JP5935342B2 - インクジェット用インクセット - Google Patents
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Description
[適用例1]
本発明に係るインクジェット用インクセットの一態様は、
少なくとも着色剤、水及び保湿剤を含有するインクを組み合わせてなるインクジェット用インクセットであって、
前記保湿剤は、水酸基を3つ以上有する有機化合物およびN,N,N−トリアルキルアミノ酸の少なくとも一種であり、
前記インクとして、少なくともイエローインク、マゼンタインク、シアンインク及びブラックインクを備え、
前記イエローインクは、着色剤として一般式(y−1)で表される化合物を含有し、
前記マゼンタインクは、着色剤として一般式(m−1)で表される化合物を含有し、
前記シアンインクは、着色剤として一般式(c−1)で表される化合物を含有し、
前記ブラックインクは、着色剤として顔料を含み、
前記イエローインクに含まれる前記保湿剤の含有量を[YELLOWhume.(質量%)]、前記マゼンタインクに含まれる前記保湿剤の含有量を[MAGENTAhume.(質量%)]、前記シアンインクに含まれる前記保湿剤の含有量を[CYANhume.(質量%)]、前記ブラックインクに含まれる前記保湿剤の含有量を[BLACKhume.(質量%)]とした場合に、下記条件1、条件2および条件3を全て満たす。
条件1: 3≦BLACKhume.−YELLOWhume.≦7
条件2: 3≦BLACKhume.−MAGENTAhume.≦7
条件3: 3≦BLACKhume.−CYANhume.≦7
BM11およびBM12は、各々−CRM11=、−CRM12=を表すか、あるいはいずれか一方が窒素原子,他方が−CRM11=または−CRM12=を表し、
RM13,RM14は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはスルファモイル基を表わし、RM13,RM14は、更に置換基を有していてもよく、
GM1、RM11、RM12は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アルキル基またはアリール基または複素環基で置換されたアミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルフアモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルおよびアリールスルホニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、ニトロ基、アルキルおよびアリールチオ基、アルキルおよびアリールスルホニル基、アルキルおよびアリールスルフィニル基、スルファモイル基、スルホ基、またはヘテロ環チオ基を表し、GM1、RM11、RM12は、更に置換されていてもよく、
RM11とRM13、あるいはRM13とRM14が結合して5〜6員環を形成してもよい。)
破線で表される環AC1乃至DC1は、それぞれ独立にポルフィラジン環に縮環したベンゼン環又は6員環の含窒素複素芳香環を表し、含窒素複素芳香環の個数は平均値で0.00を超えて3.00以下であり、残りはベンゼン環であり、
EC1はC2−C12アルキレンを表し、
XC1は、置換基として、スルホ基、カルボキシ基、リン酸基、スルファモイル基、カルバモイル基、ヒドロキシ基、C1−C6アルコキシ基、アミノ基、モノC1−C4アルキルアミノ基、ジC1−C4アルキルアミノ基、モノC6−C10アリールアミノ基、ジC6−C10アリールアミノ基、C1−C3アルキルカルボニルアミノ基、ウレイド基、C1−C6アルキル基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、C1−C6アルキルスルホニル基、及びC1−C6アルキルチオ基よりなる群から選択される1種類又は2種類以上の置換基を有しても良い、スルホアニリノ基、カルボキシアニリノ基、ホスホノアニリノ基、スルホナフチルアミノ基、カルボキシナフチルアミノ基又はホスホノナフチルアミノ基であり、
RC1は水素原子;スルホ基;カルボキシ基;リン酸基;スルファモイル基;カルバモイル基;ヒドロキシ基;C1−C6アルコキシ基;アミノ基;モノC1−C6アルキルアミノ基;ジC1−C6アルキルアミノ基;モノアリールアミノ基;ジアリールアミノ基;C1−C3アルキルカルボニルアミノ基;ウレイド基;C1−C6アルキル基;ニトロ基;シアノ基;ハロゲン原子;C1−C6アルキルスルホニル基;又はアルキルチオ基;を表し、
基FC1はフェニル基;又は、6員含窒素複素芳香環基;を表し、
aは1以上6以下の整数を表し、
bは平均値で0.00以上3.90未満であり、
cは平均値で0.10以上4.00未満であり、
且つb及びcの和は、平均値で1.00以上4.00未満である。)
適用例1のインクセットによれば、インクの着弾位置ずれを目立ちにくくでき、かつ耐光性に優れた画像を記録することができる。
適用例1において、
さらに、下記条件1−1、条件2−1及び条件3−1、または、下記条件1−2、条件2−2、及び条件3−2の少なくとも一方を満たす。
条件1−1: 3≦BLACKhume.−YELLOWhume.≦6
条件1−2: 5≦BLACKhume.−YELLOWhume.≦7
条件2−1: 3≦BLACKhume.−MAGENTAhume.≦6
条件2−2: 5≦BLACKhume.−MAGENTAhume.≦7
条件3−1: 3≦BLACKhume.−CYANhume.≦6
条件3−2: 5≦BLACKhume.−CYANhume.≦7
適用例1または適用例2において、
前記一般式(y−1)で表される化合物が、下記式(y−11)で表される化合物であることができる。
適用例1ないし適用例3のいずれか1例において、
前記一般式(m−1)で表される化合物が、下記一般式(m−12)で表される化合物であることができる。
適用例1ないし適用例4のいずれか1例において、
前記一般式(c−1)において、
環AC1乃至DC1における含窒素複素芳香環がそれぞれ独立に、2位及び3位で、又は3位及び4位で縮環したピリジン環;若しくは、2位及び3位で縮環したピラジン環であり、
EC1が、直鎖C2−C4アルキレンであり、
XC1が、置換基として、スルホ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、C1−C6アルコキシ基、アミノ基、モノC1−C4アルキルアミノ基、ジC1−C4アルキルアミノ基、C1−C3アルキルカルボニルアミノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、C1−C6アルキルスルホニル基及びアルキルチオ基より成る群から選択される1種類又は2種類の置換基を、0乃至2つ有しても良い、スルホアニリノ基;置換基として、スルホ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、及びスルファモイル基よりなる群から選択される1種類又は2種類の置換基を0乃至2つ有しても良いカルボキシアニリノ基;ホスホノアニリノ基;若しくは、置換基として、スルホ基及びヒドロキシ基から選択される1種類又は2種類の置換基を0乃至2つ有しても良いスルホナフチルアミノ基;であり、
RC1が、水素原子;スルホ基;カルボキシ基;C1−C6アルコキシ基;C1−C6アルキル基;又はハロゲン原子;であり、
基FC1が、フェニル基;又は、RC1が水素原子であるピリジル基;であり、
aが1又は2の整数であることができる。
適用例1ないし適用例5のいずれか1例において、
前記水酸基を3つ以上有する有機化合物は、グリセリン、トリメチロールプロパン、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトースおよびソルビトールから選択される少なくとも1種であることができる。
適用例1ないし適用例6のいずれか1例において、
前記N,N,N−トリアルキルアミノ酸は、グリシンベタイン、γ−ブチロベタイン、ホマリン、トリゴネリン、カルニチン、ホモセリンベタイン、バリンベタイン、リジンベタイン、オルニチンベタイン、アラニンベタイン、スタキドリンおよびグルタミン酸ベタインから選択される少なくとも1種であることができる。
本発明に係るインクジェット用インクセットは、少なくとも着色剤、水及び保湿剤を含有するインクを組み合わせてなるインクジェット用インクセットであって、
前記保湿剤は、水酸基を3つ以上有する有機化合物およびN,N,N−トリアルキルアミノ酸の少なくとも一種であり、
前記インクとして、少なくともイエローインク、マゼンタインク、シアンインク及びブラックインクを備え、
前記イエローインクは、着色剤として一般式(y−1)で表される化合物を含有し、前記マゼンタインクは、着色剤として一般式(m−1)で表される化合物を含有し、前記シアンインクは、着色剤として一般式(c−1)で表される化合物を含有し、前記ブラックインクは、着色剤として顔料を含み、
前記イエローインクに含まれる前記保湿剤の含有量を[YELLOWhume.(質量%)]、前記マゼンタインクに含まれる前記保湿剤の含有量を[MAGENTAhume.(質量%)]、前記シアンインクに含まれる前記保湿剤の含有量を[CYANhume.(質量%)]、前記ブラックインクに含まれる前記保湿剤の含有量を[BLACKhume.(質量%)]とした場合に、下記条件1、条件2および条件3を全て満たす。
条件2: 3≦BLACKhume.−MAGENTAhume.≦7
条件3: 3≦BLACKhume.−CYANhume.≦7
本実施形態に係るインクセットは、さらに、下記条件1−1、条件2−1及び条件3−1、または、下記条件1−2、条件2−2及び条件3−2の少なくとも一方を満たすことが好ましい。また、より好ましくは、下記条件1−1、条件2−1、条件3−1、条件1−2、条件2−2及び条件3−2の全てを満たすことである。
条件1−2: 5≦BLACKhume.−YELLOWhume.≦7
条件2−1: 3≦BLACKhume.−MAGENTAhume.≦6
条件2−2: 5≦BLACKhume.−MAGENTAhume.≦7
条件3−1: 3≦BLACKhume.−CYANhume.≦6
条件3−2: 5≦BLACKhume.−CYANhume.≦7
本実施形態に係る各インクは、保湿剤として、水酸基を3つ以上有する有機化合物およびN,N,N−トリアルキルアミノ酸の少なくとも一種を含有する。
本実施形態に係る各インクは、水を含有する。水は、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水または超純水のようなイオン性不純物を極力除去したものであることが好ましい。
次に、各インクに含まれる着色剤について説明する。
本実施形態に係るイエローインクは、着色剤として、下記一般式(y−1)で表される化合物またはその塩(以下、単に「染料(y−1)」ともいう。)を含有する。
本実施形態に係るマゼンタインクは、着色剤として、下記一般式(m−1)で表される化合物またはその塩(以下、単に「染料(m−1)」ともいう。)からなる群から選択される少なくとも一種を含有する。染料(m−1)を用いることにより、耐光性に優れたマゼンタインクが得られる。
本実施形態に係るシアンインクは、着色剤として、下記一般式(c−1)で表される化合物またはその塩(以下、単に「染料(c−1)」ともいう。)からなる群から選択される少なくとも一種を含有する。これにより耐光性に優れたシアンインクが得られる。
破線で表される環AC1乃至DC1は、それぞれ独立にポルフィラジン環に縮環したベンゼン環又は6員環の含窒素複素芳香環を表し、含窒素複素芳香環の個数は平均値で0.00を超えて3.00以下であり、残りはベンゼン環であり、
EC1はC2−C12アルキレンを表し、
XC1は、置換基として、スルホ基、カルボキシ基、リン酸基、スルファモイル基、カルバモイル基、ヒドロキシ基、C1−C6アルコキシ基、アミノ基、モノC1−C4アルキルアミノ基、ジC1−C4アルキルアミノ基、モノC6−C10アリールアミノ基、ジC6−C10アリールアミノ基、C1−C3アルキルカルボニルアミノ基、ウレイド基、C1−C6アルキル基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、C1−C6アルキルスルホニル基、及びC1−C6アルキルチオ基よりなる群から選択される1種類又は2種類以上の置換基を有しても良い、スルホアニリノ基、カルボキシアニリノ基、ホスホノアニリノ基、スルホナフチルアミノ基、カルボキシナフチルアミノ基又はホスホノナフチルアミノ基であり、
RC1は水素原子;スルホ基;カルボキシ基;リン酸基;スルファモイル基;カルバモイル基;ヒドロキシ基;C1−C6アルコキシ基;アミノ基;モノC1−C6アルキルアミノ基;ジC1−C6アルキルアミノ基;モノアリールアミノ基;ジアリールアミノ基;C1−C3アルキルカルボニルアミノ基;ウレイド基;C1−C6アルキル基;ニトロ基;シアノ基;ハロゲン原子;C1−C6アルキルスルホニル基;又はアルキルチオ基;を表し、
基FC1はフェニル基;又は、6員含窒素複素芳香環基;を表し、
aは1以上6以下の整数を表し、
bは平均値で0.00以上3.90未満であり、
cは平均値で0.10以上4.00未満であり、
且つb及びcの和は、平均値で1.00以上4.00未満である。
(イ)環AC1乃至DC1における含窒素複素芳香環としては、それぞれ独立に、2位及び3位で、又は3位及び4位で縮環したピリジン環;若しくは、2位及び3位で縮環したピラジン環が好ましい。
(ロ)EC1としては、直鎖C2−C4アルキレンが好ましい。
(ハ)XC1としては、置換基として、スルホ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、C1−C6アルコキシ基、アミノ基、モノC1−C4アルキルアミノ基、ジC1−C4アルキルアミノ基、C1−C3アルキルカルボニルアミノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、C1−C6アルキルスルホニル基及びアルキルチオ基より成る群から選択される1種類又は2種類の置換基を、0乃至2つ有しても良い、スルホアニリノ基;置換基として、スルホ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、及びスルファモイル基よりなる群から選択される1種類又は2種類の置換基を0乃至2つ有しても良いカルボキシアニリノ基;ホスホノアニリノ基;若しくは、置換基として、スルホ基及びヒドロキシ基から選択される1種類又は2種類の置換基を0乃至2つ有しても良いスルホナフチルアミノ基;が好ましい。
(ニ)RC1としては、水素原子;スルホ基;カルボキシ基;C1−C6アルコキシ基;C1−C6アルキル基;又はハロゲン原子;がこのましい。
(ホ)基FC1としては、フェニル基;又は、RC1が水素原子であるピリジル基が好ましい。
(ヘ)aとしては、1又は2が好ましい。
ブラックインクは、着色剤として顔料を含有する。顔料としては、公知の顔料を用いることができるが、自己分散型の顔料であることが好ましい。自己分散型の顔料とは、分散剤なしに水性媒体中に分散することが可能な顔料である。ここで、「分散剤なしに水性媒体中に分散」とは、顔料を分散させるための分散剤を用いなくても、その表面の親水基により、水性媒体中に安定に存在している状態をいう。自己分散型の顔料を用いると、顔料を分散させるための分散剤の使用量を低減できるので、分散剤に起因するインクの発泡を低減でき、吐出安定性の良好なインクが調製しやすい。
(樹脂)
本実施形態に係る各インクは、樹脂を含有してもよい。樹脂は、インクの乾燥に伴い、樹脂粒子同士及び樹脂粒子と着色成分とが互いに融着して着色剤を記録媒体に固着させるため、記録物の画像部分の定着性を向上させる作用を持つ。したがって、本実施形態に係る各インクにおいて、着色剤として顔料を含むインクに樹脂が含まれることが好ましい。
本実施形態に係る各インクは、界面活性剤を含有することができる。界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。界面活性剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
本実施形態に係る各インクは、浸透促進剤を含有することができる。浸透促進剤は、記録媒体に対するインクの濡れ性をさらに向上させて均一に塗らす作用を備える。これにより、形成された画像等のインクの濃淡ムラや滲みをさらに低減させることができ、画像等の発色濃度を一層向上させることができる。浸透促進剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
本実施形態に係る各インクは、その他の有機化合物を含有することができる。その他の有機化合物としては、例えば、アルカンジオール類、グリコール類、ピロリドン誘導体、尿素類等が挙げられる。その他の有機化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
本実施形態に係る各インクは、pH調整剤を含有することができる。pH調整剤は、インクのpH値の調整を容易にすることができる。pH調製剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
本実施形態に係る各インクは、さらに、防腐剤・防かび剤、防錆剤、キレート化剤等を含有することができる。本実施形態に係るインク各は、これらの化合物を含有していると、その特性がさらに向上する場合がある。
本実施形態に係るインクセットをインクジェット記録装置に用いる場合において、各インクの20℃における粘度は、2mPa・s以上10mPa・s以下であることが好ましく、3mPa・s以上6mPa・s以下であることがより好ましい。インクは、20℃における粘度が上記範囲内にあると、ノズルから適量吐出され、飛行曲がりを起こすことや飛散することを一層低減できるので、インクジェット記録装置に好適に使用することができる。インクの粘度は、振動式粘度計VM−100AL(山一電機株式会社製)を用いて、インクの温度を20℃に保持することで測定できる。
本実施形態に係るインクジェット記録方法は、上記インクセットを構成する各インクの液滴を吐出する工程を有する。本実施形態に係るインクジェット記録方法は、従来公知のインクジェット記録装置を用いて行うことができる。
本実施形態に係るインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の一例としては、図1に示すようなインクジェットプリンター(以下、単に「プリンター」ともいう。)が挙げられる。
インクジェット記録装置を用いたインクジェット記録方法は、例えば、次の様に行うことができる。具体的には、インクを液滴として記録媒体上に吐出して、インクの液滴を記録媒体に付着させることにより画像を形成することができる。インクジェット吐出方法としては、従来公知の方式はいずれも使用でき、特に圧電素子の振動を利用して液滴を吐出させる方法(電歪素子の機械的変形によりインク滴を形成するヘッドを用いた記録方法)においては優れた画像記録を行うことが可能である。
以下、本発明を実施例および比較例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
3.1.1.染料
(1)染料(y−11)
染料(y−11)は、常法により合成が可能であり、本実施形態では以下のようにして合成した。なお、染料(y−11)は、上記の染料(y−1)の一例である。
染料(m−13)は、常法により合成した。なお、染料(m−13)は、上記の染料(m−1)の一例である。
染料(c−11)は、常法により合成が可能であり、本実施形態では以下の工程1〜4にしたがって合成した。なお、染料(c−11)は、上記の染料(c−1)の一例である。
下記式(c−1−1)における環AC1乃至DC1のうち1.20が2位及び3位で縮環したピリジン環、残り2.80がベンゼン環で表される化合物の合成。
下記式(c−1−2)における環AC1乃至DC1のうち1.20が2位及び3位で縮環したピリジン環、残り2.80がベンゼン環であり、nが2.80である化合物の合成。
下記式(c−1−3)で表される有機アミンの合成。
下記式(c−11)で表される化合物[下記式(c−11)における環AC1乃至DC1のうち1.20が2位及び3位で縮環したピリジン環、残り2.80がベンゼン環である染料(染料(c−11)]の合成。
染料(y−2)は、下記式(y−2)で表されるイエロー系染料である。
染料(y−3)は、下記式(y−3)で表されるイエロー系染料である。
染料(m−2)は、下記式(m−2)で表されるマゼンタ系染料である。
染料(c−2)は、下記式(c−2)で表されるシアン系染料である。
表7に示す配合量で、各成分を混合攪拌し、孔径1.0μmのメンブレンフィルターにて加圧濾過を行って、イエローインク(Y−1、Y−2、Y−10)、マゼンタインク(M−1、M−2、M−3、M−10)、シアンインク(C−1、C−2、C−3、C−10)を得た。なお、表7に記載されている単位は、質量%である。また、表7中、商品名で記載した成分は、次の通りである。
・オルフィン PD002W(商品名、日信化学工業株式会社製、アセチレングリコール系界面活性剤)
表8に示す配合量で、各成分を混合攪拌し、孔径1.0μmのメンブレンフィルターにて加圧濾過を行って、ブラックインク(Bk−1〜Bk−11)を得た。なお、表8に記載されている単位は、質量%である。表8中、顔料1、顔料2、および商品名で記載した成分のうち表7で挙げていない成分は、次の通りである。
・顔料1(商品名「マイクロジェットCW1」、オリエント化学工業株式会社製、自己分散型のブラック顔料、平均粒子径110nm)
・顔料2(商品名「CAB−O−JET300」、キャボット社製、自己分散型のブラック顔料、平均粒子径130nm)
・オルフィン E1010(商品名、日信化学工業株式会社製、アセチレングリコール系界面活性剤)
・サーフィノール 104(商品名、Air Products and Chemicals. Inc.社製、アセチレングリコール系界面活性剤)
評価試験にあたって、上記の各インクを組み合わせて、実施例および比較例に係るインクセットとした。実施例および比較例に係るインクセットにおける各インクの組み合わせを、表9〜表13に示す。
得られた各インクセットをインクジェットプリンターPX−B300(商品名、セイコーエプソン株式会社製)に搭載して、常温(20℃)にて、全てのインクのベタ画像および罫線の含まれるパターンを、記録媒体(商品名「P紙」、富士ゼロックス株式会社製、A4サイズ)に対して50枚連続で印刷した。
A: 目視で各インク(カラー及びブラック)の着弾位置ズレが全く確認できない
B: 目視で各インク(カラー及びブラック)の着弾位置ズレがほとんど確認できない
C: 目視で各インク(カラー及びブラック)の着弾位置ズレがはっきりと確認できる
(1)ブラックインクのみを用いた間欠印刷試験
得られた各インクセットをインクジェットプリンターPX−B300(商品名、セイコーエプソン株式会社製)に搭載して、常温(20℃)にて7日間放置した後、インクセットにおけるブラックインクのみを吐出させて、ベタ画像および罫線の含まれるパターンを、記録媒体(商品名「P紙」、富士ゼロックス株式会社製、A4サイズ)に印刷した。
A: 目視でブラックインクの着弾位置ずれが全く確認できない
B: 目視でブラックインクの着弾位置ずれがほとんど確認できない
C: 目視でブラックインクの着弾位置ずれがはっきりと確認でき、罫線のずれがみられる
D: 目視でブラックインクの着弾位置ずれがはっきりと確認でき、罫線のずれが著しく、不連続になる
カラーインク(イエローインク、シアンインクおよびマゼンタインク)を吐出させた以外は、上記「3.3.2.(1)ブラックインクのみを用いた間欠印刷試験」と同様にして、ベタ画像および罫線の含まれるパターンを、記録媒体(商品名「P紙」、富士ゼロックス株式会社製、A4サイズ)に印刷した。
A: 目視で各カラーインクの着弾位置ずれが全く確認できない
B: 目視で各カラーインクの着弾位置ずれがほとんど確認できない
C: 目視で各カラーインクの着弾位置ずれがはっきりと確認できる
得られた各インクセットをインクジェットプリンターPX−B300(商品名、セイコーエプソン株式会社製)に搭載した。そして、常温(20℃)下、記録媒体(商品名「P紙」、富士ゼロックス株式会社製、A4サイズ)に対して色毎にベタ画像を印刷した。
A:RODが80%以上
B:RODが70%以上80%未満
C:RODが70%未満
以上の評価試験の結果を上記の表9〜12に示す。
Claims (8)
- 少なくとも着色剤、水及び保湿剤を含有するインクを組み合わせてなるインクジェット用インクセットであって、
前記保湿剤として、水酸基を3つ以上有する有機化合物を含み、
前記インクとして、少なくともイエローインク、マゼンタインク、シアンインク及びブラックインクを備え、
前記イエローインクは、着色剤として一般式(y−1)で表される化合物を含有し、
前記マゼンタインクは、着色剤として一般式(m−1)で表される化合物を含有し、
前記シアンインクは、着色剤として一般式(c−1)で表される化合物を含有し、
前記ブラックインクは、着色剤として顔料を含み、
前記イエローインクに含まれる前記保湿剤の含有量を[YELLOWhume.(質量%)]、前記マゼンタインクに含まれる前記保湿剤の含有量を[MAGENTAhume.(質量%)]、前記シアンインクに含まれる前記保湿剤の含有量を[CYANhume.(質量%)]、前記ブラックインクに含まれる前記保湿剤の含有量を[BLACKhume.(質量%)]とした場合に、下記条件1、条件2および条件3を全て満たす、インクジェット用インクセット。
条件1: 3≦BLACKhume.−YELLOWhume.≦7
条件2: 3≦BLACKhume.−MAGENTAhume.≦7
条件3: 3≦BLACKhume.−CYANhume.≦7
BM11およびBM12は、各々−CRM11=、−CRM12=を表すか、あるいはいずれか一方が窒素原子,他方が−CRM11=または−CRM12=を表し、
RM13,RM14は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはスルファモイル基を表わし、RM13,RM14は、更に置換基を有していてもよく、
GM1、RM11、RM12は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アルキル基またはアリール基または複素環基で置換されたアミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルフアモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルおよびアリールスルホニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、ニトロ基、アルキルおよびアリールチオ基、アルキルおよびアリールスルホニル基、アルキルおよびアリールスルフィニル基、スルファモイル基、スルホ基、またはヘテロ環チオ基を表し、GM1、RM11、RM12は、更に置換されていてもよく、
RM11とRM13、あるいはRM13とRM14が結合して5〜6員環を形成してもよい。)
破線で表される環AC1乃至DC1は、それぞれ独立にポルフィラジン環に縮環したベンゼン環又は6員環の含窒素複素芳香環を表し、含窒素複素芳香環の個数は平均値で0.00を超えて3.00以下であり、残りはベンゼン環であり、
EC1はC2−C12アルキレンを表し、
XC1は、置換基として、スルホ基、カルボキシ基、リン酸基、スルファモイル基、カルバモイル基、ヒドロキシ基、C1−C6アルコキシ基、アミノ基、モノC1−C4アルキルアミノ基、ジC1−C4アルキルアミノ基、モノC6−C10アリールアミノ基、ジC6−C10アリールアミノ基、C1−C3アルキルカルボニルアミノ基、ウレイド基、C1−C6アルキル基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、C1−C6アルキルスルホニル基、及びC1−C6アルキルチオ基よりなる群から選択される1種類又は2種類以上の置換基を有しても良い、スルホアニリノ基、カルボキシアニリノ基、ホスホノアニリノ基、スルホナフチルアミノ基、カルボキシナフチルアミノ基又はホスホノナフチルアミノ基であり、
RC1は水素原子;スルホ基;カルボキシ基;リン酸基;スルファモイル基;カルバモイル基;ヒドロキシ基;C1−C6アルコキシ基;アミノ基;モノC1−C6アルキルアミノ基;ジC1−C6アルキルアミノ基;モノアリールアミノ基;ジアリールアミノ基;C1−C3アルキルカルボニルアミノ基;ウレイド基;C1−C6アルキル基;ニトロ基;シアノ基;ハロゲン原子;C1−C6アルキルスルホニル基;又はアルキルチオ基;を表し、
基FC1はフェニル基;又は、6員含窒素複素芳香環基;を表し、
aは1以上6以下の整数を表し、
bは平均値で0.00以上3.90未満であり、
cは平均値で0.10以上4.00未満であり、
且つb及びcの和は、平均値で1.00以上4.00未満である。) - 請求項1において、
前記保湿剤として、水酸基を3つ以上有する前記有機化合物及びN,N,N−トリアルキルアミノ酸を含む、インクジェット用インクセット。 - 請求項1または請求項2において、
さらに、下記条件1−1、条件2−1及び条件3−1、または、下記条件2−2、条件1−2及び条件3−2の少なくとも一方を満たす、インクジェット用インクセット。
条件1−1: 3≦BLACKhume.−YELLOWhume.≦6
条件1−2: 5≦BLACKhume.−YELLOWhume.≦7
条件2−1: 3≦BLACKhume.−MAGENTAhume.≦6
条件2−2: 5≦BLACKhume.−MAGENTAhume.≦7
条件3−1: 3≦BLACKhume.−CYANhume.≦6
条件3−2: 5≦BLACKhume.−CYANhume.≦7 - 請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、
前記一般式(c−1)において、
環AC1乃至DC1における含窒素複素芳香環がそれぞれ独立に、2位及び3位で、又は3位及び4位で縮環したピリジン環;若しくは、2位及び3位で縮環したピラジン環であり、
EC1が、直鎖C2−C4アルキレンであり、
XC1が、置換基として、スルホ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、C1−C6アルコキシ基、アミノ基、モノC1−C4アルキルアミノ基、ジC1−C4アルキルアミノ基、C1−C3アルキルカルボニルアミノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、C1−C6アルキルスルホニル基及びC1−C6アルキルチオ基より成る群から選択される1種類又は2種類の置換基を、0乃至2つ有しても良い、スルホアニリノ基;置換基として、スルホ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、及びスルファモイル基よりなる群から選択される1種類又は2種類の置換基を0乃至2つ有しても良いカルボキシアニリノ基;ホスホノアニリノ基;若しくは、置換基として、スルホ基及びヒドロキシ基から選択される1種類又は2種類の置換基を0乃至2つ有しても良いスルホナフチルアミノ基;であり、
RC1が、水素原子;スルホ基;カルボキシ基;C1−C6アルコキシ基;C1−C6アルキル基;又はハロゲン原子;であり、
基FC1が、フェニル基;又は、RC1が水素原子であるピリジル基;であり、
aが1又は2の整数である、インクジェット用インクセット。 - 請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、
前記水酸基を3つ以上有する有機化合物は、グリセリン、トリメチロールプロパン、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトースおよびソルビトールから選択される少なくとも1種である、インクジェット用インクセット。 - 請求項2ないし請求項7のいずれか1項において、
前記N,N,N−トリアルキルアミノ酸は、グリシンベタイン、γ−ブチロベタイン、ホマリン、トリゴネリン、カルニチン、ホモセリンベタイン、バリンベタイン、リジンベタイン、オルニチンベタイン、アラニンベタイン、スタキドリンおよびグルタミン酸ベタインから選択される少なくとも1種である、インクジェット用インクセット。
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