JP5950952B2 - 超電導ケーブル、および、超電導ケーブルの終端部構造 - Google Patents
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Description
断熱管は、内管と外管とからなる二重構造がとられており、内管と外管の間は真空引きがなされている。内管の内部には、液体窒素などの冷媒で循環され、極低温状態で送電が行われている。
液体窒素などの冷媒輸送には、同一の超電導ケーブル内部において冷媒を送り、かつ、冷媒を戻す、所謂ゴー・リターン(go−return)方式が採用される場合がある。ゴー・リターン方式のメリットは、見かけ上一本の冷媒流路で冷媒循環を行うことにより冷媒の戻り配管を不要とできる点にある(特許文献1参照)。
また、超電導ケーブルの冷媒輸送において、圧力損失を低減する目的で、断熱管内に細い冷媒流路を設けることが提案されている(特許文献2参照)。
特許文献2においても、圧力損失を低減する目的で断熱管内に細い冷媒流路を設けているが、真空断熱がなされていない。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、超電導ケーブルの冷媒輸送をゴー・リターン方式によるにもかかわらず、両流路での熱交換を認めずに冷却効率が下がらない超電導ケーブルを提供することを目的とする。
本発明では、超電導ケーブルの冷媒輸送をゴー・リターン方式による場合、外側断熱管と、外側断熱管内に収容された内側断熱管とを有するため、両流路での熱交換が行われないため、冷却効率が下がらない。
また、本発明では、超電導導体を有するケーブルコアと、前記ケーブルコアを収容する外側断熱管と、前記外側断熱管内に収容された内側断熱管と、を有し、前記外側断熱管は前記ケーブルコアとの間に第1の冷媒流路を有し、前記内側断熱管は内部に前記第1の冷媒流路内の液体冷媒の流れと逆方向に流れる第2の冷媒流路を有し、前記内側断熱管は、前記ケーブルコアと独立して配置されていることを特徴とする。
前記第1の冷媒流路内の液体冷媒の温度が、前記第2の冷媒流路内の液体冷媒の温度よりも低くしてもよい。
前記内側断熱管は長手方向において、断熱区間と非断熱区間を有してもよい。
前記ケーブルコアは、前記内側断熱管の外周に前記超電導導体が配置されてもよい。
図1は、本発明の実施形態に係る超電導ケーブル装置1を、終端部を中心に図示した側面断面図である。
超電導ケーブル装置1は、超電導ケーブル50を備え、超電導ケーブル50の一端(右端)には、冷媒を供給する供給側終端部10を備え、他端(左端)には、冷媒を戻す戻し側終端部30を備えて構成されている。
ケーブルコア70は、電気絶縁層72、超電導導体層(超電導導体)73、電気絶縁層74、超電導シールド層75等により構成されている。
電気絶縁層72は、絶縁性紙類、例えば絶縁紙、絶縁紙とポリプロピレンフィルムを接合した半合成紙、高分子不織布テープなどで構成することが可能であるが、ここでは絶縁紙を使用する場合を例示する。
超電導層を構成する超伝導体には、例えば、液体窒素温度以上で超電導を示すRE形超伝導体、イットリウム系超伝導体、が代表的である。また、金属マトリクス中に超伝導体が形成されているテープ状の超電導線材でもよい。この超伝導体には、ビスマス系超伝導体を適用できる。
超電導シールド層75は、電気絶縁層74の外周に複数の超電導線材を螺旋状に巻回することにより形成される。超電導シールド層75には、定常運転時に電磁誘導によって超電導導体層73に流れる導体電流とほぼ同じ電流が逆位相で流れる。超電導シールド層75を構成する超電導線材には、超電導導体層73と同様のものを適用してもよく、異なる種類の超電導線材を適用してもよい。
断熱内管62内部には冷媒(例えば、液体窒素。)が充填され、冷媒復路(第2の冷媒流路、リターン)61とされている。断熱内管62と断熱外管63との間には、例えばアルミニウムを蒸着したポリエチレンフィルムの積層体で構成された多層断熱層(スーパーインシュレーション)64が介在し、真空状態(真空層)に保持される。
また、断熱外管63の外周は、ポリ塩化ビニルやポリエチレンなど不図示の防食層で被覆されている。断熱外管63の外周には、絶縁紙を巻回することにより積層状態で、上述した電気絶縁層72が形成されている。
断熱内管82と断熱外管83との間には、例えばアルミを蒸着したポリエチレンフィルムの積層体で構成された多層断熱層(スーパーインシュレーション)84が介在し、真空状態に保持される。断熱内管82内部には、冷媒(例えば、液体窒素。)が充填され、冷媒往路(第1の冷媒流路、ゴー)81とされている。また、断熱外管83の外周は、ポリ塩化ビニルやポリエチレンなど不図示の防食層で被覆されている。
超電導ケーブル50の一端には、図1に示すように、供給側終端部10が設けられ、他端には、戻し側終端部30が設けられている。
戻し側終端部30は、戻し側ケース130を備えている。
戻し側ケース130は、超電導ケーブル50の断熱外管83に連続する断熱外管133と、超電導ケーブル50の断熱内管82に連続する断熱内管132とを備えている。各管132、133の間には、多層断熱層(スーパーインシュレーション)134が介在し、真空状態に保持されている。
供給側ケース110は、超電導ケーブル50の断熱外管83に連続する断熱外管113と、超電導ケーブル50の断熱内管82に連続する断熱内管112とを備えている。各管112、113の間には、多層断熱層(スーパーインシュレーション)114が介在し、真空状態に保持されている。
この超電導ケーブル50は、供給側終端部10から戻し側終端部30に向けて供給される冷媒により冷却される。この冷媒の供給は、図3に示すように、外側断熱管80における断熱内管82内部の冷媒往路(ゴー)81を通じて行われる。外側断熱管80は真空層により断熱されており、外部との熱交換はない。
超電導ケーブル50の冷却に供された冷媒は、内側断熱管60における断熱内管62内部の冷媒復路(リターン)61を通じて、戻し側終端部30から供給側終端部10の戻り室35に戻される。断熱内管62と断熱外管63との間は、真空状態(真空層)に保持されるため、冷媒復路(リターン)61と冷媒往路(ゴー)81との間で熱交換はない。
この冷却過程は、所謂ゴー・リターン方式であり、冷媒が循環使用されることで、効率のよい超電導ケーブル50の冷却が可能となる。
本実施の形態では、上述したように、断熱内管62と断熱外管63との間が、真空状態に保持されるため、冷媒復路(リターン)61と冷媒往路(ゴー)81との間で熱交換はほとんどない。したがって、実線で示す温度変化が現れる。これに対し、比較例(破線)では、冷媒復路(リターン)61と冷媒往路(ゴー)81との間で熱交換が行われたものとする。この場合には、破線で示す温度変化が現れる。
両終端部10、30の距離は、例えば300mと長距離であり、この長距離において、超電導ケーブル50を冷却し続けた冷媒は、供給側終端部10から戻し側終端部30に向けて、ゴーのラインL1、L3で示すように、冷却機ユニット40により冷却された直後から徐々に温度が上昇する。
戻し側終端部30から供給側終端部10に戻る際にも、リターンのラインL2、L4で示すように、徐々に温度が上昇する。
そして、冷媒往路81と、冷媒復路61のそれぞれに、真空層を備える。すなわち、冷媒往路81が真空状態である多層断熱層(スーパーインシュレーション)84の内部に構成されるのみならず、冷媒復路61も真空状態である多層断熱層(スーパーインシュレーション)64の内部に構成される。そのため、冷媒復路61に温度の上昇した冷媒を流入させ、冷媒の循環を同一の超電導ケーブル50内で行ったとしても、冷却済み冷媒の流入する冷媒往路81と、温度の上昇した冷媒の流入する冷媒復路61との熱交換を防止することができ、図4に実線で示すように、比較例と比較し、冷媒往路(ゴー)81内の温度上昇を抑制できる。
本実施の形態では、同一の超電導ケーブル50内に、冷媒往路81と、冷媒復路61とが一体に設けられるため、冷媒往路とは別の戻り配管を用いて冷媒復路を設ける必要がなく、設備の小型化に資する。
この実施形態では、図6に示すように、外側断熱管180の内側に、内側断熱管160と、ケーブルコア170とが独立して配置されている。
すなわち、本実施形態では、外側断熱管180は、断熱内管182と、断熱内管182の外周を覆うように配置された断熱外管183とによって構成される二重管構造を有している。断熱内管182と断熱外管183との間には、例えばアルミを蒸着したポリエチレンフィルムの積層体で構成された多層断熱層(スーパーインシュレーション)184が介在し、真空状態に保持される。
断熱内管182内部には、冷媒(例えば、液体窒素。)が充填され、冷媒往路(ゴー)181とされている。また、断熱外管183の外周は、ポリ塩化ビニルやポリエチレンなど不図示の防食層で被覆されている。
内側断熱管160は、断熱内管162と、断熱内管162の外周を覆うように配置された断熱外管163とによって構成される二重管構造を有している。
断熱内管162内部には冷媒(例えば、液体窒素。)が充填され、冷媒復路(リターン)161とされている。断熱内管162と断熱外管163との間には、例えばアルミニウムを蒸着したポリエチレンフィルムの積層体で構成された多層断熱層(スーパーインシュレーション)164が介在し、真空状態(真空層)に保持される。
また、断熱外管163の外周は、ポリ塩化ビニルやポリエチレンなど不図示の防食層で被覆されている。
戻し側終端部230は、戻し側ケース330を備えている。
戻し側ケース330は、超電導ケーブル150の断熱外管183に連続する断熱外管333と、超電導ケーブル150の断熱内管182に連続する断熱内管332とを備えている。各管332、333の間には、多層断熱層(スーパーインシュレーション)334が介在し、真空状態に保持されている。
供給側ケース410は、超電導ケーブル150の断熱外管183に連続する断熱外管413と、超電導ケーブル150の断熱内管182に連続する断熱内管412とを備えている。各管412、413の間には、多層断熱層(スーパーインシュレーション)414が介在し、真空状態に保持されている。
戻し側終端部230の内部は、仕切り板415により、戻り室435と、供給室436とに仕切られている。超電導ケーブル150の右端の冷媒往路(ゴー)181は、戻り室435に連通する。また、超電導ケーブル150の右端の冷媒復路(リターン)161は、仕切り板415を貫通し、供給室436に連通している。戻り室435と、供給室436とは配管431を介して連通している。
超電導ケーブル150の冷却に供された冷媒は、内側断熱管160における断熱内管162内部の冷媒復路(リターン)161を通じて、戻し側終端部230から供給側終端部210の戻り室35に戻される。断熱内管162と断熱外管163との間は、真空状態(真空層)に保持されるため、冷媒復路(リターン)161と冷媒往路(ゴー)181との間で熱交換はない。この冷却過程は、所謂ゴー・リターン方式であり、冷媒が循環使用されることで、効率のよい超電導ケーブル150の冷却が可能となる。
すなわち、冷媒往路181が真空状態である多層断熱層(スーパーインシュレーション)184の内部に構成されるのみならず、冷媒復路161も真空状態である多層断熱層(スーパーインシュレーション)164の内部に構成される。そのため、冷媒復路161に温度の上昇した冷媒を流入させ、冷媒の循環を同一の超電導ケーブル150内で行ったとしても、冷却済み冷媒の流入する冷媒往路181と、温度の上昇した冷媒の流入する冷媒復路161との熱交換を防止することができる。
したがって、例えば図4に実線で示すように、比較例と比較し、冷媒往路(ゴー)181内の温度上昇を抑制できる。
また、同一の超電導ケーブル150内に、冷媒往路181と、冷媒復路161とが一体に設けられるため、冷媒往路とは別の戻り配管を用いて冷媒復路を設ける必要がなく、設備の小型化に資する。
上記実施形態では、内側断熱管60、160は長手方向において、すべて真空断熱したが、これに限定されない。例えば、図4を参照し、戻し側終端部30、230に近い部位では、ゴー・リターンいずれも温度差が少なく、熱交換する恐れが少ない。したがって、この区間を真空断熱しない非断熱区間としてもよい。
また、内側断熱管60、160は、一つの管として説明したが、これに限定されず、例えば複数の管で構成してもよい。この場合において、すべての管を例えば真空断熱することは云うまでもない。
10 供給側終端部
30 戻し側終端部
50 超電導ケーブル
60 内側断熱管
61 冷媒復路(第2の冷媒流路、リターン)
62 断熱内管
63 断熱外管
70 ケーブルコア
80 外側断熱管
81 冷媒往路(第1の冷媒流路、ゴー)
82 断熱内管
83 断熱外管
Claims (7)
- 超電導導体を有するケーブルコアと、
前記ケーブルコアを収容する外側断熱管と、
前記外側断熱管内に収容された内側断熱管と、を有し、
前記外側断熱管は前記ケーブルコアとの間に第1の冷媒流路を有し、前記内側断熱管は内部に前記第1の冷媒流路内の液体冷媒の流れと逆方向に流れる第2の冷媒流路を有し、
前記ケーブルコアは、前記内側断熱管の外周に前記超電導導体が配置されて形成されていることを特徴とする超電導ケーブル。 - 超電導導体を有するケーブルコアと、
前記ケーブルコアを収容する外側断熱管と、
前記外側断熱管内に収容された内側断熱管と、を有し、
前記外側断熱管は前記ケーブルコアとの間に第1の冷媒流路を有し、前記内側断熱管は内部に前記第1の冷媒流路内の液体冷媒の流れと逆方向に流れる第2の冷媒流路を有し、
前記内側断熱管は、前記ケーブルコアと独立して配置されていることを特徴とする超電導ケーブル。 - 前記各断熱管は真空層を有することを特徴とする請求項1又は2記載の超電導ケーブル。
- 前記第1の冷媒流路内の液体冷媒の温度が、前記第2の冷媒流路内の液体冷媒の温度よりも低いことを特徴とする請求項1乃至3記載の超電導ケーブル。
- 前記内側断熱管は長手方向において、断熱区間と非断熱区間を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の超電導ケーブル。
- 請求項1に記載の超電導ケーブルの一端に配置され、前記超電導ケーブルの前記第1の冷媒流路に冷媒を供給する供給側終端部と、
前記超電導ケーブルの他端に配置され、前記超電導ケーブルの前記第2の冷媒流路を経て、前記供給側終端部に冷媒を戻す戻し側終端部と、を備え、
前記戻し側終端部にポンプユニットを配置し、前記供給側終端部に冷却機ユニットを配置した、ことを特徴とする超電導ケーブルの終端部構造。 - 請求項2に記載の超電導ケーブルの一端に配置され、前記超電導ケーブルの前記第1の冷媒流路に冷媒を供給する供給側終端部と、
前記超電導ケーブルの他端に配置され、前記超電導ケーブルの前記第2の冷媒流路を経て、前記供給側終端部に冷媒を戻す戻し側終端部と、を備え、
前記供給側終端部にポンプユニットと冷却機ユニットとを配置した、ことを特徴とする超電導ケーブルの終端部構造。
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