以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施の形態の部品供給装置の構成を概略的に示している。部品供給装置10は、部品実装装置の移戴ヘッド100のノズル102に部品を供給するように構成されている。具体的には、部品供給装置10は、テープ長手方向に複数の部品が収容されたキャリアテープ200を使用して部品を部品供給位置Qに向かってテープ長手方向のテープ送り方向に順次送り、部品供給位置にて移戴ヘッド100のノズル102に供給する。
図2は、キャリアテープ200のテープ長手方向の前端側部分(部品供給位置Qに向かってキャリアテープ200が送られる方向であるテープ送り方向Aへのテープの移動時において前側(先端側)になる端面側の部分)を示している。なお、図2に示す直交座標系u−v−wにおいて、u軸方向はテープ幅方向に対応し、v軸方向はテープ長手方向に対応し、w軸方向はテープ厚さ方向に対応している。
図2に示すように、キャリアテープ200は、部品実装装置の移戴ヘッド100のノズル102に供給される部品を収容する複数の収容部202がテープ長手方向(v軸方向)に並んで形成されたベーステープ204と、収容部202を覆うようにベーステープ204にテープ幅方向の両端側が接着され貼り付けられたトップテープ206とを有する。また、キャリアテープ200は、ベーステープ204にテープ長手方向に並んで形成され、テープ厚さ方向(w軸方向)に貫通する複数の送り孔208を有する。
図2に示すように、トップテープ206は、キャリアテープ200の主面200a側であって送り孔208が形成された部分を少なくとも除くベーステープ204の主面204aの部分に貼り付けられている。具体的には、トップテープ206は、テープ幅方向(u軸方向)の中央部分(収容部202を覆う部分)を除いて両端側部分210a、210bがベーステープ204の主面204aに貼り付けられている。
図1に戻り、部品供給装置10は、本体部12と、本体部12内に設けられたキャリアテープ200を部品供給位置Qに向かってテープ長手方向(テープ送り方向A)に送るためのテープ経路Pと、キャリアテープ200をテープ経路Pに沿ってテープ送り方向Aに送る複数のスプロケット14、16、18と、移動中のキャリアテープ200のベーステープ204からトップテープ206を連続的に剥離するメインブレード20(特許請求の範囲の「第2のブレード」に対応)とを有する。
部品供給装置10の本体部12は、キャリアテープ200を本体部12内のテープ経路Pに投入するためのテープ投入口12aを備える。テープ投入口12aは、水平方向(Y軸方向)に向かって開口している。本体部12はまた、部品実装装置の移戴ヘッド100のノズル102が本体部12内のテープ経路P上のキャリアテープ200の収容部202から部品を上方から吸着することができるように、上方に向かって開口した部品供給口12bを備える。テープ経路Pは、テープ投入口12aから部品供給口12bに向かって延在している。
複数のスプロケット14、16、18は、キャリアテープ200をテープ送り方向Aに送るためのテープ送り機構であって、キャリアテープ200のテープ経路P上に設けられ、キャリアテープ200の送り孔208と係合する歯14a、16a、18aを備える。歯14a、16a、18aがキャリアテープ200の送り孔208に係合した状態でスプロケット14、16、18が回転することにより、キャリアテープ200がテープ送り方向Aに送られる。
スプロケット14は、本体部12のテープ投入口12a近傍に配置されている。残りのスプロケット16、18は、本体部12の部品供給口12b近傍、すなわち部品供給位置Q近傍に配置されている。
メインブレード20は、部品供給位置Qで移戴ヘッド100のノズル102がキャリアテープ200の収容部202に収容されている部品を吸着するために、キャリアテープ200のベーステープ204からトップテープ206を剥離して収容部202内に収容されている部品を露出させる。メインブレード20は、部品供給位置Qよりテープ送り方向Aの上流側であって2つのスプロケット16、18に挟まれたテープ経路Pの部分に設けられている。メインブレード20はまた、スプロケット16、18によって送られて移動中のキャリアテープ200のベーステープ204からトップテープ206を部分的に連続的に剥離するように、具体的にはトップテープ206のテープ幅方向の一方側の部分をベーステープ204から連続的に剥離するように構成されている。
図3Aはメインブレード20の分解図であり、図3Bはメインブレード20の斜視図である。図4Aは、テープ送り方向Aに送られるキャリアテープ200のベーステープ204からトップテープ206を部分的に剥離する直前のメインブレード20を上方から見た図である。図4Bは、テープ送り方向Aに送られるキャリアテープ200のベーステープ204からトップテープ206を部分的かつ連続的に剥離中のメインブレード20の上面図である。
図3Aおよび図3Bに示すように、メインブレード20は、キャリアテープ200のベーステープ204からトップテープ206を部分的に剥離する剥離部22と、剥離部22によって部分的に剥離されたトップテープ206の部分を、図4Bに示すように送り孔208側に折り返す折り返し部24とを有する。
剥離部22は、短冊状の金属板にトップテープ206をベーステープ204から剥離するための刃部22aを形成することによって作製されている。刃部22aは、トップテープ206をベーステープ204から剥離する刃先22bと、剥離されたトップテープ206の部分をガイドしてベーステープ204から離間するようにすくい上げるすくい面22cと、トップテープ206とベーステープ204との間に進入する刃先先端22dとを有する。
折り返し部24は、剥離部22の上方側である上面22e側に取り付けられる。また、剥離部22によって剥離されたトップテープ206の部分がキャリアテープ200の送り孔208b側に折り返されるように、剥離されたトップテープ206の部分をガイドする凹状の円錐状湾曲面24aを備える。円錐状湾曲面24aは、剥離部22の上面22eから延在して凹状に湾曲してオーバーハングしている。
図4Aに示すように、メインブレード20は、剥離部22の刃先先端22dがトップテープ206とベーステープ204との間の未貼り付け部分(未接着部分)(すなわち、テープ幅方向における両端部分210a、210bの間の部分)に進入できるように、部品供給装置10の本体部12に設けられている。また、折り返し部24の凹状の円錐状湾曲面24aは、テープ幅方向においてキャリアテープ200の送り孔208側に開いている。
キャリアテープ200がスプロケット16,18によって部品供給位置Qに向かってテープ送り方向Aに送られると、メインブレード20の剥離部22の刃先先端22dが、キャリアテープ200のテープ送り方向Aの前端212側からトップテープ206とベーステープ204との間に進入する。
メインブレード20の剥離部22の刃先先端22dがトップテープ206とベーステープ204との間に進入した状態のキャリアテープ200が部品供給位置Qに向かってテープ送り方向Aにさらに送られると、剥離部22の刃先22bがトップテープ206の一部分(テープ幅方向の片方側部分)をベーステープ204から連続的に剥離し始める。
例えば、剥離部22の刃先22bが、テープ幅方向において送り孔208から遠い側であるキャリアテープ200の側端面214a側のトップテープ206の貼り付けられた部分210aをベーステープ204から連続的に剥離し始める。刃先22bによって剥離されたトップテープ206の側端面214a側の部分210aは、キャリアテープ200が送られるにしたがって、すくい面22cにガイドされ、折り返し部24の湾曲面24aに向かう。
さらに、部品供給位置Qに向かってテープ送り方向Aにキャリアテープ200が送られるにしたがって、図4Bに示すように、ベーステープ204から剥離されたトップテープ206の側端面214a側の部分210aが、折り返し部24の凹状の円錐状湾曲面24aによって送り孔208側(側端面214b側)に折り返される。
具体的には、ベーステープ204から剥離されたトップテープ206の側端面214a側の部分210aが円錐状湾曲面24aによってガイドされることにより、トップテープ206の側端面214a側の部分210aが送り孔208側に折り返される。
このメインブレード20により、キャリアテープ200の収容部202にそれぞれ収容された部品が順次露出するようにトップテープ206がベーステープ204から部分的に且つ連続的に剥離された状態のキャリアテープ200を、部品供給位置Qに送ることができる。それにより、部品実装装置の移戴ヘッド100のノズル102は、ベーステープ204の複数の収容部202にそれぞれ収容された部品を部品供給位置Qで順次吸着して取り出すことができる。
また、部品供給装置10は、図1に示すように、テープ送り方向Aに移動中のキャリアテープ200におけるトップテープ206とベーステープ204との間にメインブレード20の剥離部22の刃先先端22dがより確実に進入できるようにするためのプレ剥離機構30を有する。
プレ剥離機構30は、テープ長手方向(テープ送り方向A)に移動中のキャリアテープ200におけるトップテープ206とベーステープ204との間へのメインブレード20の剥離部22の刃先先端22dの進入を容易にするために、トップテープ206とベーステープ204との間に隙間を事前に形成するように構成されている。具体的には、トップテープ206の一部分をキャリアテープ200のテープ送り方向Aの前端212側から剥離することにより、トップテープ206とベーステープ204との間に隙間を事前に形成するように、プレ剥離機構30は構成されている。そのために、プレ剥離機構30は、図1に示すように、メインブレード20に対してテープ送り方向Aの上流側に配置されている。
図5は、プレ剥離機構30を含む部品供給装置10の一部の構成を概略的に示している。図6は、プレ剥離機構30の拡大図である。図7A〜図7Cは、プレ剥離機構によってトップテープ206とベーステープ204との間に隙間が形成される流れを示している。
図5および図6に示すように、本実施の形態の場合、プレ剥離機構30は、メインブレード20に対してテープ送り方向Aの上流側のテープ経路Pの部分の上方に配置されたプレ剥離位置Rでトップテープ206の一部分をキャリアテープ200のテープ送り方向Aの前端212側から事前に剥離するように構成されている。
そのために、プレ剥離機構30は、キャリアテープ200のテープ送り方向Aの前端212側からテープ長手方向にトップテープ206とベーステープ204との間に進入して、ベーステープ204からトップテープ206を剥離するプレ剥離用ブレード32(特許請求の範囲の「第1のブレード」に対応)と、キャリアテープ200の前端212におけるトップテープ206とベーステープ204との間にプレ剥離用ブレード32が進入するように、キャリアテープ200のトップテープ206と当接してキャリアテープ200をプレ剥離用ブレード32に案内するガイドブロック(特許請求の範囲の「ガイド部」に対応)34とを有する。
まず、ガイドブロック34について説明する。
プレ剥離機構30のガイドブロック34は、キャリアテープ200のテープ厚さ方向(w軸方向、Z軸方向)に移動可能であって、キャリアテープ200のトップテープ206の主面206a(ベーステープ204の主面204aに貼り付けられていない側のトップテープ206の面)と平行な(X−Y平面と平行な)ガイド面34aを備える。
ガイドブロック34は、ガイド面34aが図5や図6に示す初期位置T0に配置されているときに、そのガイド面34aに沿ってキャリアテープ200をプレ剥離用ブレード32に向かってテープ長手方向(Y軸方向)に案内するように構成されている。具体的には、ガイドブロック34のガイド面34aは、キャリアテープ200のトップテープ206の主面206aと当接することにより、キャリアテープ200をプレ剥離用ブレード32に向かって案内する。このガイドブロック34のガイド面34aにより、キャリアテープ200のテープ送り方向Aの前端212は、プレ剥離用ブレード32によってトップテープ206の一部分が剥離される位置であるプレ剥離位置Rに案内される。
図6および図7Aに示すように、プレ剥離機構30のプレ剥離用ブレード32は、トップテープ206とベーステープ204との間に進入するための先鋭な先端32aと、トップテープ206とベーステープ204との間に進入し、トップテープ206をベーステープ204から剥離する刃先32bを備える。刃先32bは、先端32aから延在している。また、プレ剥離用ブレード32の厚さ(Z軸方向の厚さ)は、可能な限り薄くされている。
プレ剥離用ブレード32はまた、図6に示すように、本体部12の内壁部12cの壁面12dからテープ長手方向(Y軸方向)に所定量Lで突出している。プレ剥離用ブレード32は、初期位置T0に配置されたガイドブロック34のガイド面34aにトップテープ206が当接した状態におけるキャリアテープ200のテープ送り方向Aの前端212に対してテープ長手方向(Y軸方向)に対向する。
具体的には、プレ剥離用ブレード32の刃先32bは、キャリアテープ200のテープ厚さ方向(Z軸方向)に見た場合、図7Aに示すように、キャリアテープ200のテープ幅方向(X軸方向)に対して傾斜している。また、ベーステープ204に貼り付けられていないトップテープ206の部分であるテープ幅方向の中央側の部分に、プレ剥離用ブレード32の先端32aがテープ長手方向(Y軸方向)に対向している。
さらに、キャリアテープ200の側端面側からテープ幅方向(X軸方向)に見た場合、図6に示すように、プレ剥離用ブレード32の先端32aは、初期位置T0に配置されたガイドブロック34のガイド面34aにトップテープ206が当接した状態のキャリアテープ200の前端212におけるトップテープ206とベーステープ204との間に対してテープ長手方向(Y軸方向)に対向する。そのために、プレ剥離用ブレード32の先端32aは、初期位置T0に配置されたガイドブロック34のガイド面34aからテープ厚さ方向(Z軸方向)に所定距離D離れた位置(Z軸方向位置)に配置されている。この所定の距離Dは、トップテープ206の厚さ(例えば、0.04〜0,07mm)と略同一である。
なお、ガイドブロック34のガイド面34aは、キャリアテープ200のトップテープ206の主面206aを案内することに代わって、トップテープ206によって覆われていないベーステープ204の主面204aの部分(送り孔208が形成された部分)(図2参照)を案内してもよい。この場合、プレ剥離用ブレード32の先端32aのテープ厚さ方向(Z軸方向)の位置がベーステープ204の主面204aと同じ位置になり、ガイドブロック34のガイド面34aからプレ剥離用ブレード32の先端32aまでのテープ厚さ方向(Z軸方向)の所定距離Dは、実質的にゼロになる。
ガイドブロック34のガイド面34aとキャリアテープ200のトップテープ206との当接状態を維持するために、キャリアテープ200をその裏面200b側からガイドブロック34のガイド面34aに向かって付勢する付勢ブロック36を、プレ剥離機構30は有する。
付勢ブロック36は、図6に示すように、ガイドブロック34のガイド面34aに対向するように配置され、Z軸方向に移動可能に本体部12に設けられている。付勢ブロック36はまた、ガイドブロック34のガイド面34aに対して平行な押圧面36aを備える。この押圧面36aは、キャリアテープ200の裏面200bと当接する。さらに、ばね38により、付勢ブロック36は、ガイドブロック34のガイド面34aに向かって付勢されている。このようなガイドブロック34と付勢ブロック36との間の間隙により、部品供給装置10の本体部12内にキャリアテープ200を投入するためのテープ投入口12aが構成されている。
キャリアテープ200は、初期位置T0に配置されたガイドブロック34のガイド面34aと付勢ブロック36の押圧面36aとの間に例えば作業者の手作業によってテープ長手方向(Y軸方向)に押し込まれ、図6に示すようにテープ厚さ方向(Z軸方向)に挟持される。この挟持状態のキャリアテープ200がテープ長手方向(Y軸方向)に本体部12の内部の奥側に向かってさらに押し込まれることにより、図7Bに示すように、キャリアテープ200は、プレ剥離位置Rに配置される。
本実施の形態の場合、図7Bに示すように、プレ剥離位置Rにおいて、キャリアテープ200の前端212側からテープ長手方向(Y軸方向)にトップテープ206とベーステープ204との間にプレ剥離用ブレード32が相対的に進入し、図7Cに示すようにトップテープ206の一部分をベーステープ204から剥離する。具体的には、送り孔208から遠い側であるトップテープ206のテープ幅方向の部分210aをキャリアテープ200の前端212側からテープ長手方向(Y軸方向)に所定量L(例えば、2〜10mm)剥離する。
プレ剥離用ブレード32がトップテープ206をキャリアテープ200の前端212側からテープ長手方向(Y軸方向)に所定量Lで剥離するために、プレ剥離用ブレード32が設けられている本体部12の内壁部12cの壁面12dは、ストッパー部として機能する。具体的には、壁面12dは、キャリアテープ200のテープ送り方向Aの前端212側(ベーステープ204のテープ送り方向Aの前端側)と接触して、トップテープ206とベーステープ204との間へのプレ剥離用ブレード32のテープ長手方向(Y軸方向)の進入量を所定量Lに制限するストッパー部として機能する。なお、ストッパー部は、本体部12の壁面12dによって構成するのではなく、プレ剥離機構30に1つの構成要素として備えられてもよい。
このようなプレ剥離用ブレード32と壁面12dとにより、図7Cに示すように、キャリアテープ200のテープ送り方向Aの前端212におけるトップテープ206とベーステープ204との間に、メインブレード20の剥離部22の刃先先端22dがテープ長手方向(テープ送り方向A)に容易に進入することができる微小な隙間Gが形成される。
ここで言う「隙間」とは、キャリアテープ200の前端212側のトップテープ206の幅方向両端がベーステープ204に貼り付けられている部分の領域である2つの角部206b、206cの少なくとも一方がベーステープ204から離れる(部分的に剥離される)ことによってトップテープ206とベーステープ204との間に形成される空間(図7Cに示す所定量Lの二点鎖線に囲まれた領域)を言う。
なお、この所定量Lは、例えば、キャリアテープ200のテープ送り方向Aの前端212側から数えて1個目の収容部202に部品が収容されていない場合、その1個目の収容部202にかかる程度の剥離量(長さ)である。一方、キャリアテープ200の前端212側から数えて1個目の収容部202に部品が収容されている場合、所定量Lは、その1個目の収容部202に収容されている部品がその収容部202から外部に出ることができないような剥離量(長さ)である。なお、キャリアテープ200の前端212側から数えて1個目の収容部202が切断され、その収容部202のテープ長手方向の長さが通常の収容部202に比べて短い場合、切断された1個目の収容部202をテープ長手方向に越える所定量Lが設定されてもよい。また、収容される部品が小さく、その結果として収容部202が小さい場合、キャリアテープ200の前端212側から数えて2〜3個目の収容部202にかかるように所定量Lが設定されてもよい。広義には、プレ剥離機構30によって事前に剥離されるトップテープ206の剥離量である所定量Lは、部品供給装置10のテープ経路Pでのテープ送りやトップテープ剥離機構20によるトップテープ206の連続剥離に悪影響がなければよく、したがって、大きくてもよい。
図1に示すように、プレ剥離機構30に対してテープ送り方向Aの下流側で隣接するように、プレ剥離機構30によってトップテープ206が事前剥離された状態のキャリアテープ200を自動的に部品供給位置Qに向かってテープ送り方向Aに送る自動送り機構50が設けられている。
自動送り機構50は、複数本のキャリアテープ200を1本ずつテープ送り方向Aに部品供給位置Qに向かって順次自動的に送るように構成されている。具体的には、自動送り機構50は、部品実装装置の移戴ヘッド100のノズル102に対して部品を供給中の先行のキャリアテープ200のテープ送り方向Aの後端に、次に移戴ヘッド100のノズル102に部品を供給する後続のキャリアテープ200のテープ送り方向Aの前端が続いて送られるように、複数本のキャリアテープ200をテープ送り方向Aに1本ずつ順次自動的に供給する。
自動送り機構50は、図5に示すように、本体部12のテープ投入口12aに最も近いスプロケット14と、キャリアテープ200をスプロケット14に向かって付勢する付勢ブロック52と、次に部品供給位置Qに送られる後続のキャリアテープ200を待機させるための旋回レバー54と、旋回レバー54をテープ厚さ方向に駆動する駆動バー56と、駆動バー56が設けられた昇降ブロック58とを有する。これらの自動送り機構50の構成要素の詳細を、プレ剥離機構30および自動送り機構50の動作を示す図8A〜8Eを用いて説明する。
上述するようにプレ剥離機構30によるトップテープ206の事前剥離が終了すると、図8Aに示すように、例えば作業者の手作業により、初期位置T0に位置するガイドブロック34が降下される。(矢印C)。それにより、トップテープ206が事前剥離されたキャリアテープ200が、初期位置T0のプレ剥離位置Rからテープ送り高さ位置T1に移動し、部品供給位置Qに向かうテープ経路P上に配置される。
図8Aを用いて具体的に説明すると、ガイドブロック34がテープ送り高さ位置T1に降下することにより、ガイドブロック34のガイド面34aに当接するキャリアテープ200のトップテープ206の主面206aは、キャリアテープ200がテープ経路Pに沿ってテープ送り方向Aに送られるときにキャリアテープ200のトップテープ206の主面206aが摺接するガイド面12eに位置合わせされる。このガイド面12eは、本体部12の内壁部12cにおけるX−Y平面と平行な壁面で構成され、キャリアテープ200のトップテープ206の主面206aと当接する。なお、補足すると、トップテープ206の主面206aと当接するガイド面12eに対してスプロケット14は図面の手前側に位置する(すなわちキャリアテープ200の送り孔208は図面の手前側に位置する)。
ガイドブロック34の降下によってキャリアテープ200がテープ経路P上のテープ送り高さ位置T1に配置されると、キャリアテープ200は、例えば作業者の手作業により、本体部12内の部品供給位置Qに向かってテープ送り方向に押し込まれる。具体的には、本体部12のガイド面12e(スプロケット14)と付勢ブロック52との間に、キャリアテープ200が押し込まれる。
付勢ブロック52は、図5に示すように、Z軸方向に移動可能に本体部12に設けられている。付勢ブロック52はまた、図8BにおけるB−B線断面図である図9に示すように、本体部12のガイド面12eおよびスプロケット14に対してZ軸方向に対向し、キャリアテープ200の裏面200bと当接するガイド面52aを備える。さらに、ばね60により、付勢ブロック52は、本体部12のガイド面12eおよびスプロケット14に向かってZ軸方向(テープ厚さ方向)に付勢されている。なお、付勢ブロック52のガイド面52aには、ガイド面12eと付勢ブロック52との間にキャリテープ200が存在しないとき(本体部12のガイド面12eに付勢ブロック52のガイド面52aが当接するとき)にスプロケット14の歯14aが収容される溝52bが形成されている。
キャリアテープ200は、図8Bに示すように、本体部12のガイド面12e(スプロケット14)と付勢ブロック52のガイド面52aとの間にテープ送り方向Aに押し込まれ、本体部12のガイド面12eと付勢ブロック52のガイド面52aとによってテープ厚さ方向(Z軸方向)に挟持される。すなわち、キャリアテープ200によって付勢ブロック52がガイド面12e(スプロケット14)からテープ厚さ方向に離れる方向に付勢される。
キャリアテープ200が本体部12のガイド面12eと付勢ブロック52のガイド面52aとの間にテープ送り方向Aに押し込まれたとき、キャリアテープ200の送り孔208とスプロケット14の歯14aとが係合できるように、スプロケット14は自由回転するように構成されている。なお、スプロケット14は、送り孔208がスプロケット14の歯14と係合した状態のキャリアテープ200がテープ送り方向Aと逆方向に移動しないように、キャリアテープ送り方向Aに対応する回転方向(図中、反時計回り方向)のみに回転できるようにするのが好ましい。
例えば作業者の手作業によってその送り孔208がスプロケット14の歯14aと係合した後のキャリアテープ200は、スプロケット14の回転によって付勢ブロック52とスプロケット14との間を越えてさらにテープ送り方向Aに送られ、その送り孔208がスプロケット14に対してテープ送り方向Aの下流側のスプロケット16の歯16aに係合する(図1参照)。
スプロケット16は、その歯16aにキャリアテープ200の送り孔208が係合され、モータ(図示せず)などの駆動源によって回転する。それにより、送り孔208がスプロケット16の歯16aに係合した状態のキャリアテープ200は、テープ送り方向Aに送られ、メインブレード20によってトップテープ206が部分的に連続的に剥離され、スプロケット16に対してテープ送り方向Aの下流側のスプロケット18の歯18aにその送り孔208が係合する。そして、スプロケット16、18によって部品供給位置Qに向かってテープ送り方向Aに、収容部202内に部品が露出するようにトップテープ206が剥離されたキャリアテープ200が送られる。
キャリアテープ200がテープ投入口12aを通過して本体部12内に入り、部品供給位置Qに向かってテープ送り方向Aにスプロケット16、18によって送られて供給されている最中に、次に続く(後続の)キャリアテープ200が本体部12のテープ投入口12aに投入される。以下、後続のキャリアテープに関連する符号にはアポストロフィを付与する。
具体的には、図8Cに示すように、先行のキャリアテープ200上にテープ厚さ方向(Z軸方向)に後続のキャリアテープ200’が重なるように、後続のキャリアテープ200’がテープ投入口12aを構成するガイドブロック34と付勢ブロック36との間に投入される。
図8Cに示すように、後続のキャリアテープ200’が先行のキャリアテープ200上にテープ厚さ方向(Z軸方向)に重なるようにテープ投入口12aに投入されると、初期位置T0に配置されるガイドブロック34のガイド面34aに後続のキャリアテープ200’のトップテープ206’の主面206a’が当接する。また、初期位置T0に配置されたガイドブロック34と付勢ブロック36は、先行のキャリアテープ200と後続のキャリアテープ200’とをテープ厚さ方向(Z軸方向)に挟持する。したがって、例えば作業者の手作業によって後続のキャリアテープ200’がテープ長手方向に本体部12内の奥部に向かって押し込まれると、先行のキャリアテープ200と同様に、プレ剥離機構30のプレ剥離用ブレード32によって後続のキャリアテープ200’のトップテープ206’が事前剥離される(図7Cに示す先行のキャリアテープ200と同様に、トップテープ206’とベーステープ204’との間に隙間Gが形成される)。
後続のキャリアテープ200’は、先行のキャリアテープ200と同様に、トップテープ206’の事前剥離が完了すると、ガイドブロック34の降下によって初期位置T0のプレ剥離位置Rから下方のテープ送り高さ位置T1に移動される。続いて、本体部12内の奥側部に向かって後続のキャリアテープ200’がテープ長手方向に押し込まれることにより、図8Dに示すように、本体部12のガイド面12e(スプロケット14)と付勢ブロック52のガイド面52aとの間に、先行のキャリアテープ200上に重なった状態で後続のキャリアテープ200’は配置される。これにより、後続のキャリアテープ200’は、その送り孔208’がスプロケット14の歯14aに係合する。その一方、後続のキャリアテープ200’の下方に位置する先行のキャリアテープ200の送り孔208とスプロケット14の歯14aとの係合が解除される。
自動送り機構50は、図1に示すように、自動送り機構50とトップテープ剥離機構20との間のテープ経路P上に配置されたテープ後端センサ80が先行のキャリアテープ200のテープ送り方向Aの後端(後端面)を検出すると、スプロケット14を回転させて後続のキャリアテープ200’をテープ送り方向Aに自動的に送るように構成されている。
自動送り機構50は、テープ後端センサ80が先行のキャリアテープ200のテープ送り方向Aの後端を検出する前に後続のキャリアテープ200’がテープ送り方向Aに移動しないように、旋回レバー54によって後続のキャリアテープ200’を待機させるように構成されている。すなわち、先行のキャリアテープ200に乗って後続のキャリアテープ200’がテープ送り方向Aに移動しないように自動送り機構50は構成されている。
後続のキャリアテープ200’は、本体部12のガイド面12eと付勢ブロック52のガイド面52aとの間で、先行のキャリアテープ200上に重ねられた状態で、旋回レバーに54によって待機状態にされる。旋回レバー54は、図8Dに示すように、X軸方向に延在する回転シャフト60によって支持され、この回転シャフト60を中心として自由に旋回する。また、旋回レバー54は、回転シャフト60を中心として旋回可能な、付勢ブロック52のガイド面52aと対向する自由端54aを備える。旋回レバー54の自由端54aは、後続のキャリアテープ200’のテープ送り方向Aの前端212’と当接し、後続のキャリアテープ200’を待機させる。
旋回レバー54がX軸方向に延在する駆動バー56によって駆動されることにより、その自由端54aは、回転シャフト60を中心として旋回し、付勢ブロック52のガイド面52aに対して接近するまたは離間する。駆動バー56のX軸方向の両端は、Z軸方向に移動可能な昇降ブロック58に取り付けられた支持部材62によって支持されている。駆動バー56と昇降ブロック58との間をキャリアテープ200が通過できるように駆動バー56は支持部材62を介して昇降ブロック58に対して設けられている。
昇降ブロック58は、Z軸方向に移動可能に本体部12に設けられ、キャリアテープ200の裏面200bと当接するガイド面58aを備える。昇降ブロック58はまた、ばね64によって旋回レバー54に向かって付勢されている。さらに、昇降ブロック58は、そのガイド面58aと付勢ブロック52のガイド面52aとが同一高さ(Z軸方向位置)に維持されるように付勢ブロック52と係合し、付勢ブロック52と連動する。
自動送り機構50の構成要素である付勢ブロック52、旋回レバー54、駆動バー56、昇降ブロック58、ばね60、支持部材62、およびばね64は、以下のことが実現できるように構成されている。
図8Bおよび図8Cに示すように、本体部12のガイド面12eと付勢ブロック52のガイド面52aとの間に1つのキャリアテープ200が存在する場合には、駆動バー56は上昇し、付勢ブロック52のガイド面52aから旋回レバー54の自由端54aまでのZ軸方向の距離が1つのキャリアテープ200の厚さに比べて大きくなるように、自動送り機構50の各構成要素は構成されている。これにより、本体部12のガイド面12eと付勢ブロック52のガイド面52aとの間に存在する1つのキャリアテープ200は、旋回レバー54の自由端54aと付勢ブロック52のガイド面52aとの間をテープ送り方向Aに通過することができる。
これに対して、図8Dに示すように、本体部12のガイド面12eと付勢ブロック52のガイド面52aとの間に先行のキャリアテープ200と後続のキャリアテープ200’とがテープ厚さ方向(Z軸方向)に重なった状態で存在する場合には、駆動バー56が下降し、付勢ブロック52のガイド面52aから旋回レバー54の自由端54aまでのZ軸方向の距離は、先行のキャリアテープ200の厚さに比べては大きいが、先行のキャリアテープ200と後続のキャリアテープ200’の合計厚さに比べては小さくなるように、自動送り機構50の各構成要素は構成されている。これにより、付勢ブロック52のガイド面52a側の先行のキャリアテープ200は付勢ブロック52のガイド面52aと旋回レバー54の自由端54aとの間をテープ送り方向Aに通過することができる。その一方で、本体部12のガイド面12e側の後続のキャリアテープ200’は、先行のキャリアテープ200と旋回レバー54の自由端54aとの間をテープ送り方向Aに通過することができず、その結果として旋回レバー54によって待機状態にされる。
図8Eに示すように、スプロケット16、18によってテープ送り方向Aに送られる先行のキャリアテープ200のテープ送り方向Aの後端(後端面)216が後続のキャリアテープ200’のテープ送り方向Aの前端212’を通過すると、付勢ブロック52がばね60に付勢されて本体部12のガイド面12e(スプロケット14)に向かって移動する。これにより、後続のキャリアテープ200’のみが、本体部12のガイド面12eと付勢ブロック52のガイド面52aとの間に挟持される。その結果として、駆動バー56が上昇することにより、旋回レバー54の自由端54aが付勢ブロック52のガイド面52aから離間するように移動し、付勢ブロック52のガイド面52aと旋回レバー54の自由端54aとの間に、後続のキャリアテープ200’が通過可能な間隙が形成される。後端検出センサ80が先行のキャリアテープ200のテープ送り方向Aの後端216を検出すると、後続のキャリアテープ200’は、スプロケット14によってテープ送り方向Aに送られて、付勢ブロック52のガイド面52aと旋回レバー54の自由端54aとの間を通過する。
本実施の形態によれば、テープ長手方向に送られるキャリアテープ200のテープ送り方向Aの前端212側からトップテープ206がテープ長手方向に所定量Lでプレ剥離用ブレード32によって剥離され、トップテープ206とベーステープ204との間に隙間Gが事前に形成される。この事前に形成された隙間Gを介することにより、部品供給装置10のメインブレード20の剥離部22の刃先先端22dは、テープ長手方向のテープ送り方向Aに移動するキャリアテープ300におけるトップテープ206とベーステープ204との間により確実に進入することができる。
また、市場に流通しているキャリアテープ200のトップテープ206の厚さはベーステープ204の厚さに比べて十分に薄く、実質的に同一(例えば、0.04〜0,07mm)である。したがって、トップテープ206をテープ厚さ方向にガイドブロック34のガイド面34aに当接させた状態でキャリアテープ200を相対的に移動させて、プレ剥離用ブレード32をベーステープ204とトップテープ206との間にテープ長手方向に進入させることにより、様々な厚さや形態のベーステープ204を備えるキャリアテープ200からトップテープ206を前端212側からテープ長手方向に容易に所定量Lで剥離することができる。
さらに、トップテープ206を事前に剥離するプレ剥離位置Rがテープ経路P上に設けられず、テープ経路Pの上方に配置されているため、先行のキャリアテープ200の部品供給位置Qに向かうテープ送り方向Aの送りを中断することなく、後続のキャリアテープ200’のトップテープ206’を事前に剥離することができる。
以上、上述の実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されない。
例えば、図8Cに示すようにプレ剥離位置R上に配置されるキャリアテープ200の収容部202に収容されている部品を認証する部品認証装置(図示せず)を、部品供給装置10に設けてもよい。
例えば、部品認証装置は、押圧ブロック34のガイド面34aに当接した状態のキャリアテープ200の収容部202あるいはキャリアテープ200の供給リール(図示せず)を撮影するカメラ(図示せず)と、カメラの撮影画像に基づいて収容部202内の部品の認証を行う画像処理装置(図示せず)とを有する。これにより、例えば、先行のキャリアテープ200と異なる種類のキャリアテープが後続のキャリアテープ200’として部品供給位置Qに向かうテープ送り方向Aに誤って送られることが抑制される。なお、プレ剥離位置R上のキャリアテープ200の収容部202に収容されている部品の認証が完了すると、ガイドブロック34が初期位置T0のプレ剥離位置R上のキャリアテープ200を押圧して下方に移動させてテープ経路P上のテープ送り高さ位置T1に配置するようにしてもよい。
また、上述の実施の形態の場合、図5に示すように、キャリアテープ200のテープ経路Pの上方に配置されたプレ剥離位置Rでトップテープ206が事前に剥離されるが、これに限らない。
例えば、キャリアテープ200のテープ経路P上のテープ送り高さ位置T1に、トップテープ206を事前に剥離するプレ剥離位置を設けてもよい。例えば、図10は、テープ経路P上にプレ剥離位置R’が設けられた別の実施の形態の部品供給装置のテープ経路の一部を示している。
キャリアテープ200は、キャリアテープ200のトップテープ206の主面206aと当接するガイド面312fとキャリアテープ200の裏面200bと当接するガイド面312gとに案内され、テープ経路Pに沿って部品供給位置に向かうテープ送り方向Aに送られる。これらのガイド面312f、312gとの間の空間にプレ剥離位置R’が設けられている、すなわちテープ経路P上にプレ剥離位置R’が設けられている。このプレ剥離位置R’に対してテープ厚さ方向に相対的に進退可能なプレ剥離機構300が部品供給装置に設けられている。
プレ剥離機構300は、テープ経路Pに対して直交する方向にプレ剥離位置R’に対して進退可能なブロックで構成される。また、プレ剥離機構300は、キャリアテープ200(200’)のテープ送り方向Aの前端212(212’)側からテープ長手方向にトップテープ206(206’)とベーステープ204(204’)との間に進入して、ベーステープ204(204’)からトップテープ206(206’)を剥離するプレ剥離用ブレード302と、キャリアテープ200(200’)のテープ送り方向Aの前端212(212’)側と接触する平面で構成されるストッパー部304とを有する。
プレ剥離用ブレード302は、ストッパー部304からテープ送り方向Aと逆方向に所定量L突出している。また、プレ剥離機構300が初期位置T0’からテープ経路P上のテープ送り高さ位置T1’に相対的に移動すると、そのプレ剥離用ブレード302の先端302aは、キャリアテープ200のトップテープ206の主面206aと当接するガイド面312fに対して該ガイド面312fと直交する方向に距離D離れた位置のテープ経路P上のテープ送り高さ位置T1’としてのプレ剥離位置R’に配置される。
プレ剥離機構300は、先行のキャリアテープ200のテープ送り方向Aの後端216がプレ剥離位置R’を通過すると、図10の実線で示すように、テープ経路P上に移動する。そして、後続のキャリアテープ200’のテープ送り方向Aの前端212’側がプレ剥離機構300のストッパー部304に接触し、プレ剥離用ブレード302がトップテープ206’とベーステープ204’との間にテープ長手方向に所定量Lで進入する。これにより、後続のキャリアテープ200’においてトップテープ206’が事前に剥離される。後続のキャリアテープ200’の事前剥離が完了すると、プレ剥離機構300は、図10の二点鎖線に示すように、テープ経路P上のテープ送り高さ位置T1からテープ厚さ方向に相対的に退避する。