JP5935380B2 - 電子楽器、共鳴音付与方法及びプログラム - Google Patents

電子楽器、共鳴音付与方法及びプログラム Download PDF

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Description

本発明は、演奏条件に適合した共鳴効果付与が可能な電子楽器、共鳴音付与方法及びプログラムに関する。
従来のアコースティックピアノ等の鍵盤楽器は、次のようにして発音する。即ち、鍵盤楽器は、演奏者により押鍵されるとハンマが弦を叩き、その結果、当該弦が振動することで発音する。このような鍵盤楽器にはダンパが設けられる。このダンパは、演奏者によりダンパペダルを踏む操作がなされることにより、弦との接触状態を変化させて弦から筐体等へ伝搬される振動を制御する。
このようなダンパの制御により筐体等へ振動が伝搬されると、筐体等が振動して筐体や他の弦等が共鳴し合って、楽音に共鳴音が付加されて発音される。この共鳴音は、鑑賞者にとっては豊かな響きの音として認識されるという効果(以下、「共鳴効果」と呼ぶ)が得られる。
特許文献1に記載の電子楽器は、演奏者によるダンパペダルを踏む操作がなされると、弦の振動ではなく、押鍵時に発音する楽音に対して、共鳴音を付加することで共鳴効果を奏している。
特開平7−210155号公報
しかしながら、上述した特許文献1に記載の技術においては、例えば、押鍵数が増えた場合には、共鳴音が発音する楽音に対応した数と同数の複数の共鳴音が楽音に付加されるために、付与される共鳴音が大きくなりすぎて楽音が不明瞭になってしまう、という問題が生じる。
このように従来では、演奏条件によっては、付与される共鳴音が演奏の妨げになる恐れがあった。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、演奏条件に適合した共鳴効果付与が可能な電子楽器、共鳴音付与方法及びプログラムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の一態様の電子楽器は、伴奏を付加するためのコードの取得状況に応じたオフセット値を前記発音の指示された楽音の同時発音数に加算した値が、予め定められた値を超えたか否かを判別する判別手段と、前記判別手段により前記加算した値が前記予め定められた値を超えたと判別された場合は、前記加算した値が予め定められた数以下と判定された場合と比較して、前記発音の指示された楽音に付与される共鳴音の共鳴程度を抑制する共鳴音抑制手段と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、いかなる演奏条件の下でも、その演奏条件に最も適合する共鳴音を付与することができる。
本発明の実施形態に係る電子楽器のハードウェアの構成を示すブロック図である。 音源と、DSPの構成の一例を示した模式図である。 設定テーブルの例を示す模式図である。 図1の電子楽器が実行する演奏処理の流れを説明するフローチャートである。 図1の電子楽器が実行する共鳴用信号選択処理の詳細な流れを説明するフローチャートである。 図1の電子楽器が実行する共鳴用信号選択処理うちダンパ状態判定処理の詳細な流れを説明するフローチャートである。 図1の電子楽器が実行する共鳴用信号選択処理うち選択モード判定処理の詳細な流れを説明するフローチャートである。 図1の電子楽器が実行する共鳴用信号選択処理の流れの一例であって、図5乃至7とは異なる例を説明するフローチャートである。 図1の電子楽器が実行する閾値比較処理の流れを示すフローチャートである。 図1の電子楽器が実行するコードデータ取得処理の流れを示すフローチャートである。 図1の電子楽器が実行する共鳴用信号選択処理の流れの他の例を示すフローチャートである。 図1の電子楽器が実行する閾値比較処理の流れの他の例を示すフローチャートである。
[第1実施形態]
以下、本発明の電子楽器の一実施形態を本実施形態の電子楽器について、図1乃至7を用いて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る電子楽器のハードウェアの構成を示すブロック図である。
電子楽器1は、例えば電子ピアノとして構成される。
電子楽器1は、図1に示すように、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、操作子16と、鍵盤17と、ダンパペダル18と、音源19と、DSP(Digital Signal Processor)20と、音響システム21と、ドライブ22と、を備えている。
CPU11は、ROM12に記録されているプログラム、又は、RAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等が適宜記憶される。
CPU11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。入出力インターフェース15には、操作子16と、鍵盤17と、ダンパペダル18と、音源19と、DSP20と、音響システム21と、ドライブ22が接続されている。
操作子16は、各種情報や設定等を入力するスイッチが含まれ、これらによる入力信号をCPU11に出力する。
鍵盤17は、複数の鍵により構成され、演奏者により所定の鍵を押下する操作(以下、押鍵操作と呼ぶ)がされた場合に、鍵を識別するための鍵番号や、押鍵の強さ(ベロシティ)を示す情報をCPU11に出力したり、演奏者によって入力された各種情報をCPU11に出力したりする。CPU11は、鍵盤17への押鍵操作を検出して、押鍵された鍵に対応する楽音を後述する音響システム21から発音させる制御を実行する。
ダンパペダル18は、演奏者の足下付近に配置され、演奏者の踏む操作に応じてON状態又はOFF状態をCPU11に通知する。ここで、ON状態とは、ダンパペダルが踏まれて、弦とダンパとが接触していない状態と等価な状態である。OFF状態とは、ダンパペダルを踏まないで、又は、ダンパペダルを踏むことを止めて、弦とダンパとが接触している状態と等価な状態である。CPU11は、ON状態が通知された場合には、押鍵された鍵に対応する楽音に対して共鳴音を付加して、後述する音響システム21から発音させるように制御する。
音源19は、波形信号に基づく発音用のデータを出力する。
DSP20は、発音用のデータ(波形信号)から楽音データを生成して、生成した楽音データをアナログ波形信号(後述の音響システム21に準拠したオーディオ信号)に変換して、音響システム21に供給する。
音響システム21は、図示しないアンプやスピーカを含み、DSP20から供給されたアナログ波形信号を、アンプを介してスピーカに供給する。これにより、押鍵された鍵に対応する楽音がスピーカから出力される。
ドライブ22には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア31が適宜装着される。ドライブ22によってリムーバブルメディア31から読み出されたプログラムは、必要に応じてRAM13にインストールされる。また、リムーバブルメディア31は、ROM12に記憶されている各種データも、ROM12と同様に記憶することができる。
以上のように構成される電子楽器1は、楽音に対して、共鳴の程度が異なるように共鳴音を付加することができる。
共鳴の程度とは、共鳴効果の強弱であり、楽音に付加する共鳴音の強さの程度である。即ち、共鳴の程度は、多くなればなる程に、楽音がより響くようにして共鳴効果を強くし、少なくなる程に、楽音が響かないようにして、共鳴効果を弱くする。
本実施形態では、共鳴の程度は、アコースティックピアノにおいて実際にダンパペダルを操作した時の共鳴音である[普通]の共鳴の程度と、[普通]よりも共鳴の程度を多くして、楽音がより響くようにして共鳴効果を強くして、共鳴効果を際立たせる(強調)ようにした[強調]の共鳴の程度と、[普通]よりも共鳴の程度を少なくして、楽音が響かないようにして共鳴効果を弱くして、共鳴効果を際立たせない(抑制)ようにした[抑制]の共鳴の程度と、の3段階が自在に切り替え可能となるように設けられている。
また、楽音への共鳴音の付与の手法は、特に限定されず、例えば、楽音を原音と共鳴音に分けて、それぞれについてサンプリングデータを出力する手法や、音源19に記憶される波形信号等から共鳴音が付加された楽音を生成して、当該楽音を出力する手法や、種々の公知の又は今後登場するであろう残響音と共鳴音の生成技術を用いる手法を採用することができる。
図2は、本実施形態の電子楽器1のうち、音源19及びDSP20の詳細な構成の一例を示したブロック図である。
音源19は、n個(nは2以上の整数値)の発音チャンネルCH1〜CHnを有する。発音チャンネルCHk(kは、1〜nのうち任意の整数値)には、第k番目の鍵が割り当てられており、当該第k番目の鍵に対応する波形信号が発音(出力)される。
即ち、第k番目の鍵が押鍵されると、CHk内において、WG(Wave Generator).CHにより信号が発生し、TVF(Time Variant Filter).CHにおいて当該信号に対してフィルタ処理が施され、TVA(Time Variant Amplifer).CHにおいて当該信号に対してアンプエンベロープ処理が施された後、CHkの波形信号(以下、「チャンネル信号」とも呼ぶ)として出力される。
各チャンネルCH1〜CHnのうち、押鍵された1以上の鍵の各々に割り当てられたチャンネルから出力されたチャンネル信号の各々は、次の4つの成分に分離される。即ち、チャンネル信号は、左側の原音の成分(以下、「左側原音成分」と呼ぶ)と、右側の原音の成分(以下、「右側原音成分」と呼ぶ)と、左側の共鳴音の成分(以下、「左側共鳴音成分」と呼ぶ)と、右側の共鳴音の成分(以下、「左側共鳴音成分」と呼ぶ)と、にそれぞれ分離される。
そして、音源19において、各チャンネルの各々から出力された左側原音成分が合算(レベル乗算後に累算)された信号、各チャンネルの各々から出力された右側原音成分が合算された信号、各チャンネルの各々から出力された左側共鳴音成分が合算された信号、及び各チャンネルの各々から出力された右側共鳴音成分が合算された信号は、それぞれ音源19から出力されてDSP20に入力される。
DSP20は、左側原音成分に対して、後述の共鳴回路41を通過した左側共鳴音成分を付加することで、左側の楽音信号として音響システム21に出力する。DSP20は、右側原音成分に対して、後述の共鳴回路41を通過した右側共鳴音成分を付加することで、右側の楽音信号として音響システム21に出力する。
本実施形態の電子楽器1は、楽音に対して共鳴音を付加する際に、上述のごとく、共鳴の程度を選択的に変更することができる。そこで、以下、共鳴の程度を選択する手法について説明する。
電子楽器1のCPU11は、演奏条件を判断して、ROM12等に記憶された設定テーブルを参照して、当該演奏条件に対応する共鳴の程度を選択する。
この場合、DSP20は、CPU11により選択された共鳴の程度の共鳴音が付加された楽音の発音するように、左側共鳴音成分及び右側共鳴音成分のそれぞれを加工して、左側原音成分及び右側原音成分のそれぞれに付加する。
図3は、共鳴の程度の選択に用いられる設定テーブルを示す模式図である。
図3(a)は、ユーザにより共鳴の程度が選択される場合に用いられる設定テーブルの一例である。この設定テーブルは、例えば、RAM13等に記憶されている。
図3(a)の例では、6種の共鳴の程度のパターンが設定テーブルに登録されており、これら6種の共鳴の程度のパターンの中から、ダンパペダル18の操作(踏む操作と、踏まない未操作)に応じた一つのパターンが選択される。
なお、説明の簡略上、6種の共鳴の程度のパターンには、最も強調されるものから順に1〜6の番号がそれぞれ付されており、この番号が図3(a)に図示されている。
図3(a)の設定テーブルにおいて、「DP」はダンパを示しており、「DPあり」とは、ダンパペダル18を踏む操作をした状態(ON状態)であることを意味しており、「DPなし」とは、ダンパペダル18を踏む操作をしない又はダンパペダル18を踏む操作を解除した状態(OFF状態)を意味している。
「RE強調」とは、強調した共鳴音を付与した楽音を出力する状態を、「RE普通」とは、強調も抑制もしないで共鳴音を付与した楽音を出力する状態を、「RE抑制」とは、抑制した共鳴音を付与した楽音を出力する状態を、それぞれ意味している。
即ち、ユーザは、ダンパペダル18の操作の状態を変えて、「DPあり」又は「DPなし」を任意に選択し、設定や演奏条件に応じて「RE強調」、「RE普通」、又は「RE抑制」を任意に選択することで、番号1〜6のうちの任意の番号の共鳴効果のパターンを選択することができる。
具体的には例えば、ユーザが「DPあり」及び「RE強調」を選択することで、番号1の共鳴効果のパターン、即ち、共鳴効果を最も強調するパターンを選択することができる。同様に、ユーザが「DPなし」及び「RE抑制」を選択することで、番号6の共鳴効果のパターン、即ち、共鳴効果を最も抑制するパターンを選択することができる。
図3(b)は、押鍵されたコード毎に共鳴の程度が選択される場合に用いられる設定テーブルを示す図である。
図3(b)の例では、押鍵されたコード毎に6種の共鳴の程度のパターンが設定テーブルに登録されており、これら6種の共鳴の程度のパターンの中から任意の種類がユーザにより設定され、ダンパペダル18の操作の状態に応じて共鳴の程度のパターンが選択される。
図3(b)の設定テーブルにおいて、「CD なし」とは、コード演奏が検出されなかった状態を意味している。「CD C」とは、Cのコード演奏が検出された状態を意味している。「CD C♯」とは、C♯のコード演奏が検出された状態を意味している。「CD D」とは、Dのコード演奏が検出された状態を意味している。
即ち、ユーザは、ダンパペダル18の操作の状態を変えて、「DPあり」又は「DPなし」を任意に選択し、検出されたコード演奏の種類で設定や演奏条件に応じた「RE強調」、「RE普通」、又は「RE抑制」を任意に選択することで、例えば、「CD なし」の場合には番号1〜6のうちの任意の番号の共鳴の程度のパターンを選択することができる。より具体的には、例えば、Cのコードに対応する複数の楽音と、ラの単音の楽音とが同時に発音される場合には、Cのコードに対応する複数の楽音に付与された共鳴音のみの共鳴の程度を変更する。
なお、本例では、コード間での共鳴の程度の関係は持たせないが、コードを同時に発音した際の音の相性等の関係を考慮して、コード間でも共鳴の程度に差を付けるように構成してもよい。
また、本実施形態の電子楽器1は、上述した図3(a)や(b)の共鳴の程度(「RE強調」、「RE普通」、「RE抑制」)を演奏状態(押鍵数)で決定するテーブルも別途記憶している。
本テーブルの例では、押鍵状態を数値化した値により、共鳴の程度を設定する。具体的には、所定の押鍵数(押鍵の強さ)を閾値として設定して、当該閾値との関係で共鳴の程度を決定する。例えば、閾値よりも押鍵数が多い場合には「RE抑制」を選択する。また、閾値と押鍵数が同じになる場合には「RE普通」を選択する。また、閾値よりも押鍵数が少ない場合には「RE強調」を選択する。
このようにテーブルを設定することで、押鍵数が多い場合には、多数の楽音に共鳴音が付される場合でも、共鳴の程度を抑制するために楽音が不明瞭となることを防ぐことができる。
また、逆に押鍵数が少ない場合には、押鍵に対応した楽音に付加する共鳴音の共鳴の程度を強調させるようにすることで、少ない楽音でも共鳴効果をより際立たせることができる。また、他に発音されている楽音があっても、押鍵に対応した楽音のみを積極的に際立たせることができる。
また、本テーブルの例では、単に押鍵数(押鍵の強さ)を、演奏状態を示す要素として用いたがこれに限られない。例えば、押鍵数(押鍵の強さ)に、演奏モード等の押鍵している時の電子楽器1の演奏モードを加味して、閾値を決定してもよい。
電子楽器1は、上述したような設定テーブルに基づいて、共鳴の程度を変えた共鳴音を付加した楽音を発音することで、楽音が不明瞭になったりすることを防止できたり、逆に、押鍵に対応した楽音をより強調して際立たせることができる。
次に、上述したような電子楽器1が実行する演奏処理の流れを、図4を参照しながら説明する。
図4は、図1の電子楽器1が実行する演奏処理の流れを説明するフローチャートである。
ここで、演奏処理とは、鍵盤17及びダンパペダル18への操作状態に基づいて、押鍵した楽音と共に予め設定した楽音に対応した共鳴音を音響システム21から出力する一連の処理である。
演奏処理は、ユーザの操作子16に対する所定の操作により、演奏処理の開始が指示されることを契機に開始され、次のような処理が実行される。
また、本実施形態においては、電子楽器1は、原音成分(以下、原音用信号と呼ぶ)の信号に共鳴成分(以下、共鳴用信号と呼ぶ)を付加して、共鳴音を付加した楽音を生成する。
共鳴音を付加した楽音の生成に際して、電子楽器1は、共鳴の程度を選択する、即ち、共鳴の程度に合致した共鳴用信号を選択する。そして、電子楽器1は、選択した共鳴の程度の共鳴用信号を原音信号に付加して、共鳴音を付加した楽音を生成して、発音(出力)する。
ステップS1において、CPU11は、イニシャライズ処理を行う。具体的には、CPU11は、電子楽器1についての各種初期設定を行う。
ステップS2において、CPU11は、スイッチ処理を行う。
スイッチ処理とは、ユーザの操作子16に対する所定の操作により、複数の選択肢が存在するモードについて所定の選択肢を選択したり、複数の状態が存在するフラグについて初期状態を選択したりして、設定する処理をいう。
例えば、本実施形態のスイッチ処理は、各種の演奏モード(「レイヤモード」、「スプリットモード」、「曲中モード」、「コードモード」、「自由演奏モード」等)のうちユーザにより選択されたモードが設定される。
「レイヤモード」とは、1つの鍵に複数の楽音が割り当て可能なモードであり、1つの鍵を押鍵しただけで、複数の音を出すことができるモードである。
「スプリットモード」とは、鍵盤の領域を分けて、複数の楽音(音色)が割り当て可能なモードであり、それぞれの鍵域で異なる楽音を出すことができるモードである。
「曲中モード」とは、演奏している背景で曲が自動演奏されているモードである。
「コードモード」とは、1つの鍵にコードが割り当て可能なモードであり、1つの鍵を押鍵しただけでコードの音を出力することができる。
「自由演奏モード」とは、アコースティックピアノと同一の設定の音を出力するモードである。
ステップS3において、CPU11は、押鍵検出処理を行う。
押鍵検出処理とは、押鍵された鍵番号や押鍵の強さ(ベロシティ)等の押鍵情報を取得することで、押鍵を検出する処理である。
ステップS4において、CPU11は、ペダル検出処理を行う。
ペダル検出処理は、ダンパペダル18を踏む操作がされたか否かを検出する処理である。
ステップS5において、CPU11は、共鳴用信号選択処理を行う。
共鳴用信号選択処理とは、ステップS2のスイッチ処理における共鳴の程度の設定に基づいて、ステップS4のペダル検出処理で検出されたダンパペダル18の操作を加味して、ステップS3の押鍵検出処理で検出された押鍵された楽音に付加する共鳴の程度を選択する。
本実施形態においては、共鳴の程度に対応した共鳴用信号の選択は、ユーザが任意で設定した共鳴の程度となるように、図3(a)の設定テーブルに基づいて選択される。
共鳴用信号選択処理の詳細については、図5を用いて後述する。
ステップS6において、CPU11は、発音処理を行う。
発音処理とは、ステップS3の押鍵検出処理で検出された押鍵された楽音に、ステップS5の共鳴用信号選択処理で選択された共鳴音を付加して、音響システム21から発音(出力)する処理である。具体的には、ユーザにより、「RE=抑制」の設定がされていた場合には、ステップS3の押鍵検出処理で検出された押鍵された楽音に、抑制した共鳴用信号を選択付加して、音響システム21から発音(出力)する。
このようにして、電子楽器1は、ステップS5の共鳴用信号選択処理で選択された共鳴の程度に対応する共鳴用信号が付与された楽音を音響システム21から発音(出力)する。その後、演奏処理は終了する。
次に、電子楽器1が実行する演奏処理うち、ステップS5の共鳴用信号選択処理の詳細な流れを、図5を参照しながら説明する。
図5は、図1の電子楽器1が実行する共鳴用信号選択処理の詳細な流れを説明するフローチャートである。
ステップS21において、CPU11は、共鳴用信号を選択するために用いる情報(以下、「共鳴用信号選択情報」と呼ぶ)を取得する。
共鳴用信号選択情報とは、本実施形態では、ダンパペダル18を踏む操作の有無の情報(以下、「ダンパペダル情報」と呼ぶ)と、共鳴の程度のモードの設定に関する情報(以下、「共鳴用信号選択モード情報」と呼ぶ)とをいう。
CPU11は、ステップS4のペダル検出処理におけるダンパペダル18を踏む操作の有無に関する情報と、ステップS2のスイッチ処理において設定された各種の共鳴の程度のモードに関する情報を、共鳴用信号選択情報として取得する。
ステップS22において、CPU11は、ダンパ状態判定処理を行う。即ち、CPU11は、ステップS21で取得した共鳴用信号選択情報から、ダンパ状態(詳細には、ステップS4のペダル検出処理におけるダンパペダル18を踏む操作の有無)を判定する。
ダンパ状態判定処理の詳細な流れについては、後述する。
ステップS23において、CPU11は、選択モード判定処理を行う。即ち、CPU11は、ステップS21で取得した共鳴用信号選択情報から、選択されたモード(詳細には、ステップS2のスイッチ処理において設定された共鳴音モード)を判定する。
ステップS24において、CPU11は、共鳴用信号の選択を行う。即ち、CPU11は、ステップS22のダンパ状態判定処理での判定結果及びステップS23の選択モード判定処理での判定結果に基づいて、押鍵に対応して発音する共鳴用信号を選択する。
具体的には、CPU11は、図3(a)に示す設定テーブルに基づいて、ダンパペダル18を踏む操作の有無において、設定されたモードに応じた共鳴の程度に対応する共鳴用信号を付加した楽音を発音する。
ステップS24の処理が終了すると、演奏処理に戻る。
次に、電子楽器1が実行する共鳴用信号選択処理うち、ステップS22のダンパ状態判定処理の詳細な流れを、図6を参照しながら説明する。
図6は、図1の電子楽器1が実行する共鳴用信号選択処理うちダンパ状態判定処理の詳細な流れを説明するフローチャートである。
ステップS41において、CPU11は、ダンパオンか否かを判定する。詳細には、CPU11は、図5のステップS21において取得した共鳴用信号選択情報から、ステップS4においてダンパペダル18を踏む操作が検出されたか否かを判定する。
ステップS4においてダンパペダル18を踏む操作が検出された場合、即ち、ダンパオンであった場合には、ステップS41においてYESであると判定されて、処理はステップS42に進む。
ステップS42において、CPU11は、ステップS41においてダンパオンであると判定されたため、ダンパペダル18を踏む操作の有無を表す設定値(DP)の値を、ONの値(DP=ON)にする。
ステップS42の処理が終了すると、共鳴用信号選択処理に戻る。
これに対して、ステップS4においてダンパペダル18を踏む操作が検出されなかった場合、即ち、ダンパオンでない(ダンパオフであった)場合には、ステップS41においてNOであると判定されて、処理はステップS43に進む。
ステップS43において、CPU11は、ステップS41においてダンパオフであると判定されたため、ダンパペダル18を踏む操作の有無を表す設定値(DP)の値を、OFFの値(DP=OFF)にする。
ステップS43の処理が終了すると、共鳴用信号選択処理に戻る。
次に、電子楽器1が実行する共鳴用信号選択処理うち、ステップS23の選択モード判定処理の詳細な流れを、図7を参照しながら説明する。
図7は、図1の電子楽器1が実行する共鳴用信号選択処理うち選択モード判定処理の詳細な流れを説明するフローチャートである。
ステップS61において、CPU11は、共鳴用信号選択モード情報を取得する。即ち、CPU11は、ステップS21において取得した共鳴用信号選択情報から、共鳴用信号選択モード情報を取得する。
ステップS62において、CPU11は、共鳴用信号選択モードが「RE=抑制」であるか否かを判定する。
共鳴用信号選択モードが「RE=抑制」である場合には、ステップS62においてYESと判定されて、処理はステップS63に進む。
ステップS63において、CPU11は、共鳴用信号の選択基準を「RE=抑制」として選択するように設定する。
このようにして、共鳴用信号を抑制する選択を行うように設定する。
ステップS63の処理が終了すると、共鳴用信号選択処理に戻る。
これに対して、共鳴用信号選択モードが「RE=抑制」でない場合には、ステップS62においてNOと判定されて、処理はステップS64に進む。
ステップS64において、CPU11は、共鳴用信号選択モードが「RE=強調」であるか否かを判定する。
共鳴用信号選択モードが「RE=強調」である場合には、ステップS64においてYESと判定されて、処理はステップS65に進む。
ステップS65において、CPU11は、共鳴用信号の選択基準を「RE=強調」として選択するように設定する。
このようにして、共鳴用信号を強調する選択を行うように設定する。
ステップS65の処理が終了すると、共鳴用信号選択処理に戻る。
これに対して、共鳴用信号選択モードが「RE=強調」でない場合には、ステップS64においてNOと判定されて、処理はステップS66に進む。
ステップS66において、CPU11は、共鳴用信号の選択基準を「RE=普通」として選択するように設定する。
このようにして、共鳴用信号を変更しないように選択を行うように設定する。
ステップS66の処理が終了すると、共鳴用信号選択処理に戻る。
以上のような演奏処理を実行する電子楽器1は、鍵盤17と、ダンパペダル18と、CPU11と、を備える。
CPU11は、鍵盤17からの楽音の発音を指示する。
また、CPU11は、ダンパペダル18からの楽音に対して、共鳴音の付与を指示する。
また、CPU11は、楽音の発音の指示がなされ、かつ、楽音に対して、共鳴音付与の指示がなされた場合に、所定の演奏条件に応じて、楽音に対する共鳴付与の程度を選択する。
CPU11は、選択された楽音の共鳴の程度で、当該共鳴音が付与された楽音のデータの出力を制御する。
従って、電子楽器1は、所定の演奏条件に応じて、選択された楽音の共鳴の程度で、当該共鳴音が付与された楽音のデータの出力を制御するために、例えば、押鍵数が多くなる場合には、共鳴の程度を抑制する設定を行うことで楽音が不明瞭にならず、また、押鍵数が少なくなる場合には逆に共鳴の程度を強調する設定を行うことで共鳴の効果を高めることができる。
よって、電子楽器1においては、演奏条件に適合した共鳴効果の付与が可能となる。
また、CPU11は、共鳴の程度を、基準となる共鳴付与の程度となる「普通」と、「普通」共鳴付与の程度より共鳴付与の程度が強調された「強調」と、「普通」より共鳴付与の程度が抑制された「抑制」の3段階の共鳴の程度の中から選択することができる。
[第2実施形態]
楽音の共鳴の程度は、第1実施形態ではダンパペダル18を踏む操作の有無と、ユーザによって予め設定されたパターンに基づいて決定したが、特に第1実施形態の例に限定されず、種々の演奏条件に基づいて決定することができる。
そこで、第2実施形態では、楽音の共鳴の程度は、固定モードと、非固定モードとに大きく別れる。
固定モードは、第1実施形態に相当するモードで、楽音の共鳴の程度を、ダンパペダル18を踏む操作の有無と、ユーザによって予め設定されたパターンに基づいて決定するモードである。
これに対して、非固定モードは、演奏条件に応じて、様々に共鳴の程度が変わるモードである。
この非固定モードでは、基本的に押鍵の状況(押鍵数や押鍵の強さ)に応じて共鳴の程度を選択する。この際、特定の演奏条件下にある鍵のみ、共鳴の程度の変更を行う。特定の演奏条件下にある鍵とは、1つの鍵に複数の楽音が設定された「レイヤ演奏」や鍵域に分割し、夫々の鍵域に異なる音色を割り当てた「スプリット演奏」を行うように設定された鍵である。
第2実施形態においては、上述した非固定モードで行われる共鳴の程度の選択を、後に詳述する閾値比較処理(後述するステップS86)で行う。
このような第2実施形態の電子楽器1のハードウェア構成及び共鳴用信号選択処理を除く演奏処理は、第1実施形態のものと同様、即ち図1及び4に示すとおりであり、ここではその説明は省略する。
そこで以下、図8を参照して、第2実施形態の電子楽器1が実行する共鳴用信号選択処理についてのみ説明する。
図8は、図1の電子楽器1が実行する共鳴用信号選択処理の流れの一例であって、図5乃至7とは異なる例を説明するフローチャートである。
ステップS81において、CPU11は、共鳴用信号選択情報を取得する。
本実施形態では、CPU11は、ダンパ検出処理の処理結果であるダンパペダル情報と、予め設定テーブルで設定されたパターンの共鳴用信号選択モード情報と、を取得する。
ステップS82において、CPU11は、ダンパ状態判定処理を行う。即ち、CPU11は、ダンパペダル18を踏む操作されたか否かの状態を判定する。なお、ステップS82のダンパ状態判定処理は、第1実施形態のステップS22におけるダンパ状態判定処理と同様に示すとおりであり、ここではその説明は省略する。
ステップS83において、CPU11は、固定モードか否かを判定する。即ち、CPU11は、設定したモードに応じて共鳴の程度を変更し、演奏中は統一的に共鳴の程度が維持される固定モードと、演奏中は押鍵の状態に応じて共鳴の程度が変更する非固定モードか否かを判定する。
設定されたモードが固定モードである場合には、ステップS83においてYESと判定され、処理はステップS84に進む。
ステップS84において、CPU11は、選択モード判定処理を行う。即ち、CPU11は、ユーザにより予め設定されたパターン(「RE=強調」、「RE=抑制」、「RE=普通」)を判定する。
ステップS85において、CPU11は、コードデータの指定がない(CD=指定なし)とする処理を行う。即ち、CPU11は、ステップS83において固定モードと判定されており、ステップS84において判定されたモードに基づいてのみで共鳴用信号の選択を行う。このため、後述するステップS87のコードデータ取得処理は行わずに、コードデータの指定がないとする。
ステップS86において、CPU11は、閾値比較処理を行う。即ち、CPU11は、押鍵の状態と、所定の閾値とを比較して、共鳴の程度(「RE=強調」、「RE=抑制」、「RE=普通」)を選択する。
第2実施形態では、電子楽器1は、種々の演奏条件のうち、押鍵の状態に基づいて、共鳴用信号の選択を行う。本ステップにおける閾値比較処理とは、押鍵の状態(例えば、押鍵数や押鍵の強さ(ベロシティ))を数値化した値と、設定した閾値とを比較して、比較結果に応じて、共鳴用信号の選択を行う処理である。なお、閾値比較処理の詳細な流れについては、後述する。
ステップS87において、CPU11は、コードデータ取得処理を行う。
コードデータ取得処理とは、発音されるコードのデータを各種演奏モードに応じて取得する処理である。コードデータ取得処理において判断される各種演奏モードは、具体的には、「曲中モード」、「コードモード」、「自由演奏モード」である。
「曲中モード」は、押鍵等のユーザによる演奏の裏で曲が再生されるモードである。
「コードモード」は、所定のコードが割り当てられた鍵を押鍵するとコードが出力されるモードである。
「自由演奏モード」は、押鍵により所定のコードを演奏するモードである。
なお、コードデータ取得処理の詳細な流れについては後述する。
ステップS88において、CPU11は、ステップS82のダンパ状態判定処理で判定されたDPと、ステップS84の選択モード判定処理又はステップS86の閾値比較処理で選択されたREとに基づいて、共鳴用信号の選択を行う。
詳細には、CPU11は、固定モードである場合には、ステップS82のダンパ状態判定処理で判定されたDPと、ステップS84の選択モード判定処理で選択されたREとに基づいた共鳴の程度で共鳴用信号を選択する。
また、CPU11は、非固定モードである場合には、ステップS82のダンパ状態判定処理で判定されたDPと、ステップS86の閾値比較処理で選択されたREと、ステップS87のコードデータ取得処理で得たコードデータCDとに基づいた共鳴の程度で共鳴用信号を選択する。非固定モードである場合には、ステップS86の閾値比較処理で、押鍵の状態を考慮して、共鳴の程度の選択がなされる。例えば、押鍵数が多い場合には、共鳴が多いと押鍵に対応して発音する楽音が不明瞭になるために、共鳴の程度を抑制する選択がなされる。また、押鍵の強さが強い場合には、押鍵に対応して発音される楽音が強調されるように共鳴の程度を強調する選択がなされる。
このようにして、CPU11は、ステップS82のダンパ状態判定処理で判定されたDPと、ステップS84の選択モード判定処理又はステップS86の閾値比較処理で選択されたREと、ステップS87のコードデータ取得処理で得たコードデータCDとに基づいて、押鍵の状態に応じて共鳴用信号を選択して、共鳴用信号選択処理は、終了する。
以上のような演奏処理を実行する電子楽器1のCPU11は、押鍵数及び押鍵の強さ(ベロシティ)の少なくも一方を演奏条件として、楽音の共鳴付与の程度を選択する。
従って、電子楽器1は、押鍵数又は押鍵の強さ(ベロシティ)を演奏条件とするために、例えば、押鍵数が多くなってしまった場合には、共鳴の程度を抑制するために楽音が不明瞭にならず、また、押鍵数が少ない場合には逆に共鳴の程度を強調するために共鳴の効果を高めることができる。
次に、図1の電子楽器1が実行する閾値比較処理の流れを、図9を用いて説明する。
図9は、第2実施形態で実行する閾値比較処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS101において、CPU11は、対象鍵域(レイヤ・スプリット)情報を取得する。即ち、CPU11は、「レイヤ演奏」又は「スプリット演奏」が設定されているか否か、そして、「レイヤ演奏」又は「スプリット演奏」が設定されている場合に、どの鍵に設定されているかの情報を取得する。
ステップS102において、CPU11は、レイヤ・スプリット中か否かを判断する。即ち、CPU11は、ステップS101で取得した情報から、「レイヤ演奏」又は「スプリット演奏」が設定されているか否かを判断する。
レイヤ・スプリット中であると判断された場合には、ステップS102においてYESと判断されて、処理はステップS103に進む。
ステップS103において、CPU11は、レイヤ・スプリット領域を、押鍵情報を取得する鍵の範囲(以下、鍵域と呼ぶ)とする。即ち、CPU11は、「レイヤ演奏」又は「スプリット演奏」の設定されている鍵域を、共鳴の程度の変更を行う鍵域として設定する。その後処理は、ステップS105に進む。ステップS105については、後述する。
これに対して、レイヤ・スプリット中でないと判断された場合には、ステップS102においてNOと判断されて、処理はステップS104に進む。
ステップS104において、CPU11は、全鍵域分を、押鍵情報を取得する鍵の範囲とする。即ち、CPU11は、所定の鍵域に対して、「レイヤ演奏」又は「スプリット演奏」が設定されていないために、共鳴の程度の変更を行う鍵域として設定する。
ステップS105において、CPU11は、ステップS3の処理で検出された押鍵の検出結果から押鍵情報を取得する。
その後、CPU11は、「レイヤ演奏」又は「スプリット演奏」が設定されている場合には、「レイヤ演奏」又は「スプリット演奏」が設定されている領域内の押鍵数(KM)をカウントし、カウントした押鍵数を値(ky)とする。
これに対して、CPU11は、「レイヤ演奏」又は「スプリット演奏」が設定されていない場合には、全鍵域における押鍵数(KM)をカウントし、カウントした押鍵数を値(ky)とする。
ステップS106において、CPU11は、値(ky)が上限値以上(ky≧上限)であるか否かを判断する。
値(ky)が上限値以上であると判断した場合には、ステップS106においてYESと判断されて、処理はステップS107に進む。
ステップS107において、CPU11は、抑制した共鳴程度で楽音を発音する設定(RE=抑制)を選択して、閾値比較処理を終了する。
これに対して、値(ky)が上限値よりも下である場合には、ステップS106においてNOと判断されて、処理はステップS108に進む。
ステップS108において、CPU11は、値(ky)が下限値よりも下か否かを判断する。
値(ky)が下限値よりも下である場合には、ステップS108においてYESと判断されて、処理はステップS109に進む。
ステップS109において、CPU11は、強調した共鳴程度で楽音を発音する設定(RE=強調)を選択して、閾値比較処理を終了する。
これに対して、値(ky)が下限以上である場合には、ステップS108においてNOと判断されて、処理はステップS110に進む。
ステップS110において、CPU11は、強調又は抑制を行わない共鳴程度で楽音を発音する設定(RE=普通)を選択して、閾値比較処理を終了する。
次に、図1の電子楽器1が実行するコードデータ取得処理の流れを、図10を用いて説明する。
図10は、図1の電子楽器1が実行するコードデータ取得処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS131において、CPU11は、曲中モードが否かを判定する。
曲中モードであると判定された場合には、ステップS131においてYESと判定されて、処理はステップS132に進む。
ステップS132において、CPU11は、曲中コードデータを取得する。即ち、CPU11は、設定されている曲中モードの対応する曲のコードのデータを取得する。その後、コードデータ取得処理は終了する。
これに対して、曲中モードでないと判定された場合には、ステップS131においてNOと判定されて、処理はステップS133に進む。
ステップS133において、CPU11は、コードモードであるか否かを判定する。
コードモードであると判定された場合には、ステップS133においてYESと判定されて、処理はステップS134に進む。
ステップS134において、CPU11は、コードモード判定結果を取得する。即ち、CPU11は、押鍵された鍵に対応するコードを判定し、その判定結果を取得する。その後、コードデータ取得処理は終了する。
これに対して、コードモードでないと判定された場合には、ステップS133においてNOと判定されて、処理はステップS135に進む。
ステップS135において、CPU11は、コード判定処理を実行する。即ち、CPU11は、押鍵された組み合わせが所定のコードに該当するかを判定する処理を実行する。
ステップS136において、CPU11は、コード判定結果を取得する。即ち、CPU11は、ステップS135の処理結果を取得する。その後、コードデータ取得処理は終了する。
[第3実施形態]
第2実施形態では、電子楽器の状態、例えば手引き演奏以外の曲や伴奏等による発音を加えた電子楽器全体の発音数を考慮せずに楽音の共鳴の程度を選択していた。しかしながら、電子楽器全体の発音数が増大すると、それに伴う共鳴音も必要以上に増大してしまい、演奏全体の雰囲気を損ねる場合がある。
そこで、第3実施形態では、第2実施形態の構成に、電子楽器全体の発音数を考慮して、楽音の共鳴の程度を選択(共鳴用信号を選択)するものとする。
図11は、第3実施形態の共鳴用信号選択処理を表わしているが、これは、コードモード取得処理に相当する処理が閾値比較処理に組み込まれる以外は、第2実施形態のものと同様、即ち図8に示すとおりであり、ここではその説明は省略する。
図12は、第3実施形態における閾値比較処理であり、基本的には図9に示された第2実施形態の閾値比較処理及び図10に示されたコードデータ取得処理と同様の処理を行うようになっている。以下に異なる点を中心に説明する。
図12においては、図9と比べて、ステップS131乃至ステップS136までのコードモード取得処理(図10)に相当する処理が追加されている。
さらに、取得した曲中コードデータ、コードモード判定結果、コード判定処理実行結果のそれぞれに対応した値が割り当てられる。具体的には、曲中コードの場合には、ステップS176でstの値として1(st=1)が割り当てられ、コードモードの場合には、ステップS178でstの値として2(st=2)が割り当てられ、自由演奏モードの場合には、ステップS180でstの値として3(st=3)が割り当てられる。
第2実施形態のステップS105に相当するステップS181では、押鍵の状態からカウントされた押鍵情報(KM)に、上述したステップS176,ステップS178,ステップS180で割り当てられたstの値が加味されて値(ky)とされる。CPU11は、ステップS182乃至ステップS186において、値(ky)に基づいて、RE=抑制、RE=強調、又はRE=普通の選択を行う。
通常、曲中コードデータが取得される場合、これはユーザによる演奏を必要とせずに伴奏が付加されるため、コードモード判定結果或いはコード判定結果によってコードが取得された場合より伴奏音の数が多くなりやすい。さらに、コードモードを有する場合のほうが、コードモードを有しない場合と比べてユーザによる伴奏演奏が容易であるため、伴奏音の数が多くなりやすい。
第3実施形態においては、上述のことを考慮して、コードの取得状況に応じて押鍵情報(KM)にオフセット値を追加させたものである。
このように構成される電子楽器1において、CPU11は、同時に発音の指示された複数の楽音の音高及び音圧の組み合わせを演奏条件として、楽音の共鳴付与の程度を選択する。
従って、電子楽器1は、同時に発音の指示された複数の楽音の音高及び音圧の組み合わせ、即ちコードの取得状況を加味して、楽音の共鳴の程度を選択することにより、電子楽器全体の発音数に対応した共鳴の程度で楽音を発音(出力)することができる。
また、CPU11は、予め用意された伴奏音生成のための伴奏データに基づいて、演奏条件を決定することも可能である。即ち、CPU11は、例えば、伴奏を構成する楽音の音高、ベロシティ等に応じて、共鳴付与の程度を選択することも可能である。
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
上述の実施形態では、共鳴効果を付与する楽音の音色をピアノの音色として説明したがこれに限られない。電子楽器1で再現可能な他のアコースティック楽器の音色に共鳴効果を付与するようにしてもよい。
また、上述の実施形態では、共鳴の程度を変更する演奏状態として、押鍵数や押鍵の強さ等で判断したがこれに限られず、例えば、発音指示された楽音の音高及び音圧の少なくとも一方を判断基準としてもよい。この際、例えば、楽音の音高及び音圧の少なくとも一方が高い場合には、抑制する共鳴付与の程度を選択したり等の楽音の音高及び音圧の少なくとも一方に応じた共鳴の程度となるよう構成する。
また、上述の実施形態では、ダンパペダル18を踏む操作と共に、演奏状態に応じた共鳴の程度を変更するように構成したが、これに限れない。共鳴の程度の変更は、例えば、ダンパペダル18を踏む操作(共鳴付与の指示)があった後は、楽音における共鳴付与の程度が一時的に強調されるように共鳴付与の程度を選択したり、共鳴付与の指示がなされなくなった後は、楽音における共鳴付与の程度が一時的に抑制されるように共鳴付与の程度を選択したりする等して、演奏状態に関わらず、ダンパペダル18を踏む操作に応じて、一時的に共鳴の程度を変更するように構成してもよい。
また、上述の実施形態では、楽音を発音する電子楽器として構成したがこれに限られず、デジタル音色に共鳴効果を付与する効果装置として構成してもよい。
また、上述の実施形態では、本発明が適用される電子楽器1は、電子ピアノを例として説明したが、特にこれに限定されない。
例えば、本発明は、楽音に演奏状態に応じた共鳴効果を付与する機能を有する電子楽器一般に適用することができる。
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えば汎用のパーソナルコンピュータであってもよい。
このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される図1のリムーバブルメディア31により構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体等で構成される。リムーバブルメディア31は、例えば、磁気ディスク(フロッピディスクを含む)、光ディスク、又は光磁気ディスク等により構成される。光ディスクは、例えば、CD−ROM(Compact Disk−Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disk)等により構成される。光磁気ディスクは、MD(Mini−Disk)等により構成される。また、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体は、例えば、プログラムが記録されている図1のROM12等で構成される。
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的或いは個別に実行される処理をも含むものである。
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、これらの実施形態は、例示に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明はその他の様々な実施形態を取ることが可能であり、さらに、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略や置換等種々の変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、本明細書等に記載された発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
楽音の発音を指示する発音指示手段と、
前記発音された楽音に対して、共鳴音の付与を指示する共鳴付与指示手段と、
前記発音指示手段により発音指示がなされ、かつ、前記共鳴付与指示手段により共鳴音付与の指示がなされた場合に、所定の演奏条件に応じて、前記楽音に対する共鳴付与の程度を選択する共鳴程度選択手段と、
前記共鳴程度選択手段により選択された前記楽音の共鳴の程度で、当該共鳴音が付与された楽音のデータの出力を制御する楽音制御手段と、
を備えることを特徴とする電子楽器。
[付記2]
前記共鳴程度選択手段は、押鍵数及び押鍵の強さの少なくも一方を前記演奏条件として、前記楽音の共鳴付与の程度を選択する、
ことを特徴とする付記1に記載の電子楽器。
[付記3]
前記共鳴程度選択手段は、発音の指示された楽音の音高及び音圧の少なくとも一方を前記演奏条件として、前記楽音の共鳴付与の程度を選択する、
ことを特徴とする付記1に記載の電子楽器。
[付記4]
前記共鳴程度選択手段は、同時に発音の指示された複数の楽音の音高及び音圧の組み合わせを前記演奏条件として、前記楽音の共鳴付与の程度を選択する、
ことを特徴とする付記1に記載の電子楽器。
[付記5]
前記共鳴程度選択手段は、予め用意された伴奏音生成のための伴奏データに基づいて、前記演奏条件を決定する、
ことを特徴とする付記1乃至4の何れか1つに記載の電子楽器。
[付記6]
前記共鳴程度選択手段は、基準となる第1の共鳴付与の程度と、前記第1の共鳴付与の程度より共鳴付与の程度が強調された第2の共鳴付与の程度と、前記第1の共鳴付与の程度より共鳴付与の程度が抑制された第3の共鳴付与の程度の中から、共鳴付与の程度を選択する、
ことを特徴とする付記1乃至5の何れか1つに記載の電子楽器。
[付記7]
前記共鳴程度選択手段は、前記共鳴付与指示手段により共鳴付与の指示がなされた後は、前記楽音における共鳴付与の程度が一時的に強調されるように共鳴付与の程度を選択し、又は、前記共鳴付与の指示がなされなくなった後は、前記楽音における共鳴付与の程度が一時的に抑制されるように共鳴付与の程度を選択する、
ことを特徴とする付記1乃至6の何れか1つに記載の電子楽器。
[付記8]
電子楽器を制御するコンピュータを、
楽音の発音を指示する発音指示手段と、
前記発音された楽音に対して、共鳴音の付与を指示する共鳴付与指示手段と、
前記発音指示手段により発音指示がなされ、かつ、前記共鳴付与指示手段により共鳴音付与の指示がなされた場合に、所定の演奏条件に応じて、前記楽音に対する共鳴付与の程度を選択する共鳴程度選択手段と、
前記共鳴程度選択手段により選択された前記楽音の共鳴の程度で、当該共鳴音が付与された楽音のデータの出力を制御する楽音制御手段と、
として機能させることを特徴とするプログラム。
1・・・電子楽器,11・・・CPU,12・・・ROM,13・・・RAM,14・・・バス,15・・・入出力インターフェース,16・・・操作子,17・・・鍵盤,18・・・ダンパペダル,19・・・音源,20・・・DSP,21・・・音響システム,22・・・ドライブ,31・・・リムーバブルメディア,41・・・共鳴回路

Claims (4)

  1. 楽音の発音を指示する発音指示手段と、
    伴奏を付加するためのコードの取得状況に応じたオフセット値を前記発音の指示された楽音の同時発音数に加算した値が、予め定められた値を超えたか否かを判別する判別手段と、
    前記判別手段により前記加算した値が前記予め定められた値を超えたと判別された場合は、前記加算した値が予め定められた数以下と判定された場合と比較して、前記発音の指示された楽音に付与される共鳴音の共鳴程度を抑制する共鳴音抑制手段と、
    を備えることを特徴とする電子楽器。
  2. 前記判別手段は、前記コード取得のためにユーザーによる演奏を必要としたか否かを判別するとともに、前記ユーザーによる演奏を必要としたと判別された場合は、前記ユーザーによる演奏を必要としなかった場合と比較してより小さいオフセット値を加算する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の電子楽器。
  3. 楽音の発音を指示する発音指示手段を有する電子楽器に用いられる共鳴音付与方法であって、前記電子楽器が、
    伴奏を付加するためのコードの取得状況に応じたオフセット値を前記発音の指示された楽音の同時発音数に加算した値が、予め定められた値を超えたか否かを判別し、
    前記加算した値が前記予め定められた値を超えたと判別された場合は、前記加算した値が予め定められた数以下と判定された場合と比較して、前記発音の指示された楽音に付与される共鳴音の共鳴程度を抑制する、共鳴音付与方法。
  4. 楽音の発音を指示する発音指示手段を有する電子楽器として用いられるコンピュータに、
    伴奏を付加するためのコードの取得状況に応じたオフセット値を前記発音の指示された楽音の同時発音数に加算した値が、予め定められた値を超えたか否かを判別するステップと、
    前記加算した値が前記予め定められた値を超えたと判別された場合は、前記加算した値が予め定められた数以下と判定された場合と比較して、前記発音の指示された楽音に付与される共鳴音の共鳴程度を抑制するステップと、
    を実行させるプログラム。
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