JP5939709B2 - 遠心バレル研磨機 - Google Patents

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Description

本発明は、遠心バレル研磨機に関するものである。
特許文献1には、公転軸を中心として公転用モータにより回転駆動されるターレットと、ターレットの偏心位置に相対回転可能に設けたバレル槽と、公転軸を中心として自転用モータにより回転駆動される太陽ロータと、太陽ロータの回転力をバレル槽に伝達する回転力伝達機構とを備えた遠心バレル研磨機が開示されている。この遠心バレル研磨機は、公転回転数の目標値とバレル槽の自公転比の目標値を設定するための操作盤と、操作盤で設定された目標値に基づいて公転用モータと自転用モータの回転数を演算する演算部と、演算部から出力された制御信号によって公転用モータと自転用モータを制御する公転用インバータ装置と自転用インバータ装置とを備えている。
特開昭62−251066号公報
上記のような遠心バレル研磨機では、遊星回転するバレル槽内でマス(工作物と研磨石の総称)の流動状態が変動するため、ターレットの公転速度も変動する虞がある。バレル槽は、ターレットに対して同心状に相対回転する太陽ロータと連動して自転するので、ターレットの公転速度が変動すると、太陽ロータの回転速度が一定であっても、バレル槽の自転速度がターレットの公転速度の影響を受けて変動することになる。
ところが、上記特許文献1の遠心バレル研磨機は、ターレットの公転速度の変動が考慮されておらず、バレル槽の自転速度が目標値から外れた状態になっても、自動的に自転速度を調整する機能を備えていない。したがって、バレル槽の自転速度を調整するためには、作業者が、バレル槽の回転状態を目視確認しながら、手作業で自転速度の目標値を設定し直す必要がある。このような作業による速度調整では、高い精度を期待できず、良好な研磨を行うことができない。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、バレル槽の自転速度を目標値から外れないように高い精度で制御できるようにすることを目的とする。
上記の目的を達成するための手段として、本発明は、
公転用モータにより回転駆動されるターレットと、
前記ターレットに対して同心状に相対回転可能な太陽ロータと、
前記太陽ロータを回転可能な自転用モータと、
前記ターレットの偏心位置に自転可能に設けられ、相対回転する前記太陽ロータと連動することで遊星回転するバレル槽と、
前記ターレットの回転速度を測定する公転用センサと、
前記太陽ロータの回転速度を測定する自転用センサと、
前記公転用センサの測定値と、設定されている前記バレル槽の自転速度目標値とに基づいて、前記自転用モータの回転速度を制御するモータ制御手段と、
前記モータ制御手段を構成し、前記公転用センサの測定値と前記バレル槽の自転速度目標値と前記自転用センサの測定値とに基づいて、前記自転用モータの回転速度を演算する自転用演算部とを備えているところに特徴を有する。
本発明の遠心バレル研磨機は、ターレットの公転速度が変動すると、公転用センサによるターレットの回転速度の測定値と、予め設定したバレル槽の回転速度目標値とに基づいて、自転用モータの回転速度を制御するので、バレル槽の自転速度を目標値から外れないように高い精度で制御することができる。また、例えば、バレル槽内におけるマスの自転負荷変動に起因して自転用モータの回転速度が変動したり、プーリとベルトとの間の滑りに起因して太陽ロータの回転速度が変動したりしたとしても、自転用センサの測定値に基づいて自転用演算部で自転用モータの回転速度を高精度で制御することにより、太陽ロータの回転速度を安定させ、バレル槽の自転速度を高い精度で制御することができる。
実施例1の遠心バレル研磨機の概略構造をあらわす正面図 公転用モータの回転速度を制御する手段の構成をあらわすブロック図 自転用モータの回転速度を制御する手段の構成をあらわすブロック図 モータの回転速度を制御するための初期手順をあらわすフローチャート 公転用モータの回転速度を制御するための公転用制御処理のフローチャート 公転用回転速度のPID制御処理のフローチャート 自転用モータの回転速度を制御するための自転用制御処理のフローチャート 自転用回転速度のPID制御処理のフローチャート
本発明の遠心バレル研磨機は、
前記モータ制御手段を構成し、前記公転用センサの測定値と、設定されている前記ターレットの公転速度目標値とに基づいて、前記公転用モータの回転速度を演算する公転用演算部を備えていてもよい。
この構成によれば、ターレットの公転速度が変動したときには、バレル槽の自転速度を目標値から外れないように高い精度で制御することに加え、公転用演算部が、公転用センサの測定値とターレットの公転速度目標値とに基づいて公転用モータの回転速度を制御することによって、ターレットの公転速度も高い精度で制御されるので、良好な研磨動作を安定して継続させることができる。
<実施例1>
以下、本発明を具体化した実施例1を図1〜図8を参照して説明する。本実施例1の遠心バレル研磨機は、図1に示すように、軸線を水平方向(左右方向)に向けた太陽軸10を中心として一対のターレット11を公転させ、ターレット11の偏心位置に、複数のバレル槽12を自転可能に設けたものである。バレル槽12内には、工作物と研磨石からなるマス(図示省略)が収容され、バレル槽12が遊星回転すると、バレル槽12の内部では、研磨石を用いた工作物の表面のバリ取りや光沢仕上げ等の研磨処理が行われる。
ターレット11を公転させるための公転用駆動手段13は、バレル槽12の下方に配置した公転用モータ14と、公転用モータ14の出力軸と一体回転する公転用駆動プーリ15と、一方のターレット11の外周に設けた公転用従動プーリ16と、両プーリ15,16の間に掛け渡した公転用Vベルト17とを備えて構成されている。太陽軸10とターレット11は、相対回転可能となっている。
バレル槽12を自転させるための自転用駆動手段18は、太陽軸10に一体回転可能に設けた太陽ロータ19と、バレル槽12の下方に配置した自転用モータ20と、自転用回転力伝達機構21とを備えて構成される。自転用回転力伝達機構21は、自転用モータ20の出力軸と一体回転する自転用駆動プーリ22と、太陽ロータ19の外周に形成した自転用従動プーリ23と、両プーリ22,23の間に掛け渡した自転用Vベルト24とを備えて構成されている。太陽軸10には、太陽軸10及び太陽ロータ19と一体回転する太陽ギヤ25が設けられている。
ターレット11には、複数のバレル槽12と個別に一体回転する遊星ギヤ26と、各遊星ギヤ26と個別に噛み合う一対の減速ギヤ27が設けられている。複数の減速ギヤ27は、1つの太陽ギヤ25に噛み合わされている。これにより、太陽軸10、太陽ロータ19及び太陽ギヤ25の回転力が、減速ギヤ27と遊星ギヤ26を介してバレル槽12に伝達される。
本実施例の遠心バレル研磨機は、研磨対象等に応じて、ターレット11の公転速度の目標値とバレル槽12の自転速度の目標値をコントロールパネル28上で設定し、バレル槽12を遊星回転させて研磨を行うようになっている。しかし、バレル槽12内におけるマスの負荷変動による公転用モータ14の軸のスリップや、公転用モータ14とターレット11(公転用従動プーリ16)との間のVベルト17のスリップのために、ターレット11の公転速度が変動し、良好な研磨が行われなくなることが懸念される。バレル槽12は、ターレット11に対して同心状に相対回転する太陽ロータ19と連動して自転するので、ターレット11の公転速度が変動すると、太陽ロータ19の回転速度が一定であっても、バレル槽12の自転速度がターレット11の公転速度の影響を受けて変動することになる。
そこで、本実施例では、ターレット11の公転速度が変動しても、ターレット11の公転速度が目標値から外れないように公転用モータ14を高い精度で制御するとともに、バレル槽12の自転速度が目標値から外れないように自転用モータ20を高い精度で制御するために、公転用センサ30Aと、自転用センサ30Bと、モータ制御手段33とを備えている。モータ制御手段33は、公転用制御手段33Aと、自転用制御手段33Bとを備えて構成されている。
図2に示すように、公転用センサ30Aは、ターレット11に取り付けたドグ29A(図1を参照)を検出する近接スイッチ31Aと、近接スイッチ31Aから出力されたパルス信号に基づいてターレット11の回転数を演算する回転数計32Aとを備えている。公転用制御手段33Aは、シーケンサ34と公転用インバータ35Aとを備えて構成される。シーケンサ34には、公転用センサ30Aの回転数計32Aで演算されたターレット11の公転速度測定値が入力される。同じく、シーケンサ34には、コントロールパネル28で設定されたターレット11の回転速度に関する各種の設定値(ターレット11の公転速度目標値、ターレット11の加減速時間)が入力される。
公転用インバータ35Aは制御部36Aと電源部39Aとを備えて構成される。制御部36Aは、PID制御部37A(本発明の構成要件である公転用演算部)と出力制御部38Aとから構成される。PID制御部37Aには、シーケンサ34からターレット11の公転速度目標値と公転速度測定値が入力される。PID制御部37Aは、ターレット11の公転速度目標値と公転速度測定値を比較して演算を行い、公転用モータ14を所定の速度で回転させるための周波数を設定し、その公転用設定周波数を出力制御部38Aに出力する。電源部39Aは入力回路40Aと出力回路41Aとを備えて構成されている。入力回路40Aは、入力された一次側電源を平坦化及び直流変換する。出力回路41Aは、出力制御部38Aから出力された公転用設定周波数と電圧指令を受け取り、入力回路40Aで変換された直流を信号増幅・交流変換する。公転用モータ14は、出力回路41Aからの制御信号により、所定の速度で回転駆動する。
図3に示すように、自転用センサ30Bは、太陽ロータ19に取り付けたドグ29B(図1を参照)を検出する近接スイッチ31Bと、近接スイッチ31Bから出力されたパルス信号に基づいて太陽ロータ19の回転数を演算する回転数計32Bとを備えている。自転用制御手段33Bは、公転用制御手段33Aと共通のシーケンサ34と、自転用インバータ35Bとを備えて構成される。シーケンサ34には、公転用センサ30Aの回転数計32Aで演算されたターレット11の公転速度測定値と、自転用センサ30Bの回転数計32Bで演算された太陽ロータ19の自転速度測定値が入力される。同じく、シーケンサ34には、コントロールパネル28で設定されたバレル槽12に関する各種の設定値(バレル槽12の自転速度目標値、バレル槽12の加減速時間、バレル槽12の回転方向)が入力される。
自転用インバータ35Bは制御部36Bと電源部39Bとを備えて構成される。制御部36Bは、PID制御部37B(本発明の構成要件である自転用演算部)と出力制御部38Bとから構成される。PID制御部37Bには、シーケンサ34からバレル槽12の自転速度目標値と太陽ロータ19の自転速度測定値とターレット11の公転速度測定値とが入力される。PID制御部37Bは、ターレット11の公転速度測定値と太陽ロータ19の自転速度測定値に基づいてバレル槽12の実測自転速度を演算し、さらに、その演算値とバレル槽12の自転速度目標値とを比較して演算を行い、自転用モータ20を所定の速度で回転させるための周波数を設定し、その自転用設定周波数を出力制御部38Bに出力する。
ここで、PID制御部37Bにおける演算の具体例を説明する。ターレット11の公転速度測定値をMa、太陽ロータ19の自転速度測定値をMb、太陽ロータ19からバレル槽12に至るギヤ列(太陽ギヤ25、減速ギヤ27、遊星ギヤ26)のギヤ比の逆数をRとした場合、自転用モータ20が逆転又は停止するのであれば、バレル槽12の自転速度現在値Vは、次式(1)
V=(Ma−Mb)/R…(1)
により演算される。また、自転用モータ20が正転するのであれば、バレル槽12の自転速度現在値Vは、次式(2)
V=(Mb−Ma)/R…(2)
により演算される。
例えば、ターレット11の公転速度測定値Maが200rpm、太陽ロータ19の自転速度測定値Mbが150rpm、太陽ロータ19からバレル槽12に至るギヤ列ギヤ比の逆数Rが2であり、自転用モータ20が逆転する場合、バレル槽12の自転速度現在値V=(200−150)/2=25となる。このとき、バレル槽12の自転速度目標値が30rpmであれば、バレル槽12の自転速度を上げる(自転速度目標値に近づける)ために、自転用モータ20の設定周波数を低く設定し、太陽ロータ19の回転速度を下げる。
電源部39Bは入力回路40Bと出力回路41Bとを備えて構成されている。入力回路40Bは、入力された一次側電源を平坦化及び直流変換する。出力回路41Bは、出力制御部38Bから出力された自転用設定周波数と電圧指令を受け取り、入力回路40Bで変換された直流を信号増幅・交流変換する。自転用モータ20は、出力回路41Bからの制御信号によって、所定の速度で回転駆動する。
次に、本実施例におけるモータ制御方法を、図4〜8のフローチャートを参照して説明する。図4に示すように、まず、コントロールパネル28において、ターレット11の公転速度目標値、ターレット11の加減速時間、バレル槽12の自転速度目標値、バレル槽12の加減速時間が設定(入力)されるとともに、公転速度目標値と自転速度目標値に基づいてバレル槽12の回転方向が自動計算される(ステップS101)。シーケンサ34では、設定された公転速度目標値に基づいて公転用モータ14の回転速度を演算するとともに、設定された自転速度目標値に基づいて自転用モータ20の回転速度を演算する(ステップS102)。
次に、シーケンサ34では、公転用モータ14を目標速度で回転させるための公転用設定周波数を演算するとともに、自転用モータ20を目標速度で回転させるための自転用設定周波数を演算する(ステップS103)。この後、シーケンサ34から公転用インバータ35Aへ、公転用設定周波数とターレット11の加減速時間に関する情報が出力されるとともに、シーケンサ34から自転用インバータ35Bへ、自転用設定周波数とバレル槽12の加減速時間とバレル槽12の回転方向に関する情報が出力される(ステップS104)。
そして、コントロールパネル28に運転指令が入力されたかどうかの判定が行われ(ステップS105)ると、公転用モータ14と自転用モータ20が起動して加速を始める(ステップS106)。次に、ターレット11の公転速度が公転速度目標値から外れないように公転用モータ14の回転速度を制御するための公転用制御処理(ステップS107)と、バレル槽12の自転回転度が自転速度目標値から外れないように自転用モータ20の回転速度を制御するための自転用制御処理(ステップS108)が平行して(同時に)行われる。
公転用制御処理では、図5に示すように、まず、公転用インバータ35Aの周波数が、設定した公転用設定周波数まで到達したかどうかを判定する(ステップS201)。公転用インバータ35Aの周波数が公転用設定周波数まで到達すると、コントロールパネル28においてPID制御を行う設定がされているかどうかを判定する(ステップS202)。PID制御を行わないと設定されている場合は、シーケンサ34で設定された公転用設定周波数を維持したままで運転が行われる(ステップS203)。PID制御を行うと設定されている場合は、公転用インバータ35Aにターレット11の公転速度目標値を書き込む(ステップS204)。この後、ターレット11の公転速度の変動に応じて公転用モータ14の回転速度を設定し直すために、公転用回転速度のPID制御処理が行われる(ステップS205)。
公転用回転速度のPID制御処理では、図6に示すように、公転用センサ30Aによって測定されているターレット11の公転速度測定値がスキャンされ(ステップS301)、PID制御部37Aにおいては、公転速度目標値とスキャンした公転速度測定値とが比較され、公転用設定周波数が演算される(ステップS302)。この演算された公転用設定周波数は出力制御部38Aへ出力され(ステップS303)、公転用モータ14が公転用設定周波数と対応する速度で回転し、ターレット11が公転速度目標値から外れない速度で公転する。このPID制御により、ターレット11の公転速度が変動しても、ターレット11は、公転速度目標値から外れないように安定した速度で公転を続ける。そして、運転停止の指令がシーケンサ34に入力されたどうかが判定され(ステップS304)運転停止指令が入力されると、運転が停止するとともにPID制御が終了する。
一方、自転用制御処理では、図7に示すように、まず、自転用インバータ35Bの周波数が、設定した自転用設定周波数まで到達したかどうかを判定する(ステップS401)。自転用インバータ35Bの周波数が自転用設定周波数まで到達すると、コントロールパネル28においてPID制御を行う設定がされているかどうかが判定される(ステップS402)。PID制御を行わないと設定されている場合は、シーケンサ34で設定された自転用設定周波数を維持したままで運転が行われる(ステップS403)。
PID制御を行うと設定されている場合は、自転用モータ20の設定回転方向が正方向であるかどうかを判定する(ステップS404)。自転用モータ20の設定回転方向が正方向である場合はPID制御を逆動作に設定し(ステップS405)、自転用モータ20の設定回転方向が逆方向である場合はPID制御を正動作に設定する(ステップS406)。この後、自転用インバータ35Bにバレル槽12の自転速度目標値を書き込む(ステップS407)。この後、バレル槽12の自転速度の変動に応じて自転用モータ20の回転速度を設定し直すために、自転用回転速度のPID制御処理が行われる(ステップS408)。
自転用回転速度のPID制御処理では、図8に示すように、自転用センサ30Bによって測定されている太陽ロータ19の自転速度測定値と公転用センサ30Aによって測定されているターレット11の公転速度測定値がスキャンされ、シーケンサ34では、太陽ロータ19の自転速度測定値とターレット11の公転速度測定値とに基づいてバレル槽12の自転速度現在値が演算され、その演算値がPID制御部37Bに送られる(ステップS501)。そして、PID制御部37Bにおいては、バレル槽12の自転速度目標値とバレル槽12の自転速度現在値とが比較され、自転用設定周波数が演算される(ステップS502)。
演算された自転用設定周波数は出力制御部38Bへ出力され(ステップS503)、自転用モータ20が自転用設定周波数と対応する速度で回転し、バレル槽12が自転速度目標値から外れない速度で自転する。このPID制御により、ターレット11の公転速度やバレル槽12の自転速度が変動しても、バレル槽12は、自転速度目標値から外れないように安定した速度で自転を続ける。そして、運転停止の指令がシーケンサ34に入力されたかどうかが判定され(ステップS504)、運転停止指令が入力されると、運転が停止するとともに、PID制御が終了する。
本実施例の遠心バレル研磨機は、公転用モータ14により回転駆動されるターレット11と、ターレット11に対して同心状に相対回転可能な太陽ロータ19と、太陽ロータ19を回転可能な自転用モータ20と、ターレット11の偏心位置に自転可能に設けられ、相対回転する太陽ロータ19と連動することで遊星回転するバレル槽12と、ターレット11の回転速度を測定する公転用センサ30Aと、公転用センサ30Aの測定値と、設定されているバレル槽12の自転速度目標値とに基づいて、自転用モータ20の回転速度を制御するモータ制御手段33とを備えている。
この構成によれば、ターレット11の公転速度が変動すると、公転用センサ30Aによるターレット11の回転速度の測定値と、予め設定したバレル槽12の回転速度目標値とに基づいて、自転用モータ20の回転速度を制御することができるので、バレル槽12の自転速度を目標値から外れないように高い精度で制御することができる。また、バレル槽12の自転速度と公転速度の比を一定に維持することができるので、良好な研磨を行うことができる。
本実施例の遠心バレル研磨機は、太陽ロータ19の回転速度を測定する自転用センサ30Bを備え、さらに、公転用センサ30Aによるターレット11の公転速度測定値と、バレル槽12の自転速度目標値と、自転用センサ30Bによる太陽ロータ19の自転速度測定値とに基づいて自転用モータ20の回転速度を演算する自転用演算部としてのPID制御部37B(自転用インバータ35B)を備えている。この構成によれば、バレル槽内におけるマスの自転負荷変動に起因して自転用モータの回転速度が変動したり、自転用のプーリ22,23と自転用Vベルト24との間の滑りに起因して太陽ロータ19の回転速度が変動しても、自転用センサ30Bによる自転速度測定値に基づいてPID制御部37Bで自転用モータ20の回転速度を高精度で制御することにより、太陽ロータ19の回転速度を安定させ、バレル槽12の自転速度を高い精度で制御することができる。
また、本実施例の遠心バレル研磨機は、公転用センサ30Aによるターレット11の公転速度測定値と、設定されているターレット11の公転速度目標値とに基づいて、公転用モータ14の回転速度を演算する公転用演算部としてのPID制御部37A(公転用インバータ35A)を備えている。この構成によれば、ターレット11の公転速度が変動したときには、バレル槽12の自転速度を自転速度目標値から外れないように高い精度で制御することに加え、公転用演算部としてのPID制御部37Aが、公転用センサ30Aによるターレット11の公転速度測定値と、ターレット11の公転速度目標値とに基づいて公転用モータ14の回転速度を制御する。これにより、ターレット11の公転速度も高い精度で制御されるので、良好な研磨動作を安定して継続させることができる。
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施例では、ターレットの回転速度が目標値から外れないように公転用モータの回転速度を制御する手段として、PID制御を用いたが、これに限らず、公転用センサと設定した公転速度目標値との差分量に基づいて公転用モータの回転数を制御してもよい。
(2)上記実施例では、バレル槽の回転速度が目標値から外れないように自転用モータの回転速度を制御する手段として、PID制御を用いたが、これに限らず、自転用センサと設定した自転速度目標値との差分量に基づいて自転用モータの回転数を制御してもよい。
(3)上記実施例では、公転用インバータに設けられているPID制御部によって公転用モータの回転速度を制御したが、これに限らず、シーケンサ(Programable logic Controller)や制御可能な計器類によってPID制御した公転用モータの回転速度を、公転用インバータに送ってもよい。
(4)上記実施例では、自転用インバータに設けられているPID制御部によって自転用モータの回転速度を制御したが、これに限らず、シーケンサ(Programable logic Controller)や制御可能な計器類によってPID制御した自転用モータの回転速度を、自転用インバータに送ってもよい。
(5)上記実施例では、ターレットの回転数を計測する手段として、近接スイッチからのパルス信号に基づいて回転数計でターレットの回転数を演算し、その値をターレットの回転数測定値としてシーケンサに送ったが、これに限らず、近接スイッチからのパルス信号を直接シーケンサに送り、シーケンサでターレットの回転数を演算してもよい。
(6)上記実施例では、太陽ロータの回転数を計測する手段として、近接スイッチからのパルス信号に基づいて回転数計で太陽ロータの回転数を演算し、その値を太陽ロータの回転数測定値としてシーケンサに送ったが、これに限らず、近接スイッチからのパルス信号を直接シーケンサに送り、シーケンサで太陽ロータの回転数を演算してもよい。
(7)上記実施例では、公転用インバータを用いて公転用モータの設定回転数を制御したが、これに限らず、スピードコントローラやサーボシステムを用いて公転用モータの設定回転数を制御してもよい。
(8)上記実施例では、自転用インバータを用いて自転用モータの設定回転数を制御したが、これに限らず、スピードコントローラやサーボシステムを用いて自転用モータの設定回転数を制御してもよい。
(9)上記実施例の遠心バレル研磨機は、公転用モータと自転用モータの両方を回転駆動する運転形態に限らず、自転用モータを駆動せずに公転用モータだけを駆動する形態で運転してバレル研磨を行うことも可能である。この場合、ターレットの回転速度のみを制御する。
(10)上記実施例では、自転用モータの回転力をプーリとVベルトを介して太陽軸(太陽ロータ)に伝達したが、自転用モータの回転力を、プーリとVベルトを介さずに直接、太陽軸に伝達してもよい。
(11)上記実施例では、太陽ロータの回転力を、ギヤを介してバレル槽に伝達したが、太陽ロータの回転力を、プーリとVベルトを介してバレル槽に伝達してもよい。
11…ターレット
12…バレル槽
14…公転用モータ
19…太陽ロータ
20…自転用モータ
30A…公転用センサ
30B…自転用センサ
33…モータ制御手段
37A…PID制御部(公転用演算部)
37B…PID制御部(自転用演算部)

Claims (2)

  1. 公転用モータにより回転駆動されるターレットと、
    前記ターレットに対して同心状に相対回転可能な太陽ロータと、
    前記太陽ロータを回転可能な自転用モータと、
    前記ターレットの偏心位置に自転可能に設けられ、相対回転する前記太陽ロータと連動することで遊星回転するバレル槽と、
    前記ターレットの回転速度を測定する公転用センサと、
    前記太陽ロータの回転速度を測定する自転用センサと、
    前記公転用センサの測定値と、設定されている前記バレル槽の自転速度目標値とに基づいて、前記自転用モータの回転速度を制御するモータ制御手段と、
    前記モータ制御手段を構成し、前記公転用センサの測定値と前記バレル槽の自転速度目標値と前記自転用センサの測定値とに基づいて、前記自転用モータの回転速度を演算する自転用演算部とを備えていることを特徴とする遠心バレル研磨機。
  2. 前記モータ制御手段を構成し、前記公転用センサの測定値と、設定されている前記ターレットの公転速度目標値とに基づいて前記公転用モータの回転速度を演算する公転用演算部を備えていることを特徴とする請求項1記載の遠心バレル研磨機。
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