JP5935491B2 - インクジェット用組成物および記録物 - Google Patents
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しかし、これらの方法では、微細なパターンを形成することや、曲面部への適用が困難であるといった問題があった。また、箔押し印刷では、オンデマンド性が低く、多品種生産への対応が困難である、グラデーションのある金属調の印刷ができないという問題があった。
しかしながら、インクジェット用組成物では、顔料や染料の代わりに、金属粉末を適用しようとした場合、当該金属が本来有している光沢感等の特性を十分に発揮させることができないという問題点があり、また、組成物の安定性(保存安定性)に劣り、粘度上昇による吐出安定性の低下等の問題を引き起こす。
本発明のインクジェット用組成物は、インクジェット方式により吐出されるものであって、
金属粉末と、有機溶剤と、結着樹脂とを含み、
前記金属粉末として、アルキルホスフィンオキシドで表面処理されたものを含むことを特徴とする。
これにより、吐出安定性、保存安定性に優れ、光沢感に優れたパターン(印刷部)を備えた記録物の製造に好適に用いることのできるインクジェット用組成物を提供することができる。
Alは、本来、各種金属材料の中でも特に優れた光沢感を呈するものであるが、インクジェット用組成物に、Alで構成された粉末を適用しようとした場合に、インクジェット用組成物の保存安定性は特に低いものとなり、ゲル化による粘度上昇による吐出安定性の低下等の問題が特に顕著に発生することを本発明者は見出していた。これに対し、本発明では、表面がAlで構成された粉末を用いた場合であっても、上記のような問題の発生を確実に防止することができる。すなわち、インクジェット用組成物を構成する金属粉末が、少なくとも表面が主としてAlで構成された粉末がアルキルホスフィンオキシドで表面処理されたものであることにより、本発明の効果は特に顕著に発揮される。
これにより、インクジェット用組成物を用いて製造される記録物の光沢感、耐擦性等を特に優れたものとすることができる。
POR 3 (1)
(式(1)中、Rは、CH3(CH2)m−であり、mは2以上18以下の整数である。)
これにより、インクジェット用組成物の吐出安定性、保存安定性を特に優れたものとし、インクジェット用組成物を用いて製造される記録物の印刷部の光沢感、耐擦性を特に優れたものとすることができる。
本発明のインクジェット用組成物では、前記アルキルホスフィンオキシドは、(C 14 H 29 ) 3 (O)P、または、(C 18 H 37 ) 2 (O)P(C 16 H 33 )であることが好ましい。
これにより、インクジェット用組成物を用いて製造される記録物の光沢感、高級感をさらに優れたものとすることができる。また、インクジェット用組成物の保存安定性、吐出安定性をさらに優れたものとすることができる。
これにより、インクジェット用組成物の保存安定性、吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、インクジェット法による吐出後に、インクジェット用組成物から溶剤を速やかに除去することができるため、記録物の生産性を特に優れたものとすることができる。
これにより、インクジェット用組成物の保存安定性、吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、記録媒体上での金属粉末の配置(配列)をより好適なものとすることができ、記録物の光沢感、耐擦性を特に優れたものとすることができる。
これにより、インクジェット用組成物を用いて製造される記録物の光沢感、耐擦性を特に優れたものとすることができる。
本発明のインクジェット用組成物は、前記結着樹脂として、セルロースアセテートブチレート、ニトロセルロース、および、エチルセルロースよりなる群から選択される少なくとも1種を含むものであることが好ましい。
これにより、インクジェット用組成物を用いて製造される記録物の光沢感、耐擦性をさらに優れたものとすることができる。
本発明の記録物は、記録媒体と、
本発明のインクジェット用組成物を用いて形成された印刷部とを備えることを特徴とする。
これにより、光沢感に優れたパターン(印刷部)を有する記録物を提供することができる。
《インクジェット用組成物》
まず、本発明のインクジェット用組成物について説明する。
本発明のインクジェット用組成物は、インクジェット方式により吐出されるものであり、金属粉末と、有機溶剤と、結着樹脂(バインダー)とを含むものである。
しかし、これらの方法では、微細なパターンを形成することや、曲面部への適用が困難であるといった問題があった。また、箔押し印刷では、グラデーションのある金属調の印刷ができないという問題があった。
そこで、発明者は、上記のような問題を解決する目的で鋭意研究を行った結果、本発明に至った。すなわち、本発明のインクジェット用組成物は、金属粉末として、リン酸アルキル化合物で表面処理されたものを含むものである。これにより、インクジェット用組成物中における金属粉末の化学的安定性および分散安定性を優れたものとし、インクジェット用組成物の保存安定性、長期間にわたる吐出安定性を優れたものとすることができるとともに、インクジェット用組成物を用いて製造される記録物において、金属粉末を印刷部の外表面付近に好適に配列させることができ、金属粉末を構成する金属材料が本来有している光沢感等の特性を十分に発揮させることができる。また、インクジェット用組成物の構成材料として表面張力の低い有機溶剤を用いた場合であっても、インクジェット用組成物を用いて製造される記録物において、確実に金属粉末を印刷部の外表面付近に好適に配列(リーフィング)させることができ、金属粉末を構成する金属材料が本来有している光沢感等の特性を十分に発揮させることができる。したがって、有機溶剤の選択の幅が広がり、金属材料が本体有している光沢感を犠牲にすることなく、インクジェット用組成物の特性やインクジェット用組成物を用いて製造される記録物の特性(例えば、インクジェット用組成物の粘度、保存安定性、吐出安定性等)を容易に調整することができる。
上述したように、本発明のインクジェット用組成物は、金属粉末として、リン酸アルキル化合物で表面処理されたものを含むものである。
(母粒子)
まず、金属粒子を構成する母粒子(リン酸アルキル化合物による表面処理を受ける粒子)について説明する。
金属粉末を構成する母粒子は、少なくとも、表面付近を含む領域が金属材料で構成されたものであればよく、例えば、全体が金属材料で構成されたものであってもよいし、非金属材料で構成された基部と、当該基部を被覆する金属材料で構成された被膜とを有するものであってもよい。
また、前記粉砕は、液体中において、前記膜に超音波振動を付与することにより行われるものであるのが好ましい。これにより、上述したような粒径の母粒子を容易かつ確実に得ることができるとともに、各粒子間での大きさ、形状、特性のばらつきの発生を抑制することができる。
上述したように、本発明に係る金属粉末は、リン酸アルキル化合物で表面処理されたものである。
リン酸アルキル化合物は、リン酸が有する少なくとも一部のOH基が、アルキル基(CnH2n+1−(ただし、nは1以上の整数))を含む官能基で置換された構造を有するものである。
リン酸アルキル化合物は、C、H、P、およびOのみを構成元素とするものであるのが好ましい。これにより、金属粉末の脂肪族系有機溶媒(特に、グリコールエーテル/エステル系有機溶剤)への分散性が特に優れたものとなり、分散剤を用いなくても金属粉末の分散状態を保持することができる。
PORn(OH)3−n (1)
(式(1)中、Rは、CH3(CH2)m−、CH3(CH2)m(CH2O)l−、CH3(CH2)m(CH2CH2O)l−、または、CH3(CH2)mO−であり、nは1以上3以下の整数であり、mは2以上18以下の整数であり、lは1以上18以下の整数である。)
これにより、インクジェット用組成物の吐出安定性、保存安定性を特に優れたものとし、インクジェット用組成物を用いて製造される記録物の印刷部の光沢感、耐擦性を特に優れたものとすることができる。
また、式(1)中、lは、1以上14以下の整数であるのが好ましいが、1以上10以下の整数であるのがより好ましい。これにより、上述したような効果がより顕著に発揮される。
インクジェット用組成物中における金属粉末の含有率は、0.5質量%以上10.0質量%以下であるのが好ましく、1.0質量%以上5.0質量%以下であるのがより好ましい。
有機溶剤は、インクジェット用組成物において、金属粉末を分散させる分散媒として機能するものである。そして、有機溶剤は、記録物の製造過程において除去される(蒸発する)ものである。
1気圧下における有機溶剤の沸点は、100℃以上300℃以下であるのが好ましく、150℃以上250℃以下であるのがより好ましい。これにより、インクジェット用組成物を用いた記録物の生産性を十分に優れたものとしつつ、インクジェット用組成物の保存時における組成の安定性、吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
また、アルキレングリコール化合物のアルキレングリコール部位としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール等が挙げられる。
中でも、有機溶剤は、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジブチルエーテル、および、γ−ブチロラクトンよりなる群から選択される1種または2種以上を含むものであるのが好ましい。これにより、インクジェット用組成物の保存安定性、吐出安定性をさらに優れたものとすることができる。記録物の光沢感、高級感をさらに優れたものとすることができる。
結着樹脂は、インクジェット用組成物を用いて製造される記録物において、金属粉末の記録媒体に対する密着性を向上させる機能を有するものである。これにより、記録物の耐久性(耐擦性、耐水性等)を優れたものとすることができる。
インクジェット用組成物を構成する結着樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、ロジン変性樹脂、テルペン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、繊維素系樹脂(例えば、セルロースアセテートブチレート、ヒドロキシプロピルセルロース)、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、ポリウレタン等が挙げられる。
中でも、結着樹脂(セルロース骨格を有する化合物)として、セルロースアセテートブチレート、ニトロセルロース、および、エチルセルロースよりなる群から選択される少なくとも1種を含むものであるのが好ましい。これにより、インクジェット用組成物を用いて製造される記録物の光沢感、耐擦性をさらに優れたものとすることができる。
インクジェット用組成物中における結着樹脂(バインダー)の含有率は、0.1質量%以上5.0質量%以下であるのが好ましく、0.5質量%以上2.0質量%以下であるのがより好ましい。これにより、インクジェット用組成物の保存安定性、吐出安定性を十分に優れたものとしつつ、インクジェット用組成物を用いて製造される記録物の光沢感、耐擦性等をさらに優れたものとすることができる。なお、インクジェット用組成物は、結着樹脂として2種以上の化合物を含むものであってもよい。この場合、これらの化合物の含有率の総和が前記範囲内の値であるのが好ましい。
インクジェット用組成物は、さらに、シリコーン系界面活性剤、ポリオキシエチレン系界面活性剤、アセチレングリコール系化合物およびアセチレンジオールから選択される少なくとも1種を含むものであるのが好ましい。これにより、インクジェット用組成物の保存安定性、吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、記録媒体上での金属粉末の配置(配列)をより好適なものとすることができ、記録物の光沢感、耐擦性を特に優れたものとすることができる。
インクジェット用組成物中における上記のような界面活性剤の含有率は、0.01質量%以上5.0質量%以下であるのが好ましく、0.1質量%以上2.0質量%以下であるのがより好ましい。これにより、インクジェット用組成物の保存安定性、吐出安定性をさらに優れたものとすることができるとともに、インクジェット用組成物を用いて製造される記録物の光沢感等をさらに優れたものとすることができる。なお、インクジェット用組成物は、上記のような界面活性剤として2種以上の化合物を含むものであってもよい。この場合、これらの化合物の含有率の総和が前記範囲内の値であるのが好ましい。
本発明のインクジェット用組成物は、上述した以外の成分(その他の成分)を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、スリップ剤(レベリング剤)、分散剤、浸透促進剤、湿潤剤(保湿剤)、pH調整剤、着色剤(顔料、染料)、マット剤、ワックス類、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、キレート剤、増粘剤、増感剤(増感色素)等が挙げられる。
スリップ剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリエステル変性シリコーンやポリエーテル変性シリコーン等のシリコーン系界面活性剤を用いることができ、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンまたはポリエステル変性ポリジメチルシロキサンを用いることが好ましい。
本発明のインクジェット用組成物の室温(20℃)での粘度は、20mPa・s以下であるのが好ましく、3mPa・s以上15mPa・s以下であるのがより好ましい。これにより、インクジェット法による液滴吐出を好適に行うことができる。
次に、本発明の記録物について説明する。
本発明の記録物は、上述したようなインクジェット用組成物を記録媒体上に付与することにより製造されたものである。このような記録物は、光沢感に優れたパターン(印刷部)を有するものである。
本発明の記録物は、いかなる用途のものであってもよく、例えば、装飾品やそれ以外に適用されるものであってもよい。本発明の記録物の具体例としては、コンソールリッド、スイッチベース、センタークラスタ、インテリアパネル、エンブレム、センターコンソール、メーター銘板等の車両用内装品、各種電子機器の操作部(キースイッチ類)、屋内広告物、贈答用菓子箱、化粧品箱、ターポリン等の屋外広告物、装飾性を発揮する装飾部、指標、ロゴ等の表示物等が挙げられる。
インクジェット法によるインクジェット用組成物の吐出は、公知の液滴吐出装置を用いて行うことができる。
以上、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[1]インクジェット用組成物の製造
(実施例1)
まず、表面が平滑なポリエチレンテレフタレート製のフィルム(表面粗さRaが0.02μm以下)を用意した。
次に、シリコーンオイルを塗布した面側に、蒸着法により、Alで構成された膜を形成した。
次に、Alの膜が形成されたポリエチレンテレフタレート製のフィルム(基材)を、ジエチレングリコールジエチルエーテルで構成された液体中に入れ、超音波振動を付与した。これにより、鱗片状のAl製の粒子(母粒子となるべき粒子)の分散体(分散液)が得られた。この分散体中におけるAl製の粒子の含有率は、3.7質量%であった。
金属粒子の構成(母粒子の組成および表面処理に用いる化合物(リン酸アルキル化合物)の種類)を表1に示すようにするとともに、インクジェット用組成物の調製に用いる原料の種類・比率を変更することにより、表1に示すような組成となるようにした以外は、前記実施例1と同様にしてインクジェット用組成物を製造した。
表面処理を施していないAl製の粒子を金属粉末として用いた以外は、前記実施例1と同様にしてインクジェット用組成物を製造した。
(比較例2)
金属粉末として、ガスアトマイズ法を用いて製造された球形状のAl粉末(表面処理を施していないもの)を用いた以外は、前記比較例1と同様にしてインクジェット用組成物を製造した。
リン酸アルキル化合物の代わりに、リン酸アルキル化合物でないH3PO4を用いて表面処理を行い金属粉末を得た以外は、前記実施例1と同様にしてインクジェット用組成物を製造した。
(比較例4)
リン酸アルキル化合物の代わりに、リン酸アルキル化合物でないステアリン酸を用いて表面処理を行い金属粉末を得た以外は、前記実施例1と同様にしてインクジェット用組成物を製造した。
(比較例5)
リン酸アルキル化合物の代わりに、リン酸アルキル化合物でないオレイン酸を用いて表面処理を行い金属粉末を得た以外は、前記実施例1と同様にしてインクジェット用組成物を製造した。
前記各実施例および比較例のインクジェット用組成物を用いて、下記に示すような試験による評価を行った。
まず、チャンバー(サーマルチャンバー)内に設置した液滴吐出装置および前記各実施例および比較例のインクジェット用組成物を用意し、ピエゾ素子の駆動波形を最適化した状態で、25℃、55%RHの環境下で、各インクジェット用組成物について、液滴吐出ヘッドの各ノズルから、2000000発(2000000滴)の液滴の連続吐出を行った。その後、液滴吐出装置の運転を停止し、液滴吐出装置の流路に各インクジェット用組成物が充填された状態で、25℃、55%RHの環境下に、240時間放置した。
B:ズレ量dの平均値が0.07μm以上0.14μm未満。
C:ズレ量dの平均値が0.14μm以上0.17μm未満。
D:ズレ量dの平均値が0.17μm以上0.21μm未満。
E:ズレ量dの平均値が0.21μm以上。
チャンバー(サーマルチャンバー)内に設置した液滴吐出装置および前記各実施例および比較例のインクジェット用組成物を用意し、ピエゾ素子の駆動波形を最適化した状態で、25℃、55%RHの環境下で、各インクジェット用組成物について、液滴吐出ヘッドの全ノズルから、ピエゾ素子の振動数(周波数)を変化させつつ、液滴吐出を行った。各周波数での液滴吐出時間は10分間とした。10分間の吐出後時点で未吐出のノズル数が全ノズル数の1%未満の周波数までを実使用可能な最高周波数として、実使用可能な周波数範囲を以下の4段階の基準に従い、評価した。この値が大きいほど周波数特性に優れていると言える。
A:15kHz以上。
B:10kHz以上15kHz未満。
C:5kHz以上10kHz未満。
D:5kHz未満。
前記各実施例および比較例のインクジェット用組成物について、40℃の環境下に、40日間放置した後、振動式粘度計を用いて、JIS Z8809に準拠して測定された前記各実施例のインクジェット用組成物の20℃における粘度を測定し、製造直後からの粘度の上昇率を求め、以下の基準に従い、評価した。
B:粘度の上昇率が5%以上10%未満。
C:粘度の上昇率が10%以上18%未満。
D:粘度の上昇率が18%以上23%未満。
E:粘度の上昇率が23%以上、または、異物の発生が認められる。
各実施例および比較例のインクジェット用組成物を用いて、それぞれ、以下のようにして、記録物としてのインテリアパネルを製造した。
まず、インクジェット用組成物をインクジェット装置に投入した。
その後、溶剤インクジェットメディア(IJS−RC−YF170;三菱製紙株式会社製)を用いて成形した曲面部を有する基材(記録媒体)上に、所定のパターンでインクジェット用組成物を吐出した。
その後、60℃×30秒という条件で熱処理を施すことにより有機溶媒を除去し、記録物としてのインテリアパネルを得た。
上記のような方法を用いて、各実施例および比較例のインクジェット用組成物を用いて、それぞれ、10個のインテリアパネル(記録物)を製造した。
上記のようにして得られた各記録物について、以下のような評価を行った。
[6.1]記録物の外観評価
前記各実施例および比較例で製造した各記録物を目視により観察し、以下の7段階の基準に従い、評価した。
B:高級感に溢れる光沢感を有し、非常に優れた外観を有している。
C:高級感のある光沢感を有し、優れた外観を有している。
D:高級感のある光沢感を有し、良好な外観を有している。
E:光沢感に劣り、外観がやや不良。
F:光沢感に劣り、外観が不良。
G:光沢感に劣り、外観が極めて不良。
前記各実施例および比較例で製造した各記録物のパターン形成部について、光沢度計(MINOLTA MULTI GLOSS 268)を用い、煽り角度60°での光沢度を測定し、以下の基準に従い評価した。
A:光沢度が400以上。
B:光沢度が300以上400未満。
C:光沢度が200以上300未満。
D:光沢度が200未満。
前記各実施例および比較例に係る記録物について、記録物の製造から48時間経過した時点で、サウザーランドラブテスターを用い、JIS K5701に準じ、相紙としてポリエチレンテレフタレート製のフィルム(三菱樹脂社製、ダイアホイルG440E)を用いた耐擦性試験を行い、上記[6.2]で述べたのと同様の方法により、耐擦性試験後の記録物についても光沢度(煽り角度60°)を測定し、耐擦性試験前後での光沢度の低下率を求め、以下の基準に従い評価した。
B:光沢度の低下率が8%以上16%未満。
C:光沢度の低下率が16%以上26%未満。
D:光沢度の低下率が26%以上33%未満。
E:光沢度の低下率が33%以上、または、金属粒子が脱落して記録媒体の表面が
露出したもの。
これらの結果を表2に示す。
Claims (11)
- インクジェット方式により吐出されるインクジェット用組成物であって、
金属粉末と、有機溶剤と、結着樹脂とを含み、
前記金属粉末として、アルキルホスフィンオキシドで表面処理されたものを含むことを特徴とするインクジェット用組成物。 - 前記金属粉末は、少なくとも表面が主としてAlで構成された粉末が、アルキルホスフィンオキシドで表面処理されたものである請求項1に記載のインクジェット用組成物。
- 前記金属粉末は、鱗片状をなすものである請求項1または2に記載のインクジェット用組成物。
- 前記金属粉末として、下記式(1)で表される化学構造を有する前記アルキルホスフィンオキシドで表面処理されたものを含む請求項1ないし3のいずれかに記載のインクジェット用組成物。
POR 3 (1)
(式(1)中、Rは、CH3(CH2)m−であり、mは2以上18以下の整数である。) - 前記アルキルホスフィンオキシドは、(C 14 H 29 ) 3 (O)P、または、(C 18 H 37 ) 2 (O)P(C 16 H 33 )である請求項1ないし4のいずれかに記載のインクジェット用組成物。
- 前記金属粉末の平均粒径が、500nm以上3.0μm以下である請求項1ないし5のいずれかに記載のインクジェット用組成物。
- 前記有機溶剤として、アルキレングリコール化合物およびラクトン化合物から選択される少なくとも1種の化合物を含むものである請求項1ないし6のいずれかに記載のインクジェット用組成物。
- インクジェット用組成物は、さらに、シリコーン系界面活性剤、ポリオキシエチレン系界面活性剤、アセチレングリコール系化合物およびアセチレンジオールから選択される少なくとも1種を含むものである請求項1ないし7のいずれかに記載のインクジェット用組成物。
- 前記結着樹脂として、セルロース骨格を有する化合物を含むものである請求項1ないし8のいずれかに記載のインクジェット用組成物。
- 前記結着樹脂として、セルロースアセテートブチレート、ニトロセルロース、および、エチルセルロースよりなる群から選択される少なくとも1種を含むものである請求項9に記載のインクジェット用組成物。
- 記録媒体と、
請求項1ないし10のいずれかに記載のインクジェット用組成物を用いて形成された印刷部とを備えることを特徴とする記録物。
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