JP5925946B1 - 複合和紙糸及びその製造方法、和紙糸織物、和紙糸編物 - Google Patents
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Abstract
Description
前記テープ状にスリットされた和紙からなる実質的に無撚の前記和紙糸を準備する工程、
該和紙糸に水を付与して湿った和紙糸を得る工程、
該湿った和紙糸と前記補強糸とを引き揃え状態で撚係数が70〜250の撚数で加撚する工程
を含む複合和紙糸の製造方法であるところにある。
前記テープ状にスリットされた和紙からなる実質的に無撚の前記和紙糸を準備する工程、
該和紙糸に水を付与して湿った和紙糸を得る工程、
該湿った和紙糸を前記補強糸に対してオーバーフィードして両者を加撚機の加撚域に供給し、撚係数が70〜250の撚数で加撚する工程
を含む複合和紙糸の製造方法であるところにある。
複合和紙糸の製造方法としては、加撚された和紙糸と補強糸とを引き揃えて、加撚された和紙糸の加撚方向と逆方向に加撚する逆撚工程、を含む製造方法が挙げられる。すなわち、この場合、逆撚工程に供する和紙糸は撚られた状態の和紙糸である。この加撚された状態の和紙糸は、和紙テープを加撚して得られたものである。あるいは、和紙テープと他の糸との引きそろえ糸を加撚して得られたものである。和紙糸が撚られた状態の単糸である場合は、逆撚工程に供する和紙糸はその撚方向にさらに追撚したものであってもよい。この場合は、逆撚工程に供する和紙糸の撚数は、追撚前の撚数と追撚の撚数との和である。和紙糸は双糸であってもよい。この場合、逆撚工程の撚方向は和紙糸の撚方向と逆方向(逆撚)である。和紙糸が双糸の場合、逆撚工程に供する和紙糸は上撚方向にさらに追撚したものであってもよい。また、和紙糸が双糸である場合は、逆撚工程に供する和紙糸の撚数は和紙糸の上撚数である。双糸の和紙糸が追撚された場合は、逆撚工程に供する和紙糸の撚数は追撚前の上撚数と追撚数との和が複合和紙糸の撚数である。また、この場合、逆撚工程の撚方向は逆撚工程に供する和紙糸の上撚方向と逆方向である。
複合和紙糸の他の製造方法としては、加撚された和紙糸(糸A)と補強糸(糸B)とを併行して連続的にリング撚糸機のような加撚機の加撚域に供給して加撚して前記複合和紙糸を得る合撚工程、を含む製造方法が挙げられる。この場合、合撚工程において加撚域に和紙糸をオーバーフィードする。この合撚工程の撚方向は、加撚された和紙糸の撚方向は、和紙糸の撚方向と逆方向である。
製造方法2と同様の目的で加撚域に加撚された和紙糸をオーバーフィードする他の方法としては、例えば、加撚された和紙糸と補強糸とを引き揃えてリング撚糸機の1のフィードロールに同時供給し、このとき、供給される補強糸に加撚域における補強糸の張力より大きい所定の張力をかけておく方法が挙げられる。この場合、加撚域で補強糸の張力の大部分が開放されることにより、補強糸が長手方向に弾性回復し、結果的に加撚域に和紙糸がオーバーフィードされることになる。
複合和紙糸のさらに他の製造方法としては、和紙糸を補強糸にカバリングしたのち補強糸の巻付け方向と同方向に追撚する方法が挙げられる。カバリングは、例えば、和紙糸を巻いた中空ボビンを回転させ、補強糸をその中空ボビンの中空部を通過させることにより補強糸のまわりに和紙糸を連続的に巻きつけることにより行うことができる。
また、本発明の複合和紙糸は、実質的に無撚でかつ湿った和紙テープと補強糸とを引き揃えた状態(引き揃え状態)で加撚することによって得ることができる。実質的に無撚とは、製造工程中に発生する解舒撚りなどの不可避の撚りを除いては可撚されていない状態をいう。解舒撚りは、巻糸体から糸(和紙テープ)を縦に引き出すことにより生ずる撚りであり、巻糸体の径によるが、その撚数は例えば2〜30T/mである。また、その他の要因で和紙テープに付加された撚りであっても撚数が100T/m以下であれば被覆性に影響する度合いは少なく、本発明の効果を得ることができる。すなわち、本明細書においては実質的に無撚の和紙テープは100T/m以下の撚数の和紙テープをいう。
また、本発明の複合和紙糸は、実質的に無撚でかつ湿った和紙テープと補強糸とのあいだに速度差を与えて、両者を製造方法2で用いると同様な加撚機の加撚域にフィードロールなどを用いて供給し撚係数70〜250で加撚することによって得ることができる。すなわち、実質的に無撚でかつ湿った和紙テープを補強糸に対してオーバーフィードして両者を撚糸機の加撚域に供給することによって得ることができる。この場合のオーバーフィード率の値は、1.015〜1.12であることが好ましい。加撚機としてはリングツイスタを用いることができる。
またさらには、本発明において用いられる複合和紙糸は、熱収縮しにくいという和紙糸の性質を利用して、和紙糸と補強糸とを引き揃えたのち加撚して得られた合撚糸あるいは製造方法1〜6のいずれかの方法で得られた複合和紙糸、を加熱して補強糸を熱収縮させることによって得ることができる。
和紙原料を抄紙して作られた和紙(目付15g/m2)をテープ状にスリットし加撚し30.5番手の和紙糸を得た。この和紙糸の撚数は430T/m(Z撚)であった。補強糸として56dtex、f24のポリエステル加工糸(撚数100T/m(S撚))を用いた。和紙糸の最大応力点伸度は3.7%、引張り強さは654cN、初期引張り弾性率は62cN/dtexであった。図2にこの和紙糸の代表的な引張り力−伸長率曲線を示す。補強糸の初期引張り弾性率は95cN/dtex、3%伸長時の引張り力は140N/dtex、最大応力点伸度は30%であった。
実施例1で用いたものと同様の和紙糸を巻いた中空ボビンをボビンの軸方向を回転軸として回転させ、実施例1で用いたものと同様の補強糸をその中空ボビンの中空部を通過させることにより補強糸のまわりに和紙糸を連続的に巻きつけてカバリング糸を得た。巻きつけ数は550T/m(S撚)であった。このカバリング糸を100T/m(S撚)で追撚し、スチームセッターで110℃20分の撚止めセットし、24.1番手の複合和紙糸を得た。この複合和紙糸の最大応力点伸度は10.4%、引張り強さは790cNであった。この複合和紙糸の分離可能撚係数は133であり、糸長差率は7%であった。また、この複合和紙糸は、和紙糸と補強糸とが撚り合わされている構造を有していた。
和紙原料を抄紙して作られた和紙(目付15g/m2)をテープ状にスリットし加撚し30番手の和紙糸を得た。この和紙糸の撚数は200T/m(Z撚)であった。補強糸として実施例1で用いたものと同様の糸を用いた。和紙糸の最大応力点伸度は2.7%、引張り強さは450cN、初期引張り弾性率は60cN/dtexであった。
経糸及び緯糸として実施例1で得られた複合和紙糸を用いて、平織り組織により経糸織密度240本/10cm、緯糸織密度223本/10cmの和紙糸織物を得た。緯糸織密度係数は45であった。製織は経糸切れがほとんどなく通常の生産効率を損なわずに正常に行われた。
経糸及び緯糸として実施例2で得られた複合和紙糸を用いて、平織り組織により経糸織密度190/10cm、緯糸織密度172本/10cmの和紙糸織物を得た。得られた織物の緯糸織密度係数は35であった。製織は経糸切れがほとんどなく通常の生産効率を損なわずに正常に行われた。
経糸として実施例1で得られた複合和紙糸を用い、緯糸としてこの複合和紙糸と同じ番手の和紙糸を用いて平織り組織の織物を製織した。この和紙糸は、和紙原料を抄紙して作られた和紙をテープ状にスリットし加撚し、撚数390/m(Z撚)に加撚したものである。得られた織物の緯糸織密度係数は40であった。製織は経糸切れがほとんどなく通常の生産効率を損なわずに正常に行われた。
和紙原料を抄紙して作られた和紙(目付20g/m2)をテープ状にスリットし加撚し22番手の和紙糸Aを得た。和紙糸Aの撚数は340T/m(Z撚)であった。補強糸として84dtexのポリエステル加工糸を用いた。和紙糸Aの最大応力点伸度は3.7%、引張り強さは930cN、初期引張り弾性率は65cN/dtexであった。この補強糸(A)の初期引張り弾性率は98cN/dtex、3%伸長時の引張り力は145N/dtexであった。最大応力点伸度は32%であった。
実施例7で得られた複合和紙糸Aと同様の複合和紙糸を経糸と緯糸に用いて平織りの織物を製織した。得られた織物の緯糸の織密度は180本/10cm(緯糸織密度係数43)、経糸の織密度は210本/10cmであった。製織は経糸切れがほとんどなく正常に行われた。なお、緯糸の織密度205本/10cmを越える高緯糸織密度の織物は、製織を試みたが筬打ち時の経糸切れのため織機の正常運転が困難であった。
和紙原料を抄紙して作られた和紙(目付15g/m2)をテープ状にスリットし加撚し31番手の和紙糸Cを得た。和紙糸Cの撚数は420T/m(Z撚)であった。補強糸として実施例7で用いたものと同様の84dtexのポリエステル加工糸を用いた。和紙糸Cの最大応力点伸度は3.7%、引張り強さは660cN、初期引張り弾性率は65cN/dtexであった。
補強糸としてポリエチレンテレフタレートとポリトリメチレンテレフタレートとのサイドバイサイド型複合繊維からなるフィラメント糸(東レ・オペロンテックス株式会社製の商品名ライクラT400ファイバー)56dtexを用いたほかは、実施例4と同様にして和紙糸織物を得た。この織物を130℃で熱処理してたてよことも10%幅入れし、伸縮性を有する和紙糸織物を得た。緯糸方向の伸縮率(JIS L 1096 A法に準拠)は、9.5%であった。
経糸A及び緯糸Aとして実施例1で得られた複合和紙糸を用い、経糸B及び緯糸Bとして167dtex、f72のポリエステルフィラメント糸(撚り数110T/m)を用い、図6に示す組織のセミ二重織組織の和紙糸織物を製織した。製織時の経糸切れはほとんどなく、正常な操業が行われた。得られた織物の緯糸織密度は290本/10cm(緯糸織密度係数48)、経糸の織密度は280本/10cmであった。製織は経糸切れがほとんどなく正常に行われた。
和紙原料を抄紙して作られた和紙(目付15g/m2)をテープ状にスリットし加撚し41番手の和紙糸を得た。この和紙糸の撚数は500T/m(Z)であった。補強糸として56dtex、f24のポリエステル加工糸(撚数100T/m(S))を用いた。和紙糸の最大応力点伸度は3.7%、引張り強さは480cN、初期引張り弾性率は61cN/dtexであった。補強糸の初期引張り弾性率は80cN/dtex、3%伸長時の引張り力は125N/dtex、最大応力点伸度は35%であった。
実施例7で得られた複合和紙糸Aと同様の複合和紙糸を枷に取ってその枷を98℃の熱水で20分間処理して10%収縮させた。処理後の複合和紙糸を靴下編機で編成し紳士用靴下を製造した。編成は通常の同一番手の綿糸の編成機械条件と同様にして、糸切れなどのトラブルなく、編成が可能であった。得られた靴下は優れた吸水性と独特のサラッとした触感を有し、登山用など長時間の使用時に快適に使用することができた。
経糸、緯糸として実施例1で得られた複合和紙糸と同じ番手の和紙糸を経糸及び緯糸に用いて平織り組織の和紙糸織物を製織した。この和紙糸は、和紙原料を抄紙して作られた和紙をテープ状にスリットし加撚し、撚数450T/m(Z撚)に加撚したものである。得られた織物の経糸織密度は165本/10cm、緯糸織密度は153本/10cm(緯糸織密度係数31)であった。これ以上の高緯糸織密度の織物の製織を試みたが筬打ち時の経糸切れのため織機の正常運転が困難であった。
和紙原料を抄紙して作られた和紙をテープ状にスリットし、実施例1で用いたものと同様の補強糸と合糸し、撚数450T/m(Z撚)で加撚して、実施例1で得られた複合和紙糸と同じ番手の複合糸を得た。この複合糸の分離可能撚係数は92であり、糸長差率は0.5%であった。経糸及び緯糸としてこの複合糸を用いて、平織り組織により経糸織密度170本/10cm、緯糸織密度163本/10cmの和紙糸織物を得た。緯糸織密度係数は33であった。これ以上の高緯糸織密度の織物の製織を試みたが筬打ち時の経糸切れのため織機の正常運転が困難であった。
実施例1で得られた複合和紙糸と同番手のポリエステルステープル65%、綿35%のスパン糸を用いて実施例1で得られたものと同組織、同織密度の織物を作成した。この織物を、実施例、他の比較例で得られた織物とともに表1に示す性能比較に供した。
和紙原料を抄紙して作られた和紙(目付20g/m2)をテープ状にスリットし加撚し25番手の和紙糸を得た。この和紙糸の撚数は540T/m(Z撚)であった。この和紙糸をスチームセッターで110℃20分の撚止めセットしたのち、靴下編機での編成を試みた。通常の同一番手の綿糸の編成機械条件と同様の編成では糸切れが多発したので回転数を通常の同一番手の綿糸の編成の場合の1/3にしてようやく編成可能であった。
経糸A及び緯糸Aとして和紙糸を用いたほかは実施例11と同様にして実施例11と同様の組織、織密度の和紙糸織物の製織を実施例11と同様の機械条件で試行したが、経糸切れが多発した。この和紙糸は、和紙原料を抄紙して作られた和紙をテープ状にスリットし加撚(400T/m(Z))した24.4番手の和紙糸である。
経糸A及び緯糸Aとして和紙糸を用いたほかは実施例12と同様にして実施例12と同様の組織、織密度の和紙糸織物の製織を実施例12と同様の機械条件で試行したが、経糸切れが多発した。この和紙糸は、和紙原料を抄紙して作られた和紙をテープ状にスリットし加撚(450T/m(Z))した31.5番手の和紙糸である。
和紙原料を抄紙して作られた和紙(目付15g/m2)をテープ状にスリットし、無撚の44番手の和紙糸を得た。補強糸として実施例7で用いたと同様の加工糸を用いた。この加工糸は黒色に染色して用いた。この和紙糸とこの補強糸とを、引き揃えて並走させてリング撚糸機でS方向に600T/m加撚し、複合和紙糸を得た。このとき、走行中の和紙糸が加撚域に入る前に湿った状態となるように、和紙糸が加撚域に入る直前に和紙糸に水を噴霧した。噴霧されかつ加撚前の状態を再現して採取した和紙糸の水分率は50%であった。
和紙原料を抄紙して作られた和紙(目付15g/m2)をテープ状にスリットし、無撚の44番手の和紙糸を得た。補強糸として実施例7で用いたと同様の加工糸を用いた。この加工糸は黒色に染色して用いた。この和紙糸とこの補強糸とを、引き揃えて並走させてリング撚糸機でS方向に600T/m加撚し、複合糸を得た。
和紙原料を抄紙して作られた和紙(目付15g/m2)をテープ状にスリットし、無撚の44番手の和紙糸を得た。補強糸として実施例14で用いたと同様の加工糸を用いた。この和紙糸とこの補強糸とを、異なる速度で加撚域に供給できるリング撚糸機でS方向に600T/m加撚し、複合和紙糸を得た。このとき、走行中の和紙糸が加撚域に入る前に湿った状態となるように、和紙糸が加撚域に入る直前に和紙糸に水を噴霧した。噴霧されかつ加撚前の状態を再現して採取した和紙糸の水分率は50%であった。撚糸機の加撚域に供給する補強糸と和紙糸との速度比(単位時間に加撚域に供給される補強糸の長さとその単位時間に加撚域に供給される和紙糸の長さの比)を1:1.05とした。この複合和紙糸の最大応力点伸度は10.5%、分離可能撚係数は115であり、糸長差率は6%であった。また、この複合和紙糸は、和紙糸と補強糸とが撚り合わされている構造を有していた。
和紙原料を抄紙して作られた和紙(目付12g/m2)をテープ状にスリットし、無撚の68番手の和紙糸を得た。補強糸として実施例1で用いたと同様の加工糸を用いた。この和紙糸とこの補強糸とを、異なる速度で加撚域に供給できるリング撚糸機でS方向に820T/m加撚し、複合和紙糸を得た。このとき、走行中の和紙糸が加撚域に入る前に湿った状態となるように、和紙糸が加撚域に入る直前に和紙糸に水を噴霧した。噴霧されかつ加撚前の状態を再現して採取した和紙糸の水分率は50%であった。撚糸機の加撚域に供給する補強糸と和紙糸との速度比(単位時間に加撚域に供給される補強糸の長さとその単位時間に加撚域に供給される和紙糸の長さの比)を1:1.05とした。この複合和紙糸の最大応力点伸度は10.5%、分離可能撚係数は113であり、糸長差率は6%であった。また、この複合和紙糸は、和紙糸と補強糸とが撚り合わされている構造を有していた。
和紙原料を抄紙して作られた和紙(目付15g/m2)をテープ状にスリットし、無撚の32番手の和紙糸を得た。補強糸として実施例7で用いたと同様の加工糸を用いた。この和紙糸とこの補強糸とを、異なる速度で加撚域に供給できるリング撚糸機でS方向に420T/m加撚し、複合和紙糸を得た。このとき、走行中の和紙糸が加撚域に入る前に湿った状態となるように、和紙糸が加撚域に入る直前に和紙糸に水を噴霧した。噴霧されかつ加撚前の状態を再現して採取した和紙糸の水分率は50%であった。撚糸機の加撚域に供給する補強糸と和紙糸との速度比(単位時間に加撚域に供給される補強糸の長さとその単位時間に加撚域に供給される和紙糸の長さの比)を1:1.05とした。この複合和紙糸の最大応力点伸度は10.5%、分離可能撚係数は113であり、糸長差率は6%であった。また、この複合和紙糸は、和紙糸と補強糸とが撚り合わされている構造を有していた。
和紙原料を抄紙して作られた和紙(目付12g/m2)をテープ状にスリットし、無撚の89番手の和紙糸を得た。補強糸として33dtexのポリエステル加工糸を用いた。この和紙糸とこの補強糸とを、異なる速度で加撚域に供給できるリング撚糸機でS方向に750T/m加撚し、複合和紙糸を得た。このとき、走行中の和紙糸が加撚域に入る前に湿った状態となるように、和紙糸が加撚域に入る直前に和紙糸に水を噴霧した。噴霧されかつ加撚前の状態を再現して採取した和紙糸の水分率は50%であった。撚糸機の加撚域に供給する補強糸と和紙糸との速度比(単位時間に加撚域に供給される補強糸の長さとその単位時間に加撚域に供給される和紙糸の長さの比)を1:1.05とした。この複合和紙糸の最大応力点伸度は10.5%、分離可能撚係数は113であり、糸長差率は6%であった。また、この複合和紙糸は、和紙糸と補強糸とが撚り合わされている構造を有していた。
補強糸として54dtex、f24のポリエステル特殊フィラメント糸(ユニチカトレーディング株式会社製の商品名メルセット)からなる加工糸を用いたほかは、実施例16と同様にして複合和紙糸を得た。メルセットは、芯材としてレギュラーポリエステル、鞘材として低融点ポリエステルを用いた芯鞘構造の繊維からなるマルチフィラメント糸である。この複合和紙糸の最大応力点伸度は10.3%、分離可能撚係数は113であり、糸長差率は6%であった。また、この複合和紙糸は、和紙糸と補強糸とが撚り合わされている構造を有していた。得られた複合和紙糸は、補強糸が和紙糸でほぼ完全に被覆されていた。得られた複合和紙糸を経糸及び緯糸として用いて、平織り組織により和紙糸織物を得た。緯糸織密度係数は45であった。製織は経糸切れがほとんどなく通常の生産効率を損なわずに正常に行われた。
実施例4〜6、比較例1〜3で得られた織物をアッパーとしてランニングシューズを作成し、各モニター(現役のランナー)が裸足で着用して100kmの走行テストを実施した。テスト結果を表1に示す。
Claims (17)
- テープ状にスリットされた和紙を主成分としてなる和紙糸と、補強糸とが分離可能撚係数70〜250で撚り合わされた状態の、複合糸からなり、
前記補強糸は最大応力点伸度が8%以上であり、3%伸長時の引張り力が前記和紙糸の引張り強さの1/20以上であり、
前記和紙糸の繊度と前記補強糸の繊度との比が1:1〜15:1であり、
前記複合糸中の前記和紙糸と前記補強糸との糸長差率が1.5〜12%である
複合和紙糸。 - Eを糸長差率と同じ値の率としたとき、引張り力−伸長率曲線における、伸長率E〜E+3%の伸長域の引張り力−伸長率曲線の平均勾配が、伸長率0%〜Eの伸長域の平均勾配の1〜2.5倍である請求項1に記載の複合和紙糸。
- 前記補強糸が熱融着性繊維を含んで成る請求項1または2に記載の複合和紙糸。
- 前記補強糸がポリエチレンテレフタレートとポリトリメチレンテレフタレートとのサイドバイサイド型複合繊維からなるフィラメント糸である請求項1または2に記載の複合和紙糸。
- 請求項4に記載の複合和紙糸がさらに熱収縮されてなる複合和紙糸。
- 請求項4に記載の複合和紙糸を準備し、該複合和紙糸を熱収縮させることを特徴とする複合和紙糸の製造方法。
- 請求項1から4のいずれかに記載の複合和紙糸の製造方法であって、
撚係数が50〜200の前記和紙糸を準備する工程、
前記撚係数が50〜200の和紙糸と前記補強糸とを引き揃えて該和紙糸の加撚方向と逆方向に、該和紙糸の撚数の1.5〜3倍の撚数で加撚する工程
を含む複合和紙糸の製造方法。 - 請求項1から4のいずれかに記載の複合和紙糸の製造方法であって、
前記テープ状にスリットされた和紙からなる実質的に無撚の前記和紙糸を準備する工程、
該和紙糸に水を付与して湿った和紙糸を得る工程、
該湿った和紙糸と前記補強糸とを引き揃えて撚係数が70〜250の撚数で加撚する工程
を含む複合和紙糸の製造方法。 - 請求項1から4のいずれかに記載の複合和紙糸の製造方法であって、
前記テープ状にスリットされた和紙からなる実質的に無撚の前記和紙糸を準備する工程、
該和紙糸に水を付与して湿った和紙糸を得る工程、
該湿った和紙糸を前記補強糸に対してオーバーフィードして両者を加撚機の加撚域に供給し、撚係数が70〜250の撚数で加撚する工程
を含む複合和紙糸の製造方法。 - 請求項1から5のいずれかに記載の複合和紙糸を経糸の少なくとも一部に用い、経糸における前記複合和紙糸の本数割合が30%以上である
和紙糸織物。 - 平織組織構造または綾織組織構造の織物であって、
請求項1から5のいずれかに記載の複合和紙糸を経糸とし、
請求項1から5のいずれかに記載の複合和紙糸を緯糸とし、
緯糸織密度係数が35〜55である
請求項10に記載の和紙糸織物。 - 平織組織構造または綾織組織構造の織物であって、
テープ状にスリットされた和紙を主成分としてなる和紙糸を緯糸とし、
請求項1から5のいずれかに記載の複合和紙糸を経糸とし、
前記織物の緯糸織密度係数が35〜50である
請求項10に記載の和紙糸織物。 - 請求項10から12のいずれかに記載の和紙糸織物がさらに熱収縮されてなる織物であり、該織物に用いられた複合和紙糸が請求項4に記載の複合和紙糸である和紙糸織物。
- 請求項10から13のいずれかに記載の和紙糸織物をアッパーに用いたランニングシューズ。
- 請求項1から5のいずれかに記載の複合和紙糸を編成してなる和紙糸編物。
- 前記補強糸が熱融着性繊維を含んで成り、該補強糸中で該熱融着性繊維同士が融着された請求項10から12のいずれかに記載の和紙糸織物。
- 前記補強糸が熱融着性繊維を含んで成り、該補強糸中で該熱融着性繊維同士が融着された請求項15に記載の和紙糸編物。
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