JP5936419B2 - 地絡事故点探査装置及び地絡事故点探査方法 - Google Patents
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図7に示すように、一般に、地中に埋設された配電線路は埋設深さが一定ではないため、地表上の受信器<2>と地中線配電線路<200>の距離が場所によって変化する。したがって、信号電流を一定に保っている場合、受信器<2>の反応レベルは地中線配電線路<200>との距離の変化に伴って変化する。特に、地中線配電線路<200>が他の埋設物を回避するために、通常より深く敷設された場所では、受信器<2>の反応は急激に減少し、受信不可能点Qに達した場合、受信不可能点Qを地絡事故点と誤まって認識してしまう場合がある。
本発明は、前記課題を解消するためになされたもので、従来の装置のように、あらかじめ地中線配電線路の経路探査を行って配電線位置を特定したり地中配電線経路上の任意の点の受信器情報を記録する作業及び地絡事故点探査時には前記受信器情報と受信器反応レベルを比較する作業を不要とし、地絡事故点を特定する部分において人的作業が極力介在しないようにすることで、地表面から地絡事故点を高精度で探査できる地絡事故点探査装置及び地絡事故点探査方法を提供することを目的とする。
(1)本発明は、
地中線配電線路の地絡事故点を地表面から探査する地絡事故点探査装置であって、
地中線配電線路の地絡事故相を含む線路と対地間に、互いに逆位相の二つの探査信号を各々注入する探査信号注入手段と、
前記地中線配電線路を伝搬する二つの探査信号により生じる磁界を検出する第1の磁界検出手段と、
前記地中線配電線路の健全相と対地間に、前記各探査信号と周波数が異なるベース信号を注入するベース信号注入手段と、
前記ベース信号により生じる磁界を検出する第2の磁界検出手段と、
前記第1の磁界検出手段と前記第2の磁界検出手段により検出された磁界に基づき、各々の磁界レベルを比較演算して前記地中線配電線路の地絡事故点を判定する地絡事故点判定手段と、
を有している、地絡事故点探査装置である。
地中線配電線路の地絡事故点を地表面から探査する地絡事故点の探査方法であって、
地中線配電線路の地絡事故相を含む線路と対地間に、互いに逆位相の二つの探査信号を各々注入すると共に、前記地中線配電線路の健全相と対地間に、前記各探査信号と周波数が異なるベース信号を注入し、
前記地中線配電線路を伝搬する二つの探査信号により生じる磁界を検出すると共に、前記地中線配電線路を伝搬するベース信号により生じる磁界を検出し、
前記検出された各検出磁界に基づき地中線配電線路の地絡事故点を特定する、地絡事故点探査方法である。
地中線配電線路の地絡事故点を地表面から探査する地絡事故点の探査方法であって、
地絡事故を起こした地中線配電線路の通電を停止し、
地中線配電線路が三線式である場合は、第1の線路と対地間に第1の探査信号を注入し、第2の線路と対地間に前記第1の探査信号と逆位相の第2の探査信号を注入すると共に第3の健全相の線路と対地間にベース信号を注入し、
前記第1の探査信号及び第2の探査信号と前記ベース信号が注入された探査信号注入点の近傍における地中線配電線路の磁界レベルを探査し、
前記探査信号注入点から磁界が検出された前記地中線配電線路の延出方向に沿って磁界レベルを探査し、
前記第1の探査信号及び前記第2の探査信号の磁界が検出されないときは、当該方向に延出された地中線配電線路が地絡事故点を含まない線路であると判定して当該判定内容を表示し、
前記第1の探査信号及び前記第2の探査信号と前記ベース信号の磁界が同時に検出されたときは、当該方向に延出された地中線配電線路が地絡事故点を含む線路であると判定して当該判定内容を表示し、
前記第1の探査信号及び前記第2の探査信号と前記ベース信号の磁界が同時に検出される部分と、前記第1の探査信号及び前記第2の探査信号の磁界が検出されず前記ベース信号の磁界だけが検出される部分との境界点を地絡事故点と判定して表示を行う、地絡事故点探査方法である。
地中線配電線路の地絡事故点を地表面から探査する地絡事故点の探査方法であって、
地絡事故を起こした地中線配電線路の通電を停止し、
地中線配電線路が二線式である場合は、第1の線路と対地間に第1の探査信号を注入し、第2の線路と対地間に前記第1の探査信号と逆位相の第2の探査信号を注入すると共に前記第1、第2の線路において健全相側の線路と対地間にベース信号を注入し、
前記第1の探査信号及び第2の探査信号と前記ベース信号が注入された探査信号注入点の近傍における地中線配電線路の磁界レベルを探査し、
前記探査信号注入点から磁界が検出された前記地中線配電線路の延出方向に沿って磁界レベルを探査し、
前記第1の探査信号及び前記第2の探査信号の磁界が検出されないときは、当該方向に延出された地中線配電線路が地絡事故点を含まない線路であると判定して当該判定内容を表示し、
前記第1の探査信号及び前記第2の探査信号と前記ベース信号の磁界が同時に検出されたときは、当該方向に延出された地中線配電線路が地絡事故点を含む線路であると判定して当該判定内容を表示し、
前記第1の探査信号及び前記第2の探査信号と前記ベース信号の磁界が同時に検出される部分と、前記第1の探査信号及び前記第2の探査信号の磁界が検出されず前記ベース信号の磁界だけが検出される部分との境界点を地絡事故点と判定して表示を行う、地絡事故点探査方法である。
探査信号注入点では、当該探査信号注入点を中心に360°の範囲を探査し、検出した磁界レベルが最も大きい箇所を一箇所特定し、検出した磁界レベルが最も大きい箇所以外の磁界レベルを下げるように電圧及び/又は位相を調整して、健全相側の各線路間で生じる磁界を打ち消すようにした、
前記(3)又は(4)の地絡事故点探査方法である。
地中線配電線路の距離が、対地静電容量が少なく十分な信号電流が流せない程度に短い場合、前記地中線配電線路の地中埋設区間の末端側に探査補償コンデンサを接続する、
前記(3)又は(4)の地絡事故点探査方法である。
本発明に係る地絡事故点探査装置の作用を説明する。
図6を参照する。
地中線配電線路の地絡事故相と健全相は、同一ケーブルであることから各相における埋設深さの違いはなく深さは同一に変化している。したがって、地中線配電線路の各相又は各線路と地絡事故点判定手段までの距離は等しく、探査信号注入点から地絡事故点までの探査信号とベース信号による検出磁界レベルの差はほぼ0である。
図1、図2を参照する。
地絡事故点探査装置Eは、探査信号注入装置1、可搬型磁界センサ装置2及び制御・表示装置3を備えている。
探査信号注入手段及びベース信号注入手段である探査信号注入装置1は、電源回路11と、信号電圧発生回路12と、信号電圧昇圧回路13及び電流検出回路14を有する。
前記電源回路11は、直流電圧又は交流電圧を出力する。前記信号電圧発生回路12は、電源回路11から出力された直流電圧又は交流電圧から後記制御・表示装置3の制御信号に基づき所定の高周波信号電圧を発生する。
また、地絡事故点判定手段である可搬型磁界センサ装置2は、第1の磁界検出手段である磁界センサ21、第2の磁界検出手段である磁界センサ22、演算制御・比較回路23及び表示装置24を有している。前記磁界センサ21は、前記線路201、202、203を伝搬する二つの探査信号S1、S2より生じる磁界を検出する。また、前記磁界センサ22は、ベース信号S3より生じる磁界を検出する。
制御・表示装置3は、演算制御回路31、位相制御回路32及び表示装置33を有している。前記演算制御回路31は、前記電流検出回路14からフィードバック信号S4に基づいて地中線配電線路200の電流変動を演算して地絡事故点の有無を検出すると共に、前記探査信号S1、S2を生成するための制御信号S5と、ベース信号S3を生成するための制御信号S8とを出力する。
次に、図1乃至図5(主に図2のフローチャート)を参照して、前記構成を有する地絡事故点探査装置Eの作用及び地絡事故点探査装置Eを使用した地絡事故点の探査方法について詳細に説明する。
(2)この死線状態となった地中線配電線路200が接続されている地上設置機器4の近辺に探査信号注入装置1と制御・表示装置3を配置する(図4、図5参照:図3では図示省略)。そして、探査信号注入装置1により地中線配電線路200の地絡事故相である線路201と対地間に探査信号S1を注入すると共に健全相である線路202と対地間に探査信号S2を注入する。
なお、図5に示すように地中線配電線路200が二線式(単相)の場合は、地絡事故相である線路201に探査信号S1を注入し、健全相である線路202に探査信号S2を注入し、健全相である線路202へはクランプCTによりベース信号S3をあわせて注入する。
(4)前記探査により、磁界が検出されたか否かを可搬型磁界センサ装置2に備えられた表示装置24で表示させる。(ステップ4)
次に、検出磁界レベルが最も大きい箇所以外の磁界レベルを下げるように電圧及び/又は位相を調整する。こうすることで、周りから受ける漏れ磁界の影響を小さくして、正確な線路方向を把握することができる。(ステップ5)
この対地静電容量Cに印加された信号電圧Vで電流i1(i1=jωc・V)及びi2(i2=jωc・V)が流れ、インピーダンスZに印加された信号電圧Vで電流ig(ig=V/Z;i1+ig>i1)が流れることになる。
このように、地絡事故回路部(B部)において、探査信号S1、S2とベース信号S3の磁界は同時に検出されるため、この方向に延出されている線路が地絡事故点Pがある地絡事故回路線路であることを正確に判断できる。
(9)この可搬型磁界センサ装置2により表示した地点を地絡事故点Pとして特定して探査を終了する。(ステップ10)
1 探査信号注入装置
11 電源回路
12 信号電圧発生回路
13 信号電圧昇圧回路
14 電流検出回路
2 可搬型磁界センサ装置
21 第1の磁界センサ
22 第2の磁界センサ
23 比較回路
24 表示装置
3 制御・表示装置
31 演算制御回路
32 位相制御回路
33 表示装置
4 地上設置機器
200 地中線配電線路
201 線路
202 線路
203 線路
A部、C部 健全回路部
B部 地絡事故点回路
D部 地中埋設区間の末端側
Cx 探査補償コンデンサ
O 探査信号注入点
P 地絡事故点
Q 受信不可能点
S1 探査信号
S2 探査信号
S3 ベース信号
S4 フィードバック信号
S5 制御信号
S6 逆位相信号
S7 フィードバック信号
S8 制御信号
i1 電流
i2 電流
i3 電流
ig 電流
Claims (5)
- 地中線配電線路の地絡事故点を地表面から探査する地絡事故点探査装置であって、
地中線配電線路が三線式である場合は、第1の線路と対地間に第1の探査信号を注入し、第2の線路と対地間に前記第1の探査信号と逆位相の第2の探査信号を注入し、または地中線配電線路が二線式である場合は、第1の線路と対地間に第1の探査信号を注入し、第2の線路と対地間に前記第1の探査信号と逆位相の第2の探査信号を注入する探査信号注入手段と、
前記地中線配電線路を伝搬する二つの探査信号により生じる磁界を検出する第1の磁界検出手段と、
前記地中線配電線路の健全相と対地間に、前記各探査信号と周波数が異なるベース信号を注入するベース信号注入手段と、
前記ベース信号により生じる磁界を検出する第2の磁界検出手段と、
前記第1の磁界検出手段と前記第2の磁界検出手段により検出された磁界に基づき、各々の磁界レベルを比較演算して前記地中線配電線路の地絡事故点を判定する地絡事故点判定手段と、
を有している、
地絡事故点探査装置。 - 地中線配電線路の地絡事故点を地表面から探査する地絡事故点の探査方法であって、
地絡事故を起こした地中線配電線路の通電を停止し、
地中線配電線路が三線式である場合は、第1の線路と対地間に第1の探査信号を注入し、第2の線路と対地間に前記第1の探査信号と逆位相の第2の探査信号を注入すると共に健全相である第3の線路と対地間にベース信号を注入し、
前記第1の探査信号及び第2の探査信号と前記ベース信号が注入された探査信号注入点の近傍における地中線配電線路の磁界レベルを探査し、
前記探査信号注入点から磁界が検出された前記地中線配電線路の延出方向に沿って磁界レベルを探査し、
前記第1の探査信号及び前記第2の探査信号の磁界が検出されないときは、当該方向に延出された地中線配電線路が地絡事故点を含まない線路であると判定して当該判定内容を表示し、
前記第1の探査信号及び前記第2の探査信号と前記ベース信号の磁界が同時に検出されたときは、当該方向に延出された地中線配電線路が地絡事故点を含む線路であると判定して当該判定内容を表示し、
前記第1の探査信号及び前記第2の探査信号と前記ベース信号の磁界が同時に検出される部分と、前記第1の探査信号及び前記第2の探査信号の磁界が検出されず前記ベース信号の磁界だけが検出される部分との境界点を地絡事故点と判定して表示を行う、
地絡事故点探査方法。 - 地中線配電線路の地絡事故点を地表面から探査する地絡事故点の探査方法であって、
地絡事故を起こした地中線配電線路の通電を停止し、
地中線配電線路が二線式である場合は、第1の線路と対地間に第1の探査信号を注入し、第2の線路と対地間に前記第1の探査信号と逆位相の第2の探査信号を注入すると共に前記第1、第2の線路において健全相側の線路と対地間にベース信号を注入し、
前記第1の探査信号及び第2の探査信号と前記ベース信号が注入された探査信号注入点の近傍における地中線配電線路の磁界レベルを探査し、
前記探査信号注入点から磁界が検出された前記地中線配電線路の延出方向に沿って磁界レベルを探査し、
前記第1の探査信号及び前記第2の探査信号の磁界が検出されないときは、当該方向に延出された地中線配電線路が地絡事故点を含まない線路であると判定して当該判定内容を表示し、
前記第1の探査信号及び前記第2の探査信号と前記ベース信号の磁界が同時に検出されたときは、当該方向に延出された地中線配電線路が地絡事故点を含む線路であると判定して当該判定内容を表示し、
前記第1の探査信号及び前記第2の探査信号と前記ベース信号の磁界が同時に検出される部分と、前記第1の探査信号及び前記第2の探査信号の磁界が検出されず前記ベース信号の磁界だけが検出される部分との境界点を地絡事故点と判定して表示を行う、
地絡事故点探査方法。 - 探査信号注入点では、当該探査信号注入点を中心に360°の範囲を探査し、検出した磁界レベルが最も大きい箇所を一箇所特定し、検出した磁界レベルが最も大きい箇所以外の磁界レベルを下げるように電圧及び/又は位相を調整して、健全相側の各線路間で生じる磁界を打ち消すようにした、
請求項2又は3記載の地絡事故点探査方法。 - 地中線配電線路の距離が、対地静電容量が少なく十分な信号電流が流せない程度に短い場合、前記地中線配電線路の地中埋設区間の末端側に探査補償コンデンサを接続する、
請求項2又は3記載の地絡事故点探査方法。
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