JP4050433B2 - 塗覆装された埋設金属導体の損傷判定装置及び損傷判定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、地中に埋設された金属導体(金属導管)が土木機械等の重機類の接触事故によって損傷を受けた際の損傷位置及び損傷程度を即時に検知し判定する損傷判定装置及び損傷判定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
地中に埋設された金属導管の塗覆装の損傷発生を検知する方法としては、特開平2−203263号公報に開示されているように、交流電流を金属導管に連続通電して検出された管内電流または管対地電圧に基づいて損傷状態を判定するようにしたものが知られている。同様な手法として、特開平7−128189号公報、特開平7−128272号公報、特開平8−145934号公報、改善したものとして特開平9−189595号公報、特開平9−281069号公報、特開平10−38834号公報が開示されており、損傷区間の特定方法として特開平10−38178号公報がある。
【0003】
また、本発明者らは、先行技術として特開平8−304321号公報及び特開平11−64266号公報で通電点におけるインピーダンス監視法を提案している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述の従来技術のうち、特開平7−128272号公報や特開平2−203263号公報の手法では、損傷位置が計測点間での損傷発生の有無に限られ、損傷位置の推定精度を向上させようとした場合には計測点を増やさなければならないといった問題があった。このことはおのずから設備費の増加及びそれに伴うメンテナンスの増大、また、これら多くの小分割された監視区間を結ぶデータ転送のための通信費等のランニングコストの増大を招くことになる。
【0005】
更に、パイプラインは通常一般道路の地下に埋設されていることが多く、思うように計測点を増やすことができず、計測機器の設置が可能なバルブステーションやガバナステーションに限定されるために、ステーションの間隔が離れると損傷位置の推定精度も満足のいくものではなくなってくる。
【0006】
更に、長距離の金属導管に交流電圧を印加した場合、信号の伝搬は分布定数回路における特有な伝搬特性を示し、例えば導管の管端では信号印加点よりも電圧が上昇する現象(フェランチ現象)を示すようになる。このため、検知原理が分布定数回路特性にそぐわない場合には、誤報を発したりまたは損傷が発生しても検知不能となる不都合を生じることになる。
【0007】
特開平2−203263号公報の手法等では、この分布定数回路的な振る舞いを押さえるために低い周波数での監視信号を選定していたが、周波数が低いとロックインアンプのアベレージングを長くとらなければならないためにシステムのレスポンスが悪くなるという問題や、迷走電流や高圧送電線の誘導等がノイズとして混入し易くなってS/Nが劣化し、検知能力の低下を来すという問題があった。
【0008】
本発明者らは特開平8−304321号公報において分布定数回路理論に基づいた検知手法を開示しているが、その後の開発において特性インピーダンス及び伝搬定数が金属導管の環境変化に応じて緩やかに変動することが判っている。この場合、金属導管の管端を接地し開放した場合、導管距離が長くなると特性インピーダンスと伝搬定数の計測精度が悪くなるという事実が明らかとなり、予め計測された特性インピーダンス及び伝搬定数を使用して損傷位置、損傷程度を算出する手法において監視対象とする距離や精度に限界があることが判ってきた。
【0009】
特開平11−64266号公報で提案している監視法は、信号印加点近傍の損傷に対して位置、損傷程度共に良好な分解能を保つ。しかしながら、監視対象が長距離になると、損傷が信号印加点から離れるに従って位置、損傷程度の分解精度が低下してくることが明らかとなった。
【0010】
また、以上列挙した各手法において、ロゴスキー式の電流−電圧変換装置(以下、カレントトランスフォーマと称する。)の電流センサを使用した場合、当該センサに侵入するノイズの影響で急激な電流値の変動が生じて誤報を発する場合があり、信頼性を向上させる必要があった。
【0011】
本発明は、このような従来技術の不都合を解消するべく案出したものであり、その主な目的は、監視対象とする埋設金属導体の長距離化に十分対応が可能であり、且つ極めて高い検知性能をもって金属導体の損傷位置及び損傷程度を判定する信頼性の高い損傷判定装置及び損傷判定方法を低コストで提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の損傷判定装置は、地中に埋設された塗覆装の金属導体における前記塗覆装の損傷発生を検知し判定するものであって、前記金属導体の監視対象とする区域に2箇所以上の計測地点を設け、前記金属導体に交流電圧を連続印加する交流電源と、前記各計測地点において前記交流電圧と同一周波数且つ同一位相の標準信号を発生する標準信号発生手段と、前記各計測地点における導体内電流及び導体対地電圧を計測する計測手段と、前記計測手段により得られた計測情報から前記各計測地点間の特性インピーダンス及び伝搬定数を算出し、損傷発生時には、損傷位置及び損傷程度について、算出された前記特性インピーダンス及び前記伝搬定数の正常値に対する変動量と予め算出された模擬的な損傷による変動量との比較と、分布定数式とを用いた補完計算を行い、損傷位置及び損傷程度を判定する解析判定手段とを備える。
【0013】
本発明の損傷判定装置の一態様において、前記計測手段は、前記交流電圧と同一周波数成分の導体内電流及び導体対地電圧の各振幅及び前記標準信号との各位相差をそれぞれ計測する。
【0014】
本発明の損傷判定装置は、地中に埋設され、監視区域内の一端が電気的に絶縁及び開放された塗覆装の金属導体における前記塗覆装の損傷発生を検知し判定するものであって、前記金属導体の前記一端を計測地点とし、前記金属導体の他端に交流電圧を連続印加する交流電源と、前記計測地点において前記交流電圧と同一周波数且つ同一位相の標準信号を発生する標準信号発生手段と、前記計測地点における導体対地電圧を計測する計測手段と、前記計測手段により得られた計測情報から伝搬定数を算出し、損傷発生時には、損傷位置及び損傷程度について、算出された前記特性インピーダンス及び前記伝搬定数の正常値に対する変動量と予め算出された模擬的な損傷による変動量との比較と、分布定数式とを用いた補完計算を行い、損傷位置及び損傷程度を判定する解析判定手段とを備える。
【0015】
本発明の損傷判定装置の一態様において、前記計測手段は、前記交流電圧と同一周波数成分の前記導体対地電圧の振幅及び前記標準信号との位相差をそれぞれ計測する。
【0016】
本発明の損傷判定装置の一態様において、前記解析判定手段は、損傷発生時に前記損傷位置及び前記損傷程度を判定した際に、警報を発する。
【0017】
本発明の損傷判定装置の一態様において、前記金属導体の中央部位を前記計測地点に選択し、損傷発生部位が前記交流電源の設置部位側か否かを判断する。
【0018】
本発明の損傷判定方法は、地中に埋設された塗覆装の金属導体における導体内電流及び導体対地電圧を計測し、これらの計測情報から前記塗覆装の損傷発生を判定する方法であって、前記金属導体の監視対象とする区域に2箇所以上の導体内電流及び導体対地電圧の計測地点を設け、前記金属導体に交流電圧を連続印加するとともに、前記各計測地点において前記交流電圧と同一周波数且つ同一位相の標準信号を発生させ、前記各計測地点から得られた計測情報から各計測地点間の特性インピーダンス及び伝搬定数を算出し、損傷発生時には、損傷位置及び損傷程度について、算出された前記特性インピーダンス及び前記伝搬定数の正常値に対する変動量と予め算出された模擬的な損傷による変動量との比較と、分布定数式とを用いた補完計算を行い、損傷位置及び損傷程度を判定する。
【0019】
本発明の損傷判定方法の一態様において、前記交流電圧と同一周波数成分の導体内電流及び導体対地電圧の各振幅及び前記標準信号との各位相差をそれぞれ計測する。
【0020】
本発明の損傷判定方法は、地中に埋設され、監視区域内の一端が電気的に絶縁及び開放された塗覆装の金属導体における前記塗覆装の損傷発生を検知し判定する方法であって、前記金属導体の前記一端を導体対地電圧の計測地点とし、前記金属導体の他端に交流電圧を連続印加するとともに、前記計測地点において前記交流電圧と同一周波数且つ同一位相の標準信号を発生させ、前記計測地点から得られた計測情報から伝搬定数を算出し、損傷発生時には、損傷位置及び損傷程度について、算出された前記特性インピーダンス及び前記伝搬定数の正常値に対する変動量と予め算出された模擬的な損傷による変動量との比較と、分布定数式とを用いた補完計算を行い、損傷位置及び損傷程度を判定する。
【0021】
本発明の損傷判定方法の一態様において、前記交流電圧と同一周波数成分の前記導体対地電圧の振幅及び前記標準信号との位相差をそれぞれ計測する。
【0022】
本発明の損傷判定方法の一態様において、損傷発生時に前記損傷位置及び前記損傷程度を判定した際に、警報を発する。
【0023】
本発明の損傷判定方法の一態様において、前記金属導体の中央部位を前記計測地点に選択し、損傷発生部位が前記交流電圧の印加部位側か否かを判断する。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した具体的な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0025】
先ず、本実施形態の損傷判定装置の概略構成について述べる。
この損傷判定装置は、金属導管の監視対象とする区域に計測地点を2箇所以上設け、地中に埋設された塗覆装の金属導体である金属導管における当該塗覆装の損傷発生を検知し判定するものである。概略構成は、例えば図1に示すように、金属導管1に交流電圧を連続印加する交流電源2と、前記各計測地点において交流電圧と同一周波数且つ同一位相の標準信号を発生する標準信号発生手段5と、管内電流を電圧に変換して計測するカレントトランスフォーマ9と、カレントトランスフォーマ9の出力から前記交流電圧と同じ周波数成分の振幅及び標準信号との位相差を測定するロックインアンプ4と、管対地電圧の前記交流電圧と同じ周波数成分の振幅及び標準信号との位相差を測定するロックインアンプ3とを備える。ここで、カレントトランスフォーマ9及びロックインアンプ3,4を主要素として含む計測手段が構成される。
【0026】
更に、この損傷判定装置は、通信部、解析部及び記録部を備えた解析判定手段8を有している。この解析判定手段8は、前記計測手段により得られた計測情報から各計測地点間の特性インピーダンス及び伝搬定数を算出し、損傷発生時には、算出された特性インピーダンス及び伝搬定数の正常値に対する変動量と予め算出された模擬的な損傷による変動量との比較及び分布定数式による補完計算を行い、損傷位置及び損傷程度を判定するものである。
【0027】
上記構成の損傷判定装置について、その動作原理について以下に述べる。
塗覆装されている長距離の地中埋設された金属導管に交流信号を印加した場合、分布定数回路とみなせる電気回路が構成される。ここで計測対象が計測地点Aにおいて管対地電位V1及び管内電流I1、計測地点Bにおいて管対地電位V2、管内電流I2、計測地点間の距離をL(km)、伝搬定数をγ、特性インピーダンスをZ0 であるとすると、回路方程式は4端子定数を用いて以下のように表される。
【0028】
【数1】
【0029】
上式において、管対地電位V1,V2、管内電流I1,I2及び距離Lは可観測の値である。(1)式より伝搬定数γ及び特性インピーダンスZ0 は以下のように導出される。
【0030】
【数2】
【0031】
【数3】
【0032】
ここで、V1,V2,I1,I2は位相情報を含み複素数で表現されるため、(1)〜(3)式で求められる伝搬定数γ及び特性インピーダンスZ0 も共に複素数で表現される。
【0033】
ところで、土木用重機などによって金属導管の塗覆装に損傷が生じた場合、重機の掘削刃が金属導管本体とメタルタッチすることにより、重機と金属導管との間の電気抵抗がほぼ0となったとすれば、金属導管からみた損傷の接地抵抗は、重機が土壌に接している面積と土壌抵抗率で決定される重機の接地抵抗と等価であると見做すことができる。このため金属導管の損傷発生は、分布定数回路途中での地絡点発生と見做せる。このことは、等価的には図2に示すようになる。ここで、測定点Aより測定点B方向にX(km)の部位にR(Ω)の接地抵抗をもつ損傷が発生した場合のV1,V2,I1,I2の関係は、損傷点において2つの分布定数回路が損傷回路を介して接続されたものとなる。当該関係を以下に示す。
【0034】
【数4】
【0035】
(4)式をまとめると、
【0036】
【数5】
【0037】
損傷の無い正常な状態では分布定数回路が成立し、(2),(3)式により伝搬定数及び特性インピーダンスを常に監視できる。損傷が発生した瞬間に(1)式から(5)式に過渡的に変化し、例えば、(5)式中で行列の1行1列目の要素と2行2列目の要素が等しくないことから、損傷発生時点では回路全体として分布定数回路として成立せず、(2)(3)式による損傷時の伝搬定数及び特性インピーダンスを定義することはできない。
【0038】
しかしながら、損傷判定装置は、損傷の発生を事前に察知することができないため、損傷が発生した瞬間においても(5)式に対して(2),(3)式を適用して仮の伝搬定数及び特性インピーダンスを算出することになる。(5)式において損傷の接地抵抗Rが大きい場合には、(1)式と等価であり正常な状態として認識される。損傷が発生した場合に(5)式に示される行列の各要素の2項目が損傷の影響として現れ、V1,V2,I1,I2が変化することになって結果的に仮の伝搬定数及び特性インピーダンスとして算出される。
【0039】
ここで、損傷判定を行なうために要求される事項は、損傷位置X(km)及び損傷の程度を示す指針となるR(Ω)の2つの未知数である。(5)式において、Rについては1次の連立式であり、Xについては双曲線関数内の変数としての連立式となる。この場合、(5)式の行列は正則行列であるため、R及びXを求めることができる。但し、Xは双曲線関数内の変数であるため、ある条件下では解が2つ以上存在することもあり、実用においては現実に適合した解を選別しなければならない。(5)式を展開してR及びXについて整理すれば算出は可能である。現実的には計算機による数値計算で求めることができる。
【0040】
本発明者らの実験によれば、伝搬定数および特性インピーダンスは監視区間全域において均一であるとは限らず、埋設環境や塗覆装の種類、品質によりある程度のばらつきを有しており、このことが損傷位置及び損傷程度の推定精度を悪化させる原因であるという知見を得た。
【0041】
このため、実際の損傷判定装置においては、事前調査時に監視区域の数点において損傷と等価な接地を行い、仮の伝播定数及び特性インピーダンスの複素平面上での挙動を実損傷データとして蓄積記憶しておき、これを基に損傷位置と損傷程度の判定を行う方法を発明した。
【0042】
損傷データ蓄積に際して、監視区間全域に連続的にもれなく損傷と等価な接地を行うことは不可能であるため、模擬損傷が投入可能な代表点を数点選出し、様々な接地抵抗で模擬損傷を与えた場合のデータを複素平面上に記録する。また、これら模擬損傷を投入した代表点間を補完する複素平面上のデータを計算機により(5)式を基にして(2),(3)式に従いデータを生成して補完する方式を採っている。
【0043】
また、損傷位置及び損傷程度の推定精度がさほど要求されなければ近似式を使用しても良い。更に、模擬損傷投入地点の間隔が短い場合は比例計算によって補完データを作成しても実用上差し支えない。
【0044】
本発明者らは、前述のように損傷判定装置の開発に際して、実際には正常時でも伝搬定数及び特性インピーダンスが時間と共に緩やかに変動して揺らいでいる事を発見した。この対策として損傷位置及び損傷程度の推定で使用する伝搬定数及び特性インピーダンスの値は損傷直前の値を使用することにしている。
【0045】
管内電流の検知センサとしてカレントトランスフォーマを採用した場合、当該センサに無線装置などのノイズが混入して信号電流が異常に増大、減少することが原因で誤報を発することがある。このような場合でも、この損傷判定装置によれば、図5に示すように、伝播定数及び特性インピーダンスの複素平面上の範囲外である場合にはノイズ混入であると判定することで誤報の発生を防止することができる。
【0046】
このように、計測地点の計測系にノイズが侵入して異常な伝搬定数及び特性インピーダンスを示した場合も、各ブロックの損傷推定過程においてこれら異常なデータを模擬損傷データと照らし合わせ模擬損傷データの範囲外にある場合は異常値として排除し警報を発しないことにしている。
【0047】
伝搬定数及び特性インピーダンスによる監視を行う場合、ある条件下においては損傷のデータは図3に示すように、損傷位置と損傷程度に対して1対1に対応せず他の地点でのデータと重なる場合がある。このため本実施形態では、損傷データの折り返し点、この場合はX=L/2となる部位に計測点を配置し、損傷がこの計測点の電源側かその反対側かを判断するようにして伝搬定数及び特性インピーダンスによる監視を行う。
【0048】
本発明者らは上述の記載に関連して、特定の境界条件を設定すれば装置構成を非常に簡素化できる方法を見出した。即ち、監視区間の一端を絶縁端に選び管対地電位の測定手段を設置すると、管端は絶縁されているためにI2=0となり、(2)式は以下のようになる。
【0049】
【数6】
【0050】
(6)式によれば、管端(絶縁端)における管対地電位の計測と交流電源の設置部位における管対地電位の計測のみで伝搬定数による監視が可能となる。
【0051】
更に、監視区間の他端に信号を印加する電源として定電位制御された交流電源を配した場合、電源は定電位制御されているためにV1=Const(定数)とおくことができ、(6)式は以下のようになる。
【0052】
【数7】
【0053】
(7)式によれば、絶縁端における管対地電位の計測のみで伝搬定数による監視が可能となる。従って、電流センサを使用せず、装置構成を大幅に削減して計測点間のデータ通信も不要とすることができるため設備費、ランニングコスト共に大幅に減少させることが可能となる。
【0054】
伝搬定数及び特性インピーダンスにより監視を行う場合には、電位、電流データを複素数として扱うことが必要となり、そのため各測定地点において交流電源で印加している監視信号と同じ周波数で管対地電位及び管内電流の振幅及び位相の計測が必要不可欠となる。
【0055】
更に、各計測地点で計測される位相測定では、位相ずれのない標準信号を用いる必要がある。このため数キロ以上離れた各計測地点でも高度に同期した標準信号発生手段を具備する必要がある。
【0056】
通常市販されている信号発生器では、その発信精度は10-7秒程度であるため複数台並列に配して動作させると器差が生じる。このため、長期的に見れば位相は相対的に回転することになり、本実施形態のように離れた地点において共通の位相情報を使用する装置には使用できない。
【0057】
このため、高精度の標準信号として、地球上のあらゆる場所で受信が可能で精度の高いGPSの基準信号やBS放送のカラーバースト信号等を標準信号として利用することが考えられる。
【0058】
本実施形態においては、GPS(Global Positioning System)レシーバの基本信号10MHzを監視周波数に分周する装置と、GPSからの1PPS(1Pulse Per Sec)信号による位相調整を行い各計測地点間で高精度に同期した標準信号を得ることができる標準信号発生手段とを開発して使用している。
【0059】
以上説明したように、本実施形態の損傷判定装置によれば、監視対象とする埋設金属導管の長距離化に十分対応が可能であり、且つ従来以上の検知性能をもって金属導管の損傷位置及び損傷程度を判定することが可能となる。
【0060】
【実施例】
以下、具体的な実施例に基づいて本発明の具体的構成を詳細に説明する。
【0061】
(実施例1)
図1は、本発明による地中埋設金属導管1における塗覆装の損傷検知方法が適用された測定装置を示している。
ここでは、全長40kmの金属導管の中央部において計測点Aを設け、金属導管全体の1/2区域を監視する装置を例示する。金属導管全体を監視対象とする場合には、以下に示す装置の交流電源を共通として残りの部分を対称的に適用すればよい。
【0062】
なお、本装置では監視対象導管の電気防食方式は外部電源方式に適用したが、流電陽極方式の場合は、監視信号の流出を防ぐために犠牲陽極と金属導管をつなぐターミナルケーブルにノッチフィルタの役割をするコイル等を挿入すればよい。
【0063】
本実施例では、計測箇所を交流電源部(計測点A)、金属導管1の絶縁端13(計測点C)、その中間点(計測点B)の3点で構成しており、監視区域を計測点Aから計測点Cまでの20kmを範囲としている。
【0064】
ここで使用する監視用周波数は、監視対象とする金属導管1の管径、肉厚、塗覆装の品質、埋設状況、導管長により最適に選定する必要がある。周波数の選定に際しては、後に述べる模擬損傷投入テストの結果から商用周波数とその高調波を除外したものを選定することにして、本実施例では420Hzを選定した。
【0065】
また、本発明者らが先に提案した特開平11−64266号公報のように、監視対象範囲内の通電点に最も近い位置から最も遠い位置まで損傷位置が変化したときに、複素平面における損傷時のインピーダンスの座標が正常時の座標の周りを回る角度が、360°未満となる周波数の範囲を予め把握しておき、この範囲内から通電する交流信号の周波数を選択するようにしてもよい。更に、検知精度と信頼性を向上させるためにいくつかの周波数を重畳させて多周波で監視を行うことも可能である。
【0066】
模擬損傷の投入テスト及びその補完計算は、損傷位置と損傷程度を判定するための複素平面上にプロットする伝搬定数及び特性インピーダンスのデータを求めるものである。その方法は、装置の運用開始前に正常時の伝搬定数と特性インピーダンスを測定することと、監視区間のターミナルボックスを利用して可変抵抗を介して低接地物と接続して模擬的に損傷を投入して損傷データを蓄積することである。更に、模擬損傷の加えられなかった地点での損傷データは、(5)式に基づいた数値計算により補完するようにしている。この補完式は精度上問題がなければ近似式を使用したり、模擬損傷投入地点の間隔が短い場合は比例計算によって補完データを作成しても実用上差し支えない。
【0067】
計測点Aでは、金属導管1に監視信号を印加する交流電源2が設置され、地中に埋設された金属導管1と計測点A近傍に埋設された通電極10との間に標準信号発生手段5から送られる交流電圧を所定の振幅に増幅して印加している。監視電圧を印加する交流電源2は、防食電位として−2(V)〜−1(V)程度のバイアスを重畳させ、金属導管1の電気防食を阻害しないようにしている。このように、交流電源2にバイアスを重畳させることにより電気防食用の外部電源としても併用することが可能である。
【0068】
カレントトランスフォーマ9は、交流電源2が接続されているターミナルよりも監視区域側に設けられており、監視区域方向の管内電流を電圧に変換して計測できるようにしている。ロックインアンプ4は、カレントトランスフォーマ9の出力から監視周波数と同じ周波数成分の振幅と標準信号発生手段5より得られる参照信号に対する位相差を測定し計測結果を通信手段7に送る。以下、すべての測定点において、カレントトランスフォーマ9により計測された電流出力は、事前に計測している補正係数により正しい電流の振幅値及び位相差に補正して解析に使用するものとして説明を行う。
【0069】
ロックインアンプ3は、計測点A近傍に埋設された参照電極11と金属導管2との電位差である管対地電位を検知し、当該電位の振幅及び当該電位と標準信号発生手段5より得られる参照信号との位相差を測定して計測結果を通信手段7に送る。
【0070】
計測点Bは信号電源より10kmの位置に設置される。計測点Aの場合と同様に、カレントトランスフォーマ9により管内電流を電圧に変換して計測し、その出力をロックインアンプ4により監視周波数と同じ周波数成分の振幅及び標準信号発生手段5で得られる参照信号に対する位相差を測定し、計測結果を通信手段7に送る。また管対地電位も上述と同様に、ロックインアンプ3により当該電位の振幅及び当該電位と標準信号発生手段5から得られる参照信号との位相差を測定して計測結果を通信手段7に送る。
【0071】
計測点Cは金属導管2の絶縁端とされるため、管対地電位のみを計測する構成とされている。管対地電位については上述と同様に、ロックインアンプ3により当該電位の振幅及び当該電位と標準信号発生手段5から得られる参照信号との位相差を測定して計測結果を通信手段7に送る。
【0072】
本実施例では、装置構成を有効に活用して検知精度、信頼性を向上させることを考慮して、監視区域を次の3ブロックとしている。
【0073】
第1ブロック:計測点A〜計測点C
計測点A及び計測点Cにおける測定結果から計測点A〜C間の伝搬定数、特性インピーダンスを監視している。損傷発生時の特性インピーダンスの判定においては計測点Bのデータと以下で述べる第2ブロック、第3ブロックの監視結果を基に計測点Bよりも電源側で発生したものか、あるいは管端側で発生したものかを判定し損傷位置、損傷程度を推定できるようにしている。
【0074】
第2ブロック:計測点A〜計測点B
計測点A及び計測点Bの測定結果から計測点A〜B間の伝搬定数、特性インピーダンスを監視している。第2ブロックに損傷が発生した場合、特性インピーダンスの判定で損傷位置の推定候補は2箇所となるが、伝搬定数からの推定結果や第1ブロックの推定結果との論理積をとることにより損傷位置の特定が可能である。なお、第2ブロックに損傷が発生した場合には第3ブロックの伝搬定数、特性インピーダンスは変化しない。
【0075】
第3ブロック:計測点B〜計測点C
計測点B及び計測点Cの測定結果から計測点B〜C間の伝搬定数、特性インピーダンスを監視している。第3ブロックに損傷が発生した場合、第2ブロックと同様、特性インピーダンスの判定においては推定した損傷位置の候補は2箇所となるが、伝搬定数からの推定結果や第1ブロックの推定結果との論理積をとることにより損傷位置の特定は可能である。なお、第3ブロックに損傷が発生した場合には第2ブロックの伝搬定数、特性インピーダンスは変化しない。
【0076】
これら各ブロックでの損傷位置及び損傷程度の推定結果は、それぞれある程度の誤差を含んでおり、これら推定値に対し各指標について重み付けを行って平均することで推定精度、信頼性共に向上させることができる。この重み付けは、事前調査における模擬的な損傷データ収集時の各監視指標の損傷に対する感度、分解能及びノイズ安定性を考慮して設定し、更に実際の稼働中においても長期的にチューニングを行っていくことで検知精度を向上させることができる。
【0077】
このように、各ブロックにおいてそれぞれ伝搬定数、特性インピーダンスといった検知指標に多様性を持たせ、それらを総合的に判断することにより、検知の信頼性及び精度を向上させることができる。
【0078】
各ブロックにおいて損傷位置と損傷程度を判定するため、予め複素平面を作成しておき、これに測定データをプロットする。この複素平面は、装置の稼働開始前に、監視区域のターミナルボックスを利用して金属導管1に低接地物を接続して模擬的に損傷を投入することで、伝搬定数と特性インピーダンスの変動を記録する。更に、(5)式に基づいた数値計算により模擬損傷の加えられなかった地点での損傷データを補完できるようにしている。
【0079】
また、精度上問題がなければ補完式は近似式を使用したり、模擬損傷の投入地点の間隔が短い場合は比例計算によって補完データを作成しても実用上差し支えない。図3に特性インピーダンスの損傷による変動を計算により複素平面上にプロットした例を、図4に伝搬定数の損傷による変動を計算により複素平面上にプロットした例を、図6にその拡大図と測定例を示す。図6では、実際に損傷が起こった場合の変動例(7km,100Ω)を矢印で示している。
【0080】
定常の稼働では、全計測点でロックインアンプ3及びロックインアンプ4により測定された管内電流、管対地電位(計測点Cにおいては管対地電位のみ)の振幅及び位相データは、ネットワークを通じて各計測点に備えられている通信手段7を介して電話回線12により解析判定手段8に集められる。
【0081】
解析判定手段8は、これらの送信データを0.5秒おきに収集して前記の(2)、(3)式により各監視ブロックの伝搬定数及び特性インピーダンスを算出している(監視ブロック3においてはI2=0とおいて計算した。)。算出した伝搬定数及び特性インピーダンスは、図6に示すように複素平面上にプロットされスレッショルド区域と比較する。
【0082】
このスレッショルド区域は、複素平面上において、金属導管1に損傷の入っていない状態である正常点を原点として、ノイズ等による変動を許容し検知目標とする損傷の接地抵抗を、監視区域全体において投入した時の変動を結んだ曲線の区域として設定されている。
【0083】
通常、バックホーなど建設重機がメタルタッチした時に起こる損傷の接地抵抗は70〜200Ω程度であるため、本装置では警報レベルとして200Ω以下の損傷が発生したときに警報を発するようにスレッショルド区域を設定している。
【0084】
本発明者らの実験によれば、伝搬定数及び特性インピーダンスは長周期で微妙に揺らいでおり、それは時間帯、曜日、季節、気候により変動することが判った。
【0085】
このため、損傷データ作成時に計測した伝搬定数及び特性インピーダンスと、現在の特性インピーダンス及び伝搬定数の計算結果が微妙にずれる場合がある。このような長期的な揺らぎによる変動と非常に短い短期的な損傷による変動を区別する方法として、過去の数データの移動平均に対する現在値をスレッショルドと比較する方法や、ハイパスフィルタの使用などが考えられる。
【0086】
一例として、信号源より7km(ブロック1及びブロック2)に100Ωの損傷が発生した場合を考えると、損傷により計測点A、計測点B及び計測点Cにおいて管内電流、管対地電位に変動が生じる。
【0087】
解析装置8は、全ての計測点から送られてきた電位及び電流データから、(2),(3)式により各ブロックの伝搬定数、特性インピーダンスを算出し、スレッショルド区域に照らし合わせる。損傷により、ブロック1,2において伝搬定数及び特性インピーダンスが全てスレッショルド区域外に移動するため、損傷程度と損傷位置の推定を開始するロジックに移行する。
【0088】
図6にブロック2における伝搬定数の変動を矢印で示す。これによると矢印の先端は損傷によりスレッショルド区域を越えて変動し、変動位置は6.9km,90Ωの位置近傍に変動している。このことよりブロック2における損傷の推定結果は、6.9km,90Ωとして以下に示す表1中のブロック2、伝搬定数の推定結果として入力されることになる。
【0089】
監視区域を複数のブロックに分割し、いくつかの監視指標により重複して監視を行う利点は、ノイズ侵入に対する耐性と信頼性を高めることにある。例えば、計測点Bのカレントトランスフォーマ9に異常が生じたとしてもブロック1における伝搬定数及び特性インピーダンスの算出は共に計測点Bのカレントトランスフォーマ9のデータを使用しないため正常値を示す。しかしながら、ブロック2,3においてはスレッショルドを越えることも考えられ、損傷がブロック2,3と同時に発生したことになり現実にはあり得ない状況となる。このため解析装置8においては、損傷発生判断の目安としてブロック1とブロック2またはブロック1とブロック3における伝搬定数及び特性インピーダンスのスレッショルド域外への変動に対して論理積をとることで誤報を防止し信頼性を高めている。また、金属導管1の内部にノイズが混入し全てのブロックの監視指標がスレッショルドを越える場合も現実にはあり得ない状況であるので、これも排除して警報を発しないようにしている。
【0090】
伝搬定数及び特性インピーダンスの長周期の揺らぎに対しては、過去における数データの移動平均値と損傷データ作成正常時の伝搬定数及び特性インピーダンスの値との差をなくすように現在値に対してシフトを行なうことにより補正する。
【0091】
この補正値を複素平面上の模擬損傷データ及びそれを補完する計算データに当てはめ、その地点の損傷位置、損傷の接地抵抗を読み取りその値を出力する。ブロック1における特性インピーダンスによる位置判定については、ブロック3での損傷が発生していないことから、ブロック2における損傷が発生したとして、その推定値は0〜10km内で損傷が発生したという制限を付与して推定されることになる。
【0092】
このようにして、各ブロックの各指標において損傷程度、損傷位置の推定値が出力された結果を表1に示す。
【0093】
【表1】
【0094】
この出力結果に,以下の表2に示す重み付け係数を乗じて平均値を取り、その結果を警報と共に出力する。
【0095】
表2は、前述したように事前調査時の模擬損傷投入時の各指標の安定度、感度等を考慮し設定したものである。本実施例においてはブロック2での損傷発生であるため、表1でのブロック3における推定値を0とおくことで重み付け係数の影響を除去している。逆にブロック3での損傷についてはブロック2での推定値を0とおいて重み付け計算を行う。
【0096】
【表2】
【0097】
結果として、推定値は以下のようになり、良好な一致が見られる。
【0098】
【数8】
【0099】
(実施例2)
図7は、本実施例による簡素型の損傷判定装置を示している。なお、実施例1の図1と同一の構成部材等については同符号を記して説明を省略する。
ここでは、全長20kmの導管中央において計測点Aを設け、金属導管全体の1/2区域を監視する装置を例示する。金属導管全体を監視対象とする場合には、以下に示す装置の交流電源を共通として残りの部分を対称的に適用すればよい。
【0100】
本実施例において、測定箇所は金属導管1の絶縁端13の1点のみとして構成されており、監視区域は交流電源2から絶縁端13までの10kmの範囲とされている。
【0101】
ここで使用する監視用周波数は、監視対象とする金属導管1の管径、肉厚、塗覆装の品質、埋設状況、導管長により最適に選定する必要がある。周波数の選定に際しては、装置設計の事前調査において監視区間の伝搬定数及び特性インピーダンスを測定し、(5)式に基づいた数値計算と模擬損傷投入テストの結果から商用周波数とその高調波を除外した周波数を選定することにしている。本実施例では監視信号の周波数として420Hzを選定した。また、検知精度と信頼性を向上させるためにいくつかの周波数を重畳させ多周波で監視を行うことも可能である。
【0102】
電源設置部位には監視信号を印加する交流電源2を配し、地中に埋設された金属導管1と計測点A近傍に埋設された通電極10との間に標準信号発生手段5から、交流信号を所定の振幅に増幅して定電圧制御により印加している。監視信号を印加する交流電源2は実施例1と同様に防食電位として−2(V)〜−1(V)程度のバイアスを印加し、金属導管1の電気防食を阻害しないようにしている。
【0103】
計測点では、管対地電位のみを計測する構成としている。この場合、ロックインアンプ3が計測点A近傍に埋設された参照電極11と金属導管2との電位差である管対地電位を検知し、当該電位の振幅及び当該電位と標準信号発生手段5より得られる参照信号との位相差を測定して計測結果を通信手段7に送る。
【0104】
損傷位置及び損傷程度を判定するための複素平面上にプロットされる伝搬定数のデータは、本装置の稼働開始前に正常時の伝搬定数及び特性インピーダンスを測定することと、監視区間のターミナルボックスを利用して低接地物と接続して模擬的に損傷を投入して損傷データを蓄積することにより得る。更に、模擬損傷の加えられなかった地点での損傷データは、(5)式に基づいた数値計算により補完するようにしている。この補完式は精度的に問題がなければ近似式を使用したり、模擬損傷投入地点の間隔が短い場合は比例計算によって補完データを作成しても実用上差し支えない。
【0105】
解析装置8は、管端での管対地電位の振幅及び位相をネットワークにより0.5秒おきに収集して(7)式により監視区間の伝搬定数を算出している。算出した伝搬定数は複素平面上にプロットされスレッショルド区域と比較する。
【0106】
スレッショルド区域は実施例1と同様に定め、損傷発生の検知と推定方法も実施例1と同様に行う。
【0107】
本実施例において、監視指標は伝搬定数のみであり監視区間も1ブロックであるため伝搬定数により決定した損傷データをそのまま警報と共に発することになる。
【0108】
【発明の効果】
本発明によれば、監視対象とする埋設金属導体の長距離化に十分対応が可能であり、且つ極めて高い検知性能及び信頼性をもって金属導体の損傷位置及び損傷程度を判定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した損傷判定装置(実施形態及び実施例1)の概略構成を示す模式図である。
【図2】本発明の損傷判定装置の原理的説明をするための模式図である。
【図3】監視ブロック1における特性インピーダンスを用いた損傷データを示す特性図である。
【図4】監視ブロック2における伝搬定数を用いた損傷データを示す特性図である。
【図5】カレントトランスフォーマにノイズが混入した場合の複素平面上での変動を示す特性図である。
【図6】図4(図5)の所定部位を拡大して示す特性図である。
【図7】本発明を適用した損傷判定装置(実施形態及び実施例2)の概略構成を示す模式図である。
【符号の説明】
1 金属導管
1a 損傷部
2 交流電源
3 ロックインアンプ(電位用)
4 ロックインアンプ(カレントトランスフォーマ用)
5 標準信号発生手段
6 Global Positioning System レシーバ
7 通信手段
8 解析判定手段
9 カレントトランスフォーマ
10 通電極
11 参照電極
12 電話回線
13 絶縁フランジ
Claims (12)
- 地中に埋設された塗覆装の金属導体における前記塗覆装の損傷発生を検知し判定する損傷判定装置であって、
前記金属導体の監視対象とする区域に2箇所以上の計測地点を設け、
前記金属導体に交流電圧を連続印加する交流電源と、
前記各計測地点において前記交流電圧と同一周波数且つ同一位相の標準信号を発生する標準信号発生手段と、
前記各計測地点における導体内電流及び導体対地電圧を計測する計測手段と、
前記計測手段により得られた計測情報から前記各計測地点間の特性インピーダンス及び伝搬定数を算出し、損傷発生時には、損傷位置及び損傷程度について、算出された前記特性インピーダンス及び前記伝搬定数の正常値に対する変動量と予め算出された模擬的な損傷による変動量との比較と、分布定数式とを用いた補完計算を行い、損傷位置及び損傷程度を判定する解析判定手段とを備えることを特徴とする損傷判定装置。 - 前記計測手段は、前記交流電圧と同一周波数成分の導体内電流及び導体対地電圧の各振幅及び前記標準信号との各位相差をそれぞれ計測することを特徴とする請求項1に記載の損傷判定装置。
- 地中に埋設され、監視区域内の一端が電気的に絶縁及び開放された塗覆装の金属導体における前記塗覆装の損傷発生を検知し判定する損傷判定装置であって、
前記金属導体の前記一端を計測地点とし、
前記金属導体の他端に交流電圧を連続印加する交流電源と、
前記計測地点において前記交流電圧と同一周波数且つ同一位相の標準信号を発生する標準信号発生手段と、
前記計測地点における導体対地電圧を計測する計測手段と、
前記計測手段により得られた計測情報から伝搬定数を算出し、損傷発生時には、損傷位置及び損傷程度について、算出された前記特性インピーダンス及び前記伝搬定数の正常値に対する変動量と予め算出された模擬的な損傷による変動量との比較と、分布定数式とを用いた補完計算を行い、損傷位置及び損傷程度を判定する解析判定手段とを備えることを特徴とする損傷判定装置。 - 前記計測手段は、前記交流電圧と同一周波数成分の前記導体対地電圧の振幅及び前記標準信号との位相差をそれぞれ計測することを特徴とする請求項3に記載の損傷判定装置。
- 前記解析判定手段は、損傷発生時に前記損傷位置及び前記損傷程度を判定した際に、警報を発することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の損傷判定装置。
- 前記金属導体の中央部位を前記計測地点に選択し、損傷発生部位が前記交流電源の設置部位側か否かを判断することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の損傷判定装置。
- 地中に埋設された塗覆装の金属導体における導体内電流及び導体対地電圧を計測し、これらの計測情報から前記塗覆装の損傷発生を判定する損傷判定方法であって、
前記金属導体の監視対象とする区域に2箇所以上の導体内電流及び導体対地電圧の計測地点を設け、
前記金属導体に交流電圧を連続印加するとともに、前記各計測地点において前記交流電圧と同一周波数且つ同一位相の標準信号を発生させ、前記各計測地点から得られた計測情報から各計測地点間の特性インピーダンス及び伝搬定数を算出し、損傷発生時には、損傷位置及び損傷程度について、算出された前記特性インピーダンス及び前記伝搬定数の正常値に対する変動量と予め算出された模擬的な損傷による変動量との比較と、分布定数式とを用いた補完計算を行い、損傷位置及び損傷程度を判定することを特徴とする損傷判定方法。 - 前記交流電圧と同一周波数成分の導体内電流及び導体対地電圧の各振幅及び前記標準信号との各位相差をそれぞれ計測することを特徴とする請求項7に記載の損傷判定方法。
- 地中に埋設され、監視区域内の一端が電気的に絶縁及び開放された塗覆装の金属導体における前記塗覆装の損傷発生を検知し判定する損傷判定方法であって、
前記金属導体の前記一端を導体対地電圧の計測地点とし、
前記金属導体の他端に交流電圧を連続印加するとともに、前記計測地点において前記交流電圧と同一周波数且つ同一位相の標準信号を発生させ、前記計測地点から得られた計測情報から伝搬定数を算出し、損傷発生時には、損傷位置及び損傷程度について、算出された前記特性インピーダンス及び前記伝搬定数の正常値に対する変動量と予め算出された模擬的な損傷による変動量との比較と、分布定数式とを用いた補完計算を行い、損傷位置及び損傷程度を判定することを特徴とする損傷判定方法。 - 前記交流電圧と同一周波数成分の前記導体対地電圧の振幅及び前記標準信号との位相差をそれぞれ計測することを特徴とする請求項9に記載の損傷判定方法。
- 損傷発生時に前記損傷位置及び前記損傷程度を判定した際に、警報を発することを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項に記載の損傷判定方法。
- 前記金属導体の中央部位を前記計測地点に選択し、損傷発生部位が前記交流電圧の印加部位側か否かを判断することを特徴とする請求項7〜11のいずれか1項に記載の損傷判定方法。
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