JP5924780B2 - 高強度および高延性を有する低融点亜鉛基ろう合金 - Google Patents
高強度および高延性を有する低融点亜鉛基ろう合金 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5924780B2 JP5924780B2 JP2013204996A JP2013204996A JP5924780B2 JP 5924780 B2 JP5924780 B2 JP 5924780B2 JP 2013204996 A JP2013204996 A JP 2013204996A JP 2013204996 A JP2013204996 A JP 2013204996A JP 5924780 B2 JP5924780 B2 JP 5924780B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- alloy
- mass
- brazing
- ductility
- strength
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Pressure Welding/Diffusion-Bonding (AREA)
Description
また、ジュラルミンとして知られるAl-Cu系合金部材も、固相線温度が600℃より大幅に低い(540℃付近)ため、Al-Si系合金ろうをろう材に用いたろう付は不可能である。
しかしながら、固相線温度が低すぎる合金は、高温にさらされる部材(熱交換器の部材等)のろう付には適さないという問題がある。非特許文献2のはんだ合金のうち、熱交換器部材のろう付けに用いることができるのは、固相線温度が約380℃であるZn-Al共晶合金のみである。しかしながら、Zn-Al共晶合金は、非特許文献1のアルミニウム合金ろうと比較して強度、延性に劣るという問題がある。
また、それに加えて、第三の元素、即ちAgを添加することで、更に強度および延性を改善することができることを見出した。
また更に、Alと微細な化合物を形成する第四の元素を探索した結果、周期表の鉄族、第4族、第5族の元素を添加することにより、初晶として晶出する微細なAl化合物を核として、微細組織が形成され、強度が更に向上することを見出し、本発明を完成した。
(1) 液相線温度が500℃以下であるため、被接合材への熱影響が少ない状態でろう付が可能であり、従来ろう付は不可能とされてきたジュラルミン部材のろう付も可能。
(2) 固相線温度が370℃以上であるため、パワーエレクトロニクス分野など、250℃以上の環境で用いられる電子部品の接合への適用が可能。特に、熱交換器部材の接合に適する。
(3) Al-Si系合金ろうに匹敵する強度と延性(3点曲げ試験において、最大曲げ応力500MPa以上の強度、最大曲げ変位2.0mm以上の延性)を有する。
(4) Zn-Al共晶合金はんだと同等のぬれ性を有する。
(5) 接合時に一度合金を溶融させても、接合時の加熱温度(500℃以下)では溶解しない微細なAl化合物相が存在する。それにより、当該Al化合物相を凝固核として再び微細な凝固組織が得られる(すなわち、ろう付け後に凝固組織の粗大化が生じない)ため、強度が維持される。
本発明の亜鉛基ろう合金は、Zn-Al共晶合金を基本とし、Al、Agおよび第四元素の含有量を調整し、固相線および液相線温度、曲げ強度や延性、ぬれ性を良好な範囲に保つ合金組成を構築することによって発明されたものである。
この金属間化合物は高い融点を有するため、ろう付時の温度では容易に溶融せず、再度凝固する際にも凝固核として作用する。このため、ろう接後の組織の粗大化を抑え、ろう合金本来の強度が維持される。
これらの効果が現れるのを確認したのが、上述した第四の元素(Fe、Co、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta)であり、これらの元素の中から1種あるいは2種以上を選択してろう合金に加えることで、目的の効果を得ることができる。
即ち、本発明のろう合金は、周期表の鉄族元素(Fe、Co)、第4族元素(Ti、Zr、Hf)及び第5族元素(V、Nb、Ta)からなる群より選択される1種の元素あるいは2種以上の元素を合計で0.01〜1質量%含むことを特徴とする。より好ましい第四の元素の含有率は、0.1〜1質量%である。
本発明のろう合金中、Znと不可避不純物からなる残部が占める割合は、最少で69質量%、最大で93.49質量%となるが、より好ましくは73〜92質量%であり、特に好ましくは77〜88質量%である。
本発明の実施例の合金組成および各特性試験の結果を表1に、比較例の合金組成および各特性試験の結果を表2に示す。なお、各特性試験の方法は以下に示すとおりである。
実施例および比較例の合金について、示差熱走査熱分析(DSC)を用いて固相線および液相線温度を測定した。即ち、20 mg程度の合金サンプルをアルミニウム製のパンにセットし、10 ℃/minの昇温速度で加熱しながら650 ℃まで示差熱の測定を行い、吸熱ピーク位置から固相線および液相線温度を算出した。
実施例および比較例の合金を黒鉛るつぼに装入、大気炉中で加熱を行って溶融させた後、黒鉛鋳型に鋳込むことで、直径5 mm、長さ30 mmの丸棒状試験片を得た。
その後、万能試験機を用いて3点曲げ試験を実施、破断に至るまでの最大曲げ応力と変位の測定を行い、強度と延性の評価指標とした。なお、支え間の距離は25.4 mm、クロスヘッド速度は1.0 mm/minで試験を実施した。
強度については最大曲げ応力が500MPa以上、延性については最大曲げ変位が2.0mm以上を目標値とした。
ぬれ性試験は、30×30×1 mmの純Al(A1050)板にフラックス(市販アルミソルダー用フラックス:塩化リチウム18質量%、塩化バリウム12質量%、氷晶石12質量%、塩化カリウム12質量%、塩化ナトリウム6質量%、水40%)を塗布した後、ホットプレート上で550℃に加熱、フラックスが溶融した上に実施例および比較例合金を0.1 g載せ、ぬれ性を評価した。
ぬれ性については、下記に示す基準で評価を行った。
「◎」:Zn-5質量%Al合金よりぬれ広がりが大きい
「○」:Zn-5質量%Al合金とほぼ同等のぬれ広がり
「△」:Zn-5質量%Al合金よりぬれ広がりが小さい
「×」:ぬれ広がらない
実施例および比較例合金の鋳造材[上記2)の試験片]、及び、ぬれ性試験後の試験片[上記3)]について、各々凝固組織を観察、組織粗大化の有無を評価した。
また、ぬれ性試験の前後において、合金組織に大きな差異は見られず、溶融前の組織が維持されている(凝固組織の粗大化が無い)ことが確認された。また、固相線温度はいずれも380〜410℃程度であり、250℃の使用環境に対する耐熱性を有しているといえる。
3点曲げ試験の結果、最大曲げ応力はいずれも、Zn-5質量%Al合金はんだ(比較例合金B)の360MPaを大きく上回り、Al-12.5質量%Si合金ろう(比較例合金A)と同様に500MPa以上の値を示すことが確認された。さらに、最大曲げ変位についても、Zn-5質量%Al合金はんだ(比較例合金B)の0.5mmを大きく超え、Al-12.5質量%Si合金ろう(比較例合金A)と同様に2.0mm以上の値を示すことが確認された。
特に、Alが7〜17質量%で、AlとAgの合計が12質量%以上の場合、最大曲げ応力が600MPa以上となり、最大曲げ変位は3.0mm以上となった。
また、比較例合金Bは、旧来のZn-Al共晶合金はんだであるが、強度および延性に乏しい。
比較例合金C〜Iは、本発明の構成成分の限定範囲を外れた合金であるが、いずれも何らかの特性を満足しない。即ち、比較例合金Cは組織の粗大化が見られ、比較例合金D〜Fは延性が低く、組織の粗大化がみられる。また、比較例合金G〜Iは第四の添加元素(Fe、Co、Ni、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta)を多く含むため、延性が低下し、ぬれ性の劣化がみられる。
比較例合金J〜Mは、第三元素あるいは第四元素に本発明の構成成分以外の元素を添加したものであるが、比較例合金JおよびKのようにCuを含ませると特に延性が低下した。また、比較例合金LのようにCrを含ませると強度、延性が低下した。比較例合金MのようにMgを含ませると固相線温度が低下し、延性が低下した。
Claims (4)
- Alを5.5〜21質量%、Agを1〜9質量%、および、Fe、Co、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Taからなる群より選択される1種あるいは2種以上の元素を合計で0.01〜1質量%含有し、残部がZnおよび不可避不純物からなることを特徴とする、亜鉛基ろう合金。
- Alを7〜21質量%含有することを特徴とする、請求項1に記載の亜鉛基ろう合金。
- Alを7〜17質量%含有することを特徴とする、請求項1に記載の亜鉛基ろう合金。
- Fe、Co、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Taからなる群より選択される1種あるいは2種以上の元素を合計で0.1〜1質量%含有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の亜鉛基ろう合金。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013204996A JP5924780B2 (ja) | 2013-09-30 | 2013-09-30 | 高強度および高延性を有する低融点亜鉛基ろう合金 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013204996A JP5924780B2 (ja) | 2013-09-30 | 2013-09-30 | 高強度および高延性を有する低融点亜鉛基ろう合金 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2015066592A JP2015066592A (ja) | 2015-04-13 |
JP5924780B2 true JP5924780B2 (ja) | 2016-05-25 |
Family
ID=52833889
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2013204996A Active JP5924780B2 (ja) | 2013-09-30 | 2013-09-30 | 高強度および高延性を有する低融点亜鉛基ろう合金 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5924780B2 (ja) |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5432063A (en) * | 1977-08-16 | 1979-03-09 | Asahi Glass Co Ltd | Si semiconductor solder |
JP2006255762A (ja) * | 2005-03-18 | 2006-09-28 | Uchihashi Estec Co Ltd | 電子部品用線状はんだ |
JP5699898B2 (ja) * | 2011-10-14 | 2015-04-15 | 住友金属鉱山株式会社 | Znを主成分とするPbフリーはんだ合金 |
-
2013
- 2013-09-30 JP JP2013204996A patent/JP5924780B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2015066592A (ja) | 2015-04-13 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5858512B1 (ja) | 耐食性に優れたニッケルろう材 | |
US20130059162A1 (en) | Flux composition and brazing sheet | |
JP5713829B2 (ja) | アルミニウム系材料のろう付用フラックス | |
JP3224440B2 (ja) | 熱交換器ろう付用アルミニウム合金ろう材および熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシート | |
JP3704632B2 (ja) | アルミニウム製熱交換器用フィン材およびアルミニウム製熱交換器の製造方法 | |
KR101545530B1 (ko) | 알루미늄계 재료의 경납땜 플럭스 | |
JP5937214B2 (ja) | 金属接合用はんだ合金及びこれを用いたはんだ付け方法 | |
CN101090796A (zh) | 铝合金钎焊材料 | |
JP2004042086A (ja) | アルミニウム材をろう付けするためのろう材粉末および該ろう材粉末を用いるアルミニウム材のろう付け方法 | |
JP5354912B2 (ja) | アルミニウム製熱交換器及びその製造方法 | |
JP5924780B2 (ja) | 高強度および高延性を有する低融点亜鉛基ろう合金 | |
JPH06182581A (ja) | 熱交換器ろう付用アルミニウム合金ろう材および熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシート | |
KR20070101866A (ko) | 알루미늄합금 브레이징 재료 | |
JP3601197B2 (ja) | 長期にわたって優れた耐食性および接合強度を維持することができるろう付け構造 | |
JP2013086103A (ja) | アルミニウム合金ブレージングシート | |
JP2013103265A (ja) | アルミニウム合金ブレージングシートおよびろう付け方法 | |
JP2009162450A (ja) | アルミニウム製熱交換器及びその製造方法 | |
JP5354909B2 (ja) | 熱交換器用のアルミニウム合金ベアフィン材 | |
US20220371116A1 (en) | Low melting nickel-manganese-silicon based braze filler metals for heat exchanger applications | |
JP5354910B2 (ja) | アルミニウム製熱交換器及びその製造方法 | |
CN105014262A (zh) | 一种水箱散热器用铝合金钎焊材料及钎焊部件 | |
JP3601201B2 (ja) | 長期にわたって優れた耐食性および接合強度を維持することができるろう付け構造 | |
JP2016221547A (ja) | アルミニウム合金ブレージングシート、フラックス組成物及びフラックス組成物塗布方法 | |
TW202310965A (zh) | 潤濕擴散性優異之鎳硬焊材料 | |
JP2004114084A (ja) | アルミニウム系部材のろう付け方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20150731 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20150805 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20150915 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20160224 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20160307 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20160413 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20160414 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5924780 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |