(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る定着装置及び画像形成装置の一例について説明する。
(全体構成)
図1には、第1実施形態の一例としての画像形成装置10が示されている。画像形成装置10は、上下方向(図示の矢印Y方向)の下側から上側へ向けて、記録媒体の一例としての記録用紙Pが収容される用紙収容部12と、用紙収容部12の上に設けられ用紙収容部12から供給される記録用紙Pに画像形成を行う画像形成部14と、を有している。さらに、画像形成装置10は、画像形成部14の左上側に一体的に設けられ画像形成された記録用紙Pを排出する排出部16と、排出部16の上に設けられ読取原稿Gを読み取る原稿読取部18と、画像形成部14内に設けられ画像形成装置10及び後述する定着装置100の各部の動作を制御する制御手段の一例としての制御部20と、を有している。なお、以後の説明では、画像形成装置10の上下方向をY方向、水平方向をX方向と記載し、X方向及びY方向と直交する方向をZ方向と記載する。
用紙収容部12は、サイズの異なる記録用紙Pが収容される第1収容部22、第2収容部24、第3収容部26、及び第4収容部28がY方向に並んで設けられている。第1収容部22、第2収容部24、第3収容部26、及び第4収容部28には、収容された記録用紙Pを画像形成装置10内に設けられた搬送路30に送り出す送り出しロール32が設けられており、搬送路30における送り出しロール32よりも下流側には、記録用紙Pを一枚ずつ搬送するそれぞれ一対の搬送ロール34及び搬送ロール36が設けられている。また、搬送路30における記録用紙Pの搬送方向で、搬送ロール36よりも下流側であり且つ画像形成部14内には、記録用紙Pを一端停止させると共に決められたタイミングで二次転写部37(詳細は後述する)へ送り出す位置合せロール38が設けられている。
画像形成部14は、装置本体である筐体16Aを有している。筐体16Aは、画像形成装置10の正面視で画像形成部14の左上部が中央上部及び右上部よりも上側に突出されている。そして、排出部16の上端に原稿読取部18の左端部が結合されている。これにより、画像形成装置10には、画像形成部14の上面、原稿読取部18の下面、及び排出部16の右側面で囲まれた排出領域19が形成されている。排出領域19では、排出部16からの記録用紙Pの排出及び積載が行われる。
搬送路30を挟んで第4収容部28の搬送ロール36側とは反対側には、画像形成装置10の正面視で左側面に設けられた折り畳み式の手差給紙部39から搬送路30へ記録用紙Pが搬送される予備搬送路40が設けられている。予備搬送路40には、手差給紙部39の記録用紙Pを予備搬送路40に送り出す送り出しロール42と、送り出しロール42よりも下流側に設けられ記録用紙Pを一枚ずつ搬送する複数の搬送ロール44とが設けられており、予備搬送路40の下流側端部は搬送路30に接続されている。
また、画像形成部14で搬送路30における二次転写部37よりも下流側には、記録用紙P上の現像剤(トナー)を溶融及び加圧して記録用紙Pに定着する定着装置100が設けられている。なお、定着装置100の詳細は後述する。
図1及び図2に示すように、画像形成部14の中央には、黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色のトナーを組合せて記録用紙Pにトナー画像(現像剤像)を形成する現像剤像形成手段の一例としての画像形成ユニット60が設けられている。画像形成ユニット60は、潜像を保持する潜像保持体としての感光体62K、62Y、62M、62Cが、黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色のトナーに対応して設けられている。なお、以後の説明では、K、Y、M、Cを区別する必要がある場合は、数字の後にK、Y、M、Cのいずれかの英字を付して説明し、同様の構成でK、Y、M、Cを区別する必要がない場合は、K、Y、M、Cの記載を省略する。
図2に示すように、感光体62K、62Y、62M、62Cは、この順番で図示の右斜め上方に向けて並んでおり、それぞれ矢印b方向(図示の反時計回り方向)に回転すると共に光照射によって形成される静電潜像を外周面に保持するようになっている。また、各感光体62K、62Y、62M、62Cの周囲には、矢印b方向に沿って順に、帯電ロール66、LED(Light Emitting Diode)ヘッド68、現像器72、中間転写ベルト64(一次転写ロール74)、及びクリーニングロール76が設けられている。
帯電ロール66は、一例として、ステンレス鋼製の軸部の周囲に導電性弾性層、中間層、及び表面樹脂層を含む複数の層(いずれも図示省略)が形成された構成となっている。また、帯電ロール66は、外周面が感光体62の表面層と接触して従動するように軸部が回転可能に設けられており、電圧印加部(図示省略)から電圧が印加されることにより生じる放電により、感光体62の外周面を帯電させるようになっている。
LEDヘッド68は、帯電ロール66により帯電した感光体62の外周面に各トナー色に対応した光を照射(露光)して静電潜像を形成するようになっている。なお、感光体62への露光手段として、K、Y、M、Cの4色共通でレーザ光をポリゴンミラーで走査する方式を用いてもよい。
現像器72は、感光体62に形成された潜像へ現像剤を供給して現像剤像(トナー画像)を形成する現像ロール71と、現像ロール71へ現像剤を循環搬送する搬送部材73A及び73Bとを有している。なお、現像剤としては、主にトナーとキャリアを含む二成分現像剤、トナーを主とする一成分現像剤のいずれを用いても良い。
中間転写ベルト64は、無端状に形成されており、二次転写部37に設けられたベルト搬送ロール82と、ベルト搬送ロール82の右下方に設けられたベルト搬送ロール84と、ベルト搬送ロール82の右斜め上方に設けられモータ(図示省略)で駆動される駆動ロール86とに巻き掛けられて矢印a方向(図示の時計回り方向)に周回移動可能に支持されている。中間転写ベルト64の外周面は、トナー画像が転写される転写面とされており、中間転写ベルト64の駆動ロール86からベルト搬送ロール84までの転写面に感光体62K、62Y、62M、62Cの外周面が接触している。
一方、中間転写ベルト64を挟んで感光体62K、62Y、62M、62Cの反対側には、一次転写ロール74(74K、74Y、74M、74C)が設けられている。一次転写ロール74は、中間転写ベルト64の内周面に接触しており、電圧印加部(図示省略)から電圧が印加されることで、接地された感光体62との電位差により、感光体62のトナー画像を中間転写ベルト64の転写面へ一次転写させるようになっている。これにより、中間転写ベルト64が1周する間に中間転写ベルト64上に各トナー画像が重ねて転写される。
また、中間転写ベルト64を挟んでベルト搬送ロール84と反対側には、トナー濃度検出センサ88が設けられている。トナー濃度検出センサ88は、中間転写ベルト64の転写面に転写されたトナー画像の濃度を検出する機能を有している。さらに、中間転写ベルト64を挟んで駆動ロール86と反対側には、二次転写後の中間転写ベルト64の転写面に残留したトナー等を清掃する清掃部材92が設けられている。
二次転写部37は、中間転写ベルト64が巻き掛けられたベルト搬送ロール82と、中間転写ベルト64を挟んでベルト搬送ロール82側とは反対側に設けられた二次転写ロール89とで構成されている。ベルト搬送ロール82又は二次転写ロール89には、電圧印加部(図示省略)から電圧が印加されるようになっており、ベルト搬送ロール82と二次転写ロール89との電位差により、中間転写ベルト64上のトナー画像が記録用紙P上に二次転写されるようになっている。
図1に示すように、画像形成部14の清掃部材92よりも右側には、黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各トナーを収容するトナーカートリッジ77K、77Y、77M、77Cが交換可能に設けられている。また、画像形成部14の搬送路30よりも左側には、記録用紙Pの両面に画像形成を行うために記録用紙Pが搬送及び反転される反転搬送手段の一例としての両面搬送路94が設けられている。
両面搬送路94は、搬送路30における記録用紙Pの搬送方向で後述する定着装置100よりも下流側に設けられた搬送ロール95と、搬送ロール95よりも下流側に設けられ回転方向が切り換え可能とされた搬送ロール96との間に一端が接続されており、他端が位置合せロール38の上流側に接続されている。また、両面搬送路94には、搬送ロール96から送り込まれる記録用紙Pを位置合せロール38へ向けて搬送する複数の搬送ロール97が設けられている。これにより、両面画像形成時には、定着装置100で表面側にトナー画像が定着された記録用紙Pが、搬送ロール96の逆回転及び経路切り替え部材(図示省略)により両面搬送路94に進入し、再度、位置合せロール38に進入することで、記録用紙Pの表面と裏面が反転されるようになっている。
また、排出部16における搬送ロール95よりも下流側で、搬送路30から排出領域19側へ分岐された搬送路31には、画像形成部14の上部に設けられた下置台52へ記録用紙Pを排出する下排出ロール54が設けられている。そして、下排出ロール54に隣接する位置には、下置台52上に積載された記録用紙Pの積載高さを検知する下検知部55が設けられている。また、排出部16における搬送ロール95よりも下流側の搬送路30には、下置台52の上方に設けられた上置台56へ記録用紙Pを排出する上排出ロール57が設けられている。そして、上排出ロール57に隣接する位置には、上置台56上に積載された記録用紙Pの積載高さを検知する上検知部58が設けられている。
一方、原稿読取部18は、読取原稿Gを1枚ずつ自動で搬送する原稿搬送装置45と、原稿搬送装置45の下側に配置され1枚の読取原稿Gが載せられるプラテンガラス47と、原稿搬送装置45によって搬送された読取原稿G又はプラテンガラス47に載せられた読取原稿Gを読み取る原稿読取装置49とが設けられている。原稿搬送装置45は、一対の搬送ロール46が複数配置された自動搬送路48を有しており、自動搬送路48の一部は、記録用紙Pがプラテンガラス47上を通るように配置されている。また、原稿読取装置49は、プラテンガラス47の左端部に静止した状態で原稿搬送装置45によって搬送された読取原稿Gを読み取り、又はX方向に移動しながらプラテンガラス47に載せられた読取原稿Gを読み取るようになっている。
次に、画像形成装置10における画像形成工程について説明する。
図1に示すように、画像形成装置10が作動すると、画像処理装置(図示省略)又は外部から、黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色の画像データがLEDヘッド68(図2参照)に出力される。続いて、LEDヘッド68から画像データに応じて出射された光は、帯電ロール66により帯電された感光体62の外周面(表面)を露光し、各感光体62の表面には各色の画像データに対応した静電潜像が形成される。さらに、各感光体62の表面に形成された静電潜像は、各現像器72によってトナー画像として現像される。そして、各感光体62の表面のトナー画像は、一次転写ロール74によって中間転写ベルト64に順次多重転写される。
一方、用紙収容部12から送り出され、搬送路30を搬送されてきた記録用紙Pは、位置合せロール38により、中間転写ベルト64への各トナー画像の多重転写とタイミングを合わせて二次転写部37に搬送される。そして、中間転写ベルト64上に多重転写されたトナー画像は、二次転写部37に搬送されてきた記録用紙P上に二次転写ロール89によって二次転写される。
続いて、トナー画像が転写された記録用紙Pは、定着装置100へ搬送される。そして、定着装置100では、トナー画像が定着ロール102及び加圧ロール104によって加熱、加圧されることで記録用紙Pに定着される。さらに、トナー画像が定着された記録用紙Pは、排出部16から下置台52又は上置台56へ排出される。なお、記録用紙Pの両面に画像を形成する場合は、定着装置100で表面に画像定着を行った後、この記録用紙Pの下端を搬送ロール96から両面搬送路94に送り込むと共に位置合せロール38(搬送路30)へ送り出すことで、記録用紙Pの先端と後端を入れ替える。そして、記録用紙Pの裏面の画像形成及び定着を行う。
(要部構成)
次に、定着装置100について説明する。
図3に示すように、定着装置100は、装置本体としての筐体112を有している。筐体112は、X方向が開放された加圧側カバー部材114と、X方向とは反対方向が開放された定着側カバー部材113とが、互いの開放側を対向させて配置した構成となっている。また、筐体112には、定着側カバー部材113の一端部(下側)及び加圧側カバー部材114の一端部(下側)を周縁部とする開口部112Aが形成されている。さらに、筐体112には、定着側カバー部材113の他端部(上側)及び加圧側カバー部材114の一端部(上側)を周縁部とする開口部112Bが形成されている。開口部112Aは、記録用紙Pの進入口であり、開口部112Bは、記録用紙Pの排出口である。
また、定着装置100は、定着回転体の一例としての定着ロール102と、回転体及び加圧回転体の一例としての加圧ロール104と、加圧ロール104の一部が入り込むダクト106と、ダクト106に空気を送り込む冷却手段の一例としての冷却ファン108と、加圧ロール104の外周面と対向して配置された規制部材110と、ダクト106の外側で加圧ロール104の温度を測定する温度測定手段の一例としての温度センサ117と、定着ロール102の温度を測定する温度センサ119と、温度センサ117で測定された温度に基づいて冷却ファン108を動作させ、加圧ロール104の温度を制御する制御手段の一例としての制御部20(図1参照)と、を有している。
定着ロール102は、一例として、Z方向を軸方向とする円筒状の芯金102Aの外周面にシリコンゴム層及びフッ素樹脂からなる離型層(図示省略)が被覆された構成となっている。芯金102Aの内側には、搬送される記録用紙P上の現像剤を定着するために加熱する加熱源の一例としてのハロゲンランプ103が挿入されている。また、芯金102Aの両端部は、筐体112に設けられたベアリング(図示省略)により、矢印A方向(図示の時計回り方向)に回転可能に支持されている。そして、芯金102AのZ方向の一端には、ギヤ及びモータを含む駆動源(図示省略)が接続されている。この駆動源は、既述の制御部20(図1参照)により回転又は停止が制御される。定着ロール102は、ハロゲンランプ103により加熱され記録用紙P上の未定着現像剤を現像剤側から加熱して記録用紙Pに定着させる。
加圧ロール104は、一例として、Z方向を軸方向とする円柱状で回転軸の一例としての芯金104Aの周囲に、シリコンゴム層及びフッ素樹脂からなる離型層(図示省略)が被覆された構成となっている。また、芯金104Aの両端部は、筐体112に設けられたベアリング(図示省略)により、矢印B方向(図示の反時計回り方向)に回転可能に支持されている。さらに、加圧ロール104は、バネを含む付勢手段(図示省略)の付勢力により、定着ロール102に押し付けられており、定着ロール102との間に記録用紙Pを挟んで加圧する。
加えて、加圧ロール104及び定着ロール102の外周面には、定着ロール102と加圧ロール104とが記録用紙Pを挟む部分であるニップ部Nが形成されている。また、加圧ロール104は、定着ロール102の回転に合わせて従動回転するようになっており、この定着ロール102及び加圧ロール104の回転により、記録用紙Pが矢印C方向に進入、排出されるようになっている。ここで、記録用紙Pがニップ部Nを通っている間、定着ロール102の加熱及び加圧ロール104の加圧によりトナーT(トナー画像)が溶融され、記録用紙Pがニップ部Nから排出されることで溶融されたトナーTが凝固し、記録用紙Pに定着される。
ダクト106は、筐体16A(図1参照)の側壁に設けられた外気取込口(図示省略)から外気が流入する湾曲した流入部106Aと、流入部106AのY方向上端からY方向へ直線状に延びる本体部106Bと、本体部106BのY方向上端から開口部112Bへ向かって湾曲した排出部106Cと、を含んで構成されている。そして、流入部106Aと本体部106Bとの接続部位に冷却ファン108が設けられている。
本体部106Bは、定着装置100の外側から加圧側カバー部材114内へ挿入されている。また、本体部106Bは、加圧側カバー部材114内における加圧ロール104のニップ部N側とは反対側に配置されている。そして、本体部106Bの一部には、加圧ロール104のニップ部N側とは反対側の一部が入り込んでいる。このようにして、ダクト106は、ニップ部Nがある空間Sとは仕切られると共に加圧ロール104の一部が入り込む流路105を形成している。さらに、筐体112内における本体部106Bの加圧ロール104側の側壁107には、詳細を後述する規制部材110が設けられている。
冷却ファン108は、制御部20(図1参照)により回転又は停止の動作が制御されており、本実施形態では一例として、記録用紙PへのトナーTの定着動作中に冷却ファン108が継続して回転する設定となっている。また、冷却ファン108は、回転してダクト106内に外気(空気)を送り込み、加圧ロール104を冷却するようになっている。
温度センサ117は、一例として、サーミスタ(図示省略)を含むNC(Non−Contact)センサであり、空間S内で加圧ロール104の外周面と間隔をあけて設けられて(対向して配置されて)いる。なお、本実施形態では、温度センサ117を加圧側カバー部材114内で且つ開口部112Aの近くに配置している。また、温度センサ117は、加圧ロール104表面から放出された赤外線量に基づいて温度情報を出力するようになっている。そして、制御部20(図1参照)は、温度センサ117で測定された加圧ロール104の温度が設定温度以上の場合は、冷却ファン108の回転速度を増加させるようになっている。
温度センサ119は、一例として、サーミスタ(図示省略)を含むNCセンサであり、空間S内で定着ロール102の外周面と間隔をあけて設けられている。なお、本実施形態では、温度センサ119を定着側カバー部材113内で且つ開口部112Bの近くに配置している。また、温度センサ119は、定着ロール102表面から放出された赤外線量に基づいて温度情報を出力するようになっている。そして、制御部20(図1参照)では、得られた定着ロール102の温度が加熱設定温度よりも低いときはハロゲンランプ103を点灯し、加熱設定温度以上の場合はハロゲンランプ103を消灯する。
次に、規制部材110について説明する。
図4(B)に示すように、規制部材110は、Z方向を軸方向とする円柱状の軸部110Aと、軸部110Aの外周面の一部から径方向へ延出しZ方向を長手方向とする矩形状の板状部110Bと、板状部110Bの短手方向で軸部110A側とは反対側の端部に連続して形成された湾曲部110Cと、湾曲部110Cの内周面に固定された接触部110Dと、を含んで構成されている。
軸部110Aは、Z方向の両端面から外側へ円柱状の支軸115が突出している。そして、支軸115は、ダクト106の側壁107(図3参照)に形成された環状の軸受部107A(図3参照)に挿入され支持されている。また、板状部110Bは、Z方向の長さが加圧ロール104のZ方向の長さよりも僅かに短くなっている。
湾曲部110Cは、X−Y面において加圧ロール104(図3参照)の周方向に沿った円弧状に形成されており、Z方向を長手方向としている。そして、湾曲部110CのZ方向の長さは、板状部110BのZ方向の長さと同じになっている。また、接触部110Dは、一例として、厚さが0.2mm程度のシート状部材であり、架橋PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)を含んでいる。そして、接触部110Dは、湾曲部110Cの内周面でZ方向の両端部に接着剤で固定されている。
図4(A)に示すように、加圧ロール104におけるZ方向の記録用紙Pの通過領域をWA、非通過領域をWB1、WB2とすると、通過領域WAは中央部に配置されており、非通過領域WB1、WB2は両端部に配置されている。ここで、規制部材110は、接触部110Dが非通過領域WB1、WB2で加圧ロール104の外周面と接触している。そして、規制部材110は、通過領域WAで加圧ロール104の外周面と間隔をあけて設けられている(対向配置されている)。この間隔は、接触部110Dの厚さに相当する大きさとなっている。
なお、図3に示すように、規制部材110は、加圧ロール104の周方向に沿って湾曲部110Cの内周面が対向配置されるように位置調整された後、軸部110A又は板状部110Bが加圧側カバー部材114に固定されている。
(作用)
次に、第1実施形態の作用について説明する。
図5に示すように、定着装置100では、温度センサ119で検出される定着ロール102の温度が加熱設定温度となり、定着装置100が定着動作可能となるとき、制御部20(図1参照)が冷却ファン108を回転させる。これにより、ダクト106内に外気(空気)が送り込まれる。なお、図5では、ダクト106内の空気流(送風)を太い矢印FL又は太い矢印FAで示している。
続いて、ダクト106内(流路105)の空気流FLは、加圧ロール104の周辺を流れて加圧ロール104から熱を奪うと共に、排出部106Cから開口部112Bを通って、画像形成装置10の排出領域19(図1参照)へ排出される。これにより、加圧ロール104が冷却される。
ここで、加圧ロール104を冷却する空気流FLの一部である空気流FAは、側壁107と加圧ロール104との間(隙間)から温度センサ117と加圧ロール104との間(空間S側)へ向けて、あるいは定着ロール102へ流れようとする。しかし、規制部材110の湾曲部110Cと加圧ロール104との隙間が狭いため、湾曲部110Cにおいて空気の流れが規制(抑制)される。このように、空気流FAが定着ロール102側へ流れることが抑制され、定着ロール102の温度低下が抑制されると共に、搬送中の記録用紙Pが空気流FAで振動することが抑制されて、記録用紙Pの先端のニップ部Nへの進入角度の変動が抑制される。
また、定着装置100では、湾曲部110Cにより空気の流れが規制されることで、温度センサ117と加圧ロール104との隙間に空気が流れにくくなるので、温度センサ117において空気流により生じる加圧ロール104の外周面の温度測定誤差が低減される(加圧ロール104の温度が精確に測定される)。
さらに、定着装置100では、図4(A)に示すように、記録用紙Pの通過領域WAにおいて規制部材110が加圧ロール104の外周面と非接触状態になっている。これにより、加圧ロール104の記録用紙Pの通過領域WAにおいて、規制部材110による傷の発生が抑制される。なお、図3に示すように、温度センサ117は加圧ロール104と非接触配置されているため、温度センサ117により加圧ロール104の外周面に傷が生じることはない。
加えて、定着装置100では、加圧ロール104が冷却されて温度制御されるので、記録用紙Pの両面にトナー像(トナー画像)を定着するとき、先に定着された表面への過剰な熱供給が抑制され、記録用紙Pの表面と裏面でトナー画像の光沢度差が小さくなる。さらに、定着装置100では、既述のように加圧ロール104の外周面の温度測定誤差が低減されるので、表面の定着時と裏面の定着時とで加圧ロール104の温度が設定温度に保持される。これにより、記録用紙Pの表面と裏面でのトナー画像の光沢度の差がさらに低減される。なお、記録用紙Pの表面のみの定着においても、加圧ロール104が冷却されて温度制御されるので、定着毎のトナー像の光沢度の差が低減される。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る定着装置及び画像形成装置の一例について説明する。なお、前述した第1実施形態と基本的に同一の部材には、前記第1実施形態と同一の符号を付与してその説明を省略する。
図6には、第2実施形態の定着装置120が示されている。定着装置120は、既述の定着装置100のダクト106(図3参照)に換えてダクト122が設けられており、さらに、規制部材110(図3参照)に換えて規制部材130が設けられている。
ダクト122は、定着装置100のダクト106(図3参照)に対して、側壁107の加圧ロール104側の端部に、加圧ロール104の外周面へ向けて斜め方向に延びる傾斜壁124が形成されている点が異なっており、その他の構成は同様となっている。
図7(A)、(B)に示すように、規制部材130は、Z方向を長手方向とする湾曲部130Aと、湾曲部130AのZ方向の両端部からZ方向と直交する方向へ延びる腕部130B、130Cと、腕部130B、130Cの湾曲部130Aとは反対側の端部に形成された軸受部130D、130Eと、を含んで構成されている。
湾曲部130Aは、X−Y面において加圧ロール104(図3参照)の周方向に沿った円弧状に形成されている。そして、湾曲部130AのZ方向の長さは、加圧ロール104のZ方向の長さよりも長くなっている。なお、湾曲部130Aは、傾斜壁124(図6参照)の端部上面と接触している。
腕部130B、130Cは、加圧ロール104のZ方向両端面に沿って延びる板状部である。なお、腕部130B、130Cは同様の構成であるため、図7(B)では、腕部130B側のみを示し、腕部130C側の図示は省略している。
軸受部130D、130Eは、Z方向に見て環状部の一部がDカットされた形状となっており、軸受部130D、130Eの内径は、加圧ロール104の芯金104Aの外径よりも僅かに長くなっている。そして、軸受部130D、130Eの内側に芯金104Aの両端部が挿入されている。即ち、規制部材130は、加圧ロール104における記録用紙Pの非通過領域で加圧ロール104の芯金104Aと接触している。
図7(A)に示すように、規制部材130は、湾曲部130Aが非通過領域WB1、WB2、及び通過領域WAの全長に亘って、加圧ロール104の外周面と間隔をあけて対向配置されている。この間隔は、第1実施形態における加圧ロール104と湾曲部110C(図3参照)との間隔と同程度となっている。
なお、図6に示すように、規制部材130は、加圧ロール104の周方向に沿って湾曲部130Aの内周面が対向配置されるように位置調整された後、軸受部130D又は130Eが加圧側カバー部材114に固定されている。
(作用)
次に、第2実施形態の作用について説明する。
図8に示すように、定着装置120では、温度センサ119で検出される定着ロール102の温度が加熱設定温度となり、定着装置100が定着動作可能となるとき、制御部20(図1参照)が冷却ファン108を回転させる。これにより、ダクト122内に外気(空気)が送り込まれる。
続いて、ダクト122内(流路105)の空気流FLは、加圧ロール104の周辺を流れて加圧ロール104から熱を奪うと共に、排出部106Cから開口部112Bを通って、画像形成装置10の排出領域19(図1参照)へ排出される。これにより、加圧ロール104が冷却される。
ここで、空気流FLの一部である空気流FAは、側壁107(側壁124)と加圧ロール104との間から温度センサ117と加圧ロール104との隙間(空間S側)、あるいは定着ロール102へ流れようとする。しかし、規制部材130の湾曲部130A(図7(A)参照)と加圧ロール104との隙間が狭いため、湾曲部130Aにおいて空気の流れが規制される。これにより、定着ロール102の温度低下が抑制されると共に、搬送中の記録用紙Pが空気流FAで振動することが抑制されて、記録用紙Pの先端のニップ部Nへの進入角度の変動が抑制される。
また、定着装置120では、湾曲部130Aにより空気の流れが規制されることで、温度センサ117と加圧ロール104との隙間に空気が流れにくくなるので、温度センサ117において空気流により生じる加圧ロール104の外周面の温度測定誤差が低減される(加圧ロール104の温度が精確に測定される)。
さらに、定着装置120では、図7(A)に示すように、軸受部130D、130Eによって湾曲部130A及び腕部130B、130Cが支持されているので、加圧ロール104の軸方向全体に亘って加圧ロール104の外周面と非接触状態になる。これにより、規制部材130による傷の発生が抑制される。
加えて、定着装置120では、加圧ロール104が冷却されるので、記録用紙Pの両面にトナー像(トナー画像)を定着するとき、先に定着された表面への過剰な熱供給が抑制され、記録用紙Pの表面と裏面でトナー画像の光沢度差が小さくなる。さらに、定着装置120では、既述のように加圧ロール104の外周面の温度測定誤差が低減されるので、表面の定着時と裏面の定着時とで加圧ロール104の温度が設定温度に保持される。これにより、記録用紙Pの表面と裏面でのトナー画像の光沢度の差がさらに低減される。なお、記録用紙Pの表面のみの定着においても、加圧ロール104が冷却されて温度制御されるので、定着毎のトナー像の光沢度の差が低減される。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係る定着装置及び画像形成装置の一例について説明する。なお、前述した第1実施形態と基本的に同一の部材には、前記第1実施形態と同一の符号を付与してその説明を省略する。
図9には、第3実施形態の定着装置140が示されている。定着装置140は、既述の定着装置100(図3参照)において、規制部材110(図3参照)に換えて規制部材150が設けられており、他の構成は定着装置100と同様である。
図10(B)に示すように、規制部材150は、Z方向を軸方向とする円柱状の軸部150Aと、軸部150Aの外周面の一部から径方向へ延出しZ方向を長手方向とする矩形状の板状部150Bと、板状部150Bの短手方向で軸部150A側とは反対側の端部に連続して形成された湾曲部150Cと、を含んで構成されている。
軸部150Aは、Z方向の両端面から外側へ円柱状の支軸152が突出している。そして、支軸152は、ダクト106の側壁107(図9参照)に形成された軸受部107A(図9参照)に挿入され支持されている。また、板状部150Bは、Z方向の長さが加圧ロール104のZ方向の長さよりも僅かに短くなっている。
湾曲部150Cは、X−Y面において加圧ロール104(図9参照)の周方向に沿った円弧状に形成されており、Z方向を長手方向としている。そして、湾曲部150CのZ方向の長さは、板状部150BのZ方向の長さと同じになっている。また、湾曲部150Cの内周面(加圧ロール104と接触する面)には、一例として、架橋PTFEの層が設けられている。
図10(A)に示すように、規制部材150は、湾曲部150Cが非通過領域WB1、WB2、及び通過領域WAの全長(Z方向の全長)に亘って、加圧ロール104の外周面に接触している。なお、図9に示すように、規制部材150は、湾曲部150Cの内周面が加圧ロール104の外周面と接触するように位置調整された後、軸部150A又は板状部150B(図10(A)参照)が加圧側カバー部材114に固定されている。
(作用)
次に、第3実施形態の作用について説明する。
図11に示すように、定着装置140では、温度センサ119で検出される定着ロール102の温度が加熱設定温度となり、定着装置140が定着動作可能となるとき、制御部20(図1参照)が冷却ファン108を回転させる。これにより、ダクト106内に外気(空気)が送り込まれる。
続いて、ダクト106内の空気流FLは、加圧ロール104の周辺を流れて加圧ロール104から熱を奪うと共に、排出部106Cから開口部112Bを通って、画像形成装置10の排出領域19(図1参照)へ排出される。これにより、加圧ロール104が冷却される。
ここで、加圧ロール104を冷却する空気流FLの一部である空気流FAは、側壁107と加圧ロール104との間から温度センサ117と加圧ロール104との隙間(空間S側)、あるいは定着ロール102へ流れようとする。しかし、規制部材150の湾曲部150Cと加圧ロール104の外周面が接触しているため、湾曲部150Cにおいて空気の流れが規制される。これにより、空気流FAが定着ロール102側へ流れることが抑制され、定着ロール102の温度低下が抑制されると共に、搬送中の記録用紙Pが空気流FAで振動することが抑制されて、記録用紙Pの先端のニップ部Nへの進入角度の変動が抑制される。
また、定着装置140では、湾曲部150Cにより空気の流れが規制されることで、温度センサ117と加圧ロール104との隙間に空気が流れにくくなるので、温度センサ117において空気流により生じる加圧ロール104の外周面の温度測定誤差が低減される(加圧ロール104の温度が精確に測定される)。
加えて、定着装置140では、加圧ロール104が冷却されるので、記録用紙Pの両面にトナー像(トナー画像)を定着するとき、先に定着された表面への過剰な熱供給が抑制され、記録用紙Pの表面と裏面でトナー画像の光沢度差が小さくなる。さらに、定着装置140では、既述のように加圧ロール104の外周面の温度測定誤差が低減されるので、表面の定着時と裏面の定着時とで加圧ロール104の温度が設定温度に保持される。これにより、記録用紙Pの表面と裏面でのトナー画像の光沢度の差がさらに低減される。そして、記録用紙Pの表面のみの定着においても、加圧ロール104が冷却されて温度制御されるので、定着毎のトナー像の光沢度の差が低減される。
なお、本発明は上記の実施形態に限定されない。
定着装置100、120、140は、記録用紙PがY方向へ排出される縦搬送方式のものに限らず、X方向へ排出される横搬送方式のものであってもよい。また、温度センサ117は、NCセンサに限らず、IR(Infrared)センサを用いてもよい。さらに、規制部材110、130、150は、金属製、樹脂製のいずれであってもよい。そして、定着ロール102、加圧ロール104に換えて、円筒状の定着ベルト、加圧ベルトを用いてもよい。
ダクト106は、空気の流れる方向で加圧ロール104よりも下流側の部位に仕切壁を設けてもよい。また、ダクト106は、筐体112の下方側に接続されるものに限らず、筐体112の側壁(図示の奥行き方向の壁)に接続されるものであってもよい。さらに、ダクト106の排出部106Cは、開口部112Bに開口したものに限らず、筐体112の側壁を通って筐体16Aの側壁へ延びるものであってもよい。そして、冷却ファン108は、X方向に配置されるものに限らず、Y方向に直立配置されるものであってもよい。
接触部110Dは、1つに限らず、湾曲部110Cの周方向又は長手方向に複数設けられていてもよい。さらに、Z方向両端部の接触部110Dは、湾曲部110Cと加圧ロール104との隙間の大きさがZ方向で均等となるように調整するために、一端と他端で異なる厚さとなってもよい。
また、規制部材110は、板状部110B無しで全体が湾曲部110Cで構成されていてもよい。
回転体は、加圧ロール104に限らず、定着ロール102や定着後の記録用紙Pの反りを矯正するデカーラロール、あるいは記録用紙Pを搬送する搬送ロールなどであってもよい。回転体が定着ロール102の場合は、加熱源が定着ロール102の内側に配置されることになり、回転体がデカーラロール又は搬送ロールの場合は、加熱源がデカーラロール又は搬送ロールの外側に配置されることになる。また、回転体はロールに限らず、筒状のベルト体であってもよい。