JP5949787B2 - 内燃機関の燃焼状態検出装置 - Google Patents

内燃機関の燃焼状態検出装置 Download PDF

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Description

この発明は、内燃機関の燃焼状態検出装置に係り、特に、筒内圧センサを利用した内燃機関の燃焼状態検出装置に関する。
従来、例えば特許文献1には、筒内圧センサを備える内燃機関の制御装置が開示されている。この従来の制御装置は、筒内圧センサにより検出される筒内圧力に基づいて筒内の発熱量の指標となる指標値を算出する。そして、この指標値に基づいてプレイグニッションの発生を検出することとしている。
特開2012−225321号公報 特開2008−069713号公報 特開2013−104407号公報 国際公開第2012/147193号
筒内圧センサの出力は、一般的に、出力値に含まれるオフセットずれを解消するための絶対圧補正がなされた後の値が使用される。このような絶対圧補正が正しく行われていないと、筒内圧センサの出力を用いて算出される発熱量(算出発熱量)にずれが生じてしまう。その結果、算出発熱量を利用してプレイグニッションの検出などの燃焼状態の把握を精度良く行えなくなる可能性がある。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、筒内圧センサにより検出される筒内圧力の絶対圧補正が正しく行われていない場合であっても、燃焼による筒内の実発熱量を正確に推定することのできる内燃機関の燃焼状態検出装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、内燃機関の燃焼状態検出装置であって、
クランク角度を取得するクランク角度取得手段と、
筒内圧力を検出する筒内圧センサと、
前記筒内圧センサにより検出される筒内圧力に対して絶対圧補正を施した後の筒内圧力と前記クランク角度取得手段により取得されるクランク角度とを用いて、燃焼期間を介在するクランク角期間として想定されたクランク角期間であって吸気弁の閉じ時期よりも遅角側かつ排気弁の開き時期よりも進角側に位置するクランク角期間を対象として、クランク角度同期での筒内の発熱量のデータである算出発熱量データを算出する発熱量算出手段と、
を備える往復動型の内燃機関の燃焼状態検出装置であって、
圧縮行程中のクランク角度を第1クランク角度とし、膨張行程中のクランク角度であって前記第1クランク角度での筒内容積と同じ筒内容積が得られるクランク角度を第2クランク角度とし、前記第1クランク角度での発熱量として前記発熱量算出手段により算出される算出発熱量を第1算出発熱量とし、前記第2クランク角度での発熱量として前記発熱量算出手段により算出される算出発熱量を第2算出発熱量とし、前記第1算出発熱量と前記第2算出発熱量との差分を発熱量変化量とした場合に、前記第1クランク角度が燃焼開始点よりも進角側に位置し、かつ、前記第2クランク角度が燃焼終了点よりも遅角側に位置するという条件を満たす一対の前記第1クランク角度および前記第2クランク角度に関する前記発熱量変化量最大実発熱量として推定する最大実発熱量推定手段を備えることを特徴とする。
また、第2の発明は、第1の発明において、
前記クランク角期間を対象として、クランク角度同期での前記発熱量変化量のデータである発熱量変化量データを算出する発熱量変化量算出手段をさらに備え、
前記最大実発熱量推定手段は、前記発熱量変化量データの最大値を用いて最大実発熱量を推定することを特徴とする。
また、第3の発明は、第1または第2の発明において、
前記クランク角期間を対象として、クランク角度同期での前記発熱量変化量のデータである発熱量変化量データを算出する発熱量変化量算出手段をさらに備え、
前記発熱量変化量算出手段は、発熱量変化量を前記第2算出発熱量から前記第1算出発熱量を引いて得られる値として算出し、かつ、前記算出発熱量データを用いて発熱量変化量データを前記第2クランク角度に関連付けて取得するものであって、
燃焼開始点が圧縮上死点よりも進角側のクランク角度となり燃焼終了点が圧縮上死点よりも遅角側のクランク角度となる通常燃焼時に、燃焼質量割合が所定割合となる時のクランク角度である所定割合燃焼点を取得する第1の燃焼点取得手段をさらに備え、
前記第1の燃焼点取得手段は、前記発熱量変化量データにおいて発熱量変化量が最大値に到達する時の発熱量変化量最大クランク角度を燃焼終了点とみなし、かつ、圧縮上死点を間に介して当該発熱量変化量最大クランク角度の反対側に位置するクランク角度であって前記発熱量変化量最大クランク角度での筒内容積と同じ筒内容積が得られるクランク角度を燃焼開始点とみなして得られるみなし燃焼期間中の前記算出発熱量データに基づいて、前記通常燃焼時の前記所定割合燃焼点を取得することを特徴とする。
また、第4の発明は、第3の発明において、
前記第1の燃焼点取得手段は、前記算出発熱量データに基づく圧縮上死点付近の算出発熱量もしくは前記発熱量変化量データに基づく圧縮上死点付近の発熱量変化量の変化率が所定値よりも大きい場合に、前記通常燃焼時であると判断することを特徴とする。
また、第5の発明は、第1〜第4の発明の何れか1つにおいて、
前記クランク角期間を対象として、クランク角度同期での前記発熱量変化量のデータである発熱量変化量データを算出する発熱量変化量算出手段をさらに備え、
前記発熱量変化量算出手段は、発熱量変化量を前記第2算出発熱量から前記第1算出発熱量を引いて得られる値として算出し、かつ、前記算出発熱量データを用いて発熱量変化量データを前記第2クランク角度に関連付けて取得するものであって、
燃焼開始点が圧縮上死点と同じか圧縮上死点よりも遅角側のクランク角度となる遅角燃焼時に、燃焼質量割合が所定割合となる時のクランク角度である所定割合燃焼点を取得する第2の燃焼点取得手段をさらに備え、
前記第2の燃焼点取得手段は、前記発熱量変化量データにおいて発熱量変化量がゼロから増加に転じる時のクランク角度を燃焼開始点とみなし、かつ、前記発熱量変化量データにおいて発熱量変化量が最大値に到達する時の発熱量変化量最大クランク角度を燃焼終了点とみなし、前記発熱量変化量データにおいて発熱量変化量が当該発熱量変化量の最大値に対して前記所定割合となる時の特定第2クランク角度を前記遅角燃焼時の前記所定割合燃焼点として取得することを特徴とする。
また、第6の発明は、第5の発明において、
圧縮上死点を間に介して前記特定第2クランク角度の反対側に位置するクランク角度であって前記特定第2クランク角度での筒内容積と同じ筒内容積が得られる特定第1クランク角度を取得する特定第1クランク角度取得手段をさらに備え、
前記第2の燃焼点取得手段は、前記算出発熱量データに基づく圧縮上死点付近の算出発熱量もしくは前記発熱量変化量データに基づく圧縮上死点付近の発熱量変化量の変化率が所定値以下となる場合であって、前記算出発熱量データに基づく前記特定第2クランク角度での算出発熱量の変化率が、前記算出発熱量データに基づく前記特定第1クランク角度での算出発熱量の変化率よりも大きい場合に、前記遅角燃焼時であると判断することを特徴とする。
また、第7の発明は、第1〜第6の発明の何れか1つにおいて、
前記クランク角期間を対象として、クランク角度同期での前記発熱量変化量のデータである発熱量変化量データを算出する発熱量変化量算出手段をさらに備え、
前記発熱量変化量算出手段は、発熱量変化量を前記第2算出発熱量から前記第1算出発熱量を引いて得られる値として算出し、かつ、発熱量変化量データを前記第2クランク角度に関連付けて取得するものであって、
燃焼終了点が圧縮上死点と同じか圧縮上死点よりも進角側のクランク角度となる進角燃焼時に、燃焼質量割合が所定割合となる時のクランク角度である所定割合燃焼点を取得する第3の燃焼点取得手段をさらに備え、
前記第3の燃焼点取得手段は、
前記発熱量変化量データにおいて発熱量変化量がゼロから増加に転じる時のクランク角度を燃焼終了点とみなし、かつ、前記発熱量変化量データにおいて発熱量変化量が最大値に到達する時の発熱量変化量最大クランク角度を燃焼開始点とみなし、発熱量変化量の最大値との発熱量変化量の差の絶対値が当該発熱量変化量の最大値に対して前記所定割合となる時の特定第2クランク角度を取得する特定第2クランク角度取得手段と、
圧縮上死点を間に介して前記特定第2クランク角度の反対側に位置するクランク角度であって前記特定第2クランク角度での筒内容積と同じ筒内容積が得られる特定第1クランク角度を取得する特定第1クランク角度取得手段と、
を含み、
前記第3の燃焼点取得手段は、前記特定第1クランク角度を前記進角燃焼時の前記所定割合燃焼点として取得することを特徴とする。
また、第8の発明は、第7の発明において、
前記第3の燃焼点取得手段は、前記算出発熱量データに基づく圧縮上死点付近の算出発熱量もしくは前記発熱量変化量データに基づく圧縮上死点付近の発熱量変化量の変化率が所定値以下となる場合であって、前記算出発熱量データに基づく前記特定第2クランク角度での算出発熱量の変化率よりも、前記算出発熱量データに基づく前記特定第1クランク角度での算出発熱量の変化率の方が大きい場合に、前記進角燃焼時であると判断することを特徴とする。
また、第9の発明は、第3〜第8の発明の何れか1つにおいて、
前記所定割合燃焼点が所定の第1判定値よりも進角している場合に、プレイグニッションが発生したと判定するプレイグニッション判定手段をさらに備えることを特徴とする。
また、第10の発明は、第2の発明において、
前記実発熱量推定手段により推定された最大実発熱量が所定の第2判定値よりも小さい場合に、失火が発生したと判定する失火判定手段をさらに備えることを特徴とする。
圧縮行程中の第1クランク角度での第1算出発熱量と、膨張行程中のクランク角度であって第1クランク角度での筒内容積と同じ筒内容積が得られる第2クランク角度での第2算出発熱量との差分である発熱量変化量は、筒内圧センサにより検出される筒内圧力の絶対圧補正が正しく行われていない場合であっても、筒内圧力の絶対圧補正の誤差分に起因する算出発熱量のずれ分を相殺することができる。そして、燃焼開始点よりも進角側の第1クランク角度を用い、かつ、燃焼終了点よりも遅角側の第2クランク角度を用いることで、燃焼による筒内の最大実発熱量を示す発熱量変化量を算出できるようになる。このため、第1の発明によれば、筒内圧力の絶対圧補正が正しく行われていない場合であっても、最大実発熱量を正確に推定することができる。
燃焼期間を含むクランク角期間を対象とした発熱量変化量データの最大値は、最大実発熱量を示すものとなる。このため、第2の発明によれば、筒内圧力の絶対圧補正が正しく行われていない場合であっても、燃焼による筒内の実発熱量を正確に推定することができる。
第3の発明によれば、燃焼開始点が圧縮上死点よりも進角側のクランク角度となり、燃焼終了点が圧縮上死点よりも遅角側のクランク角度となる通常燃焼時に適した手法で、燃焼質量割合が所定割合となる時のクランク角度である所定割合燃焼点を正確に取得することができる。
第4の発明によれば、通常燃焼時であることを適切に判別できるようになる。
第5の発明によれば、燃焼開始点が圧縮上死点と同じか圧縮上死点よりも遅角側のクランク角度となる遅角燃焼時に適した手法で、所定割合燃焼点を正確に取得することができる。
第6の発明によれば、遅角燃焼時であることを適切に判別できるようになる。
第7の発明によれば、燃焼終了点が圧縮上死点と同じか圧縮上死点よりも進角側のクランク角度となる進角燃焼時(異常燃焼時など)に適した手法で、所定割合燃焼点を正確に取得することができる。
第8の発明によれば、進角燃焼時であることを適切に判別できるようになる。
第9の発明によれば、第3〜第8の発明の何れかによって取得された所定割合燃焼点を利用して、プレイグニッションを正確に検出することができる。
第10の発明によれば、第2の発明によって取得された最大実発熱量を利用して、正確な失火検出を行うことができる。
本発明の実施の形態1における内燃機関のシステム構成を説明するための図である。 筒内圧センサの出力値の絶対圧補正に関する問題点を説明するための図である。 クランク角度θに対する発熱量Qおよび筒内容積Vのそれぞれの関係を表した図である。 クランク角度θに対する、算出発熱量Q、発熱量変化量ΔQおよびずれ量eのそれぞれの関係を表した図である。 算出発熱量Qのずれ量eの波形を表した図である。 図2(B)に示す算出発熱量Q(ずれ量eを含む)から算出した発熱量変化量ΔQの波形を表した図である。 本発明の実施の形態1において実行されるルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態1において実行されるプレイグニッションの検出処理ルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態1において実行される失火検出処理ルーチンのフローチャートである。 通常燃焼時の算出発熱量Qおよび発熱量変化量ΔQのそれぞれとクランク角度θとの関係を表した図である。 通常燃焼時の算出発熱量Qおよび発熱量変化量ΔQのそれぞれとクランク角度θとの関係を表した図である。 本発明の実施の形態2において実行されるルーチンのフローチャートである。 進角燃焼時の算出発熱量Qおよび発熱量変化量ΔQのそれぞれとクランク角度θとの関係を表した図である。 本発明の実施の形態3において実行されるルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態4において実行されるルーチンのフローチャートである。
実施の形態1.
[実施の形態1のシステム構成]
図1は、本発明の実施の形態1における内燃機関10のシステム構成を説明するための図である。
図1に示すシステムは、一例として、火花点火式の内燃機関10を備えている。内燃機関10の筒内には、ピストン12が設けられている。ピストン12は、コンロッド14を介してクランク軸16に連結されている。すなわち、本実施形態の内燃機関10は、ピストン・クランク機構を備える往復動型の内燃機関である。筒内におけるピストン12の頂部側には、燃焼室18が形成されている。燃焼室18には、吸気通路20および排気通路22が連通している。
吸気通路20の吸気ポートには、当該吸気ポートを開閉する吸気弁24が設けられており、排気通路22の排気ポートには、当該排気ポートを開閉する排気弁26が設けられている。また、吸気通路20には、電子制御式のスロットルバルブ28が設けられている。
内燃機関10の各気筒には、燃焼室18内(筒内)に直接燃料を噴射するための燃料噴射弁30、および、混合気に点火するための点火プラグ32を有する点火装置(図示省略)が、それぞれ設けられている。さらに、各気筒には、筒内圧力を検出するための筒内圧センサ34が組み込まれている。
さらに、本実施形態のシステムは、ECU(Electronic Control Unit)40を備えている。ECU40の入力部には、上述した筒内圧センサ34に加え、エンジン回転速度を取得するためのクランク角センサ42、および、吸入空気量を計測するためのエアフローメータ44等の内燃機関10の運転状態を取得するための各種センサが接続されている。また、ECU40の出力部には、上述したスロットルバルブ28、燃料噴射弁30および上記点火装置等の内燃機関10の運転を制御するための各種アクチュエータが接続されている。ECU40は、それらのセンサ出力と所定のプログラムとに基づいて上記各種のアクチュエータを駆動することにより、燃料噴射制御および点火制御等の所定のエンジン制御を行うものである。また、ECU40は、筒内圧センサ34の出力信号を、クランク角度と同期させてAD変換して取得する機能を有している。これにより、AD変換の分解能が許す範囲で、任意のクランク角タイミングにおける筒内圧力を検出することができる。さらに、ECU40は、クランク角度の位置によって決まる筒内容積の値を、クランク角度に応じて算出する機能を有している。
[遅角燃焼時を対象とする筒内圧センサを利用した燃焼状態の検出手法]
以下に説明する本実施形態の燃焼状態の検出手法は、後述の図3(A)等に示すように、圧縮上死点(以下、単に「TDC」と称する場合がある)よりも遅角側のタイミングにおいて燃焼が始まる(発熱量Qがゼロから増加に転じる)燃焼形態(以下、このように通常燃焼時(後に定義)よりも遅角したタイミングで行われる燃焼を「遅角燃焼」と称する)での燃焼状態の検出を扱ったものである。より詳細に説明すると、本実施形態の検出手法は、圧縮上死点が燃焼開始点とちょうど一致するケースにも適用することができるので、圧縮上死点以後に燃焼が開始されるケースを適用対象としているといえる。
(筒内圧センサの出力値の絶対圧補正)
筒内圧センサの出力は、一般的に、出力値に含まれるオフセットずれを解消するための絶対圧補正がなされた後の値が使用される。そのような絶対圧補正を行う手法としては、例えば、次の(1)式を利用した手法が知られている。この手法は、断熱過程とみなした圧縮行程(より具体的には、吸気弁24が閉じてから燃焼が開始するまでの期間)において成立するポアソンの関係式(PVκ=一定)を利用して、断熱圧縮行程中の2点の筒内圧力Pと筒内容積Vとを比熱比κとともに用いて絶対圧補正値ΔPを算出するというものである。
Figure 0005949787
ただし、上記式(1)において、θは断熱圧縮行程中の所定のクランク角度であり、Δθは絶対圧補正を行うために用いる2点のクランク角度についての所定のクランク角度間隔である。
内燃機関10では、上記(1)式を用いた筒内圧センサ34の出力値の絶対圧補正が、筒内圧センサ34を備えるそれぞれの気筒(本実施形態の内燃機関10では全気筒)においてサイクル毎に実行される。より具体的には、各サイクルにおいて、筒内圧センサ34の出力信号をクランク角度θと同期させてAD変換して取得することで、燃焼期間を含む所定期間(例えば、圧縮行程および膨張行程)の筒内圧データが取得され、ECU40のバッファに格納される。そして、取得した筒内圧データにおける断熱圧縮行程中の2点を用いて上記絶対圧補正が実行され、当該絶対圧補正後の筒内圧データがバッファに再格納される。そして、絶対圧補正後の筒内圧データを用いて今回のサイクルにおける各種燃焼解析値(発熱量Q、燃焼質量割合MFB、燃焼重心位置CA50(燃焼質量割合MFBが50%となる時のクランク角度)および図示トルクなど)が算出され、算出した各種燃焼解析値もしくはこれに基づく判定結果(例えば、プレイグニッションおよび失火の有無の判定結果)が次回のサイクルでの燃焼制御にフィードバックされるようになっている。
図2は、筒内圧センサの出力値の絶対圧補正に関する問題点を説明するための図である。
図2(A)は、絶対圧補正が正しく行われた場合の筒内圧データを用いて算出された複数サイクルでの発熱量Qのデータを表したものである。ここで、筒内の発熱量Qは、次の(2)式にしたがって算出することができる。
Figure 0005949787
ただし、上記(2)式において、PおよびVは、計算開始点θ(想定される燃焼開始点に対して余裕をもって定められた圧縮行程中(ただし、吸気弁24の閉弁後)の所定クランク角度)での筒内圧力および筒内容積である(後述の(3)、(4)式においても同様)。
上述した絶対圧補正が正しく行われていないと(すなわち、絶対圧補正によって解消しきれないずれ量(筒内圧センサ34の出力に重畳するノイズ分)eが当該補正後の筒内圧力Pに残っていると)、筒内圧センサ34の出力値を用いて(2)式にしたがって算出される発熱量Qにずれ量eが含まれてしまう。その結果、この場合の発熱量Q(すなわち、Q+e)の波形は、図2(B)に示すように、図2(A)に示す正規の波形に対するばらつきを伴ったものとなる。このため、燃焼重心位置CA50および最大発熱量Qmaxなどの燃焼解析値を正しく計算できなくなる。その結果、算出された発熱量Qを利用してプレイグニッションの検出などの燃焼状態の把握を精度良く行えなくなる可能性がある。なお、以下の明細書中においては、後述する本実施形態の特徴的な処理によって最終的に推定される発熱量(「実発熱量」と称する)Qtと区別するために、筒内圧センサ34の(絶対圧補正後の)出力値を用いて算出される発熱量Qを「算出発熱量」と称する。
図3は、クランク角度θに対する発熱量Qおよび筒内容積Vのそれぞれの関係を表した図である。
図3(A)は、遅角燃焼時の発熱量Qの波形を示している。この波形は、絶対圧補正が正しく行われた時、すなわち、絶対圧補正後の筒内圧力Pにずれ量eが残っていない時のものである。
ここで、本実施形態の内燃機関10は、後述のオフセットクランクなどが採用されておらず、クランク軸16の回転中心およびピストンピン13の軸中心がともにシリンダ回転軸上にあるように構成されたピストン・クランク機構を備えているものとする。このような構成が採用されていると、筒内容積Vの波形は図3(B)に示すように圧縮上死点を基準として対称なものとなる。したがって、圧縮上死点から等距離にある一対のクランク角度(θとθ)での筒内容積Vの値が等しくなる。
(筒内圧力Pのずれ量eが発熱量Qの算出に与える影響)
図4は、クランク角度θに対する、算出発熱量Q、発熱量変化量ΔQおよびずれ量eのそれぞれの関係を表した図である。図5は、算出発熱量Qのずれ量eの波形を表した図である。
絶対圧補正後の筒内圧力Pにずれ量eが含まれている際の算出発熱量Qのずれ量eは、上記(2)式中の筒内圧力P、Pに(P+e)、(P+e)を代入することによって得られた式からずれ量eの項のみを取り出すことによって、次の(3)式のように表すことできる。
Figure 0005949787
上記(3)式より、eは筒内容積Vに依存する値であることが分かる。すなわち、クランク角度θに対するずれ量eの波形は、筒内圧力Pのずれ量eが正の値である場合には、図4(C)に示すように、図3(B)に示す筒内容積Vの波形と同様に、圧縮上死点において最小値を示すものとなる。より具体的には、ずれ量eが正と負の様々な値を取った時の発熱量Qのずれ量eの波形を重ねて表すと、図5のようになる。すなわち、ずれ量eが正である時のずれ量eは、ずれ量eが大きいほど、TDCでの値が負側で大きな値となる。逆に、ずれ量eが負である時のずれ量eは、TDCにおいて最大値を示す波形となり(筒内容積Vの波形を上下方向で反転したものとなり)、ずれ量eが負側で大きいほど、圧縮TDCでの値が正側で大きな値となる。なお、図5に示す波形は、ずれ量eを含んだ算出発熱量Qの波形(図2(B)参照)から、ずれ量eを含まない算出発熱量Qの波形(図2(A)参照)を引いて得られる波形に相当する。また、図5は、オフセットクランクなどが採用されていない上記ピストン・クランク機構を備える内燃機関10において圧縮上死点前90°CAを計算開始点として発熱量Qを算出した場合の波形に相当する。
(発熱量変化量ΔQの算出)
図4(C)に示すずれ量eを含む算出発熱量Qの波形は、図4(A)中に実線で示すものとなり、この波形と同図中に破線で示す波形との差がずれ量e分に相当する。図4(C)および図5に例示したように、ずれ量eは、TDCに対して左右対称となる。したがって、TDCよりも進角側の第1クランク角度θ(k)での算出発熱量Qを第1算出発熱量Q(k)とし、TDCよりも遅角側のクランク角度であって第1クランク角度θ(k)での筒内容積Vと同じ筒内容積Vが得られる第2クランク角度θ(k)での算出発熱量Qを第2算出発熱量Q(k)とした場合、第1算出発熱量Q(k)と第2算出発熱量Q(k)との差分(より具体的には、第2算出発熱量Q(k)から第1算出発熱量Q(k)を引いて得られる値)である発熱量変化量ΔQ(k)は、算出発熱量Q(k)、Q(k)でのそれぞれのずれ量e分が相殺されたものとなる。すなわち、発熱量変化量ΔQ(k)は、筒内圧力Pのずれ量e(絶対圧補正の誤差分)の影響を受けなくなる。次に、このことを、(4)、(5)式を参照して、計算式上においても明らかにする。なお、添字kが付記された値は、圧縮上死点を基準(ゼロ)として第2クランク角度θを所定クランク角度間隔Dずつ遅角させながら、かつ第1クランク角度θを所定クランク角度間隔Dずつ進角させながら逐次算出される発熱量変化量ΔQのk番目の値であることを示し、添字kが付記されない値は、取得タイミングにより区別されない一般的な値を示すものとする。
発熱量変化量ΔQは、次の(4)式のように展開して表すことができる。そして、(4)式中の筒内圧力P、Pに(P+e)、(P+e)を代入することによって得られる式からずれ量eに関係する項のみを取り出すことによって、発熱量変化量ΔQに含まれるずれ量eの影響によるずれ量eΔQ分は、次の(5)式のように表すことできる。
Figure 0005949787
上記(5)式より、TDCを間に介してVとVとが等しい一対のクランク角度θ、θでの算出発熱量Q、Qを選択して発熱量変化量ΔQを算出することとすれば、ずれ量eΔQがゼロとなる。このように、(4)、(5)式からも、上記の選択を伴って算出される発熱量変化量ΔQは、筒内圧力Pのずれ量eの影響を受けなくなることが分かる。なお、オフセットクランクなどを採用していない内燃機関10の構成では、ΔQの算出に際してTDCから等距離にある一対のクランク角度を選択することは、TDCを間に介してVとVとが等しい一対のクランク角度を選択することと同じ意味となる。
図4(B)に示す波形は、図4(A)中に実線で示す発熱量Qの波形(すなわち、ずれ量eを含み得る絶対圧補正後の算出発熱量Qの波形)を利用して、上記のように定義された発熱量変化量ΔQ(k)をTDCを基準(k=0)として所定クランク角度間隔D毎に連続的に算出し、かつ、逐次得られる発熱量変化量ΔQ(k)を第2クランク角度θ(k)での値として関連付けて得られたものである。
より具体的には、ここではTDCを基準(原点)として一対のθ(k)、θ(k)を設定しているため、TDCでの発熱量変化量ΔQ(0)はゼロとなる。そのうえで、第2クランク角度θ(1)をTDCから所定クランク角度間隔Dだけ遅角した点であるとすると、本実施形態の発熱量変化量ΔQ(k)の算出規則によれば、第1クランク角度θ(1)はTDCから同じ間隔Dだけ進角した点となる。この場合の発熱量変化量ΔQ(1)は、θ(1)での第2算出発熱量Q(1)からθ(1)での第1算出発熱量Q(1)を引いて得られる値となり、この値ΔQ(1)がθ(1)での発熱量変化量とされる。同様に、θ(1)の隣りの算出点であるθ(2)は、θ(1)からさらに所定クランク角度間隔Dだけ遅角した点となり、これに伴い、対応するθ(2)は、θ(1)からさらに所定クランク角度間隔Dだけ進角した点となる。したがって、発熱量変化量ΔQ(2)は、θ(2)での第2算出発熱量Q(2)からθ(2)での第1算出発熱量Q(2)を引いて得られる値となり、この値ΔQ(2)がθ(2)での発熱量変化量とされる。このような手順での発熱量変化量ΔQ(k)の算出が、所定の余裕代を持って燃焼が終了していると判断可能な所定クランク角度(図4の例では、θ(n))に到達するまで、所定クランク角度間隔D毎に繰り返し行われる。そのうえで、算出されたΔQ(k)のデータをθ(k)と関連付けることにより、図4(B)に示すようなクランク角度同期での発熱量変化量ΔQのデータ(波形)が得られる。なお、図4(A)、4(B)中に(θ(k)、Q(k))などのように付して示す算出点は、ΔQの算出手順を概念的に説明する観点で、一部の算出点を実際よりも大まかな間隔で表したものである。
(遅角燃焼時のQt(Qtmaxを含む)の取得手法)
上述したように、本実施形態において算出される発熱量変化量ΔQは、TDCよりも進角側の第1クランク角度θ(k)での第1算出発熱量Q(k)と、TDCよりも遅角側のクランク角度であって第1クランク角度θ(k)での筒内容積Vと同じ筒内容積Vが得られる第2クランク角度θ(k)での第2算出発熱量Q(k)との差分(Q(k)−Q(k))として算出される。この算出手法によれば、発熱量変化量ΔQの算出に用いられる第1算出発熱量Qの値がゼロとなる場合であれば、(4)式より、第2算出発熱量Qの値が発熱量変化量ΔQと等しくなる。そのような場合であれば、発熱量変化量ΔQの値を、最終的な実発熱量Qtの推定値として用いることが可能となる。
本実施形態で定義された遅角燃焼時には、燃焼開始点CA0(発熱量Qがゼロから増加に転じる点)が圧縮上死点以後となるので、第1クランク角度θは必ず燃焼開始点よりも進角側のクランク角度となる。このため、発熱量変化量ΔQ(k)の算出に用いられるすべての第1算出発熱量Q(k)の値は、ずれ量eを除くとゼロとなる。既述したように、算出発熱量Q(k)、Q(k)に重畳するずれ量e分は、発熱量変化量ΔQ(k)を算出することによって相殺することができる。したがって、遅角燃焼時には、発熱量変化量ΔQ(k)の波形は、ずれ量e分が取り除かれた後の第2算出発熱量Q(k)の波形と等しくなるといえる。このため、図4(A)と図4(B)とを比較すると分かるように、遅角燃焼時には、第2クランク角度θ(k)として燃焼終了点CA100(発熱量Qが最大値に到達する点)よりも遅角側のクランク角度(図4の例では、θ(n)が相当)用いられるように発熱量変化量ΔQの計算範囲を設定することで、図4(A)中に破線で示す発熱量Qの波形(絶対圧補正が正しく行われた時の波形)と同等の波形が、横軸であるクランク角度θが一致した状態で得られるようになる。このため、発熱量変化量ΔQの最大値ΔQmaxを最大実発熱量Qtmaxとして推定できるようになる。また、ΔQの最大値ΔQmaxにα/100を乗ずることで、最大実発熱量Qtmaxに限らず、MFBが所定割合α(%)となる時の実発熱量Qtの推定値を算出することができる。
図6は、図2(B)に示す算出発熱量Q(ずれ量eを含む)から算出した発熱量変化量ΔQの波形を表した図である。この図6に示す波形からも分かるように、本実施形態の算出手法に基づく発熱量変化量ΔQによれば、TDC以後に存在する燃焼期間に関し、絶対圧補正が正しく行えた場合の算出発熱量Qを示す図2(A)の波形と同等の波形が得られるようになる。
上記の算出規則にて算出される発熱量変化量ΔQは、既述したように、筒内圧力Pのずれ量e(絶対圧補正の誤差分)の影響を受けないものである。このため、発熱量変化量ΔQを利用することで、絶対圧補正が正しく行われなかった場合(算出発熱量Qにずれ量eが含まれている場合)であっても、ずれ量eの影響を排除して、実発熱量Qtを正確に推定できるようになる。
(遅角燃焼時のCAα(CA50を含む)の取得手法)
さらに、上記のようにして得られるクランク角度同期での発熱量変化量ΔQのデータを利用することで、筒内圧力Pのずれ量e(絶対圧補正の誤差分)の影響を受けずに、MFBが所定割合αとなる時のクランク角度CAα(例えば、燃焼重心位置であるCA50)を正確に取得できるようになる。より具体的には、ΔQがゼロから増加に転じる点を燃焼開始点(CA0)とみなし、ΔQが最大値ΔQmaxに到達する点を燃焼終了点(CA100)とみなす。その結果、任意のクランク角度θにおけるMFBは、ΔQ(θCA100)であるΔQmaxと任意のΔQとを用いて、次の(6)式にしたがって算出することができる。したがって、(6)式を利用して、MFBが任意の割合となる時のCAαを算出することができる。なお、(6)式のように式を簡素化できる理由は、ΔQCA0(=ずれ量eを含まないQ2CAO)がゼロになるためである。
Figure 0005949787
(実施の形態1の燃焼状態の検出に係る具体的処理)
図7は、本発明の実施の形態1における遅角燃焼時の燃焼状態の検出手法を実現するために、ECU40が実行するルーチンを示すフローチャートである。なお、本ルーチンは、各気筒において燃焼終了後の所定タイミングにて、サイクル毎に繰り返し実行されるものとする。また、本ルーチンは、発熱量変化量ΔQを利用して取得する実発熱量Qtの例として、最大実発熱量Qtmaxを示し、発熱量変化量ΔQを利用して取得するCAαの例として、CA50を示している。
図7に示すルーチンでは、ECU40は、先ず、筒内圧センサ34とクランク角センサ42とを利用して、現在のサイクルについてのクランク角度同期での筒内圧データを取得する(ステップ100)。ECU40は、次いで、取得した筒内圧データと上記(2)式とを利用して、所定期間の発熱量(算出発熱量)Qのデータをクランク角度同期で算出する(ステップ102)。算出発熱量Qのデータの算出期間は、上述した所定の計算開始点θから所定の計算終了点(燃焼終了点に対して余裕を持って定められた膨張行程中(ただし、排気弁26の開弁前)の所定クランク角度)までのクランク角期間(すなわち、燃焼期間を含むクランク角期間として事前に想定したクランク角期間)のことである。
次に、ECU40は、ステップ102の処理による算出発熱量Qのデータを用いて、上述した算出規則にしたがう発熱量変化量ΔQのデータをクランク角度同期で算出する(ステップ104)。ΔQのデータの算出期間は、燃焼開始点よりも進角側かつ圧縮行程中(ただし、吸気弁24の閉弁後)のクランク角度を第1クランク角度θとして用い、かつ、燃焼終了点よりも遅角側かつ膨張行程中(ただし、排気弁26の開弁前)のクランク角度を第2クランク角度θとして用いるという条件を満たす期間であればよく、例えば、図4を参照して例示した期間を用いることができる。
次に、ECU40は、ステップ104において取得した発熱量変化量ΔQのデータの最大値ΔQmaxを最大実発熱量Qtmaxとして取得する(ステップ106)。また、ECU40は、取得した発熱量変化量ΔQのデータと(6)式とを利用して、燃焼重心位置でのクランク角度CA50を取得する(ステップ108)。
(発熱量変化量ΔQの利用例)
発熱量変化量ΔQを利用して各種燃焼解析値を算出することで、筒内圧力Pのずれ量eの影響を受けずに燃焼解析を行うことができる。ここでは、そのような発熱量変化量ΔQの具体な利用例として、プレイグニッション発生の検出と失火検出とについて説明する。
図8は、発熱量変化量ΔQを用いて取得したCA50を利用したプレイグニッションの検出処理ルーチンを示すフローチャートである。本ルーチンの処理は、図7に示すルーチンと連動して実行されるものである。
図8に示すルーチンでは、ECU40は、先ず、発熱量変化量ΔQに基づくCA50が所定の第1判定値よりも進角側の時期であるか否かを判定する(ステップ200)。プレイグニッションが発生すると、これが発生していない時と比べて、CA50が進角する。本ステップ200で用いる第1判定値は、プレイグニッションの発生に伴うCA50の進角の有無を判断するための閾値として予め設定された値である。
上記ステップ200の判定が不成立となる場合には、ECU40は、今回のサイクルにおいてプレイグニッションは発生しなかったと判定する(ステップ202)。一方、上記ステップ200の判定が成立する場合には、ECU40は、今回のサイクルにおいてプレイグニッションが発生したと判定する(ステップ204)。
以上説明した図8に示すルーチンによれば、発熱量変化量ΔQに基づくCA50を利用することで、筒内圧力Pのずれ量eの影響を受けずにプレイグニッションの発生を正確に検出できるようになる。
次に、図9は、発熱量変化量ΔQを用いて取得した最大実発熱量Qtmaxを利用した失火検出処理ルーチンを示すフローチャートである。本ルーチンの処理は、図7に示すルーチンと連動して実行されるものである。
図9に示すルーチンでは、ECU40は、先ず、発熱量変化量ΔQに基づく最大実発熱量Qtmaxが所定の第2判定値よりも小さいか否かを判定する(ステップ300)。失火が発生すると、筒内での発熱が生じないか、あるいは少しの発熱が生じても正常着火時の発熱量Qにまでは到底到達しない。本ステップ300で用いる第2判定値は、失火の発生に伴う最大実発熱量Qtmaxの変化の有無を判断するための閾値として予め設定された値である。
上記ステップ300の判定が不成立となる場合には、ECU40は、今回のサイクルにおいて失火は発生しなかったと判定する(ステップ302)。一方、上記ステップ300の判定が成立する場合には、ECU40は、今回のサイクルにおいて失火が発生したと判定する(ステップ304)。
以上説明した図9に示すルーチンによれば、発熱量変化量ΔQに基づく最大実発熱量Qtmaxを利用することで、筒内圧力Pのずれ量eの影響を受けずに失火の発生を正確に検出できるようになる。
ところで、上述した実施の形態1においては、プレイグニッションの検出のためにCA50を利用している。しかしながら、本発明におけるプレイグニッションの発生の有無の判定のために使用する所定割合燃焼点は、CA50に限らず、他の任意の割合の燃焼点(CAα)であってもよい。
なお、上述した実施の形態1においては、ECU40がクランク角センサ42を用いてクランク角度θを取得することにより前記第1の発明における「クランク角度取得手段」が実現されており、ECU40が上記ステップ102の処理を実行することにより前記第1の発明における「発熱量算出手段」が実現されており、ECU40が上記ステップ106の処理を実行することにより前記第1の発明における「実発熱量推定手段」が実現されている。
また、上述した実施の形態1においては、ECU40が上記ステップ104の処理を実行することにより前記第2および第5の発明における「発熱量変化量算出手段」が実現されている。
また、上述した実施の形態1においては、CAαが前記第5の発明における「所定割合燃焼点」に、ΔQが最大値ΔQmaxに到達する時の第2クランク角度であるθ2CA100が前記第5の発明における「発熱量変化量最大クランク角度」に、MFBが50%となる時の50%燃焼点θ2CA50が前記第5の発明における「特定第2クランク角度」に、それぞれ相当している。そして、ECU40が上記ステップ108の処理を実行することにより前記第3の発明における「第2の燃焼点取得手段」が実現されている。
さらに、上述した実施の形態1においては、ECU40が上記図8に示すルーチンの一連の処理を実行することにより前記第9の発明における「プレイグニッション判定手段」が実現されており、ECU40が上記図9に示すルーチンの一連の処理を実行することにより前記第10の発明における「失火判定手段」が実現されている。
実施の形態2.
次に、図10〜図12を参照して、本発明の実施の形態2について説明する。
本実施形態のシステムは、図1に示すハードウェア構成を用いて、ECU40に図7に示すルーチンに代えて後述の図12に示すルーチンを実行させることにより実現することができるものである。
[通常燃焼時を対象とする筒内圧センサを利用した燃焼状態の検出手法]
以下に説明する本実施形態の燃焼状態の検出手法は、通常燃焼時を対象としたものである。通常燃焼時には、後述の図10(A)に示すように、燃焼に伴う筒内の発熱は、圧縮上死点よりも少し進角側のタイミングで始まり、圧縮上死点後8°CA程度で50%燃焼点(CA50)が到来する。本明細書中においては、上述の遅角燃焼時と後述の進角燃焼時とに対して燃焼形態を明確に区別するために、ここでいう通常燃焼時とは、圧縮上死点を跨いで燃焼が行われるケース、すなわち、圧縮上死点よりも進角側のタイミングで燃焼(発熱)が開始し、燃焼終了点が圧縮上死点よりも遅角側のタイミングとなるケースを指しているものとする。
(CAαの取得に対してΔQを利用することが適切でない理由)
本実施形態の対象となる通常燃焼時では、圧縮上死点よりも進角側のクランク角期間に燃焼期間の一部が存在する。このような場合には、以下に説明する理由により、実施の形態1にて説明した遅角燃焼時と同じように発熱量変化量ΔQを扱うことは好ましくない。
図10および図11は、通常燃焼時の算出発熱量Qおよび発熱量変化量ΔQのそれぞれとクランク角度θとの関係を表した図である。より具体的には、図10は、CA50がTDCよりも遅角側のタイミングとなるケース(CA50よりも進角側のタイミングで発熱量QがTDCを跨ぐケース)を示し、一方、図11は、CA50がTDCよりも進角側のタイミングとなるケース(CA50よりも遅角側のタイミングで発熱量QがTDCを跨ぐケース)を示している。図11に示すケースも、上述の定義により、通常燃焼時として扱われる。なお、図10および図11においては、算出発熱量Qの波形として、便宜上、ずれ量eが表されていないものを使用しており、また、発熱量変化量ΔQのデータは、実施の形態1と同様に、第2クランク角度θと関連付けられている。
図10(B)および図11(B)に示すように、通常燃焼時には、発熱量変化量ΔQの波形に折れ点が生ずる。その理由は次の通りである。すなわち、第2算出発熱量Q(k)とこれと対となる第1算出発熱量Q(k)とでΔQ(k)を算出する際、既述したように遅角燃焼時であればQ(k)が必ずゼロとなる。これに対し、通常燃焼時には、TDCよりも進角側に燃焼期間の一部が存在するため、Q(k)がゼロにならない期間が存在する。図10のケースを例に挙げると、CA0からTDCまでの期間において第1算出発熱量Q(k)が、ゼロではなく正の値を示す。したがって、この期間でのQ(k)とこの期間に対応する期間X内のQ(k)とを用いて算出されるΔQ(k)の傾きは、CA0よりも進角側の第1クランク角度θ(k)での値であることでQ(k)がゼロとなる期間YでのΔQ(k)の傾きよりも急となる。このため、通常燃焼時には、発熱量変化量ΔQの波形に折れ点が生ずることとなる。その結果、通常燃焼時の発熱量変化量ΔQの波形は、上述の遅角燃焼時および後述の進角燃焼時(図13参照)とは異なり、正しい発熱量Qの波形(ずれ量eを含まない波形)から離れた波形となってしまう。より具体的には、燃焼期間中の算出発熱量Qの傾きと、ΔQの傾きとが異なるものとなる。このため、通常燃焼時には、ΔQのデータを用いてMFBが所定割合αとなる時のクランク角度CAαを正確に取得することが難しくなる。
(通常燃焼時のΔQの波形の特徴)
図10および図11に示すように、通常燃焼時の発熱量変化量ΔQの波形自体は、CA50がTDCよりも遅角側のタイミングとなるケースであっても、あるいはCA50がTDCよりも進角側のタイミングとなるケースであっても、同じようなものとなる。そのうえで、発熱量変化量ΔQから得られる情報としては、これら2つのケースには次のような違いがある。すなわち、図10のケースでは、点ZにおいてΔQの値に生じる変化は、点ZでのΔQの算出に用いられる第2クランク角度θ2Zにて算出発熱量Qが最大値に到達したことに起因するものであるといえる。つまり、図10のケースでは、点ZでのΔQは、CA100での変化を捉えたものであるといえる。したがって、第2クランク角度θ2ZがCA100であると判断することができる。一方、図11のケースでは、点ZにおいてΔQの値に生じる変化は、点ZでのΔQの算出に用いられる第1クランク角度θ1Zにおいて算出発熱量Qがゼロから増加に転じたことに起因するものであるといえる。つまり、図11のケースでは、点ZでのΔQは、CA0での変化を捉えたものであるといえる。したがって、点Zでの第2クランク角度θ2Zの対となる第1クランク角度θ1Z、すなわち、θ2Zに対してTDCを挟んで等距離にある(筒内容積Vが同じとなる)θ1ZがCA0であると判断することができる。以上のように、上記2つのケースを想定すると、ΔQの変曲点となる点Zは、CA100もしくはCA0のうちのTDCから遠い方のクランク角度θの影響が反映される点であるといえる。
内燃機関10の運転中に算出発熱量Qのデータから発熱量変化量ΔQのデータを取得した時点では、算出発熱量Qの波形が図10のケースと図11のケースのどちらに該当するかまでは分からない。しかしながら、図10および図11の何れのケースであっても、ΔQが最大値に到達する時のΔQの変曲点である点Zでの第2クランク角度θ2Zと、このθ2Zと対となる第1クランク角度θ1Zとで規定されるクランク角期間(θ2Z−θ1Z)中に燃焼期間(真のCA0からCA100)が存在しているといえる。そして、このクランク角期間(θ2Z−θ1Z)は、TDCに十分に近い期間であるといえる。図5に示すように、筒内圧力Pのずれ量eに起因する算出発熱量Qのずれ量eは、筒内容積Vの変化に沿った影響が表れるものであるため、TDC近傍ではクランク角度θの変化に対する変化が少なくなる。したがって、TDC近傍では、ずれ量eの波形としては平坦なものとなる。このことから、クランク角期間(θ2Z−θ1Z)のようなTDC近傍の期間では、この期間よりもTDCから離れた期間と比べ、算出発熱量Qに対するずれ量eの影響が相対的に小さいといえる。
(通常燃焼時のQt(Qtmaxを含む)の取得手法)
通常燃焼時においても、発熱量変化量ΔQのデータの算出期間は、燃焼開始点よりも進角側かつ圧縮行程中(ただし、吸気弁24の閉弁後)のクランク角度を第1クランク角度θとして用い、かつ、燃焼終了点よりも遅角側かつ膨張行程中(ただし、排気弁26の開弁前)のクランク角度を第2クランク角度θとして用いるという条件を満たす期間とされる。これにより、遅角燃焼時と同様に、ΔQの最大値ΔQmaxを最大実発熱量Qtmaxとして推定することができる。このため、本実施形態においても、最大実発熱量Qtmaxの推定値は、ΔQの最大値ΔQmaxを用いて取得される。また、ΔQの最大値ΔQmaxにα/100を乗ずることで、最大実発熱量Qtmaxに限らず、MFBがα(%)となる時の実発熱量Qtの推定値を算出することができる。
(通常燃焼時のCAα(CA50を含む)の取得手法)
そのうえで、本実施形態では、所定燃焼質量割合αとなる時のクランク角度CAαは、次のような手法を用いて取得することとした。すなわち、ΔQのデータにおいてΔQがΔQmaxに到達する時の発熱量変化量最大クランク角度である第2クランク角度θ2Zを燃焼終了点とみなし、かつ、圧縮上死点を間に介してθ2Zの反対側に位置するクランク角度であってθ2Zでの筒内容積V2Zと同じ筒内容積V1Zが得られる第1クランク角度θ1Zを燃焼開始点とみなして得られるクランク角期間(θ2Z−θ1Z)が燃焼期間としてみなされる。そして、ΔQのデータではなく、上記のようにΔQmaxを利用して特定したみなし燃焼期間(θ2Z−θ1Z)内の算出発熱量Qのデータを用いてCAαが取得される。
通常燃焼時のCAαの取得に関し、より具体的には、みなし燃焼期間(θ2Z−θ1Z)内の算出発熱量Qのデータを利用して、次の(7)式にしたがってMFBが算出される。そして、算出したMFBが所定割合αとなる時のクランク角度θがCAαとして取得される。なお、上述した説明では、CA50とTDCとがちょうど一致するケースについては例示していないが、このケースにおいても、この算出手法を用いることができる。
Figure 0005949787
(実施の形態2の燃焼状態の検出に係る具体的処理)
図12は、本発明の実施の形態2における通常燃焼時の燃焼状態の検出手法を実現するために、ECU40が実行するルーチンを示すフローチャートである。なお、図12において、実施の形態1における図7に示すステップと同一のステップについては、同一の符号を付してその説明を省略または簡略する。また、本ルーチンにおいても、発熱量変化量ΔQを利用して取得する実発熱量Qtの例として、最大実発熱量Qtmaxを示し、発熱量変化量ΔQを利用して取得するCAαの例として、CA50を示している。また、ここでは省略するが、実施の形態1と同様に、本ルーチンと連動して、図8および9に示すルーチンによるプレイグニッション発生の検出および失火検出などを実行するようにしてもよい。
図12に示すルーチンにおいても、図7に示すルーチンと同様に、ECU40は、ステップ104において発熱量変化量ΔQのデータをクランク角度同期で算出した後に、取得した発熱量変化量ΔQのデータの最大値ΔQmaxを最大実発熱量Qtmaxとして取得する(ステップ106)。
次に、ECU40は、ΔQが最大値ΔQmaxに到達する時のΔQの変曲点である点Zでの第2クランク角度θ2Zを取得する(ステップ400)。次いで、ECU40は、取得したθ2Zと、このθ2Z対となる第1クランク角度θ1Zとで規定されみなし燃焼期間(θ2Z−θ1Z)内の算出発熱量Qのデータと(7)式とを用いて、MFBが50%となる時のクランク角度θを、CA50として取得する(ステップ402)。
以上説明した燃焼状態の検出手法によれば、通常燃焼時であっても、ΔQの最大値ΔQmaxを利用して、筒内圧力Pのずれ量e(絶対圧補正の誤差分)の影響を受けずに最大実発熱量Qtmaxを正確に取得することができる。さらには、ΔQの最大値ΔQmaxを利用して、Qtmax以外の任意のMFBでの実発熱量Qtも正確に取得することができる。
また、上述した燃焼状態の検出手法によれば、ΔQの最大値ΔQmaxを利用して特定したみなしクランク角期間(θ2Z−θ1Z)を燃焼期間と捉え、算出発熱量Qのデータにおける当該クランク角期間(θ2Z−θ1Z)内の算出発熱量Qの値を用いて、通常燃焼時のCAα(CA50など)が取得される。このように、本実施形態では、CAαの取得に関して発熱量変化量ΔQは、みなしクランク角期間(θ2Z−θ1Z)の特定のためにのみ使用される。このような手法によれば、通常燃焼時には算出発熱量Qの波形(傾き)と異なるものとなってしまう発熱量変化量ΔQの波形の値の使用を避け、かつ、TDC近傍であることで絶対圧補正誤差分(ずれ量e分)の影響の小さいみなしクランク角期間(θ2Z−θ1Z)内の算出発熱量Qを利用して、CAαを正確に取得できるようになる。そして、ΔQの最大値ΔQmaxを利用して特定したみなしクランク角期間(θ2Z−θ1Z)を用いることで、CAαの取得に際して使用する算出発熱量Qのデータの範囲を、燃焼期間を確実に含み、かつ、絶対圧補正誤差分の影響をできるだけ受けないように必要最小限に設定することができる。
なお、上述した実施の形態2においては、CAαが前記第3の発明における「所定割合燃焼点」に、ΔQが最大値ΔQmaxに到達する時の第2クランク角度であるθ2Zが前記第3の発明における「発熱量変化量最大クランク角度」に、θ2Zと対となる第1クランク角度θ1Zが前記第3の発明における「特定第1クランク角度」に、それぞれ相当している。そして、ECU40が上記ステップ104の処理を実行することにより前記第3の発明における「発熱量変化量算出手段」が実現されており、ECU40が上記ステップ400および402の処理を実行することにより前記第3の発明における「第1の燃焼点取得手段」が実現されている。
実施の形態3.
次に、図13および図14を参照して、本発明の実施の形態3について説明する。
本実施形態のシステムは、図1に示すハードウェア構成を用いて、ECU40に図7に示すルーチンに代えて後述の図14に示すルーチンを実行させることにより実現することができるものである。
[進角燃焼時を対象とする筒内圧センサを利用した燃焼状態の検出手法]
(進角燃焼時のΔQの波形の特徴)
図13は、進角燃焼時の算出発熱量Qおよび発熱量変化量ΔQのそれぞれとクランク角度θとの関係を表した図である。なお、図13においても、算出発熱量Qの波形として、便宜上、ずれ量eが表されていないものを使用しており、また、発熱量変化量ΔQのデータは、実施の形態1および2と同様に、第2クランク角度θと関連付けられている。
以下に説明する本実施形態の燃焼状態の検出手法は、既述したように定義された通常燃焼時よりも進角したタイミングで燃焼が行われる進角燃焼時(基本的には、プレイグニッションなどの異常燃焼の発生時がこれに該当)を対象としたものである。すなわち、ここでいう進角燃焼とは、図13(A)に示すように、燃焼に伴う筒内の発熱が圧縮上死点よりも進角側のタイミングで始まり、かつ、圧縮上死点以前のタイミングで燃焼が終了する燃焼形態を指している。
図13(A)に示す進角燃焼時の算出発熱量Qのデータを利用して実施の形態1において上述した算出規則にしたがう発熱量変化量ΔQ(k)(=Q(k)−Q(k))のデータを算出すると、図13(B)に示すように、実施の形態1にて説明した遅角燃焼時と同様に、算出発熱量Qの波形と同等形状の発熱量変化量ΔQの波形を得ることができる。
ただし、遅角燃焼時には、MFBが同じ値となるクランク角度位置が算出発熱量Qの波形と一致する状態でΔQの波形を得ることができるが、進角燃焼時のΔQの波形は、算出発熱量Qの波形に対してTDCを挟んだ反対側に表れるようになる。その結果、MFBが所定割合αとなる時のCAαの算出に関しては、次の点に注意する必要がある。すなわち、図13中に表したCA50を例に挙げて説明すると、真のCA50としては、ΔQのデータ上においてCA50に対応する第2クランク角度θ2CA50ではなく、この第2クランク角度θと対となる(すなわち、TDCを間に介して等距離にある(さらに換言すると、筒内容積Vが同じ値となる))第1クランク角度θが該当する。このことは、他のCAαについても同様である。付け加えると、ΔQのデータ上において各CAαに対応する第2クランク角度θ2CAαは、各CAαの真の値に対応する第1クランク角度θ1CAαとはTDCを基準として反転した位置に存在していることになる。なお、このように第2クランク角度θ2CAαが反転した位置に存在しているといえるのは、内燃機関10のようにクランク軸16の回転中心およびピストンピン13の軸中心がともにシリンダ回転軸上にあるように構成されたピストン・クランク機構が採用されている場合に限られる。ただし、オフセットクランクなどの使用の有無に関係なく、ΔQのデータ上において各CAαに対応する第2クランク角度θ2CAαは、TDCを間に介して各CAαの真の値に対応する第1クランク角度θ1CAαと同じ筒内容積Vとなる位置に存在しているということができる。
(進角燃焼時のQt(Qtmaxを含む)の取得手法)
進角燃焼時においても、発熱量変化量ΔQのデータの算出期間は、燃焼開始点よりも進角側かつ圧縮行程中(ただし、吸気弁24の閉弁後)のクランク角度を第1クランク角度θとして用い、かつ、燃焼終了点よりも遅角側かつ膨張行程中(ただし、排気弁26の開弁前)のクランク角度を第2クランク角度θとして用いるという条件を満たす期間とされる。これにより、遅角燃焼時などと同様に、ΔQの最大値ΔQmaxを最大実発熱量Qtmaxとして推定することができる。このため、本実施形態においても、最大実発熱量Qtmaxの推定値は、ΔQの最大値ΔQmaxを用いて取得される。また、ΔQの最大値ΔQmaxにα/100を乗ずることで、最大実発熱量Qtmaxに限らず、MFBがα(%)となる時の実発熱量Qtの推定値を算出することができる。
(進角燃焼時のCAα(CA50を含む)の取得手法)
進角燃焼時には、発熱量変化量ΔQ(k)を差分(Q(k)−Q(k))として算出し、かつ、θ(k)と関連付けられた状態でΔQ(k)のデータを得ている場合には、図13(B)を参照して上述したように、ΔQのデータ上において各CAαに対応する第2クランク角度θ2CAαは、各CAαの真の値に対応する第1クランク角度θ1CAαとはTDCを基準として反転した位置に存在している。そこで、本実施形態では、任意のMFBでのCAαの取得に関して次のような手法を利用する。
すなわち、ΔQのデータ上において最大値ΔQmaxに到達する時の第2クランク角度がθ2CA0とみなされ、ΔQのデータ上においてΔQがゼロから増加に転じる時の第2クランク角度がθ2CA100とみなされる。そして、このθ2CA0でのΔQCA0(=ΔQmax)を基準として用いて、ΔQのデータ上において各CAαに対応する第2クランク角度θ2CAαでのΔQの値であるΔQCAαとΔQCA0との差分の絶対値(|ΔQCAα−ΔQCA0|)が算出される。そして、この値(|ΔQCAα−ΔQCA0|)を利用して、MFBが所定割合αとなる時の実発熱量Qtの推定値が取得される。そのうえで、このような手法で取得した実発熱量Qtに基づくMFBが、当該実発熱量Qtを上記(7)式中のQ(θ)に代入し、同式中のQ(θCA100)に上記ΔQCA0(=ΔQmax=Qtmax)を代入し、かつ、同式中のQ(θCA0)にゼロを代入することによって算出される。
ΔQのデータを利用してMFBが上記のように求まることで、算出されるMFBに対応する第2クランク角度θ2CAαを取得することができる。そして、取得した第2クランク角度θ2CAαと対となる第1クランク角度θ1CAαが取得され、取得された第1クランク角度θ1CAαがCAαの真の値として扱われる。進角燃焼時には、このような手法によって、ΔQを利用してCAα(例えば、CA50)を取得することができる。
(実施の形態3の燃焼状態の検出に係る具体的処理)
図14は、本発明の実施の形態3における進角燃焼時の燃焼状態の検出手法を実現するために、ECU40が実行するルーチンを示すフローチャートである。なお、図14において、実施の形態1における図7に示すステップと同一のステップについては、同一の符号を付してその説明を省略または簡略する。また、本ルーチンにおいても、実発熱量Qtの取得例としてQtmaxを示し、CAαの取得例としてCA50を示している。また、ここでは省略するが、実施の形態1などと同様に、本ルーチンと連動して、図8および9に示すルーチンによるプレイグニッション発生の検出および失火検出などを実行するようにしてもよい。
図14に示すルーチンにおいても、図7に示すルーチンなどと同様に、ECU40は、ステップ104において発熱量変化量ΔQのデータをクランク角度同期で算出した後に、取得した発熱量変化量ΔQのデータの最大値ΔQmaxを最大実発熱量Qtmaxとして取得する(ステップ106)。
次に、ECU40は、取得した発熱量変化量ΔQのデータと(7)式とを本実施形態で説明した手法で利用して、CA50に対応する第2クランク角度θ2CA50を取得する(ステップ500)。次いで、ECU40は、取得した第2クランク角度θ2CA50と対となる第1クランク角度θ1CA50をCA50として取得する(ステップ502)。
以上説明した進角燃焼時においても、発熱量変化量ΔQを利用しているので、筒内圧力Pのずれ量e(絶対圧補正の誤差分)の影響を受けずに、実発熱量Qt(Qtmaxを含む)およびCAα(CA50を含む)を正確に取得できるようになる。
ところで、上述した実施の形態3においては、差分(Q−Q)として算出される発熱量変化量ΔQのデータを第2クランク角度θと関連付けて取得することとしている。しかしながら、進角燃焼時における任意のMFBでのCAαの算出に関しては、上記の手法に代え、発熱量変化量ΔQのデータを第1クランク角度θと関連付けて取得するようにしてもよい。このような手法を用いることで、各CAαが得られるクランク角度θが進角燃焼時の算出発熱量Qの波形と一致した状態で、発熱量変化量ΔQのデータを取得できるようになる。なお、この手法を用いる場合のΔQは、差分(Q−Q)として算出してもよいし、差分(Q−Q)として算出してもよい。そして、差分(Q−Q)を利用した場合には、負の値でのΔQの波形が得られることになるが、Qの波形とΔQの波形との間で、クランク角度θの変化に対する値の大小の変化の関係をも一致させることができる。
なお、上述した実施の形態3においては、CAαが前記第7の発明における「所定割合燃焼点」に、MFBが50%となる時の50%燃焼点θ2CA50が前記第7の発明における「特定第2クランク角度」に、θ2CA50と対となる第1クランク角度θ1CA50が前記第7の発明における「特定第1クランク角度」に、それぞれ相当している。そして、ECU40が上記ステップ104の処理を実行することにより前記第7の発明における「発熱量変化量算出手段」が実現されており、ECU40が上記ステップ500および502の処理を実行することにより前記第7の発明における「第3の燃焼点取得手段」が実現されており、ECU40が上記ステップ500の処理を実行することにより前記第7の発明における「特定第2クランク角度取得手段」が実現されており、ECU40が上記ステップ502の処理を実行することにより前記第7の発明における「特定第1クランク角度取得手段」が実現されている。
実施の形態4.
次に、図15を参照して、本発明の実施の形態4について説明する。
本実施形態のシステムは、図1に示すハードウェア構成を用いて、ECU40に図7に示すルーチンに代えて後述の図15に示すルーチンを実行させることにより実現することができるものである。
[実施の形態4における筒内圧センサを利用した燃焼状態の検出手法]
実施の形態1〜3において上述したように、発熱量変化量ΔQを利用した最大実発熱量Qtmaxを始めとする実発熱量Qtの取得に関しては、燃焼形態を問わずに同じ手法を用いることができる。しかしながら、燃焼形態が遅角燃焼、通常燃焼および進角燃焼(異常燃焼)の何れであるかに応じて、発熱量変化量ΔQを利用したCAαの検出手法に差異がある。
(燃焼形態の判別手法)
そこで、本実施形態では、内燃機関10の運転中に、以下に説明する手法によって、発熱量変化量ΔQと算出発熱量Qとを用いてサイクル毎に燃焼形態を判別するようにした。そして、判別された燃焼形態に適した検出手法でCA50を取得することとした。なお、ここでは、CA50の取得手法を例示するが、本実施形態の手法は、CA50以外の任意のCAαに対して適用可能である。
図4、10および13を比較すると分かるように、圧縮上死点における発熱量変化量ΔQの変化率(ΔQの波形の傾き)は、ゼロ相当の小さな値となる遅角燃焼時(図4)および進角燃焼時(図13)とは異なり、通常燃焼時(図10)には大きくなる。そこで、本実施形態では、圧縮上死点における発熱量変化量ΔQの変化率が所定値よりも大きくなるサイクルでは、当該サイクルの燃焼形態は通常燃焼であると判定するようにした。
そのうえで、圧縮上死点付近における発熱量変化量ΔQの変化率が上記所定値以下となるサイクルでは、遅角燃焼と進角燃焼とが次のような手法で判別される。すなわち、ΔQのデータ上においてCA50に対応するクランク角度である第2クランク角度θ2CA50と、当該第2クランク角度θ2CA50と対となる(すなわち、TDCを間に介して等距離にある(さらに換言すると、筒内容積Vが同じ値となる))第1クランク角度θ1CA50とが取得される。そして、第2クランク角度θ2CA50での算出発熱量Qの変化率(Qの波形の傾き)と第1クランク角度θ1CA50での算出発熱量Qの変化率のどちらが大きいかが判定される。図4と図13とを比較すると明らかであるように、遅角燃焼時には、第2クランク角度θ2CA50での算出発熱量Qの変化率の方が、第1クランク角度θ1CA50での算出発熱量Qの変化率よりも大きくなり、一方、進角燃焼時には、第2クランク角度θ2CA50での算出発熱量Qの変化率よりも、第1クランク角度θ1CA50での算出発熱量Qの変化率の方が大きくなる。したがって、この判定手法により、遅角燃焼と進角燃焼とを判別することができる。
(実施の形態4の燃焼状態の検出に係る具体的処理)
図15は、本発明の実施の形態4における進角燃焼時の燃焼状態の検出手法を実現するために、ECU40が実行するルーチンを示すフローチャートである。なお、図15において、実施の形態1〜3における図7、12、14に示すステップと同一のステップについては、同一の符号を付してその説明を省略または簡略する。
図15に示すルーチンでは、ECU40は、ステップ104において発熱量変化量ΔQのデータをクランク角度同期で算出した後に、取得した発熱量変化量ΔQのデータの最大値ΔQmaxを最大実発熱量Qtmaxとして取得する(ステップ106)。
次に、ECU40は、圧縮上死点(TDC)における発熱量変化量ΔQの変化率が所定値よりも大きいか否かを判定する(ステップ600)。本ステップ600における所定値は、通常燃焼をその他の燃焼形態(通常燃焼と進角燃焼)と判別するための上記変化率の閾値として予め設定された値である。
上記ステップ600の判定が成立する場合、すなわち、TDCでのΔQの波形の傾きが平坦ではないと判断できる場合には、ECU40は、ステップ602に進む。ステップ602では、通常燃焼時のためのCA50の検出処理(ステップ400〜402)が実行される。
一方、上記ステップ600の判定が不成立となる場合、すなわち、TDCでのΔQの波形の傾きが平坦であると判断できる場合には、ECU40は、次いで、ステップ104において取得した発熱量変化量ΔQのデータと(6)もしくは(7)式とを利用して、CA50に対応する第2クランク角度θ2CA50と、この第2クランク角度θ2CA50と対となる第1クランク角度θ1CA50とを取得する(ステップ604)。
上記ステップ604の処理が実行された場合には、ECU40は、次いで、第2クランク角度θ2CA50での算出発熱量Qの変化率が第1クランク角度θ1CA50での算出発熱量Qの変化率よりも大きいか否かを判定する(ステップ606)。その結果、本ステップ606の判定が成立する場合には、ECU40は、ステップ608に進み、遅角燃焼時のためのCA50の検出処理を実行する。具体的には、第2クランク角度θ2CA50が最終的にCA50として取得される。
一方、上記ステップ606の判定が不成立となる場合には、ECU40は、ステップ610に進み、進角燃焼時のためのCA50の検出処理を実行する。具体的には、第1クランク角度θ1CA50が最終的にCA50として取得される。
以上説明した図15に示すルーチンによれば、内燃機関10の運転中に燃焼形態を判別し、判別された現在の燃焼形態に適した検出処理を用いて、筒内圧力Pのずれ量e(絶対圧補正の誤差分)の影響を受けずにCA50を正確に検出できるようになる。
ところで、上述した実施の形態4においては、通常燃焼時であるか、あるいはその他の燃焼時であるかを判別するために、圧縮上死点における発熱量変化量ΔQが所定値よりも大きいか否かを判定することとしている。しかしながら、この判別手法は、発熱量変化量ΔQを用いるものに限られない。すなわち、本明細書中において定義した通常燃焼時では、圧縮上死点が燃焼期間中に位置しているため、その他の燃焼形態と比べて、圧縮上死点における算出発熱量Qの変化率が大きくなる。そこで、上記判別手法は、発熱量変化量ΔQの使用に代え、圧縮上死点における算出発熱量Qが所定値よりも大きいか否かを判定するものであってもよい。
なお、上述した実施の形態4においては、50%燃焼点θ2CA50の対となる第1クランク角度θ1CA50が前記第6の発明における「特定第1クランク角度」に相当しているとともに、ECU40が上記ステップ604の処理を実行することにより前記第6の発明における「特定第1クランク角度取得手段」が実現されている。
その他の変形例.
ところで、上述した実施の形態1〜4においては、燃焼期間を含むクランク角期間として事前に想定したクランク角期間を対象とした発熱量変化量ΔQのデータを算出し、その最大値ΔQmaxを最大実発熱量Qtmaxとして取得することとしている。これにより、発熱量変化量ΔQのデータの算出をし終えた段階、すなわち、燃焼開始点CA0および燃焼終了点CA100をまだ正確に把握できていない段階において、発熱量変化量ΔQのデータ(波形)を利用して最大実発熱量Qtmaxを取得できるようになる。しかしながら、本発明における最大実発熱量の算出手法は、必ずしも、発熱量変化量のデータの最大値を見つけることを利用するものに限られない。すなわち、燃焼開始点CA0よりも進角側の第1クランク角度θと、燃焼終了点CA100よりも遅角側のクランク角度であって当該第1クランク角度θと対となる第2クランク角度θとを事前に把握しておき、これらの一対のクランク角度θ、θに対応する発熱量変化量ΔQを最大実発熱量Qtmaxとして取得してもよい。
また、上述した実施の形態1〜4においては、第1算出発熱量Qと第2算出発熱量Qとの差分である発熱量変化量ΔQを、第2算出発熱量Qから第1算出発熱量Qを引いて得られる値(Q−Q)として算出することとしている。しかしながら、本発明において実発熱量Qtの推定値の取得のために用いる発熱量変化量ΔQは、値(Q−Q)に代え、第1算出発熱量Qから第2算出発熱量Qを引いて得られる差分の絶対値(|Q−Q|)であってもよい。
また、上述した実施の形態1〜4においては、クランク軸16の回転中心およびピストンピン13の軸中心がシリンダ中心軸上にあるピストン・クランク機構を備える内燃機関10を例に挙げて説明を行った。ここで、ピストン・クランク機構を備える内燃機関では、膨張行程でのピストンへのサイドスラスト荷重の低減による摩擦損失の低減などを目的として、クランク軸の回転中心をシリンダ中心軸上から外れた位置に設定する構成、いわゆるオフセットクランクが採用されることが多い。このような構成が採用されていると、図3(B)に示す波形とは異なり、クランク角度θに対する筒内容積Vの波形は、圧縮上死点を基準として左右対称なものとはならない。したがって、TDCを間に介して等距離にある一対のクランク角度での筒内容積Vの値が同じ値とならない。このことは、オフセットクランクによってクランク軸の回転中心がシリンダ中心軸に対してオフセットしている場合に限らず、クランク軸の回転中心がオフセットしていなくても、ピストンピンの軸中心がシリンダ中心軸に対してオフセットしている構成においても同様である。本発明においては、筒内容積Vが同じとなる一対のクランク角度(θとθ)での算出発熱量(QとQ)を発熱量変化量ΔQの算出に利用している。このため、本発明は、これらのオフセットクランクなどが採用されている内燃機関に対しても同様に適用可能である。
また、上述した実施の形態1等においては、燃焼重心位置であるCA50を利用してプレイグニッション発生の有無を判定することとしている。しかしながら、本発明においてプレイグニッション発生の有無の判定のために使用されるクランク角度は、CA50に限らず、MFBが所定割合αとなる時の任意のクランク角度CAαであってもよい。
10 内燃機関
12 ピストン
13 ピストンピン
14 コンロッド
16 クランク軸
18 燃焼室
20 吸気通路
22 排気通路
24 吸気弁
26 排気弁
28 スロットルバルブ
30 燃料噴射弁
32 点火プラグ
34 筒内圧センサ
40 ECU(Electronic Control Unit)
42 クランク角センサ
44 エアフローメータ

Claims (10)

  1. クランク角度を取得するクランク角度取得手段と、
    筒内圧力を検出する筒内圧センサと、
    前記筒内圧センサにより検出される筒内圧力に対して絶対圧補正を施した後の筒内圧力と前記クランク角度取得手段により取得されるクランク角度とを用いて、燃焼期間を介在するクランク角期間として想定されたクランク角期間であって吸気弁の閉じ時期よりも遅角側かつ排気弁の開き時期よりも進角側に位置するクランク角期間を対象として、クランク角度同期での筒内の発熱量のデータである算出発熱量データを算出する発熱量算出手段と、
    を備える往復動型の内燃機関の燃焼状態検出装置であって、
    圧縮行程中のクランク角度を第1クランク角度とし、膨張行程中のクランク角度であって前記第1クランク角度での筒内容積と同じ筒内容積が得られるクランク角度を第2クランク角度とし、前記第1クランク角度での発熱量として前記発熱量算出手段により算出される算出発熱量を第1算出発熱量とし、前記第2クランク角度での発熱量として前記発熱量算出手段により算出される算出発熱量を第2算出発熱量とし、前記第1算出発熱量と前記第2算出発熱量との差分を発熱量変化量とした場合に、前記第1クランク角度が燃焼開始点よりも進角側に位置し、かつ、前記第2クランク角度が燃焼終了点よりも遅角側に位置するという条件を満たす一対の前記第1クランク角度および前記第2クランク角度に関する前記発熱量変化量最大実発熱量として推定する最大実発熱量推定手段を備えることを特徴とする内燃機関の燃焼状態検出装置。
  2. 前記クランク角期間を対象として、クランク角度同期での前記発熱量変化量のデータである発熱量変化量データを算出する発熱量変化量算出手段をさらに備え、
    前記最大実発熱量推定手段は、前記発熱量変化量データの最大値を用いて最大実発熱量を推定することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の燃焼状態検出装置。
  3. 前記クランク角期間を対象として、クランク角度同期での前記発熱量変化量のデータである発熱量変化量データを算出する発熱量変化量算出手段をさらに備え、
    前記発熱量変化量算出手段は、発熱量変化量を前記第2算出発熱量から前記第1算出発熱量を引いて得られる値として算出し、かつ、前記算出発熱量データを用いて発熱量変化量データを前記第2クランク角度に関連付けて取得するものであって、
    燃焼開始点が圧縮上死点よりも進角側のクランク角度となり燃焼終了点が圧縮上死点よりも遅角側のクランク角度となる通常燃焼時に、燃焼質量割合が所定割合となる時のクランク角度である所定割合燃焼点を取得する第1の燃焼点取得手段をさらに備え、
    前記第1の燃焼点取得手段は、前記発熱量変化量データにおいて発熱量変化量が最大値に到達する時の発熱量変化量最大クランク角度を燃焼終了点とみなし、かつ、圧縮上死点を間に介して当該発熱量変化量最大クランク角度の反対側に位置するクランク角度であって前記発熱量変化量最大クランク角度での筒内容積と同じ筒内容積が得られる特定第1クランク角度を燃焼開始点とみなして得られるみなし燃焼期間中の前記算出発熱量データに基づいて、前記通常燃焼時の前記所定割合燃焼点を取得することを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関の燃焼状態検出装置。
  4. 前記第1の燃焼点取得手段は、前記算出発熱量データに基づく圧縮上死点付近の算出発熱量もしくは前記発熱量変化量データに基づく圧縮上死点付近の発熱量変化量の変化率が所定値よりも大きい場合に、前記通常燃焼時であると判断することを特徴とする請求項3に記載の内燃機関の燃焼状態検出装置。
  5. 前記クランク角期間を対象として、クランク角度同期での前記発熱量変化量のデータである発熱量変化量データを算出する発熱量変化量算出手段をさらに備え、
    前記発熱量変化量算出手段は、発熱量変化量を前記第2算出発熱量から前記第1算出発熱量を引いて得られる値として算出し、かつ、前記算出発熱量データを用いて発熱量変化量データを前記第2クランク角度に関連付けて取得するものであって、
    燃焼開始点が圧縮上死点と同じか圧縮上死点よりも遅角側のクランク角度となる遅角燃焼時に、燃焼質量割合が所定割合となる時のクランク角度である所定割合燃焼点を取得する第2の燃焼点取得手段をさらに備え、
    前記第2の燃焼点取得手段は、前記発熱量変化量データにおいて発熱量変化量がゼロから増加に転じる時のクランク角度を燃焼開始点とみなし、かつ、前記発熱量変化量データにおいて発熱量変化量が最大値に到達する時の発熱量変化量最大クランク角度を燃焼終了点とみなし、前記発熱量変化量データにおいて発熱量変化量が当該発熱量変化量の最大値に対して前記所定割合となる時の特定第2クランク角度を前記遅角燃焼時の前記所定割合燃焼点として取得することを特徴とする請求項1〜4の何れか1つに記載の内燃機関の燃焼状態検出装置。
  6. 圧縮上死点を間に介して前記特定第2クランク角度の反対側に位置するクランク角度であって前記特定第2クランク角度での筒内容積と同じ筒内容積が得られる特定第1クランク角度を取得する特定第1クランク角度取得手段をさらに備え、
    前記第2の燃焼点取得手段は、前記算出発熱量データに基づく圧縮上死点付近の算出発熱量もしくは前記発熱量変化量データに基づく圧縮上死点付近の発熱量変化量の変化率が所定値以下となる場合であって、前記算出発熱量データに基づく前記特定第2クランク角度での算出発熱量の変化率が、前記算出発熱量データに基づく前記特定第1クランク角度での算出発熱量の変化率よりも大きい場合に、前記遅角燃焼時であると判断することを特徴とする請求項5に記載の内燃機関の燃焼状態検出装置。
  7. 前記クランク角期間を対象として、クランク角度同期での前記発熱量変化量のデータである発熱量変化量データを算出する発熱量変化量算出手段をさらに備え、
    前記発熱量変化量算出手段は、発熱量変化量を前記第2算出発熱量から前記第1算出発熱量を引いて得られる値として算出し、かつ、発熱量変化量データを前記第2クランク角度に関連付けて取得するものであって、
    燃焼終了点が圧縮上死点と同じか圧縮上死点よりも進角側のクランク角度となる進角燃焼時に、燃焼質量割合が所定割合となる時のクランク角度である所定割合燃焼点を取得する第3の燃焼点取得手段をさらに備え、
    前記第3の燃焼点取得手段は、
    前記発熱量変化量データにおいて発熱量変化量がゼロから増加に転じる時のクランク角度を燃焼終了点とみなし、かつ、前記発熱量変化量データにおいて発熱量変化量が最大値に到達する時の発熱量変化量最大クランク角度を燃焼開始点とみなし、発熱量変化量の最大値との発熱量変化量の差の絶対値が当該発熱量変化量の最大値に対して前記所定割合となる時の特定第2クランク角度を取得する特定第2クランク角度取得手段と、
    圧縮上死点を間に介して前記特定第2クランク角度の反対側に位置するクランク角度であって前記特定第2クランク角度での筒内容積と同じ筒内容積が得られる特定第1クランク角度を取得する特定第1クランク角度取得手段と、
    を含み、
    前記第3の燃焼点取得手段は、前記特定第1クランク角度を前記進角燃焼時の前記所定割合燃焼点として取得することを特徴とする請求項1〜6の何れか1つに記載の内燃機関の燃焼状態検出装置。
  8. 前記第3の燃焼点取得手段は、前記算出発熱量データに基づく圧縮上死点付近の算出発熱量もしくは前記発熱量変化量データに基づく圧縮上死点付近の発熱量変化量の変化率が所定値以下となる場合であって、前記算出発熱量データに基づく前記特定第2クランク角度での算出発熱量の変化率よりも、前記算出発熱量データに基づく前記特定第1クランク角度での算出発熱量の変化率の方が大きい場合に、前記進角燃焼時であると判断することを特徴とする請求項7に記載の内燃機関の燃焼状態検出装置。
  9. 前記所定割合燃焼点が所定の第1判定値よりも進角している場合に、プレイグニッションが発生したと判定するプレイグニッション判定手段をさらに備えることを特徴とする請求項3〜8の何れか1つに記載の内燃機関の燃焼状態検出装置。
  10. 前記実発熱量推定手段により推定された最大実発熱量が所定の第2判定値よりも小さい場合に、失火が発生したと判定する失火判定手段をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の燃焼状態検出装置。
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