JP5935711B2 - 定着ベルトの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、定着ベルトの製造方法に関する。
ポリイミド樹脂は、高耐久性、耐熱性に優れた特性を有する材料であり、電子材料用途に広く使用されている。
ポリイミド樹脂の成形体を製造する方法として、その前駆体であるポリアミック酸を、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等の非プロトン系極性溶剤に溶解したポリイミド前駆体組成物を基材上に塗布して、熱処理によって、乾燥・イミド化することでポリイミド成形体を製造する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、ポリイミド前駆体組成物の製造において、NMP等の非プロトン系極性溶剤中でポリイミド前駆体樹脂を重合し、再沈殿法によりポリイミド前駆体樹脂を取り出した後にアミン塩を作用させて水に溶解させるプロセスを経ることも知られている(例えば、特許文献2〜5参照)。
なお、ポリアミック酸を溶解する溶剤としては、NMPの他、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、γ−ブチロラクトン(γ−BL)などが挙げられる(例えば非特許文献1参照)。
一方、非プロトン系極性溶媒として、水溶性アルコール系溶剤化合物、及び/又は水溶性エーテル系溶剤化合物を用いて、具体的には、テトラヒドロフラン(THF)及びメタノールの混合溶媒中、又はTHF及び水の混合溶媒中の反応系に3級アミンを添加することで、析出させないでポリイミド前駆体組成物を得ることが知られている(例えば、特許文献6参照)。
アミン化合物として特定構造のイミダゾールの共存下、水中でポリイミド前駆体を重合して水系ポリイミド前駆体組成物を得ることも知られている(例えば、特許文献7参照)。
米国特許第4238528号公報 特開平08−120077号公報 特開平08−015519号公報 特開2003−13351号公報 特開平08−059832号公報 特開平08−157599号公報 特開2012−036382号公報
Journal of Polymer Science. Macromolecular Reviews, Vol.11, P164(1976)
本発明の課題は、機械的強度の高い定着ベルトの製造方法を提供することである。
上記目的を達成するため、以下の発明が提供される。
請求項1に係る発明は、
水溶性エーテル系溶剤、水溶性ケトン系溶剤、及び水溶性アルコール系溶剤から選択される1種以上の有機溶剤、並びに、水を含む溶剤に、下記一般式(I)で表される繰り返し単位を有し、且つイミド化率が0.2以下である樹脂と、有機アミン化合物と、が溶解しているポリイミド前駆体組成物を被塗布物上に塗布して塗膜を形成する工程と、
前記塗膜を加熱処理してポリイミド樹脂層を形成する工程と、
を有する定着ベルトの製造方法
(一般式(I)中、Aは4価の有機基を示し、Bは2価の有機基を示す。)
請求項2に係る発明は、
前記ポリイミド樹脂層上に、フッ素含有樹脂粒子と水を含む溶剤とを含有する離型層形成用塗布液を塗布して塗膜を形成し、塗膜を加熱処理して離型層を形成する工程を有する請求項1に記載の定着ベルトの製造方法
請求項3に係る発明は、
前記一般式(I)中、前記Aが4価の芳香族系有機基を示し、Bが2価の芳香族系有機基を示す請求項1又は2に記載の定着ベルトの製造方法
請求項4に係る発明は、
前記水を、全溶剤に対して30質量%以上99.9質量%以下で含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の定着ベルトの製造方法
請求項5に係る発明は、
前記有機アミン化合物を、前記樹脂中に含まれるカルボキシル基に対して、50モル%以上500モル%以下で含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の定着ベルトの製造方法
請求項6に係る発明は、
前記有機アミン化合物が、2級アミン化合物、及び3級アミン化合物から選択される少なくとも一種である請求項1〜5のいずれか1項に記載の定着ベルトの製造方法
請求項7に係る発明は、
前記樹脂が、末端にアミノ基を有する樹脂を含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の定着ベルトの製造方法
請求項8に係る発明は、
前記樹脂の数平均分子量が、1000以上100000以下である請求項1〜7のいずれか1項に記載の定着ベルトの製造方法
請求項に係る発明は、
水溶性エーテル系溶剤、水溶性ケトン系溶剤、及び水溶性アルコール系溶剤から選択される1種以上の有機溶剤、並びに、水を含む溶剤に、下記一般式(I)で表される繰り返し単位を有し、且つイミド化率が0.2以下である樹脂と、有機アミン化合物と、が溶解しているポリイミド前駆体組成物を被塗布物上に塗布して塗膜を形成する工程と、
前記塗膜に乾燥した乾燥膜を形成する工程と、
前記乾燥膜上に、フッ素含有樹脂と水を含む溶剤とを含有する離型層形成用塗布液を塗布して塗膜を形成する工程と、
前記乾燥膜、及び前記離型層形成用塗布液の塗膜を加熱して、ポリイミド樹脂層と共に離型層を形成する工程と、
を有する定着ベルトの製造方法。
(一般式(I)中、Aは4価の有機基を示し、Bは2価の有機基を示す。)
請求項1、3、4、5、6,7、8に係る発明によれば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等の非プロトン系極性溶剤を含むポリイミド前駆体組成物を適用した場合に比べ、機械的強度の高い定着ベルトの製造方法が提供される。
請求項2に係る発明によれば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等の非プロトン系極性溶剤を含むポリイミド前駆体組成物を適用した場合に比べ、ポリイミド樹脂層とフッ素含有樹脂を含む離型層との接着性に優れた定着ベルトの製造方法が提供される。
求項に係る発明によれば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等の非プロトン系極性溶剤を含むポリイミド前駆体組成物を適用した場合に比べ、ポリイミド樹脂層とフッ素含有樹脂を含む離型層との接着性に優れた定着ベルトの製造方法が提供される。
本実施形態に係る定着ベルトの一例を示す模式断面図である。 第1実施形態に係る定着装置の一例を示す概略構成図である。 第2実施形態に係る定着装置の一例を示す概略構成図である。 本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
以下、本発明の一例である実施形態について説明する。
なお、実質的に同一の機能を有する部材には、全図面を通して同じ符合を付与し、重複する説明は適宜省略する場合がある。
[定着ベルト]
本実施形態に係る定着ベルトについて説明する。
図1は、本実施形態に係る定着部材の一例を示す概略断面図である。
本実施形態に係る定着ベルト110は、図1に示すように、例えば、基材110Aと、基材110A上に設けられた離型層110Bと、を有している。なお、離型層11Bは必要に応じて設けられる層であり、定着ベルト110は基材110Aの単層体で構成されていてもよい。また、定着ベルト110は、基材110Aと離型層110Bとの間に弾性層等の周知の中間層を設けた態様、基材100Aの内周面に離型層等の周知の最内層を設けた態様であってもよい。
基材110Aは、特定ポリイミド前駆体組成物の塗膜を加熱して形成したポリイミド樹脂層(以下「特定ポリイミド樹脂層」と称する)で構成されている。
そして、特定ポリイミド樹脂組成物は、水溶性エーテル系溶剤、水溶性ケトン系溶剤、及び水溶性アルコール系溶剤から選択される1種以上の有機溶剤(以下「特定有機溶剤」と称する)、並びに、水を含む溶剤に、一般式(I)で表される繰り返し単位を有し、且つイミド化率が0.2以下である樹脂(以下、「特定ポリイミド前駆体」と称する)と、有機アミン化合物と、が溶解している組成物である。つまり、特定ポリイミド前駆体及び有機アミン化合物は、溶剤に溶解した状態で組成物中に含まれる。なお、溶解とは、溶解物の残存が目視にて確認できない状態を示す。
本実施形態に係る定着ベルト110は、特定ポリイミド樹脂層を有することから、機械的強度の高い定着ベルトとなる。
この理由については定かではないが、以下に示す理由によるものと考えられる。
まず、ポリイミド前駆体組成物は、非プロトン系極性溶剤を含まない組成物である。
なお、非プロトン系極性溶剤とは、沸点150℃以上300℃以下で、双極子モーメントが3.0D以上5.0D以下の溶剤である。非プロトン系極性溶剤として具体的には、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ヘキサメチレンホスホルアミド(HMPA)、N−メチルカプロラクタム、N−アセチル−2−ピロリドン等が挙げられる。
N−メチル−2−ピロリドン(NMP)に代表される非プロトン系極性溶剤は、沸点が150℃以上と高く、ポリイミド成形体の製造における乾燥工程後も、組成物中の溶剤が成形体中に残留することが多い。この非プロトン系極性溶剤が、ポリイミド樹脂層中に残留すると、ポリイミド前駆体の高分子鎖の再配向を引き起こし、高分子鎖のパッキング性を損なうため、得られるポリイミド樹脂層の機械的強度の低下を引き起こすことがある。
これに対して、特定ポリイミド前駆体組成物では、溶剤として、非プロトン系極性溶剤を適用せず、特定有機溶剤及び水を含む溶剤を適用するため、得られるポリイミド樹脂層中に、非プロトン系極性溶剤が含まれない。
ポリイミド前駆体としての特定ポリイミド前駆体は、低分子化合物ではなく、また、一次構造に屈曲鎖や脂肪族環状構造等を導入して高分子鎖間の相互作用力を下げて、溶剤への溶解性を高めた構造ではなく、溶剤として、特定有機溶剤及び水を含む溶剤を適用し、これに特定ポリイミド前駆体(そのカルボキシル基)が有機アミン化合物によりアミン塩化された状態で溶解している。このため、ポリイミド前駆体を低分子化したり、構造変更を行うことに伴って生じるポリイミド樹脂層の機械的強度の低下が抑制される。
このため、特定ポリイミド前駆体組成物は、上記組成により、機械的強度の高いポリイミド樹脂層が得られると考えられる。
以上から、本実施形態に係る定着ベルト110は、機械的強度の高い定着ベルトとなる。
また、特定ポリイミド前駆体組成物は、機械的強度に加え、耐熱性、電気特性、耐溶剤性等の諸特性に優れたポリイミド樹脂層が得られ易い。
このため、本実施形態に係る定着ベルト110は、これら諸特性にも優れることとなる。
なお、特定ポリイミド前駆体組成物は、溶剤として、特定有機溶剤及び水を含む混合溶剤を適用し、これに特定ポリイミド前駆体(そのカルボキシル基)が有機アミン化合物によりアミン塩化された状態で溶解しているため、製膜性が高く、環境適性に優れる。
また、溶剤として、特定有機溶剤及び水を含む混合溶剤を適用すると、ポリイミド前駆体組成物を用いたポリイミド成形体の成形のとき、溶剤留去のための加熱温度の低減、及び加熱時間の短縮化が実現される。
また、有機アミン化合物は、特定ポリイミド前駆体(そのカルボキシル基)にアミン塩化した状態で溶剤に溶解していることから、アミン化合物特有の臭気も抑えられる。
特に、一般式(I)中、Aが4価の芳香族系有機基を示し、Bが2価の芳香族系有機基を示す特定ポリイミド前駆体(つまり、芳香族系ポリイミド前駆体)を適用した場合、通常、溶剤に溶解し難い傾向があるものの、溶剤として、特定有機溶剤及び水を含む溶剤を適用し、これに特定ポリイミド前駆体が有機アミン化合物によりアミン塩化された状態で溶解する。このため、特定ポリイミド前駆体として、芳香族系ポリイミド前駆体を適用した場合であっても、製膜性が高く、環境適性に優れる。
本実施形態に係る定着ベルト110は、特定ポリイミド樹脂層で構成された基材110Aの表面に、離型層(特にフッ素含有樹脂を含む離型層)110Bを有する積層構造である。この定着ベルト110の製造方法は、例えば、被塗布物に特定ポリイミド前駆体組成物を塗布し、熱処理を行い溶媒成分を除去した後、その乾燥膜又はその乾燥膜をイミド化した特定ポリイミド樹脂層上にフッ素含有樹脂粒子と水を含む溶剤とを含有する離型層形成用塗布液を塗布し、熱処理を行い基材110A/離型層110Bからなる積層構造を形成するものである。この定着ベルトの製造方法によると、基材10A(特定ポリイミド樹脂層)と離型層110Bとの接着性が高まる。これは、特定ポリイミド前駆体組成物により形成された特定ポリイミド樹脂層には、非プロトン系極性溶剤が含まれておらず、親水性が高まっていると考えられるためである。つまり、離型層(特に、フッ素含有樹脂を含む離型層)を形成する場合、その離型層形成用塗布液の溶剤として水を含む溶剤を使用すると、塗布液の塗膜が下層の特定ポリイミド樹脂層と馴染み易くなり、接着性が高まるものと考えられる。特に、特定ポリイミド前駆体組成物の塗膜を乾燥した乾燥膜(イミド化前の皮膜)には残留溶剤が多く含まれる傾向があることから、当該乾燥膜に離型層形成用塗布液の塗膜を形成した上で、加熱処理を行ってポリイミド樹脂層と離型層とを形成すると、密着性がさらに高まるものと考えられる。
以下、本実施形態に係る定着部材110の構成要素について詳細に説明する。なお、符号は省略して説明する。
<基材:特定ポリイミド樹脂層>
基材は、特定ポリイミド前駆体組成物の塗膜を加熱して形成した特定ポリイミド樹脂層で構成されている。つまり、この特定ポリイミド樹脂層は、ポリイミド前駆体組成物の塗膜に対して、加熱処理として乾燥処理、イミド化処理を施して形成した層である。
そして、特定ポリイミド樹脂組成物は、特定有機溶剤、並びに、水を含む溶剤に、特定ポリイミド前駆体と、有機アミン化合物と、が溶解している組成物である。
(特定ポリイミド前駆体)
特定ポリイミド前駆体は、一般式(I)で表される繰り返し単位を有し、且つイミド化率が0.2以下である樹脂(ポリアミック酸)である。

一般式(I)中、Aは4価の有機基を示し、Bは2価の有機基を示す。
ここで、一般式(I)中、Aが表す4価の有機基としては、原料となるテトラカルボン酸二無水物より4つのカルボキシル基を除いたその残基である。
一方、Bが表す2価の有機基としては、原料となるジアミン化合物から2つのアミノ基を除いたその残基である。
つまり、一般式(I)で表される繰り返し単位を有する特定ポリイミド前駆体は、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との重合体である。
テトラカルボン酸二無水物としては、芳香族系、脂肪族系いずれの化合物が挙げられるが、芳香族系の化合物であることがよい。つまり、一般式(I)中、Aが表す4価の有機基は、芳香族系有機基であることがよい。
芳香族系テトラカルボン酸としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物等を挙げられる。
脂肪族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボナン−2−酢酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等の脂肪族又は脂環式テトラカルボン酸二無水物;、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン等の芳香環を有する脂肪族テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
これらの中でも、テトラカルボン酸二無水物としては、芳香族系テトラカルボン酸二無水物がよく、具体的には、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物がよく、更に、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物がよく、特に、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物がよい。
なお、テトラカルボン酸二無水物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて併用してもよい。また、2種以上を組み合わせて併用する場合、芳香族テトラカルボン酸、又は脂肪族テトラカルボン酸を各々併用しても、芳香族テトラカルボン酸と脂肪族テトラカルボン酸とを組み合わせてもよい。
一方、ジアミン化合物は、分子構造中に2つのアミノ基を有するジアミン化合物である。ジアミン化合物としては、芳香族系、脂肪族系いずれの化合物が挙げられるが、芳香族系の化合物であることがよい。つまり、一般式(I)中、Bが表す2価の有機基は、芳香族系有機基であることがよい。
ジアミン化合物としては、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、1,5−ジアミノナフタレン、3,3−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、5−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、6−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、3,5−ジアミノ−3’−トリフルオロメチルベンズアニリド、3,5−ジアミノ−4’−トリフルオロメチルベンズアニリド、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,7−ジアミノフルオレン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、2,2’,5,5’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノ−5,5’−ジメトキシビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)−ビフェニル、1,3’−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−(p−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、2,2’−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチル)フェノキシ]−オクタフルオロビフェニル等の芳香族ジアミン;、ジアミノテトラフェニルチオフェン等の芳香環に結合された2個のアミノ基と当該アミノ基の窒素原子以外のヘテロ原子を有する芳香族ジアミン;、1,1−メタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、4,4−ジアミノヘプタメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソフォロンジアミン、テトラヒドロジシクロペンタジエニレンジアミン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6,2,1,02.7]−ウンデシレンジメチルジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)等の脂肪族ジアミン及び脂環式ジアミン等が挙げられる。
これらの中でも、ジアミン化合物としては、芳香族系ジアミン化合物がよく、具体的には、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォンがよく、特に、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、p−フェニレンジアミンがよい。
なお、ジアミン化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて併用してもよい。また、2種以上を組み合わせて併用する場合、芳香族ジアミン化合物、または脂肪族ジアミン化合物を各々併用しても、芳香族ジアミン化合物と脂肪族ジアミン化合物とを組み合わせてもよい。
特定ポリイミド前駆体は、イミド化率が0.2以下の樹脂である。つまり、特定ポリイミド前駆体は、一部がイミド化された樹脂であってもよい。
具体的には、特定ポリイミド前駆体としては、例えば、一般式(I−1)、一般式(I−2)及び一般式(I−3)で表される繰り返し単位を有する樹脂が挙げられる。
一般式(I−1)、一般式(I−2)及び一般式(I−3)中、Aは4価の有機基を示し、Bは2価の有機基を示す。なお、A及びBは、一般式(I)中のA及びBと同義である。
lは1以上の整数を示し、m及びnは、各々独立に0又は1以上の整数を示し、且つ(2n+m)/(2l+2m+2n)≦0.2の関係を満たす。
一般式(I−1)〜(I−3)中、lは1以上の整数を示すが、望ましくは1以上200以下の整数、より望ましくは1以上100以下の整数を示すことがよい。m及びnは、各々独立に0又は1以上の整数を示すが、望ましくは各々独立に0又は1以上200以下の整数、より望ましくは0又は1以上100以下の整数を示すことがよい。
そして、l、m及びnは、(2n+m)/(2l+2m+2n)≦0.2の関係を満たすが、望ましくは(2n+m)/(2l+2m+2n)≦0.15の関係、より望ましくは(2n+m)/(2l+2m+2n)≦0.10を満たすことである。
ここで、「(2n+m)/(2l+2m+2n)」は、特定ポリイミド前駆体の結合部(テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との反応部)において、イミド閉環している結合部数(2n+m)の全結合部数(2l+2m+2n)に対する割合を示している。つまり、「(2n+m)/(2l+2m+2n)」は特定ポリイミド前駆体のイミド化率を示している。
そして、特定ポリイミド前駆体のイミド化率(「(2n+m)/(2l+2m+2n)」の値)を0.2以下(望ましくは0.15以下、より望ましくは0.10)とすることにより、特定ポリイミド前駆体のゲル化や析出分離を引き起こすことが抑制される。
特定ポリイミド前駆体のイミド化率(「(2n+m)/(2l+2m+2n)」の値)は、次の方法により測定される。
−ポリイミド前駆体のイミド化率の測定−
・ポリイミド前駆体試料の作製
(i)測定対象となるポリイミド前駆体組成物を、シリコーンウェハー上に、膜厚1μm以上10μm以下の範囲で塗布して、塗膜試料を作製する。
(ii)塗膜試料をテトラヒドロフラン(THF)中に20分間浸漬させて、塗膜試料中の溶剤をテトラヒドロフラン(THF)に置換する。浸漬させる溶剤は、THFに限定されることになく、ポリイミド前駆体を溶解せず、ポリイミド前駆体組成物に含まれている溶剤成分と混和し得る溶剤より選択できる。具体的には、メタノール、エタノールなどのアルコール溶剤、ジオキサンなどのエーテル化合物が使用できる。
(iii)塗膜試料を、THF中より取り出し、塗膜試料表面に付着しているTHFにNガスを吹き付け、取り除く。10mmHg以下の減圧下、5℃以上25℃以下の範囲にて12時間以上処理して塗膜試料を乾燥させ、ポリイミド前駆体試料を作製する。
・100%イミド化標準試料の作製
(iv)上記(i)と同様に、測定対象となるポリイミド前駆体組成物をシリコーンウェハー上に塗布して、塗膜試料を作製する。
(v)塗膜試料を380℃にて60分間加熱してイミド化反応を行い、100%イミド化標準試料を作製する。
・測定と解析
(vi)フーリエ変換赤外分光光度計(堀場製作所製FT−730)を用いて、100%イミド化標準試料、ポリイミド前駆体試料の赤外吸光スペクトルを測定する。100%イミド化標準試料の1500cm−1付近の芳香環由来吸光ピーク(Ab’(1500cm−1))に対する、1780cm−1付近のイミド結合由来の吸光ピーク(Ab’(1780cm−1))の比I’(100)を求める。
(vii)同様にして、ポリイミド前駆体試料について測定を行い、1500cm−1付近の芳香環由来吸光ピーク(Ab(1500cm−1))に対する、1780cm−1付近のイミド結合由来の吸光ピーク(Ab(1780cm−1))の比I(x)を求める。
そして、測定した各吸光ピークI’(100)、I(x)を使用し、下記式に基づき、ポリイミド前駆体のイミド化率を算出する。
・式: ポリイミド前駆体のイミド化率=I(x)/I’(100)
・式: I’(100)=(Ab’(1780cm−1))/(Ab’(1500cm−1))
・式: I(x)=(Ab(1780cm−1))/(Ab(1500cm−1))
なお、このポリイミド前駆体のイミド化率の測定は、芳香族系ポリイミド前駆体のイミド化率の測定に適用される。脂肪族ポリイミド前駆体のイミド化率を測定する場合、芳香環の吸収ピークに代えて、イミド化反応前後で変化のない構造由来のピークを内部標準ピークとして使用する。
−ポリイミド前駆体の末端アミノ基−
特定ポリイミド前駆体は、末端にアミノ基を有するポリイミド前駆体(樹脂)を含むことがよく、望ましくは全ての末端にアミノ基を有するポリイミド前駆体とすることがよい。
ポリイミド前駆体の分子両末端にアミノ基を持たせるには、例えば、重合反応の際に使用するジアミン化合物のモル当量を、テトラカルボン酸二無水物のモル当量より過剰に添加することで実現される。ジアミン化合物とテトラカルボン酸二無水物とのモル当量の比は、テトラカルボン酸のモル当量を1に対して、1.0001以上1.2以下の範囲とすることが望ましく、より望ましくは、1.001以上1.2以下の範囲である。
ジアミン化合物とテトラカルボン酸二無水物とのモル当量の比が1.0001以上であれば、分子末端のアミノ基の効果が大きく、良好な分散性が得られる。また、モル当量の比が1.2以下であれば、得られるポリイミド前駆体の分子量が大きく、例えば、フィルム状のポリイミド成形体としたときに、十分なフィルム強度(引裂き強度、引張り強度)が得られ易い。
特定ポリイミド前駆体の末端アミノ基は、ポリイミド前駆体組成物にトリフルオロ酢酸無水物(アミノ基に対して定量的に反応)を作用させることによって検出される。すなわち、特定ポリイミド前駆体の末端アミノ基をトリフルオロ酢酸によりアミド化する。処理後、特定ポリイミド前駆体を再沈殿などで精製して過剰のトリフルオロ酢酸無水物、トリフルオロ酢酸残渣を除去する。処理後の特定ポリイミド前駆体について、核磁気共鳴(NMR)法によって定量することで、特定ポリイミド前駆体の末端アミノ基量が測定される。
特定ポリイミド前駆体の数平均分子量は、1000以上100000以下であることがよく、望ましくは5000以上50000以下、より望ましくは10000以上30000以下である。
特定ポリイミド前駆体の数平均分子量を上記範囲とすると、特定ポリイミド前駆体の溶剤に対する溶解性の低下が抑制され、製膜性が確保され易くなる。特に、末端にアミノ基を有する特定ポリイミド前駆体を適用した場合、分子量が低くなると、末端アミノ基の存在率が高まり、ポリイミド前駆体組成物中の共存する有機アミン化合物の影響を受けて溶解性が低下し易いが、特定ポリイミド前駆体の数平均分子量の範囲を上記範囲にすることで、溶解性の低下を抑制することができる。
なお、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とのモル当量の比を、調整することで、目的する数平均分子量の特定ポリイミド前駆体が得られる。
特定ポリイミド前駆体の数平均分子量は、下記測定条件のゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法で測定される。
・カラム:東ソーTSKgelα−M(7.8mm I.D×30cm)
・溶離液:DMF(ジメチルホルムアミド)/30mMLiBr/60mMリン酸
・流速:0.6mL/min
・注入量:60μL
・検出器:RI(示差屈折率検出器)
特定ポリイミド前駆体の含有量(濃度)は、全ポリイミド前駆体組成物に対して、0.1質量以上40質量%以下であることがよく、望ましくは0.5質量%以上25質量%以下、より望ましくは1質量%以上20重量%以下である。
(有機アミン化合物)
有機アミン化合物は、特定ポリイミド前駆体(そのカルボキシル基)をアミン塩化して、その溶剤に対する溶解性を高めると共に、イミド化促進剤としても機能する化合物である。
なお、有機アミン化合物は、水溶性の化合物であることがよい。ここで、水溶性とは、25℃において、対象物質が水に対して1質量%以上溶解することを意味する。
有機アミン化合物としては、1級アミン化合物、2級アミン化合物、3級アミン化合物が挙げられる。
これらの中でも、有機アミン化合物としては、2級アミン化合物、及び3級アミン化合物から選択される少なくとも一種(特に、3級アミン化合物)がよい。有機アミン化合物として、3級アミン化合物又は2級アミン化合物を適用すると、特定ポリイミド前駆体の溶剤に対する溶解性が高まり易くなり、製膜性が向上し易くなり、また、ポリイミド前駆体組成物の溶液安定性が向上し易くなる。
また、有機アミン化合物としては、1価のアミン化合物以外にも、2価以上の多価アミン化合物も挙げられる。2価以上の多価アミン化合物を適用すると、特定ポリイミド前駆体の分子間に疑似架橋構造を形成し易くなり、特定ポリイミド前駆体が低分子量体でも、ポリイミド組成物粘度を上げられ、製膜性が向上し易くなる。
1級アミン化合物としては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、2−エタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロピパノール、などが挙げられる。
2級アミン化合物としては、例えば、ジメチルアミン、2−(メチルアミノ)エタノール、2−(エチルアミノ)エタノール、モルホリンなどが挙げられる。
3級アミン化合物としては、例えば、2−ジメチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノプロパノール、ピリジン、トリエチルアミン、ピコリン、メチルモルホリン、エチルモルホリンなどが挙げられる。
多価アミン化合物としては、例えば、イソキノリン類、ピリミジン類、ピラジン類、ピペラジン類、トリアジン類、ポリアニリン、ポリピリジン、ポリアミンなどが挙げられる。
これらの中でも、有機アミン化合物としては、沸点が60℃以上(望ましくは60℃以上200℃以下、より望ましくは70℃以上150℃以下)の化合物であることがよい。有機アミン化合物の沸点を60℃以上とすると、保管時に、ポリイミド前駆体組成物から有機アミン化合物が揮発するのを抑制し、特定ポリイミド前駆体の溶剤に対する溶解性の低下が抑制され易くなる。
有機アミン化合物は、特定ポリイミド前駆体中に含まれるカルボキシル基に対して、50モル%以上500モル%以下で含有することがよく、望ましくは80モル%以上250モル%以下、より望ましくは70モル%以上150モル%以下で含有することである。
有機アミン化合物の含有量を上記範囲とすると、特定ポリイミド前駆体の溶剤に対する溶解性が高まり易くなり、製膜性が向上し易くなる。また、ポリイミド前駆体組成物の溶液安定性も向上し易くなる。
(溶剤)
溶剤としては、特定有機溶剤及び水の混合溶剤が適用される。そして、特定有機溶剤は、水溶性エーテル系溶剤、水溶性ケトン系溶剤、及び水溶性アルコール系溶剤から選択される1種以上の有機溶剤が適用される。ここで、水溶性とは、25℃において、対象物質が水に対して1質量%以上溶解することを意味する。
混合溶剤の組合わせとしては、例えば、水溶性エーテル系溶剤と水との組合わせ、水溶性ケトン系溶剤と水との組合わせがよい。
また、特定有機溶剤は、1種単独で用いてもよいが、2種以上併用する場合、例えば、水溶性エーテル系溶剤と水溶性アルコール系溶剤との組合せ、水溶性ケトン系溶剤と水溶性アルコール系溶剤との組合せ、水溶性エーテル系溶剤と水溶性ケトン系溶剤と水溶性アルコール系溶剤とのとの組合せが挙げられる。
水溶性エーテル系溶剤は、一分子中にエーテル結合を持つ水溶性の溶剤である。水溶性エーテル系溶剤としては、例えば、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、トリオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられる。これらの中でも、水溶性エーテル系溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサンが望ましい。
水溶性ケトン系溶剤は、一分子中にケトン基を持つ水溶性の溶剤である。水溶性ケトン系溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等が挙げられる。これらの中でも、水溶性ケトン系溶剤としては、アセトンが望ましい。
水溶性アルコール系溶剤は、一分子中にアルコール性水酸基を持つ水溶性の溶剤である。水溶性アルコール系溶剤は、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、tert−ブチルアルコール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、グリセリン、2−エチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール等が挙げられる。これらの中でも、水溶性アルコール系溶剤としては、メタノール、エタノール、2−プロピパノール、エチレングリコールが望ましい。
特定有機溶剤は、沸点が160℃以下であることがよく、望ましくは40℃以上150℃以下、より望ましくは50℃以上120℃以下である。特定有機溶剤の沸点を上記範囲とすると、特定有機溶剤がポリイミド成形体に残留し難くなり、機械的強度の高いポリイミド成形体が得られ易くなる。
一方、水としては、例えば、蒸留水、イオン交換水、限外濾過水、純水等が挙げられる。
水は、全溶剤に対して30質量%以上99.9質量%以下で含有することがよく、望ましくは50質量%以上99.9質量以下、より望ましくは80質量%以上99.9質量%以下で含有することである。なお、溶剤には、全溶剤の水を除いた残部として特定有機溶剤が含まれる。
水の含有量を上記範囲とすると、アミン塩化した特定ポリイミド前駆体の溶剤に対する溶解性が上がり、製膜性が向上する。
ここで、特定ポリイミド前駆体が溶剤に溶解する範囲は、水の含有率、有機アミン化合物の種類・量によって制御される。水の含有率の低い範囲では、有機アミン化合物の添加量が少ない領域で特定ポリイミド前駆体は溶解し易くなる。逆に、水の含有率の高い範囲では、有機アミン化合物の添加量が多い領域で特定ポリイミド前駆体は溶解し易くなる。また、有機アミン化合物が水酸基を含むなど親水性が高い場合は、水の含有率の高い領域で特定ポリイミド前駆体は溶解し易くなる。
(その他の添加剤)
特定ポリイミド前駆体組成物は、これを用いて製造する特定ポリイミド樹脂層に導電性や、機械強度などの各種機能を付与することを目的として、各種フィラーなどを含んでもよいし、また、イミド化反応促進のための触媒や、製膜品質向上のためのレベリング材などを含んでもよい。
導電性付与のため添加される導電材料としては、導電性(例えば体積抵抗率10Ω・cm未満、以下同様である)もしくは半導電性(例えば体積抵抗率10Ω・cm以上1013Ω・cm以下、以下同様である)のものが挙げられ、使用目的により選択される。
導電剤としては、例えば、カーボンブラック(例えばpH5.0以下の酸性カーボンブラック)、金属(例えばアルミニウムやニッケル等)、金属酸化物(例えば酸化イットリウム、酸化錫等)、イオン導電性物質(例えばチタン酸カリウム、LiCl等)、導電性高分子(例えばポリアニリン、ポリピロール、ポリサルフォン、ポリアセチレンなど)等が挙げられる。
これら導電材料は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
また、導電材料が粒子状の場合、その一次粒径が10μm未満、望ましくは1μm以下の粒子であることがよい。
機械強度向上のため添加されるフィラーとしては、シリカ粉、アルミナ粉、硫酸バリウム粉、酸化チタン粉、マイカ、タルクなどの粒子状材料が挙げられる。また、特定ポリイミド樹脂層表面の撥水性、離型性改善のためには、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)などのフッ素樹脂粉末などを添加してもよい。
イミド化反応促進のための触媒には、酸無水物など脱水剤、フェノール誘導体、スルホン酸誘導体、安息香酸誘導体などの酸触媒などを使用してもよい。
特定ポリイミド樹脂層の製膜品質の向上には、界面活性剤を添加してもよい。使用する界面活性剤は、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、のいずれを用いてもよい。
その他の添加剤の含有量は、製造する特定ポリイミド樹脂層の使用目的に応じて選択すればよい。
(ポリイミド前駆体組成物の製造方法)
特定ポリイミド前駆体組成物の製造方法は、水溶性エーテル系溶剤、水溶性ケトン系溶剤、及び水溶性アルコール系溶剤から選択される1種以上の有機溶剤(特定有機溶剤)、並びに、水を含む溶剤中で、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを重合して樹脂(以下、「ポリイミド前駆体」と称する)を生成する工程(以下「重合工程」と称する)と、樹脂を生成した後、溶剤に有機アミン化合物を添加する工程(以下、「アミン塩化工程」と称する)と、を有する。また、必要に応じて、重合工程後、溶剤を置換又は溶剤組成を変更する工程(以下、「溶剤置換工程」と称する」を有してもよい。
特定ポリイミド前駆体組成物の製造方法では、非プロトン系極性溶剤を含まず、特定有機溶剤及び水を含む溶剤中で、ポリイミド前駆体を生成した後、その溶剤に有機アミン化合物を添加し、ポリイミド前駆体(そのカルボキシル基)のアミン塩化を行う。
特定ポリイミド前駆体組成物の製造方法は、溶剤として、特定ポリイミド樹脂層の機械的強度の低下の原因となる非プロトン系極性溶剤を使用しない。また、ポリイミド前駆体の生成後に、有機アミン化合物を添加する(重合工程では有機アミン化合物を添加しない)ことから、有機アミン化合物によりポリイミド前駆体の生成阻害(重合反応の阻害)が抑制される。
このため、特定ポリイミド前駆体組成物の製造方法では、機械的強度の高いポリイミド樹脂層が得られるポリイミド前駆体組成物が製造される。
また、特定ポリイミド前駆体組成物の製造方法では、機械的強度に加え、耐熱性、電気特性、耐溶剤性等の諸特性に優れたポリイミド樹脂層が得られ易いポリイミド前駆体組成物が製造される。
また、特定ポリイミド前駆体組成物の製造方法では、溶剤として、特定有機溶剤及び水を含む混合溶剤を適用しているため、生産性も高く、ポリイミド前駆体組成物が製造される。特に、溶剤置換を行う場合、過剰な加熱が必要なく、生成されたポリイミド前駆体の熱イミド化が抑制され易い。
以下、特定ポリイミド前駆体組成物の製造方法の各工程について説明する。なお、使用する各材料は、上記特定ポリイミド前駆体組成物で説明したものと同様であるため、説明を省略する。
(重合工程)
重合工程では、特定有機溶剤及び水を含む溶剤中で、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを重合してポリイミド前駆体を生成する。
ポリイミド前駆体の重合反応時の反応温度は、例えば、0℃以上70℃以下であることがよく、望ましくは10℃以上60℃以下、より望ましくは20℃以上55℃以下である。この反応温度を0℃以上とすることで、重合反応により発生する反応熱を除去して重合反応の進行を促進し、反応に要する時間が短縮され、生産性が向上し易くなる。一方、反応温度を70℃以下とすると、生成したポリイミド前駆体の分子内で生じるイミド化反応の進行が抑制され、ポリイミド前駆体の溶解性低下に伴う析出、又はゲル化が抑制され易くなる。
なお、ポリイミド前駆体の重合反応時の時間は、反応温度により1時間以上24時間以下の範囲とすることがよい。
ここで、重合工程における特定有機溶剤と水との混合溶剤の混合比率(質量比)は、重合反応の進行を阻害しない観点から、特定有機溶剤よりも水が少ない比率であることがよく、例えば、98:2乃至70:30(望ましくは90:10乃至80:20)とすることがよい。
具体的には、この混合比率(質量比)は、水溶性エーテル系溶剤と水との組合わせの場合、96:4乃至70:30(望ましくは90:10乃至80:20)、水溶性ケトン系溶剤化合物と水の場合は90:10乃至75:25(望ましくは90:10乃至80:20)がよい。
(アミン塩化工程)
アミン塩化工程では、ポリイミド前駆体を生成した後、溶剤に有機アミン化合物を添加し、ポリイミド前駆体(そのカルボキシル基)のアミン塩化を行う。これにより、ポリイミド前駆体の溶剤に対する溶解性が高まる。
アミン塩化工程では、溶剤としての水も添加してもよい。
(溶剤置換工程)
溶剤置換工程は、例えば、ポリイミド前駆体の生成後の溶液中の溶剤組成を変更し、製造するポリイミド前駆体組成物の安定化、生成するポリイミド前駆体の溶解及び固形分濃度の調整等を目的として行われる。
溶剤置換工程は、水、その他溶剤を添加することや、目的とする溶剤を除去することで行われる。溶剤の除去には、加熱及び減圧を行って溶剤を留去する方法(留去法)、水を添加して、ポリイミド前駆体を析出させた後、溶剤を分離除去する再沈殿法が挙げられる。溶剤の除去は、留去法と再沈法と組み合わせて行ってもよい。
溶剤置換工程又は溶剤組成変更工程とアミン塩化工程とはどちらを先に行ってもよい。また、両工程を並行して行ってもよい。
なお、溶剤置換工程は、ポリイミド前駆体の生成後の溶液中の溶剤組成の変更が必要がなければ、実施しなくてもよい任意の工程である。
ここで、溶剤置換工程を実施する場合、アミン塩化工程は、以下の第1アミン塩化工程又は第2アミン塩化工程を実施することがよい。
−第1アミン塩化工程−
第1アミン塩化工程では、ポリイミド前駆体を生成した後、溶剤に水を添加して、ポリイミド前駆体と溶剤とを分離し、分離後の溶剤の一部を除去した後、残部に水及び有機アミン化合物を添加する。
具体的には、例えば、第1アミン塩化工程では、ポリイミド前駆体を生成した後、溶剤に水を過剰に添加すると、ポリイミド前駆体の溶解性が低下し、析出する結果、ポリイミド前駆体と溶剤とが分離する。溶剤に添加する水の添加量は、例えば、全溶剤に対して、例えば、10質量%以上300質量%以下(望ましくは50質量%以上200質量%以下)がよい。
ポリイミド前駆体と溶剤とが分離すると、ポリイミド前駆体が沈降し、上澄みが溶剤となり、この上澄み液を除去することで、分離後の溶剤の一部を除去する。この溶剤の一部の除去は、上澄み液の除去に限られず、ろ過等により行ってよい。
そして、残部に、溶剤となる水と共に有機アミン化合物(例えば、有機アミン化合物が溶解した水溶液)を添加すると、溶剤置換が行われると共に、ポリイミド前駆体(そのカルボキシル基)のアミン塩化が行われる。
第1アミン塩化工程を行うと、純度の高いポリイミド前駆体組成物が得られ易くなる。
−第2アミン塩化工程−
第2アミン塩化工程では、ポリイミド前駆体を生成した後、溶剤の一部を留去した後又は溶剤の一部を留去しながら、残部に有機アミン化合物を添加する。
具体的には、例えば、第1アミン塩化工程では、ポリイミド前駆体を生成した後、加熱及び減圧にして、溶剤の一部を留去する。この溶剤の留去は、主に特定有機溶剤の留去である。そして、この溶剤の留去をした後又は溶剤の一部を留去しながら、有機アミン化合物を添加すると、溶剤組成変更が行われると共に、ポリイミド前駆体(そのカルボキシル基)のアミン塩化が行われる。なお、有機アミン化合物を添加するとき、溶剤として水も添加してもよい。
第1アミン塩化工程を行うと、ポリイミド前駆体の析出等を経ずに、簡易な工程で、溶剤置換されたポリイミド前駆体組成物が得られ易くなる。
ここで、基材には、特定ポリイミド前駆体組成物に含まれる特定有機溶剤(水溶性エーテル系溶剤、水溶性ケトン系溶剤、及び水溶性アルコール系溶剤から選択される1種以上の有機溶剤)と、有機アミン化合物と、を含有している。
基材中に含有される特定有機溶剤(水溶性エーテル系溶剤、水溶性ケトン系溶剤、及び水溶性アルコール系溶剤)は、ポリイミド成形体中、1ppb以上1%未満である。基材中に含有される特定有機溶剤はポリイミド成形体を加熱して発生するガス分をガスクロマトグラフィー法により定量される。また、基材中に含まれる有機アミン化合物についても同様にポリイミド成形体を加熱して発生するガス分をガスクロマトグラフィー法により定量される。
(基材の厚み)
基材の厚みは、例えば、20μm以上200μm以下であることがよく、望ましくは30μm以上150μm以下、より望ましくは40μm以上130μm以下である。
<離型層>
離型層は、例えば、離型材料を含んで構成される。
耐熱性離型材料としては、フッ素含有樹脂、フッ素含有ゴム、シリコーン樹脂等の周知の離型材料が挙げられる。
これらの中でも、離型材料としては、フッ素含有樹脂がよい。
このようなフッ素含有樹脂として具体的には、例えば、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロ三フッ化エチレン(PCTFE)、フッ化ビニル(PVF)等が挙げられる。
離型層には、その他、導電性や、機械強度などの各種機能を付与することを目的として、各種添加剤を含んで構成されていてもよい。
表面層の厚みは、例えば、5μm以上50μm以下であることがよく、望ましくは10μm以上40μm以下、より望ましくは10μm以上20μm以下である。
[定着ベルトの製造方法]
本実施形態に係る定着ベルトの製造方法は、上記特定ポリイミド前駆体組成物を被塗布物上に塗布して塗膜を形成する工程(以下「塗膜形成工程」と称する)と、塗膜を加熱処理してポリイミド樹脂層を形成する工程(以下「加熱工程」称する)と、ポリイミド樹脂層上に、離型層形成用塗布液を塗布して塗膜を形成し、塗膜を加熱処理して離型層を形成する工程(以下「離型層形成工程」と称する)と、を有する。但し、離型層を形成する工程は、必要に応じて設けられる工程である。
以下、本実施形態に係る定着ベルトの製造方法について詳細に説明する。
(塗膜形成工程)
まず、被塗布物として芯体を準備する。準備する芯体としては、円筒状金型等が挙げられる。芯体の素材としては、例えば、アルミニウム、ステンレス、ニッケル等の金属が挙げられる。芯体の長さは、目的とする無端ベルト以上の長さが必要であるが、目的とする無端ベルトの長さより、10%以上40%以下長いことが望ましい。
次に、ポリイミド前駆体溶液を芯体としての円筒状金型に塗布し、ポリイミド前駆体溶液の塗膜を形成する。
ポリイミド前駆体溶液の円筒状金型への塗布方法は、特に制限はなく、例えば、円筒状金型の外周面に浸漬塗布する方法や、円筒状金型の内周面に塗布する方法、軸を水平にして円筒状金型を回転させながら、その外周面又は内周面にらせん状に塗布する方法や、円筒状金型の外周と特定の間隔を有するダイを用い塗布する方法等が挙げられる。
(加熱工程)
次に、ポリイミド前駆体溶液の塗膜に対して、乾燥処理を行う。この乾燥処理により、乾燥膜(乾燥したイミド化前の皮膜)を形成する。
乾燥処理の加熱条件は、例えば80℃以上200℃以下の温度で10分間以上60分間以下がよく、温度が高いほど加熱時間は短くてよい。加熱の際、熱風を当てることも有効である。加熱のときは、温度を段階的に上昇させたり、速度を変化させずに上昇させてもよい。芯体の軸方向を水平にして、芯体を5rpm以上60rpm以下で回転させるのがよい。乾燥後は芯体を垂直にしてもよい。
次に、乾燥膜に対して、イミド化処理を行う。これにより、ポリイミド樹脂層が形成される。
イミド化処理の加熱条件としては、例えば150℃以上4500℃以下(望ましくは200℃以上300℃以下)で、20分間以上60分間以下加熱することで、イミド化反応が起こり、ポリイミド樹脂層が形成される。加熱反応の際、加熱の最終温度に達する前に、温度を段階的、又は一定速度で徐々に上昇させて加熱することがよい。
(離型層形成工程)
離型層形成工程では、ポリイミド樹脂層上に、離型層形成用塗布液を塗布して塗膜を形成し、塗膜を加熱処理して離型層を形成する。
具体的には、離型層形成工程では、例えば、スプレー塗布法、浸漬塗布法、遠心製膜法、スパイラル法等の周知の塗布法を利用し、ポリイミド樹脂層上に離型層形成用塗布液を塗布して塗膜を形成する。そして、この塗膜を加熱すると、離型材料が焼成され、離型層を形成する。
ここで、離型層形成用塗布液としては、フッ素含有樹脂と水を含む溶剤とを含有する離型層形成用塗布液を適用することがよい。この離型層形成用塗布液の塗膜を加熱すると、フッ素樹脂が溶融焼成されて、フッ素含有樹脂を含む離型層が形成される。
なお、水を含む溶剤としては、水の他、低級アルコール(例えばエタノール、ブタノール等)、グリコール(例えばエチレングリコール等)、グリコールのエステル類、又はこれらの混合溶剤が含まれていてもよい。また、離型層形成用塗布液は、界面活性剤や粘度調整剤等の周知の添加剤が添加されていてもよい。
以上の工程を経て、ベルト状のポリイミド樹脂層と離型層との積層体が芯体に形成される。そして、ポリイミド樹脂層と離型層との積層体を芯体から抜き取る。これにより、ベルト状のポリイミド樹脂層と離型層との積層体を有する定着ベルトが得られる。
一方、本実施形態に係る定着ベルトの製造方法は、上記特定ポリイミド前駆体組成物を被塗布物上に塗布して塗膜を形成する工程と、塗膜に乾燥した乾燥膜(乾燥したイミド化前の皮膜)を形成する工程と、乾燥膜上に、離型層形成用塗布液(望ましくはフッ素含有樹脂と水を含む溶剤とを含有する離型層形成塗布液)を塗布して塗膜を形成する工程と、乾燥膜、及び前記離型層形成用塗布液の塗膜を加熱して、ポリイミド樹脂層と共に離型層を形成する工程と、を有する方法であってもよい。
本製造方法は、乾燥膜(乾燥したイミド化前の皮膜)上に離型層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該乾燥膜を構成するポリイミド前駆体のイミド化と、離型層形成用塗布液に含まれる離型材料の焼成と、を同時に行って、ポリイミド樹脂層及び離型層を同時に形成する方法である。
そして、本方法を採用すると、上述したように、ポリイミド樹脂層と離型層との接着性がより高まり易くなり好適である。
[定着ベルトの用途]
本実施形態に係る定着ベルトは、例えば、加熱ベルト、加圧ベルトのいずれにも適用される。なお、加熱ベルトとしては、電磁誘導方式により加熱する加熱ベルト、外部の熱源から加熱する加熱ベルトのいずれであってもよい。
但し、本実施形態に係る定着部材を電磁誘導方式により加熱する加熱ベルトに適用する場合、電磁誘導により発熱する金属層(発熱層)を設けることがよい。
[定着装置]
本実施形態に係る定着装置としては、種々の構成があり、例えば、第1回転体と、第1回転体の外面に接して配置される第2回転体と、を備える。そして、第1回転体及び第2回転体の少なくとも一方として、本実施形態に係る定着ベルトが適用される。
以下に、第1実施形態として、加熱ロールと加圧ベルトと備えた定着装置、第2実施形態として、加熱ベルトと加圧ロールとを備えた定着装置を説明する。そして、第1及び2実施形態において、本実施形態に係る定着ベルトは、加熱ベルト、加圧ベルトに適用され得る。
なお、本実施形態に係る定着装置は、第1及び第2実施形態に限られず、加熱ベルトと加圧ベルトとを備えた定着装置であってよい。そして、本実施形態に係る定着ベルトは、加熱ベルト及び加圧ベルトのいずれにも適用され得る。
また、本実施形態に係る定着装置は、第1及び第2実施形態に限られず、電磁誘導加熱方式の定着装置であってもよい。
(定着装置の第1実施形態)
第1実施形態に係る定着装置について説明する。図2は、第1実施形態に係る定着装置の一例を示す概略概略図である。
第1実施形態に係る定着装置60は、図2に示すように、例えば、回転駆動する加熱ロール61(第1回転体の一例)と、加圧ベルト62(第2回転体の一例)と、加圧ベルト62を介して加熱ロール61を押圧する押圧パッド64(押圧部材の一例)とを備えて構成されている。
なお、押圧パッド64は、例えば、加圧ベルト62と加熱ロール61とが相対的に加圧されていればよい。従って、加圧ベルト62側が加熱ロール61に加圧されてもよく、加熱ロール61側が加熱ロール61に加圧されてもよい。
加熱ロール61の内部には、ハロゲンランプ66(加熱手段の一例)が配設されている。加熱手段としては、ハロゲンランプに限られず、発熱する他の発熱部材を用いてもよい。
一方、加熱ロール61の表面には、例えば、感温素子69が接触して配置されている。この感温素子69による温度計測値に基づいて、ハロゲンランプ66の点灯が制御され、加熱ロール61の表面温度が目的とする設定温度(例えば、150℃)を維持される。
加圧ベルト62は、例えば、内部に配置された押圧パッド64とベルト走行ガイド63とによって回転自在に支持されている。そして、挟込領域N(ニップ部)において押圧パッド64により加熱ロール61に対して押圧されて配置されている。
押圧パッド64は、例えば、加圧ベルト62の内側において、加圧ベルト62を介して加熱ロール61に加圧される状態で配置され、加熱ロール61との間で挟込領域Nを形成している。
押圧パッド64は、例えば、幅の広い挟込領域Nを確保するための前挟込部材64aを挟込領域Nの入口側に配置し、加熱ロール61に歪みを与えるための剥離挟込部材64bを挟込領域Nの出口側に配置している。
加圧ベルト62の内周面と押圧パッド64との摺動抵抗を小さくするために、例えば、前挟込部材64a及び剥離挟込部材64bの加圧ベルト62と接する面にシート状の摺動部材68が設けられている。そして、押圧パッド64と摺動部材68とは、金属製の保持部材65に保持されている。
なお、摺動部材68は、例えば、その摺動面が加圧ベルト62の内周面と接するように設けられており、加圧ベルト62との間に存在するオイルの保持・供給に関与する。
保持部材65には、例えば、ベルト走行ガイド63が取り付けられ、加圧ベルト62が回転する構成となっている。
加熱ロール61は、例えば、図示しない駆動モータにより矢印S方向に回転し、この回転に従動して加圧ベルト62は、加熱ロール61の回転方向と反対の矢印R方向へ回転する。すなわち、例えば、加熱ロール61が図2における時計方向へ回転するのに対して、加圧ベルト62は反時計方向へ回転する。
そして、未定着トナー像を有する用紙K(記録媒体の一例)は、例えば、定着入口ガイド56によって導かれて、挟込領域Nに搬送される。そして、用紙Kが挟込領域Nを通過する際に、用紙K上のトナー像は挟込領域Nに作用する圧力と熱とによって定着される。
第1実施形態に係る定着装置60では、例えば、加熱ロール61の外周面に倣う凹形状の前挟込部材64aにより、前挟込部材64aがない構成に比して、広い挟込領域Nを確保される。
また、第1実施形態に係る定着装置60では、例えば、加熱ロール61の外周面に対し突出させて剥離挟込部材64bを配置することにより、挟込領域Nの出口領域において加熱ロール61の歪みが局所的に大きくなるように構成されている。
このように剥離挟込部材64bを配置すれば、例えば、定着後の用紙Kは、剥離挟込領域を通過する際に、局所的に大きく形成された歪みを通過することになるので、用紙Kが加熱ロール61から剥離しやすい。
剥離の補助手段として、例えば、加熱ロール61の挟込領域Nの下流側に、剥離部材70を配設されている。剥離部材70は、例えば、剥離爪71が加熱ロール61の回転方向と対向する向き(カウンタ方向)に加熱ロール61と近接する状態で保持部材72によって保持されている。
(定着装置の第2実施形態)
第2実施形態に係る定着装置について説明する。図3は、第2実施形態に係る定着装置の一例を示す概略概略図である。
第1実施形態に係る定着装置80は、図3に示すように、例えば、加熱ベルト84(第1回転体の一例)を備える定着ベルトモジュール86と、加熱ベルト84(定着ベルトモジュール86)に押圧して配置された加圧ロール88(第2回転体の一例)とを含んで構成されている。そして、例えば、加熱ベルト84(定着ベルトモジュール86)と加圧ロール88とが接触する挟込領域N(ニップ部)が形成されている。挟込領域Nでは、用紙K(記録媒体の一例)が加圧及び加熱されトナー像が定着される。
定着ベルトモジュール86は、例えば、無端状の加熱ベルト84と、加圧ロール88側で加熱ベルト84が巻き掛けられ、モータ(不図示)の回転力で回転駆動すると共に加熱ベルト84をその内周面から加圧ロール88側へ押し付ける加熱押圧ロール89と、加熱押圧ロール89と異なる位置で内側から加熱ベルト84を支持する支持ロール90とを備えている。
定着ベルトモジュール86は、例えば、加熱ベルト84の外側に配置されてその周回経路を規定する支持ロール92と、加熱押圧ロール89から支持ロール90までの加熱ベルト84の姿勢を矯正する姿勢矯正ロール94と、加熱ベルト84(定着ベルトモジュール86)と加圧ロール88とが接触する領域である挟込領域Nの下流側において加熱ベルト84を内周面から張力を付与する支持ロール98とが設けられている。
そして、定着ベルトモジュール86は、例えば、加熱ベルト84と加熱押圧ロール89との間に、シート状の摺動部材82が介在するように設けられている。
摺動部材82は、例えば、その摺動面が加熱ベルト84の内周面と接するように設けられており、加熱ベルト84との間に存在するオイルの保持・供給に関与する。
ここで、摺動部材82は、例えば、その両端が支持部材96により支持された状態で設けられている。
加熱押圧ロール89の内部には、例えば、ハロゲンヒータ89A(加熱手段の一例)が設けられている。
支持ロール90は、例えば、アルミニウムで形成された円筒状ロールであり、内部にはハロゲンヒータ90A(加熱手段の一例)が配設されており、加熱ベルト84を内周面側から加熱するようになっている。
支持ロール90の両端部には、例えば、加熱ベルト84を外側に押圧するバネ部材(不図示)が配設されている。
支持ロール92は、例えば、アルミニウムで形成された円筒状ロールであり、支持ロール92の表面には厚み20μmのフッ素樹脂からなる離型層が形成されている。
支持ロール92の離型層は、例えば、加熱ベルト84の外周面からのトナーや紙粉が支持ロール92に堆積するのを防止するために形成されるものである。
支持ロール92の内部には、例えば、ハロゲンヒータ92A(加熱源の一例)が配設されており、加熱ベルト84を外周面側から加熱するようになっている。
つまり、例えば、加熱押圧ロール89と支持ロール90及び支持ロール92とによって、加熱ベルト84が加熱される構成となっている。
姿勢矯正ロール94は、例えば、アルミニウムで形成された円柱状ロールであり、姿勢矯正ロール94の近傍には、加熱ベルト84の端部位置を測定する端部位置測定機構(不図示)が配置されている。
姿勢矯正ロール94には、例えば、端部位置測定機構の測定結果に応じて加熱ベルト84の軸方向における当り位置を変位させる軸変位機構(不図示)が配設され、加熱ベルト84の蛇行を制御するように構成されている。
一方、加圧ロール88は、例えば、回転自在に支持されると共に、図示しないスプリング等の付勢手段によって加熱ベルト84が加熱押圧ロール89に巻き回された部位に押圧されて設けられている。これにより、定着ベルトモジュール86の加熱ベルト84(加熱押圧ロール89)が矢印S方向へ回転移動するのに伴って、加熱ベルト84(加熱押圧ロール89)に従動して加圧ロール88が矢印R方向に回転移動するようになっている。
そして、未定着トナー像(不図示)を有する用紙Kは、矢印P方向に搬送され、定着装置80の挟込領域Nに導かれると、挟込領域Nに作用する圧力と熱とによって定着される。
なお、第2実施形態に係る定着装置80では、加熱源の一例としてハロゲンヒータ(ハロゲンランプ)を適用した形態を説明したが、これに限られず、ハロゲンヒータ以外の輻射ランプ発熱体(放射線(赤外線等)を発する発熱体)、抵抗発熱体(抵抗に電流を流すことによりジュール熱を発生させる発熱体:例えばセラミック基板に厚膜抵抗を有する膜を形成して焼成させたもの等)を適用してもよい。
[画像形成装置]
次に、本実施形態に係る画像形成装置について説明する。
本実施形態の画像形成装置は、像保持体と、像保持体の表面を帯電させる帯電手段と、帯電された像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、トナー像を記録媒体に定着する定着手段と、を備える。そして、定着手段として、本実施形態に係る定着装置が適用される。
以下、本実施形態に係る画像形成装置について図面を参照しつつ説明する。
図4は、本実施形態に係る画像形成装置の構成を示した概略構成図である。
本実施形態に係る画像形成装置100は、図4に示すように、例えば、一般にタンデム型と呼ばれる中間転写方式の画像形成装置であって、電子写真方式により各色成分のトナー像が形成される複数の画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kと、各画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kにより形成された各色成分トナー像を中間転写ベルト15に順次転写(一次転写)させる一次転写部10と、中間転写ベルト15上に転写された重畳トナー像を記録媒体である用紙Kに一括転写(二次転写)させる二次転写部20と、二次転写された画像を用紙K上に定着させる定着装置60と、を備えている。また、画像形成装置100は、各装置(各部)の動作を制御する制御部40を有している。
この定着装置60が既述の第1実施形態に係る定着装置60である。なお、画像形成装置100は、既述の第2実施形態に係る定着装置80を備える構成であってもよい。
画像形成装置100の各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、表面に形成されるトナー像を保持する像保持体の一例として、矢印A方向に回転する感光体11を備えている。
感光体11の周囲には、帯電手段の一例として、感光体11を帯電させる帯電器12が設けられ、潜像形成手段の一例として、感光体11上に静電潜像を書込むレーザー露光器13(図中露光ビームを符号Bmで示す)が設けられている。
また、感光体11の周囲には、現像手段の一例として、各色成分トナーが収容されて感光体11上の静電潜像をトナーにより可視像化する現像器14が設けられ、感光体11上に形成された各色成分トナー像を一次転写部10にて中間転写ベルト15に転写する一次転写ロール16が設けられている。
更に、感光体11の周囲には、感光体11上の残留トナーが除去される感光体クリーナ17が設けられ、帯電器12、レーザー露光器13、現像器14、一次転写ロール16及び感光体クリーナ17の電子写真用デバイスが感光体11の回転方向に沿って順次配設されている。これらの画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、中間転写ベルト15の上流側から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の順に、略直線状に配置されている。
中間転写体である中間転写ベルト15は、ポリイミド又はポリアミド等の樹脂をベース層としてカーボンブラック等の帯電防止剤を適当量含有させたフィルム状の加圧ベルトで構成されている。そして、その体積抵抗率は10Ωcm以上1014Ωcm以下となるように形成されており、その厚みは、例えば、0.1mm程度に構成されている。
中間転写ベルト15は、各種ロールによって図4に示すB方向に所定の速度で循環駆動(回転)されている。この各種ロールとして、定速性に優れたモータ(図示せず)により駆動されて中間転写ベルト15を回転させる駆動ロール31、各感光体11の配列方向に沿って略直線状に延びる中間転写ベルト15を支持する支持ロール32、中間転写ベルト15に対して一定の張力を与えると共に中間転写ベルト15の蛇行を防止する補正ロールとして機能する張力付与ロール33、二次転写部20に設けられる背面ロール25、中間転写ベルト15上の残留トナーを掻き取るクリーニング部に設けられるクリーニング背面ロール34を有している。
一次転写部10は、中間転写ベルト15を挟んで感光体11に対向して配置される一次転写ロール16で構成されている。一次転写ロール16は、シャフトと、シャフトの周囲に固着された弾性層としてのスポンジ層とで構成されている。シャフトは、鉄、SUS等の金属で構成された円柱棒である。スポンジ層はカーボンブラック等の導電剤を配合したNBRとSBRとEPDMとのブレンドゴムで形成され、体積抵抗率が107.5Ωcm以上108.5Ωcm以下のスポンジ状の円筒ロールである。
そして、一次転写ロール16は中間転写ベルト15を挟んで感光体11に圧接配置され、更に一次転写ロール16にはトナーの帯電極性(マイナス極性とする。以下同様。)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が印加されるようになっている。これにより、各々の感光体11上のトナー像が中間転写ベルト15に順次、静電吸引され、中間転写ベルト15上において重畳されたトナー像が形成されるようになっている。
二次転写部20は、背面ロール25と、中間転写ベルト15のトナー像保持面側に配置される二次転写ロール22と、を備えて構成されている。
背面ロール25は、表面がカーボンを分散したEPDMとNBRのブレンドゴムのチューブ、内部はEPDMゴムで構成されている。そして、その表面抵抗率が10Ω/□以上1010Ω/□以下となるように形成され、硬度は、例えば、70°(アスカーC:高分子計器社製、以下同様。)に設定される。この背面ロール25は、中間転写ベルト15の裏面側に配置されて二次転写ロール22の対向電極を構成し、二次転写バイアスが安定的に印加される金属製の給電ロール26が接触配置されている。
一方、二次転写ロール22は、シャフトと、シャフトの周囲に固着された弾性層としてのスポンジ層とで構成されている。シャフトは鉄、SUS等の金属で構成された円柱棒である。スポンジ層はカーボンブラック等の導電剤を配合したNBRとSBRとEPDMとのブレンドゴムで形成され、体積抵抗率が107.5Ωcm以上108.5Ωcm以下のスポンジ状の円筒ロールである。
そして、二次転写ロール22は中間転写ベルト15を挟んで背面ロール25に圧接配置され、更に二次転写ロール22は接地されて背面ロール25との間に二次転写バイアスが形成され、二次転写部20に搬送される用紙K上にトナー像を二次転写する。
また、中間転写ベルト15の二次転写部20の下流側には、二次転写後の中間転写ベルト15上の残留トナーや紙粉を除去し、中間転写ベルト15の表面をクリーニングする中間転写ベルトクリーナ35が接離自在に設けられている。
なお、中間転写ベルト15、一次転写部10(一次転写ロール16)、及び二次転写部20(二次転写ロール22)が、転写手段の一例に該当する。
一方、イエローの画像形成ユニット1Yの上流側には、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにおける画像形成タイミングをとるための基準となる基準信号を発生する基準センサ(ホームポジションセンサ)42が配設されている。また、黒の画像形成ユニット1Kの下流側には、画質調整を行うための画像濃度センサ43が配設されている。この基準センサ42は、中間転写ベルト15の裏側に設けられたマークを認識して基準信号を発生しており、この基準信号の認識に基づく制御部40からの指示により、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは画像形成を開始するように構成されている。
更に、本実施形態に係る画像形成装置では、用紙Kを搬送する搬送手段として、用紙Kを収容する用紙収容部50、この用紙収容部50に集積された用紙Kを予め定められたタイミングで取り出して搬送する給紙ロール51、給紙ロール51により繰り出された用紙Kを搬送する搬送ロール52、搬送ロール52により搬送された用紙Kを二次転写部20へと送り込む搬送ガイド53、二次転写ロール22により二次転写された後に搬送される用紙Kを定着装置60へと搬送する搬送ベルト55、用紙Kを定着装置60に導く定着入口ガイド56を備えている。
次に、本実施形態に係る画像形成装置の基本的な作像プロセスについて説明する。
本実施形態に係る画像形成装置では、図示しない画像読取装置や図示しないパーソナルコンピュータ(PC)等から出力される画像データは、図示しない画像処理装置により画像処理が施された後、画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって作像作業が実行される。
画像処理装置では、入力された反射率データに対して、シェーディング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消しや色編集、移動編集等の各種画像編集等のの画像処理が施される。画像処理が施された画像データは、Y、M、C、Kの4色の色材階調データに変換され、レーザー露光器13に出力される。
レーザー露光器13では、入力された色材階調データに応じて、例えば半導体レーザーから出射された露光ビームBmを画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの各々の感光体11に照射している。画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの各感光体11では、帯電器12によって表面が帯電された後、このレーザー露光器13によって表面が走査露光され、静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、各々の画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって、Y、M、C、Kの各色のトナー像として現像される。
画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの感光体11上に形成されたトナー像は、各感光体11と中間転写ベルト15とが接触する一次転写部10において、中間転写ベルト15上に転写される。より具体的には、一次転写部10において、一次転写ロール16により中間転写ベルト15の基材に対しトナーの帯電極性(マイナス極性)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が付加され、トナー像を中間転写ベルト15の表面に順次重ね合わせて一次転写が行われる。
トナー像が中間転写ベルト15の表面に順次一次転写された後、中間転写ベルト15は移動してトナー像が二次転写部20に搬送される。トナー像が二次転写部20に搬送されると、搬送手段では、トナー像が二次転写部20に搬送されるタイミングに合わせて給紙ロール51が回転し、用紙収容部50から目的とする所定サイズの用紙Kが供給される。給紙ロール51により供給された用紙Kは、搬送ロール52により搬送され、搬送ガイド53を経て二次転写部20に到達する。この二次転写部20に到達する前に、用紙Kは一旦停止され、トナー像が保持された中間転写ベルト15の移動タイミングに合わせてレジストロール(図示せず)が回転することで、用紙Kの位置とトナー像の位置との位置合わせがなされる。
二次転写部20では、中間転写ベルト15を介して、二次転写ロール22が背面ロール25に加圧される。このとき、タイミングを合わせて搬送された用紙Kは、中間転写ベルト15と二次転写ロール22との間に挟み込まれる。その際に、給電ロール26からトナーの帯電極性(マイナス極性)と同極性の電圧(二次転写バイアス)が印加されると、二次転写ロール22と背面ロール25との間に転写電界が形成される。そして、中間転写ベルト15上に保持された未定着トナー像は、二次転写ロール22と背面ロール25とによって加圧される二次転写部20において、用紙K上に一括して静電転写される。
その後、トナー像が静電転写された用紙Kは、二次転写ロール22によって中間転写ベルト15から剥離された状態でそのまま搬送され、二次転写ロール22の用紙搬送方向下流側に設けられた搬送ベルト55へと搬送される。搬送ベルト55では、定着装置60における最適な搬送速度に合わせて、用紙Kを定着装置60まで搬送する。定着装置60に搬送された用紙K上の未定着トナー像は、定着装置60によって熱及び圧力で定着処理を受けることで用紙K上に定着される。そして定着画像が形成された用紙Kは、画像形成装置の排出部に設けられた排紙収容部(不図示)に搬送される。
一方、用紙Kへの転写が終了した後、中間転写ベルト15上に残った残留トナーは、中間転写ベルト15の回転に伴ってクリーニング部まで搬送され、クリーニング背面ロール34及び中間転写ベルトクリーナ35によって中間転写ベルト15上から除去される。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定的に解釈されるものではなく、種々の変形、変更、改良が可能であり、本発明の要件を満足する範囲内で実現可能であることは言うまでもない。
以下に実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の説明において、特に断りのない限り、「部」及び「%」はすべて質量基準である。
<実施例1>
(ポリイミド前駆体組成物(A−1)、(A−2)の作製)
−重合工程−
攪拌棒、温度計、滴下ロートを取り付けたフラスコに、テトラヒドロフラン(以下、THFと表記)360g、水40gを充填した。乾燥した窒素ガスを通じながら、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(以下、ODAと表記:分子量200.24)41.23g(205.92ミリモル)を添加した。溶液温度を30℃に保ちながら撹拌を行い、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下、BPDAと表記:分子量294.22)58.77g(199.75ミリモル)を徐々に添加した。ジアミン化合物、テトラカルボン酸二無水物の溶解を確認後、さらに、反応温度を30℃に保持しながら、24時間反応を行った。後述の方法でポリイミド前駆体溶液(固形分20質量%)の粘度を測定したところ、150Pasであった。
なお、生成したポリイミド前駆体のイミド化率は0.02であり、既述の末端アミノ基量の測定の結果、全末端にアミノ基を有するものであった。
−アミン塩化工程−
重合工程で得たポリイミド前駆体溶液を撹拌しながら、ジメチルアミノエタノール(以下、DMAEtと表記:分子量89.14)35.62g(399.5ミリモル)と水400gを添加した。これにより、ポリイミド前駆体がアミン塩化により水溶化したポリイミド前駆体水溶液を得た。
得られたポリイミド前駆体水溶液を、ポリイミド前駆体組成物(A−1)とした。得られたポリイミド前駆体組成物(A−1)の組成は以下の通りである
〜ポリイミド前駆体組成物(A−1)の組成〜
・固形分: 10%(ポリイミドとしての固形分率)
・溶剤組成比: THF/水=360g/440g
−溶剤置換工程−
得られたポリイミド前駆体水溶液を撹拌しながら、10mmHg/30℃で減圧し、THFの一部を留去して、下記組成のポリイミド前駆体組成物(A−2)を得た。
〜ポリイミド前駆体組成物(A−2)の組成〜
・粘度: 148Pas
・固形分: 18.0%(ポリイミドとしての固形分率)
・溶剤組成比: THF/水=6/94
なお、各測定は以下の通りである。
(粘度測定方法)
粘度は、E型粘度計を用いて下記条件で測定を行った。
・測定装置: E型回転粘度計TV−20H(東機産業株式会社)
・測定プローブ: No.3型ローター3°×R14
・測定温度: 22℃
(固形分測定方法)
固形分は、示唆熱熱重量同時測定装置を用いて下記条件で測定した。なお、380℃の測定値をもって、固形分はポリイミドとしての固形分率として測定した。
・測定装置: 示差熱熱重量同時測定装置TG/DTA6200(セイコーインスツルメンツ株式会社)
・測定範囲: 20℃以上400℃以下
・昇温速度: 20℃/分
(溶剤組成、溶剤中の水分量)
ポリイミド前駆体組成物中の水分率電量滴定方式自動水分測定装置(カールフィッシャー)を用いて、下記条件で水分率を測定した。測定値から試料中に含まれる樹脂分を除することで、溶剤中の水分量を算出した。これにより、溶剤組成を求めた。
・測定装置: 電量滴定方式自動水分測定装置(カールフィッシャー)CA−07型(三菱化学株式会社)
・試料量: 10μl
[定着ベルトの作製]
外径90mm、長さ450mmのステンレス製円筒状金型の外表面にシリコーン系離型剤(信越化学社製、商品名:KS−700)を塗布・乾燥処理(離型剤処理)を行った。
離型剤処理を施した円筒状金型を周方向に10rpmの速度で回転させながら、円筒状金型端部より、塗工液としてポリイミド前駆体組成物(A−1)を口径1.0mmのディスペンサーより吐出するとともに、金型上に設置した金属ブレードにて一様の圧力で押し付けながら塗布を行った。具体的には、ディスペンサーユニットを円筒状金型の軸方向に100mm/分の速度で移動させることによって円筒状金型上に螺旋状に塗工液を塗布した。塗布後、ブレードを解除して円筒状金型を2分間回転し続けてレベリングを行った。
その後、金型及び塗布物を乾燥炉中で100℃空気雰囲気下、10rpmで回転させながら、30分間乾燥処理を行った。乾燥処理において塗布物より溶剤が揮発することで、塗布物から自己支持性を有するポリイミド前駆体層(乾燥膜:ポリアミック酸樹脂層)を得た。
次いで、ポリイミド前駆体層(乾燥膜)上に、浸漬塗布法により、離型層形成用塗布液の塗膜を形成した。なお、離型層形成用塗布液としては、PFA水性塗料(商品名:710CL、三井デュポンフロロケミカル社製、濃度60質量%、粘度0.6Pa・s、フッ素含有樹脂と水を含む溶剤とを含有する塗布液)を適用した。また、浸漬塗布の際の引き上げ速度は200mm/分とした
次いで、クリーンオーブン中で、ポリイミド前駆体層(乾燥膜)と離型層形成用塗布液の塗膜との積層体に対して、250℃、30分間焼成処理を行い、溶剤を留去すると共にイミド化反応を完了させ、厚み70μmのポリイミド樹脂層を形成した。そして、この処理により、離型材料(PFA)の焼成も行い厚み30μmの離型層も形成した。
その後、円筒状金型を25℃にして、円筒状金型からポリイミド樹脂層及び離型層の積層体を取り外し、定着ベルトを得た。
同様に、ポリイミド前駆体組成物(A−2)を用いて、定着ベルトを得た。
<評価>
得られた定着ベルトについて、以下の評価を行った。但し、製膜性については、得られたポリイミド前駆体組成物(A−1)、(A−2)を用いて製膜を行って、フィルムを作製し、その製膜性について評価した。また、力学特性(引張り強度、引張り伸び)についても、得られた製膜フィルムの力学特性(引張り強度、引張り伸び)を測定した。これにより、得られた定着ベルトの基材であるポリイミド樹脂層について評価した。
(製膜性)
ポリイミド前駆体組成物(A−1)を用い、下記操作により製膜を行った。製膜フィルムについて、(1)ボイド痕、(2)表面ムラ・模様を評価した。
・塗布方法: 塗布厚100μmとなるようにスペーサーを設置した塗布ブレードを用いたバーコート法。
・塗布基材: 1.1mmtガラス板
・乾燥温度: 100℃×30分
・焼成温度: 250℃×30分
(1)ボイド痕
製膜フィルム表面のボイド痕の有無を評価した。評価基準は以下の通りである。
◎: ボイド痕の発生が見られない。
○: 製膜フィルム表面に1個以上10個未満のボイド痕が確認できる。
△: 製膜フィルム表面に10個以上の50未満のボイド痕が点在する。
×: 製膜フィルム表面に無数のボイド痕が一様に発生している。
(2)表面ムラ・模様
製膜フィルム表面に発生する表面ムラ、模様の有無を評価した。評価基準は以下の通りである。
◎: 表面ムラ、模様の発生が見られない。
○: 製膜フィルム表面の一部に表面ムラ、模様が僅かに確認できる(製膜フィルム表面面積の10%未満)。
△: 製膜フィルム表面の一部に表面ムラ、模様が確認できる。
×: 製膜フィルム表面に表面ムラ、模様が一様に発生している(製膜フィルム表面面積の10%以上)。
(引張り強度・伸び)
作製した製膜フィルムより、ダンベル3号を用いて試料片を打ち抜き成形した。試料片を引張り試験機に設置し、下記条件で、試料片が引張り破断する印加荷重(引張り強度)、破断伸び(引張り伸び)を測定した。
・試験装置 : アイコーエンイジアリング社製引張り試験機1605型
・試料長さ : 30mm
・試料幅 : 5mm
・引張り速度 :10mm/min
(接着性)
基材であるポリイミド樹脂層と離型層との接着性について、次のようにして評価した。
作製した定着ベルトから5mm幅×50mm長の短冊状試料片をダンベルカッターを用いて試料片切り出した。この試料片端部より離型層と基材層を一部剥離した。引張り試験機チャック上部に離型層を、下部に基材層を挟み込み、下記条件で離型層と基材層との剥離荷重を測定した。
・試験装置 : アイコーエンイジアリング社製引張り試験機1605型
・試料長さ : 50mm
・試料幅 : 5mm
・引張り速度 : 10mm/min
・剥離荷重 : 引張り剥離時の最大荷重。
評価基準は以下の通りである。
◎: 剥離荷重100gf/cm以上。
○: 剥離荷重80gf/cm以上。100gf/cm未満。
△: 剥離荷重50gf/cm以上。80gf/cm未満。
×: 剥離荷重50gf/cm未満。
(定着維持性)
定着維持性について、次のように評価した。
作製した定着ベルトを加熱or加圧ベルトとして画像形成装置「富士ゼロックス社製Apeos Port−III C−4400」の定着装置に搭載した。
この画像形成装置を用いて、A4ベタハーフトーン画像を1万枚出力した時の画質を基に定着不良に起因する欠陥部数で評価した。
評価基準は以下の通りである。
◎: 2mm径以下の欠陥部数がA4出力画像中に6個未満。
○: 2mm径以下の欠陥部数がA4出力画像中に6個以上、10個以下。
△: 2mm径以下の欠陥部数がA4出力画像中に11個以上、20個以下。または、2mmを越え、5mm未満の欠陥部が発生。
×: 2mm径以下の欠陥部数がA4出力画像中に21個以上。または、5mmを越える欠陥部が発生。
<実施例2〜13>
[ポリイミド前駆体組成物(A−3)〜(A−8),(B−1)〜(D−2)の作製]
表1〜表2に従って、重合工程、アミン塩化工程、溶剤置換工程の条件を変更した以外は、実施例1と同様にして、ポリイミド前駆体組成物(A−3)〜(A−8),(B−1)〜(D−2)を作製した。但し、溶剤置換工程は、表1〜表2に示す粘度、固形分、溶剤中の水分率となるように実施した。
そして、実施例1と同様にして、定着ベルト及び製膜フィルムを作製し、評価をした。評価結果を表1〜表2に示す。
なお、実施例7で生成したポリイミド前駆体は、既述の末端アミノ基量の測定の結果、アミノ基末端を含まず、全末端がカルボキシル基を有するものであった。
<実施例14:再沈殿法>
(ポリイミド前駆体組成物(E−1)の作製)
実施例1の重合工程で作製したポリイミド前駆体溶液に、組成物の溶剤に対して10倍容量の水を添加し、ポリイミド前駆体を再沈殿した。その後、上澄み液を除去した。
次に、その残部に、処理率が300モル%となるようにDMAEt106.86g(1198.5ミリモル)と水900gを添加した。これにより、ポリイミド前駆体がアミン塩化により水溶化したポリイミド前駆体水溶液を得た。
得られたポリイミド前駆体水溶液を、ポリイミド前駆体組成物(E−1)とした。得られたポリイミド前駆体組成物(E−1)の組成は以下の通りである。
〜ポリイミド前駆体組成物(E−1)の組成〜
・粘度: 60Pas
・固形分: 9.0%(ポリイミドとしての固形分率)
・溶剤組成比: THF/水=2/98
・イミド化率: 0.02
そして、得られたポリイミド前駆体組成物(E−1)を用いて、実施例1と同様にして、定着ベルト及び製膜フィルムを作製し、評価をした。評価結果を表2に示す。
<実施例15:再沈殿法>
(ポリイミド前駆体組成物(E−2)の作製)
上澄み液を除去した残部に、処理率が250モル%となるようにDMAEt89.05g(998.75ミリモル)と水900gを添加した以外は実施例14と同様にしてポリイミド前駆体組成物(E−2)を製造した。得られたポリイミド前駆体組成物(E−2)の組成は以下の通りである。
〜ポリイミド前駆体組成物(E−2)の組成〜
・粘度: 55Pas
・固形分: 9.0%(ポリイミドとしての固形分率)
・溶剤組成比: THF/水=2/98
・イミド化率: 0.02
そして、得られたポリイミド前駆体組成物(E−2)を用いて、実施例1と同様にして、定着ベルト及び製膜フィルムを作製し、評価をした。評価結果を表2に示す。
<実施例16:再沈殿法>
(ポリイミド前駆体組成物(E−3)の作製)
上澄み液を除去した残部に、処理率が200モル%となるようにDMAEt71.24g(799.0ミリモル)と水900gを添加した以外は実施例14と同様にしてポリイミド前駆体組成物(E-3)を製造した。得られたポリイミド前駆体組成物(E−3)の組成は以下の通りである。
〜ポリイミド前駆体組成物(E−3の組成〜
・粘度: 50Pas
・固形分: 9.0%(ポリイミドとしての固形分率)
・溶剤組成比: THF/水=2/98
・イミド化率: 0.02
得られたポリイミド前駆体組成物(E−3)を用いて、実施例1と同様にして、定着ベルト及び製膜フィルムを作製し、評価をした。評価結果を表2に示す。
<実施例17:留去法>
(ポリイミド前駆体組成物(F−1)の作製)
実施例1の重合工程で作製したポリイミド前駆体溶液を撹拌しながら、10mmHg/30℃で減圧し、THFの一部を留去した。
そして、このTHFの一部の留去を行いながら、処理率が300モル%となるようにDMAEt106.86g(1198.5ミリモル)と水900gを添加した。ポリイミド前駆体は、アミン塩化により水溶化したポリイミド前駆体水溶液を得た。
その後、留去を終了し、ポリイミド前駆体がアミン塩化により水溶化したポリイミド前駆体水溶液を得た。
得られたポリイミド前駆体水溶液を、ポリイミド前駆体組成物(F−1)とした。得られたポリイミド前駆体組成物(F−1)の組成は以下の通りである。
〜ポリイミド前駆体組成物(F−1)の組成〜
・粘度: 80Pas
・固形分: 12%(ポリイミドとしての固形分率)
・溶剤組成比: THF/水=30/70
・イミド化率: 0.08
そして、得られたポリイミド前駆体組成物(F−1)を用いて、実施例1と同様にして、定着ベルト及び製膜フィルムを作製し、評価をした。評価結果を表2に示す。
<実施例18:留去法>
(ポリイミド前駆体組成物(F−2)の作製)
THFの一部の留去を行いながら、処理率が250モル%となるようにDMAEt89.05g(998.75ミリモル)と水900gを添加した以外は実施例17と同様にしてポリイミド前駆体組成物(F−2)を製造した。得られたポリイミド前駆体組成物(F−2)の組成は以下の通りである。
〜ポリイミド前駆体組成物(F−2)の組成〜
・粘度: 70Pas
・固形分: 9.0%(ポリイミドとしての固形分率)
・溶剤組成比: THF/水=20/80
・イミド化率: 0.08
そして、得られたポリイミド前駆体組成物(F−2)を用いて、実施例1と同様にして、定着ベルト及び製膜フィルムを作製し、評価をした。評価結果を表2に示す。
<実施例19:留去法>
(ポリイミド前駆体組成物(F−3)の作製)
THFの一部の留去を行いながら、処理率が200モル%となるようにDMAEt71.24g(799.0ミリモル)と水900gを添加した以外は実施例17と同様にしてポリイミド前駆体組成物(F−3)を製造した。得られたポリイミド前駆体組成物(F−3)の組成は以下の通りである。
〜ポリイミド前駆体組成物(F−3)の組成〜
・粘度: 60Pas
・固形分: 9.0%(ポリイミドとしての固形分率)
・溶剤組成比: THF/水=15/85
・イミド化率: 0.06
そして、得られたポリイミド前駆体組成物(F−3)を用いて、実施例1と同様にして、定着ベルト及び製膜フィルムを作製し、評価をした。評価結果を表2に示す。
<実施例20〜25>
[ポリイミド前駆体組成物(G−1)〜(G−2),(H−1)〜(H−2),(I−1)〜(I−2)の作製]
表3に従って、重合工程、アミン塩化工程、溶剤置換工程の条件を変更した以外は、実施例1と同様にして、ポリイミド前駆体組成物(G−1)〜(G−2),(H−1)〜(H−2),(I−1)〜(I−2)を作製した。但し、溶剤置換工程は、表3に示す粘度、固形分、溶剤中の水分率となるように実施した。
そして、実施例1と同様にして、定着ベルト及び製膜フィルムを作製し、評価をした。評価結果を表3に示す。
<実施例26>
[ポリイミド前駆体組成物(J−1)の作製]
重合工程での反応温度を60℃とした以外は、実施例1と同様にして、ポリイミド前駆体組成物(A−8)を作製した。得られたポリイミド前駆体のイミド化率は、0.18であった。
そして、得られたポリイミド前駆体組成物(J−1)を用いて、実施例1と同様にして、定着ベルト及び製膜フィルムを作製し、評価をした。評価結果を表3に示す。
<実施例27>
[ポリイミド前駆体組成物(J−2)の作製]
重合工程での反応温度を50℃とした以外は、実施例1と同様にして、ポリイミド前駆体組成物(J−2)を作製した。得られたポリイミド前駆体のイミド化率は、0.13であった。
そして、得られたポリイミド前駆体組成物(J−2)を用いて、実施例1と同様にして、定着ベルト及び製膜フィルムを作製し、評価をした。評価結果を表3に示す。
<比較例1>
[ポリイミド前駆体組成物(X−1)の作製]
攪拌棒、温度計、滴下ロートを取り付けたフラスコに、N−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと表記)400gを充填した。乾燥した窒素ガスを通じながら、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(以下、ODAと表記:分子量200.24)41.23g(205.92ミリモル)を添加した。溶液温度を30℃に保ちながら撹拌を行い、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下、BPDAと表記:分子量294.22)58.77g(199.75ミリモル)を徐々に添加した。ジアミン化合物、テトラカルボン酸二無水物の溶解を確認後、さらに、反応温度を30℃に保持しながら、24時間反応を行った。ポリイミド前駆体溶液(固形分20質量%)の粘度を測定したところ、120Pasであった。
得られたポリイミド前駆体溶液を、ポリイミド前駆体組成物(X−1)とした。
得られたポリイミド前駆体組成物(X−1)を用いて、実施例1と同様にして、定着ベルト及び製膜フィルムを作製し、評価をした。評価結果を表4に示す。
その結果、焼成温度を実施例1と同じく、250℃とすると、膜中にNMPが残留するため、引張り強度、引張り伸びともに、実施例1に比べて低くなってしまった。ポリイミド前駆体組成物(X−1)に含まれる高沸点のNMPが定着ベルト及び製膜フィルム中に残留することで、機械的強度低下を引き起こすことが原因の一つと考えられる。
<比較例2>
[ポリイミド前駆体組成物(X−2)の作製]
比較例1で作製したポリイミド前駆体組成物(X−1)を、10倍容量のアセトン中に添加し、ポリイミド前駆体を再沈殿した。ろ過後、40℃/減圧(10mmHg)下で24時間乾燥した。乾燥後、ポリイミド前駆体50g(カルボキシル基101.10ミリモル当量)に、水200g、ジメチルアミノエタノール18.03g(202.20ミリモル)を加え、25℃にて6時間撹拌溶解させポリイミド前駆体組成物(X−2)を得た。
得られたポリイミド前駆体組成物(X−2)を用いて、実施例1と同様にして、定着ベルト及び製膜フィルムを作製し、評価をした。結果を表4に示す。
その結果、製膜性は、実施例1同様に良好であった。引張り試験の結果、実施例1に比べ、引張り強度、引張り伸びともに低いことがわかった。
ポリイミド前駆体組成物(X−2)中に残留しているNMP含有率を液体クロマトグラフィー法にて分析したところ、溶剤中6重量%であった。ポリイミド前駆体組成物(X−2)を用いた製膜試料の引張り特性の低下の原因が、比較例1と同様に成膜フィルム中のNMPが残留するためと考えられる。
<比較例3>
[ポリイミド前駆体組成物(X−3)の作製]
比較例1の重合工程時に有機アミン化合物を添加し,下記に示すようにして重合を行った。
攪拌棒、温度計、滴下ロートを取り付けたフラスコに、NMP400gを充填した。乾燥した窒素ガスを通じながら、ODA41.23g(205.92ミリモル)、DMEAt35.62g(399.5ミリモル)を添加した。溶液温度を30℃に保ちながら撹拌を行い、BPDA58.77g(199.75ミリモル)を徐々に添加した。ジアミン化合物、テトラカルボン酸二無水物の溶解を確認後、さらに、反応温度30℃に保持しながら、24時間反応を行った。ポリイミド前駆体溶液(固形分20重量%)の粘度を測定したところ、5Pasであった。
得られたポリイミド前駆体溶液を、ポリイミド前駆体組成物(X−3)とした。
そして、得られたポリイミド前駆体組成物(X−3)を用いて、実施例1と同様にして、定着ベルト及び製膜フィルムを作製し、評価をした。評価結果を表4に示す。
<比較例4>
[ポリイミド前駆体組成物(X−4)の作製]
重合工程での反応温度を60℃、反応時間を48時間とした以外は、実施例1と同様にして、ポリイミド前駆体組成物(X−4)を作製したところ、ポリイミド前駆体樹脂が析出した。このため、ポリイミド前駆体組成物(X−4)は、塗液として利用できなかった。得られたポリイミド前駆体のイミド化率は、0.22であった。
<比較例5>
[ポリイミド前駆体組成物(X−5)の作製]
アミン塩化工程でのDMAEtの添加量を処理率40モル%となるように変えた以外は、実施例1と同様にして、ポリイミド前駆体組成物(X−5)を作製したところ、ポリイミド前駆体樹脂が析出した。このため、ポリイミド前駆体組成物(X−5)は、塗液として利用できなかった。
<比較例6>
[ポリイミド前駆体組成物(X−6)の作製]
アミン塩化工程で添加する溶剤をTHF150g及び水150gとし、溶剤置換工程で溶剤中の水分率が25%になった時点でTHFの留去を終えた以外は、実施例1と同様にして、ポリイミド前駆体組成物(X−6)を得た。
そして、得られたポリイミド前駆体組成物(X−6)を用いて、実施例1と同様にして、定着ベルト及び製膜フィルムを作製し、評価をした。評価結果を表4に示す。
その結果、得られたポリイミド前駆体組成物(X−6)は、アミン塩化したポリイミド前駆体が分散しており、塗液として使用した場合には、均質な製膜フィルムを得ることはできず、また、得られた製膜フィルムの力学特性も低くなった。
<比較例7>
[ポリイミド前駆体組成物(X−7)の作製]
アミン塩化工程でのDMAEtの添加量を処理率520モル%となるように変えた以外は、実施例1と同様にして、ポリイミド前駆体組成物(X−7)を得た。
そして、得られたポリイミド前駆体組成物(X−7)を用いて、実施例1と同様にして、定着ベルト及び製膜フィルムを作製し、評価をした。評価結果を表4に示す。
得られたポリイミド前駆体組成物(X−7)は一部ゲル化していた。さらに、得られたポリイミド前駆体組成物(X−7)を室温環境下24時間保管したところ、増粘し、72時間後にはゲル化してしまい、塗液として使用できなくなってしまった。
上記結果から、本実施例は、比較例に比べ、製膜性、力学特性、接着性、及び定着維持性の評価について良好な結果が得られたことがわかる。
なお、表1〜表4中の略称については、以下の通りである。また、表1〜表4中、「−」は未添加又は未実施を意味し、「→」は左欄と同じであることを意味している。
・テトラカルボン酸:「BPDA」(3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物)、「PMDA」(ピロメリット酸二無水物)
・ジアミン化合物:「ODA」(4,4’−ジアミノジフェニルエーテル)、「PDA」(p−フェニレンジアミン)
・有機アミン化合物:DMAEt(ジメチルアミノエタノール:3級アミン:沸点bp133℃から134℃)、γ−Pyc(γ−ピコリン:3級アミン:沸点bp145℃)、MAEt(N−メチルエタノールアミン:2級アミン:沸点bp156℃)、ETA(2−エタノールアミン:1級アミン:沸点bp170℃)
・溶剤:THF(テトラヒドロフラン:水溶性エーテル系溶剤:沸点bp67℃)、DOX(ジオキサン:水溶性エーテル系溶剤:沸点bp102℃)、ATN(アセトン:水溶性ケトン系溶剤:沸点bp56℃)、MEK(メチルエチルケトン:水溶性ケトン系溶剤:沸点bp80℃)、IPA(イソプロパノール:水溶性アルコール系溶剤:沸点bp82℃)
なお、本実施例において、アミン塩化工程での「処理率」は、ポリイミド前駆体中に含まれるカルボキシル基の理論量に対する有機アミン化合物量(モル%)である。ここでカルボキシル基の理論量とは、ポリイミド前駆体に含まれるテトラカルボン酸のモル量を2倍した値を示す。
60 定着装置
62 加熱ベルト
64 加圧ローラ
66 押圧パッド
68 支持部材
70 電磁誘導コイル
72 コイル支持部材
80 定着装置
82 摺動部材
84 加熱ベルト
86 定着ベルトモジュール
88 加圧ロール
89A ハロゲンヒータ
89 加熱押圧ロール
90A ハロゲンヒータ
90 支持ロール
92A ハロゲンヒータ
92 支持ロール
94 姿勢矯正ロール
96 支持部材
98 支持ロール
100 画像形成装置
110 定着部材

Claims (9)

  1. 水溶性エーテル系溶剤、水溶性ケトン系溶剤、及び水溶性アルコール系溶剤から選択される1種以上の有機溶剤、並びに、水を含む溶剤に、下記一般式(I)で表される繰り返し単位を有し、且つイミド化率が0.2以下である樹脂と、有機アミン化合物と、が溶解しているポリイミド前駆体組成物を被塗布物上に塗布して塗膜を形成する工程と、
    前記塗膜を加熱処理してポリイミド樹脂層を形成する工程と、
    を有する定着ベルトの製造方法


    (一般式(I)中、Aは4価の有機基を示し、Bは2価の有機基を示す。)
  2. 前記ポリイミド樹脂層上に、フッ素含有樹脂粒子と水を含む溶剤とを含有する離型層形成用塗布液を塗布して塗膜を形成し、塗膜を加熱処理して離型層を形成する工程を有する請求項1に記載の定着ベルトの製造方法
  3. 前記一般式(I)中、前記Aが4価の芳香族系有機基を示し、Bが2価の芳香族系有機基を示す請求項1又は2に記載の定着ベルトの製造方法
  4. 前記水を、全溶剤に対して30質量%以上99.9質量%以下で含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の定着ベルトの製造方法
  5. 前記有機アミン化合物が、前記樹脂中に含まれるカルボキシル基に対して、50モル%以上500モル%以下で含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の定着ベルトの製造方法
  6. 前記有機アミン化合物が、2級アミン化合物、及び3級アミン化合物から選択される少なくとも一種である請求項1〜5のいずれか1項に記載の定着ベルトの製造方法
  7. 前記樹脂が、末端にアミノ基を有する樹脂を含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の定着ベルトの製造方法
  8. 前記樹脂の数平均分子量が、1000以上100000以下である請求項1〜7のいずれか1項に記載の定着ベルトの製造方法
  9. 水溶性エーテル系溶剤、水溶性ケトン系溶剤、及び水溶性アルコール系溶剤から選択される1種以上の有機溶剤、並びに、水を含む溶剤に、下記一般式(I)で表される繰り返し単位を有し、且つイミド化率が0.2以下である樹脂と、有機アミン化合物と、が溶解しているポリイミド前駆体組成物を被塗布物上に塗布して塗膜を形成する工程と、
    前記塗膜に乾燥した乾燥膜を形成する工程と、
    前記乾燥膜上に、フッ素含有樹脂と水を含む溶剤とを含有する離型層形成用塗布液を塗布して塗膜を形成する工程と、
    前記乾燥膜、及び前記離型層形成用塗布液の塗膜を加熱して、ポリイミド樹脂層と共に離型層を形成する工程と、
    を有する定着ベルトの製造方法。


    (一般式(I)中、Aは4価の有機基を示し、Bは2価の有機基を示す。)
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