JP5933867B1 - 化合物、及び不斉合成反応 - Google Patents
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Abstract
Description
そこで、更に開発が進められており、現在、PEG(ポリエチレングリコール)化したインターフェロンとリバビリン(Ribavirin:1−β−D−リボフラノシル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−カルボキシアミド)とを併用したPEG−インターフェロン/リバビリン併用療法が、抗ウイルス療法の中心となっている。
しかし、前記PEG−インターフェロン/リバビリン併用療法でも著効が見られるのは全患者の半数程度である。また、HCVは、一本鎖RNAウイルスのため変異しやすく、ウイルスタンパク標的薬剤では、耐性ウイルスが出てくることが懸念されている。
しかし、前記NA255は、通常、Fusarium sp.F1476株から産生するため、大規模な製造に向いているとはいえない。そのため、このような抗HCV剤として期待される化合物の有機合成化学的手法による合成が望まれている。
<1> 下記一般式(1)で表されることを特徴とする化合物である。
<2> 下記一般式(2)で表されることを特徴とする化合物である。
<3> 下記一般式(3)で表されることを特徴とする化合物である。
<4> 銀化合物及び下記一般式(A)で表される化合物により得られるキラル銀錯体の存在下で、下記一般式(4)で表される化合物と下記一般式(5)で表される化合物とを反応させて、下記一般式(6)で表される化合物を得ることを特徴とする不斉合成反応である。
<5> 銀化合物が、AgPF6、AgBF4及びAgSbF6のいずれかであり、一般式(A)で表される化合物が、下記一般式(A−1)で表される化合物である前記<4>に記載の不斉合成反応である。
<6> 銀化合物及び下記一般式(B)で表される化合物により得られるキラル銀錯体の存在下で、下記一般式(4)で表される化合物と下記一般式(5)で表される化合物とを反応させて、下記一般式(7)で表される化合物を得ることを特徴とする不斉合成反応である。
<7> 銀化合物が、AgPF6、AgBF4及びAgSbF6のいずれかであり、一般式(B)で表される化合物が、下記一般式(B−1)で表される化合物である前記<6>に記載の不斉合成反応である。
本発明の化合物は、下記一般式(1)で表される。
前記一般式(2)及び一般式(3)中、R1は、水酸基の保護基及び水素原子のいずれかを表す。R2は、メチル基及びエチル基のいずれかを表す。R3は、水酸基の保護基及び水素原子のいずれかを表す。R4は、メチル基及びエチル基のいずれかを表す。X−は、一価の陰イオンを表す。
前記一般式(1)で表される化合物は、上記のように、抗HCV剤などの薬剤合成における光学活性合成素子となりうる化合物である。そして、前記一般式(1)で表される化合物は、本発明者らによって見出された後述する本発明の不斉合成反応を用いることにより、触媒量のキラル源を用いて合成することができる。そのため、前記一般式(1)で表される化合物は、高額な光学活性体を多量に用いることなく、安価に合成することができる。
前記水酸基の保護基としては、例えば、アラルキル基、トリアルキルシリル基、アルコキシアルキル基、アルカノイル基、アリールカルボニル基などが挙げられる。保護基におけるアリール環(ベンゼン環など)が置換基を有する場合には、置換基としてハロゲン原子やアルコキシ基などが挙げられる。
前記アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、p−メトキシベンジル基(PMB)、p−アミノベンジル基などが挙げられる。
前記トリアルキルシリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基(TBS)などが挙げられる。
前記アルコキシアルキル基としては、例えば、メトキシメチル基、エトキシメチル基などが挙げられる。
前記アルカノイル基としては、例えば、アセチル基、トリフルオロアセチル基などが挙げられる。
前記アリールカルボニル基としては、例えば、ベンゾイル基、置換フェニルカルボニル基などが挙げられる。
これらの中でも、合成反応における保護基としての効果、及び脱保護反応の容易性の点から、アラルキル基、トリアルキルシリル基が好ましく、p−メトキシベンジル基(PMB)、ベンジル基、tert−ブチルジメチルシリル基(TBS)がより好ましい。
本発明の化合物は、下記一般式(2)で表される。
前記一般式(2)で表される化合物を前記一般式(1)で表される化合物から合成する方法としては、例えば、還元剤を用いてラクトンをジオールに還元する方法などが挙げられる。前記還元剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、LiAlH4、NaAlH2(OC2H4OCH3)2、NaBH4などが挙げられる。前記方法の際の溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
本発明の化合物は、下記一般式(3)で表される。
前記一般式(3)で表される化合物を前記一般式(2)で表される化合物から合成する方法としては、例えば、アルキル化剤を用いてチオメトキシ基又はチオエトキシ基を(R2R4)S+−に変換する方法などが挙げられる。前記アルキル化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Me2Cl(SbF6)、(MeO)2CHBF4、Me3OBF4、Et3OBF4、MeOTf、MeSO2F、(MeO)2SO2、MeIなどが挙げられる(ここで、「Me」は「メチル基」を表し、「Et」は「エチル基」を表し、「Tf」は「トリフルオロメタンスルホニル基」を表す)。前記方法の際の溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジエチルエーテルなどが挙げられる。
<第1の不斉合成反応>
本発明の不斉合成反応(第1の不斉合成反応)は、キラル銀錯体の存在下で、下記一般式(4)で表される化合物と下記一般式(5)で表される化合物とを反応させて、下記一般式(6)で表される化合物を得ることを特徴とする。
前記アルケニル基としては、例えば、炭素数1〜20のアルケニル基などが挙げられる。
前記アリール基としては、例えば、炭素数1〜20のアリール基などが挙げられる。
前記アリールアルキル基としては、例えば、炭素数1〜20のアリールアルキル基などが挙げられる。前記アリールアルキル基としては、2−フェニルエチル基が好ましい。
前記アリールアルケニル基としては、例えば、炭素数1〜20のアリールアルケニル基などが挙げられる。
前記アルキル基、前記アルケニル基、前記アリール基、前記アリールアルキル基、及び前記アリールアルケニル基は、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基などを有していてもよい。
前記キラル銀錯体(第1のキラル銀錯体)としては、銀化合物及び下記一般式(A)で表される化合物により得られる銀錯体であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記銀化合物としては、前記キラル銀錯体を形成可能な化合物であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、AgPF6、AgBF4、AgSbF6、AgOTf(Tfは、トリフルオロメチルスルホニル基(CF3SO2 −)を表す。以下に同じ。)、AgClO4、AgNTf2、AgOAc(Acは、アセチル基を表す。)などが挙げられる。これらの中でも、反応性及び立体選択性の点から、AgPF6、AgBF4、AgSbF6が好ましく、AgPF6がより好ましい。
これらの中でも、不斉反応における立体選択性の点から炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜3のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
前記アリール基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記Raの説明において挙げたアリール基などが挙げられる。これらの中でもフェニル基が好ましい。
前記置換基を有していてもよいアリール基における置換基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルキル基、アルコキシ基などが挙げられる。
前記アルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基が特に好ましい。前記炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基などが挙げられる。これらの中でも、tert−ブチル基が好ましい。
前記アルコキシ基としては、炭素数1〜10のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜6のアルコキシ基がより好ましく、炭素数1〜4のアルコキシ基が特に好ましい。前記炭素数1〜4のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基などが挙げられる。これらの中でも、メトキシ基が好ましい。
前記置換基を有していてもよいアリール基における前記置換基の数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1個〜3個などが挙げられる。
前記キラル銀錯体(第1のキラル銀錯体)の合成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、不活性雰囲気中で、前記銀化合物と前記一般式(A)で表される化合物とを、必要に応じて溶媒中で混合することにより得ることができる。
前記キラル銀錯体の合成における反応時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.5時間〜1時間などが挙げられる。
前記不斉合成反応(第1の不斉合成反応)においては、前記キラル銀錯体及び必要に応じて塩基を触媒量用いて、前記一般式(4)で表される化合物と前記一般式(5)で表される化合物とを反応させることにより、前記一般式(6)で表される化合物を得ることができる。
前記塩基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジアザビシクロウンデセン(DBU、1,8−diazabicyclo[5.4.0]undec−7−ene)、トリエチルアミン、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、N,N−ジイソプロピルエチルアミンなどが挙げられる。
前記塩基の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記一般式(5)で表される化合物に対して、0.5モル%〜10モル%が好ましく、1モル%〜8モル%がより好ましく、2モル%〜6モル%が特に好ましい。前記塩基の使用量が、0.5モル%未満であると、反応の進行に支障をきたすことがあり、10モル%を超えると、副反応が進行することがある。前記塩基の使用量が、前記特に好ましい範囲内であると、立体選択性及び触媒活性の点で有利である。
また、前記塩基の使用量は、後述する前記キラル銀錯体の使用量1モルに対して、0.8モル〜2モルが好ましい。
前記不斉合成反応(第1の不斉合成反応)における前記キラル銀錯体の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記一般式(5)で表される化合物に対して、0.5モル%〜10モル%が好ましく、1モル%〜8モル%がより好ましく、2モル%〜6モル%が特に好ましい。前記キラル銀錯体の使用量が、0.5モル%未満であると、立体選択性が低下することがあり、10モル%を超えると、触媒量が多く、合成コストが高くなることがある。前記キラル銀錯体の使用量が、前記特に好ましい範囲内であると、高い立体選択性を有し、かつ安価に不斉合成反応を行うことができる点で有利である。
前記不斉合成反応(第1の不斉合成反応)における前記一般式(4)で表される化合物の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記一般式(5)で表される化合物1モルに対して、1モル以上が好ましく、1モル〜2モルがより好ましく、1.1モル〜1.5モルが特に好ましい。前記一般式(4)で表される化合物の使用量が、1モル未満であると、反応の収率が低下することがあり、2モルを超えると、精製に手間が掛かることがある。前記一般式(4)で表される化合物の使用量が、前記特に好ましい範囲内であると、反応の収率がよく、かつ精製などに手間が掛からずに合成することができる点で有利である。
前記不斉合成反応(第1の不斉合成反応)では、有機溶媒を用いることが好ましい。前記有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トルエン、テトラヒドロフラン(THF)、塩化メチレンなどが挙げられる。前記有機溶媒の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記不斉合成反応(第1の不斉合成反応)の反応温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、−40℃〜20℃が好ましく、−30℃〜10℃がより好ましく、−25℃〜−15℃が特に好ましい。前記反応温度が、−40℃未満であると、反応の進行が遅いことがあり、20℃を超えると、立体選択性が低下することがある。前記反応温度が、前記特に好ましい範囲内であると、立体選択性及び触媒活性の点で有利である。
前記不斉合成反応(第1の不斉合成反応)の反応時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、6時間〜72時間が好ましく、12時間〜36時間がより好ましく、20時間〜28時間が特に好ましい。前記反応時間が、6時間未満であると、反応収率が低下することがあり、72時間を超えると、副反応が進行することがある。前記反応時間が、前記特に好ましい範囲内であると、反応収率の点で有利である。
本発明の不斉合成反応(第2の不斉合成反応)は、キラル銀錯体の存在下で、下記一般式(4)で表される化合物と下記一般式(5)で表される化合物とを反応させて、下記一般式(7)で表される化合物を得ることを特徴とする。
前記キラル銀錯体(第2のキラル銀錯体)としては、銀化合物及び下記一般式(B)で表される化合物により得られる銀錯体であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記銀化合物としては、前記キラル銀錯体を形成可能な化合物であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、AgPF6、AgBF4、AgSbF6、AgOTf(Tfは、トリフルオロメチルスルホニル基(CF3SO2 −)を表す。以下に同じ。)、AgClO4、AgNTf2、AgOAc(Acは、アセチル基を表す。)などが挙げられる。これらの中でも、反応性及び立体選択性の点から、AgPF6、AgBF4、AgSbF6が好ましく、AgPF6がより好ましい。
前記キラル銀錯体(第2のキラル銀錯体)の合成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、不活性雰囲気中で、前記銀化合物と前記一般式(B)で表される化合物とを、必要に応じて溶媒中で混合することにより得ることができる。
前記不斉合成反応(第2の不斉合成反応)においては、前記キラル銀錯体及び必要に応じて塩基を触媒量用いて、前記一般式(4)で表される化合物と前記一般式(5)で表される化合物とを反応させることにより、前記一般式(7)で表される化合物を得ることができる。
前記塩基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジアザビシクロウンデセン(DBU、1,8−diazabicyclo[5.4.0]undec−7−ene)、トリエチルアミン、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、N,N−ジイソプロピルエチルアミンなどが挙げられる。
前記塩基の使用量の好ましい範囲は、前記不斉合成反応(第1の不斉合成反応)における前記塩基の使用量の好ましい範囲と同様である。好ましい理由も同様である。
前記不斉合成反応(第2の不斉合成反応)における前記キラル銀錯体の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記一般式(5)で表される化合物に対して、0.5モル%〜10モル%が好ましく、1モル%〜8モル%がより好ましく、2モル%〜6モル%が特に好ましい。前記キラル銀錯体の使用量が、0.5モル%未満であると、立体選択性が低下することがあり、10モル%を超えると、触媒量が多く、合成コストが高くなることがある。前記キラル銀錯体の使用量が、前記特に好ましい範囲内であると、高い立体選択性を有し、かつ安価に不斉合成反応を行うことができる点で有利である。
前記不斉合成反応(第2の不斉合成反応)における前記一般式(4)で表される化合物の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記一般式(5)で表される化合物1モルに対して、1モル以上が好ましく、1モル〜2モルがより好ましく、1.1モル〜1.5モルが特に好ましい。前記一般式(4)で表される化合物の使用量が、1モル未満であると、反応の収率が低下することがあり、2モルを超えると、精製に手間が掛かることがある。前記一般式(4)で表される化合物の使用量が、前記特に好ましい範囲内であると、反応の収率がよく、かつ精製などに手間が掛からずに合成することができる点で有利である。
前記不斉合成反応(第2の不斉合成反応)では、有機溶媒を用いることが好ましい。前記有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トルエン、テトラヒドロフラン(THF)、塩化メチレンなどが挙げられる。前記有機溶媒の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
本発明の前記一般式(2)で表される化合物は、前記一般式(1)で表される化合物から合成できる。また、前記一般式(2)で表される化合物は、前記反応式(1)に示すように、国際公開第2004/071503号パンフレットにも記載の抗C型肝炎ウイルス剤に有用な化合物の合成中間体である前記化合物gの合成に用いることができる。更に、前記国際公開第2004/071503号パンフレットに記載のいわゆるSPT阻害剤は、C型肝炎以外の他の疾患への有効性も期待されている。そのため、前記一般式(2)で表される化合物は、抗C型肝炎ウイルス剤などの薬剤の製造に有用な化合物を有機合成化学的手法により安価に合成することを可能にする。
本発明の前記一般式(3)で表される化合物は、前記一般式(2)で表される化合物から合成できる。また、前記一般式(3)で表される化合物は、前記反応式(1)に示すように、国際公開第2004/071503号パンフレットにも記載の抗C型肝炎ウイルス(HCV)剤に有用な化合物の合成中間体である前記化合物gの合成に用いることができる。更に、前記国際公開第2004/071503号パンフレットに記載のいわゆるSPT阻害剤は、C型肝炎以外の他の疾患への有効性も期待されている。そのため、前記一般式(3)で表される化合物は、抗C型肝炎ウイルス剤などの薬剤の製造に有用な化合物を有機合成化学的手法により安価に合成することを可能にする。
本発明の前記不斉合成反応は、上記のとおり、抗C型肝炎ウイルス剤などの薬剤の製造に有用な化合物を有機合成化学的手法により安価に合成することを可能にする。
なお、以下の実施例において、「Me」は、「メチル基」を表す。「THF」は、「テトラヒドロフラン」を表す。「DMF」は、「N,N−ジメチルホルムアミド」を表す。「Bn」は、「ベンジル基」を表す。「PMB」は、「p−メトキシベンジル基」を表す。「TBDPS」は、「tert−ブチルジフェニルシリル基」を表す。「TBS」は、「tert−ブチルジメチルシリル基」を表す。「rt」は、室温を示す。
<触媒(キラル銀錯体)溶液1の調製>
加熱真空乾燥した50mLの褐色ナスフラスコにグローブボックス中にてAgPF6(22.8mg,0.09mmol)と(S)−3,5−ジ−tert−ブチル−4−メトキシ−メトキシBIPHEP(min.97%)((S)−3,5−di−tBu−4−MeO−MeOBIPHEP、下記一般式(A−1),106.8mg,0.09mmol)を秤量し、グローブボックス内からフラスコを取り出しアルゴン雰囲気下無水トルエン(14.8mL)を加えて室温にて30分間撹拌し触媒溶液1を得た。
<触媒(キラル銀錯体)溶液2の調製>
加熱真空乾燥した褐色試験管にグローブボックス中にてAgSbF6(97%,3.5mg,0.01mmol,0.05当量)と(S)−3,5−di−tBu−4−MeO−MeOBIPHEP(min.97%,11.9mg,0.01mmol,0.05当量、前記一般式(A−1))を秤量し、グローブボックス内からフラスコを取り出しアルゴン雰囲気下無水トルエン(0.98mL)を加えて室温にて30分間撹拌し触媒溶液2を得た。
<触媒(キラル銀錯体)溶液3の調製>
加熱真空乾燥した褐色試験管にグローブボックス中にてAgBF4(98%,2.0mg,0.01mmol,0.05当量)と(S)−3,5−di−tBu−4−MeO−MeOBIPHEP(min.97%,11.9mg,0.01mmol,0.05当量、前記一般式(A−1))を秤量し、グローブボックス内からフラスコを取り出しアルゴン雰囲気下無水トルエン(0.98mL)を加えて室温にて30分間撹拌し触媒溶液3を得た。
<触媒(キラル銀錯体)溶液4の調製>
加熱真空乾燥した褐色試験管にグローブボックス中にてAgPF6(2.5mg,0.01mmol,0.05当量)と(S)−DTBM−SEGPHOS(11.8mg,0.01mmol,0.05当量、下記一般式(A−2))を秤量し、グローブボックス内からフラスコを取り出しアルゴン雰囲気下無水トルエン(0.98mL)を加えて室温にて30分間撹拌し触媒溶液4を得た。
<触媒(キラル銀錯体)溶液5の調製>
加熱真空乾燥した褐色試験管にグローブボックス中にてAgPF6(10.1mg,0.04mmol)と(R)−3,5−di−tBu−4−MeO−MeOBIPHEP(min.97%,47.5mg,0.04mmol,下記一般式(B−1))を秤量し、グローブボックス内からフラスコを取り出しアルゴン雰囲気下無水トルエン(0.8mL)を加えて室温にて30分間撹拌し触媒溶液5(0.05Mトルエン溶液)を得た。
<化合物1の合成>
製造例1で得られた触媒溶液1に、α−メチルチオ−γ−ブチロラクトン(320μL,3.00mmol、Barry M. Trost, Henry. C. Ardnt J. Org. Chem., 1973, 38, 3140−3144の手法で合成)、及びα−p−メトキシベンジルオキシアセトアルデヒド(531μL,3.30mmol、Amos B. Smith, III and Richard J. Fox Org. Lett , 2004, 6, 1477−1480の手法で合成)を順次加えた後に、溶液を−20℃に冷却し、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)の0.5Mトルエン溶液(180μL,0.09mmol)を加え、同温度で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液と同体積のシリカゲルを加えた後に、混合物をシリカゲルショートパッドカラムに通し、酢酸エチルにて溶出し、減圧下濃縮した。得られた残渣に、1,1,2,2−テトラクロロエタン(200μL,1.91mmol)を内部標準物質として加えてNMR収率を導いた。NMR収率は98%(シン/アンチ=12/1)であった。フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=4/1(体積比))で精製した後に、さらにフラッシュカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン−ジクロロメタン/酢酸エチル=9/1(体積比))で精製することで、下記化合物1を無色油状物質として得た。収量800mg(収率85%,光学純度98%ee)。
1H NMR(CDCl3):δ7.27−7.21(m, 2H), 6.90−6.85(m, 2H), 4.51(d, J=11.7 Hz, 1H), 4.44(d, J=11.7Hz, 1H), 4.40(ddd, J=6.4, 8.7, 10.3Hz, 1H), 4.30(ddd, J=1.6, 8.7, 9.0Hz, 1H), 4.17(ddd, J=2.1, 5.3, 6.2Hz, 1H), 3.81(s, 3H), 3.71(dd, J=6.2, 9.8Hz, 1H), 3.67(dd, J=5.3, 9.8Hz, 1H), 3.29(d, J=2.1Hz, 1H), 2.58(ddd, J=9.0, 10.3, 14.0Hz, 1H), 2.21(s, 3H), 1.96(ddd, J=1.6, 6.4, 14.0Hz, 1H)
[α]D 23 +27.9 (c 1.11, CHCl3, 98%ee)
HPLC [Daicel CHIRALPAK AD−H, detection at 254nm, 4:1 n−hexane/EtOH, flow rate=1.0mL/min, tR=20.6min(minor), tR=24.2min(major)].
<化合物2の合成>
加熱真空乾燥した100mLナスフラスコにアルゴン雰囲気下で無水THF(15mL)に水素化アルミニウムリチウム(565mg,14.89mmoL,6.0当量)を加えて攪拌した懸濁液を氷冷し、実施例1−1で得られた化合物1(775mg,2.48mmol,1.0当量)の無水THF溶液(10mL)をゆっくりと滴下し気体の発生が落ち着いた後に、1時間加熱還流した。室温まで冷却した後、得られた懸濁液を氷冷し、0.57mLの水、0.57mLの15質量%水酸化ナトリウム水溶液、及び1.71mLの水を順次ゆっくりと滴下した後に室温まで昇温し、しばらく攪拌した。得られた混合物をグラスフィルターにて濾過した後、酢酸エチルにて溶出し減圧下濃縮して得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1/1(体積比)−酢酸エチル)で精製することで下記化合物2を無色油状物質として得た。収量641mg(収率82%)。
1H NMR(CDCl3):δ7.28−7.24(m, 2H), 6.91−6.86(m, 2H), 4.53(d, J=11.2Hz, 1H), 4.49(d, J=11.2Hz, 1H), 3.94(dd, J=4.4, 6.6Hz, 1H), 3.90−3.82(m, 2H), 3.81(s, 3H), 3.78−3.62(m, 4H), 3.36(brs, 3H), 2.01(s, 3H), 1.98−1.85(m, 2H)
[α]D 23 −12.4 (c 0.98, CHCl3).
<化合物3の合成>
20mLナスフラスコにアルゴン雰囲気下で、実施例1−2で得られた化合物2(618mg,1.95mmol,1.0当量)に無水DMF(3.9mL)、及びイミダゾール(798mg,11.72mmol,6.0当量)を加え、氷浴で0℃に冷却した。tert−ブチルジフェニルクロロシラン(TBDPSCl、1.0mL,3.91mmol,2.0当量)を加えた後に室温にて1時間撹拌後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止した。混合物に水を加えてジエチルエーテルで3回抽出した後、合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下濃縮後に得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−ヘキサン/ジエチルエーテル=4/1(体積比))で精製し、下記化合物3を黄色油状物質として得た。収量1.37g(収率90%)。
1H NMR(CDCl3):δ7.70−7.63(m, 8H), 7.48−7.34(m, 12H), 7.27(d, J=8.7Hz, 2H), 6.88(d, J=8.7Hz, 2H), 4.51(d, J=11.7Hz, 1H), 4.47(d, J=11.7Hz, 1H), 4.08−4.04(m, 1H), 3.99−3.90(m, 1H), 3.87−3.75(m, 6H), 3.72−3.61(m, 2H), 3.17(d, J=4.4Hz, 1H), 2.09−1.99(m, 1H), 1.96−1.87(m, 1H), 1.85(s, 3H), 1.08(s, 9H), 1.06(s, 9H)
[α]D 23 −6.4 (c 4.20, CHCl3)
<化合物4の合成>
加熱真空乾燥した試験管にアルゴン雰囲気下で、実施例1−3で得られた化合物3(79.3mg,0.10mmol,1.0当量)、炭酸水素ナトリウム(25.2mg,0.30mmol,3.0当量)、及び乾燥エーテル(1mL)を入れ、そこへメチルトリフラート(MeOTf,23μL,0.20mmol,2.0当量)をゆっくりと滴下し、室温で原料の消失を確認するまで攪拌した後、減圧下濃縮した。得られた残渣を無水ジクロロメタン(1mL)に溶解し、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)(60μL,0.40mmol,4.0当量)を滴下し1時間室温で撹拌した後に飽和塩化アンモニウム水溶液にて反応を停止した。混合物をジクロロメタンにて抽出した後、合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後、減圧下濃縮し得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/ジエチルエーテル=9/1(体積比))で精製し、下記化合物4を無色油状物質として得た。収量45.2mg(2段階収率61%)。
1H NMR(CDCl3):δ7.68−7.60(m, 8H), 7.45−7.32(m, 12H), 7.20(d, J=8.7Hz, 1H), 6.83(d, J=8.7Hz, 1H), 4.47(d, J=11.5Hz, 1H), 4.35(d, J=11.5Hz, 1H), 3.83−3.78(m, 5H), 3.74(d, J=11.2Hz, 1H), 3.67(d, J=11.2Hz, 1H), 3.61(dd, J=2.8, 11.2Hz, 1H), 3.31(dd, J=6.9, 11.2Hz, 1H), 3.23(dd, J=2.8, 6.9Hz, 1H), 2.35(dt, J=5.7, 14.2Hz, 1H), 1.81(dt, J=7.1, 14.2Hz, 1H), 1.04(s, 9H), 1.03(s, 9H)
<化合物5の合成>
試験管で実施例1−4で得られた化合物4(33mg,0.044mmol,1当量)を塩化メチレン−水(塩化メチレン/水=20/1(体積比),1mL)に溶解し、0℃にて2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−p−ベンゾキノン(DDQ、21mg,0.089mmol)を加えて室温まで昇温し1時間撹拌した後、反応混合物をセライト濾過し、塩化メチレンで洗い込みを行った。得られた溶液を飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄したのち、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後、減圧下濃縮し得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=7/1(体積比))で精製し、下記化合物5を無色油状物質として得た。収量22.4mg(収率81%)。
1H NMR(CDCl3):δ7.66−7.60(m, 8H), 7.45−7.32(m, 12H), 3.79−3.54(m, 6H), 3.18(dd, J=5.0, 6.4Hz, 1H), 2.23(dt, J=6.0, 14.2Hz, 1H), 1.82(dt, J=6.9, 14.2Hz, 1H), 1.71(t, J=6.4Hz, 1H), 1.04(s, 9H), 1.03(s, 9H)
[α]D 23 −3.0 (c 1.15, CHCl3)
<化合物6の合成>
加熱真空乾燥した20mLの褐色ナスフラスコにグローブボックス中にてAgPF6(15.2mg,0.06mmol)と(S)−3,5−di−tBu−4−MeO−MeOBIPHEP(min.97%)(71.2mg,0.06mmol)を秤量し、グローブボックス内からフラスコを取り出しアルゴン雰囲気下無水トルエン(9.88mL)を加えて室温にて30分間撹拌し触媒溶液を得た。
得られた触媒溶液に、α−メチルチオ−γ−ブチロラクトン(213μL,2.00mmol)、及びα−ベンジルオキシアセトアルデヒド(337μL,2.40mmol)を順次加えた後に、溶液を−20℃に冷却し、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)の0.5Mトルエン溶液(120μL,0.06mmol)を加え、同温度で48時間撹拌した。48時間後、反応溶液と同体積のシリカゲルを加えた後に、混合物をシリカゲルショートパッドカラムに通し、ヘキサン/酢酸エチル=1/1(体積比)にて溶出し、減圧下濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=7/1−2/1(体積比))で精製した後に、さらにフラッシュカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン−ジクロロメタン/酢酸エチル=9/1(体積比))で精製することで、下記化合物6を無色油状物質として得た。収量395mg(収率70%,98%ee)。
1H NMR(CDCl3):δ7.38−7.27(m, 5H), 4.58(d, J=11.9Hz, 1 H), 4.52(d, J=11.9Hz, 1H), 4.40(ddd, J=6.4, 8.9, 10.3Hz, 1H), 4.30(ddd, J=1.8, 8.7, 8.9Hz, 1H), 4.19(m, 1H), 3.73(m, 2H), 3.33(d, J=1.8Hz, 1H), 2.60(ddd, J=8.7, 10.3, 14.0Hz, 1H), 2.21(s, 3H), 1.98(ddd, J=1.8, 6.4, 14.0Hz, 1H).
HPLC [Daicel CHIRALPAK AD−H, detection at 254 nm, 9:1 n−hexane/EtOH, flow rate=1.0mL/min, tR=26.2min(minor), tR=33.0min(major)].
<化合物7の合成>
加熱真空乾燥した50mLナスフラスコにアルゴン雰囲気下で無水THF(8mL)に水素化アルミニウムリチウム(315mg,8.29mmol,6.0当量)を加えて攪拌した懸濁液に、実施例2−1で得られた化合物6(390mg,1.38mmol,1当量)の無水THF溶液(5.8mL)を氷浴中ゆっくりと滴下し気体の発生が落ち着いた後に、1時間加熱還流した。室温までゆっくりと空冷した後、得られた懸濁液に氷浴中にて0.32mLの水、0.32mLの15質量%水酸化ナトリウム水溶液、及び0.96mLの水を順次ゆっくりと滴下した後に室温まで昇温し、しばらく攪拌した。得られた混合物をセライトにて濾過した後、酢酸エチルにて溶出し、減圧下濃縮して得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1/3(体積比))で精製することで下記化合物7を無色油状物質として得た。収量351mg(収率89%)。
1H NMR(CDCl3):δ7.38−7.27(m, 5H), 4.60(d, J=11.7Hz, 1H), 4.56(d, J=11.7Hz, 1H), 3.97(m, 1H), 3.88−3.64(m, 6H), 3.12(brs, 3H), 2.01(s, 3H), 1.98−1.82(m, 2H).
<化合物8の合成>
加熱真空乾燥した20mLナスフラスコにアルゴン雰囲気下で実施例2−2で得られた化合物7(337mg,1.18mmol,1当量)にDMF(2.4mL)、及びイミダゾール(481mg,7.06mmol,6当量)を加え、氷浴で0℃に冷却した。tert−ブチルジフェニルクロロシラン(0.61mL,2.35mmol,2.0当量)を加えた後に室温にて1時間撹拌後、飽和塩化アンモニウム水溶液にて反応を停止した。混合物をジエチルエーテルで抽出した後、合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下濃縮後に得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=9/1(体積比))で精製し、下記化合物8を無色油状物質して得た。収量884mg(収率98%)。
1H NMR(CDCl3):δ7.68−7.61(m, 8H), 7.46−7.26(m, 17H), 4.57(d, J=11.9Hz, 1H), 4.53(d. J=11.9Hz, 1H), 4.08−4.03(m, 1H), 3.96−3.89(m, 1H), 3.85−3.75(m, 3H), 3.71−3.61(m, 2H), 3.17(d, J=4.6Hz, 1H), 2.08−1.97(m, 1H), 1.93−1.84(m, 1H), 1.83(s, 3H), 1.06(s, 9H), 1.04(s, 9H).
<化合物9の合成>
加熱真空乾燥した試験管にアルゴン雰囲気下で実施例2−3で得られた化合物8(200mg,0.26mmol,1.0当量)に乾燥エーテル(2.6mL)を入れ、氷浴で0℃に冷却した。そこへメチルトリフラート(44μL,0.39mmol,1.5当量)をゆっくりと滴下し、室温で原料の消失を確認するまで間攪拌した後、減圧下濃縮した。得られた残渣を無水ジクロロメタン(2.6mL)に溶解し、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)(0.12mL,0.79mmol,3当量)を滴下し2時間室温で撹拌した後に飽和塩化アンモニウム水溶液にて反応を停止した。混合物をジクロロメタンにて抽出した後、合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し無水硫酸ナトリウムで乾燥した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/ジエチルエーテル=9/1(体積比))で精製し、下記化合物9を無色油状物質して得た。収量99.8mg(2段階収率54%)。
1H NMR(CDCl3):δ7.66−7.58(m, 8H), 7.43−7.26(m, 17H), 4.52(d, J=11.9Hz, 1H), 4.39(d, J=11.9Hz, 1H), 3.79(dd, J=5.7, 6.9Hz, 2H), 3.72(d, J=11.4Hz, 1H), 3.65(d, J=11.4Hz, 1H), 3.62(dd, J=3.0, 11.2Hz, 1H), 3.31(dd, J=6.9, 11.2Hz, 1H), 3.23(dd, J=3.0, 6.9Hz, 1H), 2.33(dt, J=5.7, 14.2Hz, 1H), 1.79(dt, J=6.9, 14.2Hz, 1H), 1.02(s, 9H), 1.01(s, 9H).
<化合物5の合成>
実施例2−4で得られた化合物9(147mg,0.21mmol,1当量)、酢酸エチル(4mL)、及びパラジウム/炭素(29.4mg,20%質量/質量)を試験管に加えて1気圧の水素雰囲気下、室温にて21時間撹拌した後、不要物をセライト濾過し、濾液を減圧濃縮して得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=7/1(体積比))で精製し、下記化合物5を無色油状物質として得た。収量45mg(収率35%)。
1H NMR(CDCl3):δ7.66−7.60(m, 8H), 7.45−7.32(m, 12H), 3.79−3.54(m, 6H), 3.18(dd, J=5.0, 6.4Hz, 1H), 2.24(dt, J=6.0, 14.2Hz, 1H), 1.82(dt, J=6.9, 14.2Hz, 1H), 1.77(brs, 1H), 1.04(s, 9H), 1.03(s, 9H).
<化合物1の合成(触媒の銀化合物を代えた合成例)>
製造例2で得られた触媒溶液2に、α−メチルチオ−γ−ブチロラクトン(21μL,0.20mmol,1.0当量)、及びα−p−メトキシベンジルオキシアセトアルデヒド(39μL,0.24mmol,1.2当量)を順次加えた後に、溶液を−20℃に冷却し、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)の0.5Mトルエン溶液(20μL,0.01mmol,0.05当量)を加え、同温度(−20℃)で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液と同体積のシリカゲルを加えた後に、混合物をシリカゲルショートパッドカラムに通し、酢酸エチルにて溶出し減圧下濃縮して化合物1を得た。得られた残渣に、1,1,2,2−テトラクロロエタン(20μL,0.19mmol)を内部標準物質として加えてNMR収率を導いた。光学純度(ee)はHPLCにより決定した。NMR収率85%(シン/アンチ=18/1)、98%eeであった。
<化合物1の合成(触媒の銀化合物を代えた合成例)>
製造例3で得られた触媒溶液3に、α−メチルチオ−γ−ブチロラクトン(21μL,0.20mmol,1.0当量)、及びα−p−メトキシベンジルオキシアセトアルデヒド(39μL,0.24mmol,1.2当量)を順次加えた後に、溶液を−20℃に冷却し、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)の0.5Mトルエン溶液(20μL,0.01mmol,0.05当量)を加え、同温度(−20℃)で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液と同体積のシリカゲルを加えた後に、混合物をシリカゲルショートパッドカラムに通し、酢酸エチルにて溶出し減圧下濃縮し化合物1を得た。得られた残渣に、1,1,2,2−テトラクロロエタン(20μL,0.19mmol)を内部標準物質として加えてNMR収率を導いた。eeはHPLCにより決定した。NMR収率93%(シン/アンチ=8/1)、97%eeであった。
<化合物1の合成(触媒の錯体を代えた合成例)>
製造例4で得られた触媒溶液4に、α−メチルチオ−γ−ブチロラクトン(21μL,0.20mmol,1.0当量)、及びα−p−メトキシベンジルオキシアセトアルデヒド(39μL,0.24mmol,1.2当量)を順次加えた後に、溶液を−20℃に冷却し、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)の0.5Mトルエン溶液(20μL,0.01mmol,0.05当量)を加え、同温度(−20℃)で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液と同体積のシリカゲルを加えた後に、混合物をシリカゲルショートパッドカラムに通し、酢酸エチルにて溶出し減圧下濃縮し化合物1を得た。得られた残渣に、1,1,2,2−テトラクロロエタン(20μL,0.19mmol)を内部標準物質として加えてNMR収率を導いた。eeはHPLCにより決定した。NMR収率>99%(シン/アンチ=10/1)、97%eeであった。
<化合物10の合成>
加熱真空乾燥した褐色試験管に、無水トルエン(0.78mL)、α−メチルチオ−γ−ブチロラクトン(21μL,0.20mmol,1.0当量)、(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)アセトアルデヒド(47μL,0.24mmol,1.2当量)及び製造例5で得られた触媒溶液5(200μL,0.01mmol,0.05当量)を順次加えた後に、溶液を−20℃に冷却し、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)の0.5Mトルエン溶液(20μL,0.01mmol,0.05当量)を加え、同温度(−20℃)で48時間後撹拌した。反応溶液と同体積のシリカゲルを加えた後に、混合物をシリカゲルショートパッドカラムに通し、酢酸エチルにて溶出し減圧下濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=19/1(体積比))で精製し下記化合物10を得た。(収量54.4mg、シン/アンチ=>20/1、収率89%、98%ee)。
1H NMR(CDCl3):δ4.41(ddd, J=6.4, 8.7, 10.1Hz, 1H), 4.34(ddd, J=1.8, 8.7, 8.9Hz, 1H), 4.03(ddd, J=2.1, 5.7, 6.2Hz, 1H), 3.86(dd, J=5.7, 10.3Hz, 1H), 3.83(dd, J=6.2, 10.3Hz, 1H), 3.32(d, J=2.1Hz, 1H), 2.68(ddd, J=8.9, 10.1, 14.0Hz, 1H), 2.21(s, 3H), 2.00(ddd, J=1.8, 6.4, 14.0Hz, 1H), 0.89(s, 9H), 0.08(s, 3H), 0.08(s, 3H)
<化合物11の合成>
加熱真空乾燥した褐色試験管に、無水トルエン(0.87mL)、α−メチルチオ−γ−ブチロラクトン(21μL,0.20mmol,1.0当量)、ヒドロシンナムアルデヒド(32μL,0.24mmol,1.2当量)、及び製造例5で得られた触媒溶液5(120μL,0.006mmol,0.03当量)を順次加えた後に、溶液を−20℃に冷却し、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)の0.5Mトルエン溶液(12μL,0.006mmol,0.03当量)を加え、同温度(−20℃)で48時間撹拌した。反応溶液と同体積のシリカゲルを加えた後に、混合物をシリカゲルショートパッドカラムに通し、酢酸エチルにて溶出し減圧下濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=9/1(体積比))で精製し下記化合物11を得た。(収量49.8mg、シン/アンチ=18/1、収率93%、98%ee)。
1H NMR(CDCl3):δ7.32−7.27(m, 2H), 7.24−7.17(m, 3H), 4.41(ddd, J=6.4, 8.9, 10.8Hz, 1H), 4.30(ddd, J=1.2, 8.9, 9.0Hz, 1H), 3.92(m,1H), 3.23(m, 1H), 3.00(ddd, J=4.8, 10.3, 13.8Hz, 1H), 2.73(ddd, J=6.9, 9.8, 13.8Hz, 1H), 2.41(ddd, J=9.0, 10.8, 14.0Hz, 1H), 2.22(s, 3H), 2.04−1.94(m, 1H), 1.90(ddd, J=1.2, 6.4, 14.0Hz, 1H), 1.66−1.58(m, 1H)
<化合物12の合成>
加熱真空乾燥した褐色試験管に、無水トルエン(0.78mL)、α−メチルチオ−γ−ブチロラクトン(21μL,0.20mmol,1.0当量)、オクタナール(38μL,0.24mmol,1.2当量)、及び製造例5で得られた触媒溶液5(200μL,0.01mmol,0.05当量)を順次加えた後に、溶液を−20℃に冷却し、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)の0.5Mトルエン溶液(20μL,0.01mmol,0.05当量)を加え、同温度(−20℃)で48時間撹拌した。48時間後、反応溶液と同体積のシリカゲルを加えた後に、混合物をシリカゲルショートパッドカラムに通し、酢酸エチルにて溶出し減圧下濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=19/1(体積比))で精製し下記化合物12を得た。(収量40.0mg、シン/アンチ=13/1、収率77%、99%ee)。
1H NMR(CDCl3):δ4.40(ddd, J=6.2, 8.9, 10.6Hz, 1H), 4.33(ddd, J=1.4, 8.9, 9.0Hz, 1H), 3.87(m, 1H), 3.09(s, 1H), 2.49(ddd, J=9.0, 10.6, 14.0Hz, 1H), 2.20(s, 3H), 1.89(ddd, J=1.4, 6.2, 14.0Hz, 1H), 1.68−1.56(m, 2H), 1.45−1.21(m, 10H), 0.87(t, J=7.1Hz, 3H)
<化合物13の合成>
加熱真空乾燥した褐色試験管に、無水トルエン(0.78mL)、α−メチルチオ−δ−バレロラクトン(25μL,0.20mmol,1.0当量),α−ベンジルオキシアセトアルデヒド(34μL,0.24mmol,1.2当量)、及び製造例5で得られた触媒溶液5(200μL,0.01mmol,0.05当量)を順次加えた後に、溶液を−20℃に冷却し、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)の0.5Mトルエン溶液(20μL,0.01mmol,0.05当量)を加え、同温度(−20℃)で32時間撹拌した。32時間後、反応溶液と同体積のシリカゲルを加えた後に、混合物をシリカゲルショートパッドカラムに通し、酢酸エチルにて溶出し減圧下濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=3/1(体積比))で精製し下記化合物13を得た。(収量36.3mg、シン/アンチ=16/1、収率61%、99%ee)。
1H NMR(CDCl3):δ7.37−7.27(m, 5H), 4.58(d, J=11.9Hz, 1H), 4.52(d, J=11.9Hz, 1H), 4.50−4.44(m, 1H), 4.36−4.32(m, 1H), 4.24−4.18(m, 1H), 3.71(dd, J=6.4, 9.8Hz, 1H), 3.65(dd, J=4.6, 9.8Hz, 1H), 2.94(m, 1H), 2.31−2.18(m, 1H), 2.17−2.04(m, 4H), 1.78−1.68(m, 2H)
<化合物14の合成>
加熱真空乾燥した褐色試験管に、無水トルエン(0.78mL)、α−メチルチオ−γ−ブチロラクトン(21μL,0.20mmol,1.0当量)、α−p−メトキシベンジルオキシアセトアルデヒド(39μL,0.24mmol,1.2当量)、及び製造例5で得られた触媒溶液5(0.05Mトルエン溶液,200μL,0.01mmol,0.05当量)を順次加えた後に、溶液を−20℃に冷却し、トリエチルアミンの0.5Mトルエン溶液(20μL,0.01mmol,0.05当量)を加え、同温度で24時間撹拌した。反応溶液と同体積のシリカゲルを加えた後に、混合物をシリカゲルショートパッドカラムに通し、酢酸エチルにて溶出し減圧下濃縮し下記化合物14を得た。得られた残渣に、1,1,2,2−テトラクロロエタン(20μL,0.19mmol)を内部標準物質として加えてNMR収率を導いた。eeはHPLCにより決定した。NMR収率4%(シン/アンチ=10/1)、39%eeであった。
1H NMR(CDCl3):δ7.27−7.21(m, 2H), 6.90−6.85(m, 2H), 4.51(d, J=11.7 Hz, 1H), 4.44(d, J=11.7Hz, 1H), 4.40(ddd, J=6.4, 8.7, 10.3Hz, 1H), 4.30(ddd, J=1.6, 8.7, 9.0Hz, 1H), 4.17(ddd, J=2.1, 5.3, 6.2Hz, 1H), 3.81(s, 3H), 3.71(dd, J=6.2, 9.8Hz, 1H), 3.67(dd, J=5.3, 9.8Hz, 1H), 3.29(d, J=2.1Hz, 1H), 2.58(ddd, J=9.0, 10.3, 14.0Hz, 1H), 2.21(s, 3H), 1.96(ddd, J=1.6, 6.4, 14.0Hz, 1H)
HPLC [Daicel CHIRALPAK AD−H, detection at 254nm, 4:1 n−hexane/EtOH, flow rate=1.0mL/min, tR=21.3min(major), tR=25.0min(minor)].
<化合物14の合成(塩基を代えた合成例)>
加熱真空乾燥した褐色試験管に、無水トルエン(0.80mL)、α−メチルチオ−γ−ブチロラクトン(21μL,0.20mmol,1.0当量)、α−p−メトキシベンジルオキシアセトアルデヒド(39μL,0.24mmol,1.2当量)、及び製造例5で得られた触媒溶液5(0.05Mトルエン溶液,200μL,0.01mmol,0.05当量)を順次加えた後に、溶液を−20℃に冷却し、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(1.4mg,0.01mmol,0.05当量)を加え、同温度で24時間撹拌した。反応溶液と同体積のシリカゲルを加えた後に、混合物をシリカゲルショートパッドカラムに通し、酢酸エチルにて溶出し減圧下濃縮し化合物14を得た。得られた残渣に、1,1,2,2−テトラクロロエタン(20μL,0.19mmol)を内部標準物質として加えてNMR収率を導いた。eeはHPLCにより決定した。NMR収率99%(シン/アンチ=6/1)、95%eeであった。
1H NMR(CDCl3):δ7.27−7.21(m, 2H), 6.90−6.85(m, 2H), 4.51(d, J=11.7 Hz, 1H), 4.44(d, J=11.7Hz, 1H), 4.40(ddd, J=6.4, 8.7, 10.3Hz, 1H), 4.30(ddd, J=1.6, 8.7, 9.0Hz, 1H), 4.17(ddd, J=2.1, 5.3, 6.2Hz, 1H), 3.81(s, 3H), 3.71(dd, J=6.2, 9.8Hz, 1H), 3.67(dd, J=5.3, 9.8Hz, 1H), 3.29(d, J=2.1Hz, 1H), 2.58(ddd, J=9.0, 10.3, 14.0Hz, 1H), 2.21(s, 3H), 1.96(ddd, J=1.6, 6.4, 14.0Hz, 1H)
HPLC [Daicel CHIRALPAK AD−H, detection at 254nm, 4:1 n−hexane/EtOH, flow rate=1.0mL/min, tR=21.1min(major), tR=25.4min(minor)].
本発明の不斉合成反応は、抗C型肝炎ウイルス剤などの薬剤の製造に有用な化合物を有機合成化学的手法により安価に合成することを可能にすることから、抗C型肝炎ウイルス剤などの薬剤の製造に有用である。
Claims (7)
- 下記一般式(1)で表されることを特徴とする化合物。
- 下記一般式(2)で表されることを特徴とする化合物。
- 下記一般式(3)で表されることを特徴とする化合物。
- 銀化合物及び下記一般式(A)で表される化合物により得られるキラル銀錯体の存在下で、下記一般式(4)で表される化合物と下記一般式(5)で表される化合物とを反応させて、下記一般式(6)で表される化合物を得ることを特徴とする不斉合成反応。
ただし、R11における前記置換基は、アルキル基、アリールアルキル基、及びヒドロキシル基が保護基により保護されていてもよいヒドロキシアルキル基のいずれかを表す。前記アルキル基、及び前記アリールアルキル基は、ハロゲン、ニトロ基、又はシアノ基を有していてもよい。前記ヒドロキシルアルキル基における前記保護基は、アラルキル基、トリアルキルシリル基、アルコキシアルキル基、アルカノイル基、及びアリールカルボニル基のいずれかを表す。 - 銀化合物が、AgPF6、AgBF4及びAgSbF6のいずれかであり、一般式(A)で表される化合物が、下記一般式(A−1)で表される化合物である請求項4に記載の不斉合成反応。
- 銀化合物及び下記一般式(B)で表される化合物により得られるキラル銀錯体の存在下で、下記一般式(4)で表される化合物と下記一般式(5)で表される化合物とを反応させて、下記一般式(7)で表される化合物を得ることを特徴とする不斉合成反応。
ただし、R11における前記置換基は、アルキル基、アリールアルキル基、及びヒドロキシル基が保護基により保護されていてもよいヒドロキシアルキル基のいずれかを表す。前記アルキル基、及び前記アリールアルキル基は、ハロゲン、ニトロ基、又はシアノ基を有していてもよい。前記ヒドロキシルアルキル基における前記保護基は、アラルキル基、トリアルキルシリル基、アルコキシアルキル基、アルカノイル基、及びアリールカルボニル基のいずれかを表す。 - 銀化合物が、AgPF6、AgBF4及びAgSbF6のいずれかであり、一般式(B)で表される化合物が、下記一般式(B−1)で表される化合物である請求項6に記載の不斉合成反応。
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