JP5926178B2 - 向上したオフ速度を有するアプタマーを生成するための方法 - Google Patents

向上したオフ速度を有するアプタマーを生成するための方法 Download PDF

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Description

関連出願
[0001] この出願は2009年7月9日に出願された米国出願一連番号12/499,967の一部継続出願であり、それは2008年7月17日に出願された米国出願一連番号12/175,434の一部継続出願であり、それは2007年7月17日に出願された米国仮出願一連番号60/950,281、2007年7月17日に出願された米国仮出願一連番号60/950,293、2007年7月17日に出願された米国仮出願一連番号60/950,283、2008年2月26日に出願された米国仮出願一連番号61/031,420および2008年5月8日に出願された米国仮出願一連番号61/051,594に対して優先権を主張する。この出願は2007年1月16日に出願された米国出願一連番号11/623,580の一部継続出願でもある。これらの出願のそれぞれを本明細書にそのまま援用する。
発明の分野
[0002] 本開示は、1種類以上の目的の組織学的または細胞学的標的に高度に特異的であるオフ速度(off−rate)が遅いアプタマーの同定および使用を記述する。本開示は、これらのオフ速度が遅いアプタマーの組成およびそれらの選択のための方法を記述する。本開示は、検出法のための向上した官能性を有するアプタマー構築物も記述する。さらに、本開示は、これらの向上したアプタマーにより可能になる適用、例えば疾患状態の診断のためのマーカー特異的アプタマーを用いた組織学的および/または細胞学的標本中の1種類以上の特異的マーカーの同定を向上させるための方法を記述する。
[0003] 以下の記述は本開示に関連する情報の要約を提供するものであり、本明細書おいて提供される情報または参照される刊行物のいずれかが特許請求される発明に対する先行技術であることの容認ではない。
[0004] SELEXプロセスは標的分子に高い特異性で結合することができる核酸分子のインビトロ選択のための方法であり、“核酸リガンド”と題された米国特許第5,475,096号および“核酸リガンド”と題された米国特許第5,270,163号(WO91/19813も参照)において記述されており、そのそれぞれを本明細書に特に援用する。これらの特許は本明細書においてまとめてSELEX特許と呼ばれ、あらゆる望まれる標的分子に対するアプタマーを作るための方法を記述している。
[0005] 基本的なSELEXプロセスは、いくつかの特定の目的を達成するために改変されてきた。例えば、“構造に基づく核酸の選択のための方法”と題された米国特許第5,707,796号は、曲がった(bent)DNAのような特定の構造的特徴を有する核酸分子を選択するための、ゲル電気泳動と組み合わせたSELEXプロセスの使用を記述している。“テオフィリンおよびカフェインを識別する高親和性核酸リガンド”と題された米国特許第5,580,737号は、カウンターSELEXと呼ばれる、密接に関連する分子を識別することが可能な高度に特異的なアプタマーを同定するための方法を記述している。“指数関数的濃縮によるリガンドの系統的進化:溶液SELEX”と題された米国特許第5,567,588号は、標的分子に関する高い、および低い親和性を有するオリゴヌクレオチドの間の高度に効率的な分配を達成するSELEXに基づく方法を記述している。“HIV−RTおよびHIV−1 Revに対する核酸リガンド”と題された米国特許第5,496,938号は、SELEXが実施された後に向上したアプタマーを得るための方法を記述している。“指数関数的濃縮によるリガンドの系統的進化:化学S
ELEX(Chemi−SELEX)”と題された米国特許第5,705,337号は、アプタマーをその標的に共有結合させるための方法を記述している。“指数関数的濃縮によるリガンドの系統的進化:組織SELEX”と題された米国特許第6,376,424号は、特異的なマーカーの精製無しで細胞または組織特異的マーカーに対するアプタマーを生成するための方法を記述している。
[0006] そのSELEXプロセスは、そのリガンドに向上した特性、例えば向上したインビボでの安定性または向上した送達特性を与える修飾ヌクレオチドを含有する高親和性アプタマーの同定を含む。そのような修飾の例には、リボースおよび/またはホスフェートおよび/または塩基の位置における化学的置換が含まれる。修飾ヌクレオチドを含有する、SELEXプロセスで同定されたアプタマーが、“修飾ヌクレオチドを含有する高親和性核酸リガンド”と題された米国特許第5,660,985号において記述されており、それはピリミジンの5’および2’位において化学的に修飾されたヌクレオチド誘導体を含有するオリゴヌクレオチドを記述している。米国特許第5,580,737号(上記参照)は、2’−アミノ(2’−NH)、2’−フルオロ(2’−F)、および/または2’−O−メチル(2’−OMe)で修飾された1個以上のヌクレオチドを含有する高度に特異的なアプタマーを記述している。
[0007] SELEXプロセスのさらなる改変が米国特許第5,763,177号、米国特許第6,001,577号、および米国特許第6,291,184号において記述されており、そのそれぞれが“指数関数的濃縮による核酸リガンドの系統的進化:核酸リガンドの光選択および溶液SELEX”と題されており;例えば、“核酸リガンドの光選択”と題された米国特許第6,458,539号も参照。これらの特許は本明細書においてまとめて“光SELEX特許”と呼ばれ、標的分子に結合する、および/または標的分子と光架橋する、および/または標的分子を光不活性化することが可能な光反応性官能基を含有するアプタマーを選択するための様々なSELEX法を記述している。結果として得られる光反応性アプタマーは、光架橋アプタマーまたは光アプタマーと呼ばれる。
[0008] これらのSELEXおよび光SELEXプロセスは有用であるが、インビトロ選択技法から生じるアプタマーの向上した特性をもたらすプロセスに関する必要性が常に存在する。例えば、天然に生じるDNAまたはRNAヌクレオチドを用いて達成される結合親和性よりも優れた結合親和性で分子を標的化するアプタマー、およびそのようなアプタマーを生成するための方法に関する必要性が存在する。例えばインビトロアッセイ、診断、療法的または画像化適用のような多くの適用のため、アプタマー/標的親和性複合体からの遅い解離速度を有するアプタマーを産生することは有意義である。そのような試薬を生成するため、いくつかの技法が提案されている(例えば、WO99/27133およびUS2005/0003362参照)。しかし、これらの選択プロセスは、標的との速い会合速度論(すなわち速いオン速度(on−rate))を有する試薬の選択および標的との遅い解離(dissociation)速度論(例えば遅いオフ速度)を有する試薬の選択を識別しない。従って、オフ速度が遅いアプタマーの選択を有利にする一方で単に標的との速い会合速度を有するアプタマーの選択を阻害する新規のプロセスおよび技法に関する必要性が存在する。
[0009] 最後に、異なるビルトイン官能性を含むアプタマー構築物に関する必要性が存在する。これらの官能性には、固定化のためのタグ、検出のための標識、分離を促進する、または制御するための手段等も含まれてよい。
[0010] 細胞学は、細胞の形態、構造、およ部分構造の評価で構成され、診断の道具としてあらゆる体液または器官に適用することができる。標本は流体、例えば尿、胃液、痰、胸膜液、髄液、滲出液等の中に放出された細胞であってよく、または穿刺生検もしくは
吸引、擦過、もしくは細胞学用ブラシにより集められてよい。吸引生検はリンパ節、甲状腺、唾液腺、乳房、子宮内膜、または前立腺において実施されてよい。細胞学的評価は細胞器官の病変、細胞死(壊死、アポトーシス)、細胞の損傷および応答、細胞老化、アミロイド沈着症、自己免疫疾患を評価するために、ならびに癌を他の疾患状態から識別するために用いられる。
[0011] 組織学は、疾患状態の診断のための組織の形態および構造の評価で構成され、悪性腫瘍の同定は大部分が組織学的情報に基づく。体には上皮、結合組織、筋、および神経という4つの主な組織のカテゴリーが存在する。組織の特徴を直接顕微鏡的に可視化することは、組織試料の厚さのために難しい。従って、その後の分析のための組織試料の薄い代表的な切片の生成を可能にするための技法が開発されてきた。組織化学は細胞および組織の化学組成の研究であり、典型的には特異的な染色反応を用いて特定の構成要素を同定し、位置を特定する。
[0012] 細胞学および組織学の試料は共に免疫学的試薬を用いて評価されてきた。視覚化のための色素または他のシグナルを送る部分を導入するために、特異的なマーカーに対する抗体が用いられてきた。しばしば、その免疫学的方法は、その固定された試料をその免疫学的試薬に対して透過性にする追加の必要性のため、標準的な方法よりも過酷(harsher)であり、従ってその固定方法は人為的結果(artifact)の生成を防ぐためにそれに続く免疫染色と注意深く釣り合いを取られてよい。その抗体の大きさは固定された細胞および組織の中への拡散を制限する。その抗体のF部分は細胞または組織の構造物と非特異的に結合して間違った結果を生じる可能性がある。
[0013] 細胞学者および組織学者は最近、単一の集められた標本に対して実施される試験の数および範囲を増大させるよう求められている。これらの目標を成し遂げるためには、以下の特徴の1種類以上を提供することができる試薬を有するのが好都合であろう:(1)著しい試料の損傷無しに同じ試料に連続して適用される;(2)多数のプロセスの工程を低減または排除するように予め標識されている;(3)単一の切片からの多数の標的の検出のために同時に検出することができるいくつかの異なる色素または検出可能な部分で予め標識されている;(4)下記で記述するような抗原修復プロセスに関する必要性を排除する;(5)透過処理プロセスを低減または排除する;(6)非標的との非特異的結合を低減または排除する;(7)標識の位置を安定化する;および(8)組織を通って迅速に拡散して速やかな標的の染色を促進する。オフ速度が遅いアプタマーは、(1)それらが化学的に合成されたものであるため、より一貫性があり信頼できる試薬;(2)低減した貯蔵必要条件を有する化学的に堅牢な(robust)試薬;および標的の新規タンパク質に対する結合試薬の迅速かつハイスループットな発見の提供に加えて、これらの必要性の全てに取り組むことができるであろう。
米国特許第5,475,096号 米国特許第5,270,163号 WO91/19813 米国特許第5,707,796号 米国特許第5,580,737号 米国特許第5,567,588号 米国特許第5,496,938号 米国特許第5,705,337号 米国特許第6,376,424号 米国特許第5,660,985号 米国特許第5,763,177号 米国特許第6,001,577号 米国特許第6,291,184号 米国特許第6,458,539号 WO99/27133 US2005/0003362
[0014] 本開示は、新規アプタマーならびにそのようなアプタマーを生成する、および使用する方法を記述する。特に、本開示は、オフ速度が遅い(解離速度が遅い)アプタマー、C−5修飾ピリミジンを含有するオフ速度が遅いアプタマー、および希釈により、競合剤の添加により、または両方のアプローチの組み合わせによりオフ速度が遅いアプタマーを選択するためのプロセスを記述する。加えて、タンパク質およびペプチドのような様々な標的に対するオフ速度が遅いアプタマーを記述する。独特の構造的特徴および融解温度を有するオフ速度が遅いアプタマーも記述する。本開示は、光反応性官能基を有するオフ速度が遅いアプタマー、ポリアニオン性物質の存在に対して難分解性であるアプタマー、およびこれらのアプタマーに関する選択プロセス、ならびに様々な適用においてそれらの有用性を向上させるための様々な他の官能性を伴って構築されたアプタマーも記述する。
[0015] 本開示は、1種類以上の目的の標的に結合可能なアプタマーを生成するための向上したSELEX法を記述する。より具体的には、本開示は、以前のSELEX法で得られたアプタマーおよび光アプタマーよりも遅いそれぞれの標的からの解離速度を有するアプタマーおよび/または光アプタマーを生成するための方法を記述する。一般的に、候補混合物を標的と接触させ、そして核酸−標的複合体の形成が起こるのを可能にした後、遅いオフ速度の濃縮プロセスを導入し、ここで、速い解離速度を有する核酸−標的複合体は解離して再形成されず、一方で遅い解離速度を有する複合体は完全なままであろう。遅いオフ速度の濃縮プロセスを導入するための方法には、核酸および標的の混合物への競合剤分子の添加、その核酸および標的分子の混合物の希釈、またはこれらの両方の組み合わせが含まれるが、それらに限定されない。本開示はさらに、これらの方法を用いて得られるアプタマーおよび光アプタマーを記述する。
[0016] 1態様において、その方法は、核酸の候補混合物を調製し;その候補混合物を標的と接触させ、ここで、その標的に対して最高の相対的親和性を有する核酸が優先的にその標的に結合して核酸−標的複合体を形成し;遅いオフ速度の濃縮プロセスを導入して、比較的速い解離速度を有する核酸−標的分子複合体の解離を誘導し;候補混合物において、未結合(free)核酸から、残っている結合した核酸−標的複合体を分配し;そしてその標的に結合した核酸を同定することを含む。そのプロセスにはさらに、その標的に結合する核酸を増幅して、標的分子に結合し、さらに、遅い解離速度を有する核酸−標的分子複合体を生成する核酸が濃縮された核酸の混合物を得る反復工程が含まれてもよい。
[0017] 別の態様において、核酸の候補混合物には、遅い解離速度を有する修飾された核酸−標的複合体の形成を助けることができる修飾ヌクレオチド塩基を含有する核酸が含まれる。光活性基もしくは他の官能基を含有するヌクレオチド、または光活性基のための位置維持基(placeholders)を含有するヌクレオチドを含む修飾ヌクレオチドを用いてSELEXを実施するための向上した方法が“向上したSELEXおよび光SELEX”と題された、2008年7月17日に出願された米国出願一連番号12/175,388において開示されており、それを本明細書にそのまま援用する。位置維持ヌクレオチドは、光反応性ではない修飾ヌクレオチドのSELEX中またはSELEX後導入のために用いられてもよい。
[0018] 本明細書で記述される様々な方法および工程を用いて、(1)標的に結合可能であるかまたは(2)標的に結合し、続いてUVもしくは可視スペクトルの光を照射された際に標的と共有結合を形成可能であるかのどちらかであるアプタマーを生成することができる。
[0019] 別の観点において、本明細書で記述される様々な方法および工程を用いて、標的への結合および/または架橋を通して標的の生理活性を修飾することができるアプタマーを生成することができる。1態様において、特定の疾患プロセスに関係がある、または関連する独特の標的に対するアプタマーが同定される。このアプタマーをインビトロまたはインビボのどちらかで診断試薬として用いることができる。別の態様において、疾患状態と関係がある標的に対するアプタマーは個体に投与され、インビボで疾患を処置するために用いられてよい。本明細書で同定されるアプタマーおよび光アプタマーは、限定では無いがアプタマー、オリゴヌクレオチド、抗体およびリガンドを使用することができるあらゆる診断、画像化、ハイスループットスクリーニングまたは標的検証技法または手順またはアッセイにおいて用いることができる。例えば、本明細書で同定されるアプタマーおよび光アプタマーを、“試験試料の多重分析”と題された、2008年7月17日に出願された米国出願一連番号12/175,446において詳細に記述されている方法に従って用いることができ、それを本明細書にそのまま援用する。
[0020] 様々な態様は、細胞学的および/または組織学的試料中の特異的な標的の同定および視覚化のための、ならびに組織学/細胞学の試薬としてのオフ速度が遅いアプタマーの有用性を記述する。1態様において、1種類以上のオフ速度が遅いアプタマーが、細胞または組織試料の細胞学的または組織学的評価において前記の細胞または組織試料中の1種類以上の可能性のある標的を検出するために用いられる。その細胞学的または組織学的評価は以下のことを含む:a)細胞または組織試料を得て、前記の試料を複数の細胞試料分割量(aliquots)または調製物または組織切片に分割し;b)第1の細胞試料調製物または組織切片を標的に対するオフ速度が遅いアプタマーを含む溶液と接触させ;c)場合により、工程b)で得られた結果を、第2の細胞試料分割量または組織切片を前記のオフ速度が遅いアプタマーを欠いた工程b)におけるような溶液と反応させることにより調製された陰性対照と比較し;そしてd)前記のオフ速度の遅いアプタマーを前記の標的の存在または非存在の指標として検出する。
[0021] 1態様において、オフ速度が遅いアプタマーは、診断的適用において、場合により固定された細胞または組織試料からの1種類以上の標的に関して、その特定の細胞または組織における使用のために選択される。従って、オフ速度が遅いアプタマーは、固定された立体構造において(それが架橋されていようが、またはそうでなければ修飾されていようが)、およびなされる診断に特有の細胞/組織環境において、その標的を特異的に認識するであろう。従って、抗原修復プロセスは不要であろう。
[0022] 別の態様において、オフ速度が遅いアプタマーは、その細胞学的または組織学的試料の内部でそのオフ速度が遅いアプタマー(単数または複数)をそれの(それらの)特異的な標的(単数または複数)に架橋結合させるために用いることができる光反応性の、または化学的に反応性の部分を用いて生成される。そのオフ速度が遅いアプタマーとその特異的な標的の間で共有結合を作る能力は、組織学的または細胞学的調製において必要とされる試料の処理の工程を通した標的に特異的な検出可能部分の保持を促進することができる。
[0023] 他の態様は、抗体よりも実質的に小さく、細胞または組織試料中で向上した分散能力を有しているはずであるオフ速度が遅いアプタマーに頼っている。さらに他の態様
は、細胞および組織試料に対してなされる損傷を低減することができ、実質的に染色プロセスを速めることもできるであろう多数のプロセス工程の排除に頼っている。
[0024] さらに多くの態様は、単一のスライドからの多数の標的をその対応する特異的なオフ速度が遅いアプタマーを用いて分析することを含み、それは廃棄物、処理時間、結果までの時間を低減し、あらゆるその後の試験の必要または記録保管目的(archival purposes)のために元の標本を保存するであろう。一部の態様において、これらの多数のオフ速度が遅いアプタマーをそれらの対応する標的と連続的な様式で接触させる。他の態様において、これらの多数のオフ速度が遅いアプタマーをそれらの対応する標的と同時の様式で接触させる。1態様において、その1種類以上のオフ速度が遅いアプタマーはそれぞれ異なる検出可能部分を用いて生成される。
[0025] 別の態様において、組織学的または細胞学的試料中で標的に特異的なオフ速度が遅いアプタマーの検出により同定された1種類以上の標的(単数または複数)の存在は、疑わしい腫瘍のタイプおよび起源の判別のために用いることができる。これらの標的には腫瘍特異的マーカーおよび組織特異的マーカー、例えばホルモン類またはサイトケラチン類が含まれてよい。別の態様において、組織学的または細胞学的試料中で標的に特異的なオフ速度が遅いアプタマーの検出により同定された1種類以上の標的(単数または複数)の存在は、適切な療法剤の選択のために、および可能性のある結果を評価するために用いられてよい。
[0026] 1態様において、組織学的または細胞学的評価の工程a)およびb)は以下の工程の1つ以上を含んでいてよい:細胞または組織試料の収集、その細胞または組織試料の固定、脱水、透徹(clearing)、その細胞または組織試料の顕微鏡スライド上での固定化、その細胞または組織試料の透過処理、抗原修復のための処理、染色、脱染、洗浄、およびブロッキング。1態様において、その細胞試料は細胞のブロックから生成される。1態様において、組織試料に関する固定および脱水工程は凍結工程で置き換えられる。
[0027] 1態様において、1種類以上のオフ速度が遅いアプタマーを染色工程の前に組織学的または細胞学的試料と接触させる。別の態様において、検出可能な部分/標識、例えば蛍光団(fluorophore)または色素を含有する1種類以上のオフ速度が遅いアプタマーを、その標的分子を染色するために組織学的または細胞学的試料と接触させる。
[0028] 1態様において、組織学的または細胞学的評価における使用のための1種類以上のオフ速度が遅いアプタマーは、さらにブロッキング物質、競合剤、界面活性剤、安定剤、キャリヤー核酸、ポリ陰イオン性物質等を含んでいてよい緩衝された溶液中で混合される。
[0029] 別の態様において、組織学的または細胞学的試料と接触した1種類以上のオフ速度が遅いアプタマーは、核酸増幅法における核酸標的として働くことができる。その核酸増幅法にはPCR、q−ベータレプリカーゼ、ローリングサークル増幅、鎖置換、ヘリカーゼ依存性の増幅、ループに仲介される等温増幅、リガーゼ連鎖反応、ならびに制限および環状化に助けられるローリングサークル増幅が含まれてよい。
[0030] 1態様は特定の疾患状態の診断のための方法を記述し、前記の方法は以下のことを含む:a)組織または細胞試料を得て、前記の試料を複数の組織切片または細胞調製物に分割し;b)前記の組織切片または細胞調製物の1つを、前記の組織または細胞試料の内部に含有される1種類以上の標的に対する1種類以上のオフ速度が遅いアプタマーを
含む溶液と接触させ;c)場合により、工程b)で得られた結果を、第2の組織切片または細胞調製物を前記のオフ速度が遅いアプタマー(単数または複数)を欠いた工程b)におけるような溶液と接触させることにより調製された陰性対照と比較し;d)場合により、工程b)で得られた結果を、その組織または細胞型および疾患状態に適した形態学的分析のために前記の第3の組織切片または細胞調製物を染色することにより調製された第3の組織切片または細胞調製物と比較し;そしてe)前記の疾患状態を診断する。
[0031] 1態様において、その1種類以上のオフ速度が遅いアプタマーは検出可能部分を用いて生成され、それらのそれぞれの標的(単数または複数)との反応の後、未反応のオフ速度が遅いアプタマー(単数または複数)を除去するための任意の洗浄工程の後直接検出することができる。他の態様において、その1種類以上のオフ速度が遅いアプタマーのそれらのそれぞれの標的(単数または複数)との相互作用は、シグナルの生成を支持するための要素の2種類の構成要素が反応した後検出される。
[0032] 別の態様において、そのオフ速度が遅いアプタマーは、任意の固定された組織または細胞標本を用いて選択、同定、生成、および/または合成される。SELEXプロセスの前に、その固定された組織を、試料の膜を透過性にするために、染色プロセスにおいて用いられる方法と同等の方法により処理してよい。SELEXプロセスにおいて用いられる固定の方法は、実際の組織学的/細胞学的手順で組織または細胞試料に対して用いられる固定方法と同じものであってよい。そのオフ速度が遅いアプタマーがそれに対して特異的である標的は、分析される試料中に存在するであろう固定された立体構造で、選択プロセスにおいてアプタマーライブラリーに提示される必要がある。
[0033] 別の態様において、組織学的または細胞学的試料中でその同族のオフ速度が遅いアプタマーの存在により検出される標的は、その療法計画の設計を導くために、または利用可能な療法計画に対する可能性のある応答を予測するために用いられてよい。
[0034] 1態様において、アプタマー試薬を用いる様々な組織化学および細胞学の適用のためのキットを、本明細書で開示される方法に基づいて調製することができる。
[0035] 図1は、組織学的スライドに関するいくつかの異なる染色、染色される物質およびその染色される物質の予想される色を図説する。 [0035] 図1は、組織学的スライドに関するいくつかの異なる染色、染色される物質およびその染色される物質の予想される色を図説する。 [0036] 図2は、遅いオフ速度の濃縮プロセスを組み込む工程を含む例示的なSELEX法を図説する。 [0037] 図3は、本開示において用いられる代表的なアプタマーの鋳型、プライマー、および相補的オリゴヌクレオチド配列を図説する。そのオリゴヌクレオチドは標準的固相合成技法により調製された。B=dT−ビオチン。 [0038] 図4は、実施例2で記述されるような遅いオフ速度の濃縮プロセスを含まずに(図4A)、および含んで(図4B)選択された親和性アプタマーに関する解離速度定数のヒストグラムを図説する。 [0039] 図5Aおよび5Bは、実施例2で記述される選択プロセスにおいて、候補混合物を調製する、または様々な工程を実施するために用いられたオリゴヌクレオチドを示す。そのオリゴヌクレオチドは標準的固相合成技法により調製された。BrdU(5−ブロモ−dUTP)、アントラキノン(AQ)、およびソラレン(Psor)発色団をホスホロアミダイトとして購入し、合成の間に順方向プライマーの5’末端に添加した。4−アジド−2−ニトロ−アニリン(ANA)をパラ−ニトロ−フェニルカーボネート誘導体として調製し、合成後に5’ヘキシルアミンホスホロアミダイトにカップリングさせた。この実施例では、1および2と称される2種類の候補混合物配列を用いた。B=dT−ビオチン。鋳型1(図5A)は5’−BrdU、AQ、およびANAを含有する候補混合物と共にのみ用いられた。鋳型2(図5B)は実施例2に関して5’−Psorを含有する候補混合物と共にのみ用いられた。 [0039] 図5Aおよび5Bは、実施例2で記述される選択プロセスにおいて、候補混合物を調製する、または様々な工程を実施するために用いられたオリゴヌクレオチドを示す。そのオリゴヌクレオチドは標準的固相合成技法により調製された。BrdU(5−ブロモ−dUTP)、アントラキノン(AQ)、およびソラレン(Psor)発色団をホスホロアミダイトとして購入し、合成の間に順方向プライマーの5’末端に添加した。4−アジド−2−ニトロ−アニリン(ANA)をパラ−ニトロ−フェニルカーボネート誘導体として調製し、合成後に5’ヘキシルアミンホスホロアミダイトにカップリングさせた。この実施例では、1および2と称される2種類の候補混合物配列を用いた。B=dT−ビオチン。鋳型1(図5A)は5’−BrdU、AQ、およびANAを含有する候補混合物と共にのみ用いられた。鋳型2(図5B)は実施例2に関して5’−Psorを含有する候補混合物と共にのみ用いられた。 [0040] 図6は、図5Aおよび5Bにおいて図説されているような順方向プライマーの5’末端にカップリングした発色団の化学構造を図説する。 [0040] 図6は、図5Aおよび5Bにおいて図説されているような順方向プライマーの5’末端にカップリングした発色団の化学構造を図説する。 [0041] 図7は、実施例3において記述されているような5’固定光SELEXを用いるTIMP−3 5’ANA/BndU濃縮ライブラリーの架橋活性のPAGE分析を図説する。ゲルは、未結合アプタマー(A)、分子内で架橋されたアプタマー(A )、および架橋されたタンパク質:アプタマー複合体(P:A)の分離を図説する。 [0042] 図8は、それに関してアプタマーが同定されている500を超える標的のチャートである。これらのアプタマーの多くは、それらのそれぞれの標的からの遅い解離速度を有するように設計された。 [0042] 図8は、それに関してアプタマーが同定されている500を超える標的のチャートである。これらのアプタマーの多くは、それらのそれぞれの標的からの遅い解離速度を有するように設計された。 [0042] 図8は、それに関してアプタマーが同定されている500を超える標的のチャートである。これらのアプタマーの多くは、それらのそれぞれの標的からの遅い解離速度を有するように設計された。 [0042] 図8は、それに関してアプタマーが同定されている500を超える標的のチャートである。これらのアプタマーの多くは、それらのそれぞれの標的からの遅い解離速度を有するように設計された。 [0042] 図8は、それに関してアプタマーが同定されている500を超える標的のチャートである。これらのアプタマーの多くは、それらのそれぞれの標的からの遅い解離速度を有するように設計された。 [0043] 図9A〜図9Dは、固定化タグ、標識、光架橋部分、スペーサー、および遊離可能部分を含む、様々な異なる、および任意の官能性を含有するアプタマー構築物を図説する。 [0044] 図10A〜図10Fは、切断可能または遊離可能要素、タグ(例えばビオチン)、スペーサー、および標識(例えばCy3)を含むアプタマー構築物の例を図説する。 [0044] 図10A〜図10Fは、切断可能または遊離可能要素、タグ(例えばビオチン)、スペーサー、および標識(例えばCy3)を含むアプタマー構築物の例を図説する。 [0044] 図10A〜図10Fは、切断可能または遊離可能要素、タグ(例えばビオチン)、スペーサー、および標識(例えばCy3)を含むアプタマー構築物の例を図説する。 [0044] 図10A〜図10Fは、切断可能または遊離可能要素、タグ(例えばビオチン)、スペーサー、および標識(例えばCy3)を含むアプタマー構築物の例を図説する。 [0044] 図10A〜図10Fは、切断可能または遊離可能要素、タグ(例えばビオチン)、スペーサー、および標識(例えばCy3)を含むアプタマー構築物の例を図説する。 [0044] 図10A〜図10Fは、切断可能または遊離可能要素、タグ(例えばビオチン)、スペーサー、および標識(例えばCy3)を含むアプタマー構築物の例を図説する。 [0045] 図11は、本開示で記述されるアプタマーおよびプライマー構築物を図説する。Cy3はシアニン3色素、PCは光切断可能なリンカー、ANAは光反応性架橋基、(AB)はdA残基により分離されたビオチン残基の対、そして(T)はポリdTリンカーを表す。プライマー構築物は、アプタマー構築物の完全な3’固定領域に相補的である。 [0046] 図12A〜12Cは、3種類の異なる標的に関する伝統的なアプタマーに対するオフ速度が遅いアプタマーに関する用量反応曲線を図説する。 [0046] 図12A〜12Cは、3種類の異なる標的に関する伝統的なアプタマーに対するオフ速度が遅いアプタマーに関する用量反応曲線を図説する。 [0046] 図12A〜12Cは、3種類の異なる標的に関する伝統的なアプタマーに対するオフ速度が遅いアプタマーに関する用量反応曲線を図説する。 [0047] 図13Aおよび13Bは、標的がペプチドであったオフ速度が遅いアプタマーに関する性能曲線を図説する。 [0047] 図13Aおよび13Bは、標的がペプチドであったオフ速度が遅いアプタマーに関する性能曲線を図説する。 [0048] 図14は、この開示に含まれるヌクレオチドの塩基修飾を記述している。用いられてよいR基を、そのヌクレオチドの結合点とそのR基の間で用いられてよいリンカー(X)に加えて記述する。様々な“R”基に関する結合の位置もそれぞれのR基上に示す。 [0048] 図14は、この開示に含まれるヌクレオチドの塩基修飾を記述している。用いられてよいR基を、そのヌクレオチドの結合点とそのR基の間で用いられてよいリンカー(X)に加えて記述する。様々な“R”基に関する結合の位置もそれぞれのR基上に示す。 [0049] 図15は、C−5修飾ピリミジンを含有するオフ速度が遅いアプタマーのトロンビンに対する結合定数の決定において用いられたプロットを図説する。 [0050] 図16は、5’−ビオチンタグ、脱塩基スペーサーおよびCy3標識を含むアプタマー構築物を図説する。この構築物は、実施例9〜11で記述されるアプタマーの合成において用いられた。 [0051] 図17Aは、100nM Cy3−HER2アプタマー+1nM デキストラン硫酸で染色したHER2陽性浸潤性腺管癌の組織を図説する。核はDAPIで対比染色されている。図17Bは、図17Aにおけるものと同じ試料からの拡大されたCy3チャンネルの逆重畳積分を図説しており、膜性のアプタマーの位置を示している。図17Cは、100nM Cy3−HER2アプタマー+1nM デキストラン硫酸で染色したHER2陰性乳房腫瘍を図説する。核はDAPIで対比染色されている。 [0052] 図18Aは、競合剤の非存在下でCy3−HER2アプタマーで染色したHER2陽性乳癌組織を図説する。図18Bは、緩衝液での洗浄および1mMデキストラン硫酸との30分間の保温の後の図18Aにおけるような腫瘍組織を図説する。 [0053] 図19A〜Cは、以下の条件の下で1mMデキストラン硫酸の存在下でCy3−HER2アプタマーで染色したHER2 IHC3+の浸潤性腺管癌の凍結切片を図説する:1分間(図19A)、5分間(図19B)および30分間(図19C)の染色時間において[アプタマー]=100nM、ならびに1分間の染色時間において[アプタマー]=1μM(図19D)。 [0054] 図20Aは、HER2 SOMAマー(SOMAmer)が1mMデキストラン硫酸の存在下で解離した際の核の蛍光を図説する。示したデータはn=5の核に関する平均+/−SDであり、非線形回帰からの曲線の当てはめを含む。分かりやすくするために5番目の時点ごとに示す。図20Bは、SOMAマーが1mMデキストラン硫酸および100nM非蛍光HER2 SOMAマーの存在下で解離した際の膜の蛍光を図説する。示したデータは、着目したn=5の領域に関する平均+/−SDであり、非線形回帰からの曲線の当てはめを含む。 [0055] 図21Aは、100nM Cy3 EGFRアプタマー3138−49+1mMデキストラン硫酸で染色した正常な皮膚を図説しており;核はDAPIで対比染色されている。図21Bは、100nM Cy3 EGFRアプタマー3159−1+1mMデキストラン硫酸で染色した正常な皮膚を図説しており、核はDAPIで対比染色されている。図21Cは、100nMビオチン化EGFRアプタマー3159−1+1mMデキストラン硫酸による正常な皮膚の染色を図説しており、ストレプトアビジン−ホースラディッシュペルオキシダーゼにより検出した。 [0056] 図22Aは、ヒト前立腺組織における標準的な抗体免疫蛍光を図説する。図22Bは、20nM Qdot605−PSAアプタマー+1mMデキストラン硫酸で染色した前立腺組織を図説しており、核はDAPIで対比染色されている。図22Cは、拡大された、DAPI対比染色無しの、図22Bにおけるような前立腺組織におけるPSAのアプタマー染色を図説する。図22Dは、DAPI染色有り(図22D)および無し(図22E)での、図22BおよびCにおけるような前立腺組織を図説する。
[0057] 本明細書で開示される本発明の実施は、別途示さない限り、当技術分野の技術レベル内の化学、微生物学、分子生物学、および組換えDNA技法の一般に行われる方法を用いる。そのような技法は文献において完全に説明されている。例えば、SambrookらのMolecular Cloning: A Laboratory Manual(現行版);DNA Cloning: A Practical Approach, vol. IおよびII(D. Glover監修);Oligonucleotide Synthesis(N. Gait監修、現行版);Nucleic Acid Hybridization(B. HamesおよびS. Higgins監修、現行版);Transcription and Translation(B. HamesおよびS. Higgins監修、現行版;Histology for Pathologists(S.E. Mills、現行版)を参照。この明細書において引用されるすべての刊行物、公開された特許文書、および特許出願は、本発明が属する当技術分野(単数または複数)の技術のレベルを示す。本明細書で引用されるすべての刊行物、公開された特許文書、および特許出願は、あたかもそれぞれの個々の刊行物、公開された特許文書、または特許出願を具体的に、かつ個別に援用することを示したのと同じ程度まで本明細書に援用される。
[0058] 付随する請求項を含めて、この明細書で用いられる際、単数形“a”、“an”、および“the”には、内容が明確に別途指示しない限り、複数の言及も含まれ、“少なくとも1つ”および“1つ以上”と互換的に用いられる。従って、“アプタマー(単数)”への言及にはアプタマー(複数)の混合物が含まれ、“プローブ(単数)”への言及にはプローブ(複数)の混合物が含まれる、などである。
[0059] 本明細書で用いられる際、用語“約”は、数値が関連する項目の基本的な機能が変わらないような、数値の重要でない修正または変動を表す。
[0060] 本明細書で用いられる際、“含む(comprises)”、“含むこと(comprising)”、“含まれる(includes)”、“含まれること(including)”、“含有する(contains)”、“含有すること(containing)”、およびそれらのあらゆる変形は、非排他的な包含を含むことが意図されており、従って、要素もしくは要素のリストを含む、要素もしくは要素のリストが含まれる、または要素もしくは要素のリストを含有する、問題のプロセス、方法、プロダクトバイプロセス、または組成物には、それらの要素のみが含まれるのでなく、問題のそのようなプロセス、方法、プロダクトバイプロセス、または組成物に明確に列挙されていない、または本来備わっていない他の要素も含まれてよい。
[0061] 本明細書で用いられる際、“核酸リガンド”、“アプタマー”および“クローン”は互換的に用いられ、標的分子に対して望ましい作用を有する、または有する可能性がある非天然存在核酸を指す。望ましい作用には標的の結合、標的の触媒的変化、標的または標的の機能的活性を修正する、または変化させる方式での標的との反応、(自殺阻害剤におけるような)標的への共有結合および標的と別の分子の間の反応の促進が含まれるが、それらに限定されない。1態様において、その作用は標的分子に関する特異的結合親和性であり、そのような標的分子は主にワトソン/クリック塩基対形成または三重鎖らせん結合に依存しない機構によりアプタマーに結合するポリヌクレオチド以外の三次元化学構造であり、ここでそのアプタマーは標的分子に結合される既知の生理的機能を有する核酸では無い。アプタマーには、以下の:(a)その候補混合物をその標的と接触させ、ここで、その候補混合物中で他の核酸と比較してその標的に対して増大した親和性を有する核酸をその候補混合物の残りの部分から分配してよく;(b)その親和性が増加した、および/またはオフ速度が遅い核酸をその候補混合物の残りの部分から分配し;そして(c)その親和性が増加したオフ速度が遅い核酸を増幅して核酸のリガンド濃縮混合物を得て、それによりその標的分子に対するアプタマーを同定することを含む方法により核酸の候補混合物から同定される核酸が含まれ、そのアプタマーは所与の標的のリガンドである。親和性相互作用は程度の問題であることが認識されている;しかし、この文脈では、それの標的に関するアプタマーの“特異的結合親和性”は、そのアプタマーが混合物または試料中の他の非標的構成要素に結合するよりも一般にはるかに高い程度の親和性でそれの標的に結合することを意味する。“アプタマー(単数)”または“核酸リガンド”は、特定のヌクレオチド配列を有する核酸分子の1つのタイプまたは種のコピーのセットである。アプタマーにはあらゆる適切な数のヌクレオチドが含まれ得る。“アプタマー(複数)”は、1個より多くのそのような分子のセットを指す。異なるアプタマーは、同じ数または異なる数のどちらかのヌクレオチドを有してよい。アプタマーはDNAまたはRNAであってよく、一本鎖、二本鎖であってよく、または二本鎖領域を含有していてよい。
[0062] 本明細書において、“遅いオフ速度”または“遅い解離の速度”または“遅い解離速度”は、アプタマー/標的複合体が解離し始めるのにかかる時間を指す。これは、半減期、t1/2、またはアプタマー/標的複合体の50%が解離した時点として表すことができる。t1/2値として表される、オフ速度が遅いアプタマーのオフ速度または解離速度は、約15分以上、約30分以上、約60分以上、約90分以上、約120分以上、約150分以上、約180分以上、約210分以上、および約240分以上であることができる。
[0063] 1態様において、核酸の合成ライブラリーを生成するための方法は以下のことを含む:1)核酸を合成し;2)その核酸を脱保護し;3)その核酸を精製し;そして4)その核酸を分析する。合成工程において、単量体混合物を調製し、ここで、最終産物においてそれぞれのヌクレオチドの等しい比率をもたらすように、その混合物中の様々なヌクレオチドの比率を最適化する。その混合物中の単量体の1種類以上が修飾ヌクレオチドを含んでいてよい。この手順においてアミダイト保護基が用いられ、1態様においてその
単量体の濃度は0.1Mである。合成の間、産物核酸において5’保護基が保持される。合成は固体支持体(調節孔ガラス、CPG)上で行われ、少なくとも約80サイクルを完了して最終産物を合成する。
[0064] 合成プロセスの後、その核酸産物を脱保護する。1.0M水性リジン緩衝液、pH9.0を用いて脱プリン塩基部位を切断し、一方でその産物を支持体(調節孔ガラス、CPG)上に保持する。これらの切断された切り詰められた(truncated)配列を脱イオン(dI)水で2回洗い流す。その2回の洗浄の後、脱保護工程のための準備において、500μLのdI水を添加する。この工程には1.0mLのt−ブチルアミン:メタノール:水、1:1:2を用いた70℃で5時間の処理が含まれ、続いて凍結、ろ過、および蒸発乾固を行う。その核酸産物を、PRP−3 HPLCカラム(Hamilton)上で保護基の疎水性に基づいて精製する。適切なカラム画分を集めてプールし、脱塩し、蒸発乾固させて揮発性溶離緩衝液を除去する。その最終産物を遠心分離プロセスにより水で洗浄し、次いで再懸濁する。最後に、再懸濁された物質を処理して最終産物を脱保護する。最終産物を塩基組成、プライマー伸張、および配列決定ゲルにより特性付けする。
[0065] 固相を用いた酵素的方法により核酸の候補混合物または核酸のライブラリーを生成することもできる。1態様において、この方法は上記と同じ基本的工程を含む。この場合、目的はアンチセンスライブラリーの合成であり、これらのライブラリーは5’ビオチン修飾を伴って生成される。全ての残りの合成プロセスは上記の通りである。一度合成ライブラリーを調製したら、その核酸を古典的プライマー伸張法において1種類以上の修飾ヌクレオチドを含有するプライマー伸張混合物中で用いて、最終候補混合物を生成することができる。
[0066] アプタマーはライブラリーの合成に用いられるのと同じ化学により合成することができる。しかし、ヌクレオチドの混合物の代わりに、合成のそれぞれの工程で1種類のヌクレオチドを導入し、型にはまった方法により生成される最終的な配列を制御する。配列中の望まれる位置において、合成プロセスの中に修飾ヌクレオチドを導入してよい。必要に応じて、ヌクレオチドの既知の化学修飾を用いて他の官能性を導入してよい。
[0067] 本明細書で用いられる際、“候補混合物”は、それから望まれるリガンドが選択される、異なる配列の核酸の混合物である。候補混合物の源は、天然存在核酸もしくはその断片、化学的に合成された核酸、酵素的に合成された核酸、または前述の技法の組み合わせにより作製された核酸からのものであることができる。修飾ヌクレオチド、例えば光反応基または他の修飾を有するヌクレオチドをその候補混合物の中に組み込むことができる。加えて、SELEXプロセスを用いて候補混合物を生成することができ、すなわち、第1のSELEXプロセス実験を用いてリガンドが濃縮された核酸の混合物を生成することができ、それが第2のSELEXプロセス実験において候補混合物として用いられる。候補混合物は、1種類以上の一般的な構造モチーフを有する核酸を含むこともできる。本明細書において用いられる際、候補混合物は時々“プール”または“ライブラリー”とも呼ばれる。例えば、“RNAプール”はRNAで構成される候補混合物を指す。
[0068] 様々な態様において、候補混合物中のそれぞれの核酸は、増幅プロセスを容易にするために、ランダム化領域のどちらかの側に固定された配列を有していてよい。核酸の候補混合物中の核酸はそれぞれさらに、増幅プロセスの間の高分子量パラサイトの形成を防ぐために、それらの5’および3’末端に固定された領域または“テール”配列を含むことができる。
[0069] 本明細書で用いられる際、“核酸”、“オリゴヌクレオチド”、および“ポリ
ヌクレオチド”はあらゆる長さのヌクレオチドのポリマーを指して互換的に用いられ、そのようなヌクレオチドにはデオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、および/または類似体または化学的に修飾されたデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドが含まれてよい。用語“ポリヌクレオチド”、“オリゴヌクレオチド”、および“核酸”には二本鎖または一本鎖の分子および三重らせん分子が含まれる。
[0070] 存在する場合、ヌクレオチドの化学的修飾には、単独でまたはあらゆる組み合わせで、2’位糖修飾、5位ピリミジン修飾(例えば5−(N−ベンジルカルボキシアミド)−2’−デオキシウリジン、5−(N−イソブチルカルボキシアミド)−2’−デオキシウリジン、5−(N−トリプタミノカルボキシアミド)−2’−デオキシウリジン(5−(N−tryptaminocarboxyamide)−2’−deoxyuridine)、5−(N−[1−(3−トリメチルアンモニウム)プロピル]カルボキシアミド)−2’−デオキシウリジンクロリド、5−(N−ナフチルカルボキシアミド)−2’−デオキシウリジン、または5−(N−[1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)]カルボキシアミド)−2’−デオキシウリジン)、環外アミンでの修飾、4−チオウリジンの置換、5−ブロモまたは5−ヨードウラシルの置換、主鎖修飾、メチル化、異常な塩基対形成の組み合わせ、例えばイソ塩基(isobases)、イソシチジンおよびイソグアニジン、および同様のものが含まれ得る。
[0071] 1態様において、用語“C−5修飾ピリミジン”はC−5位に修飾を有するピリミジンを指し、図14において図説されているそれらの部分が含まれるが、それらに限定されない。C−5修飾ピリミジンの例には、米国特許第5,719,273号および第5,945,527号において記述されているC−5修飾ピリミジンが含まれる。C−5修飾の例には、C−5位のデオキシウリジンの、すぐ下で図説されているような以下のものから選択される置換基による置換が含まれる:ベンジルカルボキシアミド(あるいはベンジルアミノカルボニル)(Bn)、ナフチルメチルカルボキシアミド(あるいはナフチルメチルアミノカルボニル)(Nap)、トリプタミノカルボキシアミド(あるいはトリプタミノカルボニル)(Trp)、およびイソブチルカルボキシアミド(あるいはイソブチルアミノカルボニル)(iBu)。
[0072] 上記で描写したように、代表的なC−5修飾ピリミジンには以下のものが含まれる:5−(N−ベンジルカルボキシアミド)−2’−デオキシウリジン(BndU)、5−(N−イソブチルカルボキシアミド)−2’−デオキシウリジン(iBudU)、5−(N−トリプタミノカルボキシアミド)−2’−デオキシウリジン(TrpdU)および5−(N−ナフチルカルボキシアミド)−2’−デオキシウリジン(NapdU)。
[0073] 修飾には、キャッピングまたはPEG化のような3’および5’修飾も含まれ得る。他の修飾には、類似体による天然存在ヌクレオチドの1個以上の置換、ヌクレオチド間修飾、例えば非荷電連結による修飾(例えばメチルホスホネート類、ホスホトリエステル類、ホスホアミデート類、カルバメート類等)および荷電連結による修飾(例えばホスホロチオエート類、ホスホロジチオエート類等)、インターカレーター(例えばアクリジン、ソラレン等)による修飾、キレート剤(例えば金属、放射性金属、ホウ素、酸化金属等)を含有する修飾、アルキル化剤を含有する修飾、ならびに修飾連結による修飾(例えばアルファアノマー核酸等)が含まれ得る。さらに、糖に通常存在するヒドロキシル基のいずれかを、ホスホネート基またはリン酸基により置換して;標準的な保護基により保護して;またはさらなるヌクレオチドへの、もしくは固体支持体へのさらなる連結を作るために活性化してよい。その5’および3’末端のOH基はリン酸化することができ、またはアミン類、約1から約20個までの炭素原子の有機性キャッピング基部分、もしくは約1から約20個までのポリエチレングリコール(PEG)ポリマーもしくは他の親水性もしくは疎水性の生物学的もしくは合成ポリマーの有機性キャッピング基部分で置換することができる。存在する場合、ヌクレオチド構造に対する修飾は、ポリマーの組み立ての前または後に与えられてよい。ヌクレオチドの配列は非ヌクレオチド構成要素により中断されてよい。ポリヌクレオチドは、重合の後に例えば標識化構成要素とのコンジュゲート化によりさらに修飾されてよい。
[0074] ポリヌクレオチドは当技術において一般的に知られているリボースまたはデオキシリボース糖類の類似型を含有することもでき、それには2’−O−メチル−、2’−O−アリル、2’−フルオロ−または2’−アジド−リボース、炭素環式糖類似体、α−アノマー糖類、エピマー糖類、例えばアラビノース、キシロース類またはリキソース類、ピラノース糖類、フラノース糖類、セドヘプツロース類、非環式類似体および脱塩基性ヌクレオシド類似体、例えばメチルリボシドが含まれる。上記で言及したように、1個以上のホスホジエステル連結を代わりの連結基により置換してよい。これらの代わりの連結基には、ホスフェートがP(O)S(“チオエート”)、P(S)S(“ジチオエート”)、(O)NR(“アミデート”)、P(O)R、P(O)OR’、COまたはCH(“ホルムアセタール”)により置換されている態様が含まれ、ここでそれぞれのRまたはR’は独立してHまたは場合によりエーテル(−O−)連結、アリール、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニルもしくはアラルジル(araldyl)を含有する置換もしくは非置換アルキル(1〜20C)である。ポリヌクレオチド中の全ての連結が同一である必要はない。糖類、プリン類、およびピリミジン類の類似型の置換は最終産物の設計において好都合である可能性があり、例えばポリアミド主鎖のような代わりの主鎖構造も好都合である可能性がある。
[0075] 1態様において、アプタマーの可変領域には修飾塩基を含むヌクレオチドが含まれる。特定の修飾アプタマーは、記述される方法、デバイス、およびキットのいずれにおいても用いられてよい。これらの修飾ヌクレオチドは、それらのそれぞれの標的からのオフ速度が非常に遅く、一方で標的に対して高い親和性を維持している新規アプタマーをもたらすことが示されている。1態様において、ピリミジン塩基のC−5位を修飾してよい。修飾塩基を有するヌクレオチドを含有するアプタマーは、天然存在ヌクレオチド(すなわち非修飾ヌクレオチド)のみを含む標準的なアプタマーの特性とは異なるいくつかの特性を有する。1態様において、ヌクレオチドの修飾のための方法にはアミド連結の使用が含まれる。しかし、他の適切な修飾のための方法が用いられてもよい。
[0076] 本明細書で用いられる際、“修飾核酸”は1個以上の修飾ヌクレオチドを含有する核酸配列を指す。一部の態様において、修飾ヌクレオチドがSELEXプロセスと適合することが望ましい可能性がある。
[0077] “ポリペプチド”、“ペプチド”、および“タンパク質”は、本明細書においてあらゆる長さのアミノ酸のポリマーを指して互換的に用いられる。そのポリマーは線状または分枝状であってよく、それは修飾アミノ酸を含んでいてよく、および/またはそれは非アミノ酸により中断されていてよい。その用語は、天然に、または介入により;例えばジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質付加、アセチル化、リン酸化、またはいずれかの他の操作もしくは修飾、例えば標識化構成要素とのコンジュゲート化により修飾されているアミノ酸ポリマーも含む。例えばアミノ酸の1種類以上の類似体(例えば非天然アミノ酸等を含む)、ならびに当技術において知られている他の修飾を含有するポリペプチドも、その定義内に含まれる。ポリペプチドは一本鎖または会合鎖(associated chains)であることができる。“マーカー”は標的分子、しばしばタンパク質を記述するために用いられ、それはそれに関して診断が望まれている特定の疾患または病気の特異的な指標または予測因子(predictor)である。
[0078] 本明細書で用いられる際、“光反応性ヌクレオチド”は、特定の波長の光の照射の際にタンパク質のような標的と光架橋することができるあらゆる修飾ヌクレオチドを意味する。例えば、光SELEXプロセスにより生成される光アプタマーには、以下のものから選択される光反応基が含まれ得る:5−ブロモウラシル(BrU)、5−ヨードウラシル(IU)、5−ブロモビニルウラシル、5−ヨードビニルウラシル、5−アジドウラシル、4−チオウラシル、5−ブロモシトシン、5−ヨードシトシン、5−ブロモビニルシトシン、5−ヨードビニルシトシン、5−アジドシトシン、8−アジドアデニン、8−ブロモアデニン、8−ヨードアデニン、8−アジドグアニン、8−ブロモグアニン、8−ヨードグアニン、8−アジドヒポキサンチン、8−ブロモヒポキサンチン、8−ヨードヒポキサンチン、8−アジドキサンチン、8−ブロモキサンチン、8−ヨードキサンチン、5−ブロモデオキシウリジン、8−ブロモ−2’−デオキシアデニン、5−ヨード−2’−デオキシウラシル、5−ヨード−2’−デオキシシトシン、5−[(4−アジドフェナシル)チオ]シトシン、5−[(4−アジドフェナシル)チオ]ウラシル、7−デアザ−7−ヨードアデニン、7−デアザ−7−ヨードグアニン、7−デアザ−7−ブロモアデニン、および7−デアザ−7−ブロモグアニン。“光反応性ピリミジン”は、特定の波長の照射の際に標的と光架橋することができるあらゆる修飾ピリミジンを意味する。例示的な光反応性ピリミジン類には5−ブロモ−ウラシル(BrdU)、5−ブロモ−シトシン(BrdC)、5−ヨード−ウラシル(IdU)、および5−ヨード−シトシン(IdC)が含まれる。様々な態様において、光反応性官能基は標的またはオリゴヌクレオチドの修飾されていない部分によっては吸収されない波長の光を吸収するであろう。
[0079] “SELEX”は、望ましい方式で標的と相互作用する(例えばタンパク質に結合する)核酸の選択を、それらの選択された核酸の増幅と組み合わせるプロセスを指す。選択/増幅工程の任意の反復サイクリングが、非常に多数の核酸を含有するプールから標的と最も強く相互作用する1つまたは少数の核酸を選択することを可能にする。選択/増幅手順のサイクリングは、選択された目的が達成されるまで続けられる。SELEXの方法論はSELEX特許において記述されている。SELEXプロセスの一部の態様において、それらの標的に非共有結合的に結合するアプタマーが生成される。SELEXプロセスの他の態様において、それらの標的に共有結合するアプタマーが生成される。一部の態様において、SELEXプロセスにおいて用いられる標的は、分析試料がその分析試料の組織学的または細胞学的特性付けにおいてそのオフ速度が遅いアプタマーの使用の間に固定されているであろう様式と同じ様式で固定される。
[0080] 本明細書で用いられる際、用語“増幅”または“増幅すること”は、分子または分子のクラスの量またはコピー数を増大させるあらゆるプロセスまたはプロセス工程の組み合わせを意味する。
[0081] “SELEX標的”または“標的分子”または“標的”は、本明細書において、それに対して核酸が望ましい様式で作用し得るあらゆる化合物を指す。SELEX標的分子は、限定では無く、タンパク質、ペプチド、核酸、炭水化物、脂質、多糖類、糖タンパク質、ホルモン、受容体、抗原、抗体、ウイルス、病原体、毒性物質、基質、代謝産物、遷移状態類似体、補因子、阻害剤、薬物、色素、栄養素、増殖因子、細胞、組織、前述のものいずれかのいずれかの部分または断片等であることができる。さらに、その標的は1種類以上の様式で修飾されていてよい。例えば、タンパク質はグリコシル化、リン酸化、アセチル化、リン脂質等により修飾されていてよい。その標的は異なるレベルまで修飾されていてよい。オフ速度が遅いアプタマーは、修飾のタイプまたはレベルを識別するように生成することができるであろう。1態様において、SELEX標的には、例えば既知の核酸結合タンパク質(例えば転写因子)のような、核酸に結合することが知られている分子は含まれない。事実上、あらゆる化学的または生物学的作用因子は適切なSELEX標的である可能性がある。あらゆる大きさの分子がSELEX標的として働く可能性がある。標的はまた、その標的とその核酸の間の相互作用の可能性または強度を増進するような特定の方法で修飾することができる。標的には、個々の化合物または分子のあらゆる軽微な変形、例えばタンパク質の場合、例えばアミノ酸配列の軽微な変形、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質付加、アセチル化、リン酸化、または分子の同一性を実質的に変化させないあらゆる他の操作もしくは修飾、例えば標識構成要素とのコンジュゲート化も含まれ得る。“標的分子(単数)”または“標的(単数)”は、アプタマーに結合することができる分子または多分子構造の1つのタイプまたは種のコピーのセットである。“標的分子(複数)”または“標的(複数)”は、分子の1個より多くのそのようなセットを指す。標的がペプチドであるSELEXプロセスの態様が“精製されたタンパク質無しでの改変されたSELEXプロセス”と題された米国特許第6,376,190号において記述されており、それを本明細書にそのまま援用する。図7は、様々なオフ速度が遅いアプタマーを含め、それに関してアプタマーが生成されている500種類を超える標的を列挙する。その標的は特定の疾患状態または病気を示す“マーカー”または分子であってもよく、それはその特定の疾患状態の診断において、または適切な療法計画の選択のために、または可能性のある療法的有効性の指標として用いられてよい。そのようなマーカーの例には、前立腺癌に関する前立腺特異的抗原、心臓疾患に関するCMBK、癌に関するCEA、CA125、子宮頚癌に関するHPV16およびHPV18等が含まれる。療法的有効性を予測するマーカーの例は、HER2である。
[0082] “組織標的”または“組織”は、上記のSELEX標的の特定の亜集団を指す。この定義に従うと、組織は不均質な環境にある巨大分子の集合である。本明細書で用いられる際、組織は単一の細胞型、細胞型の集合、細胞の凝集物、または巨大分子の凝集物を指す。これは、典型的にはタンパク質のような単離された可溶性分子であるより単純なSELEX標的とは異なる。1態様において、組織はより単純なSELEX標的よりも数桁大きい不溶性巨大分子である。組織は多数の巨大分子で構成される複合的な標的であり、それぞれの巨大分子は多数のエピトープを有し、それはタンパク質、脂質、炭水化物等、またはそれらの組み合わせであることができる。組織は一般に、構造および組成両方に関して流動的であることも、または固定されている(rigid)ことも可能である、巨大分子の物理的アレイである。細胞外マトリックスは、構造的に、および組成的にの両方でより固定されている組織の例であり、一方で膜二重層は、構造および組成がより流動的である。組織は一般に可溶性ではなく、固相に留まり、従って分配は比較的容易に成し遂げることができる。組織には、通常は特定の種類の細胞の凝集物が、所与の器官、例えば腎臓組織、脳組織の全体的な細胞基礎構造(fabric)を示すのに一般的に用いられる構造物質の1つを形成するそれらの細胞間物質と一緒に含まれるが、それらに限定されない。組織の4つの一般的な種類は、上皮組織、結合組織、神経組織、および筋組織である。
[0083] この定義内に入る組織の例には、巨大分子の不均質な凝集物、例えば無細胞であるフィブリン凝塊;細胞の均質または不均質な凝集物;特定の機能を有する細胞を含有するより高次の構造、例えば器官、腫瘍、リンパ節、動脈等;および個々の細胞が含まれるが、それらに限定されない。組織または細胞は、それらの天然の環境中にあるか、単離されているか、または組織培養中にあることが可能である。その組織は、損なわれていないか、または改変されていることが可能である。その改変には、形質転換、形質移入、活性化、および下部構造単離、例えば細胞膜、細胞核、細胞小器官等の単離のような多数の変化が含まれることが可能である。
[0084] 組織、細胞または細胞下構造物の源は、原核生物および真核生物から得ることができる。これにはヒト、動物、植物、細菌、真菌およびウイルス構造物が含まれる。
[0085] 組織SELEXプロセスが既知の疾患を有する患者から得られた組織/細胞試料から標的特異的なオフ速度が遅いアプタマーを同定するために用いられる場合、二次的な、および任意の対抗選択を実施することは価値がある可能性がある。その対抗選択は、密接に関連しているが異なる細胞型を識別する能力を提供する。この手順において、元々選択されたオフ速度が遅いアプタマーは正常な、または疾患にかかっていない提供者からの組織試料と共に保温されるであろう。このプレスクリーニングされた候補混合物中の、正常な組織と反応したあらゆるオフ速度が遅いアプタマーは、その後の選択から排除されるであろう。この追加の工程は、最終的な選択されたオフ速度が遅いアプタマーが高度に特異的であることを保証するであろう。その正常な組織試料およびその疾患にかかった組織試料は、同じ様式で処理(すなわち固定)されるべきである。
[0086] 本明細書で用いられる際、“競合剤分子”および“競合剤”は、非標的分子と非特異的複合体を形成することができるあらゆる分子を指して互換的に用いられる。この文脈において、非標的分子には未結合のアプタマーが含まれ、ここで、例えば、競合剤を用いてアプタマーが別の非標的分子に非特異的に結合する(再結合する)のを阻害することができる。“競合剤分子(単数)”または“競合剤(単数)”は、分子の1つのタイプまたは種のコピーのセットである。“競合剤分子(複数)”または“競合剤(複数)”は、分子の1個より多くのそのようなセットを指す。競合剤分子には、オリゴヌクレオチド、ポリアニオン(例えばヘパリン、ニシン精子DNA、サケ精子DNA、tRNA、デキストラン硫酸、ポリデキストラン、脱塩基性ホスホジエステルポリマー、dNTP、およびピロホスフェート)が含まれるが、それらに限定されない。様々な態様において、1種類以上の競合剤の組み合わせを用いることができる。
[0087] 本明細書で用いられる際、“非特異的複合体”はアプタマーおよびその標的分子以外の2個以上の分子間の非共有結合的会合を指す。非特異的複合体は複数種類の分子の間の相互作用である。非特異的複合体には、アプタマーおよび非標的分子、競合剤および非標的分子、競合剤および標的分子、ならびに標的分子および非標的分子間で形成される複合体が含まれる。
[0088] 本明細書で用いられる際、用語“遅いオフ速度の濃縮プロセス”は、遅い解離速度を有するアプタマー親和性複合体の相対濃度が、より速い、より望ましくない解離速度を有するアプタマー親和性複合体の濃度と比較して増大するように、候補混合物の特定の構成要素の相対濃度を変化させるプロセスを指す。1態様において、その遅いオフ速度の濃縮プロセスは溶液に基づく遅いオフ速度の濃縮プロセスである。この態様において、混合物中でアプタマー親和性複合体を形成する標的または核酸のどちらも遅いオフ速度の濃縮プロセスの間に固体支持体上に固定されないように、溶液に基づく遅いオフ速度の濃縮プロセスは溶液中で行われる。様々な態様において、遅いオフ速度の濃縮プロセスには
、競合剤分子との保温の追加、混合物の希釈、またはこれらの組み合わせ(例えば競合剤分子の存在下での混合物の希釈)を含む、1個以上の工程が含まれる可能性がある。遅いオフ速度の濃縮プロセスの効果は一般に異なるアプタマー親和性複合体(すなわち候補混合物において標的分子および異なる核酸の間で形成されるアプタマー親和性複合体)の異なる解離速度に依存するため、遅いオフ速度の濃縮プロセスの期間は、遅い解離速度を有するアプタマー親和性複合体を高い比率で保持する一方で速い解離速度を有するアプタマー親和性複合体の数を実質的に低減するように選択される。その遅いオフ速度の濃縮プロセスは、SELEXプロセスの間の1個以上のサイクルにおいて用いられてよい。希釈および競合剤の添加を組み合わせて用いる場合、それらは同時に、またはあらゆる順序で連続して行われてよい。その遅いオフ速度の濃縮プロセスは、混合物中の総標的(タンパク質)濃度が低い場合に用いることができる。1態様において、その遅いオフ速度の濃縮プロセスが希釈を含む場合、核酸をSELEXプロセスのその後のラウンドのために回収することに留意して、その混合物を現実的である限り希釈することができる。1態様において、その遅いオフ速度の濃縮プロセスには競合剤および希釈の使用が含まれ、競合剤を使用しない場合に必要である可能性があるよりも混合物を少なく希釈することが可能になる。
[0089] 1態様において、その遅いオフ速度の濃縮プロセスには競合剤の添加が含まれ、その競合剤はポリアニオン(例えばヘパリンまたはデキストラン硫酸(デキストラン))である。ヘパリンまたはデキストランは、以前のSELEX選択において特異的アプタマーの同定で用いられてきた。しかし、そのような方法ではヘパリンまたはデキストランが平衡工程の間に存在し、そこでその標的およびアプタマーが結合して複合体を形成する。そのような方法において、ヘパリンまたはデキストランの濃度が増大するにつれて、低親和性標的/アプタマー複合体に対する高親和性標的/アプタマー複合体の比率が増大する。しかし、高濃度のヘパリンまたはデキストランは、核酸および競合剤の間の標的結合に関する競合のため、平衡における高親和性標的/アプタマー複合体の数を低減する可能性がある。対照的に、ここで記述される方法は標的/アプタマー複合体が形成可能となった後に競合剤を添加し、従って形成される複合体の数には影響を及ぼさない。標的およびアプタマー間で平衡結合が起こった後の競合剤の添加は、より少ない標的/アプタマー複合体を含む新たな平衡までの時間に展開する非平衡状態を作り出す。速いオフ速度の複合体がまず解離すると考えられるため、新たな平衡に達する前に標的/アプタマー複合体を捕捉することは、遅いオフ速度のアプタマーに関して試料を濃縮する。
[0090] 別の態様において、遅いオフ速度の濃縮プロセスにおいて、ポリアニオンの存在に対して難分解性であるアプタマーの同定を容易にするためにポリアニオン性競合剤(例えばデキストラン硫酸または別のポリアニオン性物質)が用いられる。この文脈において、“ポリアニオン難分解性アプタマー”は、非ポリアニオン難分解性アプタマーを含むアプタマー/標的複合体よりもポリアニオン難分解性物質も含有する溶液中で解離する可能性がより低いアプタマー/標的複合体を形成することができるアプタマーである。この方式で、ポリアニオン難分解性アプタマーは、試料中の標的の存在または量または濃度を検出するための分析法の実施において、その検出法がそれに対してそのアプタマーが難分解性であるポリアニオン性物質(例えばデキストラン硫酸)の使用を含む場合に用いることができる。
[0091] 従って、1態様において、ポリアニオン難分解性アプタマーを生成するための方法を提供する。この態様において、核酸の候補混合物を標的と接触させた後、候補混合物中の標的および核酸が平衡に達することを可能にする。溶液中にポリアニオン性競合剤を導入し、候補混合物中のオフ速度が速いアプタマーの大部分がその標的分子から解離することを保証するのに十分な期間の間保温しておく。また、ポリアニオン性競合剤の存在下で解離し得る候補混合物中のアプタマーは、標的分子から遊離するであろう。その混合
物を分配して、標的分子と会合したままである高親和性のオフ速度が遅いアプタマーを単離し、あらゆる複合体化していない物質を溶液から除去する。次いで、アプタマーを標的分子から遊離させて単離することができる。単離されたアプタマーをを増幅し、追加の選択ラウンドを適用して選択されたアプタマーの総合的な性能を増大させることもできる。特定の適用に関してオフ速度が遅いアプタマーの選択が必要ではない場合、このプロセスを最小限の保温時間で用いることもできる。
[0092] 従って、1態様において、遅い(長い)オフ速度を有するアプタマーの同定または生成のために改変されたSELEXプロセスを提供し、ここで、標的および候補混合物を接触させ、候補混合物中に含有される標的および核酸間の平衡結合が起こるのに十分な期間の間一緒に保温する。平衡結合の後、過剰な競合剤分子、例えばポリアニオン競合剤を混合物に添加し、あらかじめ決められた期間の間過剰な競合剤分子と一緒に保温する。このあらかじめ決められた保温期間より短いオフ速度を有するアプタマーのかなりの割合が、あらかじめ決められた保温期間の間に標的から解離するであろう。標的に非特異的に結合して標的上のアプタマー結合部位を占めることができる過剰な競合剤分子のため、これらのオフ速度が“速い”アプタマーの標的との再会合は最小限である。より長いオフ速度を有するアプタマーのかなりの割合が、あらかじめ決められた保温期間の間標的と複合体化したままであろう。その保温期間の最後に、核酸−標的複合体を混合物の残りから分配すると、速いオフ速度を有するアプタマーからのオフ速度が遅いアプタマーの集団の分離が可能になる。解離工程を用いてそれらの標的からオフ速度が遅いアプタマーを解離させることができ、そして標的分子に関する高い親和性および特異性を有するオフ速度が遅いアプタマー(個々のアプタマーまたはオフ速度が遅いアプタマーのグループのどちらか)の単離、同定、配列決定、合成および増幅が可能になる。一般に行われるSELEXの様に、改変されたSELEXプロセスの1つのラウンドから同定されたアプタマー配列を新規候補混合物の合成において用いることができ、従って接触、平衡結合、競合剤分子の添加、競合剤分子との保温およびオフ速度が遅いアプタマーの分配の工程を必要に応じた回数反復する/繰り返すことができる。
[0093] 競合剤の添加の前に候補混合物の標的との平衡結合を可能にすることおよびその後に過剰な競合剤を添加してあらかじめ決められた期間の間競合剤と共に保温することの組み合わせは、以前に達成されたオフ速度よりもはるかに長いオフ速度を有するアプタマーの集団の選択を可能する。
[0094] 一度望まれる標的に対する特異的なオフ速度が遅いアプタマーが選択されると、それを合成により、またはクローニングもしくはその特定の核酸配列を生成するためのあらゆる他の方法により生成することができる。
[0095] その標的のみならず正常な組織または細胞試料内のその標的(単数または複数)の密接に関連する構造類似体にも結合する能力を有するリガンドを効果的に除く“カウンターSELEX”と呼ばれるプロセスにより、さらなる特異性を導入することができる。この態様において、特定の組織に関してオフ速度が遅いアプタマーが選択され、次いでそれに関してそのアプタマーが望まれている特定の特徴を有しない関連する組織に対して対抗選択が行われる。その対抗選択は、類似の細胞株もしくは細胞型、異なる細胞、正常な組織、血漿もしくは血液、非特異的抗体または他の入手可能なリガンドに対して行うことができる。この対抗選択の例は、腫瘍細胞標的(例えば悪性黒色腫)を用いる第1の選択およびその次の得られた核酸の腫瘍では無い(not tumorogenic)類似の細胞型(例えば正常ヒトメラニン細胞)に対する対抗選択であろう。正常組織および腫瘍性組織の両方と相互作用するアプタマーはこの負の選択により除去され、その腫瘍細胞に特異的に結合するアプタマーだけが同定される(または保持される)であろう。結果として得られたアプタマーは、腫瘍に特異的であろう。この技法は、2種類の密接に関連す
る標的を、すなわち、癌細胞とその同じ組織型の癌化していない細胞を識別することができるアプタマーを同定する能力を提供するであろう。その対抗選択はインビボでも行うことができる。この方法を用いて、複雑な組織表面上の特異的な標的に対するアプタマーを生成することができるだけでなく、特定のタイプの正常な組織および異常な組織の間の違いを認識することもできる。
[0096] 細胞または組織標的に対するオフ速度が遅いアプタマーを生成するため、その細胞または組織試料をまず候補混合物と混合し、平衡結合を達成する。平衡結合を達成するため、その候補混合物を標的と共に少なくとも約5分間、または少なくとも約15分間、約30分間、約45分間、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間もしくは約6時間保温する。一度平衡結合が達成されたら、選択プロセスを進めてよい。
[0097] 1態様において、オフ速度増進プロセスとして競合剤が用いられる。競合剤分子の候補混合物および標的の混合物とのあらかじめ決められた保温期間は、標的の性質および(もしあるならば)その標的に関する既知のアプタマーの既知のオフ速度のような要因を考慮して、必要に応じて選択されてよい。あらかじめ決められた保温期間は、以下の期間から選択することができる:少なくとも約5分間、少なくとも約10分間、少なくとも約20分間、少なくとも約30分間、少なくとも約45分間、少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約3時間、少なくとも約4時間、少なくとも約5時間、少なくとも約6時間。
[0098] 他の態様において、オフ速度増進プロセスとして希釈を用いて、その希釈された候補混合物、標的/アプタマー複合体の保温をあらかじめ決められた期間行うことができ、それは以下の期間から選択することができる:少なくとも約5分間、少なくとも約10分間、少なくとも約20分間、少なくとも約30分間、少なくとも約45分間、少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約3時間、少なくとも約4時間、少なくとも約5時間、少なくとも約6時間。
[0099] 本開示の態様は、オフ速度が遅いアプタマーの同定、生成、合成および使用、ならびにあらゆる特定のアプタマーの使用に関する。これらは、一般に行われるSELEXにより通常得られるアプタマーの解離半減期より高い非共有結合性アプタマー−標的複合体からの解離半減期(t1/2)を有するアプタマーである。アプタマーおよび標的の非共有結合性複合体を含有する混合物に関して、t1/2はアプタマーの半分がアプタマー−標的複合体から解離するのにかかる時間に相当する。本開示に従う解離速度が遅いアプタマーのt1/2は、以下のものの1つから選択される:約15分以上;約15分〜約30分;約30分〜約240分;約30分〜約60分;約60分〜約90分;約90分〜約120分;約120分〜約150分;約150分〜約180分;約180分〜約210分;約210分〜約240分。
[00100] SELEXの手順により同定されるアプタマーに特徴的な特徴は、それの標的に関するそれの高い親和性である。アプタマーは、以下のものの1つから選択される、それの標的に関する解離定数(K)を有するであろう:約1μM未満、約100nM未満、約10nM未満、約1nM未満、約100pM未満、約10pM未満、約1pM未満。
[00101] 本明細書で用いられる際、用語“標識化剤”、“標識”、または“検出可能部分”、または“検出可能要素”または“検出可能構成要素”は、標的分子/アプタマー複合体を検出するために用いることができる1種類以上の試薬を指す。検出可能部分または標識は、直接または間接的に検出可能である。一般に、検出可能であるあらゆるレポーター分子は標識であり得る。標識には、例えば以下のもの:(i)シグナルを生じること
により直接検出することができるレポーター分子、(ii)続いてレポーター分子を含有する同族分子(cognate)に結合することにより間接的に検出可能である特異的結合対メンバー、(iii)質量分析により検出可能な質量タグ、(iv)増幅またはライゲーションのための鋳型を提供することができるオリゴヌクレオチドプライマー、および(v)例えばリプレッサータンパク質のようなリガンドとして働くことができる特異的なポリヌクレオチド配列または認識配列が含まれ、ここで、最後の2つの例では、そのオリゴヌクレオチドプライマーまたはリプレッサータンパク質は、レポーター分子等を有する、または有することが可能であろう。そのレポーター分子は、触媒、例えば酵素、触媒をコードするポリヌクレオチド、プロモーター、色素、蛍光分子、量子ドット、化学発光分子、補酵素、酵素基質、放射性基、小さい有機分子、増幅可能なポリヌクレオチド配列、ラテックスまたは炭素粒子のような粒子、金属ゾル、微結晶、リポソーム、細胞等であることができ、それは色素、触媒または他の検出可能な基、質量分析目的のためにそれがコンジュゲートされた分子の重量を変化させる質量タグ、および同様のものでさらに標識されていてよく、またはされていなくてもよい。標識は電磁または電気化学物質から選択することができる。1態様において、その検出可能標識は蛍光色素である。本明細書の開示に基づいて、他の標識および標識スキームが当業者には明らかであろう。
[00102] 検出可能部分(要素または構成要素)には、上記で列挙したレポーター分子のいずれか、およびいずれかの方式で検出可能シグナルを生じるのに用いることができるあらゆる他の化学物質または構成要素が含まれ得る。その検出可能部分またはシグナルを生じる標識は、蛍光シグナル、化学発光シグナル、またはその部分の同一性に応じたあらゆる他の検出可能シグナルを介して検出されてよい。その検出可能部分が酵素(例えばアルカリホスファターゼ)である場合、酵素基質および酵素活性に必要なあらゆる追加の因子の存在下でそのシグナルを生じさせてよい。その検出可能部分が酵素基質である場合、酵素および酵素活性に必要なあらゆる追加の因子の存在下でそのシグナルを生じさせてよい。標的分子に検出可能部分を付着させるための適切な試薬の構成には、検出可能部分の標的分子への共有結合、検出可能部分の標的分子に共有結合している別の標識化剤構成要素との非共有結合的会合、および検出可能部分の標的分子と非共有結合的に会合している標識化剤構成要素への共有結合が含まれる。
[00103] 検出可能部分は標識されたdNTP、ホスホラミダイト類として生成された色素、もしくはオリゴヌクレオチド合成の間に用いることができる他の化学を用いることにより合成の間にアプタマー中に組み込まれてよく、または合成後に最終的なアプタマー生成物の修飾により組み込まれてよい。シグナルの生成を増進するために、それぞれのアプタマーが多数の検出可能部分を含んでいてよい。同じ試料、例えば組織学的組織切片からの多数の標的を検出する場合、多数の標的の同時分析のためにそれぞれの標的に特異的なアプタマーが独特の検出可能部分を伴って生成されてよい。
[00104] 一部の態様において、その標識されたアプタマーは組織または細胞試料の迅速かつ特異的な染色を可能にする。例えば、一部の場合において、組織切片または細胞調製物の特異的な標的の染色は、約15分以内、約10分以内、約5分以内、および約1分以内に達成することができる。迅速な染色は、術中設定(intraoperative
setting)における異常な、または疾患にかかった組織の診断において特に好都合である。
[00105] 本明細書で用いられる際、“分配”は、それにより混合物の1種類以上の構成要素をその混合物の他の構成要素から分離するあらゆるプロセスを意味する。例えば、標的分子に結合しているアプタマーを標的分子に結合していない他の核酸から、および非標的分子から分配することができる。より広く述べると、分配はそれらの標的分子への相対的親和性および/または解離速度に基づいて候補混合物中の全ての核酸を少なくとも2
つのプールに分離することを可能にする。分配は、濾過、親和性クロマトグラフィー、液体−液体分配、HPLC等を含め、当技術で知られている様々な方法により達成することができる。例えば、核酸−タンパク質対はニトロセルロースフィルターに結合することができるが、未結合核酸はニトロセルロースフィルターに結合しない。核酸−標的複合体を特異的に保持するカラムも分配に使用することができる。例えば、カラム上に結合している標的分子と会合することができるオリゴヌクレオチドは、最も高い親和性のアプタマーを分離および単離するためにカラムクロマトグラフィーの使用を可能にする。その上に標的分子がコンジュゲートしているビーズも、混合物中のアプタマーを分配するのに用いることができる。そのビーズが常磁性である場合、分配は磁場の適用により達成することができる。表面プラズモン共鳴技術を用いて、標的をセンサーチップ上に固定して混合物をそのチップ上を流すことにより混合物中の核酸を分配することができ、ここでその標的に関する親和性を有する核酸はその標的に結合することができ、残った核酸を洗い流すことができる。液体−液体分配を濾過ゲル遅延および密度勾配遠心分離と同様に用いることができる。標的分子上の親和性タグを用いて、溶液中で未結合であるアプタマーからタグ付けされた標的に結合した核酸分子を分離することができる。例えば、ビオチン化された標的分子を、ストレプトアビジン常磁性ビーズを用いて、それらに結合したアプタマーと共に、未結合核酸配列の溶液から隔離することができる。調製の間に親和性タグをアプタマー中に組み込むこともできる。生物学的組織(組織切片または細胞調製物)中の1種類以上の標的に特異的なアプタマーを生成するために組織SELEXが用いられる場合、候補混合物中の非特異的な核酸は、その組織試料を1系列以上の緩衝された試薬で洗浄することにより、その標的に特異的なアプタマーから分離することができる。
[00106] 本明細書で用いられる際、“光SELEX”は指数関数的濃縮によるリガンドの光化学的系統的進化(Photochemical Systematic Evolution of Ligands by Exponential enrichment)の頭文字であり、光架橋アプタマーを生成するSELEXプロセスの態様を指す。光SELEXプロセスの1態様において、RNAまたはssDNAランダム化オリゴヌクレオチドライブラリーのどちらかにおいて天然塩基の代わりに光の吸収により活性化される光反応性ヌクレオチドを組み込み、その核酸標的分子混合物に照射し、核酸−標的分子複合体中に組み込まれた一部の核酸を光反応性官能基を介して標的分子に架橋させ、そしてその選択工程は光架橋活性に関する選択である。光SELEXプロセスは光SELEX特許において非常に詳細に記述されている。
[00107] 本明細書において、“光アプタマー”および“光反応性アプタマー”は、標的分子に共有結合する、または標的分子と“架橋する”ことができる1個以上の光反応性官能基を含有するアプタマーを指して互換的に用いられる。例えば、天然存在核酸残基を修飾して、核酸残基上に適切な波長の線源に対する曝露の際の光反応性を与える化学的官能基を含ませることができる。一部の態様において、最初に光反応性アプタマーを同定する。他の態様において、アプタマーをまず同定し、続いてそれを修飾して1個以上の光反応性官能基を組み込み、それにより光アプタマーを生成する。これらの態様において、例えばアプタマー中のチミジンおよび/またはシチジンヌクレオチドの1個以上のような1個以上の他のヌクレオチドの代わりに光反応性核酸残基で置換することによるか、または1個以上の核酸残基を光反応性官能基を含むように修飾することによるかのどちらかにより、1個以上の光反応性核酸残基をアプタマー内に組み込むことができる。
[00108] さらに他の態様において、特定のヌクレオチドを修飾して、親和性複合体中でそれらの標的に結合して共有結合的架橋を形成するオフ速度が遅いアプタマーを生成してよい。この方法は、それらのそれぞれの標的に結合して次いでそれに連結されることができるオフ速度が遅いアプタマーを含む。様々な態様において、そのオフ速度が遅いアプタマーは、光の照射の際にその標的分子に光架橋することができる光反応基を含有してい
てよい。他の態様において、そのオフ速度が遅いアプタマーは、照射の非存在下においてその標的との結合の形成が可能である。そのオフ速度が遅いアプタマーおよび標的の間の緊密なイオン相互作用も、照射の際に起こる可能性がある。化学的架橋に関する他の機構が用いられてもよい。オフ速度が遅いアプタマーのその特異的な標的への架橋は、架橋活性化因子、例えば照射または特定の化学薬剤により開始されてよい。1態様において、光架橋は電磁照射への曝露により起こる。電磁照射には、紫外光、可視光、X線、およびガンマ線が含まれる。架橋の工程は組織または細胞試料の分析に、そのアッセイ手順のあらゆる点において追加されてよい。
[00109] 光反応基は、光発色団を含有し、標的と光架橋可能であるあらゆる化学構造であることができる。本明細書において光反応基と称されるが、一部の場合では、下記で記述するように、照射はオフ速度が遅いアプタマーおよびその標的の間で共有結合が起こるために必要ではない。一部の態様において、その光反応基は標的またはオリゴヌクレオチドの非修飾部分により吸収されない波長の光を吸収するであろう。光反応基には、5−ハロ−ウリジン類、5−ハロ−シトシン類、7−ハロ−アデノシン類、2−ニトロ−5−アジドベンゾイル類、ジアジリン類、アリールアジド類、フッ素化アリールアジド類、ベンゾフェノン類、アミノ−ベンゾフェノン類、ソラレン類、アントラキノン類等が含まれる。
[00110] 光アプタマーに組み込んでよい例示的な光反応性官能基には、5−ブロモウラシル、5−ヨードウラシル、5−ブロモビニルウラシル、5−ヨードビニルウラシル、5−アジドウラシル、4−チオウラシル、5−チオウラシル、4−チオシトシン、5−ブロモシトシン、5−ヨードシトシン、5−ブロモビニルシトシン、5−ヨードビニルシトシン、5−アジドシトシン、8−アジドアデニン、8−ブロモアデニン、8−ヨードアデニン、8−アジドグアニン、8−ブロモグアニン、8−ヨードグアニン、8−アジドヒポキサンチン、8−ブロモヒポキサンチン、8−ヨードヒポキサンチン、8−アジドキサンチン、8−ブロモキサンチン、8−ヨードキサンチン、5−[(4−アジドフェナシル)チオ]シトシン、5−[(4−アジドフェナシル)チオ]ウラシル、7−デアザ−7−ヨードアデニン、7−デアザ−7−ヨードグアニン、7−デアザ−7−ブロモアデニン、および7−デアザ−7−ブロモグアニンが含まれる。
[00111] これらの例示的なヌクレオシドに基づく光反応性官能基に加えて、適切なリンカー分子を用いてアプタマーの末端に付加することができる他の光反応性官能基を用いることもできる。そのような光反応性官能基には、ベンゾフェノン、アントラキノン、4−アジド−2−ニトロ−アニリン、ソラレン、これらのいずれかの誘導体、および同様のものが含まれる。
[00112] 光アプタマーに組み込まれる光反応性官能基をいずれかの適切な方法により活性化してよい。1態様において、光アプタマーおよびそれが結合した標的分子を電磁放射線源に曝露することにより、光反応性官能基を含有する光アプタマーをそれの標的に架橋することができる。適切なタイプの電磁放射線には、紫外光、可視光、X線、およびガンマ線が含まれる。適切な放射線源には、単色光またはフィルター処理した多色光のどちらかを利用する線源が含まれる。
[00113] 本明細書で用いられる際、用語“親和性SELEXプロセス”は、標的に対する非光架橋アプタマーが生成されるSELEXプロセスの態様を指す。親和性SELEXプロセスの一部の態様において、標的を核酸の候補混合物と接触させる前または後のどちらかで、標的が固体支持体上に固定される。標的の固体支持体との会合は、候補混合物中の結合している核酸であって、遅いオフ速度の濃縮プロセスを用いた場合はその標的に結合したままである前記核酸を、候補混合物の残りの部分から分配することを可能にする
。用語“ビーズ親和性SELEXプロセス”は、例えば核酸の候補混合物との接触の前に標的をビーズ上に固定する、親和性SELEXプロセスの特定の態様を指す。一部の態様において、そのビーズは常磁性ビーズである。用語“フィルター親和性SELEXプロセス”は、それらのフィルター、例えばニトロセルロースフィルターとの会合により、核酸標的複合体が候補混合物から分配される態様を指す。これには標的および核酸が最初に溶液中で接触し、そしてフィルターと接触する態様が含まれ、核酸がフィルター上にあらかじめ固定された標的と接触する態様も含まれる。用語“プレート親和性SELEXプロセス”は、標的が例えばマルチウェルマイクロタイタープレートのようなプレートの表面上に固定される態様を指す。一部の態様において、そのプレートはポリスチレンで構成される。一部の態様において、その標的はプレート親和性SELEXプロセスにおいて疎水性相互作用によりそのプレートに付着する。
[00114] 本開示は、細胞または組織試料中の1種類以上の標的に結合することができるアプタマーを生成する、および用いるための向上したSELEX法を記述する。より具体的には、本開示は、以前のSELEX法を用いて得られるアプタマーよりも遅いそれらのそれぞれの標的からの解離速度を有するアプタマーおよび/または光アプタマーを同定するための方法を記述する。本開示はさらに、本明細書で記述される方法を用いて得られるアプタマーおよび/または光アプタマー、ならびにその同じ物を用いる方法を記述する。場合により、その組織選択プロセスにより選択された特異的な標的の同一性を、伝統的な生化学的単離、精製、および特性付けにより確認するのが望ましい可能性がある。これらの方法は、質量分析、2−D電気泳動等を含むことができるであろう。
[00115] 1態様において、遅いそれの標的からの解離速度を有するアプタマーを同定するための方法であって、以下の:(a)核酸配列の候補混合物を調製し;(b)その候補混合物を組織または細胞試料と接触させ、ここで、前記の組織または細胞試料中で目的の標的に対して最高の相対的親和性を有する核酸がその標的に優先的に結合して核酸−標的複合体を形成し;(c)遅いオフ速度の濃縮プロセスを適用して、比較的速い解離速度を有する核酸−標的複合体の解離を可能にし;(d)候補混合物中の未結合核酸および非標的分子の両方から、残りの核酸−標的複合体を分配し;そして(e)目的の標的に対するアプタマーを同定することを含む前記方法を提供する。そのプロセスにはさらに、その標的に結合する核酸を増幅して、その標的に結合することができ、さらに、遅い解離速度を有する核酸−標的複合体を生成することができる配列が濃縮された核酸の混合物を生じる、反復工程が含まれてよい。上記で定義したように、その遅いオフ速度の濃縮プロセスは、(a)核酸−標的分子複合体を含有する候補混合物を希釈すること;(b)核酸−標的分子複合体を含有する候補混合物に少なくとも1種類の競合剤を添加し、そしてその核酸−標的分子複合体を含有する候補混合物を希釈すること;および(c)核酸−標的分子複合体を含有する候補混合物に少なくとも1種類の競合剤を添加することから選択することができる。
[00116] 場合によりその組織または細胞試料は、そのオフ速度が遅いアプタマーの選択プロセスにおいて、それらの使用の前に固定される。化学的固定剤は標的エピトープを予測可能かつ再現性のある方式で変化させる可能性があり、それはそのエピトープの固定された形に特異的なアプタマーの選択を可能にする。
[00117] 1態様において、遅いそれの標的からの解離速度を有するアプタマーを生成するための方法であって、以下の:(a)核酸配列の候補混合物を調製し;(b)その候補混合物を組織または細胞試料と接触させ、ここで、その標的に対して最高の相対的親和性を有する核酸がその標的に優先的に結合して核酸−標的複合体を形成し;(c)遅いオフ速度の濃縮プロセスを適用して、比較的速い解離速度を有する核酸−標的複合体の解離を可能にし;(d)候補混合物中の未結合核酸および非標的分子の両方から、残りの核酸
−標的複合体を分配し;そして(e)その標的に対するアプタマーを生成することを含む前記方法を提供する。そのプロセスにはさらに、その標的に結合する核酸を増幅して、その標的に結合することができ、さらに、遅い解離速度を有する核酸−標的複合体を生成することができる配列が濃縮された核酸の混合物を生じる、反復工程が含まれてよい。上記で定義したように、その遅いオフ速度の濃縮プロセスは、(a)核酸−標的複合体を含有する候補混合物を希釈すること;(b)核酸−標的複合体を含有する候補混合物に少なくとも1種類の競合剤を添加し、そしてその核酸−標的複合体を含有する候補混合物を希釈すること;および(c)核酸−標的複合体を含有する候補混合物に少なくとも1種類の競合剤を添加することから選択することができる。
[00118] 1態様において、遅いそれの標的からの解離速度を有するアプタマーを同定するための方法であって、以下の:(a)核酸の候補混合物を調製し;(b)その候補混合物を組織または細胞試料と接触させ、ここで、候補混合物中で他の核酸と比較してその標的に対して増大した親和性を有する核酸がその標的に結合して核酸−標的複合体を形成し;(c)その候補混合物および標的を、平衡結合を達成するのに十分な期間の間、一緒に保温し;(d)(c)の混合物に遅いオフ速度の濃縮プロセスを適用して比較的速い解離速度を有する核酸−標的複合体の解離を可能にし;(e)(d)からの候補混合物、核酸−標的複合体および競合剤分子の混合物を、あらかじめ決められた期間の間保温し;(f)その候補混合物から核酸−標的複合体を分配し;(g)その核酸−標的複合体を解離させて未結合核酸を生成し;(h)その未結合核酸を増幅して増大された親和性でその標的に結合することができる核酸配列が濃縮された核酸の混合物を得ることを含み、それによりその標的に対するアプタマーを同定することができる、前記方法を提供する。上記で定義したように、その遅いオフ速度の濃縮プロセスは、(a)核酸−標的複合体を含有する候補混合物を希釈すること;(b)核酸−標的複合体を含有する候補混合物に少なくとも1種類の競合剤を添加し、そしてその核酸−標的複合体を含有する候補混合物を希釈すること;および(c)核酸−標的複合体を含有する候補混合物に少なくとも1種類の競合剤を添加することから選択することができる。
[00119] 別の態様において、遅いそれの標的からの解離速度を有するアプタマーを生成するための方法であって、以下の:(a)核酸の候補混合物を調製し;(b)その候補混合物を組織または細胞試料と接触させ、ここで、候補混合物中で他の核酸と比較してその標的に対して増大した親和性を有する核酸がその標的に結合して核酸−標的複合体を形成し;(c)その候補混合物および標的を、平衡結合を達成するのに十分な期間の間、一緒に保温し;(d)(c)の混合物に遅いオフ速度の濃縮プロセスを適用して比較的速い解離速度を有する核酸−標的複合体の解離を可能にし;(e)(d)からの候補混合物、核酸−標的複合体および競合剤分子の混合物を、あらかじめ決められた期間の間保温し;(f)その候補混合物から核酸−標的複合体を分配し;(g)その核酸−標的複合体を解離させて未結合核酸を生成し;(h)その未結合核酸を増幅して増大された親和性でその標的に結合することができる核酸配列が濃縮された核酸の混合物を得ることを含み、それによりその標的に対するアプタマーを生成することができる、前記方法を提供する。上記で定義したように、その遅いオフ速度の濃縮プロセスは、(a)核酸−標的複合体を含有する候補混合物を希釈すること;(b)核酸−標的複合体を含有する候補混合物に少なくとも1種類の競合剤を添加し、そしてその核酸−標的複合体を含有する候補混合物を希釈すること;および(c)核酸−標的複合体を含有する候補混合物に少なくとも1種類の競合剤を添加することから選択することができる。
[00120] 別の態様において、遅いそれの標的からの解離速度を有するアプタマーを同定する方法であって、以下の:(a)核酸の候補混合物を調製し、ここで、その候補混合物は、その候補混合物の少なくとも1種類の、またはそれぞれの核酸中の1個、いくつか、または全てのピリミジンが5位において化学的に修飾されている修飾された核酸を含み
;(b)その候補混合物を細胞または組織試料と接触させ、ここで、候補混合物中で他の核酸と比較してその標的に対して増大した親和性を有する核酸がその標的に結合して核酸−標的複合体を形成し;(c)親和性が増大した核酸を候補混合物の残りから分配し;そして(d)親和性が増大した核酸を増幅して、増大した親和性で標的に結合することができる核酸配列が濃縮された核酸の混合物を得ることを含み、それによりその標的に対するアプタマーを同定することができる、前記方法を提供する。
[00121] 別の態様において、遅いそれの標的からの解離速度を有するアプタマーを生成するための方法であって、以下の:(a)核酸の候補混合物を調製し、ここで、その候補混合物は、その候補混合物の少なくとも1種類の、またはそれぞれの核酸中の1個、いくつか、または全てのピリミジンが5位において化学的に修飾されている修飾された核酸を含み;(b)その候補混合物を組織または細胞試料と接触させ、ここで、候補混合物中で他の核酸と比較してその標的に対して増大した親和性を有する核酸がその標的に結合して核酸−標的複合体を形成し;(c)親和性が増大した核酸を候補混合物の残りから分配し;そして(d)親和性が増大した核酸を増幅して、増大した親和性で標的に結合することができる核酸配列が濃縮された核酸の混合物を得て、それによりその標的に対するアプタマーを同定するプロセスにより同定される核酸配列を含むアプタマーを調製する、または合成することを含む前記方法を提供する。
[00122] 別の態様において、アプタマーおよびその標的の非共有結合性複合体が提供され、ここでそのアプタマーのその標的からの解離半減期(t1/2)は以下のものの1つから選択される:約15分以上;約15分〜約30分;約30分〜約240分;約30分〜約60分;約60分〜約90分;約90分〜約120分;約120分〜約150分;約150分〜約180分;約180分〜約210分;約210分〜約240分。
[00123] 別の態様において、アプタマーおよび標的の非共有結合性複合体が提供され、ここでそのアプタマーはその標的に関して約100nM以下のKを有し、ここでそのアプタマーのその標的からの解離半減期(t1/2)は約15分以上であり、ここでそのアプタマーの核酸配列中の1個、いくつか、または全てのピリミジンがその塩基の5位において修飾されている。その修飾は図14において示されている化合物のグループから選択されてよく、これらの修飾を“塩基修飾ヌクレオチド”と称する。アプタマーは望まれる塩基修飾ピリミジンのあらゆる組み合わせを用いて設計されてよい。
[00124] 光活性基を含有するヌクレオチドまたは光活性基のための位置維持基を含有するヌクレオチドを含め、修飾ヌクレオチドを用いてSELEXを実施するための向上した方法が、“向上したSELEXおよび光SELEX”と題された、2008年7月17日に出願された米国出願一連番号12/175,388において開示されており、それを本明細書にそのまま援用する。別の態様において、核酸分子の候補混合物には、比較的遅い解離速度を有する修飾核酸−標的複合体の形成を助けることができる修飾ヌクレオチド塩基を含有する核酸が含まれる。
[00125] 本明細書で記述される様々な方法および工程を用いて、(1)標的分子に結合することができるかまたは(2)標的分子に結合し、続いて照射の際に標的分子と共有結合を形成することができるかのどちらかであるアプタマーを生成することができる。
[00126] 本明細書で記述される方法に従って同定されるアプタマーは、ある範囲の診断的および療法的方法において有用である。オフ速度が遅いアプタマーは、より長い期間の間標的に結合するであろう。これは、標的に対するアプタマーの結合を標的分子の存在、非存在、量(amount)または量(quantity)を検出するために用いることができる診断法において有用であり、アプタマーおよび標的の相互作用の延長はそのよ
うな検出を容易にする。オフ速度が遅いアプタマーがインビトロまたはインビボの画像化法において用いられる場合に類似の利点がもたらされる可能性がある。また、アプタマーおよび標的の相互作用の延長は、その延長された相互作用が、例えばその標的分子または下流のシグナル伝達カスケードのより長い活性化または阻害により、向上した療法的作用を可能にすることができる場合に、向上した療法的処置方法を提供する。これらのオフ速度が遅いアプタマーおよび高い親和性を有するアプタマーは、細胞学的および組織学的分子検出および同定法において用いることができる。
[00127] 従って、様々な態様において、記述した方法により得られた、同定された、または生成されたオフ速度が遅いアプタマーを、様々な医学的処置の方法または(インビトロまたはインビボでの)診断の方法において用いることができる。1態様において、オフ速度が遅いアプタマーを疾患の処置の方法において用いることができる。1態様において、オフ速度が遅いアプタマーをインビボでの疾患の診断のための方法において用いることができる。別の態様において、オフ速度が遅いアプタマーを疾患の診断のためにインビトロで用いることができる。別の態様において、オフ速度が遅いアプタマーを、疾患の処置または診断の方法における使用のための療法剤(例えば医薬組成物)の製造または診断剤の製造において用いることができる。オフ速度が遅いアプタマーの診断的または療法的適用は、それの標的に対するオフ速度が遅いアプタマーの特異的および/または高親和性結合に応じた診断的または療法的結果を伴う可能性がある。オフ速度が遅いアプタマーは、薬物開発プロセスにおける標的の検証およびハイスループットスクリーニングアッセイにおいて用いられてもよい。
[00128] 1態様において、オフ速度が遅いアプタマーはインビボでの分子画像化に適した試薬である。この態様において、オフ速度が遅いアプタマーをインビボで用いて病変、疾患プロセス、または個体(例えばヒトまたは動物)の体内の他の状態を検出することができ、ここでそのアプタマーのそれの標的への結合は疾患プロセスまたは他の状態の存在を示す。例えば、VEGF受容体は腫瘍およびそれらの新規血管系の内部で豊富に発現されているため、VEGF受容体に対するアプタマーをインビボで用いて個体の体の特定の領域(例えば組織、器官等)において癌の存在を検出することができ、または、EGF受容体はしばしば腫瘍細胞上で高レベルで発現されているため、EGF受容体に対するアプタマーをインビボで用いて個体の体の特定の領域(例えば組織、器官等)において癌の存在を検出することができる。すなわち、その分子標的は誘導される受容体の細胞外ドメイン(ECD)であり、これはそのような標的が細胞の外側に位置し、血管系を通してアクセス可能であるためである。加えて、例え特定のECDの一部の小さな割合が細胞死を含む生物学的プロセスを通して取り除かれる可能性があるとしても、ECDは病変部位に局在する傾向がある。
[00129] 分子画像化に関する明確な候補である、高親和性モノクローナル抗体は、この適用に関して選択される試薬ではなくなってきている。分子画像化試薬は正確である必要性を有する。それらは、それらの意図される標的に関する高い結合活性およびヒトまたは動物における他の標的に関する低い結合活性を有していなければならない。オフ速度が遅いアプタマーは、それらをインビボでの分子画像化での使用に望ましいものにする独特の利点を有する。一方で、それらは遅い解離速度定数を有するように選択され、従ってインビボでかなりの長さの時間(少なくとも約15分間)の間、意図される標的上に留まることが可能である。他方で、オフ速度が遅いアプタマーは血管系からの非常に速いクリアランスを有することが期待される。遅い解離速度定数および血管系からの速いクリアランスは、インビボでの分子画像化に望まれる2つの特性である。速度論的視点(prospective)から、優れたインビボ分子画像化試薬は病変部位に局在し続けなければならず、一方で周囲の血管系における未結合試薬濃度は低くなる。これはシグナル対ノイズの制約である。適切なシグナル対ノイズ比は、血管系における過剰なシグナル中での病変
部位におけるシグナルの蓄積により得られる可能性があり、または病変部位におけるシグナルの保持の一方で血管系での濃度が減少することにより得られる可能性がある。
[00130] オフ速度が遅いアプタマーとほぼ同じ分子量および正味電荷を有する、遅いオフ速度の特性を持たないアプタマーは、10年より長い期間動物およびヒトにおいて研究されてきた。一般に、これらのアプタマーは通常腎臓および/または肝臓に入り、次いで排出のためにさらに代謝されることにより、血管系から迅速に排除されることが見出されている。そのようなアプタマーは、(例えばPEGのような)高分子量付加物がアプタマーに連結されていない限り、いわゆる“初回通過(first pass)”クリアランスを示す。その標的が一部の腫瘍において高濃度で見られる細胞外タンパク質(ECDではない)であるテネイシンCであるアプタマーを用いて実験が行われてきた。これらの実験において、テネイシンC特異的アプタマーは迅速に排除され、テネイシンCの細胞外局所濃度が非常に高いため、腫瘍の部位に保持されることが可能であった。対照的に、オフ速度が遅いアプタマーはアプタマーの速いクリアランス速度を維持するが、それらの遅い解離速度のため、速度論的な利点を提供すると考えられ、それはそれらを目的の部位(例えば病変部位)におけるそれの存在がいくらか希薄である可能性がある標的(例えば腫瘍上のECD)に関して使用するのに適したものにする。
[00131] 分子画像化のための代わりの試薬は、オフ速度が遅いアプタマーの2つの特性(すなわち遅い解離速度および体からの速いクリアランス)を共有しない。モノクローナル抗体はしばしば高い親和性および特異性を有し、遅い解離速度定数を有する可能性がある;しかし、モノクローナル抗体は血管系からの非常に遅いクリアランス速度を有する。例えばファージディスプレイを通して同定された短いペプチドは、速いクリアランスを有するが、劣った親和性および特異性ならびにそれらの意図される標的からの速い解離速度を有する可能性がある。抗体模倣体(antibody mimetic)の特定のペプチド版であるAffibodyは妥当な親和性および特異性を有する可能性があり、モノクローナル抗体よりも速いクリアランスを有する可能性があるが、それらの標的からの遅い解離速度を達成するため、affibodyはしばしば二量体およびより高次の多量体へと作られ、それはそれらの解離速度を高めると同時にそれらのクリアランスを遅くする。
[00132] オフ速度が遅いアプタマーを、インビボでの分子画像化のために、そのオフ速度が遅いアプタマーを体内でヌクレアーゼから保護し、かつそのオフ速度が遅いアプタマーが一度結合した意図される標的を検出するための1種類以上の低分子量付加物と共に用いることができる。例えば、オフ速度が遅いアプタマーは血中のヌクレアーゼ、典型的には(DNAに関して)そのオフ速度が遅いアプタマーの5’および3’末端の位置においてエキソヌクレアーゼ難分解性付加物を用いることにより容易に妨害されるエキソヌクレアーゼ、または(RNAに関して)そのオフ速度が遅いアプタマー中に(例えば2’フルオロヌクレオチドのような)エンドヌクレアーゼ難分解性ピリミジンを組み込むことにより容易に妨害されるエンドヌクレアーゼにより攻撃される可能性がある。オフ速度が遅いアプタマー−標的複合体の検出は、そのオフ速度が遅いアプタマーに検出部分を付着させることにより達成することができる。一部の態様において、これらの目的のための検出部分には放射性分子(例えばテクネチウム99)のためのケージ、磁気共鳴検出のための鉄のクラスター、PET画像化のためのフッ素の同位体、および同様のものが含まれる可能性がある。体内のオフ速度が遅いアプタマーの完全性を保護し、意図される標的の検出を可能にするためにオフ速度が遅いアプタマーに対してなされる修飾は、それらがそのオフ速度が遅いアプタマーのそれの標的との相互作用を妨げず、そのオフ速度が遅いアプタマーが血管系から排除されるのを遅くしすぎないように設計されるべきである。
[00133] デバイスの固体表面に接着させた1種類以上のオフ速度が遅いアプタマーを
有する診断またはアッセイデバイス、例えばカラム、試験細片またはバイオチップも提供する。そのアプタマー(単数または複数)を、アプタマーが固体表面と接触した標的分子に結合してアプタマー−標的複合体を形成し、それがデバイス表面に接着したままであり、それにより標的を捕捉して標的の検出および場合により定量化を可能にすることができるように配置することができる。オフ速度が遅いアプタマー(同じまたは異なっていてよい)のアレイをそのようなデバイス上で提供することができる。
[00134] 別の態様において、オフ速度が遅いアプタマーおよび標的分子を含む複合体を提供する。他の態様において、それらの対応する標的分子に関する高い親和性ならびにアプタマーおよび標的の非共有結合性複合体からの遅い解離速度(t1/2)を有することを特徴とするアプタマーのクラスを提供する。
[00135] 基本的なSELEXプロセスは一般に、異なる配列の核酸の候補混合物の調製で始まる。その候補混合物には一般に、2つの固定領域(すなわち候補混合物のメンバーのそれぞれが同じ位置に同じ配列を含有する)および可変領域を含む核酸配列が含まれる。典型的には、その固定配列領域はそれらが下記で記述する増幅工程を補助する、または候補混合物中の核酸の所与の構造配置の潜在能力を増進するように選択される。可変領域は典型的には候補混合物中のそれぞれの核酸の標的結合領域を提供し、この可変領域は完全にランダム化することができ(すなわちある塩基を見出す可能性があらゆる位置において4分の1である)、または部分的にのみランダム化することができる(例えばある塩基を見出す可能性を、あらゆる位置において0〜100パーセントのあらゆるレベルで選択することができる)。その調製された候補混合物を、標的および候補混合物のメンバーの間で結合が起こるのに適した条件下で、選択された標的と接触させる。これらの条件下で、標的および候補混合物の核酸の間の相互作用は一般に、その対のメンバーの間で最も強い相対的親和性を有する核酸−標的対を形成する。その標的に関して最高の親和性を有する核酸を、その標的に対してより低い親和性を有する核酸から分配する。その分配プロセスは、最大数の高親和性候補を保持する方式で実施される。その標的に対して比較的高い親和性を有するものとして分配の間に選択された核酸を増幅して、その標的に関して比較的高い親和性を有する核酸が濃縮された新規候補混合物を作り出す。上記の分配および増幅工程を反復することにより、新規に形成される候補混合物が含有する独特の配列は徐々により少なくなり、その核酸混合物のその標的に対する親和性の平均の度合いは一般に増大するであろう。極端に言えば、SELEXプロセスは、標的分子に対して最高の親和性を有する元の候補混合物からの核酸に相当する1種類または非常に少数の独特の核酸を含有する候補混合物を生じるであろう。しかし、この基本的なSELEXプロセスは、遅いそれらの標的からのオフ速度を有するアプタマーに関しては選択しない。
[00136] SELEX特許および光SELEX特許は、このプロセスに関して非常に詳細に記述し、詳述する。これらの特許には、プロセスにおいて使用することができる様々な標的;最初の候補混合物の調製のための方法;候補混合物内の核酸を分配するための方法;および分配された核酸を増幅して濃縮された候補混合物を生成するための方法の記述が含まれる。SELEX特許は、そのタンパク質が核酸結合性タンパク質であるタンパク質標的およびそうではないタンパク質標的を含めて、いくつかの異なるタイプの標的分子に対して得られるアプタマー溶液も記述する。図2に関連して、本明細書で開示する改変されたSELEXプロセスには、核酸の候補混合物の標的(単数または複数)との平衡化後の遅いオフ速度の濃縮プロセスの導入、およびSELEXプロセスにおける続く工程の前の分配工程が含まれる。基本的なSELEXプロセスへの遅いオフ速度の濃縮プロセスの導入は、様々な解離速度を含む核酸−標的複合体のセットからの遅い解離速度を有するアプタマー親和性複合体の濃縮のための手段を提供する。従って、改変されたSELEXプロセスは、標的分子に結合し、そして一度結合すると比較的遅いその標的分子からの解離速度(本明細書において“オフ速度”とも称される)を有するアプタマーを同定するた
めの方法を提供する。
[00137] 本明細書において、“結合”は一般にリガンドおよび標的の間の非共有結合的会合の形成を指すが、そのような結合は必ずしも可逆的ではない。用語“核酸−標的複合体”または“複合体”または“親和性複合体”は、そのような非共有結合的会合の生成物を指して用いられる。
[00138] 様々な態様において、オフ速度が遅いアプタマーは一本鎖または二本鎖のRNAまたはDNAオリゴヌクレオチドであることができる。アプタマーは非標準の、または修飾された塩基を含有することができる。さらに、アプタマーはあらゆるタイプの修飾を含有することができる。本明細書で用いられる際、“修飾塩基”には、天然核酸残基に対する比較的単純な修飾が含まれてよく、そのような修飾は核酸残基の物理的特性に変化を与える。そのような修飾には、ピリミジンの5位における修飾、疎水性基、例えばベンジル、イソブチル、インドール、もしくはナフチルメチルでの置換、または親水性基、例えば四級アミンもしくはグアニジウム、もしくはより“中性の”基、例えばイミダゾールおよび同様のものでの置換が含まれるが、それらに限定されない。追加の修飾がリボース環において、例えば2’位に存在していてよく、例えば2’−アミノ(2’−NH)および2’−フルオロ(2’−F)であり、またはホスホジエステル主鎖において存在していてよく、例えばホスホロチオエート類またはメチルホスホネート類である。
[00139] 様々な態様において、修飾ヌクレオチド塩基を含有する核酸配列のランダム化されたセットを含有する候補混合物を、ある量の標的分子と混合し、標的分子との結合平衡を確立させる。一般に、標的分子に高い親和性で結合する核酸の一部のみが、標的とともに効率的に分配されるであろう。
[00140] 様々な態様において、その候補混合物には修飾された基を含む可変領域を有する核酸配列が含まれる。修飾された基は修飾されたヌクレオチド塩基であることができる。その可変領域は、完全にまたは部分的にランダムな配列を含有することができ;それはその可変領域内に組み込まれる固定配列のサブ部分(sub−portions)も含有することができる。固定領域内のヌクレオチドも修飾されたヌクレオチド塩基を含有することができ、またはそれらは天然存在塩基の標準的なセットを含有することができる。
[00141] 一部の態様において、試験混合物のメンバーが分配された後に増幅が起こり、増幅されるのは核酸である。例えば、一連の3つの反応によりRNA分子の増幅を行うことができる:選択されたRNAのcDNAコピーを作製し、ポリメラーゼ連鎖反応を用いてそれぞれのcDNAのコピー数を増大させ、cDNAコピーを転写して選択されたRNAと同じ配列を有するRNA分子を得る。当業者に認識されるであろうように、直接的なDNA複製、直接的なRNA増幅等を含む、当技術で既知のあらゆる反応または反応の組み合わせを適宜用いることができる。その増幅法は、増幅前の混合物における異なる配列の比率に相当する増幅された混合物の比率をもたらすことができる。核酸に対する多くの修飾が酵素的増幅と適合することが知られている。必要であれば、増幅のそれぞれのラウンドの後に、増幅と適合しない修飾を行うことができる。
[00142] その核酸候補混合物を様々な方式で修飾して、その核酸の、促進特性または他の望ましい特性、特に核酸と標的の間の相互作用を増進する特性を有する可能性を増進することができる。意図される修飾には、望まれるリガンド−標的相互作用を増進するための正しい電荷、分極率、水素結合、または静電相互作用を有する他の化学基を導入する修飾が含まれる。例えば、核酸の親和性および/または解離速度を含む結合特性を増進する可能性がある修飾には、親水性部分、疎水性部分、強固な構造、タンパク質中で見られる官能基、例えばイミダゾール類、一級アルコール、カルボキシレート類、グアニジウム
基類、アミノ基類、チオール類および同様のものが含まれる。修飾を用いて、広い範囲の標的に対するオフ速度が遅いアプタマーを生成するために適用することができるストリンジェントな選択圧下でのアプタマー−標的複合体の存続を増大させることもできる。1態様において、オフ速度が遅いアプタマーを生成するために用いられる候補混合物の生成においてBndU(5−(N−ベンジルカルボキシアミド−dU)が用いられるが、他の修飾ヌクレオチドもそのようなアプタマーの生成に十分に適している。他の修飾ヌクレオチドを図14に示す。この適用の目的のための修飾ヌクレオチド候補混合物は、天然存在および天然存在以外のヌクレオチド両方を含む、あらゆるRNAまたはDNA候補混合物である。適切な修飾には、核酸の全ての残基上、核酸の単一の残基上、ランダムな残基上、全てのピリミジンもしくは全てのプリン上、核酸中の特定の塩基(すなわちG、C、A、TまたはU)の全ての出現における修飾、または特定の適用に適している可能性があるあらゆる他の修飾スキームが含まれる。修飾はアプタマーの促進活性または結合能力に関する必要条件ではないことが認識されている。アプタマーには、修飾dUTPおよびdCTP残基が含まれてもよい。
[00143] オフ速度が遅いアプタマーに関する候補混合物は、C−5塩基位で異なる修飾を有するピリミジンのセットを含んでいてよい。C−5修飾はアミド連結により、直接、もしくは間接的に、または別のタイプの連結により導入することができる。これらの候補混合物をSELEXプロセスで用いてオフ速度が遅いアプタマーを同定する。このプロセスには遅いオフ速度の濃縮プロセスの使用も含まれてよい。候補混合物は酵素的に、または合成的に生成されてよい。
[00144] 上記のように、そのヌクレオチドを、リボース位および/またはホスフェート位および/または塩基位の修飾を含め、いくつかの方式で修飾することができる。特定の修飾が、“修飾ヌクレオチドを含有する高親和性核酸リガンド”と題された米国特許第5,660,985号、“パラジウムに触媒される炭素−炭素カップリングに関する方法および生成物”と題された米国特許第5,428,149号、“パラジウムに触媒される方法によるプリンヌクレオシド修飾”と題された米国特許第5,580,972号において記述されており、その全てを本明細書に援用する。1態様において、修飾は、別の化学基がピリミジンの5位または糖の2’位に付着する修飾である。個々のヌクレオチド上に組み込まれることができる他の化学基のタイプには制限は無い。一部の態様において、結果として生じた修飾ヌクレオチドは増幅可能であるか、または増幅工程に続いて修飾することができる(例えば、指数関数的濃縮によるリガンドの系統的進化:化学SELEX”と題された米国特許第6,300,074号を参照)。
[00145] さらに他の態様において、それらの標的分子に結合し、親和性複合体の光活性化の際にそれらの標的分子に対して共有結合性の架橋を形成するアプタマーを生成するために、特定のヌクレオチドを修飾する。この方法は、標的分子に結合し、標的分子と光架橋する、および/または標的分子を光不活性化するアプタマーを含む。様々な態様において、そのアプタマーは光の照射の際に標的分子と光架橋することができる光反応基を含有する。他の態様において、そのアプタマーは照射の非存在下で標的と結合を形成することができる。
[00146] 光反応基は、光発色団を含有し、標的分子と光架橋可能であるあらゆる化学構造であることができる。本明細書において光反応基と称されるが、一部の場合では、下記で記述するように、照射はアプタマーおよびその標的の間で共有結合が起こるために必要ではない。一部の態様において、その光反応基は標的またはオリゴヌクレオチドの非修飾部分により吸収されない波長の光を吸収するであろう。光反応基には、5−ハロ−ウリジン類、5−ハロ−シトシン類、7−ハロ−アデノシン類、2−ニトロ−5−アジドベンゾイル類、ジアジリン類、アリールアジド類、フッ素化アリールアジド類、ベンゾフェノ
ン類、アミノ−ベンゾフェノン類、ソラレン類、アントラキノン類等が含まれる。
[00147] その光反応基は一般に、会合した核酸−標的対の照射の際に標的と結合を形成する。一部の場合では、照射は結合の形成が起こるのに必要ではない。典型的に起こる光架橋は、会合したアプタマーと標的の間の共有結合の形成であろう。しかし、アプタマーと標的の間の緊密なイオン相互作用も、照射の際に起こる可能性がある。
[00148] 1態様において、光架橋は電磁照射への曝露により起こる。電磁照射には、紫外光、可視光、X線、およびガンマ線が含まれる。
[00149] 様々な他の態様において、SELEX法を用いたオリゴヌクレオチドの限定された選択に、光SELEX法を用いた選択が続く。光反応基を含有するオリゴヌクレオチドを用いて、最初のSELEX選択ラウンドを行う。いくつかのSELEXラウンドの後、光SELEXを行って、標的分子に結合することができるオリゴヌクレオチドを選択する。別の態様において、アプタマー配列中に切断可能または遊離可能セクション(要素または構成要素とも記述される)を含むアプタマーの生成を記述する。これらの追加の構成要素または要素は、アプタマー中に追加の官能性を導入する構造的要素または構成要素であり、従ってそれらは官能性要素または構成要素である。そのアプタマーは、さらに以下の追加の構成要素(官能性または構造的要素または構成要素または部分とも、これらの用語のあらゆる組み合わせで記述される)の1種類以上を用いて生成される:標識または検出可能構成要素、スペーサー構成要素、および特異的結合タグまたは固定化要素もしくは構成要素。
[00150] 上述のように、本開示は、細胞または組織試料の内部で1種類以上の目的の標的に結合し、一度結合すると遅い解離速度またはオフ速度を有するアプタマーを同定するための方法を提供する。この方法で得られる遅いオフ速度は、約1時間、さらには約240分もの半減期を超えることができ、すなわち、一度核酸−標的複合体のセットが生成されると、そのセット中の複合体の半分は1時間後に結合したままである。遅いオフ速度の濃縮プロセスの効果はアプタマー親和性複合体の異なる解離速度に依存するため、遅いオフ速度の濃縮プロセスの期間は、遅い解離速度を有するアプタマー親和性複合体の高い比率を保持する一方で速い解離速度を有するアプタマー親和性複合体の数を実質的に低減するように選択される。例えば、遅いオフ速度の濃縮プロセスを課した後比較的長い期間の間その混合物を保温すると、より短い保温期間を有する遅いオフ速度の濃縮プロセスを用いて選択されたアプタマーよりも、より長い解離速度を有するアプタマーが選択されるであろう。
[00151] 様々な態様において、候補混合物をある量の細胞または組織試料と混合し、目的の標的(単数または複数)との結合平衡の確立を可能にする。溶液中で未結合である核酸から標的に結合した核酸を分配する前に、遅いオフ速度の濃縮プロセスを課して、結合した集団を遅い解離速度に関して濃縮する。上記のように、その遅いオフ速度の濃縮プロセスは、競合剤分子の添加により、試料の希釈により、競合剤分子の存在下での試料希釈の組み合わせにより適用することができる。従って、1態様において、核酸−標的複合体を含有する混合物中に競合剤分子を導入し、結合した核酸から未結合の核酸を分配する前にその混合物をある期間の間保温することにより、遅いオフ速度の濃縮プロセスを適用する。競合剤分子の量は一般に核酸分子の量よりも少なくとも1桁多く、そして2桁以上多くてもよい。別の態様において、核酸−標的複合体の試料混合物の体積を数倍(例えば2x、3x、4x、5xの少なくとも約1つ)に希釈し、結合した核酸から未結合の核酸を分配する前にその混合物をある期間の間保温することにより、遅いオフ速度の濃縮プロセスを適用する。希釈体積は一般に元の体積よりも少なくとも1桁多く、約2桁以上多くてもよい。さらに別の態様において、競合剤分子および希釈の両方の組み合わせを用いて
、遅いオフ速度の濃縮プロセスを適用する。別の態様において、結果として解離が遅いアプタマーの頻度が増大したことが示されている候補混合物を用いて、いくつかの候補アプタマーを選択する。これらのアプタマーをスクリーニングして、解離速度が遅いアプタマーを同定する。
[00152] 別の態様において、アプタマーの固定領域中に切断可能または遊離可能セクションを含む遅いオフ速度のアプタマーを生成する。そのアプタマーは、以下の追加の構成要素の1つ以上を含めて生成することもできる:標識された構成要素、スペーサー構成要素、および特異的結合タグ。これらの要素のいずれかまたは全てを一本鎖アプタマー中に導入してよい。1態様において、その要素はそのアプタマーの5’端に導入される。別の態様において、これらの要素の1つ以上は、一方の鎖が望まれる様々な要素および様々な標的結合領域を含有する第二の鎖の固定配列セクションの1つに相補的な配列を含有する部分的に二本鎖のアプタマーを作り出すことにより含められる。
[00153] “遊離可能”または“切断可能”要素または部分または構成要素は、官能基中の特定の結合が壊されて2つの別個の構成要素を生成することができる官能基を指す。様々な態様において、その官能基はその官能基(光切断可能)に適切な波長で照射することにより、または適切な化学的もしくは酵素的試薬を用いた処理により切断することができる。別の態様において、その遊離可能要素は還元剤で処理して結合を破壊することができるジスルフィド結合であってもよい。その遊離可能要素は、固体支持体に付着したアプタマー/標的親和性複合体が例えばその複合体の溶離によりその固体支持体から分離されるのを可能にする。その遊離可能要素は、アッセイの残りの条件に対して安定であってよく、アプタマー/標的複合体を破壊しないであろう条件の下で遊離可能であってよい。
[00154] 本明細書で開示するように、アプタマーはさらに“タグ”または“固定化構成要素または要素”または“特異的結合構成要素または要素”を含むことができ、それはアプタマー(およびそれに結合しているあらゆる標的分子)の固体支持体への付着または固定化のための手段を提供する構成要素を指す。“タグ”は、プローブと会合することができる構成要素の1つのタイプまたは種のコピーのセットである。“タグ(複数)”は、構成要素の1つより多くのそのようなセットを指す。そのタグはあらゆる適切な方法によりアプタマーに付着させることができ、またはアプタマー中に含ませることができる。一般に、そのタグはそのアプタマーが固体支持体に付着しているプローブまたは受容体と直接または間接的にのどちらかで会合することを可能にする。そのプローブはそれのそのタグとの相互作用において非常に特異的であることができ、全ての続く処理工程または手順の間その会合を保持することができる。タグは、アプタマー親和性複合体(または場合により共有結合性アプタマー親和性複合体)の固体支持体上の空間的に定められた場所(address)への局在を可能にすることができる。従って、異なるタグは、異なるアプタマー共有結合性複合体の固体支持体上の異なる空間的に定められた場所への局在を可能にすることができる。タグは、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、ペプチド核酸、ロックド(locked)核酸、オリゴ糖、多糖、抗体、affybody、抗体模倣体、細胞受容体、リガンド、脂質、ビオチン、これらの構造物のあらゆる断片もしくは誘導体、前記のもののあらゆる組み合わせ、またはプローブ(または以下で記述するようなリンカー分子)が特異性を持って結合する、またはそうでなければ会合するように設計され得る、または設定され得るあらゆる他の構造であることができる。一般に、タグはそれが分子内でそれ自体、またはそれが付着している、もしくはそれがその一部であるアプタマーと相互作用しないように設定される。SELEXを用いてアプタマーを同定する場合、そのタグはSELEX前またはSELEX後のどちらかでそのアプタマーに付加することができる。そのタグはSELEX後にそのアプタマーの5’端上に含まれ、またはそのタグはSELEX後のプロセスにおいてそのアプタマーの3’および5’端両方の上に含まれてよい。図9Dで図説するように、蛍光色素(例えばCy3)、光切断可能およびビオチン部
分は全てアプタマーの末端に付加される。光切断可能部分および色素間の相互作用の可能性のため、これらの2つの部分の間にスペーサーが挿入される。全ての構築物は標準的なホスホロアミダイト化学を用いて合成することができる。代表的なアプタマー構築物を図10A〜図10Fに示す。官能性は5’および3’端の間で分かれていることができ、またはどちらかの端において組み合わせられていることができる。光切断可能部分に加えて、化学的または酵素的に切断可能な部分を含め、他の切断可能部分を用いることができる。様々なスペーサー部分を用いることができ、1個以上のビオチン部分が含まれることができる。ビオチン以外のタグ(固定化または特異的結合要素または構成要素とも呼ばれる)も組み込むことができる。適切な構築試薬には、ビオチンホスホロアミダイト、PCリンカー(Glen Research PN 10−4920−02);PCビオチンホスホロアミダイト(Glen Research PN 10−4950−02);dSpacer CEホスホロアミダイト(Glen Research PN 10−1914−02);Cy3ホスホロアミダイト(Glen Research PN 10−5913−02);およびArm26−Achスペーサーアミダイト(Fidelity
Systems PN SP26Ach−05)が含まれる。標的特異的なオフ速度が遅いアプタマー上のこのタイプのタグは、二次的な試薬、例えば標識を組織または細胞試料中に導入するために用いることができる。例えば、そのオフ速度が遅いアプタマーがビオチンタグを含有する場合、標識されたアビジン分子を導入してシグナルを生成することができるであろう。
[00155] 1態様において、アプタマーの可変領域の生成においてヌクレオチドの塩基修飾が用いられる。これらの修飾ヌクレオチドは非常に遅いそれらの標的からのオフ速度を有するアプタマーを生成することが示されている。本開示の方法において、候補混合物は、候補混合物の少なくとも1つまたはそれぞれの核酸中の1個、いくつか(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30個の内の1個、または少なくとも1個)または全てのピリミジンが5位において化学的に修飾されている修飾核酸を含んでいてよい。場合により、候補混合物の核酸中の全てのC残基が5位において化学的に修飾されている。場合により、候補混合物の核酸中の全てのT残基が5位において化学的に修飾されている。場合により、候補混合物の核酸中の全てのU残基が5位において化学的に修飾されている。
[00156] “細胞学的標本または試料”には、広い範囲の標本のタイプが含まれてよい。これらには、腹部および骨盤洗浄液、体腔液(胸膜性、腹膜性)、尿、胃/食道洗浄液、細針吸引液(FNA)、乳汁、CSF、嚢胞液、関節液、および気管支洗浄液が含まれる。PAP塗抹標本に関して行われるように、FNA標本またはブラシで収集した標本から塗抹標本を調製することができる。
[00157] “細胞学プロトコル”は一般に試料の収集、試料の固定、試料の固定化、および染色で構成される。“細胞の調製”には、その調製された細胞の染色のための1種類以上のオフ速度が遅いアプタマーの使用を含め、試料の収集の後の処理工程の全てが含まれてよい。
[00158] 試料の収集には、その試料を未処理の輸送容器中に直接置くこと、その試料をあるタイプの媒体を含有する輸送容器中に置くこと、またはその試料を処理もしくは固定一切無しでスライドの上に直接置くこと(固定化)が含まれてよい。
[00159] 試料の固定化は、その収集された標本の一部をポリリジン、ゼラチン、またはシランで処理されたガラススライドに適用することにより向上させることができる。スライドは、細胞の薄い平らな層をそのスライドにわたって塗抹することにより調製するこ
とができる。機械的歪みおよび乾燥による人為的結果を最小限にするために注意が払われる。液体標本は細胞ブロック法で処理されてよく、または液体標本は固定溶液と1:1で、室温において10分間混合されてよい。
[00160] 細胞ブロックは、残留滲出液、痰、尿沈降物、胃腸液、細胞のこすり落とし、または細針吸引液から調製されてよい。細胞は遠心分離または膜濾過により濃縮され、または詰め込まれる(packed)。細胞ブロック調製のためのいくつかの方法が開発されてきた。代表的な手順には、固定沈降物、細菌寒天、または膜濾過法が含まれる。固定沈降物法では、細胞沈降物をブアン液、ピクリン酸、または緩衝されたホルマリンのような固定剤と混合し、次いでその混合物を遠心分離して固定された細胞をペレットにする。上清を除去し、細胞のペレットを可能な限り完全に乾燥させる。そのペレットを集め、レンズペーパーで包み、次いで組織カセットの中に置く。その組織カセットを追加の固定剤と共にジャーの中に置き、組織試料として加工する。寒天法は非常に類似しているが、そのペレットを移し、ペーパータオル上で乾燥させ、次いで半分に切る。その切った面をガラススライド上の一滴の溶けた寒天の中に置き、次いでそのペレットを寒天で覆い、寒天の中に泡ができていないのを確かめる。その寒天を固まらせ、次いで全ての過剰な寒天を切り取る。これを組織カセットの中に置き、組織の処理は完了である。あるいは、そのペレットを65℃の2%液体寒天中で直接懸濁し、その試料を遠心分離してよい。その寒天細胞ペレットを4℃で1時間凝固させる。その固体寒天を遠心分離チューブから取り外し、半分に切る。その寒天を濾紙、次いで組織カセットの中に包む。この工程からの処理は上記の通りである。あらゆるこれらの手順において、遠心分離の工程は膜濾過の工程で置き換えられてよい。これらのプロセスの全てを“細胞ブロック試料”を生成するために用いることができる。
[00161] 細胞ブロックは、Lowicryl樹脂、LR White、LR Gold、Unicryl、およびMonoStepを含む専用の樹脂を用いて調製されてよい。これらの樹脂は低い粘度を有しており、低温および紫外(UV)光で重合することができる。包理プロセスは脱水工程の間に試料を次第に冷却すること、その試料をその樹脂に移し、ブロックを最終的な低温において適切なUV波長で重合させることに頼っている。
[00162] 細胞ブロックの切片を細胞形態学的試験のためにヘマトキシリン−エオジンで染色し、一方で追加の切片を特異的マーカーに関する試験のために用いる。
[00163] そのプロセスが細胞学的か組織学的かを問わず、試料の分解を防ぐために、その試料を追加の処理の前に固定することができる。この工程は“固定”と呼ばれ、互換的に用いることができる広い範囲の物質および手順を表す。試料の固定のプロトコルおよび試薬は、検出される標的および分析される特定の細胞/組織のタイプに基づいて経験的に最適に選択される。試料の固定は、エタノール、ポリエチレングリコール、メタノール、ホルマリン、またはイソプロパノールのような試薬に頼っている。試料は、収集およびそのスライドへの取り付けの後できるだけ早く固定されるべきである。しかし、選択される固定剤は様々な分子標的中に構造的変化を導入する可能性があり、それはそれらのその後の検出をより困難にする。固定および固定化のプロセスならびにそれらの連続はその細胞の外観に変更を加える可能性があり、細胞検査技師はこれらの変化を予測し、認識しなければならない。固定剤は特定の細胞型の収縮を引き起こす可能性があり、細胞質が粒状または網状に見えるようにする可能性がある。多くの固定剤は、細胞の構成要素を架橋することにより作用する。これは特定のエピトープを損傷する、またはそれに変更を加える、新しいエピトープを生成する、分子の会合を引き起こす、および膜の透過性を低減する可能性がある。ホルマリン固定は最も一般的な細胞学的/組織学的アプローチの1つである。ホルマリンは隣接するタンパク質の間で、またはタンパク質内でメチル架橋を形成する。沈降または凝集も固定のために用いられ、エタノールはこのタイプの固定において頻
繁に用いられる。固定に関して架橋および沈降の組み合わせを用いることもできる。強い固定プロセスは形態学的情報の保存において最適であり、一方でより弱い固定プロセスは分子標的の保存に最適である。
[00164] 代表的な固定剤は、50%無水エタノール、2mMポリエチレングリコール(PEG)、1.85%ホルムアルデヒドであろう。この配合に関する変形には、エタノール(50%〜95%)、メタノール(20%〜50%)、およびホルマリン(ホルムアルデヒド)のみが含まれる。別の一般的な固定剤は、2%PEG1500、50%エタノール、および3%メタノールである。スライドを室温で固定剤中に10〜15分間置き、次いで取り出して乾燥させる。一度スライドを固定したら、それらをPBSのような緩衝された溶液ですすぐことができる。
[00165] 広い範囲の染料を用いて、細胞の、細胞下の、および組織の特徴または形態学的構造を差次的に強調する、および収縮させる(contract)、または“染色する”ことができる。ヘマトキシリン(Hematoylin)は核を青または黒色に染色するために用いられる。オレンジG−6およびエオシンアズールは共に細胞の細胞質を染色する。オレンジGはケラチンおよびグリコーゲンを含有する細胞を黄色に染色する。エオシンYは核、毛様体、赤血球、および表在上皮扁平細胞を染色するために用いられる。ロマノフスキー染色は空気乾燥したスライドに関して用いられ、多形性を増進し、細胞外物質を細胞質内物質と識別するのに有用である。
[00166] 染色プロセスは、細胞のその染色に対する透過性を増大させるための処理を含んでいてよい。界面活性剤を用いた細胞の処理は、透過性を増大させるために用いられてよい。細胞および組織の透過性を増大させるため、固定された試料をさらに溶媒、サポニン、または非イオン性界面活性剤を用いて処理してよい。酵素的消化も組織試料中の特定の標的の接近可能性を向上させることができる。
[00167] 染色の後、増大するアルコール濃度でのアルコールすすぎの連続を用いて試料を脱水する。最後の洗浄は、スライドに適用されるカバーガラスの屈折率に近い屈折率を有するキシレンまたはキシレン代替物、例えばシトラステルペンを用いて行われる。この最後の工程は透徹と呼ばれる。一度試料を脱水および透徹したら、封入媒体を適用する。封入媒体はガラスに近い屈折率を有するように選択され、カバーガラスをスライドに接着させることができる。それは細胞試料の追加の乾燥、収縮、または退色も防ぐであろう。
[00168] 用いられる染色または処理工程に関わらず、その細胞学的標本の最終的な評価は、あるタイプの顕微鏡および視覚による形態の検査およびマーカーの存在または非存在の決定によりなされる。利用される顕微鏡法には、明視野、位相差、蛍光、および微分干渉コントラストが含まれる。
[00169] 試験の後にその試料に関して第2の検査が必要である場合、カバーガラスを取り外してスライドを脱染することができる。脱染には、元々そのスライドを染色するのに用いられた元の溶媒系の、染料の添加無しでの、元の染色手順に対して逆の順序での使用が含まれる。脱染は、そのスライドを酸アルコール中に、その細胞が無色になるまで浸すことにより完了されてもよい。一度無色になったら、そのスライドを水浴中で十分にすすぎ、第2の染色手順を適用する。
[00170] 加えて、細胞の形態学的分析と組み合わせて、特異的な分子試薬、例えば抗体または核酸プローブの使用により、特定の分子の識別が可能である可能性がある。これは診断細胞学の正確さを向上させる。顕微解剖を用いて、追加の評価のために、特に異常
な染色体、遺伝子発現、または変異の遺伝学的評価のために細胞の亜集団を単離することができる。
[00171] 組織学において、組織標本は上皮、結合組織、軟骨、骨、筋、神経、血管、心臓、リンパ系、呼吸器管、尿管、内分泌系、および生殖系から集めることができる。
[00172] 組織学的評価のための組織試料の調製には、固定、脱水、浸透、包理、および薄切が含まれる。組織学において用いられる固定試薬は細胞学において用いられる固定試薬と非常に類似しており、または同じであり、個々のタンパク質のような分子的特徴を犠牲にして形態学的特徴を保存する同じ問題を有する。組織試料を固定および脱水せず、代わりに凍結させ、次いで凍結している間に薄切する場合、時間を節約することができる。これはより穏やかな処理工程であり、より多くの個々のマーカーを保存することができる。しかし、氷の結晶の導入により細胞下の情報が失われるため、凍結は組織試料の長期保管には許容し得ない。凍結された組織試料中の氷は、薄切プロセスが非常に薄い切片を生成するのも妨げ、従って細胞下構造の一部の顕微鏡的分解能および画像化が失われる可能性がある。ホルマリン固定に加えて、リン脂質(膜)を固定および染色するために四酸化オスミウムが用いられる。
[00173] 組織の脱水は、増大するアルコール濃度での連続的な洗浄により成し遂げられる。透徹はアルコールおよび包理物質と混和性である物質を必要とし、50:50 アルコール:透徹試薬で開始し、次いで100%透徹剤(キシレンまたはキシレン代替物)での段階的なプロセスを含む。浸透は組織を包理剤(温ワックス、ニトロセルロース溶液)の液体型と共に、最初に50:50 包理剤:透徹剤、および100%包理剤で保温することを含む。包理は、組織を型枠またはカセット中に置き、溶けた包理剤、例えばワックス、寒天、またはゼラチンで満たすことにより完了する。包理剤を固まらせる。次いで固まった組織試料を、染色およびその後の試験のために薄い切片に切り分けることができる。
[00174] 染色の前に、その組織切片からワックスを除き、再水和する。組織からワックスを除くためにキシレンが用いられ、キシレンの1回以上の交換を用いてよく、その組織を減少する濃度のアルコール中での連続的な洗浄により再水和する。ワックスを除く前に、その組織切片をガラススライドに、80℃において20分間熱固定化することができる。組織学染色を図1で列挙する。
[00175] レーザーキャプチャー顕微解剖は、さらなる分析のための組織切片からの細胞の亜集団の単離を可能にする。
[00176] 細胞学におけるように、顕微鏡的特徴の可視化を増進するために、その組織切片または薄片を様々な染色剤を用いて染色することができる。特定の特徴を強める、または同定するために、染色剤の大きなメニューが利用可能である。
[00177] 免疫学的試薬の細胞学的/組織学的試料との相互作用をさらに増大させるために、“抗原修復”のためのいくつかの技法が開発されてきた。第1のそのような技法は、固定された試料の高温加熱に頼っている。この方法は、熱誘導エピトープ修復またはHIERとも呼ばれる。蒸気加熱、マイクロ波照射、加圧加熱、水浴、および圧力蒸煮(pressure cooking)、またはこれらの加熱の方法の組み合わせを含む、様々な加熱技法が用いられてきた。抗原修復溶液には水、シトレート、または通常生理食塩水緩衝液が含まれる。抗原修復にとって重要なことは高温における時間であるが、より低い温度でのより長い時間もうまく用いられてきた。抗原修復にとっての別の重要なことは、加熱溶液のpHである。低いpHは最高の免疫染色を与えることが分かったが、バック
グラウンドももたらし、それは陰性対照としての第2の組織切片の使用を必要とした。最も着実な利益(バックグラウンドの増大無しでの免疫染色の増大)は、緩衝剤の組成に関わらず、高いpHの溶液で見出された。特定の標的に関する抗原修復プロセスは、熱、時間、pHおよび緩衝剤の組成をプロセス最適化のための変数として用いて、その標的に関して経験的に最適化されるべきである。マイクロ波抗原修復法の使用は、抗体試薬を用いた異なる標的の連続的な染色を可能にした。しかし、染色工程の間の抗体および酵素の複合体に必要な時間は、細胞膜抗原を分解することも示されている。マイクロ波加熱法はインサイチュハイブリダイゼーション法も同様に向上させてきた。
[00178] 抗原修復プロセスを開始するために、まずその切片のワックスを除き、水和させる。次いでスライドをディッシュまたはジャー中の10mMクエン酸ナトリウム緩衝液pH6.0の中に置く。代表的な手順は1100Wマイクロ波を用い、スライドを100%電力で2分間マイクロ波照射し、スライドが液体中で覆われているままであることをチェックして確かめた後、続いてスライドを20%電力を用いて18分間マイクロ波照射する。次いでそのスライドを覆われていない容器中で放冷し、次いで蒸留水ですすぐ。HIERは、標的の免疫化学試薬に対する反応性を向上させるために酵素消化と組み合わせて用いることができる。
[00179] 1つのそのような酵素消化プロトコルは、プロテイナーゼKを用いる。20μg/mlの濃度のプロテイナーゼKを50mMトリス塩基、1mM EDTA、0.5%トリトンX−100、pH8.0緩衝液中で調製する。そのプロセスはまず、キシレンの2回交換、それぞれ5分間で切片のワックスを除くことを含む。次いで100%エタノールの2回交換、それぞれ3分間、95%および80%エタノール、それぞれ1分間、次いで蒸留水中でのすすぎでその試料を水和する。切片をプロテイナーゼKの使用液で覆い、加湿したチャンバー中で37℃において10〜20分間保温する(場合により保温時間は組織のタイプおよび固定の程度に応じて変更されてよい)。その切片を室温で10分間冷まし、次いでPBS Tween20中で2×2分間すすぐ。望まれるならば、内在性の化合物および酵素からの干渉の可能性を排除するために切片をブロッキングしてよい。次いでその切片を、一次抗体希釈緩衝液中で適切に希釈された一次抗体と共に室温で1時間、または4℃で一夜保温する。次いでその切片をPBS Tween20で2×2分間すすぐ。特定の適用に関して必要であるならば、追加のブロッキングを実施した後PBS
Tween20での3×2分間の追加のすすぎを行ってよく、その後最終的に免疫染色のプロトコルが完了する。
[00180] 室温での1%SDSによる単純な処理も免疫組織化学染色を向上させることが示されている。抗原修復法は、自由に浮遊している切片と同様にスライドにマウントされた切片にも適用されてきた。別の処理の選択肢は、そのスライドをクエン酸および0.1 Nonident P40をpH6.0で含有するジャーの中に置き、95℃に加熱することである。次いでそのスライドをPBSのような緩衝溶液で洗浄する。
[00181] 組織の免疫学的染色に関して、切片を血清または脱脂粉乳のようなタンパク質溶液中に浸すことにより抗体の組織タンパク質との非特異的会合をブロックするのが有用である可能性がある。
[00182] “オフ速度が遅いアプタマーで処理した試料”は、検出される1種類以上の標的に対する1種類以上のオフ速度が遅いアプタマーで処理されてよいあらゆる細胞学的または組織学的スライドまたは切片を意味することを意図する。その処理プロセスには、そのスライドまたは切片を、1種類以上の緩衝液または試薬中に、1種類以上の温度において、そのオフ速度が遅いアプタマーと標的、そのオフ速度が遅いアプタマーとその後の検出部分の間の望まれる相互作用を完了するのに十分な期間の間置くこと、分配、ブロッ
キング反応、または他のプロセス工程が含まれてよい。
[00183] ブロッキング反応には、内在性のビオチンのレベルを低減させる;内在性の荷電効果を排除する;内在性のヌクレアーゼを不活性化する;および/またはペルオキシダーゼおよびアルカリホスファターゼのような内在性の酵素を不活性化する必要性が含まれる可能性がある。内在性のヌクレアーゼはプロテイナーゼKを用いた分解により、熱処理、EDTAまたはEGTAのようなキレート剤の使用、キャリヤーDNAまたはRNAの導入、カオトロープ、例えば尿素、チオ尿素、塩酸グアニジン、チオシアン酸グアニジン、過塩素酸リチウム等、またはジエチルピロカーボネートを用いた処理により不活性化することができる。アルカリホスファターゼは、0.1N HClを用いて室温で5分間処理することにより、または1mMレバミゾールを用いた処理により不活性化することができる。ペルオキシダーゼ活性は、0.03%過酸化水素を用いた処理により排除することができる。内在性のビオチンは、そのスライドまたは切片をアビジン(ストレプトアビジン、ニュートラアビジンで代用することができる)溶液に室温で少なくとも15分間浸すことによりブロックすることができる。次いでそのスライドまたは切片を緩衝液中で少なくとも10分間洗浄する。これを少なくとも3回繰り返す。次いで、そのスライドまたは切片をビオチン溶液中に10分間浸す。これを少なくとも3回、その度に新しいビオチン溶液を用いて繰り返してよい。緩衝液での洗浄の手順を繰り返す。単一の診断目的に関して用いられる全てのスライドまたは切片は、同じブロッキングプロトコルで処理されるべきである。細胞もしくは組織の構造または目的の標的(単数または複数)のどちらかを損傷するのを防ぐために、ブロッキングプロトコルは最小限であるべきであるが、これらのプロトコルの1種類以上を組み合わせて1種類以上のオフ速度が遅いアプタマーとの反応の前にスライドまたは切片を“ブロックする”ことができるであろう。
[00184] 1態様において、細胞学的試料を集め、ガラススライドに適用し、固定し、集められた試料および診断される疾患状態に適した構造的/形態学的特徴に関して染色し、顕微鏡検査してよく、次いでそれを望まれる標的(単数または複数)に対する1種類のオフ速度が遅いアプタマーと反応させてよい。その方法にはさらに、以下の工程の1種類以上が含まれてよい;抗原修復工程;細胞の透過性を増大させるための処理(透過処理);1つ以上のブロッキング工程;脱水;透徹;洗浄工程;および/または脱染工程。個々の工程の順序は必要に応じて入れ替えてよい。そのオフ速度が遅いアプタマーは、場合によりそれらの特異的な標的と架橋するように設計されてよい。
[00185] 1態様において、細胞学的試料を集め、ガラススライドに適用し、固定し、集められた試料および診断される疾患状態に適した構造的/形態学的特徴に関して染色し、顕微鏡検査してよく、次いでそれを望まれる標的(単数または複数)に対する1種類の架橋性のオフ速度が遅いアプタマーまたは光アプタマーと反応させてよい。その方法にはさらに、以下の工程の1種類以上が含まれてよい;抗原修復工程;細胞の透過性を増大させるための処理(透過処理);脱水;透徹;1つ以上のブロッキング工程;洗浄工程;および/または脱染工程。個々の工程の順序は必要に応じて入れ替えてよいが、その架橋プロセスを活性化する追加の工程を含む。
[00186] 別の態様において、細胞ブロック手順からの切片を利用することができる。細胞ブロックが用いられる場合、その試料をあたかもそれが組織試料であるかのように調製することができる。ある切片を、その細胞型および診断される疾患状態に適切であるように染色することができる。別の切片を、特定の標的(単数または複数)の検出のための1種類以上のオフ速度が遅いアプタマーで処理することができる。そして、別の切片を、そのオフ速度が遅いアプタマーで処理した切片と同じ試薬および順序で、そのオフ速度が遅いアプタマーの非存在下で処理して、陰性対照の切片として利用することができる。場合により、これらのオフ速度が遅いアプタマーは架橋性のオフ速度が遅いアプタマーまた
は光アプタマーであってよい。これらの手順は組織切片に適用されてよい。
[00187] 一部の態様において、一度そのオフ速度が遅いアプタマー(単数または複数)がその組織または細胞試料と平衡化してオフ速度が遅いアプタマー標的親和性複合体を形成したら、速度論的負荷を用いることができる。速度論的負荷が導入される場合、そのオフ速度が遅いアプタマーとあらゆる非標的分子の間の非特異的複合体はそれらの解離の後に再形成されそうにない。非特異的複合体は一般に、オフ速度が遅いアプタマーの親和性複合体よりも急速に解離するため、速度論的負荷はオフ速度が遅いアプタマーが非標的との非特異的複合体中に含まれる可能性を低減する。効果的な速度論的負荷は、そのアッセイに、最初のオフ速度が遅いアプタマーの結合事象およびあらゆるその後の任意の共有結合性相互作用の特異性の他に追加の特異性を与えることができる。従って、速度論的負荷は特異性の第2の決定要素を提供する。1態様において、10mMデキストラン硫酸を組織または細胞と会合しているオフ速度が遅いアプタマーの親和性複合体に添加し、それを約15分間保温する。別の態様において、その速度論的負荷は10mMデキストラン硫酸の存在下で開始される。競合剤を用いる速度論的負荷の場合、その競合剤は、例えばオフ速度が遅いアプタマーが非標的分子に非特異的に再結合するのを防ぐための、未結合のオフ速度が遅いアプタマーと非特異的複合体を形成することができるあらゆる分子であることもできる。そのような競合剤分子には、ポリカチオン類(例えばスペルミン、スペルミジン、ポリリジン、およびポリアルギニン)およびアミノ酸(例えばアルギニンおよびリジン)が含まれる。競合剤が速度論的負荷として用いられる場合、その試料中のタンパク質全体またはオフ速度が遅いアプタマー全体の予想される濃度と比較してかなり高い濃度が利用される。1態様において、約10mMのデキストラン硫酸が速度論的負荷における競合剤として用いられる。1態様において、速度論的負荷は、オフ速度が遅いアプタマーの親和性複合体を含有する組織または細胞試料に競合剤を添加し、その試料を約30秒間、約1分間、約2分間、約3分間、約4分間、約5分間、約10分間、約30分間、および約60分間以上の時間の間保温することを含む。別の態様において、速度論的負荷は、オフ速度が遅いアプタマーの親和性複合体を含有する組織または細胞試料に競合剤を添加し、オフ速度が遅いアプタマーの親和性複合体の測定されるレベルの非特異的複合体の測定されるレベルに対する比率が増大するような時間の間保温することを含む。
[00188] 一部の態様において、速度論的負荷は、その試験試料を結合緩衝液またはオフ速度が遅いアプタマーの親和性複合体の天然の解離速度を著しく増大させないいずれかの他の溶液と接触させることにより実施される。希釈度は約2×、約3×、約4×、約5×、またはいずれかの適切なより大きい希釈度であることができる。より大きい希釈は、希釈後のタンパク質およびオフ速度が遅いアプタマー全体の濃度を、従ってそれらの再会合の速度を低減させることにより、より効果的な速度論的負荷を提供する。1態様において、そのオフ速度が遅いアプタマーの親和性複合体は希釈剤の添加により効果的に希釈され、約30秒以上、約1分以上、約2分以上、約3分以上、約4分以上、約5分以上、約10分以上、約30分以上、および約60分以上の時間の間保温される。別の態様において、そのオフ速度が遅いアプタマーの親和性複合体は希釈剤の添加により効果的に希釈され、オフ速度が遅いアプタマーの親和性複合体の測定されるレベルの非特異的複合体の測定されるレベルに対する比率が増大するような時間の間保温される。
[00189] 一部の態様において、速度論的負荷は、試料の希釈の効果および競合剤の導入の効果が同時に実現されるような方式で実施される。例えば、組織または細胞試料は、大きい体積の競合剤の添加により効果的に希釈することができる。これらの2つの速度論的負荷戦略を組み合わせることは、一方の戦略を用いて達成することができるよりも効果的な速度論的負荷を提供することができる。1態様において、効果的な希釈度は約2×、約3×、約4×、約5×、またはいずれかの適切なより大きい希釈度であることができ、競合剤は約10mMデキストラン硫酸である。1態様において、その競合剤は約1mMデ
キストラン硫酸である。1態様において、速度論的負荷は、オフ速度が遅いアプタマーの親和性複合体を含有する組織または細胞試料をある体積の希釈剤と接触させ、そのオフ速度が遅いアプタマーの親和性複合体を含有する混合物に競合剤を添加し、そのオフ速度が遅いアプタマーの親和性複合体を含有する混合物を約30秒、約1分、約2分、約3分、約4分、約5分、約10分、約30分、および約60分以上の時間の間保温することを含む。別の態様において、速度論的負荷は、オフ速度が遅いアプタマーの親和性複合体を含有する混合物を希釈し、そのオフ速度が遅いアプタマーの親和性複合体を含有する混合物に競合剤を添加し、そのオフ速度が遅いアプタマーの親和性複合体を含有する混合物をオフ速度が遅いアプタマーの親和性複合体の測定されるレベルの非特異的複合体の測定されるレベルに対する比率が増大するような時間の間保温することを含む。1態様において、その速度論的負荷の工程に続く手順の中に架橋工程が導入される。別の態様において、その架橋工程は速度論的負荷の工程および洗浄の工程に続く手順の中に導入される。
[00190] 別の態様において、組織標本を集め、凍結させ、または固定し、脱水し、包理媒体を浸透させ、包理媒体中で包理し、薄く切り、マウントし、透徹し、集められた試料および診断される疾患状態に関する適切な特徴に関して染色し、顕微鏡検査し、次いで望まれる標的(単数または複数)に対する1種類以上のオフ速度が遅いアプタマーと反応させる。その方法にはさらに、以下の工程の1種類以上が含まれてよい;抗原修復工程;組織の透過性を増大させるための処理(透過処理);1つ以上のブロッキング工程;脱水;洗浄工程;および/または脱染工程。個々の工程の順序は必要に応じて入れ替えてよい。最初の顕微鏡検査までの全てのプロセスは、自由に浮遊する組織切片に対して完了させることができる。場合によりこれらのオフ速度が遅いアプタマーは架橋性のオフ速度が遅いアプタマーまたは光アプタマーであってよい。
[00191] 別の態様において、多数の組織切片が診断手順において用いられる。1つの切片を、その組織の形態学的構造および特徴の評価のために、その組織のタイプおよび診断される疾患状態に適切であるように染色する。別の切片を、緩衝された溶液中で、特定の標的(単数または複数)の検出のための1種類以上のオフ速度が遅いアプタマーを用いて処理する。そして、別の切片を、そのオフ速度が遅いアプタマーで処理した切片と同じ試薬および順序で、その1種類以上のオフ速度が遅いアプタマーの非存在下で処理して、陰性対照の切片として利用し、ここでそのオフ速度が遅いアプタマーの反応の工程はそのオフ速度が遅いアプタマーの反応の工程において用いられる緩衝された溶液を用いた処理で置き換えられる。
[00192] 別の態様において、スライドにマウントされた塗抹標本、細胞ブロック、または組織切片を処理してその試料のワックスを除くことができ、次いでそれを染色の前に再水和することができる。選択される染色剤は、その試料および診断される疾患状態に適しているであろう。顕微鏡的評価の前に、そのスライドにマウントされた試料をカバーガラスで覆ってよい。形態学的または構造的特徴の顕微鏡的評価が完了したら、次いでそのカバーガラスを取り外してよく、その試料を場合により試薬、例えば酸アルコールで処理してその試料を脱染してよい。脱染プロトコルが用いられる場合、その試料を脱イオン水で数回洗浄するべきである。1種類以上の標的特異的なオフ速度が遅いアプタマーとの反応のための試料を調製するために、場合によりブロッキングプロトコルを用いることができる。1態様は、ブロッキング剤としてデキストラン硫酸(DexSO)または別のポリアニオン性化合物を用いる。他のポリアニオン性物質には、ヘパリン、ニシン精子DNA、サケ精子DNA、tRNA、ポリデキストラン、脱塩基ホスホジエステルポリマー類、dNTP、およびピロホスフェートが含まれ得る。1態様において、そのオフ速度が遅いアプタマーのすすぎ溶液は、デキストラン硫酸のようなポリアニオン性物質を含有していてよい。それぞれのオフ速度が遅いアプタマーの濃度が1〜20nMである1種類以上のオフ速度が遅いアプタマーの緩衝された溶液を用いてよい。そのオフ速度が遅いアプタ
マーの溶液を試料に適用して、室温または37℃で、目的の特定の標的(単数または複数)との反応または結合を最大化するように(経験的に)選択された期間の間保温することができる。保温時間は18時間もの長さであってもよい。その緩衝されたオフ速度が遅いアプタマーの溶液は、そのオフ速度が遅いアプタマー(単数または複数)の組織もしくは細胞試料中、または組織もしくは細胞試料上の核酸結合部位との非特異的相互作用を最小限にするための様々な他の物質、例えば非特異的ポリヌクレオチドを含有していてよい。次いでその緩衝されたオフ速度が遅いアプタマーの溶液を、オフ速度が遅いアプタマーのすすぎ溶液を用いて、試料からすすぎ落としてよい。カバーガラスを再度適用し、オフ速度が遅いアプタマーを通して試料に導入された可能性のある1種類以上の特異的な検出可能部分の検出のために試料を顕微鏡検査してよい。
[00193] 別の態様において、オフ速度が遅いアプタマーの結合を通して試料に導入される検出可能部分は、そのオフ速度が遅いアプタマーに直接付着している蛍光性、化学発光性、または比色分析用検出可能部分であってよい。その緩衝されたオフ速度が遅いアプタマーの溶液中で1種類より多くのオフ速度が遅いアプタマーが用いられる場合、それぞれのオフ速度が遅いアプタマーには独特の検出および/または励起の波長を有する検出可能部分が含まれていてよい。従って、多数の標的を同時に検出することができる。場合により、これらのオフ速度が遅いアプタマーはそれらの特異的な標的に架橋するように設計することができる。
[00194] 他の態様において、その標的は連続的に検出されてよい。この態様において、一度伝統的な染色による形態学的評価が完了したら、その試料を特異的な第1の標的に対する第1のオフ速度が遅いアプタマーと反応させることができ、その試料中に特異的な第1の標的が存在するならば、その第1のオフ速度が遅いアプタマーの存在により第1の検出可能部分を導入することができる。次いでその試料を、その第1のオフ速度が遅いアプタマー/第1の標的の対を解離させるのに十分な熱、緩衝剤、pH、イオン強度の条件で処理することができる。次いで第1のオフ速度が遅いアプタマーをその試料から洗い流し、第2の標的に対する第2のオフ速度が遅いアプタマーをその試料と反応させる。次いで、その試料中に第2の標的が存在するならば、その第2の検出可能部分を検出することができる。全ての望まれる標的が評価されたら、このサイクルを完了してよい。
[00195] 別の態様において、そのオフ速度が遅いアプタマー(単数または複数)は、シグナルの生成を支持するための要素を用いて設計することができる。1態様において、そのシグナルの生成を支持するための要素は、それがそのオフ速度が遅いアプタマーの標的への結合を妨げないようようにそのオフ速度が遅いアプタマーに付着した、またはタグを介して付着した酵素であってよい。一度そのオフ速度が遅いアプタマーが特異的な標的に結合すると、過剰なオフ速度が遅いアプタマー(単数または複数)は除去され、その酵素はそれの特異的な基質と反応して、その酵素が固定化されていることができる位置において検出可能なシグナルを生成することができる。沈降性、比色分析用、または蛍光性の基質を用いることができる。別の態様において、そのオフ速度が遅いアプタマーに付着した酵素を、シグナルを増大させるために用いることができる。別の態様において、シグナルの生成を支持するための要素は2つの構成要素で構成される。シグナルの生成を支持するための要素の第1の構成要素はそのオフ速度が遅いアプタマーの中に設計されており、シグナルの生成を支持するための要素の第2の構成要素であるアビジンのような対応する受容体と反応するビオチンのようなリガンドである。その第2の構成要素は検出可能部分に付着することができる。
[00196] 別の態様において、試料中の特異的な標的と反応したオフ速度が遅いアプタマーは組み合わせて用いることができ、またはPCR、ローリングサークル増幅、q−ベータレプリカーゼ、鎖置換、ヘリカーゼ依存性の増幅、ループに仲介される等温増幅、リ
ガーゼ連鎖反応、制限および環状化に助けられるローリングサークル増幅等を含む様々な核酸増幅法における核酸標的として働くことができる。例えば、標的に固定化されたオフ速度が遅いアプタマーは、PCR反応のための鋳型として働いてその試料を覆う溶液中にPCR産物の多数のコピーを生成することができる。そのPCR産物の検出は、標識されたPCR産物のアレイへのハイブリダイゼーションにより、リアルタイムPCR測定により、ゲル電気泳動、配列決定法等により、多種多様な方法で完了することができるであろう。
[00197] 別の態様において、その組織または細胞試料をあらゆる形態学的染色手順の前に1種類以上のオフ速度が遅いアプタマーと反応させる。
[00198] 細胞学的評価におけるオフ速度が遅いアプタマーの使用の1態様は、PAP塗抹標本評価の、ハイリスクHPV16および/または18株からの分子標的に特異的なオフ速度が遅いアプタマーとの組み合わせであろう。この場合、そのオフ速度が遅いアプタマーは、E6もしくはE7タンパク質と、またはE6もしくはE7およびL1もしくはE2もしくはL2タンパク質の内の1種類に反応するように設計することができる。代表的なPAP塗抹標本染色プロトコルは、染料、ハリスヘマトキシリン、オレンジG6、およびEA50の組み合わせを利用する。EA50はエオシンY、ビスマルクブラウン、およびファストグリーンを含有する組み合わせ染料である。ヘマトキシリンは核を青く染色し、その他の染料はケラチンと反応して細胞の細胞質をケラチン含有量に応じて緑色〜青色またはピンク色に染色する。その染色プロトコルは、ヘマトキシリン(5分間)で開始されてよい。それぞれの染色工程の後に、次の工程の前に数回の洗浄(実施例3に関する)が続いてよい。アルコール処理の工程の後は洗浄サイクルを除いてよい。次いでそのスライドを、0.1%HCl溶液で1分間、次いで0.02%アンモニウム水で1分間、95%試薬グレードエタノールで2分間を2サイクル、オレンジG6で2分間、95%試薬グレードエタノールで2分間を2サイクル、EA50で3分間、そして最後に95%試薬グレードエタノールで2分間を2サイクル処理することができる。そのスライドをアルコールで脱水し、キシレンで透徹し、次いでマウント媒体を適用し、カバーガラスを適用することができる。次いでスライドを顕微鏡検査することができる。次いでカバーガラスを取り外し、そのスライドを酸アルコールの1回以上のすすぎで処理して染料を除去し、形態学的検査のために用いる。一度その塗抹標本を脱染したら、そのスライドをオフ速度が遅いアプタマー(単数または複数)を含有する反応溶液で覆い、30分間から一夜まで保温することができるであろう。その保温期間は、オフ速度が遅いアプタマーのそれの特異的な標的との会合を最適化する一方でバックグラウンドの染色を最小限にするように選択されるべきである。
[00199] 反応溶液または緩衝された溶液は、独立して0.005〜40nMのそれぞれ目的の標的に特異的な1種類以上のオフ速度が遅いアプタマーを含有することができるであろう。例えば、そのオフ速度が遅いアプタマーの濃度は、以下の濃度のいずれか以下であることができるであろう;混合物中のオフ速度が遅いアプタマーにより0.005nM、1nM、2nM、4nM、8nM、16nM、32nM、35nM、または40nM。その反応溶液は、緩衝液、例えばSB17(40mM HEPES、pH7.5、125mM NaCl、5mM KCl、5mM MgCl、1mM EDTA、0.05% TWEEN−20)または細胞もしくは組織における変化を最小限にする、もしくはオフ速度が遅いアプタマーの切片(組織または細胞)中への拡散を促進するように経験的に選択された他の緩衝液を含有することができるであろう。その反応溶液はさらに、例えばニシン精子DNA等を含む、そのオフ速度が遅いアプタマーの試料由来の核酸への非特異的結合を最小限にするための物質を含有していてよい。追加の構成要素には、デキストラン硫酸、カゼインのようなキャリヤータンパク質等が含まれることができるであろう。場合により速度論的負荷工程を利用することができるであろう。
[00200] 1態様において、いくつかの関連する腫瘍タイプからの組織切片または細胞を用いて、望まれる腫瘍マーカーと反応するオフ速度が遅いアプタマーを選択および生成することができる。異なる組織切片中のマーカーは、異なる組織切片中の異なる物質と架橋または会合することができるため、その腫瘍タイプに特有の特定の局在した環境中のその特定のマーカーの存在を識別するオフ速度が遅いアプタマーを選択および生成することができる可能性がある。従って、例えば未分化乏突起細胞腫(oligodendrogliom)、星状細胞腫、および乏突起星細胞腫を識別するために用いることができるオフ速度が遅いアプタマーの集団(panel)を同定することができる可能性がある。場合により、これらのオフ速度が遅いアプタマーは光アプタマーまたは架橋性アプタマーであってよい。
[00201] 別の態様において、腫瘍タイプを識別するために選択および生成されるオフ速度が遅いアプタマーは、反応混合物中のそれぞれのオフ速度が遅いアプタマーが、そのオフ速度が遅いアプタマーに独特の特異的なシグナルを生成するであろう独特の蛍光性または他のタイプの標識を含有するように生成されてよい。標識の独特の組み合わせの検出は、腫瘍のタイプの識別を提供するために用いられるであろう。それぞれのオフ速度が遅いアプタマーは、組織切片または細胞調製物中でのそのオフ速度が遅いアプタマーとそれの特異的な標的の相互作用の際に生成するシグナルを増大させるために蛍光または他の標識の多数のコピーを有するように生成することもできるであろう。シグナルを生成する標識は、染色された細胞または組織において明確に見ることができ、オフ速度が遅いアプタマー(単数または複数)との反応の前にその試料を脱染する必要性を排除するように選択することができる。場合により、これらのオフ速度が遅いアプタマーは光アプタマーまたは架橋性アプタマーであってよい。
[00202] 別の態様において、その組織切片または細胞は、特定の腫瘍マーカーに対して選択および生成されたオフ速度が遅いアプタマーと反応させることができる。その腫瘍マーカーに対するオフ速度が遅いアプタマー(単数または複数)に加えて、その組織切片または細胞は、1種類以上のホルモンまたは他のタイプの腫瘍に特異的なマーカーであって、その腫瘍により産生される可能性があり、その腫瘍のタイプおよび由来を同定するのを助ける可能性がある前記ホルモンまたはマーカーに特異的である1種類以上のオフ速度が遅いアプタマーと反応させることができる。
[00203] 別の態様において、その組織切片または細胞は、その疾患に関する予後を確立するために用いることができる1種類以上のマーカーに対して選択および生成された1種類以上のオフ速度が遅いアプタマーと反応させることができる。1態様において、その組織切片または細胞は、適切な療法剤の選択を支持するために用いることができる1種類以上のマーカーに対して選択および生成された1種類以上のオフ速度が遅いアプタマーと反応させることができる。例えば、神経膠腫における高レベルの特異的グリコシドヒドロラーゼYKL−40の存在は、より少ないYKL−40を有する神経膠腫におけるよりも乏しい予後を示している可能性がある。YKL−40レベルの差次的発現は、対照の物質と比較した、組織切片または細胞調製物において観察されるオフ速度が遅いアプタマーでの染色のレベルにより確立することができる。
[00204] 組織または細胞試料の分析に関する態様のいずれかにおいて、1種類以上のオフ速度が遅いアプタマーのその試料との最初の保温の後に、そのオフ速度が遅いアプタマー(単数または複数)を場合により適切な架橋活性化因子への曝露によりそれらの対応する標的に架橋することができる。
[00205] 別の態様において、特定の疾患状態を示す1種類以上の標的に特異的な一種
類以上のオフ速度が遅いアプタマーで構成されていてよい組織学的または細胞学的試薬を提供する。標的には腫瘍特異的マーカー、ホルモン、または他の分子が含まれてよい。そのオフ速度が遅いアプタマーに加えて、その試薬は緩衝剤、塩類、界面活性剤、ブロッキング試薬、競合剤、および安定剤で構成されていてよい。
[00206] 本開示の別の観点は、試験試料を分析するための本明細書において開示される方法のいずれかを都合よく実施するのに有用なキットに関する。開示される方法の多用途性を増進するために、その試薬を、その試薬の比率がその方法およびアッセイの実質的な最適化を提供するように、同じまたは別個の容器中に包装された組み合わせで提供することができる。その試薬はそれぞれ別個の容器に入っていてよく、または様々な試薬がその試薬の交差反応性および安定性に応じて1個以上の容器中で組み合わせられていることができる。
[00207] キットは、包装された組み合わせの中に、少なくとも1種類のアプタマーおよび非特異的結合を低減するための少なくとも1種類の競合剤を含む。そのキットには、試料の希釈およびスライドの洗浄のための洗浄溶液、例えば緩衝された水性媒体、試料調製試薬等も含まれてよい。加えて、そのキットはその分析法の間に望まれる速度論的負荷を実施するのに適した試薬を含有していてよい。キット中の様々な試薬の相対的な量は、そのアッセイの間に起こる必要がある反応を実質的に最適化する試薬の濃度を提供するために、およびそのアッセイの感度をさらに実質的に最適化するために、広く異なっていることができる。適切な状況の下で、キット中の試薬の1種類以上を、賦形剤を含む、通常は凍結乾燥された乾燥粉末として提供することができ、それは溶解すると本開示に従う方法またはアッセイを実施するための適切な濃度を有する試薬溶液を提供するであろう。そのキットにはさらに、本明細書で記述されるような方法のいずれかに従う方法が書かれた記述が含まれ得る。
[00208] 1態様において、試験試料中に存在する可能性のある1種類以上の標的の検出および/または定量化のためのキットには、標的に関する特異的な親和性を有する少なくとも1種類のアプタマー、および非特異的結合を低減するための少なくとも1種類のポリアニオン性競合剤が含まれる。
[00209] 別の態様において、試験試料中に存在する可能性のある1種類以上の標的の検出および/または定量化のためのキットには、共有結合的に付着した検出部分/標識を有する、標的に関する特異的な親和性を有する少なくとも1種類のアプタマー、および非特異的結合を低減するための少なくとも1種類のポリアニオン性競合剤が含まれる。
[00210] 別の態様において、試験試料中に存在する可能性のある1種類以上の標的の検出および/または定量化のためのキットには、標的に関する特異的な親和性および二次染色試薬により染色されることができる共有結合性部分を有する少なくとも1種類のアプタマー、ならびに非特異的結合を低減するための少なくとも1種類のポリアニオン性競合剤が含まれる。
[00211] 加えて、上記のキットのいずれも、そのキットの検出法の間の速度論的負荷の実施のための試薬および物質を含有していてよい。
[00212] 本開示の方法を、実施例1〜11に一般的に図説する。実施例1は、修飾ヌクレオチドで構成される候補混合物を用いる一般的な親和性SELEX法を記述する。実施例2は、修飾ヌクレオチドおよび5’末端光反応基で構成される候補混合物を用いる光SELEX法、ならびに平衡化アプタマー:標的混合物に対して遅いオフ速度の濃縮プロセスを提供するために希釈が用いられる向上したSELEX法を記述する。実施例3は、
希釈工程への競合剤の添加により実施例2で記述される方法を拡張する。実施例4は、遅いオフ速度の濃縮プロセスの有効性を図説する。遅いオフ速度の濃縮プロセスの非存在下で選択される修飾ヌクレオチド5−(N−ベンジルカルボキシアミド)−dUTP(BndUTP)、5−(N−イソブチルカルボキシアミド)−dUTP(iBudUTP)、または5−(N−トリプタミノカルボキシアミド)−dUTP(TrpdUTP)を用いたアプタマーに関する平均解離半減期値(t1/2)は20分であり、一部のアプタマーは1時間までのt1/2値を有していた。これは、以前に天然塩基または他の修飾ヌクレオチドを用いて記述されたものよりも実質的に長い。遅いオフ速度の濃縮プロセスを用いて選択されたアプタマーに関する平均は、85分を超えた。より具体的には、図4Bに関連して、遅いオフ速度の濃縮プロセスの導入は、約15分以上、約30分以上、約60分以上、約90分以上、約120分以上、約150分以上、約180分以上、約210分以上、および約240分以上のt1/2値を有するアプタマーを生成した。アプタマー:標的複合体に関するこれらの解離速度は前例がない。
[00213] 実施例5は、NapdU(5−(N−ナフチルメチルカルボキシアミド)−dU)候補混合物を用いる遅いオフ速度のアプタマーの生成を記述する。
[00214] 実施例6は、ペプチド標的に対する遅いオフ速度のアプタマーの生成を記述する。
[00215] 実施例7は、一般に用いられるアプタマーと比較したオフ速度が遅いアプタマーの有用性を図説する。
[00216] 実施例8は、BndU候補混合物を用いるオフ速度が遅いアプタマーの生成を図説する。
[00217] 実施例9は、Her2(ErbB−2)に対するオフ速度が遅いBndUアプタマーの生成および組織学的適用を記述する。
[00218] 実施例10は、上皮成長因子受容体(EGFR/ErbB−1)に対するオフ速度が遅いBndUアプタマーの生成および組織学的適用を記述する。
[00219] 実施例11は、前立腺特異的抗原(PSA)に対するオフ速度が遅いBndUアプタマーの生成および組織学的適用を記述する。
[00220] 以下の実施例は説明的な目的のみのために提供され、添付された特許請求の範囲において定義される本発明の範囲を限定することを意図していない。
実施例1.核酸ライブラリーにおける修飾ヌクレオチドの組み込みは、親和性SELEXにおいてより高い親和性が濃縮されたライブラリーをもたらす
[00221] A.候補混合物の調製
[00222] dATP、dGTP、5−メチル−dCTP(MedCTP)およびdTTPまたは3種類のdUTP類似体:5−(N−ベンジルカルボキシアミド)−dUTP(BndUTP)、5−(N−イソブチルカルボキシアミド)−dUTP(iBudUTP)、もしくは5−(N−トリプタミノカルボキシアミド)−dUTP(TrpdUTP)の内の1種類のどちらかを用いて、候補混合物を調製した。候補混合物を、ビオチン化された鋳型にアニーリングしたプライマーのポリメラーゼ伸長により調製した(図3)。それぞれの候補混合物組成物に関して、4.8nmolの順方向PCRプライマーおよび4nmolの鋳型を、100μLの1×KOD DNAポリメラーゼ緩衝液(Novage
n)中で混ぜ合わせ、95℃に8分間加熱し、氷上で冷却した。1×KOD DNAポリメラーゼ緩衝液、0.125U/μLのKOD XL DNAポリメラーゼ、ならびにそれぞれ0.5mMのdATP、MedCTP、dGTP、およびdTTPまたはdUTP類似体を含有する400μLの伸長反応物に、それぞれ100μLのプライマー:鋳型混合物を添加し、70℃で30分間保温した。1mLのストレプトアビジンでコートされた磁気ビーズ(MagnaBindストレプトアビジン、Pierce、1M NaCl+0.05%TWEEN−20中5mg/mL)を添加し、混合しながら25℃で10分間保温することにより、鋳型鎖ビオチンを介して二本鎖の産物を捕捉した。ビーズを0.75mL SB1T緩衝液(40mM HEPES、pH7.5、125mM NaCl、5mM KCl、1mM MgCl、1mM CaCl、0.05%TWEEN−20)で3回洗浄した。アプタマー鎖を1.2mLの20mM NaOHを用いてビーズから溶離させ、0.3mLの80mM HClで中和し、そして15μLの1M HEPES、pH7.5で緩衝した。Centricon−30で候補混合物をおよそ0.2mLに濃縮し、そしてUV吸収分光法により定量化した。
[00223] B.標的タンパク質の固定化
[00224] (His)タグ(R&D Systems)のようなポリHisタグを有する標的タンパク質を購入し、Co+2−NTA常磁性ビーズ(MyOne TALON、Invitrogen、または以下Talonビーズと呼ぶ)上に固定した。標的タンパク質を、0.5mLのB/W緩衝液(50mM リン酸Na、pH8.0、300mM
NaCl、0.01%TWEEN−20)中で0.2mg/mLに希釈し、0.5mLのTALONビーズ(B/W緩衝液で3回あらかじめ洗浄し、B/W緩衝液中で10mg/mLに再懸濁した)に添加した。混合物を25℃で30分間回転させ、使用するまで4℃で保管した。(His)ペプチドでコートしたTALONビーズも調製し、上記のように保管した。使用の前に、ビーズをB/W緩衝液で3回、SB1Tで1回洗浄し、SB1T中で再懸濁した。
[00225] C.アプタマー選択スキーム
[00226] 親和性選択を、それぞれの候補混合物を用いて別々に行い、標的タンパク質ビーズ(シグナル、S)および(His)ビーズ(バックグラウンド、B)間で結合を比較した。それぞれの試料に関して、40μLのSB1T中0.5μMの候補DNA混合物を調製した。1μLの(His)相補的オリゴ(1mM)(図3)を、10μLのタンパク質競合剤混合物(SB1T中の0.1%HSA、10μMカゼイン、および10μMプロトロンビン)とともにそのDNAに添加した。
[00227] 50μLの標的タンパク質でコートされたビーズまたは(His)でコートされたビーズ(SB1T中5mg/mL)をDNA混合物に添加し、混合しながら37℃で15分間保温することにより、結合反応を行った。DNA溶液を除去し、0.1mg/mLニシン精子DNA(Sigma−Aldrich)を含有するSB1Tを用いて37℃で5回、ビーズを洗浄した。示さない限り、全ての洗浄は100μLの洗浄溶液中でビーズを再懸濁し、30秒間混合し、磁石でビーズを分離し、洗浄溶液を除去することにより行われた。100μL SB1T+2Mグアニジン−HClを添加し、混合しながら37℃で5分間保温することにより、結合したアプタマーをビーズから溶離した。磁気分離の後、アプタマー溶離物を新しいチューブに移した。最初の2回の選択ラウンドの後、5回の標的ビーズ洗浄の内の最後の2回を、30秒間ではなく5分間行った。
[00228] ビオチン化逆方向PCRプライマーをストレプトアビジンでコートされた常磁性ビーズ(MyOne−ストレプトアビジンC1(SAビーズ)、Invitrogen)に固定することにより、プライマービーズを調製した。5mLのSAビーズ(10mg/mL)をNaClT(5M NaCl、0.01%TWEEN−20)で1回洗浄し
、5mLビオチン化逆方向PCRプライマー(NaClT中5μM)中で再懸濁した。その試料を25℃で15分間保温し、5mLのNaClTで2回洗浄し、12.5mLのNaClT(4mg/mL)中で再懸濁し、4℃で保管した。
[00229] 25μLのプライマービーズ(NaClT中4mg/mL)をグアニジン緩衝液中の100μLアプタマー溶液に添加し、混合しながら50℃で15分間保温した。アプタマー溶液を除去し、ビーズをSB1Tで5回洗浄した。85μLの20mM NaOHを添加し、混合しながら37℃で1分間保温することにより、アプタマーをビーズから溶離した。磁気分離の後、80μLのアプタマー溶離物を新しいチューブに移し、20μLの80mM HClで中和し、1μLの0.5M Tris−HCl、pH7.5で緩衝した。
[00230] D.アプタマーの増幅および精製
[00231] 選択されたアプタマーDNAをQPCRにより増幅し、定量化した。48μLのDNAを12μLのQPCR混合物(5×KOD DNAポリメラーゼ緩衝液、25mM MgCl、10μM順方向PCRプライマー、10μMビオチン化逆方向PCRプライマー、5×SYBR Green I、0.125U/μL KOD XL DNAポリメラーゼ、ならびにそれぞれ1mMのdATP、dCTP、dGTP、およびdTTP)に添加し、ABI5700 QPCR装置において以下のプロトコルで熱サイクルを行った:1サイクルの99.9℃15秒間、55℃10秒間、70℃30分間;30サイクルの99.9℃15秒間、72℃1分間。装置のソフトウェアを用いて定量化を行い、標的ビーズおよび(His)ビーズで選択されたDNAのコピー数を比較してシグナル/バックグラウンド比を決定した。
[00232] 増幅の後、PCR産物をビオチン化アンチセンス鎖を介してSAビーズ上に捕捉した。1.25mLのSAビーズ(10mg/mL)を0.5mLの20mM NaOHで2回、0.5mLのSB1Tで1回洗浄し、2.5mLの3M NaCl中で再懸濁し、4℃で保管した。25μLのSAビーズ(3M NaCl中4mg/mL)を50μLの二本鎖QPCR産物に添加し、混合しながら25℃で5分間保温した。ビーズをSB1Tで1回洗浄し、200μLの20mM NaOHを添加し、混合しながら37℃で1分間保温することにより、“センス”鎖をビーズから溶離した。溶離された鎖を廃棄し、ビーズをSB1Tで3回および16mM NaClで1回洗浄した。
[00233] 固定されたアンチセンス鎖からのプライマー伸張により、適切なヌクレオチド組成でアプタマーのセンス鎖を調製した。そのビーズを20μLのプライマー伸張反応混合物(1×プライマー伸張緩衝液(120mM Tris−HCl、pH7.8 @ 20、10mM KCl、7mM MgSO、6mM (NHSO、0.001%BSA、および0.01% Triton X100)、5μM順方向PCRプライマー、0.125U/μL KOD XL DNAポリメラーゼ、それぞれ0.5mMのdATP、MedCTP、dGTP、およびdTTPまたはdUTP類似体のどちらか)中で再懸濁し、混合しながら68℃で30分間保温した。そのビーズをSB1Tで3回洗浄し、85μLの20mM NaOHを添加し、混合しながら37℃で1分間保温することにより、アプタマー鎖をビーズから溶離した。磁気分離の後、80μLのアプタマー溶離物を新しいチューブに移し、20μLの80mM HClで中和し、5μLの0.1M
HEPES、pH7.5で緩衝した。
[00234] E.選択のストリンジェンシーおよびフィードバック
[00235] 選択工程の相対的標的タンパク質濃度を、以下のようにS/B比に応じてそれぞれのラウンドで低下させ、ここでシグナルSおよびバックグラウンドBは上記の節Cにおいて定義されている:
S/B<10の場合、[P](i+1)=[P]i
10≦S/B<100の場合、[P](i+1)=[P]i/3.2
S/B≧100の場合、[P](i+1)=[P]i/10
ここで、[P]=タンパク質濃度であり、i=現在のラウンド数である。
[00236] 標的タンパク質濃度を、選択工程に添加される標的タンパク質ビーズ(およびバックグラウンド決定のための(His)ビーズ)の質量を調節することにより低下させた。
[00237] それぞれの選択ラウンドの後、濃縮されたDNA混合物の収束状態を決定した。5μLの二本鎖QPCR産物を、1×SYBR Green Iを含有する4mM MgClで200μLに希釈した。75μLのシリコンオイルを試料に重層し、二本鎖オリゴヌクレオチドの複合体混合物に関するハイブリダイゼーション時間を測定するCt分析を用いて収束に関して分析した。以下のプロトコルで、試料に熱サイクルを行った:3サイクルの98℃1分間、85℃1分間;1サイクルの93℃1分間、85℃15分間。85℃で15分間の間に、5秒間隔で蛍光画像を測定した。蛍光強度をlog(時間)の関数としてプロットして、配列の多様性を評価した。
[00238] F.平衡結合定数(Kd)の測定
[00239] TALONビーズ分配を用いて、濃縮されたライブラリーの平衡結合定数を測定した。95℃に加熱し、ゆっくりと37℃まで冷ますことにより、DNAを再生させた(renatured)。複合体を、低濃度の放射標識(radiolabled)DNA(約1×10−11M)をある範囲の濃度の標的タンパク質(1×10−7M〜最終的に1×10−12M)とSB1緩衝液中で混合して37℃で保温することにより形成した。それぞれの反応物の一部をナイロン膜に移し、乾燥させて、それぞれの反応物中の総カウントを決定した。少量の5mg/mL TALONビーズをそれぞれの反応物の残りに添加し、37℃で1分間混合した。一部を真空下でMultiScreen HVプレート(Millipore)を通過させて、未結合のDNAからタンパク質が結合した複合体を分離して、100μLのSB1緩衝液で洗浄した。ナイロン膜およびMultiScreen HVプレートをホスホイメージ化(phosphorimaged)し、FUJI FLA−3000を用いてそれぞれの試料中の放射活性の量を定量化した。捕捉されたDNAの割合をタンパク質濃度の関数としてプロットし、非線形曲線適合アルゴリズムを用いてデータから平衡結合定数(K値)を抽出した。表1は、標的のセットに対してそれぞれの濃縮された候補混合物に関して決定されたK値を示す。NTは、特定の塩基組成に関して濃縮されたライブラリーが、Ct分析により決定した際に、元の候補混合物から変化しなかったようであり、従って試験されなかった(NT)ことを示す。
[00240] 表1は、15種類の異なるタンパク質標的および4種類の異なるDNAライブラリー:天然存在塩基(dT)、5−(N−ベンジルカルボキシアミド)(BndU)、5−(N−イソブチルカルボキシアミド)(iBudU)、または5−(N−トリプタミノカルボキシアミド)(TrpdU)に対して濃縮されたプールに関する平衡結合定数(K)を示す。SELEXプロセスにおける修飾塩基の使用は、望まれる高親和性アプタマーの有意により高い百分率をもたらす。通常のヌクレオチドを用いて生成された14種類のアプタマーの内の2種類のみが望まれる遅い解離速度を有することが観察された。修飾ヌクレオチドを用いて生成されたオフ速度が遅いアプタマーは、BndUTP、iBudUTP、およびTrpdUTPに関してそれぞれ14種類の内の9種類、14種類の内の7種類、および14種類の内の14種類と同定された。
表1.異なる修飾ヌクレオチドを用いて選択された濃縮ライブラリーの平衡結合定数(K)、モル濃度の単位で報告されている。NT=未試験。
実施例2.5’固定光SELEXおよび希釈による遅いオフ速度の濃縮プロセスを用いる光アプタマーの生成
[00241] A.候補混合物の調製
[00242] ビオチン化された鋳型にアニーリングしたプライマーのポリメラーゼ伸長により、dATP、dCTP、dGTP、およびBndUTPを含有する候補混合物を調製した(図5A〜B)。それぞれの鋳型に関して、それぞれ5’末端に独特の発色団を有する4種類の異なる順方向プライマーを用いた(発色団の構造に関して図6を参照)。それぞれの候補混合物に関して、11nmolの順方向プライマー(5’発色団を有する)および10nmolの鋳型を、250μLのプライマー伸張緩衝液(120mM Tris−HCl、pH7.8、10mM KCl、6mM (NHSO、7mM MgSO、0.1mg/mL BSA、0.1%TritonX−100)中で混ぜ合わせ、95℃に5分間加熱し、氷上で冷却した。それぞれ125μLのプライマー:鋳型混合物を、プライマー伸張緩衝液、0.125U/μL KOD XL DNAポリメラーゼ、ならびにそれぞれ0.5mMのdATP、dCTP、dGTP、およびBndUTPを含有する1mLの伸長反応物に添加し、70℃で30分間保温した。それぞれ1mLの反応物を4つの250μLの分割量(aliquots)に分けて、氷上で冷却した。1mLのストレプトアビジンでコートされた磁気ビーズ(MagnaBind−ストレプトアビジン、Pierce、1M NaCl+0.05%TWEEN−20中5mg/mL)をそれぞれ250μLの分割量に添加し、混合しながら25℃で60分間保温することにより、鋳型鎖ビオチンを介して二本鎖産物を捕捉した。ビーズを0.5mLのSB17T緩衝液(40mM HEPES、pH7.5、125mM NaCl、5mM KCl、5mM MgCl、1mM EDTA、0.05%TWEEN−20)で3回洗浄した。1mLの20mM NaOHを用いてアプタマー鎖をビーズから溶離し、0.25mLの80mM HClで中和し、10μLの1M HEPES、pH7.5で緩衝した。Centricon−30で候補混合物をおおよそ0.2mLに濃縮し、UV吸収分光法により定量化した。
[00243] B.標的タンパク質の調製
[00244] NHS−PEO4−ビオチン(Pierce)をリジン残基に共有結合させることにより、タグ化されていない標的タンパク質をビオチン化した。Sephadex
G−25マイクロスピンカラムを用いて、タンパク質(50μL中300pmol)をSB17T中に交換した。NHS−PEO4−ビオチンを1.5mMまで添加し、反応物を4℃で16時間保温した。未反応のNHS−PEO4−ビオチンをSephadex G−25マイクロスピンカラムを用いて除去した。
[00245] C.遅いオフ速度の濃縮プロセスおよび光架橋を用いたアプタマー選択
[00246] それぞれの候補混合物を用いて選択を別々に実施し、標的タンパク質を含む試料(シグナルS)および標的タンパク質無しの試料(バックグラウンドB)の間で結合を比較した。最初の3回のラウンドは親和性に関する選択を伴って実施され(光架橋なし);第2および第3のラウンドには遅いオフ速度の濃縮プロセスが含まれた。ラウンド4〜8には遅いオフ速度の濃縮プロセスおよび光架橋両方が含まれた。
[00247] それぞれの試料に関して、90μLのDNA混合物を、10〜20pmolの候補混合物(最初のラウンドでは100pmol)および100pmolの逆方向プライマーを含むようにSB17T中で調製した。試料を95℃に3分間加熱し、0.1C/秒の速度で37℃まで冷却した。試料を10μLのタンパク質競合剤混合物(SB17T中0.1%HSA、10μMカゼイン、および10μMプロトロンビン)と混ぜ合わせ、0.5mgのSAビーズ(20mM NaOHで2回、SB17Tで1回あらかじめ洗浄した)に添加し、混合しながら37℃で5分間保温した。磁気分離によりビーズを移した。
[00248] 10μLの標的タンパク質(SB17T中0.5μM)またはSB17Tを40μLのDNA混合物に添加し、37℃で30分間保温することにより、結合反応を行った。
[00249] 遅いオフ速度の濃縮プロセスを用いる場合、複合体を捕捉する前に950μLのSB17T(37℃にあらかじめ加熱した)を添加することにより試料を20×希釈し、37℃で30分間保温した。
[00250] 0.25mg MyOne−SAビーズ(Invitrogen)を添加し、混合しながら37℃で15分間保温することにより、タンパク質ビオチンを介してSAビーズ上に複合体を捕捉した。ビーズをSB17Tで5回洗浄することにより未結合のDNAを除去した。示さない限り、全ての洗浄は、100μLの洗浄溶液中でビーズを再懸濁し、25℃で30秒間混合し、磁石でビーズを分離し、洗浄溶液を除去することにより行った。85μLの20mM NaOHを添加し、混合しながら37℃で1分間保温することにより、アプタマー鎖をビーズから溶離した。磁気分離の後、80μLのアプタマー溶離物を新しいチューブに移し、20μLの80mM HClで中和し、1μLの0.5M Tris−HCl、pH7.5で緩衝した。
[00251] 光選択を用いた場合、50μLの結合反応物(または任意の希釈による遅いオフ速度の濃縮プロセスの後の1mLの結合反応物)に高圧水銀ランプ(Optical
Associates, Inc.モデル0131−0003−01、500W、310nmミラーをセット)を上から照射した。BrdU発色団を有する候補混合物には37秒間照射し、ANA発色団を有する候補混合物には60秒間照射し、AQまたはソラレン発色団を有する候補混合物には10分間照射した。ANA、AQおよびソラレン発色団に関して追加のフィルター(5mmプレートガラス)を用いて、不要であるが損傷を与える可能性のある320nm未満の波長を排除した。複合体を上記のように捕捉し、ビーズを4Mグアニジン−HCl+0.05%TWEEN−20で50℃で10分間1回、20m
M NaOHで25℃で2分間1回、SB17Tで2回、および16mM NaClで1回洗浄することにより、架橋されていないDNAを除去した。増幅工程のために、架橋されたDNAはビーズ表面から除去しなかった。
[00252] D.アプタマーの増幅および精製
[00253] 選択されたアプタマーDNAをQPCRにより増幅し、定量化した。48μLのDNAを12μLのQPCR混合物(5×KOD DNAポリメラーゼ緩衝液、25mM MgCl2、10μM順方向PCRプライマー、10μMビオチン化逆方向PCRプライマー、5×SYBR Green I、0.125U/μL KOD XL DNAポリメラーゼ、ならびにそれぞれ1mMのdATP、dCTP、dGTP、およびdTTP)に添加し、Bio−Rad MyIQ QPCR装置において以下のプロトコルで熱サイクルを行った:1サイクルの99.9℃15秒間、55℃10秒間、68℃30分間、30サイクルの99.9℃15秒間、72℃1分間。装置のソフトウェアを用いて定量化を行い、標的タンパク質を伴って、および標的タンパク質無しで選択されたDNAのコピー数を比較して、シグナル/バックグラウンド比を決定した。
[00254] 光選択を用いた場合、ビーズ表面上でのプライマー伸張により、選択されたDNAのcDNAコピーを調製した。洗浄したビーズを20μLのcDNA伸張混合物(5μM逆方向PCRプライマー、それぞれ0.5mMのdATP、dCTP、dGTP、およびdTTP、ならびに0.125U/μL KOD XL DNAポリメラーゼを含有するプライマー伸張緩衝液)中で再懸濁し、混合しながら68℃で30分間保温した。ビーズをSB17Tで3回洗浄し、85μLの20mM NaOHを添加し、混合しながら37℃で1分間保温することにより、アプタマー鎖をビーズから溶離した。磁気分離の後、80μLのアプタマー溶離物を新しいチューブに移し、20μLの80mM HClで中和し、1μLの0.5M Tris−HCl、pH7.5で緩衝した。30サイクルの99.9℃15秒間、72℃1分間の上記のようなQPCRにより、cDNAを増幅し、定量化した。
[00255] 増幅の後、PCR産物をビオチン化アンチセンス鎖を介してSAビーズ上に捕捉した。1.25mLのSAビーズ(10mg/mL)を0.5mLの20mM NaOHで2回、0.5mLのSB17Tで1回洗浄し、1.25mLの3M NaCl+0.05%Tween中で再懸濁し、4℃で保管した。25μLのSAビーズ(3M NaClT中10mg/mL)を50μLの二本鎖QPCR産物に添加し、混合しながら25℃で5分間保温した。ビーズをSB17Tで1回洗浄し、200μLの20mM NaOHを添加し、混合しながら37℃で1分間保温することにより、“センス”鎖をビーズから溶離した。溶離された鎖を廃棄し、ビーズをSB17Tで3回、16mM NaClで1回洗浄した。
[00256] 固定されたアンチセンス鎖からのプライマー伸張により、適切な発色団を有するアプタマーセンス鎖を調製した。20μLのプライマー伸張反応混合物(1×プライマー伸張緩衝液、1.5mM MgCl2、適切な5’発色団を有する5μM順方向プライマー、それぞれ0.5mMのdATP、dCTP、dGTP、およびBndUTP、ならびに0.125U/μL KOD XL DNAポリメラーゼ)中でビーズを再懸濁し、混合しながら68℃で30分間保温した。ビーズをSB17Tで3回洗浄し、85μLの20mM NaOHを添加し、混合しながら37℃で1分間保温することにより、アプタマー鎖をビーズから溶離した。磁気分離の後、80μLのアプタマー溶離物を新しいチューブに移し、20μLの80mM HClで中和し、5μLの0.1M HEPES、pH7.5で緩衝した。
[00257] E.選択のストリンジェンシーおよびフィードバック
[00258] 実施例1で記述したように、それぞれのラウンドで標的タンパク質を調整した。それぞれの選択ラウンドの後、実施例1で記述したように、濃縮されたプールの収束状態を決定した。
[00259] F.濃縮されたライブラリーの平衡結合定数
[00260] SA捕捉ビーズを用いたこと以外は、上記の実施例1で記述したように、結合親和性を決定した。以下の表、表2は、遅いオフ速度の濃縮プロセスを伴う光SELEXプロトコルを用いて得られた平衡結合定数(Kd)を要約する。
表2.異なる発色団を用いて選択された濃縮ライブラリーの平衡結合定数(K)、モル濃度の単位で報告されている。収束に失敗したライブラリーに対しては測定を行わなかった(xで示す)。
[00261] G.架橋活性アッセイ
[00262] 飽和タンパク質および光の条件下でタンパク質に架橋されたDNAのパーセントを測定することにより、濃縮されたライブラリーの架橋収率を決定した。放射標識DNA(50pM)を、SB17T中で逆方向プライマー(16nM)と混合し、95℃に3分間加熱し、0.1℃/秒で37℃まで冷却した。標的タンパク質を10nMの終濃度までDNA混合物に添加し、37℃で30分間保温した。タンパク質を含まない対照試料を同時に調製した。飽和用量を用いたこと以外は上記で記述した発色団に固有の条件(BrdUに関しては6分間、ANAに関しては10分間、AQおよびPsorに関しては30分間)で、試料を架橋した。変性PAGEにより試料を分析し(図7)、定量化し、その結果を表3において一覧表にする。
表3.異なる発色団を用いて選択された濃縮ライブラリーの架橋収率、タンパク質に架橋された総DNAのパーセントの単位で報告されている。収束に失敗したライブラリーに対しては測定を行わなかった(xで示す)。
[00263] 実施例3.競合剤を用いた遅いオフ速度の濃縮プロセスを用いた、遅いオフ速度のアプタマーの生成
[00263] A.候補混合物の調製
[00264] 94種類のタンパク質標的に関して、ビオチン化された鋳型にアニーリングしたプライマーのポリメラーゼ伸長により、dATP、dCTP、dGTP、およびBndUTPを含有する候補混合物を調製した。55nmolの順方向プライマー(5’ANA発色団を有する)および55nmolの鋳型を、0.5mLのプライマー伸張緩衝液(120mM Tris−HCl、pH7.8、10mM KCl、6mM (NHSO、7mM MgSO、0.1mg/mL BSA、0.1%TritonX−100)中で混ぜ合わせ、95℃に5分間、70℃に5分間、48℃に5分間加熱し、氷上で冷却した。プライマー伸張緩衝液、0.125U/μL KOD XL DNAポリメラーゼ、ならびにそれぞれ0.5mMのdATP、dCTP、dGTP、およびBndUTPを含有する5.5mLの伸長反応物に、プライマー:鋳型混合物を添加し、70℃で60分間保温した。伸長反応の完了後、溶液を氷上で冷却した。25mLのストレプトアビジンでコートされた磁気ビーズ(MagnaBind−ストレプトアビジン、Pierce、1M NaCl+0.05%TWEEN−20中5mg/mL)をプライマー伸張産物に添加し、回転させながら25℃で15分間保温することにより、鋳型鎖ビオチンを介して二本鎖産物を捕捉した。40mLのSB17T緩衝液(40mM HEPES、pH7.5、125mM NaCl、5mM KCl、5mM MgCl、1mM EDTA、0.05%TWEEN−20)で3回、ビーズを洗浄した。35.2mLの20mM NaOHを用いて、振盪しながら5分間、アプタマー鎖をビーズから溶離した。溶離された鎖を8.8mLの80mM HClで中和し、400μLの1M HEPES、pH7.3で緩衝した。Centricon−30で候補混合物をおおよそ0.7mLに濃縮し、UV吸収分光法により定量化した。
[00265] B.標的タンパク質の調製
[00266] 実施例2で記述したように、タグ化されていない標的タンパク質をビオチン化した。
[00267] C.遅いオフ速度の濃縮プロセスおよび光架橋を伴うアプタマー選択
[00268] ラウンド6〜9での遅いオフ速度の濃縮プロセスの間にアプタマーの再結合に関する競合剤として10mMのデキストラン硫酸を添加して、実施例2で記述したように選択を別個に行った。
[00269] 遅いオフ速度の濃縮プロセスを3種類の異なる方式で用いた。ラウンド2および3では、950μLのSB17T(37℃にあらかじめ加熱した)を添加することにより試料を20×希釈し、複合体を捕捉する前に37℃で30分間保温した。ラウンド4および5では、950μLのSB17T(37℃にあらかじめ加熱した)を添加することにより試料を20×希釈し、架橋前に37℃で30分間保温した。ラウンド6および7では、950μLのSB17T(37℃にあらかじめ加熱した)を添加することにより試料を20×希釈した。それぞれの希釈された試料の50μLを950μLのSB17T+10mM 5000Kデキストラン硫酸(37℃にあらかじめ加熱した)に移すことにより再び希釈して、全体で400×希釈とし、架橋前に37℃で60分間保温した。ラウンド8および9では、950μLのSB17T(37℃にあらかじめ加熱した)を添加することにより試料を20×希釈し、それぞれの試料の50μlを950μLのSB17T(37℃にあらかじめ加熱した)に移すことにより再び希釈して、400×希釈とした。最後に、それぞれの400×希釈された試料の内の50μLを950μLのSB17T+10mM 5000Kデキストラン硫酸(37℃にあらかじめ加熱した)に移すことにより再び希釈して、全体で8000×希釈とし、架橋前に37℃で60分間保温した。実施例2で記述したように、複合体を捕捉して洗浄した。光架橋を用いた場合、遅いオフ速度の濃縮プロセスの後の1mLの結合反応物を、実施例2におけるような複合体の捕捉の前に、470nm LEDのアレイを用いて上から60秒間照射した。
[00270] D.アプタマーの増幅および精製
[00271] 実施例2におけるように増幅および精製を行った。
[00272] E.選択のストリンジェンシーおよびフィードバック
[00273] ラウンド6および8を除いて、実施例1で記述したようにそれぞれのラウンドで標的タンパク質を調整した。これらの大規模な希釈の後にシグナルを最大化するため、ラウンド6および8に関して標的タンパク質を100nMに増大させた。それぞれの選択ラウンドの後、実施例1で記述したように、濃縮されたプールの収束状態を決定した。
[00274] F.解離速度定数決定プロトコル
[00275] アプタマー:タンパク質複合体の解離に関する速度定数(koff)を、希釈の後に結合したままであるあらかじめ形成されたアプタマー:タンパク質複合体の割合を時間の関数として測定することにより、それぞれのアプタマーに関して決定した。放射標識アプタマー(50pM)を、SB17T−0.002(TWEEN−20を0.002%まで低減させたSB17T)中で、測定されたK値より10倍高い濃度のタンパク質と共に37℃で平衡化させた。試料を37℃のSB17T−0.002で100倍希釈し、様々な時点で分割量を移し、分配して、未結合のアプタマーをタンパク質:アプタマー複合体から分離した。分配は、試料にZORBAX樹脂(Agilent)を添加し、その樹脂の上に複合体を捕捉し、試料を真空下でDuraPore膜を通過させ、樹脂をSB17T−0.002で洗浄することにより成し遂げられた。ZORBAX樹脂では効率的に捕捉されないタンパク質に関しては、そのアッセイはSB17T中でビオチン化されたタンパク質を用いて行われ、分配はSAビーズで複合体を捕捉することにより成し遂げられた。それぞれの時点で残っている複合体の量を、FUJI FLA−3000ホスホイメージャーで樹脂上の放射標識アプタマーを定量化することにより決定した。複合体の割合を時間の関数としてプロットし、解離速度定数(koff)および解離半減期値(t1/2)を、非線形回帰を用いて二分子解離速度論に関する分析的表現にデータを適合させることにより決定した。
[00276] G.一部のアプタマーの速度論的特性
[00277] 以下の表、表4は、このプロトコルを用いて10種類の標的に対して選択さ
れたアプタマーに関して得られた解離半減期値(t1/2)を要約する。
表4.競合剤を用いる遅いオフ速度の濃縮工程プロトコルを用いたアプタマーの解離半減期値(t1/2)。
実施例4:遅いオフ速度の濃縮プロセスは、選択されたアプタマーの解離半減期を増大させる
[00278] 遅いオフ速度の濃縮プロセスを含まない、実施例1で記述した親和性SELEX法または“核酸リガンドの光選択”と題された米国特許第6,458,539号において記述されている光SELEX法のどちらかにより選択された65種類のアプタマーに関して、解離半減期値(t1/2)を測定し、プロットした(図4A)。希釈または競合剤を伴う希釈による遅いオフ速度の濃縮プロセスを用いる、実施例2で記述した遅いオフ速度の濃縮プロセスにより選択された72種類のアプタマーに関しても、t1/2値を測定し、プロットした(図4B)。遅いオフ速度の濃縮プロセスの非存在下で選択された、修飾ヌクレオチド5−(N−ベンジルカルボキシアミド)−dUTP(BndUTP)、5−(N−イソブチルカルボキシアミド)−dUTP(iBudUTP)、または5−(N−トリプタミノカルボキシアミド)−dUTP(TrpdUTP)を用いたアプタマーに関する平均t1/2値は20分であり、一部のアプタマーは1時間までのt1/2値を有していた。これは、天然塩基または他の修飾ヌクレオチドで以前に記述されたものよりも実質的に長い。遅いオフ速度の濃縮プロセスを用いて選択されたアプタマーに関する平均は85分を超え、いくつかのアプタマーは4時間を超えるt1/2値を有していた。
実施例5NapdUランダムライブラリーからのアプタマーの生成
[00279] A.候補混合物の調製
[00280] 5’−ANA光反応基を用いない以外は実施例3で記述したように、dATP、dCTP、dGTP、およびNapdUを含有する候補混合物を調製した。
[00281] B.標的タンパク質の固定化
実施例1で記述したように、標的タンパク質は(His)タグを含有しており、Talonビーズを用いてそれを捕捉した。
[00282] C.遅いオフ速度の濃縮プロセスを用いたアプタマー選択
[00283] 光架橋を伴わない以外は実施例3で記述したように、アプタマー選択を行った。
[00284] D.アプタマーの増幅および精製
[00285] 実施例3で記述したように、増幅および精製を行った。
[00286] E.選択のストリンジェンシーおよびフィードバック
[00287] 実施例3で記述したように、選択のストリンジェンシーおよびフィードバックを行った。
[00288] F.アプタマーの特性
[00289] この選択からの4種類のアプタマーの平衡結合定数(K)を表5で列挙する。
表5.NapdUアプタマーの平衡結合定数(K
実施例6競合剤を伴う遅いオフ速度の濃縮プロセスを用いる、ペプチド標的に関するオフ速度が遅いアプタマーの生成
[00290] A.候補混合物の調製
[00291] 実施例3で記述したように、5’ANA発色団を有するプライマーのポリメラーゼ伸長によりdATP、dCTP、dGTP、およびBndUTPを含有する候補混合物を調製し、精製した。
[00292] B.遅いオフ速度の濃縮プロセスおよび光架橋を用いたアプタマー選択
[00293] 29アミノ酸のビオチン化された標的ペプチドSMAP29(ヒツジ骨髄抗細菌ペプチドMAP−29、Anaspec)を用いて、実施例3で記述したように、アプタマー選択を行った。
[00294] C.アプタマーの増幅および精製
[00295] 実施例3で記述したように、増幅および精製を行った。
[00296] D.選択のストリンジェンシーおよびフィードバック
[00297] 実施例3で記述したように選択のストリンジェンシーおよびフィードバックを行った。
[00298] E.アプタマーの特性
[00299] この選択からのアプタマーの平衡結合定数(K)は、1.2×10−8M(実施例1で記述したプロトコルに従って測定した)であった。このアプタマーの解離半減期(t1/2)は69分であった(実施例3で記述したプロトコルに従って測定した)。結果を図13Aおよび図13Bに示す。
実施例7遅いオフ速度を有するアプタマーにより試験試料におけるタンパク質測定が可能になった
[00300] A.アプタマー/プライマー混合物および試験試料の調製
[00301] ビオチンCy3検出標識(それぞれ4nM)を有するアプタマーを、1×SB17T中で、3倍過剰の捕捉プローブ(ビオチンタグおよび光切断可能要素を含有する、アプタマーの3’固定領域に相補的なオリゴヌクレオチド)と混合し、95℃で4分間、次いで37℃で13分間加熱し、1×SB17T中で1:4で希釈した。55μLのアプタマー/プライマー混合物をマイクロタイタープレート(Hybaid#AB−0407)に添加し、ホイルで密封した。マイクロタイタープレートにおいて、既知の濃度のタンパク質分析物をSB17T中で混合し、SB17Tで系列希釈することにより、試験試料を調製した。
[00302] B.試料の平衡化
[00303] 55μLのアプタマー/プライマー混合物を55μLの試験試料に添加し、ホイルで密封したマイクロタイタープレート中で37℃で15分間保温した。平衡混合物中のそれぞれのアプタマーの終濃度は0.5nMであった。別途言及しない限り、平衡化後はこの方法の全ての続く工程を室温で行った。
[00304] C.アプタマーの捕捉および未結合タンパク質の除去
[00305] DuraPore濾過プレート(Millipore HVカタログ#MAHVN4550)を真空濾過により100μLの1×SB17Tで1回洗浄し、133μLの7.5%ストレプトアビジン−アガロース樹脂(Pierce)をそれぞれのウェルに添加し、200μLの1×SB17Tで2回洗浄した。100μLの平衡化した試料をストレプトアビジン−アガロース樹脂を含有するDuraporeプレートに移し、熱ミキサー(Eppendorf)上で、800rpmで5分間保温した。樹脂を200μLの1×SB17T+100μMビオチンで1回、200μLの1×SB17Tで1回洗浄した。
[00306] D.ビオチンによるタンパク質のタグ化
[00307] 使用直前に調製した100μLのSB17T中1.2mM NHS−PEO4−ビオチンを、捕捉されたアプタマーおよびアプタマー:タンパク質複合体を有する樹脂に添加し、熱ミキサー上で800rpmで20分間保温した。樹脂を真空濾過により200μLの1×SB17Tで5回洗浄した。
[00308] E.遅いオフ速度の濃縮プロセスおよび光切断
[00309] Duraporeプレートの底面から水滴誘導装置(drip director)を取り外し、プレートを1mLマイクロタイター収集プレート上に乗せた。樹脂を、200μLの1×SB17Tで1回、1000×gで30秒間遠心分離することにより洗浄した。80μLの1×SB17T+10mM デキストラン硫酸を樹脂に添加し、熱ミキサー上で800rpmで10分間、BlackRay水銀ランプを用いて照射した。DuraPoreプレートを新しい1mLディープウェルプレートに移し、1000×gで30秒間遠心分離して光切断されたアプタマーおよびタンパク質:アプタマー複合体を集めた。
[00310] F.タンパク質の捕捉および未結合アプタマーの除去
[00311] 50μLのMyOne−ストレプトアビジンC1常磁性ビーズ(Invitrogen)(1×SB17T中10mg/mL)をマイクロタイタープレートに添加した。磁石で60秒間ビーズを分離し、上清を除去した。225μLの光切断混合物をビーズに添加し、5分間混合した。磁気ビーズを分離し、洗浄緩衝液を取り替えることにより、ビーズを200μLの1×SB17Tで4回洗浄した。最後の洗浄緩衝液を除去した。
[00312] G.アプタマーの溶離
[00313] 100μLのリン酸ナトリウム溶離緩衝液(10mM NaHPO、p
H11)をビーズに添加し、5分間混合した。90μLの溶離物をマイクロタイタープレートに移し、10μLのリン酸ナトリウム中和緩衝液(10mM NaHPO、pH5)で中和した。
[00314] マイクロアレイに対するアプタマーのハイブリダイゼーション
[00315] カスタム顕微鏡スライド支持体上に固定されたそれぞれのアプタマーの可変領域の相補配列で構成されるオリゴヌクレオチド捕捉プローブを用いて、DNAアレイを調製した。多数のアレイ(サブアレイ)がそれぞれのスライド上に存在し、サブアレイは、試料の適用に関してガスケット(Grace)を取り付けることにより物理的に分離された。アレイを100μLのブロッキング緩衝液で前処理し、熱ミキサー上で65℃で15分間保温した。30μLの高塩ハイブリダイゼーション緩衝液を、マイクロタイタープレートにおいて90μLの中和アプタマー溶離物に添加し、サーマルサイクラーにおいて95℃で5分間保温し、0.1℃/秒で65℃に冷却した。ブロッキング緩衝液をアレイから除去し、110μLのアプタマー試料をアレイに添加し、加湿チャンバー中で65℃で20時間保温した。
[00316] I.アレイの洗浄
[00317] アプタマー試料をアレイから除去し、ガスケットを適所に置き、アレイを200μLの65℃のリン酸ナトリウムTween−20洗浄緩衝液で1回洗浄し、ガスケットを除去してパップ(pap)ジャー中で25mLの65℃のリン酸ナトリウム、Tween−20洗浄緩衝液で3回洗浄した。アレイを窒素銃で乾燥させた。
[00318] J.アレイ上のシグナルを定量化する
アレイスライドをTECAN LS300 Reloaded上でCy3検出に適したチャンネルでスキャンし、それぞれのアレイ特徴上のCy3シグナルを定量化する。
[00319] 結果:
[00320] 伝統的なSELEX法および材料を用いて、3種類の異なる標的(bFGF、VEGF、およびミエロペルオキシダーゼ)に特異的なアプタマーを生成した。5位修飾ヌクレオチドを用いて標的の同じセットに特異的なアプタマーの第2のセットを作製し、それらのそれぞれの標的に関する非常に遅いオフ速度に関して選択した。伝統的なプロセスで作製されたアプタマーは、およそ5分未満のオフ速度であると測定された。修飾ヌクレオチドを含んで、選択の間に遅いオフ速度の濃縮プロセスを用いて作製されたアプタマーは、20分より長いオフ速度を有していた。2種類の異なる方法によりそれぞれの標的に関して2セットのアプタマーを作製し、それぞれの標的に関して総数4の異なるアプタマー集団を得た。これらのアプタマー集団が試験試料中で分析物濃度を測定する能力を、上記のように、標的濃度のある範囲に渡って評価した。DNAチップ検出からの相対的シグナルを、投入標的濃度に対してプロットした。図12A〜12Cを参照。伝統的なアプタマーの反応曲線は非常に平坦であり、検出の感度はかなり低い。オフ速度が遅いアプタマーを用いたそれぞれの標的の検出の感度は優秀である。そのデータは、最大限の分析性能のためにはオフ速度が遅いアプタマーを用いる必要があることを裏付ける。
実施例8ヒトトロンビンに対する高親和性BndUアプタマーの生成
[00321] A.候補混合物の調製
[00322] 実施例3で記述したように、5’ANA発色団を有するプライマーのポリメラーゼ伸長により、dATP、dCTP、dGTP、およびBndUTPを含有する候補混合物を調製し、精製した。
[00323] B.標的タンパク質の調製
[00324] 実施例2で記述したように、ヒトトロンビンをビオチンでタグ化した。
[00325] C.遅いオフ速度の濃縮および光架橋を用いたアプタマー選択
[00326] 実施例3で記述したように、標的としてビオチン化されたヒトトロンビンを用いてアプタマー選択を行った。
[00327] D.アプタマーの増幅および精製
[00328] 実施例3で記述したように、増幅および精製を行った。
[00329] E.選択のストリンジェンシーおよびフィードバック
[00330] 実施例3で記述したように選択のストリンジェンシーおよびフィードバックを行った。
[00331] F.アプタマーの特性
[00332] 図15に示したように、修飾されたBndUを含むこの選択からのアプタマー2336−17の平衡結合定数(K)は、4.4×10−11M(実施例1で記述したプロトコルに従って測定した)であった。
[00333] 当技術において、ヒトトロンビンに対する一本鎖DNAアプタマーが天然のdA、dC、dG、およびdTヌクレオチドで構成されるライブラリーから選択された(Bock, et al.,“ヒトトロンビンに結合して阻害する一本鎖DNA分子の選択”Nature (1992) 355:564-566)。そのアプタマーの結合親和性は、2.5.×10−8Mから2.0.×10−7Mまでの範囲のK値を有していた。天然dA、dC、dG、および修飾された5−(1−ペンチニル)−dUTPで構成されるライブラリーを用いた類似のプロトコルを用いて、4.×10−7Mから1.×10−6Mまでの範囲のK値を有するアプタマーが選択された(Latham, et al.,“アプタマー選択における修飾されたヌクレオチドの適用:5−(1−ペンチニル)−2’−デオキシウリジンを含有する新規のトロンビンアプタマー”Nucleic Acid Research (1994) 22(14): 2817-2822)。
[00334] いくつかの特許、特許出願刊行物、および科学的刊行物を記述全体にわたって引用し、および/または記述の最後で列挙する。これらのそれぞれを本明細書にそのまま援用する。同様に、援用される刊行物中で言及されている全ての刊行物をそのまま援用する。
[00335] 引用される刊行物における例およびそれと関連する制限は説明的なものであり、排他的では無いことを意図する。引用される刊行物の他の制限は、明細書を読み、図面を検討すれば当業者に明らかになるであろう。
実施例9Her2(ErbB−2)に対する高親和性BndUアプタマーの生成および組織学的適用
[00336] A.候補混合物の調製
[00337] 実施例5で記述したように、dATP、dCTP、dGTP、およびBndUTPを含有する候補混合物を調製し、精製した。
[00338] B.標的タンパク質の固定化
[00339] HER2の細胞外ドメインのHisタグ化F融合物をR&D Systemsから得て、実施例1で記述したようにTalonビーズで捕捉した。
[00340] C.遅いオフ速度の濃縮を用いたアプタマー選択
[00341] 実施例5で記述したように、アプタマー選択を行った。
[00342] D.アプタマーの増幅および精製
[00343] 実施例5で記述したように、増幅および精製を行った。
[00344] E.選択のストリンジェンシーおよびフィードバック
[00345] 実施例5で記述したように、選択のストリンジェンシーおよびフィードバックを行った。
[00346] F.アプタマーの特性
[00347] 修飾されたBndUを用いたこの選択からのアプタマー2616−24の平衡結合定数(K)は、1.5×10−8Mであった。
[00348] HER2アプタマーを、図16に示したように、ビオチンおよびCy3を含む5’修飾を含めて合成し、HER2タンパク質を染色するそれの能力に関して凍結乳癌組織切片において試験した。非同一化された(Deidentified)組織試料を、外科的切除および検死解剖標本から得た。組織を外科的切除したらすぐにOCT媒体中で凍結させ、薄切するまで−70℃で保管した。病院の病理学のスタッフがHER2の状態の免疫組織化学(IHC)分析を標準的な方法論を用いて実施し、標本の非同一化の前に患者の医学的記録から結果を得た。5μm凍結組織切片をクライオスタット中で切り、すぐに荷電したスライド(Superfrost plus)上に置き、次いでそのスライドを固定溶液(100%エタノールまたはアセトン)中に少なくとも1時間浸した。脱イオン水中で2分間すすぎ、続いてSB18緩衝液(40mM Na−HEPES、pH7.5、52mM NaCl、5mM KCl、5mM MgCl、0.05% Tween−20)中で5分間すすぐことにより、OCT媒体をスライドから除去した。1mMデキストラン硫酸(DS)を含む、または含まないSB18緩衝液中で作製した10〜1000nMのアプタマー溶液を、すすいだ切片に様々な時間の間適用し、次いでSB18+/−デキストラン硫酸(DS)で5分間洗浄した。Digital Sight DS−Ri1カメラ、水銀ランプ照明源、ならびにDAPIまたはCy3画像化に適したニュートラルデンシティーおよび光学フィルターを備えたNikon 80i正立型顕微鏡を用いて蛍光画像を得た。速い核のアプタマー解離を5Hzで画像化した。時間経過の実験に関して、観察された期間にわたって光退色が蛍光減衰の有意な源では無いことを確証するため、試薬の添加無しで試験を行った。
[00349] 1mM DSの存在下で、そのHER2アプタマーは、免疫組織化学(IHC)により3+HER2発現を有するものとして分類されている凍結された乳房腫瘍において、予想される形態学的パターンで細胞膜に結合するが(図17A、B)、それはIHCにより0/陰性として分類された乳房腫瘍または乳房ではない陰性対照の組織には結合しない(図17C)。DSの非存在下では、そのHER2アプタマーは、それが適用されたあらゆる組織において核、細胞質、および間質に結合し、IHCでHER2 3+である乳癌組織において有意な膜への局在が無い(図18A)。IHCでHER2 3+である乳癌組織に対するHER2アプタマーのみの適用、ならびにそれに続く緩衝液での洗浄およびDSとの30分間の保温(図18B)は、DSがそのアプタマーと一緒に適用された際に観察された染色パターンを再現し、これはその非特異的な結合が可逆的であることを示している。同じ塩基組成を有するがランダムな配列を有するスクランブルされたオリゴヌクレオチドは乳癌組織において核への結合のみを示し、それはDSで部分的にしか妨げることができず、部分的にしか逆行させることができない(示していない)。
[00350] 凍結組織における特異的HER2アプタマー結合の会合速度論は極めて速く、100nMで適用された場合(図19A〜C)5分未満で、1μMで適用された場合(図19D)1分未満でその標的を飽和する。その染色の速度および単純性は、術中設定における診断的適合性を伴ってタンパク質を標的化する迅速なアッセイはセンチネルリンパ
節における潜在性転移癌の同定を助けることができるであろうことを示している。
[00351] 組織中での結合の速度論を、DSの非存在下でHER2+乳癌凍結切片に蛍光HER2アプタマーを充満させ(loading)(図18Aにおいて見られるような染色パターンを生じる)、緩衝液のみの中で洗浄し、次いでアプタマーの非存在下で1mM DSを添加することにより評価した。これらの条件の下で、非特異的な核の染色のほとんどが数秒の内に失われ(図20A);小さな割合(全体の10%未満)の残存する核の蛍光は30〜60分間かけてよりゆっくりと減衰し、これはその非特異的な結合が少なくとも2種類の区画で起こっていることを示している。
[00352] 第2の実験において、HER2+乳癌凍結切片をDSの存在下で蛍光HER2アプタマーと共に保温し(図17Aにおいて見られるような染色パターンを生じる)、緩衝液のみの中で洗浄し、次いで1mM DS+100nM非蛍光HER2アプタマーを添加した。特異的な膜の染色は、過剰な非蛍光アプタマーが解離した蛍光アプタマーに置き換わるにつれて、30〜45分間かけて失われた(図20B)。膜におけるアプタマーのそれの標的からの解離速度は、核における非特異的結合部位からの解離速度よりも約100倍遅かった。この実験および前の実験の両方において、組織の自己蛍光が、測定されるシグナルがゼロまで減衰するのを妨げた。
実施例10上皮成長因子受容体(EGFR/ErbB−1)に対する高親和性BndUアプタマーの生成および組織学的適用
[00353] A.候補混合物の調製
[00354] 実施例5で記述したように、dATP、dCTP、dGTP、およびBndUTPを含有する候補混合物を調製し、精製した。
[00355] B.標的タンパク質の固定化
[00356] EGFRのF融合物を、実施例2で記述したようにビオチンでタグ化し、ストレプトアビジンビーズで捕捉した。
[00357] C.遅いオフ速度の濃縮を用いたアプタマー選択
[00358] 実施例5で記述したように、アプタマー選択を行った。
[00359] D.アプタマーの増幅および精製
[00360] 実施例5で記述したように、増幅および精製を行った。
[00361] E.選択のストリンジェンシーおよびフィードバック
[00362] 実施例5で記述したように、選択のストリンジェンシーおよびフィードバックを行った。
[00363] F.アプタマーの特性
[00364] アプタマー3138−49のその標的タンパク質に対する平衡結合定数(K)は1.3.×10−9Mであり、アプタマー3159−1のKは1.4×10−10Mであった。
[00365] EGFRアプタマーを、図16に示したようにビオチンおよびCy3を含む5’修飾を含めて合成し、凍結されたヒトの皮膚組織切片においてEGFRタンパク質を染色するそれの能力に関して試験した。組織の調製および染色は、乳癌組織の代わりに凍結された皮膚組織を用いたこと以外は実施例9で記述した通りであった。EGFRに対するアプタマーはHER2アプタマーと類似して振る舞い、DSの非存在下で適用された場合には凍結された正常ヒト上皮において核に結合する(示していない)が、DSと一緒に
保温した(図21)、または後でDSを用いて保温した(示していない)場合は、予想された主に基底上皮の膜のパターンで結合する。Cy3標識アプタマーを用いたEGFRの直接蛍光検出(図21AおよびB)およびホースラディッシュペルオキシダーゼを用いた比色検出(図21C)の両方を示した。EGFRアプタマーは、EGFR発現を欠いていることが既知である様々な組織では染色を示さなかった(示していない)。
実施例11前立腺特異的抗原(PSA)に対する高親和性BndUアプタマーの生成および組織学的適用
[00366] A.候補混合物の調製
[00367] 実施例5で記述したように、dATP、dCTP、dGTP、およびBndUTPを含有する候補混合物を調製し、精製した。
[00368] B.標的タンパク質の固定化
[00369] 精液から精製された天然のPSAを、実施例2で記述したようにビオチンでタグ化し、ストレプトアビジンビーズで捕捉した。
[00370] C.遅いオフ速度の濃縮を用いたアプタマー選択
[00371] 実施例5で記述したように、アプタマー選択を行った。
[00372] D.アプタマーの増幅および精製
[00373] 実施例5で記述したように、増幅および精製を行った。
[00374] E.選択のストリンジェンシーおよびフィードバック
[00375] 実施例5で記述したように、選択のストリンジェンシーおよびフィードバックを行った。
[00376] F.アプタマーの特性
[00377] PSAアプタマーのその標的タンパク質に対する平衡結合定数(K)は1.×10−9Mであった。
[00378] PSAアプタマーを、図16に示したようにビオチンおよびCy3を含む5’修飾を含めて合成した。アプタマー−Qdot 605ストレプトアビジンを、HBS−T(40mM HEPES pH7.5、120mM NaCl、5mM KCl、5mM MgCl2、0.05% Tween20)緩衝液中で20nMの最終的なアプタマーの濃度でコンジュゲートさせ、アプタマー−ナノ粒子標識比率は40:1であった。その混合物を、650rpmで振とうしながら22℃で60分間保温した。Qdot複合体に対して200μg/mlのd−ビオチンを用いて反応を停止させた(20〜30分間)。過剰なビオチンを限外濾過により除去した。凍結された前立腺組織のアプタマー染色を、正に荷電したガラススライド上の、凍結薄切されたOCT包理された凍結組織の厚さ5μmの切片に対して行った。その薄切された組織スライドを使用までアセトン(あるいは無水エタノール)中で4℃で保管し、組織を空気乾燥させないように注意した。その組織切片スライドをDI水中で数分間すすいでOCT包理媒体を除去した。ペーパータオルを用いて切片の周囲を乾燥させ、次いでスライドアッセイの体積を最小限にするためにVectorLab ImmEdge疎水性バリアペンを用いてその組織切片の周りに境界線を引いた。アプタマー−Qdot 605コンジュゲート(20nMアプタマー−Qdot、1mMデキストラン硫酸)をスライド上の組織切片に60分間直接添加した。次いでそのスライドを、アプタマー染色溶液を吸い取った後それぞれのスライドをHBS−T中に2分間手短に浸すことにより、連続的に洗浄した。染色されたスライドを、10mM
Mg2+および15mM 没食子酸n−プロピル退色防止試薬を補ったFluoromount−Gと共にカバーガラスで覆った。比較対象(comparator)として、
前立腺組織の免疫蛍光法(IF)を、PSA特異的蛍光抗体を用いて行った(図22A)。Qdot−コンジュゲートPSAアプタマーを用いた染色(図22B、C)は、IHCを用いて見られた染色パターンと比較可能な染色パターンを与えた。染色は細胞質ゾル性であり(図22D、E)、予想されるPSAの細胞内局在と一致していた。
[00379] 単語“含む”(“comprise”、“comprises”、および“comprising”)は、排他的にではなく包括的に解釈されるべきである。

Claims (13)

  1. 組織試料における1以上の可能性のある標的を検出するために、組織試料の細胞学的または組織学的評価をするための方法であって、以下の工程:
    a)組織試料から調製された第1の組織切片を、標的に対するアプタマーを含む溶液と接触させ;
    b)第1の組織切片とアプタマーを含む溶液とを少なくとも15分インキュベートして、アプタマー−標的複合体を形成させ;
    c)(i)未結合のアプタマーと非特異的複合体を形成することができる競合剤分子を添加する、(ii)希釈剤を添加する、および(iii)未結合のアプタマーと非特異的複合体を形成することができる競合剤分子を添加し、かつ希釈剤を添加する、から選択される速度論的負荷を適用し;
    d)アプタマーを標的の存否を示すものとして検出する
    ことを含み、
    ここで標的は細胞膜中にあり;そして
    アプタマーは、5位ピリミジン修飾を含み、
    5位修飾ピリミジンが以下の構造をもつピリミジンの群から選択され;
    またはベンジルカルボキシアミド、ナフチルメチルカルボキシアミド、トリプタミノカルボキシアミドおよびイソブチルカルボキシアミドから選ばれる置換基によるC−5位におけるデオキシウリジンの置換を含む、
    前記方法。
  2. 得られた組織試料を複数の組織切片に分ける工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
  3. 5位ピリミジン修飾が、5−(N−ベンジルカルボキシアミド)−2’−デオキシウリジン、5−(N−イソブチルカルボキシアミド)−2’−デオキシウリジン、5−(N−トリプタミノカルボキシアミド)−2’−デオキシウリジン、5−(N−[1−(3−トリメチルアンモニウム)プロピル]カルボキシアミド)−2’−デオキシウリジンクロリド、5−(N−ナフチルメチルカルボキシアミド)−2’−デオキシウリジン、または5−(N−[1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)]カルボキシアミド)−2’−デオキシウリジンから選択される、請求項1〜2のいずれかに記載の方法。
  4. 工程c)で得られた結果を、第2の組織切片を前記のアプタマーを欠いた工程c)におけるような溶液と反応させることにより調製された陰性対照と比較することをさらに含む、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 速度論的負荷が、未結合のアプタマーと非特異的複合体を形成することができる競合剤分子を添加することを含む、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 競合剤分子が、ポリアニオン、ヘパリン、ニシン精子DNA、サケ精子DNA、tRNA、デキストラン硫酸、ポリデキストラン、脱塩基性ホスホジエステルポリマー、dNTP、ピロホスフェート、ポリカチオン、スペルミン、スペルミジン、ポリリジン、ポリアルギニン、アミノ酸、アルギニン、リジンまたはその組み合わせを含む、請求項5記載の方法。
  7. 速度論的負荷がアプタマーの希釈を含む、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
  8. 希釈度が2×、3×、4×、5×、またはより大きい希釈度である、請求項7記載の方法。
  9. 速度論的負荷が競合剤分子の添加とアプタマーの希釈を含み、希釈と競合剤分子の導入が同時に起こる、請求項5〜8のいずれかに記載の方法。
  10. 標的分子が特定の疾患状態を示す、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
  11. 標的分子が腫瘍のタイプおよび起源を示す、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
  12. アプタマーが検出可能部分を含む、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
  13. 以下の工程:
    i)料切片を固定することによって組織切片を調製する;
    ii)固定された組織切片を脱水する;
    iii)脱水された組織切片を透徹(clearing)する;
    iv)透徹された組織切片を顕微鏡スライド上で固定化する;
    v)固定化された組織切片を洗浄する;そして
    vi)洗浄された組織切片をブロッキングする、
    を含む、請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
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