JP5949071B2 - 摩擦攪拌接合工具及び異質部材の摩擦攪拌接合方法 - Google Patents

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本発明は、機械的特性が異なる二つの部材、例えば、鋼部材と軽金属部材を摩擦攪拌接合で接合する際に用いる工具、及び、該工具を用いる摩擦攪拌接合方法に関する。
摩擦攪拌接合は、接合工具を回転させながら接合部材に押し当て、発生する摩擦熱で、接合部材を加熱し、溶融させることなく塑性流動させて接合する技術である。摩擦攪拌接合は、溶接と比較して、接合後の歪と残留応力が小さく、スパッタ等による汚染がなく、溶接割れを起こし易い金属部材の接合や、異種部材間の接合にも適用できるので、種々の部材間の接合に適用されている。
通常は図7に示すようなプローブ部(ピン部とも呼ばれる)とショルダ部からなる接合工具を用いる。
しかし、摩擦攪拌接合を、従来の接合工具を用いて、例えば、めっき鋼板に代表される鋼部材と、アルミニウム合金板等の軽金属部材などの異質部材の接合に適用すると、下記の不具合があった。
(1)めっき鋼板とアルミニウム合金板などの異質部材を摩擦攪拌接合で接合する場合には、工具の摩耗を防ぐと共に、プローブ挿入時の押圧力を低下させて接合装置への負担を減らすため、鋼板の上にアルミニウム合金などの軽金属部材を重ね、軽金属部材側から接合工具を挿入して接合を行う。接合工具を挿入し、異材を接合する際、接合界面の酸化皮膜を破壊し、同時に界面のめっき層を除去するために、接合工具の直下の部材に、強い塑性流動を起こすと同時に、該部材を摩擦熱により高温にする必要があり、接合工具をめっき鋼板の表面から0.1mm程度のところまで近づける必要がある。
裸鋼板とアルミニウム合金などの異質部材を接合する場合にも、裸鋼板の接合界面の酸化皮膜を破壊するため同様のプロセスをとるが、めっき鋼板の場合には、酸化皮膜に加え、めっき層を除去する必要があるために、より接合は困難となる。
(2)接合工具をめっき鋼板の表面から0.1mm程度のところまで近づけると、鋼板と異質部材の新生面同士が直接接触し、新生面同士の冶金的な接合が進む一方、プローブ部直下のごく狭い領域のみにしか強固な接合領域が形成されず、また、プローブ部直下の部材の厚さが薄くなり、その部材の厚さが薄い接合部分が破断箇所となり易いので、剥離方向の接合強度が極端に弱い接合継手となる。
(3)接合強度の向上には、接合工具のショルダ部や先端部のプローブ部(凸部)の直径を大きくして、接合面積を増大することが一つの手法であるが、部材の厚さや接合継手の大きさには限度があるので、ショルダ部の直径の拡大には限界がある。
一方、プローブ部の直径を大きくして接合面積を増大させることは可能であるが、その場合でも、プローブをめっき鋼板の表面から0.1mm程度のところまで近づける必要があるため、プローブ直下の部材の厚さが薄くなり、その部材の厚さが薄い部分が破断箇所となり易く、剥離方向の接合強度の向上は小さい。
(4)接合工具の先端部と鋼部材との距離を0.1mm程度に維持するためには、接合工具の高さ及び移動を高精度で制御する必要があるが、上記距離を0.1mm程度に維持しても、接合継手の強度が大きくばらついてしまう。そのため、接合継手の強度を、安全側に十分な余裕を持って見積もり、異質部材の接合を設計する必要がある。
鋼部材と軽金属部材という異質部材の摩擦攪拌接合においては、両部材間の界面で形成される、硬くて脆い金属間化合物層の厚さを薄くするほど接合強度が強くなり、通常、厚さを1〜2μm程度までに抑える必要がある。
異質部材の接合において、摩擦攪拌接合の代替手段として、アーク溶接やレーザ溶接が適用されるが、アーク溶接やレーザ溶接では、材料が溶融してしまうために固相接合法である摩擦攪拌接合に比べて入熱が大きくなり、両部材の界面で生成する金属間化合物層の厚さを1〜2μm程度に抑えることは困難である。
特許文献1には、摩擦攪拌成型方法に関する技術が記載されており、その一例として、特許文献1の図8及び図12には、溝7aを設けた第2のワーク7に圧入する第1のワーク6を重ね、摩擦攪拌成型(FSF)する技術が開示されている。
この技術は、第2のワーク表面に幅方向の溝を両端が端部に開口するように形成し、ワーク接触面にプローブを具備する摩擦攪拌工具を、溝と直交する方向に移動して、ワーク同士をクラッドしているが、プローブや、溝の形状について、詳細は不明であって、大面積の材料同士の接合方法が不明である等、適用範囲に限界がある。
また、特許文献2には、点接合に使用する摩擦攪拌接合工具として、円柱状の本体軸部の端部に形成されるショルダ面とこのショルダ面に突設され、ショルダ面よりも小径のプローブ部(ピン部)とを供えた工具が開示されている。この工具により異質部材を接合する場合、小径突出状のプローブ部(ピン部)が被接合材に圧入されて、プローブ部(ピン部)端面に相当する円盤状の薄肉部を形成する点で、従来の接合工具と同じであり、剥離方向の接合強度が極端に弱い継手を形成する恐れがある。
特開2002−256453号公報 特開2010−23068号公報
本発明は、機械的特性(塑性流動性)が異なる二つの部材、例えば、鋼部材と軽金属部材を、摩擦攪拌接合で、強固に、かつ、一定の接合強度を維持して接合することを課題とし、該課題を解決する摩擦攪拌接合工具と、該接合工具を用いる摩擦攪拌接合方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決する手法について鋭意研究した。その結果、接合部材(軽金属部材)に押圧する接合工具において、その先端面の中心部に、軸対称形状の凸部を形成し、かつ、該凸部の周囲に、該凸部と同心円状の凸部を形成すると、特性(塑性流動性)が異なる二つの部材を、強固に、かつ、一定の接合強度を維持して接合できることを見いだした。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、その要旨は以下の通りである。
(1)軸心周りに回転する円柱状の摩擦攪拌接合工具において、接合部材に当接する先端面の中心部に、軸対称形状の凸部を備え、かつ、該凸部の周囲に、該凸部と同心円状の凸部を備え
前記軸対称形状の凸部の高さは、前記同心円状の凸部の高さよりも高く、
前記軸対称形状の凸部が半球状であり、
前記同心円状の凸部の断面形状が、逆台形状である
ことを特徴とする摩擦攪拌接合工具。
)前記摩擦攪拌接合工具の軸心部に、摩擦攪拌接合時、該接合工具の先端面が受ける反力を測定する反力測定器が組み込まれていることを特徴とする前記(1)に記載の摩擦攪拌接合用工具。
)金属部材と、金属部材の塑性流動性より高い塑性流動性を有する接合部材を摩擦攪拌接合で接合する方法において、
(a)接合箇所の接合部材に、前記(1)〜(2)の何れかに記載の摩擦攪拌接合工具を、回転しつつ押し当てて接合する
ことを特徴とする異質部材の摩擦攪拌接合方法。
)金属部材と、金属部材の塑性流動性より高い塑性流動性を有する接合部材を摩擦攪拌接合で接合する方法において、
(a)接合箇所の接合部材に、前記(1)〜(3)の何れかに記載の摩擦攪拌接合工具を、回転しつつ押し当て、
(b)上記接合工具の先端面が受ける反力の変化に応じて上記接合工具の移動及び/又は回転を制御して接合する
ことを特徴とする異質部材の摩擦攪拌接合方法。
)前記金属部材が、鉄又はチタンの板材であり、前記接合部材が、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム、マグネシウム合金、又は、合成樹脂の板材であることを特徴とする前記()又は()に記載の異質部材の摩擦攪拌接合方法。
)前記金属部材がめっき鋼板であり、前記接合部材が、アルミニウム、マグネシウム、アルミニウム合金、又は、マグネシウム合金の板材であることを特徴とする前記()又は()に記載の異質部材の摩擦攪拌接合方法。
本発明によれば、機械的特性(塑性流動性)が異なる二つの部材、例えば、鋼部材と軽金属部材の摩擦攪拌接合において、接合工具の直下で剥離の原因となる薄肉部を形成することなく、強固で、かつ、接合強度にばらつきが少ない接合継手を形成することができる。また、本発明によれば、接合工具の回転及び/又は移動を制御することができるので、より強固で、かつ、接合強度にばらつきが少ない接合継手を、効率よく形成することができる。
従来の接合工具を用いた鋼部材と軽金属部材の摩擦攪拌接合の態様を示す図であって、(A)は、凸部2が軽金属部材4に侵入した直後、(B)は、凸部2が、鋼部材3の表面に接近した時の様子をそれぞれ示している。 従来の接合工具で形成した鋼部材と軽金属部材の摩擦攪拌接合部の破断の形態を示す図であって、(A)は、プラグ破断を、(B)は、界面破断の形態を示している。 従来の接合工具で形成した鋼部材と軽金属部材の摩擦攪拌接合部に生じる亀裂の形態を示す図である。 凸部の直径を大きくした改良型の従来の接合工具を用いた鋼部材と軽金属部材の摩擦攪拌接合の態様を示す図である。 本発明の接合工具を用いる鋼部材と軽金属部材の摩擦攪拌接合の態様を示す図であって、(A)は、凸部12が軽金属部材4に侵入した直後、(B)は、凸部12が、鋼部材3の表面に接近した時の様子をそれぞれ示している。 本発明の接合工具で形成した鋼部材と軽金属部材の摩擦攪拌接合部の態様を示す図である。 従来の摩擦攪拌接合工具の先端面の形態を示す図である。 本発明の摩擦攪拌接合工具の先端面の形態を示す図である。 十字引張試験に用いた摩擦攪拌接合工具先端の断面形状を示す図である。 十字引張試験における相対平均強度とばらつきの状態を示す図である。
図1に、従来の摩擦攪拌接合工具を用いる鋼部材と軽金属部材の摩擦攪拌接合の態様を示す。図7に、従来の摩擦攪拌接合工具の先端面の形態を示す。図1(A)において、鋼部材3に軽金属部材4を重ね、中心部に凸部2を備える接合工具1を回転しつつ、接合継手を形成する箇所の軽金属部材4に押圧する。
回転している凸部2が、図1(A)のように軽金属部材4に挿入されると、押し込むときの凸部直下の垂直荷重の影響で凸部の直下には大きな摩擦熱が発生する。また、この摩擦熱により、凸部2近傍に存在する軽金属部材4の温度が上昇して軟化し、塑性流動が生じる。軽金属部材4の塑性流動域は凸部2近傍に限定されるが、凸部2が鋼部材3の表面に近づくと、鋼部材3の表面の酸化皮膜およびめっき層が排除され、鋼部材3の新生面が露出する。図1(B)に示すように、凸部2の押し込み量が鋼部材3の表面から0.1mm程度になったとき、凸部2直下で軽金属部材4と鋼部材3の新生面同士が最も強く相互反応し、板厚方向に1ミクロン未満の薄い金属間化合物を生成する。このとき、凸部2の直下の接合界面において、凸部2の軸方向と直角方向の断面と同等の面積で、軽金属部材4と鋼部材3との間に強固な接合領域22が生成する。
また、凸部直下の押し込み量が鋼部材3の表面から0.1mmの程度になったときに、従来の方法では、図1(B)に示すように、ショルダ部も軽金属部材4と接触し、同様に塑性流動と摩擦熱が生じるため、ショルダ部直下においても凸部2の直下より接合強度が低いものの、軽金属部材4と鋼部材3との間に弱接合領域23が生じる。
凸部2の押し込みが鋼板表面から0.1mm程度になったとき、軽金属部材4と鋼部材3は最も強固に接合したという知見と、凸部の押し込み量の増加に伴い、接合工具1が受ける反力が増加することを利用し、接合工具1の高さを一定にするため、押圧力を制御し、押圧力が一定になるように制御した。しかしながら、接合強度のばらつきを小さくすることは困難であった。
従来の摩擦攪拌接合工具を用いて、摩擦攪拌接合を行い、十字引張試験片を作製し、継手強度を調べたところ、破断形態は図2(A)と図2(B)の2種類を呈するが、図2(A)に示すプラグ破断、図2(B)に示す界面破断のどちらの場合も、継手強度は弱接合領域の形成面積にほぼ比例することが判明した。また、凸部の押し込み量を同じ0.1mmに制御しても、接合強度がばらつく理由は、弱接合領域の面積がばらつくことに起因することがわかった。
そして、弱接合領域の面積を増大させるために、凸部の押し込み量を大としても、図3に示すように、凸部2の直下は軽金属部材4の厚さが薄くなり、薄肉部6を形成するが、薄肉部6の外周部に、亀裂5を生じる場合があり、破断時に板厚方向に破断しやすくなって、プラグ破断を生じ易く、強度向上には寄与しないことが分かった。
さらに、弱接合領域の形成面積がばらつく理由として、回転軸中心から離れるに従い、接合時の最高到達温度が低くなることと、それに伴い、塑性流動が弱くなるために、めっきの除去が進まず、鋼部材3と軽金属部材4との新生面同士の接触が阻害されることが原因と判明した。
そこで、強固な接合領域を増やすため、ショルダ部の直径を同じとし、凸部2の直径を2倍に増加させた接合工具を作製し、接合したところ、依然として押し込み量が鋼板表面から0.1mm程度になったときに、強固な接合領域が生じた。このとき、図4に示すように強固な接合領域の面積は約4倍(=22倍)に増加するものの、接合工具の直下の軽金属部材4の厚さが薄くなり薄肉部6を形成するため、薄肉部6の周囲に亀裂5が生じて、板厚方向に破断しやすく、また、弱接合領域の形成面積も大きく増加しないため、接合継手の強度を大幅に向上させることはできなかった。
また、上記の現象は、接合時における接合工具の回転数が、鋼部材3と軽金属部材4が接合し始める1000rpm以上においては、回転数に依存せずに生じ、回転数を変えても継手強度が増加する方向には、ほとんど改善されなかった。
そこで、薄肉部を形成せず、強固な接合領域を広範囲に形成させるために、本発明の摩擦攪拌接合工具(以下「本発明工具」ということがある。)は、軸心周りに回転する円柱状の摩擦攪拌接合工具において、接合部材に当接する先端面の中心部に、軸対称形状の凸部を備え、かつ、該凸部の周囲に、該凸部と同心円状の凸部を備えることを特徴とする。
図5に、本発明工具を用いる鋼部材と軽金属部材の摩擦攪拌接合の態様を示す。図8に、本発明の摩擦攪拌接合工具の先端面の形態を示す。接合工具11は、軽金属部材4(接合部材)に当接する先端面の中心部に、軸対称形状の凸部12を備え、かつ、該凸部の周囲に、該凸部と同心円状の凸部13を備えている。
図5及び図8に示す接合工具11において、同心円状の凸部13の高さは、軸対称形状の凸部12の高さよりも低い。
この場合、図5(A)に示すように、接合工具11の上記凸部12が凸部13より先に軽金属部材4に接して、押し込まれ、凸部12直下の垂直荷重の影響で凸部12の直下には大きな摩擦熱が発生し、凸部12近傍に昇温部7が形成される。さらに、この摩擦熱により、昇温部7近傍に存在する軽金属部材4の温度が上昇して軟化し、塑性流動が生じる。
続いて、図5(B)に示すように、上記同心円状の凸部13が軽金属部材4に侵入して、凸部13近傍でも摩擦熱が発生し、昇温部が形成される。接合工具11が軽金属部材4に侵入していく過程で、軸対称形状の凸部12近傍の軽金属部材4が塑性流動して、周辺へ流動するが、このとき、凸部12の直下では、鋼部材3の表面のめっき層が排除され、鋼部材3の新生面が露出し始める。
また、遅れて軽金属部材4に侵入する凸部13によって、凸部13直下の軽金属部材4も摩擦熱で昇温し、塑性流動するので、軸対称形状の凸部12と同心円状の凸部13の間で、軽金属部材4が激しく塑性流動し、凸部12および13の直下の広い領域において、鋼部材3の表面のめっき層が排除され、鋼部材3の新生面が露出する。このため、凸部12が鋼板表面に近づいたとき、凸部12および13の直下で軽金属部材4と鋼部材3の新生面同士が強く相互反応して凸部13直下までの広範囲な領域で、板厚方向に1ミクロン未満の薄い金属間化合物を生成し、強固な接合が完了する。接合中における塑性流動性が向上したことにより、金属間化合物層の成長が抑制されるため、金属間化合物層の板厚方向の厚みを1ミクロン未満にすることができる。
図6に、本発明の接合工具で形成した鋼部材と軽金属部材の摩擦攪拌接合部の態様を示す。中心部の軸対称形状の凸部と、該凸部の周囲に存在する、該凸部と同心円状の凸部が軽金属部材4に侵入することで発現する摩擦熱および塑性流動の作用効果が相乗して、同心円状の凸部13を含む広い範囲で、形成面積が安定した、強固な接合部22を形成することができる。
即ち、本発明工具によれば、従来技術(図1〜4参照)で形成する接合部の面積より大きい面積の接合部を形成することができる。さらに、接合部の形成面積が常に安定しているので、接合継手の強度のばらつきを小さくすることができる。
さらに、凸部12および13の相乗効果により摩擦熱の発生量が増大し、塑性流動領域が拡大するため、凸部13は、鋼板表面から0.1mm程度まで近づけなくても、強固な接合部が形成でき、板厚方向に薄い薄肉部が形成されないため、接合強度を向上できる。
図5及び図8に示す本発明に係る接合工具11において、同心円状の凸部13の高さは、軸対称形状の凸部12の高さよりも低いが、本発明工具においては、同心円状の凸部の高さは、軸対称形状の凸部の高さと同じでもよい。これは、高さが同じであっても、摩擦熱の発生量増大と、塑性流動領域の拡大効果が期待できるため、凸部13を軽金属部材4に押し込む際、鋼板表面から0.1mmまで近づける必要がなく強固な接合部が形成できるからである。
2つの凸部の高さ、及び、それら高さの相対関係は、広い範囲で接合部材の塑性流動を生じさせ、強固で、ばらつきの少ない強度を有する接合継手を形成するとの観点から、適宜、設定すればよい。
なお、本発明者らが、接合工具の中心部の軸対称形状の凸部の高さと、該凸部と同心円状の凸部の高さを、接合工具の軸心方向で調整可能として、2種の凸部の高さの相対関係が、接合部の強度に及ぼす影響を調査した結果、軸対称形状の凸部の高さが、同心円状の凸部の高さを超えていると、強固な接合部を形成できることが判明した。
例えば、直径12〜15mmφ程度の工具11を用いて厚さ2〜4mm程度のアルミニウム合金材料を鉄鋼材料と摩擦攪拌接合させる場合には、軸対称形状の凸部の高さが、同心円状の凸部の高さより1〜2mm程度突出していることが好ましい。
本発明工具の先端面の中心部に備える軸対称形状の凸部の形状は、図5では半球状であるが、摩擦熱の発生および塑性流動域が形成できれば良いので、他に、円柱状、円錐台状、のいずれでもよい。本発明工具の先端面で、軸対称形状の凸部の周囲に備える同心円状の凸部の断面形状は、図5では逆台形状であるが、その他、半球状、山状、矩形状、のいずれでもよい。
また、軸対称形状の凸部の形状を半球状にすると(図5参照)、凸部が鋼板表面に近づいたとき、急激な反力が生じるため、押圧力の制御により接合工具の高さを一定に保つことが容易であり、接合面積のばらつきを小さくすることができる。また、接合完了時に接合工具を引き抜くとき、凸部に軟化した軽金属部材が凝着しにくいという利点がある。
本発明工具の先端面の中心部に備える軸対称形状の凸部の形状と、本発明工具の先端面で、該凸部の周囲に備える同心円状の凸部の断面形状、及び、その組合せは、摩擦熱の発生量、塑性流動域の形成し易さ、工具引き抜き時における軽金属部材の凝着しにくさ等の観点から、適宜、設定すればよい。
本発明工具においては、接合工具の軸心部に、摩擦攪拌接合時、接合工具の先端面が受ける反力を測定する反力測定器、例えば、ストレインゲージ又は圧縮ばねを組み込み、反力測定値に基づいて、接合工具の回転及び/又は移動を制御することが好ましい。この制御により、摩擦攪拌接合を自動化し、各接合部における接合操作を均一化することができるので、接合部の強度のばらつきを小さくすることができる。
本発明の異質部材の摩擦攪拌接合方法(以下「本発明接合方法」ということがある。)は、金属部材と、金属部材の塑性流動性より高い塑性流動性を有する接合部材を摩擦攪拌接合で接合する方法において、(a)接合箇所の接合部材に、上述した本発明に係る摩擦攪拌接合工具を、回転しつつ押し当てて接合することを特徴とする。
また、本発明接合方法は、(a)接合箇所の接合部材に、本発明に係る摩擦攪拌接合工具を、回転しつつ押し当て、(b)上記接合工具の先端面が受ける反力の変化に応じて上記接合工具の移動及び/又は回転を制御して接合することを特徴とする。
本発明接合方法で接合の対象とする金属部材は、高温でも塑性流動性が小さい金属部材であり、例えば、鉄又はチタンの板材が好ましい。本発明接合方法で金属部材に接合する接合部材は、金属部材の塑性流動性より高い塑性流動性を有する部材であればよく、特に限定されないが、鉄部材又はチタン部材に対しては、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム、又は、マグネシウム合金等の軽金属の板材が好ましい。また、接合部材として、合成樹脂の板材も使用できる。
金属部材がめっき鋼板の場合、接合部材は、アルミニウム、マグネシウム、アルミニウム合金、又は、マグネシウム合金などの軽金属部材が好ましい。
次に、本発明の実施例について説明するが、実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
Al合金の板厚1.6mm、A6061−T6相当材と、板厚1.6mmの270MPa級合金化溶融亜鉛めっき鋼板を重ねあわせ、摩擦攪拌点接合により重ね点接合し、十字引張継手を作製した。
接合の際、表1および図9に示す形状・寸法で、ショルダ径(工具直径)がφ10mmの超硬合金製の接合工具を用いた。いずれの工具を用いた場合も、接合時の回転数は3000rpmの一定値とし、接合工具の軽金属部材への押し込み量は、凸部あるいはプローブ部先端が鋼板表面より0.1mmの距離になるように制御した。また、鋼板表面より0.1mmの位置での保持時間(接合時間)を3秒間の一定値とした。
十字引張強度の測定方法や継手形状はスポット溶接継手に関し規定した、JIS Z 3137に従った。作製した十字引張継手は、所定の引張ジグを用い、引張り速度10mm/min一定にて、引張試験を実施し、そのときの最大荷重を十字引張強度と定義した。同じ条件にて3本の引張継手を作製し、最大荷重の平均値および最大値および最小値を求めた。
これらの結果を図10に示す。N数=3で引張試験を行った際の十字引張強度の、最大値および最小値をエラーバーの上限および下限で表示している。そして、表1の従来例1に示した形状の接合工具による点接合方法による試験結果(従来例1)を基準(100)として、表2の従来例2に示した接合工具による試験結果(従来例2)および本発明例1と2による試験結果を比較して示している。
従来例1と比較して、凸部の直径を2mm大きくした従来例2は1.2倍程度に十字引張強度が改善されるが、ばらつきは改善されないことがわかる。それに対して、本発明例1の場合十字引張強度は1.8倍以上に向上し、かつ、ばらつきが大幅に低減し、良好な十字引張強度が得られた。
Figure 0005949071
前述したように、本発明によれば、機械的特性(塑性流動性)が異なる二つの部材、例えば、鋼部材と軽金属部材や合成樹脂部材の摩擦攪拌接合において、接合工具の直下で剥離の原因となる薄肉部を形成することなく、強固で、かつ、接合強度にばらつきが少ない接合継手を形成することができる。また、本発明によれば、接合工具の回転及び/又は移動を制御して、より強固で、かつ、接合強度にばらつきが少ない接合継手を、効率よく形成することができる。よって、本発明は、産業上の利用可能性が高いものである。
1 接合工具
2 プローブ部(ピン部)
3 鋼部材
4 軽金属部材
5 亀裂
6 薄肉部
7 昇温部
11 接合工具
12 軸対称形状の凸部
13 同心円状の凸部
20 ショルダ部
21 酸化皮膜、めっき層
22 強固な接合領域
23 弱接合領域
24 新生面

Claims (6)

  1. 軸心周りに回転する円柱状の摩擦攪拌接合工具において、接合部材に当接する先端面の中心部に、軸対称形状の凸部を備え、かつ、該凸部の周囲に、該凸部と同心円状の凸部を備え、
    前記軸対称形状の凸部の高さは、前記同心円状の凸部の高さよりも高く、
    前記軸対称形状の凸部が半球状であり、
    前記同心円状の凸部の断面形状が、逆台形状である
    ことを特徴とする摩擦攪拌接合工具。
  2. 前記摩擦攪拌接合工具の軸心部に、摩擦攪拌接合時、該接合工具の先端面が受ける反力を測定する反力測定器が組み込まれていることを特徴とする請求項に記載の摩擦攪拌接合用工具。
  3. 金属部材と、金属部材の塑性流動性より高い塑性流動性を有する接合部材を摩擦攪拌接合で接合する方法において、
    (a)接合箇所の接合部材に、請求項1〜の何れか1項に記載の摩擦攪拌接合工具を、回転しつつ押し当てて接合する
    ことを特徴とする異質部材の摩擦攪拌接合方法。
  4. 金属部材と、金属部材の塑性流動性より高い塑性流動性を有する接合部材を摩擦攪拌接合で接合する方法において、
    (a)接合箇所の接合部材に、請求項1〜の何れか1項に記載の摩擦攪拌接合工具を、回転しつつ押し当て、
    (b)上記接合工具の先端面が受ける反力の変化に応じて上記接合工具の移動及び/又は回転を制御して接合する
    ことを特徴とする異質部材の摩擦攪拌接合方法。
  5. 前記金属部材が、鉄又はチタンの板材であり、前記接合部材が、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム、マグネシウム合金、又は、合成樹脂の板材であることを特徴とする請求項又はに記載の異質部材の摩擦攪拌接合方法。
  6. 前記金属部材がめっき鋼板であり、前記接合部材が、アルミニウム、マグネシウム、アルミニウム合金、又は、マグネシウム合金の板材であることを特徴とする請求項又はに記載の異質部材の摩擦攪拌接合方法。
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