JP5936545B2 - グルタミン酸に高活性を示す新規アミノ基転移酵素、およびこれをコードする遺伝子、ならびにこれらの利用法 - Google Patents

グルタミン酸に高活性を示す新規アミノ基転移酵素、およびこれをコードする遺伝子、ならびにこれらの利用法 Download PDF

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Description

本発明は、アミノ基転移反応により、ケトン化合物を効率よく光学活性アミノ化合物に変換しうる酵素および該酵素を用いた光学活性アミノ化合物の製造方法に関する。得られる光学活性アミノ化合物は、医薬品や農薬等の中間体として利用しうる。
技術背景
アミノ基転移酵素を用いた光学活性アミンの製法に関して、これまでにα−アミノ酸の製法については多くの報告があるが、α−アミノ酸以外の光学活性アミン化合物の製法については報告例が少ない。近年、α−アミノ酸以外の光学活性アミンを生成するアミノ基転移酵素が見出され、一般的な光学活性アミンの効率的な製法としての利用が期待されている。
しかし、これまでに知られているα―アミノ酸以外の光学活性アミンを生成するアミノ基転移酵素は課題が多い(非特許文献1)。
例えば、α−アミノ酸をアミノ基供与体として用い、副生成するα−ケト酸を酵素的に除去することが有用であるが、アミノ基供与体として作用するα−アミノ酸は実質的に、高価で、溶解度の低いアラニンに限定されている。
また、α−アミノ酸以外の光学活性アミノ化合物の中でも、特に医薬品中間体として有用な(S)−1−ベンジル−3−アミノピロリジンを93%e.e.以上の高光学純度で生成するアミノ基転移酵素は見出されていない(特許文献1,2、非特許文献2)。
特開2007−185133号公報 WO2006/126498号公報
Trends in Biotechnology 28, 324−332(2010) Adv. Synth. Catal. 350, 807−812(2008)
本発明の課題は、医薬品や農薬等の中間体として有用な光学活性アミノ化合物を、ケトン化合物から効率よく製造するための方法を提供することにある。
本発明者らは、様々な土壌分離菌を対象としたスクリーニングを行なった結果、アミノ基転移触媒活性を持ち、(S)−1−ベンジル−3−アミノピロリジンを93%e.e.以上の高い光学純度で生成し、かつ、アミノ基供与体として、安価で、溶解度の高いグルタミン酸に高い活性を示す微生物を見出した。また、その微生物から該活性を有するポリペプチドの単離精製に成功した。さらに、該ポリペプチドをコードする遺伝子を遺伝子組換えの手法で取得し、その塩基配列を明らかにした。さらに、該遺伝子を用いて当該酵素を産生する形質転換体を育種することで、より高活性な該形質転換体を作製し、光学活性なアミノ化合物を工業的に製造し得る方法を確立した。
即ち、本発明は、下記(1)から(6)の理化学的性質を有するポリペプチドである:
(1)作用:アミノ基供与体の存在下で1−ベンジル−3−ピロリジノンに作用して光学純度93%e.e.以上の(S)−1−ベンジル−3−アミノピロリジンを生成するアミノ基転移反応を触媒する。
(2)基質特異性:
(a)アミノ基供与体:(S)−1−フェネチルアミンに対し活性を示し、L−アラニンよりL−グルタミン酸に高い活性を示し、かつ、β−アラニン、4−アミノ酪酸に対し実質的に活性を示さない。
(b)アミノ基受容体:ピルビン酸より2−ケトグルタル酸に高い活性を示す。
(3)至適pH:7.0〜8.0、
(4)至適温度:30〜50℃、
(5)熱安定性:pH8.0、30〜50℃で30分間処理したとき、処理前の全活性の70%以上の残存活性を保持する。
(6)分子量:ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法において、約48kDa。
また、本発明は、配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列と50%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、アミノ基供与体の存在下で1−ベンジル−3−ピロリジノンに作用して光学純度93%e.e.以上の(S)−1−ベンジル−3−アミノピロリジンを生成する活性を有するポリペプチドである。
または、本発明は、配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列と50%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、アミノ基供与体として(S)−1−フェネチルアミンに対し活性を示し、L−アラニンよりL−グルタミン酸に高い活性を示し、かつ、β−アラニン、4−アミノ酪酸に対し実質的に活性を示さず、アミノ基受容体としてピルビン酸より2−ケトグルタル酸に高い活性を示すポリペプチドである。
または、配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列において、1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入もしくは付加されたアミノ酸配列を有し、アミノ基供与体の存在下で1−ベンジル−3−ピロリジノンに作用して光学純度93%e.e.以上の(S)−1−ベンジル−3−アミノピロリジンを生成する活性を有するポリペプチドである。
または、配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列において、1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入もしくは付加されたアミノ酸配列を有し、アミノ基供与体として(S)−1−フェネチルアミンに対し活性を示し、L−アラニンよりL−グルタミン酸に高い活性を示し、かつ、β−アラニン、4−アミノ酪酸に対し実質的に活性を示さず、アミノ基受容体としてピルビン酸より2−ケトグルタル酸に高い活性を示すポリペプチドである。
また、本発明は、前記ポリペプチドをコードするDNA、該DNAを含むベクター、及び、このベクターにより形質転換された形質転換体でもある。
また、本発明は、ケトン化合物に、アミノ基供与体の存在下、前記ポリペプチド、あるいは前記形質転換体の培養物を作用させることを特徴とする、光学活性アミノ化合物の製造方法である。
また、アミノ化合物のエナンチオマー混合物にアミノ基受容体の存在下、前記ポリペプチド、または前記形質転換体の培養物を作用させることを特徴とする、光学活性アミノ化合物の製造方法である。
本明細書は本願の優先権の基礎である日本国特許出願2010−216546号に記載された全ての内容を包含する。
安価で溶解度の高いグルタミン酸に対し高い活性を示し、光学活性アミノ化合物を高い光学純度で生成するポリペプチドを単離、および、該ポリペプチド産生能の高い形質転換体の取得により、目的の光学活性アミノ化合物を安価で効率良く製造することが可能となった。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本明細書において記述されている、DNAの単離、ベクターの調製、形質転換等の遺伝子操作は、特に明記しない限り、「Molecular Cloning 2nd Edition(Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989)、Current Protocols in Molecular Biology(Greene Publishing Associates and Wiley−Interscience)」等の成書に記載されている方法により行なうことができる。また、酵素活性の単位は特に明記しない限り、1分間に1μmolの生成物を与える酵素量を1Uとする。
1.本発明のポリペプチドの理化学的諸性質
本発明のポリペプチドは、以下の理化学的性質を有するポリペプチドである
(1)作用:アミノ基供与体の存在下で1−ベンジル−3−ピロリジノンに作用して光学純度93%e.e.以上の(S)−1−ベンジル−3−アミノピロリジンを生成するアミノ基転移反応を触媒する。
(2)基質特異性:
(a)アミノ基供与体:(S)−1−フェネチルアミンに対し活性を示し、L−アラニンよりL−グルタミン酸に高い活性を示し、かつ、β−アラニン、4−アミノ酪酸に対し実質的に活性を示さない。
(b)アミノ基受容体:ピルビン酸より2−ケトグルタル酸に高い活性を示す。
(3)至適pH:7.0〜8.0、
(4)至適温度:30〜50℃、
(5)熱安定性:pH8.0、30〜50℃で30分間処理したとき、処理前の全活性の70%以上の残存活性を保持する。
(6)分子量:ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法において、約48kDa。
(基質特異性の測定方法−1:(S)−1−フェネチルアミンに対する活性)
本発明のポリペプチドは、(S)−1−フェネチルアミンに対し活性を示す。ここで、活性を示すとは、以下の方法でアミノ基転移活性を測定した場合において、1分間に生成するアセトフェノンの量が粗精製ポリペプチド液1mlに対し0.01μmol以上、好ましくは0.1μmol以上、より好ましくは1μmol以上であることを意味する。
上記アミノ基転移酵素活性は、以下の方法により測定することができる(「活性測定法A」とする)。
酵素液0.2mLに下記組成を有する基質溶液0.8mLを添加し、30℃で60分間反応させた後、6規定塩酸を50μL添加して反応を停止させた。この反応液を、下記条件による高速液体クロマトグラフィーで分析し、生成したアセトフェノンを定量した(以下、「活性測定法A」とする)。
「活性測定法A」
[基質溶液組成]
(S)−1−フェネチルアミン 25mM
2−ケトグルタル酸 25mM
ピリドキサルリン酸 2.5mM
トリス・塩酸緩衝液(pH8.0) 0.1M
[高速液体クロマトグラフィーによる測定条件]
カラム:Cosmosil 5C8−MS (ナカライテスク社製)
溶離液:蒸留水2000mL/アセトニトリル500mL/メタノール500ml/KHPO 6.1g/HPO 2.5g
流速:1mL/分
検出:254nm
カラム温度:30℃
(基質特異性の測定方法−2:ω−アミノ酸に対する活性)
本発明のポリペプチドは、β−アラニン、4−アミノ酪酸、5−アミノ吉草酸、6−アミノカプロン酸、±2,4−ジアミノ酪酸、L−オルニチン、L−リジンおよびプレットシンをアミノ基供与体とした場合には、実質的に活性を示さない。ここで、実質的に活性を示さないとは、以下の方法によりアミノ基転移活性を測定した場合において、上記アミノ化合物をアミノ基供与体として用いた場合の活性が(S)−1−フェネチルアミンを用いた場合の1/100以下、好ましくは1/1000以下、更に好ましくは1/10000以下であることを意味する。
上記のアミノ基供与体を用いた際のアミノ基転移酵素活性は、以下の方法により測定することができる。
酵素液100μLに最終濃度が下記基質溶液組成となるように各試薬を添加し、反応液を400μLに調製する。30℃で60分間反応させた後、3規定塩酸を20μL加えて反応を停止させる。次に、得られた反応液20μLに0.2M炭酸ナトリウム水溶液80μL、3.3mg/mLダブシルクロリドのアセトン溶液200μLをそれぞれ加え、70℃で10分間反応させる。この反応液50μLに酢酸20μLを加えて攪拌し、下記条件による高速液体クロマトグラフィーで分析し、ダブシル化したグルタミン酸を定量する。なお、使用する酵素の活性は、本測定方法において、生成グルタミン酸量が2.8mM以下となるように調整する。
[基質溶液組成]
各種アミノ化合物 14mM
2−ケトグルタル酸 14mM
ピリドキサルリン酸 0.5mM
リン酸カリウム緩衝液(pH7.0) 0.1M
[高速液体クロマトグラフィーによる測定条件]
カラム:YMC−Pack Pro C18 RS(YMC社製)
溶離液:アセトニトリル/45mM酢酸緩衝液(pH4.1)=35/65(体積比)
流速:0.9mL/分
検出:254nm
カラム温度:30℃
(基質特異性の測定方法−3:2-ケトグルタル酸およびピルビン酸に対する活性)
本発明のポリペプチドは、2-ケトグルタル酸に代えて、ピルビン酸をアミノ基受容体としても活性を示し、ピルビン酸より2−ケトグルタル酸をアミノ基受容体として高い活性を示す。ピルビン酸より2−ケトグルタル酸をアミノ基受容体として高い活性を示すとは、前述の「活性測定法A」において、2-ケトグルタル酸に換えてピルビン酸をアミノ基受容体として測定した場合のアミノ基転移活性が、2−ケトグルタル酸をアミノ基受容体として測定した活性の1/2以下、望ましくは1/5以下の活性を示すことを言う。
(基質特異性の測定方法−4:L−アラニンおよびL−グルタミン酸に対する活性)
本発明のポリペプチドは、L−アラニンよりL−グルタミン酸をアミノ基供与体として高い活性を示す。L−アラニンよりL−グルタミン酸をアミノ基供与体として高い活性を示すとは、以下の方法でアミノ基転移活性を測定した場合において、L−グルタミン酸をアミノ基供与体として測定した場合のアミノ基転移活性が、L−アラニンをアミノ基供与体として測定した活性の2倍以上、望ましくは5倍以上、より望ましくは10倍以上の活性を示すことを言う。
上記のアミノ基供与体を用いた際のアミノ基転移酵素活性は、以下の方法により測定することができる。
酵素液200μLに最終濃度が下記基質溶液組成となるように各試薬を添加し、反応液を400μLに調製する。30℃で90分間反応させた後、6規定塩酸を15μL加えて反応を停止させる。次に、得られた反応液を生成した下記条件による高速液体クロマトグラフィーで分析する。
[基質溶液組成]
1−ベンジル−3−ピロリジノン 29mM
各種アミノ化合物 290mM
ピリドキサルリン酸 0.5mM
リン酸カリウム緩衝液(pH7.0) 0.1M
[高速液体クロマトグラフィーによる分析条件]
カラム:Finepak SIL C18−T (日本分光社製)
溶離液:蒸留水 945mL/アセトニトリル 555mL/KHPO 7.5g/SDS 2.16g(HPOでpH3.6に調製)
流速:1mL/分
検出:254nm
カラム温度:40℃
(1−ベンジル−3−ピロリジノンへの立体選択性の測定方法)
本発明のポリペプチドは、アミノ基供与体の存在下で1−ベンジル−3−ピロリジノンに作用して光学純度93%e.e.以上、好ましくは95%e.e.以上、より好ましくは97%e.e.以上、最も好ましくは98%e.e.以上の(S)−1−ベンジル−3−アミノピロリジンを生成するアミノ基転移反応を触媒する活性を示す。
上記のアミノ基供与体を用いた際のアミノ基転移酵素活性は、以下の方法により測定することができる。
酵素液200μLに最終濃度が下記基質溶液組成となるように各試薬を添加し、反応液を400μLに調製する。30℃で90分間反応させた後、6規定塩酸を15μL加えて反応を停止させる。次に、得られた反応液を生成した下記条件による高速液体クロマトグラフィーで分析する。
[基質溶液組成]
1−ベンジル−3−ピロリジノン 57mM
(S)−1―フェネチルアミン 57mM
ピリドキサルリン酸 0.5mM
リン酸カリウム緩衝液(pH7.0) 0.1M
[高速液体クロマトグラフィーによる分析条件]
<定量分析>
カラム:Finepak SIL C18−T (日本分光株社製)
溶離液:蒸留水 945mL/アセトニトリル 555mL/KHPO 7.5g/SDS 2.16g(HPOでpH3.6に調製)
流速:1mL/分
検出:254nm
カラム温度:40℃
<光学純度分析>
反応液を適量の炭酸ナトリウムで塩基性にしたのち、ジニトロベンゾイルクロライドで誘導体化した後、以下の条件で分析する。
カラム:Chiralcel IA(ダイセル化学工業社製)
溶離液:ヘキサン/エタノール/ジエチルアミン/アセトニトリル=800/200/1/5(体積比)
流速:0.8mL/分
検出:254nm
カラム温度:30℃
(至適pH)
アミノ基転移反応の至適pHは、前述の「活性測定法A」に記載の方法でアミノ基転移活性を、pH4.0〜10の範囲で測定することで決定することができる。ただし、上記測定方法において、測定を行うpHに応じて基質溶液における緩衝液は下記のものを用いる。至適pHとは上記測定にて最も高い活性値を示すpHとする。
pH4.0〜6.0 :0.1M酢酸ナトリウム緩衝液
pH6.0〜8.5 :0.1Mリン酸カリウム緩衝液
pH8.0〜9.0 :0.1Mトリス−塩酸緩衝液
pH9.0〜10 :0.1M炭酸ナトリウム緩衝液
(至適温度)
アミノ基転移反応の至適温度は、前述の「活性測定法A」に記載の方法でアミノ基転移活性を、30〜70℃の範囲で測定し、最大の活性値を示した温度と定義する。
(熱安定性)
ポリペプチドの熱安定性は、0.5mMピリドキサルリン酸、0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH8.0)中、温度30〜70℃それぞれで30分間処理した後、前述の「活性測定法A」に記載の方法でアミノ基転移活性を測定し、熱処理前の活性を100%としたとき、熱処理後70%以上の残存活性を有する範囲とする。
(分子量)
ポリペプチドの分子量は、10%ポリアクリルアミドゲルを用いたドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法において標準タンパク質の移動度との比較により算出する。
2.本発明のポリペプチドの単離
本発明の実施形態のポリペプチドは、上記性質を示すポリペプチドであれば、いかなるポリペプチドであっても含まれるが、例えば、アルスロバクター(Arthrobacter)属の微生物から取得できる。本発明の実施形態のポリペプチドの起源となる微生物としては、好ましくは当業者が公的保存機関(例えばNBRC等)より容易に入手可能なアルスロバクター・エスピー(Arthrobacter sp.)が挙げられ、さらに好ましくは、アルスロバクター・エスピー(Arthrobacter sp.)KNK04−25が挙げられる。この、アルスロバクター・エスピー(Arthrobacter sp.)KNK04−25は、2010年6月11日付けで、受託番号NITE P−954として、独立行政法人製品評価技術基盤機構、特許微生物寄託センター(〒292−0818日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8)に寄託され、その後、2011年9月12日付で、受託番号NITE BP−954として、NITE P−954より移管された。
(培地成分)
本発明のポリペプチドを有する微生物のための培養培地としては、その微生物が増殖する限り、通常の炭素原、窒素原、無機塩類、有機栄養素などを含む液体栄養培地が用いられ得る。
なお、前記微生物を培養する際に、本ポリペプチドの誘導物質として、プロピルアミン、1−ブチルアミン、2−ブチルアミン、2−ペンチルアミン、イソプロピルアミン、イソブチルアミン、7−メトキシ−2−アミノテトラリン、1−フェネチルアミン、1−ベンジル−3−アミノピロリジンなどのアミノ化合物を培地に添加し、培養することもできる。前記誘導物質は、単独でまたは2種類以上を混合して用いてもよい。前記誘導物質の添加量は、特に制限されるものではないが、菌の生育阻害などの観点から、通常培地組成中1重量%以下が好ましい。また、前記誘導物質の添加時期は、特に制限されるものではなく、培養開始時、または、培養途中のいずれでもよい。また、前記誘導物質の効果を高めるために、前記誘導物質以外の通常の炭素原、窒素原、無機塩類、有機栄養素を少なくすることが有効な場合がある。
(ポリペプチドの精製)
本発明の実施形態のポリペプチドを生産する微生物からの該ポリペプチドの精製は、当業者に周知のタンパク質精製法により行ない得る。例えば、当該微生物の培養液から遠心分離、あるいは、濾過により菌体を集め、得られた菌体を、超音波破砕機あるいはグラスビーズ等を用いた物理的手法で破砕した後、遠心分離にて菌体残さを除いて無細胞抽出液を調製し、この無細胞抽出液を、分別沈殿、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、限外濾過等に供することにより、ポリペプチドを単離できる。
3.本発明のポリペプチドのアミノ酸配列
本発明のポリペプチドとしては以下の(a)〜(g)のポリペプチドを挙げることができる。
(a)配列表の配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(b)配列表の配列番号1で示されるアミノ酸配列において、1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、アミノ基供与体の存在下で1−ベンジル−3−ピロリジノンに作用して光学純度93%e.e.以上の(S)−1−ベンジル−3−アミノピロリジンを生成する活性を有するポリペプチド、
(c)配列表の配列番号1で示されるアミノ酸配列において、1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、アミノ基供与体として(S)−1−フェネチルアミンに対し活性を示し、L―アラニンよりL−グルタミン酸に高い活性を示し、かつ、β−アラニン、4−アミノ酪酸に対し実質的に活性を示さず、アミノ基受容体としてピルビン酸より2−ケトグルタル酸に対し高い活性を有するポリペプチド、
(d)配列表の配列番号1で示されるアミノ酸配列において、1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、至適pHが7.0〜8.0であり、至適温度が30〜50℃であり、30〜50℃で30分間処理したとき処理前の70%以上の残存活性を保持する、分子量がドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法において約48kDaであるポリペプチド、
(e)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列と50%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、アミノ基供与体の存在下で1−ベンジル−3−ピロリジノンに作用して光学純度93%e.e.以上の(S)−1−ベンジル−3−アミノピロリジンを生成する活性を有するポリペプチド、
(f)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列と50%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、アミノ基供与体として(S)−1−フェネチルアミンに対し活性を示し、L―アラニンよりL−グルタミン酸に高い活性を示し、かつ、β−アラニン、4−アミノ酪酸に対し実質的に活性を示さず、アミノ基受容体としてピルビン酸より2−ケトグルタル酸に対し高い活性を有するポリペプチド、
(g)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列と50%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、至適pHが7.0〜8.0であり、至適温度が30〜50℃であり、30〜50℃で30分間処理したとき処理前の70%以上の残存活性を保持する、分子量がドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法において約48kDaであるポリペプチド。
本発明のポリペプチドのアミノ酸配列としては、配列表の配列番号2に示す塩基配列によってコードされる、配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列を挙げることができる。
配列表の配列番号1に示したアミノ酸配列において1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入もしくは付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチドはCurrent Protocols in Molecular Biology(John Wiley and Sons, Inc., 1989)等に記載の公知の方法に準じて調製することができ、前述した理化学的諸性質を有するかぎり上記のポリペプチドに包含される。
配列表の配列番号1に示したアミノ酸配列において、アミノ酸が欠失、置換、挿入もしくは付加される場所は特に制限されないが、高度保存領域を避けるのが好ましい。ここで、高度保存領域とは、由来の異なる複数の酵素(ポリペプチド)ついて、アミノ酸配列を最適に整列させて比較した場合に、複数の配列間でアミノ酸が一致している位置を表す。高度保存領域は、配列番号1に示したアミノ酸配列と、前述した他の微生物由来のアミノ基転移酵素(ポリペプチド)のアミノ酸配列とを、GENETYX等のツールを用いて比較することにより確認することができる。
欠失、置換、挿入もしくは付加により改変されたアミノ酸配列としては、1種類のタイプ(例えば置換)の改変のみを含むものであっても良いし、2種以上の改変(例えば、置換と挿入)を含んでいても良い。また、置換の場合には、置換するアミノ酸は、置換前のアミノ酸と類似の性質を有するアミノ酸(同族アミノ酸)であることが好ましい。ここでは、以下に挙げる各群の同一群内のアミノ酸を同族アミノ酸とする。
(第1群:中性非極性アミノ酸)Gly, Ala, Val, Leu, Ile, Met, Cys, Pro, Phe
(第2群:中性極性アミノ酸)Ser, Thr, Gln, Asn, Trp, Tyr
(第3群:酸性アミノ酸)Glu, Asp
(第4群:塩基性アミノ酸)His, Lys, Arg。
上記の記載で「複数個のアミノ酸」とは、例えば、60個、好ましくは20個、より好ましくは15個、さらに好ましくは10個、さらに好ましくは5個、4個、3個、または2個以下のアミノ酸を意味する
配列表の配列番号1に示したアミノ酸配列との配列同一性は、50%以上が好ましいが、70%以上がより好ましく、80%以上がさらに好ましく、85%以上がさらに好ましく、90%以上がさらに好ましく、95%以上が最も好ましい。
アミノ酸配列の配列同一性は、配列表の配列番号1に示したアミノ酸配列と評価したいアミノ酸配列とを比較し、両方の配列でアミノ酸が一致した位置の数を比較総アミノ酸数で除して、さらに100を乗じた値で表される。
アミノ基供与体の存在下で1−ベンジル−3−ピロリジノンに作用して光学純度93%e.e.以上の(S)−1−ベンジル−3−アミノピロリジンを生成する活性を有する限り、配列番号1に記載のアミノ酸配列に、付加的なアミノ酸配列を結合することができる。たとえば、ヒスチジンタグやHAタグのような、タグ配列を付加することができる。あるいは、他のタンパク質との融合タンパク質とすることもできる。また、アミノ基転移の上記活性を有する限り、ペプチド断片であってもよい。
4.本発明のポリペプチドをコードするDNAのクローニング
本発明のDNAは、上記ポリペプチドをコードするDNAであり、後述する方法に従って導入された宿主細胞内で上記ポリペプチドを発現し得るものであればいかなるものでもよく、任意の非翻訳領域を含んでいてもよい。本発明のDNAは配列表の配列番号2に従い、当業者であれば化学合成法により容易に入手できる。他の方法としては、精製された上記ポリペプチドが取得できれば、当業者であれば公知の方法により、該ポリペプチドの起源となる微生物より上記DNAを取得することができる。
以下に、本発明の実施形態のDNAを取得する方法として、上記アルスロバクター・エスピー(Arthrobacter sp.)KNK04−25を用いた例を記載するが、本発明はこれに限定されない。
まず、該微生物の無細胞抽出液より精製した上記ポリペプチドを、適当なエンドペプチダーゼにより消化し、逆相HPLCにより切断された断片を精製後、例えば、「PPSQ−33A型全自動タンパク質一次構造分析機(島津製作所社製)」等によりアミノ酸配列の一部または全部を決定する。このようにして得られたアミノ酸配列情報をもとにして、該ポリペプチドをコードするDNAの一部を増幅するためのPCR(Polymerase Chain Reaction)プライマーを合成する。次に、通常のDNA単離法、例えば、Visser等の方法(Appl. Microbiol. Biotechnol., 53, 415 (2000))により、該ポリペプチドの起源となる微生物の染色体DNAを調製する。この染色体DNAを鋳型として、先述のPCRプライマーを用いてPCRを行い、該ポリペプチドをコードするDNAの一部を増幅し、その塩基配列を決定する。塩基配列の決定は、例えば、「ABI3100型 DNA Sequencer(Applied Biosystems社製)」等を用いて行うことができる。
該ポリペプチドをコードするDNAの一部の塩基配列が明らかになれば、例えば、インバースPCR法(Nucl. Acids Res., 16, 8186 (1988))によりその全体の配列を決定することができる。
このようにして得られるポリペプチドのDNAとして、例えば、配列表の配列番号2に示す塩基配列を含むDNAを挙げることができる。
以下に、配列表の配列番号2に示す塩基配列について説明する。
5.本発明のポリペプチドをコードするDNAの塩基配列
本発明のポリペプチドをコードするDNAとしては、例えば、以下の(A)〜(C)のDNAを挙げることができる。
(A)配列表の配列番号2に記載の塩基配列からなるDNA、
(B)配列表の配列番号2に記載の塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA、
(C)配列表の配列番号2に記載の塩基配列において、1若しくは複数個の塩基が欠失、置換、挿入もしくは付加された塩基配列からなるDNA。
ここで、「配列表の配列番号2に記載の塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA」とは、配列表の配列番号2に示した塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAをプローブとして、ストリンジェントな条件下にコロニー・ハイブリダイゼーション法、プラーク・ハイブリダイゼーション法、あるいはサザンハイブリダイゼーション法等を用いることにより得られるDNAを意味する。
ハイブリダイゼーションは、「Molecular Cloning, A laboratory manual, second edition (Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989)」等に記載されている方法に準じて行うことができる。ここで、ストリンジェントな条件でハイブリダイズするDNAとは、例えば、コロニーあるいはプラーク由来のDNAを固定化したフィルターを用いて、0.7〜1.0MのNaCl存在下、65℃でハイブリダイゼーションを行った後、2倍濃度のSSC溶液(1倍濃度のSSC溶液の組成は、150mM塩化ナトリウム、15mMクエン酸ナトリウムよりなる)を用い、65℃の条件下でフィルターを洗浄することにより取得できるDNAをあげることができる。好ましくは65℃で0.5倍濃度のSSC溶液で洗浄、より好ましくは65℃で0.2倍濃度のSSC溶液で洗浄、更に好ましくは65℃で0.1倍濃度のSSC溶液で洗浄することにより取得できるDNAである。
以上のようにハイブリダイゼーション条件を記載したが、これらの条件に特に制限されない。ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに影響する要素としては温度や塩濃度など複数の要素が考えられ、当業者であればこれら要素を適宜選択することで最適なストリンジェンシーを実現することが可能である。
上記の条件にてハイブリダイズ可能なDNAとしては、配列番号2に示されるDNAと、配列同一性が70%以上、好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上、さらにより好ましくは85%以上、最も好ましくは90%以上のDNAをあげることができ、コードされるポリペプチドが、上記のアミノ基転移活性を有する限り、上記DNAに包含される。
ここで、DNAの配列同一性(%)とは、対比される2つのDNAを最適に整列させ、核酸塩基(例えば、A、T、C、G、U、またはI)が両方の配列で一致した位置の数を比較塩基総数で除し、そして、この結果に100を乗じた数値で表される。
DNAの配列同一性は、例えば、以下の配列分析用ツールを用いて算出し得る:GCG Wisconsin Package(Program Manual for The Wisconsin Package, Version8, 1994年9月, Genetics Computer Group, 575 Science Drive Medison, Wisconsin, USA 53711; Rice, P. (1996) Program Manual for EGCG Package, Peter Rice, The Sanger Centre, Hinxton Hall, Cambridge, CB10 1RQ, England)、及び、the ExPASy World Wide Web分子生物学用サーバー(Geneva University Hospital and University of Geneva, Geneva, Switzerland)。
ここで、配列表の配列番号2に記載の塩基配列に1若しくは複数個の塩基が欠失、置換、挿入もしくは付加されたDNAとは、「Current Protocols in Molecular Biology(John Wiley and Sons, Inc., 1989)」等に記載の公知の方法に準じて調製することができる。
配列表の配列番号2に示した塩基配列において、塩基が欠失、置換、挿入もしくは付加される場所は特に制限されないが、高度保存領域を避け、フレームシフトが生じないようにするのが好ましい。ここで、高度保存領域とは、由来の異なる複数のポリペプチドについて、塩基配列を最適に整列させて比較した場合に、複数の配列間で塩基が一致している位置を表す。高度保存領域は、配列番号2に示した塩基配列と、公知の微生物由来のアミノ基転移酵素遺伝子の塩基配列とをGENETYX等のツールを用いて比較することで確認することができる。
欠失、置換、挿入もしくは付加により改変された塩基配列としては、1種類のタイプ(例えば置換)の改変のみを含むものであっても良いし、2種類以上の改変(例えば、置換と挿入)を含んでいても良い。
上記の記載の複数個の塩基とは例えば150個、好ましくは100個、より好ましくは50個、さらに好ましくは20個、10個、5個、4個、3個、または2個以下の塩基、を意味する。
6.ベクター
本発明の実施形態のDNAを宿主微生物内に導入し、それをその導入された宿主微生物内で発現させるために用いられるベクターDNAとしては、適切な宿主微生物内で該DNAがコードするポリペプチドを発現できるものであればいずれでもよい。このようなベクターDNAとしては、例えば、プラスミドベクター、ファージベクター、コスミドベクターなどが挙げられる。また、他の宿主株との間での遺伝子交換が可能なシャトルベクターも使用され得る。
このようなベクターは、作動可能に連結されたプロモーター(lacUV5プロモーター、trpプロモーター、trcプロモーター、tacプロモーター、lppプロモーター、tufBプロモーター、recAプロモーター、pLプロモーター等)の制御因子を含み、本発明のDNAと作動可能に連結された発現単位を含むベクターとして好適に用いられ得る。例えば、pUC18(東洋紡社製)、pUC19(東洋紡社製)、pUCNT(国際公開第WO94/03613号公報)などが挙げられる。
制御因子とは、機能的プロモーター及び、任意の関連する転写要素(例えばエンハンサー、CCAATボックス、TATAボックス、SPI部位など)を有する塩基配列をいう。
また、作動可能に連結とは、遺伝子の発現を調節するプロモーター、エンハンサー等の種々の調節エレメントと遺伝子が、宿主細胞中で作動し得る状態で連結されることをいう。制御因子のタイプ及び種類が、宿主に応じて変わり得ることは、当業者に周知の事項である。
各種生物において利用可能なベクター、プロモーター等に関しては、「微生物学基礎講座8遺伝子工学(共立出版、1987)」などに詳細に記述されている。
7.宿主および形質転換体
本発明の実施形態のDNAを発現させるために用いる宿主生物は、各ポリペプチドをコードするDNAを含む発現ベクターにより形質転換され、DNAを導入したポリペプチドを発現することができる生物であれば、特に制限はされない。利用可能な微生物としては、例えば、エシェリヒア(Escherichia)属、バチルス(Bacillus)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、セラチア(Serratia)属、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属、コリネバクテリイウム(Corynebacterium)属、ストレプトコッカス(Streptococcus)属、及びラクトバチルス(Lactobacillus)属など宿主ベクター系の開発されている細菌、ロドコッカス(Rhodococcus)属及びストレプトマイセス(Streptomyces)属など宿主ベクター系の開発されている放線菌、サッカロマイセス(Saccharomyces)属、クライベロマイセス(Kluyveromyces)属、シゾサッカロマイセス(Schizosaccharomyces)属、チゴサッカロマイセス(Zygosaccharomyces)属、ヤロウイア(Yarrowia)属、トリコスポロン(Trichosporon)属、ロドスポリジウム(Rhodosporidium)属、ピキア(Pichia)属、及びキャンディダ(Candida)属などの宿主ベクター系の開発されている酵母、ノイロスポラ(Neurospora)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、セファロスポリウム(Cephalosporium)属、及びトリコデルマ(Trichoderma)属などの宿主ベクター系の開発されているカビ、などが挙げられる。また、微生物以外でも、植物、動物において様々な宿主・ベクター系が開発されており、特に蚕を用いた昆虫(Nature315,592−594(1985))や菜種、トウモロコシ、ジャガイモなどの植物中に大量に異種タンパク質を発現させる系が開発されており、好適に利用できる。これらのうち、導入及び発現効率から細菌が好ましく、大腸菌が特に好ましい。
本発明のDNAを含むポリペプチド発現ベクターは、公知の方法により宿主微生物に導入できる。例えば、宿主微生物として大腸菌を用いる場合は、市販のE.coli HB101コンピテントセル(タカラバイオ社製)を用いることにより、当該ベクターを宿主細胞に導入できる。
8.光学活性アミノ化合物の製造方法
次に、本発明の実施形態のポリペプチドまたは当該ポリペプチドの生産能を持つ微生物を用いて光学活性アミノ化合物を製造する方法について説明する。
本発明の実施形態のポリペプチドの生産能を持つ微生物としては、例えば、前記アルスロバクター・エスピー(Arthrobacter sp.)KNK04−25、及び、実施形態のDNAを含むベクターを導入された形質転換体が挙げられる。
本発明の光学活性アミノ化合物の製造方法としては、目的とするアミノ化合物と同じ骨格のケトン化合物に、アミノ基供与体からアミノ基を転移させ、生成する光学活性アミノ化合物を採取する方法(以下、製造方法Iとする)と、アミノ化合物のエナンチオマー混合物のうち、一方のエナンチオマーのアミノ基を選択的にアミノ基受容体に転移させ、残存するエナンチオマー(光学活性アミノ化合物)を採取する方法(以下、製造方法IIという)が挙げられる。
まず、製造方法Iについて説明する。
(製造方法I)
製造方法Iは、ケトン化合物に、アミノ基供与体の存在下、本発明のポリペプチド、あるいは本発明のポリペプチドの生産能を持つ形質転換体の培養物を作用させ、光学活性アミノ化合物を製造する方法である。
本製造方法は、例えば、一般式(1):
Figure 0005936545
で表されるケトン化合物に、アミノ基供与体の存在下、前記ポリペプチドあるいは該ポリペプチドの生産能を持つ微生物の培養物を作用させることにより、一般式(2):
Figure 0005936545
で表される光学活性アミノ化合物の製造方法である。
前記式(1)および(2)において、RおよびRは置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアラルキル基もしくは置換されていてもよいアリール基を示し、RとRの両者が互いに結合して環を形成していてもよい。但し、RとRは構造が異なる。
とRは、好ましくは炭素数1から20の置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアラルキル基もしくは置換されていてもよいアリール基であり、より好ましくは、炭素数1から10の置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアラルキル基もしくは置換されていてもよいアリール基である。
アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、ピリジル基、チエニル基、オキサジアゾリル基、イミダゾリル基、チアゾリル基、フリル基、ピロリル基、フェノキシ基、ナフトキシ基、ピリジルオキシ基、チエニルオキシ基、オキサジアゾリルオキシ基、イミダゾリルオキシ基、チアゾリルオキシ基、フリルオキシ基、ピロリルオキシ基等が挙げられる。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、tert−ブトキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、ビニル基、アリル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等が挙げられる。アラルキル基としては、ベンジル基等が挙げられる。
これらの基は更に置換されていてもよく、その置換基としては、ハロゲン原子、窒素原子、硫黄原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、メトキシ基、エトキシ基、カルボキシル基、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基やメチレンジオキシ等が挙げられる。また、環の形成は置換基を介してもよい。
上記ケトン化合物の具体的な化合物としては、例えば、1−テトラロン、2−テトラロン、5−メトキシ−2−テトラロン、6−メトキシ−2−テトラロン、7−メトキシ−2−テトラロン、8−メトキシ−2−テトラロン、1−ベンジル−3−ピロリジノン、1−Boc−3−ピロリジノン、1−Cbz−3−ピロリジノン、1−ベンジル−3−ピペリジノン、1−Boc−3−ピペリジノン、1−Cbz−3−ピペリジノン、アセトフェノン、3,4−ジメトキシフェニルアセトンなどが挙げられる。
(アミノ基供与体)
アミノ基供与体としては、本発明のポリペプチドが作用するアミン化合物であればいかなるものでも使用できる。具体例としては1−フェネチルアミン、2−ブチルアミン、2−ペンチルアミン、2−ヘプチルアミン、3−ヘプチルアミン、n−エチルアミン、n−プロピルアミン、n−ブチルアミン、n−アミルアミン、イソプロピルアミン、イソブチルアミン、グリシン、アラニン、グルタミン酸、3−アミノ−1−フェニルブタン、ベンジルアミン、β−フェネチルアミン、シクロヘキシルアミンおよびそれらの光学活性体が挙げられる。なかでも、1−フェネチルアミン、特に、安価で、かつ、溶解度が高い点ではグルタミン酸が好ましい。
(ポリペプチドの形態)
製造方法Iにおいては、前記ケトン化合物に、アミノ基供与体の存在下、前記本発明のポリペプチドまたは当該ポリペプチドの生成能を有する微生物の培養物を作用させる。
ここで、「培養物」とは、菌体を含む培養液、培養菌体、又はその処理物を意味する。ここで「その処理物」とは、例えば、無細胞抽出液、凍結乾燥菌体、アセトン乾燥菌体、又はそれら菌体の磨砕物等を意味する。さらにこれらポリペプチド及び培養物は、公知の手段により固定化ポリペプチドあるいは固定化菌体の形態として用いることもできる。固定化は、当業者に周知の方法(例えば架橋法、物理的吸着法、包括法等)で行なうことができる。
(反応平衡、生成物阻害の解消による反応性の改善)
アミノ基転移反応を用いたアミノ化反応は一般的に可逆反応であるため、一般的に平衡点で見かけ上反応が停止する。これらの反応平衡を解消する公知の方法を組み合わせることで本発明のポリペプチドを用いた反応を改善することができる。
例えば、WO2007/139055Aに記載のように、アミノ基供与体としてアラニンを用いて、副生成するピルビン酸を乳酸脱水素酵素と補酵素再生用のグルコース脱水素酵素を共役させることでアミノ基転移酵素に作用しない乳酸へ変換し、反応平衡を解消する方法が有効である。同様に、アミノ基供与体としてアラニンを用いて、副生成するピルビン酸を、ピルビン酸デカルボキシラーゼで除く方法(WO2007/093372A1)、アラニン脱水素酵素を用いる方法(US2009/0117627A1, Evonik Degussa GmbH)、過酸化水素で除く方法(US2008/0213845A1)、アセト酪酸合成酵素を用いる方法(Biosci. Biotechnol. Biochem. 72(11), 3030−3033 (2008))なども有効である。
あるいは、アミノ基供与体としてグルタミン酸を用いて、副生成する2−ケトグルタル酸をマンデル酸脱水素酵素あるいはヒドロキシイソカプロン酸脱水素酵素と補酵素再生用のグルコース脱水素酵素もしくはギ酸脱水素酵素を共役させることでアミノ基転移酵素に作用しない2−ヒドロキシグルタル酸へ変換し、反応平衡を解消する方法が有効である。同様に、アミノ基供与体としてグルタミン酸を用いて、副生成する2−ケトグルタル酸をグルタミン酸脱水素酵素と補酵素再生用のグルコース脱水素酵素もしくはギ酸脱水素酵素を共役させることでグルタミン酸へ変換し、反応平衡を解消する方法が有効である。
また、反応平衡だけでなく、アミノ基供与体から副生成するケトン化合物による生成物阻害の解消にもこれらの手法は有効な手段となる。
(基質濃度)
反応に用いる基質の濃度としては、ケトン化合物は、反応液組成中、0.1〜80重量%、好ましくは1〜50重量%であり、また、アミノ基供与体は、キラルアミンの場合は、ケトン化合物に対し、80〜1200モル%、好ましくは100〜600モル%の濃度になるように用いることが好ましい。なお、前記アミノ基供与体としてラセミ体のアミノ化合物の場合は、一方の立体が上記の濃度となるように使用することもできる。
(反応pH)
本発明のポリペプチドを作用させる際のpHは、ポリペプチドの至適pHの観点から、下限は、好ましくはpH6.0以上であり、より好ましくはpH7.0以上であり、上限は、好ましくはpH9.0以下であり、より好ましくはpH8.0以下であることが望ましい。複数のポリペプチド(酵素)を共役させる場合には使用する全ての酵素が安定的かつ高活性に作用するpHを選択することが好ましい。
(反応温度)
本発明のポリペプチドを作用させる際の温度は、ポリペプチドの至適温度および熱安定性の観点から、好ましくは25℃以上であり、より好ましくは30℃以上であり、好ましくは60℃以下であり、より好ましくは50℃以下である。複数のポリペプチド(酵素)を共役させる場合には使用する全ての酵素が安定的かつ高活性に作用する反応温度を選択することが好ましい。
(溶媒)
反応溶媒は、通常、イオン交換水、緩衝液等の水性媒体を使用するが、有機溶媒を含んだ系でも反応を行なうことができる。有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、その他、アセトニトリル等を適宜使用できる。
(2相系)
必要に応じて、上記の有機溶媒を水への溶解度以上に加えて2相系で反応を行なうこともできる。有機溶媒を反応系に共存させることで、選択率、変換率、収率などが向上する場合も多い。
(反応時間)
反応は、通常、1時間〜1週間、好ましくは1〜72時間であり、そのような時間で反応が終了する反応条件を選択することが好ましい。
(抽出精製)
上記の反応により、光学活性アミノ化合物が生成する。生成した光学活性アミノ化合物は、反応混合液から抽出、蒸留、再結晶、カラム分離など公知の方法によって単離することができる。
例えば、pHを酸性に調節後、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、ヘキサン、オクタン、ベンゼン等の炭化水素系溶媒、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒等、一般的な溶媒により生成した光学活性アミノ化合物を水相に残したまま、未反応の基質およびアミノ基転移反応により生じたアミノ基供与体に対応するケトン化合物を選択的に除くことができる。 生成した光学活性アミノ化合物および未反応のアミノ基供与体は、例えば、pHを塩基性に調節し、同様に一般的な有機溶媒で抽出することができる。生成した光学活性アミノ化合物と未反応のアミノ基供与体は、例えば、蒸留により分離することができる。
次に本発明の製造方法IIについて説明する。
(製造方法II)
本製造方法は、アミノ化合物のエナンチオマー混合物にアミノ基受容体の存在下、本発明のポリペプチド、または本発明のポリペプチドの生産能を持つ形質転換体の培養物を作用させる光学活性アミノ化合物の製造方法である。
本製造方法は、例えば、一般式(3):
Figure 0005936545
で表わされるアミノ化合物のエナンチオマー混合物に、アミノ基受容体の存在下、前記ポリペプチドあるいは該ポリペプチドの産生能を持つ微生物の培養物を作用させることにより、一般式(4):
Figure 0005936545
で表わされる光学活性アミノ化合物を得ることができる。
前記式(3)及び(4)におけるR、Rは、前記式(1)及び(2)におけるR、Rと同じである。
上記光学活性アミノ化合物の具体的な化合物としては、例えば、1−アミノテトラリン、2−アミノテトラリン、5−メトキシ−2−アミノテトラリン、6−メトキシ−2−アミノテトラリン、7−メトキシ−2−アミノテトラリン、8−メトキシ−2−アミノテトラリン、1−ベンジル−3−アミノピロリジン、1−Boc−3−アミノピロリジン、1−Cbz−3−アミノピロリジン、1−ベンジル−3−アミノピペリジン、1−Boc−3−アミノピペリジン、1−Cbz−3−アミノピペリジン、1−フェネチルアミン、3,4−ジメトキシアンフェタミン、などが挙げられる。
(アミノ基受容体)
本方法においては、ケトン化合物をアミノ基受容体として用いる。当該ケトン化合物としては、アミノ基受容体としての活性があればいかなるケトン化合物であってもよいが、好ましくは、2−ケトグルタル酸あるいはグリオキシル酸である。
製造方法IIにおいては、アミノ化合物のエナンチオマー混合物に、上記アミノ基受容体の存在下、前記本発明のポリペプチドまたは当該ポリペプチドの生成能を有する形質転換体の培養物を作用させる。
ここで、アミノ化合物のエナンチオマー混合物とは、エナンチオマーとその鏡像体の混合物を表す。通常は、ラセミ体が安価で入手しやすく、ラセミ体を用いることが好ましい。ただし、ラセミ体に限定されず、例えば、エナンチオマーがその鏡像体よりも若干過剰に含まれる混合物を用いて、製造方法IIにより、その光学純度を高めることも好ましく行い得る。
なお、培養物の意味するところは、前述の製造方法Iの場合と同様である。
また、アミノ化合物の濃度は、反応液組成中、0.1〜80重量%、好ましくは1〜50重量%である。アミノ基受容体の濃度は、アミノ化合物に対し、30〜100モル%、好ましくは50〜60モル%で用いることが好ましい。反応pH、反応温度、反応溶媒は製造方法Iと同様の条件が用いられ得る。
上記の反応により、光学活性アミノ化合物が生成する。生成した光学活性アミノ化合物は、製造方法Iと同様の方法で反応混合液から単離することができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例になんら限定されるものではない。
(実施例1)アルスロバクター・エスピー(Arthrobacter sp.)KNK04−25由来アミノ基転移活性を有するポリペプチドの取得、精製
(S)−1−フェネチルアミンをアミノ基供与体として1−ベンジル−3−ピロリジノンをアミノ化する微生物である、アルスロバクター・エスピー(Arthrobacter sp.)KNK04−25(NITE BP−954)を土壌より分離した。上記の反応を触媒するアミノ基転移活性をもつポリペプチドの精製、その構造遺伝子のクローニング、及び構造遺伝子を含む組換えベクターの構築を行った。以下、本ポリペプチドをTATと記載する。
(アミノ基転移活性測定方法)
酵素液0.2mLに下記組成を有する基質溶液0.8mLを添加し、30℃で60分間反応させた後、6規定塩酸を50μL添加して反応を停止させた。この反応液を、下記条件による高速液体クロマトグラフィーで分析し、生成したアセトフェノンを定量した。本反応条件において、1分間に1μmolのアセトフェノンが生成する活性を、1Uと定義した。
[基質溶液組成]
(S)−1−フェネチルアミン 25mM
2−ケトグルタル酸 25mM
ピリドキサルリン酸 2.5mM
トリス・塩酸緩衝液(pH8.0) 0.1M
[高速液体クロマトグラフィーによる測定条件]
カラム:Cosmosil 5C8−MS (ナカライテスク社製)
溶離液:蒸留水2000mL/アセトニトリル500mL/メタノール500ml/KHPO 6.1g/HPO 2.5g
流速:1mL/分
検出:254nm
カラム温度:30℃
上記アルスロバクター・エスピー(Arthrobacter sp.)KNK04−25を大試験管に5mLの2YT培地(組成:16g/L トリプトン(ベクトン ディッキンソン社製)、10g/L イーストエキス(ベクトン ディッキンソン社製)、5g/L NaCl(pH 7.0))に植菌し、30℃で1日培養し、前培養液を得た。
次に、5リットル容ミニジャー中で3.0LのN培地(組成:5g/L ポリペプトン(日本製薬社製)、3g/L D−グルコース、2g/L NaCl、0.2g/L イーストエキス(ベクトン ディッキンソン社製)、6滴 アデカノールLG−109(日本油脂製)、0.5g/L (S)−1−フェネチルアミン(pH7.0))に、得られた前培養液を植菌し、通気量0.3vvm、撹拌回転数350rpm、30℃で27時間培養した。
ついで、遠心分離により培養液から菌体を集め、0.5mM ジチオトレイトール、0.5mM ピリドキサルリン酸、0.1mM フェニルメチルスルホニルフルオリドを含む10mMリン酸緩衝液(pH7.0)に懸濁した。得られた懸濁液を超音波破砕により破砕した。次に、該破砕物中の固形物を遠心分離により除去し、無細胞抽出液を調製した。
得られた無細胞抽出液を60℃で30分間保持し、ついで生じた沈殿を遠心分離により除去した。この上清に40%飽和となるように硫酸アンモニウムを添加し、これを溶解させ、ついで生じた沈殿を遠心分離により除去した。この上清に70%飽和となるように硫酸アンモニウムを添加し、これを溶解させて、ついで遠心分離により生じた沈殿を回収した。
この沈殿を0.5mM ジチオトレイトール、0.5mM ピリドキサルリン酸、0.1mM フェニルメチルスルホニルフルオリドを含む10mMリン酸緩衝液(pH7.0)で溶解させ、さらに同緩衝液に対し透析を行なった。これを、同じ緩衝液で平衡化させたTOYOPEARL DEAE−650M(東ソー株式会社製)カラム(90mL)に供し、活性画分を吸着させた。同一緩衝液でカラムを洗浄した後、塩化ナトリウムのリニアグラジエント(0.1Mから0.5Mまで)により活性画分を溶出させた。
溶出させた活性画分を集めて、これに、終濃度1.5Mとなるように硫酸アンモニウムを溶解し、1.5M硫酸アンモニウム、0.5mM ジチオトレイトール、0.5mM ピリドキサルリン酸、0.1mM フェニルメチルスルホニルフルオリドを含む10mMリン酸緩衝液(pH7.0)であらかじめ平衡化したTOYOPEARL Butyl−650S(東ソー株式会社製)カラム(20mL)に供し、活性画分を吸着させた。同一緩衝液でカラムを洗浄した後、硫酸アンモニウムのリニアグラジエント(1.0Mから0.4Mまで)により活性画分を溶出させた。活性画分を集め、PD−10カラム(GEヘルスケア・ジャパン株式会社製)を用い0.5mM ジチオトレイトール、0.5mM ピリドキサルリン酸、0.1mM フェニルメチルスルホニルフルオリドを含む10mMリン酸緩衝液(pH7.0)に緩衝液交換を行ない、電気泳動的にほぼ単一な精製酵素標品を得た。
(実施例2)TAT遺伝子のクローニング
(PCRプライマーの作成)
実施例1で得られた精製TATのN末端アミノ酸配列をPPSQ−33A型全自動タンパク質一次構造分析機(島津製作所製社製)により決定した。また、上記で得られた精製TATを8M尿素存在下で変性させた後、アクロモバクター由来のリシルエンドペプチダーゼ(和光純薬工業社製)で消化し、得られたペプチド断片のアミノ酸配列をN末端アミノ酸配列と同様の方法で決定した。このアミノ酸配列から予想される塩基配列を考慮し、TAT遺伝子の一部をPCRにより増幅するためのプライマー1(配列表の配列番号3)、および、プライマー2(配列表の配列番号4)を合成した。
(PCRによるTAT遺伝子の増幅)
上記アルスロバクター・エスピー(Arthrobacter sp.)KNK04−25の培養液から、Ausubel等の方法(Current Protocols in Molecular Biology, 1987)に記載の方法に従って染色体DNAを抽出した。得られた染色体DNAを鋳型に、上記で合成したプライマー1および2を用いてPCRを行った。その結果、遺伝子の一部と考えられる約450bpのDNA断片を取得した。PCRは、DNAポリメラーゼとしてTaKaRa Ex Taq(タカラバイオ社製)を用いて行い、反応条件はその取り扱い説明書に従った。
このDNA断片を、ABI PRISM Dye Terminator Cycle Sequencing Ready Reaction Kit(Applied Biosystems社製)およびABI 3100 DNA Sequencer(Applied Biosystems社製)を用いてその塩基配列を決定した。その塩基配列を配列表の配列番号5に示した。
(inverse−PCR法によるTAT遺伝子の全長配列の決定)
上記で得たアルスロバクター・エスピー KNK04−25の染色体DNAを制限酵素AatII、ApaLIまたはPstIを用いて完全消化し、得られた消化物をT4DNAリガーゼ(タカラバイオ社製)を用いて各々分子内環化させた。これを鋳型として用い、上記で判明したTAT遺伝子の部分塩基配列情報をもとに、inverse−PCR法(Nucl. Acids Res., 16, 8186 (1988))により、染色体DNA上のTAT遺伝子の全塩基配列を決定した。PCRは、TaKaRa LA Taq HS(タカラバイオ社製)を用いて行い、反応条件はその取り扱い説明書に従った。 決定した塩基配列を配列表の配列番号2に示した。また、該塩基配列がコードするアミノ酸配列を配列表の配列番号1に示した。
(実施例3)TAT遺伝子を含む組換えプラスミドの作製
実施例2で決定した塩基配列に基づき、TAT遺伝子の開始コドン部分にNdeI部位を付加したプライマー3(配列表の配列番号6)と、TAT遺伝子の終始コドンの直後にEcoRI部位を付加したプライマー4(配列表の配列番号7)とを合成した。実施例2で得たアルスロバクター・エスピー KNK04−25の染色体DNAを鋳型とし、これらのプライマーを用いてPCRを行い、TAT遺伝子の開始コドン部分にNdeI部位を付加し、かつ終始コドンの直後にEcoRI部位を付加した二本鎖DNAを取得した。PCRは、PrimeSTAR HS(タカラバイオ社製)を用いて行い、反応条件はその取り扱い説明書に従った。このDNAをNdeI及びEcoRIで消化し、プラスミドpUCNT(WO94/03613)のlacプロモーターの下流のNdeI認識部位とEcoRI認識部位の間に挿入し、組換えベクターpNTTATを得た。
(実施例4)組換え大腸菌の作製
実施例3で得た組換えプラスミドpNTTATを用いて、大腸菌 E. coli HB101(タカラバイオ社製)を形質転換し、組換え大腸菌E. coli HB101(pNTTAT)を得た。比較例として、上記プラスミドpUCNTを用いて、大腸菌E. coli HB101(タカラバイオ社製)を形質転換し、組換え大腸菌 E. coli HB101 (pUCNT)を得た。
(実施例5)組換え大腸菌を用いたTAT遺伝子の発現
実施例4で得た形質転換体E. coli HB101(pNTTAT)、および、比較例であるE. coli HB101(pUCNT)を、200μg/mlのアンピシリンを含む2YT培地(組成:16g/L トリプトン(ベクトン ディッキンソン社製)、10g/L イーストエキス(ベクトン ディッキンソン社製)、5g/L NaCl(pH 7.0))で培養し、集菌後、100mMリン酸緩衝液(pH7.0)に懸濁し、超音波破砕した後、遠心分離により菌体残渣を除去し、無細胞抽出液を得た。
この無細胞抽出液のトランスアミナーゼ活性を実施例1に示した(S)−1−フェネチルアミンと2−ケトグルタル酸を基質とした活性測定法により測定した。その結果、E. coli HB101(pNTTAT)の無細胞抽出液では、5.0U/mlの活性が見られた。E. coli HB101(pUCNT)の無細胞抽出液では活性は見られなかった。
(実施例6)TATの理化学的性質1
実施例5で得た無細胞抽出液を用いて、TATの1−ベンジル−3−ピロリジノンに対する活性と生成(S)−1−ベンジル−3−アミノピロリジンの光学純度について調べた。
(1−ベンジル−3−ピロリジノンに対する活性と生成(S)−1−ベンジル−3−アミノピロリジンの光学純度測定方法)
光学活性(S)−1−フェネチルアミンと1−ベンジル−3−ピロリジノンとに作用してアセトフェノンと(S)−1−ベンジル−3−アミノピロリジンとを生成するアミノ基転移反応を触媒する活性を調べた。実施例5で得られた無細胞抽出液に、最終濃度が下記基質溶液組成となるように各試薬を添加した。30℃で2時間反応させた後、反応液を下記条件のHPLCにて分析した。
その結果、変換率100%で(S)−1−ベンジル−3−アミノピロリジンが生成し、その光学純度は100%e.e.であった。
[基質溶液組成]
1−ベンジル−3−ピロリジノン 57mM
(S)−1―フェネチルアミン 57mM
ピリドキサルリン酸 0.5mM
リン酸カリウム緩衝液(pH7.0) 0.1M
[高速液体クロマトグラフィーによる測定条件]
<定量分析>
カラム:Finepak SIL C18−T (日本分光社製)
溶離液:蒸留水 945mL/アセトニトリル 555mL/KHPO 7.5g/SDS 2.16g(HPOでpH3.6に調製)
流速:1mL/分
検出:254nm
カラム温度:40℃
<光学純度分析>
反応液を適量の炭酸ナトリウムで塩基性にしたのち、ジニトロベンゾイルクロリドで誘導体化した後、以下の条件で分析する。
カラム:Chiralpak IA(ダイセル化学工業株式会社製)
溶離液:ヘキサン/エタノール/ジエチルアミン/アセトニトリル=800/200/1/5(体積比)
流速:0.8mL/分
検出:254nm
カラム温度:30℃
(実施例7)TATの理化学的性質2
実施例5で得た無細胞抽出液を用いて、TATのアミノ基転移活性について、実施例1に示した(S)−1−フェネチルアミンと2−ケトグルタル酸を基質とした活性測定法により測定した。
(1)至適pH:
pH4.0〜10の範囲で、上記と同様にしてアミノ基転移活性を測定し、TATの至適pHを調べた(ただし、測定するpHに応じて緩衝液は下記のものを用いた)。その結果、pH7での反応が最も活性が高く、pH7.0を100としたときの相対活性で70以上の値を示したpHはpH7.0およびpH8.0であった。
[緩衝液]
pH4.0、5.0の場合 :0.1M酢酸ナトリウム緩衝液
pH6.0、7.0の場合 :0.1Mリン酸カリウム緩衝液
pH8.0の場合 :0.1Mトリス−塩酸緩衝液
pH9.0、10の場合 :0.1M炭酸ナトリウム緩衝液
(2)至適温度:
温度30、40、50、60、70℃の範囲で、前記の活性測定方法と同様にアミノ基転移活性を測定し、TATの至適温度を調べた。その結果、40℃での反応が最も活性が高く、40℃を100としたときの相対活性で70以上の値を示した温度は30、40、50℃であった。
(3)熱安定性:
酵素液を、0.5mMピリドキサルリン酸、0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH8.0)中、温度30、40、50、60、70℃で30分間処理した後、前記の活性測定方法でアミノ基転移活性を測定し、TATの熱安定性を調べた。その結果、処理前を100としたときの相対活性で70以上の値を示した温度は30、40、50℃であった。
(実施例8)TATの理化学的性質3
実施例5で得た無細胞抽出液を用いて、TATの分子量について調べた。
10%ポリアクリルアミドゲル(アトー社製)を用い、ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法を行った。標準タンパク質としてPerfect Protein Markers(Novagen社製)を用い、この標準タンパク質の移動度と比較し、TATの分子量は約48kDaと算出した。
(実施例9)TATの理化学的性質4:アミノ基供与体特異性
実施例5で得た無細胞抽出液を用いて、TATのアミノ基供与体に対する基質特異性について調べた。
酵素液100μLに最終濃度が下記基質溶液組成となるように各試薬を添加し、0.1M リン酸カリウム緩衝液(pH7.0)で反応液の体積を400μLに調製した。30℃で60分間反応させた後、3規定塩酸を20μL加えて反応を停止させた。次に、得られた反応液20μLに0.2M炭酸ナトリウム水溶液80μL、3.3mg/mLダブシルクロリドのアセトン溶液200μLをそれぞれ加え、70℃で10分間反応させた。この反応液50μLに酢酸20μLを加えて攪拌し、下記条件による高速液体クロマトグラフィーで分析し、ダブシル化したグルタミン酸を定量した。なお、使用する酵素の活性は、本測定方法において、生成グルタミン酸量が2.8mM以下となるように調製した。
その結果を、ベンジルアミンをアミノ基供与体として用いたときの活性を100とした相対活性として表1に示す。表1に示すように、ベンジルアミン、±2-ブチルアミン、n−ブチルアミンに活性を示した。
[基質溶液組成]
各種アミノ化合物 14mM
2−ケトグルタル酸 14mM
ピリドキサルリン酸 0.5mM
リン酸カリウム緩衝液(pH7.0) 0.1M
[高速液体クロマトグラフィーによる測定条件]
カラム:Cosmosil 5C8−MS (ナカライテスク社製)
溶離液:蒸留水2000mL/アセトニトリル500mL/メタノール500ml/KHPO 6.1g/HPO 2.5g
流速:1mL/分
検出:254nm
カラム温度:30℃
Figure 0005936545
(実施例10)TATの理化学的性質5:アミノ基供与体特異性2
実施例5で得た無細胞抽出液を用いて、TATについて代表的なω―アミノ酸トランスアミナーゼの基質に対する反応性について調べた。
酵素液100μLに最終濃度が下記基質溶液組成となるように各試薬を添加し、0.1M リン酸カリウム緩衝液(pH7.0)で反応液の体積を400μLに調製した。30℃で60分間反応させた後、3規定塩酸を20μL加えて反応を停止させた。次に、得られた反応液20μLに0.2M炭酸ナトリウム水溶液80μL、3.3mg/mLダブシルクロリドのアセトン溶液200μLをそれぞれ加え、70℃で10分間反応させた。この反応液50μLに酢酸20μLを加えて攪拌し、下記条件による高速液体クロマトグラフィーで分析し、ダブシル化したグルタミン酸を定量した。なお、使用する酵素の活性は、本測定方法において、生成グルタミン酸量が2.8mM以下となるように調整した。
その結果を、(S)−1−フェネチルアミンをアミノ基供与体として用いたときの活性を100とした相対活性として表2に示す。表2に示すように、本ポリペプチドはβ−アラニン、4−アミノ酪酸、5−アミノ吉草酸、6−アミノカプロン酸、±2,4−ジアミノ酪酸、L−オルニチン、L−リジンおよびプトレッシンに対し活性を示さなかった。
[基質溶液組成]
各種アミノ化合物 14mM
2−ケトグルタル酸 14mM
ピリドキサルリン酸 0.5mM
リン酸カリウム緩衝液(pH7.0) 0.1M
[高速液体クロマトグラフィーによる測定条件]
カラム:YMC−Pack Pro C18 RS(YMC社製)
溶離液:アセトニトリル/45mM酢酸緩衝液(pH4.1)=35/65(体積比)
流速:0.9mL/分
検出:254nm
カラム温度:30℃
Figure 0005936545
(実施例11)TATの理化学的性質6:アミノ基供与体特異性3
実施例5で得られた無細胞抽出液を用いて、TATのアミノ基供与体に対する基質特異性について調べた。酵素液200μLに最終濃度が下記基質溶液組成となるように各試薬を添加し、0.1M リン酸カリウム緩衝液(pH7.0)で反応液の体積を400μLに調製した。30℃で90分間反応させた後、6規定塩酸を15μL加えて反応を停止させる。次に、得られた反応液を生成した下記条件による高速液体クロマトグラフィーで分析した。
その結果を、L−アラニンをアミノ基供与体として用いたときの活性を100とした相対活性として表3に示す。表3に示すように、L−アラニンよりL−グルタミン酸に対し高い活性を示した。
[基質溶液組成]
1−ベンジル−3−ピロリジノン 29mM
各種アミノ化合物 290mM
ピリドキサルリン酸 0.5mM
リン酸カリウム緩衝液(pH7.0) 0.1M
[高速液体クロマトグラフィーによる定量分析条件]
<定量分析>
カラム:Finepak SIL C18−T (日本分光社製)
溶離液:蒸留水 945mL/アセトニトリル 555mL/KHPO 7.5g/SDS 2.16g(HPOでpH3.6に調製)
流速:1mL/分
検出:254nm
カラム温度:40℃
<光学純度分析>
反応液を適量の炭酸ナトリウムで塩基性にしたのち、ジニトロベンゾイルクロライドで誘導体化した後、以下の条件で分析した。
カラム:Chiralcel IA(ダイセル化学工業社製)
溶離液:ヘキサン/エタノール/ジエチルアミン/アセトニトリル=800/200/1/5(体積比)
流速:0.8mL/分
検出:254nm
カラム温度:30℃
Figure 0005936545
(実施例12)TATの理化学的性質7:アミノ基受容体特異性
実施例5で得た無細胞抽出液を用いて、TATのアミノ基受容体に対する基質特異性について調べた。
酵素液100μLに最終濃度が下記基質溶液組成となるように各試薬を添加し、0.1M リン酸カリウム緩衝液(pH7.0)で反応液の体積を400μLに調製した。30℃で60分間反応させた後、6規定塩酸を50μL添加して反応を停止させた。この反応液を、下記条件による高速液体クロマトグラフィーで分析し、生成したアセトフェノンを定量した。
その結果を、2−ケトグルタル酸をアミノ基受容体として用いたときの活性を100とした相対活性として表4に示す。表4に示すように、2-ケトグルタル酸に高い活性を示し、グリオキシル酸、ピルビン酸にも活性を示した。
[基質溶液組成]
各種ケトン化合物 14mM
(S)−1−フェネチルアミン 14mM
ピリドキサルリン酸 0.5mM
リン酸カリウム緩衝液(pH7.0) 0.1M
[高速液体クロマトグラフィーによる測定条件]
カラム:Cosmosil 5C8−MS (ナカライテスク社製)
溶離液:蒸留水2000mL/アセトニトリル500mL/メタノール500ml/KHPO 6.1g/HPO 2.5g
流速:1mL/分
検出:254nm
カラム温度:30℃
Figure 0005936545
(実施例13)ラクトバシラス パラカゼイ サブエスピー パラカゼイ(Lactobacillus paracasei subsp. paracasei)JCM1181由来D−ヒドロキシイソカプロン酸脱水素酵素遺伝子(RLC)のクローニング
ラクトバシラス パラカゼイ サブエスピー パラカゼイ(Lactobacillus paracasei subsp. paracasei)JCM1181より、α−ケト酸還元酵素の一つであるD−ヒドロキシイソカプロン酸脱水素酵素(以下RLCと略す)の遺伝子を、以下の方法でクローニングした。このラクトバシラス パラカゼイ サブエスピー パラカゼイ(Lactobacillus paracasei subsp. paracasei)JCM1181株は、独立行政法人 理化学研究所 バイオリソースセンター(〒351−0198 埼玉県和光市広沢2−1)より当業者が入手可能である。このRLCは、本発明の「α−ケト酸還元酵素(β)」の一実施例である。
(PCRプライマーの作成)
遺伝子データバンクに登録されている既知のD−ヒドロキシイソカプロン酸脱水素酵素の遺伝子配列情報(Genebank M26929)を参考に、RLC遺伝子の開始コドン部分にNdeI部位を付加したプライマー5(配列表の配列番号8)と、RLC遺伝子の終始コドンの直後にKpnI部位を付加したプライマー6(配列表の配列番号9)を合成した。また、RLC遺伝子内部に存在するNdeI部位を破壊するために165番目のAをGに置換したプライマー7(配列表の配列番号10)と8(配列表の配列番号11)を合成した。
(PCRによるRLC遺伝子の増幅)
上記ラクトバシラス パラカゼイ サブエスピー パラカゼイ(Lactobacillus paracasei subsp. paracasei)JCM1181の培養液から、Ausubel等の方法(Current Protocols in Molecular Biology, 1987)に記載の方法に従って染色体DNAを抽出した。得られた染色体DNAを鋳型に、上記で合成したプライマー5および7を用いてPCRを行った。その結果、遺伝子の一部と考えられる約200bpのDNA断片を取得した。さらに、プライマー6および8を用いてPCRを行った。その結果、遺伝子の一部と考えられる約1800bpのDNA断片を取得した。ついで、上記PCR断片2種類をQIAquick PCR purification Kit(QIAGEN社)の取り扱い説明書に従い精製し、混合してPCRを実施した。その結果、全長遺伝子に制限酵素部位を付加し、NdeI部位を破壊したと考えられる約2000bpのDNA断片を取得した。PCRは、DNAポリメラーゼとしてTaKaRa PrimeSTAR(タカラバイオ社製)を用いて行い、反応条件はその取り扱い説明書に従った。
このDNA断片を、ABI PRISM Dye Terminator Cycle Sequencing Ready Reaction Kit(Applied Biosystems社製)およびABI 3100 DNA Sequencer(Applied Biosystems社製)を用いてその塩基配列を決定した。その塩基配列を配列表の配列番号12に示した。
(実施例14)RLC遺伝子を含む組換えプラスミドの作製
実施例13で得たPCR断片を鋳型とし、前記プライマー5(配列表の配列番号8)とプライマー6(配列表の配列番号9)を用いてPCRを行い、RLC遺伝子の開始コドン部分にNdeI部位を付加し、終始コドンの直後にKpnI部位を付加し、かつRLC遺伝子内部のNdeI部位を破壊した二本鎖DNAを取得した。PCRは、PrimeSTAR(タカラバイオ社製)を用いて行い、反応条件はその取り扱い説明書に従った。このDNAをNdeI及びKpnIで消化し、プラスミドpUCNT(WO94/03613)のlacプロモーターの下流のNdeI認識部位とKpnI認識部位の間に挿入し、組換えベクターpNTLCを得た。
(実施例15)RLCを発現する組換え大腸菌の作製
実施例14で作成した組換えプラスミドpNTLCを用いて、大腸菌 E. coli HB101(タカラバイオ社製)を形質転換し、組換え大腸菌E. coli HB101(pNTLC)を得た。
上記の形質転換体E. coli HB101(pNTLC)を200μg/mlのアンピシリンを含む2YT培地(組成:16g/L トリプトン(ベクトン ディッキンソン社製)、10g/L イーストエキス(ベクトン ディッキンソン社製)、5g/L NaCl(pH 7.0))で培養し、集菌後、100mMリン酸緩衝液(pH7.0)に懸濁し、超音波破砕した後、遠心分離により菌体残渣を除去し、無細胞抽出液を得た。
この無細胞抽出液を、100mMリン酸緩衝液(pH6.5)に、2−ケトグルタル酸を終濃度20mM、補酵素NADHを終濃度0.25mMとなるよう調製した溶液に添加し、30℃で1分間反応を行った際の、当該反応液の波長340nmにおける吸光度の減少速度から算出した。本反応条件において、1分間に1μmolのNADHをNAD+に酸化する活性を、1Uと定義した。
その結果、E. coli HB101(pNTLC)の無細胞抽出液では、30U/mlの活性が見られた。
(実施例16)製造方法Iによる光学活性1−ベンジル−3−アミノピロリジンの製造
L−グルタミン酸と1−ベンジル−3−ピロリジノンを基質として(S)−1−ベンジル−3−アミノピロリジンとを生成するアミノ基転移反応を触媒する活性を調べた。
反応(1)
実施例5で得たTATポリペプチド無細胞抽出液を最終濃度がTAT5U/mLになるよう調製し、この酵素液に最終濃度が下記基質溶液組成1となるように各試薬を添加した。30℃で2時間反応させた後、反応液を下記条件のHPLCにて分析した。
反応(2)
実施例5で得たTATポリペプチド無細胞抽出液、実施例15で得たRLC酵素無細胞抽出液と市販グルコース脱水素酵素(天野エンザイム社製)を最終濃度がTAT5U/mL、RLC2U/mL、市販グルコース脱水素酵素8U/mLとなるように混合し、この酵素液に、最終濃度が下記基質溶液組成2となるように各試薬を添加した。30℃で2時間反応させた後、反応液を下記条件のHPLCにて分析した。
その結果を、反応(1)で生成した(S)−1−ベンジル−3−アミノピロリジン量を100とした相対生成量として表5に示す。表5に示すように、TATポリペプチドにRLC酵素とグルタミン酸脱水素酵素を共役させた場合(反応(2))では、反応(1)の約2倍の生成量を示した。
[基質溶液組成1]
1−ベンジル−3−ピロリジノン 57mM
L−グルタミン酸ナトリウム 171mM
ピリドキサルリン酸 0.5mM
リン酸カリウム緩衝液(pH7.0) 0.1M
[基質溶液組成2]
1−ベンジル−3−ピロリジノン 57mM
L−グルタミン酸ナトリウム 171mM
D−グルコース 57mM
NADH 0.6mM
ピリドキサルリン酸 0.5mM
リン酸カリウム緩衝液(pH7.0) 0.1M
[高速液体クロマトグラフィーによる測定条件]
<定量分析>
カラム:Finepak SIL C18−T (日本分光社製)
溶離液:蒸留水 945mL/アセトニトリル 555mL/KHPO 7.5g/SDS 2.16g(HPOでpH3.6に調製)
流速:1mL/分
検出:254nm
カラム温度:40℃
Figure 0005936545
(実施例17)製造方法Iによる光学活性1−ベンジル−3−アミノピロリジンの製造2
実施例4で得たE. coli HB101(pNTTAT)株を200μg/mlのアンピシリンを含む2×YT培地(トリプトン1.6%、イーストエキス1.0%、NaCl 0.5%、pH7.0)で培養し、集菌した。また、実施例15で得たE. coli HB101(pNTLC)株を、200μg/mlのアンピシリンを含む2×YT培地(トリプトン1.6%、イーストエキス1.0%、NaCl 0.5%、pH7.0)で培養し、集菌した。
基質である1−ベンジル−3−ピロリジノン150mg、L−グルタミン酸ナトリウム1.6g、D−グルコース150mg、NADH6mgを入れたフラスコに、上記菌体懸濁液と市販グルコース脱水素酵素(天野エンザイム社製)を最終濃度がTAT5U/mL、RLC2U/mL、市販グルコース脱水素酵素8U/mLとなるように混合し、ピリドキサルリン酸2mg、1Mリン酸カリウム緩衝液(pH7.5)1.5mLを入れて、脱イオン水を加えて全体積を30mLとした。これを、30℃で、水酸化ナトリウムでpH7.5に調整しながら24時間攪拌しながら反応させた。反応終了後、反応液をHPLCにて下記条件で分析した。
その結果、1−ベンジル−3−アミノピロリジンが変換率36%で生成していた。その立体配置は(S)体で光学純度は99%e.e.であった。
[高速液体クロマトグラフィーによる定量分析条件]
<定量分析>
カラム:Finepak SIL C18−T (日本分光社製)
溶離液:蒸留水 945mL/アセトニトリル 555mL/KHPO 7.5g/SDS 2.16g(HPOでpH3.6に調製)
流速:1mL/分
検出:254nm
カラム温度:40℃
<光学純度分析>
反応液を適量の炭酸ナトリウムで塩基性にしたのち、ジニトロベンゾイルクロライドで誘導体化した後、以下の条件で分析した。
カラム:Chiralcel IA(ダイセル化学工業社製)
溶離液:ヘキサン/エタノール/ジエチルアミン/アセトニトリル=800/200/1/5(体積比)
流速:0.8mL/分
検出:254nm
カラム温度:30℃
(実施例18)製造方法Iによる光学活性1−ベンジル−3−アミノピロリジンの製造3
実施例4で得たE. coli HB101(pTTAT)200μg/mlのアンピシリンを含む2×YT培地(トリプトン1.6%、イーストエキス1.0%、NaCl 0.5%、pH7.0)で培養し、集菌した。
基質である1−ベンジル−3−ピロリジノン150mg、L−グルタミン酸ナトリウム1.6g、リン酸二アンモニウム110mg、D−グルコース150mg、NADH 6mgを入れたフラスコに、上記菌体懸濁液を最終濃度がTAT5U/mL、市販グルタミン酸脱水素酵素(mpbio社)2U/mL、市販グルコース脱水素酵素(天野エンザイム社製)3U/mLとなるように混合し、ピリドキサルリン酸2mg、1Mリン酸カリウム緩衝液(pH7.5)1.5mLを入れて、脱イオン水を加えて全体積を30mLとした。これを、30℃で、水酸化ナトリウムでpH7.5に調整しながら24時間攪拌しながら反応させた。反応終了後、反応液をHPLCにて下記条件で分析した。
その結果、1−ベンジル−3−アミノピロリジンが変換率35%で生成していた。その立体配置は(S)体で光学純度は99%e.e.であった。
[高速液体クロマトグラフィーによる定量分析条件]
<定量分析>
カラム:Finepak SIL C18−T (日本分光社製)
溶離液:蒸留水 945mL/アセトニトリル 555mL/KHPO 7.5g/SDS 2.16g(HPOでpH3.6に調製)
流速:1mL/分
検出:254nm
カラム温度:40℃
<光学純度分析>
反応液を適量の炭酸ナトリウムで塩基性にしたのち、ジニトロベンゾイルクロライドで誘導体化した後、以下の条件で分析した。
カラム:Chiralcel IA(ダイセル化学工業社製)
溶離液:ヘキサン/エタノール/ジエチルアミン/アセトニトリル=800/200/1/5(体積比)
流速:0.8mL/分
検出:254nm
カラム温度:30℃
本明細書で引用した全ての刊行物、特許、及び特許出願をそのまま参考として本明細書に取り入れるものとする。

Claims (32)

  1. アルスロバクター・エスピー(Arthrobacter sp.)KNK04−25(NITE BP−954)から得られた、下記(1)及び(6)の理化学的性質を有するポリペプチド:
    (1)作用:アミノ基供与体の存在下で1−ベンジル−3−ピロリジノンに作用して光学純度93%e.e.以上の(S)−1−ベンジル−3−アミノピロリジンを生成するアミノ基転移反応を触媒する、
    (6)分子量:ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法において、48kDa
  2. さらに下記(2)の理化学的性質を有する請求項1のポリペプチド:
    (2)基質特異性:
    (a)アミノ基供与体:(S)−1−フェネチルアミンに対し活性を示し、L―アラニンよりL−グルタミン酸に高い活性を示し、かつ、β−アラニン、4−アミノ酪酸に対し実質的に活性を示さない、
    (b)アミノ基受容体:ピルビン酸より2−ケトグルタル酸に対し高い活性を示す。
  3. さらに以下の(3)から(5)の理化学的性質を有する請求項1または2に記載のポリペプチド:
    (3)至適pH:7.0〜8.0、
    (4)至適温度:30〜50℃、
    (5)熱安定性:30〜50℃で30分間処理したとき、処理前の70%以上の残存活性を保持する。
  4. 以下の(a)から(g)のいずれかに記載のポリペプチド:
    (a)配列表の配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
    (b)配列表の配列番号1で示されるアミノ酸配列において、1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、アミノ基供与体の存在下で1−ベンジル−3−ピロリジノンに作用して光学純度93%e.e.以上の(S)−1−ベンジル−3−アミノピロリジンを生成する活性を有するポリペプチド、
    (c)配列表の配列番号1で示されるアミノ酸配列において、1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、アミノ基供与体として(S)−1−フェネチルアミンに対し活性を示し、L―アラニンよりL−グルタミン酸に高い活性を示し、かつ、β−アラニン、4−アミノ酪酸に対し実質的に活性を示さず、アミノ基受容体としてピルビン酸より2−ケトグルタル酸に対し高い活性を有するポリペプチド、
    (d)配列表の配列番号1で示されるアミノ酸配列において、1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、至適pHが7.0〜8.0であり、至適温度が30〜50℃であり、(S)−1−フェネチルアミン及び2−ケトグルタル酸を基質としたアミノ基転移活性を、30〜50℃で30分間処理したとき処理前の70%以上保持する、分子量がドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法において48kDaであるポリペプチド、
    (e)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、アミノ基供与体の存在下で1−ベンジル−3−ピロリジノンに作用して光学純度93%e.e.以上の(S)−1−ベンジル−3−アミノピロリジンを生成する活性を有するポリペプチド、
    (f)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、アミノ基供与体として(S)−1−フェネチルアミンに対し活性を示し、L―アラニンよりL−グルタミン酸に高い活性を示し、かつ、β−アラニン、4−アミノ酪酸に対し実質的に活性を示さず、アミノ基受容体としてピルビン酸より2−ケトグルタル酸に対し高い活性を有するポリペプチド、
    (g)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、至適pHが7.0〜8.0であり、至適温度が30〜50℃であり、(S)−1−フェネチルアミン及び2−ケトグルタル酸を基質としたアミノ基転移活性を、30〜50℃で30分間処理したとき処理前の70%以上保持する、分子量がドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法において48kDaであるポリペプチド。
  5. 請求項1からのいずれか1項に記載のポリペプチドをコードする塩基配列からなるDNA。
  6. 下記(A)から(C)のいずれかに記載の請求項に記載のDNA:
    (A)配列表の配列番号2に記載の塩基配列からなるDNA、
    (B)配列表の配列番号2に記載の塩基配列と90%以上の配列同一性を有する塩基配列からなるDNA、
    (C)配列表の配列番号2に記載の塩基配列において、1若しくは複数個の塩基が欠失、置換、挿入もしくは付加された塩基配列からなるDNA。
  7. 請求項またはに記載のDNAを含むベクター。
  8. 請求項に記載のベクターにより宿主細胞を形質転換して得られる形質転換体。
  9. ケトン化合物に、アミノ基供与体の存在下、請求項1からのいずれか1項に記載のポリペプチド、または請求項に記載の形質転換体の培養物を作用させることを特徴とする、光学活性アミノ化合物の製造方法。
  10. 一般式(1):
    Figure 0005936545
    (式中、R及びRは置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアラルキル基もしくは置換されていてもよいアリール基を示し、RとRの両者が互いに結合して環を形成していてもよい。但し、RとRは構造が異なる。)で表されるケトン化合物に、アミノ基供与体の存在下、請求項1からのいずれか1項に記載のポリペプチド、または請求項に記載の形質転換体の培養物を作用させることを特徴とする、一般式(2):
    Figure 0005936545
    (式中、R及びRは前記式(1)と同じ。*は不斉炭素原子を示す。)で表される光学活性アミノ化合物の製造方法。
  11. アミノ化合物のエナンチオマー混合物にアミノ基受容体の存在下、請求項1からのいずれか1項に記載のポリペプチド、または請求項に記載の形質転換体の培養物を作用させることを特徴とする、光学活性アミノ化合物の製造方法。
  12. 一般式(3):
    Figure 0005936545
    (式中、R及びRは置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアラルキル基もしくは置換されていてもよいアリール基を示し、RとRの両者が互いに結合して環を形成していてもよい。但し、RとRは構造が異なる。)で表わされるアミノ化合物のエナンチオマー混合物に、アミノ基受容体の存在下、請求項1からのいずれか1項に記載のポリペプチド、または請求項に記載の形質転換体の培養物を作用させることにより、一般式(4):
    Figure 0005936545
    (式中、R及びRは前記式(3)と同じ。*は不斉炭素原子を示す)で表わされる光学活性アミノ化合物を得ることを特徴とする、光学活性アミノ化合物の製造方法。
  13. 前記式(1)で表されるケトン化合物が、1−テトラロン、2−テトラロン、5−メトキシ−2−テトラロン、6−メトキシ−2−テトラロン、7−メトキシ−2−テトラロン、8−メトキシ−2−テトラロン、1−ベンジル−3−ピロリジノン、1−Boc−3−ピロリジノン、1−Cbz−3−ピロリジノン、1−ベンジル−3−ピペリジノン、1−Boc−3−ピペリジノン、1−Cbz−3−ピペリジノン、アセトフェノン、3,4−ジメトキシフェニルアセトン、からなる群から選ばれる1以上のケトン化合物である、請求項10に記載の製造方法。
  14. 前記式(3)で表されるアミノ化合物が、1−アミノテトラリン、2−アミノテトラリン、5−メトキシ−2−アミノテトラリン、6−メトキシ−2−アミノテトラリン、7−メトキシ−2−アミノテトラリン、8−メトキシ−2−アミノテトラリン、1−ベンジル−3−アミノピロリジン、1−Boc−3−アミノピロリジン、1−Cbz−3−アミノピロリジン、1−ベンジル−3−アミノピペリジン、1−Boc−3−アミノピペリジン、1−Cbz−3−アミノピペリジン、1−フェネチルアミン、3,4−ジメトキシアンフェタミン、からなる群から選ばれる1以上のアミノ化合物である、請求項12に記載の製造方法。
  15. アミノ基供与体が、1−フェネチルアミン、2−ブチルアミン、2−ペンチルアミン、2−ヘプチルアミン、3−ヘプチルアミン、n−エチルアミン、n−プロピルアミン、n−ブチルアミン、n−アミルアミン、イソプロピルアミン、イソブチルアミン、グリシン、アラニン、グルタミン酸、3−アミノ−1−フェニルブタン、ベンジルアミン、β−フェネチルアミン、シクロヘキシルアミンおよびそれらの光学活性体からなる群より選ばれた化合物である、請求項または10に記載の製造方法。
  16. アミノ基受容体が、2−ケトグルタル酸またはピルビン酸である、請求項11または12に記載の製造方法。
  17. アミノ基供与体から生成するケトン化合物(X)のカルボニル基を他の官能基に変換する活性を持つ少なくとも1つの酵素を、請求項1からのいずれか1項に記載のポリペプチドと同一反応系中で利用することにより、ケトン化合物(Y)を、アミノ基供与体の存在下、アミノ基が結合する炭素原子が不斉点である対応する光学活性アミノ化合物(Z)へ変換することを特徴とする、光学活性アミノ化合物の製造方法。
  18. 下記(I)から(III)のポリペプチドおよび酵素を同一反応系中で利用することにより、ケトン化合物(Y)を、アミノ基供与体の存在下、アミノ基が結合する炭素原子が不斉点である対応する光学活性アミノ化合物(Z)へ変換することを特徴とする、請求項17に記載の製造方法:
    (I)請求項1からのいずれか1項に記載のポリペプチド、
    (II)還元型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)もしくは還元型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH)を補酵素とし、前記ポリペプチド(I)の作用によってアミノ基供与体のα−アミノ酸より生じるケトン化合物(X)のα−ケト酸をα−アミノ酸へ還元する能力を有し、かつ前記ケトン化合物(Y)に対し作用しないα−アミノ酸脱水素酵素、
    (III)前記α−アミノ酸脱水素酵素(II)の作用によって前記NADHから生じる酸化型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)をNADHに変換する能力、または前記α−アミノ酸脱水素酵素(II)の作用によって前記NADPHから生じる酸化型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP+)をNADPHに変換する能力を有する酵素。
  19. 前記(II)、(III)の酵素が、それぞれ下記の(II’)、(III’)の酵素である、請求項18に記載の製造方法:
    (II’)還元型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)を補酵素とし、前記ポリペプチド(I)の作用によってアミノ基供与体のα−グルタミン酸より生じるケトン化合物(X)の2-ケトグルタル酸をα−グルタミン酸へ還元する能力を有し、かつ前記ケトン化合物(Y)に対し作用しないα−アミノ酸脱水素酵素、
    (III’)前記α−アミノ酸脱水素酵素(II’)の作用によって前記NADHから生じる酸化型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)をNADHに変換する能力を有する酵素。
  20. 前記(I)から(III)のポリペプチドおよび酵素をコードする各DNAを宿主細胞に導入することにより得られる形質転換体および/またはその培養物を酵素源として用いることを特徴とする、請求項18または19に記載の製造方法。
  21. 前記(I)から(III)のポリペプチドおよび酵素をコードする各DNAを別々に含有する複数の組換えベクター、もしくは前記(I)から(III)のポリペプチドおよび酵素をコードする各DNAの全てを含有する1つの組換えベクターを用いて宿主細胞を形質転換することにより得られる、前記(I)から(III)のポリペプチドおよび酵素を同一形質転換体内で発現する形質転換体および/またはその培養物を酵素源として用いることを特徴とする、請求項18または19に記載の製造方法。
  22. 前記(II)の酵素がグルタミン酸脱水素酵素であり、前記(III)の酵素がグルコース脱水素酵素もしくはギ酸脱水素酵素である、請求項18から21のいずれか1項に記載の製造方法。
  23. 前記(II)の酵素が、牛肝臓もしくは酵母もしくはバクテリア由来の酵素である、請求項18から22のいずれか1項に記載の製造方法。
  24. 前記(III)の酵素が、バシラス・メガテリウム(Bacillus megaterium)もしくはチオバシラス・エスピー(Thiobacillus sp.)に属する微生物由来の酵素である、請求項18から23のいずれか1項に記載の製造方法。
  25. 下記(α)から(γ)のポリペプチドおよび酵素を同一反応系中で利用することにより、ケトン化合物(Y)を、アミノ基供与体の存在下、アミノ基が結合する炭素原子が不斉点である対応する光学活性アミノ化合物(Z)へ変換することを特徴とする、請求項17に記載の製造方法:
    (α)請求項1からのいずれか1項に記載のポリペプチド、
    (β)還元型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)もしくは還元型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH)を補酵素とし、前記ポリペプチド(α)の作用によってアミノ基供与体のα−アミノ酸より生じるケトン化合物(X)のα−ケト酸を2−ヒドロキシ酸へ還元する能力を有し、かつ前記ケトン化合物(Y)に対し作用しないα−ケト酸還元酵素、
    (γ)前記α−ケト酸還元酵素(β)の作用によって前記NADHから生じる酸化型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)をNADHに変換する能力、または前記α−ケト酸還元酵素(β)の作用によって前記NADPHから生じる酸化型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP+)をNADPHに変換する能力を有する酵素。
  26. 前記(β)、(γ)の酵素が、下記(β’)、(γ’)の酵素である、請求項25に記載の製造方法:
    (β’)還元型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)を補酵素とし、前記ポリペプチド(α)の作用によってアミノ基供与体のα−グルタミン酸より生じるケトン化合物(X)の2−ケトグルタル酸を2−ヒドロキシグルタル酸へ還元する能力を有し、かつ前記ケトン化合物(Y)に対し作用しないα−ケト酸還元酵素、
    (γ’)前記α−ケト酸還元酵素(β’)の作用によって前記NADHから生じる酸化型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)をNADHに変換する能力を有する酵素。
  27. 前記(α)から(γ)のポリペプチドおよび酵素をコードする各DNAを宿主細胞に導入することにより得られる形質転換体および/またはその培養物を酵素源として用いることを特徴とする、請求項25または26に記載の製造方法。
  28. 前記(α)から(γ)のポリペプチドおよび酵素をコードする各DNAを別々に含有する複数の組換えベクター、もしくは前記(α)から(γ)のポリペプチドおよび酵素をコードする各DNAの全てを含有する1つの組換えベクターを用いて宿主細胞を形質転換することにより得られる、前記(α)から(γ)のポリペプチドおよび酵素を同一形質転換体内で発現する形質転換体および/またはその培養物を酵素源として用いることを特徴とする、請求項25または26に記載の製造方法。
  29. 前記(β)の酵素がマンデル酸脱水素酵素あるいはヒドロキシイソカプロン酸脱水素酵素であり、前記(γ)の酵素がグルコース脱水素酵素もしくはギ酸脱水素酵素である、請求項25から28のいずれか1項に記載の製造方法。
  30. 前記(β)の酵素が、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacilus casei)もしくはワイセラ・コンフューサ(Weissela confusa)に属する微生物由来の酵素である、請求項25から29のいずれか1項に記載の製造方法。
  31. 前記(γ)の酵素が、バシラス・メガテリウム(Bacillus megaterium)もしくはチオバシラス・エスピー(Thiobacillus sp.)に属する微生物由来の酵素である、請求項25から30のいずれか1項に記載の製造方法。
  32. 前記ケトン化合物(Y)が一般式(1):
    Figure 0005936545
    (式中、R及びRは置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアラルキル基もしくは置換されていてもよいアリール基を示し、RとRの両者が互いに結合して環を形成していてもよい。但し、RとRは構造が異なる。)で表され、前記対応する光学活性アミノ化合物(Z)が一般式(2):
    Figure 0005936545
    (式中、R及びRは前記式(1)と同じ。*は不斉炭素原子を示す。)で表される、請求項17から31のいずれか1項に記載の製造方法。
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