90のCCDにより読取られた画像データは、RAM106上に出力データ(印刷用データ)として完成された後、HDD108に記憶される。原稿が複数ある場合には、この読取り動作及び記憶動作が繰返される。その後、操作部130から指示された処理モードに基づいて、HDD108に記憶された画像データが適切なタイミングで順次読出されてRAM106に送られる。
給紙部(給紙トレイ81又は手差し給紙トレイ85)では、記録紙がピックアップローラによって引き出され、複数の搬送ローラ12a〜12dによって、画像形成部122まで搬送される。画像形成部122では、帯電された感光体ドラム3を入力された画像データに応じて露光することにより、感光体ドラム3の表面に、画像データに応じた静電潜像を形成する。感光体ドラム3上の静電潜像部分にトナーを付着させた後、トナーによる画像を、中間転写ベルト61を介して、搬送された記録紙に転写させる。その後、記録紙は加熱及び加圧され(これにより記録紙に画像が定着する)、排紙トレイに排出される。
(プリンタモード)
画像形成装置100に、ネットワーク190に接続されたコンピュータ等からプリントを指示する場合、NIC110はコンピュータ等から画像データを受信する。受信された画像データは、出力画像データとしてページ単位にRAM106に送られた後、HDD108に記憶される。その後、HDD108に記憶された画像データが適切なタイミングで順次読出されてRAM106に送られる。そして、上記したコピーモードと同様に、画像データは画像形成部122へと伝送され、画像形成が行なわれ、排紙トレイに排出される。
(スキャナモード)
画像形成装置100を、例えばネットワークスキャナとして利用する場合には、原稿読取部120において読取られた原稿の画像データを、NIC110からネットワーク190を介して、コンピュータ等へ送信する。この場合にも、原稿読取部120に装備されたCCDにより原稿を電子的に読取る。そして、読取られた原稿の画像データは、RAM106上に出力データとして完成された後、HDD108に記憶される。その後、画像データは、再びHDD108からRAM106に送られ、操作部130を介して指定された送信先との通信を確立した上で、NIC110から、指示された送信先へと送信される。
(ファクシミリモード)
画像形成装置100をファクシミリ装置として使用する場合、電話回線192及びモデム112を介して外部のファクシミリ装置からFAX受信したデータを、画像データとしてRAM106上に形成し、上記と同様に、HDD108への記憶、画像形成部122による印刷を実行することができる。また、画像形成装置100は、HDD108から画像データを読出して、FAX通信用のデータ形式に変換して、モデム112及び電話回線192を介して外部のファクシミリ装置に送信することができる。
以下、図7を参照して、画像形成装置100において実行される、標高2000m超であるか否かを判定し、その結果に応じた処理を実行するプログラムに関して説明する。
ここでは、画像形成装置100を構成する放電制御部172、放電電圧生成部174及びプロセス部176に関して、印刷を実行する場合に帯電器5に供給されるチャージ電圧Vcと気圧及び標高との関係を、予め実験によって求めておき、それにしたがって標高2000m超であるか否かを判定する。
実験では、例えば図8に示すように、プロセス部176を減圧槽178内に配置し、減圧槽178内の気圧を変化させて、放電制御部172及び放電電圧生成部174により、印刷時の帯電器5による放電(感光体ドラムの帯電)を実行し、チャージ電圧Vcを測定する。チャージ電圧Vcを、フレームグランドFGを基準にして測定した結果を図9及び図10に示す。実験時の環境温度は、24〜25℃であった。放電電圧生成部174のMHV出力端子からは定電流Icで放電電圧Vcが供給される。具体的には、Ic=−1403.6μAとした。
図9のグラフは、減圧槽178内の気圧(mmHg)を横軸にして、放電電圧Vcをプロットしたものである。図10は、気圧と標高との関係を考慮して、減圧槽178内の気圧に対応する標高(m)を横軸にして、放電電圧Vcをプロットしたものである。なお、気圧と標高との関係は、図11に示すものを使用した。
図10のグラフから、標高2000mに対応する放電電圧Vcの値として、−5.47kVが得られる。この値は、画像形成装置100に搭載されている放電制御部172、放電電圧生成部174及びプロセス部176によって、さらには、印刷性能(速度)に応じて変化するので、標高2000mに対応する放電電圧Vcは、画像形成装置毎に実験によって決定されることが好ましい。
画像形成装置100においては、印刷時に放電電圧Vcが、所定のしきい値Vth以上であるか否かを判定することにより、画像形成装置100が標高2000mを超える場所に設置されているか否かを判定することができる。具体的には、放電電圧Vcに応じて標高検出部124から出力される検出信号Vdの大きさから、CPU102が判定する。しきい値Vthは、標高2000mに対応する放電電圧Vcである−5.47kV以上の値(しきい値Vthの絶対値は、放電電圧Vcの絶対値以下)に設定する。例えば、Vth=−5.4kVと設定する。この値に対応する標高は2000m超である。
標高検出部124は、図4に示したように構成されている。標高検出部124は、電圧比較部180、論理和部182、及び抵抗R1〜R4を備えている。電圧比較部180は例えばコンパレータであり、入力電圧V1と基準電圧V0とを比較した結果に応じて、ハイレベル又はローレベルの信号を出力する。ここでは、入力電圧V1及び基準電圧V0は何れも負である。電圧比較部180は、例えば、入力電圧V1が基準電圧V0よりも高電位であればハイレベルの信号を出力し、そうでなければ、ローレベルの信号を出力する。
基準電圧V0は、抵抗R1及びR2、並びに抵抗R1に印加される定電圧V2によって決まる。電圧V1は、抵抗R3及びR4、並びに放電電圧Vcによって決まる。したがって、放電電圧Vcが、しきい値であるVth=−5.4(V)と等しいときに、V1=V0となるように、抵抗R1〜R4の値を設定すればよい。通常のコンパレータの入力電圧の許容範囲は、高々数十Vの大きさである。また、定電圧V2も、高々数十Vの大きさである。しかし、放電電圧Vcの絶対値は、それらよりも2〜3桁大きいkVオーダーである点を考慮して、抵抗R3の抵抗値をR4の抵抗値よりも十分に大きく設定することが好ましい。さらには、電圧V1は、標高の変化により、放電電圧Vcの変化比率と同じ比率で変化し、電圧値自体(絶対値)の変化(差)は、放電電圧Vcの変化(差)よりも非常に小さい。したがって、電圧比較部180に使用するコンパレータには、電圧V1の変化(差)を検出可能な精度のものを使用することが好ましい。
放電制御部172、放電電圧生成部174、及びプロセス部176は4組装備されているので、論理和部182には、それらに対応して4本の信号が入力され、入力レベルの論理和を演算した結果を検出信号Vdとして出力する。即ち、論理和部182への4つの入力信号のうち少なくとも1つの信号がハイレベルであれば、検出信号Vdはハイレベルになる。論理和部182への4つの入力信号が全てローレベルであれば、検出信号Vdはローレベルになる。したがって、CPU102は、検出信号Vdのレベルを判定することにより、画像形成装置100が設置されている場所の標高が2000m超であるか否かを判定することができる。
画像形成装置100は、標高検出部124が上記のように構成され、電源がオンされて、各機能を実行可能な待機状態にあるとする。図7のステップ400において、CPU102は、操作部130が操作されたか否かを判定する。即ち、タッチパネルディスプレイ132に表示された画面内のキーがタッチされた、又は操作キー部134のキーが押下されたか否かを判定する(図5参照)。操作されたと判定された場合、制御はステップ402に移行する。そうでなければ、ステップ400が繰返される。
ステップ402において、CPU102は、ステップ400で受付けた操作が印刷指示であるか否かを判定する。例えば、図6に示したコピーモードの基本画面200において、白黒開始キー232又はカラー開始キー234がタッチされたことが検出された場合、印刷指示であると判定される。印刷指示であると判定された場合、制御はステップ404に移行する。そうでなければ、制御はステップ418に移行する。
ステップ418において、CPU102は、操作に該当する処理を実行する。その後、制御はステップ416に移行する。
ステップ416において、CPU102は、終了指示を受けたか否かを判定する。例えば電源キー138が押下された場合、終了指示を受けたと判定される。終了指示を受けたと判定された場合、CPU102は本プログラムを終了する。そうでなければ、制御はステップ400に戻る。
以上、ステップ400、ステップ402、ステップ416及びステップ418が繰返されることにより、ユーザは、画像形成装置100に対して、所定の条件を設定(印刷条件の設定を含む)し、その条件にしたがって、所定の機能(印刷以外の機能)を実行させることができる。例えば、図5に示したホーム画面において、コピーキー144がタッチされた場合、図6に示すコピーモードの基本画面200が表示される。基本画面200におけるユーザのキー操作に応じて、上記したように、コピー条件の設定等が行なわれる。
ステップ404において、CPU102は、上記した印刷処理を開始する。具体的には、印刷を実行するプログラムを起動する。
ステップ406において、CPU102は、所定のタイミングで放電電圧Vcを検出する。所定のタイミングは、放電電圧生成部174が、放電制御部172の制御を受けて帯電器5に放電電圧Vcを供給するときである。具体的には、CPU102は、図4の標高検出部124からの出力信号Vdを取得する。
ステップ408において、CPU102は、ステップ406で取得した電圧Vdが所定電圧以上であるか否かを判定する。所定値以上(ハイレベル)であると判定された場合、制御はステップ410に移行する。そうでなければ、制御はステップ400に戻る。
ステップ410において、CPU102は、印刷を停止(ステップ404で起動したプログラムを停止)し、操作部130に警告画面を表示する。具体的には、CPU102は、タッチパネルディスプレイ132に、例えば図12に示すような警告画面300を表示する。警告画面300には、画像形成装置100が使用されることが想定された標高を超えた場所に設置されており、安全及び印刷品質を保障できないことが表示されている。また、OKキー302がタッチされると、画像形成(コピー、プリント、及びFAX受信)以外の機能(原稿のスキャン、FAX送信等)を実行することができることも表示されている。
ステップ412において、CPU102は、警告画面300のOKキー302がタッチされたか否かを判定する。タッチされたと判定された場合、制御はステップ414に移行する。そうでなければ、ステップ412が繰返される。
ステップ414において、CPU102は、印刷機能を禁止する設定を行なう。具体的には、CPU102は、RAM106の所定領域に確保されたフラグを、初期値(例えば“0”)と異なる値(例えば“1”)に設定する。なお、CPU102が、ユーザの指示を受けて、画像形成装置100の所定の機能を実行するプログラムを起動するときに、最初にフラグの値を確認し、禁止を表す値(例えば“0”)でなければ、該当するプログラムを起動する。禁止を表す値(例えば“1”)であれば、該当するプログラムを起動せず、警告画面等を表示する。
以上により、画像形成装置100が、標高2000mを超える場所に設置されていれば、操作部に警告を表示し、印刷を禁止することができる。したがって、標高2000m以下の場所に設置されることが想定された画像形成装置100が、安全性及び印刷品質を保障されないまま使用されることを防止することができる。なお、画像形成装置100が標高2000m以下の場所に設置されていれば、ユーザは、制限を受けずに通常通り画像形成装置100を使用可能である。
上記したように検出電圧Vdは、4色に対応した4つの帯電器5の放電電圧Vcの少なくとも1つがしきい値Vth以上であれば、ハイレベルになる。したがって、どのような色を含む画像データに基づく印刷であっても、印刷が開始された直後に、画像形成装置100が設置されている場所の標高が2000m超であるか否かを判定することができる。
ステップ414で設定されるフラグは、揮発性のRAM106に確保されるので、標高2000mを超える場所に設置されていた画像形成装置100が、標高2000m以下の場所に移設されて電源がオンされた場合には、画像形成装置100の全ての機能が実行可能になる。
上記では、ステップ400及びステップ402において、操作部が操作されて印刷指示を受けたか否を判定する場合を説明したが、これに限定されない。ステップ400において、プリントジョブ又はFAXデータの受信の有無を判定してもよい。そして、プリントジョブ又はFAXデータを受信した場合、ステップ402においては、印刷指示を受けたと判定され、ステップ404が実行される。その後のステップ406〜416の処理は上記と同様である。
上記では、画像形成装置100が使用する各色のトナーに対応する帯電器全ての放電電圧を検出する場合を説明したが、これに限定されない。少なくとも1つの帯電器の放電電圧を検出すればよい。例えば、何れか1つの帯電器(例えば、使用頻度の高いトナーに対応する帯電器)のみの放電電圧を検出してもよい。その場合、画像形成装置100がオンされて最初に実行される印刷時には、その帯電器が使用されない可能性があるので、その時点では、標高2000m超であるか否かを判定することはできない。しかし、いずれその帯電器も使用されるので、時間的に少し遅れるが、標高2000m超であるか否かを判定することができる。
上記のステップ406において、CPU102が、帯電器5の放電タイミングで放電電圧Vdを検出する場合を説明したが、これに限定されない。例えば、図4に示した論理和部182の出力側にラッチ回路を備え、ハイレベルの出力信号Vdがラッチされるようにすれば、CPU102は、帯電器5の放電タイミングを考慮することなく、放電電圧Vdを検出することができる。ラッチ回路は、入力信号(出力信号Vd)が一旦ハイレベルになれば、対応するハイレベルの出力信号を維持するので、CPU102は、帯電器が放電した後の任意のタイミングで、ラッチ回路の出力信号のレベルを取得すればよい。なお、CPU102は、適宜ラッチ回路をリセットして、その出力信号をローレベルに戻す。
上記では、電圧比較部180にコンパレータを用い、コンパレータへの入力電圧V1を、放電電圧Vcを抵抗で分配して生成する場合を説明したが、これに限定されない。放電電圧Vcと所定のしきい値Vthとを比較し、その結果に応じた信号を出力できる回路であればよい。
上記では、実際に印刷を実行するときに標高2000m超であるか否かを判定する場合を説明したが、これに限定されない。例えば、図13に示すように、画像形成装置100の電源がオンされときに実行されるウォーミングアップ時に判定してもよい。
具体的には、電源キー138が押された場合、ステップ500において、CPU102は、通常の起動処理を実行する。起動処理が完了した後、ステップ502において、CPU102は、上記のステップ406と同様に、帯電器5に放電を実行させ、そのときの放電電圧Vcを検出する。具体的には、CPU102は、図4の標高検出部124からの出力信号Vdの値を取得する。
ステップ504において、CPU102は、ステップ502で取得した電圧Vdが所定電圧以上であるか否かを判定する。所定値以上(ハイレベル)であると判定された場合、制御はステップ506に移行する。そうでなければ、CPU102は本プログラムを終了し、画像形成装置100は待機状態になる。
ステップ506において、CPU102は、操作部130に警告画面を表示する。具体的には、CPU102は、タッチパネルディスプレイ132に、例えば図14に示すような警告画面320を表示する。
ステップ508において、CPU102は、警告画面320の終了キー322がタッチされたか否かを判定する。タッチされたと判定された場合、制御はステップ510に移行する。そうでなければ、ステップ508が繰返される。
ステップ510において、CPU102は、画像形成装置100の電源をオフするためのプログラムを起動し、本プログラムを終了する。
以上により、画像形成装置100が、標高2000mを超える場所に設置されていれば、操作部に警告を表示し、画像形成装置100を待機状態にすることなく、強制的に電源をオフすることができる。したがって、標高2000m以下の場所に設置されることが想定された画像形成装置100が、安全性及び印刷品質を保障されないまま使用されることを防止することができる。なお、画像形成装置100は、標高2000m以下の場所に設置されていれば、待機状態になり、通常通り使用可能になる。
ユーザによる印刷指示を受ける前に、帯電器5の放電電圧を検出するので、カラーの画像形成装置であっても、標高検出部124は、何れか1つの帯電器の放電電圧のみを検出対象とすればよい。即ち、標高検出部124は、1つの電圧比較部180を備えていればよい。その場合、ステップ502において、CPU102は、電圧比較部180に入力される放電ラインに放電電圧Vcを供給する帯電器のみを作動させて、放電電圧Vcを検出する。
ステップ502は、帯電器5を作動させることができる状態になれば、起動処理が完了するまで待たずに実行されてもよい。ステップ504で、標高2000m超と判定された場合、画像形成装置100は強制的に終了するので、起動が完了していなくても支障はない。また、ステップ504で、標高2000m超でないと判定された場合、画像形成装置100の起動が完了していなければ、起動処理を継続する。起動処理の完了後に画像形成装置100は待機状態になるので、支障はない。
上記では、ステップ506において、図14に示した画面320を表示する場合を説明したが、これに限定されない。例えば、図12に示した画面300を表示してもよい。その場合、ステップ508及びステップ510の代わりに、図7のステップ412及びステップ414が実行されるようにすればよい。
上記では、帯電器5が、グリッド電極164を有するスコロトロン式の帯電器である場合を説明したが、これに限定されない。グリッド電極を有しないコロトロン式の帯電器であってもよい。
上記では、放電電極162が鋸歯状であるとしたが、これに限定されない。それ以外の形状の放電電極、例えばワイヤ状の放電電極であってもよい。放電電極の形状に応じて、標高2000mに対応する放電電圧Vcは異なるので、実験によって、判定のしきい値Vthを適宜決定することが好ましい。
上記では、帯電器5の放電電圧Vcを検出して、標高2000m超であるか否かを判定する場合を説明したが、これに限定されない。画像形成装置100が転写ユニットに放電式を採用していれば、上記と同様に、転写ユニット、具体的には転写ローラ10又は中間転写ローラ64に印加される放電電圧を検出し、所定のしきい値と比較して、標高2000m超であるか否かを判定することができる。しきい値は、予め実験により、画像形成装置の機種毎に決定される。
以上、実施の形態を説明することにより本発明を説明したが、上記した実施の形態は例示であって、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、種々変更して実施することができる。