JP5935380B2 - 電子楽器、共鳴音付与方法及びプログラム - Google Patents
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Description
このようなダンパの制御により筐体等へ振動が伝搬されると、筐体等が振動して筐体や他の弦等が共鳴し合って、楽音に共鳴音が付加されて発音される。この共鳴音は、鑑賞者にとっては豊かな響きの音として認識されるという効果(以下、「共鳴効果」と呼ぶ)が得られる。
このように従来では、演奏条件によっては、付与される共鳴音が演奏の妨げになる恐れがあった。
以下、本発明の電子楽器の一実施形態を本実施形態の電子楽器について、図1乃至7を用いて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る電子楽器のハードウェアの構成を示すブロック図である。
電子楽器1は、例えば電子ピアノとして構成される。
RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等が適宜記憶される。
鍵盤17は、複数の鍵により構成され、演奏者により所定の鍵を押下する操作(以下、押鍵操作と呼ぶ)がされた場合に、鍵を識別するための鍵番号や、押鍵の強さ(ベロシティ)を示す情報をCPU11に出力したり、演奏者によって入力された各種情報をCPU11に出力したりする。CPU11は、鍵盤17への押鍵操作を検出して、押鍵された鍵に対応する楽音を後述する音響システム21から発音させる制御を実行する。
DSP20は、発音用のデータ(波形信号)から楽音データを生成して、生成した楽音データをアナログ波形信号(後述の音響システム21に準拠したオーディオ信号)に変換して、音響システム21に供給する。
共鳴の程度とは、共鳴効果の強弱であり、楽音に付加する共鳴音の強さの程度である。即ち、共鳴の程度は、多くなればなる程に、楽音がより響くようにして共鳴効果を強くし、少なくなる程に、楽音が響かないようにして、共鳴効果を弱くする。
本実施形態では、共鳴の程度は、アコースティックピアノにおいて実際にダンパペダルを操作した時の共鳴音である[普通]の共鳴の程度と、[普通]よりも共鳴の程度を多くして、楽音がより響くようにして共鳴効果を強くして、共鳴効果を際立たせる(強調)ようにした[強調]の共鳴の程度と、[普通]よりも共鳴の程度を少なくして、楽音が響かないようにして共鳴効果を弱くして、共鳴効果を際立たせない(抑制)ようにした[抑制]の共鳴の程度と、の3段階が自在に切り替え可能となるように設けられている。
また、楽音への共鳴音の付与の手法は、特に限定されず、例えば、楽音を原音と共鳴音に分けて、それぞれについてサンプリングデータを出力する手法や、音源19に記憶される波形信号等から共鳴音が付加された楽音を生成して、当該楽音を出力する手法や、種々の公知の又は今後登場するであろう残響音と共鳴音の生成技術を用いる手法を採用することができる。
音源19は、n個(nは2以上の整数値)の発音チャンネルCH1〜CHnを有する。発音チャンネルCHk(kは、1〜nのうち任意の整数値)には、第k番目の鍵が割り当てられており、当該第k番目の鍵に対応する波形信号が発音(出力)される。
即ち、第k番目の鍵が押鍵されると、CHk内において、WG(Wave Generator).CHにより信号が発生し、TVF(Time Variant Filter).CHにおいて当該信号に対してフィルタ処理が施され、TVA(Time Variant Amplifer).CHにおいて当該信号に対してアンプエンベロープ処理が施された後、CHkの波形信号(以下、「チャンネル信号」とも呼ぶ)として出力される。
各チャンネルCH1〜CHnのうち、押鍵された1以上の鍵の各々に割り当てられたチャンネルから出力されたチャンネル信号の各々は、次の4つの成分に分離される。即ち、チャンネル信号は、左側の原音の成分(以下、「左側原音成分」と呼ぶ)と、右側の原音の成分(以下、「右側原音成分」と呼ぶ)と、左側の共鳴音の成分(以下、「左側共鳴音成分」と呼ぶ)と、右側の共鳴音の成分(以下、「左側共鳴音成分」と呼ぶ)と、にそれぞれ分離される。
そして、音源19において、各チャンネルの各々から出力された左側原音成分が合算(レベル乗算後に累算)された信号、各チャンネルの各々から出力された右側原音成分が合算された信号、各チャンネルの各々から出力された左側共鳴音成分が合算された信号、及び各チャンネルの各々から出力された右側共鳴音成分が合算された信号は、それぞれ音源19から出力されてDSP20に入力される。
DSP20は、左側原音成分に対して、後述の共鳴回路41を通過した左側共鳴音成分を付加することで、左側の楽音信号として音響システム21に出力する。DSP20は、右側原音成分に対して、後述の共鳴回路41を通過した右側共鳴音成分を付加することで、右側の楽音信号として音響システム21に出力する。
この場合、DSP20は、CPU11により選択された共鳴の程度の共鳴音が付加された楽音の発音するように、左側共鳴音成分及び右側共鳴音成分のそれぞれを加工して、左側原音成分及び右側原音成分のそれぞれに付加する。
図3(a)は、ユーザにより共鳴の程度が選択される場合に用いられる設定テーブルの一例である。この設定テーブルは、例えば、RAM13等に記憶されている。
図3(a)の例では、6種の共鳴の程度のパターンが設定テーブルに登録されており、これら6種の共鳴の程度のパターンの中から、ダンパペダル18の操作(踏む操作と、踏まない未操作)に応じた一つのパターンが選択される。
なお、説明の簡略上、6種の共鳴の程度のパターンには、最も強調されるものから順に1〜6の番号がそれぞれ付されており、この番号が図3(a)に図示されている。
図3(a)の設定テーブルにおいて、「DP」はダンパを示しており、「DPあり」とは、ダンパペダル18を踏む操作をした状態(ON状態)であることを意味しており、「DPなし」とは、ダンパペダル18を踏む操作をしない又はダンパペダル18を踏む操作を解除した状態(OFF状態)を意味している。
「RE強調」とは、強調した共鳴音を付与した楽音を出力する状態を、「RE普通」とは、強調も抑制もしないで共鳴音を付与した楽音を出力する状態を、「RE抑制」とは、抑制した共鳴音を付与した楽音を出力する状態を、それぞれ意味している。
即ち、ユーザは、ダンパペダル18の操作の状態を変えて、「DPあり」又は「DPなし」を任意に選択し、設定や演奏条件に応じて「RE強調」、「RE普通」、又は「RE抑制」を任意に選択することで、番号1〜6のうちの任意の番号の共鳴効果のパターンを選択することができる。
具体的には例えば、ユーザが「DPあり」及び「RE強調」を選択することで、番号1の共鳴効果のパターン、即ち、共鳴効果を最も強調するパターンを選択することができる。同様に、ユーザが「DPなし」及び「RE抑制」を選択することで、番号6の共鳴効果のパターン、即ち、共鳴効果を最も抑制するパターンを選択することができる。
図3(b)の例では、押鍵されたコード毎に6種の共鳴の程度のパターンが設定テーブルに登録されており、これら6種の共鳴の程度のパターンの中から任意の種類がユーザにより設定され、ダンパペダル18の操作の状態に応じて共鳴の程度のパターンが選択される。
図3(b)の設定テーブルにおいて、「CD なし」とは、コード演奏が検出されなかった状態を意味している。「CD C」とは、Cのコード演奏が検出された状態を意味している。「CD C♯」とは、C♯のコード演奏が検出された状態を意味している。「CD D」とは、Dのコード演奏が検出された状態を意味している。
即ち、ユーザは、ダンパペダル18の操作の状態を変えて、「DPあり」又は「DPなし」を任意に選択し、検出されたコード演奏の種類で設定や演奏条件に応じた「RE強調」、「RE普通」、又は「RE抑制」を任意に選択することで、例えば、「CD なし」の場合には番号1〜6のうちの任意の番号の共鳴の程度のパターンを選択することができる。より具体的には、例えば、Cのコードに対応する複数の楽音と、ラの単音の楽音とが同時に発音される場合には、Cのコードに対応する複数の楽音に付与された共鳴音のみの共鳴の程度を変更する。
なお、本例では、コード間での共鳴の程度の関係は持たせないが、コードを同時に発音した際の音の相性等の関係を考慮して、コード間でも共鳴の程度に差を付けるように構成してもよい。
本テーブルの例では、押鍵状態を数値化した値により、共鳴の程度を設定する。具体的には、所定の押鍵数(押鍵の強さ)を閾値として設定して、当該閾値との関係で共鳴の程度を決定する。例えば、閾値よりも押鍵数が多い場合には「RE抑制」を選択する。また、閾値と押鍵数が同じになる場合には「RE普通」を選択する。また、閾値よりも押鍵数が少ない場合には「RE強調」を選択する。
このようにテーブルを設定することで、押鍵数が多い場合には、多数の楽音に共鳴音が付される場合でも、共鳴の程度を抑制するために楽音が不明瞭となることを防ぐことができる。
また、逆に押鍵数が少ない場合には、押鍵に対応した楽音に付加する共鳴音の共鳴の程度を強調させるようにすることで、少ない楽音でも共鳴効果をより際立たせることができる。また、他に発音されている楽音があっても、押鍵に対応した楽音のみを積極的に際立たせることができる。
また、本テーブルの例では、単に押鍵数(押鍵の強さ)を、演奏状態を示す要素として用いたがこれに限られない。例えば、押鍵数(押鍵の強さ)に、演奏モード等の押鍵している時の電子楽器1の演奏モードを加味して、閾値を決定してもよい。
図4は、図1の電子楽器1が実行する演奏処理の流れを説明するフローチャートである。
ここで、演奏処理とは、鍵盤17及びダンパペダル18への操作状態に基づいて、押鍵した楽音と共に予め設定した楽音に対応した共鳴音を音響システム21から出力する一連の処理である。
演奏処理は、ユーザの操作子16に対する所定の操作により、演奏処理の開始が指示されることを契機に開始され、次のような処理が実行される。
また、本実施形態においては、電子楽器1は、原音成分(以下、原音用信号と呼ぶ)の信号に共鳴成分(以下、共鳴用信号と呼ぶ)を付加して、共鳴音を付加した楽音を生成する。
共鳴音を付加した楽音の生成に際して、電子楽器1は、共鳴の程度を選択する、即ち、共鳴の程度に合致した共鳴用信号を選択する。そして、電子楽器1は、選択した共鳴の程度の共鳴用信号を原音信号に付加して、共鳴音を付加した楽音を生成して、発音(出力)する。
スイッチ処理とは、ユーザの操作子16に対する所定の操作により、複数の選択肢が存在するモードについて所定の選択肢を選択したり、複数の状態が存在するフラグについて初期状態を選択したりして、設定する処理をいう。
例えば、本実施形態のスイッチ処理は、各種の演奏モード(「レイヤモード」、「スプリットモード」、「曲中モード」、「コードモード」、「自由演奏モード」等)のうちユーザにより選択されたモードが設定される。
「レイヤモード」とは、1つの鍵に複数の楽音が割り当て可能なモードであり、1つの鍵を押鍵しただけで、複数の音を出すことができるモードである。
「スプリットモード」とは、鍵盤の領域を分けて、複数の楽音(音色)が割り当て可能なモードであり、それぞれの鍵域で異なる楽音を出すことができるモードである。
「曲中モード」とは、演奏している背景で曲が自動演奏されているモードである。
「コードモード」とは、1つの鍵にコードが割り当て可能なモードであり、1つの鍵を押鍵しただけでコードの音を出力することができる。
「自由演奏モード」とは、アコースティックピアノと同一の設定の音を出力するモードである。
押鍵検出処理とは、押鍵された鍵番号や押鍵の強さ(ベロシティ)等の押鍵情報を取得することで、押鍵を検出する処理である。
ペダル検出処理は、ダンパペダル18を踏む操作がされたか否かを検出する処理である。
共鳴用信号選択処理とは、ステップS2のスイッチ処理における共鳴の程度の設定に基づいて、ステップS4のペダル検出処理で検出されたダンパペダル18の操作を加味して、ステップS3の押鍵検出処理で検出された押鍵された楽音に付加する共鳴の程度を選択する。
本実施形態においては、共鳴の程度に対応した共鳴用信号の選択は、ユーザが任意で設定した共鳴の程度となるように、図3(a)の設定テーブルに基づいて選択される。
共鳴用信号選択処理の詳細については、図5を用いて後述する。
発音処理とは、ステップS3の押鍵検出処理で検出された押鍵された楽音に、ステップS5の共鳴用信号選択処理で選択された共鳴音を付加して、音響システム21から発音(出力)する処理である。具体的には、ユーザにより、「RE=抑制」の設定がされていた場合には、ステップS3の押鍵検出処理で検出された押鍵された楽音に、抑制した共鳴用信号を選択付加して、音響システム21から発音(出力)する。
このようにして、電子楽器1は、ステップS5の共鳴用信号選択処理で選択された共鳴の程度に対応する共鳴用信号が付与された楽音を音響システム21から発音(出力)する。その後、演奏処理は終了する。
図5は、図1の電子楽器1が実行する共鳴用信号選択処理の詳細な流れを説明するフローチャートである。
共鳴用信号選択情報とは、本実施形態では、ダンパペダル18を踏む操作の有無の情報(以下、「ダンパペダル情報」と呼ぶ)と、共鳴の程度のモードの設定に関する情報(以下、「共鳴用信号選択モード情報」と呼ぶ)とをいう。
CPU11は、ステップS4のペダル検出処理におけるダンパペダル18を踏む操作の有無に関する情報と、ステップS2のスイッチ処理において設定された各種の共鳴の程度のモードに関する情報を、共鳴用信号選択情報として取得する。
ダンパ状態判定処理の詳細な流れについては、後述する。
具体的には、CPU11は、図3(a)に示す設定テーブルに基づいて、ダンパペダル18を踏む操作の有無において、設定されたモードに応じた共鳴の程度に対応する共鳴用信号を付加した楽音を発音する。
ステップS24の処理が終了すると、演奏処理に戻る。
図6は、図1の電子楽器1が実行する共鳴用信号選択処理うちダンパ状態判定処理の詳細な流れを説明するフローチャートである。
ステップS4においてダンパペダル18を踏む操作が検出された場合、即ち、ダンパオンであった場合には、ステップS41においてYESであると判定されて、処理はステップS42に進む。
ステップS42の処理が終了すると、共鳴用信号選択処理に戻る。
ステップS43の処理が終了すると、共鳴用信号選択処理に戻る。
図7は、図1の電子楽器1が実行する共鳴用信号選択処理うち選択モード判定処理の詳細な流れを説明するフローチャートである。
共鳴用信号選択モードが「RE=抑制」である場合には、ステップS62においてYESと判定されて、処理はステップS63に進む。
このようにして、共鳴用信号を抑制する選択を行うように設定する。
ステップS63の処理が終了すると、共鳴用信号選択処理に戻る。
このようにして、共鳴用信号を強調する選択を行うように設定する。
ステップS65の処理が終了すると、共鳴用信号選択処理に戻る。
このようにして、共鳴用信号を変更しないように選択を行うように設定する。
ステップS66の処理が終了すると、共鳴用信号選択処理に戻る。
CPU11は、鍵盤17からの楽音の発音を指示する。
また、CPU11は、ダンパペダル18からの楽音に対して、共鳴音の付与を指示する。
また、CPU11は、楽音の発音の指示がなされ、かつ、楽音に対して、共鳴音付与の指示がなされた場合に、所定の演奏条件に応じて、楽音に対する共鳴付与の程度を選択する。
CPU11は、選択された楽音の共鳴の程度で、当該共鳴音が付与された楽音のデータの出力を制御する。
従って、電子楽器1は、所定の演奏条件に応じて、選択された楽音の共鳴の程度で、当該共鳴音が付与された楽音のデータの出力を制御するために、例えば、押鍵数が多くなる場合には、共鳴の程度を抑制する設定を行うことで楽音が不明瞭にならず、また、押鍵数が少なくなる場合には逆に共鳴の程度を強調する設定を行うことで共鳴の効果を高めることができる。
よって、電子楽器1においては、演奏条件に適合した共鳴効果の付与が可能となる。
楽音の共鳴の程度は、第1実施形態ではダンパペダル18を踏む操作の有無と、ユーザによって予め設定されたパターンに基づいて決定したが、特に第1実施形態の例に限定されず、種々の演奏条件に基づいて決定することができる。
そこで、第2実施形態では、楽音の共鳴の程度は、固定モードと、非固定モードとに大きく別れる。
固定モードは、第1実施形態に相当するモードで、楽音の共鳴の程度を、ダンパペダル18を踏む操作の有無と、ユーザによって予め設定されたパターンに基づいて決定するモードである。
これに対して、非固定モードは、演奏条件に応じて、様々に共鳴の程度が変わるモードである。
この非固定モードでは、基本的に押鍵の状況(押鍵数や押鍵の強さ)に応じて共鳴の程度を選択する。この際、特定の演奏条件下にある鍵のみ、共鳴の程度の変更を行う。特定の演奏条件下にある鍵とは、1つの鍵に複数の楽音が設定された「レイヤ演奏」や鍵域に分割し、夫々の鍵域に異なる音色を割り当てた「スプリット演奏」を行うように設定された鍵である。
第2実施形態においては、上述した非固定モードで行われる共鳴の程度の選択を、後に詳述する閾値比較処理(後述するステップS86)で行う。
そこで以下、図8を参照して、第2実施形態の電子楽器1が実行する共鳴用信号選択処理についてのみ説明する。
図8は、図1の電子楽器1が実行する共鳴用信号選択処理の流れの一例であって、図5乃至7とは異なる例を説明するフローチャートである。
本実施形態では、CPU11は、ダンパ検出処理の処理結果であるダンパペダル情報と、予め設定テーブルで設定されたパターンの共鳴用信号選択モード情報と、を取得する。
設定されたモードが固定モードである場合には、ステップS83においてYESと判定され、処理はステップS84に進む。
第2実施形態では、電子楽器1は、種々の演奏条件のうち、押鍵の状態に基づいて、共鳴用信号の選択を行う。本ステップにおける閾値比較処理とは、押鍵の状態(例えば、押鍵数や押鍵の強さ(ベロシティ))を数値化した値と、設定した閾値とを比較して、比較結果に応じて、共鳴用信号の選択を行う処理である。なお、閾値比較処理の詳細な流れについては、後述する。
コードデータ取得処理とは、発音されるコードのデータを各種演奏モードに応じて取得する処理である。コードデータ取得処理において判断される各種演奏モードは、具体的には、「曲中モード」、「コードモード」、「自由演奏モード」である。
「曲中モード」は、押鍵等のユーザによる演奏の裏で曲が再生されるモードである。
「コードモード」は、所定のコードが割り当てられた鍵を押鍵するとコードが出力されるモードである。
「自由演奏モード」は、押鍵により所定のコードを演奏するモードである。
なお、コードデータ取得処理の詳細な流れについては後述する。
詳細には、CPU11は、固定モードである場合には、ステップS82のダンパ状態判定処理で判定されたDPと、ステップS84の選択モード判定処理で選択されたREとに基づいた共鳴の程度で共鳴用信号を選択する。
また、CPU11は、非固定モードである場合には、ステップS82のダンパ状態判定処理で判定されたDPと、ステップS86の閾値比較処理で選択されたREと、ステップS87のコードデータ取得処理で得たコードデータCDとに基づいた共鳴の程度で共鳴用信号を選択する。非固定モードである場合には、ステップS86の閾値比較処理で、押鍵の状態を考慮して、共鳴の程度の選択がなされる。例えば、押鍵数が多い場合には、共鳴が多いと押鍵に対応して発音する楽音が不明瞭になるために、共鳴の程度を抑制する選択がなされる。また、押鍵の強さが強い場合には、押鍵に対応して発音される楽音が強調されるように共鳴の程度を強調する選択がなされる。
このようにして、CPU11は、ステップS82のダンパ状態判定処理で判定されたDPと、ステップS84の選択モード判定処理又はステップS86の閾値比較処理で選択されたREと、ステップS87のコードデータ取得処理で得たコードデータCDとに基づいて、押鍵の状態に応じて共鳴用信号を選択して、共鳴用信号選択処理は、終了する。
従って、電子楽器1は、押鍵数又は押鍵の強さ(ベロシティ)を演奏条件とするために、例えば、押鍵数が多くなってしまった場合には、共鳴の程度を抑制するために楽音が不明瞭にならず、また、押鍵数が少ない場合には逆に共鳴の程度を強調するために共鳴の効果を高めることができる。
図9は、第2実施形態で実行する閾値比較処理の流れを示すフローチャートである。
その後、CPU11は、「レイヤ演奏」又は「スプリット演奏」が設定されている場合には、「レイヤ演奏」又は「スプリット演奏」が設定されている領域内の押鍵数(KM)をカウントし、カウントした押鍵数を値(ky)とする。
これに対して、CPU11は、「レイヤ演奏」又は「スプリット演奏」が設定されていない場合には、全鍵域における押鍵数(KM)をカウントし、カウントした押鍵数を値(ky)とする。
値(ky)が上限値以上であると判断した場合には、ステップS106においてYESと判断されて、処理はステップS107に進む。
値(ky)が下限値よりも下である場合には、ステップS108においてYESと判断されて、処理はステップS109に進む。
ステップS110において、CPU11は、強調又は抑制を行わない共鳴程度で楽音を発音する設定(RE=普通)を選択して、閾値比較処理を終了する。
図10は、図1の電子楽器1が実行するコードデータ取得処理の流れを示すフローチャートである。
曲中モードであると判定された場合には、ステップS131においてYESと判定されて、処理はステップS132に進む。
コードモードであると判定された場合には、ステップS133においてYESと判定されて、処理はステップS134に進む。
第2実施形態では、電子楽器の状態、例えば手引き演奏以外の曲や伴奏等による発音を加えた電子楽器全体の発音数を考慮せずに楽音の共鳴の程度を選択していた。しかしながら、電子楽器全体の発音数が増大すると、それに伴う共鳴音も必要以上に増大してしまい、演奏全体の雰囲気を損ねる場合がある。
そこで、第3実施形態では、第2実施形態の構成に、電子楽器全体の発音数を考慮して、楽音の共鳴の程度を選択(共鳴用信号を選択)するものとする。
さらに、取得した曲中コードデータ、コードモード判定結果、コード判定処理実行結果のそれぞれに対応した値が割り当てられる。具体的には、曲中コードの場合には、ステップS176でstの値として1(st=1)が割り当てられ、コードモードの場合には、ステップS178でstの値として2(st=2)が割り当てられ、自由演奏モードの場合には、ステップS180でstの値として3(st=3)が割り当てられる。
第2実施形態のステップS105に相当するステップS181では、押鍵の状態からカウントされた押鍵情報(KM)に、上述したステップS176,ステップS178,ステップS180で割り当てられたstの値が加味されて値(ky)とされる。CPU11は、ステップS182乃至ステップS186において、値(ky)に基づいて、RE=抑制、RE=強調、又はRE=普通の選択を行う。
第3実施形態においては、上述のことを考慮して、コードの取得状況に応じて押鍵情報(KM)にオフセット値を追加させたものである。
このように構成される電子楽器1において、CPU11は、同時に発音の指示された複数の楽音の音高及び音圧の組み合わせを演奏条件として、楽音の共鳴付与の程度を選択する。
従って、電子楽器1は、同時に発音の指示された複数の楽音の音高及び音圧の組み合わせ、即ちコードの取得状況を加味して、楽音の共鳴の程度を選択することにより、電子楽器全体の発音数に対応した共鳴の程度で楽音を発音(出力)することができる。
例えば、本発明は、楽音に演奏状態に応じた共鳴効果を付与する機能を有する電子楽器一般に適用することができる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えば汎用のパーソナルコンピュータであってもよい。
[付記1]
楽音の発音を指示する発音指示手段と、
前記発音された楽音に対して、共鳴音の付与を指示する共鳴付与指示手段と、
前記発音指示手段により発音指示がなされ、かつ、前記共鳴付与指示手段により共鳴音付与の指示がなされた場合に、所定の演奏条件に応じて、前記楽音に対する共鳴付与の程度を選択する共鳴程度選択手段と、
前記共鳴程度選択手段により選択された前記楽音の共鳴の程度で、当該共鳴音が付与された楽音のデータの出力を制御する楽音制御手段と、
を備えることを特徴とする電子楽器。
[付記2]
前記共鳴程度選択手段は、押鍵数及び押鍵の強さの少なくも一方を前記演奏条件として、前記楽音の共鳴付与の程度を選択する、
ことを特徴とする付記1に記載の電子楽器。
[付記3]
前記共鳴程度選択手段は、発音の指示された楽音の音高及び音圧の少なくとも一方を前記演奏条件として、前記楽音の共鳴付与の程度を選択する、
ことを特徴とする付記1に記載の電子楽器。
[付記4]
前記共鳴程度選択手段は、同時に発音の指示された複数の楽音の音高及び音圧の組み合わせを前記演奏条件として、前記楽音の共鳴付与の程度を選択する、
ことを特徴とする付記1に記載の電子楽器。
[付記5]
前記共鳴程度選択手段は、予め用意された伴奏音生成のための伴奏データに基づいて、前記演奏条件を決定する、
ことを特徴とする付記1乃至4の何れか1つに記載の電子楽器。
[付記6]
前記共鳴程度選択手段は、基準となる第1の共鳴付与の程度と、前記第1の共鳴付与の程度より共鳴付与の程度が強調された第2の共鳴付与の程度と、前記第1の共鳴付与の程度より共鳴付与の程度が抑制された第3の共鳴付与の程度の中から、共鳴付与の程度を選択する、
ことを特徴とする付記1乃至5の何れか1つに記載の電子楽器。
[付記7]
前記共鳴程度選択手段は、前記共鳴付与指示手段により共鳴付与の指示がなされた後は、前記楽音における共鳴付与の程度が一時的に強調されるように共鳴付与の程度を選択し、又は、前記共鳴付与の指示がなされなくなった後は、前記楽音における共鳴付与の程度が一時的に抑制されるように共鳴付与の程度を選択する、
ことを特徴とする付記1乃至6の何れか1つに記載の電子楽器。
[付記8]
電子楽器を制御するコンピュータを、
楽音の発音を指示する発音指示手段と、
前記発音された楽音に対して、共鳴音の付与を指示する共鳴付与指示手段と、
前記発音指示手段により発音指示がなされ、かつ、前記共鳴付与指示手段により共鳴音付与の指示がなされた場合に、所定の演奏条件に応じて、前記楽音に対する共鳴付与の程度を選択する共鳴程度選択手段と、
前記共鳴程度選択手段により選択された前記楽音の共鳴の程度で、当該共鳴音が付与された楽音のデータの出力を制御する楽音制御手段と、
として機能させることを特徴とするプログラム。
Claims (4)
- 楽音の発音を指示する発音指示手段と、
伴奏を付加するためのコードの取得状況に応じたオフセット値を前記発音の指示された楽音の同時発音数に加算した値が、予め定められた値を超えたか否かを判別する判別手段と、
前記判別手段により前記加算した値が前記予め定められた値を超えたと判別された場合は、前記加算した値が予め定められた数以下と判定された場合と比較して、前記発音の指示された楽音に付与される共鳴音の共鳴程度を抑制する共鳴音抑制手段と、
を備えることを特徴とする電子楽器。 - 前記判別手段は、前記コード取得のためにユーザーによる演奏を必要としたか否かを判別するとともに、前記ユーザーによる演奏を必要としたと判別された場合は、前記ユーザーによる演奏を必要としなかった場合と比較してより小さいオフセット値を加算する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子楽器。 - 楽音の発音を指示する発音指示手段を有する電子楽器に用いられる共鳴音付与方法であって、前記電子楽器が、
伴奏を付加するためのコードの取得状況に応じたオフセット値を前記発音の指示された楽音の同時発音数に加算した値が、予め定められた値を超えたか否かを判別し、
前記加算した値が前記予め定められた値を超えたと判別された場合は、前記加算した値が予め定められた数以下と判定された場合と比較して、前記発音の指示された楽音に付与される共鳴音の共鳴程度を抑制する、共鳴音付与方法。 - 楽音の発音を指示する発音指示手段を有する電子楽器として用いられるコンピュータに、
伴奏を付加するためのコードの取得状況に応じたオフセット値を前記発音の指示された楽音の同時発音数に加算した値が、予め定められた値を超えたか否かを判別するステップと、
前記加算した値が前記予め定められた値を超えたと判別された場合は、前記加算した値が予め定められた数以下と判定された場合と比較して、前記発音の指示された楽音に付与される共鳴音の共鳴程度を抑制するステップと、
を実行させるプログラム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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