JP2011047760A - 界面レベルの検出方法および固液分離槽の管理方法 - Google Patents

界面レベルの検出方法および固液分離槽の管理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】汚泥堆積層と上澄水相との界面のみを検出するのではなく、汚泥堆積層内の層同士の界面を検出することができる方法と、この方法を用いた固液分離槽の管理方法を提供する。
【解決手段】汚泥は、固液分離槽20内を徐々に沈降していき、汚泥堆積層を形成する。この汚泥堆積層は、最上部が自由沈降層であり、その下側に順次、凝集沈降層、圧密沈降層および濃縮層が形成される。各層同士の間の界面を検出するための界面レベル計を用い、1〜60秒に5回以上受信信号強度を読み込み、その平均値を受信信号強度とする。このデータを用いて各層同士の間の界面を求める。
【選択図】図1

Description

本発明は、固液分離槽の汚泥堆積層内における層界面の位置を測定する界面レベルの検出方法と、この方法を利用した固液分離槽の管理方法に関する。
工場における廃水処理設備や下水処理設備には、排水(汚水)を固液分離するための沈殿槽や沈砂池といった固液分離槽が設けられる。固液分離槽における汚泥の堆積量を監視するために、例えば超音波センサを用いて固液分離槽の底面に向けて超音波を送信し、反射波の受信タイミングおよび強度を解析して、汚泥と上澄水との界面の位置(深度)を計測することが行われている(例えば特許文献1〜6参照)。
固液分離槽内の界面を検出するためのパルス反射式超音波界面レベル計を使った従来方法では、水面から見て超音波反射強度が急に大きくなった位置、もしくは予め設定した反射強度を超えた位置を汚泥界面レベルとする。
固液分離槽の管理を行う場合、汚泥界面レベルは、上澄水相と汚泥堆積層との境界位置ではなく、自由沈降層と凝集沈降層との境界付近とするのが好ましい。しかしながら、従来法による計測では、上澄水と自由沈降層の境界位置を界面レベルとして検出されることが多い。被計測系の状態が変わった場合、例えば沈殿槽に供給流入するSS濃度(汚泥濃度)が高くなった場合にこのようなケースが起きやすい。また、上澄水相に浮遊汚泥が存在していたり、気泡が放出されている場合には、このような異物による反射を拾ってしまい、これを界面レベルとして検出してしまうため、汚泥界面レベルを的確に計測することができない。
従来、汚泥濃度計を用いた直接計測の場合には、第7図のように、センサーを水中に浸漬し、徐々に下降させる。第7図に示すセンサ70は透過・減衰型の超音波センサである。発振部71および受信部72が、水平方向に適当な間隔をあけて対向するように支持部材73に取り付けられている。発振部71から送信された超音波は、水平方向の経路を経て受信部72に到来し、受信部72はこの超音波を受信する。受信部72によって受信される超音波は周囲の懸濁物濃度に応じた減衰を示す。
初めのうちは上澄域であることから計測器が示す数値(濃度)はほぼ0mg/Lであるが、あるところから急に濃度が高くなり、この位置が界面として記録される。しかしながら、汚泥フロックが解体していたり、分散していたりしているときには、水面付近から深さ方向へ連続的に濃度が上昇していくために、濃度情報だけでは濁りと汚泥堆積層の区別がつきにくく、汚泥界面レベルを的確に計測することができない。また、基準となる濃度(閾値)を設定し、この濃度を超えたときの位置を汚泥界面レベルとする方法も採用されるが、被計測系の状態が変わった場合、例えば沈殿槽に供給流入するSS濃度(汚泥濃度)が高くなった場合に自由沈降層内部におけるSS濃度の急激な変化位置を汚泥界面と計測してしまうことがある。
さらに、汚泥層の中にセンサーを直接浸漬させるため、層分布を破壊してしまうこともある。したがって、従来技術による方法では、固液分離槽の管理を行なう上で適切な界面位置、すなわち自由沈降槽と凝集沈降層との境界付近を界面レベルとして検出することは難しい。
実開平4−73890号公報 実用新案登録第2549316号公報 実用新案登録第2552067号公報 特許第2689008号公報 特許第2895682号公報 特許第2855552号公報
本発明は、汚泥堆積層と上澄水相との界面のみではなく、汚泥堆積層内の層同士の界面も検出することができる方法と、この方法を用いた固液分離槽の管理方法を提供することを目的とする。
本発明(請求項1)の界面レベルの検出方法は、固液分離槽内の液中において、超音波または光を送出すると共に、汚泥堆積層を含む水中を伝播した超音波または光を受信するセンサを用い、該センサからの信号に基づいて、前記汚泥堆積層と上澄水との界面の位置を検出すると共に、該汚泥堆積層内の最上層を占める自由沈降層とその下側の凝集沈降層との界面を検出する方法であって、該汚泥堆積層内の最上部において槽の深さ方向におけるセンサの受信信号強度分布が一定である帯域を自由沈降層とし、該自由沈降層の受信信号強度よりも受信信号強度分布が大きくなり始める位置を自由沈降層と凝集沈降層との界面とすることを特徴とするものである。
請求項2の界面レベルの検出方法は、請求項1において、受信信号強度は、1〜60秒の間に得られる5個以上の受信信号強度の移動平均法または相加平均法で求めた平均値であることを特徴とするものである。
請求項3の界面レベルの検出方法は、請求項1または2において、槽の深さ方向における受信信号強度分布が小さくなり始める位置を凝集沈降層とその下側の圧密沈降層との界面とすることを特徴とするものである。
請求項4の界面レベルの検出方法は、請求項3において、槽の深さ方向における受信信号強度分布が減少した後、再び大きくなり始める位置を凝集沈降層とその下側の濃縮層との界面とすることを特徴とするものである。
請求項5の固液分離槽の管理方法は、請求項3または4の方法によって検出される凝集沈降層の厚みを監視することを特徴とするものである。
請求項6の固液分離槽の管理方法は、請求項5において、凝集沈降層の層高が経時的に増加するときには、固液分離槽からの汚泥の引抜き量を増加させることを特徴とするものである。
請求項7の固液分離槽の管理方法は、請求項5において、凝集沈降層の層高が経時的に減少するときには、固液分離槽からの汚泥の引抜き量を減少させることを特徴とするものである。
固液分離槽内における汚泥堆積層は、図1、図2に示すように、それぞれの状態、作用機構によって、自由沈降層、凝集沈降層、圧密沈降層、濃縮層に分けることができる。本発明では、これらの層の界面を検出する。自由沈降層では、懸濁粒子または汚泥フロック同士が互いに干渉することなく、重力と下降流とによって沈降している。凝集沈降層では懸濁粒子または汚泥フロック同士が互いに干渉しながら濃縮沈降している。圧密沈降層では、粒子または汚泥フロックが互いに接触し間隙水が抜けながら濃縮沈降している。濃縮層では、他の沈降層とは異なり、汚泥掻き寄せレーキと沈殿槽底部の円錐状テーパー部により汚泥が濃縮される。そのため、この濃縮層は、機械的濃縮層とも呼ばれる。
凝集沈降層の厚み(高さ)は、汚泥の沈降性あるいは濃縮性に関係しており、これを長期間のトレンドで監視することで、該汚泥の沈降性変化を評価することができる。この凝集沈降層の層高が高くなってきた場合には、汚泥の濃縮性が悪くなってきているので、そのままの汚泥の引抜きまたは返送流量では不足し、汚泥界面レベルが上昇してしまうため、引抜きまたは返送流量を増加すべきであるという情報が得られる。逆に、この凝集沈降層の層高が低くなってきた場合には汚泥の濃縮性が良くなってきているので、そのままの汚泥の引抜きまたは返送流量では過剰となり、汚泥界面レベルが下降してむしろ濃縮に必要な時間が不足してしまい、濃縮度が低下してしまうため引抜きまたは返送流量を減少させるべきであるという情報が得られ、適正な運転管理が可能となる。
なお、従来の方法で界面レベルを計測して管理すると、自由沈降層の上部や異物による反射位置を界面レベルと判断してしまうことから汚泥の沈降性あるいは濃縮を考慮せず過剰な引抜きや返送を行なってしまい、界面レベルが下がってしまうケースが起こりやすい。この結果、固液分離槽で該汚泥の濃縮に必要な時間が不足し効率の悪い運転となってしまうが、本発明ではこのような問題を解決することができる。
固液分離槽内の層分布(深さ−汚泥濃度)を示す説明図である。 固液分離槽内の層分布(断面)を示す説明図である。 超音波反射パルスの受信信号強度の分布を示すグラフである。 超音波反射パルスの受信信号強度の分布を示すグラフである。 界面レベル検出計のブロック図である。 超音波センサの構造図である。 濃度計を用いた固液分離槽の断面図である。 受信信号強度の移動平均法による平均化模式図である。 受信信号強度の相加平均法による平均化模式図である。 表示部のグラフィック画像の例である。
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。
第1,2図の通り、固液分離槽20のフィードウェル21に汚泥を含有した懸濁液が供給される。
この汚泥は、槽20内を徐々に沈降していき、固液分離され汚泥堆積層を形成する。この汚泥堆積層は、最上部が自由沈降層であり、その下側に順次、凝集沈降層、圧密沈降層および濃縮層が形成される。
自由沈降層では存在する粒子または汚泥フロック同士が互いに干渉することなく、重力と下降流とによって沈降している。従って、自由沈降層では、濃縮作用はほとんど起こらない。凝集沈降層では粒子または汚泥フロック同士が互いに干渉しながら濃縮沈降している。圧密沈降層では、粒子または汚泥フロックが互いに接触し間隙水が抜けながら濃縮沈降している。濃縮層では、他の沈降層とは異なり、汚泥掻き寄せレーキによる機械的な力と固液分離槽20の底部のテーパー部の立体的な形状により汚泥が濃縮される。
第1図の通り、槽20の深さ方向における汚泥濃度の分布をみると、自由沈降層では汚泥濃度は深さ方向においてほぼ一定である。凝集沈降層になると、汚泥濃度は急激に立ち上がる。第1図の深さ−汚泥濃度分布図において、汚泥濃度曲線は、この凝集沈降層において下に凸の曲線である。即ち、凝集沈降層内において汚泥濃度は深いほど大きく、しかも深いほど、単位深さ当りの汚泥濃度の増加率が大きい。
圧密沈降層および濃縮層においても、汚泥濃度は深いほど大きくなる。ただし、深さ−汚泥濃度図において、この圧密沈降層および濃縮層では汚泥濃度の線は略直線となる。また、圧密沈降層に比べて、濃縮層では重力以外の力が加わるため深さ方向における汚泥濃度の増加は大きくなる。
本発明者は、係る固液分離槽における汚泥の堆積状態とセンサーの受信信号に現れる挙動とを詳細に調査し、この挙動を原理的に関係づけて説明できることを見出したことにより、本発明に至った。
第5図に、超音波パルス反射方式を用い各層同士の間の界面を検出するための界面レベル計の概略構成を示す。この界面レベル計は、信号生成回路1、超音波センサ2、増幅回路3、アナログデジタル変換器(以下、A/D変換器と称する)4、表示部5、界面レベル算出部6とを備え、さらにグラフィック変換部7、メモリ8、および制御部9を備える。
第6図に示すように、超音波センサ2は発振(発信)部2aおよび受信部2bを有し、固液分離槽2内の水面直下に設置されている。発振部2aは、信号生成回路1により生成された電気信号を超音波振動子に与え、下方に向かって送信する。
送信された超音波は、汚泥や固液分離槽10の底面等によって反射される。反射波は受信部2bによって受信される。受信部2bによる受信信号は増幅回路3によって増幅され、A/D変換器4によりデジタル信号に変換された後、表示部5、界面レベル算出部6、およびグラフィック変換部7へ出力される。
表示部5は、A/D変換器4から受け取ったデジタル信号に基づいて、超音波送信からの時間経過に伴う反射強度(受信強度)の変化を示すグラフを表示領域5aに表示する。表示部5は、例えば縦軸に経過時間、横軸に反射強度をとるグラフを表示する。なお、超音波送信から受信までの時間は、超音波の反射位置の深さに対応するため、縦軸を深さとして表示することもできる。
界面レベル算出部6は、A/D変換器4から受け取ったデジタル信号に基づいて、固液分離槽内における深さ方向の受信信号強度(反射強度)の分布図を作成する。なお、自由沈降層においては、粒子が自由に沈降しており、第3図の如く受信信号強度は短時間のうちに激しく変動する。そこで、特に自由沈降層においては、1〜60秒に5回以上、例えば、1秒間に5回発振・送信し、返って来た反射パルスを5秒間、すなわち25個のデータを取得し、(1)1データ追加される毎に平均化していく方法:移動平均法(第8図)または、(2)25データ毎に平均化していく方法:相加平均法(第9図)のいずれかの方法で得た平均値を受信信号強度とする。これにより、第4図の如く安定した受信信号強度分布図が得られる。
本発明の形態では、超音波振動子を水面付近に設置し、ここから超音波パルスを送信し、反射物からの反射を受信することで反射物の位置(深さ)、物体の状態(物性、大きさ)などを検出する。したがって、存在する反射物の下には該反射物手前(上側)よりも信号レベル(強度)の弱いパルスしか届かない。このため、もし反射物Aの下に、反射物Aとまったく同一の反射物Bがあったとしても、反射物Bで反射して返ってきた反射パルスの強度は、反射物Aで反射して返ってきた反射パルスの強度よりも弱い。このような反射物が連続している場合には、反射物Aの上面での反射強度を極大とし、減衰カーブを描いて下に行くほど反射パルスは弱くなる。一方、反射物Aよりも反射物Bが大きいこと、または、密度が高いことなどにより反射率が大きい場合には、反射物Bからの反射パルスの強度は、反射物Aと同等の場合もあるし、弱い場合、強い場合のいずれの状態も存在し得る。本発明はこのような作用の下に成り立っている。
これを汚泥堆積層に当て嵌めると次のようになる。
第4図の通り、上澄水相と自由沈降層との界面において受信信号強度は階段状に増加する。自由沈降層の帯域においては、水中に粒子や汚泥フロックがお互い接触干渉しない状態で沈降しており、粒子や汚泥フロック間には距離がある。1つの粒子や汚泥フロックで反射される超音波パルスは微小であるため反射パルス自体は弱く、粒子や汚泥フロックに反射されなかった超音波パルスが次の粒子または汚泥フロックに当たり反射が起こる。よって自由沈降層の帯域においては、深さ方向に向かって受信信号強度は一定であるか、または僅かに減少(減衰)する。
自由沈降層から凝集沈降層に移行すると、汚泥濃度の増大に伴なって受信信号強度は急激に増加する。これは前記の作用によって説明できる。すなわち、凝集沈降層では粒子や汚泥フロック間の距離が近くなり、接触し、隙間がなくなると共に、沈降速度が著しく低下する。このため自由沈降層と凝集沈降層上部からの反射パルスを比較した場合、凝集沈降層上部からの反射パルスの方が著しく強い。凝集沈降層の内部では深さ方向に向かって濃度が急激に上昇するため、十分な超音波パルスを発振している場合には、反射によって伝播するパルスの強度が減少するよりも反射パルスの増加が上回る。そのため、自由沈降層と凝集沈降層の境界面においては、その上部において急激に反射パルスの強度が増加し、凝集沈降層の帯域においては、深さ方向に向かって受信信号強度はほぼ一定である。この帯幅は、該汚泥の沈降/濃縮性が良い場合には狭くなり、沈降/濃縮性が悪い場合には広くなる。
次に、凝集沈降層から圧密沈降層に移行すると、受信強度は急激に減少するようになる。これは、次の理由による。即ち、粒子や汚泥フロックが接触して動きが制限され一種の不動層を形成するので反射強度が急激に増加し、このため深さ方向へ伝播していく超音波パルスが弱くなる。一方で、汚泥濃度の増加度が減少することから反射によって伝播するパルスの強度の減少が反射パルス増加を上回る。よって圧密沈降層の帯域においては、深さ方向に向かって受信信号強度は急激に減少するようになる。
圧密沈降層から(機械)濃縮層に移行すると、それまでの重力と下降流に頼っていた濃縮系が、汚泥掻き寄せレーキによる機械的な力が加わり、底部のテーパー部による立体的な形状による強制的な力が加わる系になることで汚泥濃度が加速度に増加し、特に凝縮力が強い場合には塊状となって一種の固層を形成するのでこの帯域での反射強度が急激に増加する。よって、圧密沈降層と(機械)濃縮層の境界面において、受信信号強度は極小値から再び急激に増加する。
(機械)濃縮層の下面は固液分離槽の底面となり、コンクリートや金属、樹脂等の固体でできているため、上記汚泥堆積層とはまったく異なる強い反射を示す。
以上のような状態を総合すると、第4図のようなプロフィールとなる。
さて、得られた平均値は第4図のようになるが、固液分離槽の状態は常に変化する。これは界面レベルの位置の変化だけでなく、前記のように固液分離槽へ供給流入する汚泥濃度や流入量が変化することにもよる。この場合、自由沈降層から反射して返ってくる超音波パルス、すなわち受信信号強度は大きくなることがある。このような状態を、第4図に示すグラフを時系列的に並べたり、スライドのように時間送りして、状態のトレンド変化を確認することもできる。本発明者は既にこのような信号をグラフィック変換し、この画素列データを時系列的に並べて表示できるような界面レベル計を提案している。本発明においてもこの種の界面レベル計を利用することができる。
界面レベル算出部6は、算出した第1図または第4図のデータを表示部5に出力し、表示領域5bに表示させる。また、界面レベル算出部6は、算出した各界面レベルをメモリ8へ出力する。
グラフィック変換部7は、表示部5の表示領域5cに超音波反射強度の変遷をカラー表示するために、A/D変換器4から受け取ったデジタル信号の値を、表示領域5cの階調に対応した値(画素データ)に変換し、変換後の画素データをメモリ8へ出力する。
メモリ8は複数の記憶領域S1〜Syを有する。記憶領域S1〜Syは、グラフィック変換部7から画素データを受け取ると、表示領域5cの1画素列分の表示データ(画素列データ)として格納する。記憶領域S1〜Syは、新しいデータの格納に伴い、今まで記憶していたデータのうち一番古いデータを廃棄(消去)する。
記憶領域S1〜Syは、設定されたインターバル(時間間隔)を空けて、次の新しい画素データをグラフィック変換部7から受け取り、格納する。記憶領域S1〜Syに格納されている画素列データのうち、新しい方から所定のデータ数を用いることで、表示領域5cに超音波受信強度分布の変遷をカラー表示することができる。また、表示データに界面レベルLVや水温Tが含まれている場合、表示領域5cは、カラー画像と併せてあるいは単独で(画像データは消す)、界面レベルや水温の変遷を表示することができる。
記憶領域S1〜Syはそれぞれ異なるデータのサンプリングインターバルが設定されている。例えば、記憶領域S1は1秒、記憶領域S2は3秒、記憶領域Sy−1は50分、記憶領域Syは100分のインターバルが設定される。表示領域5cの画素列が200列ある(n=200)場合を考える。
この時、記憶領域S1のデータを用いると、表示領域5cには表示幅200秒(=1秒×200)の変遷を表示できる。同様に、記憶領域S2のデータを用いると表示幅10分(=3秒×200)、記憶領域Sy−1のデータを用いると表示幅約7日(≒50分×200)、記憶領域Syのデータを用いると表示幅約14日(≒100分×200)の変遷を表示できる。
従って、どの記憶領域に格納されている表示データを用いるかによって、表示部5の表示領域5cにカラー表示する超音波受信強度分布の変遷の時間幅を変更することができる。制御部9は、表示する時間幅の切り替え指示に基づいて、指示された時間幅に対応する記憶領域に格納されている表示データが表示部5に出力されるように制御する。また、図示しないスイッチを利用して、深度方向、時間方向の幅を変えずにスクロールして、任意の位置に移動して表示させることができる。
また、表示データにはグラフィック変換部7から受け取ったカラー表示用の画素データだけでなく、界面レベル算出部6から受け取った界面レベルLV、図示しない水温センサから受け取った水温T、時刻Cを含めてもよく、これらを表示部5に出力してもよい。また表示領域5cにトレンドを表示することもできる。カラー画像や界面レベルのトレンドは前記のように深さ表示(目盛)を、水面もしくはセンサー下面を基準としてもよく、槽の底面を基準としてもよい。この機構によって、界面レベルLVが画像のどの位置にあるかを比較し、該界面レベル計が適正な界面位置を検知し計測表示できているかどうかを確認することもできる。
メモリ8は、またその保有データを固液分離槽20の管理システム10に送信する。この管理システム10は、データ記録装置、ディスプレイおよびコンピュータ等を備えている。表示領域5aには、A/D変換器4から受け取ったデジタル信号に基づいて、超音波送信からの時間経過に伴なう反射強度(受信強度)の変化を示すグラフ(第3図)を表示することができるし、前記のように平均化したグラフ(第4図)を表示することもできる。このようなグラフと前記の作用を照らし合わせることで、汚泥界面の位置や、汚泥堆積層の各帯域の位置を知ることができるが、この操作を連続して行ない、状態監視するのは容易ではない。さて、表示領域5cでは、第10図のようなグラフィック画像が表示される。この機能を利用すると、各帯域の位置や厚み(高さ)の変遷を容易に知ることができ、この変遷から該汚泥の状態変化を推測することが可能になる。
凝集沈降層の厚み(高さ)は、汚泥の沈降性、または濃縮性に関係しており、これを長期間のトレンドで監視することで、該汚泥の沈降性変化を評価することができる。この凝集沈降層帯の層高が高くなってきた場合には、汚泥の濃縮性が悪くなってきているので、そのままの汚泥の引抜きまたは返送流量では不足し、汚泥界面レベルが上昇してしまうため、引抜きまたは返送流量を増加すべきであるという情報が得られる。逆に、この凝集沈降層帯の層高が低くなってきた場合には汚泥の濃縮性が良くなってきているので、そのままの汚泥の引抜きまたは返送流量では過剰となり、汚泥界面レベルが下降してしまうため引抜きまたは返送流量を減少させるべきであるという情報が得られ、適正な運転管理が可能となる。
固液分離槽は、固液分離と同時に懸濁物(汚泥)の濃縮も行われる。固液分離槽の管理は、汚泥の引抜きによる適切な汚泥界面レベルの維持を目的とする。自由沈降層と凝集沈降層との境界の位置が存在するように管理することにより、固液分離槽を適切に管理することができる。
また、凝集沈降層の厚み(層高)は、汚泥の沈降性、または濃縮性の良し悪しを表わすので、該処理系の状態を管理する上で有効な指標である。従来の固液分離槽の運転管理に際して、汚泥の沈降性の指標としてSV30(Sludge Volume 30分)が用いられている。これは、汚泥懸濁液をメスシリンダーに収容し、30分経過して清澄相と汚泥相とに2相分離させたときの汚泥相(汚泥層)の体積を求める方法である。このSV30が凝集沈降層の状態を表わしており、沈降性が悪い(即ちSV30計測値が大きい)場合には凝集沈降層高は厚くなり、沈降性が改善する(即ちSV30計測値が小さくなる)と凝集沈降層高は小さくなる。本発明では、SV30の計測を行うことなく、リアルタイムで固液分離槽の沈降状況を検知することができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。例えば、本発明の実施の形態として説明した超音波方式に替えて、レーザ光等を利用した光反射方式を利用して具体化することもできる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
1 信号生成回路
2 超音波センサ
3 増幅回路
4 A/D変換器
5 表示部
6 界面レベル算出部
7 グラフィック変換部
8 メモリ
9 制御部
10 固液分離槽管理システム
20 固液分離槽
21 フィードウェル

Claims (7)

  1. 固液分離槽内の液中において、超音波または光を送出すると共に、汚泥堆積層を含む水中を伝播した超音波また光を受信するセンサを用い、
    該センサからの信号に基づいて、前記汚泥堆積層と上澄水との界面の位置を検出すると共に、該汚泥堆積層内の最上層を占める自由沈降層とその下側の凝集沈降層との界面を検出する方法であって、
    該汚泥堆積層内の最上部において槽の深さ方向におけるセンサの受信信号強度分布が一定である帯域を自由沈降層とし、
    該自由沈降層の受信信号強度よりも受信信号強度分布が大きくなり始める位置を自由沈降層と凝集沈降層との界面とすることを特徴とする界面レベルの検出方法。
  2. 請求項1において、受信信号強度は、1〜60秒の間に得られる5個以上の受信信号強度の移動平均法または相加平均法で求めた平均値であることを特徴とする界面レベルの検出方法。
  3. 請求項1または2において、槽の深さ方向における受信信号強度分布が小さくなり始める位置を凝集沈降層とその下側の圧密沈降層との界面とすることを特徴とする界面レベルの検出方法。
  4. 請求項3において、槽の深さ方向における受信信号強度分布が減少した後、再び大きくなり始める位置を凝集沈降層とその下側の濃縮層との界面とすることを特徴とする界面レベルの検出方法。
  5. 請求項3または4の方法によって検出される凝集沈降層の厚みを監視することを特徴とする固液分離槽の管理方法。
  6. 請求項5において、凝集沈降層の層高が経時的に増加するときには、固液分離槽からの汚泥の引抜き量を増加させることを特徴とする固液分離槽の管理方法。
  7. 請求項5において、凝集沈降層の層高が経時的に減少するときには、固液分離槽からの汚泥の引抜き量を減少させることを特徴とする固液分離槽の管理方法。
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