JP5942755B2 - 画像処理回路、画像処理方法及び撮像装置 - Google Patents

画像処理回路、画像処理方法及び撮像装置 Download PDF

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Description

本発明は、画像処理回路、画像処理方法及び撮像装置に関するものである。
CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のイメージセンサを搭載した撮像装置では、イメージセンサから読み出した信号に対して所定の信号処理が施されて出力用の画像データが生成される(例えば、特許文献1,2参照)。この撮像装置における信号処理としては、例えばホワイトバランス調整、ゲイン調整、欠陥信号の補正や手振れ補正処理などが実行される。このような各種の信号処理によって画質の優れた画像データを得ることが可能になっている。
特開2001−186533号公報 特開2000−003437号公報
ところで、上記撮像装置では、イメージセンサを用いて、当該撮像装置に入射されるR(赤色)、G(緑色)、B(青色)それぞれの光の強さを検出し、その光の強さから被写体の色を判断している。そして、そのイメージセンサから読み出した信号に対して上述した各種の信号処理が施されて出力用の画像データが生成される。しかしながら、ホワイトバランス調整等の信号処理やノイズ等に起因して、上記画像データの色データと、実際に撮像装置に入射された光の色との間に誤差が生じる。このため、ホワイトバランス調整等の信号処理を施した後の画像データの色データは、被写体の実際の色と異なってしまう。すると、例えば上記撮像装置を医療現場などで利用した場合には、病巣診断などに悪影響を及ぼす可能性があった。
本発明の一観点によれば、撮像素子から出力されるデータに対して所定の信号処理が施されて生成された画像データから色収差を抽出する色収差抽出回路と、前記色収差に基づいて、前記撮像素子に結像するレンズに入射される入射光の色に対応する色データを算出する色データ算出回路と、前記色データと、前記画像データの前記色収差を抽出した位置における色データとの差分値を算出する差分回路と、前記差分値に応じて前記画像データを補正する補正回路と、を有する。
本発明の一観点によれば、画像データの色をレンズに入射された入射光の色に近づけることができるという効果を奏する。
一実施形態の撮像装置を示すブロック図。 (a)〜(c)は、色収差を示す説明図。 一実施形態の算出テーブルを示す説明図。 イメージセンサ上の位置を示す説明図。 画像補正方法を示すフローチャート。 (a)、(b)は、色収差の検出しやすい条件を示す説明図。 変形例の算出テーブルを示す説明図。
(第1実施形態)
以下、第1実施形態を図1〜図6に従って説明する。
図1に示す撮像装置1は、例えばデジタルスチルカメラである。この撮像装置1は、撮像部10と、アナログフロントエンド(Analog Front End:AFE)20と、画像処理部30と、メモリ50とを有している。
撮像部10は、撮像光学系(光学系)11と、イメージセンサ14とを有している。光学系11は、被写体からの光を集光するレンズ12と、絞り13とを有している。レンズ12は、例えば焦点距離の変更(変倍)が可能なズームレンズである。例えば、レンズ12はズームレンズ群とフォーカスレンズとを有する。このレンズ12は、被写体を撮影するための被写体像をイメージセンサ14の受光面に結像する。また、レンズ12では、例えば画像処理部30内のオートフォーカス(AF)制御部32の制御によってズームレンズ群が光軸方向に沿って移動される。これにより、レンズ12のズーム倍率(倍率)が調整される。また、レンズ12では、例えば上記AF制御部32の制御によってフォーカスレンズが光軸方向に沿って移動される。これにより、イメージセンサ14の受光面における被写体像のフォーカス(焦点)が調整される。
絞り13は、レンズ12を透過した光の量を被写体照度に応じて調整する。イメージセンサ14は、例えばベイヤ配列されたカラーフィルタと、光電変換部を含む複数の画素を備えた撮像素子とを有する。撮像素子としては、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどが用いられる。イメージセンサ14は、被写体像を光電変換して撮像信号(アナログ信号)を生成する。
AFE20は、例えばプリアンプやアナログ−デジタル変換回路(ADC)などを含む。AFE20は、イメージセンサ14から出力される撮像信号をデジタル信号に変換し、そのデジタル信号を画像データ(ベイヤデータ)として画像処理部30に出力する。
画像処理部30は、信号処理部31と、AF制御部32と、画像補正部40とを有している。信号処理部31は、AFE20から入力されるRGB形式の画像データ(入力画像データ)に対して各種画像処理を施し、その処理後の画像データPDを画像補正部40に出力する。各種の画像処理は、例えばホワイトバランス調整やゲイン調整や欠陥信号の補正などの前処理、連続して撮影した画素間のずれを補正する手振れ補正処理などである。ここで、上記手振れ補正は、画像処理によって手振れを補正する技術であって、例えば短い露光時間で連続的に撮影した複数の画像についてずれ量を算出し、そのずれを補正するように複数の画像を位置合わせして合成することで手振れを補正する技術である。そして、信号処理部31は、上記手振れ補正で得られた手振れ量(上記画素間のずれ量)を示す手振れデータD1を画像補正部40に出力する。
また、信号処理部31は、上記入力画像データに基づいて、フォーカス状態を示すAF評価値を算出し、そのAF評価値をAF制御部32に出力する。詳述すると、信号処理部31は、入力画像データから輝度信号を抽出した後に、その輝度信号の画面内における高周波成分を積算することで、入力画像データのコントラスト強度を示すAF評価値を算出し、そのAF評価値をAF制御部32に出力する。ここで、AF制御部32は、上記AF評価値に基づいて被写体にピントを合致させるAF制御を実行する。すなわち、AF制御部32は、AF評価値に基づいて合焦位置(AF位置)を検出し、その合焦位置に上記レンズ12のフォーカスレンズを移動するように制御する。なお、上記AF制御としては、例えば公知の山登り方式のAF制御を用いることができる。
さらに、信号処理部31は、上記入力画像データ等に基づいて、その入力画像データにおけるAF位置(合焦位置)を検出し、そのAF位置の位置情報を含むAFデータD2を画像補正部40に出力する。
画像補正部40には、画像データPDが信号処理部31から入力されるとともに、その画像データPDを撮影した際の撮影条件(具体的には、光学系11の条件)がAF制御部32等から入力される。画像補正部40は、上記入力画像データに対して各種の信号処理が施された画像データPDの色データを、色収差を利用して補正する。具体的には、画像補正部40は、色収差を利用して、画像データPDの色データをレンズ12に入射された入射光の色に近づけるように補正する。そして、画像補正部40は、補正後の補正画像データPD1をメモリ50に格納する。
ここで、画像補正部40における画像補正方法(画像処理方法)について簡単に説明する。まず、信号処理部31でホワイトバランス調整等の信号処理が施された画像データPDの色データは、上記信号処理等に起因してレンズ12に入射された入射光L1(図2(a)参照)の色との間に誤差が生じるため、被写体の実際の色と異なることは上述した。一方、レンズ12を利用した撮像装置1では、色収差と呼ばれる結像誤差が発生する。この色収差とは、図2(a)に示すように、レンズ12に入射光L1が入射されたときに、その入射光L1の光波LR,LG,LBの色の波長によりレンズ12を通過した場合の屈折率が異なることに起因して生じる収差である。このような色収差によって、例えば赤色(R)の波長成分を有する光波LRがイメージセンサ14の受光面に結像する結像位置(エッジ)、緑色(G)の波長成分を有する光波LGの結像位置、及び青色(B)の波長成分を有する光波LBの結像位置が互いに異なったものとなる。換言すると、RGB各色の波長成分を有する光波LR,LG,LBが結像する結像位置(エッジ)の差分が色収差となる。本明細書では、図2(b)及び図2(c)に示すように、緑色の光波LGの結像位置と赤色の光波LRの結像位置との差分(画素数)を「緑赤間の色収差」と称し、青色の光波LBの結像位置と緑色の光波LGの結像位置との差分(画素数)を「青緑間の色収差」と称する。このような色収差は、被写体60(ここでは、木)の色と光学系11の特性データ(レンズ12の屈折率及び倍率や絞り等)により一義的に決まる値である。例えば被写体60の任意の点61における色が薄い緑色の場合(図2(b)参照)と濃い緑色の場合(図2(c)参照)とについて説明する。なお、説明の簡便化のため、被写体60の点61における赤色と青色の成分は同一で緑色のみ異なる場合について説明する。まず、薄い緑色よりも濃い緑色の方が光の周波数が高いため、屈折率が高くなる。このため、被写体60が濃い緑色の場合(図2(c)参照)には、イメージセンサ14において、緑色の光波LGの結像位置が、被写体60が薄い緑色の場合(図2(b)参照)よりも青色の光波LBの結像位置に近い位置で検出される。すなわち、被写体60が濃い緑色の場合には、薄い緑色の場合と比べて、青緑間の色収差が小さくなる一方で、緑赤間の色収差が大きくなる。このように、被写体60の色の違いによって、RGB各色の光波LR,LG,LBのイメージセンサ14における結像位置が異なり、青緑間及び緑赤間の色収差が異なる。このため、このような色収差(具体的には、青緑間及び緑赤間の色収差)を検出することによって、レンズ12に入射された入射光L1の色を判断することができ、ひいては被写体60の色を判断することができる、とも言える。そこで、上記画像補正部40では、色収差を検出し、その色収差を利用して画像データPDの色データをレンズ12に入射された入射光L1の色(被写体60の色)に近づけるように補正する。
次に、画像補正部40の内部構成例を説明する。
図1に示すように、画像補正部40は、色収差抽出回路41と、色データ算出回路42と、差分回路43と、重み付け回路44と、乗算回路45と、補正回路46とを有している。
色収差抽出回路41には、信号処理部31から画像データPD及びAFデータD2が入力される。色収差抽出回路41は、画像データPD及びAFデータD2に基づいて、画像データPDの所定の位置(色収差抽出位置)における色収差を抽出する。そして、色収差抽出回路41は、抽出した色収差とその色収差のイメージセンサ14上の検出位置を示す位置情報とを色データ算出回路42に出力するとともに、上記色収差抽出位置を示す位置データD3を重み付け回路44に出力する。
色データ算出回路42は、上記抽出された色収差と、その色収差のイメージセンサ14上の検出位置と、上記画像データPDを撮影した際の撮影条件(光学系11の条件)とに基づいて、RGB各色の色情報(光の強さ)を含む色データD4を算出する。詳述すると、色データ算出回路42は、上記抽出された色収差から、レンズ12に入射された入射光L1の色に対応する色データD4を算出するための算出テーブル42Aを有している。この算出テーブル42Aは、図3に示すように、レンズ12のズーム倍率(倍率)や絞り等の光学系11の特性データ、色収差を抽出したイメージセンサ14上の位置、青緑間の色収差及び緑赤間の色収差と、RGB各色の色情報を含む色データD4との関係を示すテーブルである。具体的には、算出テーブル42Aでは、レンズ12の倍率(1倍〜h倍)、絞り(1.0〜j)、イメージセンサ14上の検出位置(1〜k:図4参照)、青緑間の色収差(1画素〜m画素)及び緑赤間の色収差(1画素〜n画素)の数値の全ての組み合わせに対してそれぞれ1つの色データD4が対応付けられている。すなわち、レンズ12の倍率や絞りの光学系11の撮影条件と、イメージセンサ14上の検出位置と、色収差(青緑間及び緑赤間の色収差)とを含む入力パラメータが決まると、算出テーブル42Aに基づいて一意的にRGB各色の色情報が決定され色データD4が算出される。
ここで、上述したように、色収差は、被写体の色(入射光L1の色)と光学系11の特性データ(レンズ12の屈折率及び倍率や絞り等)により一義的に決まる値である。換言すると、色収差と光学系11の特性データによって被写体の色(入射光L1の色)を一義的に判断することができる。そこで、色データ算出回路42では、光学系11(レンズ12及び絞り13)の性能評価時等に取得される光学系11の特性データに基づいて、その光学系11(レンズ12)に対応した算出テーブル42Aを予め準備し、その算出テーブル42Aを用いて色収差から入射光L1の色を示す色データD4を算出するようにした。上記屈折率はレンズ12固有の特性値であって固定値であるため上記入力パラメータには含まれていないが、その屈折率に応じて色データD4(入射光L1の色)と色収差との関係が変わるため、上記算出テーブル42Aにはレンズ12の屈折率が反映されている。換言すると、算出テーブル42Aでは、レンズ12の屈折率に基づいて、撮影条件となる光学系11の特性データ及び上記色収差と色データD4とが対応付けられている。すなわち、算出テーブル42Aは、レンズ12固有の屈折率に基づき決定される「レンズ12固有の色収差」及び撮影条件となる「光学系11の特性データ」と、レンズ12に入射された入射光L1の色を示す「色データD4」との関係を示すように生成されている。
なお、入力パラメータ内のイメージセンサ14上の検出位置は、イメージセンサ14(撮像素子)の各画素に付与された番号で表わされている。本例では、図4に示すように、例えばイメージセンサ14の左上の画素、つまり1行1列目の画素に対して「1」が付与され、さらに1行目の画素に対して左から順番に番号(ここでは、「2」〜「15」)が付与されている。続いて、イメージセンサ14の2行1列目の画素に対して次番号(ここでは、「16」)が付与され、さらに2行目の画素に対して左から順番に番号が付与されている。以下同様に、イメージセンサ14の全画素に番号が付与され、イメージセンサ14の右下の画素の番号が「k」となる。また、図3では、図面の簡略化のために、色データD4におけるRGB各色の色情報を「XXX」と示しているが、実際には、RGB各色の色情報は10進数で表わすと、例えば「0」〜「255」の値で表わされる。
差分回路43には、色データ算出回路42で算出された色データD4と、信号処理部31から出力された画像データPDとが入力される。差分回路43は、色収差の検出位置において、画像データPDの色データと上記色データD4との差分値D5を算出し、その差分値を乗算回路45に出力する。
重み付け回路44には、信号処理部31からの手振れデータD1及びAFデータD2と、上記色収差抽出回路41からの位置データD3とが入力される。この重み付け回路44は、手振れデータD1と、AFデータD2と、位置データD3とに基づいて、上記色収差抽出回路41で抽出された色収差の正確性(信頼性)を示す重み値D6を算出する。そして、重み付け回路44は、算出した重み値D6を乗算回路45に出力する。
乗算回路45は、差分回路43からの差分値D5と、重み付け回路44からの重み値D6との乗算値を算出し、その乗算値を補正値D7として補正回路46に出力する。
補正回路46は、乗算回路45からの補正値D7に基づいて、画像データPD全体の色データを補正した補正画像データPD1を生成する。そして、補正回路46は、補正画像データPD1及び補正値D7をメモリ50に出力する。
なお、本実施形態において、重み付け回路44及び乗算回路45は補正値生成回路の一例である。
次に、画像補正部40の動作(画像補正方法)について詳述する。
図5に示すステップS1及びステップS2において、色収差抽出回路41は、信号処理部31から入力される画像データPDから色収差を抽出する色収差検出位置として、色収差を検出(抽出)しやすい位置を選択する。ここで、色収差を検出しやすい条件について説明する。詳述すると、図6(a)に示すように、画像データPD(イメージセンサ13)の中心から離れるほど、つまり画像の外縁に近づくほど、色収差は顕著になる。このため、画像の中心から離れるほど色収差を検出しやすい。また、図6(b)に示すように、ピントが合っている合焦位置(AF位置)では、画像のエッジ(境界)が強いため、AF位置に近づくほど色収差を検出しやすい。さらに、手振れが少ない方が画像のエッジが検出しやすいため、手振れが少ないほど色収差を検出しやすい。なお、図6(b)において、実線枠がAF位置(合焦位置)であり、破線枠がAF位置の候補である。
そこで、図5に示したステップS1では、まず、AF位置に近い色収差抽出位置の候補が複数選択される。すなわち、AF位置又はAF位置に近い位置が色収差抽出位置の候補として複数選択される。続いて、ステップS2では、上記選択された複数の候補の中から、画像中心から遠い位置の候補が色収差抽出位置として選択される。具体的には、上記選択された複数の色収差抽出位置の候補の中から、画像データPD(イメージセンサ13)の中心から最も離れた位置の候補が色収差抽出位置として選択される。これにより、色収差を検出しやすい位置(具体的には、AF位置に近く、且つ画像の中心から離れた位置)が色収差抽出位置として選択される。
次いで、ステップS3において、色収差抽出回路41は、上記選択した色収差抽出位置における色収差を抽出する。具体的には、色収差抽出回路41は、上記色収差抽出位置においてRGB各色の光波LR,LG,LB(図2参照)の結像位置(エッジ)を検出し、それらエッジの差分値から色収差を抽出(算出)する。より具体的には、色収差抽出回路41は、青色の光波LBのエッジと緑色の光波LGのエッジとの差分値から青緑間の色収差を算出するとともに、緑色の光波LGのエッジと赤色の光波LRのエッジとの差分値から緑赤間の色収差を算出する。
次に、ステップS4において、色データ算出回路42は、算出テーブル42Aに基づいて、上記色収差抽出位置で抽出された色収差から、レンズ12に入射された入射光L1の色に対応する色データD4を算出する。具体的には、上記抽出された色収差と、その色収差のイメージセンサ14上の検出位置と、上記画像データPDを撮影した際の光学系11の条件(具体的には、レンズ12の倍率及び絞り)とを入力パラメータとして算出テーブル42Aから色データD4を算出する。これにより、レンズ12固有の色収差及び光学系11の条件から、レンズ12に入射された入射光L1の色に対応する色データD4を算出することができる。
続いて、ステップS5において、差分回路43は、上記色収差抽出位置における画像データPDの色データと、先のステップS4で算出された色データD4との差分値D5を算出する。この差分値D5により、画像データPDの色と入射光L1の色との誤差を判断することができる。
次いで、ステップS6において、重み付け回路44は、先のステップS3で算出された色収差が正確な値であるか否かを示す重み値D6を生成する。具体的には、重み付け回路44は、先のステップS3で抽出された色収差が、検出しやすい条件で検出された信頼性の高い色収差であるか否かに応じて、上記差分値D5を重み付けする重み値D6を生成する。詳述すると、重み付け回路44は、色収差抽出回路41からの位置データD3に基づいて、先のステップS2で選択された色収差抽出位置と画像データPDの中心位置との間の距離を算出し、その距離に応じて第1の値A1を生成する。この第1の値A1は、例えば、「0」〜「1」の値であって、上記色収差抽出位置が画像データPDの中心位置から離れているほど「1」に近づく値である。また、重み付け回路44は、信号処理部31からのAFデータD2と上記位置データD3とに基づいて、上記色収差抽出位置とAF位置(合焦位置)との間の距離を算出し、その距離に応じて第2の値A2を生成する。この第2の値A2は、例えば、「0」〜「1」の値であって、上記色収差抽出位置がAF位置(合焦位置)に近づくほど「1」に近づく値である。さらに、重み付け回路44は、信号処理部31からの手振れデータD1に基づいて、第3の値A3を生成する。この第3の値A3は、例えば、「0」〜「1」の値であって、手振れ量が少ないほど「1」に近づく値である。そして、重み付け回路44は、第1の値A1と、第2の値A2と、第3の値A3とを乗算した値を重み値D6(=A1×A2×A3)として算出する。この重み値D6は、先のステップS3において色収差を検出したときの条件が色収差を検出しやすい条件(色収差抽出位置が画像中心から遠く離れて且つAF位置に近く、手振れが少ないという条件)であるほど「1」に近づく。
次に、ステップS7において、乗算回路45は、差分値D5と重み値D6とを乗算して補正値D7を算出する。すなわち、乗算回路45は、差分値D5を重み値D6で重み付け(補正)した補正値D7を生成する。ここで、重み値D6で差分値D5を重み付けする理由を説明する。上記ステップS3で色収差を正確に抽出できた場合には、その色収差と光学系11の条件とによって一義的に入射光L1の色を判断することができる。しかしながら、色収差は、常に正確に検出できるわけではなく、その検出条件によって正確性(信頼性)が低くなる。そこで、色収差を検出しやすい条件で色収差を検出した場合ほど、つまりステップS3で検出された色収差の正確性(信頼性)が高いほど「1」に近づく重み値D6を生成し、その重み値D6で差分値D5を重み付けするようにした。これにより、検出された色収差の正確性が高いほど、補正値D7は差分値D5に近い値になる。反対に、検出された色収差の正確性が低いほど、補正値D7は「0」に近い値になる。
続いて、ステップS8において、補正回路46は、補正値D7を用いて、画像データPD全体の色データを補正して補正画像データPD1を生成する。具体的には、補正回路46は、画像データPDの各画素の色データに上記補正値D7を加算することで、画像データPD全体の色データを補正して補正画像データPD1を生成する。ここで、上記補正値D7は、ステップS3で検出された色収差の正確性が高いほど差分値D5に近い値になる。このため、検出しやすい条件で色収差が検出された場合には、その色収差から算出された色データD4と画像データPDの色データとの差分値D5に近い補正値D7によって画像データPD全体の色データが補正される。これにより、補正後の補正画像データPD1の色を入射光L1の色に近づけることができ、ひいては補正画像データPD1の色を被写体の色に近づけることができる。なお、上記補正処理に使用した補正値D7(及び差分値D5)は、1点の色収差抽出位置から抽出された色収差に基づいて生成されたものである。但し、画像データPDの色データと入射光L1の色との誤差は画像データPD全体で略同じになる。このため、上記補正値D7を用いて画像データPD全体の色データを補正することにより、補正画像データPD1全体の色を被写体の色に近づけることができる。
そして、補正画像データPD1がメモリ50に格納されるとともに、補正値D7がメモリ50に格納される。このように補正値D7をメモリ50に格納しておくことで、次の画像データPDが生成されたときに、新たに補正値D7を生成することなく、メモリ50から読み出した上記補正値D7によって次の画像データPDを補正することができる。なお、補正値D7は、例えば撮像装置1による撮影時(画像データPDの生成時)に毎回算出するようにしてもよいし、撮像装置1を起動した後の最初の撮影時のみに行うようにしてもよい。
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)画像データPDから色収差を抽出し、その色収差から入射光L1の色に対応する色データD4を算出し、その色データD4と画像データPDの色データとの差分値D5に応じて画像データPDを補正するようにした。これにより、撮像装置1が有するレンズ12固有の色収差に基づいて入射光L1の色を判断することができ、その入射光L1の色に近づくように画像データPDを補正することができる。
(2)抽出された色収差の正確性(信頼性)が高いほど差分値D5に近い値になる補正値D7を生成し、その補正値D7で画像データPDを補正するようにした。これにより、色収差の正確性に応じて、つまり検出しやすい条件で色収差が抽出されたか否かに応じて差分値D5が補正されるため、画像データPDに対する補正精度を向上させることができる。すなわち、補正値D7で画像データPDを補正することにより、その補正後の補正画像データPD1の色を入射光L1の色により近づけることができる。
(3)色収差抽出位置と画像データPDの中心位置との間の距離と、色収差抽出位置と合焦位置(AF位置)との間の距離と、画像データPDにおける手振れ量とに基づいて、色収差の正確性を示す重み値D6を生成し、その重み値D6で差分値D5を補正して補正値D7を生成するようにした。これにより、複数のパラメータ(2つの距離情報と手振れ量)で色収差の正確性を判断することができるため、その判断精度を向上させることができる。
(4)色データ算出回路42では、レンズ12の屈折率に基づいて、撮影条件となる光学系11の特性データ(レンズ12の倍率や絞り等)及び色収差と、入射光L1の色に対応する色データD4とが対応付けられた算出テーブル42Aを用意するようにした。これにより、色収差及び光学系11の撮影条件さえ決まれば、一意的に色データD4が決定されるため、色収差から色データD4を容易に算出することができる。
(他の実施形態)
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の態様にて実施することもできる。
・上記実施形態では、色データD4を算出する際に入力パラメータとなる複数のパラメータ(レンズ12の倍率、絞り、イメージセンサ14上の検出位置、青緑間の色収差、緑赤間の色収差)の全てを変数とした。これに限らず、例えば上記複数のパラメータのうち、レンズ12の倍率、絞り、及びイメージセンサ14上の検出位置を固定した状態で被写体を撮影し、そのときに生成された画像データPDから補正値D7を生成するようにしてもよい。このようなキャリブレーション(校正)を行うことにより、図7に示すように、色収差から色データD4を算出するための算出テーブル42Aのデータ量を減らすことができる。図7に示した算出テーブル42Aでは、図3に示した算出テーブル42Aとの違いを明確にするために、レンズ12の倍率、絞り、及びイメージセンサ14上の検出位置についても図示しているが、実際にはこれらの情報は算出テーブル42Aから省略することができる。すなわち、この場合の算出テーブル42Aでは、レンズ12の屈折率に基づいて、色収差と色データD4とが対応付けられている。そして、色データ算出回路42では、図7に示した算出テーブル42Aに基づいて、色収差抽出回路41で抽出された色収差のみを入力パラメータとして上記色データD4が算出される。なお、このように光学系11の撮影条件を固定した撮影時に生成された補正値D7は、その後の通常の撮影によって得られた画像データPDに対する補正に利用することができる。
・あるいは、上記キャリブレーション時に、予め設定された「基準となる色」の被写体を撮影し、そのときに生成された画像データPDから補正値D7を生成するようにしてもよい。これによれば、レンズ12に入射される入射光L1の色が限定されるため、その入射光L1の色に対応する色データD4も限定されることになる。このため、色収差から色データD4を算出するための算出テーブル42Aのデータ量を更に減らすことができる。
・上記実施形態の重み付け回路44では、電子式の手振れ補正(画像処理による手振れ補正)から得られた手振れ量を利用して重み値D6を算出するようにした。これに限らず、例えば光学式の手振れ補正や撮像素子シフト式の手振れ補正等から得られた手振れ量を利用して重み値D6を算出するようにしてもよい。
・上記実施形態における手振れデータD1及び第3の値A3を省略するようにしてもよい。この場合には、第1の値A1及び第2の値A2のみから重み値D6が生成される。
・上記実施形態では、色収差抽出位置とAF位置との間の距離に応じて第2の値A2を生成するようにした。これに限らず、例えばユーザがマニュアルで被写体にピントを合致させた合焦位置と色収差抽出位置との間の距離に応じて第2の値A2を生成するようにしてもよい。すなわち、AF位置に限らず合焦位置であれば、その合焦位置と色収差抽出位置との間の距離に応じて第2の値A2を生成するようにしてもよい。
・上記実施形態における重み値D6を省略してもよい、すなわち差分値D5の重み値D6による重み付け(補正)を省略してもよい。この場合には、差分回路43で算出された差分値D5で画像データPDを補正する。
・上記実施形態では、色収差抽出位置を1箇所選択し、その選択した色収差抽出位置で抽出された色収差に基づいて色データD4を算出し、その色データD4に基づく差分値D5と重み値D6とから補正値D7を生成するようにした。これに限らず、例えば色収差抽出位置を複数箇所選択し、それら選択した複数の色収差抽出位置でそれぞれ抽出された色収差に基づいて色データD4を算出し、それら複数の色データD4にそれぞれ基づく差分値D5を算出する。そして、上記抽出された複数の色収差のそれぞれの正確性を示す複数の重み値D6を算出し、上記差分値D5を対応する重み値D6で重み付けすることにより複数の補正値D7を生成するようにしてもよい。この場合には、例えば複数の補正値D7の平均値で画像データPDを補正するようにしてもよい。
・上記実施形態の撮像装置1を、静止画撮影機能を有するデジタルビデオカメラ等に具体化してもよい。
・上記実施形態では、画像補正処理を実行する処理を区分してブロックとして図1に示した。すなわち、画像補正処理は、図1に示すように、色収差抽出回路41と、色データ算出回路42と、差分回路43と、重み付け回路44と、乗算回路45と、補正回路46とによって実行される。なお、これら図1に示す各部は、画像補正部40において実行される処理を説明するために区分して示すものであり、これら各処理を実行するハードウェアが存在する必要はなく、これら処理をプログラムに従って実行可能な構成であればよい。
1 撮像装置
11 光学系
12 レンズ
13 絞り
14 イメージセンサ(撮像素子)
30 画像処理部(画像処理回路)
31 信号処理部
40 画像補正部
41 色収差抽出回路
42 色データ算出回路
42A 算出テーブル
43 差分回路
44 重み付け回路
45 乗算回路
46 補正回路
60 被写体
PD 画像データ
D5 差分値
D6 重み値
D7 補正値
L1 入射光

Claims (8)

  1. 撮像素子から出力されるデータに対して所定の信号処理が施されて生成された画像データから色収差を抽出する色収差抽出回路と、
    前記色収差に基づいて、前記撮像素子に結像するレンズに入射される入射光の色に対応する色データを算出する色データ算出回路と、
    前記色データと、前記画像データの前記色収差を抽出した位置における色データとの差分値を算出する差分回路と、
    前記差分値に応じて前記画像データを補正する補正回路と、
    を有する画像処理回路。
  2. 前記差分値から補正値を生成する補正値生成回路を有し、
    前記補正値生成回路は、前記色収差の信頼性が高いほど前記差分値に近い値になる前記補正値を生成し、
    前記補正回路は、前記補正値に基づいて前記画像データを補正することを特徴とする請求項1に記載の画像処理回路。
  3. 前記補正値生成回路は、前記色収差を抽出した抽出位置と前記画像データの中心位置との間の距離と、前記抽出位置と合焦位置との間の距離とに応じて前記差分値を補正して前記補正値を生成することを特徴とする請求項2に記載の画像処理回路。
  4. 前記補正値生成回路は、前記画像データにおける手振れ量に応じて前記差分値を補正して前記補正値を生成することを特徴とする請求項3に記載の画像処理回路。
  5. 前記色データ算出回路は、
    前記レンズの屈折率に基づいて、前記色収差と前記色データとが対応付けられた算出テーブルを有し、
    前記算出テーブルに基づいて、前記色収差から前記色データを算出することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の画像処理回路。
  6. 前記色データ算出回路は、
    前記レンズの屈折率に基づいて、前記レンズを含む光学系の撮影条件となる特性データ及び前記色収差と前記色データとが対応付けられた算出テーブルを有し、
    前記算出テーブルに基づいて、前記色収差及び前記光学系の撮影条件から前記色データを算出することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の画像処理回路。
  7. 撮像素子から出力されるデータに対して所定の信号処理が施されて生成された画像データから色収差を抽出し、
    前記色収差に基づいて、前記撮像素子に結像するレンズに入射される入射光の色に対応する色データを算出し、
    前記色データと、前記画像データの前記色収差を抽出した位置における色データとの差分値を算出し、
    前記差分値に応じて前記画像データを補正する、
    ことを特徴とする画像処理方法。
  8. 撮像素子と、
    被写体を前記撮像素子に結像するレンズを含む光学系と、
    前記撮像素子から出力されるデータに対して所定の信号処理を施して画像データを生成する信号処理部と、
    前記画像データから色収差を抽出する色収差抽出回路と、
    前記色収差に基づいて、前記レンズに入射される入射光の色に対応する色データを算出する色データ算出回路と、
    前記色データと、前記画像データの前記色収差を抽出した位置における色データとの差分値を算出する差分回路と、
    前記差分値に応じて前記画像データを補正する補正回路と、
    を有することを特徴とする撮像装置。
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