JP5926027B2 - コンクリートポンプ車 - Google Patents

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Description

本発明は、コンクリートポンプとブーム装置とを備えたコンクリートポンプ車に関する。
従来、複数本のビームを屈折又は伸縮可能に連結したブームを搭載し、高所または離れた場所にコンクリートを打設することができるコンクリートポンプ車がある。
複数のビームは隣り合うビーム間に油圧シリンダ(ブーム駆動手段)の両端を連結し、油圧シリンダを伸縮駆動することで基部(車体)側のビームに対して先部(自由端)側のビームを回動ないし伸縮することができる。
コンクリートポンプ車は建設現場で折りたたまれたブーム先端を打設場所まで展開し生コンクリートを圧送することで生コンクリートを所望の場所に届ける。そして、ブーム先端を移動させ、打設場所を変更するようにしている。
特表2005−536369号公報
打設作業においては、複数本のビームを同時に動かさなければならない場合がある。例えば、既に鉄骨が組みあがった建築物Aの内部に生コンクリートを打設する場合にあっては、図2のように略M字に展開したブーム先端を、建築物Aを避けながら水平に移動させようとするため、第3ビーム133を倒伏(時計回りに回動)しつつ、第4ビーム144を起立(反時計回りに回動)させなければならない。
このとき、油圧ポンプからの吐出流量が少ないと第3及び第4ブームの両方を作業者が指示する速度でシリンダを伸縮させることができなくなるため、いずれか一方のブームが優先的に動作してしまう。
すると、最悪の場合、建築物Aとブームとの接触事故が起こしてしまうおそれがある。
本発明は、以上のような実情に鑑みてなされたものであり、動きやすいビームが優先的に動くことによる建築物との接触事故を抑制することができるブームを有するコンクリートポンプ車を提供することを目的とする。
前記目的を達成するための本発明のコンクリートポンプ車は、少なくとも2本またはそれ以上の数のビームを有するブーム装置と、油圧ポンプと比例制御式の切換弁を介して接続されるとともにビームを駆動するビーム駆動手段と、操作手段からの操作信号に基づきビーム駆動手段を駆動する制御手段と、を備えたコンクリートポンプ車において、油圧ポンプの吐出流量を把握する吐出流量把握手段をさらに備え、前記操作手段は、速度を指示可能なものであり、前記制御手段は、前記操作手段からの前記2以上のビーム駆動手段を同時に操作する操作信号に基づき前記ビーム駆動手段の必要流量を決定し、吐出流量把握手段で把握した吐出流量を超える場合は、ビーム駆動手段の動作速度を前記操作手段から指示された他のビーム駆動手段に対する速度比率を保ったまま制限することを特徴とする
これにより、複数のビームを駆動する場合に一部のブームが優先して駆動してしまうことを防止することができるため、ビームが建築物などと接触してしまうことを抑制することができ、操作者が指示した比率のまま遅くするため操作者が想定しない動きになってしまうことを防ぎ、安全にブームを駆動することができる。
このような構成のコンクリートポンプ車によれば、複数のビームを駆動する場合に一部のブームが優先して駆動してしまうことを防止することができるため、ビームが建築物などと接触してしまうことを抑制することができる。
本発明を適用したコンクリートポンプ車の一実施形態を示した側面図である。 ブーム装置を展開した状態を示す側面図である。 図2における第2屈折駆動手段まわりを拡大した図である。 ブーム装置とブーム駆動手段との関係を模式的に示した図である。 コンクリートポンプの要部拡大平面図である。 図5のA−A線断面図である。 コンクリートポンプの油圧回路図である。 ブームの油圧回路図である。 操作装置Rを示した図である。 ブーム駆動装置の制御フローチャート図である。 ブーム姿勢により補正処理をおこなう第1のサブルーチンを示した図である。 ビーム干渉時の補正処理をおこなう第2のサブルーチンを示した図である。 引抜姿勢時の補正処理をおこなう第3のサブルーチンを示した図である。 スロースタートの補正処理をおこなう第4のサブルーチンを示した図である。 スローストップの補正処理をおこなう第5のサブルーチンを示した図である。 旋回速度の補正処理をおこなう第6のサブルーチンを示した図である。 複数ビーム動作時の補正処理をおこなう第7のサブルーチンを示した図である。 引抜姿勢にあるブーム装置の要部拡大図である。
図1に示すように、このコンクリートポンプ車Vは、打設位置に生コンクリートを供給するためのブーム装置Bと、生コンクリートを圧送するためのコンクリートポンプPと、これらブーム装置B及びコンクリートポンプPが固定されるとともに当該コンクリートポンプ車VのシャシフレームFに搭載固定されたサブフレームSを有している。
シャシフレームFは、車両前後方向に延びる長尺の部材であり、車幅方向に所定の間隔を置いて平行に左右一対配置されて当該コンクリートポンプ車Vの車体を構成している。
サブフレームSは、左右一対のシャシフレームFの上面に沿って固定配置された長尺の部材であり、シャシフレームFと同様、車両前後方向に延びるとともに車幅方向に所定の間隔を置いて平行に一対配置されている。
図1〜図4を参照してブーム装置Bについて説明する。図1はブーム装置Bが折り畳みかつ車体に沿って配置されたいわゆる走行姿勢にある状態を示した図であり、図2は打設作業時のブーム装置Bを示している。
ブーム装置Bは、車両前後方向に延びるサブフレームSの前部に配置されており、サブフレームSに固定された旋回台11と、この旋回台11上に設けられ、鉛直軸線回りに旋回自在な支柱12と、この支柱12の先端に設けられたブーム13とを有している。ブーム13は、互いに屈曲可能に連結された第1〜第4ビーム131〜134により構成されたいわゆる4段ブームである。
さらに、ブーム13の詳細構造を説明すると、第1ビーム131は支柱12の上部に回動可能に連結されている。そして、第2ビーム132の基部は第1ビーム131の先部に回動可能に連結され、第3ビーム133の基部は第2ビーム132の先部に、第4ビーム134の基部は第3ビーム133の先部に回動可能にそれぞれ連結されている。
これら旋回台11及び第1〜第4ビーム131〜134は、それぞれの連結部分がブーム駆動手段14によって回動駆動することができる。
ブーム駆動手段14は、旋回駆動手段141と、起伏駆動手段142と、第1〜第3屈折駆動手段143〜145とを備えている。旋回駆動手段141は旋回台11に固定されており、相対配置した2本の旋回シリンダ141L,141Rを一対備え、該相対配置した旋回シリンダ141L,141Rはラック141aとピニオン141bとを介して支柱12と接続されている。起伏駆動手段142は、基部を支柱12に先部を第1ビーム131にそれぞれ回動可能に連結した起伏シリンダ142aを有している。第1屈折駆動手段143は第1屈折シリンダ143aと2本の補助リンク143b,143cとを第1ビーム131及び第2ビーム132に、第2屈折駆動手段144は第2屈折シリンダ144aと2本の補助リンク144b,144cとを第2ビーム132及び第3ビーム133に、第3屈折駆動手段145は第3屈折シリンダ145aと2本の補助リンク145b,145cとを第3ビーム133及び第4ビーム134にそれぞれ回動可能に連結している。
図3を参照して第2屈折駆動手段144の詳細構造について説明する。図3は、図2における第2屈折駆動手段144まわりを拡大した図であり、第2ビーム132及び第3ビーム133はそれぞれ先部と基部とに限り図示している。
第2屈折シリンダ144aの一端は、第2ビーム132の中間部であって、走行姿勢(図1)において第1ビームと近接する側面にピン144dを介して揺動可能に連結されている。2本の補助リンクのうちブーメランリンク144bは、一端を第2ビーム132の先部にピン144fを介して揺動可能に連結され、他端はピン144gを介して2本の補助リンクのひとつであるストレートリンク144cの一端と連結されている。そして、ストレートリンク144cの他端はピン144hを介して第3ビーム133の基部に揺動可能に連結されている。ブーメランリンク144bは、図示のごとく大きく湾曲した形状に形成され、第2ビーム132の先端132a(第3ビーム133との連結部)の外側を回りこむようにして回避している。
以上の構成により、第2屈折シリンダ144aを伸長状態(1点鎖線の姿勢)から収縮すると、ブーメランリンク144bがピン144fまわりに時計回りに揺動し、ブーメランリンク144bの動きはストレートリンク144cを介して第3ビーム133に伝わり、第3ビーム133を第2ビーム132に対して時計回り(図内矢印B1の方向)に回動させることができる。
なお、第2屈折駆動手段144をはじめとする各ブーム駆動手段14は、補助リンクを介することなく油圧シリンダを直接ビームに連結してもよい。
図4はブーム装置Bとブーム駆動手段との関係を模式的に示した図である。ここで、ブーム装置Bは、(1)旋回台11の上下方向の軸まわりの回動(2)支柱12に対する第1ビーム131の回動(3)第1ビーム131に対する第2ビーム132の回動(4)第2ビーム132に対する第3ビーム133の回動(5)第3ビーム133に対する第4ビーム134の回動、という5つの関節を有しブーム駆動手段14が各関節に対してひとつずつ備えられている(図4において二重丸で囲んだ数字)。起伏駆動手段142と第1〜第3屈折駆動手段143〜145とは、ブーム13を車両後方に向けて一直線に伸ばした状態における関節(2)〜(5)の下方に配置している。これにより、各シリンダを伸長すれば各ビームを反時計回りに回動させ、それに伴いビーム先端135を上昇(矢印BU方向)し、各シリンダを収縮すれば各ビームを時計回りに回動させ、ビーム先端135を下降(矢印BD方向)にそれぞれ動作させる。また、ブーム13は支柱12に支持された片持ち梁状であるが、各ビームが起伏する関節を原点に図示したように座標系を定義すると、ビーム姿勢が−90度から+90度までの範囲にある場合は、各ビームの重量は各シリンダを収縮する方向に作用する。
そうして、ブーム駆動手段14を作動することにより、第1〜第4ビーム131〜134を互い違いに屈曲させることで折り畳むことができるし、各関節部分を回動させてブーム13全体を上方に起立させることができる。また、第1〜第4ビーム131〜134を右旋回(図4(a)の矢印BR方向)及び左旋回(図4(a)の矢印BL方向)させることができる。
ブーム装置Bの支柱12と第1ビーム131〜第4ビーム134にはそれぞれビームの姿勢を把握する検知手段Seとしての傾斜センサSe1〜Se5を備えている(図4参照)。傾斜センサSe1〜Se5は重力加速度の方向を検知し、重力加速度の方向から自らの姿勢が鉛直線に対してどの程度傾いているかを把握する。傾斜センサSe1は支柱12に固定されコンクリートポンプ車Vの姿勢を検出し、傾斜センサSe2〜Se5は第1ビーム131〜第4ビーム134の姿勢を検出している。そして、傾斜センサSe2〜Se5の検出値は傾斜センサSe1の検出値により補正し、ブーム13のコンクリートポンプ車Vに対する相対姿勢を把握できるようにしている。
なお、検知手段Seは傾斜センサを例示したが、シリンダに取り付けたストロークセンサから間接的に各ビーム131〜134の姿勢を把握するようにしてもよく、その他の各種センサを代用してもよい。
また、コンクリートポンプ車Vには、サブフレームSに固定され走行姿勢のブーム13(特に第4ビーム134)の車幅方向に対する移動を規制するブーム受け16を備えており、支柱12及びブーム13には、コンクリートポンプPから圧送される生コンクリートをブーム13の先端135まで導くブーム用配管15が、当該支柱12及びブーム13に沿って固定されている。
図5に示すように、コンクリートポンプPは、生コンクリートなどの流体を圧送するためのものであり、サブフレームS上に搭載されたコンクリートポンプ本体2と、コンクリートポンプ本体2の後方に設けたバルブ装置3とを備えている。
図5に示すように、コンクリートポンプ本体2は、油圧駆動の復動式ピストンポンプであって、互いに並列する左側のポンプシリンダ21と右側のポンプシリンダ22とを備えている。それらのポンプシリンダ21,22の基端には、左側のポンプシリンダ21を駆動させる左側駆動シリンダ23、右側のポンプシリンダ22を駆動させる駆動シリンダ24がセンターフレーム26を介して一体に接続されている。一対のポンプシリンダ21,22内にはそれぞれ摺動自在に嵌合されるポンプピストン21a,22aが、一対の駆動シリンダ23,24内にはそれぞれ摺動自在に嵌合される駆動ピストン23a、24aが設けられている。左側のポンプシリンダ21内のポンプピストン21aと左側の駆動シリンダ23内の駆動ピストン23a、右側のポンプシリンダ22内のポンプピストン22aと右側の駆動シリンダ24内の駆動ピストン24aとが、センターフレーム26を摺動自在に貫通するピストンロッド25によりそれぞれ一体に連結されている。そして各駆動ピストン23a、24aは、対応する駆動シリンダ23,24内をピストンロッド側の先部油室23b,24bと、ピストン側の基部油室23c、24cとに区画している。各ポンプシリンダ21,22の先端は、吐出端21b,22bとして開口されている。この各ポンプシリンダ21,22の吐出端21b,22bはバルブ装置3の前面に接続され、連通している。
図5に示すように、バルブ装置3はバルブケーシング31と、底蓋32と、S字バルブ33(即ち揺動バルブ管)と、S字バルブ駆動手段34と、吐出配管35とを備えている。バルブケーシング31は前壁31a、後壁31b、及び両側壁31cとにより枠状に形成されており、下部は開口部31dにより開口されている。底蓋32はバルブケーシング31下部の開口部31dをシリンダ等(図示せず)にて開閉するものである。
バルブケーシング31の下部には、湾曲管状のS字バルブ33が収容支持されている。このS字バルブ33は、S字バルブ33と一体で各ポンプシリンダ21,22の軸線と平行な回動支軸33aの軸線まわりに回動自在であり、一対のポンプシリンダ21,22の先部(即ち吐出端21b,22b)と吸入口33bとを交互に切換連通可能である。
図5及び図6に示すように、回動支軸33aには、これを両ポンプピストン21a,22aの作動と同期して回動させて、S字バルブ33を切換駆動するためのS字バルブ駆動手段34が接続される。このS字バルブ駆動手段34は、互いに協働して構成する左側の単動式バルブ駆動シリンダ34aおよび右側の単動式バルブ駆動シリンダ34bの先部が、該回動支軸33aより一体に延びる連結アーム34cを介して連結され、その両バルブ駆動シリンダ34a,34bの基部が、コンクリートポンプ本体2に回動可能に連結されて構成される。
コンクリートポンプPの運転時に、この一対のバルブ駆動シリンダ34a,34bは、一対のポンプシリンダ21,22のうち、生コンクリートの吸入状態にあるものをバルブケーシング31内に、また生コンクリートの圧送状態にあるものを吸入口33bに交互に接続するように、S字バルブ33を切換駆動制御して生コンクリートを円滑に圧送する。即ち、S字バルブ33は、吸入口33bを左側のポンプシリンダ21の吐出端21bに接続する第1切換位置と、吸入口33bを右側のポンプシリンダ22の吐出端22bに接続する第2切換位置との間を往復移動(揺動)可能であり、その第1切換位置へは左側のバルブ駆動シリンダ34aの伸長作動により、またその第2切換位置へは右側のバルブ駆動シリンダ34bの伸長作動によりそれぞれ切換保持される。
図5に示すように、吐出配管35は、その前端がバルブケーシング31の後壁31bに接続されており、S字バルブ33に常時連通されており、その後端は、ブーム装置Bのブーム用配管15に接続されている(図1参照)。
図1に示すように、ホッパHはバルブケーシング31の上部に連結され、生コンクリートを受け入れるようになっている。
図7及び図8を参照してコンクリートポンプ2とブーム装置Bとを駆動する油圧回路について説明する。コンクリートポンプ車Vは、そのエンジンEnにより駆動する可変容量式の第1油圧ポンプPU1及び第2油圧ポンプPU2を備えている。両油圧ポンプPU1,PU2は、可変容量式の油圧ポンプ(本実施例ではアキシャルピストンポンプ)であり、斜板を操作することにより吐出容量を変更することができる。第1油圧ポンプPU1は左右の駆動シリンダ23,24の動作方向を切り換える切換弁V1と、左右の駆動シリンダ23,24の動作圧力を切り換える切換弁V2とを介してコンクリートポンプ本体2に接続されている。また、第1油圧ポンプPU1は、S字バルブを切換駆動するバルブ切換駆動手段V3を介してS字バルブ駆動手段34に接続されている。
一方、第2油圧ポンプPU2はブーム切換弁V4を介してブーム駆動手段14が接続されている。
なお、第1油圧ポンプPU1のポンプ本体41と第2油圧ポンプPU2のポンプ本体42とは駆動軸43により直列接続されており、コンクリートポンプ車VのエンジンEnにて駆動する。
図8はブーム切換弁V4とブーム駆動手段14との詳細な油圧回路図である。
ブーム切換弁V4には6つの切換弁v40〜v45を備え、カウンタバランス弁v51〜v54を介してブーム駆動手段14を図示のように接続している。第2油圧ポンプPU2から送られてきた作動油は、まず電磁弁v40を経て、v41〜v45を介してブーム駆動手段14にそれぞれ接続している。なお、v41〜v45はソレノイドに対する操作入力に応じてその開度を変化させるいわゆる比例制御弁である(以下、単に比例弁v41〜v45と呼ぶ)。
そうして、ソレノイドに対する出力信号を変化させ比例弁v41〜v45の開度を増大することによりブーム駆動手段14へ供給される作動油量を増大(動作速度を速く)することができ、比例弁v41〜v45の開度を縮小することによりブーム駆動手段14へ供給される作動油量を減少(動作速度を遅く)することができる。また、比例弁v41〜v45はブーム駆動手段14の数に合わせて設けられているため、ブーム駆動手段14のそれぞれの速度を比例弁v41〜v45が個別に調整することができる。例えば、起伏シリンダ142aと第1屈折シリンダ143aとを同時にかつ異なる速度で動作させる場合であっても、対応する比例弁v42,v43の開度をそれぞれ変更すればよく、この比例弁の操作は相互に影響を与えない。従って、一方を増速するために供給される作動油量を変更したとしても他方の速度を維持することができ、ブーム13は作業者が想定しない動作をすることがない。
なお、電磁弁v40によりブーム装置BとジャッキJとのいずれか一方のみを動作するようにし、ブーム装置Bの駆動中にジャッキJを誤って操作し、コンクリートポンプ車Vが不安定な姿勢になってしまうことを防止している。各シリンダ142a〜145aに対してはパイロット式カウンタバランス弁v51〜v54を介して接続することで、各シリンダ142a〜145aは作動油の供給を受けない限りその姿勢を保持するようになっている。
コンクリートポンプ車Vは、制御装置Cを備えており(図1)、制御装置Cは操作装置Rからの入力と、エンジンEnの回転数を測定する回転数把握手段としての回転数センサSからの入力とから作業者の指示及びエンジンの動作状況から適切な動作をさせるために電磁切換弁に指示信号を出力する。なお、制御装置Cはプログラマブルロジックコントローラ(略してPLC)を用いている。
図9は操作装置Rを示した図である。操作装置Rは、コンクリートポンプ車Vのブーム装置B及びコンクリートポンプPを起動するための主電源スイッチ51と、コンクリートポンプPの生コンクリート圧送作業を開始するためのポンプ起動スイッチ52と、エンジンの回転数を増減させる回転数スイッチ53a,53bと、コンクリートポンプPの吐出量を増減させる吐出コントロールスイッチ54a、54bと、ブーム装置Bを左右に旋回させる右旋回スイッチ55a及び左旋回スイッチ55bと、各ビームを起伏回動させるビーム起伏スイッチ56a〜56hと、ブーム装置Bの動作速度を調整するブーム速コントロールスイッチ57a,57bとを備えている。第1ビーム131を起立回動させたい場合は、作業者が第1ビーム起立スイッチ56aを押下すると、制御装置Rは第1ビーム起立指示を制御装置Cに送信し、制御装置Cは当該指示に基づき起伏シリンダ142を伸長させ、第1ビーム131を起立回動する(図1における反時計方向の回動)。また、ブーム装置Bの動作速度を変更したい場合は、ブーム速コントロールスイッチの「速」スイッチ57aを押下すると現在の速度よりも速い速度にて動作するように切り替える指示を、「遅」スイッチ57bを押下すると現在の速度よりも遅い速度にて動作するように切り替える指示を制御装置Cに出力する。制御装置Cは、該速度指示に基づきブームの動作速度を増減する。
「速」「遅」スイッチ57a,57bの代わりにブーム操作スイッチを複数回押下するいわゆるインチング操作や,ジョイスティック式などにより動作速度を指示するようにしてもよい。
以上のごとく構成されたコンクリートポンプ車Vの動作について説明する。
まずブーム装置Bを動作させることでブーム先端135を打設位置まで展開する。そして、生コンクリートを圧送する場合には、まず、S字バルブ33及びポンプピストン21,22を作動させる。すなわち、右側のバルブ駆動シリンダ34bを伸長させてS字バルブ33をバルブケーシング31内で右側に揺動させ、S字バルブ33の吸入口33bを右側のポンプシリンダ21の吐出端22bに接続し、吐出配管35と右側のポンプシリンダ22とを連通させる。
その状態で左側ポンプシリンダ21のポンプピストン21aを後退させるとともに、右側のポンプシリンダ22のポンプピストン22aを前進させて、左側のポンプシリンダ21内にバルブケーシング31内の生コンクリートを吸入する。
次に左側のバルブ駆動シリンダ34aを伸長させてS字バルブ33を左側に揺動させ、S字バルブ33を左側のポンプシリンダ21に連通させる。
この状態で一対のポンプピストン21,22を前記と逆の作動をさせる。つまり、右側ポンプシリンダ22のポンプピストン22aを後退させるとともに、左側のポンプシリンダ21のポンプピストン21aを前進させる。これにより、右側のポンプシリンダ22は、その内部にバルブケーシング31内の生コンクリートを吸い込み、左側のポンプシリンダ23は、その内部に吸入しておいた生コンクリートをS字バルブ33に押し出すとともに吐出配管35内に圧送する。
上記作動を繰り返すことによりバルブケーシング31内の生コンクリートを吐出配管35に連続的に圧送することができる。
次に、ブーム装置Bの動作を調整する制御について説明する。
図10は制御装置Cにおける処理のうち、ブーム装置Bの動作速度調整に関するフローチャートであり、図11〜図17は図10の一部処理のサブルーチンである。
まず、図10を参照して動作速度を調整する全体的な処理の流れについて説明する。操作装置Rのスイッチのうちブーム装置Bの作動を指示するスイッチ(各旋回スイッチ55a,55bと各ビーム起伏スイッチ56a〜56hのいずれかもしくはそれらの組合せ)が押されると本制御を開始する。この時、どのスイッチが押されたかを一時的に記憶するとともにタイマにより押下開始からの時間Tの計時を開始する。制御装置Cは、検知手段Seからの検出値を読み込む(ステップS1)。
ステップS2において、制御装置Cはブーム13の現在の姿勢から最適なブーム駆動手段14の動作速度VAを算出する(第1のサブルーチン)。次にステップS3において、ブーム13の現在の姿勢から各ビーム同士や、ビームとビーム駆動手段14との接触の恐れまたは接触を回避する必要があるか否かから最適な動作速度VBを算出する(第2のサブルーチン)。
続いて、ブーム13の現在の姿勢からブーム駆動手段に過負荷が掛かる姿勢か否かを判断し、過負荷がかかる場合に最適な動作速度VCを算出する(ステップS4,第3のサブルーチン)。
そして、ステップS5では、スイッチの押下開始からの経過時間に基づく動作速度VDを算出し(第4のサブルーチン)、ステップS6では、各ビーム131〜134間の相対角度から最適な動作速度VEを算出する(第5のサブルーチン)。ブーム13とブーム受け16との位置合わせを容易に行うため格納姿勢であるか否かに応じた旋回速度VFを算出する(ステップS7,第6のサブルーチン)。
以上のように、様々な状況に応じて個々の最適値を算出した動作速度VA〜VFは、ステップS8においてその中から最小値を動作速度として選択・決定する(以下、選択した動作速度を選択速度Vsとも呼ぶ)。算出した速度よりも作業者が指示した速度が遅い場合は、作業者が指示した動作速度を選択速度Vsとする。
なお、ステップS2〜ステップS8において算出した動作速度VA〜VF並びに選択速度Vsはブーム駆動手段14すなわち各油圧シリンダの伸縮速度である。そしてステップS9において各油圧シリンダの選択速度Vsからそれぞれの油圧シリンダに対して必要な作動油量(以下、必要流量Qsと呼ぶ)を既知のシリンダ諸元から算出する。
ステップS10においては、複数の関節を同時に動作する場合であって、全ての動作が充分におこなえるか否かにより必要流量Qsを補正する。そして、最終的な必要流量Qsに基づき比例弁v41〜v45の開度を決定する。そして、制御装置Cは、電磁弁v40をブーム装置Bの動作側に切り替える出力信号と、比例弁の各ソレノイドSOL11〜SOL52に対する出力信号とを発する(ステップS11)。
引き続き作業者のスイッチ操作すなわちブーム装置Bの動作が継続している場合は(ステップS12のNO)、ステップS1に戻り処理を継続する。作業者による操作が終わった場合には(ステップS12のYES)、ブーム装置Bを停止し動作を終了する(エンド)。
以上が動作速度を調整する全体的な処理の流れである。
ここからは、一部ステップの詳細処理(サブルーチンの処理)を図11〜図17を用いて説明する。
まず、図11にて第1のサブルーチンの処理について説明する。第1のサブルーチンでは、各ビームの姿勢から最も先端に位置するビーム先端の速度が設定した速度以内になるように動作速度VAを算出する。
第1サブルーチン内に処理が移行すると、まず、各ビームの先端位置を座標値として算出する(ステップS101)。この計算は、各ビームの姿勢(傾斜角)と既知のビーム長さとから算出することができる。
そして求めた座標値[xi,yi]をもとにして、ブーム13としての最先端にあたる箇所を求める。ここでは一点鎖線で囲んだような姿勢において起伏駆動手段142を動作する場合について詳細に説明する。第1ビーム131の基部を基準に、第1ビーム131の先部までの距離r11(既知の第1ビーム131の長さと同じ)、第2ビーム132の先部までの距離r12、第3ビーム133の先部までの距離r13、第4ビーム先端までの距離r14を算出する。そして、r11〜r14のうち最大距離(図示の姿勢であればr13)を求める。
第2〜第4ビームの基部を基準にした最大距離も別途算出する。
なお、本実施例では各ビーム同士をそれぞれの端部同士を接続したため、最先端にあたる箇所を各ビームの関節と同じ位置とみなした。しかしながら、特殊なビームの構造であり、ビーム同士の関節とは異なる位置に突出部分を有する構造であれば、関節の座標値の他に突出部分の座標値を別途算出し、最先端にあたる箇所を算出すればよい。
ステップS102で求めた最大距離から、最先端位置を可能なかぎり速く動かすことができる起伏駆動手段142の最大速度VA2を算出し、その他のビーム駆動手段の最大速度VAiもそれぞれの最大距離rijから算出し、メインルーチンに最大速度VAiとして値を送る。例えば、最先端位置が可能なかぎり速く動かすことができる速度をJIS規定の毎秒1メートルとした場合には、最先端位置が毎秒1メートルとなるような起伏駆動手段142(起伏シリンダ142a)のストローク速度に変換すれば最大速度VA1が求められる。
このように第1のサブルーチンでは、最大距離rにより最大速度VAを変化させるため(ステップS103)、ブーム13を例えば一直線になるように広く展開した場合には駆動手段の動作速度を遅くする一方、ブーム13を折りたたんだ場合には駆動手段の動作速度を速くすることができる。ブーム13が動作できる速度の上限をブーム13の姿勢にあわせて変化させることができる。
また、ステップS102において各ビーム131〜134の姿勢からブーム13の最先端を求め、ステップS103において最先端に基づき動作速度を決定したので、ブーム13の展開状況にあわせて実際に一番危険になる箇所である最先端の上限速度を略同じにすることができる。
なお、各ブーム駆動手段について最高速度VAiを求めたが、総てのビーム駆動手段に対して動作速度VAを求める必要性がない場合は、必要な動作に限り値を求めるようにしてもよい。
次に図12を参照して第2のサブルーチン内の処理について説明する。
ブーム13の姿勢によってはビーム駆動手段14とビームとが接触するおそれがある。そのため、ブーム13の姿勢とビーム駆動手段14との姿勢は一対一に対応していることから、ブーム13の姿勢に基づき接触の恐れがあるか否かにより動作速度VBを算出する。具体的には実施例のブーム装置Bでは、基準ビームとしての第2ビーム132は、その一端に第3ビーム133(一方のビーム)を、他端には第1ビーム131(他方のビーム)とが回動可能に連結されている。そして、第2屈折シリンダ144aを収縮すると、補助リンク(ブーメランリンク144b,ストレートリンク144c)を介して第3ビームを展開(第2ビーム132と一直線となる姿勢に向かって回動)する。
第2屈折駆動手段144のうち特に第2屈折シリンダ144aやブーメランリンク144bは、第3ビーム133を展開するにつれ第1ビーム131と近接する(図3参照)。この状態で第2ビーム132を第1ビーム131に対して近接していると第2屈折シリンダ144aやブーメランリンク144と第1ビーム131とが接触し最悪の場合、破損してしまう恐れがある。そこで、第2のサブルーチンは、接触を抑制できるような動作速度VBを算出する。
具体的には、第2のサブルーチンに処理が移行すると、まず、第1ビーム131と第2ビーム132との間の相対角度θ12と、第2ビーム132と第3ビーム133との間の相対角度θ23とを算出する(ステップS201)。
ここからは、作業者からの操作指示がどのビームをどちらの方向に回動する指示なのかにより処理が変わる。まず、第3ビーム133を展開指示(図2,図3における時計回り方向への回動)か否かを判断する(ステップS202)。第3ビーム133の展開指示であれば(ステップS202のYES)ステップS203に移行する。第3ビーム133を展開する場合には、第2駆動手段144が第1ビーム131に近づくので、相対角度θ12が第二の所定格納角θa以下であるか否かを判断する。θ12がθa以下の場合は近接状態と判断し(ステップS203のYES)、ステップS204において警告を発するとともに、ステップS205において動作速度VBをゼロすなわち停止するようにメインルーチンに対して値を返す。
なお、ステップS204における警告はランプを点灯し視覚的に訴えかけるものや、ブザーのような聴覚的に訴えかけるもののほか、作業者に当該状態であることを知らせるものを任意に採用することができる。
第3ビーム133の展開指示ではない場合(ステップS202のNO)、第2ビーム132が格納指示であるか否かをステップS206にて判断する。第2ビーム132が格納回動する場合は(ステップS206のYES)、第2屈折駆動手段144の突出量が大きく(ステップS207のYES)、第1第2ビームの相対角θ12が第一の所定格納角θc以下であると近接状態と判断し(ステップS208のYES)、ステップS204,S205にて警告及びビーム動作の停止すべく出力値を返す。
なお、ステップS203において相対角度θ12が第二の所定格納角θa以上の場合は、充分に第2ビーム132が展開された状態であり、第3ビーム133を駆動するため第2駆動手段144と第1ビームは接触する恐れがなく、「A」を経由してステップS209にジャンプする。
ステップS206において第2ビーム132の格納操作以外の操作であった場合(ステップS206のNO,上流のステップS202において第3ビーム133の展開である場合はステップS203に移行しているので第3ビーム展開操作も除かれる)、第2屈折駆動手段144と第1ビームとの接触には関連がないためステップS209にジャンプする。
また、第2屈折駆動手段144の突出量が小さいか(ステップS207のNO)、第1ビーム131と第2ビーム132とが離間している場合(ステップS208のNO)も接触の恐れがなく、ステップS209にジャンプする。
そして、ステップS209では、通常の動作と同じ速度値(本実施例ではVAとした)を動作速度VBの値としてメインルーチンに返す。
第2ビーム132と第3ビーム133との間の相対角θ12が第二の所定格納角θaよりも小さく、第2ビーム132(基準ビーム)と第3ビーム133(一方のビーム)とが近接した時には(ステップS203のNO,ステップS208のNO)折りたたみ可能と判断し、動作速度VBを規定する。これにより、第2屈折駆動手段144が第1ビーム131(他方のビーム)と近接しない場合に限り複数のビームを駆動するため、ブーム装置を動作する際に第2屈折シリンダ144aや補助リンク144b,144cと第1ビーム131とが接触して破損することによるブーム屈折事故を抑制でき、安全に打設作業をおこなうことができる。
そして、第3ビーム133(一方のビーム)を図2における反時計回りに回動することで展開する場合(ステップS202のYES)であって、相対角θ12が所定格納角θaより小さい場合に近接状態と判断したため(ステップS203のYES)、打設準備において第1ビーム131が折損してしまうことを防止することができる。第2ビーム132(基準ビーム)を図2における反時計回りに回動することで格納する場合(ステップS206のYES)には、相対角θ23が所定格納角θb以上であって、相対角θ12が所定格納角θa以下の場合に近接状態と判断したため、走行準備において第1ビーム131が折損してしまうことを防止することができる。なお、ステップS208における判断は第二の所定格納角θaとしたが、異なる値であってもよい。
さらに、ステップS204において近接状態を報知することで作業者に注意喚起をし、ステップS205においてブーム駆動手段14の速度をゼロに設定してビームの動作を停止するようにしたため、効果的にブームの屈折事故を防止することができる。
なお、第2屈折駆動手段144の突出量は第2第3ビーム間の相対角θ23に連動するため、ステップS207では相対角θ23を用いて判断している。
本実施例においては、第2屈折駆動手段144が第1ビーム131と接触のおそれがあるため上記のように第2のサブルーチンで処理を行うようにしたが、その他のブーム駆動手段が各ビーム131〜134と接触の恐れがある場合があれば、併せて処理を行うようにしてもよい。
図13を参照して、第3のサブルーチンについて説明する。第3のサブルーチンでは、引抜姿勢、すなわち本実施例では特に各油圧シリンダがブーム13の自重が伸長方向に作用する姿勢か否かを判断し、当該姿勢であれば警告するとともに動作を禁止する。
まず第3のサブルーチンに移行すると、ステップS301で引抜姿勢か否かを判断する。ここで、引抜姿勢とは、第2屈折シリンダ144aに就いて説明すると、自由端側の第3ビーム133がどの姿勢にあるかにより判断できる。一点鎖線で囲った模式図を参照して詳細に説明する。第2屈折シリンダ144aが伸長することで第3ビームが回動する方向を「正回動」、逆方向の回動を「逆回動」とそれぞれ定義する。(a)のように第2ビーム132の先端に対し第3ビーム133が鉛直上方に向かって延びた姿勢よりも正回動した姿勢、すなわち第3ビーム133の姿勢が+90度よりも大きい場合、または(b)のように第2ビーム132の先端に対し第3ビーム133を鉛直下方に向かって延びた姿勢よりも逆回動した姿勢、すなわち第3ビーム133の姿勢が−90度よりも小さい場合には、第3ビームの自重は第2屈折シリンダ144aを伸長する方向に作用する。この姿勢を引抜姿勢と定義し、このような引抜姿勢である場合には(ステップS301のYES)、ステップS302において警告を発するとともに、ステップS303において動作速度VCをゼロすなわち停止するようにメインルーチンに対して値を返す。
これにより、引抜姿勢が継続して第2屈折シリンダ144aが強制的に伸長させ続けられることにより、例えば、ロッドが通る箇所に嵌めたシールが高圧の作動油により破損してしまうといった第2屈折シリンダ144aの破損を抑制することができる。
一方、ステップS301で引抜姿勢ではない時には(ステップS301のNO)、通常の動作と同じ速度値(本実施例ではVAとした)を動作速度VCの値としてメインルーチンに返す。
また、ステップS302において近接状態を報知することで作業者に注意喚起をし、ステップS303においてブーム駆動手段14の速度をゼロに設定してビームの動作を停止するようにしたため、効果的にシリンダの破損を防止することができる。
なお、例えば−80度や+80度を超え、引抜姿勢に近づいた場合に、別途作業者に警告したり、遅い動作速度値をメインルーチンに返したりしてもよい。
第4のサブルーチンでは、急激な動作による各ビーム131〜134の揺れを防止すべく、いわゆるスロースタートのための動作速度を規定する。
第4のサブルーチンでは、タイマの計時時間により動作速度を規定する。まずステップS401にて第一の設定時間taを経過するまでであれば(ステップS401のYES)、動作速度VDを予め設定した低速値とする(ステップS402)。タイマの計時時間が第一の設定時間taを超え、第二の設定時間tbまでの間であれば(ステップS401のNOかつステップS403のYES)、動作速度をタイマの計時時間に伴い徐々に速い速度となるように動作速度VDを規定する。
そして、第二の設定時間tbを経過した場合には(ステップS403のNO)、動作速度VDを予め設定した高速値とする(ステップS405)。
これによると、各ビーム131〜134の動作開始時は速度が低速であるため、ブーム駆動手段14が勢いよく伸縮し各ビーム131〜134が静止状態から高速で動作することによる揺れを防止することができる。
なお、ステップS404における加速は、線形に変化(経過秒数に応じて直線に変化、低速からなめらかに加速かつ高速になめらかに移行するような曲線など)するようにしてもよく、ステップ状に加速するように規定してもよい。ステップS401,S402を省略し、押下開始(速度ゼロ)から加速するようにしてもよい。
図15に示す第5のサブルーチンでは、各ビーム131〜134間の相対角度から最適な動作速度VEを算出する。これは、例えば走行姿勢までビーム13を折畳むため、各ビーム131〜134同士を当接するような際に勢いよく当接することによる騒音や各ビーム131〜134の破損を抑制するためである。
第5のサブルーチンに移行すると、まず、動作しようとするビームと該ビームを支持するビームとの間の相対角θijを求める(ステップS501)。そして、求めた相対角θijが第一の所定相対角θdよりも大きい場合には(ステップS502のYES)、接触までまだ余裕がある相対姿勢であるため動作速度VEを予め設定した高速値とする(ステップS503)。相対角θijが第一の所定相対角θdよりも小さく第二の所定相対角θeよりも大きい場合には(ステップS502のNOかつステップS504のYES)、動作速度VEを相対角θijが小さくなるにつれ遅い速度となるように動作速度VEを規定する(ステップS505)。
そして、第二の所定相対角θeよりも相対角θijが小さい場合には(ステップS504のNO)、動作速度VEを予め設定した低速値とし、当接した際に大きな音が発生したり、勢いよく当接することによる各ビーム131〜134の破損を防止することができる。
また、第一の相対角θdから第二の相対角θeの間には、相対角θijが小さくなるにつれ動作速度VEを徐々に減速するようにしたので急激に減速や停止することによる各ビーム131〜134の揺れを防止することができる。
なお、ステップS505における減速は、線形に変化(相対角に応じて直線に変化、高速からなめらかに減速かつ低速になめらかに移行するような曲線など)するようにしてもよく、ステップ状に減速するように規定してもよい。第二の相対角θeをゼロ度に設定し、ステップS504,S505を変更かつステップS506を省略し、相対角θijがゼロになると動作速度VEもゼロになるように規定してもよい。
ステップS501からS502に移行する前に動作方向が折りたたみ方向か否かを判断し、折り畳み方向の指示である場合に限り、ステップS502以下を処理するようにしてもよく、この場合、接触することがない展開方向の動作はこの第5のサブルーチンによる速度補正の影響をうけることなく常に速い速度で各ビーム131〜134を動作させることができる。
また、ステップS506に飛ぶ前に相対角θijがゼロ、すなわち2本のビームが当接したと判断した場合には、動作速度VEをゼロに設定、すなわちビームの動作を停止するようにメインルーチンに値を返してもよい。
図16を参照して、第6のサブルーチンの詳細な処理について説明する。
第6のサブルーチンは、作業者から旋回指示が与えられた場合に限り移行する。そして、ブーム13とブーム受け16との位置合わせを容易に行うため、格納姿勢であるか否かに応じた旋回速度VFを算出する。
まず第6のサブルーチンでは、車体に一番近い基部ビーム(本実施例では第1ビーム131)の起伏角θ1が、所定の起伏角θf以下であるか否かを判断する(ステップS601)。ここで、起立姿勢に近い場合、すなわち所定の起伏角θfよりも起伏角θ1が大きい場合には(ステップS601のYES)、打設作業時の旋回であるため、ステップS602に移行して旋回速度は予め設定した高速値とする。一方、所定の起伏角θfよりも起伏角θ1が小さい場合には(ステップS601のNO)、ブームを略水平に張り出して打設しているのか否かを判断するため、第1ビーム131と第2ビーム132との間の相対角θ12が所定の折畳角θg以下であるか否かを判断する(ステップS603)。相対角θ12が折畳角θgよりも大きい場合は水平打設であるため(ステップS603のNO)、ステップS602にジャンプして旋回速度を高速値とする。一方、相対角θ12が折畳角θgよりも小さい場合(ステップS603のYES)はブーム13を格納するために旋回している。そこで、ステップS604において旋回角度が所定の旋回範囲内にあるか否かを判断する。なお旋回角度は旋回台に固定した旋回角度検知手段Sr(ロータリエンコーダ,図4参照)により検出する。ステップS604において旋回角度がブーム受け16に接近した所定の旋回範囲内にある場合には(YES)、ブーム受け16に接近かつ減速したことを警告し(ステップS605)、旋回速度を予め設定した低速値とする。
これによると、ステップS601において第1ビーム131(車体に一番近い基部ビーム)の起伏角に基づき低速で旋回するようにしたので、ブーム格納時にブーム13を旋回したときに、旋回速度が速すぎてブーム受け16を行き過ぎてしまい再び逆旋回するような、作業の無駄手間が生じてしまうことを防止することができる。
また、低速にするにあたり、相対角θ12が大きい場合には打設作業中であるため高速のままにするようにし(ステップS603のNOからステップS602)、旋回角度が所定の旋回範囲内に限って低速に規定した(ステップS604のYES)ため、位置合わせをおこなわない場合に旋回速度が遅くなってしまうことを防ぐことができる。
なお、ステップS603やステップS604を省略し、第1ビーム131の起伏角θ1のみに依存して低速旋回させるようにしてもよい。
また、旋回角度検知手段Srとしてロータリエンコーダを例示したが、その他のセンサ等を用いてもよく、その場合はビーム13とブーム受け16とが接近したことを把握できるようにすればよい。
最後に図17を参照して、第7のサブルーチンの詳細な処理について説明する。
本実施例のブーム装置Bように複数の関節を持つブームにおいて、複数の関節を同時に操作する時には第2油圧ポンプPU2から供給される作動油量を超える場合がある。この場合、一部の負荷が小さい関節は通常に回動する一方、その他の関節は作動油量不足で動作が緩慢になってしまう。すると、例えば、図2に示したような建築現場の2階床Aに打設する際に、第4ビーム134は起立方向(図2における反時計回り)に回動しつつ、第3ビーム133を倒伏方向(図2における時計回り)に回動させなければならない。この時、第4ビーム134の起立回動よりも第3ビームの倒伏回動の方が優先されてしまった場合、ブーム先端135は2階床Aに接触してしまう。そこで、同時作動時の速度補正を加えるのが第7のサブルーチンの役割である。従って、ひとつの関節に対する動作指示しか与えられていない場合には第7のサブルーチンに移行しないようにしてもよい。
複数の関節に対して動作指示がなされている場合、第7のサブルーチンに移行し、当該動作指示に対応する必要流量Qiをすべてピックアップする(ステップS701)。なお、必要流量Qiは、メインルーチンのステップS9において、油圧シリンダの動作速度に基づき求めた単位時間あたりの流量である。
そして、ピックアップしたすべての必要流量を合計し、これから動作するにあたり必要な作動油量(総作動油量Qs)を算出する(ステップS702)。一方、ステップS703において、回転数センサSからのエンジン回転数を基にブーム装置Bを駆動するための作動油を供給する第2油圧ポンプPU2の吐出流量Qpを算出する。吐出流量Qpは、エンジン回転数と押しのけ容量とから単位時間あたりの吐出流量を算出することができる。なお、本実施例においては回転数センサSとステップS703とが吐出流量把握手段を構成している。吐出流量把握手段は他の手段(例えば流量計を油圧回路内に備え、流量計の出力信号を受けるなど)であってもよい。
次にステップS704において、総作動油量Qsが吐出流量Qpを超えるか否かを判断する。需要が供給を超える場合には(ステップS704のYES)、ステップS705において実際に動作させる際の流量(動作流量Qm,ブーム13の動作速度)を一律に減速する。具体的には、必要流量Qiに総必要流量Qsに対する吐出流量Qpの比を積算することで一律に減速させている。なお、この減速は、予め設定した比率により減速させてもよいが、各動作速度の比率がバラバラにならないように同じ比率を積算すればよい。
一方、需要が供給より少ない場合には(ステップS704のNO)、必要流量そのままで動作しても供給される作動油が不足することはないので、動作流量Qmiは必要流量Qiのまま補正を加えない(ステップS706)。
このように制御手段Cは、操作手段Rからの操作信号に基づきビーム駆動手段14の必要流量Qsを決定し、吐出流量把握手段で把握した吐出流量Qpを超える場合は(ステップS704のYES)、ビーム駆動手段14の動作速度を制限するので、動きやすいブーム13が優先的に動くことによる建築物との接触事故を抑制することができる。また、ステップS705において、動作流量Qmiすなわち各ブームの動作速度を操作手段から指示された速度比率を保ったまま制限するため、操作者が指示した比率のまま遅く駆動させる。これにより、ブーム13が、操作者が想定しない動きになってしまうことを防ぐことができ、安全にブームを駆動することができる。
なお、本発明は上記実施例に限定されることなく、本発明の範囲内で種々の実施例が可能である。例えば、上記実施例においてブーム装置Bは、4本のビームを備えた4段ブームを例に挙げたが、その他の本数のブーム装置Bにも適用することができる。また、上記実施例のブーム装置Bは各ビーム131〜134を回動可能に支持した屈折式であるが、基部側のビームに対して先部側のビームがスライド移動する伸縮式のブームであってもよい。
エンジンEnの回転数を把握するためにエンジンEnに回転数センサSを取り付けたが、制御装置CからのエンジンEnの回転数を制御するための出力信号や操作装置Rからのエンジン回転数の増減指示を代用してもよい。
第1及び第2油圧ポンプPU1,PU2としてアキシャルピストンポンプを例に挙げたが、その他の種類の可変容量式の油圧ポンプであってもよく、定容量式の油圧ポンプを使用してもよい。
また、所定格納角θa,θc、設定時間ta,tb、所定相対角θd,θeは、すべて同じ値に設定しておいてもよいし、各ビームごとに異なった値に設定してもよい。
上記実施例において制御装置CはPLCであったが、リレー回路や電子回路といった各種制御装置を代用することができる。
図9に示す操作装置Rは無線によりコンクリートポンプ車Vに操作信号を送信する送信機を図示しているが、コンクリートポンプ車Vに同じ機能を有する操作スイッチを設けてもよい(図示せず)。
上記実施例ではピストン式コンクリートポンプを例に挙げたが、絞り出し式コンクリートポンプなど、他の機構のコンクリートポンプを搭載したコンクリートポンプ車に適用してもよい。
V コンクリートポンプ車
P コンクリートポンプ
B ブーム装置
13 ブーム
131 第1ビーム(他方のビーム)
132 第2ビーム(基準ビーム)
133 第3ビーム(一方のビーム)
134 第4ビーム
14 ブーム駆動手段
144 第2屈折駆動手段
144a 第2屈折シリンダ
144b 補助リンク
144c 補助リンク
PU1 第1油圧ポンプ
PU2 第2油圧ポンプ
S 回転数センサ(吐出流量把握手段)
Se 検知手段
Sr 旋回角度検知手段
C 制御装置
v41 切換弁(旋回駆動手段用)
v42 切換弁(起伏駆動手段用)
v43 切換弁(第1屈折駆動手段用)
v44 切換弁(第2屈折駆動手段用)
v45 切換弁(第3屈折駆動手段用)
R 操作手段

Claims (1)

  1. 少なくとも2本またはそれ以上の数のビームを有するブーム装置と、
    油圧ポンプと比例制御式の切換弁を介して接続されるとともにビームを駆動するビーム駆動手段と、
    操作手段からの操作信号に基づきビーム駆動手段を駆動する制御手段と、を備えたコンクリートポンプ車において、
    油圧ポンプの吐出流量を把握する吐出流量把握手段をさらに備え、
    前記操作手段は、速度を指示可能なものであり、
    前記制御手段は、前記操作手段からの前記2以上のビーム駆動手段を同時に操作する操作信号に基づき前記ビーム駆動手段の必要流量を決定し、吐出流量把握手段で把握した吐出流量を超える場合は、ビーム駆動手段の動作速度を前記操作手段から指示された他のビーム駆動手段に対する速度比率を保ったまま制限することを特徴とするコンクリートポンプ車。
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