JP7341070B2 - 地絡点標定システム及びその方法 - Google Patents

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Description

本発明は、地絡点標定システム及びその方法に関し、特に三相交流回路における長距離の直列負荷に対する地絡点を標定する地絡点標定システム及びその方法に関する。
送電線、配電線又は長距離の負荷など効率良く電気を送るためには、三相交流回路がよく用いられている。このような三相交流電路は、野外に設置される場合が多いことから、動物の接触、樹木の接触、風雨による損傷など、経年数とともに自然に進行する絶縁劣化以外にも絶縁に関するトラブルが発生する。
三相交流電路で地絡が発生すると、地絡リレーにより、地絡が検知され、地絡箇所を含む電路が遮断器により遮断されて停電する。このとき、一般には地絡の位置をピンポイントでは特定できないため、人が目視等で巡回し、地絡箇所を見つけ、原因を除去する必要がある。
電路が長く、目視しにくい条件であるほど、地絡箇所を見つけるのに時間を費やし、その結果、停電時間が長くなり、稼働率が低下する。これに対し、地絡発生後の迅速な復旧を目的として、地絡時に流れる電流を用いて、地絡の位置を特定する技術が提案されてきている。
特許文献1では、ケーブル事故点検出法であり、ケーブルを被覆する金属シースを流れる電流を測定することで、地絡が2地点での測定区間内外を判定する手法について述べられている。特許文献2では、中性点非接地系統において、多数の測定点を系統に設定し、地絡時に、各測定点の各相で測定された電流を周波数分析し、隣接する測定点との周波数差から地絡区間を推定する手法について述べられている。特許文献3では、配電線の複数の測定点に電流センサを設け、隣接する測定点の零相電流の差分を見ることで、地絡区間を推定する手法について述べられている。
特開昭62-261078号公報 特開平8-94698号公報 特開2009-5565号公報
特許文献1では、ケーブルの金属シースに流れる電流を使っている。一般の三相交流回路には、金属シースの無い電線によって構成された三相電路が存在し、このような三相交流回路には適用が困難であった。特許文献2では、電流の振動を利用しているため、地絡抵抗が大きい場合には振動が検出されず、適用できる条件が厳しいという課題があった。特許文献3では、隣り合う測定点の零相電流の差分を見ているので、実効値としては小さい間欠地絡やパルス状の微地絡を検出することが困難だった。本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、三相交流回路における長距離の直列負荷に対する地絡点を微地絡でも簡便に特定可能な地絡点標定システムを提供することにある。
上記課題を解決する本発明は、三相交流回路における地絡点を標定する地絡点標定システムであって、三相交流回路は電源側の中性点が接地されており地絡位置の標定対象とする区間の一部又は全部の距離に延在する直列負荷が形成され、延在する直列負荷の途中に配置された三相一括で測定する電流センサと、電流センサで測定された電流波形を波形データとして常時記録する波形記録装置と、波形記録装置に記録された波形データを中央処理装置に送るための通信線と、通信線により送られてきた波形データを記録する中央処理装置内の記録部と、記録部に蓄積された複数の波形データを相互に比較する解析部と、解析部による標定結果を表示する表示部と、を備え、解析部は、地絡時に記録された隣り合う2つの電流センサで測定されたそれぞれの電流波形の差分を算出し、差分の絶対値の最大値が所定の閾値よりも大きい場合に、その隣接測定区間で地絡が発生したと判定する。
本発明によれば、三相交流回路における長距離の直列負荷に対する地絡点を微地絡でも簡便に特定可能な地絡点標定システムを提供できる。
本発明の実施例1に係る地絡点標定システムの構成図である。 本発明の実施例1に係る地絡点標定方法の手順を示したフローチャートである。 図1の地絡点標定システムで地絡時の各測定点における零相電流の波形である。 図1の地絡点標定システムで地絡時の隣接測定点における電流差分の波形である。 図1の地絡点標定システムで微地絡時の各測定点における零相電流の波形である。 図1の地絡点標定システムで微地絡時の隣接測定点における電流差分の波形である。 本発明の実施例2に係る地絡点標定システムの構成図である。
以下、本発明の実施例1,2について図面を用いて説明する。図1~図4Bに実施例1を示し、図5に実施例2を示している。本発明の実施例1,2に係る地絡点標定システムは、地絡事故時又は微地絡時に三相交流回路における長距離の直列負荷に発生する地絡の位置を速やかに特定できるようにしたものである。実施例1は三相3線式交流回路に適用し、実施例2は三相4線式交流回路に適用したものである。なお、実施例1,2の三相電源は、いずれも中性点を接地している。
図1は、本発明の実施例1に係る地絡点標定システムの構成図である。図1に示したように、地絡点P標定システム100は、三相交流回路を地絡点標定の対象とする。その三相交流回路は、中性点Nが接地されている三相電源6と、そこからa相、b相、及びc相のそれぞれに、遮断器7を介して、負荷8a,8b,8cが接続されている。これらをまとめて負荷8とする。
遮断器7以降に接続されている負荷は、電線やコイル群などが長距離に及んで接続された負荷(以下、「直列負荷」、又は「三相直列負荷」ともいう)8である。この三相直列負荷8は、1セット毎に終端の中性点N’で結線されている。この三相直列負荷8は、例えば、数百m~数kmの距離に延在してインフラ等に係る地上設備を形成する。これらの、三相直列負荷8は、地絡位置の標定対象とする区間の一部又は全部の距離に延在する。
直列負荷8は、並べて敷設された複数組のコイルで構成されたものでも良い。コイルの組数は、それら並べて敷設されたコイル群が電磁力を及ぼす対象物の長さに関連する。地絡点標定システム100,200をインフラ設備に適用した一例として、上記対象物の性質や長さに適応させた結果、50組以上100組以下であるものに、好結果が確認された。
三相電源6は、直列負荷8から見たときの電源を代表して表しており、実際には変圧器の2次側又は電力変換器を電源に見立てている。三相電源6からは直列負荷8に三相交流電力が供給される。地絡時探索範囲は三相直列負荷8の長さに相当し、この距離が長い場合には目視による地絡位置の探索に労力を要する。また、微地絡の場合、目視可能な障害が発生していないため、その微地絡箇所を探索する労力がさらに増大する。
そこで上記課題を解決する地絡点標定システム100は、上記三相交流回路に付設した電流センサ10及び波形記録装置11を通信ケーブル12で中央装置16に接続して構成される。中央装置16は、記録部13、解析部14、及び表示部15を備える。電流センサ10は、三相一括に電流測定する。波形記録装置11は、電流センサ10で測定した電流波形をデジタルデータとして保存する。波形記録装置11に保存された測定波形のデジタルデータは、通信ケーブル12を介して中央装置16の記録部13に送信される。
解析部14は、記録部13に蓄積された複数の波形データをデジタル静止画像として相互に比較することが好ましい。これによれば、常時監視中の膨大な情報の中から地絡が検出された時点の波形データだけを選んで比較することによって、微地絡でも地絡位置を高精度かつ容易に特定可能である。このように、解析部14は、保存された波形を比較して地絡位置を推定し、その解析結果を表示部15に表示させる。
電流センサ10は、地絡時探索範囲の間に2つ以上設置される。図1では4か所に電流センサ10を配置されている。以下、それらの場所を電源6に近い側から測定点(1)、測定点(2)~測定点(n)と呼び、測定点kから測定点k+1までの三相直列負荷8の範囲を区間kと呼ぶこととする。ここで、nは2以上の整数、kは1からn-1までの整数である。なお、各測定点(1)~(n)に係る電流センサ10や電流波形Ioは、例えば、測定点(4)に対応する場合、10(4)やIo(4)と表記して明示する。
図2のフローチャートを参照しながら、c相のP点で地絡が発生した場合の地絡点標定方法について説明する。図2は、本発明の実施例1に係る地絡点標定方法の手順を示したフローチャートである。すなわち、図2は、図1に示した地絡点標定システム100での地絡区間を標定する手順を示している。
図2に示すように、この地絡点標定方法は、地絡点標定方法は、電流を測定するステップ(S1)と、地絡検出するステップ(S2)と、波形データを取得するステップ(S3)と、隣接測定点の波形を比較するステップ(S4)と、地絡点P(区間)を特定するステップ(S5)と、地絡点P(区間)を表示するステップ(S6)と、を有する。これらについて、以下に説明する。
[ステップ(S1)]
電流センサ10は、3相一括の電流波形Io(1),Io(2),Io(3)を常時測定し、所定の時間、地絡が検出されない限り、波形記録装置11にサイクリックに記録し続ける。なお、三相一括の電流波形は、電流センサ10の中を貫通して流れる電流のベクトル和の大きさとして測定される。そのため、電流センサよりも末端側の三相直列負荷8からアースに流れる電流(地絡電流や図示しない浮遊容量を通じてアースに流れる電流)が測定されることとなる(S1)。
[ステップ(S2)]
図示しない保護リレーの働きにより、地絡の発生が検出されると、速やかに遮断器7が遮断され、三相直列負荷8が系統から切り離される。中央装置16は、保護リレーの地絡検知信号を通信線12を介して波形記録装置11にトリガ信号として送信する。波形記録装置11は地絡検知信号を受信すると、地絡直後の電流波形を含んだ波形を通信線12を介して中央処理装置16の記録部13に送信する。なお、保護リレーの代わりに地絡時探査範囲の最も電源6側の電流センサ10(1)の波形を監視(モニタリング)し、電流波形の絶対値が所定の値を超過した場合に地絡と判定してもよい。
[ステップ(S3)]
ここで、図3Aを用いて、電流センサ10により測定した電流波形について説明する。図3Aは、図1に示した地絡点標定システム100で地絡時の各測定点(1)~(n)における零相電流Io(k)の波形である。解析部14は、記録部13に保存された電流センサ10からの電流波形を読み出して、隣接する測定点の電流波形を比較する。地絡点Pより電源6側の測定点の電流センサ10(1)及び10(2)で測定された電流波形Io(1)及びIo(2)は実線で示された波形であり、地絡後に電流波形の絶対値のピークが大きな電流が得られる。
地絡点Pより末端側の測定点の電流センサ10(3)及び10(4)で測定された電流波形Io(3)及びIo(4)は破線で示された波形であり、三相直列負荷88がほぼ平衡しているため、各相の電流のベクトル和の大きさは小さい。すなわち、電流波形の絶対値の最大値はが小さな値として検出される。この電流の大きさは、対地浮遊容量の不平衡性に応じた大きさの電流値が検出される。
[ステップ(S4)]
解析部14は各測定点k(k=1,2,…,n)からの電流波形を用いて、隣接測定点の波形の差分として、測定点kと測定点k+1の電流波形の差分波形ΔIo(k)(k=1,2,…,n-1)を次式により計算する。詳細は、図3B及び図4Bに沿って後述する。
ΔIo(k)=Io(k)-Io(k+1)
まず、図3Bを用いて、実施例1における隣接測定点(1)~(n)の電流波形の差分を示す。図3Bは、図1に示した地絡点標定システム100で地絡時の隣接測定点(1)~(n)における電流差分の波形ΔIo(k)である。実施例1の地絡点標定システム100においては、ΔIo(2)のみが顕著に大きくなり、ΔIo(1)とΔIo(3)は殆どゼロとなる。
[ステップ(S5)]
所定の閾値εを設定しておき、電流の差分波形ΔIo(k)の一部でもεを超えた場合、すなわち、|ΔIo(k)|>εとなるようなる時間領域が存在する場合には、測定点kと測定点k+1の間で地絡が発生したと判定する。実施例1では、電流の差分波形ΔIo(2)において|ΔIo(2)|>εが成立するので、測定点(2)と測定点(3)の間で地絡が発生したと判定する(S5)。
[ステップ(S6)]
地絡が発生したと判定された場所を特定した地絡区間をモニタ等で表示する。
実施例1の地絡点標定システム100によれば、電流センサ10の設置台数を増やすほど、地絡点の標定精度が向上し、事故(地絡)点を早期に発見可能となる。また、区間の両端の電流の差分を利用して地絡の有無を判定することから、該当区間から大地に流れる電流成分を高感度に抽出できるため、地絡抵抗が大きい場合でも地絡点Pを標定できる。また、高感度に電流差分を検出できることから、保護リレーが働かない地絡であっても、絶縁性の低下をいち早く検知できる。このことから、計画的に三相負荷の更新などが可能となる。
なお、ステップS2で、電流センサ10(1)を用いた地絡検出をした場合には、波形の絶対値と所定の閾値との比較となる。ここで、図4Aと図3Aを比較しながら、電流成分を高感度に抽出できることについて説明する。図4Aは、図1に示した地絡点標定システム100での微地絡時の各測定点(1)~(n)における零相電流Io(k)の波形である。図4Aに鋭いピーク値のパルス波を示すように、実効値としては微小な微地絡波形であっても、図3Aの正弦波が通常のセンサで感度良好な場合と同様に地絡検出できる。
また、図4Bと図3Bを比較しながら、電流成分を高感度に抽出できることについて説明する。図4Bは、図1に示した地絡点標定システム100での微地絡時の隣接測定点(1)~(n)における電流差分の波形ΔIo(k)である。電流差分については、ステップS4に戻って、ΔIo(2)のみが顕著に大きくなり、ΔIo(1)とΔIo(3)は殆どゼロとなるとする。ステップS4での波形の比較は、図3Bの時と同様に図4Bのように計算できる。
そこから再びステップ(S5)へ進む。電流の差分波形ΔIo(k)の一部でもεを超えた場合、すなわち、|ΔIo(k)|>εとなるようなる時間領域が存在する場合には、測定点kと測定点k+1の間で地絡が発生したと判定する。実施例1では、電流の差分波形ΔIo(2)において|ΔIo(2)|>εが成立するので、測定点(2)と測定点(3)の間で地絡が発生したと判定する(S5)。
なお、この判定は、上述の数式及び判定基準等を組み込んだプログラムをコンピュータで実行することが好ましい。あるいは、ストレージオシロスコープ等の画面に表示された波形により、監視員が目視判定しても良い。何れの場合であっても、
図4A及び図4Bを用いて説明したように、本発明の実施例1,2に係る地絡点標定システム100,200は、実行電流の少ない微地絡の場合であっても地絡時と同様に地絡点標定可能である。すなわち、地絡点標定システム100,200は、微地絡を検出し易くするため、常時監視中の電流波形をデジタル画像保存して、隣接センサ間で比較することにより、数値では僅かな実効値しかないピーク波形も、波形画像としては差異が顕著となる。微地絡は地絡の前駆現象とも考えられるため、本発明によれば、地絡標定区間の三相負荷を更新するなどして、地絡事故を未然防止できる。
実施例2について、図5を参照しながら説明する。図5は、本発明の実施例2に係る地絡点標定システム200の構成図である。図5に示す実施例2の地絡点標定システム200は、地絡点標定の対象回路が、電源6側の中性点Nと三相直列負荷8の中性点N’とを結ぶ中性線が追加され三相4線式の回路へと変わったものである。この場合には電流センサ10(1)は三相直列負荷8及び中性線を含む4本の電線を一括して測定する点が実施例1と異なり、その他の地絡点標定装置及び方法の構成は実施例1と同様である。
実施例2の地絡点標定システム200では、地絡点Pは測定点(2)と測定点(3)の間に存在するため、地絡点Pより電源6側の三相交流回路に流れる電流は、中性線に流れる電流Ingと地絡点Pに流れる電流Igの和となる。そして、地絡点Pより末端側の三相交流回路に流れる電流は、中性線に流れる電流Ingとなる。
理論的にはこれらの差分をとれば、地絡電流Igのみが抽出される。しかしながら、IngがIgよりもはるかに大きい場合には、電流センサの分解能が不足して、相対的に小さいIgを検出できないことがある。電流センサ10に三相の電流に加えて中性線を含めて測定することで、三相交流回路の電流に流れる中性線に流れる電流分がキャンセルされ、地絡電流Igのみが検出されることとなる。
つまり、三相の電線に流れる電流分の合計と、中性線に流れる電流分と、反対方向に同一強度で流れるため、これらをひとからげに束ねて、電流センサ10が計測すると、地絡電流Igのみが検出される。このように、三相4線式の三相交流回路に適用する地絡点標定システム200は、地絡時探査範囲に配置する電流センサ10に中性線を加えることで、検出に不要な、いわばノイズ成分がキャンセルされ、高感度に地絡電流を検出し、地絡点P(区間)を標定することが容易になる。
[地絡点標定システム100,200の総括]
[1]地絡点標定システム100,200は、三相交流回路における地絡点Pを標定するものである。地絡点標定の対象となる三相交流回路は、電源6側の中性点Nが接地されており、地絡位置の標定対象とする区間の一部又は全部の距離に延在する直列負荷8が形成されている。
延在する直列負荷8の途中に、三相一括で測定する電流センサ10が配置されている。この電流センサ10には、波形記録装置11が付設されている。この波形記録装置11は、電流センサ10で測定された電流波形を波形データとして常時記録する。また、波形データを処理して地絡点Pを標定する中央処理装置6が設けられている。中央処理装置6は、波形記録装置11に記録された波形データを通信線12で送られる。
中央処理装置6は、記録部13と、解析部14と、表示部15と、を備える。記録部13は、通信線12により送られてきた波形データを中央処理装置6内に記録する。解析部14は、記録部13に蓄積された複数の波形データを相互に比較する。表示部15は、解析部14による標定結果を表示する。
解析部14は、地絡時に記録された隣り合う2つの電流センサ10で測定されたそれぞれの電流波形の差分ΔIo(k)を算出し、差分ΔIo(k)の絶対値の最大値が所定の閾値εよりも大きい場合に、その隣接測定区間で地絡が発生したと判定する。
この種の従来システムや装置では、微地絡の観測値に鋭いピーク値が含まれていても実効値が小さければ、高感度の測定反応が困難であった。これに対し、地絡点標定システム100,200は、隣接する測定区間の観測波形を例えば、画像にして比較することにより、両者の相違が明確となる。
また、隣接する測定区間では、浮遊容量その他のノイズ原因によるノイズ成分が類似しているので、両者の差分からは、ノイズが相当にキャンセルされており、その分だけ測定精度を高感度にできる。その結果、地絡点標定システム100,200によれば、完全地絡でない微地絡でも地絡位置を簡便に特定可能であり、特に三相交流回路における長距離の直列負荷8に対する地絡点Pを標定できる。
[2]上記[1]記載の地絡点標定システム100,200において、解析部14は、記録部13に蓄積された複数の波形データをデジタル静止画像として相互に比較することが好ましい。これによれば、常時監視中の膨大な情報の中から地絡が検出された時点の波形データだけを選んで比較することによって、微地絡でも地絡位置を高精度かつ容易に特定可能である。
[3]上記[2]記載の地絡点標定システム100,200において、直列負荷8は、並べて敷設された複数組のコイルで構成されたものでも良い。
[4]上記[3]記載の地絡点標定システム100,200において、コイルの組数は、それら並べて敷設されたコイル群が電磁力を及ぼす対象物の長さに関連し、50組以上100組以下であるものが好適である。地絡点標定システム100,200は、上記[3],[4]のような構成のインフラ設備に適用することで、そのインフラ設備を維持する上で優れた効果を発揮できる。
[5]上記[1]~[4]の何れかの地絡点標定システム200において、中性線を有する三相4線式回路を適用対象とし、三相4線式回路を構成する三相の全ての線と、中性線と、を含めて一括測定する電流センサ10を備えた。
これによれば、地絡点Pより電源6側の三相交流回路に流れる電流は、中性線に流れる電流Ingと地絡点Pに流れる電流Igの和となる。そして、地絡点Pより末端側の三相交流回路に流れる電流は、中性線に流れる電流Ingとなる。理論的にはこれらの差分をとれば、地絡電流Igのみが抽出される。しかしながら、IngがIgよりもはるかに大きい場合には、電流センサの分解能が不足して、相対的に小さいIgは検出できないことがある。
そこで、電流センサ10に三相の電流に加えて中性線を含めて測定することで、三相交流回路の電流に流れる中性線に流れる電流分がキャンセルされ、地絡電流Igのみが検出されることとなる。このように三相4線式の三相交流回路に適用する場合には、地絡時探査範囲に配置する電流センサ10に中性線を加えることで、高感度に地絡電流を検出し、地絡点P(区間)を標定することが容易になる。
[地絡点標定方法の総括]
[6]この地絡点標定方法は、三相交流回路における地絡点Pを標定する方法であり、ステップ(S1)~ステップ(S6)を有する。ステップ(S1)は、三相一括の電流波形を電流センサ10の中を貫通して流れる電流のベクトル和の大きさとして測定する。ステップ(S2)は、地絡の発生を検出する。ステップ(S3)は、記録部13に保存された電流波形を読み出す。ステップ(S4)は、各測定点k(k=1,2,…,n)からの電流波形を用いて、隣接する測定点の波形の差分を比較する。
ステップ(S5)は、電流の差分波形ΔIo(k)の絶対値|ΔIo(k)|が閾値εを超える時間領域が存在する条件に該当する測定点kと、その測定点kよりも三相交流回路の電源6に1つ近い側の測定点k+1の間で地絡が発生したと判定する。上記条件とは、|ΔIo(k)|>εとなる時間領域が存在する場合である。
ステップ(S6)は、地絡が発生した場所を特定するように地絡区間を表示する。この地絡点標定方法によれば、完全地絡でない微地絡でも地絡位置を簡便に特定可能であり、特に三相交流回路における長距離の直列負荷8に対する地絡点Pを標定できる。
[7]上記[6]の地絡点標定方法において、地絡の発生を検出するステップ(S2)では、次の2つの方法のうち何れかの方法を用いる。1つ目は、保護リレーの地絡検知信号により検出する方法である。2つ目は、保護リレーの代わりに、地絡時探査範囲内で電源6に最も近い電流センサ10(1)の波形を監視し、電流波形の絶対値が所定の値を超過した場合に地絡と判定する方法である。これによれば、保護リレーに依存しないので、保護リレーが作動しないレベルの高抵抗地絡や微地絡でも地絡点標定できる。
以上説明したように、地絡点標定システム100,200及びそれを用いた地絡点標定方法によれば、地絡地点Pの位置を迅速に特定することで、三相交流回路の稼働率の向上を実現できる。また、事故が顕在化する前の高抵抗地絡あるは微地絡の段階で地絡を検出できるため、事故未防止し、線路や負荷8の交換など計画的な保守が可能となる。
1~3…区間、6…電源、7…遮断器、8…直列負荷、10…電流センサ、11…波形記録装置、12…通信ケーブル、13…記録部、14…解析部、15…表示部、16…中央処理装置、100,200…地絡点標定システム、N…電源6側の中性点、P…地絡点、ε…閾値、ΔIo(k)…電流の差分波形

Claims (4)

  1. 三相交流回路における地絡点を標定する地絡点標定システムであって、
    前記三相交流回路は電源側の中性点が接地されており地絡位置の標定対象とする区間の一部又は全部の距離に延在する直列負荷が形成され、
    前記延在する直列負荷の途中に配置された三相一括で測定する電流センサと、
    前記電流センサで測定された電流波形を波形データとして常時記録する波形記録装置と、
    前記波形記録装置に記録された波形データを中央処理装置に送るための通信線と、
    該通信線により送られてきた波形データを記録する中央処理装置内の記録部と、
    該記録部に蓄積された複数の波形データを相互に比較する解析部と、
    該解析部による標定結果を表示する表示部と、
    を備え、
    前記解析部は、地絡時に記録された隣り合う2つの前記電流センサで測定されたそれぞれの電流波形の差分を算出し、前記差分の絶対値の最大値が所定の閾値よりも大きい場合に、その隣接測定区間で地絡が発生したと判定するとともに、前記記録部に蓄積された複数の前記波形データをデジタル静止画像として相互に比較し
    前記直列負荷は、並べて敷設された複数組のコイルで構成され、前記コイルの組数は、該コイルが電磁力を及ぼす対象物の長さに関連し、50組以上100組以下である、
    地絡点標定システム。
  2. 三相交流回路における地絡点を標定する地絡点標定システムであって、
    前記三相交流回路は電源側の中性点が接地されており地絡位置の標定対象とする区間の一部又は全部の距離に延在する直列負荷が形成され、
    前記延在する直列負荷の途中に配置された三相一括で測定する電流センサと、
    前記電流センサで測定された電流波形を波形データとして常時記録する波形記録装置と、
    前記波形記録装置に記録された波形データを中央処理装置に送るための通信線と、
    該通信線により送られてきた波形データを記録する中央処理装置内の記録部と、
    該記録部に蓄積された複数の波形データを相互に比較する解析部と、
    該解析部による標定結果を表示する表示部と、
    を備え、
    前記解析部は、地絡時に記録された隣り合う2つの前記電流センサで測定されたそれぞれの電流波形の差分を算出し、前記差分の絶対値の最大値が所定の閾値よりも大きい場合に、その隣接測定区間で地絡が発生したと判定し、
    中性線を有する三相4線式回路を適用対象とし、前記三相4線式回路を構成する三相の全ての線と、前記中性線と、を含めて一括測定する前記電流センサを備えた、
    絡点標定システム。
  3. 三相交流回路における地絡点を標定する地絡点標定方法であって、
    三相一括の電流波形を電流センサの中を貫通して流れる電流のベクトル和の大きさとして測定するステップと、
    地絡の発生を検出するステップと、
    記録部に保存された前記電流波形を読み出すステップと、
    各測定点からの前記電流波形を用いて、隣接する測定点の波形の差分を比較するステップと、
    電流の差分波形の絶対値が閾値を超える時間領域が存在する条件に該当する前記測定点と、当該測定点よりも前記三相交流回路の電源に1つ近い側の測定点の間で地絡が発生したと判定するステップと、
    地絡が発生した場所を特定した地絡区間を表示するステップと、
    を有
    前記電流センサは、中性線を有する三相4線式回路を適用対象とし、前記三相4線式回路を構成する三相の全ての線と、前記中性線と、を含めて一括測定する、
    地絡点標定方法。
  4. 前記地絡の発生を検出するステップでは、
    保護リレーの地絡検知信号により検出する方法と、
    前記保護リレーの代わりに、地絡時探査範囲内で電源に最も近い電流センサの波形を監視し、前記電流波形の絶対値が所定の値を超過した場合に地絡と判定する方法と、
    の何れかを用いる、
    請求項に記載の地絡点標定方法。
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