JP5935450B2 - 界面レベル計 - Google Patents

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Description

本発明は、水中の懸濁物堆積層とその上澄水との界面の位置を測定する界面レベル計に関する。
工場における排水処理設備や、下水処理施設には、一般に排水(汚水)を沈降処理することで汚泥とその上澄水とを固液分離する沈殿槽(又は沈殿池)が設けられている。沈殿槽における汚泥の堆積量を監視するために、例えば超音波センサを用いて沈殿槽の底面に向けて超音波を送信し、反射波の受信タイミング及び受信強度を解析して、汚泥と上澄水との界面の位置(深度)を検出することが行われている(例えば特許文献1参照)。界面位置は、反射強度が所定の閾値以上となった反射波の受信タイミング(伝播時間)によって求めることができる。
しかし、このような界面位置の検出方法では、超音波センサと界面との間の超音波の伝播経路上に気泡、浮遊汚泥等の異物が存在した場合に、異物が超音波の伝播を妨げて界面位置を正確に検出できなかった。例えば、気泡は、水中において水と気体の境界面を生じるため強い反射をおこす。また、気泡の曲面形状により乱反射が生じ得る。従って、水中に気泡が多量に存在すると、目的とする界面に到達するまでに超音波が大きく減衰し、界面位置の検出が困難になる。
界面位置を検出する別の手法として、一対の超音波送信部及び超音波受信部を有するセンサを徐々に深く水中に挿入していき、透過波の強度変化から界面位置を検出するものが知られている。しかし、このような手法では、水中に存在するレーキ、パイプ、整流板等にセンサが接触して破損したり、センサケーブルが絡みついたりするおそれがある。従って、水面近傍にセンサを設置し、界面からの反射波を用いて界面位置を検出することが求められている。
特開平10−325870号公報
本発明は、汚泥と上澄水との界面の位置を正確に検出することができる界面レベル計を提供することを目的とする。
第1発明の界面レベル計は、超音波又は光を送出し、懸濁物堆積層又は微粒子展開層を含む水中で反射した超音波又は光を受信するセンサと、前記センサによる受信信号に基づいて、前記懸濁物堆積層又は微粒子展開層と上澄水との界面の位置を算出する算出部とを備え、前記算出部は、第1算出方法及び第2算出方法で前記界面の位置を算出することができ、前記第1算出方法では、受信時間の早い方から順に前記受信信号の強度と所定の第1閾値とを比較し、強度が前記第1閾値以上となった前記受信信号の受信時間から前記界面の位置を算出し、前記第2算出方法では、受信時間の早い方から順に前記受信信号の強度と所定の第2閾値とを比較し、強度が前記第2閾値以下となった前記受信信号の受信時間から前記界面の位置を算出するものである。
第3発明の界面レベル計は、超音波又は光を送出し、懸濁物堆積層又は微粒子展開層を含む水中で反射した超音波又は光を受信するセンサと、前記センサによる受信信号に基づいて、前記懸濁物堆積層又は微粒子展開層と上澄水との界面の位置を算出する算出部とを備え、前記算出部は、第1算出方法及び第2算出方法で前記界面の位置を算出することができ、前記第1算出方法では、受信時間の早い方から順に前記受信信号の強度と所定の第1閾値とを比較し、強度が前記第1閾値以上となった前記受信信号の受信時間から前記界面の位置を算出し、前記第2算出方法では、前記受信信号の強度を反転し、受信時間の早い方から順に前記受信信号の反転強度と所定の第2閾値とを比較し、反転強度が前記第2閾値以上となった前記受信信号の受信時間から前記界面の位置を算出するものである。
第4発明の界面レベル計は、超音波又は光を送出し、懸濁物堆積層又は微粒子展開層を含む水中で反射した超音波又は光を受信するセンサと、前記センサによる受信信号に基づいて、前記懸濁物堆積層又は微粒子展開層と上澄水との界面の位置を算出する算出部とを備え、前記算出部は、第1算出方法及び第2算出方法で前記界面の位置を算出することができ、前記第1算出方法では、受信時間の早い方から順に前記受信信号の強度と所定の第1閾値とを比較し、強度が前記第1閾値以上となった前記受信信号の受信時間から前記界面の位置を算出し、前記第2算出方法では、前記受信信号の強度を反転し、超音波送信から所定時間経過時を開始点として受信時間の早い方へ向かって順に前記受信信号の反転強度と所定の第2閾値とを比較し、反転強度が前記第2閾値以下となった前記受信信号の受信時間から前記界面の位置を算出するものである。
第1,第3,第4発明の界面レベル計においては、前記算出部は、水中に汚水が流入していない時は前記第1算出方法で前記界面の位置を算出し、水中に汚水が流入している時は前記第2算出方法で前記界面の位置を算出することが好ましい。
また、第1,第3,第4発明の界面レベル計においては、前記センサは、超音波又は光の送出及び反射波の受信を複数回行い、前記算出部は、複数の受信信号の強度の平均値を用いて前記界面の位置を算出することが好ましい。
第1,第3,第4発明の界面レベル計においては、前記算出部により算出された前記界面の位置を表示する表示部をさらに備えることが好ましい。
本発明によれば、センサと界面との間に気泡、浮遊汚泥等の異物が存在する場合でも、水中を伝播した反射波に基づいて界面の位置を正確に検出することができる。
汚水の流入がないときの処理槽内部の一例を示す図である。 超音波反射強度分布の一例を示すグラフである。 水を循環させているときの処理槽内部の一例を示す図である。 超音波反射強度分布の一例を示すグラフである。 汚水が流入したときの処理槽内部の一例を示す図である。 超音波反射強度分布の一例を示すグラフである。 本発明の第1の実施形態に係る界面レベル計の概略構成図である。 同第1の実施形態に係る超音波センサの概略構成図である。 超音波反射強度分布の一例を示すグラフである。 超音波反射強度分布の一例を示すグラフである。 上澄水に気泡が存在する状態を示す図である。 超音波反射強度分布の一例を示すグラフである。 反転した超音波反射強度の分布の一例を示すグラフである。 変形例による界面レベル計の概略構成図である。 デジタル信号値と色調との対応関係の一例を示す図である。 変形例による界面レベル計の概略構成図である。 画像データの一例を示す図である。 表示部による表示の一例を示す図である。 メモリに設けられる複数の記憶領域の一例を示す図である。
本発明の実施形態の説明に先立ち、発明者らが本発明をなすに至った経緯について説明する。図1は、UASB(Upflow Anaerobic Sludge Blanket:上向流嫌気性汚泥床)型の処理槽100の、汚水の流入がない時の内部状態の一例を示している。処理槽100の水面102近傍には、処理槽100内の上澄水104とグラニュール静置層106との界面108を検出するための超音波センサ130が設けられている。超音波センサ130は処理槽100の底面に向かって超音波を送信する送信部と、処理槽100内で反射した超音波の受信を行う受信部を有する。超音波センサ130の受信部による受信信号を、縦軸を超音波送信からの経過時間、横軸を受信強度としたグラフで表示すると図2に示すようなものになる。なお、超音波送信から受信までの時間は、超音波の反射位置の深さに対応するため、縦軸を深さとして表示することもできる。
図1に示すように、汚水の流入がなく、グラニュールが静置している場合、上澄水104に存在する濁質分は僅かであり、このような濁質分からの反射波の強度は、上澄水104とグラニュール静置層106との界面108からの反射波の強度と比較すると極めて小さい。そのため、図2に示すように、反射強度が閾値R1を超えた箇所が界面108の位置であると判定することができる。
図3は、処理槽100への汚水の流入はないが、ポンプを用いて処理槽100内の水を下方から上方へ循環させる時の内部状態の一例を示し、図4はこの状態における超音波反射強度分布の一例を示している。このとき、グラニュールが展開し、原水から持ち込まれたSS(Suspended Solids:浮遊微粒子)や、グラニュールに取り込まれない嫌気微生物群の粒子が上澄水104に放出される。この状態ではガスの発生がなく、上澄水104に放出される濁質からの反射波の強度は、上澄水104とグラニュール展開層110との界面112からの反射波の強度と比較すると小さい。そのため、図4に示すように、反射強度が閾値R2を超えた箇所が界面112の位置であると判定することができる。
図5は、処理槽100に汚水が流入した時の状態の一例を示し、図6はこの状態における超音波反射強度分布の一例を示している。汚水の流入が始まると、グラニュール展開層110からはガスが激しく放出される。このとき、上澄水104の濁質及び気泡によって超音波が反射される。気泡による反射強度は、グラニュール展開層110からの反射強度と同等又はそれ以上であり、気泡が大量に存在する上澄水104の下方に位置するグラニュール展開層110からの反射波は弱くなる。そのため、図6に示すように、反射強度と閾値とを深さ方向に比較していき、反射強度が閾値を超えた箇所を界面と判定する方法では、図5における界面112の位置を検出できない。
発明者らは、界面112の位置を検出するために、処理槽100の内部状態を詳細に調べた。図5におけるグラニュール展開層110内部では、グラニュールと気泡が共存するが、気泡は、グラニュールから放出された直後で膨らんでおらず、縦長に(断面積が小さく)なっていた。また、グラニュールの存在により反射波が急激に小さくなっていた。これらのことにより、図5に示す状態では、界面112より下方からの反射波は著しく減衰する。従って、上澄水104とグラニュール展開層110とでは反射強度の変遷に明らかな違いがある。以下の実施形態では、このような特徴に着目し、上澄水に気泡等の異物が存在する場合でも反射波を用いて界面の位置を検出する。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[第1の実施形態]
図7に本発明の第1の実施形態に係る界面レベル計の概略構成を示す。界面レベル計は、信号生成回路1、超音波センサ2、増幅回路3、アナログデジタル変換器(以下、A/D変換器と称する)4、表示部5、及び界面レベル算出部6を備えている。
図8に示すように、超音波センサ2は送信部21及び受信部22を有し、汚泥等の懸濁物堆積層23とその上澄水24とを貯留する処理槽25の所定の高さに図示しない取付機構によって取り付けられている。送信部21は、信号生成回路1により生成されたパルス信号等の電気信号を超音波振動子に与え、処理槽25の底面に向かって超音波を送信する。処理槽25は、例えば、UASB嫌気槽やEGSB(Expanded Granular Sludge Bed:膨張粒状汚泥床)嫌気槽である。
送信部21から送信された超音波は、懸濁物堆積層23とその上澄水24との界面26や、界面26下の懸濁物、処理槽25の底面等によって反射される。反射波は受信部22によって受信される。受信部22は受信信号を増幅回路3へ出力する。
図7に示すように、超音波センサ2の受信部22による受信信号は増幅回路3によって増幅され、A/D変換器4によりデジタル信号に変換された後、表示部5及び界面レベル算出部6へ出力される。
表示部5は、A/D変換器4から受け取ったデジタル信号に基づいて、超音波送信からの時間経過に伴う反射強度(受信強度)の変化を示すグラフを表示領域51に表示する。表示領域51は、例えば図9に示すように、縦軸に経過時間、横軸に反射強度をとるグラフを表示する。なお、超音波送信から受信までの時間は、超音波の反射位置の深さに対応するため、縦軸を深さとして表示することもできる。このように、表示部5の表示領域51は、処理槽25内の最新の超音波反射強度分布を表示することができる。
また、表示部5の表示領域52は、後述する方法により界面レベル算出部6が算出した懸濁物堆積層23と上澄水24との界面26(図8参照)の位置を表示する。表示領域52は、界面26の位置を数値表示してもよいし、トレンドグラフとして表示してもよい。
界面レベル算出部6は、A/D変換器4から受け取ったデジタル信号に基づいて、懸濁物堆積層23と上澄水24との界面26の位置(深さ)を算出する。界面レベル算出部6は界面26の位置を算出する第1算出方法及び第2算出方法を備えており、2つの算出方法を用いて、又は使用する算出方法を切り替えて、界面26の位置を算出する。
まず、第1算出方法について説明する。第1算出方法は、図8に示すように、超音波センサ2と界面26との間に気泡や浮遊汚泥等の異物が存在しない場合に適用される算出方法である。図8に示すように超音波センサ2と界面26との間に異物が存在しない場合、超音波の反射強度は、超音波送信からの時間経過に伴って図10に示すように変化する。界面レベル算出部6は、反射波の受信時間の早い方から順に、すなわち処理槽25の浅い箇所から深い箇所に向かって順に、反射強度と所定の閾値Th1とを比較し、反射強度が閾値Th1以上となる反射波の受信時間(t1)に基づいて、界面26までの距離(界面26の位置)を算出する。
また、界面レベル算出部6は、時間t1以後に反射強度が急激に大きくなったタイミングまでの経過時間(t2)から、処理槽25の底面までの距離を算出することができる。界面レベル算出部6は、超音波センサ2の取り付け位置と、処理槽25の底面までの距離との対応関係を示すテーブルを保持しておき、このテーブルを参照して底面までの距離を求めてもよい。
次に、第2算出方法について説明する。第2算出方法は、図11に示すように、超音波センサ2と界面26との間、すなわち上澄水24に気泡が存在する場合に適用される算出方法である。図11に示すように、上澄水24に気泡が存在する場合、超音波の反射強度は、超音波送信からの時間経過に伴って図12に示すように変化する。気泡は、水中において水と気体の境界面を生じるため強い反射をおこす。また、懸濁物堆積層23からの反射波は、グラニュールの存在等により、大きく減衰する。
図12から分かるように、気泡が存在する上澄水24からの反射強度が大きく、処理槽25の下方向に向かって反射強度が急激に小さくなっている。つまり、上澄水24の強い反射強度が低下し始めた位置が界面26に相当する。本実施形態において、界面レベル算出部6は、このような反射強度の変遷に着目し、反射波の受信時間の早い方から順に、すなわち処理槽25の浅い箇所から深い箇所に向かって順に、反射強度と所定の閾値Th2とを比較し、反射強度が閾値Th2以下となった箇所を界面26の位置と判定する。
続いて、界面レベル算出部6における算出方法の切り替えについて説明する。図1〜図4を用いて説明したように、処理槽25への通水停止時や循環通水時は、上澄水24からの反射波の強度は小さく、反射波強度の変遷は図10のようになるため、界面レベル算出部6は第1算出方法を用いて界面26の位置を算出する。
一方、処理槽25への汚水流入時は、上澄水24からの反射波の強度が大きく、反射波強度の変遷は図12のようになるため、界面レベル算出部6は第2算出方法を用いて界面26の位置を算出する。
このように、界面レベル算出部6は、処理槽25の通水状態に応じて界面26の位置を算出する方法を切り替える。また、界面レベル算出部6は、第1算出方法で界面26の位置を求めることが出来なかったときに、第2算出方法に切り替えてもよい。
また、界面レベル算出部6は、第1算出方法及び第2算出方法でそれぞれ界面位置を算出し、界面位置が深い方を正しい界面位置として判定してもよい。例えば、図8に示すように、超音波センサ2と界面26との間に気泡や浮遊汚泥等の異物が存在しない場合は、第2算出方法により算出される界面位置は実際の界面より浅くなる。一方、図11に示すように、上澄水24に気泡が存在する場合は、第1算出方法により算出される界面位置は実際の界面より浅くなる。従って、第1算出方法及び第2算出方法で算出された界面位置のうち、水面からみて深い方が正しい界面位置とみなすことができる。
また、界面レベル算出部6は、超音波センサ2の下面又は超音波センサ2の不感帯の下面から、第1算出方法で算出した界面までの間の反射波の受信強度を平均化又は積算し、平均値又は積算値が所定の閾値以上となった場合は、上澄水からの反射が大きくなり第1算出方法で界面26の位置を求めることができない状態になったと判定して、第2算出方法に切り替えてもよい。また、この場合、処理槽25に汚水が流入していると考えられるため、図示しない報知部により警報を発し、処理槽25の状態が変化したことを報知するようにしてもよい。処理槽25が汚泥濃縮槽である場合、ガスの発生によって汚泥が浮上・越流することがあるが、この警報により固液分離処理や処理水の劣化の可能性を知ることができる。
このように、界面レベル算出部6は、水中を伝播した反射信号に基づいて界面26の位置を正確に検出することができる。
なお、閾値Th1、Th2は予め設定されていてもよいし、ユーザが、図示しない入力手段を介して入力・設定できるようにしてもよい。入力手段は、例えばマウスやキーボードである。また、表示部5をタッチパネルで構成し、ユーザがタッチパネルを介して入力した閾値Th1、Th2が界面レベル算出部6に通知されるようにしてもよい。
界面レベル算出部6は、このようにして算出した界面26の位置を表示部5に出力して、表示領域52に表示させる。これにより、表示領域52は、処理槽25内での懸濁物堆積層23と上澄水24との界面26の位置の最新情報を表示することができる。なお、界面26の位置は、上澄水の水面27からの距離、超音波センサ2からの距離、処理槽25の底面からの距離のいずれでもよく、またその他の基準点からの距離でもよい。
また、界面レベル算出部6は、算出した界面26の位置情報を、外部ディスプレイ、外部メモリ、外部コンピュータ等の外部装置10へ出力してもよい。
上述したように、本実施形態では、処理槽25の通水状態に応じて界面位置の算出方法を切り替え、上澄水24からの反射強度が大きく、懸濁物堆積層23からの反射強度が小さい場合は、反射波の受信時間の早い方から順に(処理槽25の浅い箇所から深い箇所に向かって順に)反射強度と閾値とを比較し、反射強度が閾値以下となった箇所を界面の位置と判定する。そのため、超音波センサ2と界面26との間に気泡等の異物が存在する場合でも、反射波を用いて界面26の位置を正確に検出することができる。
上記第1の実施形態において、界面レベル算出部6が用いる第2算出方法は、処理槽25の浅い箇所から深い箇所に向かって順に、反射強度と所定の閾値Th2を比較し、反射強度が閾値Th2以下となった箇所を界面26の位置と判定していたが、処理槽25の深い箇所から浅い箇所に向かって順に反射強度と所定の閾値Th2を比較し、反射強度が閾値Th2以上となった箇所を界面26の位置と判定してもよい。例えば、処理槽25の底面からの反射波に対応する反射信号の受信時間を開始点にして、受信時間の早い方に向かって順に反射強度と所定の閾値Th2を比較していき、反射強度が閾値Th2以上となった箇所を界面26の位置と判定することができる。
上記第1の実施形態において、処理槽25内の懸濁物や粒子の径が小さい場合、沈降速度や堆積・圧密濃縮速度が低下し、界面26近傍の堆積状況が一定せず、また、濃度が薄く不均一になることがある。このような場合は、反射信号を所定時間又は所定数取得して平均化し、平均化した反射信号の強度と閾値Th1、Th2とを比較して界面26の位置を検出することが好ましい。ここで、反射信号の平均化とは、送信部21からの超音波送信をトリガにした反射信号の受信を所定時間内に複数回行って複数の反射信号を取得するか、又は送信部21からの超音波送信をトリガにした反射信号の受信を所定回数行って複数(所定数)の反射信号を取得し、これら複数の反射信号の平均値を求めることである。
例えば、複数の反射信号の平均化処理を行う平均化処理部を、受信部22と増幅回路3との間に設けることで、受信部22から増幅回路3に与えられる信号に対して平均化処理を行うことができる。また、平均化処理部を増幅回路3とA/D変換器4との間に設け、増幅回路3からA/D変換器4に与えられる信号に対して平均化処理を行ってもよい。あるいはまた、A/D変換器4から出力されるデジタル信号に対して平均化処理を行うように平均化処理部を設けてもよいし、界面レベル算出部6が平均化処理を行ってもよい。
なお、平均化する反射信号の取得時間を長くする程、言い換えれば、平均化する反射信号の取得数を多くするほど、界面位置の検出精度は向上するが、検出に要する時間が長くなるため、界面位置の変化に対する追従性は低下する。界面位置の変化に即した値を検出するという観点から、1〜60秒の間に取得する5個以上の反射信号を平均化することが好ましい。
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態に係る界面レベル計は、図7に示す第1の実施形態に係る界面レベル計と同様の構成であるため、図示を省略する。本実施形態は、上記第1の実施形態と比較して、界面レベル算出部6が使用する第2算出方法が異なる。
本実施形態に係る界面レベル算出部6の第2算出方法では、受信信号強度の反転処理が行われる。例えば、図12に示す強度分布は、反転処理により図13のようになる。図7に示すA/D変換器4の出力信号(受信強度)をSh、A/D変換器4の出力最大値をTとした場合、反転強度PhはPh=T−Shという除算処理により求めることができる。
そして、図13に示すように、界面レベル算出部6は、処理槽25の浅い箇所から深い箇所に向かって順に、反転した反射強度と所定の閾値Th3を比較し、反射強度が閾値Th3以上となった箇所を界面26の位置と判定する。反射強度を反転したことで、反射強度が急激に大きくなる位置が界面26に相当する。
このような受信強度の反転処理を行った場合でも、界面レベル算出部6は、反射信号に基づいて界面26の位置を正確に検出することができる。
上記第2の実施形態において、界面レベル算出部6が用いる第2算出方法は、処理槽25の浅い箇所から深い箇所に向かって順に、反転反射強度と所定の閾値Th3を比較し、反転反射強度が閾値Th3以上となった箇所を界面26の位置と判定していたが、処理槽25の深い箇所(底面)から浅い箇所に向かって順に反転反射強度と閾値Th3を比較し、反射強度が閾値Th3以下となった箇所を界面26の位置と判定してもよい。
上記第2の実施形態において、処理槽25内の懸濁物や粒子の径が小さい場合、沈降速度や堆積・圧密濃縮速度が低下し、界面26近傍の堆積状況が一定せず、また、濃度が薄く不均一になることがある。このような場合は、反射信号を所定時間又は所定数取得して平均化し、平均化した反射信号の反転値と閾値Th3とを比較して界面26の位置を検出することが好ましい。
例えば、界面レベル算出部6が複数の反射信号の平均化処理を行い、平均化した反射信号の反転値を求める。あるいはまた、界面レベル算出部6が複数の反射信号の各々について反転処理を行い、複数の反転値に対して平均化処理を行った後に閾値Th3と比較してもよい。
なお、平均化する反射信号の取得時間を長くする程、言い換えれば、平均化する反射信号の取得数を多くするほど、界面位置の検出精度は向上するが、検出に要する時間が長くなるため、界面位置の変化に対する追従性は低下する。界面位置の変化に即した値を検出するという観点から、1〜60秒の間に取得する5個以上の反射信号を平均化することが好ましい。
上記第1及び第2の実施形態では、懸濁物堆積層23と上澄水24との界面26を求める例について説明したが、微粒子展開層と上澄水との界面を求めることもできる。
[第1及び第2の実施形態に係る界面レベル計の別形態]
超音波反射強度をグレースケール又はカラーで表示するために、図14に示すように、上記第1及び第2の実施形態に係る界面レベル計にグラフィック変換部7を設けてもよい。グラフィック変換部7は、A/D変換器4から受け取ったデジタル信号の値を、ディスプレイの階調に対応した値(画素データ)に変換する。例えば、カラー画像では、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色それぞれがkビット(=2階調、kは2以上の整数)で表現され、図15に示すような対比により、256色を表現することができる。
グラフィック変換部7は、生成した画素データを外部装置10へ出力する。外部装置10がディスプレイである場合は、超音波反射強度がグレースケール又はカラーで表示される。
また、図16に示すように、界面レベル計に、グラフィック変換部7により生成された画素データを記憶するメモリ8を設けてもよい。メモリ8は、図17に示すように、1つの反射信号に対応するm個(mは2以上の整数)の画素データ60を1列に並べて1画素列とし、n個(nは2以上の整数)の反射信号の画素列を取得時間順に並べて画像データを作成する。メモリ8は、この画像データを表示部5に出力し、表示領域53に表示させる。これにより、ユーザは、処理槽25内の状態変化を、図18に示すようなカラー画像で監視することができる。深さ表示(目盛)は、水面を基準としてもよいし、センサ下面や水槽の底面を基準としてもよい。メモリ8は、このような画像データを外部装置10へ出力してもよい。
図19に示すように、メモリ8に複数の記憶領域S1〜Syを設けてもよい。記憶領域S1〜Syは、グラフィック変換部7からm+w個(wは0以上の整数)の画素データを受け取ると、表示領域53の1画素列分の表示データ(画素列データ)dとして格納する。記憶領域S1〜Syは、新しいデータd1の格納に伴い、今まで記憶していたデータのうち一番古いデータd2を廃棄(消去)する。
記憶領域S1〜Syはそれぞれ表示データdをn+x個分(xは0以上の整数)格納することができる。また、図19に示すように、表示データdにはグラフィック変換部7から受け取ったカラー表示用のm+w個の画素データだけでなく、界面レベル算出部6から受け取った界面レベルLV、図示しない水温センサから受け取った水温T、時刻Cを含めてもよく、これらを表示部5に出力してもよい。
記憶領域S1〜Syは、設定されたインターバル(時間間隔)を空けて、次の新しい表示データdをグラフィック変換部7から受け取り、格納する。記憶領域S1〜Syに格納されているn+x個の表示データ(画素列データ)dのうち、新しい方からn個を用いることで、表示領域53に超音波受信強度分布の変遷をカラー表示することができる。また、表示データに界面レベルLVや水温Tが含まれている場合、表示領域53は、カラー画像と併せてあるいは単独で(画像データは消す)、界面レベルや水温の変遷を表示することができる。
記憶領域S1〜Syはそれぞれ異なるインターバルが設定されている。例えば、記憶領域S1は1秒、記憶領域S2は3秒、記憶領域Sy−1は50分、記憶領域Syは100分のインターバルが設定され、表示領域53の画素列が200列ある(n=200)場合を考える。
この時、記憶領域S1のデータを用いると、表示領域53には表示幅200秒(=1秒×200)の変遷を表示できる。同様に、記憶領域S2のデータを用いると表示幅10分(=3秒×200)、記憶領域Sy−1のデータを用いると表示幅約7日(≒50分×200)、記憶領域Syのデータを用いると表示幅約14日(≒100分×200)の変遷を表示できる。
従って、どの記憶領域に格納されている表示データを用いるかによって、表示部5の表示領域53にカラー表示する超音波受信強度分布の変遷(図18参照)の時間幅を変更することができる。制御部9は、表示する時間幅の切り替え指示に基づいて、指示された時間幅に対応する記憶領域に格納されている表示データが表示部5に出力されるように制御する。
長い時間幅の強度分布の変遷を表示部5に表示する場合も、データサンプリングのインターバルを長くとって表示データdをn個もしくはn+x個保持していれば良く、すべての時間に渡るデータを保持する必要がないため、メモリ8の記憶容量を削減できる。
また、表示画面の時間幅を切り替える際は、メモリ8内の複数の記憶領域S1〜Syのうちの表示データ取り出し先を切り替えるだけでよく、データの間引き抽出等が不要となるため、切り替えに要する時間を短縮し、表示エラーの発生を防止することができる。
記憶領域S1〜Syのデータサンプリングのインターバルを、表示領域53に表示される時間幅に対応させるようにしてもよい。例えば、n=200で時間幅3分の表示データを記憶領域S1に格納させたい場合、データサンプリングのインターバルは0.9秒(=180秒÷200)となる。同様に、時間幅30分の表示データを記憶領域S3に格納させたい場合、データサンプリングのインターバルは9秒(=1800秒÷200)となる。記憶領域S1〜Syの各々のデータサンプリングのインターバルを制御部9が制御するようにしてもよい。
上記各実施形態において、界面レベル計は、超音波センサでなく、反射型の光学式濁質濃度測定器を用いてもよい。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
1 信号生成回路
2 超音波センサ
3 増幅回路
4 A/D変換器
5 表示部
6 界面レベル算出部
7 グラフィック変換部
8 メモリ
9 制御部

Claims (6)

  1. 超音波又は光を送出し、懸濁物堆積層又は微粒子展開層を含む水中で反射した超音波又は光を受信するセンサと、
    前記センサによる受信信号に基づいて、前記懸濁物堆積層又は微粒子展開層と上澄水との界面の位置を算出する算出部と
    を備え、
    前記算出部は、第1算出方法及び第2算出方法で前記界面の位置を算出することができ、
    前記第1算出方法では、受信時間の早い方から順に前記受信信号の強度と所定の第1閾値とを比較し、強度が前記第1閾値以上となった前記受信信号の受信時間から前記界面の位置を算出し、
    前記第2算出方法では、受信時間の早い方から順に前記受信信号の強度と所定の第2閾値とを比較し、強度が前記第2閾値以下となった前記受信信号の受信時間から前記界面の位置を算出することを特徴とする界面レベル計。
  2. 超音波又は光を送出し、懸濁物堆積層又は微粒子展開層を含む水中で反射した超音波又は光を受信するセンサと、
    前記センサによる受信信号に基づいて、前記懸濁物堆積層又は微粒子展開層と上澄水との界面の位置を算出する算出部と
    を備え、
    前記算出部は、第1算出方法及び第2算出方法で前記界面の位置を算出することができ、
    前記第1算出方法では、受信時間の早い方から順に前記受信信号の強度と所定の第1閾値とを比較し、強度が前記第1閾値以上となった前記受信信号の受信時間から前記界面の位置を算出し、
    前記第2算出方法では、前記受信信号の強度方向を反転し、受信時間の早い方から順に前記受信信号の反転強度と所定の第2閾値とを比較し、反転強度が前記第2閾値以上となった前記受信信号の受信時間から前記界面の位置を算出することを特徴とする界面レベル計。
  3. 超音波又は光を送出し、懸濁物堆積層又は微粒子展開層を含む水中で反射した超音波又は光を受信するセンサと、
    前記センサによる受信信号に基づいて、前記懸濁物堆積層又は微粒子展開層と上澄水との界面の位置を算出する算出部と
    を備え、
    前記算出部は、第1算出方法及び第2算出方法で前記界面の位置を算出することができ、
    前記第1算出方法では、受信時間の早い方から順に前記受信信号の強度と所定の第1閾値とを比較し、強度が前記第1閾値以上となった前記受信信号の受信時間から前記界面の位置を算出し、
    前記第2算出方法では、前記受信信号の強度方向を反転し、超音波送信から所定時間経過時を開始点として受信時間の早い方へ向かって順に前記受信信号の反転強度と所定の第2閾値とを比較し、反転強度が前記第2閾値以下となった前記受信信号の受信時間から前記界面の位置を算出することを特徴とする界面レベル計。
  4. 請求項1乃至のいずれか1項において、前記算出部は、水中に汚水が流入していない時は前記第1算出方法で前記界面の位置を算出し、水中に汚水が流入している時は前記第2算出方法で前記界面の位置を算出することを特徴とする界面レベル計。
  5. 請求項1乃至のいずれか1項において、前記センサは、超音波又は光の送出及び反射波の受信を複数回行い、
    前記算出部は、複数の受信信号の強度の平均値を用いて前記界面の位置を算出することを特徴とする界面レベル計。
  6. 請求項1乃至のいずれか1項において、前記算出部により算出された前記界面の位置を表示する表示部をさらに備えることを特徴とする界面レベル計。
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