JP5935570B2 - シミュレーションプログラム、シミュレーション装置およびシミュレーション方法 - Google Patents

シミュレーションプログラム、シミュレーション装置およびシミュレーション方法 Download PDF

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Description

本発明は、シミュレーションプログラム、シミュレーション装置およびシミュレーション方法に関する。
サーバ等の製品を開発する際やデータセンタ等を構築する際には、熱流体シミュレーションを利用して熱分布と空気の流れとを事前に把握することにより、熱設計を効率化する取り組みが行なわれている。熱流体シミュレーションは、空気などの流体の流れの時間変化を表すナビエ・ストークス方程式と、熱の時間変化を表す熱移流拡散方程式とを連立させた偏微分方程式に基づくシミュレーションである。
上述のような熱流体シミュレーションを行なう高速・対話型(インタラクティブ)の熱流体シミュレータを実現する技術として、近年、低次元化シミュレーション技術の開発が進んでいる。
低次元化シミュレーション技術では、図8に示すように、解析対象の系について既存のシミュレーション技術で得られた解集合(スナップショット)から、主成分分析等の特徴量抽出技術により、n個(nは自然数)の基底ベクトル(固有ベクトル)B1〜Bnが抽出される。そして、基底ベクトルB1〜Bnと各基底ベクトルB1〜Bnに対応する重み係数r1〜rnとの積の総和である線形和により前記系が表現され、当該線形和でシミュレーションすべき偏微分方程式が解かれる。このとき、基底ベクトルB1〜Bnの数は、既存のシミュレーションの自由度の100分の1以下であるため、低次元化シミュレーションでの計算量は、既存のシミュレーションの計算量よりも大幅に減少し、高速な熱流体シミュレーションを行なうことが可能になる。
特開2006−200396号公報
サーバ,データセンタなどの効率的な熱設計には、高速・対話型の熱流体シミュレーションが有効である。例えば、データセンタ設計時の配置計画においては、ラック配置の変更によって即座に室内の熱の流れを解析することで、試行錯誤による配置検討を効率化することができる。また、対話型のシミュレータを制御ループに導入することで、制御系の検証をシミュレーションで行なうことができる。このようなシミュレーションは、特に実物で検証を行なうことが難しいデータセンタ等の設計時に有効な手段である。
有限要素法,境界要素法などを使用したシミュレーションでは、実時間の1000倍以上の時間が解析に必要である。また、過渡応答シミュレーションにおいては、時系列の境界条件を予め設定して実施するシミュレーションだけが可能で、制御シミュレーションに必要な、シミュレーション結果に応じて、解析条件も変化し、それによってシミュレーション結果が変化する対話型シミュレーションを行なうことは不可能であった。
そこで、上述したように、低次元化シミュレーション技術の開発が進んでいる。低次元化シミュレーション技術を使用することで、数千万の変数の演算が必要であったシミュレーションを、空間的な解像度を落とすことなく、変数の数(次元)が数100程度のシミュレーションに縮小することできる。これにより、低次元化シミュレーションでは、低次元化する前のシミュレーションの速度に比べ100倍以上の高速化を達成することができる。
しかしながら、低次元化シミュレーションの精度は、低次元化する前のシミュレーションの精度に比べ低いという課題がある。また、低次元化シミュレーションの速度は低次元化する前のシミュレーションの速度に比べ高速化されてはいるが、リアルタイムシミュレーションを実現するためには更なる高速化が必要となっている。
1つの側面で、本発明は、低次元化シミュレーションの精度向上を実現することを目的とする。
一つの案において、シミュレーションプログラムは、解析対象の系のシミュレーションを行なうコンピュータに、所定の自由度で前記系のシミュレーションを行なった結果に基づき前記系の特徴量として抽出される、前記所定の自由度よりも少ない数の基底ベクトルと、各基底ベクトルに対応する重み係数との積の総和である線形和により前記系を表現する低次元化シミュレーションを行ない、前記低次元化シミュレーションの実行中、定期的または不定期に、前記系における測定データと前記低次元化シミュレーションの結果との第1誤差を最小にする重み係数を前記線形和における前記重み係数として決定するデータ同化処理を行なう処理を実行させる。
一つの案において、シミュレーション装置は、解析対象の系のシミュレーションを行なうもので、低次元化シミュレーション部および第1データ同化部を有している。低次元化シミュレーション部は、所定の自由度で前記系のシミュレーションを行なった結果に基づき前記系の特徴量として抽出される、前記所定の自由度よりも少ない数の基底ベクトルと、各基底ベクトルに対応する重み係数との積の総和である線形和として前記系を表現する低次元化シミュレーションを実行する。第1データ同化部は、前記低次元化シミュレーションの実行中、定期的または不定期に、前記系における測定データと前記低次元化シミュレーションの結果との第1誤差を最小にする重み係数を前記線形和における前記重み係数として決定する。
一つの案において、シミュレーション方法は、解析対象の系のシミュレーションをコンピュータにより行なうものであって、所定の自由度で前記系のシミュレーションを行なった結果に基づき前記系の特徴量として抽出される、前記所定の自由度よりも少ない数の基底ベクトルと、各基底ベクトルに対応する重み係数との積の総和である線形和により前記系を表現する低次元化シミュレーションを行ない、前記低次元化シミュレーションの実行中、定期的または不定期に、前記系における測定データと前記低次元化シミュレーションの結果との第1誤差を最小にする重み係数を前記線形和における前記重み係数として決定するデータ同化処理を行なう。
一実施形態によれば、低次元化シミュレーションの精度向上を実現することができる。
第1実施形態のシミュレーション装置のハードウェア構成および機能構成を示すブロック図である。 データ同化技術を説明するフローチャートである。 データ同化技術を説明する図である。 (A)〜(C)は図1に示すシミュレーション装置における基底ベクトル選別処理を説明する図である。 図1に示すシミュレーション装置の動作を説明するフローチャートである。 第2実施形態のシミュレーション装置のハードウェア構成および機能構成を示すブロック図である。 図6に示すシミュレーション装置の動作を説明するフローチャートである。 低次元化シミュレーション技術を説明する図である。
以下、図面を参照して実施の形態を説明する。
〔1〕第1実施形態
〔1−1〕第1実施形態のシミュレーション装置の構成および機能
図1は、第1実施形態のシミュレーション装置1のハードウェア構成および機能構成を示すブロック図である。
図1に示すシミュレーション装置(熱流体シミュレーション装置)1は、有限要素法などで偏微分方程式を解くシミュレーション、例えば、サーバ,データセンタなどを解析対象(シミュレーション対象)とする熱流体シミュレーションを行なうものである。また、シミュレーション装置1の解析対象は、実機が存在する系であって、当該実機による測定結果(後述する測定部50による測定結果)とシミュレーション装置1によるシミュレーション結果との比較が可能な系とする。
シミュレーション装置1は、入力操作部10,処理部20,記憶部30,表示部40および測定部50を有している。
入力操作部10は、ユーザによって操作され各種情報を本装置1に入力するマンマシンインタフェース、例えばマウス,キーボード等である。処理部(プロセッサ,コンピュータ)20は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。記憶部(メモリ)30は、RAM(Random Access Memory),ROM(Read Only Memory),HDD(Hard Disk Drive),SSD(Solid State Drive)等の内部記憶装置であってもよいし、外部記憶装置であってもよい。表示部40は、CRT(Cathode Ray Tube),LCD(Liquid Crystal Display)等のディスプレイである。測定部50は、上述した実機の複数の測定点において温度や流速を時系列的に測定する各種センサを含み、測定データ(実測データ)を記憶部30の測定データ(実測データ)記憶領域32に保存する。
処理部20は、シミュレーションプログラムを実行することで、後述する入力部21,表示制御部22,低次元化シミュレーション部23,データ同化部24,算出部25,選別部26およびリセット部27としての機能を果たす。
記憶部30は、熱流体シミュレーションに係る情報を保存するもので、低次元化シミュレーション部23による低次元化シミュレーション結果を保存する記憶領域31や、上述した測定データ記憶領域32を有する。また、記憶部30は、上記シミュレーションプログラムなどを格納する領域(図示略)も有する。
表示部40は、表示制御部22によって表示状態を制御され、各種情報を表示するもので、例えば、記憶領域31に保存される低次元化シミュレーション結果を表示する。
入力部21は、シミュレーションに先立ち、ユーザがGUI(Graphical User Interface)機能を用い入力操作部10を操作して入力した、熱流体シミュレーションに必要な各種情報を受信し、受信した情報を記憶部30に記録・保存する。
ここで、入力部21により入力設定される、熱流体シミュレーションに必要な各種情報は、熱流体シミュレーションを行なう際の計算条件データを含み、計算条件データは、記憶部30に保存される。計算条件データは、例えば、熱流体シミュレーションで用いられる形状モデル,物性値,各種境界条件,発熱条件,収束条件,抵抗条件,送流条件などの解析条件を含む。
低次元化シミュレーション部23は、解析対象の系について得られた複数(n個)の基底ベクトルB1〜Bnと各基底ベクトルBi(i=1, 2, ..., n)に対応する重み係数riとの総和である線形和(ΣBii;図4,図8参照)として系を表現する低次元化シミュレーションを実行する。
ここで、基底ベクトルB1〜Bnは、以下のようにして予め取得され、記憶部30に保存される。
まず、解析対象の系の熱流体シミュレーションつまり流速場および温度場のシミュレーションが、既存の手法を用い、解析自由度を削減することなく、所定の自由度m(mは自然数)を有する実次元空間で実行される。このとき、熱流体シミュレーションは、ナビエ・ストークス方程式および熱移流拡散方程式を含む連立偏微分方程式に基づき実行される。流速場および温度場のシミュレーションの手法、つまり上記連立偏微分方程式の解法としては、安定的逐次解法や格子法などが用いられる。
上述した実次元空間での熱流体シミュレーション中には、当該熱流体シミュレーションによって得られた解集合が、所定のタイミングでスナップショットデータとして収集される。このとき、様々の状況の流速場および温度場のスナップショットデータが網羅的に収集される。また、流速場は温度場よりも速く変化するため、流速場のスナップショットデータの収集は、温度場のスナップショットデータの収集時間間隔よりも短い時間間隔で行なわれる。なお、スナップショットデータを収集する上記所定のタイミングについては、例えば、記憶部30に計算条件データとして予め記録保存されているものとする。
そして、主成分分析等の特徴量抽出技術により、上述のように収集されたスナップショットデータから、上記所定の自由度mよりも少ない数nの基底ベクトル(固有ベクトル)B1〜Bnが、解析対象の系の特徴量として抽出され、記憶部30に保存される。なお、基底ベクトルB1〜Bnの抽出時には、各基底ベクトルBiの寄与度が算出され、寄与度も各基底ベクトルBiとともに記憶部30に保存される。この寄与度に基づき、基底ベクトルの数nが決定される。
上述のように抽出されたn個の基底ベクトルB1〜Bnにより、解析対象の系の低次元化モデリング(ROM:Reduced Order Modeling)が行なわれ、低次元化シミュレーション部23は、実次元数mよりも少ない次元数nのモデルに基づき、解析対象の系のシミュレーションを行なう。つまり、低次元化シミュレーション部23は、基底ベクトルB1〜Bnと重み係数r1〜rnとの積の線形和ΣBiiにより解析対象の系を表現し、重み係数r1〜rnを変数として用いて上記連立偏微分方程式を解くことにより解析対象の系の低次元シミュレーションを行なう。低次元化シミュレーション部23によって得られた低次元化シミュレーション結果は、記憶部30の記憶領域31に保存される。記憶領域31に保存された低次元化シミュレーション結果は、表示制御部22により表示部40において表示されるが、プリンタ(図示略)により紙などに記録されて出力されてもよい。
データ同化部(第1データ同化部)24は、測定部50による測定データに基づきデータ同化処理を行なうことにより、低次元化シミュレーション部23で実行中の低次元化シミュレーションを、測定データに即した状況に修正する。より具体的に、データ同化部24は、低次元化シミュレーションの実行中、定期的または不定期に、解析対象の系における測定データと低次元化シミュレーションの結果との誤差(第1誤差)を最小にする重み係数riを決定する。なお、解析対象の系における測定データは、測定部50によって実測され記憶部30の記憶領域32に保存されたものであり、低次元化シミュレーションの結果は、低次元化シミュレーション部23によって得られ記憶部30の記憶領域31に保存されたものである。
ここで、図2および図3を参照しながら、一般的なデータ同化技術について説明する。なお、図2は一般的なデータ同化技術を説明するフローチャート(ステップS1〜S5)であり、図3は一般的なデータ同化技術を説明する図である。
データ同化技術は、シミュレーション精度を高めるための技術として用いられる。データ同化手法の基本原理は、コンピュータによる過渡応答シミュレーションにおいて、計測データに基づきシミュレーションに係る現在値を修正・校正することである。つまり、データ同化技術は、シミュレーションモデルと計測データとを照合することにより、シミュレーション精度を向上させる技術である。
例えば図2に示すように、気象,海洋などの現象をシミュレーション対象(解析対象)とする場合、まず、上記現象の発生原理に基づき、現象のモデル化(シミュレーション用のモデルの構築)が行なわれる(ステップS1)。この後、初期条件や境界条件が設定され(ステップS2)、ステップS1で構築されたモデルに対してステップS2で設定された初期条件や境界条件が適用されシミュレーションが実行される(ステップS3)。ステップS3で得られたシミュレーションによる解析結果(ステップS4)は初期条件や境界条件に反映され(ステップS2)、以降、ステップS2〜S4の処理が繰り返し実行される。
そして、適当なタイミングで、上記現象を観測して得られた観測値(測定データ,実測データ)ytに基づき、データ同化処理が行なわれ(ステップS5)、データ同化処理結果に従って、ステップS2で初期条件が修正・校正される。なお、上記適当なタイミングは、例えば、オペレータによる指示タイミング、もしくは、予め設定された周期的なタイミングである。
より具体的に、一般的なデータ同化処理について、図3を参照しながら説明する。
ここで、時刻tにおける観測値をyt、時刻tにおける、シミュレーションに係る現在値(シミュレーション変数)をxt、シミュレーション変数xtを現象のシミュレーション結果に変換する行列をHt、観測値ytとシミュレーション結果Httとの誤差をwtとすると、図3に示すように、下記(1)式で示す関係が成り立つ。図3において、予測値がシミュレーション結果Httに対応し、真値(未知)が観測値(観測データ)ytに対応する。
Figure 0005935570
上記(1)式の関係が成り立つとき、データ同化処理では、誤差wtの絶対値|wt|を最小にするシミュレーション変数xtが求められる。このようなシミュレーション変数xtを求める手法としては、直接挿入法,最適内挿法,カルマンフィルタなど各種の手法がある。上記(1)式は、実次元空間で実行される既存のシミュレーションを対象とする式である。そして、|wt|を最小にするシミュレーション変数xtを時刻tでの初期値として用い、時刻t以降のシミュレーションが実行される。
ここで、所定の自由度mをもつ実次元空間でのシミュレーション結果である解xtと、低次元化シミュレーションにおける状態変数である重み係数ritとの間には、下記(2)式が成り立つ。なお、ritは時刻tにおける重み係数riの値であり、Biは上述のごとく予め抽出された基底ベクトルである。
Figure 0005935570
また、測定値ytと解xtとの関係を規定するHtは、同じ節点・同じ項目を示す項に1を設定され、それ以外の項に0を設定されたマトリクスになり、上記(1)式は成立する。このとき、上記(1)式および上記(2)式より、下記(3)式で示す関係が成り立つ。
Figure 0005935570
上記(3)式において、xt′は重み係数ritを配列したベクトルである。上記(3)式からも明らかなように、低次元化シミュレーションにおけるデータ同化処理に適用される(3)式は、実次元空間でのシミュレーションにおけるデータ同化処理に適用される上記(1)式と同じ形式の式である。したがって、低次元化シミュレーション部23による低次元化シミュレーションにおいても、上記(1)式と同様、データ同化処理を適用することができる。つまり、データ同化部24は、上記(3)に基づいて、誤差(第1誤差)|wt|を最小にする重み係数ritを決定する。そして、低次元化シミュレーション部23は、データ同化部24によって決定された、誤差|wt|を最小にする重み係数ritを、時刻tでの初期値として用い、時刻t以降の低次元化シミュレーションを実行する。このように、低次元化シミュレーションにおいてデータ同化処理(実測データに基づく初期値修正)を導入することができるので、モデルの低次元化によるシミュレーション処理の高速化を実現しながら、低次元化シミュレーションの精度を大幅に向上させることができる。
算出部(第1算出部)25は、データ同化部24によって決定された重み係数ritに基づき、各重み係数ritの線形和に対する影響度(第1影響度)を算出する。ここで、算出部25により算出される、各重み係数ritの影響度は、例えば下記(4)式のごとく、データ同化部24により決定された各重み係数ritの絶対値|rit|を、データ同化部24により決定された重み係数ritの絶対値|rit|の総和で除算した値である。
Figure 0005935570
選別部26は、算出部25により算出された影響度(第1影響度)が第1規定値(例えば0.001)未満の重み係数を乗算される基底ベクトルを、低影響度基底ベクトルとして基底ベクトルB1〜Bnから排除する。つまり、選別部26は、第1規定値以上の重み係数を乗算される基底ベクトルを選択する。
このとき、データ同化部24は、図4(A)に示すように、過渡状態でデータ同化処理を所定回数(例えば10回)繰り返し行なって、その都度、重み係数ritを決定する。算出部25は、重み係数ritが決定される都度、上記(4)式により各重み係数ritの影響度を算出する。そして、所定回数だけデータ同化処理が実行され所定回数(X回)分の影響度が算出されると、選別部26は、図4(B)に示すように、上記所定回数中、基準回数(Y回)以上、上記影響度が上記第1規定値以上となった重み係数に対応する基底ベクトルを選択し、それ以外の基底ベクトルを低影響度基底ベクトルとして排除する。
そして、低次元化シミュレーション部23は、図4(C)に示すように、選別部26によって低影響度基底ベクトルを基底ベクトルB1〜Bnから排除された線形和により、解析対象の系を表現し、低次元化シミュレーションを実行する。なお、図4(A)〜図4(C)は、図1に示すシミュレーション装置1における基底ベクトル選別処理を説明する図である。
また、選別部26は、基底ベクトルB1〜Bnの抽出時に基底ベクトルBi毎に得られる寄与度が所定値以上の基底ベクトルを、基底ベクトルB1〜Bnから排除する対象から除外する。
リセット部27は、シミュレーション装置1による処理状況が所定のリセット条件を満たす場合、低影響度基底ベクトルの排除状態を解除する。これにより、低次元化シミュレーション部23およびデータ同化部24は、n個の基底ベクトルB1〜Bnを全て用いて、低次元化シミュレーションおよびデータ同化処理を開始することになる。
なお、上記所定のリセット条件は、例えば、以下の(a)〜(d)の場合の少なくとも一つを満たすことである。(a)データ同化部24による処理の実行回数が所定回数(Z回)に達した場合。(b)解析対象の系における測定データと低次元化シミュレーションの結果との誤差が所定閾値を超えた場合。(c)低次元化シミュレーション部23やデータ同化部24による処理に用いられる基底ベクトルの数が所定数未満の場合。(d)n個の基底ベクトルB1〜Bnを全て用いた処理を開始してから一定時間が経過した場合。
ここで、上述した算出部25,選別部26およびリセット部27の機能によって得られる作用効果について、具体的に説明する。
図8に示した低次元化シミュレーションの原理において、本来、スナップショットから抽出可能な基底ベクトル(特徴量)は、数学的には、解析対象の系の次元数と等しい。通常、これらの基底ベクトルの中から、寄与度の大きい基底ベクトルが、選別され、基底ベクトルの集合となる。低次元化シミュレーションでは、選別された基底ベクトルの線形和として、解析対象の系が表現される。この線形和における重み係数riの値が、各基底ベクトルBiの寄与度に関係なく、偏微分方程式を解くことで決定される。
そのため、特徴量抽出の時に寄与度が微小だった基底ベクトルの重み係数が大きく計算されてしまうこともありうる。このような寄与度の小さな基底ベクトルが微小領域の特徴的な流れを示していて、当該流れを再現するために当該基底ベクトルに乗算される重み係数が、ある程度の大きさになることは問題がない。しかし、全体的な流れを示すが本来の流れではあり得ないノイズ的挙動を示す基底ベクトルの重み係数が大きくなってしまう可能性があり、このような基底ベクトルが含まれることにより、低次元化シミュレーションの精度は低下する。このような基底ベクトルの性質を、主成分としての寄与度の大小だけでは、判断することはできない。
そこで、第1実施形態のシミュレーション装置1では、有効な基底ベクトルのみを選別するため、上述した算出部25および選別部26の機能により、データ同化処理で決定された各基底ベクトルBiの重み係数ritに基づいて有効な基底ベクトルが選別される。そして、低次元化シミュレーション部23において、選別された有効な基底ベクトルのみを用いて低次元化シミュレーションが行なわれる。これにより、上述のごとく精度悪化の原因となる基底ベクトルを排除することが可能になる。また、この処理により、基底ベクトルの数をさらに削減することができ、シミュレーション速度のさらなる向上にも寄与することになる。このように、データ同化処理により決定された重み係数に基づき、影響度の大きい基底ベクトルを選別して使用することにより、シミュレーション処理のさらなる高速化を実現しながら、低次元化シミュレーションの精度をさらに向上させることができる。
選別部26による基底ベクトルの選別方式では、上述したように、上記(4)式によって各重み係数ritの影響度が算出され、影響度が第1規定値(例えば0.001)以上の重み係数を乗算される基底ベクトルが選択される。
このような基底ベクトルの選別は、例えば過渡応答シミュレーションの一定時間間隔ごとに行なう。その際、本来、有効な基底ベクトルであるが、たまたまその流況では影響の少ない基底ベクトルを選択から外してしまう可能性がある。これを防ぐために、以下の2つの処理(1), (2)が行なわれる。
処理(1):基底ベクトルとしては、データ同化部24による流況の修正を所定回数(X回)繰り返し行なった後、選択基準(影響度が第1規定値以上)に達した回数が規定回数(Y回)を上回ったものが選別される。例えば、X=10,Y=2とした場合、データ同化処理を10回繰り返し行なった結果、10回のうち選択基準を2回以上満たした基底ベクトルが選択される。つまり、10回のうち9回または10回の全てについて選択基準を満たさない基底ベクトルは、低影響度基底ベクトルとして排除される。
処理(2):リセット部27は、データ同化部24による処理の実行回数が所定回数(Z回;例えば20回)に達した場合(上記(a)の場合)、基底ベクトルの選択をリセットする。つまり、リセット部27が、低影響度基底ベクトルの排除状態を解除することで、低次元化シミュレーション部23およびデータ同化部24は、n個の基底ベクトルB1〜Bnを全て用いて、低次元化シミュレーションおよびデータ同化処理を開始/再開する。この処理(2)を行なうことにより、流況が大きく変わったときにも、低次元化シミュレーション部23は、その変化に確実に対応することが可能になり、低次元化シミュレーションの精度をより高めることができる。なお、上記処理(2)は、上記(a)の場合以外に、上記(b)〜(d)の場合に行なってもよい。
また、上述したように、選別部26は、基底ベクトルB1〜Bnの抽出時に基底ベクトルBi毎に得られる寄与度が所定値以上の基底ベクトルを、基底ベクトルB1〜Bnから排除する対象から除外する。つまり、寄与度が所定値以上の基底ベクトルは、データ同化処理による基底ベクトルの選択結果のいかんにかかわらず、必ず選択される。このように、寄与度が所定値以上の基底ベクトルを必ず選択することで、流況が大きく変わった時に大きく影響する可能性のある基底ベクトルが省かれる可能性が減り、シミュレーション結果の制御追従性が向上する。ひいては、低次元化シミュレーションの精度をさらに向上させることができる。
〔1−2〕第1実施形態のシミュレーション装置の動作
次に、図1に示す第1実施形態のシミュレーション装置1の動作について、図5に示すフローチャート(ステップS11〜S22)に従って説明する。
シミュレーション装置1がシミュレーションを開始すると、まず、処理部20は、zカウンタ(図示略)およびxカウンタ(図示略)を0に初期化する(ステップS11)。ここで、zカウンタは、データ同化部24によるデータ同化処理の実行回数zを計数し、xカウンタは、算出部23による影響度の算出回数xを計数するもので、zカウンタおよびxカウンタとしての機能は処理部20によって実現される。
カウンタ初期化後、測定部50により、実機の複数の測定点における温度や流速が測定され測定データ(実測データ)として記憶部30の記憶領域32に保存される(ステップS12)。
そして、データ同化部24により、測定部50による測定データに基づき上述したデータ同化処理が行なわれ、重み係数ritの値が修正される(初期流況修正)。つまり、低次元化シミュレーション部23で実行中の低次元化シミュレーションが、測定データに即した状況に修正される(ステップS13)。このとき、算出部25により、例えば上記(4)式に基づき、各重み係数ritの影響度(第1影響度)が算出される。
データ同化処理および影響度の算出処理が行なわれると、zカウンタおよびxカウンタによるカウント値z,xがそれぞれ1ずつインクリメントされる(ステップS14)。
そして、処理部20において、zカウンタによるカウント値zが、所定回数Z(例えば20)に達したか否か判断される。つまり、データ同化部24によるデータ同化処理の実行回数zが所定回数Zに達した否かが判断される(ステップS15)。
データ同化処理の実行回数zが所定回数Zに達していない場合(ステップS15のNOルート)、処理部20において、xカウンタによるカウント値xが、所定回数X(例えば10)に達したか否かが判断される。つまり、算出部23による影響度の算出回数xが所定回数Xに達した否かが判断される(ステップS16)。
影響度の算出回数xが所定回数Xに達していない場合(ステップS16のNOルート)、低次元化シミュレーション部23による低次元化シミュレーションが、一定時間間隔で所定回数Aだけ繰り返し実行される(ステップS17,S18)。つまり、低次元化シミュレーションの実行回数が所定回数Aに達しない間は(ステップS18のNOルート)、低次元化シミュレーション(ステップS17)が繰り返し実行される。低次元化シミュレーションの実行回数が所定回数Aに達すると(ステップS18のYESルート)、ステップS12に戻り、測定部50による測定が行なわれる。
影響度の算出回数xが所定回数Xに達した場合(ステップS16のYESルート)、選別部26により、選択基準(影響度が第1規定値以上)に達した回数が規定回数(Y回)を上回った基底ベクトルが選択される(ステップS19;上記処理(1))。上述したように例えばX=10,Y=2とした場合、データ同化処理を10回繰り返し行なった結果、10回のうち選択基準を2回以上満たした基底ベクトルが選択される。以降、リセット部27によって選択状態がリセットされるまで、ステップS19で選択された基底ベクトルを用いて低次元化シミュレーションおよびデータ同化処理が実行される。基底ベクトルが選択されると、処理部20は、xカウンタによるカウント値xを0にリセットしてから(ステップS20)、低次元化シミュレーションを実行する(ステップS17,S18)。
一方、データ同化処理の実行回数zが所定回数Zに達した場合(ステップS15のYESルート)、リセット部27により、基底ベクトルの選択状態がリセットされる(ステップS21;上記処理(2))。これにより、リセット部27により、低影響度基底ベクトルの排除状態が解除され、低次元化シミュレーション部23およびデータ同化部24は、n個の基底ベクトルB1〜Bnを全て用いた低次元化シミュレーションおよびデータ同化処理を開始/再開する。なお、基底ベクトルの選択状態がリセットされると、処理部20は、zカウンタによるカウント値zを0にリセットしてから(ステップS22)、ステップS16の処理に移行する。
上述したように、第1実施形態のシミュレーション装置1によれば、低次元化シミュレーションにおいてデータ同化処理が導入され、モデルの低次元化によるシミュレーション処理の高速化を実現しながら、低次元化シミュレーションの精度を大幅に向上させることができる。また、選別部26により、精度悪化の原因となる基底ベクトルを排除し基底ベクトルの数をさらに削減することができるので、シミュレーション処理をさらに高速化することができる。さらに、リセット部27が基底ベクトルの選択状況のリセットを行なうことで、流況が大きく変わったときにも、低次元化シミュレーション部23は、その変化に確実に対応することが可能になり、低次元化シミュレーションの精度をより高めることができる。また、寄与度が所定値以上の基底ベクトルは、選別部26により必ず選択されるので、流況が大きく変わった時に大きく影響する可能性のある基底ベクトルが省かれる可能性が減り、シミュレーション結果の制御追従性が向上し、低次元化シミュレーションの精度がさらに向上する。
〔2〕第2実施形態
〔2−1〕第2実施形態のシミュレーション装置の構成および機能
図6は、第2実施形態のシミュレーション装置1Aのハードウェア構成および機能構成を示すブロック図である。なお、図6中、既述の符号と同一の符号は、同一またはほぼ同一の部分を示しているので、その詳細な説明は省略する。
図6に示すシミュレーション装置(熱流体シミュレーション装置)1Aも、図1に示したシミュレーション装置1と同様に構成されている。ただし、第2実施形態のシミュレーション装置1Aにおける処理部20は、第1実施形態と同様の入力部21,表示制御部22,低次元化シミュレーション部23,データ同化部24,算出部25,選別部26およびリセット部27としての機能に加え、詳細シミュレーション部23A,第2データ同化部24Aおよび第2算出部25Aとしての機能を果たす。また、第2実施形態のシミュレーション装置1Aにおける記憶部30は、記憶領域31,32に加え、詳細シミュレーション部23Aによる詳細シミュレーション結果を保存する記憶領域33を有する。
詳細シミュレーション部23Aは、低次元化シミュレーション部23による低次元化シミュレーション処理と並行して、オペレータが入力操作部10から入力指定した条件(実測される流況とは異なる流況)に従い、所定の自由度mで解析対象の系の詳細シミュレーションを行なう。つまり、詳細シミュレーション部23Aは、既存の手法を用い、解析自由度を削減することなく、熱流体シミュレーションを、上記所定の自由度mを有する実次元空間で実行する。このとき、熱流体シミュレーションは、上述したように、ナビエ・ストークス方程式および熱移流拡散方程式を含む連立偏微分方程式に基づき実行される。詳細シミュレーション部23Aによる詳細シミュレーション結果は、記憶領域33に保存される。
第2データ同化部24Aは、上記詳細シミュレーション結果に基づき、データ同化処理を行なう。つまり、第2データ同化部24Aは、第1データ同化部24の測定データに代えて詳細シミュレーション結果を用い、記憶部30における詳細シミュレーション結果と低次元化シミュレーション結果との第2誤差を最小にする重み係数を算出する。
第2算出部25Aは、第2データ同化部24Aにより算出された重み係数に基づき、各重み係数の線形和に対する第2影響度を算出する。ここで、第2影響度は、第1算出部25により算出される第1影響度と同様、例えば上記(4)式に基づいて算出される。
選別部26は、第2影響度が第2規定値を超える重み係数を乗算される高影響度基底ベクトルが低影響度基底ベクトルとして基底ベクトルから排除されている場合、当該高影響度基底ベクトルの排除状態を解除する。
〔2−2〕第2実施形態のシミュレーション装置の動作
次に、図6に示す第2実施形態のシミュレーション装置1Aの動作について、図7に示すフローチャート(ステップS11〜S22およびS31〜S35)に従って説明する。
低次元化シミュレーション部23,データ同化部24,算出部25,選別部26およびリセット部27としての機能により実行されるステップS11〜S22の処理は、基本的に、図5に示す第1実施形態におけるステップS11〜S22の処理と同様であるので、その説明は省略する。ただし、ステップS19の処理は、ステップS35からの判定結果を基底ベクトルの選別処理に反映させる点で、第1実施形態のステップ19の処理と異なっており、その点については後述する。
第2実施形態のシミュレーション装置1Aでは、低次元化シミュレーション部23による低次元化シミュレーション処理と詳細シミュレーション部23Aによる詳細シミュレーション処理とが並列的に実行される。低次元化シミュレーション処理は、第1実施形態と同様、低次元化シミュレーション部23,データ同化部24,算出部25,選別部26およびリセット部27により、ステップS11〜S22に従って実行される。
一方、詳細シミュレーション処理は、詳細シミュレーション部23A,第2データ同化部24Aおよび第2算出部25Aにより、ステップS31〜S35に従って以下のように実行される。
まず、詳細シミュレーション部23Aが詳細シミュレーションを開始すると、まず、オペレータは、処理部20からの要求に応じて、入力操作部10により境界条件を設定する(ステップS31)。そして、詳細シミュレーション部23Aにより、設定された境界条件に従い、所定の自由度mで解析対象の系の詳細シミュレーションが実行される(ステップS32)。
詳細シミュレーション結果が得られると、第2データ同化部24Aにより、当該詳細シミュレーション結果に基づきデータ同化処理が行なわれる(ステップS33)。つまり、第2データ同化部24Aにより、第1データ同化部24の測定データに代え詳細シミュレーション結果を用い、詳細シミュレーション結果と低次元化シミュレーション結果との第2誤差を最小にする重み係数が算出される。このとき、第2算出部25Aにより、第2データ同化部24Aで得られた重み係数に基づき、上記(4)式に従って各重み係数の第2影響度が算出される。
この後、処理部20において、第2影響度が第2規定値を超える重み係数を乗算される高影響度基底ベクトルが判定され(ステップS34)、その判定結果が選別部26に送信される(ステップS35)。
そして、上記高影響度基底ベクトルが低影響度基底ベクトルとして基底ベクトルから排除されている場合、低次元化シミュレーションの実行に伴ってステップS19の処理を実行するタイミングで、選別部26により、当該高影響度基底ベクトルの排除状態が解除される。
ところで、第1実施形態において上述したように、ある条件下で基底ベクトルの選択処理を繰り返し続けると、シミュレーション中の流れから大きく離れた流況において有効な、基底ベクトルが省かれてしまう可能性がある。
そこで、第2実施形態のシミュレーション装置1Aでは、測定データに基づく基底ベクトルの選択処理と並行し、測定部50による実測対象の流況とは異なる流況(境界条件)による詳細シミュレーション結果に基づく基底ベクトルの選択処理が行なわれる。ここで、実測対象の流況とは異なる流況(境界条件)は、例えば、ステップS31においてオペレータにより設定される。
低次元化シミュレーションに対し、詳細シミュレーション部23Aによる解析速度は極めて遅い。そこで、詳細シミュレーションを低次元化シミュレーションと並列に実行し、詳細シミュレーションが終わり次第、処理部20は、第1データ同化部24の測定データに代え詳細シミュレーション結果を用いたデータ同化処理や第2影響度の算出処理を行なう。そして、詳細シミュレーションにおいて影響度の高い基底ベクトルが除外されている場合、ステップS19において、選別部26により、除外されていた影響度の高い基底ベクトルが、低次元化シミュレーションやデータ同化処理に用いられる基底ベクトルとして選択される。なお、詳細シミュレーション結果は、低次元化シミュレーションや詳細シミュレーションにおける流況(重み係数)の修正には用いられない。
上述した第2実施形態のシミュレーション装置1Aによれば、第1実施形態と同様の作用効果が得られる。また、第2実施形態のシミュレーション装置1Aによれば、測定部50による実測対象の流況とは異なる流況で影響度が大きくなる基底ベクトルを予測して選択することが可能になり、シミュレーション結果の制御追従性が向上する。ひいては、低次元化シミュレーションの精度をさらに向上させることができる。
〔3〕その他
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は、係る特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変形、変更して実施することができる。
なお、上述した実施形態では、シミュレーション装置1,1Aが、熱流体シミュレーション(流速場および温度場のシミュレーション)を実行する場合について説明した。しかし、本発明は、これに限定されるものではなく、低次元化シミュレーション(低次元化モデリング)を用いる各種シミュレーションに対し、上述した実施形態と同様に適用され、上述した実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
また、上述した入力部21;表示制御部22;シミュレーション部23,23A;データ同化部24,24A;算出部25,25A;選別部26およびリセット部27としての機能の全部もしくは一部は、コンピュータ(CPU,情報処理装置,各種端末を含む)が所定のアプリケーションプログラム(シミュレーションプログラム)を実行することによって実現される。
そのプログラムは、例えばフレキシブルディスク,CD(CD−ROM,CD−R,CD−RWなど),DVD(DVD−ROM,DVD−RAM,DVD−R,DVD−RW,DVD+R,DVD+RWなど),ブルーレイディスク等のコンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供される。この場合、コンピュータはその記録媒体からプログラムを読み取って内部記憶装置または外部記憶装置に転送し格納して用いる。
ここで、コンピュータとは、ハードウェアとOS(オペレーティングシステム)とを含む概念であり、OSの制御の下で動作するハードウェアを意味している。また、OSが不要でアプリケーションプログラム単独でハードウェアを動作させるような場合には、そのハードウェア自体がコンピュータに相当する。ハードウェアは、少なくとも、CPU等のマイクロプロセッサと、記録媒体に記録されたコンピュータプログラムを読み取る手段とをそなえている。上記シミュレーションプログラムは、上述のようなコンピュータに、入力部21;表示制御部22;シミュレーション部23,23A;データ同化部24,24A;算出部25,25A;選別部26およびリセット部27の機能を実現させるプログラムコードを含んでいる。また、その機能の一部は、アプリケーションプログラムではなくOSによって実現されてもよい。
〔4〕付記
以上の実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
解析対象の系のシミュレーションを行なうコンピュータに、
所定の自由度で前記系のシミュレーションを行なった結果に基づき前記系の特徴量として抽出される、前記所定の自由度よりも少ない数の基底ベクトルと、各基底ベクトルに対応する重み係数との積の総和である線形和により前記系を表現する低次元化シミュレーションを行ない、
前記低次元化シミュレーションの実行中、定期的または不定期に、前記系における測定データと前記低次元化シミュレーションの結果との第1誤差を最小にする重み係数を前記線形和における前記重み係数として決定するデータ同化処理を行なう、
処理を実行させる、シミュレーションプログラム。
(付記2)
前記データ同化処理により決定された前記重み係数に基づき、各重み係数の前記線形和に対する第1影響度を算出し、
前記第1影響度が第1規定値未満の重み係数を乗算される低影響度基底ベクトルを前記基底ベクトルから排除し、
前記低次元化シミュレーションにおいて、前記低影響度基底ベクトルを排除された前記線形和により前記系を表現する、
処理を前記コンピュータに実行させる、付記1に記載のシミュレーションプログラム。
(付記3)
各重み係数の前記第1影響度は、前記データ同化処理により決定された各重み係数の絶対値を、前記データ同化処理により決定された重み係数の絶対値の総和で除算した値である、付記2に記載のシミュレーションプログラム。
(付記4)
前記コンピュータによる処理状況が所定のリセット条件を満たす場合、前記低影響度基底ベクトルの排除状態を解除する、
処理を前記コンピュータに実行させる、付記2または付記3に記載のシミュレーションプログラム。
(付記5)
前記所定のリセット条件は、前記データ同化処理の実行回数が所定回数に達した場合、前記系における測定データと前記低次元化シミュレーションの結果との前記第1誤差が所定閾値を超えた場合、および、前記低次元化シミュレーションや前記データ同化処理に用いられる基底ベクトルの数が所定数未満の場合、の少なくとも一つを満たすことである、付記4に記載のシミュレーションプログラム。
(付記6)
前記所定の自由度で前記系の詳細シミュレーションを行ない、
前記詳細シミュレーションの結果と前記低次元化シミュレーションの結果との第2誤差を最小にする重み係数を算出し、
算出された重み係数に基づき、各重み係数の前記線形和に対する第2影響度を算出し、
前記第2影響度が第2規定値を超える重み係数を乗算される高影響度基底ベクトルが前記低影響度基底ベクトルとして前記基底ベクトルから排除されている場合、当該高影響度基底ベクトルの排除状態を解除する、
処理を前記コンピュータに実行させる、付記2〜付記5のいずれか一項に記載のシミュレーションプログラム。
(付記7)
前記基底ベクトルの抽出時に基底ベクトル毎に得られる寄与度が所定値以上の基底ベクトルを、前記基底ベクトルから排除する対象から除外する、
処理を前記コンピュータに実行させる、付記2〜付記6のいずれか一項に記載のシミュレーションプログラム。
(付記8)
解析対象の系のシミュレーションを行なうシミュレーション装置であって、
所定の自由度で前記系のシミュレーションを行なった結果に基づき前記系の特徴量として抽出される、前記所定の自由度よりも少ない数の基底ベクトルと、各基底ベクトルに対応する重み係数との積の総和である線形和として前記系を表現する低次元化シミュレーションを実行する低次元化シミュレーション部と、
前記低次元化シミュレーションの実行中、定期的または不定期に、前記系における測定データと前記低次元化シミュレーションの結果との第1誤差を最小にする重み係数を前記線形和における前記重み係数として決定する第1データ同化部と、を有する、シミュレーション装置。
(付記9)
前記第1データ同化部により決定された前記重み係数に基づき、各重み係数の前記線形和に対する第1影響度を算出する第1算出部と、
前記第1影響度が第1規定値未満の重み係数を乗算される低影響度基底ベクトルを前記基底ベクトルから排除する選別部と、をさらに有し、
前記低次元化シミュレーション部は、前記低影響度基底ベクトルを排除された前記線形和により前記系を表現する、付記8に記載のシミュレーション装置。
(付記10)
前記第1算出部によって算出される、各重み係数の前記第1影響度は、前記第1データ同化部により決定された各重み係数の絶対値を、前記第1データ同化部により決定された重み係数の絶対値の総和で除算した値である、付記9に記載のシミュレーション装置。
(付記11)
前記シミュレーション装置による処理状況が所定のリセット条件を満たす場合、前記低影響度基底ベクトルの排除状態を解除するリセット部をさらに有する、付記9または付記10に記載のシミュレーション装置。
(付記12)
前記所定のリセット条件は、前記第1データ同化部による処理の実行回数が所定回数に達した場合、前記系における測定データと前記低次元化シミュレーションの結果との前記第1誤差が所定閾値を超えた場合、および、前記低次元化シミュレーション部や前記データ同化部による処理に用いられる基底ベクトルの数が所定数未満の場合、の少なくとも一つを満たすことである、付記11に記載のシミュレーション装置。
(付記13)
前記所定の自由度で前記系の詳細シミュレーションを行なう詳細シミュレーション部と、
前記詳細シミュレーションの結果と前記低次元化シミュレーションの結果との第2誤差を最小にする重み係数を算出する第2データ同化部と、
前記第2データ同化部により算出された重み係数に基づき、各重み係数の前記線形和に対する第2影響度を算出する第2算出部と、をさらに有し、
前記選別部は、前記第2影響度が第2規定値を超える重み係数を乗算される高影響度基底ベクトルが前記低影響度基底ベクトルとして前記基底ベクトルから排除されている場合、当該高影響度基底ベクトルの排除状態を解除する、付記9〜付記12のいずれか一項に記載のシミュレーション装置。
(付記14)
前記選別部は、前記基底ベクトルの抽出時に基底ベクトル毎に得られる寄与度が所定値以上の基底ベクトルを、前記基底ベクトルから排除する対象から除外する、付記9〜付記13のいずれか一項に記載のシミュレーション装置。
(付記15)
解析対象の系のシミュレーションをコンピュータにより行なうシミュレーション方法であって、
所定の自由度で前記系のシミュレーションを行なった結果に基づき前記系の特徴量として抽出される、前記所定の自由度よりも少ない数の基底ベクトルと、各基底ベクトルに対応する重み係数との積の総和である線形和により前記系を表現する低次元化シミュレーションを行ない、
前記低次元化シミュレーションの実行中、定期的または不定期に、前記系における測定データと前記低次元化シミュレーションの結果との第1誤差を最小にする重み係数を前記線形和における前記重み係数として決定するデータ同化処理を行なう、シミュレーション方法。
(付記16)
前記データ同化処理により決定された前記重み係数に基づき、各重み係数の前記線形和に対する第1影響度を算出し、
前記第1影響度が第1規定値未満の重み係数を乗算される低影響度基底ベクトルを前記基底ベクトルから排除し、
前記低次元化シミュレーションにおいて、前記低影響度基底ベクトルを排除された前記線形和により前記系を表現する、付記15に記載のシミュレーション方法。
(付記17)
各重み係数の前記第1影響度は、前記データ同化処理により決定された各重み係数の絶対値を、前記データ同化処理により決定された重み係数の絶対値の総和で除算した値である、付記16に記載のシミュレーション方法。
(付記18)
前記コンピュータによる処理状況が所定のリセット条件を満たす場合、前記低影響度基底ベクトルの排除状態を解除する、付記16または付記17に記載のシミュレーション方法。
(付記19)
前記所定のリセット条件は、前記データ同化処理の実行回数が所定回数に達した場合、前記系における測定データと前記低次元化シミュレーションの結果との前記第1誤差が所定閾値を超えた場合、および、前記低次元化シミュレーションや前記データ同化処理に用いられる基底ベクトルの数が所定数未満の場合、の少なくとも一つを満たすことである、付記18に記載のシミュレーション方法。
(付記20)
前記所定の自由度で前記系の詳細シミュレーションを行ない、
前記詳細シミュレーションの結果と前記低次元化シミュレーションの結果との第2誤差を最小にする重み係数を算出し、
算出された重み係数に基づき、各重み係数の前記線形和に対する第2影響度を算出し、
前記第2影響度が第2規定値を超える重み係数を乗算される高影響度基底ベクトルが前記低影響度基底ベクトルとして前記基底ベクトルから排除されている場合、当該高影響度基底ベクトルの排除状態を解除する、付記16〜付記19のいずれか一項に記載のシミュレーション方法。
(付記21)
前記基底ベクトルの抽出時に基底ベクトル毎に得られる寄与度が所定値以上の基底ベクトルを、前記基底ベクトルから排除する対象から除外する、付記16〜付記20のいずれか一項に記載のシミュレーション方法。
(付記22)
解析対象の系のシミュレーションを行なうコンピュータに、
所定の自由度で前記系のシミュレーションを行なった結果に基づき前記系の特徴量として抽出される、前記所定の自由度よりも少ない数の基底ベクトルと、各基底ベクトルに対応する重み係数との積の総和である線形和により前記系を表現する低次元化シミュレーションを行ない、
前記低次元化シミュレーションの実行中、定期的または不定期に、前記系における測定データと前記低次元化シミュレーションの結果との第1誤差を最小にする重み係数を前記線形和における前記重み係数として決定するデータ同化処理を行なう、
処理を実行させる、シミュレーションプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。
(付記23)
前記データ同化処理により決定された前記重み係数に基づき、各重み係数の前記線形和に対する第1影響度を算出し、
前記第1影響度が第1規定値未満の重み係数を乗算される低影響度基底ベクトルを前記基底ベクトルから排除し、
前記低次元化シミュレーションにおいて、前記低影響度基底ベクトルを排除された前記線形和により前記系を表現する、
処理を前記コンピュータに実行させる、付記22に記載のシミュレーションプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。
(付記24)
各重み係数の前記第1影響度は、前記データ同化処理により決定された各重み係数の絶対値を、前記データ同化処理により決定された重み係数の絶対値の総和で除算した値である、付記23に記載のシミュレーションプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。
(付記25)
前記コンピュータによる処理状況が所定のリセット条件を満たす場合、前記低影響度基底ベクトルの排除状態を解除する、
処理を前記コンピュータに実行させる、付記23または付記24に記載のシミュレーションプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。
(付記26)
前記所定のリセット条件は、前記データ同化処理の実行回数が所定回数に達した場合、前記系における測定データと前記低次元化シミュレーションの結果との前記第1誤差が所定閾値を超えた場合、および、前記低次元化シミュレーションや前記データ同化処理に用いられる基底ベクトルの数が所定数未満の場合、の少なくとも一つを満たすことである、付記25に記載のシミュレーションプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。
(付記27)
前記所定の自由度で前記系の詳細シミュレーションを行ない、
前記詳細シミュレーションの結果と前記低次元化シミュレーションの結果との第2誤差を最小にする重み係数を算出し、
算出された重み係数に基づき、各重み係数の前記線形和に対する第2影響度を算出し、
前記第2影響度が第2規定値を超える重み係数を乗算される高影響度基底ベクトルが前記低影響度基底ベクトルとして前記基底ベクトルから排除されている場合、当該高影響度基底ベクトルの排除状態を解除する、
処理を前記コンピュータに実行させる、付記23〜付記26のいずれか一項に記載のシミュレーションプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。
(付記28)
前記基底ベクトルの抽出時に基底ベクトル毎に得られる寄与度が所定値以上の基底ベクトルを、前記基底ベクトルから排除する対象から除外する、
処理を前記コンピュータに実行させる、付記23〜付記27のいずれか一項に記載のシミュレーションプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。
(付記29)
解析対象の系のシミュレーションを行なうシミュレーション装置であって、
前記シミュレーションに係る情報を保存するメモリと、
プロセッサと、を有し、
前記プロセッサは、
所定の自由度で前記系のシミュレーションを行なった結果に基づき前記系の特徴量として抽出される、前記所定の自由度よりも少ない数の基底ベクトルと、各基底ベクトルに対応する重み係数との積の総和である線形和により前記系を表現する低次元化シミュレーションを行なって当該低次元シミュレーションの結果を前記メモリに保存し、
前記低次元化シミュレーションの実行中、定期的または不定期に、前記メモリに保存された前記系における測定データと前記低次元化シミュレーションの結果との第1誤差を最小にする重み係数を前記線形和における前記重み係数として決定するデータ同化処理を行なう、シミュレーション装置。
(付記30)
前記プロセッサは、
前記データ同化処理により決定された前記重み係数に基づき、各重み係数の前記線形和に対する第1影響度を算出し、
前記第1影響度が第1規定値未満の重み係数を乗算される低影響度基底ベクトルを前記基底ベクトルから排除し、
前記低次元化シミュレーションにおいて、前記低影響度基底ベクトルを排除された前記線形和により前記系を表現する、付記29に記載のシミュレーション装置。
(付記31)
各重み係数の前記第1影響度は、前記データ同化処理により決定された各重み係数の絶対値を、前記データ同化処理により決定された重み係数の絶対値の総和で除算した値である、付記30に記載のシミュレーション装置。
(付記32)
前記プロセッサは、
前記プロセッサによる処理状況が所定のリセット条件を満たす場合、前記低影響度基底ベクトルの排除状態を解除する、付記30または付記31に記載のシミュレーション装置。
(付記33)
前記所定のリセット条件は、前記データ同化処理の実行回数が所定回数に達した場合、前記系における測定データと前記低次元化シミュレーションの結果との前記第1誤差が所定閾値を超えた場合、および、前記低次元化シミュレーションや前記データ同化処理に用いられる基底ベクトルの数が所定数未満の場合、の少なくとも一つを満たすことである、付記32に記載のシミュレーション装置。
(付記34)
前記プロセッサは、
前記所定の自由度で前記系の詳細シミュレーションを行なって当該詳細シミュレーションの結果を前記メモリに保存し、
前記メモリに保存された前記詳細シミュレーションの結果と前記低次元化シミュレーションの結果との第2誤差を最小にする重み係数を算出し、
算出された重み係数に基づき、各重み係数の前記線形和に対する第2影響度を算出し、
前記第2影響度が第2規定値を超える重み係数を乗算される高影響度基底ベクトルが前記低影響度基底ベクトルとして前記基底ベクトルから排除されている場合、当該高影響度基底ベクトルの排除状態を解除する、付記30〜付記33のいずれか一項に記載のシミュレーション装置。
(付記35)
前記プロセッサは、
前記基底ベクトルの抽出時に基底ベクトル毎に得られる寄与度が所定値以上の基底ベクトルを、前記基底ベクトルから排除する対象から除外する、付記30〜付記34のいずれか一項に記載のシミュレーション装置。
1,1A シミュレーション装置(熱流体シミュレーション装置)
10 入力操作部
20 処理部(CPU,コンピュータ,プロセッサ)
21 入力部
22 表示制御部
23 低次元化シミュレーション部
23A 詳細シミュレーション部
24 データ同化部(第1データ同化部)
24A 第2データ同化部
25 算出部(第1算出部)
25A 第2算出部
26 選別部
27 リセット部
30 記憶部(メモリ)
31 低次元シミュレーション結果記憶領域
32 測定データ(実測データ)記憶領域
33 詳細シミュレーション結果記憶領域
40 表示部
50 測定部

Claims (10)

  1. 解析対象の系のシミュレーションを行なうコンピュータに、
    所定の自由度で前記系のシミュレーションを行なった結果に基づき前記系の特徴量として抽出される、前記所定の自由度よりも少ない数の基底ベクトルと、各基底ベクトルに対応する重み係数との積の総和である線形和により前記系を表現する低次元化シミュレーションを行ない、
    前記低次元化シミュレーションの実行中、定期的または不定期に、前記系における測定データと前記低次元化シミュレーションの結果との第1誤差を最小にする重み係数を前記線形和における前記重み係数として決定するデータ同化処理を行ない、
    前記データ同化処理により決定された前記重み係数に基づき、各重み係数の前記線形和に対する第1影響度を算出し、
    前記第1影響度が第1規定値未満の重み係数を乗算される低影響度基底ベクトルを前記基底ベクトルから排除し、
    前記低次元化シミュレーションにおいて、前記低影響度基底ベクトルを排除された前記線形和により前記系を表現し、
    前記コンピュータによる処理状況が所定のリセット条件を満たす場合、前記低影響度基底ベクトルの排除状態を解除する
    処理を実行させる、シミュレーションプログラム。
  2. 解析対象の系のシミュレーションを行なうコンピュータに、
    所定の自由度で前記系のシミュレーションを行なった結果に基づき前記系の特徴量として抽出される、前記所定の自由度よりも少ない数の基底ベクトルと、各基底ベクトルに対応する重み係数との積の総和である線形和により前記系を表現する低次元化シミュレーションを行ない、
    前記低次元化シミュレーションの実行中、定期的または不定期に、前記系における測定データと前記低次元化シミュレーションの結果との第1誤差を最小にする重み係数を前記線形和における前記重み係数として決定するデータ同化処理を行ない、
    前記データ同化処理により決定された前記重み係数に基づき、各重み係数の前記線形和に対する第1影響度を算出し、
    前記第1影響度が第1規定値未満の重み係数を乗算される低影響度基底ベクトルを前記基底ベクトルから排除し、
    前記低次元化シミュレーションにおいて、前記低影響度基底ベクトルを排除された前記線形和により前記系を表現し、
    前記所定の自由度で前記系の詳細シミュレーションを行ない、
    前記詳細シミュレーションの結果と前記低次元化シミュレーションの結果との第2誤差を最小にする重み係数を算出し、
    算出された重み係数に基づき、各重み係数の前記線形和に対する第2影響度を算出し、
    前記第2影響度が第2規定値を超える重み係数を乗算される高影響度基底ベクトルが前記低影響度基底ベクトルとして前記基底ベクトルから排除されている場合、当該高影響度基底ベクトルの排除状態を解除する、
    処理を実行させる、シミュレーションプログラム。
  3. 前記コンピュータによる処理状況が所定のリセット条件を満たす場合、前記低影響度基底ベクトルの排除状態を解除する
    処理を前記コンピュータに実行させる、請求項2に記載のシミュレーションプログラム。
  4. 各重み係数の前記第1影響度は、前記データ同化処理により決定された各重み係数の絶対値を、前記データ同化処理により決定された重み係数の絶対値の総和で除算した値である、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のシミュレーションプログラム。
  5. 前記所定のリセット条件は、前記データ同化処理の実行回数が所定回数に達した場合、前記系における測定データと前記低次元化シミュレーションの結果との前記第1誤差が所定閾値を超えた場合、および、前記低次元化シミュレーションや前記データ同化処理に用いられる基底ベクトルの数が所定数未満の場合、の少なくとも一つを満たすことである、請求項1または請求項3に記載のシミュレーションプログラム。
  6. 前記基底ベクトルの抽出時に基底ベクトル毎に得られる寄与度が所定値以上の基底ベクトルを、前記基底ベクトルから排除する対象から除外する、
    処理を前記コンピュータに実行させる、請求項〜請求項5のいずれか一項に記載のシミュレーションプログラム。
  7. 解析対象の系のシミュレーションを行なうシミュレーション装置であって、
    所定の自由度で前記系のシミュレーションを行なった結果に基づき前記系の特徴量として抽出される、前記所定の自由度よりも少ない数の基底ベクトルと、各基底ベクトルに対応する重み係数との積の総和である線形和として前記系を表現する低次元化シミュレーションを実行する低次元化シミュレーション部と、
    前記低次元化シミュレーションの実行中、定期的または不定期に、前記系における測定データと前記低次元化シミュレーションの結果との第1誤差を最小にする重み係数を前記線形和における前記重み係数として決定する第1データ同化部と、
    前記第1データ同化部により決定された前記重み係数に基づき、各重み係数の前記線形和に対する第1影響度を算出する第1算出部と、
    前記第1影響度が第1規定値未満の重み係数を乗算される低影響度基底ベクトルを前記基底ベクトルから排除する選別部と、
    前記シミュレーション装置による処理状況が所定のリセット条件を満たす場合、前記低影響度基底ベクトルの排除状態を解除するリセット部と、を有し、
    前記低次元化シミュレーション部は、前記低影響度基底ベクトルを排除された前記線形和により前記系を表現する、シミュレーション装置
  8. 解析対象の系のシミュレーションを行なうシミュレーション装置であって、
    所定の自由度で前記系のシミュレーションを行なった結果に基づき前記系の特徴量として抽出される、前記所定の自由度よりも少ない数の基底ベクトルと、各基底ベクトルに対応する重み係数との積の総和である線形和として前記系を表現する低次元化シミュレーションを実行する低次元化シミュレーション部と、
    前記低次元化シミュレーションの実行中、定期的または不定期に、前記系における測定データと前記低次元化シミュレーションの結果との第1誤差を最小にする重み係数を前記線形和における前記重み係数として決定する第1データ同化部と、
    前記第1データ同化部により決定された前記重み係数に基づき、各重み係数の前記線形和に対する第1影響度を算出する第1算出部と、
    前記第1影響度が第1規定値未満の重み係数を乗算される低影響度基底ベクトルを前記基底ベクトルから排除する選別部と、を有し、
    前記低次元化シミュレーション部は、前記低影響度基底ベクトルを排除された前記線形和により前記系を表現するとともに、
    前記所定の自由度で前記系の詳細シミュレーションを行なう詳細シミュレーション部と、
    前記詳細シミュレーションの結果と前記低次元化シミュレーションの結果との第2誤差を最小にする重み係数を算出する第2データ同化部と、
    前記第2データ同化部により算出された重み係数に基づき、各重み係数の前記線形和に対する第2影響度を算出する第2算出部と、をさらに有し、
    前記選別部は、前記第2影響度が第2規定値を超える重み係数を乗算される高影響度基底ベクトルが前記低影響度基底ベクトルとして前記基底ベクトルから排除されている場合、当該高影響度基底ベクトルの排除状態を解除する、シミュレーション装置。
  9. 解析対象の系のシミュレーションをコンピュータにより行なうシミュレーション方法であって、
    所定の自由度で前記系のシミュレーションを行なった結果に基づき前記系の特徴量として抽出される、前記所定の自由度よりも少ない数の基底ベクトルと、各基底ベクトルに対応する重み係数との積の総和である線形和により前記系を表現する低次元化シミュレーションを行ない、
    前記低次元化シミュレーションの実行中、定期的または不定期に、前記系における測定データと前記低次元化シミュレーションの結果との第1誤差を最小にする重み係数を前記線形和における前記重み係数として決定するデータ同化処理を行ない、
    前記データ同化処理により決定された前記重み係数に基づき、各重み係数の前記線形和に対する第1影響度を算出し、
    前記第1影響度が第1規定値未満の重み係数を乗算される低影響度基底ベクトルを前記基底ベクトルから排除し、
    前記低次元化シミュレーションにおいて、前記低影響度基底ベクトルを排除された前記線形和により前記系を表現し、
    前記コンピュータによる処理状況が所定のリセット条件を満たす場合、前記低影響度基底ベクトルの排除状態を解除する、シミュレーション方法。
  10. 解析対象の系のシミュレーションをコンピュータにより行なうシミュレーション方法であって、
    所定の自由度で前記系のシミュレーションを行なった結果に基づき前記系の特徴量として抽出される、前記所定の自由度よりも少ない数の基底ベクトルと、各基底ベクトルに対応する重み係数との積の総和である線形和により前記系を表現する低次元化シミュレーションを行ない、
    前記低次元化シミュレーションの実行中、定期的または不定期に、前記系における測定データと前記低次元化シミュレーションの結果との第1誤差を最小にする重み係数を前記線形和における前記重み係数として決定するデータ同化処理を行ない、
    前記データ同化処理により決定された前記重み係数に基づき、各重み係数の前記線形和に対する第1影響度を算出し、
    前記第1影響度が第1規定値未満の重み係数を乗算される低影響度基底ベクトルを前記基底ベクトルから排除し、
    前記低次元化シミュレーションにおいて、前記低影響度基底ベクトルを排除された前記線形和により前記系を表現し、
    前記所定の自由度で前記系の詳細シミュレーションを行ない、
    前記詳細シミュレーションの結果と前記低次元化シミュレーションの結果との第2誤差を最小にする重み係数を算出し、
    算出された重み係数に基づき、各重み係数の前記線形和に対する第2影響度を算出し、
    前記第2影響度が第2規定値を超える重み係数を乗算される高影響度基底ベクトルが前記低影響度基底ベクトルとして前記基底ベクトルから排除されている場合、当該高影響度基底ベクトルの排除状態を解除する、シミュレーション方法。
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