JP5936417B2 - 車両用ホイールディスクの成形方法、及び車両用ホイールの製造方法 - Google Patents
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Description
図1に示すように、ホイールディスクはプレス加工により成形され、まず平板状の基材1を用意し(図1(a))、この基材1を絞り成形して中央に凹部2を有する中間材3を得る(図1(b)の予備成形工程)。ここで、平面から見て円形をなす凹部2は、底壁2aと周壁2bとを有し、凹部2よりも径方向外側部分が鍔部3cを形成している。次に、底壁2aを円盤形状に成形してハブ取付部11を成形し(図1(c)のハブ取付部成形工程)、さらに周壁2bの外縁付近から鍔部3cを径方向外側へ向かって立ち下がるように成形してハット部12を得る(図1(d):ハット部成形工程)。ここでハット部12の成形とともにアール(R)部15の成形も同時に行っている。その後、ハブ取付部11の中心にハブ穴11aを成形するために、下穴を開口し、曲げ加工すると共に、ハット部12より径方向外側の部分をプレスして意匠部13及び軸方向に立ち下がるフランジ部14を成形する(図1(e)(f))。最後に、ハブ取付部11のハブ穴11aの外側にボルト穴11bを開口すると共に、意匠部13に飾り穴13aを開口してホイールディスク10を得る(図1(g))。
ところで、ハブ取付部11は車両のハブに固定されると、ハブの外周縁に隣接しているアール(R)部15に大きな負荷が加わる。そして、上記した図1(c)に示すハブ取付部成形工程でアール部15の板厚が減肉するため、アール部15に亀裂が発生してホイールディスク10の破壊の起点となるおそれがある。
このようなことから、中間材3の凹部2の寸法や形状を規定することで、ハブ取付部を成形する際にアール部15を増肉する技術が開発されている(特許文献1、2)。
又、図5は、図1(d)の従来のハット部成形工程の詳細を示す。まず、鍔部3cを上型100と下型102とで保持(拘束)する(図5(a))。ここで、上型100の下面にはハット部の上面を形成する金型凹部100aが形成されている。次に、凹部2の下側に第2下型112を配置し、凹部2の上側から、鍔部3cを保持した上型100及び下型102を下降させる(図5(b))。ここで、第2下型112の上面にはハット部の下面を形成する金型凸部112aが形成され、上型100の下降により、周壁2bの外縁が金型凹部100aと金型凸部112aの間で引っ張られて突状のハット部12が成形される(図5(c))。このとき、周壁2bの外縁付近の材料が径方向内外のF方向にそれぞれ流動し、ハット部12が減肉することになる(図5(d))。
このようにすると、鍔部とハブ取付部の材料が保持(拘束)された状態でハット部を成形するので、この部分で材料がハット部に向かって流れ、径方向内外に流出するのを防止するので、ハット部が増肉して車両用ホイールディスクの軽量化と強度向上とを実現する。
このようにすると、ハブ取付部を成形する際、底壁が下型によって円錐形状から円盤形状に成形される際、底壁の広がりが周壁により規制される。これにより、底壁と周壁の間のアール部に圧縮荷重が付与されてアール部が増肉する。そのため、より一層の車両用ホイールの軽量化と強度向上とを実現することができる。
この車両用ホイールの製造方法によれば、アール部及びハット部が増肉して車両用ホイールディスク、ひいては車両用ホイールの軽量化と強度向上とを実現する。なお、車両用ホイールディスクのうち、リムと嵌合するディスクフランジ部は縮みフランジとして製造され、特段の加工を加えなければ肉太りになるため、車両用ホイールディスクの「フランジ部を除く」その他の部位の板厚と規定した。
ここで、公式な耐久強度は我国のJIS D 4103「自動車部品―ディスクホイール―性能及び表示」 であるが、将来、規格が変わった場合は、その時点で我国の日本工業規格JIS(及び/又は国際標準化機構ISO)が定めるホイールの公式な耐久強度をいう。
又、本発明で用いるホイールディスクの材料としては、プレス成形が可能な鋼板、チタン板等が挙げられる。
なお、以下の説明において、ホイールの軸方向を「軸方向」と称し、ホイールの径方向を「径方向」と称する。
又、本発明の車両用ホイールディスクの成形方法は、ハット部成形工程に特徴があり、それ以外の工程は従来の成形方法と同様とすることができる。従って、ハット部成形工程以外の工程、及び得られた車両用ホイールディスク及び車両用ホイールの構成は、上記した図1〜図3と同様であるので説明を適宜省略する。
次に、図6に示すように、鍔部3cを第1上型101と第1下型102とで保持(拘束)する(図6(a):保持工程)。ここで、第1上型101の下面にはハット部の上面を形成する金型凹部101aが形成されている。次いで、凹部2の下側に第2下型112を配置し、凹部2の上側から第2上型111を下降させ、第2上型111及び第2下型112の間で凹部2の底壁2aをプレス加工して略円盤形状の所定の形状のハブ取付部11を成形するとともにこのハブ取付部11を拘束(保持)する(図6(b):ハブ取付部成形工程、ハブ取付部拘束工程)。ここで、第2下型112の上面にはハット部の下面を形成する凸部112aが形成されている。
このようにしてハット部12を成形した後は、図1(e)〜図1(g)と同様にしてホイールディスク10を得る。
なお、ハブ取付部成形工程(図6(b))は、保持工程(図6(a))の後に限らず、保持工程の前又は保持工程と同時に行ってもよい。又、ハット部成形工程(図6(c))においては、ハブ取付部11と鍔部3cとを軸方向に相対的に近づければよく、第1上型101及び第1下型102を移動させずに第2上型111及び第2下型112のみをB方向へ上昇させてもよく、第2上型111及び第2下型112を移動させずに第1上型101及び第1下型102のみをA方向へ下降させてもよい。
次に、凹部2xの下側に第2下型112を配置し、凹部2xの上側から第2上型111を下降させ、第2上型111及び第2下型112の間で凹部2xの底壁2axをプレス加工して円盤形状に成形し、ハブ取付部11を成形する(図7(b):ハブ取付部成形工程)。ここで、ハブ取付部11を成形する際、底壁2axは円錐形状をなしているため、底壁2axが第2下型112に当たり円錐形状から円盤形状に成形される際に、底壁2axの広がりが周壁2bにより規制される。これにより、底壁2axを介してアール部15に圧縮荷重が付与されることになる。アール部15では凹部2xの他の部位に比べて大きな曲げ歪みが生じた状態で圧縮荷重を受けるため、増肉が集中する。その結果、成形されたアール部15は、基材1に比べて10%程度増肉される。これに対して、底壁2axからハブ取付部11を成形する過程では、ハブ取付部11の増肉は殆どないか、僅かしかない。ハブ取付部11はアール部15に比べて要求される疲労強度のレベルが低いので、薄肉になっても支障はない。
なお、円錐形状をなす底壁2axを有する中間材3xを用いてハブ取付部11を成形する方法は、上記特許文献2に記載されている。
2 凹部
2a、2ax 底壁
2b 周壁
3、3x 中間材
3c 鍔部
10 車両用ホイールディスク
11 ハブ取付部
12 ハット部
15 アール部
Claims (3)
- 平板状の基材を絞り成形することにより、中央に凹部を有すると共に該凹部より径方向外側に鍔部を有する中間材を得る予備成形工程と、
前記鍔部を第1上型と第1下型の間で拘束して保持する保持工程と、
前記鍔部を前記第1上型と前記第1下型の間で拘束した状態で、前記凹部の底壁を第2上型と第2下型の間で所定のハブ取付部に成形するハブ取付部成形工程と、
前記鍔部を前記第1上型と前記第1下型の間で拘束した状態で、前記第2上型と前記第2下型の間で前記ハブ取付部を拘束するハブ取付部拘束工程と、
前記鍔部を前記第1上型と前記第1下型の間で拘束し、かつ前記ハブ取付部を前記第2上型と前記第2下型の間で拘束した状態で、前記保持工程で保持した前記鍔部と前記ハブ取付部とを軸方向に相対的に近づけ、ハット部を増肉するように成形するハット部成形工程と、
を備える車両用ホイールディスクの成形方法。 - 前記予備成形工程にて、前記凹部の底壁が周縁部から中央に向かって傾斜するように前記中間材を成形する請求項1に記載の車両用ホイールディスクの成形方法。
- 請求項1又は2に記載の車両用ホイールディスクの成形方法によって成形された車両用ホイールディスクに、リムを接続する車両用ホイールの製造方法。
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