JP5922685B2 - 排気タービン装置、過給機および排気エネルギー回収装置 - Google Patents
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Description
さらに、近年ではコード長を増大させたワイドコードタービン動翼が主流となっているが、ワイドコードタービン動翼は、翼ピッチが大きくなり隣り合うタービン動翼間の距離が大きくなるため、ダンピングワイヤが長くなってしまい、ダンピングワイヤそのものが変形したり破断したりするおそれがある。このため、ワイドコードタービン動翼に対してダンピングワイヤを採用することが困難となっている。
すなわち、本発明にかかる排気タービン装置は、中心軸線回りに回転可能とされたロータと、該ロータの全周にわたって所定間隔を有して取り付けられた複数のタービン動翼を有するタービン動翼群と、内燃機関から排出された排気ガスを前記タービン動翼群に導くように、前記中心軸線回りの全周にわたって所定間隔を有して取り付けられた複数のタービンノズルを有するタービンノズル群とを備えた排気タービン装置であって、前記排気ガスが前記タービンノズル群を通過する流路を、外周側に位置するとともに全周にわたって形成された第1タービンノズル群流路と、該第1タービンノズル群流路の内周側に位置するとともに全周にわたって形成された第2タービンノズル群流路とに仕切る仕切り部材と、前記排気ガスが前記第1タービンノズル群流路の全周にわたって導かれるように形成された第1排気ガス導入流路と、前記排気ガスが前記第2タービンノズル群流路の全周にわたって導かれるように形成された第2排気ガス導入流路と、前記内燃機関からの前記排気ガスを前記第1排気ガス導入流路に導く第1排気ガス入口部と、前記内燃機関からの前記排気ガスを前記第2排気ガス導入流路に導く第2排気ガス入口部とを備え、前記第1排気ガス入口部及び前記第2排気ガス入口部は、それぞれ、前記内燃機関の異なる気筒または異なる前記内燃機関に接続されていることを特徴とする。
このように、第1排気ガス入口部および第2排気ガス入口部から流入した排気ガスは、それぞれ、第1タービンノズル群流路および第2タービンノズル群流路の全周にわたって導かれるので、それぞれのタービンノズル群流路の出口側すなわちタービン動翼群の入口側の周方向における圧力分布を可及的に小さくすることができる。したがって、タービン動翼が中心軸線回りに回転する際に1周毎に受ける圧力変動を小さくでき、タービン動翼に生じる励振力を可及的に小さくすることができる。これにより、タービン動翼間を接続するダンピングワイヤを採用しなくてもタービン動翼の信頼性を確保することができる。特に、排気ガスの動圧を利用する動圧式の排気タービン装置であっても、周方向における圧力分布を小さくできるので、排気タービン性能を向上させることができる。
例えば、排気ガス入口部が2つとされ、第1タービンノズル群流路と第2タービンノズル群流路に導かれる排気ガス流量が同等とされている場合には、仕切り部材はタービンノズル群の半径方向における中央位置から外周側よりに配置されることになる。
図1には、本発明の排気タービン装置を過給機1に適用した実施形態が示されている。過給機1は、例えば、船舶の主機であるディーゼル機関(内燃機関)や、自動車等の車両のディーゼル機関(内燃機関)に用いられ、ディーゼル機関からの排気ガスによって得られた駆動力で空気を圧縮してディーゼル機関の燃焼室に圧縮空気を供給するものである。本実施形態の過給機1は、ディーゼル機関からの排気ガスの運動エネルギーを主に用いる動圧式とされ、また、2つの排気ガス入口を有するいわゆる2エントリ過給機となっている。
コンプレッサ部5は、外部から空気を取り入れる空気吸入口9と、取り入れた空気を導入する空気導入路11と、空気導入路11から導かれた空気を圧縮するコンプレッサ羽根車13と、コンプレッサ羽根車13の下流側に配置された渦巻き室15とを備えている。
コンプレッサ羽根車13は、遠心圧縮機の羽根車とされており、外周に複数のコンプレッサ動翼13aが取り付けられている。コンプレッサ羽根車13は、中心軸線L回りに回転するロータ軸17の一端(図1において左端)に固定されている。
なお、コンプレッサ羽根車13を収容するとともに空気導入路11を形成する空気案内ケーシング20は、軸受台19に対してボルト18等によって固定されている。
仕切り部材40は、隣り合う排気タービンノズル34間にわたって設けられており、これにより、排気タービンノズル群を中心軸線L側から正面視した場合には、仕切り部材40が円周方向に連なったリング形状となっている。このようにリング形状に連なる仕切り部材40によって、排気ガスがタービンノズル群を通過する流路は、外周側に位置するとともに全周にわたって形成された第1排気タービンノズル群流路F1(図2参照)と、第1排気タービンノズル群流路F1の内周側に位置するとともに全周にわたって形成された第2排気タービンノズル群流路F2(図2参照)とに仕切られている。
第2排気ガス入口ケーシング32は、第2排気ガス入口部32aの下流側に、外周壁部32bと、内周壁部32cとを有している。外周壁部32bと内周壁部32cとは、複数の支持部材32dによって互いに固定されている。支持部材32dは、中心軸線Lを中心とする円周方向に所定間隔を有して複数設けられており、半径方向に延在する板状体とされている。
内周壁部32cは、第2排気ガス導入流路F2’の内周面を形成し、排気ガス流れの上流側が閉じた円錐台形状とされている。内周壁部32cの下流端部は、ノズル34の翼根側の内周面に排気ガスの流路が連続的に連なるように接続されている。
外周壁部32bは、上述した第1排気ガス導入流路F1’の内周面を形成するだけでなく、第2排気ガス導入流路F2’の外周面をも形成する。外周壁部32bの下流端部は、仕切り部材40の内周面及び外周面に排気ガスの流路が連続的に連なるように接続されている。
ディーゼル機関から排出される排気ガスは、図4のように複数のシリンダを2等分して、第1排気ガス導入配管42と第2排気ガス導入配管44の2つにまとめられる。第1排気ガス導入配管42にまとめられた排気ガスは、図1に示すように、第1排気ガス入口部30aへと導かれ、第2排気ガス導入配管44にまとめられた排気ガスは、第2排気ガス入口部32aへと導かれる。
第2排気ガス入口部32aへと導かれた排気ガスは、中心軸線Lを中心とする周方向の全周に設けられた第2排気ガス導入流路F2’を通り、仕切り部材40によって仕切られた内周側の第2排気タービンノズル群流路F2(図2参照)へと導かれる。
第1排気タービンノズル群流路F1及び第2排気タービンノズル群流路F2にて増速された排気ガスは、それぞれ、排気タービン動翼27aの対応する外周側及び内周側に導かれる。排気タービン動翼27aは、排気ガスの流体エネルギーを得て排気タービン羽根車27を回転させる。排気タービン動翼27aを通過した排気ガスは、排気ガス出口ケーシング36を通り、過給機1の外部へと排出される。
第1排気ガス入口部30aから流入した排気ガスは、第1排気ガス導入流路F1’を通り排気タービンノズル群の第1排気タービンノズル群流路F1の全周にわたって導かれる。また、第2排気ガス入口部32aから流入した排気ガスは、第2排気ガス導入流路F2’を通り排気タービンノズル群の第2排気タービンノズル群流路F2の全周にわたって導かれる。第1排気タービンノズル群流路F1と第2排気タービンノズル群流路F2とは仕切り部材40によって仕切られているので、それぞれのタービンノズル群流路F1,F2を流れた排気ガスは別々に排気タービン動翼群へと導かれる。
このように、第1排気ガス入口部30aおよび第2排気ガス入口部32aから流入した排気ガスは、それぞれ、第1排気タービンノズル群流路F1および第2排気タービンノズル群流路F2の全周にわたって導かれるので、それぞれのタービンノズル群流路F1,F2の出口側すなわちタービン動翼群の入口側の周方向における圧力分布を可及的に小さくすることができる。したがって、排気タービン動翼27aが中心軸線L回りに回転する際に1周毎に受ける圧力変動を小さくでき、排気タービン動翼27aに生じる励振力を可及的に小さくすることができる。これにより、排気タービン動翼間を接続するダンピングワイヤを採用しなくても排気タービン動翼の信頼性を確保することができる。特に、本実施形態のように排気ガスの動圧を利用する動圧式の過給機1であっても、周方向における圧力分布を小さくできるので、排気タービン性能ひいては過給機性能を向上させることができる。
また、上記実施形態では2つの排気ガス入口を有する排気タービン部3としたが、3つ以上の排気ガス入口を有する排気タービン部としてもよい。この場合には、仕切り部材が2以上となり、排気タービンノズル群流路が同心円状に3つ以上設けられることになる。
3 排気タービン部(排気タービン装置)
5 コンプレッサ部(圧縮機)
9 空気吸入口
11 空気導入路
13 コンプレッサ羽根車
13a コンプレッサ動翼
15 渦巻き室
17 ロータ軸
18 ボルト
19 軸受台
20 空気案内ケーシング
21 スラスト軸受
23,25 ラジアル軸受
27 排気タービン羽根車(ロータ)
27a 排気タービン動翼
30 第1排気ガス入口ケーシング
30a 第1排気ガス入口部
31 ボルト
32 第2排気ガス入口ケーシング
32a 第2排気ガス入口部
32b 外周壁部
32c 内周壁部
33 ボルト
34 排気タービンノズル
36 排気ガス出口ケーシング
37 ボルト
40 仕切り部材
42 第1排気ガス導入配管
44 第2排気ガス導入配管
L 中心軸線
F1 第1排気タービンノズル群流路
F2 第2排気タービンノズル群流路
F1’ 第1排気ガス導入流路
F2’ 第2排気ガス導入流路
Claims (6)
- 中心軸線回りに回転可能とされたロータと、
該ロータの全周にわたって取り付けられた複数のタービン動翼で構成されたタービン動翼群と、
内燃機関から排出された排気ガスを前記タービン動翼群に導くように、前記中心軸線回りの全周にわたって取り付けられた複数のタービンノズルで構成されたタービンノズル群と、
を備えた排気タービン装置であって、
前記排気ガスが前記タービンノズル群を通過する流路を、外周側に位置するとともに全周にわたって形成された第1タービンノズル群流路と、該第1タービンノズル群流路の内周側に位置するとともに全周にわたって形成された第2タービンノズル群流路とに仕切る仕切り部材と、
前記排気ガスが前記第1タービンノズル群流路の全周にわたって導かれるように形成された第1排気ガス導入流路と、
前記排気ガスが前記第2タービンノズル群流路の全周にわたって導かれるように形成された第2排気ガス導入流路と、
前記内燃機関からの前記排気ガスを前記第1排気ガス導入流路に導く第1排気ガス入口部と、
前記内燃機関からの前記排気ガスを前記第2排気ガス導入流路に導く第2排気ガス入口部と、
を備え、
前記第1排気ガス入口部及び前記第2排気ガス入口部は、それぞれ、前記内燃機関の異なる気筒または異なる前記内燃機関に接続されていることを特徴とする排気タービン装置。 - 前記仕切り部材は、前記第1タービンノズル群流路と前記第2タービンノズル群流路に導かれる前記排気ガスの流量の比と、前記第1タービンノズル群流路に対応する前記タービン動翼群の外周側の第1スロート面積と前記第2タービンノズル群流路に対応する前記タービン動翼群の内周側の第2スロート面積の比とが一致する位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の排気タービン装置。
- 前記第2排気ガス導入流路の外周を形成する外周壁部が前記仕切り部材に接続され、
前記外周壁部によって、前記第1排気ガス導入流路の内周が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の排気タービン装置。 - 前記第1排気ガス入口部および前記第2排気ガス入口部は、それぞれ、前記中心軸線に対して屈曲した方向から前記排気ガスを導入するように設けられ、
前記第1排気ガス入口部と前記第2排気ガス入口部は、前記中心軸線側から正面視した場合に、該中心軸線回りに相対位置が変更可能とされていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の排気タービン装置。 - 請求項1から4のいずれかに記載の排気タービン装置と、
該排気タービン装置の前記ロータによって駆動され、前記内燃機関へ供給する空気を圧縮する圧縮機と、
を備えていることを特徴とする過給機。 - 請求項1から4のいずれかに記載の排気タービン装置と、
該排気タービン装置の前記ロータによって駆動される従動機と、
を備えていることを特徴とする排気エネルギー回収装置。
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