JP5952594B2 - クラフト紙 - Google Patents

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Description

本発明は、クラフト紙、特に電線内の配線を束ねる電線巻紙用途に好適なクラフト紙に関する。
電気絶縁紙は、コンデンサーの誘導体や電力ケーブル等の各種電気機器において、電気絶縁用途に用いられている。この電気絶縁紙は巻紙としても用いられるため、絶縁性のほかに高い引張強度や伸びが求められる。
このような電気絶縁紙としては、1枚もしくは2枚のクラフト絶縁紙にポリオレフィン樹脂を結合剤として押出し機で溶融押出しして一体化させた絶縁紙(特開平10−199338号公報等参照)や、繊維紙層にあらかじめ凹凸を機械的に付与し、溶融押出しポリオレフィン層を一体化させた絶縁紙(特開昭59−25113号公報等参照)等が知られている。これらの絶縁紙は、もともと絶縁性の紙に、高い機械的特性を持つポリオレフィンをラミネートすることで、巻紙として好適な特性を有している。
しかしながら、これらの絶縁紙は、ポリオレフィン等の合成樹脂をラミネートする必要があるため、二次加工の手間が掛かり、製造コストが大きい。また、一定の厚みを有するため、例えば電線巻紙として用いる場合等に厚さの調節が難しいという不都合がある。
一方で、マニラ麻の繊維パルプを用いた電気絶縁紙も知られている。マニラ麻は引張強度と伸びに優れるため、マニラ麻を混抄した電気絶縁紙は好適な引張強度及び伸びを発揮する。しかし、このマニラ麻の繊維は叩解により結束を生じやすく、電気絶縁紙に地合斑が生じたり、巻紙用途で用いた場合、加工時に紙切れが生じたりしやすいという不都合がある。
特開平10−199338号公報 特開昭59−25113号公報
本発明は、上述のような事情に基づいてなされたものであり、単層ながらも高い引張強度及び伸びを有し、繊維結束が少なく地合に優れたクラフト紙を提供することを目的とする。
本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、従来、未叩解パルプを抄紙した紙は強度が非常に弱いため、所望する強度となるまで原料パルプを叩解処理してフィブリル化し抄紙することが行われているが、繊維が長く伸びを有する葉脈繊維パルプを結束が生じない程度にわずかに叩解するか、あるいは叩解しないで、クラフトパルプと組み合わせて用いることによって、高い引張強度と伸びとを有し、繊維結束が少なく地合に優れるクラフト紙が得られることを見出し、本発明を完成させた。
上記課題を解決するためになされた発明は、
クラフトパルプと葉脈繊維パルプとを混合した原料パルプを抄紙することによって得られ、
上記葉脈繊維パルプのフリーネスが600ml以上であるクラフト紙である。
当該クラフト紙は、クラフトパルプと繊維長の長い葉脈繊維パルプとを組み合わせることにより、葉脈繊維パルプの長繊維によって伸びが確保される一方で、クラフトパルプが葉脈パルプ繊維に絡まることによって高い引張強度が達成される。また葉脈繊維パルプのフリーネスを未叩解の状態に近い上記範囲とすることで、葉脈繊維の結束が生じないため良好な地合を得ることができる。その結果、当該クラフト紙は、高い引張強度及び伸びを有し、繊維結束が少なく地合に優れる。
上記クラフトパルプのフリーネスが300ml以上400ml以下であり、上記原料パルプ中のクラフトパルプの含有率が70質量%以上90質量%以下、上記葉脈繊維パルプの含有率が10質量%以上30質量%以下であるとよい。このようにクラフトパルプのフリーネスと、クラフトパルプ及び葉脈繊維パルプの含有率とをそれぞれ上記範囲とすることによって、当該クラフト紙に高い引張強度及び伸びを付与しつつ、葉脈繊維パルプの結束による紙切れの発生を抑制することができる。
上記葉脈繊維パルプの繊維長が3.0mm以上10.0mm以下、繊維粗度が0.05mg/m以上0.15mg/m以下であるとよい。このように葉脈繊維パルプの繊維長及び繊維粗度を上記範囲とすることによって、葉脈繊維パルプがクラフトパルプと絡んで密に存在する構造が得られるため、当該クラフト紙は、高い引張強度を発揮し、また繊維の結束を抑制できる。
上記葉脈繊維パルプの原料がマニラ麻であるとよい。マニラ麻は、繊維が細かく強度及び抄紙後の地合に優れるため、マニラ麻の葉脈繊維パルプを原料として用いることで当該クラフト紙の引張強度及び地合を向上させることができる。
当該クラフト紙は、坪量が20g/m以上40g/m以下、引張強度が3.8kN/m以上、伸びが2.9%以上4.5%以下であるとよい。当該クラフト紙は、坪量、引張強度及び伸びを上記範囲とすることによって、電線巻紙としての用途に好適に用いることができる。
以上の特性から、本発明のクラフト紙は電気絶縁紙、特には電線巻紙として好適に用いることができる。
ここで、「フリーネス」とは、JIS−P8121に準拠して測定される値である。「繊維長」とは、質量加重平均繊維長を意味し、JIS−P8226に準拠して測定される値である。「繊維粗度」とは、メッツォオートメーション株式会社製「FiberLab繊維長測定機」を用いて測定される値である。「坪量」とは、JIS−P8124に準拠して測定される値である。「引張強度」及び「伸び」とは、クラフト紙の縦目方向の引張強度及び引張破断伸びを意味し、それぞれJIS−P8113に準拠して測定される値である。
以上説明したように、当該クラフト紙は、単層構造でありながら高い引張強度及び伸びを有し、繊維結束が少なく地合に優れる。そのため、当該クラフト紙は、各種電気機器用の電気絶縁紙として、特に電線巻紙用クラフト紙として好適に用いることができる。
以下、本発明の実施形態を詳説する。
本発明のクラフト紙は、クラフトパルプと葉脈繊維パルプとを混合した原料パルプを抄紙することによって得られ、
上記葉脈繊維パルプのフリーネスが600ml以上であることを特徴とする。
以下、当該クラフト紙を構成するのに好適な原料及び当該クラフト紙の製造方法について説明する。
<クラフトパルプ>
当該クラフト紙に用いるクラフトパルプとしては、例えば、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)、針葉樹半晒クラフトパルプ(NSBKP)等の針葉樹クラフトパルプ、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、広葉樹半晒クラフトパルプ(LSBKP)等の広葉樹クラフトパルプなどを挙げることができる。当該クラフト紙は、原料としてこれらのクラフトパルプを単独で又は複数組み合わせて用いることができる。
上記クラフトパルプの中でも、繊維長が長い針葉樹クラフトパルプがクラフト紙の引張強度及び伸びを高める観点から好ましい。また、針葉樹クラフトパルプの中でもNBKPが特に好ましい。NBKPは、晒すことによってリグニンが溶出して繊維が膨潤するため、紙に柔軟性を与えることができる。
当該クラフト紙に用いるクラフトパルプは叩解されていることが好ましく、そのフリーネスとしては、300ml以上400ml以下が好ましく、330ml以上370ml以下がより好ましい。クラフトパルプのフリーネスが上記範囲未満の場合、クラフトパルプ繊維のフィブリル化率が高くなって葉脈繊維パルプ間の隙間を十分に充填することができず、当該クラフト紙が十分な伸び特性を発揮できないおそれがある。逆に、クラフトパルプのフリーネスが上記範囲を超える場合、クラフトパルプ繊維と葉脈繊維パルプとの接着性が低下し、当該クラフト紙の引張強度が低下し、電線巻紙として適した引張強度を有さないおそれがある。
当該クラフト紙に用いるクラフトパルプの繊維長としては、特に限定されるものではないが、2mm以上4mm以下が好ましい。また、クラフトパルプの繊維粗度としては、特に限定されるものではないが、0.1mg/m以上0.3mg/m以下が好ましい。
<葉脈繊維パルプ>
当該クラフト紙に用いる葉脈繊維パルプとしては、例えば、サイザル麻、マニラ麻、ヘニケン麻、ニュージーランド麻、クラワ、バナナ、パイナップル等の繊維パルプを用いることができる。これらの中でも、繊維が細かく強度及び伸びに優れるマニラ麻を用いることが特に好ましい。
さらに当該クラフト紙に用いる葉脈繊維パルプとしては、フリーネスが600ml以上のものを用いるが、フリーネスが650ml以上がより好ましく、フリーネスが660ml以上である未叩解の葉脈繊維パルプが特に好ましい。葉脈繊維パルプのフリーネスが上記範囲未満の場合、叩解により葉脈繊維パルプの結束が生じて地合斑が発生するおそれや、電線巻紙として用いるためのスリット加工時に紙切れが生じやすくなるおそれがある。また、葉脈繊維パルプがフィブリル化率の上昇によってクラフトパルプと絡みにくくなって、当該クラフト紙が十分な伸び特性を発揮できないおそれがある。また、繊維の結束が生じやすくなり当該クラフト紙の地合が低下し電線巻紙として電気絶縁性の均一性が低下するおそれがある。
当該クラフト紙に用いる葉脈繊維パルプの繊維長としては、3.0mm以上10.0mm以下が好ましく、繊維長が3.5mm以上5.0mm以下がより好ましい。葉脈繊維パルプの繊維長が上記範囲未満の場合、当該クラフト紙の引張強度及び伸びが低下し電線巻紙に適さなくなるおそれがある。逆に、葉脈繊維パルプの繊維長が上記範囲を超える場合、繊維の結束が生じやすくなり当該クラフト紙の地合が低下するおそれがある。
また当該クラフト紙に用いる葉脈繊維パルプの繊維粗度としては、0.05mg/m以上0.15mg/m以下が好ましく、0.09mg/m以上0.13mg/m以下がより好ましい。葉脈繊維パルプの繊維粗度が上記範囲未満の場合、当該クラフト紙の引張強度及び伸びが低下するおそれがある。逆に、葉脈繊維パルプの繊維粗度が上記範囲を超える場合、葉脈繊維パルプの接着性が低下して当該クラフト紙の引張強度が低下するおそれがあるほか、繊維の結束が生じやすくなり当該クラフト紙の地合が低下するおそれがある。
当該クラフト紙の原料パルプ中のクラフトパルプの含有率としては、70質量%以上90質量%以下が好ましく、75質量%以上85質量%以下がさらに好ましい。同時に、原料パルプ中の葉脈繊維パルプの含有率としては、10質量%以上30質量%以下が好ましく、15質量%以上25質量%以下がさらに好ましい。葉脈繊維パルプの含有率が上記範囲未満の場合、繊維が長く伸びを有する葉脈繊維パルプに起因する引張強度及び伸びの向上効果が減少し、当該クラフト紙が電線巻紙に適さなくなるおそれがある。逆に、葉脈繊維パルプの含有率が上記範囲を超える場合、葉脈繊維パルプとクラフトパルプの絡みが減少し、当該クラフト紙の引張強度及び伸びが十分確保できず当該クラフト紙が電線巻紙に適さなくなるおそれがある。
以上のように、クラフトパルプと葉脈繊維パルプとを材料として用い、葉脈繊維パルプのフリーネスを600ml以上とすることに加えて、上記葉脈繊維パルプの原料としてマニラ麻を用い、クラフトパルプのフリーネスを300ml以上400ml以下とし、加えて原料パルプ中のクラフトパルプの含有率を70質量%以上90質量%以下、上記葉脈繊維パルプの含有率を10質量%以上30質量%以下とすることにより、電線巻紙用として、さらに優れた引張強度及び伸びを有した単層構造のクラフト紙を得ることができる。
当該クラフト紙は、原料の繊維として、上記クラフトパルプ及び葉脈繊維パルプのみを含有することが好ましいが、これら以外の繊維を原料として含有していてもよい。この繊維としては、例えば、上記クラフトパルプ及び葉脈繊維パルプ以外の天然繊維パルプや、古紙パルプ等を用いることができる。上記クラフトパルプ及び葉脈繊維パルプ以外の繊維の含有量としては、例えば10質量%以下が好ましい。
<添加剤>
当該クラフト紙の原料パルプには、サイズ剤、紙力増強剤、填料、消泡剤、紙厚向上剤、歩留向上剤、分散剤等の通常クラフト紙に配合される種々の添加剤を、その種類及び配合量を適宜調整して用いることができる。
上記サイズ剤としては、例えば、酸性抄紙用ロジンサイズ剤、中性抄紙用変性ロジンサイズ剤、アルケニルコハク酸系サイズ剤、アルキルケテンダイマー系サイズ剤、アルケニル無水コハク酸系サイズ剤、ワックス系サイズ剤、スチレン樹脂系サイズ剤、オレフィン樹脂系サイズ剤、スチレン−アクリル樹脂系サイズ剤、高級脂肪酸系サイズ剤、カチオンポリマー型サイズ剤等を挙げることができる。
上記サイズ剤の配合量としては、全パルプ固形分に対して固形分で0.2質量%以下が好ましく、0.05質量%以上0.2質量%以下がさらに好ましい。サイズ剤の配合量が上記範囲未満の場合、当該クラフト紙が十分なサイズ性を発揮することができないおそれがある。逆に、サイズ剤の配合量が上記範囲を超える場合、乾燥状態において当該クラフト紙の柔軟性が低下するおそれがある。また、フェルト目詰まりやスライム発生が生じやすくなり、操業効率の低下に繋がるおそれがある。
上記紙力増強剤としては、例えば、ポリアクリルアミド、カチオン澱粉、CMC、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。これらの紙力増強剤の中でも、自己定着機能を有し、抄紙系内の電荷を安定的に維持することができる両性ポリアクリルアミドが好ましい。
両性ポリアクリルアミドの含有量としては、固形分換算でパルプ原料に対して0.1質量%以上1.0質量%以下が好ましく、0.5質量%以上0.7質量%以下がより好ましい。両性ポリアクリルアミドの含有量が上記範囲を超える場合、凝集欠陥等が増え、操業性が低下するおそれや、密度が高くなることでしなやかさが低下し、加工適性が悪化するおそれがある。一方、両性ポリアクリルアミドの含有量が上記範囲未満の場合、紙力増強効果が十分得られないおそれがある。
紙力増強剤として両性ポリアクリルアミドを使用する場合には、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂系紙力剤を併用することが好ましい。ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂系紙力剤は、パルプ原料中に存在するアニオン性夾雑物等を封鎖する機能を有する。そのため、分子量の大きいポリアクリルアミドがパルプ原料中に存在するアニオン性夾雑物等を取り込むことを防止することができ、両性ポリアクリルアミドのパルプへの定着率を向上することができる。その結果、優れた紙力増強効果が得られ、当該クラフト紙の引張強度がさらに向上し、より優れた電線巻紙としての加工適性が得られる。
ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂系紙力剤の含有量としては、固形分換算でパルプ原料に対して0.1質量%以上1.2質量%以下が好ましく、0.5質量%以上0.9質量%以下がより好ましい。ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂系紙力剤の含有量が上記範囲を超える場合、凝集欠陥等が増え、操業性が低下するおそれや、密度が高くなることでしなやかさが低下し、加工適性が悪化するおそれがある。一方、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂系紙力剤の含有量が上記範囲未満の場合、紙力増強効果が十分得られないおそれがある。
上記填料としては、例えば、再生粒子、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、サチンホワイト、ケイ酸アルミニウム、ケイソウ土、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、合成シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料;スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等があげられる。
上記消泡剤としては、例えば、界面活性剤系やシリコン系の消泡剤を用いることができる。これらの消泡剤の配合量としては、全パルプ固形分に対して固形分で0.4質量%以上1.0質量%以下が好ましく、0.5質量%以上0.7質量%以下がより好ましい。消泡剤の配合量が上記範囲未満の場合、十分な消泡効果が得られず繊維の接着強度が低下して当該クラフト紙が断紙しやすくなるおそれがある。逆に、消泡剤の配合量が上記範囲を超える場合、当該クラフト紙の地合が悪化し、電線巻紙として用いた場合の電気絶縁性の均一性が低下するおそれがある。
<クラフト紙>
当該クラフト紙の坪量としては、20g/m以上40g/m以下が好ましく、30g/m以上37g/m以下がより好ましい。当該クラフト紙の坪量が上記範囲未満の場合、当該クラフト紙の引張強度が十分得られないおそれや所望の紙厚が得られないおそれがある。逆に、当該クラフト紙の坪量が上記範囲を超える場合、紙厚が厚くなりすぎ電線巻紙として用いた場合にカバー内にきれいに収めることが難しくなるおそれがある。
当該クラフト紙の紙厚としては、25μm以上60μm以下が好ましく、40μm以上55μm以下が好ましい。当該クラフト紙の紙厚が上記範囲未満の場合、引張強度が低下し、断紙しやすくなるおそれがある。逆に、当該クラフト紙の紙厚が上記範囲を超える場合、紙厚のムラが発生するおそれがあるほか、紙厚が厚くなりすぎ電線巻紙として用いた場合にカバー内にきれいに収めることが難しくなるおそれがある。
当該クラフト紙の密度としては、0.65g/cm以上0.80g/cm以下が好ましく、0.67g/cm以上0.73g/cm以下がより好ましい。当該クラフト紙の密度が上記範囲未満の場合、引張強度が十分得られないおそれがある。逆に、当該クラフト紙の密度が上記範囲を超える場合、当該クラフト紙の柔軟性が低下するおそれがある。
なお、当該クラフト紙の紙厚及び密度は、例えば、繊維の種類、繊維長、繊維粗度、配合質量割合、坪量等を変化させることによって適宜調節することができる。
当該クラフト紙は、縦目方向の引張強度が3.8kN/m以上であることが好ましく、5.0kN/m以上であることがより好ましい。当該クラフト紙の引張強度が上記範囲未満の場合、当該クラフト紙を電線にらせん状に巻きつける際に紙が切れやすくなるおそれがある。当該クラフト紙の縦目方向の引張強度は、例えば、繊維の種類、繊維長、繊維粗度、配合質量割合、坪量等を変化させることによって適宜調節することができる。
当該クラフト紙は、縦目方向の伸びが2.9%以上4.5%以下であることが好ましく、3.7%以上4.2%以下であることがより好ましい。当該クラフト紙の伸びが上記範囲未満の場合、紙が断裂しやすくなり4mm程度の幅にスリット加工を行う際に、紙切れが生じやすくなるおそれがある。逆に、当該クラフト紙の伸びが上記範囲を超える場合、電線にらせん状に巻きつける際の寸法や厚みの安定性が低下し斑が生じるおそれがある。
当該クラフト紙は、上記範囲のフリーネスを有する繊維の長い葉脈繊維パルプとクラフトパルプとを配合した原料から抄紙されるため引張強度及び伸びが高く、繊維結束が少なく地合に優れる。特に上記範囲のフリーネスを有するクラフトパルプと葉脈繊維パルプの原料パルプ中の含有率を上記範囲とすることで葉脈繊維パルプがクラフトパルプと絡んで密に存在する構造が得られるため、さらに高い引張強度を発揮し、繊維結束が少なく地合に優れる。さらに当該クラフト紙は、坪量、引張強度及び伸びが上述した範囲であることによって、各種電気機器用の電気絶縁紙として、特に複数の電線を束ねコード内において緩衝材として機能する電線巻紙として好適に用いることができる。
<クラフト紙の製造方法>
当該クラフト紙は、上述のクラフトパルプ及び葉脈繊維パルプを混合した原料を抄紙することによって製造することができる。
本発明のクラフト紙は、原料パルプスラリーに、必要に応じて各種添加剤を添加したスラリーを、例えばワイヤーパート、プレスパート、塗工設備、ヤンキードライヤー等を備えた通常の抄紙機にて抄紙し、得ることができる。また、抄紙機としては、例えば長網式抄紙機、オントップ式抄紙機、ツインワイヤー式抄紙機、円網式抄紙機、短網式抄紙機等の通常の湿式抄紙機を使用することができる。この中で円網抄紙機は、地合の均一性を確保できるので本発明のような低坪量の抄紙に適しており、また、縦方向の紙力強度を高めることができる点で好ましい。
本発明のクラフト紙は上記抄紙機で抄紙後、紙厚、強度等を調整する目的で、カレンダに通紙して加圧仕上げが施される。この場合のカレンダ装置としては、例えば、チルドカレンダや、金属ロールと弾性ロールとの組み合わせからなるソフトカレンダ等が適宜使用できる。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、本実施例における各測定値は、以下の方法にて測定した値である。
[繊維長(単位:mm)]
JIS−P8226(2006)「パルプ−光学的自動分析法による繊維長測定方法−第1部:偏光法」に準拠して質量加重平均繊維長をメッツォオートメーション株式会社製「FiberLab繊維長測定機」を用いて測定した。
[繊維粗度(単位:mg/m)]
メッツォオートメーション株式会社製「FiberLab繊維長測定機」を用いて測定した。
[フリーネス(単位:ml)]
JIS−P8121(1995)「パルプのろ水度試験方法」に準拠してカナダ標準ろ水度を測定した。
[坪量(単位:g/m)]
JIS−P8124(1998)「紙及び板紙−坪量の測定方法」に準拠して測定した。
[紙厚(単位:μm)]
JIS−P8118(1998)「紙及び板紙−厚さ及び密度の試験方法」に準拠して測定した。
[密度(単位:g/cm)]
JIS−P8118(1998)「紙及び板紙−厚さ及び密度の試験方法」に準拠して測定した。
[引張強度(単位:kN/m)]
JIS−P8113(2006)「紙及び板紙−引張特性の試験方法−第2部:定速伸張法」に準拠して縦目方向の引張強度を測定した。
[伸び(単位:%)]
JIS−P8113(2006)「紙及び板紙−引張特性の試験方法−第2部:定速伸張法」に準拠して縦目方向の引張破断伸びを測定した。
また、本実施例においては、以下の品質評価を行った。
[繊維結束]
クラフト紙の表面について以下の評価基準で評価を行った。
(評価基準)
○:紙面に繊維結束がなく、地合の斑が存在しない。
△:紙面の一部に繊維結束があり、地合の斑が若干存在する。
×:紙面の全面に繊維結束があり、地合の斑が著しい。
以下においては、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を、薬品添加量はパルプ絶乾質量当たりの固形分添加量(質量%)を示す。
[実施例1]
第一原料繊維パルプとして、繊維長が2.96mm、繊維粗度が0.17mg/m、フリーネスが350mlのNBKPを90質量%、第二原料繊維パルプとして、繊維長が4.03mm、繊維粗度が0.11mg/m、フリーネスが685mlの未叩解のマニラ麻繊維パルプを10質量%配合したパルプ原料を調製した。このパルプ原料に対し、対絶乾パルプ質量%として、両性ポリアクリルアミド(星光PMC株式会社製、DS4788)を0.6%、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂系紙力剤(星光PMC株式会社製、WS4024)を0.75%、硫酸バンドを0.1%(有姿濃度)添加した。
上記パルプ原料を用いて、円網抄紙機にてクラフト紙を製造した。なお、クラフト紙の坪量は35g/mとし、ドライヤーの温度は約120℃とした。
得られたクラフト紙の紙厚、密度、縦目方向の引張強度及び伸びを計測した結果、紙厚は51μmであり、密度は0.69g/cmであり、引張強度は5.2kN/mであり、伸びは3.8%であった。
[実施例2〜11及び比較例1〜6]
第一原料繊維パルプの種類、フリーネス及び配合量、並びに第二原料繊維パルプの種類、フリーネス及び配合量を表1に示すとおりとした他は実施例1と同様の操作を行い実施例2〜11及び比較例1〜6のクラフト紙を製造した。なお、実施例9〜11の坪量は表1に示すとおりとした。また、比較例1及び2は、NBKPのみを原料パルプとして用い、比較例5及び6は、マニラ麻繊維パルプのみを原料パルプとして用いた。
得られたクラフト紙の紙厚、密度、縦目方向の引張強度及び伸びを計測した。各計測結果については表1に示す。
また、実施例1〜11及び比較例1〜6で得られた各クラフト紙の繊維結束(地合)について上述の方法で評価を行った。評価結果について、表1に示す。
Figure 0005952594
表1の結果から示されるように、実施例1〜11のクラフト紙は、一定の引張強度及び伸びを有し、また繊維結束が少なく地合に優れる。一方で、比較例1〜6のクラフト紙は、引張強度又は伸びを十分に有しないか、繊維結束が多く地合が悪いため、実使用に適さない。
以上のように、本発明のクラフト紙は、単層構造でありながら高い引張強度及び伸びを有し、繊維結束が少なく地合に優れる。そのため当該クラフト紙は、各種電気機器用の電気絶縁紙として、特に電線巻紙として好適に用いることができる。

Claims (4)

  1. クラフトパルプと葉脈繊維パルプとを混合した原料パルプを抄紙することによって得られ、
    上記クラフトパルプのフリーネスが300ml以上400ml以下、上記葉脈繊維パルプのフリーネスが600ml以上であり、
    上記原料パルプ中のクラフトパルプの含有率が70質量%以上80質量%以下、上記葉脈繊維パルプの含有率が20質量%以上30質量%以下であり、
    電線巻紙として用いられるクラフト紙。
  2. 上記葉脈繊維パルプの繊維長が3.0mm以上10.0mm以下、繊維粗度が0.05mg/m以上0.15mg/m以下である請求項1に記載のクラフト紙。
  3. 上記葉脈繊維パルプの原料がマニラ麻である請求項1又は請求項2に記載のクラフト紙。
  4. 坪量が20g/m以上40g/m以下、縦目方向の引張強度が3.8kN/m以上、縦目方向の伸びが2.9%以上4.5%以下である請求項1、請求項2又は請求項3に記載のクラフト紙。
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