以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態に係る複合機A(画像形成装置)は、電子写真方式に基づいて記録紙に画像を形成する画像形成装置であり、図1に示すように、操作表示部1、画像読取部2、画像データ記憶部3、画像形成部4、通信部5及び演算制御部6(制御手段)を備える。なお、図1における実線矢印は、画像データの流れを示し、点線矢印は、制御信号や検出信号の流れを示す。
操作表示部1は、操作表示制御部11、ハードウェアキーである操作キー12及びソフトウェアキーや各種画像を表示するタッチパネル13を備えており、ユーザーと複合機Aとを関係付けるマンマシンインターフェイスとして機能する。
操作表示制御部11は、演算制御部6による制御の下で、上記操作キー12及びタッチパネル13を制御する制御装置であり、演算処理装置、内部メモリー及び電気的に相互接続された操作キー12及びタッチパネル13と信号の送受信を行うインターフェイス回路等から構成されており、内部メモリーに記憶された操作表示制御プログラムに基づいて操作表示部1の全体動作を制御する。
例えば、この操作表示制御部11は、タッチパネル13に表示信号を出力することによりタッチパネル13に操作ボタンや各種画像を表示させる。また、操作表示制御部11は、操作キー12またはタッチパネル13から入力される操作信号に基づいていずれの操作キー12またはタッチパネル13に表示される操作ボタンが操作されたか判定し、判定結果に基づいて操作結果信号を演算制御部6に出力する。
操作キー12は、ハードウェアキーとして操作表示部1に物理的に備えられたものであり、例えば、電源キー、スタートキー、ストップ/クリアキー及びテンキー(数値入力キー)等がある。操作キー12では、ユーザーによって上述した各キーが押下されると、各キーから操作信号を操作表示制御部11に出力する。
タッチパネル13は、周知のように表示パネルの表示面に抵抗膜方式等の透明な面状押圧センサーを設けたものであり、操作表示制御部11から入力される表示信号に基づいて表示パネルに表示した操作ボタンをユーザーの指等によって押圧されると、面状押圧センサーが押圧位置(押圧座標)を示す操作信号を操作表示制御部11に出力するものである。
画像読取部2は、図2に示すようにADF(Automatic document feeder:自動原稿送り装置)20及びフラットベッド読取部30から構成されており、演算制御部6から入力される制御信号に基づいてADF20により給紙される原稿またはユーザーによりフラットベッド読取部30上に載置された原稿の表面画像(原稿画像)を読み取って原稿画像データに変換し、この原稿画像データを画像データ記憶部3に出力する。
画像データ記憶部3は、半導体メモリーまたはハードディスク装置等であり、演算制御部6から入力される制御信号に基づいて上記原稿画像データ、通信部5が外部のクライアントコンピューター(以下コンピューターと称す)から受信するプリント画像データあるいは通信部5が外部のファクシミリ装置等から受信するファクシミリ画像データを記憶すると共に、これら画像データを演算制御部6から入力される制御信号に基づいて読み出して画像形成部4に出力する。
画像形成部4は、演算制御部6から入力される制御信号に基づいて、給紙カセット45から取り出した記録紙Rに画像データ記憶部3から読み出した画像データに基づくトナー画像を画像形成するものである。この画像形成部4は、図2に示すように、ベルトローラー41、中間転写ベルト42、トナーの各色(Y,M,C,K)に対応する4つの画像形成ユニット43Y,43C,43M,43K、1次転写ローラー44Y,44C,44M,44K、給紙カセット45、ピックアップローラー46、搬送ローラー47、レジストローラー48、2次転写ローラー49、分離除電部50、定着ローラー51、排紙ローラー52、排紙トレイ53、反転ローラー54、分岐ガイド55、3対の反転紙搬送ローラー56及び記録紙センサー57を備えている。
ベルトローラー41は、図示するように、離間して配設された3つのローラー、つまり駆動ローラー41a、従動ローラー41b及びテンションローラー41cからなる。すなわち、駆動ローラー41aと従動ローラー41bとは水平方向に一定距離を空けて配置され、テンションローラー41cは、このような駆動ローラー41aと従動ローラー41bとの間かつ若干上方に変位した位置に配置されている。中間転写ベルト42は、このようなベルトローラー41(駆動ローラー41a、従動ローラー41b、テンションローラー41c)に架け渡された無端ベルトであり、駆動ローラー41aによって矢印で示す方向に走行する。
すなわち、中間転写ベルト42は、駆動ローラー41aと従動ローラー41bとの間においては水平方向に走行する。また、上述した駆動ローラー41aは、駆動力を発生するモーターが軸結合されたローラーであり、モーターの動力によって中間転写ベルト42を矢印方向に走行させる。上記従動ローラー41bは、自由回転するように設けられたフリーローラーであり、中間転写ベルト42を駆動ローラー41aの動力に従って案内する。また、上記テンションローラー41cは、回転軸が可動可能に設けられ、所定の付整力で中間転写ベルト42を押圧することにより一定のテンション(張力)を中間転写ベルト42に付与するローラーである。
画像形成ユニット43Y,43C,43M,43Kは、図示するように、上述した中間転写ベルト42の水平走行部位に所定間隔を空けて設けられている。これら画像形成ユニット43Y,43C,43M,43Kのうち、画像形成ユニット43Yは、イエロー(Y)のトナー画像を形成するユニットであり、従動ローラー41bに最も近い位置に設けられている。画像形成ユニット43Cは、シアン(C)のトナー画像を形成するユニットであり、上記画像形成ユニット43Yの次に従動ローラー41bに近い位置に設けられている。画像形成ユニット43Mは、マゼンダ(M)のトナー画像を形成するユニットであり、上記画像形成ユニット43Cの次に従動ローラー41bに近い位置に設けられている。画像形成ユニット43Kは、ブラック(K)のトナー画像を形成するユニットであり、駆動ローラー41aに最も近い位置に設けられている。
このような画像形成ユニット43Y,43C,43M,43Kは、各々に感光体ドラムay,ac,am,ak、帯電部by,bc,bm,bk、レーザースキャニングユニットcy,cc,cm,ck、現像ユニットdy,dc,dm,dk及びクリーナーey,ec,em,ekを構成要素としている。
すなわち、画像形成ユニット43Yは、感光体ドラムay、帯電部by、レーザースキャニングユニットcy、現像ユニットdy及びクリーナーeyから構成され、画像形成ユニット43Cは、感光体ドラムac、帯電部bc、レーザースキャニングユニットcc、現像ユニットdc及びクリーナーecから構成され、画像形成ユニット43Mは、感光体ドラムam、帯電部bm、レーザースキャニングユニットcm、現像ユニットdm及びクリーナーemから構成され、画像形成ユニット43Kは、感光体ドラムak、帯電部bk、レーザースキャニングユニットck、現像ユニットdk及びクリーナーekから構成されている。
各感光体ドラムay,ac,am,akは、周面が所定の感光体材料(例えばアモルファスシリコン)で形成された円筒部材である。各帯電部by,bc,bm,bkは、各感光体ドラムay,ac,am,akの周面(感光面)を均一に帯電させるものである。各レーザースキャニングユニットcy,cc,cm,ckは、帯電状態の上記感光面にレーザー光を照射することにより、感光面に静電潜像を形成するものである。
各現像ユニットdy,dc,dm,dkは、内部に所定の量のトナー(正極性トナー)を収容すると共に当該トナーを感光面に供給することにより当該感光面に形成された静電潜像をトナー画像として現像する。各クリーナーey,ec,em,ekは、トナー画像の転写後の感光面に残留するトナー(残留トナー)を掻き落として除去するものである。
1次転写ローラー44Y,44C,44M,44Kは、図示するように画像形成ユニット43Y,43C,43M,43Kに対応して4つ設けられており、各々に中間転写ベルト42を挟んだ状態で各画像形成ユニット43Y,43C,43M,43Kの感光体ドラムay,ac,am,akに対向配置されている。また、各1次転写ローラー44Y,44C,44M,44Kには負極性の1次転写バイアス(高電圧)が印加されており、各1次転写ローラー44Y,44C,44M,44Kは、この1次転写バイアスの作用によって各画像形成ユニット43Y,43C,43M,43Kの感光体ドラムay,ac,am,akにそれぞれ形成された各色のトナー画像を中間転写ベルト42に転写(1次転写)させる。
給紙カセット45は、A4サイズやB5サイズ等、所定形状の記録紙Rを複数枚重ねた状態で収容する容器である。ピックアップローラー46は、給紙カセット45の上部において記録紙Rに圧接するように設けられ、給紙カセット45内の記録紙Rを1枚づつ取り出して搬送ローラー47に送り出すローラーである。搬送ローラー47は、ピックアップローラー46から給紙された記録紙Rをレジストローラー48に向けて搬送するローラーである。レジストローラー48は、搬送ローラー47から供給された記録紙Rを所定のタイミングで2次転写ローラー49に供給するローラーである。
2次転写ローラー49は、中間転写ベルト42を挟んで駆動ローラー41aに対向配置されたローラーであり、中間転写ベルト42上のトナー画像を記録紙Rに転写(2次転写)させるものである。この2次転写ローラー49には、負極性の2次転写バイアス(高電圧)が印加されており、2次転写ローラー49は、この2次転写バイアスの作用によって中間転写ベルト42上のトナー画像を記録紙Rに転写(2次転写)させる。
分離除電部50は、演算制御部6から入力される制御信号に基づいて記録紙Rに向けて正極性の除電バイアスを供給する。この除電バイアスは、記録紙Rの帯電を中和して無帯電状態にするためのものであり、記録紙Rの2次転写ローラー49からの分離を良好にするものである。分離除電部50は、ステンレスからなる鋸歯状電極を有し、この鋸歯状電極の先端付近に電界を形成して記録紙Rを除電する。
定着ローラー51は、内部にヒータを備えた加熱ローラー51aと、当該加熱ローラー51aに圧接する加圧ローラー51bとから構成されている。この定着ローラー51は、加熱ローラー51aと加圧ローラー51bとで各色のトナー画像が転写された記録紙Rを挟み込むことにより記録紙Rを加熱及び加圧して、各色のトナー画像を記録紙R上に定着させる。加熱ローラー51a及び加圧ローラー51bは、記録紙Rと接触する接触面(表面)が摩擦により負極性に帯電するフッ素系材料によって形成されている。すなわち、加熱ローラー51a及び加圧ローラー51bは、その表面が記録紙Rとの摩擦により負極性に帯電する。
排紙ローラー52は、定着ローラー51から搬送されると共に分岐ガイド55により案内された記録紙Rを排紙トレイ53に向けて搬送するローラーである。排紙トレイ53は、排紙ローラー52から供給された記録紙Rを収容・保持する収容部である。反転ローラー54は、定着ローラー51から搬送されると共に分岐ガイド55により案内された記録紙Rをスイッチバック搬送するためのローラーである。つまり、反転ローラー54は、正転することにより定着ローラー51から供給された記録紙Rを挟み込み、当該挟みこんだ状態で逆転することにより記録紙Rを反転紙搬送ローラー56に向けて搬送する。
分岐ガイド55は、演算制御部6から入力される制御信号に基づいて定着ローラー51から排出された記録紙Rの搬送先を排紙ローラー52または反転ローラー54に択一的に切り替える。つまり、分岐ガイド55は、記録紙Rを排紙トレイ53に排紙する場合には、第1の姿勢(図示する点線の姿勢)になることにより記録紙Rの搬送先を排紙ローラー52とし、一方、第2の姿勢(図示する実線の姿勢)になることにより記録紙Rの搬送先を反転ローラー54に切り替える。
反転紙搬送ローラー56は、反転ローラー54から供給された記録紙Rをレジストローラー48に向けて搬送するための搬送経路(反転経路)に設けられたローラーである。この反転紙搬送ローラー56は、図示するように、反転経路において離間した3箇所に設けられている。記録紙センサー57は、定着ローラー51と分岐ガイド55との間に配置され、定着ローラー51を通過した記録紙Rの枚数を検出し、当該枚数を示す検出信号を演算制御部6に出力する。
このように画像形成部4では、記録紙Rの表面と裏面とにトナー画像を形成する両面画像形成処理が、上記反転ローラー54、分岐ガイド55及び反転紙搬送ローラー56が機能することにより実行される。つまり、記録紙Rは、表面に画像形成されて定着ローラー51を通過すると、表面と裏面とが反転させられた状態でレジストローラー48に再度供給されて、裏面に画像形成される。
通信部5は、演算制御部6から入力される制御信号に基づいて電話回線を介して外部の複合機あるいはファクシミリ装置、またLAN(Local Area Network)を介してコンピューター等と通信を行うものである。すなわち、この通信部5は、イーサネット(登録商標)等のLAN規格に準拠した通信機能と、G3等のファクシミリ規格に準拠した通信機能とを兼ね備えたものである。例えば、通信部5は、図1に示すように、ユーザーU1〜Un各々によって使用されるコンピューターB1〜BnそれぞれにLANを介して接続されている。
演算制御部6は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及び電気的に相互接続された各部と各種信号の送受信を行うインターフェイス回路等から構成されている。この演算制御部6は、上記ROMに記憶された各種演算制御プログラムに基づいて各種の演算処理を行うと共に各部と通信を行うことにより複合機Aの全体動作を制御する。例えば、演算制御部6は、大量印刷のジョブを通信部5が受信した場合には、印刷許可を制御する。
次に、このように構成された複合機Aの動作について図3を参照して説明する。
最初に本複合機Aの全体動作を説明する。例えば、ユーザーU1によってコンピューターB1が操作され、コンピューターB1に複合機Aへの印刷の指示が入力されると、指示された印刷のジョブがコンピューターB1から複合機Aに送信され、複合機Aの通信部5に受信される。そして、複合機Aの演算制御部6は、通信部5が受信した印刷のジョブに含まれるプリント画像データを画像データ記憶部3に記憶させる。そして、演算制御部6は、上記プリント画像データに基づいて各トナー色に対応するビットマップ画像データをそれぞれ生成し、これらビットマップ画像データに基づいてプリント画像の画像形成処理を画像形成部4に実行させる。
すなわち、演算制御部6は、ピックアップローラー46を駆動させて給紙カセット45内の記録紙Rを1枚づつ取り出して搬送ローラー47に送り出させると共に当該搬送ローラー47を駆動させて記録紙Rをレジストローラー48に向けて搬送させる。また、演算制御部6は、駆動ローラー41aを駆動させて中間転写ベルト42を走行状態とすると共に、各画像形成ユニット43Y,43C,43M,43Kを駆動させ、上述した各ビットマップ画像データに基づいて各色の正極性トナーからなるトナー画像を各感光体ドラムay,ac,am,akの感光面(周面)に形成させる。そして、演算制御部6は、各1次転写ローラー44Y,44C,44M,44Kに負極性の1次転写バイアスを印加させることによって、各感光体ドラムay,ac,am,akのトナー画像を中間転写ベルト42上に1次転写させる。
そして、演算制御部6は、画像形成ユニット43Y,43C,43M,43Kにおける各色の画像形成の処理タイミングに合わせてレジストローラー48を駆動させると共に2次転写ローラー49に負極性の2次転写バイアスを印加させることによって、記録紙Rの所望位置に中間転写ベルト42上のトナー画像(プリント画像)を2次転写させる。そして、演算制御部6は、分離除電部50に正極性の除電バイアスを使用させて記録紙Rを除電しつつ、定着ローラー51を駆動させると共に、分岐ガイド55を第1の姿勢(図示する点線の姿勢)に切り替えさせることで記録紙Rを排紙ローラー52に向けて搬送させる。そして、演算制御部6は、排紙ローラー52を駆動させて記録紙Rを排紙トレイ53に排出させる。
一方、演算制御部6は、ユーザーにより記録紙Rの両面への印刷が指示された場合には、定着ローラー51を駆動させるまでの処理を上記処理と同様に進め、その後の処理を異ならせる。つまり、演算制御部6は、定着ローラー51を駆動させると共に、分岐ガイド55を第2の姿勢(図示する実線の姿勢)に切り替えさせることで記録紙Rを反転ローラー54に向けて搬送させる。そして、演算制御部6は、反転ローラー54を所定時間正回転させた後に、分岐ガイド55を第1の姿勢に切り替えさせると共に、反転ローラー54を逆回転させて記録紙Rを反転紙搬送ローラー56に向けて搬送させる。そして、演算制御部6は、反転紙搬送ローラー56を駆動させて、記録紙Rをレジストローラー48に向けて搬送させる。
また、演算制御部6は、各色の正極性トナーからなるトナー画像を各感光体ドラムドラムay,ac,am,akの感光面に形成させる。そして、演算制御部6は、各1次転写ローラー44Y,44C,44M,44Kに負極性の1次転写バイアスを印加させることによって、各感光体ドラムドラムay,ac,am,akのトナー画像を中間転写ベルト42上に1次転写させる。そして、演算制御部6は、各1次転写ローラー44Y,44C,44M,44Kに負極性の1次転写バイアスを印加させることによって、各感光体ドラムドラムay,ac,am,akのトナー画像を中間転写ベルト42上に1次転写させる。
そして、演算制御部6は、画像形成ユニット43Y,43C,43M,43Kにおける各色の画像形成の処理タイミングに合わせてレジストローラー48を駆動させると共に2次転写ローラー49に負極性の2次転写バイアスを印加させることによって、記録紙Rの裏面の所望位置に中間転写ベルト42上のトナー画像を2次転写させる。そして、演算制御部6は、分離除電部50に正極性の除電バイアスを使用させて記録紙Rを除電させつつ供給させつつ、定着ローラー51を駆動させると共に、分岐ガイド55を第1の姿勢に切り替えさせることで記録紙Rを排紙ローラー52に向けて搬送させる。そして、演算制御部6は、排紙ローラー52を駆動させて記録紙Rを排紙トレイ53に排出させる。
ここで、演算制御部6は、ユーザーU1〜ユーザーUnのいずれか(例えばユーザーU1)によって大量印刷が指示された場合、以下の特徴的な処理を実行する。まず、演算制御部6は、ユーザーU1によって使用されるコンピューターB1から印刷のジョブを通信部が受信した場合には、通信部5が受信した印刷のジョブに含まれるプリント画像データを画像データ記憶部3に記憶させ、続いて、該印刷のジョブが大量印刷のジョブであるか否か判定する(ステップS1)。例えば、演算制御部6は、印刷枚数あるいは印刷時間が所定のしきい値を超える場合には、大量印刷のジョブであると判定し、所定のしきい値を超えない場合には、大量印刷でないと判定する。
演算制御部6は、ユーザーU1によって使用されるコンピューターB1から受信した印刷のジョブが大量印刷のジョブでない場合(NOの場合)、ユーザーU1からの印刷のジョブを実行、つまり、画像データ記憶部3に記憶されたプリント画像データに基づいてプリント画像の画像形成処理を画像形成部4に実行させる(ステップS2)。
一方、演算制御部6は、ユーザーU1によって使用されるコンピューターB1から受信した印刷のジョブが大量印刷のジョブである場合(YESの場合)、ユーザーU1以外の他のユーザー(つまり、ユーザーU2〜Un)のコンピューター(つまり、コンピューターB2〜Bn)に、ユーザーU1からの大量印刷のジョブを実行することに対する判断を求める通知を通信部5に送信させる(ステップS3)。
例えば、演算制御部6は、ユーザーU1〜Unによって使用されるコンピューターB1〜BnのIP(Internet Protocol)アドレス等が登録されたユーザー情報を予めROM等に記憶し、当該ユーザー情報に基づいてユーザーU1以外の他のユーザーであるユーザーU2〜Unにより使用されるコンピューターB2〜Bnに向けて上述した通知を通信部5に送信させる。なお、上記ユーザー情報については、外部のコンピューターから複合機Aに送信して記憶させるようにしてもよいし、また、ユーザーによって操作表示部1が操作されることで登録されるようにしてもよい。
一方、ユーザーU2〜Unによって使用されるコンピューターB2〜Bnは、複合機Aからの上記通知を受信すると、ユーザー選択画面SG(図4参照)を表示する。このユーザー選択画面SGは、ユーザーU1によって複合機Aに指示された大量印刷のジョブの実行を容認するあるいは容認しない等をユーザーU2〜Unに選択させるための画面である。
例えば、ユーザー選択画面SGには、コンピューターB2〜Bnのディスプレイ(図示略)に、ポップアップ画面として表示され、図4に示すように、ユーザーU1から大量印刷のジョブを受信した旨を示す「ユーザーU1から大量印刷のジョブを受信しました」というメッセージと、ユーザーU1から受信した大量印刷のジョブの実行に対する判断を求める旨を示す「ユーザーU1から受信した大量印刷のジョブの実行に対する判断を以下のボタンを押下して決定して下さい」というメッセージと、「容認する」ボタン、「容認しない」ボタン、「待機」ボタン及び「一括容認」ボタンとが表示されている。
「容認する」ボタンは、ユーザーU1からの大量印刷のジョブの実行を容認する旨の返信を複合機Aに送信するためのボタンである。「容認しない」ボタンは、ユーザーU1からの大量印刷のジョブの実行を容認しない旨の返信を複合機Aに送信するためのボタンである。「待機」ボタンは、ユーザーU1からの大量印刷のジョブの実行を待機する旨の返信を複合機Aに送信するためのボタンである。「一括容認」ボタンは、今後全ての大量印刷のジョブの実行を容認する旨の返信を複合機Aに送信するためのボタンである。
ユーザーU2〜UnによりコンピューターB2〜Bn各々が操作されることによって、ユーザー選択画面SGにおける上記「容認する」ボタン、「容認しない」ボタン、「待機」ボタン及び「一括容認」ボタンのいずれかが押下されると、押下されたボタンに対応した返信を、コンピューターB2〜Bn各々から複合機Aに送信する。
一方、複合機Aの演算制御部6は、ユーザーU1からの大量印刷のジョブを実行することに対する判断を求める通知を通信部5に送信させてから、所定の時間経過しても返信のないユーザーU2〜Unについて、ユーザーU1からの大量印刷のジョブの実行を容認したものとみなす(ステップS4)。
そして、複合機Aの演算制御部6は、ユーザーU1からの大量印刷のジョブの実行を容認しない旨の返信をユーザーU2〜Unによって使用されるコンピューターB2〜Bnから通信部5が受信したか否か判定する(ステップS5)。演算制御部6は、ユーザーU1からの大量印刷のジョブの実行を容認しない旨の返信をコンピューターB2〜Bnの1つ(つまり、ユーザーU2〜Unの1人)からでも通信部5が受信した場合(YESの場合)、ユーザーU1からの大量印刷のジョブの実行を許可しない(ステップS6)。
一方、演算制御部6は、ユーザーU1からの大量印刷のジョブの実行を容認していない旨の返信を通信部5が受信していない場合(NOの場合)、待機する旨の返信を通信部5が受信しているか否か判定する(ステップS7)。演算制御部6は、ユーザーU1からの大量印刷のジョブの実行を待機する旨の返信を通信部5が受信した場合(YESの場合)、待機を返信したユーザーU2〜Un(例えばユーザーU2)によって使用されるコンピューターB2〜Bn(例えばコンピューターB2)から受信した印刷ジョブが大量印刷のジョブであるか否か判定する(ステップS8)。
演算制御部6は、待機を返信したユーザーU2からの印刷ジョブが大量印刷のジョブでない場合には、ユーザーU1からの大量印刷のジョブを待機し、ユーザーU2からの印刷のジョブを実行し(ステップS9)、ユーザーU2からの印刷のジョブを完了してから、第1ユーザーからの大量印刷のジョブを実行する(ステップS10)。
一方、演算制御部6は、待機を返信したユーザーU2からの印刷のジョブが大量印刷のジョブである場合には、ユーザーU1からの大量印刷のジョブと、ユーザーU2からの大量印刷のジョブとを、受信した順番で実行する(ステップS11)。
例えば、演算制御部6は、図5に示すように、受信したジョブをジョブリストで管理する。演算制御部6は、図5に示すジョブリストに、各ジョブに割り当てたジョブIDと共に、ジョブの送信元のユーザー名、受信時間及びドキュメント名を登録して、管理する。演算制御部6は、上述したジョブリストに基づいてユーザーU1からの大量印刷のジョブと、ユーザーU2からの大量印刷のジョブとを、受信した順番で実行する。例えば、演算制御部6は、図5に示すように、ユーザーU1からの大量印刷のジョブが、ユーザーU2からの大量印刷のジョブよりも先に受信したものである場合には、ユーザーU1からのジョブを実行した後に、ユーザーU2からのジョブを実行する。
一方、演算制御部6は、ユーザーU1からの大量印刷のジョブの実行を待機する旨の返信を通信部5が受信していない場合(NOの場合)、つまり、全てのユーザーU2〜Unから容認する旨あるいは一括容認する旨の返信を受信した場合、ステップS10の処理において、ユーザーU1からの大量印刷のジョブを実行する。なお、演算制御部6は、一括容認する旨の返信を例えばユーザーU3のコンピューターB3から通信部5が受信した場合には、大量印刷のジョブを実行することに対する判断を求める通知を今後ユーザーU3に送信しない。
続いて、演算制御部6は、ユーザーU1からの大量印刷のジョブを完了すると、ユーザーU1以外のユーザーであるユーザーU2〜Unによって使用されるコンピューターB2〜BnにユーザーU1からの大量印刷のジョブが完了した旨の通知を通信部5に送信させる(ステップS12)。
なお、演算制御部6は、上記ステップS11の処理で、ユーザーU1からの大量印刷のジョブを完了した後にも、上記ステップS12の処理と同様、ユーザーU1以外のユーザーであるユーザーU2〜Unによって使用されるコンピューターB2〜BnにユーザーU1からの大量印刷のジョブが完了した旨の通知を通信部5に送信させるようにしてもよい。
このような本実施形態によれば、ユーザーU1からの大量印刷のジョブを実行することに対する判断を求める通知を通信部5に送信させ、ユーザーU1からの大量印刷のジョブの実行を容認するあるいは容認しない旨の返信を通信部5が受信し、ユーザーU2〜Unによって容認された場合には、ユーザーU1からの大量印刷のジョブを実行し、ユーザーU2〜Unの1人でも容認されなかった場合には、ユーザーU1からの大量印刷のジョブの実行を許可しないことによって、大量印刷による占有使用という観点から印刷許可を制御する。
また、本実施形態によれば、ユーザーU2のコンピューターB2から待機を指示する旨の返信を通信部5が受信した場合には、ユーザーU1からの大量印刷のジョブを待機し、ユーザーU2のコンピューターB2から通信部5が受信した印刷のジョブを完了してから、ユーザーU1からの大量印刷のジョブを実行することによって、ユーザーU1からの大量印刷のジョブよりも、ユーザーU2からの印刷を先に実行したい場合に、ユーザーU2からの印刷のジョブを優先的に実行することができる。
また、本実施形態によれば、ユーザーU2のコンピューターB2から待機を指示する旨の返信を通信部5が受信し、かつ当該ユーザーU2のコンピューターB2から大量印刷のジョブを受信した場合には、ユーザーU1からの大量印刷のジョブと、ユーザーU2からの大量印刷のジョブとを、受信した順番で実行することによって、大量印刷については、受信した順番で実行することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく、例えば以下のような変形が考えられる。
(1)上記実施形態では、ユーザーU2〜Unによって容認された場合には、ユーザーU1からの大量印刷のジョブを実行し、ユーザーU2〜Unの1人でも容認されなかった場合には、ユーザーU1からの大量印刷のジョブの実行を許可しないようにしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、本発明は、ユーザーU2〜Unによる容認が所定の割合を超えた場合には、ユーザーU1からの大量印刷のジョブを実行し、ユーザーU2〜Unによる容認が所定の割合を超えない場合には、ユーザーU1からの大量印刷のジョブの実行を許可しないようにしてもよい。
(2)上記実施形態では、ユーザーU1からの大量印刷のジョブを実行することに対する判断を求める通知を通信部5に送信させてから、所定の時間経過してもユーザーU2〜Un(例えばユーザーU2)のコンピューターB2〜Bn(例えばコンピューターB2)から返信が無い場合、ユーザーU1からの大量印刷のジョブを実行することがユーザーU2によって容認されたものとみなすようにしたが、本発明はこれに限定されない。つまり、本発明は、所定の時間経過してもユーザーU2のコンピューターB2から返信が無い場合でも、ユーザーU1からの大量印刷のジョブを実行することがユーザーU2によって容認されたものとみなさなくてもよい。
(3)上記実施形態では、ユーザーU2のコンピューターB1から待機を指示する旨の返信を通信部5が受信したが、本発明はこれに限定されない。つまり、本発明は、ユーザーU2のコンピューターB1から待機を指示する旨の返信について受信しないものであってもよい。
(4)上記実施形態では、ユーザーU2のコンピューターB2から待機を指示する旨の返信を受信し、かつユーザーU2のコンピューターB2から大量印刷のジョブを受信した場合には、ユーザーU1からの大量印刷のジョブと、ユーザーU2からの大量印刷のジョブとを、受信した順番で実行したが、本発明はこれに限定されない。例えば、本発明は、ユーザーU2のコンピューターB2から待機を指示する旨の返信を受信し、かつユーザーU2のコンピューターB2から大量印刷のジョブを受信した場合には、ユーザーU2からの大量印刷のジョブを、ユーザーU1からの大量印刷のジョブよりも先に実行するようにしてもよい。
(5)上記実施形態では、一括容認する旨の返信をユーザーU3のコンピューターB3から通信部5が受信した場合には、当該ユーザーU3に大量印刷のジョブを実行することに対する判断を求める通知を今後送信しないが、本発明はこれに限定しない。
つまり、本発明は、ユーザーU3のコンピューターB3から一括容認する旨の返信について受信しないものであってもよい。
(6)上記実施形態では、ユーザーU1からの大量印刷のジョブを完了すると、ユーザーU2〜UnのコンピューターB2〜BnにユーザーU1からの大量印刷のジョブが完了した旨の通知を通信部5に送信させたが、本発明はこれに限定されない。つまり、本発明は、上記通知を通信部5に送信させないものであってもよい。
(7)本発明は、電子メールを用いて、ユーザーU2〜UnのコンピューターB2〜Bnとの間で、上述した通知を送受信するものであってもよい。
(8)本発明は、大量印刷を判定する基準である印刷枚数あるいは印刷時間のしきい値や、上述したステップS4の処理における所定の時間について、ユーザーによって設定されるものであってもよい。