JP5926467B1 - 太陽電池 - Google Patents

太陽電池 Download PDF

Info

Publication number
JP5926467B1
JP5926467B1 JP2015552929A JP2015552929A JP5926467B1 JP 5926467 B1 JP5926467 B1 JP 5926467B1 JP 2015552929 A JP2015552929 A JP 2015552929A JP 2015552929 A JP2015552929 A JP 2015552929A JP 5926467 B1 JP5926467 B1 JP 5926467B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
photoelectric conversion
solar cell
organic
sealing material
sealing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015552929A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2016060183A1 (ja
Inventor
明伸 早川
明伸 早川
元彦 浅野
元彦 浅野
智仁 宇野
智仁 宇野
麻由美 堀木
麻由美 堀木
雄一郎 福本
雄一郎 福本
哲也 榑林
哲也 榑林
峻士 小原
峻士 小原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical Sekisui Chemical Co Ltd
Application granted granted Critical
Publication of JP5926467B1 publication Critical patent/JP5926467B1/ja
Publication of JPWO2016060183A1 publication Critical patent/JPWO2016060183A1/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K85/00Organic materials used in the body or electrodes of devices covered by this subclass
    • H10K85/50Organic perovskites; Hybrid organic-inorganic perovskites [HOIP], e.g. CH3NH3PbI3
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K30/00Organic devices sensitive to infrared radiation, light, electromagnetic radiation of shorter wavelength or corpuscular radiation
    • H10K30/80Constructional details
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy
    • Y02E10/549Organic PV cells

Abstract

本発明は、光電変換効率に優れ、封止時の劣化(初期劣化)が少なく、スパッタリング耐性があり、温度サイクル耐性に優れた太陽電池を提供することを目的とする。本発明は、電極と、対向電極と、前記電極と前記対向電極との間に配置された光電変換層とを有する積層体と、前記対向電極上を覆って前記積層体を封止する封止材とを有する太陽電池であって、前記光電変換層は、一般式R−M−X3(但し、Rは有機分子、Mは金属原子、Xはハロゲン原子又はカルコゲン原子である。)で表される有機無機ペロブスカイト化合物を含み、前記封止材は、シロキサン骨格を有する樹脂を含む太陽電池である。

Description

本発明は、光電変換効率に優れ、封止時の劣化(初期劣化)が少なく、スパッタリング耐性があり、温度サイクル耐性に優れた太陽電池に関する。
従来から、対向する電極間にN型半導体層とP型半導体層とを配置した積層体を備えた光電変換素子が開発されている。このような光電変換素子では、光励起により光キャリアが生成し、電子がN型半導体を、ホールがP型半導体を移動することで、電界が生じる。
現在、実用化されている光電変換素子の多くは、シリコン等の無機半導体を用いて製造される無機太陽電池である。しかしながら、無機太陽電池は製造にコストがかかるうえ大型化が困難であり、利用範囲が限られてしまうことから、無機半導体の代わりに有機半導体を用いて製造される有機太陽電池が注目されている。
有機太陽電池においては、ほとんどの場合フラーレンが用いられている。フラーレンは、主にN型半導体として働くことが知られている。例えば、特許文献1には、P型半導体となる有機化合物とフラーレン類とを用いて形成された半導体ヘテロ接合膜が記載されている。しかしながら、フラーレンを用いて製造される有機太陽電池において、その劣化の原因はフラーレンであることが知られており(例えば、非特許文献1参照)、フラーレンに代わる材料が求められている。
一方、有機太陽電池においては、対向する電極間にN型半導体層とP型半導体層とを配置した積層体を、シール材等の封止樹脂を用いて封止することが一般的である(例えば、非特許文献2参照)。しかしながら、シール材等の封止樹脂を用いて封止された有機太陽電池においては、半導体材料の種類によっては封止時に半導体材料が劣化してしまい、光電変換効率が低下するという問題が生じていた(初期劣化)。
特開2006−344794号公報
Reese et al.,Adv.Funct.Mater.,20,3476−3483(2010) Proc.of SPIE Vol.7416 74160K−1
本発明は、光電変換効率に優れ、封止時の劣化(初期劣化)が少なく、スパッタリング耐性があり、温度サイクル耐性に優れた太陽電池を提供することを目的とする。
本発明は、電極と、対向電極と、前記電極と前記対向電極との間に配置された光電変換層とを有する積層体と、前記対向電極上を覆って前記積層体を封止する封止材とを有する太陽電池であって、前記光電変換層は、一般式R−M−X(但し、Rは有機分子、Mは金属原子、Xはハロゲン原子又はカルコゲン原子である。)で表される有機無機ペロブスカイト化合物を含み、前記封止材は、シロキサン骨格を有する樹脂を含む太陽電池である。
以下、本発明を詳述する。
本発明者は、電極と、対向電極と、前記電極と前記対向電極との間に配置された光電変換層とを有する積層体が、封止材で封止されている太陽電池において、光電変換層に特定の有機無機ペロブスカイト化合物を用いることを検討した。有機無機ペロブスカイト化合物を用いることにより、太陽電池の光電変換効率の向上が期待できる。
しかしながら、有機無機ペロブスカイト化合物を用いた光電変換層を含む積層体を、従来の封止材で封止したところ、封止時に光電変換効率が低下してしまうことがわかった(初期劣化)。
そこで本発明者らは、有機無機ペロブスカイト化合物を用いた光電変換層を含む積層体を、封止材により封止したときの劣化の原因について詳しく検討した。その結果、封止時に、有機無機ペロブスカイト化合物中の有機成分が封止材に溶け込んでしまい、有機無機ペロブスカイト化合物が劣化してしまうことが原因であることを見出した。
本発明者らは、鋭意検討の結果、封止材としてシロキサン骨格を有する樹脂を用いることにより、封止時に有機無機ペロブスカイト化合物中の有機成分が溶出してしまうのを抑制できることを見出した。更に、本発明者は、封止材にシロキサン骨格を有する樹脂を用いることにより、太陽電池の温度サイクル耐性をも向上できることを見出した。
また、屋外での使用を考慮すると過酷な環境下でも耐えうる太陽電池が求められることから、本発明者は、太陽電池の高湿耐久性を向上させるために、封止材上を無機層で覆うことを検討した。その結果、本発明者は、シロキサン骨格を有する樹脂を含む封止材は、スパッタリング法により無機層を形成する際に要求されるスパッタリング耐性にも優れることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の太陽電池は、電極と、対向電極と、上記電極と上記対向電極との間に配置された光電変換層とを有する積層体と、上記対向電極上を覆って上記積層体を封止する封止材とを有する。
なお、本明細書中、層とは、明確な境界を有する層だけではなく、含有元素が徐々に変化する濃度勾配のある層をも意味する。なお、層の元素分析は、例えば、太陽電池の断面のFE−TEM/EDS線分析測定を行い、特定元素の元素分布を確認する等によって行うことができる。また、本明細書中、層とは、平坦な薄膜状の層だけではなく、他の層と一緒になって複雑に入り組んだ構造を形成しうる層をも意味する。
上記電極及び上記対向電極の材料は特に限定されず、従来公知の材料を用いることができる。なお、上記対向電極は、パターニングされた電極であることが多い。
上記電極及び上記対向電極の材料として、例えば、FTO(フッ素ドープ酸化スズ)、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム、マグネシウム、アルミニウム、マグネシウム−銀混合物、マグネシウム−インジウム混合物、アルミニウム−リチウム合金、Al/Al混合物、Al/LiF混合物、金等の金属、CuI、ITO(インジウムスズ酸化物)、SnO、AZO(アルミニウム亜鉛酸化物)、IZO(インジウム亜鉛酸化物)、GZO(ガリウム亜鉛酸化物)等の導電性透明材料、導電性透明ポリマー等が挙げられる。これらの材料は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
また、上記電極及び上記対向電極は、それぞれ陰極になっても、陽極になってもよい。
上記光電変換層は、一般式R−M−X(但し、Rは有機分子、Mは金属原子、Xはハロゲン原子又はカルコゲン原子である。)で表される有機無機ペロブスカイト化合物を含む。
上記光電変換層に上記有機無機ペロブスカイト化合物を用いることにより、太陽電池の光電変換効率を向上させることができる。
上記Rは有機分子であり、C(l、m、nはいずれも正の整数)で示されることが好ましい。
上記Rは、具体的には例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、エチルメチルアミン、メチルプロピルアミン、ブチルメチルアミン、メチルペンチルアミン、ヘキシルメチルアミン、エチルプロピルアミン、エチルブチルアミン、グアニジン、ホルムアミジン、イミダゾール、アゾール、ピロール、アジリジン、アジリン、アゼチジン、アゼト、アゾール、イミダゾリン、カルバゾール及びこれらのイオン(例えば、メチルアンモニウム(CHNH)等)、及び、フェネチルアンモニウム等が挙げられる。なかでも、メチルアミン、ホルムアミジン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン及びこれらのイオン、及び、フェネチルアンモニウムが好ましく、メチルアミン、ホルムアミジン、エチルアミン、プロピルアミン及びこれらのイオンがより好ましい。
上記Mは金属原子であり、例えば、鉛、スズ、亜鉛、チタン、アンチモン、ビスマス、ニッケル、鉄、コバルト、銀、銅、ガリウム、ゲルマニウム、マグネシウム、カルシウム、インジウム、アルミニウム、マンガン、クロム、モリブデン、ユーロピウム等が挙げられる。これらの金属原子は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記Xはハロゲン原子又はカルコゲン原子であり、例えば、塩素、臭素、ヨウ素、硫黄、セレン等が挙げられる。これらのハロゲン原子又はカルコゲン原子は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、構造中にハロゲンを含有することで、上記有機無機ペロブスカイト化合物が有機溶媒に可溶になり、安価な印刷法等への適用が可能になることから、ハロゲン原子が好ましい。更に、上記有機無機ペロブスカイト化合物のエネルギーバンドギャップが狭くなることから、ヨウ素がより好ましい。
上記有機無機ペロブスカイト化合物は、体心に金属原子M、各頂点に有機分子R、面心にハロゲン原子又はカルコゲン原子Xが配置された立方晶系の構造を有することが好ましい。
図1は、体心に金属原子M、各頂点に有機分子R、面心にハロゲン原子又はカルコゲン原子Xが配置された立方晶系の構造である、有機無機ペロブスカイト化合物の結晶構造の一例を示す模式図である。詳細は明らかではないが、上記構造を有することにより、結晶格子内の八面体の向きが容易に変わることができるため、上記有機無機ペロブスカイト化合物中の電子の移動度が高くなり、太陽電池の光電変換効率が向上すると推定される。
上記有機無機ペロブスカイト化合物は、結晶性半導体であることが好ましい。結晶性半導体とは、X線散乱強度分布を測定し、散乱ピークが検出できる半導体を意味している。上記有機無機ペロブスカイト化合物が結晶性半導体であることにより、上記有機無機ペロブスカイト化合物中の電子の移動度が高くなり、太陽電池の光電変換効率が向上する。
また、結晶化の指標として結晶化度を評価することもできる。結晶化度は、X線散乱強度分布測定により検出された結晶質由来の散乱ピークと非晶質部由来のハローとをフィッティングにより分離し、それぞれの強度積分を求めて、全体のうちの結晶部分の比を算出することにより求めることができる。
上記有機無機ペロブスカイト化合物の結晶化度の好ましい下限は30%である。結晶化度が30%以上であると、上記有機無機ペロブスカイト化合物中の電子の移動度が高くなり、太陽電池の光電変換効率が向上する。結晶化度のより好ましい下限は50%、更に好ましい下限は70%である。
また、上記有機無機ペロブスカイト化合物の結晶化度を上げる方法として、例えば、熱アニール、レーザー等の強度の強い光の照射、プラズマ照射等が挙げられる。
上記光電変換層は、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、上記有機無機ペロブスカイト化合物に加えて、更に、有機半導体又は無機半導体を含んでいてもよい。なお、ここでいう有機半導体又は無機半導体は、後述する電子輸送層又はホール輸送層としての役割を果たしてもよい。
上記有機半導体として、例えば、ポリ(3−アルキルチオフェン)等のチオフェン骨格を有する化合物等が挙げられる。また、例えば、ポリパラフェニレンビニレン骨格、ポリビニルカルバゾール骨格、ポリアニリン骨格、ポリアセチレン骨格等を有する導電性高分子等も挙げられる。更に、例えば、フタロシアニン骨格、ナフタロシアニン骨格、ペンタセン骨格、ベンゾポルフィリン骨格等のポルフィリン骨格、スピロビフルオレン骨格等を有する化合物、及び、表面修飾されていてもよいカーボンナノチューブ、グラフェン、フラーレン等のカーボン含有材料も挙げられる。
上記無機半導体として、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ガリウム、硫化スズ、硫化インジウム、硫化亜鉛、CuSCN、CuO、CuI、MoO、V、WO、MoS、MoSe、CuS等が挙げられる。
上記光電変換層は、上記有機半導体又は上記無機半導体を含む場合、薄膜状の有機半導体又は無機半導体部位と薄膜状の有機無機ペロブスカイト化合物部位とを積層した積層構造体であってもよいし、有機半導体又は無機半導体部位と有機無機ペロブスカイト化合物部位とを複合化した複合構造体であってもよい。製法が簡便である点では積層構造体が好ましく、上記有機半導体又は上記無機半導体中の電荷分離効率を向上させることができる点では複合構造体が好ましい。
上記薄膜状の有機無機ペロブスカイト化合物部位の厚みは、好ましい下限が5nm、好ましい上限が5000nmである。上記厚みが5nm以上であれば、充分に光を吸収することができるようになり、光電変換効率が高くなる。上記厚みが5000nm以下であれば、電荷分離できない領域が発生することを抑制できるため、光電変換効率の向上につながる。上記厚みのより好ましい下限は10nm、より好ましい上限は1000nmであり、更に好ましい下限は20nm、更に好ましい上限は500nmである。
上記光電変換層が、有機半導体又は無機半導体部位と有機無機ペロブスカイト化合物部位とを複合化した複合構造体である場合、上記複合構造体の厚みの好ましい下限は30nm、好ましい上限は3000nmである。上記厚みが30nm以上であれば、充分に光を吸収することができるようになり、光電変換効率が高くなる。上記厚みが3000nm以下であれば、電荷が電極に到達しやすくなるため、光電変換効率が高くなる。上記厚みのより好ましい下限は40nm、より好ましい上限は2000nmであり、更に好ましい下限は50nm、更に好ましい上限は1000nmである。
上記積層体においては、上記電極と上記光電変換層との間に、電子輸送層が配置されていてもよい。
上記電子輸送層の材料は特に限定されず、例えば、N型導電性高分子、N型低分子有機半導体、N型金属酸化物、N型金属硫化物、ハロゲン化アルカリ金属、アルカリ金属、界面活性剤等が挙げられ、具体的には例えば、シアノ基含有ポリフェニレンビニレン、ホウ素含有ポリマー、バソキュプロイン、バソフェナントレン、ヒドロキシキノリナトアルミニウム、オキサジアゾール化合物、ベンゾイミダゾール化合物、ナフタレンテトラカルボン酸化合物、ペリレン誘導体、ホスフィンオキサイド化合物、ホスフィンスルフィド化合物、フルオロ基含有フタロシアニン、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ガリウム、硫化スズ、硫化インジウム、硫化亜鉛等が挙げられる。
上記電子輸送層は、薄膜状の電子輸送層のみからなっていてもよいが、多孔質状の電子輸送層を含むことが好ましい。特に、上記光電変換層が、有機半導体又は無機半導体部位と有機無機ペロブスカイト化合物部位とを複合化した複合構造体である場合、より複雑な複合構造体(より複雑に入り組んだ構造)が得られ、光電変換効率が高くなることから、多孔質状の電子輸送層上に複合構造体が成膜されていることが好ましい。
上記電子輸送層の厚みは、好ましい下限が1nm、好ましい上限が2000nmである。上記厚みが1nm以上であれば、充分にホールをブロックできるようになる。上記厚みが2000nm以下であれば、電子輸送の際の抵抗になり難く、光電変換効率が高くなる。上記電子輸送層の厚みのより好ましい下限は3nm、より好ましい上限は1000nmであり、更に好ましい下限は5nm、更に好ましい上限は500nmである。
上記積層体においては、上記対向電極と上記光電変換層との間に、ホール輸送層が配置されていてもよい。
上記ホール輸送層の材料は特に限定されず、例えば、P型導電性高分子、P型低分子有機半導体、P型金属酸化物、P型金属硫化物、界面活性剤等が挙げられ、具体的には例えば、ポリエチレンジオキシチオフェンのポリスチレンスルホン酸付加物、カルボキシル基含有ポリチオフェン、フタロシアニン、ポルフィリン、酸化モリブデン、酸化バナジウム、酸化タングステン、酸化ニッケル、酸化銅、酸化スズ、硫化モリブデン、硫化タングステン、硫化銅、硫化スズ等、フルオロ基含有ホスホン酸、カルボニル基含有ホスホン酸、CuSCN、CuI等の銅化合物、表面修飾されていてもよいカーボンナノチューブ、グラフェン等のカーボン含有材料等が挙げられる。
上記ホール輸送層の厚みは、好ましい下限は1nm、好ましい上限は2000nmである。上記厚みが1nm以上であれば、充分に電子をブロックできるようになる。上記厚みが2000nm以下であれば、ホール輸送の際の抵抗になり難く、光電変換効率が高くなる。上記厚みのより好ましい下限は3nm、より好ましい上限は1000nmであり、更に好ましい下限は5nm、更に好ましい上限は500nmである。
上記積層体は、更に、基板等を有していてもよい。上記基板は特に限定されず、例えば、ソーダライムガラス、無アルカリガラス等の透明ガラス基板、セラミック基板、透明プラスチック基板等が挙げられる。
本発明の太陽電池は、上記積層体が、封止材で封止されたものである。上記積層体を、上記封止材で封止することにより、太陽電池の耐久性を向上させることができる。これは、上記封止材で封止を行うことにより、水分が内部に浸透することを抑制できるためと考えられる。ここで、上記封止材は、その端部を閉じるようにして上記積層体全体を覆うことが好ましい。これにより、水分が内部に浸透することを確実に防止することができる。
なお、上記積層体が封止材で封止されていれば、上記積層体の電極側又は対向電極側のいずれが封止材で覆われていてもよい。
上記封止材は、シロキサン骨格を有する樹脂を含む。
上記光電変換層に上記有機無機ペロブスカイト化合物を用いた場合、封止時に上記有機無機ペロブスカイト化合物中の有機成分が上記封止材に溶け込んでしまい、上記有機無機ペロブスカイト化合物が劣化する(初期劣化)。これに対して、本発明の太陽電池においては、上記封止材にシロキサン骨格を有する樹脂を用いることにより、上記光電変換層に上記有機無機ペロブスカイト化合物を用いていても、封止時に上記有機無機ペロブスカイト化合物中の有機成分の溶出を抑えて、光電変換層が劣化してしまうのを防止することができる。
更に、シロキサン骨格を有する樹脂は、例えばノルボルネン樹脂等のその他の樹脂と比較して広い温度域において被着体に対する密着性が高いため、上記封止材にシロキサン骨格を有する樹脂を用いることにより、太陽電池の温度サイクル耐性をも向上させることができる。更に、上記封止材にシロキサン骨格を有する樹脂を用いることにより、経時での分子拡散を抑えることができるため、太陽電池の耐熱耐久性を向上させることができる。
上記シロキサン骨格は、シロキサン結合と有機基とを有する骨格であれば、特に限定されない。上記有機基は特に限定されず、例えば、メチル基等のアルキル基、メトキシ基等のアルコキシ基、フェニル基等の芳香族基、アルケニル基等が挙げられる。これらのシロキサン骨格は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記シロキサン骨格を有する樹脂として、例えば、ケイ素(Si)原子とアルコキシ基とを有する化合物の重合体が挙げられる。
上記ケイ素(Si)原子とアルコキシ基とを有する化合物として、例えば、ジアルコキシシラン、トリアルコキシシラン、テトラアルコキシシラン(例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン)等が挙げられる。これらのシロキサン骨格を有する樹脂は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
また、上記シロキサン骨格を有する樹脂は、上記シロキサン骨格に加えて更に反応性官能基を有する化合物を製膜した後、上記反応性官能基を架橋剤により架橋反応させた樹脂であってもよい。上記反応性官能基として、例えば、エポキシ基、水酸基、カルボキシル基、アルケニル基、イソシアネート基等が挙げられる。上記架橋剤としては特に限定されず、触媒等を用いて上記反応性官能基の架橋反応を開始させることができる。この場合、上記反応性官能基の数を調整することにより、架橋反応に伴う硬化収縮による太陽電池の封止時の劣化(初期劣化)を抑制することができる。
上記シロキサン骨格とエポキシ基とを有する化合物として、例えば、エポキシ基含有シリコーン(X−22−343、信越化学工業社製)等が挙げられる。
上記シロキサン骨格と水酸基とを有する化合物として、例えば、水酸基含有シリコーン(X−22−4039、信越化学工業社製)等が挙げられる。
上記シロキサン骨格とカルボキシル基とを有する化合物として、例えば、カルボキシル基含有シリコーン(X−22−3701E、信越化学工業社製)等が挙げられる。
上記シロキサン骨格とメルカプト基とを有する化合物として、例えば、メルカプト基含有シリコーン(KF−2001、信越化学工業社製)等が挙げられる。
上記シロキサン骨格とアミノ基とを有する化合物として、例えば、アミノ基含有シリコーン(KF−865、信越化学工業社製)等が挙げられる。
これらのシロキサン骨格を有する樹脂は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記シロキサン骨格を有する樹脂は、溶解パラメータ(SP値)の好ましい下限が7.0、好ましい上限が10.0である。上記シロキサン骨格を有する樹脂の溶解パラメータ(SP値)が7.0以上であれば、樹脂の選択肢が広がり、成型が容易となる。上記シロキサン骨格を有する樹脂の溶解パラメータ(SP値)が10.0以下であれば、封止時の上記有機無機ペロブスカイト化合物中の有機成分の溶出をより抑えて、光電変換層が劣化してしまうのをより抑制することができる。上記シロキサン骨格を有する樹脂の溶解パラメータ(SP値)のより好ましい下限は7.5、更に好ましい下限は8.0である。太陽電池の高温耐久性を高める観点からは、上記封止樹脂の溶解パラメータ(SP値)のより好ましい上限は9.5、更に好ましい上限は9.0である。
なお、SP値は溶解性パラメータ(Solubility Parameter)と呼ばれ、溶解のしやすさを表すことのできる指標である。本明細書においてSP値の算出にはFedorsにより提案された方法(R.F.Fedors, Polym. Eng. Sci.,14(2),147−154(1974))を用い、繰り返し単位内の各原子団に対する蒸発エネルギー(Δecoh)(cal/mol)及びモル体積(Δv)(cm/mol)から下記式(1)に従って計算することができる。式(1)中、δがSP値(cal/mol)1/2を表す。
Figure 0005926467
Δecoh及びΔvとしては、J.Brandrupら、「Polymer Handbook, Fourth Edition」,volume2に記載の値を用いることができる。
また、Tg≧25℃の場合、主鎖骨格原子数をnとして、n≧3の時は2n、n<3の時は4nをΔvに加えて計算する。
共重合体のSP値は、共重合体中のそれぞれの繰り返し単位単独でのSP値を算出し、その体積分率を使って下記式(2)により計算することができる。式(2)中、δcopは共重合体のSP値を表し、φ1、φ2は繰り返し単位1、2の体積分率を表し、δ1、δ2は繰り返し単位1、2単独のSP値を表す。
Figure 0005926467
上記封止材の厚みは、好ましい下限が100nm、好ましい上限が100000nmである。上記厚みのより好ましい下限は500nm、より好ましい上限は50000nmであり、更に好ましい下限は1000nm、更に好ましい上限は20000nmである。
本発明の太陽電池においては、更に、上記封止材上に無機層を有することが好ましい。これにより、上記無機層が水蒸気バリア性を有し、水分が内部に浸透することを抑制できるため、太陽電池の高湿耐久性を向上させることができる。なお、上記シロキサン骨格を有する樹脂を含む封止材は、例えばポリイソブチレン樹脂又はアクリル樹脂等のその他の樹脂を含む封止材と比較して、スパッタリング法により上記無機層を形成する際に要求されるスパッタリング耐性にも優れたものである。
また、本発明の太陽電池においては、上記積層体と上記封止材との間に無機層を有することも好ましい。この場合にも、上記無機層が水蒸気バリア性を有し、水分が内部に浸透することを抑制できるため、太陽電池の高湿耐久性を向上させることができる。
上記無機層は、金属酸化物、金属窒化物又は金属酸窒化物を含むことが好ましい。
上記金属酸化物、金属窒化物又は金属酸窒化物は、水蒸気バリア性を有するものであれば特に限定されないが、例えば、Si、Al、Zn、Sn、In、Ti、Mg、Zr、Ni、Ta、W、Cu若しくはこれらを2種以上含む合金の酸化物、窒化物又は酸窒化物が挙げられる。なかでも、Si、Al、Zn、Snの酸化物、窒化物又は酸窒化物が好ましく、Zn、Snの酸化物、窒化物又は酸窒化物がより好ましく、上記無機層に特に高い水蒸気バリア性及び柔軟性を付与できることから、Zn、Snの両金属元素を含む金属元素の酸化物、窒化物又は酸窒化物が更に好ましい。
なかでも、上記金属酸化物、金属窒化物又は金属酸窒化物は、一般式ZnSnで表される金属酸化物を含むことが特に好ましい。ここで、a、b、cは正の整数である。
上記無機層に上記一般式ZnSnで表される金属酸化物を用いることにより、上記金属酸化物がスズ(Sn)原子を含むため、上記無機層に適度な可撓性を付与することができ、上記無機層の厚みが増した場合であっても応力が小さくなるため、上記無機層、電極、半導体層等の剥離を抑えることができる。これにより、上記無機層の水蒸気バリア性を高め、太陽電池の耐久性をより向上させることができる。一方、上記金属酸化物が亜鉛(Zn)原子を含むため、上記無機層は特に高いバリア性を発揮することができる。
上記一般式ZnSnで表される金属酸化物においては、ZnとSnとの総和に対するSnの比Xs(重量%)が70>Xs>0を満たすことが好ましい。また、Y=c/(a+2b)で表される値Yが、1.5>Y>0.5を満たすことが好ましい。
なお、上記無機層中の上記一般式ZnSnで表される金属酸化物に含まれる亜鉛(Zn)、スズ(Sn)及び酸素(O)の元素比率は、X線光電子分光(XPS)表面分析装置(例えば、VGサイエンティフィックス社製のESCALAB−200R等)を用いて測定することができる。
上記無機層は、上記一般式ZnSnで表される金属酸化物を含む場合、更に、ケイ素(Si)及び/又はアルミニウム(Al)を含むことが好ましい。
上記無機層にケイ素(Si)及び/又はアルミニウム(Al)を添加することにより、上記無機層の透明性を高め、太陽電池の光電変換効率を向上させることができる。
上記無機層の厚みは、好ましい下限が30nm、好ましい上限が3000nmである。上記厚みが30nm以上であれば、上記無機層が充分な水蒸気バリア性を有することができ、太陽電池の耐久性が向上する。上記厚みが3000nm以下であれば、上記無機層の厚みが増した場合であっても、発生する応力が小さいため、上記無機層、電極、半導体層等の剥離を抑制することができる。上記厚みのより好ましい下限は50nm、より好ましい上限は1000nmであり、更に好ましい下限は100nm、更に好ましい上限は500nmである。
なお、上記無機層の厚みは、光学干渉式膜厚測定装置(例えば、大塚電子社製のFE−3000等)を用いて測定することができる。
また、本発明の太陽電池においては、更に、上記封止材上を、例えばガラス板、樹脂フィルム、無機材料を被覆した樹脂フィルム、アルミニウム等の金属箔等のその他の材料が覆っていてもよい。即ち、本発明の太陽電池は、上記積層体と上記その他の材料との間を、上記封止材によって封止、充填又は接着している構成であってもよい。これにより、仮に上記封止材にピンホールがあった場合にも充分に水蒸気をブロックすることができ、太陽電池の高湿耐久性をより向上させることができる。なかでも、無機材料を被覆した樹脂フィルムを配置することがより好ましい。
図2は、本発明の太陽電池の一例を模式的に示す断面図である。
図2に示す太陽電池1においては、基板6上に電極2と、対向電極3と、この電極2と対向電極3との間に配置された光電変換層4とを有する積層体が、対向電極3上を覆う封止材5で封止されている。ここで封止材5の端部は、基板6に密着することにより閉じている。なお、図2に示す太陽電池1において、対向電極3はパターニングされた電極である。図示はしないが、積層体と封止材5の間、又は、封止材5上に無機層が配置されていてもよい。
本発明の太陽電池を製造する方法は特に限定されず、例えば、上記基板上に上記電極、上記光電変換層、上記対向電極をこの順で形成して積層体を作製した後、上記封止材で上記積層体を封止し、更に、上記封止材上を無機層で覆う方法等が挙げられる。
上記光電変換層を形成する方法は特に限定されず、真空蒸着法、スパッタリング法、気相反応法(CVD)、電気化学沈積法、印刷法等が挙げられる。なかでも、印刷法を採用することで、高い光電変換効率を発揮できる太陽電池を大面積で簡易に形成することができる。印刷法として、例えば、スピンコート法、キャスト法等が挙げられ、印刷法を用いた方法としてロールtoロール法等が挙げられる。
上記封止材で上記積層体を封止する方法は特に限定されず、例えば、シート状の封止材を用いて上記積層体をシールする方法、封止材を有機溶媒に溶解させた封止材溶液を上記積層体に塗布する方法、封止材となる反応性官能基を有する化合物を上記積層体に塗布した後、熱又はUV等で反応性官能基を有する化合物を架橋又は重合させる方法、封止材に熱をかけて融解させた後に冷却する方法等が挙げられる。
上記封止材上を上記無機層で覆う方法として、真空蒸着法、スパッタリング法、気相反応法(CVD)、イオンプレーティング法が好ましい。なかでも、緻密な層を形成するためにはスパッタリング法が好ましく、スパッタリング法のなかでもDCマグネトロンスパッタリング法がより好ましい。なお、上記シロキサン骨格を有する樹脂を含む封止材は、例えばポリイソブチレン樹脂又はアクリル樹脂等のその他の樹脂を含む封止材と比較して、スパッタリング法により上記無機層を形成する際に要求されるスパッタリング耐性にも優れたものである。
上記スパッタリング法においては、金属ターゲット、及び、酸素ガス又は窒素ガスを原料とし、上記封止材上に原料を堆積して製膜することにより、無機層を形成することができる。
本発明によれば、光電変換効率に優れ、封止時の劣化(初期劣化)が少なく、スパッタリング耐性があり、温度サイクル耐性に優れた太陽電池を提供することができる。
有機無機ペロブスカイト化合物の結晶構造の一例を示す模式図である。 本発明の太陽電池の一例を模式的に示す断面図である。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
<シリコーン樹脂の合成>
(1)原料有機珪素化合物各ポリマーの合成においては、下記の構造単位(Phはフェニル基、Viはビニル基、Meはメチル基)を導入するために、下記の有機珪素化合物を用いた。
MeViSiO1/2の構造単位:1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン
MeHSiO1/2の構造単位:1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン
MePhSiO2/2の構造単位:メチルフェニルジメトキシシラン
PhSiO2/2の構造単位:ジフェニルジメトキシシラン
MeSiO2/2の構造単位:ジメチルジメトキシシラン
MeViSiO2/2の構造単位:メチルビニルジメトキシシラン
MeSiO3/2の構造単位:メチルトリメトキシシラン
PhSiO3/2の構造単位:フェニルトリメトキシシラン
(2)ポリマーAの合成(第1のシリコーン樹脂の合成)
温度計、滴下装置及び攪拌機を備えた1000mLのセパラブルフラスコに、メチルフェニルジメトキシシラン164.1g、メチルビニルジメトキシシラン6.6g、及び、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン4.7gを入れ、50℃で攪拌した。その中に、水酸化カリウム2.2gを水35.1gに溶かした溶液をゆっくりと滴下し、滴下後に50℃で6時間攪拌し、反応させて、反応液を得た。次に、減圧して揮発成分を除去し、反応液に酢酸2.4gを加え、減圧下で加熱した。その後、酢酸カリウムをろ過により除去して、ポリマーAを得た。
得られたポリマーAの数平均分子量は3500であった。なお、ポリマーAの分子量は、ポリマーA10mgにテトラヒドロフラン1mLを加え、溶解するまで攪拌して得た溶液を、GPC測定することにより測定した。GPC測定は、Waters社製の測定装置を用い、カラムとしてShodex GPC LF−804(昭和電工社製、長さ300mm)を2本用い、測定温度40℃、流速1mL/min、溶媒テトラヒドロフラン、標準物質ポリスチレンの条件で行った。
また、29Si−NMRより化学構造を同定した結果、ポリマーAは、下記式(1)で表される平均組成式を有していた。
Figure 0005926467
更に、ポリマーA中のフェニル基の含有比率は43.9モル%、ビニル基の含有比率は4.88モル%であった。
(3)ポリマーB〜Hの合成(第1のシリコーン樹脂の合成)
原料とする有機珪素化合物の種類及び配合量を変更した以外は、ポリマーAと同様の方法によりポリマーB〜Hを得た。
(4)ポリマーIの合成(第2のシリコーン樹脂の合成)
温度計、滴下装置及び攪拌機を備えた1000mLのセパラブルフラスコに、ジフェニルジメトキシシラン80.6g、及び、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン45gを入れ、50℃で攪拌した。その中に、酢酸100gと水23.9gの溶液をゆっくりと滴下し、滴下後に50℃で6時間攪拌し、反応させて、反応液を得た。次に、減圧して揮発成分を除去してポリマーを得た。得られたポリマーにヘキサン150gと酢酸エチル150gとを添加し、イオン交換水300gで10回洗浄を行い、減圧して揮発成分を除去してポリマーIを得た。
得られたポリマーIの数平均分子量は850であった。
また、29Si−NMRより化学構造を同定した結果、ポリマーIは、下記式(2)で表される平均組成式を有していた。
Figure 0005926467
更に、ポリマーI中のフェニル基の含有比率は24.7モル%、珪素原子に結合した水素原子の含有比率は25.1%であった。
(5)ポリマーJ〜Lの合成(第2のシリコーン樹脂の合成)
原料とする有機珪素化合物の種類及び配合量を変更した以外は、ポリマーIと同様の方法によりポリマーJ〜Lを得た。
得られたポリマーA〜Lの詳細を表1に示した。
Figure 0005926467
<封止材の調製>
(1)封止材1の調製
ポリマーA23.7重量部、ポリマーE64.5重量部、ポリマーI11.8重量部、及び、ヒドロシリル化反応用触媒(白金の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体)0.02重量部を混合した後、脱泡を行い、封止材1を得た。
(2)封止材2〜5の調製
用いるポリマーの種類及び配合比率を表2のようにした以外は、封止材1と同様にして、封止材2〜5を得た。
Figure 0005926467
(実施例1)
(積層体の作製)
ガラス基板上に、電極として厚み1000nmのFTO膜を形成し、純水、アセトン、メタノールをこの順に用いて各10分間超音波洗浄した後、乾燥させた。
FTO膜の表面上に、2%に調整したチタンイソプロポキシドエタノール溶液をスピンコート法により塗布した後、400℃で10分間焼成し、厚み20nmの薄膜状の電子輸送層を形成した。更に、薄膜状の電子輸送層上に、有機バインダとしてのポリイソブチルメタクリレートと酸化チタン(平均粒子径10nmと30nmとの混合物)とを含有する酸化チタンペーストをスピンコート法により塗布した後、500℃で10分間焼成し、厚み500nmの多孔質状の電子輸送層を形成した。
次いで、有機無機ペロブスカイト化合物形成用溶液として、N,N−Dimethylformamide(DMF)を溶媒としてCHNHIとPbIをモル比1:1で溶かし、CHNHIとPbIの合計重量濃度を20%に調製した。この溶液を電子輸送層上にスピンコート法によって積層して、光電変換層を形成した。
更に、クロロベンゼン25μLにSpiro−OMeTAD(スピロビフルオレン骨格を有する)を68mM、Tert−butylpyridineを55mM、Lithium Bis(trifluoromethylsufonyl)imide塩を9mM溶解させた溶液を調製した。この溶液を光電変換層上にスピンコート法によって300nmの厚みに積層し、ホール輸送層を形成した。
ホール輸送層上に、対向電極として真空蒸着により厚み100nmの金膜を形成し、積層体を得た。
(積層体の封止)
得られた積層体上に、上記で得られたシロキサン骨格を有するシリコーン封止材1をドクターブレードにより厚み10μmに積層し、120℃、1時間で上記化合物を硬化させて封止材とした。
(無機層の形成)
得られた積層体をスパッタリング装置の基板ホルダーに取り付け、更に、スパッタリング装置のカソードAにZnSn合金(Zn:Sn=95:5重量%)ターゲットを、カソードBにSiターゲットを取り付けた。スパッタリング装置の成膜室を真空ポンプにより排気し、5.0×10−4Paまで減圧した。その後、スパッタ条件Aに示す条件でスパッタリングし、積層体に無機層としてZnSnO(Si)薄膜を100nm形成し、太陽電池を得た。
<スパッタ条件A>
アルゴンガス流量:50sccm、酸素ガス流量:50sccm
電源出力:カソードA=500W、カソードB=1500W
(実施例2〜5)
積層体の作製において、有機無機ペロブスカイト化合物形成用溶液の配合成分を変更することによって表3に示す光電変換層(有機無機ペロブスカイト化合物)を形成したこと以外は実施例1と同様にして、太陽電池を得た。
なお、実施例2では、N,N−Dimethylformamide(DMF)を溶媒としてCHNHBr、CHNHI、PbBr、PbIをモル比1:2:1:2で溶かした。実施例3では、N,N−Dimethylformamide(DMF)を溶媒としてCHNHIとPbClをモル比3:1で溶かした。実施例4では、N,N−Dimethylformamide(DMF)を溶媒としてCHNHBrとPbBrをモル比1:1で溶かした。実施例5では、N,N−Dimethylformamide(DMF)を溶媒としてCH(NHIとPbIをモル比1:1で溶かした。
(実施例6、7)
積層体の封止において、表3に示す封止材厚みに変更したこと以外は実施例1と同様にして、太陽電池を得た。
(実施例8〜11)
積層体の封止において、表3に示す封止材に変更したこと以外は実施例1と同様にして、太陽電池を得た。
(実施例12〜14)
封止材上に無機層を形成する代わりに積層体上に無機層を形成してから封止材を積層したこと、表3に示す無機層に変更したこと以外は実施例1と同様にして、太陽電池を得た。
なお、実施例13では、金属ターゲットとして、Siターゲットを用いた。実施例14では、金属ターゲットとして、Snターゲットを用いた。
(実施例15〜16)
積層体の封止において、表3に示す封止材に変更したこと以外は実施例1と同様にして、太陽電池を得た。
封止材6は、エポキシ基含有シリコーン(X−22−343、信越化学工業社製)40重量部と、メルカプト基含有シリコーン(KF−2001、信越化学工業社製)60重量部と、硬化触媒としてイミダゾール化合物(2MZA、四国化成社製)4重量部を混合して作製した。
封止材7はエポキシ基含有シリコーン(X−22−343、信越化学工業社製)40重量部と、アミノ基含有シリコーン(KF−864、信越化学工業社製)60重量部と、硬化触媒としてイミダゾール化合物(2MZA、四国化成社製)4重量部を混合して作製した。
(比較例1〜5)
積層体の封止において、表3に示す封止材に変更したこと以外は実施例1と同様にして、太陽電池を得た。
なお、比較例1では、積層体上に、ポリビニルアルコール(PVA)(和光純薬工業社製)の溶液をドクターブレードにより塗布し、乾燥させて封止材とした。比較例2では、積層体上に、硬化剤としての4mol%のイミダゾール化合物2MZA(四国化成工業社製)と、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製)とを含有する混合物を塗布し、120℃1時間加熱して硬化させて封止材とした。比較例3では、積層体上に、ポリイソブチレン樹脂(OPPANOL B 50、BASF社製)の溶液をドクターブレードにより塗布し、乾燥させて封止材とした。比較例4では、積層体上に、ノルボルネン樹脂(TOPAS6015、Polyplastics社製)の溶液をドクターブレードにより塗布し、乾燥させて封止材とした。比較例5では、硬化剤としての4mol%の過酸化物(パークミルD、日油社製)と、封止材となるシロキサン骨格を有さない液状モノマー(L−A、共栄社化学社製)とを含有する混合物を塗布し、120℃1時間加熱して液状モノマーを重合させて封止材とした。
(比較例6)
積層体の封止を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、太陽電池を得た。
<評価>
実施例及び比較例で得られた太陽電池について、以下の評価を行った。
(1)封止時の劣化(初期劣化)
封止前の積層体の電極間に、電源(KEITHLEY社製、236モデル)を接続し、強度100mW/cmのソーラーシミュレーション(山下電装社製)を用いて光電変換効率を測定し、初期変換効率とした。
封止直後の太陽電池の電極間に、電源(KEITHLEY社製、236モデル)を接続し、強度100mW/cmのソーラーシミュレーション(山下電装社製)を用いて光電変換効率を測定し、封止直後の光電変換効率/初期変換効率の値を求めた。
○:封止直後の光電変換効率/初期変換効率の値が0.5以上
×:封止直後の光電変換効率/初期変換効率の値が0.5未満
(2)スパッタリング耐性
太陽電池の製造工程において封止材上にスパッタリング法により無機層を形成する際に、封止材の表面を目視観察した。
○:変化なし
×:封止材に白化が見られる
(3)温度サイクル耐性
実施例1〜12、比較例4及び6で得られた太陽電池に対して−55℃から125℃までのサイクルを300サイクル行い、温度サイクル試験を行った。温度サイクル試験後の太陽電池の電極間に、電源(KEITHLEY社製、236モデル)を接続し、強度100mW/cmのソーラーシミュレーション(山下電装社製)を用いて光電変換効率を測定し、温度サイクル試験後の光電変換効率/封止直後の光電変換効率の値を求めた。
○:温度サイクル試験後の光電変換効率/封止直後の光電変換効率の値が0.5以上
×:温度サイクル試験後の光電変換効率/封止直後の光電変換効率の値が0.5未満
Figure 0005926467
本発明によれば、光電変換効率に優れ、封止時の劣化(初期劣化)が少なく、スパッタリング耐性があり、温度サイクル耐性に優れた太陽電池を提供することができる。
1 太陽電池
2 電極
3 対向電極(パターニングされた電極)
4 光電変換層
5 封止材
6 基板

Claims (3)

  1. 電極と、対向電極と、前記電極と前記対向電極との間に配置された光電変換層とを有する積層体と、前記対向電極上を覆って前記積層体を封止する封止材とを有する太陽電池であって、
    前記光電変換層は、一般式R−M−X(但し、Rは有機分子、Mは金属原子、Xはハロゲン原子又はカルコゲン原子である。)で表される有機無機ペロブスカイト化合物を含み、
    前記封止材は、シロキサン骨格を有する樹脂を含む
    ことを特徴とする太陽電池。
  2. 封止材上に無機層を有し、前記無機層は、金属酸化物、金属窒化物又は金属酸窒化物を含むことを特徴とする請求項1記載の太陽電池。
  3. 積層体と封止材との間に無機層を有し、前記無機層は、金属酸化物、金属窒化物又は金属酸窒化物を含むことを特徴とする請求項1記載の太陽電池。
JP2015552929A 2014-10-14 2015-10-14 太陽電池 Active JP5926467B1 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014210194 2014-10-14
JP2014210194 2014-10-14
PCT/JP2015/079091 WO2016060183A1 (ja) 2014-10-14 2015-10-14 太陽電池

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP5926467B1 true JP5926467B1 (ja) 2016-05-25
JPWO2016060183A1 JPWO2016060183A1 (ja) 2017-04-27

Family

ID=55746725

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015552929A Active JP5926467B1 (ja) 2014-10-14 2015-10-14 太陽電池

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP5926467B1 (ja)
WO (1) WO2016060183A1 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7179581B2 (ja) * 2018-10-26 2022-11-29 住友化学株式会社 組成物、フィルム、積層構造体、発光装置及びディスプレイ
JP2023103887A (ja) * 2022-01-14 2023-07-27 信越化学工業株式会社 太陽電池モジュール及びその製造方法、並びに太陽電池封止材

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012114136A (ja) * 2010-11-22 2012-06-14 Konica Minolta Business Technologies Inc 光電変換モジュール
JP2012519936A (ja) * 2009-03-04 2012-08-30 エスアールアイ インターナショナル 有機電気装置のための封入方法
WO2013171517A1 (en) * 2012-05-18 2013-11-21 Isis Innovation Limited Optoelectronic devices with organometal perovskites with mixed anions
WO2014042449A2 (ko) * 2012-09-12 2014-03-20 한국화학연구원 광흡수 구조체가 구비된 태양전지

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012519936A (ja) * 2009-03-04 2012-08-30 エスアールアイ インターナショナル 有機電気装置のための封入方法
JP2012114136A (ja) * 2010-11-22 2012-06-14 Konica Minolta Business Technologies Inc 光電変換モジュール
WO2013171517A1 (en) * 2012-05-18 2013-11-21 Isis Innovation Limited Optoelectronic devices with organometal perovskites with mixed anions
WO2014042449A2 (ko) * 2012-09-12 2014-03-20 한국화학연구원 광흡수 구조체가 구비된 태양전지

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN6015051961; Seong Min KANG, Namyoung AHN, Jin-Wook LEE, Mansoo CHOI and Nam-Gyu PARK: 'Water-repellent perovskite solar cell' Journal of Materials Chemistry A Volume 2, Issue 47, 20141013, Pages 20017-20021 *

Also Published As

Publication number Publication date
WO2016060183A1 (ja) 2016-04-21
JPWO2016060183A1 (ja) 2017-04-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6151378B2 (ja) 太陽電池
JP6138968B2 (ja) 太陽電池
JP6286106B2 (ja) 太陽電池、及び、有機半導体用材料
JP7074676B2 (ja) ペロブスカイト太陽電池
JP2016178290A (ja) 太陽電池
JP2016178295A (ja) 太陽電池
JP5926467B1 (ja) 太陽電池
JP6876480B2 (ja) 太陽電池
JP6196685B2 (ja) 太陽電池
JP6078662B2 (ja) 太陽電池
JP5926466B1 (ja) 太陽電池
JP2016082003A (ja) 薄膜太陽電池の製造方法
JP2016082004A (ja) 太陽電池
JP2018164020A (ja) 太陽電池
JP2018170382A (ja) 太陽電池
BR112017007120B1 (pt) Célula solar

Legal Events

Date Code Title Description
A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20160308

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160329

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160421

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5926467

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151