JP2001116714A - 塗覆装された埋設金属導体の損傷判定装置及び損傷判定方法 - Google Patents

塗覆装された埋設金属導体の損傷判定装置及び損傷判定方法

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JP2001116714A JP29699499A JP29699499A JP2001116714A JP 2001116714 A JP2001116714 A JP 2001116714A JP 29699499 A JP29699499 A JP 29699499A JP 29699499 A JP29699499 A JP 29699499A JP 2001116714 A JP2001116714 A JP 2001116714A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長距離にわたって地中に埋設された金属導管
について、土木機械等の重機類の接触事故を原因とする
塗覆装の損傷の位置並びに損傷の程度を容易に検知しう
る塗覆装損傷検知方法を提供する。 【解決手段】 地中に埋設された金属導管1を測定対象
とし、監視対象とする区間を包括するように設置した2
箇所以上の計測地点を設ける。各計測地点での管内電流
及び管対地電圧の各振幅、及び管内電流及び管対地電圧
と交流電源2の同一周波数で同一位相を発生する標準信
号発生手段5との位相差から、2計測点間の特性インピ
ーダンス及び伝搬定数を算出する。損傷位置と損傷程度
の推定を、監視区域の前記各算出値の複素平面上の変動
量と過去に投入した模擬損傷による変動量との比較で行
い、分布定数の回路式により模擬損傷間の補完を行な
う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、地中に埋設された
金属導体(金属導管)が土木機械等の重機類の接触事故
によって損傷を受けた際の損傷位置及び損傷程度を即時
に検知し判定する損傷判定装置及び損傷判定方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】地中に埋設された金属導管の塗覆装の損
傷発生を検知する方法としては、特開平2−20326
3号公報に開示されているように、交流電流を金属導管
に連続通電して検出された管内電流または管対地電圧に
基づいて損傷状態を判定するようにしたものが知られて
いる。同様な手法として、特開平7−128189号公
報、特開平7−128272号公報、特開平8−145
934号公報、改善したものとして特開平9−1895
95号公報、特開平9−281069号公報、特開平1
0−38834号公報が開示されており、損傷区間の特
定方法として特開平10−38178号公報がある。
【0003】また、本発明者らは、先行技術として特開
平8−304321号公報及び特開平11−64266
号公報で通電点におけるインピーダンス監視法を提案し
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述の従来技術のう
ち、特開平7−128272号公報や特開平2−203
263号公報の手法では、損傷位置が計測点間での損傷
発生の有無に限られ、損傷位置の推定精度を向上させよ
うとした場合には計測点を増やさなければならないとい
った問題があった。このことはおのずから設備費の増加
及びそれに伴うメンテナンスの増大、また、これら多く
の小分割された監視区間を結ぶデータ転送のための通信
費等のランニングコストの増大を招くことになる。
【0005】更に、パイプラインは通常一般道路の地下
に埋設されていることが多く、思うように計測点を増や
すことができず、計測機器の設置が可能なバルブステー
ションやガバナステーションに限定されるために、ステ
ーションの間隔が離れると損傷位置の推定精度も満足の
いくものではなくなってくる。
【0006】更に、長距離の金属導管に交流電圧を印加
した場合、信号の伝搬は分布定数回路における特有な伝
搬特性を示し、例えば導管の管端では信号印加点よりも
電圧が上昇する現象(フェランチ現象)を示すようにな
る。このため、検知原理が分布定数回路特性にそぐわな
い場合には、誤報を発したりまたは損傷が発生しても検
知不能となる不都合を生じることになる。
【0007】特開平2−203263号公報の手法等で
は、この分布定数回路的な振る舞いを押さえるために低
い周波数での監視信号を選定していたが、周波数が低い
とロックインアンプのアベレージングを長くとらなけれ
ばならないためにシステムのレスポンスが悪くなるとい
う問題や、迷走電流や高圧送電線の誘導等がノイズとし
て混入し易くなってS/Nが劣化し、検知能力の低下を
来すという問題があった。
【0008】本発明者らは特開平8−304321号公
報において分布定数回路理論に基づいた検知手法を開示
しているが、その後の開発において特性インピーダンス
及び伝搬定数が金属導管の環境変化に応じて緩やかに変
動することが判っている。この場合、金属導管の管端を
接地し開放した場合、導管距離が長くなると特性インピ
ーダンスと伝搬定数の計測精度が悪くなるという事実が
明らかとなり、予め計測された特性インピーダンス及び
伝搬定数を使用して損傷位置、損傷程度を算出する手法
において監視対象とする距離や精度に限界があることが
判ってきた。
【0009】特開平11−64266号公報で提案して
いる監視法は、信号印加点近傍の損傷に対して位置、損
傷程度共に良好な分解能を保つ。しかしながら、監視対
象が長距離になると、損傷が信号印加点から離れるに従
って位置、損傷程度の分解精度が低下してくることが明
らかとなった。
【0010】また、以上列挙した各手法において、ロゴ
スキー式の電流−電圧変換装置(以下、カレントトラン
スフォーマと称する。)の電流センサを使用した場合、
当該センサに侵入するノイズの影響で急激な電流値の変
動が生じて誤報を発する場合があり、信頼性を向上させ
る必要があった。
【0011】本発明は、このような従来技術の不都合を
解消するべく案出したものであり、その主な目的は、監
視対象とする埋設金属導体の長距離化に十分対応が可能
であり、且つ極めて高い検知性能をもって金属導体の損
傷位置及び損傷程度を判定する信頼性の高い損傷判定装
置及び損傷判定方法を低コストで提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の損傷判定装置
は、地中に埋設された塗覆装の金属導体における前記塗
覆装の損傷発生を検知し判定するものであって、前記金
属導体の監視対象とする区域に2箇所以上の計測地点を
設け、前記金属導体に交流電圧を連続印加する交流電源
と、前記各計測地点において前記交流電圧と同一周波数
且つ同一位相の標準信号を発生する標準信号発生手段
と、前記各計測地点における導体内電流及び導体対地電
圧を計測する計測手段と、前記計測手段により得られた
計測情報から前記各計測地点間の特性インピーダンス及
び伝搬定数を算出し、損傷発生時には、算出された前記
特性インピーダンス及び前記伝搬定数の正常値に対する
変動量と予め算出された模擬的な損傷による変動量との
比較及び分布定数式による補完計算を行い、損傷位置及
び損傷程度を判定する解析判定手段とを備える。
【0013】本発明の損傷判定装置の一態様において、
前記計測手段は、前記交流電圧と同一周波数成分の導体
内電流及び導体対地電圧の各振幅及び前記標準信号との
各位相差をそれぞれ計測する。
【0014】本発明の損傷判定装置は、地中に埋設さ
れ、監視区域内の一端が電気的に絶縁及び開放された塗
覆装の金属導体における前記塗覆装の損傷発生を検知し
判定するものであって、前記金属導体の前記一端を計測
地点とし、前記金属導体の他端に交流電圧を連続印加す
る交流電源と、前記計測地点において前記交流電圧と同
一周波数且つ同一位相の標準信号を発生する標準信号発
生手段と、前記計測地点における導体対地電圧を計測す
る計測手段と、前記計測手段により得られた計測情報か
ら伝搬定数を算出し、損傷発生時には、算出された前記
伝搬定数の正常値に対する変動量と予め算出された模擬
的な損傷による変動量との比較及び分布定数式による補
完計算を行い、損傷位置及び損傷程度を判定する解析判
定手段とを備える。
【0015】本発明の損傷判定装置の一態様において、
前記計測手段は、前記交流電圧と同一周波数成分の前記
導体対地電圧の振幅及び前記標準信号との位相差をそれ
ぞれ計測する。
【0016】本発明の損傷判定装置の一態様において、
前記解析判定手段は、損傷発生時に前記損傷位置及び前
記損傷程度を判定した際に、警報を発する。
【0017】本発明の損傷判定装置の一態様において、
前記金属導体の中央部位を前記計測地点に選択し、損傷
発生部位が前記交流電源の設置部位側か否かを判断す
る。
【0018】本発明の損傷判定方法は、地中に埋設され
た塗覆装の金属導体における導体内電流及び導体対地電
圧を計測し、これらの計測情報から前記塗覆装の損傷発
生を判定する手法であって、前記金属導体の監視対象と
する区域に2箇所以上の導体内電流及び導体対地電圧の
計測地点を設け、前記金属導体に交流電圧を連続印加す
るとともに、前記各計測地点において前記交流電圧と同
一周波数且つ同一位相の標準信号を発生させ、前記各計
測地点から得られた計測情報から各計測地点間の特性イ
ンピーダンス及び伝搬定数を算出し、損傷発生時には、
算出された前記特性インピーダンス及び前記伝搬定数の
正常値に対する変動量と予め算出された模擬的な損傷に
よる変動量との比較及び分布定数式による補完計算を行
い、損傷位置及び損傷程度を判定する。
【0019】本発明の損傷判定方法の一態様において、
前記交流電圧と同一周波数成分の導体内電流及び導体対
地電圧の各振幅及び前記標準信号との各位相差をそれぞ
れ計測する。
【0020】本発明の損傷判定方法は、地中に埋設さ
れ、監視区域内の一端が電気的に絶縁及び開放された塗
覆装の金属導体における前記塗覆装の損傷発生を検知し
判定する手法であって、前記金属導体の前記一端を導体
対地電圧の計測地点とし、前記金属導体の他端に交流電
圧を連続印加するとともに、前記計測地点において前記
交流電圧と同一周波数且つ同一位相の標準信号を発生さ
せ、前記計測地点から得られた計測情報から伝搬定数を
算出し、損傷発生時には、算出された前記伝搬定数の正
常値に対する変動量と予め算出された模擬的な損傷によ
る変動量との比較及び分布定数式による補完計算を行
い、損傷位置及び損傷程度を判定する。
【0021】本発明の損傷判定方法の一態様において、
前記交流電圧と同一周波数成分の前記導体対地電圧の振
幅及び前記標準信号との位相差をそれぞれ計測する。
【0022】本発明の損傷判定方法の一態様において、
損傷発生時に前記損傷位置及び前記損傷程度を判定した
際に、警報を発する。
【0023】本発明の損傷判定方法の一態様において、
前記金属導体の中央部位を前記計測地点に選択し、損傷
発生部位が前記交流電圧の印加部位側か否かを判断す
る。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明を適用した具体的な
実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0025】先ず、本実施形態の損傷判定装置の概略構
成について述べる。この損傷判定装置は、金属導管の監
視対象とする区域に計測地点を2箇所以上設け、地中に
埋設された塗覆装の金属導体である金属導管における当
該塗覆装の損傷発生を検知し判定するものである。概略
構成は、例えば図1に示すように、金属導管1に交流電
圧を連続印加する交流電源2と、前記各計測地点におい
て交流電圧と同一周波数且つ同一位相の標準信号を発生
する標準信号発生手段5と、管内電流を電圧に変換して
計測するカレントトランスフォーマ9と、カレントトラ
ンスフォーマ9の出力から前記交流電圧と同じ周波数成
分の振幅及び標準信号との位相差を測定するロックイン
アンプ4と、管対地電圧の前記交流電圧と同じ周波数成
分の振幅及び標準信号との位相差を測定するロックイン
アンプ3とを備える。ここで、カレントトランスフォー
マ9及びロックインアンプ3,4を主要素として含む計
測手段が構成される。
【0026】更に、この損傷判定装置は、通信部、解析
部及び記録部を備えた解析判定手段8を有している。こ
の解析判定手段8は、前記計測手段により得られた計測
情報から各計測地点間の特性インピーダンス及び伝搬定
数を算出し、損傷発生時には、算出された特性インピー
ダンス及び伝搬定数の正常値に対する変動量と予め算出
された模擬的な損傷による変動量との比較及び分布定数
式による補完計算を行い、損傷位置及び損傷程度を判定
するものである。
【0027】上記構成の損傷判定装置について、その動
作原理について以下に述べる。塗覆装されている長距離
の地中埋設された金属導管に交流信号を印加した場合、
分布定数回路とみなせる電気回路が構成される。ここで
計測対象が計測地点Aにおいて管対地電位V1及び管内
電流I1、計測地点Bにおいて管対地電位V2、管内電
流I2、計測地点間の距離をL(km)、伝搬定数を
γ、特性インピーダンスをZ0 であるとすると、回路方
程式は4端子定数を用いて以下のように表される。
【0028】
【数1】
【0029】上式において、管対地電位V1,V2、管
内電流I1,I2及び距離Lは可観測の値である。
(1)式より伝搬定数γ及び特性インピーダンスZ0
以下のように導出される。
【0030】
【数2】
【0031】
【数3】
【0032】ここで、V1,V2,I1,I2は位相情
報を含み複素数で表現されるため、(1)〜(3)式で
求められる伝搬定数γ及び特性インピーダンスZ0 も共
に複素数で表現される。
【0033】ところで、土木用重機などによって金属導
管の塗覆装に損傷が生じた場合、重機の掘削刃が金属導
管本体とメタルタッチすることにより、重機と金属導管
との間の電気抵抗がほぼ0となったとすれば、金属導管
からみた損傷の接地抵抗は、重機が土壌に接している面
積と土壌抵抗率で決定される重機の接地抵抗と等価であ
ると見做すことができる。このため金属導管の損傷発生
は、分布定数回路途中での地絡点発生と見做せる。この
ことは、等価的には図2に示すようになる。ここで、測
定点Aより測定点B方向にX(km)の部位にR(Ω)
の接地抵抗をもつ損傷が発生した場合のV1,V2,I
1,I2の関係は、損傷点において2つの分布定数回路
が損傷回路を介して接続されたものとなる。当該関係を
以下に示す。
【0034】
【数4】
【0035】(4)式をまとめると、
【0036】
【数5】
【0037】損傷の無い正常な状態では分布定数回路が
成立し、(2),(3)式により伝搬定数及び特性イン
ピーダンスを常に監視できる。損傷が発生した瞬間に
(1)式から(5)式に過渡的に変化し、例えば、
(5)式中で行列の1行1列目の要素と2行2列目の要
素が等しくないことから、損傷発生時点では回路全体と
して分布定数回路として成立せず、(2)(3)式によ
る損傷時の伝搬定数及び特性インピーダンスを定義する
ことはできない。
【0038】しかしながら、損傷判定装置は、損傷の発
生を事前に察知することができないため、損傷が発生し
た瞬間においても(5)式に対して(2),(3)式を
適用して仮の伝搬定数及び特性インピーダンスを算出す
ることになる。(5)式において損傷の接地抵抗Rが大
きい場合には、(1)式と等価であり正常な状態として
認識される。損傷が発生した場合に(5)式に示される
行列の各要素の2項目が損傷の影響として現れ、V1,
V2,I1,I2が変化することになって結果的に仮の
伝搬定数及び特性インピーダンスとして算出される。
【0039】ここで、損傷判定を行なうために要求され
る事項は、損傷位置X(km)及び損傷の程度を示す指
針となるR(Ω)の2つの未知数である。(5)式にお
いて、Rについては1次の連立式であり、Xについては
双曲線関数内の変数としての連立式となる。この場合、
(5)式の行列は正則行列であるため、R及びXを求め
ることができる。但し、Xは双曲線関数内の変数である
ため、ある条件下では解が2つ以上存在することもあ
り、実用においては現実に適合した解を選別しなければ
ならない。(5)式を展開してR及びXについて整理す
れば算出は可能である。現実的には計算機による数値計
算で求めることができる。
【0040】本発明者らの実験によれば、伝搬定数およ
び特性インピーダンスは監視区間全域において均一であ
るとは限らず、埋設環境や塗覆装の種類、品質によりあ
る程度のばらつきを有しており、このことが損傷位置及
び損傷程度の推定精度を悪化させる原因であるという知
見を得た。
【0041】このため、実際の損傷判定装置において
は、事前調査時に監視区域の数点において損傷と等価な
接地を行い、仮の伝播定数及び特性インピーダンスの複
素平面上での挙動を実損傷データとして蓄積記憶してお
き、これを基に損傷位置と損傷程度の判定を行う方法を
発明した。
【0042】損傷データ蓄積に際して、監視区間全域に
連続的にもれなく損傷と等価な接地を行うことは不可能
であるため、模擬損傷が投入可能な代表点を数点選出
し、様々な接地抵抗で模擬損傷を与えた場合のデータを
複素平面上に記録する。また、これら模擬損傷を投入し
た代表点間を補完する複素平面上のデータを計算機によ
り(5)式を基にして(2),(3)式に従いデータを
生成して補完する方式を採っている。
【0043】また、損傷位置及び損傷程度の推定精度が
さほど要求されなければ近似式を使用しても良い。更
に、模擬損傷投入地点の間隔が短い場合は比例計算によ
って補完データを作成しても実用上差し支えない。
【0044】本発明者らは、前述のように損傷判定装置
の開発に際して、実際には正常時でも伝搬定数及び特性
インピーダンスが時間と共に緩やかに変動して揺らいで
いる事を発見した。この対策として損傷位置及び損傷程
度の推定で使用する伝搬定数及び特性インピーダンスの
値は損傷直前の値を使用することにしている。
【0045】管内電流の検知センサとしてカレントトラ
ンスフォーマを採用した場合、当該センサに無線装置な
どのノイズが混入して信号電流が異常に増大、減少する
ことが原因で誤報を発することがある。このような場合
でも、この損傷判定装置によれば、図5に示すように、
伝播定数及び特性インピーダンスの複素平面上の範囲外
である場合にはノイズ混入であると判定することで誤報
の発生を防止することができる。
【0046】このように、計測地点の計測系にノイズが
侵入して異常な伝搬定数及び特性インピーダンスを示し
た場合も、各ブロックの損傷推定過程においてこれら異
常なデータを模擬損傷データと照らし合わせ模擬損傷デ
ータの範囲外にある場合は異常値として排除し警報を発
しないことにしている。
【0047】伝搬定数及び特性インピーダンスによる監
視を行う場合、ある条件下においては損傷のデータは図
3に示すように、損傷位置と損傷程度に対して1対1に
対応せず他の地点でのデータと重なる場合がある。この
ため本実施形態では、損傷データの折り返し点、この場
合はX=L/2となる部位に計測点を配置し、損傷がこ
の計測点の電源側かその反対側かを判断するようにして
伝搬定数及び特性インピーダンスによる監視を行う。
【0048】本発明者らは上述の記載に関連して、特定
の境界条件を設定すれば装置構成を非常に簡素化できる
方法を見出した。即ち、監視区間の一端を絶縁端に選び
管対地電位の測定手段を設置すると、管端は絶縁されて
いるためにI2=0となり、(2)式は以下のようにな
る。
【0049】
【数6】
【0050】(6)式によれば、管端(絶縁端)におけ
る管対地電位の計測と交流電源の設置部位における管対
地電位の計測のみで伝搬定数による監視が可能となる。
【0051】更に、監視区間の他端に信号を印加する電
源として定電位制御された交流電源を配した場合、電源
は定電位制御されているためにV1=Const(定数)とお
くことができ、(6)式は以下のようになる。
【0052】
【数7】
【0053】(7)式によれば、絶縁端における管対地
電位の計測のみで伝搬定数による監視が可能となる。従
って、電流センサを使用せず、装置構成を大幅に削減し
て計測点間のデータ通信も不要とすることができるため
設備費、ランニングコスト共に大幅に減少させることが
可能となる。
【0054】伝搬定数及び特性インピーダンスにより監
視を行う場合には、電位、電流データを複素数として扱
うことが必要となり、そのため各測定地点において交流
電源で印加している監視信号と同じ周波数で管対地電位
及び管内電流の振幅及び位相の計測が必要不可欠とな
る。
【0055】更に、各計測地点で計測される位相測定で
は、位相ずれのない標準信号を用いる必要がある。この
ため数キロ以上離れた各計測地点でも高度に同期した標
準信号発生手段を具備する必要がある。
【0056】通常市販されている信号発生器では、その
発信精度は10-7秒程度であるため複数台並列に配して
動作させると器差が生じる。このため、長期的に見れば
位相は相対的に回転することになり、本実施形態のよう
に離れた地点において共通の位相情報を使用する装置に
は使用できない。
【0057】このため、高精度の標準信号として、地球
上のあらゆる場所で受信が可能で精度の高いGPSの基
準信号やBS放送のカラーバースト信号等を標準信号と
して利用することが考えられる。
【0058】本実施形態においては、GPS(Global P
ositioning System)レシーバの基本信号10MHzを
監視周波数に分周する装置と、GPSからの1PPS
(1Pulse Per Sec)信号による位相調整を行い各計測地
点間で高精度に同期した標準信号を得ることができる標
準信号発生手段とを開発して使用している。
【0059】以上説明したように、本実施形態の損傷判
定装置によれば、監視対象とする埋設金属導管の長距離
化に十分対応が可能であり、且つ従来以上の検知性能を
もって金属導管の損傷位置及び損傷程度を判定すること
が可能となる。
【0060】
【実施例】以下、具体的な実施例に基づいて本発明の具
体的構成を詳細に説明する。
【0061】(実施例1)図1は、本発明による地中埋
設金属導管1における塗覆装の損傷検知方法が適用され
た測定装置を示している。ここでは、全長40kmの金
属導管の中央部において計測点Aを設け、金属導管全体
の1/2区域を監視する装置を例示する。金属導管全体
を監視対象とする場合には、以下に示す装置の交流電源
を共通として残りの部分を対称的に適用すればよい。
【0062】なお、本装置では監視対象導管の電気防食
方式は外部電源方式に適用したが、流電陽極方式の場合
は、監視信号の流出を防ぐために犠牲陽極と金属導管を
つなぐターミナルケーブルにノッチフィルタの役割をす
るコイル等を挿入すればよい。
【0063】本実施例では、計測箇所を交流電源部(計
測点A)、金属導管1の絶縁端13(計測点C)、その
中間点(計測点B)の3点で構成しており、監視区域を
計測点Aから計測点Cまでの20kmを範囲としてい
る。
【0064】ここで使用する監視用周波数は、監視対象
とする金属導管1の管径、肉厚、塗覆装の品質、埋設状
況、導管長により最適に選定する必要がある。周波数の
選定に際しては、後に述べる模擬損傷投入テストの結果
から商用周波数とその高調波を除外したものを選定する
ことにして、本実施例では420Hzを選定した。
【0065】また、本発明者らが先に提案した特開平1
1−64266号公報のように、監視対象範囲内の通電
点に最も近い位置から最も遠い位置まで損傷位置が変化
したときに、複素平面における損傷時のインピーダンス
の座標が正常時の座標の周りを回る角度が、360°未
満となる周波数の範囲を予め把握しておき、この範囲内
から通電する交流信号の周波数を選択するようにしても
よい。更に、検知精度と信頼性を向上させるためにいく
つかの周波数を重畳させて多周波で監視を行うことも可
能である。
【0066】模擬損傷の投入テスト及びその補完計算
は、損傷位置と損傷程度を判定するための複素平面上に
プロットする伝搬定数及び特性インピーダンスのデータ
を求めるものである。その方法は、装置の運用開始前に
正常時の伝搬定数と特性インピーダンスを測定すること
と、監視区間のターミナルボックスを利用して可変抵抗
を介して低接地物と接続して模擬的に損傷を投入して損
傷データを蓄積することである。更に、模擬損傷の加え
られなかった地点での損傷データは、(5)式に基づい
た数値計算により補完するようにしている。この補完式
は精度上問題がなければ近似式を使用したり、模擬損傷
投入地点の間隔が短い場合は比例計算によって補完デー
タを作成しても実用上差し支えない。
【0067】計測点Aでは、金属導管1に監視信号を印
加する交流電源2が設置され、地中に埋設された金属導
管1と計測点A近傍に埋設された通電極10との間に標
準信号発生手段5から送られる交流電圧を所定の振幅に
増幅して印加している。監視電圧を印加する交流電源2
は、防食電位として−2(V)〜−1(V)程度のバイ
アスを重畳させ、金属導管1の電気防食を阻害しないよ
うにしている。このように、交流電源2にバイアスを重
畳させることにより電気防食用の外部電源としても併用
することが可能である。
【0068】カレントトランスフォーマ9は、交流電源
2が接続されているターミナルよりも監視区域側に設け
られており、監視区域方向の管内電流を電圧に変換して
計測できるようにしている。ロックインアンプ4は、カ
レントトランスフォーマ9の出力から監視周波数と同じ
周波数成分の振幅と標準信号発生手段5より得られる参
照信号に対する位相差を測定し計測結果を通信手段7に
送る。以下、すべての測定点において、カレントトラン
スフォーマ9により計測された電流出力は、事前に計測
している補正係数により正しい電流の振幅値及び位相差
に補正して解析に使用するものとして説明を行う。
【0069】ロックインアンプ3は、計測点A近傍に埋
設された参照電極11と金属導管2との電位差である管
対地電位を検知し、当該電位の振幅及び当該電位と標準
信号発生手段5より得られる参照信号との位相差を測定
して計測結果を通信手段7に送る。
【0070】計測点Bは信号電源より10kmの位置に
設置される。計測点Aの場合と同様に、カレントトラン
スフォーマ9により管内電流を電圧に変換して計測し、
その出力をロックインアンプ4により監視周波数と同じ
周波数成分の振幅及び標準信号発生手段5で得られる参
照信号に対する位相差を測定し、計測結果を通信手段7
に送る。また管対地電位も上述と同様に、ロックインア
ンプ3により当該電位の振幅及び当該電位と標準信号発
生手段5から得られる参照信号との位相差を測定して計
測結果を通信手段7に送る。
【0071】計測点Cは金属導管2の絶縁端とされるた
め、管対地電位のみを計測する構成とされている。管対
地電位については上述と同様に、ロックインアンプ3に
より当該電位の振幅及び当該電位と標準信号発生手段5
から得られる参照信号との位相差を測定して計測結果を
通信手段7に送る。
【0072】本実施例では、装置構成を有効に活用して
検知精度、信頼性を向上させることを考慮して、監視区
域を次の3ブロックとしている。
【0073】第1ブロック:計測点A〜計測点C 計測点A及び計測点Cにおける測定結果から計測点A〜
C間の伝搬定数、特性インピーダンスを監視している。
損傷発生時の特性インピーダンスの判定においては計測
点Bのデータと以下で述べる第2ブロック、第3ブロッ
クの監視結果を基に計測点Bよりも電源側で発生したも
のか、あるいは管端側で発生したものかを判定し損傷位
置、損傷程度を推定できるようにしている。
【0074】第2ブロック:計測点A〜計測点B 計測点A及び計測点Bの測定結果から計測点A〜B間の
伝搬定数、特性インピーダンスを監視している。第2ブ
ロックに損傷が発生した場合、特性インピーダンスの判
定で損傷位置の推定候補は2箇所となるが、伝搬定数か
らの推定結果や第1ブロックの推定結果との論理積をと
ることにより損傷位置の特定が可能である。なお、第2
ブロックに損傷が発生した場合には第3ブロックの伝搬
定数、特性インピーダンスは変化しない。
【0075】第3ブロック:計測点B〜計測点C 計測点B及び計測点Cの測定結果から計測点B〜C間の
伝搬定数、特性インピーダンスを監視している。第3ブ
ロックに損傷が発生した場合、第2ブロックと同様、特
性インピーダンスの判定においては推定した損傷位置の
候補は2箇所となるが、伝搬定数からの推定結果や第1
ブロックの推定結果との論理積をとることにより損傷位
置の特定は可能である。なお、第3ブロックに損傷が発
生した場合には第2ブロックの伝搬定数、特性インピー
ダンスは変化しない。
【0076】これら各ブロックでの損傷位置及び損傷程
度の推定結果は、それぞれある程度の誤差を含んでお
り、これら推定値に対し各指標について重み付けを行っ
て平均することで推定精度、信頼性共に向上させること
ができる。この重み付けは、事前調査における模擬的な
損傷データ収集時の各監視指標の損傷に対する感度、分
解能及びノイズ安定性を考慮して設定し、更に実際の稼
働中においても長期的にチューニングを行っていくこと
で検知精度を向上させることができる。
【0077】このように、各ブロックにおいてそれぞれ
伝搬定数、特性インピーダンスといった検知指標に多様
性を持たせ、それらを総合的に判断することにより、検
知の信頼性及び精度を向上させることができる。
【0078】各ブロックにおいて損傷位置と損傷程度を
判定するため、予め複素平面を作成しておき、これに測
定データをプロットする。この複素平面は、装置の稼働
開始前に、監視区域のターミナルボックスを利用して金
属導管1に低接地物を接続して模擬的に損傷を投入する
ことで、伝搬定数と特性インピーダンスの変動を記録す
る。更に、(5)式に基づいた数値計算により模擬損傷
の加えられなかった地点での損傷データを補完できるよ
うにしている。
【0079】また、精度上問題がなければ補完式は近似
式を使用したり、模擬損傷の投入地点の間隔が短い場合
は比例計算によって補完データを作成しても実用上差し
支えない。図3に特性インピーダンスの損傷による変動
を計算により複素平面上にプロットした例を、図4に伝
搬定数の損傷による変動を計算により複素平面上にプロ
ットした例を、図6にその拡大図と測定例を示す。図6
では、実際に損傷が起こった場合の変動例(7km,1
00Ω)を矢印で示している。
【0080】定常の稼働では、全計測点でロックインア
ンプ3及びロックインアンプ4により測定された管内電
流、管対地電位(計測点Cにおいては管対地電位のみ)
の振幅及び位相データは、ネットワークを通じて各計測
点に備えられている通信手段7を介して電話回線12に
より解析判定手段8に集められる。
【0081】解析判定手段8は、これらの送信データを
0.5秒おきに収集して前記の(2)、(3)式により
各監視ブロックの伝搬定数及び特性インピーダンスを算
出している(監視ブロック3においてはI2=0とおい
て計算した。)。算出した伝搬定数及び特性インピーダ
ンスは、図6に示すように複素平面上にプロットされス
レッショルド区域と比較する。
【0082】このスレッショルド区域は、複素平面上に
おいて、金属導管1に損傷の入っていない状態である正
常点を原点として、ノイズ等による変動を許容し検知目
標とする損傷の接地抵抗を、監視区域全体において投入
した時の変動を結んだ曲線の区域として設定されてい
る。
【0083】通常、バックホーなど建設重機がメタルタ
ッチした時に起こる損傷の接地抵抗は70〜200Ω程
度であるため、本装置では警報レベルとして200Ω以
下の損傷が発生したときに警報を発するようにスレッシ
ョルド区域を設定している。
【0084】本発明者らの実験によれば、伝搬定数及び
特性インピーダンスは長周期で微妙に揺らいでおり、そ
れは時間帯、曜日、季節、気候により変動することが判
った。
【0085】このため、損傷データ作成時に計測した伝
搬定数及び特性インピーダンスと、現在の特性インピー
ダンス及び伝搬定数の計算結果が微妙にずれる場合があ
る。このような長期的な揺らぎによる変動と非常に短い
短期的な損傷による変動を区別する方法として、過去の
数データの移動平均に対する現在値をスレッショルドと
比較する方法や、ハイパスフィルタの使用などが考えら
れる。
【0086】一例として、信号源より7km(ブロック
1及びブロック2)に100Ωの損傷が発生した場合を
考えると、損傷により計測点A、計測点B及び計測点C
において管内電流、管対地電位に変動が生じる。
【0087】解析装置8は、全ての計測点から送られて
きた電位及び電流データから、(2),(3)式により
各ブロックの伝搬定数、特性インピーダンスを算出し、
スレッショルド区域に照らし合わせる。損傷により、ブ
ロック1,2において伝搬定数及び特性インピーダンス
が全てスレッショルド区域外に移動するため、損傷程度
と損傷位置の推定を開始するロジックに移行する。
【0088】図6にブロック2における伝搬定数の変動
を矢印で示す。これによると矢印の先端は損傷によりス
レッショルド区域を越えて変動し、変動位置は6.9k
m,90Ωの位置近傍に変動している。このことよりブ
ロック2における損傷の推定結果は、6.9km,90
Ωとして以下に示す表1中のブロック2、伝搬定数の推
定結果として入力されることになる。
【0089】監視区域を複数のブロックに分割し、いく
つかの監視指標により重複して監視を行う利点は、ノイ
ズ侵入に対する耐性と信頼性を高めることにある。例え
ば、計測点Bのカレントトランスフォーマ9に異常が生
じたとしてもブロック1における伝搬定数及び特性イン
ピーダンスの算出は共に計測点Bのカレントトランスフ
ォーマ9のデータを使用しないため正常値を示す。しか
しながら、ブロック2,3においてはスレッショルドを
越えることも考えられ、損傷がブロック2,3と同時に
発生したことになり現実にはあり得ない状況となる。こ
のため解析装置8においては、損傷発生判断の目安とし
てブロック1とブロック2またはブロック1とブロック
3における伝搬定数及び特性インピーダンスのスレッシ
ョルド域外への変動に対して論理積をとることで誤報を
防止し信頼性を高めている。また、金属導管1の内部に
ノイズが混入し全てのブロックの監視指標がスレッショ
ルドを越える場合も現実にはあり得ない状況であるの
で、これも排除して警報を発しないようにしている。
【0090】伝搬定数及び特性インピーダンスの長周期
の揺らぎに対しては、過去における数データの移動平均
値と損傷データ作成正常時の伝搬定数及び特性インピー
ダンスの値との差をなくすように現在値に対してシフト
を行なうことにより補正する。
【0091】この補正値を複素平面上の模擬損傷データ
及びそれを補完する計算データに当てはめ、その地点の
損傷位置、損傷の接地抵抗を読み取りその値を出力す
る。ブロック1における特性インピーダンスによる位置
判定については、ブロック3での損傷が発生していない
ことから、ブロック2における損傷が発生したとして、
その推定値は0〜10km内で損傷が発生したという制
限を付与して推定されることになる。
【0092】このようにして、各ブロックの各指標にお
いて損傷程度、損傷位置の推定値が出力された結果を表
1に示す。
【0093】
【表1】
【0094】この出力結果に,以下の表2に示す重み付
け係数を乗じて平均値を取り、その結果を警報と共に出
力する。
【0095】表2は、前述したように事前調査時の模擬
損傷投入時の各指標の安定度、感度等を考慮し設定した
ものである。本実施例においてはブロック2での損傷発
生であるため、表1でのブロック3における推定値を0
とおくことで重み付け係数の影響を除去している。逆に
ブロック3での損傷についてはブロック2での推定値を
0とおいて重み付け計算を行う。
【0096】
【表2】
【0097】結果として、推定値は以下のようになり、
良好な一致が見られる。
【0098】
【数8】
【0099】(実施例2)図7は、本実施例による簡素
型の損傷判定装置を示している。なお、実施例1の図1
と同一の構成部材等については同符号を記して説明を省
略する。ここでは、全長20kmの導管中央において計
測点Aを設け、金属導管全体の1/2区域を監視する装
置を例示する。金属導管全体を監視対象とする場合に
は、以下に示す装置の交流電源を共通として残りの部分
を対称的に適用すればよい。
【0100】本実施例において、測定箇所は金属導管1
の絶縁端13の1点のみとして構成されており、監視区
域は交流電源2から絶縁端13までの10kmの範囲と
されている。
【0101】ここで使用する監視用周波数は、監視対象
とする金属導管1の管径、肉厚、塗覆装の品質、埋設状
況、導管長により最適に選定する必要がある。周波数の
選定に際しては、装置設計の事前調査において監視区間
の伝搬定数及び特性インピーダンスを測定し、(5)式
に基づいた数値計算と模擬損傷投入テストの結果から商
用周波数とその高調波を除外した周波数を選定すること
にしている。本実施例では監視信号の周波数として42
0Hzを選定した。また、検知精度と信頼性を向上させ
るためにいくつかの周波数を重畳させ多周波で監視を行
うことも可能である。
【0102】電源設置部位には監視信号を印加する交流
電源2を配し、地中に埋設された金属導管1と計測点A
近傍に埋設された通電極10との間に標準信号発生手段
5から、交流信号を所定の振幅に増幅して定電圧制御に
より印加している。監視信号を印加する交流電源2は実
施例1と同様に防食電位として−2(V)〜−1(V)
程度のバイアスを印加し、金属導管1の電気防食を阻害
しないようにしている。
【0103】計測点では、管対地電位のみを計測する構
成としている。この場合、ロックインアンプ3が計測点
A近傍に埋設された参照電極11と金属導管2との電位
差である管対地電位を検知し、当該電位の振幅及び当該
電位と標準信号発生手段5より得られる参照信号との位
相差を測定して計測結果を通信手段7に送る。
【0104】損傷位置及び損傷程度を判定するための複
素平面上にプロットされる伝搬定数のデータは、本装置
の稼働開始前に正常時の伝搬定数及び特性インピーダン
スを測定することと、監視区間のターミナルボックスを
利用して低接地物と接続して模擬的に損傷を投入して損
傷データを蓄積することにより得る。更に、模擬損傷の
加えられなかった地点での損傷データは、(5)式に基
づいた数値計算により補完するようにしている。この補
完式は精度的に問題がなければ近似式を使用したり、模
擬損傷投入地点の間隔が短い場合は比例計算によって補
完データを作成しても実用上差し支えない。
【0105】解析装置8は、管端での管対地電位の振幅
及び位相をネットワークにより0.5秒おきに収集して
(7)式により監視区間の伝搬定数を算出している。算
出した伝搬定数は複素平面上にプロットされスレッショ
ルド区域と比較する。
【0106】スレッショルド区域は実施例1と同様に定
め、損傷発生の検知と推定方法も実施例1と同様に行
う。
【0107】本実施例において、監視指標は伝搬定数の
みであり監視区間も1ブロックであるため伝搬定数によ
り決定した損傷データをそのまま警報と共に発すること
になる。
【0108】
【発明の効果】本発明によれば、監視対象とする埋設金
属導体の長距離化に十分対応が可能であり、且つ極めて
高い検知性能及び信頼性をもって金属導体の損傷位置及
び損傷程度を判定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した損傷判定装置(実施形態及び
実施例1)の概略構成を示す模式図である。
【図2】本発明の損傷判定装置の原理的説明をするため
の模式図である。
【図3】監視ブロック1における特性インピーダンスを
用いた損傷データを示す特性図である。
【図4】監視ブロック2における伝搬定数を用いた損傷
データを示す特性図である。
【図5】カレントトランスフォーマにノイズが混入した
場合の複素平面上での変動を示す特性図である。
【図6】図4(図5)の所定部位を拡大して示す特性図
である。
【図7】本発明を適用した損傷判定装置(実施形態及び
実施例2)の概略構成を示す模式図である。
【符号の説明】
1 金属導管 1a 損傷部 2 交流電源 3 ロックインアンプ(電位用) 4 ロックインアンプ(カレントトランスフォーマ
用) 5 標準信号発生手段 6 Global Positioning System レシーバ 7 通信手段 8 解析判定手段 9 カレントトランスフォーマ 10 通電極 11 参照電極 12 電話回線 13 絶縁フランジ
フロントページの続き (72)発明者 佐々木 信博 東京都千代田区大手町2−6−3 新日本 製鐵株式会社内 (72)発明者 細川 裕司 東京都豊島区要町3−8−4 (72)発明者 柴田 睦 千葉県船橋市高根台4−21−13 Fターム(参考) 2G060 AA10 AD04 AE05 AF06 AG03 EA03 EA04 EA06 EB05 GA01 HA02 HC07 HC13 HC15 HC17 HE03 KA11

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 地中に埋設された塗覆装の金属導体にお
    ける前記塗覆装の損傷発生を検知し判定する損傷判定装
    置であって、 前記金属導体の監視対象とする区域に2箇所以上の計測
    地点を設け、 前記金属導体に交流電圧を連続印加する交流電源と、 前記各計測地点において前記交流電圧と同一周波数且つ
    同一位相の標準信号を発生する標準信号発生手段と、 前記各計測地点における導体内電流及び導体対地電圧を
    計測する計測手段と、 前記計測手段により得られた計測情報から前記各計測地
    点間の特性インピーダンス及び伝搬定数を算出し、損傷
    発生時には、算出された前記特性インピーダンス及び前
    記伝搬定数の正常値に対する変動量と予め算出された模
    擬的な損傷による変動量との比較及び分布定数式による
    補完計算を行い、損傷位置及び損傷程度を判定する解析
    判定手段とを備えることを特徴とする損傷判定装置。
  2. 【請求項2】 前記計測手段は、前記交流電圧と同一周
    波数成分の導体内電流及び導体対地電圧の各振幅及び前
    記標準信号との各位相差をそれぞれ計測することを特徴
    とする請求項1に記載の損傷判定装置。
  3. 【請求項3】 地中に埋設され、監視区域内の一端が電
    気的に絶縁及び開放された塗覆装の金属導体における前
    記塗覆装の損傷発生を検知し判定する損傷判定装置であ
    って、 前記金属導体の前記一端を計測地点とし、 前記金属導体の他端に交流電圧を連続印加する交流電源
    と、 前記計測地点において前記交流電圧と同一周波数且つ同
    一位相の標準信号を発生する標準信号発生手段と、 前記計測地点における導体対地電圧を計測する計測手段
    と、 前記計測手段により得られた計測情報から伝搬定数を算
    出し、損傷発生時には、算出された前記伝搬定数の正常
    値に対する変動量と予め算出された模擬的な損傷による
    変動量との比較及び分布定数式による補完計算を行い、
    損傷位置及び損傷程度を判定する解析判定手段とを備え
    ることを特徴とする損傷判定装置。
  4. 【請求項4】 前記計測手段は、前記交流電圧と同一周
    波数成分の前記導体対地電圧の振幅及び前記標準信号と
    の位相差をそれぞれ計測することを特徴とする請求項3
    に記載の損傷判定装置。
  5. 【請求項5】 前記解析判定手段は、損傷発生時に前記
    損傷位置及び前記損傷程度を判定した際に、警報を発す
    ることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載
    の損傷判定装置。
  6. 【請求項6】 前記金属導体の中央部位を前記計測地点
    に選択し、損傷発生部位が前記交流電源の設置部位側か
    否かを判断することを特徴とする請求項1〜5のいずれ
    か1項に記載の損傷判定装置。
  7. 【請求項7】 地中に埋設された塗覆装の金属導体にお
    ける導体内電流及び導体対地電圧を計測し、これらの計
    測情報から前記塗覆装の損傷発生を判定する損傷判定方
    法であって、 前記金属導体の監視対象とする区域に2箇所以上の導体
    内電流及び導体対地電圧の計測地点を設け、 前記金属導体に交流電圧を連続印加するとともに、前記
    各計測地点において前記交流電圧と同一周波数且つ同一
    位相の標準信号を発生させ、前記各計測地点から得られ
    た計測情報から各計測地点間の特性インピーダンス及び
    伝搬定数を算出し、損傷発生時には、算出された前記特
    性インピーダンス及び前記伝搬定数の正常値に対する変
    動量と予め算出された模擬的な損傷による変動量との比
    較及び分布定数式による補完計算を行い、損傷位置及び
    損傷程度を判定することを特徴とする損傷判定方法。
  8. 【請求項8】 前記交流電圧と同一周波数成分の導体内
    電流及び導体対地電圧の各振幅及び前記標準信号との各
    位相差をそれぞれ計測することを特徴とする請求項7に
    記載の損傷判定方法。
  9. 【請求項9】 地中に埋設され、監視区域内の一端が電
    気的に絶縁及び開放された塗覆装の金属導体における前
    記塗覆装の損傷発生を検知し判定する損傷判定方法であ
    って、 前記金属導体の前記一端を導体対地電圧の計測地点と
    し、 前記金属導体の他端に交流電圧を連続印加するととも
    に、前記計測地点において前記交流電圧と同一周波数且
    つ同一位相の標準信号を発生させ、前記計測地点から得
    られた計測情報から伝搬定数を算出し、損傷発生時に
    は、算出された前記伝搬定数の正常値に対する変動量と
    予め算出された模擬的な損傷による変動量との比較及び
    分布定数式による補完計算を行い、損傷位置及び損傷程
    度を判定することを特徴とする損傷判定方法。
  10. 【請求項10】 前記交流電圧と同一周波数成分の前記
    導体対地電圧の振幅及び前記標準信号との位相差をそれ
    ぞれ計測することを特徴とする請求項9に記載の損傷判
    定方法。
  11. 【請求項11】 損傷発生時に前記損傷位置及び前記損
    傷程度を判定した際に、警報を発することを特徴とする
    請求項7〜10のいずれか1項に記載の損傷判定方法。
  12. 【請求項12】 前記金属導体の中央部位を前記計測地
    点に選択し、損傷発生部位が前記交流電圧の印加部位側
    か否かを判断することを特徴とする請求項7〜11のい
    ずれか1項に記載の損傷判定方法。
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