JP5929229B2 - アルカリホスファターゼ - Google Patents
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Description
[項1]
下記(A)〜(C)のいずれかのポリペプチドからなるアルカリホスファターゼ。
(A)配列番号2に記載されるアミノ酸配列からなるポリペプチド。
(B)配列番号2に記載されるアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸残基を欠失、置換、挿入または付加させてなる配列からなり、アルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチド。
(C)配列番号2に記載されるアミノ酸配列と85%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、アルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチド。
[項2]
下記(A)〜(F)のいずれかのDNA。
(A)配列番号1に記載される塩基配列からなるDNA。
(B)配列番号2に記載されるアミノ酸配列をコードするDNA。
(C)配列番号1に記載される塩基配列との相同性が80%以上である塩基配列からなり、且つ、アルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA;
(D)配列番号1に示される塩基配列に相補的な塩基配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであり、且つアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA、
(E)配列番号1に記載される塩基配列において、1または数個の塩基を置換、欠失、挿入または付加されている塩基配列であり、アルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA、
(F)配列番号2に記載されるアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸残基が置
換、欠失、挿入または付加したアミノ酸配列からなり、且つ、アルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA。
[項3]
項2に記載のDNAを組み込んだベクター。
[項4]
項3に記載のベクターで宿主細胞が形質転換されている形質転換体。
[項5]
宿主細胞が大腸菌である、項4に記載の形質転換体。
[項6]
項1に記載のアルカリホスファターゼを産生する能力を有する微生物を培養し、得られる培養物からアルカリホスファターゼ活性を有するタンパク質を採取することを含む、アルカリホスファターゼの製造方法。
[項7]
項1に記載のアルカリホスファターゼを産生する能力を有する微生物がシェワネラ(shewanella)属に由来する、項6に記載のアルカリホスファターゼの製造方法。
[項8]
項1に記載のアルカリホスファターゼを産生する能力を有する微生物が、項4または5に記載の形質転換体である、項6に記載のアルカリホスファターゼの製造方法。
[項9]
項1に記載のアルカリホスファターゼを標識してなるコンジュゲート。
1−1.ポリペプチド
本発明の好ましい態様においては、本発明は配列番号2に記載されるアミノ酸配列からなるポリペプチドからなるアルカリホスファターゼであり、または配列番号2に記載されるアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸残基を欠失、置換、挿入または付加させてなる配列からなり、アルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチドからなるアルカリホスファターゼである。配列番号2のアミノ酸配列は、後述のとおりShewanella chilikensis(シェワネラ・チリケンシス)に由来する。
芳香族アミノ酸:Phe、Trp、Tyr
脂肪族アミノ酸:Ala、Leu、Ile、Val
極性アミノ酸:Gln、Asn
塩基性アミノ酸:Lys、Arg、His
酸性アミノ酸:Glu、Asp
水酸基を有するアミノ酸:Ser、Thr
本発明のAPの給源は、上記特性を有するものであれば特に限定しないが、好ましくは細菌由来であり、より好ましくはシェワネラ(Shewanella)属由来であり、よりさらに好ましくはシェワネラ・チリケンシス(Shewanella chilikensis)由来であり、最も好ましくはNBRC105217株として(独)製品評価技術基盤機構より分譲される菌株由来である。
本発明のAPは、由来するシェワネラ属細菌を培養した培養液から得たものであってもよく、また由来する細菌とは異なる宿主生物に遺伝子を導入し発現させることにより得たものであってもよい。
本発明は、好ましくはCIAPに比して高い熱安定性を有するAPであり、より好ましくは60℃60分間の熱処理後に80%以上の活性を維持しうるAPであり、よりさらに好ましくは65℃60分間の熱処理後に80%以上の活性を維持しうるAPである。
本発明に述べる比活性は、後述の「タンパク質の定量および比活性の算出例」に記載の方法により求められる。本発明のAPの比活性は、少なくとも5000U/mg以上であり、好ましくは5500U/mg以上であり、より好ましくは6000U/mg以上であり、よりさらに好ましくは7000U/mg以上であり、最も好ましくは8000U/mg以上である。公知のシェワネラ属由来APの比活性は、非特許文献1によればSIB1株由来APは50℃という高温において1880U/mgであり、37℃ではさらに低いと推定される。また、非特許文献2に記載の株は、至適条件とする70℃ pH10.6において1500U/mgであり、37℃ではおよそ1200U/mgである。本発明のAPは比活性の観点において公知のシェワネラ属由来APを凌駕しており、これらAPとは明確に区別される。
また、本発明の好ましい態様においては、本発明は、上記のアルカリホスファターゼを産生する能力を有する微生物を培養し、得られる培養物からアルカリホスファターゼ活性を有するタンパク質を採取することを含む、アルカリホスファターゼの製造方法である。
以下に順次、上記(1)〜(4)の方法を説明する。
本発明のAPを産生する能力を有する微生物は、特に限定されないが、例えば天然の細胞としては、シェワネラ(shewanella)属に由来する微生物、例えばシェワネラ・チリケンシスNBRC105217株が例示され、(独)製品評価技術基盤機構より購入可能であり、この菌株を常法に従って培養し、増殖せしめることにより本発明のAPを産生可能である。
化学合成によるAPの製造は、例えば、配列番号2に示されるアミノ酸配列を基にして、配列の全部または一部をペプチド合成機を用いて合成することにより行うことができる。ペプチド合成法は、例えば、固相合成法、液相合成法のいずれであってもよい。本発明のAPを構成し得る部分ペプチドもしくはアミノ酸と残余部分とを縮合し、生成物が保護基を含む場合は保護基を脱離することにより、目的とするタンパク質を製造することができる。ここで、縮合や保護基の脱離は、自体公知の方法、例えば、以下の(1)および(2)に記載された方法に従って行われる。
(1) M. Bodanszkyand M.A. Ondetti, Peptide Synthesis, Interscience Publishers, New York (1966)
(2) Schroeder and Luebke, The Peptide, Academic Press, NewYork(1965)
上記方法で得られるAPが遊離体である場合には、該遊離体を公知の方法あるいはそれに準じる方法によって適当な塩に変換することができるし、逆にタンパク質が塩として得られた場合には、該塩を公知の方法あるいはそれに準じる方法によって遊離体または他の塩に変換することができる。
2−3−1.アルカリホスファターゼをコードするDNA
本発明のAPは、好ましくは、該蛋白質をコードする核酸をクローニング(もしくは化学的に合成)し、該核酸を担持する発現ベクターを含む形質転換体の培養物から単離精製することにより製造することができる。
また、概DNAは、発現される蛋白質がアルカリホスファターゼ活性を有する限りにおいては、好ましくはAPの特性が本願に記載する特性と同等もしくはそれ以上である限りにおいては、配列番号2に記載されるアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入または付加したアミノ酸配列をコードするDNAであっても良いし、あるいは、配列番号1に示す塩基配列において、1もしくは複数の塩基が置換・欠失・付加・挿入されたDNAであってもよい。
また別の態様においては、概DNAは、配列番号1に示される塩基配列に相補的な塩基配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであり、且つアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNAであってもよい。配列番号1に示される塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸としては、例えば、配列番号1に示される塩基配列と60%以上、好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上の同一性を有する塩基配列を含む核酸などが用いられる。
また別の態様においては、概DNAは、配列番号1に記載される塩基配列との相同性が80%以上である塩基配列からなり、且つ、アルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNAであってもよい。
ハイブリダイゼーションは、自体公知の方法あるいはそれに準じる方法、例えば、Molecular Cloning, 第2版 (J. Sambrook et al., Cold Spring Harbor Lab. Press, 1989) に記載の方法などに従って行うことができる。また、市販のライブラリーを使用する場合、ハイブリダイゼーションは、添付の使用説明書に記載の方法に従って行うことができる。ハイブリダイゼーションは、好ましくは、ストリンジェントな条件に従って行うことができる。
該ストリンジェントな条件は、好ましくはハイストリンジェントな条件である。ハイストリンジェントな条件とは、例えば0.1×SSC及び0.1%SDSに相当する塩濃度で60℃で洗浄が行われる条件である。)
本発明のAPをコードするDNAを導入する宿主細胞は、組換え発現系が確立しているものであれば、特に制限されないが、好ましくは大腸菌、枯草菌などのバクテリア、放線菌、麹菌、酵母といった微生物宿主並びに昆虫細胞、動物細胞、高等植物等が挙げられ、より好ましくは大腸菌(例えば、K12株、B株など)が挙げられる。大腸菌において使用頻度の高いコドンとしては、例えば、K12株の場合であれば、GlyにはGGTまたはGGC、GluにはGAA、AspにはGAT、ValにはGTG、AlaにはGCG、ArgにはCGTまたはCGC、SerにはAGC、LysにはAAA、IleにはATTまたはATC、ThrにはACC、LeuにはCTG、GlnにはCAG、ProにはCCGなどが挙げられる。
このように宿主において使用頻度の高いコドンに置換されたAPをコードするDNAとして、例えば、シェワネラ属細菌由来のAPをコードするDNAを、該APと同一のアミノ酸配列をコードし、且つ大腸菌K12株において使用頻度の高いコドンに置換したDNAが挙げられる。
本発明はまた、本発明のAPをコードするDNAを含む組換えベクターを提供する。本発明の組換えベクターは原核および/または真核細胞の各種宿主細胞内で複製保持または自律増殖できるものであれば特に限定されず、プラスミドベクターやウイルスベクター等が包含される。当該組換えベクターは、簡便には当該技術分野において入手可能な公知のクローニングベクターまたは発現ベクターに、上記のAPをコードするDNAを適当な制限酵素およびリガーゼ、あるいは必要に応じてさらにリンカーもしくはアダプターDNAを用いて連結することにより調製することができる。また、Taqポリメラーゼのように増幅末端に一塩基を付加するようなDNAポリメラーゼを用いて増幅作製した遺伝子断片であれば、TAクローニングによるベクターへの接続も可能である。
宿主細胞として細菌を用いる場合、一般に発現ベクターは上記のプロモーター領域およびターミネーター領域に加えて、宿主細胞内で自律複製し得る複製可能単位を含む必要がある。また、プロモーター領域は、プロモーターの近傍にオペレーターおよびShine−Dalgarno(SD)配列を包含する。
宿主として酵母,動物細胞または昆虫細胞を用いる場合、発現ベクターは、エンハンサー配列、AP mRNAの5’側および3’側の非翻訳領域、ポリアデニレーション部位等をさらに含むことが好ましい。
本発明のAPは、上記のようにして調製されるAP発現ベクターを含む形質転換体を培地中で培養し、得られる培養物からAPを採取、回収することによって製造することができる。
宿主が細菌,放線菌,酵母,糸状菌等である場合、例えば上記栄養源を含有する液体培地が適当である。好ましくは、pHが5〜9である培地である。宿主が大腸菌の場合、好ましい培地としてLB培地,M9培地[Miller. J., Exp. Mol. Genet, p.431, Cold Spring Harbor Laboratory, New York (1972)]等が例示される。培養は、必要により通気・攪拌をしながら、通常14〜43℃で約3〜72時間行うことができる。宿主が枯草菌の場合、必要により通気・攪拌をしながら、通常30〜40℃で約16〜96時間行うことができる。宿主が酵母の場合、培地として、例えばBurkholder最少培地 [Bostian. K.L. et al, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77, 4505 (1980)]が挙げられ、pHは5〜8であることが望ましい。培養は通常約20〜35℃で約14〜144時間行なわれ、必要により通気や攪拌を行うこともできる。
宿主が動物細胞の場合、培地として、例えば約5〜20%のウシ胎仔血清を含む最少必須培地(MEM)[Science, 122, 501 (1952)]、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)[Virology, 8, 396 (1959)]、RPMI1640培地[J. Am. Med. Assoc., 199, 519 (1967)]、199培地[Proc. Soc. Exp. Biol. Med., 73, 1 (1950)] 等を用いることができる。これら培地には、APを安定化させるための金属塩を添加してもよく、そのような金属塩としては、好ましくはマグネシウム塩および/又は亜鉛塩が用いられる。これら金属塩は、培養する細胞に毒性を示さない範囲において設定すればよく、マグネシウム塩であれば終濃度0.001mM〜10mM、亜鉛塩であれば0.001mM〜1mMが好ましい添加量の範囲として例示されるが、この範囲に限定されない。培地のpHは約6〜8であるのが好ましく、培養は通常約30〜40℃で約15〜72時間行なわれ、必要により通気や攪拌を行うこともできる。
宿主が昆虫細胞の場合、培地として、例えばウシ胎仔血清を含むGrace’s培地[Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82, 8404 (1985)]等が挙げられ、そのpHは約5〜8であるのが好ましい。培養は通常約20〜40℃で15〜100時間行なわれ、必要により通気や攪拌を行うこともできる。
APの精製は、AP活性の存在する画分に応じて、通常使用される種々の分離技術を適宜組み合わせることにより行うことができる。
培養物の培地中に存在するAPは、培養物を遠心または濾過して培養上清(濾液)を得、該培養上清から、例えば、塩析、溶媒沈澱、透析、限外濾過、ゲル濾過、非変性PAGE、SDS−PAGE、イオン交換クロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、逆相高速液体クロマトグラフィー、等電点電気泳動などの公知の分離方法を適当に選択して行うことにより得ることができる。
あるいは、タグとしてグルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、マルトース結合タンパク質(MBP)、HA、FLAGペプチドなどを用いてアフィニティー精製することもできる。
さらに、本発明のAPは、それをコードするDNAに対応するRNAを鋳型として、ウサギ網状赤血球ライセート、コムギ胚芽ライセート、大腸菌ライセートなどからなる無細胞タンパク質翻訳系を用いてインビトロ翻訳することによっても合成することができる。
本発明のAPをコードするRNAは、本発明のAPをコードするmRNAを常法を用いて該RNAを発現する宿主細胞から精製するか、あるいは、APをコードするDNAを鋳型とし、RNAポリメラーゼを含む無細胞転写系を用いてcRNAを調製することによって取得することができる。無細胞タンパク質転写/翻訳系は市販のものを用いることもできるし、それ自体既知の方法、具体的には、大腸菌抽出液はPratt J.M. et al., “Transcription and Tranlation”, Hames B.D. and Higgins S.J. eds., IRL Press, Oxford 179−209 (1984) に記載の方法等に準じて調製することもできる。市販の細胞ライセートとしては、大腸菌由来のものはE.coli S30 extract system (Promega社製) やRTS 500 Rapid Tranlation System (Roche社製) 等が挙げられ、ウサギ網状赤血球由来のものはRabbit Reticulocyte Lysate System (Promega社製) 等、さらにコムギ胚芽由来のものはPROTEIOSTM(TOYOBO社製) 等が挙げられる。このうちコムギ胚芽ライセートを用いたものが好適である。コムギ胚芽ライセートの作製法としては、例えばJohnston F.B. et al., Nature, 179: 160−161 (1957) あるいはErickson A.H. et al., Meth. Enzymol., 96: 38−50 (1996) 等に記載の方法を用いることができる。
また、本発明の別の態様は、上述のアルカリホスファターゼによって標識されてなるコンジュゲートであり、標識の対象となる物質はたとえば核酸プローブ、ビオチンなどの生体物質、ポリペプチド・アビジン・抗体などのタンパク質などが好適に選択される。標識の方法は、マレイミド法、ピリジルジスルフィド法、グルタルアルデヒド法の各手法が適用可能であり、標識対象物質、用いる官能基、使用目的などにより使い分けることができる。ELISAや免疫診断試薬において使用されるAP標識抗体・AP標識抗原の作製方法並びにそれらを用いた免疫測定の方法については「超高感度酵素免疫測定法」(石川榮治著、学会出版センター刊)などに詳しい。
本発明に述べるAP活性は、特に断りがない限り以下の方法で測定されたものである。
まず、下記の溶液A・Bを調製する。
A:1Mジエタノールアミン緩衝液 (pH9.8)
B:0.67M p−ニトロフェニルリン酸 (溶液Aに溶解する)
溶液A2.9mlと溶液B0.1mlとをキュベット(光路長=1.0cm)に調製し、37℃で5分間予備加温する。AP溶液0.1mlを添加してゆるやかに混和し、水を対照に37℃に制御された分光光度計で405nmの吸光度変化を3〜5分間記録し、その直線部分から1分間あたりの吸光度変化を求める(ΔODTEST)。盲検は酵素の代わりに酵素を溶解しているバッファーを0.1ml加え、同様に1分間あたりの吸光度変化を求める(ΔODBLANK)。これらの値を用いて、下記の式よりAP活性を求める。
AP活性(U/ml)={(ΔODTEST−ΔODBLANK)×3.1}/{18.2×1.0×0.1}
3.1:AP溶液添加後の反応液量(ml)
18.2:上記測定条件における、p−ニトロフェノールのミリモル分子吸光係数(cm2/μmol)
1.0:光路長(cm)
0.1:酵素溶液の添加量(ml)
本発明に述べるタンパク質量は280nmの吸光度を測定することにより測定したものである。すなわち、280nmにおける吸光度が0.1〜1.0の範囲となるように酵素溶液を蒸留水で希釈し、蒸留水を用いてゼロ点補正を行った吸光度計を用いて280nmの吸光度(Abs)を測定する。本発明に述べるタンパク質濃度は、1Abs≒1mg/mlと近似し、吸光度の測定と測定した溶液の希釈倍率とを乗じた値で示したものである。また、本発明に述べる比活性とは、本測定方法によるタンパク質量として1mgあたりのAPの活性(U/mg)であり、この際のAP活性は、上記活性測定例に従って測定することにより得られる値である。
Shewanella chilikensis NBRC105217株を試験管中の5mlLB培地に植菌し、30℃で24時間振とう培養した。培養液を1.5ml容エッペンドルフチューブに入れ、冷却遠心機で12000rpm5分遠心し、上清を吸引除去することにより、菌体を得た。この菌体より、ゲノムDNA抽出キット(TOYOBO製、NPK−1)を用いて、該キットに添付のマニュアルに従ってゲノムDNAを取得した。このゲノムDNAを制限酵素BamHIもしくはBglIIで消化させ、DNA精製キット(TOYOBO製、NPK−6)を用いて精製し、制限酵素を除いた。このDNA断片を、BamHIで消化し精製したpBR322と混合し、混合液と等量のライゲーション液(TOYOBO製、LigationHigh)を加えて16℃で一晩インキュベートした。このライゲーション溶液を大腸菌JM109株コンピテントセル(TOYOBO製、コンピテントハイJM109)に添加し、ヒートショックによりプラスミドを形質転換することで、T3−3株のゲノムDNAライブラリーを作製した。50μg/mlのBCIPおよび100μg/mlのアンピシリンを含むLB寒天培地にこのライブラリーを植菌して30℃で培養し、形質転換コロニーを形成させた。形成されたコロニーをうち青色を呈したものを爪楊枝でつき、試験管中の5mlLB培地(100μg/mlのアンピシリンを含む)に植菌し、30℃で16時間振とう培養した。この培養液より、プラスミド抽出キット(TOYOBO製、NPK−3)を用いてNBRC105217株由来AP遺伝子を含むプラスミド(pLPP105217−1)を抽出、精製した。得られたプラスミドは、約6kbのインサートを有しており、この配列をシーケンス解析することにより、AP遺伝子全長およびその隣接領域の配列を決定した。決定されたAP遺伝子の塩基配列を配列番号1に、またこの塩基配列から推定されるアミノ酸配列を配列番号2に示す。
実施例1で取得したプラスミド(pLPP105217−1)を大腸菌C600株にエレクトロポレーションにより導入し、100μg/mlのアンピシリンを含むLB寒天培地に塗布、30℃で一晩培養することにより、形質転換コロニーを形成させた。この形質転換コロニーを500ml容坂口フラスコ中の60mlLB培地(100μg/mlのアンピシリンを含む)に一白金耳植菌し、30℃180rpmで一晩振とう培養した。この培養液全量を10L容ジャーファーメンター中の6L生産培地(1.2%ペプトン、2.4%酵母エキス、0.1%NaCl、0.1mM硫酸亜鉛、100μg/mlのアンピシリン、pH7.0)に全量投入し、通気量2L/分、攪拌380rpm、温度30℃で48時間攪拌通気培養した。これにより、203U/mlのAPを産生させた。
実施例3で得られた培養液を500ml容遠心管に分注し、高速冷却遠心装置で8000rpm30分遠心し、上清をデカントで除去することにより菌体を得た。菌体を1.5Lの20mMトリス塩酸バッファー(pH7.5)に懸濁し、フレンチプレス破砕機により圧力80MPaで破砕した。破砕液に5%(w/v)ポリエチレンイミンを対液1%添加し、生成した固形分を高速冷却遠心装置で8000rpm30分遠心により沈降させ除いた。この液に0.2飽和の硫酸アンモニウムを溶解させ、生じた固形分を高速冷却遠心装置で8000rpm30分遠心することにより除いた。さらに、終濃度0.6飽和となるように硫酸アンモニウムを追加して溶解させ、高速冷却遠心装置で8000rpm30分遠心し、デカントにより上清を除いてAPを含む沈殿を得た。この沈殿を90mlの20mMトリス塩酸バッファー(pH7.5、かつ1mMの塩化マグネシウムを含む)を加えて溶解させた。この溶液を20mMトリス塩酸バッファー(pH7.5、かつ1mMの塩化マグネシウムを含む)で緩衝化したG−25セファロースゲル(GEヘルスケア製)を用いて脱塩した。この液を、20mMトリス塩酸バッファー(pH7.5、かつ1mMの塩化マグネシウムを含む)で緩衝化したDEAEセファロースゲル(GEヘルスケア製)に吸着させ、同バッファーでNaCl濃度を0.5Mまで上昇させることによりグラジエント溶出を行った。AP活性を有する画分を集め、0.2飽和となるよう硫酸アンモニウムを溶解した。この溶液を20mMトリス塩酸バッファー(pH7.5、かつ0.2飽和の硫酸アンモニウムおよび1mMの塩化マグネシウムを含む)で緩衝化したPhenylセファロースゲル(GEヘルスケア製)にアプライ、同バッファーを通液しつづけて非吸着画分を回収し、同バッファーで硫酸アンモニウム濃度を0まで下げることによりグラジエント溶出した。APを含む画分をあつめ、20mMトリエタノールアミン(pH7.5、かつ0.3M塩化ナトリウム、1mMの塩化マグネシウムおよび0.1mMの硫酸亜鉛を含む)で緩衝化したSephadex200カラムでゲルろ過し、APを含む画分を集めた。このAP溶液について比活性を測定したところ、8010U/mgであった。
実施例4で作製したAPを50mMトリエタノールアミン、1mM 塩化マグネシウム、0.1mM 硫酸亜鉛(pH7.0)を用いて10μg/mLの濃度になるよう希釈した。この液を、60℃、65℃、70℃の各温度で1時間インキュベートし、インキュベート前後のAP活性を比較した。また、比較対象として、比活性6000U/mgのCIAPについても同様の処理を行った。各インキュベート温度と、インキュベート後の活性残存率を図3に示す。本発明のAPは、65℃においても80%以上の活性を維持していた。一方のCIAPは、60℃の処理で29%、65℃では2%の残存率であり、本発明のAPがCIAPに比して高い熱安定性を有していることが明らかとなった。
実施例4で作製したAPについて、それぞれ20mMトリス塩酸バッファー(pH7.5、1mM 塩化マグネシウムおよび0.1mM 硫酸亜鉛を含む)を用いて0.5U/mlもしくは0.1U/mlとなるよう希釈した。このAP希釈液を96ウエルのELISAプレートに5μLずつ分注した。ここに、発光基質としてAPS−5、ルミホス530(以上Lumigen社製)、CDP−star(Roche社製)のいずれかを50μL加え、マルチラベルプレートカウンター(パーキンエルマー社製、Wallac 1420 ARVO MX)を用いて発光強度を測定した。結果を表1に示す。本発明のAPは、汎用の発光基質に対して十分な反応性を有していることが確認された。
Claims (9)
- 下記(A)〜(C)のいずれかのポリペプチドからなるアルカリホスファターゼ。
(A)配列番号2に記載されるアミノ酸配列からなるポリペプチド。
(B)配列番号2に記載されるアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸残基を欠失、置換、挿入または付加させてなる配列からなり、アルカリホスファターゼ活性を有し、その比活性が5000U/mg以上であるポリペプチド。
(C)配列番号2に記載されるアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、アルカリホスファターゼ活性を有し、その比活性が5000U/mg以上であるポリペプチド。 - 下記(A)、(B)、(C)、(E)および(F)からなる群のうちいずれかで示されるDNA。
(A)配列番号1に記載される塩基配列からなるDNA。
(B)配列番号2に記載されるアミノ酸配列をコードするDNA。
(C)配列番号1に記載される塩基配列との同一性が90%以上である塩基配列からなり、且つ、アルカリホスファターゼ活性を有し、その比活性が5000U/mg以上であるポリペプチドをコードするDNA;
(E)配列番号1に記載される塩基配列において、1または数個の塩基を置換、欠失、挿入または付加されている塩基配列であり、アルカリホスファターゼ活性を有し、その比活性が5000U/mg以上であるポリペプチドをコードするDNA、
(F)配列番号2に記載されるアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入または付加したアミノ酸配列からなり、且つ、アルカリホスファターゼ活性を有し、その比活性が5000U/mg以上であるポリペプチドをコードするDNA。 - 請求項2に記載のDNAを組み込んだベクター。
- 請求項3に記載のベクターで宿主細胞が形質転換されている形質転換体。
- 宿主細胞が大腸菌である、請求項4に記載の形質転換体。
- 請求項1に記載のアルカリホスファターゼを産生する能力を有する微生物を培養し、得られる培養物からアルカリホスファターゼ活性を有するタンパク質を採取することを含む、アルカリホスファターゼの製造方法。
- 請求項1に記載のアルカリホスファターゼを産生する能力を有する微生物がシェワネラ(shewanella)属に由来する、請求項6に記載のアルカリホスファターゼの製造方法。
- 請求項1に記載のアルカリホスファターゼを産生する能力を有する微生物が、請求項4または5に記載の形質転換体である、請求項6に記載のアルカリホスファターゼの製造方法。
- 請求項1に記載のアルカリホスファターゼを標識してなるコンジュゲート。
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