JP5938705B2 - 複合ナノ粒子およびその製造方法、釉薬ならびに金属ナノ粒子の製造方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、還元焼成は、一酸化炭素ガスを含む還元雰囲気下に高火度で行なわれることから、細心の注意を要する。
したがって、反応性の高い金属を用いた場合であっても、当該金属を安定な状態に保つことができ、しかも、容易に製造することができる複合ナノ粒子が望まれている。
(I)金属に結合する官能基およびシリカに結合する官能基を有する化合物からなる分散剤と溶媒と金属イオン供与体とを含む液体中において、前記金属イオン供与体に由来する金属イオンの活量を制御しながら前記金属イオンを生じさせ、当該金属イオンを還元させて金属ナノ粒子を析出させ、金属ナノ粒子を含む分散液を得る工程、および
(II)前記工程(I)で得られた分散液に、縮重合によってシリカネットワークを形成するシリカ前駆体化合物を添加し、前記金属ナノ粒子上にシリカを形成させる工程
を含むことを特徴としている。
この場合、球状の小さなシリカナノ粒子を形成させる観点から、前記pH調整剤がアルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物であることが好ましい。
この場合、前記金属イオン供与体として、銅錯体を用い、かつ前記pH調整剤として、アンモニア水溶液を用いてもよい。これにより、酸化しやすい銅ナノ粒子がシリカからなる層によって覆われた複合ナノ粒子を容易に得ることができる。
この場合、前記金属は、銅であってもよい。これにより、酸化しやすい銅ナノ粒子がシリカからなる層によって覆われた複合ナノ粒子を容易に得ることができる。
また、本発明の複合ナノ粒子は、他の側面では、金属ナノ粒子と、当該金属ナノ粒子上に形成されたシリカとを含む複合ナノ粒子であって、前記金属ナノ粒子が複数個のシリカナノ粒子によって覆われていることを特徴とする複合ナノ粒子である。前記金属ナノ粒子は、銅ナノ粒子であってもよい。
本発明の金属ナノ粒子の製造方法では、分散剤および溶媒の存在下に、金属と、当該金属と錯体を形成するアルカリとを当該アルカリが前記金属に対して過剰量となるように混合することにより、金属錯体を形成させるとともに、前記金属錯体に由来する金属イオンの活量を制御しながら前記金属イオンを生じさせた後、前記金属イオンを還元させて金属ナノ粒子を析出させてもよい。
(1)第1実施形態
本発明の一実施形態に係る複合ナノ粒子は、1つの側面では金属ナノ粒子と、当該金属ナノ粒子上に形成されたシリカとを含む複合ナノ粒子であって、前記金属ナノ粒子が複数個のシリカナノ粒子によって覆われていることを特徴とする複合ナノ粒子である。
図1に示される複合ナノ粒子1aは、金属ナノ粒子11と、複数個のシリカナノ粒子13とを含有している。複合ナノ粒子1aにおいて、金属ナノ粒子11上には、金属ナノ粒子11を覆うように複数個のシリカナノ粒子13が形成されている。これより、金属ナノ粒子11は、当該金属ナノ粒子11の周囲に存在するシリカナノ粒子13によって、外部環境から保護された状態となっている。したがって、複合ナノ粒子1aでは、金属ナノ粒子11が反応性の高い金属からなるナノ粒子であったとしても当該金属ナノ粒子11が安定な状態に保たれる。
なお、本明細書において、「複数個のシリカナノ粒子」は、複合ナノ粒子1aにおいて、金属ナノ粒子1molあたりの量が1mol〜25molとなる個数のシリカナノ粒子であればよい。
前記化合物12における金属に結合する官能基としては、例えば、チオール基、水酸基、アミノ基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
また、前記化合物12におけるシリカに結合する官能基としては、例えば、水酸基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
前記化合物12としては、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール、オレイン酸、ポリエチレングリコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。金属ナノ粒子およびシリカナノ粒子それぞれに効果的に結合することができることから、ゼラチン、ポリビニルアルコール、オレイン酸およびポリエチレングリコールからなる群より選ばれた少なくとも1種が好ましく、ゼラチンがより好ましい。
本発明の他の実施形態に係る複合ナノ粒子は、1つの側面では、金属ナノ粒子と、当該金属ナノ粒子上に形成されたシリカとを含む複合ナノ粒子であって、前記金属ナノ粒子がシリカからなるシリカ層によって覆われていることを特徴とする複合ナノ粒子である。
図2は、本発明の一実施形態に係る複合ナノ粒子(第2実施形態)の構造を示す概略説明図である。
図2に示される複合ナノ粒子1bは、金属ナノ粒子11と、当該金属ナノ粒子11を覆うように金属ナノ粒子11上に形成されたシリカ(シリカ層14)とを含む。これより、複合ナノ粒子1b中の金属ナノ粒子11は、当該金属ナノ粒子11の周囲に存在するシリカからなるシリカ層14によって、複合ナノ粒子1aの金属ナノ粒子11と比べて、より確実に外部環境から保護された状態となっている。したがって、複合ナノ粒子1bは、金属ナノ粒子11が反応性の高い金属からなるナノ粒子である場合に有利である。
かかる反応性の高い金属としては、例えば、銅、銀、鉄、コバルト、ニッケル、スズなどが挙げられる。
本発明の複合ナノ粒子の製造方法は、金属ナノ粒子と当該金属ナノ粒子上に形成されたシリカとを含み、前記金属ナノ粒子がシリカで覆われている複合ナノ粒子を製造する方法であって、
(I)金属に結合する官能基およびシリカに結合する官能基を有する化合物からなる分散剤と溶媒と金属イオン供与体とを含む液体中において、前記金属イオン供与体に由来する金属イオンの活量を制御しながら前記金属イオンを生じさせ、当該金属イオンを還元させて金属ナノ粒子を析出させ、金属ナノ粒子を含む分散液を得る工程、および
(II)前記工程(I)で得られた分散液に、縮重合によってシリカネットワークを形成するシリカ前駆体化合物を添加し、前記金属ナノ粒子上にシリカを形成させる工程
を含むことを特徴としている。
本発明の複合ナノ粒子の製造方法では、まず、不活性ガス通気条件下に、金属に結合する官能基およびシリカに結合する官能基を有する化合物からなる分散剤と溶媒と金属イオン供与体10とを含む液体を調製する〔金属イオン供与体配合液調製工程、図3(a)参照〕。
つぎに、前記液体中で金属イオンの活量を制御しながら前記金属イオンを生じさせるとともに、当該金属イオンを還元させることにより、金属ナノ粒子11を析出させる〔金属ナノ粒子析出工程、図3(b)参照〕。これにより、析出させる金属ナノ粒子の大きさを容易に制御することができる。
その後、析出させた金属ナノ粒子を含む分散液にシリカ前駆体化合物を添加し、金属ナノ粒子上にシリカを形成させる〔シリカ形成工程、図3(c)参照〕。これにより、金属ナノ粒子を、迅速かつ簡便な操作で、シリカで覆うことができる。
まず、添付の図面に基づき、本発明の一実施形態に係る複合ナノ粒子の製造方法(第1の方法)を説明する。
図4は、本発明の一実施形態に係る複合ナノ粒子の製造方法(第1の方法)の処理手順を示す工程図である。なお、本実施形態では、金属ナノ粒子を構成する金属が酸素などの外部環境要因と反応しやすい金属である場合を例に挙げて説明するが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
前記分散液は、例えば、金属化合物10aおよび分散剤を含む溶液Aと、還元剤および分散剤を含む溶液Bとを混合することにより得られるが、本発明は、かかる調製法のみに限定されるものではない。前記溶液Aは、例えば、図5に示される工程を行なうことにより調製することができるが、本発明は、かかる調製法のみに限定されるものではない。また、前記溶液Bは、例えば、図6に示される工程を行なうことにより調製することができるが、本発明は、かかる調製法のみに限定されるものではない。
金属化合物10aは、金属ナノ粒子11を構成する金属を含み、前記溶媒に難溶性で、かつ前記溶媒のpHとは異なるpH条件下で金属イオンを徐放する化合物である。
なお、本明細書において、「溶媒に難溶性である」とは、溶媒に対する20℃での溶解度が10−16以下であることをいう。この場合、前記溶解度が小さいほど、溶媒中に存在する金属イオンの量が少なくなるので、析出する金属ナノ粒子の粒子径が小さくなる。また、本明細書において、「徐放」とは、金属ナノ粒子を析出させるに適した微量の金属イオンを生じることをいう。
金属化合物10aは、金属ナノ粒子11を構成する金属の種類により異なる。金属ナノ粒子11を構成する金属が銅である場合、金属化合物10aとしては、例えば、酸化第二銅などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。また、金属ナノ粒子11を構成する金属がニッケルである場合、金属化合物10aとしては、例えば、酸化ニッケル、水酸化ニッケルなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。金属ナノ粒子11を構成する金属がコバルトである場合、金属化合物10aとしては、例えば、酸化コバルト、水酸化コバルトなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
前記溶媒に添加する金属化合物10aの粉体の量は、最終生成物である金属ナノ粒子の量に応じて、適宜設定することができる。通常、溶媒100mlあたりの粉体の量が、4gであることが望ましい。
前記溶媒としては、例えば、水、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラヒドロフランなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。かかる溶媒は、金属ナノ粒子11を構成する金属の種類などに応じて適宜選択することができる。
つぎに、得られた産物に分散剤を添加する工程〔分散剤添加工程、図5(b)参照〕。
分散剤は、前記金属に結合する官能基とシリカに結合する官能基とを有する化合物12からなる。
前記産物に添加する分散剤の量は、金属化合物10aの粉体の量、生成させる金属ナノ粒子の粒子径などに応じて、適宜設定することができる。通常、金属化合物10a 100質量部あたりの分散剤の量が、1〜20質量部であることが望ましい。
つぎに、得られた混合物のpHを調整する〔pH調整工程、図5(c)参照〕。
混合物のpHは、当該混合物にpH調整剤を添加することにより調整することができる。
前記pH調整剤は、前記金属イオンに対応する金属との錯体を形成せず、かつシリカネットワークを修飾する化合物(以下、「シリカネットワークに対する修飾剤」ともいう)からなるのが好ましい。例えば、前記金属化合物10aがアルカリ性条件下で金属イオンを徐放する金属化合物である場合、かかるpH調整剤として、前記金属イオンに対応する金属との錯体を形成しないアルカリを用いることができる。前記シリカネットワークに対する修飾剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物;水酸化カルシウムなどのアルカリ土類金属水酸化物;リチウム酸化物などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのなかでは、シリカネットワークの形成時に、縮重合を適度に阻害して、球状の小さなシリカナノ粒子を容易に形成させることができることから、アルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物が好ましく、アルカリ金属水酸化物がより好ましい。アルカリ金属水酸化物のなかでは、シリカネットワークの形成時に、縮重合を適度に阻害して、球状の小さなシリカナノ粒子を容易に形成させることができることから、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムが好ましく、水酸化ナトリウムがより好ましい。
前記混合物のpHは、金属化合物10aの種類、pH調整剤の種類、複合ナノ粒子の用途などによって異なるため、一概には決定することができない。したがって、前記溶液のpHは、金属化合物10aの種類、pH調整剤の種類、複合ナノ粒子の用途などに応じて適宜決定することが望ましい。通常、前記混合物のpHは、後述の金属ナノ粒子析出工程での還元反応を良好に進行させる観点から、好ましくは6〜14、より好ましくは7.5〜14である。溶液のpHをかかる範囲内で高くするほど、還元力が大きくなるので、還元反応の初期段階で生成する金属ナノ粒子の粒子径が小さくなる傾向がある。一方、溶液のpHを前記範囲内で低くするほど、還元力が小さくなるので、還元反応の初期段階で生成する金属ナノ粒子の粒子径が大きくなる傾向がある。
なお、金属化合物10aとして酸化第二銅を用いる場合、酸化第二銅は、水に難溶性であるが、当該水をアルカリ性(pH10〜14)に調整した場合には、わずかながら溶解する。そこで、金属化合物10aとして酸化第二銅を用いる場合には、溶媒として、水を用い、前記混合物のpHを10以上とすることにより、金属化合物10aより対応する金属イオンを微量に生じさせることができる。
その後、得られた溶液Aに不活性ガスを通気し脱気する〔脱気工程、図5(d)参照〕。
これにより、溶液A中の溶存酸素を除去することができる。
不活性ガスとしては、例えば、窒素ガス、アルゴンガスなどが挙げられる。
不活性ガスの流量は、溶液A中の溶存酸素を除去するのに十分な流量であればよい。また、脱気時間は、溶液A中の溶存酸素を除去するのに十分な時間であればよい。
前記溶媒は、前記溶液Aの調製に用いられる溶媒と同様である。
還元剤は、金属化合物10aから生じる金属イオンを還元する化合物であればよい。前記還元剤としては、特に限定されないが、例えば、ヒドラジン、次亜リン酸、水素化ホウ素、ジメチルアミンボラン(DMAB)、シュウ酸、水素化アルミニウムリチウムなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのなかでは、高純度の複合ナノ粒子を得ることができる観点から、好ましくはヒドラジンである。前記還元剤は、本発明の目的を阻害しない範囲内であれば、塩を形成していてもよい。
前記溶媒に添加する還元剤の量は、金属イオンを還元するのに十分な量であればよく、金属イオンの量、生成させる金属ナノ粒子の量、還元剤の種類などに応じて、適宜設定することができる。
つぎに、得られた産物に分散剤を添加する工程〔分散剤添加工程、図6(b)参照〕。
分散剤および前記産物に添加する分散剤の量は、前記溶液Aの調製に用いられる分散剤および産物に添加する分散剤の量と同様である。
つぎに、得られた混合物のpHを調整する〔pH調整工程、図6(c)参照〕。
混合物のpHは、前記溶液Aの調製における混合物のpHの調整と同様の操作を行なうことにより調整することができる。また、混合物のpHは、前記溶液Aの調製における混合物のpHと同様である。
その後、得られた溶液Bに不活性ガスを通気し脱気する〔脱気工程、図6(d)参照〕。これにより、溶液B中の溶存酸素を除去することができる。したがって、例えば、金属が酸化しやすい金属である場合であっても、当該金属を安定な状態に保つことができ、複合ナノ粒子を容易に製造することができる。
不活性ガスの種類および不活性ガスの流量は、前記溶液Aの調製に用いられる不活性ガスの種類および不活性ガスの流量と同様である。
金属イオンの還元および金属ナノ粒子11の析出は、前記分散液調製工程において、溶液Aと溶液Bとを混合すると同時に開始される。
金属ナノ粒子析出工程では、図7に示されるように、金属化合物10aがわずかに溶解することで生じた金属イオン10b(図7中、「Xn+」)が、還元剤の酸化に伴って生じた電子を受けとることによって還元され、金属ナノ粒子が析出される。かかる工程では、反応系(分散液)中において、金属イオン10bの量が略一定に保たれながら、常に定常状態で供給され、すぐに還元される。
本実施形態においては、金属イオン10bが還元されて析出する速度を制御することで、金属ナノ粒子11の粒子径を制御することができる。
前記速度は、反応系(分散液)中における還元剤の濃度を調整して還元反応の速度を制御することにより、制御することができる。
シリカ前駆体化合物としては、例えば、アルコキシ基の炭素数が1〜3であるテトラアルコキシシランなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのなかでは、金属ナノ粒子上でのシリカナノ粒子の形成を良好に行なう観点から、テトラエトキシシランが好ましい。
シリカネットワークに対する修飾剤としては、前記と同様のものが挙げられる。
シリカナノ粒子形成工程における金属ナノ粒子とシリカ前駆体化合物との体積比、pH、温度などにより、金属ナノ粒子を覆うシリカナノ粒子の量を制御することができると考えられる。
つぎに、添付の図面に基づき、本発明の他の実施形態に係る複合ナノ粒子の製造方法(第2の方法)を説明する。
図8は、本発明の他の実施形態に係る複合ナノ粒子の製造方法(第2の方法)の処理手順を示す工程図である。なお、本実施形態では、金属ナノ粒子を構成する金属が酸素などの外部環境要因と反応しやすい金属である場合を例に挙げて説明するが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
前記金属錯体含有溶液は、例えば、金属粉体と、金属との錯体を形成するpH調整剤とが溶媒に配合された溶液Cと、還元剤と分散剤と前記pH調整剤とを含む溶液Dとを混合することにより得られるが、本発明は、かかる調製法のみに限定されるものではない。前記溶液Cは、例えば、図9に示される工程を行なうことにより調製することができるが、本発明は、かかる調製法のみに限定されるものではない。また、前記溶液Dは、例えば、図10に示される工程を行なうことにより調製することができるが、本発明は、かかる調製法のみに限定されるものではない。
金属粉体は、金属ナノ粒子11を構成する金属からなる。かかる金属としては、銅、ニッケル、コバルト、銀、鉄、スズなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
前記溶媒に添加する金属粉体の量は、析出させる金属ナノ粒子の量などによって異なるため、一概には決定することができない。したがって、前記溶媒に添加する金属粉体の量は、析出させる金属ナノ粒子の量などに応じて適宜決定することが望ましい。
前記溶媒は、前記溶液Aの調製に用いられる溶媒と同様である。
つぎに、得られた産物に分散剤を添加する工程〔分散剤添加工程、図9(b)参照〕。
分散剤および前記産物に添加する分散剤の量は、前記溶液Aの調製に用いられる分散剤および分散剤の量と同様であればよい。
つぎに、得られた混合物に、金属との錯体を形成するpH調整剤を添加して錯体を形成させるとともに溶液のpHを調整する〔錯体形成およびpH調整工程、図9(c)参照〕。
前記pH調整剤は、金属との錯体を形成するものであればよい。前記pH調整剤としては、例えば、アンモニア水溶液、シアン化合物、ハロゲン化合物などに代表される金属と錯体を形成する物質などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
前記溶液のpHは、当該溶液にpH調整剤を添加することにより調整することができる。前記溶液のpHは、金属の種類、pH調整剤の種類、形成させる錯体の種類、複合ナノ粒子の用途などによって異なるため、一概には決定することができない。したがって、前記溶液のpHは、金属の種類、pH調整剤の種類、形成させる錯体の種類、複合ナノ粒子の用途などに応じて適宜決定することが望ましい。通常、かかる溶液のpHは、後述の金属ナノ粒子析出工程での還元反応を良好に進行させる観点から、好ましくは6〜14、より好ましくは7.5〜14である。例えば、金属が銅であり、pH調整剤がアンモニア水溶液である場合、混合物のpHは、好ましくは6〜14、より好ましくは7.5〜14、さらに好ましくは13〜14である。第2の方法においても、溶液のpHをかかる範囲内で高くするほど、還元力が大きくなるので、還元反応の初期段階で生成する金属ナノ粒子の粒子径が小さくなる傾向がある。一方、溶液のpHを前記範囲内で低くするほど、還元力が小さくなるので、還元反応の初期段階で生成する金属ナノ粒子の粒子径が大きくなる傾向がある。
その後、得られた溶液Cに不活性ガスを通気し脱気する〔脱気工程、図9(d)参照〕。これにより、溶液C中の溶存酸素を除去することができる。
不活性ガスの種類および不活性ガスの流量は、前記溶液Aの調製に用いられる不活性ガスの種類および不活性ガスの流量と同様であればよい。
前記溶媒は、前記溶液Cの調製に用いられる溶媒と同様である。
前記還元剤の種類および前記溶媒に添加する還元剤の量は、前記溶液Bの調製に用いられる還元剤の種類および還元剤の量と同様であればよい。
つぎに、得られた産物に分散剤を添加する工程〔分散剤添加工程、図10(b)参照〕。
分散剤および前記産物に添加する分散剤の量は、前記溶液Cの調製に用いられる分散剤および産物に添加する分散剤の量と同様である。
つぎに、得られた混合物のpHを調整する〔pH調整工程、図10(c)参照〕。
混合物のpHは、当該混合物にpH調整剤を添加することにより調整することができる。前記pH調整剤は、前記溶液Cの調製に用いられるpH調整剤と同様である。かかる混合物のpHは、前記溶液Cの調製の際のpHと同様であり、後述の金属ナノ粒子析出工程での還元反応を良好に進行させる観点から、好ましくは6〜14、より好ましくは7.5〜14である。第2の方法においても、溶液のpHをかかる範囲内で高くするほど、還元力が大きくなるので、還元反応の初期段階で生成する金属ナノ粒子の粒子径が小さくなる傾向がある。一方、溶液のpHを前記範囲内で低くするほど、還元力が小さくなるので、還元反応の初期段階で生成する金属ナノ粒子の粒子径が大きくなる傾向がある。
その後、得られた溶液Dに不活性ガスを通気し脱気する〔脱気工程、図10(d)参照〕。これにより、溶液D中の溶存酸素を除去することができる。
金属イオンの還元および金属ナノ粒子11の析出は、前記分散液調製工程において、溶液Cと溶液Dとを混合すると同時に開始される。
前記シリカ前駆体化合物の種類および前記液体に添加するシリカ前駆体化合物の量は、前記第1の方法に用いられるシリカ前駆体化合物の種類およびシリカ前駆体化合物の量と同様である。
第2の方法においても、第1の方法と同様に、シリカナノ粒子形成工程における金属ナノ粒子とシリカ前駆体化合物との体積比、pH、温度などにより、金属ナノ粒子を覆うシリカナノ粒子の量を制御することができると考えられる。
金属ナノ粒子11を構成する金属が、銅である場合、前記分散液調製工程、金属ナノ粒子析出工程およびシリカ形成工程を、前述のように、不活性ガスを通気させながら行なうことにより、製造時における銅の酸化をより効果的に抑制して効率よく複合ナノ粒子を製造することができる。
(1)赤色釉薬
銅ナノ粒子は、金属銅の状態が保たれている場合には、赤色釉薬の1つとして知られている辰砂釉によく似た赤色を呈している。ところが、銅は酸化されやすいことから、前記銅ナノ粒子は、銅イオンとなり、緑色を呈するようになる。
しかしながら、前述のように、本発明の複合ナノ粒子では、当該複合ナノ粒子中の金属ナノ粒子が外部環境要因から保護されている。そのため、例えば、金属ナノ粒子が、酸化しやすい銅からなるナノ粒子(銅ナノ粒子)である複合ナノ粒子では、当該銅ナノ粒子の酸化が抑制され、赤色が維持される。したがって、釉薬の色材として、金属ナノ粒子が銅ナノ粒子である本発明の複合ナノ粒子を用いることにより、低火度や中火度での酸化焼成を行なった場合にも辰砂釉によく似た赤色を呈する釉薬が得られる。かかる釉薬も本発明の複合ナノ粒子の用途の1つである。
本発明の複合ナノ粒子は、金属ナノ粒子がシリカナノ粒子によって外部環境要因から保護されているので、高い温度条件下でも互いに凝集しにくい性質を有する。そのため、金属ナノ粒子が鉄−白金などの磁性金属からなる粒子である場合、加熱することによって、互いに凝集させることなく、規則化を行なうことができる。
したがって、金属ナノ粒子が磁性金属からなるナノ粒子である本発明の複合ナノ粒子は、磁性材料として有用である。
本発明の金属ナノ粒子の製造方法は、分散剤と溶媒と金属錯体とを含む溶液中において、金属錯体に由来する金属イオンの活量を制御しながら前記金属イオンを生じさせた後、前記金属イオンを還元させて金属ナノ粒子を析出させることを特徴としている。
酸化第二銅(CuO)の粉末〔純正化学(株)製、商品名:酸化銅(II)(微粉末)、平均粒子径:1μm〕0.06molを、イオン交換水36mLに分散させ、銅分散液を得た。つぎに、前記銅分散液に、分散剤であるゼラチン〔ゼライス社製、商品名:写真用ゼラチンP459〕の水溶液〔ゼラチン濃度:10質量%、以下、「10質量%ゼラチン水溶液」という〕18mLを添加して混合物を得た。その後、前記混合物に、そのpHが12になるように、1.5mol/dm3水酸化ナトリウム水溶液を添加して溶液Aを得た。
ヒドラジン0.06molを、イオン交換水36mLに添加し、ヒドラジン水溶液を得た。得られたヒドラジン水溶液に、10質量%ゼラチン水溶液18mLを添加し、混合物を得た。その後、前記混合物に、そのpHが12になるように、1.5mol/dm3水酸化ナトリウム水溶液を添加して溶液Bを得た。
(1)銅ナノ粒子の調製
製造例1で得られた溶液Aおよび製造例2で得られた溶液Bを、それぞれの温度が80℃になるように維持しながら、窒素ガスで30分間脱気した。その後、溶液Aと溶液Bとを混合し、得られた混合物を、その温度が80℃になるように維持し、かつ窒素ガスで脱気しながら、マグネティックスターラーを用いて500rpmで2時間撹拌した。これにより、酸化第二銅から微量に生じる銅イオンを徐々に還元させ、粒子を含む分散液を得た。
前記(1)で得られた分散液10mLに、テトラエトキシシラン10mLを添加した。なお、前記テトラエトキシシランは、予め、窒素ガスバブリング(0.1dm3/min)で30分間脱気されたものである。得られた混合物を、500rpmで撹拌しながら70℃で20時間維持した。
実施例1(1)と同様の操作を行ない、銅ナノ粒子を得た。
実施例1で得られた複合ナノ粒子を、大気中において、室温で200日間放置した。その後、実施例1で得られた複合ナノ粒子のX線回折パターンを、前記X線回折装置を用いて測定し、化学種を同定した。
辰砂釉は、色材として酸化第二銅を含む釉薬である。かかる辰砂釉は、一酸化炭素ガスを含む還元雰囲気中において、1200℃前後の高火度で焼成させることにより、酸化第二銅が金属銅となり赤色を呈する。しかしながら、還元焼成には、有害な一酸化炭素ガスを用いる必要があることから、焼成を行なうために十分な注意を要する。実施例1で得られた複合ナノ粒子は、赤色を呈していることから、当該複合ナノ粒子中の銅ナノ粒子を酸化させずに焼成させることができれば、辰砂釉と同様の赤色を呈することができると考えられる。そこで、実施例1で得られた複合ナノ粒子を用い、低火度(800℃前後)での酸化焼成であっても辰砂釉の赤色と同様の色を呈する釉薬の調製を試みた。
比較例1で得られた銅ナノ粒子0.02gと低火度無鉛楽用フリット1.0gとをイオン交換水0.6mLに添加し、メノー乳鉢で粉砕した。得られた混合物に、助剤である平均粒子径:80μmの金属ケイ素粉末0.01g(比較例2)または0.02g(比較例3)を添加し、混合して釉薬を得た。
実施例1で得られた複合ナノ粒子0.02gと、低火度無鉛楽用フリット〔京都市産業技術研究所製、融点:約680℃〕1.0gとをイオン交換水0.6mLに添加し、メノー乳鉢で粉砕して釉薬を得た。
磁器土を成形し、直径30mmの円板状の小片を得た。得られた小片を800℃で素焼きした。素焼き後の小片に一号石灰釉を施釉した。つぎに、前記小片を1250℃で還元焼成し、テストピースを得た。
製造例3で得られたテストピースの表面に、実施例2および3ならびに比較例2〜4で得られた各釉薬を施釉した。その後、テストピースを乾燥させた。
製造例3で得られたテストピースの表面に、実施例3で得られた釉薬を施釉した。その後、テストピースを乾燥させた。つぎに、テストピースを大気(酸化雰囲気)中で焼成した(酸化焼成)。焼成条件は、試験例1における焼成条件と同じである。
実施例1で得られた複合ナノ粒子0.02gと、助剤である平均粒子径:40μmの金属ケイ素粉末0.005g(実施例4)または0.01g(実施例5)とをイオン交換水0.3mLに添加し、メノー乳鉢で粉砕した。得られた混合物に、低火度無鉛楽用フリット1.0gを添加し、混合して釉薬を得た。
平均粒子径:3μmの酸化第一銅粉末0.005gと、助剤としての平均粒子径:40μmの金属ケイ素粉末0.002g(比較例5)または0.005g(比較例6)とをイオン交換水0.3mLに添加し、メノー乳鉢で粉砕した。得られた混合物に、低火度無鉛楽用フリット1.0gを添加し、混合して釉薬を得た。
平均粒子径:13μmの酸化第二銅粉末0.005gと、助剤としての平均粒子径:40μmの金属ケイ素粉末0.005g(比較例7)とをイオン交換水0.3mLに添加し、メノー乳鉢で粉砕した。得られた混合物に、低火度無鉛楽用フリット1.0gを添加し、混合して釉薬を得た。
製造例3で得られたテストピースの表面に、実施例4および5ならびに比較例5〜7で得られた各釉薬を施釉した。その後、テストピースを乾燥させた。
実施例2において、平均粒子径:80μmの金属ケイ素粉末0.01gの代わりに酒石酸ナトリウムカリウム0.08gを用いたことを除き、実施例2と同様の操作を行ない、釉薬を得た。
実施例2において、平均粒子径:80μmの金属ケイ素粉末0.01gの代わりに酒石酸ナトリウムカリウム0.08gを用いたことおよび低火度無鉛楽用フリットの代わりに京無鉛和絵具〔二酸化ケイ素64.3モル%、酸化アルミニウム3.0モル%、酸化ホウ素21.5モル%、酸化リチウム2.9モル%、酸化ナトリウム2.0モル%、酸化カリウム3.0モル%、酸化バリウム1.2モル%、酸化亜鉛2.2モル%〕を用いたことを除き、実施例2と同様の操作を行ない、釉薬を得た。
実施例6および7で得られた各釉薬を、製造例3で得られたテストピースの表面に施釉した。その後、テストピースを乾燥させた。
実施例1において、ゼラチンの代わりにポリビニルアルコールを用いることを除き、実施例1と同様の操作を行ない、複合ナノ粒子を得る。得られた複合ナノ粒子においては、実施例1で得られた複合ナノ粒子と同様に、外部環境要因による金属ナノ粒子への影響が低減され、金属ナノ粒子の状態の変化(例えば、酸化など)が抑制される。
実施例1において、テトラエトキシシランの代わりにテトラメトキシシラン(実施例9)、テトラプロポキシシラン(実施例10)またはテトラブトキシシラン(実施例11)を用いることを除き、実施例1と同様の操作を行ない、複合ナノ粒子を得る。得られた複合ナノ粒子は、実施例1で得られた複合ナノ粒子と同様に、複合ナノ粒子の外部環境要因による金属ナノ粒子への影響を低減させることができ、金属ナノ粒子の状態の変化(例えば、酸化など)を抑制することができる。
実施例1において、水酸化ナトリウムの代わりに水酸化カリウム(実施例12)、水酸化マグネシウム(実施例13)または水酸化カルシウム(実施例14)を用いることを除き、実施例1と同様の操作を行ない、複合ナノ粒子を得る。得られた複合ナノ粒子は、実施例1で得られた複合ナノ粒子と同様に、複合ナノ粒子の外部環境要因による金属ナノ粒子への影響を低減させることができ、金属ナノ粒子の状態の変化(例えば、酸化など)を抑制することができる。
銅粉末〔福田金属箔粉工業(株)製、商品名:Cu−HWQ(微粉末)、平均粒子径:1.5μm〕0.003mol(0.2g)を、14.8Mアンモニア水溶液20mLに添加してテトラアンミン銅(II)を形成させ、テトラアンミン銅(II)水溶液を得た。得られたテトラアンミン銅(II)水溶液に、ゼラチン0.1gを添加して、溶液Cを得た。なお、溶液CのpHは、pHメータの測定限界であったことから、13.5以上であると考えられる。
ヒドラジン0.06molを、14.8Mアンモニア水溶液20mLに添加し、ヒドラジン水溶液を得た。得られたヒドラジン水溶液に、ゼラチン0.1gを添加し、溶液Dを得た。なお、溶液DのpHは、pHメータの測定限界であったことから、13.5以上であると考えられる。
(1)銅ナノ粒子の調製
製造例4で得られた溶液Cおよび製造例5で得られた溶液Dを、それぞれの温度が50℃になるように維持しながら、窒素ガスで30分間脱気した。その後、溶液Cと溶液Dとを混合し、得られた混合物を、その温度が50℃になるように維持し、かつ窒素ガスで脱気しながら、マグネティックスターラーを用いて500rpmで2時間撹拌した。これにより、テトラアンミン銅(II)から微量に生じる銅イオンを徐々に還元させ、銅ナノ粒子を含む分散液を得た。
前記(1)で得られた銅ナノ粒子を含む分散液10mLに、テトラエトキシシラン10mLを添加した。なお、前記テトラエトキシシランは、予め、窒素ガスバブリング(0.1dm3/min)で30分間脱気されたものである。得られた混合物を、500rpmで撹拌しながら70℃で20時間維持した。
試験例1において、実施例1で得られた複合ナノ粒子を室温で200日間放置する代わりに実施例15で得られた複合ナノ粒子を室温で200日間以上放置することを除き、試験例1と同様の操作を行ない、複合ナノ粒子のX線回折パターンを測定し、化学種を同定する。その結果、実施例15で得られた複合ナノ粒子は、実施例1で得られた複合ナノ粒子よりも長期間放置しても銅に特有のピークのみが検出される場合、実施例15のように複合ナノ粒子を製造することによって複合ナノ粒子中の金属ナノ粒子をより安定に保持できることが示される。
実施例15で得られた複合ナノ粒子0.02gと低火度無鉛楽用フリット〔京都市産業技術研究所製、融点:約680℃、組成:二酸化ケイ素60.9モル%、酸化アルミニウム2.8モル%、酸化ホウ素12.6モル%、酸化リチウム9.2モル%、酸化ナトリウム4.5モル%、酸化カリウム3.1モル%、酸化亜鉛6.9モル%〕1.0gとをイオン交換水0.6mLに添加し、メノー乳鉢で粉砕した。得られた混合物に、助剤である平均粒子径:80μmの金属ケイ素粉末0.003g(実施例16)、0.004g(実施例17)または0.005g(実施例18)を添加し、混合して釉薬を得た。
製造例3で得られたテストピースの表面に、実施例16〜18で得られた各釉薬を施釉した。その後、テストピースを乾燥させた。
1a,1b 複合ナノ粒子
10 金属イオン供与体
10a 金属化合物
10b 金属イオン
11 金属ナノ粒子
12 化合物
13 シリカナノ粒子
14 シリカ層
Claims (10)
- 金属ナノ粒子と当該金属ナノ粒子上に形成されたシリカとを含み、前記金属ナノ粒子がシリカで覆われている複合ナノ粒子を製造する方法であって、
(I)金属に結合する官能基およびシリカに結合する官能基を有する化合物からなる分散剤と溶媒と金属イオン供与体とを含む液体中において、前記金属イオン供与体に由来する金属イオンの活量を制御しながら前記金属イオンを生じさせ、当該金属イオンを還元させて金属ナノ粒子を析出させ、金属ナノ粒子を含む分散液を得る工程、および
(II)前記工程(I)で得られた分散液に、縮重合によってシリカネットワークを形成するシリカ前駆体化合物を添加し、前記金属ナノ粒子上にシリカを形成させる工程
を含み、
前記金属イオン供与体が、前記溶媒に難溶性で、前記溶媒のpHとは異なるpH条件下で金属イオンを徐放する金属化合物であって、アルカリ性条件下で金属イオンを徐放する金属化合物であり、
前記工程(I)において、アルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物によって前記液体のpHを前記溶媒のpHとは異なるpHに調整して金属イオンの活量を制御しながら前記金属イオンを生成させる、
ことを特徴とする複合ナノ粒子の製造方法。 - 前記分散剤が、ゼラチン、ポリビニルアルコール、オレイン酸およびポリエチレングリコールからなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物からなる、請求項1に記載の方法。
- 前記分散剤が、ゼラチンからなる、請求項2に記載の方法。
- 前記工程(I)および前記工程(II)を、不活性ガス通気条件下に実施する、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
- 前記溶媒として、水、前記金属イオン供与体として、酸化第二銅および前記pH調整剤として、水酸化ナトリウムを用いる、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
- 金属ナノ粒子と当該金属ナノ粒子上に形成されたシリカとを含み、前記金属ナノ粒子がシリカで覆われている複合ナノ粒子を製造する方法であって、
(I)金属に結合する官能基およびシリカに結合する官能基を有する化合物からなる分散剤と溶媒と金属イオン供与体とを含む液体中において、前記金属イオン供与体に由来する金属イオンの活量を制御しながら前記金属イオンを生じさせ、当該金属イオンを還元させて金属ナノ粒子を析出させ、金属ナノ粒子を含む分散液を得る工程、および
(II)前記工程(I)で得られた分散液に、縮重合によってシリカネットワークを形成するシリカ前駆体化合物を添加し、前記金属ナノ粒子上にシリカを形成させる工程
を含み、
前記金属ナノ粒子を構成する金属が、銅であり、
前記工程(I)において、分散剤の存在下に、銅と、pH調整剤としてアンモニア水溶液を当該アンモニア水溶液が前記銅に対して過剰量となるように混合することにより、前記銅イオンを生成させる、
ことを特徴とする複合ナノ粒子の製造方法。 - 前記工程(I)において、分散剤の存在下に、銅と、pH調整剤としてアンモニア水溶液を当該アンモニア水溶液が前記銅に対して過剰量となるように混合することにより、銅錯体を生成させるとともに、前記銅錯体に由来する銅イオンの活量を制御しながら前記銅イオンを生成させる請求項6に記載の複合ナノ粒子の製造方法。
- 金属ナノ粒子と複数個の球状のシリカナノ粒子とを含む複合ナノ粒子であって、
前記複数個の球状のシリカナノ粒子は、
金属に結合する官能基およびシリカに結合する官能基を有する化合物からなる分散剤と溶媒と前記溶媒に難溶性で、前記溶媒のpHとは異なるpH条件下で金属イオンを徐放する金属化合物であって、アルカリ性条件下で金属イオンを徐放する金属化合物である金属イオン供与体とを含む液体中において、アルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物によって前記金属イオン供与体に由来する金属イオンの活量を制御しながら前記金属イオンを生じさせ、当該金属イオンを還元させて金属ナノ粒子を析出させることで得られた分散液に、縮重合によってシリカネットワークを形成するシリカ前駆体化合物を添加して当該シリカ前駆体化合物を縮重合させることにより、前記金属ナノ粒子上に形成されたナノ粒子である、
複合ナノ粒子。 - 前記金属ナノ粒子を構成する金属が、銅である請求項8に記載の複合ナノ粒子。
- 焼成により赤色を呈する釉薬であって、
銅ナノ粒子と当該銅ナノ粒子上に形成されたシリカとを含み、かつ前記銅ナノ粒子がシリカで覆われている複合ナノ粒子、または請求項9に記載の複合ナノ粒子と、
金属ケイ素または酒石酸ナトリウムカリウムと
を含有していることを特徴とする釉薬。
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