JP5924939B2 - 新規の蛍光性ホウ素で置換されたジピロメテン及び診断へのその使用 - Google Patents

新規の蛍光性ホウ素で置換されたジピロメテン及び診断へのその使用 Download PDF

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Description

本発明は、新規の蛍光性化合物、フッ素化されていないジピロメテン−ホウ素誘導体、同化合物の調製法、及び生体分子を蛍光標識するためのその使用に関する。本発明はさらに、上記蛍光性化合物で標識された生体分子、及び医学診断法のような検出法へのその使用に関する;特に、本発明による検出法は、アルツハイマー病のような神経変性疾患の診断に特に有用であると見られる。
蛍光マーカーは、免疫学、分子生物学、医学診断又はさらにはDNAチップの分野で、生体分子を検出及び/又は推定するために、しばしば用いられる。
従来技術にある、蛍光マーカーとして用いることのできる多くの化合物の中では、ジピロメテン−ホウ素類の二フッ化物(ここから先ではDFMBと表す)を特に引用することができる。特許である、特許文献1、特許文献2、及び特許文献3は、DFMBに由来し蛍光性官能基を含有する化合物で、生体分子やポリマーを標識するのに用いることのできるものを記載する。
しかしながら、DFMB誘導体は化学的に不安定である;それゆえ、塩基性媒体中又はアミンやアルコラートのような求核剤の存在下で、これらの化合物のフッ素原子は容易に置換される。
国際特許出願である特許文献4、及び特許文献5は、フッ素化されていないジピロメテン−ホウ素類に由来する化合物を記載する。これらの化合物はDFMB誘導体に比べてより良好な化学安定性を示す;特に、自動ペプチド合成中のカーバメートタイプ(例えばFmoc)の基の脱保護で特に用いられる塩基性条件に強い。
米国特許第4,774,339号 米国特許第5,187,288号 米国特許第5,451,663号 国際公開第2006/087459号 国際公開第2006/087458号
しかしながら、下のような性質を示す、利用可能な蛍光性化合物への必要性は残っている:
−さらに向上した化学的安定性;
−高い蛍光量子収率及び高いモル吸光係数;
−調節可能な励起波長及び発光波長;並びに
−生体分子に容易にグラフトすることを可能にする官能基。
この課題は生体分子にグラフトすることを可能にするカルボニル基を有する、フッ素化されていないジピロメテン−ホウ素誘導体である、一般式(I)の新規の蛍光性化合物を開発することによって達成された。一般式(I)の化合物は、フルオレセイン、ローダミン類及びジフルオロボラジアザ−インダセン類のような標準的な蛍光体に比べて化学的により安定である;加えて、これらの化合物は、ペプチド又はオリゴヌクレオチドの固相合成で用いられる様々な試薬に対して強く、それゆえに、アミノ酸又はヌクレオチドの標識に特に好適である。
本発明の文脈では、生体分子はアミノ酸、ポリペプチド、タンパク質、ビオチン若しくは誘導体、又はその構造類縁体、ヌクレオチド又は核酸(RNA、DNA)を意味すると理解されたい。
蛍光体(蛍光性化合物又はマーカーとも呼ばれる)は、単一の波長(励起波長又は吸収波長として知られる)で光エネルギーを吸収することができ、発光により、吸収波長より大きいかそれに等しい波長(発光波長として知られる)で吸収したエネルギーを全て又は部分的に放出することができる官能基を含有する化合物である;蛍光体は、生体分子のような分子に共有結合で連結することができる。
一般的に、分子は、放射性の原子若しくは原子団のような検出可能な原子若しくは原子団、発色団又は蛍光体を少なくとも1つ含有するならば、標識されたと言われる。
本発明の文脈では、別段に定義しない限りは、分子は、蛍光体に共有結合で連結した場合、標識されたと言われる。
標識は、蛍光体を生体分子に共有結合で連結すること(該生体分子は、好ましくはアミノ酸又はヌクレオチドである)、次に蛍光体がアミノ酸の側鎖又はヌクレオチドに連結されることからなる方法を意味すると理解されたい。
カルボニル基とは以下の構造:
(例えばカルボン酸、エステル、アミド又はチオエステルに存在する)の官能基である。本発明の文脈では、一般式(I)の化合物のカルボニル基は、−(Ar)−CO−Z基によって定義される。ここで、Ar、m及びZは以下に定義される。
それゆえ、本発明はより具体的には、一般式(I):
(式中、
−Rは−Ar−CO−Z、水素原子(−H)、−L−H、−G及び−L−Gからなる群から選択され、
ここで、Ar、Z、L及びGは以下に定義され、
−R、R、R及びRはそれぞれ独立して−(Ar)−CO−Z、水素原子(−H)、−L−H、−G及び−L−Gからなる群から選択され、
ここで、mは0又は1であり、
置換基R、R、R、R及びRのうち1つのみが−Ar−CO−Z又は−(Ar)−CO−Zであることが理解され;
好ましくはRは−Ar−CO−Zであり、
−R及びRは、同じ又は異なっていて、それぞれ独立して水素原子(−H)、−L−H、−G及び−L−Gからなる群から選択され、
ここで、L及びGは以下に定義され、
−S及びSは親水基であり、同じ又は異なっていて、式−C≡C−L’−Aであり;
ここで、L’及びAは以下に定義され、
−ArはC−C14アリーレン又はヘテロアリーレンから選択され、その−CO−Z基はオルト位、メタ位又はパラ位、好ましくはパラ位にあり;Arは好ましくはベンゼン基、ナフタレン基、アントラセン基、ピレン基、ピリジン基、ピリミジン基、チオフェン基又はピロール基から選択され、
−Zは一般式(I)の化合物を生体分子に接合することを可能にする基であり;特に、Zは、−OH基、−O−スクシンイミド基、−O−マレイミド基、−N−グリシン基、−N−リシン基、−Y−L’’−NH基、−Y−L’’−COOH基又は−Y−L’’−SH基から選択され、ここで、YはN原子及びO原子から選択され、L’’は以下に定義され;
−L及びL’’はそれぞれ独立して単結合、任意に分岐したC−C10、好ましくはC−C、炭素鎖、C−C16アリーレン(Lについてはその−H基又は−G基、L’’についてはその−NH基、−COOH基又は−SH基)はオルト位、メタ位又はパラ位、好ましくはパラ位にある)、C−Cアルケニレン、C−Cアルキニレン、1個〜10個の酸素原子を間に挟む直鎖又は分岐C−C20炭素鎖、1個〜4個のアミド基−CO−NH−を間に挟む直鎖又は分岐飽和C−C20炭素鎖、ヌクレオチドセグメント及び/又は糖セグメントから選択され;
−Gはスクシンイミジルエステル、スルホ−スクシンイミジルエステル、イソチオシアネート、イソシアネート、ヨードアセトアミド、マレイミド、ハロゲン化スルホニル、ホスホルアミダイト、C−Cアルキルイミデート、C−C10アリールイミデート、酸ハロゲン化物、好ましくは酸塩化物及び酸臭化物、C−Cアルキルで置換されたヒドラジン類、C−Cアルキルで置換されたヒドロキシルアミン、カルボジイミド並びにパーフルオロ−フェノールからなる群から選択され;
−L’は単結合、C−C10アルケニレン又は1個〜10個の酸素原子を間に挟む直鎖若しくは分岐飽和C−C20炭素鎖から選択され;かつ
−AはC−Cアルキル、好ましくはメチル、ホスフェート基、又はスルホネート基から選択される基を表す)
の化合物に関する。
好ましくは、Aはメチル、プロピルスルホネート、エチルスルホネート、又はメチル−ホスフェートである。
好ましいC−C16アリーレン基は、ベンゼン、ナフタレン、及びアントラセンから選択される。
本発明中では、「C−Cアルキル」という言葉は、1個〜4個の炭素原子を含有する直鎖又は分岐炭化水素基又はシクロアルキルを表すのに用いられる;例えばメチル、プロピル、n−ブチル、イソプロピル等を挙げることができる。
本発明中では、「C−Cアルケニレン」は2つの炭素原子間に二重結合を含有する、2個〜4個の炭素原子の直鎖炭素鎖を意味すると理解されたい。
本発明中では、「C−Cアルキニレン」は、2つの炭素原子の間に三重結合を含有する、2個〜4個の炭素原子の直鎖炭素鎖を意味すると理解されたい。
本発明中では、「C−C10アルケニレン」は、2つの炭素原子間に少なくとも1つの二重結合を含有する2個〜10個の炭素原子の直鎖炭素鎖を意味すると理解されたい。
好ましくは、本発明の文脈では、1個〜10個の酸素原子を間に挟む(interrupted by)直鎖又は分岐の飽和C−C20炭素鎖は、ポリ(エチレンオキシド)又はポリ(プロピレンオキシド)であり、その単位は1回〜6回繰り返す。
ヌクレオチドセグメントは、1つ又は複数のヌクレオチドを含有する直鎖を意味すると理解されたい。
糖セグメントは1つ又は複数の糖単位を含有する直鎖を意味すると理解されたい。
基R〜Rの選択により化合物の性質(例えばその蛍光発光波長、その蛍光量子収率、その溶解度及びその双極子モーメント)を改変することが可能である。
本発明による化合物の特定の族は一般式(I)の対称な化合物を含む、すなわち、R及びRは同一であり、R及びRは同一であり、R及びRは同一であり、並びにS及びSは同一であり、その場合にはRがカルボニル基−Ar−CO−Zを有する。
ここから先では、一般式(I)の化合物は、式P−(Ar)−CO−Zとも表される。ここで、Pは一般式(I)の化合物全体を表す(ただし−Ar−CO−Z基、又は−(Ar)−CO−Z基である置換基R又はR又はR又はR又はRは除く、ここでAr、m及びZは上と同じ定義を有する)。
一般式(I)の化合物は、生体分子へ容易にグラフトすることを可能にするのに加えて、以下の数多くの利点を示す:
−強い蛍光強度で発光し、タンパク質のような生体分子に付着しているときにはこの強度を失わない;
−ポリペプチド又はポリヌクレオチドを調製する際の固相合成の段階に化学的に強い;
−付着する生体分子の性質を乱さない。
本発明による化合物P−(Ar)−CO−Zの合成は合成中間体のジピロメテン−ホウ素誘導体から行われる。この合成中間体は、二フッ化化合物DFMBを、式S−MgX、S−LiX、S−MgX、又はSLiXのグリニャール有機金属試薬(有機マグネシウム又は有機リチウム、ここで、Xはハロゲン原子である)と国際特許出願である特許文献4に記載の条件下で反応することにより得られる;この反応により、S基及びS基を二フッ化化合物DFMBに導入することが可能となる。
この合成中間体は式P−(Ar)−Qを有し、ここでP、m及びArは式(I)に定義されるとおりであり、Qはハロゲン原子、特にI、Br又はCl;−O−トリフレート基(トリフレートは式−O−SO−CFを有し、Tfとも表される)、−O−トシレート基(トシレートは式−O−SO−C−CHを有し、Tsとも表される)又は−O−メシレート基(メシレートは式−O−SO−CHを有し、Msとも表される)から選択される。
この合成中間体P−(Ar)−Qから出発し、基−Qは、一酸化炭素源との反応又は一酸化炭素との反応により、以下の存在下でカルボニル基へと変換される:
−所望のカルボニル基の種類(nature)により選択される求核剤:カルボン酸を得るには水、エステルを得るにはアルコール、アミドを得るにはアミン、チオエステルを得るにはチオール、及び
−パラジウム系(paradium−based)触媒、例えばPd(PPhCl
この合成のスキームは図1に示す。
この反応に用いられる一酸化炭素は、標識されていなくてもよく、1%〜99%で調節可能な標識率の13C原子で標識されていても(NMRモニタリング)、又は14C原子で標識されていてもよい(放射線モニタリング);このような標識により、本発明による蛍光性化合物(I)で標識された生体分子の補助的なモニタリングが可能になる。
既にS基及びS基をホウ素上に含有する合成中間体P−(Ar)−Qにカルボニル基−CO−Zを導入する必要がある;実際には、カルボニル基の存在は、S及びSの付加に必要な有機金属化合物の使用と両立可能ではない。
カルボニル基がRである場合の、一般式(I)の化合物の調製の1つの具体例は実施例1に説明される。
同様に、カルボニル基はR又はR又はR又はRの位置に、もしこれらの位置に、上に定義されるような−Q基を保持するならば、パラジウムで触媒されるカップリングの手段で、一酸化炭素、又は他の一酸化炭素源の存在下で直接導入され得る。
それゆえ、本発明の1つの主題は、水、アルコール、アミン又はチオールから選択される求核剤及びパラジウムを含有する触媒の存在下での一酸化炭素との反応により合成中間体P−(Ar)−Qを一般式(I)の化合物へと変換することを含むことを特徴とする、一般式(I)の化合物を調製する方法に関する;上記合成中間体は、Pが、基R又はR又はR又はR又はRがRの−Ar−CO−Z、若しくはR若しくはR若しくはR若しくはRの−(Ar)−CO−Zに依存することを除いては、同様に調製される一般式(I)の化合物の構造と同一構造の基であり、Arは式(I)に定義された通りであり、mは0又は1であり、もしRがカルボニル基−Ar−CO−Zならばmは1であることが理解され、Qはハロゲン原子、−O−トリフレート、−O−トシレート又は−O−メシレートから選択される。好ましい実施の形態では、Rは−Ar−CO−Zである。
また、本発明の主題は、一般式(I)の化合物の蛍光性マーカーとしての使用でもある。
そのカルボニル基のために、式(I)の化合物は、アミノ酸、タンパク質、ビオチン又はその誘導体若しくはその構造類縁体の一つ又はヌクレオチドのような生体分子に容易にグラフトされる。
また、もう1つのその主題によると、本発明は一般式(II)の標識された生体分子に関する(ここから先では「標識された生体分子」と呼ぶ):
P−(Ar)−CO−(X)−T (II)
(式中、
−P、Ar及びmは、上に定義されるとおりであり、mは0又は1であり、もし、
−(Ar)−CO−(X)−T基がRで置換されていればmは1であることが理解され;
−Xはカルボキシル基、アミン基又はチオール基を有するスペーサーである(例えば、1個〜3個のアミノ酸を含む鎖、又はさらには2個又は3個の酸素原子を間に挟んでもよく、蛍光体及び生体分子にアミド基、エーテル基、エステル基、若しくはチオエステル基、又はジスルフィド架橋で共有結合するC−Cアルキレン);
−nは0又は1に等しい整数であり、
−Tは生体分子である。
本発明の文脈では、スペーサーは蛍光体Pから生体分子Tを離す役割を果たす。好ましくは、スペーサーは化学的に不活性であり、言い換えれば離す基のいずれとも反応しない;特に、蛍光体の蛍光性及び生体分子の生物学的活性に影響しない。
生体分子として、Tは、天然又は合成のアミノ酸、ポリペプチド、タンパク質、ビオチン若しくは誘導体、又はその構造類縁体、ヌクレオチド又は核酸(RNA、DNA)から選択される。Tがアミノ酸の場合、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパルテート又はアスパラギン酸、システイン、グルタメート又はグルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン及びバリンから選択される。好ましくは、Tはリシン又はグリシンから選択される。
Tがヌクレオチドの場合、アデノシン、ウリジン、グアノシン、シチジン、若しくはリボチミジンのようなリボヌクレオチド、又はデオキシアデノシン、デオキシウリジン、デオキシグアノシン、デオキシシチジン、若しくはデオキシリボチミジンのようなデオキシリボヌクレオチドから選択される。
標識された生体分子は以下の方法により調製される。
Tがアミノ酸又はタンパク質である場合、一般式(II)の標識された生体分子の調製は、カルボン酸を有するZ基で官能基化された一般式(I)の化合物から行われる;上記化合物(I)は(i)ヒドロスクシンイミド又はテトラフルオロフェニルエステルに変換され、次に(ii)アミノ酸又はタンパク質と反応する(Guide to Labeling Proteins with Fluorescent Dyes - Note 7.1 http://www.invitrogen.com/site/us/en/home/References/Molecular-Probes-The-Handbook/)。
ペプチドカップリングは、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド(EDCI、実施例1を参照)によっても行われ得る。
工程(ii)では、BOC(t−ブトキシカルボニル)、Fmoc(9−フルオレニルメチルオキシカルボニル)、Bpoc(2−(4−ビフェニリル)プロピル(2)オキシカルボニル)、Nps(2−ニトロフェニルスルフェニル)又はDts(ジチア−スクシノイル)のような保護基、すなわちアミノ酸のアミン基(ポリペプチドの形成に関わる)に導入される保護基に既に連結したアミノ酸を用いるのが有利であり得る;実際、そのように保護されていることで、標識されたアミノ酸は、続いて、ペプチドの固相合成の標準技法に用いることができる(Merrifield, R. B. J. Am. Chem. Soc. 1963, 85, 2149-2154)。この合成から、アミノ酸の少なくとも1つに蛍光体が存在することにより蛍光性ポリペプチドが得られる。
本発明の1つの変形形態によると、Tは、ビオチン、又はその誘導体若しくはその構造類縁体の1つである。その場合、一般式(II)の標識された生体分子の調製は、カルボン酸を有するZ基で官能基化された一般式(I)の化合物から行われる;上記化合物(I)は(i)脂肪族ジアミン(これは1,6−ジアミノへキサン、1,3−ジアミノプロパン又は1,2−ジアミノエタンであり得る)との加水分解反応によりアミドへと変換され、次に(ii)当業者に既知の任意の標準方法で、ビオチン又は遊離カルボン酸基を保持するその誘導体若しくは構造類縁体の1つと反応する。
本発明のもう1つの変形形態では、Tはヌクレオチドである。一般式(II)の標識された生体分子の調製は、次に、カルボン酸を有するZ基で官能基化された一般式(I)の化合物にから行われる;上記化合物(I)は、当業者に既知の任意の標準方法で、遊離アミン基を有する修飾されたヌクレオチドと反応する。
この標識されたヌクレオチドは、次に、有利には標識されたオリゴヌクレオチドの合成に用いられる。
オリゴヌクレオチド合成にはいくつかの手法がある;Merrifieldによってペプチド合成のために提唱された合成法にインスピレーションを得た固相オリゴヌクレオチド合成を特に参照することができ、又は、さらには、ホスホルアミダイト法によるオリゴヌクレオチド合成(Matteucci, M. D.; Caruthers, M. H. Tetrahedron Lett. 1980, 21, 719-722; Matteucci, M. D.; Caruthers, M. H. J. Am. Chem. Soc. 1981, 103, 3185-3191)も参照される。
標識された生体分子とリガンドとの相互作用は、該分子の蛍光発光スペクトルの変化につながる;検出法の発達はこの性質に由来する。
この性質に由来するもう1つの利点は、検出法は、本発明による蛍光体単独で実施することができ、例えば、タンパク質同士の相互作用の測定のためのFRET法(蛍光共鳴エネルギー移動については、Lopper et al., Protein-protein interactions: identification, 2007, Encyclopedia of Life Scienceを参照)又はリアルタイムPCR(Poitras et al., La PCR en temps reel : principeset applications, 2002, Reviews in Biology and Biotechnology, vol. 2, N°2, p.2-11)のような手法の場合のように、いくつかの蛍光体の組み合わせ、又は蛍光体−消光剤(fluorescence suppressor)の対を必要としないことである;しかしながら、これらの手法は、本発明による蛍光体の使用を排除するものではない。
本発明の文脈では、リガンドは、サンプル中のその存在又は非存在が検出される分子である;生体分子は、リガンドと相互作用する性質により選択される。
蛍光体の発光スペクトルは、当業者に既知の任意の標準方法で測定することができる。好ましくは、蛍光発光スペクトルは、蛍光スペクトロメーター又はスペクトル検出器を備えた顕微鏡装置の手法を用いて測定される;スペクトルはX軸に波長、Y軸に光強度を有するグラフで表される。
それゆえ、異なる条件下で(テストサンプルの存在/非存在下で)標識された生体分子の蛍光スペクトルの異方性指数を測定することが可能である。
スペクトルの異方性指数(スペクトル指数又は変形指数(deformation index)とも呼ばれる)は、主蛍光発光ピーク位置との相関でスペクトルの非対称性を表す指数を意味すると理解されたい。
測定されたスペクトルの異方性指数を決定するために、スペクトルは非線形減衰法を用いた逆重畳積分(deconvolution)により成分ガウス曲線に分解することからなる分析に付す。これらのガウス曲線(ピークの位置、振幅、面積及び分散)の特徴を計算する:
−ピークの位置は最大光強度を観測することのできる波長に対応する;
−振幅はピークの光強度である;
−面積は曲線下の光強度の積分である;
−分散は波長で表現される曲線の半値幅(half-height width)である。
同一のスペクトルでは、2つの主要ガウス曲線の振幅の割合又は面積の割合により、蛍光スペクトルの変形指数をスペクトルが記録される条件の関数として定義することが可能である。サンプルの存在/非存在下で測定したスペクトルの、変形指数の値の変化によりリガンドの存在を検出し、その比を算出することが可能である。
1つの変形形態では、スペクトルの異方性は、バンドパス光学フィルター(band pass optical filters)によっても測定可能である。スペクトルの変形指数は、続いて、異なるバンドパスフィルターにより測定した蛍光強度の割合を用いて算出される。
それゆえ、もう1つのその主題によると、本発明はサンプル中で、一般式(II)の標識された生体分子のリガンドを検出する方法であって、
a)テストサンプル単独での蛍光発光スペクトルを測定する工程(得られたスペクトルは「ベースライン」と称する)
b)溶液中での標識された生体分子の蛍光発光スペクトルを測定し、得られたスペクトルからベースラインを差し引き、そして、変形指数を計算する工程、
c)上記標識された生体分子を、試験されるサンプルと溶液中でインキュベートし、そして、混合物を得る工程、
d)工程c)で得られた混合物の蛍光発光スペクトルを測定し、得られたスペクトルからベースラインを差し引き、そして、変形指数を計算する工程、並びに
e)工程b)及び工程d)で計算した変形指数を比較し、そして、該指数が異なる場合には、リガンドと標識された生体分子との間の相互作用を検出する工程、
を含むことを特徴とする、検出する方法に関する。
好ましくは、工程b)で、生体分子は標識された分子の蛍光スペクトルが生体サンプルの存在下で測定されるのと同じ組成の溶液中に存在する。
本発明の1つの変形形態では、検出法によりサンプル中のリガンドを定量することも可能である。これを行うためには、スペクトルの変形指数の値の検量線(a calibration curve)を、リガンドの量の関数として先に作成する。
加えて、リガンドが異なる立体配座をとるならば、(その三次元の配座が、おかれる環境に依存して変化し得る、これはペプチドの場合にも同様であり得る)、リガンドと複合体を形成した標識された生体分子の蛍光スペクトルは、リガンドの配座に依存して異なる;この性質により、リガンドの定性的検出のための方法を行うことが可能になる。
サンプルは生物由来でもよい、すなわち、臓器、組織、細胞、微生物等の全て又は部分を表す。
サンプルはまた、どのような種類のものでもよく、例えば、限定されるものではないが、食品であり得る。食品では、望ましくない又は病原性でさえある微生物のような汚染物質、農薬のような毒素又は汚染因子等が存在しないことを試験することが望ましい。
本発明による検出法の実施は、疾患の診断にも有用であり得る。
それゆえ、アルツハイマー病のような神経変性疾患の診断のための方法が発達してきた。
寿命が一般的に延びたことは、神経変性疾患の、及び、特に、アルツハイマー病の有病率の増大に有利に働いた。このような状態は現代社会に大きな社会問題及び経済問題を打ち立てた。医療イメージング及び神経心理学試験と組み合わされた臨床試験では、疾患の終末期における遅い診断が可能になるだけであり、決定的な診断は、死後に行われる脳組織の試験によってのみ得られるが、それは満足のいくものではない。それゆえ、非侵襲的な疾患の診断を可能にするであろう周辺の生物学的マーカーを同定する多様なルートが探索された。
アルツハイマー病では赤血球が変化していることが示されている;この変化は、細胞内カルシウム濃度の脱調節によって引き起こされ得るタンパク質キナーゼCの異常配座と考えられている(Janoshazi et al. Neurobiol. Aging 2006, 27: 245-251)。
加えて、アルツハイマー病の過程で神経組織及び血液中で生産されるヒトβ−アミロイドペプチドは、赤血球の表面と相互作用し、カルシウム恒常性を変化させる可能性があることが示されている(Mattson MP et al. Brain Res 1997, 771: 147-153)。
本発明の文脈で実施された試験では、先に低濃度の標識されていないβ−アミロイドペプチド1−42の存在下に置かれた赤血球のような生細胞は、続いて本発明に記載の蛍光体を有するβ−アミロイドペプチドに結合しことができることが示される;この結合は蛍光体の蛍光スペクトルの特異的な変形を伴い、先に細胞が曝露された標識されていないβ−アミロイドペプチド1−42の濃度を算出することを可能にする。それゆえ、個体の体内を循環するヒトβ−アミロイドペプチド1−42を定量することが可能である。
より詳細には、アルツハイマー病の診断法では、本発明による検出法を実施する;それにより下記のようなサンプル中のβ−アミロイドペプチド1−42の量を算出するのが可能になる:
−赤血球を含む生物学的サンプル、例えば血液;及び
−標識された生体分子はTがβ−アミロイドペプチド1−42に由来するペプチドであるようなものである。
β−アミロイドペプチド1−42は、配列番号1の配列のペプチドである。
β−アミロイドペプチド1−42の誘導体は、その1つ又は複数のアミノ酸が、本発明による一般式(I)の蛍光性化合物で標識された同じアミノ酸で置換された、ペプチドを意味すると理解されたい;この誘導体はまた、鎖の任意の部分に、1つ又は複数の標識されたアミノ酸の挿入を含み得る。
例として、β−アミロイドペプチド1−42誘導体の調製が実施例1に記載されており、結果として以下のペプチドが得られる:
H−Asp−Ala−glu−Phe−Arg−His−Asp−Ser−Gly−Tyr−Glu−Val−His−His−Gln−Lys*−Leu−Val−Phe−Phe−Ala−Glu−Asp−Val−Gly−Ser−Asn−Lys−Gly−Ala−Ile−Ile−Gly−Leu−Met−Val−Gly−Gly−Val−Val−Ile−Ala−OH(配列番号1)、ただし、16位のリシンに蛍光体を含む。
リシンではないアミノ酸は標識され、β−アミロイドペプチド1−42の誘導体を調製するのに用いられ得る;これらは、好ましくは、アミン基又はカルボン酸基をその側鎖に有するアミノ酸である。
サンプル中で測定した蛍光スペクトルの変形指数の値を、次に検量線と比較することにより、テストサンプル中に存在するβ−アミロイドペプチド1−42の割合を算出することが可能である。
この診断法の実施のため、健康な被検体に由来し、増加濃度のβ−アミロイドペプチド1−42の存在下で18時間プレインキュベーションしたヒト赤血球を用いて検量線を作成した。次に、本発明による方法の工程e)は、工程d)で得られたスペクトルの変形指数をその検量線と比較することからなる。
それゆえ、この方法により、このペプチドと、血清アルブミンのような他の可溶性タンパク質との相互作用が引き起こす予想の難しさを克服し、循環するβ−アミロイドペプチド1−42の量を算出することが可能になる。これは、簡便で速く、安価なアルツハイマー病の独自の診断手段を打ち立てる。また、予後診断のための手段、疾患に対する治療の有効性のモニタリングの手段、細胞株又は疾患の動物モデルの補助を伴うと治療薬の発達の手段も意味する。
本発明による方法のもう1つの実施の形態によって、請求項9〜12のいずれか一項に記載の標識された生体分子のリガンドと相互作用することが可能な化合物の同定が可能となる。このような実施の形態は、
a)蛍光発光スペクトルを測定し、そして、溶液中での標識された生体分子の変形指数を計算する工程、
b)上記標識された生体分子を溶液中でリガンドとインキュベートし、そして、混合物1を得る工程、
c)蛍光発光スペクトルを測定し、そして、混合物1の変形指数を計算する工程、
d)上記リガンドを上記試験される化合物とインキュベートし、続いて上記標識された生体分子を溶液中に添加し、そして、混合物2を得る工程、
e)蛍光発光スペクトルを測定し、そして、混合物2の変形指数を計算する工程、
f)工程a)、工程c)及び工程e)で計算された変形指数の比較により、リガンドと試験化合物との間の相互作用を検出する工程、
を含む。
そのように実施することで、この検出法により可能性のある治療薬を同定することが可能になり、又はさらには、そのような治療薬の有効性をin vitro及びex vivoで測定することが可能になる。
本発明はまた、本発明による検出法を実施するための診断キット又は試薬セットにも関する。これらのキットは、適切な内容物及び試薬、並びに取扱い説明書と共に、少なくとも1つの標識された本発明による一般式(II)の生体分子を含むことを特徴とする。
ここで、本発明を、図面及び以下の実施例を参照してより詳しく説明する。しかしながら、これらの実施例は単に本発明の主題を説明する目的で与えるものであり、限定するものではないことを明確に理解されたい。
本発明による一般式(I)の化合物を合成するためのスキームを示す図である。 実施例1に記載の化合物1a−d〜6aを導く合成スキームを示す図である(TEA=トリエチルアミン)。 実施例1に記載の化合物6a13−b及び7a、7a13及びbを導く合成スキーム(EDCI=N−(3−ジメチル−アミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド及びNHS=N−ヒドロキシスクシンイミド)を示す図である。 実施例3の条件下での蛍光発光スペクトルの測定を説明する図である。グラフAは、化合物7aに連結したβ−アミロイドペプチドの蛍光スペクトルを示し、グラフBは、標識されていないβ−アミロイドペプチド1−42を有する細胞のプレインキュベーション前(実線)及びプレインキュベーション後(点線)にPC12細胞の存在下で記録した、化合物7aに連結したβ−アミロイドペプチドの蛍光スペクトルの逆重畳積分を示す。 実施例4に説明されるような異なる濃度の標識されていないβ−アミロイドペプチド(Ab)のプレインキュベーション後の、β−アミロイドペプチド1−42に連結した化合物7aのスペクトル指数の値を表すグラフである。 実施例5に説明されるような標識されていないβ−アミロイドペプチド1−42とプレインキュベートされたラット赤血球の存在下の化合物7aに連結したβ−アミロイドペプチド1−42のスペクトル指数の変化を示すヒストグラムである。
実施例1−Rが−Ar−CO−Zである本発明による一般式(I)の化合物の調製
この実施例の化合物1a−d〜7a−bは、現在最も使用されている蛍光体とのスペクトルの対応で選択された。(記号a:フルオレセイン、記号b:ローダミン6G;記号c:TMR(テトラメチルローダミン)及び記号d:TOTO−3)
化合物1a−d〜6aを導く合成スキームが図2に示される。
化合物1a−dは、国際特許出願である特許文献4に示される操作手順に従い、THF中60°Cでのメトキシエトキシエチニル有機金属(グリニャール試薬)の対応する二フッ化物(米国特許第4,744,339号に記載されるように調製可能)との反応によって得られる。
化合物1a−dが有するヨウ素を、次に、一酸化炭素雰囲気下、Pd(PPhCl触媒の存在下で、トリエチルアミン及びベンゼンの混合溶媒中、70℃でカルボニル基へと変換する。用いる求核剤の選択により、次に生体分子へのカップリングに用いることができる数多くの官能基を直接得ることが可能になる:
−エタノールを用いると、エチルエステル2a−dが非常に良い収率で得られる;
−過剰量の脂肪族ジアミンを用いることにより、タイプ4の化合物を得ることができる;
−遊離アミンを有し、カルボン酸基が保護されたアミノ酸(例えば、グリシンのエチルエステル)が直接用いられた場合、アミノ酸は直接導入され、タイプ5の化合物を与えることができる。
化合物3a−dから出発し、図3に示された合成スキームによる化合物7a、a13、bが得られる。指数「13」を有する化合物は、13Cで標識されている。
化合物2a−dのエステル基は、エタノール中、苛性ソーダの存在下で鹸化され、対応するカルボン酸3a−dを得ることができる(図2を参照されたい)。これらのカルボン酸は、生体分子の標識に直接用いるか、又は、アミノ酸タイプのスペーサーに連結することができる(図3の合成スキームに示したように、下の化合物6a−bに用いられるペプチドカップリング手法でグラフト化)。
それらをペプチド合成装置で使用可能にするため、化合物3a−bを、標準ペプチド合成(EDC、DMAP)でグリシンエステルと結合する。この工程により、必要であれば、NMR追跡が可能になるように例えば13C原子で標識されたフラグメント(化合物5a13)を導入することが可能になる。
得られた化合物5a−bは、次に、カルボン酸6a−bに鹸化される。
酸6a−bは、ヒドロキシスクシンイミドエステルに変換され、これは直接リシン−Fmocと反応する。
化合物7a−bは、標識されたアミノ酸Lysをペプチド合成装置に導入するのに直接用いることができる。
化合物2aの調製
化合物2aを以下の反応スキームに従って調製する:
化合物1a(235mg、0.37mmol)のベンゼン溶液(15mL)に、1mLのエタノール(17.2mmol)、44mgのパラジウムビス−トリフェニルホスフィンジクロリド(0.07mmol)及び5mLのトリエチルアミンを加えた。70℃で一晩、一酸化炭素を「吹き込む」ことで溶液を攪拌した。反応混合物をジクロロメタンで抽出し、水(3×20mL)で洗った。有機相を親水性の綿で乾燥し、蒸留した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(CHCl/MeOH 99:1又はAcOEt/石油エーテル 40:60)、化合物2a(210mg、97%)をオレンジ色の粉末の形態で得た。
化合物2aの特性分析
H NMR(CDCl,400MHz):δ=1.33(s,6H),1.42(t,3H,J=7.0Hz),2.71(s,6H),3.35(s,6H),3.53(m,4H),3.64(m,4H),4.19(s,4H),4.40(q,2H,J=7.0Hz),6.00(s,2H),7.78(AB sys,4H,JAB=8.5Hz,νδ=300.4Hz);
13C{H}NMR(CDCl,100MHz,):δ=14.4,14.8,16.1,59.0,59.7,61.4,68.4,68.6,71.8,90.9,121.8,128.6,129.1,130.3,131.0,140.3,140.3,140.9,155.6,166.1;
11B NMR(CDCl,128.4MHz):δ=−10.2(s);
UV−Vis(CHCl)λ nm(ε,M−1cm−1)=500(90 000),366(4900),308(7700);
FAB m/z:585.2([M+H],100);
Elemental analysis calculated for C3441BN:C,69.86;H,7.07;N,4.79。実測値:C,69.77;H,7.04;N,4.59。
化合物2bの調製
化合物2bを以下の反応スキームに従って調製する:
化合物1b(980mg、1.41mmol)のベンゼン溶液(50mL)に、3mLのエタノール(17.2mmol)、240mgのパラジウムビス−トリフェニルホスフィンジクロリド(0.07mmol)及び15mLのトリエチルアミンを加えた。70°Cで一晩、一酸化炭素を「吹き込む」ことで溶液を攪拌した。反応混合物をジクロロメタンで抽出し、水(3×20mL)で洗った。有機相を親水性の綿で乾燥し、蒸留した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(AcOEt/石油エーテル 20:80;40:60)、化合物2b(895mg、定量的)をオレンジ色の粉末の形態で得た。
化合物2bの特性分析
H NMR(CDCl 300MHz):0.97(t,6H,J=7.40Hz),1.23(s,6H),1.43(t,3H,J=7.10Hz),2.31(q,4H,J=7.40Hz),2.69(s,6H),3.35(s,6H),3.53(m,4H),3.65(m,4H),4.19(s,4H),4.43(q,2H,J=7.10Hz),7.78(ABsys,4H,JAB=8.19Hz,νδ=223.07Hz);
13C NMR(CDCl,300MHz,):δ=12.03,14.07,14.41,14.76,17.40,29.78,59.02,59.79,61.37,68.57,71.85,90.67,128.60,128.95,130.19,130.81,133.11,136.02,138.77,141.27,154.05,166.28。
11B NMR(CDCl,128.4MHz):δ=−10.2(s);
UV−Vis(CHCl)λnm(ε,M−1cm−1)=522(80 000),488(20 000),381(6400),277(6400)。
化合物2cの調製
化合物2cを以下の反応スキームに従って調製する:
化合物1c(100mg、0.095mmol)のベンゼン溶液(25mL)に、1mLのエタノール、24mgのパラジウムビス−トリフェニルホスフィンジクロリド及び5mLのトリエチルアミンを加えた。70℃で一晩、一酸化炭素を「吹き込む」ことで溶液を攪拌した。反応混合物をジクロロメタンで抽出し、水(3×10mL)で洗った。有機相を親水性の綿で乾燥し、蒸留した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(AcOEt/石油エーテル 80:20;100%)、化合物2c(88mg、92%)を青色の粉末の形態で得た。
化合物2cの特性分析
H NMR(CDCl 200MHz):1.40(s,6H),1.44(t,3H,J=10.5Hz),3.15(m,4H),3.19(s,6H),3.41(s,6H),3.50(m,4H),3.59(m,4H),3.74(m,4H),3.88(m,4H),4.15(s,4H),4.18(m,4H),4.41(q,2H,J=10.5Hz),6.62(s,2H),7.27(AB sys,8H,JAB=8.73Hz、νδ=120.73Hz),7.60(AB sys,4H,JAB=16.26Hz、νδ=192.63Hz),7.83(AB sys,4H,JAB=8.34Hz、νδ=141.89Hz).
UV−Vis(CHCl)λ nm(ε,M−1cm−1)=647(121 000),373(72 800)。
化合物2dの調製
化合物2dを以下の反応スキームに従って調製する:
化合物1d(100mg、0.118mmol)のベンゼン溶液(25mL)に、2mLのエタノール、24mgのパラジウムビス−トリフェニルホスフィンジクロリド(0.07mmol)及び5mLのトリエチルアミンを加えた。70℃で一晩、一酸化炭素を「吹き込む」ことで溶液を攪拌した。反応混合物をジクロロメタンで抽出し、水(3×10mL)で洗った。有機相を親水性の綿で乾燥し、蒸留した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(AcOEt/石油エーテル 20:80;40:60)、化合物2d(82mg、88%)を紫色の粉末の形態で得た。
化合物2dの特性分析
H NMR(CDCl 300MHz):1.35(s,3H),1.38(s,3H),1.43(t,3H,J=7.15Hz),2.74(s,3H),3.25(s,6H),3.31(m,4H),3.39(s,3H),3.54(m,6H),3.72(m,2H),3.87(m,2H),4.18(m,4H),4.43(q,2H,J=7Hz),6.02(s,1H),6.59(s,1H),7.22(AB sys,4H,JAB=8.67Hz、νδ=180.18Hz);7.58(AB sys,2H,JAB=16.29Hz、νδ=297.72Hz),7.85(AB sys,4H,JAB=7.99Hz、νδ=226.28Hz)。
化合物の調製3a
化合物3aを以下の反応スキームに従って調製する:
化合物2a(210mg、0.36mmol)のエタノール溶液(20mL)に215mgの苛性ソーダ(5.39mmol)を加えた。3時間、周囲温度で溶液を攪拌した。30mL〜40mLの酢酸エチルを加えた。有機相を水(3×20mL)で抽出した。水相を集め、1M HCl溶液でpH1〜pH2まで酸性にした。
水相をジクロロメタンで抽出した。有機相を親水性の綿で乾燥し、次に乾ききるまで蒸留し、化合物3aをオレンジ色の粉末の形態で得た(190mg、95%)。
化合物3aの特性分析
UV−Vis(CHCl)λnm(ε,M−1cm−1)=501(72 800),366(4000),307(6400);
UV−Vis(PBS バッファー)λnm(ε,M−1cm−1)=494(71 500),364(3900),307(4900)。
化合物3bの調製
化合物3bを以下の反応スキームに従って調製する:
化合物2b(840mg、1.31mmol)のエタノール溶液(50mL)に2.10gの苛性ソーダ(0.525mol)を加えた。周囲温度で一晩、溶液を攪拌した。30mL〜40mLの酢酸エチルを加えた。有機相を水(3×20mL)で抽出する。水相を集め、1M HCl溶液でpH1〜pH2まで酸性にした。水相をジクロロメタンで抽出した。有機相を親水性の綿で乾燥し、次に乾ききるまで蒸留し、化合物3bをオレンジ色の粉末の形態で得た(778mg、97%)。
UV−Vis(PBS バッファー)λnm(ε,M−1cm−1)=517(65 000),378(3600),320(5000)。
化合物3cの調製
化合物3cを以下の反応スキームに従って調製する:
化合物2c(80mg、0.080mmol)のエタノール溶液(20mL)に130mgの苛性ソーダ(3.22mmol)を加えた。周囲温度で一晩、溶液を攪拌した。10mL〜20mLの酢酸エチルを加えた。有機相を水(3×10mL)で抽出する。水相を集め、1M HCl溶液でpH1〜pH2まで酸性にした。水相をジクロロメタンで抽出した。有機相を親水性の綿で乾燥し、次に乾ききるまで蒸留し、化合物3cを青色の粉末の形態で得た(70mg、90%)。
化合物3cの特性分析
H NMR(CDCl 300MHz):1.41(s,6H),3.15(m,4H),3.20(s,6H),3.41(s,6H),3.52(m,4H),3.60(m,4H),3.74(m,4H),3.90(m,4H),4.17(s,4H),4.22(m,4H),6.63(s,2H),7.28(AB sys,8H,JAB=8.6Hz,νδ=120.59Hz),7.61(AB sys,4H,JAB=16.12Hz,νδ=191.44Hz),7.88(AB sys,4H,JAB=8.19Hz,νδ=144.73Hz)。
UV−Vis(CHCl)λ nm(ε,M−1cm−1)=647(118 000),373(67 800)。
化合物3dの調製
化合物3dを以下の反応スキームに従って調製する:
化合物2d(80mg、0.10mmol)のエタノール溶液(20mL)に162mgの苛性ソーダ(4.05mmol)を加えた。周囲温度で一晩、溶液を攪拌した。10mL〜20mLの酢酸エチルを加えた。有機相を水(3×10mL)で抽出する。水相を集め、1M HCl溶液でpH1〜pH2まで酸性にした。水相をジクロロメタンで抽出した。有機相を親水性の綿で乾燥し、次に乾ききるまで蒸留し、化合物3dをオレンジ色の粉末の形態で得た(70mg、90%)。
化合物3dの特性分析
H NMR(CDCl 300MHz):1.36(s,3H),1.39(s,3H),2.74(s,3H),3.26(s,6H),3.32(m,4H),3.40(s,3H),3.56(m,6H),3.73(m,2H),3.88(m,2H),4.18(m,6H),6.03(s,1H),6.59(s,1H),7.22(AB sys,4H,JAB=8.67Hz,νδ=180.18Hz);7.58(AB sys,2H,JAB=16.29Hz,νδ=297.72Hz),7.85(AB sys,4H,JAB=7.99Hz,νδ=226.28Hz)。
13C NMR(CDCl,300MHz,):δ=14.86,15.08,16.37,29.79,58.91,59.18,59.58,67.63,68.41,69.79,70.88,71.69,72.05,91.43,128.76,129.06,129.69,130.15,130.44,130.86,134.10,138.65,140.39,140.59,141.25,152.61,155.54,159.61,170.40。
UV−Vis(PBS バッファー)λ nm(ε,M−1cm−1)=564(70 000),338(25 000)。
化合物4aの調製
化合物4aを以下の反応スキームに従って調製する:
化合物1a(200mg、0.31mmol)のベンゼン溶液(15mL)に1mLのエチレンジアミン(15mmol)、66mgのパラジウムビス−トリフェニルホスフィンジクロリド(0.09mmol)及び1mLのトリエチルアミンを加えた。70℃で一晩、一酸化炭素を「吹き込む」ことで溶液を攪拌した。反応混合物をジクロロメタンで抽出し、水(3×20mL)で洗った。有機相を親水性の綿で乾燥し、蒸留した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(CHCl 100%→CHCl 75:25のグラディエント)、化合物4aをオレンジ色の粉末の形態で得た(160mg、80%)。
化合物4aの特性分析
H NMR(CDCl,300MHz):δ=1.34(s,6H),2.72(s,6H),3.01(t,2H,J=5.7Hz),3.36(s,6H),3.55(m,6H),3.64(m,4H),4.20(s,4H),6.01(s,2H),6.98(t,1H,J=5.5Hz),7.69(AB sys,4H,JAB=8.3Hz,νδ=162.7Hz);
13C{H} NMR(CDCl,75.4MHz,):δ=15.0,16.2,41.3,42.2,59.1,59.8,68.7,71.9,90.6,121.9,127.9,128.8,129.4,134.9,139.1,140.4,141.0,155.7,167.0;
11B NMR(CDCl,128.4MHz):δ=−10.3(s);
UV−Vis(CHCl)λ nm(ε,M−1cm−1)=500(64 500),371(5600)
FAB m/z:599.2([M+H],100);
Elemental analysis calculated for C3443BN:C,68.23;H,7.24;N,9.36。実測値:C,67.84;H,7.07;N,9.22。
化合物5aの調製
化合物5aを以下の反応スキームに従って調製する:
化合物1a(100mg、0.16mmol)の無水トルエン溶液(6mL)に80mgのグリシンエチルエステル(0.47mmol)、22mgのパラジウムビス−トリフェニルホスフィンジクロリド(0.03mmol)及び2mLのトリエチルアミンを加えた。80℃で、一酸化炭素を「吹き込む」ことで6時間溶液を攪拌した。反応混合物をセライト濾過し、部分的に蒸留した。残渣をジクロロメタンで抽出し、水(2×20mL)で洗った。有機相を親水性の綿で乾燥し、蒸留した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(AcOEt/石油エーテル 50:50)、化合物5aをオレンジ色の粉末の形態で得た(43mg、43%)。
化合物5aの特性分析
H NMR(CDCl,300MHz):δ=1.33(t,3H,J=7.2Hz),1.34(s,6H),2.72(s,6H),3.36(s,6H),3.55(m,4H),3.66(m,4H),4.20(s,4H),4.27(d,2H,J=4.5Hz),4.29(q,2H,J=7.1Hz),6.01(s,2H),6.77(t,1H,J=4.9Hz),7.69(AB sys,4H,JAB=8.3Hz,νδ=156.4Hz);
13C{H} NMR(CDCl,75.4MHz,):δ=14.3,14.9,16.2,42.1,59.1,59.8,61.9,68.7,71.9,91.0,121.9,127.9,129.0,129.3,134.2,139.5,140.2,141.0,155.8,166.7,170.2;
11B NMR(CDCl,128.4MHz):δ=−10.3(s);
UV−Vis(CHCl)λ nm(ε,M−1cm−1)=501(84 200),366(4200),309(6500)。
化合物6aの調製
化合物6aを以下の反応スキームに従って調製する:
化合物5a(40mg、0.06mmol)のエタノール溶液(10mL)に、苛性ソーダ(60mg、1.2mmol)の水溶液を加えた。2時間周囲温度で溶液を攪拌した。10mL〜20mLの酢酸エチルを加えた。有機相を水(2×20mL)で抽出する。水相を集め、1M HCl溶液でpH1〜pH2まで酸性にした。生成物をジクロロメタンで抽出した。有機相をNaSOで乾燥し、次に乾ききるまで蒸留し、化合物6aをオレンジ色の粉末の形態で得た(35mg、90%)。
化合物6aの特性分析
H NMR(CDCl,400MHz):δ=1.32(s,6H),2.72(s,6H),3.36(s,6H),3.55(m,4H),3.66(m,4H),4.19(s,4H),4.27(d,2H,J=3.4Hz),4.87(b,1H),6.01(s,2H),7.04(t,1H,J=3.8Hz),7.69(AB sys,4H,JAB=6.0Hz,νδ=160.2Hz);
13C{H} NMR(CDCl,100MHz,):δ=14.9,16.2,42.0,59.0,59.7,68.6,71.8,90.9,121.9,128.0,129.0,129.3,133.8,139.6,140.2,140.9,155.8,167.3,172.3;
11B NMR(CDCl,128.4MHz):δ=−10.2(s);
UV−Vis(CHCl)λ nm(ε,M−1cm−1)=501(65 000),366(3800),309(5900);
UV−Vis(PBS バッファー)λ nm(ε,M−1cm−1)=496(59 600),367(4100),308(6100)。
化合物7aの調製
化合物7aを以下の反応スキームに従って調製する:
化合物6a(25mg、0.04mmol)及びN−ヒドロキシスクシンイミド(7mg、0.06mmol)のジクロロメタン溶液(5mL)に0℃で、12mgのN−ジメチル−3−アミノプロピルカルボジイミド(0.06mmol)を加えた。反応媒体を一晩、氷浴を周囲温度まで戻しながら攪拌した。溶液をジクロロメタン中で希釈し、1M塩酸溶液(2×20mL)、5%NaHCO溶液、次に飽和NaCl溶液で洗った。有機相をNaSOで乾燥し、次に乾ききるまで減圧下で蒸留した。残渣をアセトニトリル(5mL)に溶解した。この溶液にアセトニトリル/水混合物(5mL/1mL)中のFmoc−Lys−OH(16mg、0.04mmol)及びKCO(11mg、0.08mmol)の溶液を加えた。溶液を周囲温度で1時間攪拌し、次に酢酸エチルで抽出した。有機相を水(2×20mL)で洗い、MgSOで乾燥し、蒸留した。残渣を溶出シリカゲルクロマトグラフィーで精製した(AcOEt 100%→AcOEt/EtOH 90:10のグラディエント)。水相を集め、1M塩酸溶液でpH1まで酸性にし、ジクロロメタンで抽出した。生じた有機相をMgSOで乾燥し、蒸留した。異なるフラクションをそれぞれ集め、オレンジ色の粉末の形態で化合物7aを得た(25mg、64%)。
化合物7aの特性分析
H NMR(CDCl,300MHz):δ=1.27(s,6H),1.35−1.82(m,6H),2.67(s,6H),3.21−3.31(m,8H),3.49(m,4H),3.61(m,4H),3.99−4.36(m,10H),5.95(s,2H),7.22−7.39(m,6H),7.54−7.58(m,2H),7.70(d,2H,J=7.5Hz),7.93(d,2H,J=7.7Hz);
13C{H} NMR(CDCl,75.4MHz,):δ=14.7,16.0,23.4,28.6,31.5,31.9,39.1,43.3,53.6,58.9,59.6,67.0,68.5,71.7,90.7,118.8,120.0,121.8,123.3,125.1,127.1,127.8,128.0,129.2,129.8,133.9,139.4,140.2,140.9,141.3,143.8,143.9,155.6,156.4,167.5,169.2;
ESI m/z:986.4([M+Na],100)。
化合物5a13の調製
化合物5a13を以下の反応スキームに従って調製する:
化合物3a(570mg、1.025mmol)のジクロロメタン溶液(30mL)に、0°Cで、294mgのN−ジメチル−3−アミノプロピルカルボジイミド(1.537mmol)及び187mgのジメチルアミノピリジン(1.537mmol)を加えた。反応媒体を1時間周囲温度で攪拌した。次に、この溶液に、142mgの、炭素13で標識されたグリシンエステル(1.127mmol)を加えた。反応媒体を1時間周囲温度で攪拌した。溶液をジクロロメタン中で希釈し、水(2×20mL)、5%NaHCO溶液、次に飽和NaCl溶液で洗った。有機相をNaSOで乾燥し次に乾ききるまで減圧下で蒸留した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル/石油エーテルのグラディエント20/80、30/70、40/60で溶出する)で精製し、化合物5a13をオレンジ色の粉末の形態で得た(527mg、82%)。
化合物の特性分析5a13
H NMR(CDCl 300MHz):1.32(s,6H),2.71(s,6H),3.34(s,6H),3.52(m,4H),3.64(m,4H),4.02(d,1H,J=141.3Hz,J=4.4Hz),4.18(s,4H),4.50(d,1H,J=141.3Hz,J=4.4Hz),6.00(s,2H),6.85(s,1H),7.68(AB sys,4H,JAB=8Hz,νδ=159.56Hz)。
13C NMR(CDCl,300MHz,):δ=14.72,16,41.72,52.48,58.86,59.54,68.44,71.66,76.57,77,77.42,121.66,127.78,128.71,129.06,133.88,139.24,140,140.72,155.51,166.58,169.976,170.79。
化合物6a13の調製
化合物6a13を以下の反応スキームに従って調製する:
化合物5a13(500mg、0.795mmol)のエタノール溶液(30mL)に苛性ソーダ(1.27g、32mmol)の水溶液を加えた。2時間周囲温度で溶液を攪拌した。20mL〜30mLの酢酸エチルを加えた。有機相を水(3×20mL)で抽出する。水相を集め、1M HCl溶液でpH1〜pH2まで酸性にした。水相をジクロロメタンで抽出した。有機相を親水性の綿で乾燥し、次に乾ききるまで蒸留し、化合物6a13をオレンジ色の粉末の形態で得た(464mg、95%)。
化合物6a13の特性分析
H NMR(CDCl 300MHz):δ=1.29(s,6H),2.70(s,6H),3.34(s,6H),3.52(m,4H),3.65(m,4H),3.93(s,1H,J=140.6Hz),4.17(s,4H),4.39(s,1H,J=140.6Hz),7.67(AB sys,H,JAB=7.72Hz,νδ=177.95Hz)。
13C NMR(CDCl,300MHz,):δ=14.72,15.43,16.03,42.20,43.02,54.94,58.36,58.85,59.55,68.46,71.63,76.57,90.76,121.74,127.94,128.74,129.05,133.70,139.35,139.94,140.68,140.78,155.26,155.48,155.57,167.35。
化合物7a13の調製
化合物7a13を以下の反応スキームに従って調製する:
化合物6a13(430mg、0.7mmol)及びN−ヒドロキシスクシンイミド(120mg、1.05mmol)のジクロロメタン溶液(50mL)に0°Cで、207mgのN−ジメチル−3−アミノプロピルカルボジイミド(1.05mmol)を加えた。反応媒体を一晩、氷浴を周囲温度まで戻しながら攪拌した。溶液をジクロロメタン中で希釈し、1M塩酸溶液(3×20mL)、5%NaHCO溶液、次に飽和NaCl溶液で洗った。有機相をNaSOで乾燥し、次に乾ききるまで減圧下で蒸留した。残渣をアセトニトリル(50mL)に溶解した。この溶液にアセトニトリル/水混合物(15mL/5mL)中のFmoc−Lys−OH(566mg、1.40mmol)及びKCO(193mg、1.40mmol)の溶液を加えた。溶液を周囲温度で2時間攪拌し、次に酢酸エチルで抽出した。有機相を水(3×20mL)で洗い、MgSOで乾燥し、蒸留した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製した(AcOEt 100%→AcOEt/EtOH 90:10のグラディエントで溶出)。異なるフラクションをそれぞれ集め、オレンジ色の粉末の形態で化合物7a13を得た(539mg、80%)。
化合物7a13の特性分析
H NMR(MeOD 400MHz 60°C):δ=1.18(m,1H),1.22(s,6H),1.40(m,2H),1.53(m,2H),2.71(s,6H),3.23(t,2H,J=6.72Hz)3.34(s,6H),3.51(m,4H),3.63(m,4H),4.14(s,4H),4.18(t,1H,J=5.10Hz),4.21(d,2H,JHC13=140Hz),6.04(s,2H),7.25(m,2H),7.33(m,4H),7.61(m,2H),7.71(d,2H),8.01(d,2H)。
化合物5bの調製
化合物5bを以下の反応スキームに従って調製する:
化合物3b(600mg、0.979mmol)のジクロロメタン溶液(50mL)に、0°Cで、280mgのN−ジメチル−3−アミノプロピルカルボジイミド(1.47mmol)及び180mgのジメチルアミノピリジン(1.47mmol)を加えた。反応媒体を1時間周囲温度で攪拌した。次に、この溶液に、205mgのグリシンエステル(1.47mmol)を加えた。反応媒体を1時間周囲温度で攪拌した。溶液をジクロロメタン中で希釈し、水(2×20mL)、5%NaHCO溶液、次に飽和NaCl溶液で洗った。有機相をNaSOで乾燥し、次に乾ききるまで減圧下で蒸留した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル/石油エーテルのグラディエント20/80、30/70、40/60で溶出する)で精製し、化合物5bをオレンジ色の粉末の形態で得た(560mg、82%)。
化合物5bの特性分析
H NMR(CDCl 300MHz):0.97(t,6H,J=7.35Hz),1.22(s,6H),1.31(t,2H,J=7.10Hz),2.28(q,4H,J=7.5Hz),2.68(s,6H),3.34(s,6H),3.53(m,4H),3.64(m,4H),4.18(s,4H),4.25(m,4H),6.84(t,1H,J=4.7Hz),7.78(AB sys,4H,JAB=8.5Hz,νδ=300.4Hz);
13C NMR(CDCl,300MHz,):δ=12.08,14.05,14.25,14.75,15.34,17.38,29.72,42.05,59,59.76,61.85,68.55,71.83,90.62,127.81,128.66,129.16,133.11,133.91,136.02,138.60,140.27,154.04,166.80,170.14。
化合物6bの調製
化合物6bを以下の反応スキームに従って調製する:
化合物5b(510mg、0.732mmol)のエタノール溶液(50mL)に、苛性ソーダ(1.20g、30mmol)の水溶液を加えた。2時間周囲温度で溶液を攪拌した。20mL〜30mLの酢酸エチルを加えた。有機相を水(3×20mL)で抽出する。水相を集め、1M HCl溶液でpH1〜pH2まで酸性にした。水相をジクロロメタンで抽出した。有機相を親水性の綿で乾燥し、次に乾ききるまで蒸留し、化合物6bをオレンジ色の粉末の形態で得た(490mg、定量的)。
化合物6bの特性分析
H NMR(CDCl 300MHz):δ=0.96(t,6H,J=7.3Hz),1.22(s,6H),2.30(q,4H,J=7.3Hz),2.68(s,6H),3.34(s,6H),4.19(s,4H),3.54(m,4H),3.66(m,4H),4.18(s,4H),4.26(d,2H,J=4.8Hz),7.13(t,1H,J=4.8Hz),7.40(AB sys,H,JAB=6.0Hz,νδ=160.2Hz);
13C NMR(CDCl,300MHz,):δ=12.08,14.03,14.73,17.35,41.93,58.91,59.71,68.48,71.74,90.51,127.90,128.60,129.18,133.14,133.57,136.01,138.54,140.39,154.04,167.35,172.29。
化合物7bの調製
化合物7bを以下の反応スキームに従って調製する:
化合物6b(430mg、0.643mmol)及びN−ヒドロキシスクシンイミド(112mg、0.968mmol)のジクロロメタン溶液(50mL)に0℃で、190mgのN−ジメチル−3−アミノプロピルカルボジイミド(0.968mmol)を加えた。反応媒体を一晩、氷浴を周囲温度まで戻しながら攪拌した。溶液をジクロロメタン中で希釈し、1M塩酸溶液(3×20mL)、5%NaHCO溶液、次に飽和NaCl溶液で洗った。有機相をNaSOで乾燥し、次に乾ききるまで減圧下で蒸留した。残渣をアセトニトリル(50mL)に溶解した。この溶液にアセトニトリル/水混合物(15mL/5mL)中Fmoc−Lys−OH(522mg、1.29mmol)及びKCO(180mg、1.29mmol)の溶液を加えた。溶液を周囲温度で2時間攪拌し、次に酢酸エチルで抽出した。有機相を水(3×20mL)で洗い、MgSOで乾燥し、蒸留した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製した(AcOEt 100%→AcOEt/EtOH 90:10のグラディエントで溶出)。異なるフラクションをそれぞれ集め、オレンジ色の粉末の形態で化合物7bを得た(491mg、75%)。
化合物7bの特性分析
H NMR(MeOD 400MHz 60°C):δ=0.98(t,6H,J=7.50Hz),1.26(s,6H),1.41(m,2H),1.55(m,2H),2.33(q,4H,J=7.50Hz),2.71(s,6H),3.24(t,2H,J=5.10Hz),3.34(s,6H),3.51(m,4H),3.63(m,4H),4.06(s,3H),4.14(s,4H),4.19(t,1H,J=5.10Hz),4.37(m,2H),7.30(m,6H),7.62(m,2H),7.87(AB sys,H,JAB=7.66Hz,νδ=112.84Hz)。
実施例2−本発明による一般式(I)の化合物で標識されたリシンを含有するペプチドの合成
実施例1に従って調製した化合物7a(リシンは標識されている)は自動ペプチド合成装置中で用いられ、以下のヒトβ−アミロイドペプチド1−42に対応するアミノ酸配列の16位でリシンと置換される:
H−Asp−Ala−Glu−Phe−Arg−His−Asp−Ser−Gly−Tyr−Glu−Val−His−His−Gln−Lys*−Leu−Val−Phe−Phe−Ala−Glu−Asp−Val−Gly−Ser−Asn−Lys−Gly−Ala−Ile−Ile−Gly−Leu−Met−Val−Gly−Gly−Val−Val−Ile−Ala−OH(配列番号1)
このペプチドは実施例3、4及び5で用いられ、ここから先では標識されたアミロイドペプチドと呼ばれる。
実施例3及び4に共通のプロトコル
PC12細胞(オスラット副腎髄質血管腫瘍に由来する)を先にコラーゲン及びポリオルチニンで処理したガラス底のペトリ皿に接種する。5%のCOを含有する雰囲気下、37℃で、グルタミンを含有し、10%のウマ血漿、5%のウシ胎児血清、50U/mLのペニシリン及び50μg/mLのストレプトマイシンを補ったRPMI 1640培地中、7日間培養する。細胞の分化を誘導するため、培地に、接種の24時間後に50ng/mLのマウス神経栄養性成長因子(NGF)2.5Sを追加する。
測定の前日、標識されていない配列番号1のβ−アミロイドペプチド1−42又は対応する標識されていない配列番号2の逆ペプチド(42−1)を10nmol.L−1及び1000nmol.L−1の間の異なる濃度で加える。
次の日、この調製物を、周囲温度で、クレブス培地で3回洗い、蛍光スペクトロメーターを備えた倒立顕微鏡に設置する。ベースラインの蛍光スペクトル(励起480nm;発光495nm〜600nm)を、標識されたアミロイドペプチド(250nmol.L−1)の追加前に記録する。2回目の蛍光スペクトルは10分間のインキュベーション後に記録する。
実施例3 − β−アミロイドペプチド1−42と結合した化合物7aの標識されていないβ−アミロイドペプチドとのプレインキュベーション後のスペクトル指数の値の測定
ベースラインスペクトルを標識されたアミロイドペプチドの蛍光スペクトルから差し引く。得られたスペクトルを、図4に説明されるように逆重畳積分及び非線形回帰によって4成分ガウス曲線に分解する。この蛍光スペクトル(黒線)は、スペクトル逆重畳積分ソフトウェアの手法により(Peakfit、Seasolve Software Inc.、 www.seasolve.com)成分ガウス曲線(異なる明度のグレーの線)に分解することができる(グラフA)。それぞれ525nm及び540nmを中心とするガウス曲線の振幅の比(グラフ又は他から逆重畳積分ソフトウェアで測定する)は、スペクトルの分布を説明するスペクトル指数を定義する。
グラフBは、標識されていないβ−アミロイドペプチド1−42の存在下の細胞のプレインキュベーション前の(実線)及びプレインキュベーション後の(点線)、PC12細胞の存在下で記録した、標識されたアミロイドペプチドの蛍光スペクトルの逆重畳積分を示す。525nmを中心にするガウス曲線の振幅の有意な増加(結果としてスペクトル指数の増加につながる)が、標識されていないβ−アミロイドペプチド1−42の存在下、先に細胞が設置されたときに観測される。
それゆえ、標識されていないβ−アミロイドペプチド1−42と共に細胞をプレインキュベーションすることはスペクトルの変化につながるのが観測され、β−アミロイドペプチド1−42の存在をサンプル中で検出することができる。
実施例4 − β−アミロイドペプチド1−42と結合した化合物7aの、異なる濃度の標識されていないβ−アミロイドペプチドとのプレインキュベーション後のスペクトル指数の値の測定
同じ実験原則に従い、β−アミロイドペプチド1−42と結合した化合物7aの異なる濃度の標識されていない配列番号1のβ−アミロイドペプチドとのプレインキュベーション後のスペクトル指数値を測定する。
PC12細胞を、標識されていないβ−アミロイドペプチド1−42又は42−1の存在下で、12時間プレインキュベートし、続いて、洗浄を行ったのち、蛍光スペクトロメーターを備えた顕微鏡下に設置する。一回目のスペクトル(ベースライン)を記録する。
次に、標識されたβ−アミロイドペプチドを加える。蛍光性化合物の添加の10分後、スペクトルを記録する。
スペクトル指数は、逆重畳積分により計算される1つ目のガウスの振幅と2つ目のガウスの振幅との比である(図4を参照されたい)。
結果は図5に示す:
−標識されていないβ−アミロイドペプチド1−42の非存在下(1つ目のヒストグラム)、
−100nMの標識されていないβ−アミロイドペプチド1−42の存在下(2つ目のヒストグラム)、
−250nMの標識されていないβ−アミロイドペプチド1−42の存在下(三つめのヒストグラム)、
−250nMの標識されていないβ−アミロイドペプチド42−1の存在下(四つ目のヒストグラム)。
プローブの蛍光のスペクトル指数の値は、細胞プレインキュベーション期間に存在する標識されていないβ−アミロイドペプチド1−42の濃度の関数として変化する。スペクトル指数の値の変化の欠如はまた、細胞を不活性β−アミロイドペプチド42−1の存在下でインキュベートする場合にも観測される(ステューデントのt検定:***Ab 0nMではp<0.5%;°°Ab 1−42 250nMではp<1%)。このグラフは、それぞれ三度ずつ(in triplicate)測定された4つの独立した実験を表す。
図5は、比の値の変化はβ−アミロイドペプチド1−42によって特に誘導されたことを示し、この値はプレインキュベートされたペプチドの濃度の増加に伴って増加することを示す;さらに、β−アミロイドペプチド42−1は比の値に有意な影響を与えないように見える。
ゆえに、プローブの蛍光スペクトルを分析することにより、細胞がプレインキュベートされたβ−アミロイドペプチドの濃度を評価することが可能になる。
実施例5 − 標識されていないβ−アミロイドペプチド1−42とプレインキュベートされたラット赤血球の存在下でのβ−アミロイドペプチド1−42と繋がった化合物7aのスペクトル指数の値の変化
ラット血液のサンプル(1ml〜3ml)をヘパリン添加したチューブに回収する。サンプルをクレブス培地で希釈する。次に、バッファー層を捨てながら3回遠心分離する(「バフィーコート」)。得られた赤血球を、次に37℃で2時間、様々な濃度(10nmol.L−1〜1000nmol.L−1)の、標識されていないβ−アミロイドペプチド1−42、又は、対応する標識されていない逆ペプチド(42−1)の存在下でインキュベートする。追加の洗浄ののち、細胞を蛍光スペクトロメーターに設置し、ベースラインの蛍光スペクトル(励起480nm;発光495nm〜600nm)を記録し、標識されたアミロイドペプチド(250nmol.L−1)を添加する。2つ目の蛍光スペクトルは、標識されたアミロイドペプチドの存在下での10分間のインキュベーションののち記録する。
標識されたβ−アミロイドペプチドの蛍光スペクトルからベースラインスペクトルを差し引く。得られたスペクトルを、逆重畳積分及び非線形回帰によって4成分ガウス曲線に分解する。510nm付近を中心とするガウスの振幅と、530nm付近を中心とするガウスの振幅との比を計算する。その値は、図6に説明するように、標識されていないβ−アミロイドペプチド1−42の濃度(その存在下で細胞がインキュベートされる)の関数として変化する。
図6のヒストグラムは、スペクトル指数の値が、細胞のプレインキュベーション時に用いられる、標識されていないβ−アミロイドペプチド濃度の関数として増加することを示す。

Claims (12)

  1. 一般式(I):
    (式中、
    −Rは−Ar−CO−Zであり、
    ここで、Ar及びZは以下に定義され;
    −R、R、R及びRはそれぞれ独立して水素原子(−H)、及び−L−Hからなる群から選択され、
    −R及びRは、同じ又は異なっていて、それぞれ独立して水素原子(−H)及びメチルからなる群から選択され、
    ここで、Lは以下に定義される;
    −S及びSは、同じ又は異なっていて、式−C≡C−L’−Aの親水基であり、
    ここで、L’及びAは以下に定義され;
    −Arはフェニレン(C であり;
    −Zは
    −OH基、
    下記の−O−スクシンイミド基、
    下記の−O−マレイミド基、
    下記の−N−グリシン基、
    下記の−N−リシン基、
    −Y−L’’−NH基、
    −Y−L’’−COOH基又は
    −Y−L’’−SH基から選択され、
    ここで、YはNH及びO原子から選択され、L’’は以下に定義され;
    −L及びL’’はそれぞれ独立して単結合、C飽和炭素鎖、C−C16アリーレン(Lについてはその−H基、L’’についてはその−NH基、−COOH基又は−SH基はオルト位、メタ位又はパラ位にある)から選択され;
    −L’は単結合、C−C10アルケニレン又は1個〜10個の酸素原子を間に挟む直鎖若しくは分岐飽和C−C20炭素鎖から選択され;かつ
    −Aはメチル、プロピルスルホネート又はエチルスルホネートから選択される基を表す)の化合物を調製する方法であって、
    水、アルコール、アミン又はチオールから選択される求核剤、及びパラジウムを含有する触媒の存在下での炭素源との反応により合成中間体P−Ar−Qを一般式(I)の化合物へと変換することを含み;
    前記合成中間体は、Pが、基Rを除いては、同様に調製される一般式(I)の化合物の
    構造と同一構造の基であり、Arは式(I)に定義されるとおりであり、Qはハロゲン原子、−O−トリフレート、−O−トシレート又は−O−メシレートから選択されることを特徴とする、方法。
  2. 一般式(II)の標識された生体分子:
    (式中、
    1’ −Ar−CO−(X)−Tであり、
    ここで、Arは以下に定義され;
    −R、R、R及びRはそれぞれ独立して水素原子(−H)及び−L−Hからなる群から選択され;
    −R及びRは、同じ又は異なっていて、それぞれ独立して水素原子(−H)及びメチルからなる群から選択され、
    ここで、Lは以下に定義される;
    −S及びSは、同じ又は異なっていて、式−C≡C−L’−Aの親水基であり、
    ここで、L’及びAは以下に定義され;
    −L単結合、C飽和炭素鎖、C−C16アリーレンから選択され;
    −L’は単結合、C−C10アルケニレン又は1個〜10個の酸素原子を間に挟む直鎖若しくは分岐飽和C−C20炭素鎖から選択され;かつ
    −Aはメチル、プロピルスルホネート又はエチルスルホネートから選択される基を表し、−Arはフェニレン(C であり;
    −Xは1個〜3個のアミノ酸を含む鎖、又は、さらには2個又は3個の酸素原子を間に挟んでもよく、Ar−CO−及び−Tにアミド基、エーテル基、エステル基、若しくはチオエステル基、又はジスルフィド架橋で共有結合するC−Cアルキレンであり、
    −nは0又は1に等しい整数であり、かつ
    −Tは天然アミノ酸又は合成アミノ酸、ポリペプチド、ビオチン、ヌクレオチド又は核酸から選択される生体分子である)。
  3. Tが配列番号1のβ−アミロイドペプチド1−42に由来するペプチドであることを特徴とする、請求項2に記載の標識された生体分子。
  4. Xが、少なくとも1つのアミノ酸又は2個若しくは3個の酸素原子を間に挟んでもよいC−Cアルキレンを含有する鎖から選択されることを特徴とする、請求項2又は3に記載の標識された生体分子。
  5. Zが末端カルボン酸を含有する請求項2に記載の一般式(II)の化合物をヒドロキシスクシンイミドエステルへと変換する工程、及びTと反応させる工程を含むことを特徴とする、Tがアミノ酸である請求項2に記載の生体分子を調製する方法。
  6. Tがビオチンである請求項2に記載の生体分子を調製する方法であって、カルボン酸を有するZ基で官能基化された請求項1に記載の一般式(II)の化合物から実施され、前記化合物(II)は(i)脂肪族ジアミンの加水分解反応によってアミドへと変換され、次に(ii)ビオチンと反応することを特徴とする、生体分子を調製する方法。
  7. Tがヌクレオチドである請求項2又は請求項3に記載の生体分子を調製する方法であって、カルボン酸を有するZ基で官能基化された請求項1に記載の一般式(I)の化合物から実施され、該化合物(I)を遊離アミン基を有する修飾されたヌクレオチドと反応させることを特徴とする、生体分子を調製する方法。
  8. サンプル中で、請求項2〜4のいずれか一項に記載の標識された生体分子のリガンドを検出する方法であって、
    a)前記試験されるサンプル単独での蛍光発光スペクトルを測定する工程(得られたスペクトルは「ベースライン」と称する)、
    b)溶液中での前記標識された生体分子の蛍光発光スペクトルを測定し、得られたスペクトルからベースラインを差し引き、そして、スペクトル指数を計算する工程であって、スペクトル指数は下記のいずれかである工程:
    [1]非線形減衰法を用いた逆重畳積分(deconvolution)によりスペクトルを分解する
    ことからなる分析により得られる成分ガウス曲線について、2つの主要ガウス曲線の振幅の割合又は面積の割合により定義することが可能な値、又は
    [2]異なるバンドパスフィルターにより測定した蛍光強度の割合を用いて算出される値、
    c)前記標識された生体分子を、前記試験されるサンプルと溶液中でインキュベートし、そして、混合物を得る工程、
    d)工程c)で得られた前記混合物の蛍光発光スペクトルを測定し、得られたスペクトルからベースラインを差し引き、そして、前記スペクトル指数を計算する工程、並びに
    e)工程b)及び工程d)で計算した前記スペクトル指数を比較し、そして、該指数が異なる場合には、前記リガンドと前記標識された生体分子との間の相互作用を検出する工程、
    を含むことを特徴とする、検出する方法。
  9. 前記リガンドがβ−アミロイドペプチド1−42であり、前記サンプルが赤血球を含有し、前記標識された生体分子が請求項3に記載のものである請求項8に記載の方法を実施することを特徴とする、神経変性疾患を検出する方法。
  10. 神経変性疾患がアルツハイマー病である、請求項9に記載の方法。
  11. 請求項8〜9のいずれか一項に記載の標識された生体分子のリガンドと相互作用することが可能な化合物を同定する方法であって、
    a)蛍光発光スペクトルを測定し、そして、溶液中で前記標識された生体分子のスペクトル指数を計算する工程であって、
    スペクトル指数は下記のいずれかである工程:
    [1]非線形減衰法を用いた逆重畳積分(deconvolution)によりスペクトルを分解する
    ことからなる分析により得られる成分ガウス曲線について、2つの主要ガウス曲線の振幅の割合又は面積の割合により定義することが可能な値、又は
    [2]異なるバンドパスフィルターにより測定した蛍光強度の割合を用いて算出される値、
    b)前記標識された生体分子を、溶液中でのリガンドとインキュベートし、混合物1を得る工程、
    c)蛍光発光スペクトルを測定し、そして、前記混合物1のスペクトル指数を計算する工程、
    d)前記リガンドを前記試験される化合物とインキュベートし、続いて前記標識された生体分子を溶液中に添加し、そして、混合物2を得る工程、
    e)蛍光発光スペクトルを測定し、そして、前記混合物2のスペクトル指数を計算する工程、
    f)工程a)、工程c)及び工程e)で計算されたスペクトル指数の比較により、前記リガンドと前記試験される化合物の間の相互作用を検出する工程、
    を含むことを特徴とする、同定する方法。
  12. 請求項2〜4のいずれか一項に記載の標識された生体分子を少なくとも1つ含むことを特徴とする、請求項8又は9に記載の方法を実施する診断キット。
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