JP5941672B2 - 筆記具用チップホルダー及びそれを用いた筆記具 - Google Patents

Description

本発明は筆記具用チップホルダー及びそれを用いた筆記具に関する。更に詳細には前記筆記具用チップホルダーからの水分或いは有機溶剤の透過を抑制し、長期保存後の筆記性能を維持することができる筆記具用チップホルダー及びそれを用いた筆記具に関する。

従来、ポリプロピレン、ポリオキシメチレン、ポリブチレンテレフタレートなどの合成樹脂成形体であるボールペンチップホルダーの小径部（パイプ体との接続部分）外壁に全周の凸部を設ける構成が開示されている（例えば、特許文献１参照）。
前記ボールペンチップホルダーは前記小径部と前記パイプ体との気密性を向上することにより、前記ボールペンチップホルダーと前記パイプ体との接続部分からのインキ蒸発を防止することを目的とするものである。

実開平６−２３７８８号公報

前記従来技術の構成のボールペンは前記接続部分からのインキ（水分或いは有機溶剤）の蒸発は防止できるとしても、チップホルダーを透過するインキ（水分或いは有機溶剤）の蒸発は防止することができない。

本発明は、前記した従来のチップホルダーの問題点を解消するものであり、チップホルダーを二種類の樹脂からなる二層構造にすることにより前記チップホルダーからの水分或いは有機溶剤の蒸発を抑制することを目的とするものである。
即ち本発明は、チップと筆記具軸筒先端開口部、或いはインキ収容管開口部とを接続する筆記具用チップホルダーであって、二種類の樹脂からなり、樹脂層Ａの外周を樹脂層Ｂが被覆していることを要件とする。
又、前記筆記具用チップホルダーが二色成形により形成されたこと、前記樹脂層Ｂがエチレンビニルアルコール共重合樹脂、塩化ビニリデン樹脂、アクリロニトリル樹脂、ポリエステル樹脂から選ばれる樹脂により形成されてなること、前記樹脂層Ａがポリオレフィン樹脂により形成されてなること等を要件とする。
更には、前記したいずれかの筆記具用チップホルダーを備えた筆記具をも要件とする。

本発明の筆記具用チップホルダーは、水分或いは溶剤の透過性を低くすることができるため、長期に保管した場合においてもインキの変質、インキ粘度の上昇、インキ成分の析出などインキ溶媒の減少に伴う様々な不具合の発生を防止でき、良好な性能を長期に維持できる筆記具を提供できる。

本発明の第一の実施例を示す一部縦断面図である。 本発明の第二の実施例を示す一部縦断面図である。 従来技術を示す一部縦断面図である。 本発明の第二実施例の筆記具用チップホルダーを用いたボールペンレフィルの縦断面図である。

本発明の筆記具用チップホルダーは二種類の樹脂の二層構造であり樹脂層Ａの外周を樹脂層Ｂが被覆していることを特徴とする。前記二層構造の筆記具用チップホルダーを形成する方法として、樹脂層Ａと樹脂層Ｂを別個に成形し、後工程で組み合わせる方法も考えられるが、二色成形が好適に適用される。二色成形で成形することにより、寸法のバラツキが小さく、樹脂層間の接着性も良好な筆記具用チップホルダーを低コストで製造することができる。

前記樹脂層Ａはポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン樹脂により形成されることが好ましい。
前記ポリオレフィン樹脂で一次成形したチップホルダー基体の外周に樹脂層Ｂを二次成形により被覆する。前記樹脂層Ｂはガス透過性の低い樹脂が用いられる。具体的にはエチレンビニルアルコール共重合樹脂、塩化ビニリデン樹脂、アクリロニトリル樹脂、ポリエステル樹脂等が例示できる。
尚、樹脂層Ｂは樹脂層Ａの全面を被覆しても良いが、一部のみを被覆しても良い。

本発明の筆記具用チップホルダーは汎用されているいかなる構造の筆記具へも適用することができる。例えばパイプ状のインキ収容管にインキを直接注入したボールペン或いはボールペンレフィル、軸筒の内部に繊維収束体からなるインキ収容体を内蔵した筆記具、インキを直接収容したインキタンクとチップを櫛歯状のインキ保溜部材で接続した構造等を挙げることができる。
尚、適用されるチップ（ペン体）は、例えばボールペンチップ、繊維チップ、プラスチックペン体等を挙げることができる。

又、本発明の備えた筆記具に内蔵されるインキについても、なんら制限はない。水性インキ、水性ゲルインキ、油性インキ、エマルジョンインキ、可逆熱変色性インキ等、あらゆる種類のインキと組み合わせることができる。

本発明の筆記具用チップホルダーの第一の実施の形態を図１に示す。
本実施の形態の筆記具用チップホルダー１は、ポリプロピレンで射出成形したチップホルダー基体２（樹脂層Ａ）の外側全面に、エチレンビニルアルコール共重合体でチップホルダー外皮３（樹脂層Ｂ）を二次成形により被覆したものである。

本発明の筆記具用チップホルダーの第二の実施の形態を図２に示す。
本実施の形態の筆記具用チップホルダー１は、ポリプロピレンで射出成形したチップホルダー基体２（樹脂層Ａ）の接続部を除く外側面を、エチレンビニルアルコール共重合体でチップホルダー外皮３（樹脂層Ｂ）を二次成形により被覆したものである。

図３は従来の筆記具用チップホルダーを示すものであり、該筆記具用チップホルダー１全体がポリエチレン、ポリプロピレン等の単一樹脂で成形されている。
又、図４は本発明の第二実施例の筆記具用チップホルダーを用いたボールペンレフィル４であり、インキ収容管に水性の剪断減粘性インキ５とインキ逆流防止体６が注入されている。
筆記具用チップホルダーの接続部がインキ収容管の先端開口部に嵌入される。接続部の外面には外皮が設けられていないため、嵌入により外皮が損傷することがない。

１ 筆記具用チップホルダー
２ チップホルダー基体（樹脂層Ａ）
３ チップホルダー外皮（樹脂層Ｂ）
４ ボールペンレフィル
５ 剪断減粘性インキ
６ インキ逆流防止体

Claims (2)

1. チップと筆記具軸筒先端開口部、或いはインキ収容管開口部とを接続するチップホルダーであって、樹脂層Ａと樹脂層Ｂの二種類の樹脂からなり、チップと筆記具軸筒先端開口部またはインキ収容管の先端開口部に嵌入される接続部を備え、樹脂層Ａからなるチップホルダーの基体の少なくとも前記接続部を除く外側全面に樹脂層Ｂからなるチップホルダー外皮が被覆され、
   前記樹脂層Ａがポリオレフィン樹脂により形成され、
   前記樹脂層Ｂがエチレンビニルアルコール共重合樹脂、塩化ビニリデン樹脂、アクリロニトリル樹脂、ポリエステル樹脂から選ばれる樹脂により形成されてなることを特徴とする筆記具用チップホルダー。
2. 請求項１に記載の筆記具用チップホルダーを備えたことを特徴とする筆記具。

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