JP5937857B2 - ピストン - Google Patents

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Description

本発明は、ピストンの技術に関する。より詳細には、直接噴射式ディーゼルエンジンのピストンの技術に関する。
従来、ピストンに設けられた燃焼室へ燃料を噴射し、該燃焼室内で燃料を燃焼させる直接噴射式ディーゼルエンジンが知られている(例えば特許文献1参照)。直接噴射式ディーゼルエンジンは、例えば農業機械や建設機械の動力源として使用されるほか、大型船舶の動力源としても使用される。
直接噴射式ディーゼルエンジンは、大型船舶用の動力源として使用されるものを除き、吸気行程、圧縮行程、膨張行程、排気行程の各工程をクランク軸が二回転する間に完結する。このような直接噴射式ディーゼルエンジンは、吸気行程でシリンダ内に吸入された空気量が少ない場合、膨張行程で局所的に不完全燃焼が発生し、排気に含まれる粒子状物質が増加するという問題を有する。また、排気行程でシリンダ内に残留した既燃ガスが多い場合、次の膨張行程で局所的に不完全燃焼が発生し、排気に含まれる粒子状物質が増加するという問題も有する。
このため、近年の直接噴射式ディーゼルエンジンにおいては、吸気行程で多くの空気を吸入できるように一つのシリンダに対して二つの吸気ポートが設けられ、排気行程で残留する既燃ガスが少なくなるように一つのシリンダに対して二つの排気ポートが設けられる。つまり、近年の直接噴射式ディーゼルエンジンにおいては、一つのシリンダに対して二つの吸気ポートと二つの排気ポートが設けられているのである(例えば特許文献2参照)。
しかし、排気量が小さい直接噴射式ディーゼルエンジンにおいては、一つのシリンダに対して二つの吸気ポートと二つの排気ポートを設けることは困難である。また、一つのシリンダに対して二つの吸気ポートと二つの排気ポートを設けることは、コストの増加や生産性の低下にもつながる。そのため、一つのシリンダに対して一つの吸気ポートと一つの排気ポートを備える方式を採用せざるを得ない場合があった。
ところで、一つのシリンダに対して一つの吸気ポートと一つの排気ポートを備える直接噴射式ディーゼルエンジンは、吸気ポートと排気ポートの断面積が大きく設計されるため、円筒形状に形成されたシリンダの軸心上に燃料噴射ノズルを配置できない。そのため、このような直接噴射式ディーゼルエンジンの燃料噴射ノズルは、シリンダの軸心から偏移した位置に配置されることとなる。また、ピストンの燃焼室も、燃料噴射ノズルの配置に応じてシリンダの軸心から偏移した位置に形成されることとなる。
このように、シリンダの軸心から偏移した位置に燃焼室が形成されている場合、燃焼室の内部及びその近傍の空気の流れは、周方向で均一にならないことが知られている。そして、空気の流れが周方向で均一にならないことに起因して、空気と燃料の混合状態もバラつき、局所的に不完全燃焼が発生して排気に含まれる粒子状物質が増加する原因となっていたのである。
特開2011−169281号公報 特開2008−248894号公報
本発明は、燃焼室の内部及びその近傍の空気の流れを周方向で均一にし、局所的な不完全燃焼を抑制して排気に含まれる粒子状物質を低減できる技術を提供することを目的としている。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
請求項1においては、シリンダの軸心から偏移した位置に燃焼室が形成されたピストンにおいて、前記燃焼室は、燃焼室の軸心が燃料噴射ノズルの先端部に交わる位置に設けられ、前記燃焼室は、開口部中心がシリンダの軸心から燃焼室の軸心を結ぶ第一仮想線に対して、シリンダの軸心を中心として所定のスラント角度となる位置に周方向に変位して設けられ、前記燃焼室は、開口部の周壁面が燃焼室の周壁面との間に零でない寸法を有して収まり、前記スラント角度は、スワール流の旋回方向に対して逆方向に0°より大きく90°以下の範囲に納まる値である。
請求項2においては、請求項1に記載のピストンにおいて、前記スラント角度は、前記第一仮想線と前記シリンダの軸心から逆スキッシュ流が最も強くなる領域を結ぶ第二仮想線のなす角よりも小さい値である。
請求項3においては、請求項1又は請求項2に記載のピストンにおいて、前記開口部は、該開口部の周壁面が前記燃焼室の周壁面の内側に収まるものである。
請求項4においては、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のピストンにおいて、前記燃料噴射ノズルが前記シリンダの軸心に対して斜めに取り付けられた場合に用いられるものである。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
本発明によれば、燃焼室の内部及びその近傍の空気の流れを周方向で均一にできる。これにより、空気と燃料の混合状態を周方向で等しくでき、局所的な不完全燃焼を抑制することが可能となる。従って、直接噴射式ディーゼルエンジンの排気に含まれる粒子状物質を低減させることが可能となる。
直接噴射式ディーゼルエンジンの構成を示す図。 エンジン主体部の作動態様を示す図。 本発明の実施形態に係るピストンを示す図。 圧縮行程における燃焼室及びその近傍の空気の流れを示す図。 膨張行程における燃焼室及びその近傍の空気の流れを示す図。 (従来技術)従来の実施形態に係るピストンを示す図。 (従来技術)圧縮行程における燃焼室及びその近傍の空気の流れを示す図。 (従来技術)膨張行程における燃焼室及びその近傍の空気の流れを示す図。
まず、直接噴射式ディーゼルエンジン(以降「ディーゼルエンジン」とする)100について簡単に説明する。
図1は、ディーゼルエンジン100の構成を示す図である。図中の矢印Faは、吸入された空気の流れ方向を示し、図中の矢印Feは、排気の流れ方向を示している。また、図中の矢印Xは、ピストン13の摺動方向を示し、図中の矢印Rは、クランク軸14の回転方向を示している。
ディーゼルエンジン100は、主にエンジン主体部1と、吸気通路2と、排気通路3と、燃料噴射ポンプ4と、で構成される。
エンジン主体部1は、燃料の燃焼による膨張エネルギーを利用して回転動力を発生させる。エンジン主体部1は、主にシリンダブロック11と、シリンダヘッド12と、ピストン13と、クランク軸14と、で構成される。
エンジン主体部1には、シリンダブロック11に設けられたシリンダ11cと、該シリンダ11cに摺動可能に内設されたピストン13と、該ピストン13に対向するように配置されたシリンダヘッド12と、で作動室Wが構成されている。即ち、作動室Wとは、ピストン13の摺動運動によって容積が変化するシリンダ11cの内部空間を意味する。但し、以降では説明の簡単のために、作動室Wとピストン13に設けられた燃焼室Cを区別して説明する。ピストン13は、コネクティングロッド15によってクランク軸14のピン部と連結されており、該ピストン13の摺動によってクランク軸14を回転させる。なお、エンジン主体部1の具体的な作動態様については後述する。
吸気通路2は、外部から吸入された空気をシリンダ11c内に導く。即ち、吸気通路2は、外部から吸入された空気を作動室Wに導く。吸気通路2は、空気が流れる方向に沿って、主にエアクリーナ21と、吸気マニホールド22と、で構成される。
エアクリーナ21は、濾紙又はスポンジ等によって吸入された空気を濾過する。エアクリーナ21は、空気を濾過することで埃等の異物が作動室Wに混入するのを防止している。
吸気マニホールド22は、エアクリーナ21によって濾過された空気を各作動室Wに分配する。本ディーゼルエンジン100は、複数の作動室Wが設けられた多気筒エンジンであるため、吸気マニホールド22もそれぞれの作動室Wに分岐するように形成されている。なお、吸気マニホールド22は、各作動室W毎に設けられた吸気ポート12Ipと連通するように、シリンダヘッド12に固設されている。本ディーゼルエンジン100では、一の作動室W(シリンダ11c)に対して一の吸気ポート12Ipを備えている。
排気通路3は、シリンダ11c内から排出された排気を排気口Tpまで導く。即ち、排気通路3は、各作動室Wから排出された排気を排気口Tpまで導く。排気通路3は、排気の流れる方向に沿って、主に排気マニホールド31と、サイレンサー32と、で構成される。
排気マニホールド31は、各作動室Wから排出された排気を集合させる。本ディーゼルエンジン100は、複数の作動室Wが設けられた多気筒エンジンであるため、排気マニホールド31もそれぞれの作動室Wから合流するように形成されている。なお、排気マニホールド31は、各作動室W毎に設けられた排気ポート12Epと連通するように、シリンダヘッド12に固設されている。本ディーゼルエンジン100では、一の作動室W(シリンダ11c)に対して一の排気ポート12Epを備えている。
サイレンサー32は、複数の膨張室やグラスウールによって排気のエネルギーを低減させる。サイレンサー32は、排気のエネルギーを低減させることで、排気口Tpからの放射音を小さくする。
燃料噴射ポンプ4は、シリンダヘッド12に取り付けられた燃料噴射ノズル16へ燃料を圧送する。燃料噴射ポンプ4は、主にカム軸41と、プランジャ42と、で構成される。
カム軸41は、回転するクランク軸14によってギヤ等を介して駆動される。プランジャ42は、回転するカム軸41によってプランジャバレル内を摺動する。そして、プランジャ42の摺動によって加圧された燃料は、蓄圧管を介して燃料噴射ノズル16へ送られる。
次に、図2を用いてエンジン主体部1の作動態様について説明する。なお、本ディーゼルエンジン100は、吸気行程、圧縮行程、膨張行程、排気行程の各工程をクランク軸14が二回転する間に完結する4サイクルエンジンである。
図2は、エンジン主体部1の作動態様を示す図である。図中の矢印Faは、吸入された空気の流れ方向を示し、図中の矢印Faeは、排気となる既燃ガス等の流れ方向を示している。また、図中の矢印Rは、クランク軸14の回転方向を示している。
吸気工程は、吸気バルブ12Ivを開弁するとともにピストン13を下方へ摺動させて、作動室W内(シリンダ11c内)に空気を吸い込む行程である。作動室W内に吸い込まれた空気は、シリンダ11cの内壁に沿って螺旋状に旋回する。これは、螺旋状に形成された吸気ポート12Ipによって実現される。
圧縮工程は、吸気バルブ12Ivを閉弁するとともにピストン13を上方へ摺動させて、作動室W内の空気を圧縮する行程である。作動室W内の空気は、依然としてシリンダ11cの内壁に沿って旋回している(図4A、図4B参照)。また、ピストン13の摺動による作動室Wの収縮で燃焼室C内に導入された空気も、該燃焼室Cの周壁面Cwに沿って旋回する(図4B参照)。なお、空気がシリンダ11cの内壁又は燃焼室Cの周壁面Cwに沿って旋回する流れをスワール流Swという(図4B参照)。また、作動室Wの収縮で空気が燃焼室C内に導入される流れをスキッシュ流Sqという(図4A参照)。
その後、圧縮されて高温高圧となった空気中に燃料噴射ノズル16から燃料が噴射される。すると、燃料は、燃焼室C内で分散して蒸発し、高温高圧の空気と混合して燃焼を開始する。こうして、ディーゼルエンジン100は、ピストン13を再び下方へ摺動させる膨張行程に移行するのである。
膨張行程は、燃料が燃焼したことによる膨張エネルギーによってピストン13を押し下げる行程である。燃焼室C内に形成された火炎は、該燃焼室C内の空気や既燃ガスとともに周壁面Cwに沿って旋回している(図5B参照)。また、ピストン13の摺動による作動室Wの拡張で燃焼室Cの外側に形成された火炎も、シリンダ11cの内壁に沿って旋回する(図5A、図5B参照)。なお、作動室Wの拡張で既燃ガス等が燃焼室Cから導出される流れもスキッシュ流という。但し、圧縮行程におけるスキッシュ流Sqと区別するため、膨張行程におけるスキッシュ流を「逆スキッシュ流Sqr」と定義する(図5A参照)。
膨張行程では、ピストン13からコネクティングロッド15を介してクランク軸14に回転トルクが付与される。このとき、クランク軸14に取り付けられたフライホイルによって運動エネルギーが保存されるため、クランク軸14は、回転を維持することとなる。こうして、ディーゼルエンジン100は、ピストン13を再び上方へ摺動させて排気行程に移行するのである。
排気工程は、排気バルブ12Evを開弁するとともにピストン13を上方へ摺動させて、作動室W内(シリンダ11c内)の既燃ガス等を排気として押し出す行程である。作動室W内の空気や既燃ガスは、シリンダ11cの内壁に沿って緩やかに旋回しながら排気通路3へ押し出される。
こうして、ディーゼルエンジン100は、吸気行程、圧縮行程、膨張行程、排気行程の各工程をクランク軸14が二回転する間に完結する。ディーゼルエンジン100は、全ての作動室Wで上記の各行程を繰り返すことにより、連続して運転することを可能としている。
次に、ピストン13について詳細に説明する。
図3は、本発明の実施形態に係るピストン13を示す図である。図3Aは、ピストン13の側面断面図を示し、図3Bは、その上面図を示している。
本ディーゼルエンジン100では、吸気ポート12Ipと排気ポート12Epの断面積が大きいため、シリンダ11cの軸心Acy上に燃料噴射ノズル16を配置できない。そのため、燃料噴射ノズル16は、シリンダ11cの軸心Acyから偏移した位置に配置されている。従って、ピストン13の燃焼室Cも、燃料噴射ノズル16の配置に応じてシリンダ11cの軸心Acyから偏移した位置に形成されている。詳細に説明すると、燃焼室Cは、該燃焼室Cの軸心Acoが燃料噴射ノズル16の先端部16tに交わる位置に設けられている。
燃焼室Cは、ピストン13に形成された窪みである。図3Aに示すように、燃焼室Cは、中心部に突起Cpが設けられ、ピストン13の表面13sから周壁面Cwにかけて開口部Coが設けられている。なお、図3Bに示すように、開口部Coは、該開口部Coの周壁面Cowが燃焼室Cの周壁面Cwの内側に収まるように形成されている。つまり、燃焼室Cは、ピストン13の表面13sから周壁面Cwにかけて拡径(表面13s側ほど小径)された、いわゆるリエントラント型燃焼室である。なお、図3Bに示すように、開口部Coの周壁面Cow及び燃焼室Cの周壁面Cwは、円形に形成されている。
本実施形態に係るピストン13の最大の特徴は、燃焼室Cの軸心Acoから偏移した位置に該燃焼室Cの開口部Coが設けられている点にある。つまり、本実施形態に係るピストン13では、燃焼室Cの軸心Acoと開口部Coの軸心Aopが互いにズレているのである。このため、開口部Coの周壁面Cowから燃焼室Cの周壁面Cwまでの寸法Tは、周方向で異なっている。以下に、開口部Coが設けられている位置について特定する。
まず、シリンダ11cの軸心Acyから燃焼室Cの軸心Acoを結ぶ直線を第一仮想線L1と定義する。開口部Coは、第一仮想線L1に対して、シリンダ11cの軸心Acyを中心として所定のスラント角度αとなる位置に設けられている。スラント角度αは、スワール流Swの旋回方向に対して逆方向に0°以上90°以下の範囲に納まる。これは、逆スキッシュ流Sqrが最も強くなる領域を考慮して定められた範囲であり、次のように限定することが可能である。即ち、シリンダ11cの軸心Acyから逆スキッシュ流Sqrが最も強くなる領域Dsqr(図5B参照)を結ぶ直線を第二仮想線L2と定義した場合、スラント角度αは、第一仮想線L1と第二仮想線L2のなす角βよりも小さい値となる。
ここで、本実施形態に係るピストン13の優位性を示すため、従来のピストンC13について説明する。但し、ピストン13の説明で使用した記号と同じ記号を付し、異なる部分を中心に説明する。
図6は、従来の実施形態に係るピストンC13を示す図である。図6Aは、ピストンC13の側面断面図を示し、図6Bは、その上面図を示している。
ピストンC13の燃焼室Cは、燃料噴射ノズル16の配置に応じてシリンダ11cの軸心Acyから偏移した位置に形成されている。詳細に説明すると、燃焼室Cは、該燃焼室Cの軸心Acoが燃料噴射ノズル16の先端部16tに交わる位置に設けられている。また、燃焼室Cは、ピストン13の表面13sから周壁面Cwにかけて拡径(表面13s側ほど小径)されたリエントラント型燃焼室である。
ピストンC13では、燃焼室Cの軸心Aco上に該燃焼室Cの開口部Coが設けられている。つまり、従来のピストンC13では、燃焼室Cの軸心Acoと開口部Coの軸心Aopが一致している。このため、開口部Coの周壁面Cowから燃焼室Cの周壁面Cwまでの寸法Tは、周方向で一定である。
図7は、圧縮行程における燃焼室C及びその近傍の空気の流れを示す図である。図7Aは、その側面断面図を示し、図7Bは、その上面図を示している。また、図8は、膨張行程における燃焼室C及びその近傍の空気の流れを示す図である。図8Aは、その側面断面図を示し、図8Bは、その上面図を示している。なお、図中の矢印Faは、吸入された空気の流れ方向を示し、図中の矢印Faeは、排気となる既燃ガス等の流れ方向を示している。また、図中の矢印Xは、ピストン13の摺動方向を示している。
シリンダ11cの軸心Acyから偏移した位置に燃焼室Cが形成されている場合、燃焼室Cの内部及びその近傍の空気の流れは、周方向で均一にならないことが知られている。まず、圧縮行程における不均一性について説明する。
図7に示すように、シリンダ11cの軸心Acyから偏移した位置に燃焼室Cが形成されている場合、周壁面Cwに沿って旋回する空気の速度は、軸心Acy側の領域Dswで遅くなる。つまり、燃焼室C内のスワール流Swは、領域Dswで弱くなる。これは、ピストン13の摺動によって作動室Wが収縮した際に、燃焼室C内に導入される空気量(スキッシュ流Sqによる空気の移動量)が周方向で異なることに起因する。
詳細に説明すると、領域Dswには、該領域Dswに隣接する空間(図7A、図7Bにおける左側の空間)が広いため、大量の空気が導入される。これにより、領域Dswでは、強いスキッシュ流Sqが生じて、燃焼室C内を旋回する空気の流れを阻害する。つまり、領域Dswでは、強いスキッシュ流Sqがスワール流Swを減衰させると考えられる。なお、図7Bに示すように、スキッシュ流Sqも少なからずスワール流Swの影響を受けるため、領域Dswがスワール流Swの下流側に発達していることがわかる。
次に、膨張行程における不均一性について説明する。
図8に示すように、シリンダ11cの軸心Acyから偏移した位置に燃焼室Cが形成されている場合、燃焼室Cから導出される既燃ガス等の速度は、軸心Acy側の領域Dsqrで速くなる。つまり、作動室Wの拡張によって生じる逆スキッシュ流Sqrは、領域Dsqrで強くなる。これは、ピストン13の摺動によって作動室Wが拡張した際に、燃焼室Cの外部に導出される既燃ガス量(逆スキッシュ流Sqrによる既燃ガス等の移動量)が周方向で異なることに起因する。
詳細に説明すると、領域Dsqrには、該領域Dsqrに隣接する空間(図8A、図8Bにおける左側の空間)が広いため、大量の既燃ガス等が導出される。これにより、領域Dsqrでは、周方向で最も強い逆スキッシュ流Sqrが生じると考えられる。なお、図8Bに示すように、逆スキッシュ流Sqrも少なからずスワール流Swの影響を受けるため、領域Dsqrがスワール流Swの下流側に発達していることがわかる。
このように、従来のピストンC13では、燃焼室Cの内部及びその近傍の空気の流れが周方向で均一にならない。そして、空気の流れが周方向で均一にならないことに起因して、空気と燃料の混合状態もバラつき、燃料の燃焼形態に影響を及ぼすものと考えられる。特に、圧縮行程における空気と燃料の混合状態は、窒素酸化物(NOx)の生成量に強い影響を与えるとされている。圧縮行程が終了して膨張行程を開始する際の燃焼形態は、主に予混合燃焼であるため、急激に温度が上昇して空気中の窒素と酸素が結合するからである。但し、局所的に空気量(酸素量)の少ない領域が生じた場合は、かかる領域で不完全燃焼が発生して粒子状物質(PM)を生成すると考えられる。
また、膨張行程における空気と燃料の混合状態は、粒子状物質(PM)の生成量に強い影響を与えるとされている。膨張行程における燃焼形態は、主に拡散燃焼であるため、火炎の近傍及びその内部で空気量(酸素量)が不足するからである。そして、局所的に空気量(酸素量)の少ない領域が生じた場合は、かかる領域で不完全燃焼が発生して粒子状物質(PM)を生成すると考えられる。なお、空気量(酸素量)が少ない領域では、生成された粒子状物質(PM)を強い攪拌によって酸化することもできない。
次に、本発明の実施形態に係るピストン13について説明する。
図4は、圧縮行程における燃焼室C及びその近傍の空気の流れを示す図である。図4Aは、その側面断面図を示し、図4Bは、その上面図を示している。また、図5は、膨張行程における燃焼室C及びその近傍の空気の流れを示す図である。図5Aは、その側面断面図を示し、図5Bは、その上面図を示している。なお、図中の矢印Faは、吸入された空気の流れ方向を示し、図中の矢印Faeは、排気となる既燃ガス等の流れ方向を示している。また、図中の矢印Xは、ピストン13の摺動方向を示している。
本実施形態に係るピストン13は、シリンダ11cの軸心Acyから偏移した位置に燃焼室Cが形成されているにも関わらず、燃焼室Cの内部及びその近傍の空気の流れを周方向で均一にできる(完全に均一とはならないが従来のピストンC13と比較してより均一にできる)。まず、圧縮行程における均一性について説明する。
図4に示すように、本実施形態に係るピストン13では、周壁面Cwに沿って旋回する空気の速度が領域Dswで遅くなりにくい。つまり、本実施形態に係るピストン13では、燃焼室C内のスワール流Swが領域Dswで弱くなりにくい。これは、ピストン13の摺動によって作動室Wが収縮した際に、燃焼室C内に導入される空気の速度(スキッシュ流Sqの速度)が周方向で異なることに起因する。
詳細に説明すると、領域Dswでは、開口部Coの周壁面Cowから燃焼室Cの周壁面Cwまでの寸法Tが小さいため、燃焼室C内に導入される空気の速度が遅くなる。これにより、領域Dswでは、従来のピストンC13と比較して弱いスキッシュ流Sqが生じ、燃焼室C内を旋回する空気の流れを阻害しにくい。つまり、領域Dswでは、スキッシュ流Sqが弱いため、スワール流Swを減衰させにくいと考えられる。
次に、膨張行程における均一性について説明する。
図5に示すように、本実施形態に係るピストン13では、燃焼室Cから導出される既燃ガス等の速度が領域Dsqrで速くなりにくい。つまり、本実施形態に係るピストン13では、作動室Wの拡張によって生じる逆スキッシュ流Sqrが領域Dsqrで強くなりにくい。これは、ピストン13の摺動によって作動室Wが拡張した際に、燃焼室Cの外部に導出される既燃ガス等の速度(逆スキッシュ流Sqrの速度)が周方向で異なることに起因する。
詳細に説明すると、領域Dsqrでは、開口部Coの周壁面Cowから燃焼室Cの周壁面Cwまでの寸法Tが小さいため、燃焼室C内から導出される空気の速度が遅くなる。これにより、領域Dsqrでは、従来のピストンC13と比較して弱い逆スキッシュ流Sqrが生じ、他の領域の逆スキッシュ流Sqrとほぼ等しくなると考えられる。
また、図3Bに示すように、開口部Coは、第一仮想線L1に対して、シリンダ11cの軸心Acyを中心として所定のスラント角度αとなる位置に設けられている。これは、従来のピストンC13を用いた解析結果に基づいて、スワール流Swの下流側で逆スキッシュ流Sqrが強くなることに対応したものである(図8B参照)。即ち、本実施形態に係るピストン13は、スラント角度αをスワール流Swの旋回方向に対して逆方向に0°以上90°以下の範囲に納まる値とすることで、領域Dsqrにおける逆スキッシュ流Sqrを他の領域の逆スキッシュ流Sqrと等しくなる程度に抑えているのである。
更に、スラント角度αは、次のように限定することが可能である。即ち、シリンダ11cの軸心Acyから逆スキッシュ流Sqrが最も強くなる領域Dsqrを結ぶ直線を第二仮想線L2と定義した場合、スラント角度αは、第一仮想線L1と第二仮想線L2のなす角βよりも小さい値となる(図3B参照)。このような限定方法は、図5に示す領域Dsqrの中で最も逆スキッシュ流Sqrが強い位置を特定することで可能となる。
このように、本発明の実施形態に係るピストン13は、燃焼室Cの内部及びその近傍の空気の流れを周方向で均一にできる。これにより、空気と燃料の混合状態を周方向で等しくでき、局所的な不完全燃焼を抑制することが可能となる。従って、ディーゼルエンジン100の排気に含まれる粒子状物質(PM)を低減させることが可能となる。
なお、本実施形態に係るピストン13は、燃料噴射ノズル16がシリンダ11cの軸心Acyに対して斜めに取り付けられている場合に特に効果を奏する。これは、燃料噴射ノズル16が斜めに取り付けられたことに起因して、燃焼室C内の燃料噴霧が周方向で均一にならない場合であっても、燃焼室Cの内部及びその近傍の空気の流れを周方向で均一にすることで理想的な燃焼に寄与するものと考えられる。
100 直接噴射式ディーゼルエンジン(ディーゼルエンジン)
1 エンジン主体部
11 シリンダブロック
11c シリンダ
12 シリンダヘッド
12Ip 吸気ポート
12Ep 排気ポート
13 ピストン
14 クランク軸
15 コネクティングロッド
16 燃料噴射ノズル
16t 燃料噴射ノズルの先端部
Acy シリンダの軸心
Aco 燃焼室の軸心
Aop 開口部の軸心(Aop)
C 燃焼室
Cw 燃焼室の周壁面
Co 開口部
Cow 開口部の周壁面
Dsw スワール流が弱くなる領域
Dsqr 逆スキッシュ流が強くなる領域
L1 第一仮想線
L2 第二仮想線
Sw スワール流
Sq スキッシュ流
Sqr 逆スキッシュ流
W 作動室
α スラント角度
β 第一仮想線と第二仮想線のなす角

Claims (4)

  1. シリンダの軸心から偏移した位置に燃焼室が形成されたピストンにおいて、
    前記燃焼室は、燃焼室の軸心が燃料噴射ノズルの先端部に交わる位置に設けられ、
    前記燃焼室は、開口部中心がシリンダの軸心から燃焼室の軸心を結ぶ第一仮想線に対して、シリンダの軸心を中心として所定のスラント角度となる位置に周方向に変位して設けられ、
    前記燃焼室は、開口部の周壁面が燃焼室の周壁面との間に零でない寸法を有して収まり、
    前記スラント角度は、スワール流の旋回方向に対して逆方向に0°より大きく90°以下の範囲に納まる値である、
    ことを特徴とするピストン。
  2. 前記スラント角度は、前記第一仮想線と前記シリンダの軸心から逆スキッシュ流が最も強くなる領域を結ぶ第二仮想線のなす角よりも小さい値である、ことを特徴とする請求項1に記載のピストン。
  3. 前記開口部は、該開口部の周壁面が前記燃焼室の周壁面の内側に収まる、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のピストン。
  4. 前記燃料噴射ノズルが前記シリンダの軸心に対して斜めに取り付けられた場合に用いられる、ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のピストン。
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