JP5930533B2 - 高分子アクチュエータ及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、電極層間の電圧に応じて変形する高分子アクチュエータに関し、特に、層構成を改良した高分子アクチュエータ及びその製造方法に関する。
各種電子機器において、小型で且つ軽量で柔軟性に富むアクチュエータの必要性が高まっており、この要求に対して、高分子伸縮式の高分子アクチュエータが期待されている。
この高分子アクチュエータの従来例として、特許文献1では、イオン性液体を含む電解質層を有した高分子アクチュエータが提案されている。図14は、従来例の高分子アクチュエータを説明する構成の概略を示す図であり、図14(a)は、3層構造のアクチュエータ素子910であり、図14(b)は、5層構造のアクチュエータ素子920である。図14(a)に示すアクチュエータ素子910は、イオン性液体とポリマーとのゲル状組成物からなるイオン伝導層901を、カーボンナノチューブとイオン性液体とポリマーとのゲル状組成物からなる電極層902とで挟んだ3層構造になっている。そして、この電極層902間に0.5〜3Vの直流電圧を加えると、電極層902間に生じた電位差によりイオン伝導層901内のイオンが分極し、アクチュエータ素子910の伸縮の偏りができて、数秒以内に素子長の0.5〜1倍程度の変位が変わるとしている。
しかしながら、この電極層902の導電率が低いため、高分子アクチュエータの変位応答性が悪いと言った問題があった。そこで、図14(b)に示すアクチュエータ素子920では、電極層902外側に貴金属やカーボンペースト等の導電層923を設けた5層構造を提案している。このアクチュエータ素子920は、導電層923により導電率が高くなったため、アクチュエータ素子910よりはるかに変位応答性が良くなっているとしている。
特開2005−176428号公報
しかしながら、貴金属で作製された導電層923では、硬質のため変形の繰り返しに弱いと言う問題があった。また、カーボンペースで作製された導電層923では、導電率を貴金属までに高くすることが難しく、導電率を高くするために層厚を厚くすると、同じように変形の繰り返しに弱くなると言う課題があった。このように、従来技術では、変形の繰り返しに対して強い耐性を有し、しかも変位応答性が高い高分子アクチュエータを得ることが難しかった。
本発明は、上述した課題を解決するもので、柔軟性があり変位応答性の良い高分子アクチュエータ及びその高分子アクチュエータを容易に作製することができる製造方法を提供することを目的とする。
この課題を解決するために、本発明の請求項1による高分子アクチュエータは、電解質層と、前記電解質層の厚さ方向の両面に設けられた一対の電極層を有し、前記一対の電極層の間の電圧に応じて変形する高分子アクチュエータにおいて、前記一対の電極層の厚さ方向の外側にシート状のグラフェンシートからなる導電層をそれぞれ形成したことを特徴としている。
また、本発明の請求項2による高分子アクチュエータは、前記電解質層が、ポリマーとイオン液体を混合したゲルを含んでおり、前記電極層が、前記ポリマーと前記イオン液体と導電性のフィラーを混合したゲルを含むことを特徴としている。
また、本発明の請求項による高分子アクチュエータは、前記電解質層及び前記電極層の側端部を覆う封止部材を有していることを特徴としている。
また、本発明の請求項による高分子アクチュエータは、前記導電層の厚さ方向の外側であって、前記高分子アクチュエータの支持部分と前記高分子アクチュエータの駆動する作用部分とに摩耗防止体を有していることを特徴としている。
また、本発明の請求項による高分子アクチュエータの製造方法は、電解質層と、前記電極層の厚さ方向の両面に設けられた一対の電極層と、前記一対の電極層の厚さ方向の外側に形成されたシート状のグラフェンシートからなる導電層と、を有し、前記一対の電極層の間の電圧に応じて変形する高分子アクチュエータの製造方法において基材上に前記導電層を形成する導電層形成工程と、前記導電層上に前記電極層が積層された導電体を形成する第1積層工程と、前記導電体を前記基材から剥離する剥離工程と、前記導電体の前記電極層ともう一つの前記導電体の前記電極層とを対向させて、前記電解質層の両面を前記電極層間に挟んで積層する第2積層工程と、を有することを特徴としている。
また、本発明の請求項による高分子アクチュエータの製造方法は、前記電解質層が、ポリマーとイオン液体を混合したゲルを含んでおり、前記電極層が、前記ポリマーと前記イオン液体と導電性のフィラーを混合したゲルを含むことを特徴としている。
請求項1の発明によれば、本発明の高分子アクチュエータは、電極層の厚さ方向の外側にシート状のグラフェンシートからなる導電層をそれぞれ形成したので、導電率の高いグラフェンシートにより導電層に電流が流れやすくなり、一対の電極層間の電位の変化が早くなる。このため、高分子アクチュエータの変位応答性を良くすることができる。更に、一層若しくは数層、数十層からなる非常に薄いグラフェンシートが柔軟性を有しているので、高分子アクチュエータの変形に対して動きを阻害することなく、変形の繰り返しに対しても耐性を有している。更に、シート状のグラフェンシートが透湿性が小さいので電極層、ひいては電解質層への外気からの水分の侵入を防ぐことができる。このことにより、水分に対して耐性が低い電解質層を外気からより遮断することができ、電解質層の水分による劣化をより防止することができる。したがって、柔軟性があり変位応答性の良くしかも耐久性の優れた高分子アクチュエータを提供することができる。
請求項2の発明によれば、本発明の高分子アクチュエータは、電解質層がポリマーとイオン液体を混合したゲルを含んでおり、電極層がポリマーとイオン液体と導電性のフィラーを混合したゲルを含んでいるため、低い電圧で大きな変位を得られる高分子アクチュエータを提供することができる。
請求項の発明によれば、本発明の高分子アクチュエータは、電解質層及び電極層の側端部を覆う封止部材を有しているので、防湿性の高いグラフェンシートで覆われていない、電解質層及び電極層の側端部を封止部材により水分を含む外気から保護することができる。このことにより、水分に対して耐性が低い電解質層を外気からより遮断することができ、電解質層の水分による劣化をより防止することができる。
請求項の発明によれば、本発明の高分子アクチュエータは、摩耗防止体が高分子アクチュエータの支持部分と高分子アクチュエータの駆動する作用部分とに設けられているので、外部から最も力が加わる作用部分や支持部分に力が加えられても、この摩耗防止体により、導電層或いは封止部材にダメージが加えられるのを防止することができる。このことにより、導電層或いは封止部材の破壊を防ぐことができ、高分子アクチュエータの寿命をより伸ばすことができる。
請求項の発明によれば、本発明の高分子アクチュエータの製造方法は、導電層形成工程と第1積層工程と剥離工程と第2積層工程とを有しているので、電解質層と一対の電極層と一対の導電層とが積層された高分子アクチュエータを、順次積層させるだけで容易に作製することができる。特に、導電層がシート状のグラフェンシートからなるので、シート状のグラフェンシートを所望の大きさに整えるだけで、容易に導電層を形成することができ、電極層に容易に積層することができる。しかも、このグラフェンシートからなる導電層が剥離性を有しているので、剥離工程において、基材から導電体を容易に剥離することができる。これらのことにより、高分子アクチュエータを容易に作製することができる。
請求項の発明によれば、本発明の高分子アクチュエータの製造方法は、電解質層がポリマーとイオン液体を混合したゲルを含んでおり、電極層がポリマーとイオン液体と導電性のフィラーを混合したゲルを含んでいるため、低い電圧で大きな変位を得られる高分子アクチュエータを提供することができる。
したがって、本発明の高分子アクチュエータは、柔軟性があり変位応答性の良い高分子アクチュエータ及びこの高分子アクチュエータを容易に作製することができる製造方法を提供することができる。
本発明の第1実施形態の高分子アクチュエータを説明する模式図であって、高分子アクチュエータの斜視図である。 本発明の第1実施形態の高分子アクチュエータを説明する模式図であって、図1のZ1側から見た平面図である。 本発明の第1実施形態の高分子アクチュエータを説明する模式図であって、図2に示すIII−III線における断面図である。 本発明の第1実施形態の高分子アクチュエータを説明する模式図であって、図3に示すP部分の拡大断面図である。 本発明の第1実施形態の高分子アクチュエータに用いたアクチュエータの動作原理について説明した模式図である。 本発明の第1実施形態における高分子アクチュエータの製造工程中の断面模式図である。 本発明の第2実施形態の高分子アクチュエータを説明する模式図であって、高分子アクチュエータの斜視図である。 本発明の第2実施形態の高分子アクチュエータを説明する模式図であって、図7のZ1側から見た平面図である。 本発明の第2実施形態の高分子アクチュエータを説明する模式図であって、図8に示すIX−IX線における断面図である。 本発明の第2実施形態の高分子アクチュエータを説明する模式図であって、図9に示すQ部分の拡大断面図である。 本発明の第2実施形態における高分子アクチュエータの製造工程中の断面模式図である。 本発明の第1実施形態の高分子アクチュエータの変形例を説明する模式図であって、図12(a)は、変形例1の斜視図であり、図12(b)は、変形例2の斜視図である。 本発明の第2実施形態の高分子アクチュエータの変形例を説明する模式図であって、高分子アクチュエータの変形例3の斜視図である。 従来例における高分子アクチュエータを説明する構成の概略を示す図であり、図14(a)は、3層構造のアクチュエータ素子であり、図14(b)は、5層構造のアクチュエータ素子である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態の高分子アクチュエータ101を説明する模式図であって、高分子アクチュエータ101の斜視図である。図2は、本発明の第1実施形態の高分子アクチュエータ101を説明する模式図であって、図1のZ1側から見た平面図である。図3は、本発明の第1実施形態の高分子アクチュエータ101を説明する模式図であって、図2に示すIII−III線における断面図である。図4は、本発明の第1実施形態の高分子アクチュエータ101を説明する模式図であって、図3に示すP部分の拡大断面図である。
本発明の第1実施形態の高分子アクチュエータ101は、図1ないし図4に示すように、電解質層11と、電解質層11の厚さ方向の両面に設けられた一対の電極層12(12A、12B)と、一対の電極層12(12A、12B)の厚さ方向の外側に導電層13(13A、13B)と、を備えて構成される。そして、一方の電極層12Aと電気的に接続した第1の導電端子19Aと、他方の電極層12Bと電気的に接続した第2の導電端子19Bと、から電力を供給すると、電極層12Aと電極層12Bとの間の電圧に応じて、この高分子アクチュエータ101が変形するようになっている。他に、電解質層11及び電極層12の側端部を覆う封止部材15と、導電層13の厚さ方向の外側に配設された摩耗防止体17と、を備えている。
ここで、本発明の第1実施形態の高分子アクチュエータ101に用いたイオン導電型のアクチュエータについて説明する。図5は、イオン導電型のアクチュエータの動作原理について説明した模式図であって、図5(a)は、本発明の第1実施形態の電解質層11と電極層12におけるイオンを模式化した図であり、図5(b)は、本発明の第1実施形態の電極層12に電圧が印加された状態を示している。
図5(a)に示すように、イオン導電型のアクチュエータは、対向配置された一対の電極層12(12A、12B)と、一対の電極層12(12A、12B)との間に設けられた電解質層11と、を有し、それぞれの層の中には、陽イオンCAと陰イオンANが分散されている。そして、図5(b)に示すように、電極層12Aと電極層12Bとの間に電圧が印加されると、電極層12Aと電極層12Bとの間に挟まれている電解質層11内に電界が発生して、電極層12Aに陽イオンCAが移動するとともに、電極層12Bに陰イオンANが移動する。このため、一方側を支持して支点PP(支持部分)とすると、アクチュエータへの電界の方向に応じて、アクチュエータの他方側が大きく変位する。そして、このアクチュエータの他方側を作用点LP(作用部分)とすると、各種アクチュエータとして利用することができる。なお、アクチュエータへの電界の方向を変えることで、アクチュエータの作用方向を変えることができるし、アクチュエータへの電圧の強さを変えることで、電圧に応じて変形する変形量を変えることもできる。
次に、上述した各構成要素について詳しく説明する。電解質層11は、ベースとなるポリマー(樹脂材料)にイオン液体を混合したゲル状のフィルムであり、図3及び図4に示すように、後述する電極層12(12A、12B)に挟まれている。電解質層11の作製は、イオン液体及び樹脂材料(ポリマー)を溶媒に溶かしてキャスト液を作製し、型枠にキャスト液をキャスティングした後、真空乾燥して溶媒を蒸発させることにより行われる。また、電解質層11のポリマー(樹脂材料)の材質として、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDGF)やポリメチルメタクリレート(PMMA)等を用いることができる。
電極層12(12A、12B)は、電解質層11と同じベースとなるポリマー(樹脂材料)及びイオン液体と、導電性フィラーを有して構成され、ポリマー(樹脂材料)及びイオン液体中に導電性フィラーを混合してゲル状としたものである。電極層12(12A、12B)の導電性フィラーとしては、カーボンナノチューブ、カーボンファイバー、金粒子、白金粒子、ニッケル粒子等を用いることができる。また、電極層12(12A、12B)は、図3及び図4に示すように、片側に電解質層11、反対側に後述する導電層13がなるように重ねられている。以上のように構成された電解質層11及び電極層12(12A、12B)を用いると、低い電圧で大きな変位が得られるようになる。
導電層13は、図3及び図4に示すように、電極層12(12A、12B)の厚さ方向の外側に設けられ、導電層13としてグラフェンから構成されている。特に、本発明の第1実施形態の高分子アクチュエータ101では、グラフェンシートを用いている。一般に言われている『グラフェン』とは、炭素原子が六角形の格子状に結合して、平面的に広がった構造をしており、厳密に言えば単層で構成されている。また、グラフェンシートは、例えば、化学気相合成法(CVD法)を用いて、Cuの単結晶薄膜上にグラフェンを何層も重ねて成膜し、シート状にしたものである。このグラフェンの特徴として色々挙げられているが、特に、電気を通し易い(導電率が高い)ことと、透明性を有していることが、一般に良く知られている。
従来例のカーボンペースで作製された場合の導電層923と比較して、このグラフェンの導電率が高いので、このグラフェンを含む導電層13(13A、13B)を電極層12(12A、12B)の厚さ方向の外側にそれぞれ配設することで、導電層13(13A、13B)に電流が流れやすくなり、一対の電極層12(12A、12B)間の電位の変化が早くなる。このため、高分子アクチュエータ101の変位応答性を良くすることができる。
更に、一層若しくは数層、数十層からなる非常に薄いグラフェンなので、従来例の貴金属で作製された場合の導電層923と比較して、グラフェンを含む導電層13(13A、13B)は柔軟性を有している。このため、この導電層13(13A、13B)を電極層12(12A、12B)と積層して用いても、高分子アクチュエータ101の変形に対しての動きを阻害することなく、変形の繰り返しに対しても強い耐性を有している。以上のことから、本発明の第1実施形態の高分子アクチュエータ101は、柔軟性があり変位応答性の良いアクチュエータを提供することができる。
また、このグラフェンシートの導電層13(13A、13B)を電極層12(12A、12B)の厚さ方向の外側にそれぞれ配設することで、電極層12(12A、12B)の片側主面を覆うことになり、ひいては電解質層11を覆うようになる。このグラフェンシートは、結晶構造により非常に薄いシートでも透湿性が小さいため、電解質層11及び電極層12(12A、12B)に外気から水分が侵入することを防ぐことができる。このことにより、電解質層11及び電極層12(12A、12B)の水分による劣化を防止することができ、高分子アクチュエータ101の寿命を伸ばすことができる。
また、このグラフェンを用いることで、従来例の貴金属で作製された場合の導電層923と比較して、電極層12(12A、12B)の厚さ方向の外側に配設された導電層13(13A、13B)を、安価に作製することができる。
封止部材15は、合成樹脂、例えばポリ塩化ビニリデン(PVDC)のフィルム材料からなり、図1及び図2に示すように、電解質層11及び電極層12(12A、12B)の側端部を覆うようにして配設されている。この封止部材15は、5μm〜25μm程度の厚みを有しており、水分を透過しない性質を有している。また、封止部材15の片側には、粘着層16が設けられており、この粘着層16によって、導電層13(13A、13B)、第1の導電端子19A及び第2の導電端子19Bに密着させている。なお、封止部材15として、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)のフィルム材料を用いたが、ポリエチレン(PE)等の材質からなるフィルム材料であっても良い。また、硬化性の樹脂を塗布後に硬化させて側端部を覆うなど、フィルム材料以外の封止部材15を設けてもよい。これにより、防湿性の高いグラフェンシートで覆われていない、電解質層11及び電極層12(12A、12B)の側端部を、封止部材15により、水分を含む外気から保護することができる。このことにより、電解質層11及び電極層12(12A、12B)を外気からより遮断することができ、電解質層11及び電極層12(12A、12B)の水分による劣化をより防止することができる。
摩耗防止体17は、合成樹脂、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)などの摩擦係数の小さいフィルム材料からなり、図1ないし図4に示すように、導電層13(13A、13B)の厚さ方向の外側に設けられている。また、摩耗防止体17Aは、図1ないし図3に示すように、高分子アクチュエータ101が駆動して作用する作用部分LP(作用点)に配設されるとともに、摩耗防止体(17B、17C)は、図3及び図4に示すように、高分子アクチュエータ101の支持部分PP(支点)を挟むようにして上下に設けられている。高分子アクチュエータは湾曲変形するため、他の物体を駆動する際には作用部分LPは摺動しながら駆動することとなり易く、薄い封止部材15や導電層13にダメージが加わるおそれがある。この摩耗防止体17により摺動時の摩擦が小さくなり、封止部材15或いは導電層13(13A、13B)にダメージが加えられるのを防止することができる。このことにより、封止部材15或いは導電層13(13A、13B)の破壊を防ぐことができ、高分子アクチュエータ101の寿命をより伸ばすことができる。
更に、この摩耗防止体17により、封止部材15にダメージが加えられるのを防止することができるので、封止部材15をより薄くすることができる。このことにより、高分子アクチュエータ101の変形が容易であるとともに、高分子アクチュエータ101の変形の繰り返しに対しても耐性を高めることができる。
以上により、本発明の高分子アクチュエータ101は、電極層12(12A、12B)の厚さ方向の外側にグラフェンを含む導電層13(13A、13B)をそれぞれ形成したので、導電率の高いグラフェンにより導電層13(13A、13B)に電流が流れやすくなり、一対の電極層12(12A、12B)間の電位の変化が早くなる。このため、高分子アクチュエータ101の変位応答性を良くすることができる。更に、一層若しくは数層、数十層からなる非常に薄いグラフェンなので、導電層13(13A、13B)は柔軟性を有している。このため、高分子アクチュエータ101の変形に対して動きを阻害することなく、変形の繰り返しに対しても耐性を有している。したがって、柔軟性があり変位応答性の良い高分子アクチュエータ101を提供することができる。
また、電解質層11がポリマーとイオン液体を混合したゲルを含んでおり、電極層12(12A、12B)がポリマーとイオン液体と導電性のフィラーを混合したゲルを含んでいるため、低い電圧で大きな変位を得ることができる。
また、導電層13(13A、13B)がグラフェンシートからなるので、結晶構造により非常に薄いシートでも透湿性が小さいグラフェンシートで電極層12(12A、12B)、ひいては電解質層11を覆うようになる。このため、電解質層11及び電極層12(12A、12B)に外気からの水分が侵入することを防ぐことができる。このことにより、電解質層11及び電極層12(12A、12B)の水分による劣化を防止することができ、高分子アクチュエータ101の寿命を伸ばすことができる。
また、電解質層11及び電極層12(12A、12B)の側端部を覆う封止部材15を有しているので、防湿性の高いグラフェンシートで覆われていない、電解質層11及び電極層12(12A、12B)の側端部を、封止部材15により、水分を含む外気から保護することができる。このことにより、水分に対して耐性が低い電解質層11及び電極層12(12A、12B)を外気からより遮断することができ、電解質層11及び電極層12(12A、12B)の水分による劣化をより防止することができる。
また、摩耗防止体17が高分子アクチュエータ101の支持部分PPと高分子アクチュエータ101の駆動する作用部分LPとに設けられているので、外部から最も力が加わる作用部分LP(作用点)や支持部分PP(支点)に力が加えられても、この摩耗防止体17により、封止部材15或いは導電層13(13A、13B)にダメージが加えられるのを防止することができる。このことにより、封止部材15或いは導電層13(13A、13B)の破壊を防ぐことができ、高分子アクチュエータ101の寿命をより伸ばすことができる。
次に、高分子アクチュエータ101の製造方法について、図6を用いて説明する。図6は、高分子アクチュエータ101の製造工程中における断面模式図であり、図6(a)は、導電層形成工程P1の終了後を示し、図6(b)は、第1積層工程P2の終了後を示し、図6(c)は、剥離工程P3の終了後を示し、図6(d)は、第2積層工程P4の終了後を示し、図6(e)は、封止工程P5の終了後を示し、図6(f)は、貼付工程P6の終了後を示している。
本発明の第1実施形態の高分子アクチュエータ101の製造方法は、先ず、図6(a)に示すように、グラフェンを含む導電層13を形成する導電層形成工程P1を行う。導電層形成工程P1では、石英等で形成された基材18上に、グラフェンシートからなる導電層13を載置する。これにより、所望の大きさに整えられたグラフェンシートを用いるだけで、容易に導電層13を形成することができる。
次に、図6(b)に示すように、導電体14を形成する第1積層工程P2を行う。第1積層工程P2では、導電層13上に、導電フィラーを含む電極層12をキャスト法にて形成する。具体的には、先ず、イオン液体、導電フィラー、及び樹脂材料(ポリマー)を溶媒に溶かして、キャスト液を作製する。続いて、キャスト液を導電層13上にキャスティングした後、真空乾燥して溶媒を蒸発させて、電極層12が得られる。このようにして、導電層13に電極層12が積層された導電体14が形成される。これにより、所望の大きさに整えられたグラフェンシートを用いた導電層13に電極層12を積層するだけで、所望の大きさの導電体14を容易に作製することができる。
次に、図6(c)に示すように、導電体14を基材18から剥離する剥離工程P3を行う。このような組成のキャスト液から生成される膜は基材18から剥離するのが困難となることが多いが、本発明の第1実施形態の剥離工程P3では、このグラフェンを含む導電層13が剥離性を有しているので、基材18から導電体14を容易に剥離することができる。なお、導電層形成工程P1、第1積層工程P2及び剥離工程P3を同じように行って、導電層13Aに電極層12Aが積層された導電体14Aと導電層13Bに電極層12Bが積層された導電体14Bと、1対の導電体14(14A、14B)を形成する。
次に、図6(d)に示すように、電解質層11を一対の電極層12(12A、12B)間に挟んで積層する第2積層工程P4を行う。第2積層工程P4では、導電体14Aの電極層12Aともう一つの導電体14Bの電極層12Bとを対向させて、電解質層11の両面を電極層12(12A、12B)間に挟んで積層させる。そして、電解質層11と導電体14(14A、14B)間を加熱圧着することで、電解質層11の上下面を一対の電極層12(12A、12B)で挟んだ積層構造を得ることができる。
以上のように、導電層形成工程P1と第1積層工程P2と剥離工程P3と第2積層工程P4を行うことにより、電解質層11と一対の電極層12(12A、12B)と一対の導電層13(13A、13B)とが積層された高分子アクチュエータ101を、順次積層させるだけで容易に作製することができる。
次に、図6(e)に示すように、電解質層11及び電極層12(12A、12B)の側端部を覆う封止工程P5を行う。封止工程P5では、先ず、一方の導電層13Aに第1の導電端子19Aを配設するとともに、他方の導電層13Bに第2の導電端子19Bを配設する。その後、図6(e)に示すように、封止部材15を用いて、第1の導電端子19A及び第2の導電端子19Bの他端を覆うようにして封止部材15を配設するとともに、電解質層11及び電極層12(12A、12B)の側端部を覆うようにして封止部材15を配設する。
最後に、図6(f)に示すように、摩耗防止体17を配設する貼付工程P6を行う。貼付工程P6では、先ず、摩耗防止体17Aを高分子アクチュエータ101が駆動して作用する作用部分LP(作用点)に配設して、封止部材15に接着する。次に、摩耗防止体(17B、17C)を高分子アクチュエータ101の支持部分PP(支点)を挟むようにして上下に配設して、封止部材15に接着する。なお、摩耗防止体17と封止部材15との接着は、摩耗防止体17の片側に図示していない粘着剤を予め塗布しておき、図示していない粘着剤を熱硬化させることによって達成できる。以上のようにして、本発明の第1実施形態の高分子アクチュエータ101を製造することができる。
以上により、本発明の高分子アクチュエータ101の製造方法は、導電層形成工程P1と第1積層工程P2と剥離工程P3と第2積層工程P4とを有しているので、電解質層11と一対の電極層12(12A、12B)と一対の導電層13(13A、13B)とが積層された高分子アクチュエータ101を、順次積層させるだけで容易に作製することができる。しかも、このグラフェンを含む導電層13(13A、13B)が剥離性を有しているので、剥離工程P3において、基材18から導電体14を容易に剥離することができる。これらのことにより、高分子アクチュエータ101を容易に作製することができる。
また、導電層13がグラフェンシートからなるので、グラフェンシートを所望の大きさに整えるだけで、容易に導電層13を形成することができる。また、所望の大きさに整えられたグラフェンシートを用いた導電層13に電極層12を積層するだけで、所望の大きさの導電体14を容易に作製することができる。さらに、グラフェンシートがより剥離性の良いシートなので、剥離工程P3において、基材18から導電体14をより容易に剥離することができる。これらのことにより、高分子アクチュエータ101をより容易に作製することができる。
[第2実施形態]
図7は、本発明の第2実施形態の高分子アクチュエータ102を説明する模式図であって、高分子アクチュエータ102の斜視図である。図8は、本発明の第2実施形態の高分子アクチュエータ102を説明する模式図であって、図7のZ1側から見た平面図である。図9は、本発明の第2実施形態の高分子アクチュエータ102を説明する模式図であって、図8に示すIX−IX線における断面図である。図10は、本発明の第2実施形態の高分子アクチュエータ102を説明する模式図であって、図9に示すQ部分の拡大断面図である。第2実施形態の高分子アクチュエータ102は、第1実施形態に対し、封止部材15を設けていない点が異なる。なお、第1実施形態と同一構成については、同一符号を付して詳細な説明は省略する。
本発明の第2実施形態の高分子アクチュエータ102は、図7ないし図10に示すように、電解質層21と、電解質層21の厚さ方向の両面に設けられた一対の電極層22(22A、22B)と、一対の電極層22(22A、22B)の厚さ方向の外側に導電層23(23A、23B)と、を備えて構成される。そして、一方の電極層22Aと電気的に接続した第1の導電端子29Aと、他方の電極層22Bと電気的に接続した第2の導電端子29Bと、から電力を供給すると、電極層22Aと電極層22Bとの間の電圧に応じて、この高分子アクチュエータ102が変形するようになっている。他に、導電層23の厚さ方向の外側に配設された摩耗防止体27と、を備えている。
電解質層21は、ベースとなるポリマー(樹脂材料)にイオン液体を混合したゲル状のフィルムであり、図9及び図10に示すように、後述する電極層22(22A、22B)に挟まれている。電解質層21の作製は、イオン液体及び樹脂材料(ポリマー)を溶媒に溶かしてキャスト液を作製し、型枠にキャスト液をキャスティングした後、真空乾燥して溶媒を蒸発させることにより行われる。また、電解質層21のポリマー(樹脂材料)の材質として、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDGF)やポリメチルメタクリレート(PMMA)等を用いることができる。
電極層22(22A、22B)は、電解質層21と同じベースとなるポリマー(樹脂材料)及びイオン液体と、導電性フィラー有して構成され、ポリマー(樹脂材料)及びイオン液体中に導電性フィラーを混合してゲル状としたものである。電極層22(22A、22B)の導電性フィラーとしては、カーボンナノチューブ、カーボンファイバー、金粒子、白金粒子、ニッケル粒子等を用いることができる。また、電極層22(22A、22B)は、図9及び図10に示すように、片側に電解質層21、反対側に後述する導電層23がなるように重ねられている。
導電層23は、図9及び図10に示すように、電極層22(22A、22B)の厚さ方向の外側に設けられ、導電層23として、グラフェンを用いている。特に、本発明の第2実施形態の高分子アクチュエータ102では、グラフェンシートを用いている。この導電層23は、従来例のカーボンペースで作製された場合の導電層923と比較して、このグラフェンの導電率が高いので、導電層23(23A、23B)に電流が流れやすくなる。このため、このグラフェンを含む導電層23(23A、23B)を電極層22(22A、22B)の厚さ方向の外側にそれぞれ配設することで、一対の電極層22(22A、22B)間の電位の変化が早くなる。このことにより、高分子アクチュエータ102の変位応答性を良くすることができる。
更に、一層若しくは数層、数十層からなる非常に薄いグラフェンなので、従来例の貴金属で作製された場合の導電層923と比較して、グラフェンを含む導電層23(23A、23B)は柔軟性を有している。このため、この導電層23(23A、23B)を電極層22(22A、22B)と積層して用いても、高分子アクチュエータ102の変形に対しての動きを阻害することなく、変形の繰り返しに対しても強い耐性を有している。以上のことから、本発明の第2実施形態の高分子アクチュエータ102は、柔軟性があり変位応答性の良いアクチュエータを提供することができる。
また、このグラフェンシートの導電層23(23A、23B)を電極層22(22A、22B)の厚さ方向の外側にそれぞれ配設することで、電極層22(22A、22B)の片側主面を覆うことになり、ひいては電解質層21を覆うようになる。このため、結晶構造により非常に薄いシートでも透湿性が小さいグラフェンシートが電解質層21及び電極層22(22A、22B)を覆い、電解質層21及び電極層22(22A、22B)に外気からの水分が侵入することを防ぐことができる。このことにより、電解質層21及び電極層22(22A、22B)の水分による劣化を防止することができ、高分子アクチュエータ102の寿命を伸ばすことができる。
また、このグラフェンを用いることで、従来例の貴金属で作製された場合の導電層923と比較して、導電層23(23A、23B)を、安価に作製することができる。
摩耗防止体27は、合成樹脂、例えばポリエチレンナフタレート(PEN)などの摩擦係数の小さいフィルム材料からなり、図7ないし図10に示すように、導電層23(23A、23B)の厚さ方向の外側に設けられている。また、摩耗防止体27Aは、図7ないし図9に示すように、高分子アクチュエータ102が駆動して作用する作用部分LP(作用点)に配設されるとともに、摩耗防止体(27B、27C)は、図9及び図10に示すように、高分子アクチュエータ101の支持部分PP(支点)を挟むようにして上下に設けられている。これにより、外部から最も力が加わる作用部分LP(作用点)や支持部分PP(支点)に力が加えられても、この摩耗防止体27により、導電層23(23A、23B)にダメージが加えられるのを防止することができる。このことにより、導電層23(23A、23B)の破壊を防ぐことができ、高分子アクチュエータ102の寿命をより伸ばすことができる。
以上により、本発明の高分子アクチュエータ102は、電極層22(22A、22B)の厚さ方向の外側にグラフェンを含む導電層23(23A、23B)をそれぞれ形成したので、導電率の高いグラフェンにより導電層23(23A、23B)に電流が流れやすくなり、一対の電極層22(22A、22B)間の電位の変化が早くなる。このため、高分子アクチュエータ102の変位応答性を良くすることができる。更に、一層若しくは数層、数十層からなる非常に薄いグラフェンなので、導電層23(23A、23B)は柔軟性を有している。このため、高分子アクチュエータ102の変形に対して動きを阻害することなく、変形の繰り返しに対しても耐性を有している。したがって、柔軟性があり変位応答性の良い高分子アクチュエータ102を提供することができる。
また、電解質層21がポリマーとイオン液体を混合したゲルを含んでおり、電極層22(22A、22B)がポリマーとイオン液体と導電性のフィラーを混合したゲルを含んでいるため、低い電圧で大きな変位を得ることができる。
また、導電層23(23A、23B)がグラフェンシートからなるので、結晶構造により非常に薄いシートでも透湿性が小さいグラフェンシートで電極層22(22A、22B)、ひいては電解質層21を覆うようになる。このため、電解質層21及び電極層22(22A、22B)に外気からの水分が侵入することを防ぐことができる。このことにより、電解質層21及び電極層22(22A、22B)の水分による劣化を防止することができ、高分子アクチュエータ102の寿命を伸ばすことができる。
また、摩耗防止体27が高分子アクチュエータ102の支持部分PPと高分子アクチュエータ102の駆動する作用部分LPとに設けられているので、外部から最も力が加わる作用部分LP(作用点)や支持部分PP(支点)に力が加えられても、この摩耗防止体27により、導電層23(23A、23B)にダメージが加えられるのを防止することができる。このことにより、導電層23(23A、23B)の破壊を防ぐことができ、高分子アクチュエータ102の寿命をより伸ばすことができる。
次に、高分子アクチュエータ102の製造方法について、図11を用いて説明する。図11は、高分子アクチュエータ102の製造工程中における断面模式図であり、図11(a)は、導電層形成工程P1の終了後を示し、図11(b)は、第1積層工程P2の終了後を示し、図11(c)は、剥離工程P3の終了後を示し、図11(d)は、第2積層工程P4の終了後を示し、図11(e)は、貼付工程P56の終了後を示している。
本発明の第1実施形態の高分子アクチュエータ102の製造方法は、先ず、図11(a)に示すように、グラフェンを含む導電層23を形成する導電層形成工程P1を行う。導電層形成工程P1では、ステンレス等で形成された基材28上に、グラフェンシートからなる導電層23を載置する。これにより、所望の大きさに整えられたグラフェンシートを用いるだけで、容易に導電層23を形成することができる。
次に、図11(b)に示すように、導電体24を形成する第1積層工程P2を行う。第1積層工程P2では、導電層23上に、導電フィラーを含む電極層22を印刷にて形成する。具体的には、先ず、イオン液体、導電フィラー、及び樹脂材料(ポリマー)を溶媒に溶かして、印刷インクを作製する。続いて、印刷インクをスクリーン印刷等用いて、導電層23上に印刷した後、真空乾燥して溶媒を蒸発させて、電極層22が得られる。このようにして、導電層23に電極層22が積層された導電体24が形成される。これにより、所望の大きさに整えられたグラフェンシートを用いた導電層23に電極層22を積層するだけで、所望の大きさの導電体24を容易に作製することができる。
次に、図11(c)に示すように、導電体24を基材28から剥離する剥離工程P3を行う。このような組成のキャスト液から生成される膜は基材28から剥離するのが困難となることが多いが、本発明の第1実施形態の剥離工程P3では、このグラフェンを含む導電層23が剥離性を有しているので、基材28から導電体24を容易に剥離することができる。このようにして、導電層形成工程P1、第1積層工程P2及び剥離工程P3を同じように行って、導電層23Aに電極層22Aが積層された導電体24Aと導電層23Bに電極層22Bが積層された導電体24Bと、1対の導電体24(24A、24B)を形成する。
次に、図11(d)に示すように、電解質層21を一対の電極層22(22A、22B)間に挟んで積層する第2積層工程P4を行う。第2積層工程P4では、導電体24Aの電極層22Aともう一つの導電体24Bの電極層22Bとを対向させて、電解質層21の両面を電極層22(22A、22B)間に挟んで積層させる。そして、電解質層21と導電体24(24A、24B)間を加熱圧着することで、電解質層21の上下面を一対の電極層22(22A、22B)で挟んだ積層構造を得ることができる。
以上のように、導電層形成工程P1と第1積層工程P2と剥離工程P3と第2積層工程P4を行うことにより、電解質層21と一対の電極層22(22A、22B)と一対の導電層23(23A、23B)とが積層された高分子アクチュエータ102を、順次積層させるだけで容易に作製することができる。
最後に、図11(e)に示すように、摩耗防止体27を配設する貼付工程P56を行う。貼付工程P56では、先ず、一方の導電層23Aに第1の導電端子29Aを配設するとともに、他方の導電層23Bに第2の導電端子29Bを配設する。その後、摩耗防止体27Aを高分子アクチュエータ102が駆動して作用する作用部分LP(作用点)に配設して、導電層23Bに接着する。次に、摩耗防止体(27B、27C)を高分子アクチュエータ102の支持部分PP(支点)を挟むようにして上下に配設して、導電層23B及び導電層23Aに接着する。なお、摩耗防止体27と導電層23との接着は、摩耗防止体27の片側に図示していない粘着剤を予め塗布しておき、図示していない粘着剤を熱硬化させることによって達成できる。以上のようにして、本発明の第2実施形態の高分子アクチュエータ102を製造することができる。
以上により、本発明の高分子アクチュエータ102の製造方法は、導電層形成工程P1と第1積層工程P2と剥離工程P3と第2積層工程P4とを有しているので、電解質層21と一対の電極層22(22A、22B)と一対の導電層23(23A、23B)とが積層された高分子アクチュエータ102を、順次積層させるだけで容易に作製することができる。しかも、このグラフェンを含む導電層23(23A、23B)が剥離性を有しているので、剥離工程P3において、基材28から導電体24を容易に剥離することができる。これらのことにより、高分子アクチュエータ102を容易に作製することができる。
また、導電層23がグラフェンシートからなるので、グラフェンシートを所望の大きさに整えるだけで、容易に導電層23を形成することができる。また、所望の大きさに整えられたグラフェンシートを用いた導電層23に電極層22を積層するだけで、所望の大きさの導電体24を容易に作製することができる。さらに、グラフェンシートがより剥離性の良いシートなので、剥離工程P3において、基材28から導電体24をより容易に剥離することができる。これらのことにより、高分子アクチュエータ102をより容易に作製することができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば次のように変形して実施することができ、これらの実施形態も本発明の技術的範囲に属する。
図12は、本発明の第1実施形態の高分子アクチュエータ101の変形例を説明する模式図であって、図12(a)は、変形例1の高分子アクチュエータC111の斜視図であり、図12(b)は、変形例2の高分子アクチュエータC121の斜視図である。図13は、本発明の第2実施形態の高分子アクチュエータ102の変形例を説明する模式図であって、変形例3の高分子アクチュエータC132の斜視図である。
<変形例1>
上記第1実施形態では、封止部材15が電解質層11及び電極層12(12A、12B)の側端部を覆うように構成したが、図12(a)に示すように、封止部材C15が電解質層及び電極層を全て覆うように構成しても良い。
<変形例2>
上記第1実施形態では、摩耗防止体17を用いる構成したが、図12(b)に示すように、摩耗防止体17を用いない構成にし、封止部材C25に摩耗防止体17の機能を持たせるようにしても良い。その際には、封止部材C25の厚みを増やす方がより好適である。
<変形例3>
上記第2実施形態では、摩耗防止体17を用いる構成したが、図13に示すように、摩耗防止体17を用いない構成にしても良い。
<変形例4>
上記第1実施形態及び上記第2実施形態では、導電層(13、23)に、グラフェンシートを用いる構成にしたが、グラフェンシートを用いなくても良く、グラフェンが含有された導電層であれば良い。
本発明は上記実施の形態に限定されず、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更することが可能である。
11、21 電解質層
12、12A、12B、22、22A、22B 電極層
13、13A、13B、23、23A、23B 導電層
14、14A、14B、24、24A、24B 導電体
15、C15、C25 封止部材
17、17A、17B、17C、27、27A、27B 摩耗防止体
18、28 基材
PP 支持部分(支点)
LP 作用部分(作用点)
101、102、C111、C121、C132 高分子アクチュエータ

Claims (6)

  1. 電解質層と、前記電解質層の厚さ方向の両面に設けられた一対の電極層を有し、前記一対の電極層間の電圧に応じて変形する高分子アクチュエータにおいて、
    前記一対の電極層の厚さ方向の外側にシート状のグラフェンシートからなる導電層をそれぞれ形成したことを特徴とする高分子アクチュエータ。
  2. 前記電解質層が、ポリマーとイオン液体を混合したゲルを含んでおり、
    前記電極層が、前記ポリマーと前記イオン液体と導電性のフィラーを混合したゲルを含むことを特徴とする請求項1に記載の高分子アクチュエータ。
  3. 前記電解質層及び前記電極層の側端部を覆う封止部材を有していることを特徴とする請求項1または請求項に記載の高分子アクチュエータ。
  4. 前記導電層の厚さ方向の外側であって、前記高分子アクチュエータの支持部分と前記高分子アクチュエータの駆動する作用部分とに摩耗防止体を有していることを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれかに記載の高分子アクチュエータ。
  5. 電解質層と、前記電解質層の厚さ方向の両面に設けられた一対の電極層と、前記一対の電極層の厚さ方向の外側に形成されたシート状のグラフェンシートからなる一対の導電層と、を有し、前記一対の電極層の間の電圧に応じて変形する高分子アクチュエータの製造方法において、
    基材上に前記導電層を形成する導電層形成工程と、
    前記導電層上に前記電極層が積層された導電体を形成する第1積層工程と、
    前記導電体を前記基材から剥離する剥離工程と、
    前記導電体の前記電極層ともう一つの前記導電体の前記電極層とを対向させて、前記電解質層の両面を前記電極層間に挟んで積層する第2積層工程と、
    を有することを特徴とする高分子アクチュエータの製造方法。
  6. 前記電解質層が、ポリマーとイオン液体を混合したゲルを含んでおり、
    前記電極層が、前記ポリマーと前記イオン液体と導電性のフィラーを混合したゲルを含むことを特徴とする請求項に記載の高分子アクチュエータの製造方法。
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