JP5928029B2 - 導電膜および積層体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、導電性を有する粒子により導電性が発現する膜およびその製造方法に関する。このような導電膜は電気配線、電極機能および/または電磁波シールドに用いることができ、タッチパネル、液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、プラズマディスプレイ、太陽電池等で使用される。
導電膜は電気配線、電極機能および/または電磁波シールドに用いられる。さらにこれらが光学的に用いられる場合、導電性と透明性(透光性)とが同時求められる。このような透明導電機能を達成するために、通常用いられる方法としては、導電性および透明性のある材料(透明導電材料)を用いる方法、それ自体に透明性が無いが導電性がある材料(不透明導電材料)を実質上視認できない程度の細線とする方法、同じく不透明導電材料を光の波長より小さい大きさ、太さ、厚みとして、透光性を付与する方法が考えられる。
特開平6−275130号公報 特開2005−306992号公報 特開2010−34027号公報
しかし、現状ではどのような方法においても若干の透明性の劣化が発生する。特に高導電性が必要な場合、導電材料の量を増やす必要があり、透明性の劣化が顕著となる。また、導電材料の量を増やした場合、膜の強度や靭性、耐久性が劣ることがある。さらに、このような材料および膜は材料が希少であったり作製方法が煩雑になることが多く高価である。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、導電材料の量を増やすことなく優れた導電性を有する導電膜およびその製造方法ならびに積層体、電子デバイス、タッチパネルを提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、導電材料に導電性粒子を用いた場合、膜中での粒子の配向性を高めることにより上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成させた。
上記の課題に鑑み、本発明の導電膜の製造方法は、前記導電性粒子を揮発性媒体中に分散させて分散液を調製し、前記分散液を支持体上に塗布して塗膜を形成し、乾燥させる工程を有し、前記工程にて、前記塗膜を一軸延伸して前記塗膜内の少なくとも一部の前記導電性粒子を前記膜表面に対して略同一方向に配向させる配向処理を行うことを特徴とする。
従来の導電性粒子を用いた導電膜の場合、粒子は概ねランダムに分散されるか、無作為的に凝集された状態となる。本発明の導電性粒子が配向した導電膜および導電膜の製造方法によれば、配向方向への導電性が向上するため、従来の膜と比較すると、同一量の導電性粒子を用いた場合であっても導電性が向上する、また、導電性粒子が配向した導電膜は導電粒子の量が少なくても従来と同一の導電性を持った膜と成り得る。
本発明の実施形態を示すものであり、透明導電層の構成を示す上面図
以下に、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明の導電性粒子はどのような粒子でも構わない。
代表的な導電性材料としては、Ni、Co、Cr、Mo、Cu、Au、Ag、Pd、Pt等の金属や合金。ZnO、ITO、ATO等の金属酸化物。PEDOT、ポリアニリン等の導電ポリマー。カーボンナノチューブ、グラフェン、グラファイト、カーボンブラック等の炭素材料があげられる。また、導電粒子の形状としては、球形、楕円球、ファイバー状等が上げられるが、配向性を発現しやすい楕円球やファイバー状の粒子が適当である。
本発明においては、前記膜内の少なくとも一方の表面近傍に位置した粒子が、該膜表面に対して略平行(膜の厚さ方向に対して略垂直)に配向(以下、「面配向」ということがある。)している必要がある。以下では、膜内の、粒子が面配向している部分を配向領域ということがある。
該膜内の少なくとも一部が配向領域となっていればよく、該膜内に、面配向していない非配向領域を有してもよい。たとえば膜の表面近傍のみが配向領域となっており、支持体近傍が非配向領域となっていてもよい。また、膜の表面近傍のみが非配向領域となっており、支持体近傍が配向領域となっていてもよい。また、膜内全てが配向領域となっていてもよい。
前記配向領域内の粒子は、前記効果が得られる範囲内であれば、膜表面に対して完全に平行に配向している必要はなく、わずかに傾斜していてもよい。この場合の傾斜角度(軸方向と膜表面とがなす角度)は、劣角(小さい方の角度)として、60度以内が好ましく、30度以内がより好ましい。該傾斜角度が小さいほど(面配向度が高いほど)、上記効果が向上する。
該傾斜角度は、表面や断面を走査型電子顕微鏡等により観察することにより確認できる。配向領域における面配向度は一様であってもなくてもよい。たとえば膜の厚さ方向で、面配向度が変化していてもよい。
前記配向領域内の粒子は、略同一方向に配向(一軸配向)していてもよく、していなくてもよい。本発明の効果に優れることから、一軸配向していることが好ましい。
粒子を一軸配向させると、該膜が偏光性を有するものとなり、偏光板等の光学用途に利用できる。
なお、このとき、必ずしも配向領域内の全粒子が同一方向に配向している必要はなく、配向方向がずれているものがあってもよい。この場合、主たる配向方向(たとえば後述する一軸延伸により配向させる場合はその延伸方向)とのずれは、60度以内が好ましく、30度以内がより好ましい。該配向方向のずれが小さいほど(一軸配向度が高いほど)、上記効果が向上する。
前記膜は、粒子を分散媒体中に分散させて分散液(以下、粒子分散液ということがある。)を調製し、該分散液を支持体上の少なくとも一方の面に塗布して塗膜を形成し、固化させる工程を行うことにより成膜される。不揮発性の媒体を用いた場合は媒体に硬化性を持たせたほうがよい、硬化は熱や電離放射線等で適宜行われる。また、揮発性の溶媒を分散媒体として用いる場合は溶媒を揮発除去する工程を含む。溶媒としては水、有機溶媒または水と有機溶媒との混合溶媒が挙げられる。有機溶媒としては、アルコール類、エーテル類、ケトン類、有機酸エステル類、炭化水素類等が挙げられる。
また、該工程にて、該塗膜の粒子を面配向させる配向処理を行うことも可能である。必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、他の成分を含有してもよい。該他の成分としては、特に限定されず、当該膜の用途等に応じて、公知の添加剤のなかから適宜選択できる。具体的には、アルコキシシラン等の有機金属化合物またはその加水分解物、無機層状化合物、無機針状鉱物、分散剤、レベリング剤、消泡剤、高分子、硬化性モノマー、無機系粒子、有機系粒子、潤滑剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、安定剤、磁性粉、配向促進剤、可塑剤、架橋剤、赤外線吸収剤、撥水剤、密着性向上剤などを使用でき、それにより、形成される層自体に機能を持たせたり、また、耐久性を向上させたりすることができる。これらのうち、無機層状化合物は、導電性材料とともに配向することで、膜の面配向を促進することがあるため好ましい。
無機層状化合物とは、層状構造を有する結晶性の無機化合物をいい、無機層状化合物である限り、その種類、粒径、アスペクト比等は特に限定されず、使用目的等に応じて適宜選択することができる。
無機層状化合物として具体的には、たとえば、カオリナイト族、スメクタイト族、マイカ族等に代表される粘土鉱物が挙げられる。これらのうち、スメクタイト族の無機層状化合物として、モンモリロナイト、ヘクトライト、サポナイト等が挙げられる。これらの中
でも、組成物中での分散安定性、組成物の塗布性等の点から、モンモリロナイトが好ましい。
無機層状化合物は、分散液に直接配合してもよく、媒体に分散させてから配合してもよい。
塗液には、いわゆるハジキ、ムラなどの塗膜欠陥の発生を防止するために、表面調整剤と呼ばれる添加剤を加えても良い。表面調整剤は、その働きに応じて、レベリング剤、消泡剤、界面張力調整剤、表面張力調整剤とも呼ばれるが、いずれも形成される塗膜の表面張力を一定にする働きや低下させる働きを備える。
表面調整剤として通常用いられる添加剤としては、シリコーン系添加剤、フッ素系添加剤、アクリル系添加剤等が挙げられる。シリコーン系添加剤にあっては、ポリジメチルシロキサンを基本構造とする誘導体であり、ポリジメチルシロキサン構造の側鎖を変性したものが用いられる。例えば、ポリエーテル変性ジメチルシロキサンがシリコーン添加剤として用いられる。また、フッ素系添加剤としては、パーフルオロアルキル基を備える化合物が用いられる
前記粒子分散液の塗布方法は特に限定されず、コーティング法、キャスト法等の公知の方法が利用できる。コーティング法としては、ディップコーティング法、スピンコーティング法、フローコーティング法、スプレーコーティング法、ロールコーティング法、グラビアロールコーティング法、エアドクターコーティング法、プレードコーティング法、ワイヤードクターコーティング法、ナイフコーティング法、リバースコーティング法、トランスファロールコーティング法、バーコーティング法、マイクログラビアコーティング法、キスコーティング法、キャストコーティング法、スロットオリフィスコーティング法、カレンダーコーティング法、ダイコーティング法等を用いることができる。
塗膜の乾燥温度は、塗膜中の媒体を除去できればよく、特に限定されない。なお、乾燥手段としては加熱、送風、熱風などが例示される。また、自然乾燥により溶媒を除去することも可能である。層形成材料に熱硬化性を持たせた場合は、上記溶媒除去と同時あるいは続いて硬化のための熱を加える、及び/または別途、後工程で熱を加えることにより硬化させることができる。
層形成材料に電離放射線硬化性を持たせた場合は、電離放射線として紫外線、電子線を用いることができる。紫外線硬化の場合は、高圧水銀灯、低圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク、キセノンアーク等の光源が利用できる。また、電子線硬化の場合はコッククロフトワルト型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される電子線が利用できる。電子線は、50〜1000KeVのエネルギーを有するのが好ましい。100〜300KeVのエネルギーを有する電子線がより好ましい。
また支持体には、ガラスやプラスチックフィルムなどを用いることができる。プラスチックフィルムとしては適度の機械強度を有していれば良い。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)、ジアセチルセルロース、アセチルセルロースブチレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、シクロオレフィンポリマー、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)等のフィルムを用いることができる。中でもポリエチレンテレフタレート(PET)が機械的強度、耐熱性、コスト等のバランスに優れ、好ましく用いられる。
(配向処理)
該配向処理は、前記支持体の分散液を塗布する面に対して行ってもよく、塗膜に対して行ってもよい。塗膜に対して行う場合、乾燥させる前に行ってもよく、乾燥と同時に行ってもよく、乾燥後に行ってもよい。該配向処理方法として具体的には、たとえば以下の方法(a)〜(h)等が挙げられる。これらの方法は、いずれか1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
(a)Wet状態の塗膜に一方向から熱風をあてながら乾燥させる方法。
Wet状態の塗膜に対して一方向から風をあてると、該方向に沿って塗膜中の媒体が流動し、これに伴って粒子も流動し、一軸配向する。
(b)前記塗膜をプレス(塗膜の厚み方向に圧縮)するとともに、ずり変形させる方法。
塗膜をプレスおよびずり変形させると、塗膜中の粒子の面配向度が向上し、配向領域が形成される。特に、粒子と支持体や、粒子とマトリックス不揮発性媒体とに分子間相互作用がある場合に面配向しやすい傾向がある。
(c)塗膜を一軸延伸する方法。
一軸延伸することで、粒子を任意の方向に再配向させることができる。一軸延伸は、塗膜の乾燥前に行ってもよく、乾燥後に行ってもよい。乾燥後では膜の伸びが小さいため、乾燥前に行うほうが面配向しやすい。
(d)支持体表面および/または塗膜表面をラビング処理する方法。
あらかじめ支持体表面を一定方向に擦り(ラビングし)、その上に分散液を塗布すると、該溝に沿って粒子が配列して、少なくとも支持体表面と接する側の表面近傍にて一軸配向した塗膜が形成される。また、塗膜表面を一定方向にラビングした場合、該表面近傍の粒子が一軸配向させることができる。これは、膜表面のせん断によるものと考えられる。塗膜表面へのラビング処理は、塗膜の乾燥前に行ってもよく、乾燥後に行ってもよい。
(e)高速(リバース)グラビアなどの高シェア塗布法により塗膜を形成する方法。
(f)Wet状態の塗膜に電場をかける方法。
(g)Wet状態の塗膜に磁場をかける方法。
(h)結晶構造をとる材料と混合して塗布する。
前述した無機層状化合物のような層状構造を有する結晶性の無機化合物と混合して成膜する方法。
配向処理により粒子が配向したかどうか(配向領域が形成されているかどうか)は、たとえば、走査型電子顕微鏡により膜表面を観察することにより確認できる。また、同じ材料を同量使用して、配向処理を行わずに形成した膜(以下、未配向膜ということがある。)との比較によって、配向の状態を確認できる。たとえば配向処理して得た配向膜および未配向膜の導電性を測定し、未配向膜に比べて導電性が大きければ、粒子が少なくとも面配向して導電性が向上したと判断できる。
図1は、透明導電層の導電性を測定する方法の一例である。透明導電層1の両端に、導電性を測定するための電極2を設ける。電極2の作製方法は、白金等の良導電性の金属を蒸着等で成膜する方法や、銀ペーストをスクリーン印刷等の印刷法で形成する方法などがある。図1のように、透明導電膜1中の粒子の配向方向(図1のX方向)に対して垂直方向(図1のY方向)に延びる電極2を設け、電極2の間隔(50mm)と、透明導電層1と電極2とが接触する部分のY方向の幅(50mm)とを同じ長さとしたときの電極間の電気抵抗値を透明導電膜の表面抵抗と見なす。
本発明の膜以外に反射防止、防眩、傷つき防止、導電、色調補正、赤外線カット、紫外線カット等の機能を有する多層膜構成であってもよい。
以下、導電膜としての透明導電層の実施例及び比較例を示して、本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は以下の記載によっては限定されない。
<実施例1>
導電層を形成する金属粒子として、短軸径約30nm、アスペクト比約150の金ナノワイヤーを水性媒体中に60 μg/mL含有する水分散体(シグマアルドリッジ社製 716944)を、スピンコートを使用し、125μmPETフィルムの指示体上に塗布したあと塗膜の乾燥前に支持体の温度を100℃として、支持体を一方向に2.0倍延伸した。その後乾燥を完了させ透明導電層を形成した。図1に、形成した透明導電層1の上面図を示す。
<実施例2>
実施例1と同様に塗布したあと、乾燥前に鏡面ロールでラビング処理を行った。その後乾燥を完了させ透明導電層を形成した。
<実施例3>
実施例1と同様に塗布したあと、支持体の搬送方向とは逆側に風をあてた。その後乾燥を完了させ透明導電層を形成した。
<比較例1>
実施例1と同様に塗布したあと、そのまま乾燥を完了させ透明導電層を形成した。
表1に、実施例1〜3および比較例で形成した透明導電層の表面抵抗と全光線透過率とを示す。実施例1〜3では、比較例1と同様の全光線透過率を得ながら、比較例1よりも低い表面抵抗が得られている。
Figure 0005928029
このようにして透明導電層が形成された支持体は、例えば、粘着剤、接着剤等の付着手段を介して他の支持体と貼り合されて積層体を構成する。該積層体は、各種電子デバイスに利用可能であり、例えばタッチパネル、液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、プラズマディスプレイ、太陽電池等に備えられる電子デバイスの透明導電層積層体に利用される。
本発明は、例えばタッチパネル、液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、プラズマディスプレイ、太陽電池等の透明導電膜に好適に適用することができる。
1 透明導電層

Claims (7)

  1. 導電性粒子を揮発性媒体中に分散させて分散液を調製し、前記分散液を支持体上に塗布して塗膜を形成し、乾燥させる工程を有し、前記工程にて、前記塗膜を一軸延伸して前記塗膜内の少なくとも一部の前記導電性粒子を前記膜表面に対して略同一方向に配向させる配向処理を行うことを特徴とする導電膜の製造方法。
  2. 導電性粒子を揮発性媒体中に分散させて分散液を調製し、前記分散液を支持体上に塗布して塗膜を形成し、乾燥させる工程を有し、前記工程にて、前記塗膜の表面を一定方向にラビング処理して前記塗膜内の少なくとも一部の前記導電性粒子を前記膜表面に対して略同一方向に配向させる配向処理を行うことを特徴とする導電膜の製造方法。
  3. 導電性粒子を揮発性媒体中に分散させて分散液を調製し、前記分散液を支持体上に塗布して塗膜を形成し、乾燥させる工程を有し、前記工程にて、前記塗膜に対して特定の一方向から熱風をあてながら乾燥させて前記塗膜内の少なくとも一部の前記導電性粒子を前記膜表面に対して略同一方向に配向させる配向処理を行うことを特徴とする導電膜の製造方法。
  4. 前記支持体はプラスチックフィルム又はガラスであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の導電膜の製造方法。
  5. 請求項1からのいずれか一項に記載の製造方法で導電膜を製造する工程と、前記支持体とは異なる他の支持体と付着手段を介して貼り合わせる工程とを含むことを特徴とする積層体の製造方法
  6. 請求項1からのいずれか一項に記載の製造方法で導電膜を製造する工程あるいは請求項に記載の製造方法で積層体を製造する工程含む電子デバイスの製造方法
  7. 請求項1からのいずれか一項に記載の製造方法で導電膜を製造する工程、請求項に記載の製造方法で積層体を製造する工程、あるいは請求項に記載の製造方法で電子デバイスを製造する工程含むタッチパネルの製造方法
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