JP6685546B2 - ドーパミン検出用蛍光物質 - Google Patents

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本発明は、ドーパミン検出用蛍光物質に関する。
近年の情報機器の急速な発展とともに、撮像技術及び画像処理技術が目覚ましく進歩し、細胞・組織の構造や生体分子の機能などに関わる種々の生命現象を可視化イメージングすることが可能となってきた。より詳細な生体機能のダイナミック挙動可視化解析のために期待されるものは、高感度画像技術などのハードウェアの開発もさることながら、新たなる発想に基づく新規可視化プローブ分子の設計、および測定法の確立が必要となってくる。
このような生体機能のダイナミック挙動可視化解析として期待される分野の一つとして脳解析の分野がある。脳は無数の神経細胞が互いの信号を伝達しあうことによって、複雑な情報処理を実現している。その伝達過程は、細胞体における電気的発火、軸索の電気的伝達、シナプスからの神経伝達物質の分泌過程から構成されており、電気信号を化学物質の信号に変えることによって、次の神経細胞に情報を伝達している。中でもドーパミンは、人間の情動・運動・意欲・学習・薬物依存に係る重要な神経伝達物質であり、現在根本的な治療法が確立していないパーキンソン病をはじめとする神経変性疾患に対してもドーパミンが関与していることが知られている。このため、ドーパミンを選択的に可視化イメージング出来る分子プローブを開発することは、ドーパミンの動的かつ局所的な挙動をリアルタイムで計測することによって脳神経に関する理解が深まると同時に、神経変性疾患の早期診断に繋がる可能性を秘めるなど極めて重要な技術である。
in vitroおよびin vivo系における試料中のドーパミンを計測する方法として、HPLC法、マイクロダイアリシス法、電気化学法が挙げられる(非特許文献1〜3)。HPLC法では、ドーパミンを含む試料を高速液体クロマトグラフィーで分離後、UV検出器によってドーパミンを検出する方法である。この方法の欠点として、操作が煩雑である事、in vitro測定のみに限定されることが挙げられる。マイクロダイアリシス法では、半透膜を用い、試料内に灌流液を流し、逆に浸透圧で神経伝達物質を回収するという方法である。この方法は、実際に伝達物質を回収しているので、物質の同定に関しては正しく行うことができるが、灌流液を脳内に注入するため侵襲性が高いこと、ドーパミンに対する選択性が欠けること、リアルタイム計測に不向きであることが欠点である。電気化学法では、ドーパミンの酸化還元電位を用いる方法であり、リアルタイム計測が可能であるがドーパミンのみを選択的に計測することが難しいという欠点がある。
一方、蛍光光度法は、種々の化学物質を分析する慣習的な方法であり、高感度である、試料が少量ですむ、大掛かりな装置、熟練した技術を必要としないといった利点がある。
これまでにも蛍光光度法を利用したドーパミン分析の報告はある。例えば、1,2-ジフェニルエチレンジアミン(DPE)が、ドーパミンを含むカテコールアミンの測定に汎用されている。DPEは、ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウムの存在下、緩和な条件でカテコールアミンと反応する。この反応をポストカラム蛍光誘導体化HPLCに利用してカテコールアミン及びその代謝物を一斉分析できる。しかし、ドーパミンのみに対する選択性はなく、HPLC等による試料の分離精製過程が必須であることが欠点である。
Victoria C., Esther S., Eugenio V., Miguel A. S. Show moreA simple and rapid HPLC−MS method for the simultaneous determination of epinephrine, norepinephrine, dopamine and 5-hydroxytryptamine: Application to the secretion of bovine chromaffin cell cultures. J. Chromatogr. B 847, 88-94 (2007). Garris P. A., Collins L. B., Jones S. R., Wightman R. M. Evoked extracellular dopamine in vivo in the medial prefrontal cortex. J. Neurochem. 61, 637-647 (1993). Yuzhong Z., Yuejuan C., Shao S. Determination of dopamine in the presence of ascorbic acid by poly(styrene sulfonic acid) sodium salt/single-wall carbon nanotube film modified glassy carbon electrode. Anal. Biochem. 350, 285-291 (2006). Seto D., Maki T., Soh N., Nakano K., Ishimatsu R., Imato T. A simple and selective fluorometric assay for dopamine using a calcein blue−Fe2+ complex. Talanta 94, 36-43 (2012).
そこで本発明では、上記問題点を解決し、ドーパミンを選択的に高感度で検出することができる化合物を提供することにより、分析化学、生化学など様々な分野に貢献することを課題としている。
本発明者らは、ドーパミンと選択的に複合体を形成する構造(ドーパミン認識部位)を有する化合物を得ることを目指し鋭意検討した。その結果、当該構造として鉄(II)イオンとの錯体を形成するイミノ二酢酸またはその誘導体の構造を有する官能基の採用に着目した。さらに、当該構造によるドーパミンとの複合体形成に伴い蛍光の発光に変化を生じる部位としてシアノピラニル基などの官能基を上記ドーパミン認識部位に連結することを着想した。
このような思想に基づき合成された新規化合物の鉄錯体は、ドーパミンが反応すると当該化合物から鉄(II)イオンが解離することによって蛍光強度の変化を観察することができ、これによりドーパミンの検出を可能とするものである。
すなわち、本発明は以下の通りである。

本発明は、一態様として、
〔1〕下記一般式(I)で表される化合物またはその塩に関する:

A−S−B (I)

(ここで、式(I)中、Aは、下記の式(A−1)〜(A−13)からなる群より選択されるいずれか一つを示し:
Figure 0006685546
Figure 0006685546
ここで、上記に列挙される各式(A−1)〜(A−13)中のRnは、水素原子;炭素数1から15の直鎖型若しくは分枝型のアルキル基;炭素数1〜10の直鎖型若しくは分枝型のエーテル;フェニル基;フェニル基の一部をアミノ基、ハロゲン、ニトロ基に置換したフェニル基;アミノ基;シアノ基;ニトロ基;カルボン酸若しくはその塩若しくはエステル若しくはアミド;スルホン酸若しくはその塩若しくはエステル若しくはアミド;チオール基;水酸基若しくはその塩;ケトン;ハロゲン;または糖を示す。nは置換基Rの数を示す1〜8の整数であって、nが2以上の場合、各Rは、互い同一であっても異なっていてもよい。また、※はSとの結合手を示す。
また、式(I)中、Bは、下記式(B)で表される:
Figure 0006685546
ここで、式(B)中、R1、R2、R3は、互いに独立に、水素原子、炭素数1〜10の直鎖型若しくは分枝型のアルキル基、炭素数1〜10の直鎖型若しくは分枝型のエーテル、フェニル基、フェニル基の一部をアミノ基、ハロゲン、ニトロ基に置換したフェニル基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、カルボン酸若しくはその塩若しくはエステル若しくはアミド、スルホン酸若しくはその塩若しくはエステル若しくはアミド、チオール基、水酸基若しくはその塩、ケトン、ハロゲン、糖を示す。また、n1およびn2は、互いに独立に、1〜3の数字である。また、※はSとの結合手を示す。
また、式(I)中、Sは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルケニル基、または、炭素数1〜4のアルキニル基を示す。)
また、本発明の化合物またはその塩は、一実施の形態において、
〔2〕上記〔1〕に記載の化合物またはその塩であって、
前記式(I)中、Aが、下記の式(A−5)または(A−7)である、ことを特徴とする:
Figure 0006685546
(ここで、上記式(A−5)または(A−7)中のRnは、水素原子;炭素数1〜15の直鎖型若しくは分枝型のアルキル基;炭素数1〜10の直鎖型若しくは分枝型のエーテル;フェニル基;フェニル基の一部をアミノ基、ハロゲン、ニトロ基に置換したフェニル基;アミノ基;シアノ基;ニトロ基;カルボン酸若しくはその塩若しくはエステル若しくはアミド;スルホン酸若しくはその塩若しくはエステル若しくはアミド;チオール基;水酸基若しくはその塩;ケトン;ハロゲン;または糖を示す。nは置換基Rの数を示す1〜8の整数であって、nが2以上の場合、各Rは互いに同一であっても異なっていてもよい。また、※はSとの結合手を示す)。
また、本発明の化合物は、一実施の形態において、
〔3〕上記〔1〕または〔2〕に記載の化合物であって、鉄イオンと錯体を形成していることを特徴とする。
また、本発明は、別の態様において、
〔4〕上記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の化合物またはその塩を含む蛍光試薬に関する。
また、本発明の蛍光試薬は、一実施の形態において、
〔5〕ドーパミン検出用蛍光試薬である、ことを特徴とする。
また、本発明は、別の態様において、
〔6〕上記〔1〕に記載の化合物またはその塩の中間体化合物であって、下記式(II)に示される化合物に関する:
Figure 0006685546
(ここで、式(II)におけるR4およびR5は、保護基を示し、n1およびn2は、互いに独立に、1〜3の数字である。)
また、本発明は、別の態様において、
〔7〕式(II)で示される化合物の製造方法であって、
Figure 0006685546
(ここで、式(II)におけるR4およびR5は、保護基を示し、n1およびn2は、互いに独立に、1〜3の数字である。)

(a)下記式(III)で示される化合物、パラホルムアルデヒド、および、炭素数2〜4のアルコールを含む溶媒中に4-ヒドロキシベンズアルデヒドを溶解させる工程を含む、製造方法に関する:
Figure 0006685546
また、本発明は、別の態様において、
〔8〕式(I)で示される化合物の製造方法であって、
(a)下記式(III)で示される化合物、パラホルムアルデヒド、および、炭素数2〜4のアルコールを含む溶媒中に4-ヒドロキシベンズアルデヒドを溶解させる工程と
Figure 0006685546
(ここで、式(III)におけるR4およびR5は、保護基を示し、n1およびn2は、互いに独立に、1〜3の数字である。);
(b)前記工程(a)により得られた化合物および蛍光色素を、炭素数1〜4のアルコールと第二級アミンまたは第三級アミンとを含む溶媒中で反応させる工程と
(c)前記工程(b)で得られた化合物の保護基を、塩基性条件下で脱保護する工程と
を含む、製造方法に関する。
また、本発明は、別の態様において、
〔9〕上記〔4〕または〔5〕に記載の蛍光試薬を用いてドーパミンを検出または測定する方法であって、ドーパミンと前記蛍光試薬とを反応させて、前記蛍光試薬の蛍光強度の変化を測定する工程を含む方法に関する。
また、本発明は、別の態様において、
〔10〕生体において神経細胞から放出されたドーパミンを検出または測定する方法であって、
ドーパミンを測定したい部位に請求項4または5に記載の蛍光試薬を投与する工程と
当該蛍光試薬の蛍光を測定する工程と
を含む、方法に関する。
本発明の化合物によれば、鉄イオンの存在下、ドーパミンと選択的に反応することで蛍光の発光強度に変化を生じるため、ドーパミンを蛍光光度法により検出することを可能とする。
このように本発明の化合物を用いることでドーパミンを蛍光光度法により検出できるため、ドーパミンの高感度かつ高選択的な測定が可能となり、迅速にかつ簡便にターゲットとなるドーパミンの分析を行うことが出来る。しかも従来のような高価な装置と熟練した技術は必要としない。また使用する分析試薬は、容易に合成できることから、試薬にかかるコストは低減することができる。
図1は、化合物1((E)-2,2'-(5-(2-(4-(dicyanomethylene)-6-methyl-4H-pyran-2-yl)vinyl)-2-hydroxybenzyl azanediyl)diacetic acid)鉄錯体の合成スキームを示す。 図2は、化合物1と化合物1鉄錯体の吸収スペクトルを示すグラフである。 図3は、化合物1の励起スペクトルと蛍光スペクトルを示すグラフである。 図4は、化合物2((E)-4-(3-((bis(carboxymethyl)amino)methyl)-4-hydroxystyryl)-1-undecylpyridinium bromide)鉄錯体の合成スキームを示す。 図5は、化合物2鉄錯体を含む溶液にドーパミンを添加した際の励起スペクトルと蛍光スペクトルを示すグラフである。 図6は、「化合物1」、「化合物1鉄錯体(ドーパミン非存在下)」、「ドーパミン存在下における化合物1鉄錯体」の蛍光スペクトルを示すグラフである。 図7は、ドーパミンと化合物1鉄錯体との相互作用による蛍光発光の模式図を示す。 図8は、化合物2鉄錯体を含む溶液にドーパミンを添加した時の蛍光スペクトル(黒線)と、ドーパミン非存在下における化合物2鉄錯体の蛍光スペクトル(点線)とを示すグラフである。 図9は、化合物1鉄錯体を含む溶液中に、ドーパミンをはじめとする種々のアミン類を添加した際の蛍光強度を示すグラフである。 図10は、化合物1鉄錯体を含む溶液中に、ドーパミンをはじめとする種々のカテコールアミン誘導体を添加した際の蛍光強度を示すグラフである。 図11は、化合物1鉄錯体(●)およびカルセインブルー鉄錯体(△)に種々の濃度のドーパミンを添加した時の蛍光強度とドーパミン濃度との関係を示すグラフである。なお、Iは化合物1鉄錯体にドーパミンを添加した時の560nmにおける蛍光強度を示し、Iは化合物1鉄錯体の560nmにおける蛍光強度を示す。
本発明の化合物は、鉄錯体の形成時、ドーパミンと選択的に反応することで蛍光に変化が生じる化合物であり、当該蛍光の変化によりドーパミンを検出可能とするものである。本発明の化合物は、例えば、以下の式(I)により示すことができる:

A−S−B (I)

ここで、上記式(I)における「A」は、励起光の照射により蛍光を生じる構造であり、かつ、「B」の構造における鉄錯体の形成の有無により、当該蛍光に変化が生じる構造を含む。「B」は、鉄イオン(2価)との錯体を形成可能な構造であり、かつ、ドーパミンを認識する特定の構造を含む。「S」はAとBとを連結するためのスペーサーであり、Bで認識した情報をAに伝達するための役割を有する。
上記式(I)における「A」は、上述のように、式(I)で示される化合物の一部を構成する際に励起光の吸収により蛍光を生じる構造であって、かつ、式(I)の化合物が鉄錯体を形成の有無に依存して、当該蛍光の発光および消光が起こる構造であればよい。式(I)で示される化合物は、ドーパミンの存在下では鉄錯体の形成が阻害されるため、これにより、再び蛍光を生じることができる。このような「A」の構造としては、例えば、ナフタレン、アントラセン、ピレン、ビフェニル、クマリン、ベンゾチアゾ−ル、フルオレセイン、ローダミン、ビピリジン、キノリン、フェナントロリン、シアノピラニル、ピリジンなどの多環芳香族化合物、複素環化合物の構造を採用することができる。
また、上記式(I)における「A」は、例えば、以下に示される式(A−1)〜(A−13)からなる群より選択されるいずれか一つとすることができる:
Figure 0006685546
Figure 0006685546
(ここで、上記に列挙される各式(A−1)〜(A−13)中のRnとしては、水素原子;炭素数1〜15の直鎖型若しくは分枝型のアルキル基;炭素数1〜10の直鎖型若しくは分枝型のエーテル;フェニル基;フェニル基の一部をアミノ基、ハロゲン、ニトロ基に置換したフェニル基;アミノ基;シアノ基;ニトロ基;カルボン酸若しくはその塩若しくはエステル若しくはアミド;スルホン酸若しくはその塩若しくはエステル若しくはアミド;チオール基;水酸基若しくはその塩;ケトン;ハロゲン;または糖(グルコース、マンノース、メリビオースなど)などを挙げることが出来るが、これらに限定されるものではない。nは置換基Rの数を示す1〜8の整数であって、nが2以上の場合、各Rは互い同一であっても異なっていてもよい。また、※はSとの結合手を示す)
式(I)における「A」としては、一実施の形態として、下記の式(A−5)または(A−7)とすることができる:
Figure 0006685546
(ここで、上記式(A−5)または(A−7)中のRnは、水素原子;炭素数1〜15の直鎖型若しくは分枝型のアルキル基;炭素数1〜10の直鎖型若しくは分枝型のエーテル;フェニル基;フェニル基の一部をアミノ基、ハロゲン、ニトロ基に置換したフェニル基;アミノ基;シアノ基;ニトロ基;カルボン酸若しくはその塩若しくはエステル若しくはアミド;スルホン酸若しくはその塩若しくはエステル若しくはアミド;チオール基;水酸基若しくはその塩;ケトン;ハロゲン;または;糖(グルコース、マンノース、メリビオースなど)を示す。nは置換基Rの数を示す1〜8の整数であって、nが2以上の場合、各Rは互いに同一であっても異なっていてもよい。また、※はSとの結合手を示す)。
また、好ましい一実施の形態において、上記式(A−1)〜(A−13)に含まれる化合物としては具体的に下記の化合物を挙げることができる:
Figure 0006685546
(ここで、式(a−1)〜(a−15)において、※はSとの結合手を示す。)
なお、式(a−1)〜(a−15)の構造は、可視光において励起され、蛍光を発光することが可能である。従って、生体の試料を用いてドーパミンの検出または測定を行う際に、紫外線のような有害な励起光を使用することなく、ドーパミンの検出または測定を行うことを可能とする。
また、上記式(I)における「B」は、鉄イオンと鉄錯体を形成することができる。また、ドーパミンの存在下においては、ドーパミン選択的にドーパミンと複合体を形成し、鉄イオンが脱離され、これにより鉄錯体の形成が阻害される。このように、ドーパミンの存在下においては、「B」の構造における鉄錯体の形成が阻害されると「A」の構造における蛍光に変化が生じることになる。このような「B」の構造としては、例えば、下記式(B)で示すことができる:
Figure 0006685546
(ここで、式(B)中、R1、R2、R3は、互いに独立に、水素原子;炭素数1〜10の直鎖型若しくは分枝型のアルキル基;炭素数1〜10の直鎖型若しくは分枝型のエーテル;フェニル基;フェニル基の一部をアミノ基、ハロゲン、ニトロ基に置換したフェニル基;アミノ基;シアノ基;ニトロ基;カルボン酸若しくはその塩若しくはエステル若しくはアミド;スルホン酸若しくはその塩若しくはエステル若しくはアミド;チオール基;水酸基若しくはその塩;ケトン;ハロゲン;糖を示す。また、n1およびn2は、互いに独立に、1〜3の数字である。また、※はSとの結合手を示す)。
式(I)における「B」の構造としては、式(B)に示すように、イミノ二酢酸またはその誘導体と水酸基とを互いにオルト位でベンゼン環の側鎖に有することがより好ましい。ここで、イミノ二酢酸またはその誘導体と水酸基とは、鉄イオンの存在下で鉄錯体を形成する。一方で、ドーパミンの存在下では特異的に鉄イオンの脱離が生じ、鉄錯体の形成は阻害される。このような、イミノ二酢酸またはその誘導体と水酸基との構造における鉄錯体の形成の変化により、「B」と連結している「A」からの蛍光に変化が生じ、ドーパミンを特異的に検出することができる。
なお、式(I)における「B」の好ましい一実施の形態としては、例えば、下記式(b−1)を挙げることができる:
Figure 0006685546
また、式(I)における「S」は、「B」における鉄錯体形成の有無の情報を「A」に伝え、「A」の蛍光に変化を生じさせる構造であればよい。また、Sは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルケニル基、または、炭素数1〜4のアルキニル基を示す。
本発明の化合物は、上記に列挙した「A」、「B」、「S」の全ての組み合わせの形態を含む。好ましい組み合わせの例としては、以下に限定されないが、表1に記載の組み合わせを挙げることができる。
Figure 0006685546
また、本発明の化合物として、好ましい具体例としては、例えば表2に記載の組み合わせを挙げることができるが、これに限定されない。
Figure 0006685546
また、本発明の化合物は塩の形態とすることができる。塩の形態は、特に限定されず、臭化物塩、塩化物塩、ヨウ化物塩を挙げることができる。
また、本発明は、式(II)で示される化合物の製造方法を提供する。当該製造方法は、(a)下記式(III)で示される化合物を含むパラホルムアルデヒド、および、炭素数2〜4のアルコールを含む溶媒中に4-ヒドロキシベンズアルデヒドを溶解させる工程を含む。なお、溶媒に用いる炭素数2〜4のアルコールとしては、例えば、エタノール、n-プロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール等を用いることができる。
Figure 0006685546
(ここで、式(III)におけるR4およびR5は、保護基を示し、n1およびn2は、互いに独立に、1〜3の数字である。)
なお、R4およびR5で示される保護基としては、エチル基、メチル基、または、tert-ブチル基等を用いることができる。
パラホルムアルデヒド、および、炭素数2〜4のアルコールを含む溶媒としては、パラホルムアルデヒド、および、イソプロピルアルコールを含む溶媒を使用することが好ましい。また、式(III)で示される化合物は、予めパラホルムアルデヒド、および、炭素数2〜4のアルコールを含む溶媒中に、窒素気流下で溶解させておくことが好ましい。このときの温度は、70〜90℃とすることができ、30〜60分間反応させることが好ましい。また、得られた溶媒(式(III)で示される化合物を含む溶媒)に4-ヒドロキシベンズアルデヒドを溶解させる工程は、例えば、一晩還流することにより行うことができる。このようにして製造される式(II)で示される化合物は、本発明の化合物の中間体であり、本発明の化合物の製造に用いることができる。
また、本発明は、式(I)で示される化合物の製造方法を提供する。当該方法は、上記(a)の工程の後に、(b)前記工程(a)により得られた化合物および蛍光色素を、炭素数1〜4のアルコールと第二級アミンまたは第三級アミンとを含む溶媒中で反応させる工程と(c)前記工程(b)で得られた化合物の保護基を、塩基性条件下で脱保護する工程とを含む。
工程(b)において、「蛍光色素」とは、本明細書中の式(I)における「A」の構造となる化合物を指す。すなわち、蛍光色素としては、上述した「A」として使用可能な化合物を用いることができる。「工程(a)により得られた化合物と蛍光色素」との反応は、炭素数1〜4のアルコール、および、第二級アミンまたは第三級アミンを含む溶媒中において、窒素気流下、還流を行うことで反応させることができる。なお、炭素数1〜4のアルコールとしては、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、または、sec-ブチルアルコール等を挙げることができる。また、第二級アミンまたは第三級アミンとしては、ピペリジン、トリエチルアミン、または、ジイソプロピルエチルアミン等を挙げることができる。
次いで、工程(c)として、工程(b)で得られた化合物の保護基をpH10〜14の塩基性条件下におくことで脱保護することができる。具体的な脱保護のための塩基性条件は、例えば、1N KOH水溶液5.0mL、エタノール25mLを含む溶液中、約12時間攪拌することで行うことができる。このようにして、本発明の化合物を製造することができる。
また、本発明の化合物は鉄錯体の形態として提供することもできる。本発明の化合物の鉄錯体を得る方法は、HEPESなどの緩衝液中で、本発明の化合物と鉄を含む塩(例えば、塩化鉄(II))とを混合すればよい。
また、本発明の化合物もしくはその塩、または、本発明の化合物の鉄錯体は、ドーパミン検出用の蛍光試薬として使用することができる。本発明の化合物またはその塩をドーパミン検出用の蛍光試薬として使用する際には、使用時に鉄錯体が形成されるように調製して用いることが好ましい。よって、蛍光試薬には、鉄を含む塩を含んでいてもよく、また、ドーパミンの検出を阻害しない限りにおいて、他の成分を含むことができる。
また、本発明は、上記蛍光試薬を用いたドーパミンの検出方法を提供する。本発明のドーパミンの検出方法は、ドーパミンと前記蛍光試薬とを反応させて、前記蛍光試薬の蛍光強度の変化を測定する工程を含む。
ドーパミンを測定する際の溶媒、または、蛍光試薬の溶媒としては、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、グリシン緩衝液、トリス−グリシン緩衝液、トリス緩衝液、HEPESなど適当な溶媒を用いることができる。測定温度は、20℃〜40℃であり、好ましくは25℃〜30℃である。また、本発明の化合物は、固相に固定化されていても良い。本発明の化合物を固定化するための固相は、その上でドーパミンとの相互作用により生じる蛍光変化を検出または測定できるものであれば特に制限されない。このような固相としては、例えば、セルロース、ニトロセルロース、セファロース、アガロース、金属、ガラス、セラミック、樹脂などを挙げることができる。
本発明の化合物により検出または測定の対象となるドーパミンは、特に限定されず、in vitroおよびin vivoの両方におけるドーパミンの検出に使用することができる。例えば、測定対象の試料として、生体内にある動物の脳やその他の身体の一部に存在する神経細胞を用いることもできるし、脳もしくはその一部(組織、細胞)または他の身体の組織を生体より取り出したもの、または、それらを培養したものに含まれる神経細胞等に対して行うこともできる。また、幹細胞等から培養により分化した神経細胞や幹細胞等の培養により形成した組織(例えば、脳(様)組織)に含まれる神経細胞に対して行うこともできる。
本発明の化合物から生じる蛍光の検出および/または測定は、市販の通常用いられる機器を用いて行うことができる。例えば、マイクロプレートリーダー、蛍光分光光度計、蛍光顕微鏡、蛍光スキャナー、感光性フィルムなどを挙げることができる。また、生体の試料(例えば、脳)におけるドーパミンを検出する際には、オプティカルレコーディング法に使用される公知の装置を用いることが好ましい。
また、本発明は、in vivoにおいてドーパミンを検出または測定する方法として、以下の態様を含む:
生体において神経細胞から放出されたドーパミンを検出または測定する方法であって、ドーパミンを測定したい部位に本発明の蛍光試薬を投与する工程と、当該蛍光試薬の蛍光を測定する工程とを含む方法。
また、本発明は、より具体的に、in vivoにおいてドーパミンをイメージングする方法として、以下の態様を含む:
神経細胞から神経細胞外空間に放出されたドーパミンのイメージング方法であって、
測定対象とする神経細胞外空間に蛍光試薬を投与する工程であって、前記神経細胞外空間に放出されたドーパミンと前記蛍光試薬とを反応させる工程と、
前記蛍光試薬の蛍光を測定する工程であって、前記ドーパミンと反応した蛍光試薬が励起する励起光を前記測定対象の神経細胞外空間に照射し、これにより生じた蛍光を測定する工程とを含み、
ここで、前記蛍光を測定する工程が、神経細胞外空間に放出されるドーパミンを経時的、かつ、空間的にイメージングするものである、方法。
ここで、蛍光試薬を、ドーパミンを測定したい部位または神経細胞外空間に投与するとは、露出している脳表面や脳組織、神経細胞等に直接蛍光試薬を添加して浸透させることもできるし、当該試薬を注入しても良い。なお、ヒト個体を対象とする場合には、好ましい形態として、神経伝達物質検出用試薬の投与方法は組織等に物理的な損傷が生じない方法により行われる。また、神経細胞外の空間とは、神経細胞から神経伝達物質が放出される空間のことを意味し、シナプス間隙に限定されない。
また、本発明の化合物は、ドーパミンに対して一定の割合で反応するために、既知濃度のドーパミンが含まれる標準試料を用いて得られた蛍光強度を利用して検量線を作成することにより、試料中に含まれるドーパミンの量を簡便に定量することができるものである。すなわち、本発明は、以下の態様も含む:
試料中に存在するドーパミンの濃度を測定する方法であって、蛍光試薬を当該試料に添加して、当該試料中のドーパミンと当該蛍光試薬との反応により生じた蛍光を測定する工程と、当該蛍光の測定工程により得られた蛍光強度の値を、予め決定した蛍光強度およびドーパミン濃度の検量線と比較して試料中のドーパミンの濃度を決定する工程と、を含む方法。
なお、当業者であれば、予め本発明の蛍光試薬の蛍光強度とドーパミン濃度との関係を検量線として作成することができ、これに基づき測定対象の試料中のドーパミン濃度が測定可能となる。
(1.化合物1およびその鉄錯体の合成)
化合物1およびその鉄錯体は、図1に示す合成スキームに従って合成した。以下に詳細な合成方法を記載する。
(1−1.Diethyl 2,2'-(5-formyl-2-hydroxybenzylazanediyl)diacetateの合成)
下記式(i)に記載の方法により、Diethyl 2,2'-(5-formyl-2-hydroxybenzylazanediyl)diacetateを合成した。
Figure 0006685546
200mL三口フラスコに、イミノ二酢酸ジエチル1.9g (10.0mmol)、パラホルムアルデヒド1.3g、イソプロピルアルコール30mL、水50mLを加え、窒素気流下80℃で45分間加熱した。4-ヒドロキシベンズアルデヒド1.0g (8.2mmol)をイソプロピルアルコール20mLに溶解し、これを上記反応溶液に加え、24時間還流した。イソプロピルアルコールを減圧留去後、フラスコを氷浴につけた。オレンジ色のオイル状化合物を分取後、クロロホルムに溶解し水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去しカラムクロマトグラフィー(SiO2, クロロホルム : メタノール = 200:3v/v)で精製し目的化合物を得た。収率は75%であった。
得られた目的化合物の1H-NMRを測定した。その結果を以下に示す。当該結果により、Diethyl 2,2'-(5-formyl-2-hydroxybenzylazanediyl)diacetateが得られたことがわかった。
1H-NMR (CDCl3, 400MHz, r.t., TMS, d/ppm) 1.24 (6H, t), 3.53 (4H, s), 4.04 (2H, s), 4.21 (4H, q), 6.99 (1H, d), 7.57 (1H, s), 7.75 (1H, d), 9.81 (1H, s) 10.54 (1H, bs).
(1−2.(E)-diethyl2,2'-(5-(2-(4-(dicyanomethylene)-6-methyl-4H-pyran-2-yl)vinyl)
-2-hydroxybenzyl azanediyl)diacetateの合成)
下記式(ii)に記載の方法により、
(E)-diethyl2,2'-(5-(2-(4-(dicyanomethylene)-6-methyl-4H-pyran-2-yl)vinyl)
-2-hydroxybenzyl azanediyl)diacetateを合成した。
Figure 0006685546
50mL三口フラスコに、上記1−1.で合成したDiethyl 2,2'-(5-formyl-2-hydroxybenzylazanediyl)diacetate 0.5g(1.6mmol)、4-(Dicyanomethylene)-2,6-dimethyl-4H-pyran 0.3g(1.6mmol)、Piperidine 0.2g(1.7mmol)、EtOH 40mLを加え窒素気流下、還流した。溶媒を減圧留去後、残渣をCHCl3に溶解し水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、カラムクロマトグラフィー(SiO2, n-ヘキサン:酢酸エチル=1.5 : 1 v/v)で精製後、さらにカラムクロマトグラフィー(SiO2, クロロホルム)で精製し、目的化合物を得た。収率は84%であった。
得られた目的化合物の1H-NMRを測定した。その結果を以下に示す。当該結果により、(E)-diethyl2,2'-(5-(2-(4-(dicyanomethylene)-6-methyl-4H-pyran-2-yl)vinyl)
-2-hydroxybenzyl azanediyl)diacetateが得られたことがわかった。
1H-NMR (CDCl3, 400MHz, r.t., TMS, d/ppm) 1.29 (6H, t), 2.38 (s, 3H), 3.54 (4H, s), 4.02 (2H, s ), 4.22 (4H, q), 6.50-6.53 (2H, m), 6.62 (1H, s), 6.94 (1H, d), 7.18 (1H, s), 7.40-7.42 (2H, m), 9.95 (1H, bs).
(1−3.(E)-2,2'-(5-(2-(4-(dicyanomethylene)-6-methyl-4H-pyran-2-yl)vinyl)-2-hydroxybenzyl azanediyl)diacetic acidの合成)
下記式(iii)に記載の方法により、(E)-2,2'-(5-(2-(4-(dicyanomethylene)-6-methyl-4H-pyran-2-yl)vinyl)-2-hydroxybenzyl azanediyl)diacetic acidを合成した。
Figure 0006685546
100mLなす形フラスコに、上記1−2.で合成した(E)-diethyl2,2'-(5-(2-(4-(dicyanomethylene)-6-methyl-4H-pyran-2-yl)vinyl)-2-hydroxybenzyl azanediyl)diacetate 0.2g (0.3mmol)、1N KOH水溶液5.0mL、エタノール25mLを加え、室温で12時間撹拌した。エタノールを減圧留去後、1N HClを加えpH7に調整した。酢酸エチルで抽出後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去することで目的化合物を得た。収率は95%であった。
得られた目的化合物の1H-NMRを測定した。その結果を以下に示す。当該結果により、(E)-2,2'-(5-(2-(4-(dicyanomethylene)-6-methyl-4H-pyran-2-yl)vinyl)-2-hydroxybenzyl azanediyl)diacetic acidが得られたことがわかった。
1H-NMR (CDCl3, 400MHz, r.t., TMS, d/ppm) 2.39 (s, 3H), 3.53 (4H, s), 4.01 (2H, s ), 6.50-6.54 (2H, m), 6.61 (1H, s), 6.95 (1H, d), 7.17 (1H, s), 7.40-7.43 (2H, m), 9.96 (1H, bs).
(1−4.化合物1鉄錯体の調製)
上記1−3.で得られた(E)-2,2'-(5-(2-(4-(dicyanomethylene)-6-methyl-4H-pyran-2-yl)vinyl)-2-hydroxybenzyl azanediyl)diacetic acidとFeCl2とを5μMとなるように20.0mM HEPES(pH7.2)に溶解した。
また、上述の溶解過程において、25℃の条件下、吸収スペクトル測定および蛍光スペクトル測定(励起波長:450nm)を行った。その結果、鉄イオンの存在下では、吸収スペクトルにおいては試薬単体の場合と異なり、415nm近傍における吸光度が下がり、470nm〜700nm付近に新たな吸収帯が観察された(図2)。また、鉄イオン非存在下の溶液の色は黄色であったが、鉄イオンを添加した溶液では薄い赤色への変色が観察された。
蛍光スペクトル測定において、化合物1の励起スペクトルと蛍光スペクトルとを測定したところ、450nmに極大励起波長、560nm近傍に極大蛍光波長を持つ蛍光スペクトルが観察された(図3)。
以上の結果から、(E)-2,2'-(5-(2-(4-(dicyanomethylene)-6-methyl-4H-pyran-2-yl)vinyl)-2-hydroxybenzylazanediyl)diacetic acidと鉄イオンとが錯体を形成することが確認された。
(2.化合物2およびその鉄錯体の合成)
化合物2およびその鉄錯体は、図4に示す合成スキームに従って合成した。以下に詳細な合成方法を記載する。
(2−1.4-methyl-1-undecylpyridinium bromideの合成)
下記式(iv)に記載の方法により、4-methyl-1-undecylpyridinium bromideを合成した。
Figure 0006685546
100mL三口フラスコに、4-methyl pyridine 1.0g (10.74mmol)、1-bromoundecane 2.8g (11.8mmol)、トルエン50mLを加え、N2気流下、24時間還流した。溶媒を減圧留去後、残渣にヘキサンを加え、析出したオイル状化合物を分取した。さらにヘキサンで洗浄後、減圧乾燥することで目的化合物を得た。収率85%であった。
得られた目的化合物の1H-NMRを測定した。その結果を以下に示す。当該結果により、4-methyl-1-undecylpyridinium bromideが得られたことがわかった。
1H-NMR (CDCl3, 400MHz, r.t., TMS, d/ppm) 0.87 (3H, t), 1.26〜1.44 (17H, m), 2.03〜2.09 (2H, m), 2.75 (3H, s ), 5.06 (2H, t), 8.14 (2H, d), 9.64 (2H, d).
(2−2.(E)-4-(3-((bis(2-ethoxy-2-oxoethyl)amino)methyl)-4-hydroxystyryl)-1-undecylpyridinium bromideの合成)
下記式(v)に記載の方法により、(E)-4-(3-((bis(2-ethoxy-2-oxoethyl)amino)methyl)-4-hydroxystyryl)-1-undecylpyridinium bromideを合成した。
Figure 0006685546
100mL三口フラスコに、上記1−4.で得られた4-methyl-1-undecylpyridinium bromide 0.30g (0.96mmol)、Diethyl 2,2'-(5-formyl-2-hydroxybenzylazanediyl)diacetate 0.31g (0.96mmol)、piperidine 0.10g (1.05mmol)、エタノール50mLを加え、N2気流下、12時間還流した。溶媒を減圧留去後、残渣をクロロホルムに溶解し、水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、カラムクロマトグラフィー(Al2O3, クロロホルム:メタノール=10:1v/v)で精製し目的化合物を得た。収率70%であった。
得られた目的化合物の1H-NMRを測定した。その結果を以下に示す。当該結果により、(E)-4-(3-((bis(2-ethoxy-2-oxoethyl)amino)methyl)-4-hydroxystyryl)-1-undecylpyridinium bromideが得られたことがわかった。
1H-NMR (CDCl3, 400MHz, r.t., TMS, d/ppm) 0.87 (3H, t), 1.22〜1.29 (23H, m), 1.98〜2.00 (2H, m), 3.56 (6H, s ), 3.97 (2H, s), 4.17〜4.23 (7H, m), 4.58 (2H, t), 6.77〜6.81 (2H, m), 7.36 (1H, s), 7.42 (1H, d), 7.58 (1H, d), 7.78 (1H, d), 8.79 (1H, d).
(2−3.(E)-4-(3-((bis(carboxymethyl)amino)methyl)-4-hydroxystyryl)-1-undecylpyridinium bromideの合成)
下記式(vi)に記載の方法により、(E)-4-(3-((bis(carboxymethyl)amino)methyl)-4-hydroxystyryl)-1-undecylpyridinium bromideを合成した。
Figure 0006685546
100mLナス型フラスコに上記2−2.で合成した(E)-4-(3-((bis(2-ethoxy-2-oxoethyl)amino)methyl)-4-hydroxystyryl)-1-undecylpyridinium bromide 0.11g(0.17mmol)、1N KOH 2.0mL、エタノール10mLを加え、室温で12時間撹拌した。溶媒を減圧留去後、残渣に水を加えpH7.0にした。析出した褐色物質を分取後、クロロホルムで洗浄した。さらにトルエンで共沸後、減圧乾燥し、目的化合物を得た。収率95%であった。
得られた目的化合物の1H-NMRを測定した。その結果を以下に示す。当該結果により、(E)-4-(3-((bis(carboxymethyl)amino)methyl)-4-hydroxystyryl)-1-undecylpyridinium bromideが得られたことがわかった。
1H-NMR (CDCl3, 400MHz, r.t., TMS, d/ppm) 0.87 (3H, t), 1.22〜1.29 (17H, m), 1.98〜2.00 (2H, m), 3.56 (6H, s ), 3.97 (2H, s), 4.17〜4.23 (3H, m), 4.58 (2H, t), 6.77〜6.81 (2H, m), 7.36 (1H, s), 7.42 (1H, d), 7.58 (1H, d), 7.78 (1H, d), 8.79 (1H, d) .
(2−4.化合物2鉄錯体の調製)
上記2−3.で得られた(E)-4-(3-((bis(carboxymethyl)amino)methyl)-4-hydroxystyryl)-1-undecylpyridinium bromideとFeCl2とを5μMとなるように20.0mM HEPES(pH7.2)に溶解させ、化合物2鉄錯体を得た。
また、上述の溶解過程において、25℃の条件下、吸収スペクトル測定および蛍光スペクトル測定(励起波長:450nm)を行った。その結果、図5に示す通り、可視光(444nmに極大励起波長がある)において励起可能であり、また、560nmにおいて極大蛍光波長を有していた。
(3−1.ドーパミン存在下における化合物1鉄錯体の蛍光スペクトル)
化合物1鉄錯体を含む溶液中に、ドーパミンを添加した際の蛍光スペクトルを測定した。
具体的には、化合物1鉄錯体とドーパミンとをそれぞれ5μM(終濃度)となるように、20.0mM HEPES(pH7.2)に添加し、調製後の溶液(「化合物1鉄錯体+ドーパミン」)の蛍光スペクトルを測定した。また、対照として、「化合物1鉄錯体のみ(ドーパミン非存在下)」および「化合物1」を含む20.0mM HEPES(pH7.2)溶液の蛍光スペクトルも測定した。なお、蛍光スペクトルの測定は25℃の条件下で行い、励起波長は450nmとした。
その結果を図6に示す。上述のように、「化合物1」を含む溶液にFe2+を添加すると、560nm近傍に存在していた極大蛍光波長の蛍光強度の顕著な減少が確認された(すなわち、化合物1鉄錯体は、560nm近傍に極大蛍光波長を有しない)。一方で、化合物1鉄錯体にドーパミンを添加すると蛍光強度の増加が観察された。この状態のとき、「化合物1」を含む溶液の蛍光強度と同程度まで回復した。これは、ドーパミンを添加することにより、Fe2+が化合物1から解離したことを示す(図7)。
このように、化合物1鉄錯体は、ドーパミン存在下において560nm近傍の極大蛍光波長を生じることが示された。なお、ドーパミンの添加による560nm近傍の極大蛍光波長においては、ドーパミン非存在下と比較して、約12倍の蛍光強度の差が生じていた。このような鉄錯体形成の有無による蛍光強度の大きな差は、化合物1を用いたドーパミンの検出感度が高いことを示す。
(3−2.ドーパミン存在下における化合物2鉄錯体の蛍光スペクトル)
化合物2鉄錯体を含む溶液中に、ドーパミンを添加した際の蛍光スペクトルを測定した。
具体的には、上記3−1.と同様にして、化合物2鉄錯体とドーパミンとを5μM(終濃度)含む20.0mM HEPES(pH 7.2)溶液を調製し、蛍光スペクトルを測定した。また、対照として、「化合物2(ドーパミン非存在下)」を含む20.0mM HEPES(pH 7.2)溶液の蛍光スペクトルを測定した。
その結果を図8に示す。図8に示すように、化合物2鉄錯体は、化合物1と同様にドーパミンの添加による蛍光強度の増加が確認された。なお、ドーパミンの添加による560nm近傍の極大蛍光波長においては、ドーパミン非存在下と比較して、約10倍の蛍光強度の差が生じていた。このような鉄錯体形成の有無による蛍光強度の大きな差は、化合物2を用いたドーパミンの検出感度が高いことを示す。
(4−1.種々のアミン類存在下における化合物1鉄錯体の蛍光スペクトル)
種々のアミン類存在下における化合物1鉄錯体の蛍光強度(560nmの蛍光波長)を測定した。化合物1鉄錯体を含む溶液に対する種々のアミンの添加は、上記3.のドーパミンの添加の試験例と同様にして行った。なお、アミン類としては、ドーパミン、カダベリン、システイン、GABA、グルタミン酸、グルタチオン、グリシン、ヒスチジン、プトレスチン、セロトニンを用い、アミン類は溶液中に5μM(終濃度)となるように添加した。
その結果を図9示す。図9に示すように、ドーパミン以外の他のアミン類については蛍光強度の回復は観察されなかった。
(4−2.種々のカテコールアミン誘導体存在下における化合物1鉄錯体の蛍光スペクトル)
種々のカテコールアミン誘導体存在下における化合物1鉄錯体の蛍光強度(560nmの蛍光波長)を測定した。化合物1鉄錯体を含む溶液に対する種々のカテコールアミン誘導体の添加は、上記3.のドーパミンの添加の試験例と同様にして行った。カテコールアミン誘導体としては、ドーパミン、アスコルビン酸、L-3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン(L-DOPA)、3,4-ジヒドロキシフェニル酢酸(DOPAC)、アドレナリン、ホモバニリン酸(HVA)、3-メトキシチラミン(3-MT)、ノルアドレナリン、フェニルアラニン、p-チラミン、m-チラミン、チロシンを用いた。なお、カテコールアミン類は溶液中に5μM(終濃度)となるように添加した。
その結果を図10示す。図10に示すように、ドーパミン以外の他のカテモールアミン誘導体については蛍光強度の回復は観察されなかった。また、ドーパミンを添加した時が最も高い蛍光強度が確認された。
(5.ドーパミン濃度変化に対する化合物1鉄錯体の蛍光強度)
ドーパミンの濃度変化と化合物1鉄錯体の蛍光強度との影響について測定した。
化合物1鉄錯体またはカルセインブルー鉄錯体(参照化合物)を1μM(終濃度)となるように、20.0mM HEPES(pH7.2)に溶解した。また、各溶液中に、0〜5μMのドーパミンを添加しそれぞれの溶液中の蛍光強度(560nmの蛍光波長)を測定した。
その結果を図11示す。化合物1鉄錯体にドーパミンを添加した時の560nmにおける蛍光強度をドーパミン濃度に対してプロットしたところ、1mMまでのドーパミン濃度において良好な直線関係が得られた(図11中の●)。比較として、参照化合物についても同様の測定を行ったところ図11中の△に記したような結果が得られたが、化合物1鉄錯体のほうがドーパミン濃度変化に対する蛍光強度変化が大きく、より低濃度領域まで計測可能であることが示された。
生化学、医療、分析化学における高感度、高選択的かつ簡便な分析法として利用が可能である。本発明のように溶液中の定性・定量分析だけに留まらず、生体組織中のドーパミンの可視化イメージング色素、簡易分析キットに応用して、販売することもできる。

Claims (7)

  1. 下記一般式(I)で表される化合物またはその塩:
    A−S−B (I)
    (ここで、式(I)中、Aは、下記の式(A−5)または(A−7)を示し:
    Figure 0006685546
    ここで、上記式(A−5)または(A−7)中のRは、水素原子;炭素数1から15の直鎖型若しくは分枝型のアルキル基;フェニル基;フェニル基の一部をアミノ基、ハロゲン、ニトロ基に置換したフェニル基;アミノ基;シアノ基;ニトロ基;チオール基;水酸基若しくはその塩;またはハロゲンを示す。nは置換基Rの数を示す1〜4の整数であって、nが2以上の場合、各Rは互いに同一であっても異なっていてもよい。また、※はSとの結合手を示す。
    また、式(I)中、Bは、下記式(B)で表される:
    Figure 0006685546
    ここで、式(B)中、※はSとの結合手を示す。
    また、式(I)中、SはC2H2を示す。)
  2. 請求項1に記載の化合物であって、鉄イオンと錯体を形成している化合物。
  3. 請求項1または2に記載の化合物またはその塩を含む蛍光試薬。
  4. ドーパミン検出用蛍光試薬である、請求項3に記載の蛍光試薬。
  5. 請求項1に記載の化合物またはその塩の製造方法であって、
    (a)下記式(III)で示される化合物、パラホルムアルデヒド、および、炭素数2〜4のアルコールを含む溶媒中に4-ヒドロキシベンズアルデヒドを溶解させる工程と
    Figure 0006685546
    (ここで、式(III)におけるRおよびRは、保護基を示し、前記保護基はエチル基、メチル基、または、tert-ブチル基である。);
    (b)前記工程(a)により得られた化合物および蛍光色素を、炭素数1〜4のアルコールと第二級アミンまたは第三級アミンとを含む溶媒中で反応させる工程であって、前記蛍光色素が下記式で示される化合物またはその塩である工程と
    Figure 0006685546
    (ここで、上記式(A−5’)または(A−7’)中のRは、水素原子;炭素数1から15の直鎖型若しくは分枝型のアルキル基;フェニル基;フェニル基の一部をアミノ基、ハロゲン、ニトロ基に置換したフェニル基;アミノ基;シアノ基;ニトロ基;チオール基;水酸基若しくはその塩;またはハロゲンを示す。式(A−5’)におけるnは置換基Rの数を示す1〜4の整数であって、式(A−7’)におけるnは置換基Rの数を示す1または2の整数である。nが2以上の場合、各Rは互いに同一であっても異なっていてもよい。)
    (c)前記工程(b)で得られた化合物またはその塩の保護基を、塩基性条件下で脱保護する工程とを含む、製造方法。
  6. 請求項3または4に記載の蛍光試薬を用いてドーパミンを検出または測定する方法であって、ドーパミンと前記蛍光試薬とを反応させて、前記蛍光試薬の蛍光強度の変化を測定する工程を含む方法。
  7. 生体において神経細胞から放出されたドーパミンを検出または測定する方法であって、
    ドーパミンを測定したい部位に請求項3または4に記載の蛍光試薬を投与する工程と
    当該蛍光試薬の蛍光を測定する工程と
    を含む、方法。
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