JP5935491B2 - インクジェット用組成物および記録物 - Google Patents

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本発明は、インクジェット用組成物および記録物に関するものである。
従来から、光沢感のある外観を呈する装飾品の製造方法として、金属めっきや、金属箔を用いた箔押し印刷、金属箔を用いた熱転写等が用いられてきた。
しかし、これらの方法では、微細なパターンを形成することや、曲面部への適用が困難であるといった問題があった。また、箔押し印刷では、オンデマンド性が低く、多品種生産への対応が困難である、グラデーションのある金属調の印刷ができないという問題があった。
他方、顔料または染料を含む組成物による記録媒体への記録方法として、インクジェット法による記録方法が用いられている。インクジェット法では、微細なパターンの形成や、曲面部への記録にも好適に適用できるという点で優れている。特に、印刷層の厚みを小さくし、不要な凹凸感が生じてしまうのを好適に防止することができるという点で有利であることから、有機溶剤に着色剤(顔料または染料)を分散または溶解させた組成物(インクジェット用組成物)が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、インクジェット用組成物では、顔料や染料の代わりに、金属粉末を適用しようとした場合、当該金属が本来有している光沢感等の特性を十分に発揮させることができないという問題点があり、また、組成物の安定性(保存安定性)に劣り、粘度上昇による吐出安定性の低下等の問題を引き起こす。
特開2007−161844号公報
本発明の目的は、吐出安定性、保存安定性に優れ、光沢感に優れたパターン(印刷部)の形成に好適に用いることのできるインクジェット用組成物を提供すること、また、前記インクジェット用組成物を用いて形成された光沢感に優れたパターンを有する記録物を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明のインクジェット用組成物は、インクジェット方式により吐出されるものであって、
金属粉末と、有機溶剤と、結着樹脂とを含み、
前記金属粉末として、アルキルホスフィンオキシドで表面処理されたものを含むことを特徴とする。
これにより、吐出安定性、保存安定性に優れ、光沢感に優れたパターン(印刷部)を備えた記録物の製造に好適に用いることのできるインクジェット用組成物を提供することができる。
本発明のインクジェット用組成物では、前記金属粉末は、少なくとも表面が主としてAlで構成された粉末が、アルキルホスフィンオキシドで表面処理されたものであることが好ましい。
Alは、本来、各種金属材料の中でも特に優れた光沢感を呈するものであるが、インクジェット用組成物に、Alで構成された粉末を適用しようとした場合に、インクジェット用組成物の保存安定性は特に低いものとなり、ゲル化による粘度上昇による吐出安定性の低下等の問題が特に顕著に発生することを本発明者は見出していた。これに対し、本発明では、表面がAlで構成された粉末を用いた場合であっても、上記のような問題の発生を確実に防止することができる。すなわち、インクジェット用組成物を構成する金属粉末が、少なくとも表面が主としてAlで構成された粉末がアルキルホスフィンオキシドで表面処理されたものであることにより、本発明の効果は特に顕著に発揮される。
本発明のインクジェット用組成物では、前記金属粉末は、鱗片状をなすものであることが好ましい。
これにより、インクジェット用組成物を用いて製造される記録物の光沢感、耐擦性等を特に優れたものとすることができる
本発明のインクジェット用組成物は、前記金属粉末として、下記式(1)で表される化学構造を有する前記アルキルホスフィンオキシドで表面処理されたものを含むことが好ましい。
POR (1)
(式(1)中、Rは、CH(CHであり、mは2以上18以下の整数である。)
これにより、インクジェット用組成物の吐出安定性、保存安定性を特に優れたものとし、インクジェット用組成物を用いて製造される記録物の印刷部の光沢感、耐擦性を特に優れたものとすることができる。
本発明のインクジェット用組成物では、前記アルキルホスフィンオキシドは、(C 14 29 (O)P、または、(C 18 37 (O)P(C 16 33 )であることが好ましい。
本発明のインクジェット用組成物では、前記金属粉末の平均粒径が、500nm以上3.0μm以下であることが好ましい。
これにより、インクジェット用組成物を用いて製造される記録物の光沢感、高級感をさらに優れたものとすることができる。また、インクジェット用組成物の保存安定性、吐出安定性をさらに優れたものとすることができる。
本発明のインクジェット用組成物は、前記有機溶剤として、アルキレングリコール化合物およびラクトン化合物から選択される少なくとも1種の化合物を含むものであることが好ましい。
これにより、インクジェット用組成物の保存安定性、吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、インクジェット法による吐出後に、インクジェット用組成物から溶剤を速やかに除去することができるため、記録物の生産性を特に優れたものとすることができる。
本発明のインクジェット用組成物は、さらに、シリコーン系界面活性剤、ポリオキシエチレン系界面活性剤、アセチレングリコール系化合物およびアセチレンジオールから選択される少なくとも1種を含むものであることが好ましい。
これにより、インクジェット用組成物の保存安定性、吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、記録媒体上での金属粉末の配置(配列)をより好適なものとすることができ、記録物の光沢感、耐擦性を特に優れたものとすることができる。
本発明のインクジェット用組成物は、前記結着樹脂として、セルロース骨格を有する化合物を含むものであることが好ましい。
これにより、インクジェット用組成物を用いて製造される記録物の光沢感、耐擦性を特に優れたものとすることができる。
本発明のインクジェット用組成物は、前記結着樹脂として、セルロースアセテートブチレート、ニトロセルロース、および、エチルセルロースよりなる群から選択される少なくとも1種を含むものであることが好ましい。
これにより、インクジェット用組成物を用いて製造される記録物の光沢感、耐擦性をさらに優れたものとすることができる。
本発明の記録物は、記録媒体と、
本発明のインクジェット用組成物を用いて形成された印刷部とを備えることを特徴とする。
これにより、光沢感に優れたパターン(印刷部)を有する記録物を提供することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
《インクジェット用組成物》
まず、本発明のインクジェット用組成物について説明する。
本発明のインクジェット用組成物は、インクジェット方式により吐出されるものであり、金属粉末と、有機溶剤と、結着樹脂(バインダー)とを含むものである。
ところで、従来から、光沢感のある外観を呈する装飾品の製造方法として、金属めっきや、金属箔を用いた箔押し印刷、金属箔を用いた熱転写等が用いられてきた。
しかし、これらの方法では、微細なパターンを形成することや、曲面部への適用が困難であるといった問題があった。また、箔押し印刷では、グラデーションのある金属調の印刷ができないという問題があった。
他方、顔料または染料を含む組成物による記録媒体への記録方法として、インクジェット法による記録方法が用いられている。インクジェット法では、微細なパターンの形成や、曲面部への記録にも好適に適用できるという点で優れている。特に、印刷層の厚みを小さくし、不要な凹凸感が生じてしまうのを好適に防止することができるという点で有利であることから、有機溶剤に着色剤(顔料または染料)を分散または溶解させた組成物(インクジェット用組成物)が用いられている。
しかしながら、インクジェット用組成物では、顔料や染料の代わりに、金属粉末を適用しようとした場合、当該金属が本来有している光沢感等の特性を十分に発揮させることができないという問題点があり、また、組成物の安定性(保存安定性)に劣り、ゲル化による粘度上昇による吐出安定性の低下等の問題を引き起こす。
そこで、発明者は、上記のような問題を解決する目的で鋭意研究を行った結果、本発明に至った。すなわち、本発明のインクジェット用組成物は、金属粉末として、リン酸アルキル化合物で表面処理されたものを含むものである。これにより、インクジェット用組成物中における金属粉末の化学的安定性および分散安定性を優れたものとし、インクジェット用組成物の保存安定性、長期間にわたる吐出安定性を優れたものとすることができるとともに、インクジェット用組成物を用いて製造される記録物において、金属粉末を印刷部の外表面付近に好適に配列させることができ、金属粉末を構成する金属材料が本来有している光沢感等の特性を十分に発揮させることができる。また、インクジェット用組成物の構成材料として表面張力の低い有機溶剤を用いた場合であっても、インクジェット用組成物を用いて製造される記録物において、確実に金属粉末を印刷部の外表面付近に好適に配列(リーフィング)させることができ、金属粉末を構成する金属材料が本来有している光沢感等の特性を十分に発揮させることができる。したがって、有機溶剤の選択の幅が広がり、金属材料が本体有している光沢感を犠牲にすることなく、インクジェット用組成物の特性やインクジェット用組成物を用いて製造される記録物の特性(例えば、インクジェット用組成物の粘度、保存安定性、吐出安定性等)を容易に調整することができる。
<金属粉末>
上述したように、本発明のインクジェット用組成物は、金属粉末として、リン酸アルキル化合物で表面処理されたものを含むものである。
(母粒子)
まず、金属粒子を構成する母粒子(リン酸アルキル化合物による表面処理を受ける粒子)について説明する。
金属粉末を構成する母粒子は、少なくとも、表面付近を含む領域が金属材料で構成されたものであればよく、例えば、全体が金属材料で構成されたものであってもよいし、非金属材料で構成された基部と、当該基部を被覆する金属材料で構成された被膜とを有するものであってもよい。
また、母粒子を構成する金属材料としては、単体としての金属や各種合金等を用いることができるが、母粒子は、少なくとも表面付近が主としてAlで構成されたものであるのが好ましい。Alは、本来、各種金属材料の中でも特に優れた光沢感を呈するものであるが、インクジェット用組成物に、Alで構成された粉末を適用しようとした場合に、インクジェット用組成物の保存安定性は特に低いものとなり、粘度上昇による吐出安定性の低下等の問題が特に顕著に発生することを本発明者は見出していた。これに対し、本発明では、表面がAlで構成された粉末を用いた場合であっても、上記のような問題の発生を確実に防止することができる。すなわち、インクジェット用組成物を構成する金属粉末が、少なくとも表面が主としてAlで構成された粉末がリン酸アルキル化合物で表面処理されたものであることにより、本発明の効果は特に顕著に発揮される。
また、母粒子は、いかなる方法で製造されたものであってもよいが、Alで構成されたものである場合には、気相成膜法によりAlで構成された膜を形成し、その後、当該膜を粉砕することにより得られたものであるのが好ましい。これにより、本発明のインクジェット用組成物を用いて形成されるパターン(印刷部)において、Alが本来有している光沢感等をより効果的に表現させることができる。また、各粒子間での特性のばらつきを抑制することができる。また、当該方法を用いることにより、比較的薄い金属粉末であっても好適に製造することができる。
このような方法を用いて母粒子を製造する場合、例えば、基材上に、Alで構成された膜の形成(成膜)を行うことにより、母粒子を好適に製造することができる。前記基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチックフィルム等を用いることができる。また、基材は、成膜面に離型剤層を有するものであってもよい。
また、前記粉砕は、液体中において、前記膜に超音波振動を付与することにより行われるものであるのが好ましい。これにより、上述したような粒径の母粒子を容易かつ確実に得ることができるとともに、各粒子間での大きさ、形状、特性のばらつきの発生を抑制することができる。
また、上記のような方法で、粉砕を行う場合、前記液体としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、n−ヘプタン、n−オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、トルエン、キシレン、シメン、デュレン、インデン、ジペンテン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、シクロヘキシルベンゼン等の炭化水素系化合物、またエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールn−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサン等のエーテル系化合物、さらにプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、ジメチルスルホキシド、シクロヘキサノン、アセトニトリル等の極性化合物を好適に用いることができる。このような液体を用いることにより、母粒子の不本意な酸化等を防止しつつ、母粒子、金属粉末の生産性を特に優れたものとし、また、各粒子間での大きさ、形状、特性のばらつきを特に小さいものとすることができる。
リン酸アルキル化合物
上述したように、本発明に係る金属粉末は、リン酸アルキル化合物で表面処理されたものである。
リン酸アルキル化合物は、リン酸が有する少なくとも一部のOH基が、アルキル基(C2n+1−(ただし、nは1以上の整数))を含む官能基で置換された構造を有するものである。
リン酸アルキル化合物は、C、H、P、およびOのみを構成元素とするものであるのが好ましい。これにより、金属粉末の脂肪族系有機溶媒(特に、グリコールエーテル/エステル系有機溶剤)への分散性が特に優れたものとなり、分散剤を用いなくても金属粉末の分散状態を保持することができる。
特に、リン酸アルキル化合物は、下記式(1)で表される化学構造を有するものであるのが好ましい。
POR(OH)3−n (1)
(式(1)中、Rは、CH(CH−、CH(CH(CHO)−、CH(CH(CHCHO)−、または、CH(CHO−であり、nは1以上3以下の整数であり、mは2以上18以下の整数であり、lは1以上18以下の整数である。)
これにより、インクジェット用組成物の吐出安定性、保存安定性を特に優れたものとし、インクジェット用組成物を用いて製造される記録物の印刷部の光沢感、耐擦性を特に優れたものとすることができる。
式(1)中、mは、3以上14以下の整数であるのが好ましいが、4以上12以下の整数であるのがより好ましい。これにより、上述したような効果がより顕著に発揮される。
また、式(1)中、lは、1以上14以下の整数であるのが好ましいが、1以上10以下の整数であるのがより好ましい。これにより、上述したような効果がより顕著に発揮される。
リン酸アルキル化合物の好ましい具体例としては、例えば、C1429(O)P(OCHCH、C1633(O)P(OCHCH、C1837(O)P(OH)、C1837(O)P(OH)(OCHCH)、C1225(O)P(OCHCH、C1225(O)P(OH)(OCHCH)、C1225(O)P(OCHCH等が挙げられる。
上記のようなリン酸アルキル化合物は、母粒子に直接処理するものであってもよいが、前記母粒子に対して酸または塩基を処理させた後に、当該母粒子に対してリン酸アルキル化合物による処理を行うのが好ましい。これにより、母粒子表面に、リン酸アルキル化合物による化学的な結合による修飾をより確実に行うことができ、上述したような本発明による効果をより効果的に発揮させることができる。また、リン酸アルキル化合物による表面処理を行う前に母粒子となるべき粒子の表面に酸化被膜が形成されている場合であっても、当該酸化被膜を確実に除去することができ、酸化被膜が除去された状態で、リン酸アルキル化合物による表面処理を行うことができるため、製造される金属粉末の光沢感を特に優れたものとすることができる。酸としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、酢酸、炭酸、蟻酸、安息香酸、亜塩素酸、次亜塩素酸、亜硫酸、次亜硫酸、亜硝酸、次亜硝酸、亜リン酸、次亜リン酸等のプロトン酸を用いることができる。中でも、塩酸、リン酸、酢酸が好適である。一方、塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等を用いることができる。中でも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好適である。
金属粉末は、球状、紡錘形状、針状等、いかなる形状のものであってもよいが、鱗片形状をなすものであるのが好ましい。これにより、インクジェット用組成物が付与される記録媒体上で、当該金属粉末の主面が記録媒体の表面形状に沿うように、金属粉末を配置することができ、金属粉末を構成する金属材料が本来有している光沢感等を、得られる記録物においてもより効果的に発揮させることができ、形成されるパターン(印刷部)の光沢感、高級感を特に優れたものとすることができるとともに、記録物の耐擦性を特に優れたものとすることができる。また、上述したようなリン酸アルキル化合物による表面処理を施していない構成においては、金属粉末が鱗片状をなすものであると、インクジェット用組成物の保存安定性、吐出安定性が低いものとなるという傾向が特に顕著になっていたが、本発明では、金属粉末が鱗片状をなすものであっても、このような問題の発生を確実に防止することができる。すなわち、金属粉末の形状が鱗片状である場合に、本発明の効果はより顕著に発揮される。
本発明において、鱗片状とは、平板状、湾曲板状等のように、所定の角度から観察した際(平面視した際)の面積が、当該観察方向と直交する角度から観察した際の面積よりも大きい形状のことをいい、特に、投影面積が最大となる方向から観察した際(平面視した際)の面積S[μm]と、当該観察方向と直交する方向のうち観察した際の面積が最大となる方向から観察した際の面積S[μm]に対する比率(S/S)が、好ましくは2以上であり、より好ましくは5以上であり、さらに好ましくは8以上である。この値としては、例えば、任意の10個の粒子について観察を行い、これらの粒子についての算出される値の平均値を採用することができる。
金属粉末の平均粒径は、500nm以上3.0μm以下であるのが好ましく、800nm以上1.8μm以下であるのがより好ましい。これにより、インクジェット用組成物を用いて製造される記録物の光沢感、高級感をさらに優れたものとすることができる。また、インクジェット用組成物の保存安定性、吐出安定性をさらに優れたものとすることができる。
インクジェット用組成物中における金属粉末の含有率は、0.5質量%以上10.0質量%以下であるのが好ましく、1.0質量%以上5.0質量%以下であるのがより好ましい。
<有機溶剤>
有機溶剤は、インクジェット用組成物において、金属粉末を分散させる分散媒として機能するものである。そして、有機溶剤は、記録物の製造過程において除去される(蒸発する)ものである。
1気圧下における有機溶剤の沸点は、100℃以上300℃以下であるのが好ましく、150℃以上250℃以下であるのがより好ましい。これにより、インクジェット用組成物を用いた記録物の生産性を十分に優れたものとしつつ、インクジェット用組成物の保存時における組成の安定性、吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
有機溶剤としては、インクジェット用組成物の使用環境(例えば、常温(20℃)常圧(1気圧)下)で液状をなす有機化合物であればいかなるものを用いてもよいが、例えば、アルコール化合物(メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、イソプロピルアルコール等の1価のアルコールやエチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール、およびこれらのフッ化物等)、ケトン化合物(アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等)、カルボン酸エステル化合物(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等)、エーテル化合物(ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)、ラクトン化合物等を用いることが出来る。
特に、インクジェット用組成物は、有機溶剤として、アルキレングリコール化合物およびラクトン化合物から選択される少なくとも1種の化合物を含むものであるのが好ましい。これにより、インクジェット用組成物の保存安定性、吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、インクジェット法による吐出後に、インクジェット用組成物から溶剤を速やかに除去することができるため、記録物の生産性を特に優れたものとすることができる。
有機溶剤として用いることのできるアルキレングリコール化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルキレングリコールや、アルキレングリコールが有する少なくとも一つの水酸基がエーテル化、エステル化された化合物等が挙げられる。
また、アルキレングリコール化合物のアルキレングリコール部位としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール等が挙げられる。
アルキレングリコールモノエーテルの具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。
アルキレングリコールジエーテルの具体例としては、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル等が挙げられる。
有機溶剤として用いることのできるラクトン化合物としては、例えば、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等が挙げられる。
中でも、有機溶剤は、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジブチルエーテル、および、γ−ブチロラクトンよりなる群から選択される1種または2種以上を含むものであるのが好ましい。これにより、インクジェット用組成物の保存安定性、吐出安定性をさらに優れたものとすることができる。記録物の光沢感、高級感をさらに優れたものとすることができる。
インクジェット用組成物中における有機溶剤の含有率は、70質量%以上99質量%以下であるのが好ましく、80質量%以上98質量%以下であるのがより好ましい。これにより、インクジェット用組成物の保存安定性、吐出安定性をさらに優れたものとすることができるとともに、インクジェット用組成物を用いて製造される記録物の光沢感等をさらに優れたものとすることができる。なお、インクジェット用組成物は、有機溶剤として2種以上の化合物を含むものであってもよい。この場合、これらの化合物の含有率の総和が前記範囲内の値であるのが好ましい。
<結着樹脂(バインダー)>
結着樹脂は、インクジェット用組成物を用いて製造される記録物において、金属粉末の記録媒体に対する密着性を向上させる機能を有するものである。これにより、記録物の耐久性(耐擦性、耐水性等)を優れたものとすることができる。
インクジェット用組成物を構成する結着樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、ロジン変性樹脂、テルペン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、繊維素系樹脂(例えば、セルロースアセテートブチレート、ヒドロキシプロピルセルロース)、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、ポリウレタン等が挙げられる。
特に、インクジェット用組成物は、結着樹脂として、セルロース骨格を有する化合物を含むものであるのが好ましい。これにより、インクジェット用組成物を用いて製造される記録物の光沢感、耐擦性を特に優れたものとすることができる。
中でも、結着樹脂(セルロース骨格を有する化合物)として、セルロースアセテートブチレート、ニトロセルロース、および、エチルセルロースよりなる群から選択される少なくとも1種を含むものであるのが好ましい。これにより、インクジェット用組成物を用いて製造される記録物の光沢感、耐擦性をさらに優れたものとすることができる。
結着樹脂は、インクジェット用組成物において、有機溶剤に分散したものであっても、溶解したものであってもよい。
インクジェット用組成物中における結着樹脂(バインダー)の含有率は、0.1質量%以上5.0質量%以下であるのが好ましく、0.5質量%以上2.0質量%以下であるのがより好ましい。これにより、インクジェット用組成物の保存安定性、吐出安定性を十分に優れたものとしつつ、インクジェット用組成物を用いて製造される記録物の光沢感、耐擦性等をさらに優れたものとすることができる。なお、インクジェット用組成物は、結着樹脂として2種以上の化合物を含むものであってもよい。この場合、これらの化合物の含有率の総和が前記範囲内の値であるのが好ましい。
<界面活性剤>
インクジェット用組成物は、さらに、シリコーン系界面活性剤、ポリオキシエチレン系界面活性剤、アセチレングリコール系化合物およびアセチレンジオールから選択される少なくとも1種を含むものであるのが好ましい。これにより、インクジェット用組成物の保存安定性、吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、記録媒体上での金属粉末の配置(配列)をより好適なものとすることができ、記録物の光沢感、耐擦性を特に優れたものとすることができる。
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、ポリエーテル変性シリコーン(BYK−300、306、307;ビッグケミー・ジャパン株式会社、KF−6011、6012,6017,6015、6043;信越シリコーン株式会社)、ポリエステル変性シリコーン(BYK−313、315;ビッグケミー・ジャパン株式会社)、アクリル末端ポリエーテル変性シリコーン(BYK−3500、3510、3530;ビッグケミー・ジャパン株式会社)、アクリル末端ポリエステル変性シリコーン(BYK−3570;ビッグケミー・ジャパン株式会社)、ポリグリセリン変性シリコーン(KF−6100、6104;信越シリコーン株式会社)、アミノプロピル変性シリコーン(KF−8015、8020;信越シリコーン株式会社)、アミノ変性シリコーン(KF−8004、867S;信越シリコーン株式会社)等を用いることができる。
ポリオキシエチレン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、例えば、ポリオキシエチレンセチルエーテル(例えば、ニッサンノニオンP−208;日本油脂株式会社)、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(例えば、ニッサンノニオンE−202S,E−205S;日本油脂株式会社)、又はポリオキシエチレンラウリルエーテル(例えば、エマルゲン106,108;花王株式会社)、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、例えば、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル(例えば、ニッサンノニオンHS−204,HS−206,HS−208;日本油脂株式会社)、ソルビタンモノエステル、例えば、ソルビタンモノカプリレート(例えば、ニッサンノニオンCP−08R;日本油脂株式会社)、又はソルビタンモノラウレート(例えば、ニッサンノニオンLP−20R;日本油脂株式会社)、ポリオキシエチレンソルビタンモノエステル、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート(例えば、ニッサンノニオンOT−221;日本油脂株式会社)、ポリカルボン酸系高分子活性剤(フローレンG−700;共栄社化学株式会社)、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル(例えば、エマルゲン707,709;花王株式会社)、テトラグリセンリンオレート(例えば、ポエムJ−4581;理研ビタミン株式会社)、ノニルフェノールエトキシレート(例えば、アデカトールNP−620,NP−650,NP−660,NP−675,NP−683,NP−686;旭電化工業株式会社)、脂肪族リン酸エステル(例えば、アデカコールCS−141E,TS−230E;旭電化工業株式会社)、ソルビタンセスキオレート(例えば、ソルゲン30;第一工業製薬株式会社)、ソルビタンモノオレート(例えば、ソルゲン40;第一工業製薬株式会社)、ポリエチレングリコールソルビタンモノラウレート(例えば、ソルゲンTW−20;第一工業製薬株式会社)、ポリエチレングリコールソルビタンモノオレート(例えば、ソルゲンTW−80;第一工業製薬株式会社)を挙げることができる。
アセチレンジオールとしては、例えば、サーフイノール104、82、465、485、又はTG(いずれもAirProductsandChemicals.Inc.より入手可能)、オルフインSTG、オルフインE1010(いずれも日信化学社製の商品名)等を用いることができる。
インクジェット用組成物中における上記のような界面活性剤の含有率は、0.01質量%以上5.0質量%以下であるのが好ましく、0.1質量%以上2.0質量%以下であるのがより好ましい。これにより、インクジェット用組成物の保存安定性、吐出安定性をさらに優れたものとすることができるとともに、インクジェット用組成物を用いて製造される記録物の光沢感等をさらに優れたものとすることができる。なお、インクジェット用組成物は、上記のような界面活性剤として2種以上の化合物を含むものであってもよい。この場合、これらの化合物の含有率の総和が前記範囲内の値であるのが好ましい。
<その他の成分>
本発明のインクジェット用組成物は、上述した以外の成分(その他の成分)を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、スリップ剤(レベリング剤)、分散剤、浸透促進剤、湿潤剤(保湿剤)、pH調整剤、着色剤(顔料、染料)、マット剤、ワックス類、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、キレート剤、増粘剤、増感剤(増感色素)等が挙げられる。
インクジェット用組成物がスリップ剤を含むものであると、レベリング作用により記録物の表面が平滑になり、耐擦性が向上する。
スリップ剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリエステル変性シリコーンやポリエーテル変性シリコーン等のシリコーン系界面活性剤を用いることができ、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンまたはポリエステル変性ポリジメチルシロキサンを用いることが好ましい。
本発明のインクジェット用組成物の室温(20℃)での粘度は、20mPa・s以下であるのが好ましく、3mPa・s以上15mPa・s以下であるのがより好ましい。これにより、インクジェット法による液滴吐出を好適に行うことができる。
《記録物》
次に、本発明の記録物について説明する。
本発明の記録物は、上述したようなインクジェット用組成物を記録媒体上に付与することにより製造されたものである。このような記録物は、光沢感に優れたパターン(印刷部)を有するものである。
記録媒体は、いかなるものであってもよいが、例えば、紙(普通紙、インクジェット用専用紙、アートコート紙等)や、塩化ビニル、プロピレンカーボネート等のプラスチック材料で構成されたものを好適に用いることができる。
本発明の記録物は、いかなる用途のものであってもよく、例えば、装飾品やそれ以外に適用されるものであってもよい。本発明の記録物の具体例としては、コンソールリッド、スイッチベース、センタークラスタ、インテリアパネル、エンブレム、センターコンソール、メーター銘板等の車両用内装品、各種電子機器の操作部(キースイッチ類)、屋内広告物、贈答用菓子箱、化粧品箱、ターポリン等の屋外広告物、装飾性を発揮する装飾部、指標、ロゴ等の表示物等が挙げられる。
液滴吐出方式(インクジェット法の方式)としては、ピエゾ方式や、インクを加熱して発生した泡(バブル)によりインクを吐出させる方式等を用いることができるが、インクジェット用組成物の変質のし難さ等の観点から、ピエゾ方式が好ましい。
インクジェット法によるインクジェット用組成物の吐出は、公知の液滴吐出装置を用いて行うことができる。
インクジェット法により記録媒体に向けて吐出されたインクジェット用組成物は、有機溶剤が除去されることにより、形成される印刷部の流動性が失われ、形状が安定化する。 有機溶剤の除去に際しては、減圧処理や加熱処理を施してもよい。これにより、有機溶剤の効率を高めることができ、記録物の生産性をさらに優れたものとすることができる。また、記録物の耐久性のさらなる向上を図ることができる。
以上、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
[1]インクジェット用組成物の製造
(実施例1)
まず、表面が平滑なポリエチレンテレフタレート製のフィルム(表面粗さRaが0.02μm以下)を用意した。
次に、このフィルムの一方の面の全体にシリコーンオイルを塗布した。
次に、シリコーンオイルを塗布した面側に、蒸着法により、Alで構成された膜を形成した。
次に、Alの膜が形成されたポリエチレンテレフタレート製のフィルム(基材)を、ジエチレングリコールジエチルエーテルで構成された液体中に入れ、超音波振動を付与した。これにより、鱗片状のAl製の粒子(母粒子となるべき粒子)の分散体(分散液)が得られた。この分散体中におけるAl製の粒子の含有率は、3.7質量%であった。
次に、上記のようにして得られたAl製の粒子を含む分散体中に、リン酸アルキル化合物としてのC1225(O)P(OH)(OCHCH)を加え、液温:55℃で、3時間超音波振動を加えつつ、表面処理反応させた。反応終了後、遠心分離機(6000rpm×30分)にて、表面処理が施されたAl製の粒子(金属粉末)を遠心沈降させ、上澄み部分を廃棄し、次に、ジエチレングリコールジエチルエーテルを加えて、さらに、超音波振動を付与することにより金属粉末を再分散させ、金属粉末の含有率が3.7質量%の分散液(再分散液)を得た。この再分散液をエバポレーターにて濃縮し、金属粉末の含有率が10質量%のペースト状の分散液(分散媒:ジエチレングリコールジエチルエーテル)を得た。このようにして得られた金属粉末の平均粒径は0.8μm、平均厚さは、60nmであった。
次に、金属粉末を含むペースト状の分散液を、有機溶剤としてのジエチレングリコールジエチルエーテル、γ−ブチロラクトン、テトラエチレングリコールジメチルエーテルおよびテトラエチレングリコールジブチルエーテル、結着樹脂(バインダー)としてのセルロースアセテートブチレート、および、シリコーン系界面活性剤としてのBYK−3500(ビックケミー社製)と混合することにより、インクジェット用組成物を得た。
(実施例2〜15)
金属粒子の構成(母粒子の組成および表面処理に用いる化合物(リン酸アルキル化合物)の種類)を表1に示すようにするとともに、インクジェット用組成物の調製に用いる原料の種類・比率を変更することにより、表1に示すような組成となるようにした以外は、前記実施例1と同様にしてインクジェット用組成物を製造した。
(比較例1)
表面処理を施していないAl製の粒子を金属粉末として用いた以外は、前記実施例1と同様にしてインクジェット用組成物を製造した。
(比較例2)
金属粉末として、ガスアトマイズ法を用いて製造された球形状のAl粉末(表面処理を施していないもの)を用いた以外は、前記比較例1と同様にしてインクジェット用組成物を製造した。
(比較例3)
リン酸アルキル化合物の代わりに、リン酸アルキル化合物でないHPOを用いて表面処理を行い金属粉末を得た以外は、前記実施例1と同様にしてインクジェット用組成物を製造した。
(比較例4)
リン酸アルキル化合物の代わりに、リン酸アルキル化合物でないステアリン酸を用いて表面処理を行い金属粉末を得た以外は、前記実施例1と同様にしてインクジェット用組成物を製造した。
(比較例5)
リン酸アルキル化合物の代わりに、リン酸アルキル化合物でないオレイン酸を用いて表面処理を行い金属粉末を得た以外は、前記実施例1と同様にしてインクジェット用組成物を製造した。
前記各実施例および比較例について、インクジェット用組成物の組成を、表1にまとめて示した。なお、表中、C1225(O)P(OH)(OCHCH)を「A1」、C1837(O)P(OH)(OCHCH)を「A2」、(C1429(O)Pを「A3」、(C1837(O)P(C1633)を「A4」、HPOを「A’1」、ステアリン酸を「A’2」、オレイン酸を「A’3」、ジエチレングリコールジエチルエーテルを「DEGDEE」、ジエチレングリコールジメチルエーテルを「DEGDME」、テトラエチレングリコールジメチルエーテルを「TEGDME」、テトラエチレングリコールジブチルエーテルを「TEGDBE」、γ−ブチロラクトンを「γ−BL」、1−メチル−2−ピロリドンを「NMP」、セルロースアセテートブチレートを「CAB」、ニトロセルロースを「NC」、エチルセルロースを「EC」、ヒドロキシエチルセルロースを「HEC」、BYK−3500(ビックケミー社製、シリコーン系界面活性剤)を「B1」、BYK−3570(ビックケミー社製、シリコーン系界面活性剤)を「B2」、オルフインE1010(日信化学社製、アセチレンジオール)を「B3」、エマルゲン106(花王社製、ポリオキシエチレン系界面活性剤)を「B4」で示した。また、表中、実施例11について、母粒子の構成材料の組成は、各元素の含有率を重量比で示した。また、各インクジェット用組成物中に含まれるそれぞれ任意の10個の金属粒子について観察を行い、投影面積が最大となる方向から観察した際(平面視した際)の面積S[μm]と、当該観察方向と直交する方向のうち観察した際の面積が最大となる方向から観察した際の面積S[μm]に対する比率(S/S)を求め、これらの平均値を、表1にあわせて示した。また、振動式粘度計を用いて、JIS Z8809に準拠して測定された前記各実施例のインクジェット用組成物の20℃における粘度は、いずれも、3mPa・s以上15mPa・s以下の範囲内の値であった。
Figure 0005935491
[2]液滴吐出の安定性評価(吐出安定性評価)
前記各実施例および比較例のインクジェット用組成物を用いて、下記に示すような試験による評価を行った。
まず、チャンバー(サーマルチャンバー)内に設置した液滴吐出装置および前記各実施例および比較例のインクジェット用組成物を用意し、ピエゾ素子の駆動波形を最適化した状態で、25℃、55%RHの環境下で、各インクジェット用組成物について、液滴吐出ヘッドの各ノズルから、2000000発(2000000滴)の液滴の連続吐出を行った。その後、液滴吐出装置の運転を停止し、液滴吐出装置の流路に各インクジェット用組成物が充填された状態で、25℃、55%RHの環境下に、240時間放置した。
その後、液滴吐出ヘッドの各ノズルから、25℃、55%RHの環境下で、4000000発(4000000滴)の液滴の連続吐出を行った。上記150時間放置した後の、液滴吐出ヘッドの中央部付近の指定したノズルから吐出された4000000発の液滴について、着弾した各液滴の中心位置の中心狙い位置からのズレ量dの平均値を求め、以下の5段階の基準に従い、評価した。この値が小さいほど飛行曲がりの発生が効果的に防止されていると言える。
A:ズレ量dの平均値が0.07μm未満。
B:ズレ量dの平均値が0.07μm以上0.14μm未満。
C:ズレ量dの平均値が0.14μm以上0.17μm未満。
D:ズレ量dの平均値が0.17μm以上0.21μm未満。
E:ズレ量dの平均値が0.21μm以上。
[3]インクジェット用組成物の周波数特性
チャンバー(サーマルチャンバー)内に設置した液滴吐出装置および前記各実施例および比較例のインクジェット用組成物を用意し、ピエゾ素子の駆動波形を最適化した状態で、25℃、55%RHの環境下で、各インクジェット用組成物について、液滴吐出ヘッドの全ノズルから、ピエゾ素子の振動数(周波数)を変化させつつ、液滴吐出を行った。各周波数での液滴吐出時間は10分間とした。10分間の吐出後時点で未吐出のノズル数が全ノズル数の1%未満の周波数までを実使用可能な最高周波数として、実使用可能な周波数範囲を以下の4段階の基準に従い、評価した。この値が大きいほど周波数特性に優れていると言える。
A:15kHz以上。
B:10kHz以上15kHz未満。
C:5kHz以上10kHz未満。
D:5kHz未満。
[4]インクジェット用組成物の保存安定性評価(長期安定性評価)
前記各実施例および比較例のインクジェット用組成物について、40℃の環境下に、40日間放置した後、振動式粘度計を用いて、JIS Z8809に準拠して測定された前記各実施例のインクジェット用組成物の20℃における粘度を測定し、製造直後からの粘度の上昇率を求め、以下の基準に従い、評価した。
A:粘度の上昇率が5%未満。
B:粘度の上昇率が5%以上10%未満。
C:粘度の上昇率が10%以上18%未満。
D:粘度の上昇率が18%以上23%未満。
E:粘度の上昇率が23%以上、または、異物の発生が認められる。
[5]記録物の製造
各実施例および比較例のインクジェット用組成物を用いて、それぞれ、以下のようにして、記録物としてのインテリアパネルを製造した。
まず、インクジェット用組成物をインクジェット装置に投入した。
その後、溶剤インクジェットメディア(IJS−RC−YF170;三菱製紙株式会社製)を用いて成形した曲面部を有する基材(記録媒体)上に、所定のパターンでインクジェット用組成物を吐出した。
その後、60℃×30秒という条件で熱処理を施すことにより有機溶媒を除去し、記録物としてのインテリアパネルを得た。
上記のような方法を用いて、各実施例および比較例のインクジェット用組成物を用いて、それぞれ、10個のインテリアパネル(記録物)を製造した。
[6]記録物の評価
上記のようにして得られた各記録物について、以下のような評価を行った。
[6.1]記録物の外観評価
前記各実施例および比較例で製造した各記録物を目視により観察し、以下の7段階の基準に従い、評価した。
A:高級感に溢れる光沢感を有し、極めて優れた外観を有している。
B:高級感に溢れる光沢感を有し、非常に優れた外観を有している。
C:高級感のある光沢感を有し、優れた外観を有している。
D:高級感のある光沢感を有し、良好な外観を有している。
E:光沢感に劣り、外観がやや不良。
F:光沢感に劣り、外観が不良。
G:光沢感に劣り、外観が極めて不良。
[6.2]光沢度
前記各実施例および比較例で製造した各記録物のパターン形成部について、光沢度計(MINOLTA MULTI GLOSS 268)を用い、煽り角度60°での光沢度を測定し、以下の基準に従い評価した。
A:光沢度が400以上。
B:光沢度が300以上400未満。
C:光沢度が200以上300未満。
D:光沢度が200未満。
[6.3]耐擦性
前記各実施例および比較例に係る記録物について、記録物の製造から48時間経過した時点で、サウザーランドラブテスターを用い、JIS K5701に準じ、相紙としてポリエチレンテレフタレート製のフィルム(三菱樹脂社製、ダイアホイルG440E)を用いた耐擦性試験を行い、上記[6.2]で述べたのと同様の方法により、耐擦性試験後の記録物についても光沢度(煽り角度60°)を測定し、耐擦性試験前後での光沢度の低下率を求め、以下の基準に従い評価した。
A:光沢度の低下率が8%未満。
B:光沢度の低下率が8%以上16%未満。
C:光沢度の低下率が16%以上26%未満。
D:光沢度の低下率が26%以上33%未満。
E:光沢度の低下率が33%以上、または、金属粒子が脱落して記録媒体の表面が
露出したもの。
これらの結果を表2に示す。
Figure 0005935491
表2から明らかなように、本発明のインクジェット用組成物は、液滴の吐出安定性、保存安定性に優れていた。また、本発明の記録物は、優れた光沢感、外観を有しており、パターン形成部の耐擦性にも優れていた。これに対して、比較例では、満足な結果が得られなかった。

Claims (11)

  1. インクジェット方式により吐出されるインクジェット用組成物であって、
    金属粉末と、有機溶剤と、結着樹脂とを含み、
    前記金属粉末として、アルキルホスフィンオキシドで表面処理されたものを含むことを特徴とするインクジェット用組成物。
  2. 前記金属粉末は、少なくとも表面が主としてAlで構成された粉末が、アルキルホスフィンオキシドで表面処理されたものである請求項1に記載のインクジェット用組成物。
  3. 前記金属粉末は、鱗片状をなすものである請求項1または2に記載のインクジェット用組成物。
  4. 前記金属粉末として、下記式(1)で表される化学構造を有する前記アルキルホスフィンオキシドで表面処理されたものを含む請求項1ないしのいずれかに記載のインクジェット用組成物。
    POR (1)
    (式(1)中、Rは、CH(CHであり、mは2以上18以下の整数である。)
  5. 前記アルキルホスフィンオキシドは、(C 14 29 (O)P、または、(C 18 37 (O)P(C 16 33 )である請求項1ないし4のいずれかに記載のインクジェット用組成物。
  6. 前記金属粉末の平均粒径が、500nm以上3.0μm以下である請求項1ないし5のいずれかに記載のインクジェット用組成物。
  7. 前記有機溶剤として、アルキレングリコール化合物およびラクトン化合物から選択される少なくとも1種の化合物を含むものである請求項1ないし6のいずれかに記載のインクジェット用組成物。
  8. インクジェット用組成物は、さらに、シリコーン系界面活性剤、ポリオキシエチレン系界面活性剤、アセチレングリコール系化合物およびアセチレンジオールから選択される少なくとも1種を含むものである請求項1ないし7のいずれかに記載のインクジェット用組成物。
  9. 前記結着樹脂として、セルロース骨格を有する化合物を含むものである請求項1ないし8のいずれかに記載のインクジェット用組成物。
  10. 前記結着樹脂として、セルロースアセテートブチレート、ニトロセルロース、および、エチルセルロースよりなる群から選択される少なくとも1種を含むものである請求項9に記載のインクジェット用組成物。
  11. 記録媒体と、
    請求項1ないし10のいずれかに記載のインクジェット用組成物を用いて形成された印刷部とを備えることを特徴とする記録物。
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