JP5934027B2 - 極細繊維構造体 - Google Patents

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Description

本発明は、極細繊維からなる多孔性極細繊維層を含む極細繊維構造体に関し、詳細には、耐酸化性、高レート特性が改善され、バッテリー、キャパシタ、およびコンデンサに用いられるセパレーターや絶縁体等に適した極細繊維構造体に関する。
近年、アルミ電解コンデンサ、電気二重層キャパシタ、電池用セパレーター等に多孔質膜や不織布が使用されている。このような多孔質膜としては、例えば、特許文献1(特開平3−64334号公報)に記載されているように、ポリエチレン、ポリプロピレンに代表されるポリオレフィン多孔質膜、特許文献2〜4(特公昭54−34790号公報、特開昭58−179243号公報、特開昭58−210934号公報)に記載されているようなポリエステル多孔質膜等がある。
近年では、ポリエチレン多孔質膜がリチウムイオン二次電池のセパレーターとして用いられている。リチウムイオン二次電池では可燃性の有機溶媒を電解液に使用している関係で、安全性が非常に重要であるが、ポリエチレン多孔質膜は、外部短絡等による異常昇温時に、セパレーターが容易に溶融してしまい、電池内部で更に電極短絡してしまうという問題がある。
また、特許文献5、6(特開平6−263904号公報、特開平6−263906号公報)等に記載されているように、脂肪族ポリアミド、半芳香族ポリアミドの多孔質膜からなるセパレーターが提案されているが、これらも必ずしも十分な機械強度、耐熱性があるわけではない。
一方、全芳香族ポリアミドは、機械強度が高く、200℃以上の耐熱性を有する。この性質を活用して、特許文献7(特開平7−37571号公報)に記載のように、全芳香族ポリアミド多孔質膜或いは不織布を、電池用セパレーターに利用することが提案されている。
ところで、特にリチウムイオン二次電池に代表される有機溶媒電解液電池或いはキャパシタにおいては、水溶液電解液と比較して有機溶媒電解液は電位窓が広く、電池として3〜4Vという高い電圧が得られるようになっている。そのため、このような電池に用いられる電極隔離用セパレーターとしては、上記の高耐熱性、高強度に加え、高い電気化学的耐性が要求される。
しかしながら、全芳香族ポリアミド多孔質膜及び不織布の電気化学的酸化還元性について検討を行ったところ、評価後の不織布の作用極側は顕著に酸化劣化することが判った。
これに対し、特許文献8(特開2001−43842号公報)に記載のように、全芳香族ポリアミド多孔質膜や不織布の表面に、無機薄膜を形成させた電極隔離用のセパレーターを利用することが提案されている。確かに、このような手法により、耐酸化特性は改善されたものの、多孔質膜の場合、電解液の浸透性や吸液性が劣り、また、本特許文献に記載の不織布は、構成する繊維の繊維径が12μm程度であるため、不織布の細孔径が大きく、またバラツキも大きいため、高レートでの充放電試験を行った場合、イオンの移動が径の大きい細孔箇所に偏ってしまい、多孔質膜に比べ性能が劣るという課題がある。
特開平3−64334号公報 特公昭54−34790号公報 特開昭58−179243号公報 特開昭58−210934号公報 特開平6−263904号公報 特開平6−263906号公報 特開平7−37571号公報 特開2001−43842号公報
本発明は、従来の多孔質膜あるいは不織布からなるセパレーターの問題を解決し、酸化劣化が少なく電気化学的耐性が良好であり、高レート特性に優れ、特にバッテリー、キャパシタ、コンデンサのセパレーター、絶縁材等に用い高い性能を発揮する極細繊維構造体を提供しようとするものである。
上述の課題について本発明者らが鋭意検討した結果、以下の構成を有する極細繊維構造体を用いることによりかかる課題を達成できることを見出し、本発明に到達した。
かくして、本発明によれば、50〜3000nmの平均直径を有する極細繊維からなる多孔性極細繊維層を含んでなる極細繊維構造体の、少なくとも一方の表面に、無機物膜からなる無機物層、または無機物粒子からなる無機物層を有し、1〜10の最大細孔径/平均細孔径の値を有していることを特徴とする極細繊維構造体が提供される。
本願発明の極細繊維構造体は、ナノレベルの極細繊維からなる多孔性極細繊維層を含み、細孔径やそのバラツキが小さく、電解液の浸透性や保液性が良好であり、かつ、その少なくとも一方の表面に無機物膜または無機物粒子からなる無機物層を有しているため、電気化学的耐酸化性が改善されているだけでなく、上記多孔性極細繊維層による形態との相乗効果により、高レート化を実現している。よって、バッテリー、コンデンサ、キャパシタ等の、特にリチウムイオン電池、有機電解液系キャパシタ等の電圧の高いバッテリー、キャパシタ等のセパレーターや絶縁体として好適に利用することができる。
本発明の極細繊維構造体は、50〜3000nmの平均直径を有する極細繊維からなる多孔性極細繊維層を含んでなる極細繊維構造体の、少なくとも一方の表面上に、無機物膜または無機物粒子からなる無機物層を有するものである。
本発明において、極細繊維を構成するポリマーとして好適なものとしては、バッテリー、キャパシタ、コンデンサ等に用いられる電解質溶液に対して実質的に不活性であるいずれかの熱可塑性および熱硬化性ポリマーが挙げられる。極細繊維構造体の繊維の形成に用いるために好適なポリマーとしては限定されないが、ポリビニルアルコール、脂肪族ポリアミド、半芳香族ポリアミド、全芳香族ポリアミド、ポリスルホン、セルロースアセテート、セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン、ポリエチレンオキシド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリメチルペンテン、ポリアクリロニトリルポリフェニレンスルフィド、ポリアセチル、ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレンならびにこれらのコポリマーまたは誘導体化合物、およびこれらの組み合わせが挙げられる。これらの中でも特に高耐熱性、高強度の観点から、全芳香族ポリアミドが選択される。
ここで言う全芳香族ポリアミドとは、下記式(1)の繰り返し単位を有する実質的に線状の、繊維又はフィルム形成能を有するポリアミドである。
−NR−Ar−NR−CO−Ar−CO− (1)
[式(1)において、R及びRは、同一もしくは相異なり、水素原子及び炭素数5以下のアルキル基からなる群から選ばれる。Ar及びArは、同一もしくは相異なり、オルトフェニレン基、メタフェニレン基、パラフェニレン基、1,4ナフチレン基、1,5ナフチレン基、2,6ナフチレン基、2,5ピリジレン基及び下記式(2)で示される2価の芳香族基から選択される。なお、これらのAr、Arを形成する芳香環の水素の一部又は全部がハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基で置換されていてもよい。]
Figure 0005934027
[式(2)中のXは、直接結合、エーテル基、スルフィド基、メチレン基、カルボニル基及びスルフォニル基からなる群から選ばれる。]
このような全芳香族ポリアミドの代表例としては、ポリ(メタフェニレンイソフタルアミド)、ポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)、ポリ(パラフェニレンテレフタルアミド/3,4’−ジフェニルエーテルテレフタルアミド)共重合体等が挙げられる。
上記のポリマーを、多孔性極細繊維層に成型加工する手段としては、エレクトロスピニング法が挙げられ、本手法では、ポリマー溶液の紡糸が可能であり、上記芳香族ポリアミド等の各種ポリマーに適用することができる。該製造方法としては、例えば、芳香族ポリアミドポリマーをN,N−ジメチルアセトアミド等の溶剤に、10〜30重量%となるように溶解させエレクトロスピニング用の紡糸溶液とし、このポリマー溶液をノズルから吐出させ、電界紡糸法により印加電圧を30〜60kVとして極細繊維を成形し、該ノズルから10〜50cm下に設置した搬送ネットでこれを回収し、極細繊維積層体する。さらに、得られた極細繊維積層体を、2本の金属製加熱ローラ(上下ローラ)等を用いて、線圧40〜60kg/cm、金属製加熱ローラ温度320〜350℃の条件で、連続的に加熱加圧処理することによって多孔性極細繊維層を得ることができる。また、これにより後述する、平均細孔径、最大細孔径、厚さ、多孔度、坪量、マクミラン数に調整することができる。
本発明の極細繊維構造体は、上記の50〜3000nm、好ましくは50〜1000nm、さらに好ましくは100〜800nmの平均直径を有する極細繊維のみからなる多孔性極細繊維層を少なくとも1層含んでいればよい。こうした極細繊維は、高い表面積を有するので、上記のバッテリー、キャパシタ、コンデンサのセパレーターや絶縁体として用いた場合、良好な電解液浸透性および保液性を達成できる。また、本発明においては、「多孔性極細繊維層を含んでなる極細繊維構造体」には、上記多孔性極細繊維層のみからなる極細繊維構造体もこれに含まれる。
本発明の極細繊維構造体は、薄く、低いイオン抵抗および良好なデンドライトバリア特性、耐短絡性等に同時に優れており、バッテリー用、キャパシタ用、コンデンサ用のセパレーターや絶縁体に用いた際に、優れた性能を発揮する。つまり、本発明の極細繊維構造体は、バッテリー用セパレーターとしたとき、電解液を吸液する高い容量を有する一方で、電解液で飽和されたときにおいても、該セパレーターが、それらのデンドライトバリア特性を損失しないように、実用における優れた構造維持性、化学的安定性、および寸法安定性を有している。また、キャパシタ用セパレーター、コンデンサ用セパレーターとしたときも、電解液を吸液する高い容量を有する一方で、電解質溶液で飽和されたときにおいても、セパレーターが、それらのソフトショートバリア特性を損失しないよう、実用における優れた構造維持性、化学的安定性、および寸法安定性を有している。
上記の、バッテリー用、キャパシタ用、コンデンサ用のセパレーターおよび絶縁体は、いずれも厚みが薄いほど、バッテリー、キャパシタ、コンデンサにおいて用いられる材料(すなわちアノード、カソード、およびセパレーター等)の全厚が薄くなるため、電気化学的に活性な材料を特定容積中に内在させることが可能であり、大容量のバッテリー、キャパシタや、コンデンサを製造できる。
上記の多孔性極細繊維層を含んでなる極細繊維構造体は、低いイオン抵抗を有し、イオンは、アノードおよびカソード間を流れやすくなる。これらの性能はマクミラン数が、好ましくは1〜15、より好ましくは2〜10となることによって実証されるが、本発明は後述する多孔性極細繊維層を構成する繊維の平均直径や、多孔性極細繊維層の他の構成を満足させることによって実現できる。
多孔性極細繊維層の平均細孔径は、好ましくは0.01〜15μm、より好ましくは0.01〜5μm、さらに好ましくは0.01〜3μmであり、最大細孔径/平均細孔径の値は、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5、さらに好ましくは1〜3である。多孔性極細繊維層の平均細孔径が15μmより大きく、最大細孔径/平均細孔径が10より大きい場合、高レートでの充放電試験を行うと、イオンの移動が、多孔性極細繊維層の径の大きい細孔箇所に偏り、イオンの移動がない細孔箇所が増える傾向にあり、多孔質膜に比べると性能が劣ってしまう傾向にある。
本発明においては、多孔性極細繊維層の多孔度は、好ましくは20〜90%、より好ましくは40〜70%である。多孔性極細繊維層の多孔度が20%より小さいと、電解液の浸透性および保液性が低下する傾向にあり、90%より大きいと、取扱い性が悪くなる傾向にある。
本発明においては、多孔性極細繊維層の厚みは、好ましくは1〜100μm、より好ましくは2〜50μm、さらに好ましくは3〜30μmである。多孔性極細繊維層は、バッテリー用セパレーター等に用いた場合、アノードおよびカソード間のデンドライト誘起ショートを防止するのに十分な厚さとし、一方で、カソードおよびアノード間で良好にイオンが流れるようにするため、上記範囲とすることが好ましい。多孔性極細繊維層の厚みが1μmより小さいと、極細繊維構造体の少なくとも一方の表面上に無機物層を形成させても、短絡が起きる可能性が高くなる傾向にあり、100μmよりも大きくなると、電極間の距離が大きくなり、セパレーターとした場合、イオン抵抗が大きくなる傾向にある。
本発明においては、多孔性極細繊維層の目付は、好ましくは1〜90g/m、より好ましくは2〜50g/m、さらに好ましくは3〜25g/mである。多孔性極細繊維層の坪量が90g/mを超える場合には、イオン抵抗が大きくなりすぎる傾向がある。一方、目付が1g/m未満の場合には、極細繊維構造体の少なくとも一方の表面上に無機物層を形成させても、アノードおよびカソード間の短絡が起きる可能性が高くなる傾向にある。
本発明の一実施形態は、バッテリーに関する。本発明のバッテリーは、Li−MnOまたはLi−FeSリチウム一次バッテリーなどのリチウム一次バッテリー、リチウムイオン二次バッテリーまたはリチウムイオンゲルポリマーバッテリーであることができる。
リチウム一次バッテリーは、多くの異なるタイプのバッテリー化学を利用し、各々はリチウムをアノードとして用いるが、異なるカソード材料(SO、SOCl、SOCl、CFn、CuO、FeS、MnO等)および電解質を用いる。リチウムマンガンオキシドまたはLi−MnOセルにおいて、リチウムがアノードとしておよびMnOがカソード材料として用いられ;電解質は、リチウム塩を、プロピレンカーボネートおよび1,2−ジメトキシエタンなどの混合有機溶剤中に含有する。硫化鉄リチウムまたはLi/FeSバッテリーは、リチウムをアノードとして、二硫化鉄をカソードとして、および有機溶剤ブレンド(例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメトキシエタン等)中のヨウ化リチウムを電解質として用いる。
リチウムイオン二次バッテリーは、リチウム挿入炭素をアノードとして、リチウム金属酸化物(例えば、LiCoO、LiNiO、LiMn等)をカソードとしておよび有機溶剤のブレンド(例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等)を1Mリチウムヘキサフルオロリン酸(LiPF)と共に電解質として用いる。
リチウムイオンゲルポリマーバッテリーは、リチウムイオン二次バッテリーと類似のアノードおよびカソードを用いる。液体有機電解質は、高分子セパレーターとゲルを形成し、これが、セパレーターおよび電極間の良好な接合を得るために補助する。ゲル電解質のイオン抵抗は液体電解質より高いが、安全性および形成要件の点で追加の利点を提供する。
本発明の他の実施形態はキャパシタであり、炭素ベースの電極を、例えば、アセトニトリルまたはプロピレンカーボネートの溶液および1.2モル濃度の第4級テトラフルオロアンモニウムホウ酸塩といった有機または非水性電解質、または例えば、30〜40%KOH溶液といった水性電解質と共に用いる電気二重層キャパシタとすることができる。
また、本発明においては、キャパシタンスを提供する還元−酸化化学反応に依存するキャパシタとすることができる。このようなキャパシタは、「擬似キャパシタ(pseudo capacitors)」または「レドックスキャパシタ」として称される。擬似キャパシタは、炭素、貴金属水和酸化物、変性遷移金属酸化物および導電性ポリマーベースの電極、ならびに水性および有機電解質を用いることができる。
本発明の他の実施形態は、エッチングされたアルミニウム箔アノードと、アルミニウム箔またはフィルムカソードと、それらの間に介挿されたセパレーター等とを含むアルミニウム電解コンデンサである。本発明の微細繊維構造体からなるセパレーターは、液体電解溶液または導電性ポリマーで含浸されている。液体電解質溶液は、極性溶媒と、無機酸、有機酸、無機酸塩および有機酸塩から選択された少なくとも1つの塩とを含有している。
本発明のコンデンサは、2つの導電性アルミニウム箔と、電解質に浸漬されたセパレーターとを含み、導電性アルミニウム箔の一方は絶縁酸化物層でコートされているものを例示できる。酸化物層でコートされたアルミニウム箔はアノードである一方、液体電解質および第2の箔はカソードとして機能する。多層組立体が巻き上げられ、ピンコネクタで固定され、円筒アルミニウムケースに入れられる。箔は高純度アルミニウムであり、何十億もの微細なトンネルが化学的にエッチングされて、電解質と接触する表面積を広げる。アノード箔は、アノード箔上に化学的に成長した酸化アルミニウム(Al)の薄層であるコンデンサの誘電体を支える。電解質は、電圧および動作温度範囲に従って異なる処方の成分のブレンドである。主な成分は、溶媒と、電気伝導する溶質としての導電性塩である。一般的な溶媒は、エチレングリコール(EG)、ジメチルホルムアミド(DMF)およびγ−ブチルラクトン(GBL)である。一般的な溶質は、ホウ酸アンモニウムおよびその他のアンモニウム塩である。少量の水を電解質に添加して、酸化アルミニウム誘電体の完全性を維持する。セパレーターは、箔電解質が互いに接触したり、短絡したりするのを防ぎ、電解質の容器を保持させることができる。
極細繊維構造体は、例えば繊維同士を結合することによって、その引張強度を向上させることができる。特に縦方向(長さ方向)の引張強度を高くすることによって、セルの巻回性を向上させ、かつ、セパレーターや絶縁体としたとき、電極のバリなど起きる損傷によるピンホールの発生を抑えることができる。極細繊維同士の結合方法は、特に限定されないが、加熱された平滑なニップロール間での熱カレンダ加工、超音波結合、点結合、および高温雰囲気中を通過せる結合など公知の方法を採用することができる。繊維同士の結合により、極細繊維構造体の取扱い性が向上し、かつ、バッテリー、キャパシタ、コンデンサ等のセパレーターや絶縁体の製造に必要な強度を付与することもできる。また、接合方法に応じて、厚さ、密度、孔径、および形状などの物理特性を調整することができる。熱カレンダ加工を用いる場合、極細繊維が溶融したり、個々の繊維形態が失われるまで過度に融着させたりして、完全なフィルム状としないようにする必要がある。
本発明の極細繊維構造体は、極細繊維の単一層または多層のいずれであってもよい。繊維構造体が多層からなる場合、同一ポリマーの極細繊維の層から構成されても、あるいは、異なるポリマーの極細繊維の層から構成されていてもよい。多層は、特に限定されないが、ポリマー、厚さ、坪量、孔径、繊維サイズ、多孔度、通気度、イオン抵抗および引張強度などの少なくともいずれかで異なる層を積層するものであっても良い。
本発明で目的とする電気化学的耐性には、バッテリー、キャパシタ、コンデンサの各電極の取りうる電位範囲において、化学的に安定であることが必要とされる。例えば、リチウムイオンが層間に脱挿入できる天然黒鉛負極電極では、リチウム/リチウムイオン電位対比で通常0.1〜0.5V程度、メソフェーズピッチカーボン負極電極では0.1〜1.2V程度、コバルト酸リチウム正極電極では+3.6〜+4.3V程度の範囲で使用される。そのため、この場合セパレーターとしても+0.1〜+4.3Vの範囲で実用上電気化学的に酸化、還元されない材料が望まれる。
しかしながら、実際のバッテリー、キャパシタ、コンデンサにおいて、このような電位が発生するのは電極のごく表面に形成される電気化学二重層領域内であり、この層の厚みより離れた電解液領域での電位とは大きく異なる。例えば、上記の炭素負極電極では、非常に低い電位領域に電極電位を持つが、実際にはその電極表面には電解液分解物、変性物が堆積され、セパレーターや絶縁体が実質的に直接接触し難い。そのため、本来そのような電位で還元するおそれのある前記ポリマーで構成される極細繊維からなる多孔性極細繊維層を含んでなる極細繊維構造体であっても、セパレーターや絶縁体とした場合、実用上顕著に還元することはない。
一方、正極においては、上記極細繊維構造体をセパレーターや絶縁体とした場合は、顕著に酸化劣化を起こしてしまう。これは正極表面に直接セパレーター等が接触するためである。
これに対し、本発明により、上記極細繊維構造体の少なくとも一方の表面、好ましくは正極に接する表面に、電極隔離層として無機物層を形成した場合、そのような正極による酸化劣化が効果的に抑制することができる。
ここで「少なくとも一方の表面」とは、この上記極細繊維構造体の一方の表面の、好ましくは正極に面する片側のみに無機物層を形成してもよく、両面にも形成してもよいという意味である。通常、製造上の簡便さ、経済性から一方の表面のみに無機物層を形成する方がよいが、この場合、無機物層の厚みによっては、無機物層の面内応力により該無機物層を形成した極細繊維構造体が大きくカールしてしまい、取り扱い性が低下する場合がある。一方、無機物層を両面に形成する場合には、このようなカールは抑制される。しかしながら、両面それぞれに無機物層を形成するため、生産性、経済性に劣る面がある。したがって、これらの両方を勘案して、無機物層を片面のみに形成するか両面に形成するかを決定することが推奨される。
このような無機物層の厚みとしては、0.01〜20μmが好ましい。該厚みが0.01μmよりも薄い場合、無機物層が均一に形成されず、正極酸化抑制効果が発現し難い。一方、20μmよりも厚い場合、無機物層自体の屈曲性に乏しくなり、形成後に無機物層が割れたり、剥離したりするようになるので、好ましくない。該厚みは好ましくは0.02〜15μm、より好ましくは0.05〜10μmである。
このような無機物層の主成分としては、形成された無機物層の表面抵抗が1TΩ以上となる無機物膜または無機物粒子を用いることが好ましい。すなわち、絶縁性の無機物膜または無機物粒子が好ましく、このような中間層を介在させることで正極での電気化学的酸化を抑制することができる。
そのような無機物膜および無機物粒子を構成する無機物としては、珪素酸化物、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化セシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、チタン酸バリウム、酸化鉛、酸化ジルコニウム、炭化珪素、リチウムイオンの伝達能力を有する無機物のいずれか、又はこれらの複数からなる混合物からなる群より選択された無機物が好ましく挙げられる。具体的には、実質的に非導電性の、BaTiO、Pb(Zr,Ti)O(PZT)、Pb1−xLaZr1−yTi(PLZT)、PB(MgNb2/3)O−PbTiO(PMN−PT)、hafnia(HfO)、SrTiO、SnO、CeO、MgO、NiO、CaO、ZnO、ZrO、SiO、Y、Al、SiC及びTiO、リチウムフォスフェイト(LiPO)、リチウムチタンフォスフェイト(LiTi(PO、0<x<2、0<y<3)、リチウムアルミニウムチタンフォスフェイト(LixAlyTiz(PO)3、0<x<2、0<y<1、0<z<3)、(LiAlTiP)系列ガラス(0<x<4、0<y<13)、リチウムランタンチタネート(LiLaTiO、0<x<2、0<y<3)、リチウムゲルマニウムチオフォスフェイト(LiGe、0<x<4、0<y<1、0<z<1、0<w<5)、リチウムナイトライド(Li、0<x<4、0<y<2)、SiS系列ガラス(LiSi、0<x<3、0<y<2、0<z<4)及びP系列ガラス(Li、0<x<3、0<y<3、0<z<7)等がある。これらのうちの単一組成を選択してもよいし、これらから選択される複数組成からなる複合酸化物としてもよい。このような無機物の中では、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムが経済性、生産性の観点から特に好ましい。
無機物粒子の平均粒径に制限はないが、均一な厚さのコーティング層形成及び適切な気孔度のために、可能な限り0.001〜10μmの範囲であることが望ましい。平均粒径が0.001μm未満である場合、分散性が低下する傾向にあり、10μmを超える場合、無機物層の厚さが増加し、また大きすぎる気孔のサイズによりバッテリー等の充・放電時に内部短絡が生じる確率が高くなる傾向にある。
上記の無機物層の形成方法としては、例えば、特開平1−304933号公報や特開平10−172531号公報に記載されるように、極細繊維構造体を無機物、または無機物粒子を含むコーティング剤に浸漬することで極細繊維構造体の表面にコーティングし、加熱処理をして無機物膜を製膜する方法や、後述の真空製膜法を用いる方法等が採用される。
後者の真空製膜法は、真空中に極細繊維構造体を配置し、その表面に無機物層組成を積層成長させる手法である。このような手法としては真空蒸着法、スパッタリング法、CVD(ケミカルベーパーデポジション)法が生産性の観点から好ましい。
このような無機物層の積層に当たっては、密着性の観点から、基体表面に、コロナ放電処理、スパッタエッチング処理等の公知の表面前処理を施しても構わない。
無機物層を形成する基材となる、多孔性極細繊維層を含んでなる極細繊維構造体の厚さは、セパレーターや絶縁体等の用途に応じて選択されるが、一般に1〜100μmが好ましい。
以下、本発明の実施例、比較例を示し、本発明を更に詳細に説明する。ただし、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。なお、実施例、比較例に記載の各測定値は、以下の要領で求めたものである。
<多孔性極細繊維層の厚み>
基材となる多孔性極細繊維層の厚みは、通常のマイクロメーターを用いて、μm単位で測定した。
<繊維径>
極細繊維を任意に50本サンプリングし、走査型電子顕微鏡JSM6330F(JEOL社製)にて測定し、繊維直径の平均値を求めた。なお測定は、20,000倍の倍率で行った。
<目付>
多孔性極細繊維層を、1辺が50mmの正方形に切り出し、その重量を、電子天秤を用いて測定し、1辺が1mの正方形として換算して目付とした。
<平均細孔径、最大細孔径>
多孔性極細繊維層をCapillary Flow Porometer CFP−1200−AEXL(Porous Materials, Inc.製)を用いて、平均細孔径と最大細孔径を求めた。
<マクミラン数>
多孔性極細繊維層を200mmΦに切り出し、2枚のステンレス電極に挟み、10kHzでの交流インピーダンスから算出した電導度を、電解液のイオン電導度で除して算出した。電解液は1M LiBFEC/PCを重量比で1/1に調整したものを用い、測定温度は25℃とした。
<電池性能:高レート特性試験>
電極(正極)の作製:コバルト酸リチウム(LiCoO 日本化学工業株式会社製)粉末89.5質量部とアセチレンブラック4.5質量部及び、PVdFの乾燥重量が6質量部となるように、6質量%のPVdFのN−メチル−ピロリドン(NMP)溶液を用い、正極剤ペーストを作製した。得られたペーストを厚さ20μmのアルミ箔上に塗布乾燥後プレスして厚さ97μmの正極を得た。
電極(負極)の作製:負極活物質としてメゾフェーズカーボンマイクロビーズ(大阪瓦斯化学株式会社製)粉末87質量部とアセチレンブラック3質量部及びPVdFの乾燥重量が10質量部となるように、6質量%のPVdFのNMP溶液を用い、負極剤ペーストを作製した。得られたペーストを厚さ18μmの銅箔状に塗布乾燥後プレスして、厚さ90μmの負極を得た。
非水系電解液の作製:電解液はエチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを3:7の重量比で混合した混合溶媒に1Mの濃度で六フッ化リン酸リチウムを溶解して作成した。
上述の電極、電解液、極細繊維構造体(セパレーター)を用いて、設計容量60mAhのラミネートセルを作製し、20℃環境下で0.5C、4.2Vの定電流・定電圧充電(3.5時間)後、0.2C、2.7Vカットオフの定電流放電を実施し、20℃環境下での電池容量を確認した後、再度、0.5C、4.2Vの定電流・定電圧充電(3.5時間)を実施し、その後、5.0C、2.7Vカットオフの定電流放電を実施し、0.2C放電対比での容量保持率を算出した。そして、容量保持率が65%以上のものを合格、65%より小さいものを不合格とした。
<電気化学的酸化性>
極細繊維構造体の電気化学的酸化性の評価は、アルゴン気流のグローブボックス中で以下の手段で行った。
セパレーターに、上述で調製した電解液を十分に浸透させた後、半径1cmの円盤状ステンレス電極間に対極、参照極として0.5mm厚のリチウム金属シート/極細繊維構造体/作用極として白金板の順序で挟み込み、スクリブナー社製1287型「ポテンシオスタット」で電位掃引測定を行い、電流値を測定した。この時の条件として、3.5Vから始めて7Vまで、掃引速度0.1mV/秒で行った。そして、電流密度が1mA/cmとなる時の電位で評価した。
なお、基材の一方の表面に無機物層が形成されたセパレーターは、無機物層が形成された面を正極側に配置して電池を作製して、試験を実施した。
<無機物層の厚み>
蛍光X線測定による無機物層の厚み測定は、次のようにして行った。事前に厚み100μmポリエチレンテレフタレートフィルム表面上に各種条件で無機物層を形成した。そして、まずそれぞれの無機物層について、公知の蛍光X線測定による無機物層成分元素の蛍光X線ピーク強度を測定した。次いで測定した無機物層の厚みを、公知の走査形電子顕微鏡によるフィルム断面観察から物理的に求めた。これにより物理的層厚(膜厚)−蛍光X線ピーク強度の対応図を検量線図として作成した。本発明の、極細繊維構造体上の無機物層についても同様に、蛍光X線ピーク強度を求め、作成した検量線図から無機物層の厚みを算出した。但し、極細繊維構造体の表面平滑性が悪かったり、空孔率が大きく、無機物層の厚みが適正に測定できないと判断した場合は、同一条件で厚さ100μmポリエチレンテレフタレートフィルム上に積層した無機物層の厚みを測定し、その値をもって極細繊維構造体上の無機物層の厚みとした。
[実施例1]
特公昭47−10863号公報記載の方法に準じた下記の界面重合法により目的ポリマーを製造した。
イソフタル酸ジクロライド25.13g(99mol%)と第3成分としてテレフタル酸ジクロライド0.25g(1mol%)を水分含有率2mg/100mlのテトラヒドロフラン125mlに溶解し、−25℃に冷却した。これを撹拌しながらメタフェニレンジアミン13.52g(100mol%)を、上記テトラヒドロフラン125mlに溶解した溶液を細流として約15分間にわたって添加し、白色の乳濁液(A)を作製した。これとは別に無水炭酸ナトリウム13.25gを水250mlに室温で溶かし、これを撹拌しながら5℃まで冷却して炭酸ナトリウム水和物結晶を析出させ分散液(B)を作製した。上記乳濁液(A)と分散液(B)とを激しく混合した。更に2分間混合を続けた後、200mlの水を加えて希釈し、生成重合体を白色粉末として沈殿させた。重合終了系からろ過、水洗、乾燥して目的とするポリマーを得た。
得られた芳香族ポリアミドポリマーをN,N−ジメチルアセトアミドに、20重量%となるように溶解させエレクトロスピニング用の紡糸溶液とした。このポリマー溶液をノズルから吐出させ、電界紡糸法により印加電圧を50kVとして極細繊維を成形し、該ノズルから20cm下の搬送ネットでこれを回収し、極細繊維不織布を得た。
続いて得られた極細繊維不織布を、2本の金属製加熱ローラ(上下ローラ)を用いて、線圧50kg/cm、金属製加熱ローラ温度340℃の条件で、連続的に加熱加圧処理することによって多孔性極細繊維層を得、これをそのまま該多孔性極細繊維層一層からなる極細繊維構造体とした。各測定の結果は、表1に示した。
こうして得られた極細繊維構造体の一方の表面に、次のようにして無機物膜である無機物層を形成した。すなわち、極細繊維構造体を、巻き取り式マグネトロンスパッタリング装置内に設置して、装置内を0.02mTorrまで排気した。このときターゲットには、長さ150mm、幅390mm、厚み5mmのホウ素ドープ珪素ターゲットを用いた。その後、アルゴン/酸素混合ガス(体積比でアルゴン:酸素=70:30)を50sccm導入して圧力を0.6mTorrに保った後、メインロールの温度を10℃となるように制御した。そして、酸化珪素膜形成条件として、放電電力を2.4kWに設定して、スパッタリングを行った。この時、極細繊維構造体の移動速度を変えることで、形成される酸化珪素膜の厚みを制御した。このようにして、極細繊維構造体の移動速度を0.1m/分として酸化珪素膜を形成した。形成された酸化珪素膜の厚みは3.3μmであった。
得られた無機物層を形成させた極細繊維構造体の表面抵抗については、同一条件で100μmポリエチレンテレフタレートフィルムに酸化珪素膜をスパッタリング形成し、連続膜を作製して、その無機薄膜表面上の表面抵抗を、ケースレー社製の絶縁抵抗計6157A及び8009型抵抗率チャンバーを用いて、25℃,0%RH環境下で測定することで代用した。その結果、本実施例の膜厚範囲において、いずれも30TΩ以上であることが確認された。
そして、酸化珪素膜を形成させた極細繊維構造体面を正極側に配置して、電気化学的酸化性を調べた。その結果、正極に配置した極細繊維構造体面には何ら変色が確認できなかった。また、ATR−IRでも新たな赤外吸収ピークは観察できなかった。このことは全く酸化劣化が生じなかったことを意味する。
続いて、電池性能として、高レート試験を実施し、容量保持率を測定した結果、72%であり、合格とした。
[実施例2]
実施例1で使用した紡糸用芳香族ポリアミドポリマー溶液の濃度を23重量%に変更した以外は、実施例1と同様に極細繊維構造体の作製、および無機物膜を形成した。各測定、および各評価結果を表1に示した。
[実施例3]
極細繊維構造体の一方の表面に、無機物層を形成させる際の極細繊維構造体の移動速度を1.0m/分に変更した以外は、実施例1と同様に極細繊維構造体の作製、および無機物膜を形成した。このときの酸化珪素膜の厚みは0.3μmであった。続いて、各測定、および各評価を実施し、結果を表1に示した。
[比較例1]
極細繊維構造体の表面に、無機物層を形成しない以外は、実施例1と同様に極細繊維構造体を作製した。各測定、および各評価を実施し、結果を表1に示した。この結果から分かるように、極細繊維構造体の表面に無機物層を形成しないと、高レート特性は優れた性能を示したが、耐酸化性評価では、極細繊維構造体の表面の変色が確認でき、酸化劣化が起きたと考えられる。
[比較例2]
基材として結晶化させたポリメタフェニレンイソフタルアミド短繊維(1.38dtex)に非結晶化ポリメタフェニレンイソフタルアミド長繊維(1.32dtex)をバインダーとして添加し、乾式成型法で作製した不織布(平均厚み28μm、目付11.2g/m、空隙率71%)を用いた以外は実施例1と同様に、繊維構造体に無機物層を形成した。各測定、および各評価を実施し結果を表1に示した。この結果から分かるように、基材の細孔径のバラツキが大きいと、耐酸化性評価で酸化劣化は抑制されたと考えられるが、各細孔箇所でイオンの移動にバラツキが発生したためか、高レート試験を実施し、容量保持率を測定した結果、58%であり、所望する高レート特性は得られなかった。
[比較例3]
基材としてポリエチレン−ポリプロピレン製微多孔質膜(セルガードTM2325、Celgard社製)を用いた以外は、実施例1と同様に、微多孔質膜の表面に無機物層を形成した。各測定、および各評価を実施し結果を表1に示した。この結果から分かるように、耐酸化性評価で酸化劣化は抑制されたと考えられるが、細孔が貫通孔であるような微多孔質膜であると、急激なイオンの移動がスムーズになされないためか、高レート試験を実施し、容量保持率を測定した結果、62%であり、所望の高レート特性は得られなかった。
Figure 0005934027
以上のように、本発明の極細繊維構造体は、細孔の径、およびバラツキが小さく、電解液の浸透性や保液性が良好な極細繊維構造体を基材とし、その少なくとも一方の表面、好ましくは正極側表面に無機物層を形成して、電気化学的耐酸化性や高レート特性が付与され、両者の相乗効果によりバッテリー、キャパシタ、コンデンサとして高い性能を示し、特にリチウムイオン電池、有機電解液系キャパシタ等の電圧の高い電池用のセパレーター等として好適に利用することができる。

Claims (9)

  1. 50〜3000nmの平均直径を有する極細繊維からなる多孔性極細繊維層を含んでなる極細繊維構造体の、少なくとも一方の表面に、無機物膜からなる無機物層、または無機物粒子からなる無機物層を有し、1〜10の最大細孔径/平均細孔径の値を有していることを特徴とする極細繊維構造体。
  2. 多孔性極細繊維層が、0.01〜15μmの平均細孔径、1〜100μmの厚み、20〜90%の多孔度、1〜90g/mの坪量、および、1〜15のマクミラン数を有する、請求項1に記載の極細繊維構造体。
  3. 極細繊維が、脂肪族ポリアミド、半芳香族ポリアミド、ポリビニルアルコール、セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルホン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロペン、ポリメチルペンテン、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリアセチル、ポリウレタン、全芳香族ポリアミド、ならびにこれらのブレンド、混合物およびコポリマーよりなる群から選択されるポリマーを含んでなる、請求項1または2に記載の極細繊維構造体。
  4. 無機物層が、1TΩ以上の表面抵抗を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の極細繊維構造体。
  5. 無機物層が、0.01〜20μmの厚みを有する、請求項1〜4のいずれかに記載の極細繊維構造体。
  6. 無機物層が、珪素酸化物、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化セシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、チタン酸バリウム、酸化鉛、酸化ジルコニウム、炭化珪素、リチウムイオンの伝達能力を有する無機物膜または無機物粒子のいずれか、又はこれらの複数からなる混合物からなる群より選択された無機物膜または無機物粒子からなる、請求項1〜5のいずれかに記載の極細繊維構造体。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の極細繊維構造体を、絶縁体またはセパレーターとして含むバッテリー。
  8. 請求項1〜6のいずれかに記載の極細繊維構造体を、絶縁体またはセパレーターとして含む電気二重層キャパシタ。
  9. 請求項1〜6のいずれかに記載の極細繊維構造体を、絶縁体またはセパレーターとして含むコンデンサ。
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