JP5928549B2 - ハロオレフィン化合物の製造方法及び安定剤の除去方法 - Google Patents

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Description

本発明は、冷媒等に使用することができるフッ素基を含有するハロオレフィンの製造方法及び安定剤の除去方法に関する。
HFC−125(CFCHF)やHFC−134a(CFCHF)などの代替冷媒は、オゾン層を破壊するCFC、HCFCなどに替わる重要な物質として広く用いられている。しかしながら、これらは強力な温暖化物質であり、その拡散によって地球温暖化に影響を及ぼすことが懸念されている。その対策として使用後の回収が行われているが、すべてを回収できるわけではなく、漏洩などによる拡散も無視できない。COや炭化水素系物質による代替も検討されているが、CO冷媒は効率が悪く、機器が大きくなることから消費エネルギーを含めた総合的な温暖化ガス排出量の削減には課題が多く、炭化水素系物質はその燃焼性の高さから安全性の面で問題がある。
これらの問題を解決する物質として、温暖化係数の低いフッ素基含有のハロオレフィン化合物が注目されている。このようなフッ素基含有ハロオレフィン化合物として、例えば1233xf(CFCCl=CH)が知られている。この1233xfはそれ自身単独で、または他のヒドロフルオロカーボン(HFC)、ヒドロフルオロオレフィン(HFO)、ヒドロクロロフルオロオレフィン(HCFO)などとの混合物として、冷媒用途はもちろん、その他発泡剤、噴射剤、消火剤などへの応用が期待されている。また、1233xfは、HFO−1234yfといった冷媒などに応用が期待されている他のヒドロオレフィン化合物を製造するための原料、もしくはHCFC−244bbといった他のヒドロフルオロオレフィン前駆体を製造するための原料としても重要である。1233xfの製造方法としては種々知られているが、例えば、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン(240db)等を出発原料として用い、これにフッ化水素(HF)を触媒の存在下で反応させる方法が知られている。
また、例えば特許文献1では、触媒の存在下、1,1,2,3−テトラクロロプロペンとフッ化水素の反応によって1233xfおよび1,1,1,2−テトラフルオロプロペンを得るにあたり、1,1,2,3−テトラクロロプロペンに重合防止剤を添加する技術を開示している。このような重合防止剤を安定剤として添加することにより、触媒の寿命を延長させ、1233xfおよび1,1,1,2−テトラフルオロプロペンの製造効率を高めている。出発原料である1,1,2,3−テトラクロロプロペン等は、貯蔵中や反応中に分解や重合が起こって副生成物が生じる場合があり、この副生成物が触媒の表面に付着することで、触媒を失活させると考えられる。上記特許文献1の開示の技術では、重合防止剤を安定剤として使用することで、出発原料が貯蔵中や反応中に分解してラジカルや酸分等の活性中間体(以下、「ラジカル等」と記載することがある)が発生したとしても、そのラジカル等を安定剤により捕捉させている。これにより、上記出発原料の分解反応や重合反応が抑制されるので、触媒の寿命延長を可能としていると考えられる。
特表2011−525925号公報
しかしながら、上記のような1,1,2,3−テトラクロロプロペン等のハロゲン化炭化水素に含まれる安定剤が、フッ素化反応で使用する触媒の寿命におよぼす影響を検証したところ、安定剤が一定以上の量になると、安定剤自体が触媒の寿命を縮める原因になることが判明した。つまり、安定剤は確かにハロゲン化炭化水素の分解や重合反応を抑制する作用があるが、ハロゲン化炭化水素のフッ素化によりフッ素基含有ハロオレフィン化合物を得る場合には、安定剤は却って触媒を失活させる原因になることが判明したのである。また、通常、市販品のハロゲン化炭化水素には、分解や重合を防止するために安定剤が含まれていることが多いが、このような安定剤は上述のように、フッ素化反応における触媒を失活させる原因になるので、目的物の製造効率を低下させる原因となる問題がある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、フッ素基を含有するハロオレフィン化合物を製造する方法であって、触媒の失活を抑制しやすく、長時間の反応を続けても反応の転化率及び選択率の低下を抑制できるハロオレフィン化合物の製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、ハロオレフィン化合物を製造するための原料として用いられる炭素数が3のハロゲン化炭化水素中に含まれる安定剤を容易かつ効率的に除去できる方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、ハロゲン化炭化水素のフッ素化において、フッ素化する工程の前にハロゲン化炭化水素に含まれる安定剤を除去することにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記のハロオレフィン化合物の製造方法に関する。
1.炭素数が3のハロゲン化炭化水素をフッ素化する工程を経ることにより、フッ素基を含有するハロオレフィン化合物を製造する方法であって、
フッ素化する工程の前に炭素数が3のハロゲン化炭化水素に含まれる安定剤を除去する工程を有する、ハロオレフィン化合物の製造方法。
2.炭素数が3のハロゲン化炭化水素が、テトラクロロプロペン及びペンタクロロプロパンからなる群から選択される少なくとも1種を含む、上記項1に記載の製造方法。
3.前記テトラクロロプロペンが1,1,2,3−テトラクロロプロペン及び2,3,3,3−テトラクロロプロペンからなる群から選択される少なくとも1種を含み、前記ペンタクロロプロパンが1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン及び1,1,2,2,3−ペンタクロロプロパンからなる群から選択される少なくとも1種を含み、前記フッ素基を含有するハロオレフィン化合物が2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを含む、上記項2に記載の製造方法。
4.前記テトラクロロプロペンが1,1,3,3−テトラクロロプロペンを含み、前記ペンタクロロプロパンが1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパンを含み、前記フッ素基を含有するハロオレフィン化合物が1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを含む、上記項2に記載の製造方法。
5.安定剤が脂肪族不飽和炭化水素、水酸基を有する芳香族化合物、アミン化合物及びエポキシドからなる群より選択される少なくとも1種である、上記項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
6.安定剤を除去する工程により、炭素数が3のハロゲン化炭化水素に含まれる安定剤を100ppm以下に低減する、上記項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
7.安定剤を除去する工程により、炭素数が3のハロゲン化炭化水素に含まれる安定剤を50ppm以下に低減する、上記項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
8.安定剤を除去する工程により、炭素数が3のハロゲン化炭化水素に含まれる安定剤を10ppm以下に低減する、上記項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
9.安定剤を除去する工程は、安定剤と炭素数が3のハロゲン化炭化水素との沸点差を利用した蒸留操作を含む、上記項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法。
10.蒸留操作を、大気圧未満の減圧下で行う、上記項9に記載の製造方法。
11.蒸留操作とフッ素化を連続して行う、上記項9又は10に記載の製造方法。
12.安定剤と炭素数が3のハロゲン化炭化水素との大気圧における沸点差が10℃以上である、上記項9〜11のいずれか1項に記載の製造方法。
13.安定剤と炭素数が3のハロゲン化炭化水素との大気圧における沸点差が30℃以上である、上記項12に記載の製造方法。
14.炭素数が3のハロゲン化炭化水素に含まれる安定剤を蒸留によって除去する工程を有し、安定剤と炭素数が3のハロゲン化炭化水素との大気圧における沸点差が10℃以上である、安定剤の除去方法。
15.安定剤と炭素数が3のハロゲン化炭化水素との大気圧における沸点差が30℃以上である、上記項14に記載の方法。
16.炭素数が3のハロゲン化炭化水素が、テトラクロロプロペン及びペンタクロロプロパンからなる群から選択される少なくとも1種を含む、上記項14又は15に記載の方法。
17.前記テトラクロロプロペンが1,1,2,3−テトラクロロプロペン及び2,3,3,3−テトラクロロプロペンからなる群から選択される少なくとも1種を含み、前記ペンタクロロプロパンが1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン及び1,1,2,2,3−ペンタクロロプロパンからなる群から選択される少なくとも1種を含む、上記項16に記載の方法。
18.前記テトラクロロプロペンが1,1,3,3−テトラクロロプロペンを含み、前記ペンタクロロプロパンが1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパンを含む、上記項16に記載の方法。
19.安定剤が脂肪族不飽和炭化水素、水酸基を有する芳香族化合物、アミン化合物及びエポキシドからなる群より選択される少なくとも1種である、上記項14〜18のいずれか1項に記載の方法。
20.安定剤を除去する工程により、炭素数が3のハロゲン化炭化水素に含まれる安定剤を100ppm以下に低減する、上記項14〜19のいずれか1項に記載の方法。
21.安定剤を除去する工程により、炭素数が3のハロゲン化炭化水素に含まれる安定剤を50ppm以下に低減する、上記項14〜19のいずれか1項に記載の方法。
22.安定剤を除去する工程により、炭素数が3のハロゲン化炭化水素に含まれる安定剤を10ppm以下に低減する、上記項14〜19のいずれか1項に記載の方法。
本発明のハロオレフィン化合物の製造方法によれば、ハロゲン化炭化水素をフッ素化する工程の前に安定剤を除去する工程を有するので、ハロゲン化炭化水素に含まれる安定剤の量が低減される。これにより、ハロゲン化炭化水素のフッ素化反応において、安定剤による触媒の失活を抑制することができる。その結果、触媒の寿命が延びるので、長時間にわたって安定に反応を続けることができ、また、長時間反応を行ったとしても出発原料の転化率の低下や目的物であるハロオレフィン化合物の選択率の低下を防止することができ、製造効率を向上させることができる。
また、本発明の安定剤の除去方法によれば、炭素数が3のハロゲン化炭化水素に含まれる安定剤を、沸点差を利用した蒸留によって除去するので、安定剤の分離が容易であり、かつ、効率的に除去することが可能である。そのため、上記除去方法を利用すれば、上述のように上記ハロオレフィン化合物の製造における触媒の失活を抑制することができるので、ハロオレフィン化合物の製造効率を向上させることができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本実施形態のハロオレフィン化合物の製造方法では、炭素数が3のハロゲン化炭化水素をフッ素化する工程を経ることにより、フッ素基を含有するハロオレフィン化合物を製造する。特に、本実施形態のハロオレフィン化合物の製造方法では、炭素数が3のハロゲン化炭化水素をフッ素化する工程の前に、炭素数が3のハロゲン化炭化水素に含まれる安定剤を除去する工程を有する。
炭素数が3のハロゲン化炭化水素(以下、単に「ハロゲン化炭化水素」ということがある)は、ハロオレフィン化合物を製造するにあたっての出発原料である。
ハロゲン化炭化水素は、炭素数が3であって置換基として1以上のハロゲンを有する炭化水素である。より具体的には、ハロゲン置換されたプロパン又はハロゲン置換されたプロペンである。一般式で表すと、ハロゲン置換されたプロパンはC8−a、ハロゲン置換されたプロペンはC6−bとなる。ここで、Xはハロゲン原子、aは8未満の整数、bは6未満の整数を示している。置換基のハロゲンXとしては特に限定されず、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素の群から選択される少なくとも1種とすることができる。例えば、フッ素置換されたプロパン又プロペン、塩素置換されたプロパン又プロペンの他、フッ素及び塩素の両方を置換基として有するプロパン又プロペンが挙げられる。ハロゲン化炭化水素における置換基のハロゲンの個数は特に制限されない。
上記ハロゲン化炭化水素は、テトラクロロプロペン及びペンタクロロプロパンからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
テトラクロロプロペンの構造は特に制限はないが、中でも1,1,2,3−テトラクロロプロペン(以下、「1230xa」と略記する)、2,3,3,3−テトラクロロプロペン(以下、「1230xf」と略記する)、1,1,3,3−テトラクロプロペン(以下、「1230za」と略記する)が好ましい。
ペンタクロロプロパンの構造は特に制限はないが、中でも1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン(以下、「240db」と略記する)、1,1,2,2,3−ペンタクロロプロパン(以下、「240aa」と略記する)、1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン(以下、「240fa」と略記する)が好ましい。
ハロゲン化炭化水素は、1種のみの化合物で構成されていてもよいし、2種以上の化合物を含んで構成されていてもよい。なお、出発原料には、本発明の効果が阻害されない程度であれば、ハロゲン化炭化水素以外の化合物が含まれていてもよい。ハロゲン化炭化水素以外の化合物としては、例えば、ハロゲン置換されていない炭素数が3の炭化水素や炭素数が3以外のハロゲン化炭化水素が例示される。
フッ素基を含有するハロオレフィン化合物は、上記ハロゲン化炭化水素のフッ素化によって得られる生成物であるので、フッ素基を含有するハロオレフィン化合物の炭素数も3である。よって、フッ素基を含有するハロオレフィン化合物は、少なくとも置換基としてフッ素基を有するハロゲン化プロペンである。
例えば、出発原料であるハロゲン化炭化水素として、1230xa、1230xf、240db及び240aaの群から選択されるいずれか1種又は2種以上を混合して使用した場合は、生成するフッ素基を含有するハロオレフィン化合物は、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(以下、「1233xf」と略記する)が主成分となる。
また、出発原料であるハロゲン化炭化水素として、1230za及び240faの群から選択されるいずれか1種又は2種を混合して使用した場合は、生成するフッ素基を含有するハロオレフィン化合物は、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(以下、「1233zd」と略記する)が主成分となる。
フッ素基を含有するハロオレフィン化合物としては、その他の化合物であってもよく、使用する出発原料の種類によっては、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(以下、「1234yf」と略記する)や1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(以下、「1234ze」と略記する)が主成分となり得る。
本実施形態の製造方法では、出発原料のハロゲン化炭化水素をフッ素化する前に、ハロゲン化炭化水素に含まれる安定剤を除去する工程を有する。この除去工程によって、ハロゲン化炭化水素に含まれる安定剤の量が低減される。以下、この安定剤を除去する工程を単に「除去工程」ということがある。
ここでいう安定剤とは、ハロゲン化炭化水素の分解や重合反応を抑制するために添加されている物質のことをいう。一般的に、ハロゲン化炭化水素は、分解しやすい化合物であるが、分解が起こることによりラジカル等の活性中間体が生成するので、時間の経過と共にハロゲン化炭化水素どうしの重合反応が起こることがある。しかし、ハロゲン化炭化水素中に上記の安定剤が存在すると、この安定剤の作用により、分解を起こしにくくしたり、分解により発生したラジカル等を捕捉したりすることができる。これにより、ハロゲン化炭化水素の分解や重合反応が抑制される。したがって、ここでいう安定剤とは詳しく言えば、ハロゲン化炭化水素の分解を抑制することが可能な物質や、ハロゲン化炭化水素の分解により生じるラジカル等を捕捉できる性質を有する物質のことをいう。このような安定剤は「インヒビター」と称されることもある。
通常は市販されているハロゲン化炭化水素、例えば上述したテトラクロロプロペンやペンタクロロプロパン中には上記のような安定剤が含まれている。
除去工程において除去対象とする安定剤としては、アミレン(あるいは、1−ペンテンともいう)、d−リモネン、l−リモネン等の分子内に二重結合を有する脂肪族不飽和炭化水素が好ましい。この脂肪族不飽和炭化水素は、環式又は非環式のいずれの化合物であってもよい。その他、安定剤としては、ブチルヒドロキシトルエン(BHT、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールともいう)、4−tert−アミルフェノール、ヒドロキシアニソールブチレート、4−メトキシフェノール、ヒドロキノン等の水酸基を有する芳香族化合物、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミンなどのアミン化合物、エポキシド等を使用することも好ましい。アミン化合物は、モルホリン等の環式アミン化合物であってもよい。上記例示列挙した安定剤が複数含まれている場合は、そのうちの少なくとも1種を除去対象とすることが好ましく、全ての種類を除去対象とすることが好ましい。
上記例示列挙した安定剤では、二重結合π電子、アミノ基の窒素原子の非共有電子対及び水酸基の酸素原子の非共有電子対のいずれかを有している。これらはいずれも電子供与性であるため、フッ素化の反応に用いる酸性の触媒に対し強く吸着すると考えられる。そのため、これらの安定剤は触媒の劣化を特に促進させやすい物質であるといえる。このような観点から、上記安定剤をハロゲン化炭化水素から除去することが特に好ましいのである。特に、アミレン(1−ペンテン)、d−リモネン、l−リモネン等の分子内に二重結合を有する脂肪族不飽和炭化水素は、触媒を失活させやすいので、このような安定剤は特に除去してその量を低減させることが好ましい。
上記除去工程で安定剤を除去する方法は特に制限されず、安定剤とハロゲン化炭化水素との物性の違いを利用して分離手段を採用することができる。
例えば、安定剤とハロゲン化炭化水素の融点差や沸点差を利用して安定剤を除去する方法や、固体吸着材を用いて安定剤を除去する方法が例示される。安定剤が固体であれば、安定剤の融点以上に加熱して安定剤を液体にし、その後、蒸留操作によって安定剤を除去するか、安定剤以外の物質を蒸留によって除去する方法を採用できる。安定剤が液体であれば、安定剤を蒸留操作で除去する方法でもよいし、固体吸着材に安定剤を吸着させて分離する方法でもよい。
特に、安定剤とハロゲン化炭化水素との沸点の差を利用した蒸留操作によって安定剤除去することが好ましく、この場合、安定剤の除去が容易であり、所望の量になるまで除去することができる。蒸留するにあたっての蒸留塔内の圧力は、常圧、減圧、加圧いずれでもよいが、大気圧未満の減圧下で行えば、加熱温度を低くすることができ、安定剤の除去も効率よく行うことができる。
蒸留操作での分離は、連続式、バッチ式のいずれもおこなうことが可能である。特に連続式の蒸留操作は、他の分離方法、例えば定期的な固体吸着材の交換や再生の必要な固体吸着材に安定剤を吸着させて分離する方法と比べ、長期間連続運転ができることが長所である。
また、蒸留操作によって安定剤を除去する場合、ハロゲン化炭化水素と安定剤の沸点差が小さいと、蒸留操作でハロゲン化炭化水素と安定剤を分離するためには蒸留段数が必要となって蒸留塔サイズが大きくなる。その結果、スチルの加熱量をさらに増やす必要が生じる可能性がある。このように加熱量が多すぎるとハロゲン化炭化水素などの分解を促進してしまうおそれがある。本実施形態で使用する炭素数が3であるハロゲン化炭化水素は比較的高沸点であることから、炭素数が2以下のハロゲン化炭化水素の蒸留操作と比べて、基本的に大きな加熱量が必要となるので、分離する安定剤との沸点差を大きくし、加熱量をできる限り減らすことが好ましい。
このような観点から、ハロゲン化炭化水素と安定剤との組み合わせとして、ハロゲン化炭化水素と安定剤との大気圧における沸点の差が10℃以上であることが好ましく、30℃以上あることがより好ましい。
上記好ましい組み合わせの具体例としては、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンとアミレン、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンとトリエチルアミン、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンとジエチルアミン、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンとジエチルアミンとモルホリン、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンとブチルヒドロキシトルエン(BHT、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールともいう)、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンと4−メトキシフェノール、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンとヒドロキノン、1,1,2,3−テトラクロロプロペンとアミレン、1,1,2,3−テトラクロロプロペンとトリエチルアミン、1,1,2,3−テトラクロロプロペンとジエチルアミン、1,1,2,3−テトラクロロプロペンとモルホリン、1,1,2,3−テトラクロロプロペンとブチルヒドロキシトルエン(BHT、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールともいう)、1,1,2,3−テトラクロロプロペンと4−メトキシフェノール、1,1,2,3−テトラクロロプロペンとヒドロキノン、1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパンとアミレン、1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパンとトリエチルアミン、1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパンとジエチルアミン、1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパンとモルホリン、1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパンとブチルヒドロキシトルエン(BHT、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールともいう)、1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパンと4−メトキシフェノール、1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパンとヒドロキノンの組み合わせが挙げられる。
上記のようにハロゲン化炭化水素と安定剤との大気圧における沸点の差が大きくなるような組み合わせ(好ましくは10℃以上、より好ましくは30℃以上)を採用することで、蒸留操作による分離効率が高まる。これにより、蒸留操作によるハロゲン化炭化水素の分解を最小限に抑えることができる。
連続式の蒸留操作を採用する場合は、例えば、蒸留塔の中段に安定剤を含む出発原料を供給し、安定剤が原料より低沸点であれば塔頂から、原料より高沸点であれば塔底から分離された安定剤を抜き出せばよい。一方、出発原料は、塔頂より安定剤を抜き出した場合は塔底から、塔底より安定剤を抜き出した場合は塔頂から連続的に抜き出すことができる。このように蒸留塔から抜き出された出発原料は、蒸留前よりも安定剤の濃度が低減されている。その後、抜き出された出発原料は、フッ素化反応が行われる反応器へ直接供給させることにより、上記蒸留操作とフッ素化反応を連続式で行うようにしてもよい。あるいは、蒸留塔から抜き出された出発原料を一時的にリザーバータンクなどに貯蔵した後、フッ素化反応が行われる反応器へ供給させるバッチ式で行ってもよい。蒸留操作を連続式とすることで、運転効率を向上させることができ、この場合、安定剤が除去されたハロゲン化炭化水素の分解や重合を抑止できるという利点もある。
上記除去工程によって、例えば、ハロゲン化炭化水素に含まれる安定剤の量が、ハロゲン化炭化水素の全量に対して100ppm以下に低減され得る。これにより、ハロゲン化炭化水素をフッ素化反応の原料として使用した場合に、フッ素化反応で使用する触媒の失活を従来よりも抑制することができる。すなわち、安定剤の量が除去工程により低減されることで、安定剤の触媒への吸着が防止されやすくなり、触媒の失活が抑制される。
一般的に、ハロゲン化炭化水素は、貯蔵安定性を維持するという観点では安定剤の添加量は多い方が好ましく、最大2wt%程度まで安定剤が含まれていることが好ましいと考えられている。しかし、フッ素化反応では、場合によっては50ppm以上含まれているだけで、当該反応で使用する触媒の寿命を縮める原因になりやすいこともある。この観点から、上記除去工程によって、ハロゲン化炭化水素に含まれる安定剤は、ハロゲン化炭化水素の全量に対して50ppm以下に低減することがより好ましく、10ppm以下に低減することが特に好ましい。安定剤は、例えばガスクロマトグラフ(GC)測定において検出限界以下になるまで低減されてもよい。
除去工程を経た後、安定剤の量を低減させたハロゲン化炭化水素を触媒及びフッ素化剤を用いて当該ハロゲン化炭化水素のフッ素化の反応を行う。
フッ素化剤はフッ化水素(HF)であることが好ましい。また、触媒も特に限定されず、従来、ハロゲン化炭化水素のフッ素化反応で使用されている触媒を採用することができる。例えば、触媒は、従来からこの反応に使用されている公知の材料を使用することができ、その種類は特に限定されない。例えば、遷移金属、14族元素、15族元素などのハロゲン化物、酸化物などが例示される。フッ素化反応を行うにあたっては、触媒はあらかじめ反応器に充填しておけばよい。
フッ素化剤は、通常、ペンタクロロプロパン及びテトラクロロプロペン1モルに対して、1〜100モル程度とすることが適当であり、5〜50モル程度とすることができる。
フッ素化剤や、ペンタクロロプロパン及びテトラクロロプロペンを反応器に供給するにあたっては、窒素、ヘリウム、アルゴン等の原料や触媒に対して不活性なガスを共存させてもよい。なお、出発原料を反応器に供給するにあたっては、酸素や塩素などの酸化剤を同伴させてもよい。
反応器としては、管型反応器が好ましく、また、触媒との接触方式としては、固定層型が好ましい。反応器は、フッ化水素の腐食作用に抵抗性がある材料によって構成されるものが好ましい。
反応は気相反応で行うことが好ましく、この場合、安定剤を低減させた効果が特に大きく発揮される。反応形態等に特に制限はない。
フッ素化反応の反応温度は特に限定的ではなく、通常、200℃〜550℃程度とすることができる。フッ素化反応の圧力も特に限定的ではなく、減圧、常圧又は加圧下にて反応を行うことができる。通常は、大気圧(0.1MPa)近傍の圧力下で実施すればよいが、0.1MPa未満の減圧下においても円滑に反応を進行させることができる。更に、原料が液化しない程度の加圧下で反応を行っても良い。
反応時間については限定的ではないが、触媒を用いる際は、例えば、反応系に流すガス成分の全流量F0(0℃、0.1MPaでの流量:cc/sec)に対する触媒の充填量W(g)の比率:W/Fで表される接触時間を0.1〜90g・sec/cc程度とすることが好ましく、1〜50g・sec/cc程度とすることがより好ましい。触媒を用いない際は、例えば、反応系に流すガス成分の全流量F0(0℃、0.1MPaでの流量:cc/sec)に対する反応器の容積V(cc)の比率:V/Fで表される接触時間を0.1〜100sec程度とすることが好ましく、1〜30sec程度とすることがより好ましい。尚、この場合のガス成分の全流量とは、原料、フッ化水素及び塩化水素の合計流量に、更に、不活性ガス、酸素などを用いる場合には、これらの流量を加えた合計流量である。
本実施形態の製造方法では、炭素数が3のハロゲン化炭化水素のフッ素化反応を行う工程の前に、該ハロゲン化炭化水素に含まれる安定剤の量を低減させる工程を有することで、フッ素化反応で使用する触媒の失活を抑制することができる。そのため、フッ素化反応を連続して行った場合に、長時間経過しても触媒の失活が起こりにくいのでフッ素化反応を安定して続けることができる。すなわち、長時間にわたって反応を行ったとしても、出発原料の転化率の低下や目的物であるハロオレフィン化合物の選択率の低下が起こりにくく、製造効率を向上させることができる。
本発明の他の実施形態は、安定剤の除去方法である。この安定剤の除去方法では、炭素数が3のハロゲン化炭化水素に含まれる安定剤を蒸留によって除去する工程を有し、安定剤と炭素数が3のハロゲン化炭化水素との大気圧における沸点差が10℃以上である構成を具備する。
上記除去方法では、炭素数が3のハロゲン化炭化水素と安定剤との沸点差を利用するものであるので、安定剤の除去を容易に行うことができ、しかも、安定剤の除去をより確実に行うことができる。よって、本実施形態の安定剤の除去方法によれば、ハロオレフィン化合物の製造で用いる原料となる炭素数が3のハロゲン化炭化水素を精製するのに適している。そして、炭素数が3のハロゲン化炭化水素に含まれる安定剤の量が低減されるので、ハロオレフィン化合物の製造における触媒の失活を抑制することができ、結果としてハロオレフィン化合物の製造効率を向上させることができる。
安定剤と炭素数が3のハロゲン化炭化水素との大気圧における沸点差は30℃以上であることが好ましく、この場合、安定剤の量をさらに低減することができる。その他、上記安定剤の除去方法にあっても、炭素数が3のハロゲン化炭化水素の種類や好ましい形態、安定剤の種類や好ましい形態、除去後の安定剤の含有量の好ましい範囲等については、上述の製造方法の場合と同様である。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の態様に限定されるものではない。
(実施例1)
以下のように、炭素数が3のハロゲン化炭化水素である1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン(以下「240db」と略記する)中に安定剤として含まれているアミレンを蒸留により除去し、この安定剤を除去した240dbを用いて2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233xf)を製造した。
まず、240db(CClCHClCHCl)に対して、アミレンを1200ppm含む出発原料を準備した。ここで、アミレンは、240dbの分解のインヒビターとして添加された安定剤である。この出発原料に含まれる安定剤の量を、蒸留による除去工程によって低減させた。具体的には、上記出発原料400gを蒸留塔の500ml容量スチルに仕込み、蒸留塔内の気圧を30mmHgに減圧した後、該スチルを加熱して蒸留を行った。加熱によって塔頂の温度が90〜92℃となったところで、アミレンを含む前留を5g分離した後、留出が停止するまで240dbを回収した。回収した240dbは360g、回収率90%で、ガスクロマトグラフ(GC)による分析の結果、アミレンの含有量は10ppm以下であった。
上記除去工程で安定剤を低減した240dbを用いて、次のように気相でフッ素化反応を行った。まず、酸化クロム触媒10.0gを長さ1mの管状ハステロイ製反応器に充填した。この反応管を加熱し、フッ化水素ガスを用いて触媒をフッ素化した。
次に反応管の温度を300℃に昇温し、無水フッ化水素ガスを60.0Nml/分の流速で反応器に供給して0.5時間維持した。その後、240dbのガスを3.0Nml/分の流速で供給した。約10時間後以降、反応器からの流出ガスを、ガスクロマトグラフ(GC)を使用して原料である240dbの転化率と、生成したフッ素基を含有するハロオレフィン化合物である1233xfの選択率を分析した。その結果、反応開始から10時間後において240dbの転化率が100%、1233xfの選択が率98%であった。さらに、反応開始から80時間後においても、240dbの転化率が100%、1233xfの選択率が98%を維持していることがわかった。
(実施例2)
以下のように、240db中に安定剤として含まれているブチルヒドロキシトルエン(以下、「BHT」と略記する)を蒸留により除去し、この安定剤を除去した240dbを用いて1233xfを製造した。
まず、240dbに対して、BHTを1200ppm含む出発原料を準備した。ここで、BHTは、240dbの分解のインヒビターとして添加された安定剤である。この出発原料に含まれる安定剤の量を、蒸留による除去工程によって低減させた。具体的には、上記出発原料400gを蒸留塔の500ml容量スチルに仕込み、蒸留塔内の気圧を30mmHgに減圧した後、該スチルを加熱して蒸留を行った。加熱によって塔頂の温度が90〜92℃となったところで、留出が停止するまで240dbを回収した。回収した240dbは355g、回収率89%で、ガスクロマトグラフ(GC)による分析の結果、BHTの含有量は10ppm以下であった。
上記除去工程で安定剤を低減した240dbを用いて、実施例1と同様の方法で気相フッ素化反応を行い、240dbの転化率と、生成した1233xfの選択率を分析した。その結果、反応開始から10時間後において240dbの転化率が100%、1233xfの選択が率98%であった。さらに、反応開始から80時間後においても、240dbの転化率が100%、1233xfの選択率が98%を維持していることがわかった。
(実施例3)
240db中に安定剤として含まれているアミレンの量を除去工程により50ppmまで低減させ、この240dbを用いて、実施例1と同様の方法で気相フッ素化反応を行い、240dbの転化率と、生成した1233xfの選択率を分析した。その結果、反応開始から10時間後において240dbの転化率が100%、1233xfの選択が率98%であった。さらに、反応開始から80時間後においても、240dbの転化率が99%、1233xfの選択率が91%であった。
(比較例1)
アミレンの含有量が200ppm以下である240dbを準備し、この240dbを用いて実施例1の除去工程を行わずに気相フッ素化反応を実施例1と同様の方法で行い、240dbの転化率と、生成した1233xfの選択率を分析した。その結果、反応開始から10時間後において240dbの転化率が100%、1233xfの選択が率98%であった。さらに、反応開始から80時間後においても、240dbの転化率が94%、1233xfの選択率が84%まで低下した。
(比較例2)
除去工程を行わずに、1200ppmのアミレンを含む240dbを用いて、実施例1と同様の方法で気相フッ素化反応を行い、240dbの転化率と、生成した1233xfの選択率を分析した。その結果、240dbの転化率と1233xfの選択率は、比較例1より速やかに低下するものであった。
上記の実施例1〜3の製造方法では、除去工程によって炭素数が3のハロゲン化炭化水素中に含まれる安定剤の量を低減させてフッ素化反応を行ったため、長時間の反応を行っても240dbの転化率及び1233xfの選択率は高い状態を維持していた。特に、安定剤の量が少ないほど、転化率及び選択率はより高い状態を維持できていることがわかった。一方、比較例1,2のように安定剤の除去工程を行わずに、安定剤の含有量が多い状態でフッ素化反応を行った場合では、反応時間の経過と共に240dbの転化率及び1233xfの選択率の大きな低下が見られた。
以上の結果から除去工程によって安定剤の量を低減させると、安定剤による触媒の失活が抑制され、その結果、フッ素化反応を長時間継続しても、高い転化率と選択率を維持できることが明らかである。

Claims (18)

  1. 炭素数が3のハロゲン化炭化水素をフッ素化する工程を経ることにより、フッ素基を含有するハロオレフィン化合物を製造する方法であって、
    炭素数が3のハロゲン化炭化水素が、テトラクロロプロペン及びペンタクロロプロパンからなる群から選択される少なくとも1種を含み、
    フッ素化する工程の前に炭素数が3のハロゲン化炭化水素に含まれる安定剤を除去する工程を有し、
    安定剤が分子内に二重結合を有する脂肪族不飽和炭化水素、水酸基を有する芳香族化合物、アミン化合物及びエポキシドからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
    安定剤は炭素数が3のハロゲン化炭化水素のフッ素化反応に用いる触媒の劣化に影響をおよぼす量含まれている、ハロオレフィン化合物の製造方法。
  2. 前記テトラクロロプロペンが1,1,2,3−テトラクロロプロペン及び2,3,3,3−テトラクロロプロペンからなる群から選択される少なくとも1種を含み、前記ペンタクロロプロパンが1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン及び1,1,2,2,3−ペンタクロロプロパンからなる群から選択される少なくとも1種を含み、前記フッ素基を含有するハロオレフィン化合物が2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを含む、請求項に記載の製造方法。
  3. 前記テトラクロロプロペンが1,1,3,3−テトラクロロプロペンを含み、前記ペンタクロロプロパンが1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパンを含み、前記フッ素基を含有するハロオレフィン化合物が1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを含む、請求項に記載の製造方法。
  4. 安定剤を除去する工程により、炭素数が3のハロゲン化炭化水素に含まれる安定剤を100ppm以下に低減する、請求項1〜のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 安定剤を除去する工程により、炭素数が3のハロゲン化炭化水素に含まれる安定剤を50ppm以下に低減する、請求項1〜のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 安定剤を除去する工程により、炭素数が3のハロゲン化炭化水素に含まれる安定剤を10ppm以下に低減する、請求項1〜のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 安定剤を除去する工程は、安定剤と炭素数が3のハロゲン化炭化水素との沸点差を利用した蒸留操作を含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の製造方法。
  8. 蒸留操作を、大気圧未満の減圧下で行う、請求項に記載の製造方法。
  9. 蒸留操作とフッ素化を連続して行う、請求項又はに記載の製造方法。
  10. 安定剤と炭素数が3のハロゲン化炭化水素との大気圧における沸点差が10℃以上である、請求項のいずれか1項に記載の製造方法。
  11. 安定剤と炭素数が3のハロゲン化炭化水素との大気圧における沸点差が30℃以上である、請求項10に記載の製造方法。
  12. 炭素数が3のハロゲン化炭化水素に含まれる安定剤を蒸留によって除去する工程を有し、安定剤と炭素数が3のハロゲン化炭化水素との大気圧における沸点差が10℃以上であり、
    炭素数が3のハロゲン化炭化水素が、テトラクロロプロペン及びペンタクロロプロパンからなる群から選択される少なくとも1種を含み、
    安定剤が分子内に二重結合を有する脂肪族不飽和炭化水素、水酸基を有する芳香族化合物、アミン化合物及びエポキシドからなる群より選ばれる少なくとも1種である、安定剤の除去方法。
  13. 安定剤と炭素数が3のハロゲン化炭化水素との大気圧における沸点差が30℃以上である、請求項12に記載の方法。
  14. 前記テトラクロロプロペンが1,1,2,3−テトラクロロプロペン及び2,3,3,3−テトラクロロプロペンからなる群から選択される少なくとも1種を含み、前記ペンタクロロプロパンが1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン及び1,1,2,2,3−ペンタクロロプロパンからなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項12又は13に記載の方法。
  15. 前記テトラクロロプロペンが1,1,3,3−テトラクロロプロペンを含み、前記ペンタクロロプロパンが1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパンを含む、請求項12又は13に記載の方法。
  16. 安定剤を除去する工程により、炭素数が3のハロゲン化炭化水素に含まれる安定剤を100ppm以下に低減する、請求項12〜15のいずれか1項に記載の方法。
  17. 安定剤を除去する工程により、炭素数が3のハロゲン化炭化水素に含まれる安定剤を50ppm以下に低減する、請求項12〜15のいずれか1項に記載の方法。
  18. 安定剤を除去する工程により、炭素数が3のハロゲン化炭化水素に含まれる安定剤を10ppm以下に低減する、請求項12〜15のいずれか1項に記載の方法。
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